すべてが謎に包まれた『アイラブアインシュタイン』

 テーマも設定もわけわかんないんだけど、その上、物語の流れっちゅーか構成もおかしいの。

 この物語はたぶん、1幕ラストの「アルバート@あきらはアンドロイド」だという爆弾を派手にぶち上げることを基軸として、構成されている。
 この「引き」はいい。エンタメはこれくらい派手にやるべきだ。

 ただ、1幕ラストで大どんでん返しをやるために、容量配分が難しくなってくる。
 起承転結の「起」だけで1幕、「承・転・結」を全部2幕でやるはめになる。

 アルバートがアンドロイドだった、ということが物語の最終回答になるなら、1幕で「起・承・転1」とやって2幕で「転2・結」にできるけど。
 アルバートがアンドロイドだった、ということがわかったあとで、さらに話が進む・むしろここからスタートする、作りだよね?
 なのに、尺は2幕(しかもフィナーレ分、時間が短い)しかない。

 コレって相当大変なこと。

 なのに、だ。
 その貴重な尺を使って、どーでもいい情報をだらだら見せられる。

 1幕の「起」で描かれているのは、現在の社会情勢、アルバートやトーマス@マイティーなどキャラクタ紹介、悪役たちの主張。アルバートとエルザ@みれいちゃんが出会い、心が近づく様。
 説明が主で、物語自体は進んでない。
 まあ、バウホールの1幕なんて大抵そんなもんだ。
 その説明の一環でもある、1幕ラストの爆弾「アルバートはアンドロイド」。

 さあこれで、事前解説は終わった。ここから物語がはじまる、本編がはじまる……!
 はずの、2幕。

 なのに、何故かえんえん、アルバートとミレーヴァ@べーちゃんの昔話。

 えーと。
 今ソレ、必要……?

 や、ちょっとだけ描いてくれる分にはいい。言葉で解説するだけでなく、実際にふたりがラブラブしているところを見せてくれるのはいい。
 ただ、長い。
 全10話の連続ドラマなら過去回があってもいいけど、120分(フィナーレ込み)の短編で、ナニやってんだ? 「こんなふたりでした」というだけなら数行で済む内容を、何十ページかけて解説するの……?

 それでも、これからはじまる「本編」に必要な情報があるんだと思って、長い長い過去話を眺めていた。
 ……けど、肝心なことはスルーされた。

 えええ。

 必要なのは、「ふつうの男女のラブストーリー、しあわせいちゃいちゃ→夫婦にはすれ違うこともある→でも愛してるんだよ」とかいう、ふつーのカップル話ではなくて。

 何故、肝心な「事故」が語られてないんだ?

 アルバートをかばってミレーヴァが死に、アルバート慟哭、憑かれたように研究没頭、その後壮絶な最期……を描くべきじゃ?
 肝心なとこを描かずにだらだら時間だけ取って。
 そこがないと、トーマスが何故偽アルバートを作ったか説得力ない。

 アルバートの罪はナニ?
 アンドロイドなんてもんを作ろうとしたこと?
 ミレーヴァを死なせてしまったこと?

 アルバートの最大の罪は、自殺したことじゃないの?

 トーマスが許せなかったのはソコじゃなかったの? ミレーヴァを事故死させたことより、その死から逃げたこと。

 でなければ、アルバートの脳を移植して「死んだ人間を甦らせる」ことをしないだろう、トーマス。甦らせた偽アルバート相手に、友だちの振りして生活しないだろう。

 記憶を取り戻したアルバートも、トーマスも、そこをスルーしてるのが理解できない。
 それよりもアンドロイド研究が大事?
 や、人間の脳と心臓を移植して作ってる段階で、アンドロイド計画はブレている。
 人間の臓器を移植しないと心は得られないってことじゃん? 答え出てるじゃん、自分たちで。


 ほんとに、心から、「何故、アルバートをアンドロイドにしなければならなかったのか」がわからないの。わたしには。
 物語としての、必要性が、わからないの。
 てゆーか「不要」だと思う……このストーリーラインに。
 ただ「1幕ラストでびっくりさせたかった」以上のモノを感じない。

 わかんないけど、そういうことになっているから、そのまま話を進める。

 1幕で状況説明とキャラ紹介やって、2幕でえんえん回想編やって。
 それでようやく、「すべての説明が終わった」ところから、本編がはじまる。
 アンドロイドの人権問題(ダブスタ)と、軍事利用しようとする悪の組織との対決だ。

 これがもー、ひっどい内容で。
 ここまでかけてえんえん説明された「アンドロイドとこの世界」と整合しない、破綻しまくった内容なの。

 つづく。

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