『金色の砂漠』の主人公ギィ@みりおくんには、あまり興味がわかない。
 いいキャラだと思うし、みりおくん自身は美しくてこの難しい役を説得力を持って演じきっていて素晴らしいと思う……けど、このキャラはわたしの好みじゃないんだよなあ。

 タルハーミネ@かのちゃんは面白いキャラだと思うし、彼女のことはもっと突き詰めて考えてみたいと思うけれど。
 ギィはなあ。

 なんでこんなにギィに興味ないんだろう?
 わたし、間違ったキャラとか歪んだキャラ、大好物なのに。

 実際、ジャハンギール@ちなつは大好きだ。子どもを人質にとって女をモノにするようなひどい男なのに。
 自分を裏切った女の国に攻め込んで、力尽くで女を手に入れる、ギィもステキなこじらせっぷりなのに。

 と考え、あー、そうだ、この復讐が好みじゃないんだよなあ、と思い至る。

 フィクションにおける「復讐」は良いネタだと思っている。
 わくわくするじゃないですか、復讐。
 「なんでもいいから小説が読みたい」って書棚を眺めて、『ミミ・クインの復讐』というタイトルだけで「あら、面白そう」と手に取るくらい、「復讐」って萌え単語だわ(笑)。
 (あ、『ミミ・クインの復讐』はふつうに面白かったです。やっぱ女は競ってこそ華!よねえ)

 だから、親の仇とか悪者を成敗とかは別にいいのよ。や、主人公に義のない逆恨みでも別にイイ。
 わたしは物語に「正義」は求めない。聖人君子が心正しく生活する様なんか、別に見たくないもの。
 主人公は歪んでいても間違っていてもいい。

 だから、ギィの復讐が好みではないのは、「こいつ、なんもわかってねーのな」的ながっかり感があるためなのだわ。

 ギィがタルハーミネを愛した。
 タルハーミネもギィを愛し、奴隷の妻になる、共に逃げるとまで言った。
 ふたりで駆け落ちしようとし、力足らず失敗した。

 ここまではいい。

 ふつーなら、愛する男女は互いをかばい合い、自分の命と引き替えに恋人の命乞いをしたり、あるいはふたりで美しく心中したりするもんだ。
 だが、タルハーミネはふつうじゃなかった。
 ギィの命を差し出すことで、自分の命乞いをした。

 駆け落ち相手から、まさかの裏切り。かばうどころか、生贄にされるとか……!

 それでギィは復讐に燃える。あの女許すまじ。

 それはわかる。
 そりゃまーそーだろーよ。あの状態で見捨てられるとか、踏み台にされるとか、誰が思うよ?
 男のプライドずたずたですよ。カラダも心も痛いよ。

 そりゃそうだろうとは思うけど。
 でも。

 タルハーミネって、そもそもそういう女じゃん。

 あそこで「ギィを殺せ、でなければオマエを殺す」と言われ、素直に「愛のために死にます」と言う女じゃない。

 かかっているのが命だけだったら、彼女はおとなしく死を選んだだろう。タルハーミネは、誇りのために死ねる女だ。
 だが、天秤にかけられたのは、命ではなく、誇りだった。

 愛のためになら死ねる。
 だが、誇りを傷つけられて、死ぬことは出来ない。

 タルハーミネは、王女としての誇りを選んだ。

 奴隷ごときを愛した、とは、王女の矜持に懸けて、認められなかった。

 だから、ギィの死を選んだ。
 愛よりも自分の心よりも幸せよりも、誇りを選んだ。

 なんて苛烈な魂だ。


 なのにギィときたら。
 裏切られたから復讐する?
 ……ちぃせぇ男だな。


 翌日欄へ続く!

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