『金色の砂漠』面白かった。

 「王族には異性の奴隷を付ける」という設定がどうしても「そんなことあるかーい!」と受け入れられないことを除けば、好きなプロットだ。
 ……だからほんと、この同人誌的な設定が惜しい。

 同人誌は萌え優先だから、トンデモ設定なんでもアリなの。今流行りの「〇〇しないと出られない部屋」とか、ストーリー組み立てる必要なく、萌えな場面だけ書ければいい、ってことで、トンデモ設定ぶち込むけど、プロがそれやっちゃうのはどうかと思う。
 あれ? 「〇〇しないと出られない部屋」って説明必要か?

 たとえば、『エリザベート』の1幕時点で、まぁ様トートと、みりおんシシィのラブシーンが観たい、と思っても、あの時点のふたりでソレはないよね。
 そういうときに「恋人のようにラブラブにキスしないと出られない部屋」に、ふたりを閉じ込める。
 どんな部屋だよ?というツッコミはナシ。そういう設定なの。
 どうやっても出られない、出るための方法はひとつだけ……となると、さあ、どうする? トートは「カモーン!!」だけど、シシィは「ふざけんな!」だよね、だけど内心は彼に惹かれているわけで、絶対嫌だけど、でも今はこれしか方法がないんだからしょうがなく……という体で、しても、いい、か、な……?
 てな、純粋に「見たい場面だけ」書ける、便利ツール。
 同じ部屋に、「りくエルマーと、ずんシュテファン」を閉じ込めた場合とか、「あっきールドルフと、りくエルマー」を閉じ込めた場合とか……考え出すと止まらなくなるくらい、楽しいぞ(笑)。

 王女に男の奴隷を付ける、という設定が、この「〇〇しないと出られない部屋」と同様の同人設定に思えるの。
 ありえないけど、萌え場面を描くために必要だから、とにかくそういうことにしました、ツッコミ不要、としているのが。


 他にナニか、いい設定はなかったのかなあ。
 観ながら、ソレに気を取られちゃった。面白い話だから、設定の荒さが気になる……。


 そして、『星逢一夜』をサルのようにリピートした者としては、進化してる!! と、『星逢一夜』より良い点を数え上げるのに忙しかった(笑)。

 第一に。
 役が多い。

 すごいすごい、3人いれば事足りる、3番手ですら「村人その1」だった『星逢一夜』とぜんぜんチガウ!!
 と、感動。

 主役カップルと当て馬男、2番手カップルと当て馬男、王様と王妃、と、愛憎だけでこんだけ描ける、登場人物がいる。
 『星逢一夜』の3倍くらい役があるよ……いきなり3倍か、ウエクミすげー進化してるんだなあ。1作ごと進化するってすごいなああ。

 第二に。
 やっぱり「最後はナニも成し遂げずに逃げ出す」主人公なんだけど、その理由が『星逢一夜』より納得出来る。
 愛のためにすべて投げ出すのは、タカラヅカなんだからアリだ。わたし的に。
 「ただ自分がこれ以上傷つきたくないから、すべて捨てて逃げる」晴興@『星逢一夜』主人公に、めっちゃ疑問持ってたから。

 第三に。
 画面がきれい。
 王宮は良いですな。なんちゃってアラブもの、異世界モノはいいですな。
 王子様にお姫様、いいですな。奴隷役でもきれいなお衣装、いいですな。
 びんぼーな農民しか出てこない作品は、やっぱ観てて寂しい……。どんなに栄養があっておいしくても、茶色いおかずばっかのお弁当より、カラフルキラキラ夢いっぱいのキャラ弁がいい……。

 第四に。
 舞台機構の使い方が、ドラマチック。
 セットが良く動くわー。多彩だわー。『星逢一夜』って平面的だったよなああ。


 役が多い=ドラマが多層、大劇場ならではの画面、主人公の行動がセーフ。
 ……ということで、うらやましい限りです。

 や、それでも好きだけどね。『星逢一夜』。
 隣の芝生は青いのさ(笑)。

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