わたしがこの『アイラブアインシュタイン』を観て、初お目見えの新人演出家の谷貴矢先生に対して抱いた、いちばん端的な、最大の感想は。

 バカなの?

 ……だった。

 すんません、自分もバカなくせに、ナニ言ってんだか。でも、バカだからひとさまをバカだと思わないわけもなく、いやひとさまをバカだと思うこと自体がバカの証明、アタマいい人はひとさまにそんなこと言いません……って、めんどくさいなヲイ、とにかく、自分のことは棚上げして、シンプルにそう思ったのよ。

 「アンドロイドに感情はあるのか?」というテーマだったり、「アンドロイドと人間の対立」だったり、「アンドロイドの軍事利用」だったり、「アンドロイドは冷酷」だったり、道具と社会的弱者の混同とダブスタだったり、いちいちいちいち、アタマ悪いとしか思えないことばかりしている作者。

 でも、それらすらぶっ飛ばす、最大の間違いが、2幕で披露される。


 えー、『アイラブアインシュタイン』は、アンドロイドを取り扱った物語です。
 タカラヅカでアンドロイドを扱うなんて! という、新人作家らしいモチーフで、新風を期待させました。

 だからわたしも、アンドロイド物だと思って観ていました。
 アンドロイドの描き方が破綻しまくっていて目眩がしたけど、それでもアンドロイド物だと信じていました。

 1幕ラストに、主人公が実はアンドロイドだった! と告げられ、「おおっ、すげーな!」と思いました。この大どんでん返しをやりたくて、あえてアンドロイド物だったんだ! と、思いました。

 しかし。

 new谷せんせは、「アンドロイド」がナニかを、知らない??

 ここまで、アンドロイドアンドロイド言っておいて。
 「アンドロイド」を知らない。

 主人公アルバート@あきらは、人間ではなかった。
 彼は、トーマス@マイティーによって作られた、アンドロイドだったのだ!

 アンドロイドは感情を持たない。でも、アンドロイド・アルバートには、感情もアルバートとしての記憶もある。何故か。
「死んだアルバート博士の脳を移植したからだ」

 ソレ、「アンドロイド」チガウやん!!

 アンドロイドとは、人造人間のことだ。ロボットのことだ。
 中身(脳)が人間ならばそれは、ロボットではない。

 ソレは、「サイボーグ」だ。

 サイボーグは、もとは人間であったモノを、機械化したもの。
 脳だけオリジナルで、あとは全部機械、とかもあり。

 今までずーっと「アンドロイドに感情はあるのか」とやってきておいて、全否定。

 アルバートとエルザ@みれいちゃんにだけ感情があるのは、それぞれ死んだ人間を移植したから。

 つまり、アンドロイドに感情はない、ということになる。

 さんざん「エルザはふつうのアンドロイドとチガウ」ってやっておいて、「アンドロイドではなく、サイボーグだからです」って。
 そして、感情を持ち愛を知るアルバートもまた、サイボーグ。

 アンドロイド関係ないやん。

 感情はないとされたアンドロイドたちが、結局感情を持つように描かれるのだが、それはアルバートともエルザとも無関係だ。だって彼らはサイボーグ、アンドロイドたちがどう変化しようと別次元。

 なのに、すべてが混同して描かれる。
 ダブルスタンダードだらけ。
 作者都合にあわせて動物になったり鳥になったり、おいしいとこ取りのコウモリ行動のみで展開する物語。

 この作者、バカなの??
 ちょっと類を見ない混迷ぶり。

 物語を読んだりしないのかしら?
 おかしいところだらけで、目眩がする。
 誰かプロット段階で添削してあげないの? おかしいって指摘してあげないの?

 アンドロイドというSF用語さえ使えばなにやってもいいと思ってる?


 あー、こーゆーこと書くと、「アンドロイド」と「サイボーグ」の定義論に発展します? 法律があるでなし、全人類が納得する明確な定義はないのでしょう。
 「人間の脳を移植してもアンドロイドだ」とnew谷先生は思っていて、それを間違いだと決めつけるわたしが間違っているのかも。

 だとしても、「人間の脳を移植したアンドロイド」と「ただの人型機械」を同じ俎上で「感情はあるのか」と語る物語には「アホか」と言わしてもらいます。

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