ビジュアルセンスがどーにもダメだった、『NOBUNAGA<信長>』。や、わたしはね。

 すべてにおいて「無理!」だったんだけど、中でも大きな疑問だったのが、ロルテス@たまきちのビジュアル。

 あのヒゲは必要なのか?

 わかりやすくかっこいいヒゲではなく、むさくるしいヒゲ。
 タカラヅカは若い女性だけで老若男女を演じている都合上、どうしても「形式」が存在する。
 ヒゲの形もそうだ。バトラー@『風と共に去りぬ』のような口ひげ、ショーヴラン@みりお様限定『THE SCARLET PIMPERNEL』のイケメンヒゲは、「二枚目が付ける」。
 顔全体を覆うもしゃもしゃおっさんヒゲは、「美形役ではない、荒くれ者や中年男が付ける」。
 明文化されているわけじゃないが、概ねパターン化されている。演じているのが若くきれいな女の子ばかりなんだ、形式を守ることで区別するのは基本だろう。
 くわえて、純粋な見た目の問題。路線スターは、たとえおっさん役であっても少女マンガ的なヒゲしか付けない。観客は女性だから、たとえ荒くれ者設定であっても、女性が引くような体毛は表現しない。
 だから、この前の『リンカーン』でトドがもしゃもしゃおっさんヒゲを付けることが話題になった。「タカラヅカらしくない」からだ。
 タカラヅカの男役はヒゲを付ける。それが当然になっていても、付けるヒゲのタイプによっては、まだ物議を醸す。

 そんなタカラヅカで、何故か2番手役のロルテスが、「もしゃもしゃおっさんヒゲ」だった。
 タカラヅカのお約束的に、かなり異端な造形。
 おっさんでワイルドなキャラクタを表しているのかと思った。

 ……ら、なんと、若い青年、信長@まさおから見るとガキんちょらしい。
 えええ。
 おめめキラキラ、ヒゲを付けた少女のような信長と、むさくるしいヒゲ男、少女が中年オヤジでヒゲ男がぴちぴち?! なんなのその無駄に難しい設定!

 若者設定なら、何故おっさんヒゲ?

 「当時の風俗をリアルに再現したのです」は通用しない、帰蝶@ちゃぴが宇宙人みたいな衣装で長刀振り回してる世界観なんだから。

 たまきちが「もっとも美しく、かっこよく見える」ために、あえてこのヒゲなのだ! というなら、納得する。ここはタカラヅカだ、2番手で、数ヶ月後にはトップスターになる若者を「もっとも美しく、かっこよく見える」ように盛り上げるのは座付き作家の使命だ。
 だがしかし。
 もしゃもしゃおっさんヒゲは、はたしてたまきちを「もっとも美しく、かっこよく」見せたか……?

 たまきちの垢抜けなさやむさくるしさを、強調する結果になってないか……?
 たまきちの魅力である、男っぽさを出すためにやったんだろうか? しかし、「ガイジンさんで、こんな人いそう」「体毛濃くてもしゃもしゃなんだろうね」というあたりのリアリティは、たまきちの魅力を上げるのに必要だろうか?
 タカラヅカでこのテのヒゲを付けるのはオヤジか不細工とカテゴリ分けされるもんなのに、あえて敢行する意味はナニ?

 ふつーにヒゲなしか、あるいはイケメンヒゲでよかったんじゃないの?
 ひとりだけ洋装で、ガタイの良さを見せつけてくれてるんだしさ。

 たまきちのためのビジュアルかと思ったら、新公であちくんも同じヒゲ姿で、「ロルテス自体がこのビジュアル固定なんだ」とわかった。
 ロルテスを「タカラヅカらしい美形」に、何故しなかったんだろう。
 ロック・ミュージカル『NOBUNAGA<信長>』に、オスカル様みたいな茶髪ロン毛の耽美青年が出て来ても、「タカラヅカだもんねえ」で済むのに。(たまきちにオスカル風を期待するわけではない、念のため)

 2番手のビジュアル落として、いったいナニにこだわったんだろう、大野くん。


 ええと、世の中的にたまきちロルテスが「タカラヅカらしい美貌!!」「ヒゲがセクシー、野望あふれる若者に見える!」だったりするなら、すみません。
 そうだとしても、今よりもっと「タカラヅカらしい美貌!!」に出来たと思うので、今のビジュアルには疑問です。

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