『私立探偵ケイレブ・ハント』にする。@私立探偵ケイレブ・ハント
2016年11月9日 タカラヅカ 私立探偵である意味がまったくない『私立探偵ケイレブ・ハント』、どうしてこうなった。
11月6日(http://koala.diarynote.jp/201709261659301745/)からの続き。
わたしならどうするか。
答えはシンプル。
探偵が探偵する話にする、『私立探偵ケイレブ・ハント』。
メキシコ人夫婦の「娘の捜索依頼」を「探偵の仕事として」受ける。
たとえ依頼人がその直後事故死しても、「受けてしまった仕事だから」と投げ出すことはしない。
だって俺は「探偵」だから。
恋人のイヴォンヌが「探偵と付き合うこと」に迷いを持っていても、仕方ない。探偵をやめる気はない。
相手がマフィアだとわかっても、逃げ出さない。一旦受けた仕事はやり遂げる。命を懸けることになっても仕方ない。
仕事ってそういうもんだろ。軍人だって刑事だって、同じように仕事してる。医者だってパイロットだって役者だって、ときにはいろんなものを懸けて犠牲にして、それでも仕事を全うするだろ。
俺は探偵だから、探偵するよ。
……という、タイトルに嘘偽りナイ物語にする。
でも、「いくら仕事だって命まで懸けるのおかしい」と思う層を納得させるために、「心」の部分でも「命を懸ける理由」を作る。
男を動かす手っ取り早い理由は、「女の涙」だ。
てことで、「死んだアデルの友人ハリエットは、実はイヴォンヌの親友だった」という設定を投入。
せっかくの誕生日、待ち合わせに遅れてレストランへ行ったケイレブは、イヴォンヌよりもハリエットに責められる。こんな日にイヴォンヌを待ちぼうけさせるなんて、と。元女優志望で今はメイクアップの勉強中のハリエットは、この店でアルバイトしていた。
ハリエットという存在、イヴォンヌとの関係をしっかり打ち出して、あとは本編通りのケイレブとイヴォンヌのデートへ。
ケイレブは本編と同じタイミングで、アデルの部屋でハリエットと鉢合わせる。
ハリエットが「荒らされた友だちの部屋にいる知らない男」をそのまま信じ、なんでもかんでもぺらぺら喋る、という本編の不自然さはこれで解消。ハリエットが喋ったのは、ケイレブと知り合いだったからだ。
昨日きつい言い方をしてごめんなさい、とハリエット。彼女がびりびりしていたのは、アデルの死で傷ついていたからだったんだ。
でもせっかく誕生日でデートを楽しみにしているイヴォンヌに、あそこで言うべきではないから、自分の哀しみは言わなかった。
イヴォンヌは友だちだからとか、あの子には幸せになって欲しいとか、だから泣かせたら許さないとか、死んでしまった友だちの部屋で拳を握りながらぽつぽつ喋るハリエット。死んだ友だちの大切にしていた花を助けるためにやってきたハリエット。
ハリエットがいい子だと、ケイレブにも観客にも示す。
コレ大事。
イヴォンヌ自身はアデルに会ったことがない。だから、アデル事故死時に同じスタジオにいたけれど、ぴんときていなかった。翌日になってハリエットから「アデルとは友だちだった」と聞かされて驚く。
ケイレブがアデルの事件を調べているとハリエットから聞かされるけれど、それがマクシミリアンと関係しているとは思っていないから、マクシミリアンの仕事を受けて彼の屋敷へ出入りしている。
本編通りにマクシミリアン邸でケイレブと会い、彼に半ば強引に連れ出されたイヴォンヌは、そこでマクシミリアンがマフィアだとケイレブに聞かされるが、信じない。それどころか、ケイレブと微妙な空気になる。
その後、本編通りハリエットが誰かに連れ出されたと知ったケイレブは、まずイヴォンヌにハリエットのことを尋ねる。下宿屋の管理人が言うように彼氏と出かけたのかどうか、確認しなきゃ。
ハリエットにそんな彼氏はいない、やはり彼女は誘拐されたのだ、とケイレブは結論づけるけれど、イヴォンヌは半信半疑。
直接マクシミリアンに、ナニかの誤解だ話せばわかると会いに行き、「ハリエットを返して」と直談判し……ケイレブの言っていたことが本当だと知る。
マクシミリアンはとぼけるし、ケイレブが止めて力尽くでイヴォンヌを連れ帰るが、彼女は収まらない。
「ハリエットを助けて!」
そして、本編のホテルの場面へつなげる。マクシミリアンに楯突いたからには、もう自宅へは帰せない、危険だ、ってことでホテルへ避難。
激情のままにハリエットを助けてと泣きついたものの、それはつまりケイレブにマフィアと戦えと言っているわけで、そんな危険なことはしてほしくないと、イヴォンヌの心は乱れる。
そんな彼女の苦しみごと、ケイレブは全部背負って、戦いへ赴く。
ケイレブの仲間は刑事ホレイショーとその相棒ライアンのみ。「ケイレブ・ハント探偵社」はケイレブひとりで立ち上げた探偵社だ。ただし、事務員だの秘書だの使い走りだのはいる、明るくにぎやかな事務所だ。
ケイレブはホレイショーとライアンと3人でマクシミリアン邸のパーティへ乗り込む。
アデルの死の真相を突き止めることは、死んだ依頼人へ仁義を通すことだ。探偵としての矜持だ。
そして、イヴォンヌの親友を助けることは、彼女への愛ゆえだ。
さらに、ハリエット自身もいい子だ。見殺しになんて出来ない。
3つの理由をわかりやすく背負って、探偵ケイレブは歩き出す。前へ。
これくらい理由があれば、マフィアと正面衝突するのもわかるんだけどなあ。
だって、『私立探偵ケイレブ・ハント』だし。
探偵として生き、ひとりの男としてイヴォンヌを愛している、のだから。
でもマサツカせんせは、逆に考えるのかもしれない。
探偵だから探偵するのは不純だ。依頼されたから動くのは不純だ。
恋人の頼みだから助けるのは不純だ。
いい子だから見殺しに出来ないなんて不純だ。
職業なんか関係なく、仕事でもなく、誰かに頼まれたのでもなく、赤の他人のために、なんの思い入れもない知らない誰かを助けるために、命を懸ける。
これこそが、もっと尊い、かっこいい行いだ。
それこそが、描きたかったケイレブ・ハントという男だ。
……って。
まあそういうのも、わかるけど。
でもわたしは、「行動」に「理由」を作りたい。
対外的な理由と、心の理由と。
そしてなにより、タイトルを大切にしたい。
『私立探偵ケイレブ・ハント』なんだから、彼は「探偵」であるべきだ。
11月6日(http://koala.diarynote.jp/201709261659301745/)からの続き。
わたしならどうするか。
答えはシンプル。
探偵が探偵する話にする、『私立探偵ケイレブ・ハント』。
メキシコ人夫婦の「娘の捜索依頼」を「探偵の仕事として」受ける。
たとえ依頼人がその直後事故死しても、「受けてしまった仕事だから」と投げ出すことはしない。
だって俺は「探偵」だから。
恋人のイヴォンヌが「探偵と付き合うこと」に迷いを持っていても、仕方ない。探偵をやめる気はない。
相手がマフィアだとわかっても、逃げ出さない。一旦受けた仕事はやり遂げる。命を懸けることになっても仕方ない。
仕事ってそういうもんだろ。軍人だって刑事だって、同じように仕事してる。医者だってパイロットだって役者だって、ときにはいろんなものを懸けて犠牲にして、それでも仕事を全うするだろ。
俺は探偵だから、探偵するよ。
……という、タイトルに嘘偽りナイ物語にする。
でも、「いくら仕事だって命まで懸けるのおかしい」と思う層を納得させるために、「心」の部分でも「命を懸ける理由」を作る。
男を動かす手っ取り早い理由は、「女の涙」だ。
てことで、「死んだアデルの友人ハリエットは、実はイヴォンヌの親友だった」という設定を投入。
せっかくの誕生日、待ち合わせに遅れてレストランへ行ったケイレブは、イヴォンヌよりもハリエットに責められる。こんな日にイヴォンヌを待ちぼうけさせるなんて、と。元女優志望で今はメイクアップの勉強中のハリエットは、この店でアルバイトしていた。
ハリエットという存在、イヴォンヌとの関係をしっかり打ち出して、あとは本編通りのケイレブとイヴォンヌのデートへ。
ケイレブは本編と同じタイミングで、アデルの部屋でハリエットと鉢合わせる。
ハリエットが「荒らされた友だちの部屋にいる知らない男」をそのまま信じ、なんでもかんでもぺらぺら喋る、という本編の不自然さはこれで解消。ハリエットが喋ったのは、ケイレブと知り合いだったからだ。
昨日きつい言い方をしてごめんなさい、とハリエット。彼女がびりびりしていたのは、アデルの死で傷ついていたからだったんだ。
でもせっかく誕生日でデートを楽しみにしているイヴォンヌに、あそこで言うべきではないから、自分の哀しみは言わなかった。
イヴォンヌは友だちだからとか、あの子には幸せになって欲しいとか、だから泣かせたら許さないとか、死んでしまった友だちの部屋で拳を握りながらぽつぽつ喋るハリエット。死んだ友だちの大切にしていた花を助けるためにやってきたハリエット。
ハリエットがいい子だと、ケイレブにも観客にも示す。
コレ大事。
イヴォンヌ自身はアデルに会ったことがない。だから、アデル事故死時に同じスタジオにいたけれど、ぴんときていなかった。翌日になってハリエットから「アデルとは友だちだった」と聞かされて驚く。
ケイレブがアデルの事件を調べているとハリエットから聞かされるけれど、それがマクシミリアンと関係しているとは思っていないから、マクシミリアンの仕事を受けて彼の屋敷へ出入りしている。
本編通りにマクシミリアン邸でケイレブと会い、彼に半ば強引に連れ出されたイヴォンヌは、そこでマクシミリアンがマフィアだとケイレブに聞かされるが、信じない。それどころか、ケイレブと微妙な空気になる。
その後、本編通りハリエットが誰かに連れ出されたと知ったケイレブは、まずイヴォンヌにハリエットのことを尋ねる。下宿屋の管理人が言うように彼氏と出かけたのかどうか、確認しなきゃ。
ハリエットにそんな彼氏はいない、やはり彼女は誘拐されたのだ、とケイレブは結論づけるけれど、イヴォンヌは半信半疑。
直接マクシミリアンに、ナニかの誤解だ話せばわかると会いに行き、「ハリエットを返して」と直談判し……ケイレブの言っていたことが本当だと知る。
マクシミリアンはとぼけるし、ケイレブが止めて力尽くでイヴォンヌを連れ帰るが、彼女は収まらない。
「ハリエットを助けて!」
そして、本編のホテルの場面へつなげる。マクシミリアンに楯突いたからには、もう自宅へは帰せない、危険だ、ってことでホテルへ避難。
激情のままにハリエットを助けてと泣きついたものの、それはつまりケイレブにマフィアと戦えと言っているわけで、そんな危険なことはしてほしくないと、イヴォンヌの心は乱れる。
そんな彼女の苦しみごと、ケイレブは全部背負って、戦いへ赴く。
ケイレブの仲間は刑事ホレイショーとその相棒ライアンのみ。「ケイレブ・ハント探偵社」はケイレブひとりで立ち上げた探偵社だ。ただし、事務員だの秘書だの使い走りだのはいる、明るくにぎやかな事務所だ。
ケイレブはホレイショーとライアンと3人でマクシミリアン邸のパーティへ乗り込む。
アデルの死の真相を突き止めることは、死んだ依頼人へ仁義を通すことだ。探偵としての矜持だ。
そして、イヴォンヌの親友を助けることは、彼女への愛ゆえだ。
さらに、ハリエット自身もいい子だ。見殺しになんて出来ない。
3つの理由をわかりやすく背負って、探偵ケイレブは歩き出す。前へ。
これくらい理由があれば、マフィアと正面衝突するのもわかるんだけどなあ。
だって、『私立探偵ケイレブ・ハント』だし。
探偵として生き、ひとりの男としてイヴォンヌを愛している、のだから。
でもマサツカせんせは、逆に考えるのかもしれない。
探偵だから探偵するのは不純だ。依頼されたから動くのは不純だ。
恋人の頼みだから助けるのは不純だ。
いい子だから見殺しに出来ないなんて不純だ。
職業なんか関係なく、仕事でもなく、誰かに頼まれたのでもなく、赤の他人のために、なんの思い入れもない知らない誰かを助けるために、命を懸ける。
これこそが、もっと尊い、かっこいい行いだ。
それこそが、描きたかったケイレブ・ハントという男だ。
……って。
まあそういうのも、わかるけど。
でもわたしは、「行動」に「理由」を作りたい。
対外的な理由と、心の理由と。
そしてなにより、タイトルを大切にしたい。
『私立探偵ケイレブ・ハント』なんだから、彼は「探偵」であるべきだ。
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