宙組『エリザベート』Aバージョン観劇。

 腐った萌えの話はともかく(笑)、3人目のルドルフについて。

 正統派のずんちゃん、バカのりく、ときて、あっきーは。

 ……ヘタレ?

 なんか最初から眉毛八の字で。
 とにかく悲観的。

 見た目はいちばん大人。年齢設定が高く見えるだけに、人生に対して腰が引けまくっているのが違和感。
 うーむ、このルドルフさんはどんだけ挫折だらけの人生を送ってきたんだろう。自分に自信が持てず、精神的引きこもり状態っぽい。

 大人だからかもしれないな。
 年食ってる分、現実が見えているのかもしれない。
 最初から「うまくいくわけがない」とあきらめてる感じ。
 そんな人が老いらくの恋……というか、ハンガリー国王だとか大好きなママに認められるだとか、見てはならない夢を見て、一気に弾け切っちゃった感じ?

 ルドルフがヘタレてるせいか、フランツ@マカゼがいちばんドSに見えた。他のルドルフのときはそんな風に感じなかったんだけど、三十路男がこれだけおびえるからには、父親に原因があるんだろうなと。

 もう少し凜々しい部分もあってほしかったかなあ。あまりにダメダメ度が高いわ、ルドルフ様。
 自分に自信がないためだろう、やたら勢いのあるりくエルマーみたいなバカ男にのせられちゃって……。

 や、そういうところは萌えます(笑)。わたしはヘタレスキー。
 ルドルフ像のひとつとして、こういうのもアリだと思うし。つか、なんでもアリだと思う。

 ただ、あっきースキーとしては、勝手に彼の今後を心配した。
 ルドルフ役はロイヤルな持ち味のあるあっきーが得意とするタイプの役、だと思っていた。得意分野なんだから、ここはこう、がつんと実力を見せつけて、劇団に「あっきーをふるい落とすのはもったいないぞ」と思わせてほしい。
 だから、劇団が好みそうな、正統派の美形皇太子路線で攻めてみるとか? この男を真ん中に立たせてみたい、と思わせるような。
 ……なんてことを、漠然と思ってたんだなあ。

 いろんな役作りがあるだろうし、正解が決まっているわけでもない。
 でも、タカラヅカ的に盛り上がるルドルフ像って、「ボタンが掛け違いさえしなければ、よい為政者になったろう能力と意欲と誠実さを持った皇太子」だと思う。悲劇の予感は最初からあるにしろ、悲しい最期を迎えることに、「どうして?」「可哀想」とやるせなさを感じるような。
 少なくとも、「ダメダメニートが自業自得で破滅した」というのは、タカラヅカ的ど真ん中なルドルフ像じゃないと思う……。
 母の愛に飢えて厳格な父に怯えて育った精神的引きこもり青年が甘言にのせられ事件を起こし、親にかばってもらえなかったことに絶望して自殺する、てのは、リアルかもしんないけど、女性ファン向けではないような……。や、わたしはダメンズスキーなのでそのへん好物だけど、今あっきーが示すべきルドルフ像はソレではないような……。

 3人のルドルフを見て、いちばん「トップ路線」に相応しいキャラを演じたのは、ずんちゃんだと思った。

 わたしの好み云々ではなく、「タカラヅカ」のトップスター資質という面で見て。

 あっきーが劇団推しの路線スターだったら、あえてヘタレを演じてみせるのはアリだと思う。でも、今の立ち位置でこのルドルフ像だと「やっぱ脇キャラだな」と判断されそうで。
 勝手に気を揉みました。きりきりと。

 もっとロイヤルに気高くくるかと思ったんだニャ……。
 大人の男の破滅、的な。


 あっきー、シュテファン役をやったときも、薄かったんだよなあ。
 3人組ではなく、エルマーと仲間たちになっていた。
 押しが弱いのは、路線育ちじゃないためか……。
 うおお、もったいない……。

 勝手にいろいろ考えてじりじりしたけれど、それはそれとして、ヘタレ美形はおいしくいただきました。
 うまうま。

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