『私立探偵ケイレブ・ハント』を作り直してみる、その2。
 ストーリーラインはそのままで、ケイレブに探偵させて、命を懸けるだけの理由(恋人の親友を助ける)を加えて。
 その上で、本編ではまったく描かれていなかった「真の敵」側を描く。
 http://koala.diarynote.jp/201709281248092543/ からの続き。


 ケイレブ@ちぎとナイジェル@だいもん。
「あの戦争」で命を預け合ったふたりの男。
 ケイレブはコーヒーメーカーの買い換えでぎゃーすか揉める事務所の仲間に振り回されたり、友人のホレイショー@翔と情報交換したり一緒に捜査したり、恋人のイヴォンヌ@みゆといちゃいちゃしたり、ケンカしたりしている。
 ケイレブはいつも、誰かと共に。
 そして、誰かのために、奔走している。
 ナイジェルはいつもひとり。マフィアのボス@咲に話しかけられたり、命令されたりしているけれど、「会話」はしていない。
 マサツカあるあるの、陰鬱なひとりごとソングを歌ってみたり。
 誰のためでも、自分のためでもなく……ただ、生きている。

 マクシミリアン@れいことの対決の前の、「雑踏を歩きながら登場人物たちがそれぞれ思いを歌う」マサツカのお約束はそのまま。
 ジムとカズノがいないから、その代わりにナイジェルとボスのソロが入る。

 ケイレブは、ナイジェルを友だと思っている。
 ナイジェルも、ケイレブを嫌ってはいないはずだ。
 だが、ふたりは今や、敵同士だ。

 ケイレブはマクシミリアンを倒すためにパーティへ乗り込む。
 ナイジェルもまた、ボスに連れられパーティへ向かう。会場へは足を踏み入れず、スナイパーである彼は、ボートの上から獲物を狙う。

 ケイレブVSマクシミリアンは本編そのままで。
 マクシミリアンが本性を現した瞬間射殺される、のも同じでいい。
 ただ、ここでケイレブがナニもしないのは主人公としてどうよ。だから、彼は咄嗟に動く。「この銃弾の角度は……海から?!」混乱する人々のなか、ケイレブだけが冷静に思考をめぐらせている。元兵士ゆえに。
 確実にマクシミリアンとその部下だけを狙った銃弾。その腕の確かさに、彼はある人物を思い描く。
 そして、まっすぐにスナイパーがいるだろう方向へ向き直る。
「ナイジェル……?」
 ライトが落ちて、舞台は闇に沈んでいく。ただひとり、ケイレブを残して。
 そのケイレブに、ターゲットスコープのカタチをしたライトが当たる。最初は大きく、だんだん小さく、心臓を狙うように。
 暗転と共に、銃声のエフェクト入れるくらいのあざとさがあっていいよね(笑)。

 さらにあざとく、イヴォンヌに歌ってもらう。
 対決前の「雑踏ソング」のリフレイン。

 えっ、ケイレブ死んじゃったの?! ナイジェル、本当に友だちを撃ったの……?!
 と、思わせておいて。

 そこから、フレンチレストランでのデートへ、本編通り。平和でラヴラヴ、なーんだ、やっぱりケイレブ生きてんじゃん! じゃああの銃声は? 答えは、お礼のワインで察して。
 「レストランのオーナーから、お礼です」とケイレブにワインが手渡される。そのワインを渡すのが、ボス自身。自分がその「レストランのオーナー」だとは明かさずに。
 ケイレブたちが去って行くときに、レストランのマネージャー@朝風くんが「オーナー、どうして……?」と問いかけることで、ボスがその「レストランのオーナー」だと観客にわからせる。ボスは「まあまあ」といなして笑っている。ケイレブのこと殺すつもりだったくせに、手のひら返したんだよ、彼のことが気に入って。
 ボスはクズだけど憎めない色男。

 探偵社場面はなしで、そのまま空港場面へ。
 ケイレブとナイジェルの素っ気ない会話もそのまま。あれってハリーのこだわり、男のロマン(笑)だと思うから。

 ボスから止められなかったら、ほんとにケイレブを撃っていたの? ケイレブを守るためにマクシミリアンを撃ったくらいだから、ケイレブを殺す気なんてなかったのよね?
 ナイジェルの真意は説明されないまま終わるのがポイント。
 そしてまた、ケイレブがなーんにも知らないままだというのも、ポイント。

 本編まんま、ケイレブとイヴォンヌのラヴラヴ銀橋デートで終わる。

 ちなみに、オープニングは「ありもしない映画の1場面」ではなく、マフィア抗争イメージで。
 ひたすらクールに踊るケイレブ。
 ボスもナイジェルも登場。マクシミリアンやその部下たちも。刑事ホレイショーとライアンも。
 全員オープニングのスーツで。衣装関係なく、本編での人間関係、立ち位置をダンスで表現。
 本編とリンクしている……んだけど、最終的には「映画の撮影ですよ」と逃げて、アデルの死へつなげていいから。

 マクシミリアンのパーティでは、ボスにノリノリで踊ってもらいましょう。招待客ですから。
 マクシミリアンと火花散らしつつも、表面上はにこやかに。
 そして、ポーリーン@くらっちを口説いてもらおう。カズノとポーリーンがカップル期待、という感じだったから、役が変わってもそこは同じ。
 ケイレブがマクシミリアンを脅しているときとか、ポーリーンを口説いていちゃつきつつ、様子をうかがっている。

 がおちゃんは、探偵事務所に出入りしている情報屋とかで登場かな。なにしろケイレブの個人事務所だから、情報屋必要。

・探偵ケイレブ・ハントに、探偵をさせる。
・役の比重と番手の整理。
・イヴォンヌとの恋愛パートは全部そのまま。
・ケイレブが事件を追う理由、命を懸ける理由を明示。
・ふたつのマフィアとケイレブという三つ巴構造。
・ナイジェルと対比させることで、ケイレブの魅力を描く。

 ……こんな感じかな。

 要するにだいもんの役が気に入らないだけでしょ、と思う人もいるかもしんないけど。
 たしかに、「いなくてもいい役」しかだいもんにやらせないことには不満があるけど。
 それだけだったら、ここまでは思わない。
 役者が誰であれ、「物語が必要とするモノ」を、作者が正しく構築出来ていないことが、不快なの。ボタンがずれたまま外出してる人を見る感じ? スカートのファスナー全開で歩いている人を見ちゃった感じ? うわ、失敗してますよ、直して直して! 口を出さずにいられない。

 物語をかみ砕いて再構築する、アタマの体操は楽しいし。

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