『CASANOVA』のチケットは全部で4回分確保済みだった。初日と中日と後半と千秋楽近くと。いっくん作品で花組なら、まんべんなく観て楽しめるだろうと。

 生田ファンだけど、『CASANOVA』はチガウわー、ということで、3回目のチケットは手放した。
 や、2回観たらおなかいっぱい、薄くて退屈、きれいで楽しいだけならもう十分。
 いっくんの本領はやっぱドシリアス、悲劇だよなあ、と再確認。澱んだモノの方が面白い。

 だけど楽近くにもう一度、みりお様ファンの友だちと一緒に観た。友だちとの観劇でなかったら、こっちのチケットも手放してたと思う。
 その友人も、「今回の作品はあんまり……。1回観てもういいかと思った」と言っていた。
 ので、ふたりそろって「連れがいるから観劇することにした」という後ろ向きな姿勢。

 が。

 楽しかった。

 2回観て「もういいか」と思ったのに、3回目観たら、2回目より楽しかった。
 友人も「つまんないと思ったのに、今日観たら面白かった!」と言っていたから、ふたりそろって「席に着く前と、帰るときの気分が手のひら返し」現象(笑)。
 幕間も帰り道も、多幸感できゃーきゃー盛り上がった。

 キャラクタひとりずつのかわいさが増しているというか、愛しくてたまらん。
 とくにダニエラ@べーちゃんとベアトリーチェ@仙名さん、コンデュルメル@カレーくんとロザリア@ちなっちゃん。
 かわいいーー! かわいいーー! かわいいーー!

 千秋楽は観られないし、東宝遠征もないし、映像も見ることはないので、仙名さんはじめ、退団者の舞台を観られる最後なんだと思うと余計うるうるした。


 まあそれと。
 これは前から気になっていたんだけど、黒い燕尾衣装のみりお様を見て、ベンヴォーリオ@まっつを思い出して仕方なくて、いろいろいろいろぐるぐるぐるぐるしたり。酒場の場面とか特になー。


 なんにせよ、2回だけで終わらせず、3回目観に行ってよかった。
 誘ってくれた友人に感謝ナリ。
2019年3月10日 梅芸月組『ON THE TOWN』一部の配役決定
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2019.03.10 月組 梅田芸術劇場メインホール公演『ON THE TOWN』一部の配役決定
主な配役

ゲイビー 珠城 りょう
アイヴィ・スミス 美園 さくら
オジー 鳳月 杏
チップ 暁 千星

※その他の配役は、決定次第ご案内いたします。
※鳳月杏は2019年4月29日付で月組へ組替え

 やっぱりれいこは出ないのか……。
 なんとなくそんな気はしていた。

 関西中心にゆるく全組観るヅカヲタなので、フォーラム公演は未見です。れいこが出るなら遠征するかー、と漠然と思っていたけど、出演しなかったのでスルーした。
 や、れいこがどうであれ、関西でやってくれたら絶対観るのに。
 と、思っていたので、今回は観ます。れいこが出てなくても!
 出なくても観るけど、やっぱ出ないのかー。そんな気はしてた。と、最初に戻る。

 やっぱ原田作品2番手かな。
 3回目……。
 このままいけば、れいこのトップお披露目公演が原田で、退団イベント公演が原田、とかになりそうでこわい……。や、れいこ様がトップになるかどうかわかりませんけども。
 『CASANOVA』を観て思ったことをつれづれ書く。


 「カサノヴァ」って難しい題材なのかなあ?

 『源氏物語』がロマンであるように、カサノヴァもタカラヅカ向きの題材だと思ったの。
 稀代の美男子が恋愛遍歴する物語、という点で。
 でも『CASANOVA』観ながら、「光源氏が許されてるのは、彼の心に真実の愛があるからだな」と思った。満たされぬ心を癒すために、乾いた人が水をむさぼるように、恋をしていく。ゲームのように見えても、その根底にソレがあるから、観客は彼に切なさを感じる。
 完全にゲームで女を抱くことだけを考えている男、ってのは……たとえ「真実の恋を知らないだけ」だとしても、うーん、ソレを「魅力」に昇華するのは難しいな。
 ゲームで女を落とすというと『仮面のロマネスク』のヴァルモンがいるけど、彼の場合も「真実の愛」が胸にあるわけだからな。また、悲劇に終わるから、彼の悪行も「観客は、無意識に因果応報を求める」という部分にマッチするし。

 太田せんせの『THE FICTION』では、カサノヴァの「真の恋人」=ヒロイン位置の女性が、カサノヴァのことを「この世でもっとも誠実な方」と評するのがポイントだった。
 ペテン師と罵られる不実の代名詞のような男に対し、ヒロインだけが「この世でもっとも誠実な方」と繰り返す。カサノヴァの所行をすべてを知った上で。
 だからこそカサノヴァは、彼女を救いにしていたのだろう。千人の女を抱いても、彼女を忘れられずにいたんだろう。
 ……そこをもっと掘り下げて創ったら、面白かったろうに。
 太田せんせのいちばんの関心は、トドロキに何十人もの役を演じさせることで、そのなかの「いちばんの売り」として、ガチの女役……「美しいヒロイン」姿を披露することだった。
 だから、クライマックスにドレス姿のトドロキが登場すること、芝居自体がそのための構成になっていて、ヒロインとの恋愛を掘り下げる気は皆無だった。

 生田せんせなら、もっと「心」を描いてくれるかなぁ。
 そう勝手に思っていた。
 心を描く技術があるかどうかはともかく、「描こう」と思う人だと、思っているので。

 いっくんが描いた心のあるキャラって、ベアトリーチェとコンデュルメルとその妻かぁ……カサノヴァは入らなかったかぁ……。
 この場合の心ってのは、「変化する心」のことね。
 物語ってのは大抵、スタート地点とゴール地点で、キャラクタの心情(立ち位置)が変わっているから。

 主人公であるカサノヴァは変わらない。
 彼が引っかき回したおかげで、主人公以外の人たちは変化している。

 『CASANOVA』観ながら、小柳タンの『ルパン三世』を思い出していた。
 よそ者のルパンが現れて、停滞しているアントワネットやカリオストロを引っかき回して変化させ、よそ者だから消えていく。ルパン自身はナニも変わらない。アントワネットとちょっと良い関係になるけど、ガチな恋はしない、だってルパンだから。そんな、本気の恋をさせたらまずい、原作のルパンにオリキャラの恋人は付けられない。
 長い長い『ルパン三世』という物語の中の、1短編。
 それと同じなんだよね。
 よそ者のカサノヴァが現れて、停滞しているベアトリーチェやコンデュルメルを引っかき回して変化させ、よそ者だから消えていく。カサノヴァ自身はナニも変わらない。ベアトリーチェとちょっと良い関係になるけど、ガチな恋はしない、だってカサノヴァだから。
 長い長い『CASANOVA』という物語の中の、1短編。

 なのにカサノヴァは「運命の恋」だと言ってるから、認識が追いつかない。
 ルパンの「ちょっと良い関係」程度に見える……。

 仙名さんが退団でなかったら、もっと別の物語が観られたのかな。
 いっそルパンにしちゃった方が、カサノヴァという男は「いい男」になったと思う。

 『Shakespeare』があんだけぶっ壊れていても、ラストなんとか「いい話」に持っていけたのは、主人公とヒロインが愛し合う夫婦だったからだ。
 これで、主人公が妻を裏切る理由が「女千人抱きました、人生には恋と冒険が必要」だったら無理、まとまらない。「仕事に没頭して家族ないがしろにしてました」「天才クリエイターゆえの苦悩で家族にまで心を砕けませんでした」だから、許されたんだよなあ。

 ルパンも千人抱いてるかもしんないけど、アントワネットに「嘘はついたけど騙すつもりはなかった」「ルパンでも大泥棒でもない、ただのひとり男だ」とか言って「運命の恋」へと話をもっていったら、気持ちの良いラストにはならなかったろう。

 やっぱ「カサノヴァ」って難しい題材か……。
 『CASANOVA』を観て思ったことをつれづれ書く。

 『CASANOVA』は罪なく他愛なく、しあわせな物語。
 だけど、わたしには物足りない。
 どうしてか。……を、考える。

 ストーリーが少ない。
 少なくても他に濃い部分があれば深みは出るけど、少ないだけで終わっている。
 そこがつまんない。

 平和な世界で平和な人たちがどたばたやって、流れ者のプレイボーイがひとりの女の子と恋愛して悪者をこらしめたけど、やっぱり世界は平和で人々も平和で、プレイボーイはそのまま旅に出て終わり。
 ……少ないわ、足りないわ。

 単純明快で、深刻な悲劇もなく、本当の悪人もひとりもいなくて、誰ひとり不幸にならないハッピーエンド。
 それはいい。それはステキ。
 そういう世界をあえて描くのは好き。悲劇も不幸も嫌。

 だけど。
 それなら、せめて、主人公には変化を描こう。

 物語のカタルシスは、「出来事(ストーリー)」だけにあるんじゃない。「心(主人公)」にもある。
 
 ストーリーが僅少で薄っぺらいなら、主人公の「心」に大きなドラマを!

 憎しみと復讐に生きてきた主人公が、ヒロインと出会い、はじめて恋を知り、世界を愛するようになるとか。
 型にはまって生きてきた主人公が、ヒロインや仲間たちとの出会いを通し、忘れていた夢を取り戻すとか。
 スタート地点とゴール地点とで、主人公の心に変化がある。
 その変化を出来事に絡めてどかんと盛り上げるのが、クライマックス。物理的な動きと精神的な変化をシンクロさせるからこそ、盛り上がる。

 ……でもカサノヴァさん、スタート地点もゴール地点も、おんなじよね……?

 『CASANOVA』は、「いーかげんなチャラ男が、はじめて人を愛し、生き方を変える」話だから、主人公が変化してるって?
 ええ~~? 変わりました、彼?
 真実の愛に目覚めて生き方を変えたなら、過去の自分の罪の重さを自覚するはずだけど、ソレないし。ちょろっと悩んでたけど、すぐに忘れて総督&ベアトリーチェ救出作戦(もともと無茶な冒険大好き)に入れ込んでたよね。

 結局カサノヴァは変わらず、「恋と冒険」を求め、自由を愛して生きるんだと思う。
 ベアトリーチェを愛したのは事実だろうけど、愛は彼の人生を変えるには至らなかった。
 いつかベアトリーチェの元に戻るとしても、その間数百人の女と関係持ってるんだろうなぁ。それでもしれぇっときれいな笑顔を見せるんだろう。
 「嘘はついても騙す気はない」そうだし。
 実際、愛を口にしても、貞節は誓ってないしな。
(賢いベアトリーチェはそういうところも含めて、愛を口にしていると思う)


 でも実際、カサノヴァは変わりようがないと思う。

 カサノヴァの情報が少なすぎるから。
 ペテン師だとか魔術を使うだとか抱いた女の数だとか、いろいろ語られてはいるし、口と頭がよく周り、度胸も気っ風も良く、恋愛抜きにしても多くの人に慕われていることは、描かれている。
 でも、どうしてそんな破天荒な人なのか、どうして女を取っかえ引っかえするプレイボーイなのかは、語られていない。
 もともとそういう人なんです。以上。

 千人の女を抱いたとして、それはすべて双方合意の遊びで、誰ひとり本気にはならず、傷ついた女も泣いた女もいない?
 だとしたらソレ、かえって「すげー可哀想な情けない男」じゃあ……? きれいでえっちうまいから遊ばれただけ、本気になる価値はない、ってことになるよ……?
 本気で愛されていたとしたら、いったい何人を不幸にしたの? 「人生には恋と冒険が必要だ」って笑って不幸を製造し続けていくの?

 ふつーに考えるとこわい。
 どっちの場合も。

 フィクションだから、ふつーに考えてはいけない?
 フィクションだからこそ、出来事(千人女を抱いた!)はふつーでなくても、心(千人から遊ばれて平気、不幸にして平気なメンタルって?)は、ふつーであってほしい。

 昔、愛した女がいた。愛してはいけない人だった。
 だからもう、誰も愛さない。あのひとでないのなら、女は誰でも同じだ。
 とか。
 失った愛する人の面影を求めて。
 とか。
 千人斬りの「理由付け」はいくらでも出来る。
 そして、そういう理由付けがあれば、そこを突いてひっくり返すことで、カタルシスを演出できる。

 でも、カサノヴァはチガウよね?
 ノリで千人抱いちゃいましたー、よね?
 数おぼえてるから、誰のことも忘れてないから、十把一絡げじゃないですよー。って、本人は不義理をしているつもりはなく、そのときの気持ちに正直に従っているだけ。恋はしても結婚は考えたことがない、責任は取らない。本気で人を愛したことがない。
 それはそれでアリだと思う。
 そういうふわふわしたイケメンだからこそ、恋をしちゃう女たちはいる。
 そして、そういう男が「真実の恋」に落ちるのは、たしかにドラマだと思う。

 けど、そのノリだけの軽い恋しかしてない男を「劇的に変化させる」って、難しい。
 黒を白にするとか、闇を聖にするとかは、創りやすい。
 でも、薄い水色を白に、とか、薄ぼんやりした霧の朝を曇り空の昼にすることで、カタルシス創るのって、難しいよ……。

 カサノヴァの設定が薄すぎて、劇的な変化!で盛り上げられないの。
 彼は変わらない。
 たぶん、彼の魅力は「薄いこと」にあるんだと思う。書き込みされてないから、なんの責任もない。コメディだからと罪のないハッピーストーリーだからと言及を逃れ、なんとなくいい感じにまとまる。それが許される「薄さ」。
 彼が突然深刻になっちゃったら、チガウだろうしね。

 だから盛り上がらないのは、自明の理。仕方ない。
 これは、そういう作りの作品だ。
 ストーリーも、そしてキャラクタも。

 楽しければいい。
 そうやって作られたのだから、それが正解なんだろう。
2019年3月7日 大劇場宙組『オーシャンズ11』集合日
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宙組 退団者のお知らせ
2019/03/07
下記の生徒の退団発表がありましたのでお知らせいたします。
宙組

純矢 ちとせ
澄輝 さやと
愛白 もあ
蒼羽 りく
風輝 駿
はる香 心
雪乃 かさり

2019年7月21日(宙組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団

 寂しくなるな……。

 愛ちゃんが専科異動したわけだし、宙組の中心付近ががらりと変わることになる。

 はじめて観た文化祭で、活躍していた小柄な男の子。日舞が得意で、歌ウマで。
 成績が良いから入団してからもわりと良い位置にいたけど、なにしろちっちゃいからショーとかで娘役させらたりしてたし、路線にはかすりもしなかった。脇だっだけど、若いのにヒゲつけたりしてがんばってた。
 それが突然娘役に転向して、バウヒロやって。新公ヒロインするのかと思いきや、そっちは回ってこなくて。実力派娘役として活躍しはじめて。
 宙組に組替えになって。
 男役としては小さかったけど、娘役としてはごつかったから、大きな宙組に行くのは納得だった。宙組でも活躍してくれて。
 ヒロインではなくても、大きな役をやる、得がたい役者になった。

 さみしいなあ、せーこちゃん。
 退団だと聞いて、思い出すのが『君を愛してる』の新公だという事実に、自分でも驚いたよ。
 好きだったなあ。
 あの作品、あの時代。
 きんぐが89期で先頭切って新公主演してさ。
 みんな若くてぴよぴよしてて。
 せーこちゃんはすでに安心感ある人だったなあ。あの公演を最後に、宙組へ組替えしたんだよね。


 あっきー、りくくんと美形男役スターが卒業してしまうのがかなしい……高い鼻、きれいな横顔のラインを持つ人たちなのに。
 特にりくくんのことは、文化祭で「鼻の君」と勝手に呼んで愛でていた。舞台人は鼻大事、顔の真ん中へこんだ人にはときめけない。以来ずっと、宙組ではりくくんの美貌を眺めていた。
 そしてこれまた新公を思い出すんだ、『薔薇に降る雨』。あっきーをはじめて認識した公演。りくくんが最初に抜擢された公演。


 一気にいってしまうのか。さみしいな……。
 んで、お楽しみの『CASANOVA』2回目観劇。
 2回目の方が泣けるとか面白いとかあるよね。
 初見では観られなかったところまで観ることができて、「えっ、こんなことやってたんだ」とか「ここにこの人出てたんだ」と気づいたり、ストーリーの深みに気づけたり。
 すでに「知っている」から、のーみそがいろんな方向へ動く。
 だから、初見とはチガウわくわくで、2回目を楽しみにしていた。

 初見時はただ漠然と「『1789』っぽいな」と思っていた音楽が、「マジで『1789』に似てるな!」と思った。どの曲がと説明出来ないけど、観ている最中は「このダダダン、ダダダン、が『1789』のアレとかぶる」とか思いつつ観てた。
 記憶力と音楽センスに欠けるのーみそなので、論理的な根拠はナイ(笑)。

 歌が多くて長い、ということも理解して観ているので「また歌うのかよ!」とか「長っ」とかも思わなかった。
 むしろちなっちゃんの歌とか、どこで3回も「終わり」だと思ったのかわかんなかった。せいぜい1回じゃないの? 初日の自分を思い出せない(笑)。

 みんなきれいで、かわいくてかっこよくて、どこを見てもきれいでかわいくて幸せで。

 ……そして、まあ、なんだ。
 あんまり好みじゃないなあ、というところに落ち着いた。

 や、1回観る分にはいいけど、くり返し見るにはなんとも冗長で、だれてくる……。

 1幕モノならもっと楽しめたろうな。1本モノにしては薄すぎるわー。

 『Shakespeare』と同じことやってんのに、あっちは泣けてこっちは泣けないのは何故だろう、と思ったり。
 心に引っかかる、という点では苦手な太田せんせのカサノヴァの方が上だったなと思ってみたり。
 生田せんせスキーで彼の作品なら基本なんで楽しめる、実際『CASANOVA』楽しかった、それでもこのカタルシスのなさはなんだ。
 そっちへ頭と心が動き、ある意味忙しい観劇になりましたよ、2回目。

 てことでちょっくら『CASANOVA』について考えてみる。

 2回目でだれた原因はわかっている。作品の長さに反して、ストーリーが僅少。小さな粘土をのばしてのばしてなんとか大きな箱の底だけ埋めて「箱いっぱいの粘土」の体を保っているだけだからだ。

 ストーリーが僅少だと書いたが、ミュージカルなんてもん、音楽さえよければ、ストーリーは単純でいい。だから『CASANOVA』もありだろう……と、思いはしている。
 実際、成り立ってるわけだし。1回観る分には他愛なくていい。

 しかし、物足りない……。

 ストーリーは少なくて良い、シンプルで良い。
 でも、その少なくてシンプルな物語は、最低限の濃さが必要じゃないかい?
 本筋以外のところに、味付け必須。

 重いテーマとか、歴史的な出来事とか、主人公の変化とか。
 ストーリーが単純な分、他で奥行きとか深みを出す。

 女千人斬りしちゃうよーなプレイボーイで、「女の敵!!」と思われている男が、実は心の傷を抱えているとか。それゆえに次々に女たちを渡り歩いているとか。
 革命だの戦争だの、えーらいこっちゃな時代だとか。
 いーかげんなチャラ男が、はじめて人を愛し、生き方を変えるとか。

 ストーリー以外のところになにか、必要だと思った。
 宝塚音楽学校第105期文化祭覚え書き、その8。

 第1部のポピュラー・ヴォーカルと第2部の演劇は、「顔を覚える場」である。わたしにとって。

 第3部のダンスコンサートは、個別認識することを放棄している。
 プログラム見ても、その場に登場している数十人があいうえお順で載ってるだけで、「どの衣装の子が誰々」「何番目に登場する子が誰」「センターでくるくる回る子が誰」とか書いてないし。
 ずっと動いてるから顔見えないし。
 おまけに今回、光栄すぎる最前列センターだ。下から見上げている状態だ。1列目しか見えねえ。後ろで踊る人は、重なっちゃって「いるんだな」としかわからん。

 それでもダンスコンサートは楽しい。
 むっちゃ楽しい。
 個別認識しようとか、あの子はどこにいるのかしらとか、余計なことは考えず「きゃ~~、すごーい、きゃ~~、楽しーーい!!」と夢中になって終わる。

 そして、あっという間にラストになり、「えっ、もう終わり? 短い!!」と思う。
 フィナーレになってようやく気がついたわ、あれ、松岡さん観てない。
 他の人を観ていたから、とかではなく、物理的に見えなかった。
 松岡さん、たぶんダンス苦手なのでは? センターで特別に踊る、とか、1列目でがんがん踊る、とかの見せ場がなかったと思う。
 いつも人垣の後ろで踊っていたら、そりゃ見えないわ……。
 日舞のときは、センターにくる箇所があったから顔がわかったけど。
 や、もし見逃しているだけだったらすまん。だとしたら、見逃すくらいの見せ場だったんだと思う……1列目とか真ん中で特別に踊る人しかろくに見えない席だったんだもん。

 ダンスで目立っていたのは、知らない人たちでした。
 1部や2部で顔をおぼえていない子たち。
 タップダンスとバレエはセンターの配役がプログラムに載っている。……けど、そこで顔をおぼえても、次の場面でぶわーっと入り乱れて踊られたらもうわからぬ……わたしののーみそときたら。

 お芝居でおぼえた子たちをフィナーレで点呼するのが精一杯。
 あ、山川さんと福嶋さんはずっと見てたからわかる(笑)。
 あと、タップとジャズダンスに出ていた男の子で気になる子がいたんだが……誰なのか判別する前に終わっちゃったよー。


 今回はとにかく娘役さんに美人が多い、ということと、男の子たちは歌がやばいのかもしれない、と思ったな。
 松岡さんが注目されまくっていて、いろいろ大変な期かもしれないけど、それを逆手に取るくらいの強さで、華々しく活躍してくれるといいな。

 今年の文化祭も楽しかった!
 観られて良かった。来年もまた観たいな。
2019年3月4日 青年館宙組『群盗-Die Räuber-』千秋楽
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 宝塚音楽学校第105期文化祭覚え書き、その7。

 第2部、演劇。
 正塚作『黒い風の物語』、A組。

 マサツカ芝居で男役の番手がわかりにくいと思うけれど、元ネタである『追憶のバルセロナ』もふまえた上で並べてみる。

 主役・フランシスコ。スペイン貴族。戦争で記憶喪失になったり「人呼んで黒い風!!」ってマスクにマントでヒーローやったり、とても忙しい人。セシリアとは相思相愛。
 必要スキル:ヒーロー。真ん中らしさ。アツさ。

 2番手・アントニオ。フランシスコの親友。セシリアを密かに愛している。プライドを守って玉砕するより、屈辱を味わっても生きることを選ぶ男。冷静で聡明。
 必要スキル:クール。知性。誠実さ。

 3番手・ロベルト。ジプシーの若手リーダー格。恋人をフランス軍に殺された過去を持つ。イサベルのことは妹のようにかわいがっている。
 必要スキル:ワイルド。兄貴。男の友情。

 4番手・クリストフ。フランス軍将校。悪役、だけど所詮中間管理職。脚本だけだとただのまぬけな嫌なヤツ!なので、この役をいわゆる「美形悪役」に底上げするのは、演者の力量。
 必要スキル:美貌。

 5番手・フェイホー。フランシスコの家の使用人。ヅカでよくある「若手スターの顔見せ役」。メインキャラではないが、おいしい見せ場がある。
 必要スキル:華。

 別格・イアーゴー。クリストフの部下。お笑いキャラ。笑いを取るのは、泣かせるより難しい。
 必要スキル:演技力。

 別格・ギデオン。現実のフランス兵。ラストのどんでん返し役。『追憶のバルセロナ』には存在しない、『黒い風の物語』のオリジナルキャラ。
 必要スキル:整った声。


 ということで。

 今回いちばん惹かれたのは、3番手ロベルト役の山川さんだ。

 かっこいい。
 そして、うまい。
 ちゃんと男役で、ちゃんとジプシーのリーダー格だ。仲間内で一目置かれている兄貴分だ。
 ジプシーの男たちは他に何人もいて、一緒に出ていたりするから、「負ける」と埋没してしまうんだ。負ける、ってなんつーか、人混みに? 大勢で出たときに「主要キャラです!」と光る力。テレビと違ってひとりだけアップにしてくれない、みんな同じ画面のなかで、ひとり「勝つ」能力。

 ロベルトはいい役だ。
 恋敵ポジだから最初主人公に突っかかるのかなと思いきや、そうではない、もっと他に理由があった、つらい過去があるからこそのこの立ち位置、この言動なんだとわかる。
 もともといい役だから、この役をやる人はかっこよく見える。……としても、この「かっこいい役」をちゃんとかっこよく見せてくれた。

 山川さん、ポピュラー・ヴォーカルで男役のトリとしてバトラー歌ってたし、ハンサムで男臭くて、こりゃいいわー良い子と出会えたわー、と思ってプログラム見たら。
 中卒?! まだ17歳っ?!(ジェンヌはフェアリーです、年齢の話はあきまへん)
 マジかー。
 この若さでこんだけ輝いてるんだ。や、マジで入団後が楽しみっす。


 4番手のクリストフ大尉@田中さんは、、なにが悪いわけではなく、ふつうにちゃんと演じていたけれど、……4番手役には、見えなかった。
 ただ登場して命令しているだけ、名もない敵兵に見えて……やっぱおいしくないよなあ、この役。『追憶のバルセロナ』のときから不満だった。
 相棒のイアーゴー@数見さんとの掛け合いで魅力的に見せることができるのだけど……イアーゴーも魅力を出すことができてなかったので、ふたりして沈んだ印象。
 ハーバートさん並の華やかな美形が演じていたら、「ただ登場して命令しているだけ」でも、「ナニあの美形悪役?!」と印象に残るはず……『追憶のバルセロナ』でもそうだったから。演じている人がすっげー美形、以外にナニもなかったやうな……。

 別格イアーゴーは、学生さんには難しすぎる。ハリーのミューズ、ミサノエールアテ書きだもん。ミサノエールだから成り立つ役。他の人がやってもあのおかしみは出ない。
 そして、イアーゴーが埋没すると、ドラマが盛り上がりに欠けるんだよなあ……難しい。


 5番手フェイホーは、ぶっちゃけ大根でもオンナノコのままでも、とにかく華のある人がやればオイシイ役。ちょっと前の月組の暁くんとかがやると映えるだろうな、てな。ちょっと前の、ね。今の暁くんはそこまで芝居クラッシャーじゃないからなー。
 空気読めない、あるはクラッシュする、かわいい男の子の役だから。技術は二の次、観客に「ナニあの子かわいい、次からチェックしよ!」と思わせれば良い。『追憶のバルセロナ』でも劇団推しの御曹司がやっていた(……んだけど、彼は無駄にうまかったので、ちっともクラッシャーになってなかったけど・笑)。
 ということで、ライスくんはいい仕事をしていたんじゃないかな! この役の仕事は「目立つこと」だから、目立つ顔立ちの彼はそれだけでOK。すごくがんばって空気を読んで芝居していたので、いっそ惜しいくらいだ。もっとむちゃしてもいいぞ~~。


 原作の『追憶のバルセロナ』にない、フランス兵ギデオン@橋本さんは、見事に役割を果たしていた。
 この役はとにかく「声」が重要。
 彼がなにを言っているのかわからないと、芝居すべてが壊れてしまう。
 男役として、兵士として、空気をぶった切って登場する。難しい役をこなしていた。
 短い登場で、顔をちゃんと見られなかったのが心残り。


 顔と言えば、ジプシー@福嶋さんがハンサムで目についたなー。しいちゃんの役だよね、イアーゴーをいじめるひとり(笑)。


 続く。
 宝塚音楽学校第105期文化祭覚え書き、その6。

 第2部、演劇。
 作品は正塚晴彦作『黒い風の物語』! わーい、これ好き~~!
 とはいえ、好きなままかどうかわかんないぞ。一昨年の『A MONOLOGUE』はひどい改悪されて、がっかりだった。
 『黒い風』も改悪されてるかも。

 と、身がまえたけど、拍子抜けするくらい、そのまんまだった。
 改編はあったのかもしれないけど、わたしにはわからない程度だったのだと思う。
 再演のたび改稿するハリーらしくない。

 とりあえず、好きな作品をまた観ることが出来てうれしい。

 今回は、最初から『追憶のバルセロナ』を焼き直して作った作品、主人公はフランシスコ、ヒロインはイサベルだとわかって観た。

 4年前、101期のときは、途中まで『追憶のバルセロナ』だと気づかなくて、最初に出てきたセシリアをヒロインだと思い込んで観てたのよねえ。またセシリア役が星蘭さんだったこともあり、「すげー美少女出てきた、さすがヒロイン!!」って刷り込まれちゃったから。
 元ネタを知らなかったら、最後まで星蘭さんをヒロインだと誤解したままだったかも。
 途中で「これ、『追憶のバルセロナ』やん!」と気づき、「セシリア@となみはヒロインちゃうわ、トップ娘役はイサベル@まひるちゃんよ!(雪組公演『追憶のバルセロナ』の話ね)」と、正しいヒロインに気づいた。
 気づいたはいいけど、やっぱセシリア@星蘭さんの方がヒロインっぽい、イサベル@かれんちゃんは主人公フランシスコ@縣くんのかわいい妹って感じ、と思った。

 でも今回、イサベル役は、あのハーバートさんだ。101期の星蘭さん並みのあでやかな美貌の持ち主。登場するだけでヒロインだとわかる。……から、イサベルがヒロインだ、間違えることなどナイ。

 セシリアは貴族のお嬢様、イサベルはジプシー娘。セシリアは上品に話し、イサベルはくだけた庶民言葉。
 ……ハーバートさんのクラシカルな美貌でイサベルやってるの、違和感……。
 この美貌でぶっきらぼうに喋るんだ、下品に振る舞うんだ、なんか不思議。タカラヅカってのはすごいとこだな。薄汚れたジプシー役でも、こんだけキラキラした美少女がふつーにやっちゃうんだもんな。
 ほお、ほお、すごいな、よく動くな、口も表情も。……と、感心しているだけで終わっちゃったよ(笑)。イサベルはにぎやかな役だから。
 うまかったと思う。
 ハーバートさんのセシリアも、観てみたかったな。


 セシリア役は、倉田さん。
 難しい役なんだけど、うまかった。
 気品も運命に翻弄される弱さも、セシリアというキャラをよく表していたと思う。
 ……ただ、この役はうまいヘタより美貌が第一に必要だと思うので、うーん、うまいなあ、ということのみに感心。倉田さん、美形というよりかわいいタイプだよね。


 語り部役の土山さんもうまかった。やっぱ歌ウマさんは芝居もうまいよなあ。声を操る術を知っているわけだから。


 娘役さんは出来上がりが早いから、文化祭でうまい子はもうしっかりとうまいんだよな。


 主演は松岡さん。
 将来のスターとして、まずは文化祭の演劇主演でスタートを切るわけっすね。
 お芝居もふつーにうまかった。すごくうまいわけじゃないけど、文化祭でコレだけ出来れば十分、といううまさ。
 今の時点でコレなら、この先楽しみっす。
 彼の場合、容姿がいいのがイイ。
 まるぷくした女の子にしか見えない子が主演しているケース、いくらでもあるから。
 入団前から男役の容姿をしていることに拍手。

 残念だったのは、2番手役の子がお芝居苦手なのか、棒っぽい感じがそこかしこにあって、その子を相手に「マサツカ芝居」をしなければならない松岡さんは、なかなか大変だったと思う。
 『追憶のバルセロナ』の見せ場のひとつである、「敵同士となった、かつての親友同士の語らい」が、……うーん、ちっとも見せ場として機能しない……これは松岡さんだけのせいじゃない、芝居は相手役も重要……なわけで、相手が芝居苦手な人だとつらいなあ。
 2番手以外と芝居しているときは良かったから、相手にひきずられちゃうんだと思う。
 101期のときは、こってぃがこの2番手役をやっていたわけで……うまかったんだな、彼。と今さら思う。

 続く。
 宝塚音楽学校第105期文化祭覚え書き、その5。

 ポピュラー・ヴォーカル。
 「君の名」「未来へ」「リオ」「ブエノスアイレス」「エル・アモール」と続く、鉄板プログラム。
 ザ・タカラヅカ! のデュエット「君の名を呼べば」、さわやかスター曲「未来へ」を未来のスターと出演者全員のコーラスで盛り上げ、次に雰囲気一転、にぎやかなショー『リオ デ ブラボー』の主題歌でわちゃわちゃはじけたあとに、「聴かせる曲」である「ヴィエント デ ブエノスアイレス」で客席を掴む。そしてドラマチック三人模様「エル・アモール」で集中力を上げたところに、「本命登場!」と「この期の歌で売る予定の人たち」を男女それぞれソロで登場させる。
 好きだなー、この流れ。
 起承転結している作品は好き。正確には、起承転転結。どんでん返しは2回必要。
 「未来へ」で1回目の転(クライマックス)が来て、そっからまた助走付けて、ラストソングの「さよならは夕映えの中で」に2回目の転(クライマックス)を持ってくるの。
 そして、にぎやかなフィナーレへ。


 てことで、「ブエノスアイレスの風」。
 ポピュラー・ヴォーカルのなかで、ある意味いちばん驚いたのは、この歌を歌った羽田さん。

 こんな「ブエノスアイレスの風」はじめて聴いた。

 いろんな人が歌う「ヴィエント…」を聴いてきたけど、このカラーははじめてだ。
 重い。しかも、年輪がある。
 50代の歌手が、自分の人生を載せて歌っているかのようだよ……!
 美穂圭子お姉様がドスの効いた声で歌うと、これに近くなるかな? 専科のお姉様が歌っているのかと思うような、歌い方でした。

 うまいんだと思うけど、うまいヘタより、曲の表現にたまげました。
 まったく別の歌に聞こえる……うわあああ。

 おもしろい。
 すっげーおもしろい。
 羽田さんの別の歌を聴いてみたい。お芝居も観てみたい。


 「エル・アモール」もまた、面白すぎた……!

 なんか「どーん!」と効果音が見える感じで田坂さんが歌う。ほら、日舞で「清く正しく美しく」を歌っていた、顔に圧のあるお嬢さん。
 登場するなり、歌にも顔にもキャラにも「どーん!」と圧が発せられる。
 「清く…」もそうだけど、田坂さんはイイ顔をして歌う。コンサートだもの、キラキラして歌わなきゃね!

 その田坂さんに斬りかかるように、ライバルが登場する。こちらははっきりくっきりした美人さんだ、塚本さん。
 この塚本さんが、最初からアクセルかけまくり。
 「苦悩してます!!」と顔を歪めながら、歌い上げる。

 えええ? 田坂さんは「コンサートです、キラキラ」と歌い、塚本さんは「苦悩してます、そういうお芝居の中の曲ですから」と演技しまくる。
 なんだこれ?

 もつれるふたりの女の間に、ひとりの男が登場、3人の恋模様が、それぞれ別の糸で編まれたひとつの歌になるのだが。

 田坂さんは「どーん!」としてるし、塚本さんは「苦苦苦……」と眉間に縦皺刻んでるし、真ん中の色男・田中くんは……たぶんふつうに歌っていたんだろう、特になにも思わず……ていうかごめん、「けっこうかわいい」と思ったことはおぼえてるが、それ以外見てるヒマがなかった、ふたりの女の子に夢中で!(笑)

 いやあ、いいわー。
 3人ともばっらばらで、面白かった!!

 特に塚本さん。
 あんなに美人なのに、あのぶっとばし方は実に素晴らしい。
 お芝居観てみたいわー。


 「エル・アモール」は別に大ウケさせる曲ではないと思うんだけど、単にわたしのツボにはまったのよねえ。
 おかげで、演出的には次からが本命なのに、直後のハーバートさんのソロ「愛の歌」はさらりと聴き終えてしまった。

 ハーバートさんはクラシック・ヴォーカルでもソロ1曲歌ってるし、歌えてきれいなお嬢さん、とインプット済みだし。
 オペレッタ曲を歌っているときほど、ぷるぷる震えてなかったし。
 ここでちょっと気持ちを落ち着けて、次のバトラー船長に備えましょうか。
 文化祭プログラムの真のクライマックス、男役のソロ曲。

 劇団はいつだってショースターを求めている。
 舞台にひとりで立ち、男役として歌い、場を沸かせることの出来るスターを。

 登場したのは、山川くん。
 あ、なんとなく目についていた美形くんだ!!

 歌うは「さよならは夕映えの中で」、男の中の男、バトラー船長の歌!

 かっこいーー。
 ちゃんと男役してる。
 聴かせるまでには至ってないけれど、歌えてる。文化祭だもの、これだけ歌えれば十分。
 身長もあるみたいだし(1列目からじゃわかりません)、かっこいいし、歌えるし、となったらこれすごいわくわくするスターさんの登場では?


 正攻法にソロ曲で盛り上げた後は、にぎやかなフィナーレ!
 オブリガートはハーバートさんと、……羽田さんだよ、「ヴィエント…」の!
 ふたりが対の位置にいる、画面がまたすごい……頭身の差……(笑)。
 羽田さんの迫力に視線が吸い込まれる……はっ、他のみんなも見なきゃ、全員が順番に最前列にくるよう、歌い踊りながら順番に回っている。
 あー、やっぱ山川くん好きだな、あの顔、あの笑顔。


 と思っていたら、幕が下りました。
 第1部終了。

 第1部の感想だけで5日分って、どんだけかかるんや……って、まあ、どうせダンスの感想はなにもろくに書けないから、歌と芝居に欄を取ってもいっか。

 続く。
 宝塚音楽学校第105期文化祭覚え書き、その4。https://koala.diarynote.jp/201903040144591770/からの続き。

 ポピュラー・ヴォーカルを観て思った。
 今年は歌苦手な子が多いのかな、と。
 なんか、ソロで歌わせてもらってる子、少なくない?

 「小さな花がひらいた」「美麗猫(ミラキャット)」「Carnaval de Rio!!」とまとまったソロパートなしに大勢で歌う……ことで、ポピュラー・ヴォーカルを済ませた子がかなり多い……。
 ヘタでも全員が一度はひとりで歌う、のが文化祭かと思っていたけど、最近は「歌えない子には歌わさない」方向になったのかな。数年前からこんな感じになってきたような。
 宝塚歌劇団が、歌を重視しはじめた頃と一致する、かな?

 まとまったソロがないと、誰が誰だかわからぬ。
 「美麗猫(ミラキャット)」に、かわいい子がいたんだ、にゃんこポーズに萌えたぞ、あれは誰だ。


 「幸せの鐘の鳴る日」を最初に歌った福嶋さん、えりたんっぽくて目が行く。
 サスペンダーが別のモノに見える。ほら、刑事がピストルをジャケットの下に吊してるアレ。ヅカの男役なら一度はやるよね、てな姿。萌え。
 3人で順番に登場して歌うんだけど、あとになるほど歌の実力も下がっていく感じ。あとのパートの方が歌いにくいとかあるのかな?


 ところでわたし、「君の名を呼べば」が大好きで! 『エンカレッジ・コンサート』でもこの曲がセトリに入ってるとテンション上がる。
 曲が美しくてドラマティックで、そしてなんといっても、「美しいタカラヅカ」が凝縮された曲だと思う!

 歌うのは上川さん。クラシック・ヴォーカルで美声を披露したお嬢さん。
 オペラの曲は、うまいわねえ、きれいなお嬢さんねえ、と思うだけで特に印象に残らなかったのだけど。

 上川さん、すげーいい!
 きれいでドラマのある歌声。

 ソロで力強く物語を響かせたのち、男役のライスくんが登場すると、がらりと変わってハモりに徹する。
 いいわー、これぞタカラヅカの娘役だわー。

 上川さんのお芝居が観てみたい、とプログラムをチェックしたけど、残念、お芝居は観られない方の組だった。

 まあその、この曲歌った人のことは大抵好きになるので、曲を好きすぎるせい、てのはあるかもしんないけど。
 ふたりとも良かったわ。


 そして、ついに松岡さん登場。曲はこれまたハズレなしの名曲「未来へ」。なんでハズレなしかというと、文化祭のこのパターン(「君の名」「未来へ」「リオ」「ブエノスアイレス」「エル・アモール」という鉄板プログラム!)において、この曲を歌ってアレレになる人は、たぶんいないからだ。
 コンサートの中詰め、それまでソロなし、ひとりで登場してしばらく歌っても途中で誰か出て来るから、ソロ歌手扱いはない。
 そうやってグループ戦で展開してきての、中詰め。
 満を持してのソロ歌手登場!
 感動曲「未来へ」を歌い、途中から出演者全員のコーラスになる……! これでもかとお膳立てされた、感動必至の演出。
 それで一旦流れ終了、お祭りソングの「リオ」を入れて、クライマックスへ向かう、タカラヅカのショー作品と同じ方程式。
 ちなみに、ほぼ同じセトリの101期ではこってぃが「未来へ」を歌ってる。

 んで、松岡さんの歌唱を聴いて。

 いちばん強く思ったことは、「よかった」だった。

 優良の「良かった」ではなく、「助かった、ほっとした」の意味。

 や、優良じゃないっつっても、良くないわけではなくて。
 うまいヘタでいうと、まあうまい?ぐらい? すごくうまいわけでも聴かせるわけでもないけど、ヘタじゃない。
 演出が浮かないくらいに、ふつうに歌えている。これくらいうまければ十分じゃ?てなあたり。

 よかったよおお。
 こんだけマスコミで持ち上げられて、タカラヅカ向きの出自と容姿をしていて、もしも、目も当てられないほどヘタだったら……?
 ソレ、本人も劇団もファンも、つらすぎるじゃん……?

 実力なんか関係なく注目されて、このまま世間が騒ぎ続けるのなら否が応でもトップスターになる、しか道がない人なのかもしれないわけで。
 七光りなんてなんのその、実力で疑問の声を黙らせるほどの天才っ!! ……なら、なんの問題もないけど。
 天才なんて、そうそう現れるもんじゃないからなあ。
 特に、「出る杭は打たれる」この時代、「よいものを創る」より「苦情を言われないモノを創る」ことに心血を注ぐ風潮の中で、突出した才能は具現しにくいと思ってますのよ。
 だから、最初から「松岡さんは天才ではない」と思うところから眺めているわけで。や、もちろん、天才だったらうれしいけど。

 天才的な実力はなくても別にいい。問題は、世間の期待に見合う実力が、まったくなかった場合。
 劇団は「トップにする」と決めたら、なにがなんでもトップにするのよ。音痴でも大根でも劇場が空席だらけになろうと、本人がどんだけバッシングされようと、トップにする子はトップにする。
 「松岡修造の娘だから」という理由だけで、実力皆無のスターの舞台を、あと10年強、ヅカヲタはずーっと観続けることになるのよ。え、それなんの苦行?
 わたしはタカラヅカが好きで全組まったり眺める派だから、「嫌なら観なければいい」はナイ、どんだけ音痴で大根がスター扱いされていても、絶対観る……けど、音痴も大根も嫌だ~~。

 松岡さんが、ヘタではありませんように。
 願うことは、そのひとつだけだった。
 天才とか超歌ウマとか芝居巧者とか神ダンサーとか、そんなゼイタクなことは望まない、ヘタでなければいい……!
 容姿は恵まれてるから心配してない、顔は好き、だからあとは実力。
 「そもそも舞台人向いてないのでは?」なんて人ではありませんように。

 ……だったもので。

 ヘタじゃない、わりとうまい、というだけでもう、救われた思いがしました。
 助かった、ヘタじゃない、文化祭でこれだけ歌えていれば十分だ、よかったーー!!

 だってまだ学生だし、世間の期待とか雑音もいっぱいあるなかで、なにやったって「七光りでしょ」でナナメに見られたりするかもしんない中で、こんだけちゃんと出来るんだもん、すばらしいっす。
 ふつうのタカラジェンヌにはない苦労が山積みだろうけど、どうかこのまままっすぐに成長して欲しい。
 そして、大輪の華を咲かせて欲しい。
「文化祭観て、ヘタでなくてよかった、なんて見当外れのこと言ってごめん、こんなにうまくなる人だったんだ、才能は本物だったんだ!」と、言わせて欲しい。

 続く。
 『CASANOVA』新人公演感想覚え書き。

 ミケーレ伯爵@一之瀬くんがかっこよかった! うまかった!
 えええ、まじかっこいい。
 ごめん、彼をはじめてかっこいいと思った。
 ブイエ将軍@いまっちを思い出した。メインキャラやるだけの力のある役者が、あえて脇役やってます感。ドラマだったらテロップに「特別出演」って書いてあるの。ああ、おまけのお楽しみ的に出演してるだけだから出番少ない役なんだ、てな。
 こんなにうまい人だったんだね。と考えて、全ツでメインキャストやって全国回った経験は本気で大きかったんだなと思った。
 こんなにも血肉になるなら、若者はどんどん別箱でチャンスを得るべきだ。うん、『群盗』チームの成長楽しみ~~とか、別のことまで考えちゃった(笑)。

 はっ、一之瀬くんを語っていて思い出した、前回の新公、主演聖乃くん、2番手一之瀬くんで、ふたりを観ながら「マカゼとたまきち、夢の競演!」とか思ったんだった。
 や、聖乃くんがマカゼっぽくて、一之瀬くんは頬骨控えめなたまきちっぽく見えたから。
 そうか、聖乃くんマカゼっぽいんだ。だからテルさんを思い出すんだ。マカゼはテルとニアリーイコール、わたしのなかで。
 と、前日欄の「なんで聖乃くん見てテルを思い出すんだろう?」の答えを得たので記す。
 や、わたしの勝手な思い込みの話なので、「セイノがマカゼ?? マカゼがオウキ?? はあ? ナニわけわからんことを」と思われても無問題。わたしだけが納得出来たのでよし。

 あ、今回の一之瀬くんは、たまきちにはまったく似てませんでした。
 たまきちさんもヒゲが似合うから、その点は共通項かもしんないけど。


 コンスタンティーノ@まいらくんは、口を閉じているときと開けたときで顔が変わるのが惜しい。黙っていれば男前なんだがなあ。しかも実力あるし。歌えるし芝居も出来る。
 今回尺の問題で惚れ薬カット、ゾルチ夫人@糸月雪羽ちゃんとは素で一目惚れになっていて、キャラのかわいさアップ!
 つか本編の惚れ薬ネタいらんよね?


 表情で印象変わるというと、バルボ・トマシ@たおしゅん!
 芝居中の顔が好みでガン見していたんだけど、挨拶のとき笑った顔は、なんかぜんぜん違って見えた。えええ、普段はどんななんだ、気になるぞ。
 相棒の芹尚くんもかっこよかった。


 バルビ神父@愛乃くんって、まだ研5なのか……彼の初舞台口上を聞いたのはずいぶん前な気がして、まだ研5というのにびっくり。年寄りは時間経過を実感しにくいのよね。
 うまい人なのでなんの心配もしてなかったけど、ほんとにうまかった。
 そして、最初から最後までもじゃもじゃでむさ苦しいままだったので、役としては彼が正しいのかなと思ってみたり。
 本役のマイティーは、むさ苦しいのは監獄あたりだけで、あとはふつうにかっこいいからな。
 んで、むさ苦しい設定なので、ダニエラ@音くりちゃんとの恋愛設定もカットされた?
 ダニエラがベアトリーチェ@華ちゃんの手紙をカサノヴァ@ホッティーに届けに来るところ、いるはずのバルビがいなくて、ダニエラとデキてました台詞もなかった。バルビは途中から出て、本編のストーリーに合流したけど、そこは削る意味がわかんなくて「??」となった。


 モーツァルト@らいとくん……なんか、顔芸すごかった……。
 思い切りよく笑いに走ってるのは潔いけど、タカラヅカらしさも忘れて欲しくないっす。
 まだ「崩した役でも、かっこよく見せる」技術がないためだろう。きれいにまとめて表現が小さくなるのもアレだが、かといってやり過ぎちゃうのもなあ。難しい。

 バルサモ@杏寿くん。ナナメ45度の顔が美しい。
 メディニ伯@大弥くん、前回の新公に引き続き気になる。横顔はチガウ、でもそれ以外気になる。(ナニ?)
 フォスカリーニ@高峰くん、安定したうまさ。

 ダニエラ@音くりちゃん、役不足っていうかもう新公出てもやることない、くらいうまいよな。


 最近、新公のチケットが手に入らなくなってきてるので、もう次は観られないかもしんないなあ、と思いつつの観劇。
 新人公演は「1回限りの単発ドラマ」ではなく、「物語が続いていく連続ドラマ」だと思っている。今回ふるわなかった子も、次でどわーっと盛り上がるかもしれない。その反対もあるかもしれない。それもまた、興味深い。
 だから、これからも続けて観られたらいいのにな。たのむチケ運!
 『CASANOVA』新人公演観劇覚え書き。

 コンデュルメル@聖乃くんが、誰かに似ている気がして、でも誰なのか思いつかなくて、そればっか気になっていた。
 誰に似てるんだろう……。
 顔は似てないと思うのに、テルのことを思い出していた。表情が似てるのかな。それとも美形は共通項があるってことなのかな?

 本公演のメディニ伯のビジュアルが好きで、好き過ぎて、新公のコンデュルメルにもすっげ期待しまくっていたため、期待値との関係かもしれんが、ビジュアルは思ったほど好みではなかった。メディニ伯の方が好きや~~。
 コンデュルメルはやたら顔を歪めて吠えるせいか、二重顎が気になった。若いせいだと思うけど、痩せて欲しいな。

 歌は安心。コンスタンティーノ@まいらくんとの悪だくみソングが心地よかった。やっぱこの歌はパンチが必要だよな~~。

 端折られているせいもあるのかもしれないけど、妻@ひっとんとの関係は物足りなかった。
 両思いなのにすれ違ってる、コンデュルメルのバカ、鈍感!とじれじれして観るのが楽しいカップルなのにな。


 というのは、コンデュルメル夫人@ひっとんの方にも問題があるのかもしれない。
 前回の新公で「めっちゃうまいやん!」と感心させてくれたし、全ツのヒロインでも「めっちゃうまいやん! かわいいやん!」と感心させてくれた大型新人ちゃん。
 だが、さすがにこの役は難しかったようだ。
 歌も大変そうだったし、妖艶で言葉うらはらの複雑な大人の女性ってのが、手に余ったようだ。
 素直で若くかわいいヒロイン、なら難なく演じられるんだろう。今後ヒロイン街道を行くのだから、コンデュルメル夫人が出来なくても問題ない。
 てゆーか、この役を見事に演じ切っちゃったら、「悪女が似合うタイプ」とか「別格向き」とう言う人が出て来る恐れもあるし。観客は演じた役のイメージに引きずられるから。
 でも、この作品に「星組にお輿入れ予定組替え」をする新進娘役に相応しい比重の役は、他にナイ。ヒロインに次ぐ大きな役は、彼女にやらせるしかない。

 普段、踊っているひっとんを観て幼さを感じることはない。若さと元気溌剌さは感じるけど、幼さや拙さじゃない。うまいなー、すごいなー、が先に立つ。表情もよくて、役割をきちんと演じていると思っている。童顔でもちゃんとコケティッシュ。
 が、コンデュルメル夫人を観て、幼さを痛感した。
 ああ、ほんとにまだ若いんだ。
 あまりになんでも出来ます、大型新人です、と飛びだして来たらから、過重な期待をしていたけど、まだほんと若い女の子なんだ。
 「拗ねたオンナノコ」風になっているコンデュルメル夫人を観て、改めて思った。

 今回の足りない点は、たんに引き出し不足 、人生にも舞台にも経験値が少なすぎるためだと思うので、今後に期待。
 基本値の高い人なので、きっとこれから経験を得てぐんぐん伸びていくだろう。楽しみニャ。


 前回の新公の、聖乃くんとひっとんのカップルがかわいかったから、これからもまたこのふたりがラブいちゃする話とか観たいなあ、と思っていたので、ひっとん組替えでもう観られなくなるのは残念だ。
 最後の夫人を抱きしめて嘆くコンデュルメルとか、良かったなー。ふつーに若いカップルに見えたけど、ソレはそれ(笑)。
2019年2月26日 青年館宙組『群盗-Die Räuber-』初日
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 花組『CASANOVA』新人公演観劇。

 1本モノの宿命とはいえ、いきなり監獄からスタート。ドラマチックな裁判も華やかなオープニングもなし。
 突然ドラマはじまってます。

 最初にばーーんと登場するところ、見たかったな。「トップスター」ならではの演出。それが絵になるかどうかって、けっこう重要な気がする。

 新公初主演おめでとー、ホッティー。

 ホッティーってカタカナ表記なんだね、公式HP見てはじめて知った(笑)。口にしてはいても、文字にしてなかったから、今までなんとなくひらがな認識だった。そして、ティーで伸ばすのね。ティだと思ってた。マイティーも伸ばすもんなあ、HPによると。
 でもなんか伸ばさず表記してしまうこと多し……。


 ともかく。
 美貌ゆえに早くから抜擢され、実力難ゆえになっかなか主演ができなかった彼が、最終学年でついに主演を射止めたことがうれしいです。
 だって、顔が好きなんです。
 きれいだもの。鼻も高いし!←重要

 これまで新公でカレーくんの役を多くやってきて、「美貌、だけど音痴」という「そんなとこまで本役をなぞらなくてイイのに……」と溜息をつかせたホッティー。
 それでも、歌も声も、よくなっていたと思うの。
 もっと大変なことになる!と思ってた。
 でも、ぜんぜん気にせず観ることが出来た。

 だって、きれいだもの。

 髪型も衣装も似合ってる。
 キラキラしてる。
 それだけでいいや。

 ただ。

 彼、カサノヴァじゃないよね?(笑)

 1本モノの宿命。いろーんなところをカットされている。
 で、本筋に関係ないと判断されたんだろう、カサノヴァが出会う女性をすべて口説いて落として味方にしてしまう場面が、ほとんどなくなっていた。

 描かれているのは、「運命の恋」を、真面目にしている部分だけ。

 ふつーにひとりの女性に恋する、ふつーの二枚目だった。

 ベアトリーチェ@華ちゃんと出会ったときについた嘘だけ。それだって、まずベアトリーチェの方が会ったこともないカサノヴァへ敵意丸出しだったので、名乗れなかったのは仕方ない、で通る。
 「嘘はついたけど騙すつもりはなかった」……そう言ってもおかしくない、ふつーにまともな青年だった。

 キラキラしたハンサムだけど、カサノヴァじゃない……ただのいい人だー(笑)。
 という点でも、なんかウケてしまいました。
 ホッティー本人が、いい人なんだろうなあ。
 恋に、人生に悩む姿が誠実さと不器用さにあふれていて、こういうポンコツ美青年大好きだけど、ほんとカサノヴァじゃない……と笑いが込み上げました。や、愛しくて。

 ベアトリーチェ@華ちゃんの「少女マンガ力」も合わさって、すっげーかわいいカップルでした。


 次期トップ娘役就任が発表されたのちの新公ヒロイン、華ちゃん。
 プレッシャー半端ナイと思うけど、……あんまりプレッシャー感じてる風に見えないのは、キャラのせい?

 華ちゃんと同じ立場だった月組のさくらちゃんの新公ヒロインは、緊張のあまりか、ものすげーことになってた。(後半は実力を出して、堂々たるヒロインぶりを見せてくれたけど)
 次期トップ娘役と発表されたあとの新公ヒロインだもの、今までの「一下級生のヒロイン」ではなく、「トップ娘役としての値踏み」をされてしまう……プレッシャーすごいと思う。

 華ちゃんって、舞台度胸すごいよなあ……『はいからさんが通る』のときも思ったけど。
 大変なんだろうけど、悲壮感とか切羽詰まってる感じがしない。
 あったかい、やわらかい持ち味が最初から花開いてた。

 華ちゃんの「少女マンガ力」って、ヒロインやってこそなんだな。
 本公演とか、脇にいるときはただ「かわいい子がいる」でしかないんだけど、真ん中で芝居すると背景に薔薇の花が飛ぶわ……マジ少女マンガだわ……。
 ベアトリーチェがかわいくてたまらん。
 かわいいは正義。


 主演のふたり、美しくて絵になってて、「タカラヅカ観たーー!」感を満足させてくれる。
 が。

 新公で、改めて思った。

 歌、長い。多い。

 この作品のソロ曲って、あってもなくても本筋に影響ないのよね。歌詞を聴いてなくても問題ない系っていうか。
 台詞が歌になった、芝居の一部、というより、「スターの見せ場来ました」「このスターが1曲歌います」。
 歌える人が歌わないと、きつい。

 ベアトリーチェの大ナンバーはまるっとカットされてたけど、主役であるカサノヴァにはいろいろあるから……長かったわ。

 改めて、芝居と歌が独立している作品なんだなあ、と思いながら聴いた。
2019年2月25日 博多座宙組『黒い瞳』『VIVA! FESTA! in HAKATA』千秋楽/本公演月組『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』発表
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2019年 公演ラインアップ【宝塚大劇場/東京宝塚劇場公演】<10月~12月・月組『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』>
2019/02/25
2019年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、【宝塚大劇場/東京宝塚劇場公演】の上演作品が決定しましたのでお知らせいたします。   
月組公演
■主演・・・珠城 りょう、美園 さくら

◆宝塚大劇場:2019年10月4日(金)~11月11日(月)
一般前売:2019年8月24日(土)
◆東京宝塚劇場:2019年11月29日(金)~12月28日(土)
一般前売:2019年10月20日(日)

日本オーストリア友好150周年
ミュージカル
『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』

I AM FROM AUSTRIA – The Musical with Songs by Rainhard Fendrich
Book: Titus Hoffmann & Christian Struppeck
Original Production by Vereinigte Bühnen Wien
Worldwide Stage Rights: VBW International GmbH
Linke Wienzeile 6, 1060 Vienna, Austria  international@vbw.at  www.vbw-international.at

作曲・作詞/ラインハルト・フェンドリッヒ
脚本/ティトゥス・ホフマン、クリスティアン・シュトゥルペック
オリジナル・プロダクション/ウィーン劇場協会
潤色・演出/齋藤 吉正

「エリザベート」、「モーツァルト!」など数々の大ヒットミュージカルを生み出したウィーン劇場協会が、2017年9月にオーストリアそのものを題材として制作したミュージカル「I AM FROM AUSTRIA」。オーストリアの国民的シンガーソングライターであるラインハルト・フェンドリッヒが綴った名曲の数々と、「故郷」や「家族」をテーマとしながら、コメディー要素を散りばめつつ、華やかなレビュー満載の舞台は、オーストリア中に旋風を巻き起こし、2019年6月まで異例のロングランを果たし現在も上演中の話題作です。
折しも日本とオーストリアが国交を樹立して150周年となる記念の年に、105周年を迎えた宝塚歌劇の「我が心の故郷」という郷愁とも重なるこの作品を、珠城りょう、美園さくらを中心とした月組により、日本初演致します。
舞台はウィーンにある老舗ホテル・エードラー。跡継ぎであるジョージは、伝統を重んじる両親に対し若者らしい革新的な改革を掲げ、悲願である“五つ星”獲得を目指し積極的に経営に参加していた。そこへ、オペラ座舞踏会に出席する為に久々に帰国したオーストリア出身の人気ハリウッド女優エマ・カーターがお忍びでやってくる。しかし従業員の一人が彼女の来訪をツイートした為、マスコミが押し寄せホテルは大混乱に陥ってしまう。ホテル側の不手際を詫びに、ジョージがエマの部屋へ訪ねると、ふとしたことから二人は意気投合するが……。
ホテルの御曹司として自らのなすべき事を模索するジョージ、世界的なスターでありながら自らを失うエマ、各々は惹かれあい、オーストリアの美しい街並みや自然の中で、自分の居場所を見つけていく。
オーストリアの第二の国歌とも称される主題歌「I AM FROM AUSTRIA」をはじめ、珠玉のナンバーに乗せて描かれる、心温まる舞台にご期待ください。

 うん……?

 “「エリザベート」、「モーツァルト!」など数々の大ヒットミュージカル”……うんうん、どちらの作品も好きよー。
 “を生み出したウィーン劇場協会”……ん?
 “が、2017年9月にオーストリアそのものを題材として制作したミュージカル「I AM FROM AUSTRIA」。”……んん?

 この文脈に、首をかしげた。
 「エリザベート」や「モーツァルト!」を「創った」作曲家とか脚本家とか演出家とかじゃなくて。
 協会?
 たとえば、「『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』など数々の大ヒットコミックを生み出した少年ジャンプが、日本そのものを題材として制作したコミック『日本人だっ!!!』。」とか、そーゆー文脈?
 たしかに「少年ジャンプ」には大ヒット作も名作もいっぱいあるけど、駄作や無名作もその何千倍もあるわけで。『ドラゴンボール』を生み出した鳥山明の新作、とか、『ONE PIECE』の尾田栄一郎の新作、とかならまだイメージできるけど、「少年ジャンプ」という区切りだと「それクリエイターちゃうやん。少年ジャンプならなんでも名作ってわけちゃうがな」と思ってしまう。
 恣意的なミスリード。『エリザベート』や『モーツァルト!』がどんだけ名作でも、その制作協会とその名作がイコールであるかのように表現するのは、違和感。
 もっと他に宣伝の仕方はないのか。
 解説の最初で首かしげちゃったから、そのあとの内容がアタマに入りづらかったわ。え、それ、面白いの??と。

 よくわかんないけど、大作らしいのでわくわく。
 お祭りは好き。
2019年2月24日 宝塚音楽学校第105期文化祭千秋楽
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 宝塚音楽学校第105期文化祭覚え書き、その3。
 男役は男の子、娘役は女の子と書く。文化祭だけど、それでもやっぱりタカラヅカだから!

 日舞の次、予科生コーラスをはさんで、クラシック・ヴォーカル。
 今年は娘役ふたりだけだった。男子ナシか……!
 上川さんとハーバートさん。

 娘役の歌の見せ場は、日舞のソロとクラシック・ヴォーカルとポピュラー・ヴォーカルのオブリガート。
 顔おぼえられない残念なアタマしか持ってないわたしは、とりあえずこの3つの役割の女の子だけチェックすることにしている。

 クラシック・ヴォーカルとオブリガートの両方をやるハーバートさんは、この期でかなりの歌ウマと判断できる。
 しかも美少女とか……! すげえな。

 オペレッタを歌うハーバートさんは、ぷるぷる細かく震えていて、肩でも叩こうもんなら跳び上がりそうなほど、力入りまくりだった。
 余裕もなにもなく、ただ歌うことにのみ集中している様子。
 この子が「表現する」余裕を、「音で遊ぶ」余白を手に入れたら、どんな歌を聴かせてくれるのかな。
 楽しみだ。


 正直、クラシック・ヴォーカルはあまり興味がない。
 それよりわたしは、ポピュラー・ヴォーカルが好き。楽しみ。
 よーするにタカラヅカ・ヒットメドレーだもん。
 第1部の華は、なんつっても学生たちによるタカラヅカ・コンサートだと思っている!

 いつも思うんだけど、「コンサートの1曲目」には、力のある人を選んでるよね。
 最初にコケちゃうと、コンサート自体がぐだぐだになる。
 だから最初の声を出す人は、ある程度うまくてタカラヅカっぽく出来上がっている人。でも、オープニングはソロじゃないから、「この子を今後めちゃくちゃ推しますよ!」とか「稀代の歌ウマです、要チェック!」な人は配置しない。
 そのあたり、毎年よく人選してるなあと。

 今年も、明るくパワフルに、「これからコンサートはじまるよーー!」な期待感を持たせる、良い男の子たちが1曲目の「タカラジェンヌに栄光あれ」を任されていた。

 好みかどうかだけでまずセンサーが揺れるわたしは、数人口を見ると「このなかでいちばん好みなのは誰か」を自動的に判別する(笑)。
 実力は同じくらいに見えたけれど、丸さが苦手なわたしは舩戸さんの方が好みかなと。

 全員ではじまったオープニングのあとは、ざーっと人がいなくなり、娘役3人で1曲「ムーンライト・ロマンス」。
 幕が上がる前に、プログラムの写真を見てその美貌に興味津々、わくわくだった土井さんの見せ場ですよ。写真だけなら彼女がいちばんきれいだと思う。コーラスでは、スタイルも含めてついハーバートさんに目が行っちゃったけど。

 期待した土井さんが、もう……(笑)。
 ちょっとツボに入りました。

 お化粧、似合ってない……!!

 元の顔がきれいだからか、ヅカ化粧がくどく感じて、マンガっぽくなってる。あら~~。
 美人さんは大変やな。ヅカメイクは薄い顔立ちの方が映えるもんねえ。

 ここでは土山さんの歌声がすばらしかったっす。


 次がなんかドラマティックに女の子ひとり登場で、「小さな花がひらいた」を歌い出す。
 紫りらちゃんに似てると思った。顔の輪郭と、目鼻口が中央に集まった感じ。
 うまいし、ドラマティックに歌ってくれているんだけど、……うーん、わたしちょっと苦手なキャラかも。
 歌よりも、お芝居を含めたキャラクタ的なところで、なんか違和感強い。歌の解釈かしら?

 で、プログラムに「ソロ」「カルテット」と表記あったけど、ほんと歌うのはひとりだけで、残り4人はあとから出てきて「子どもの演技」をするのがいちばんのお仕事だった……歌が仕事じゃないのか、歌唱コンサートなのに(笑)。

 文化祭は「全員出演」が大前提なので、クラシック・ヴォーカル以外は全員出演。当然、ポピュラー・ヴォーカル13曲の中に、全員絶対に登場する。
 歌ウマはひとりで歌い、歌がアレな子は大勢でわーっと登場して、1小節くらいひとりで声を出す部分をもらう程度で終わる。
 だから、コーラスするだけの「カルテット」もありだけど……歌より芝居要員っていうのは、新しい(笑)。

 子役の男の子のうちのひとりが気になった。たぶん橋本さんだと思う。

 しっかし、歌の背景、元の舞台そのものを知ってないと、わけわかんない演出やな……。
 ソロの倉田さんが歌っている歌自体には、「子どもが出てきていじけたり転がったり、それをはげましたりする」という説明はどこにもない。
 そして、出演者は全員同じ服装なので、「いきなり子役演技」をはじめられても、……知らない人はびっくりするだろうなああ。

 『タカラヅカスペシャル』なら、ファンしか観てないから「小さな花がひらいた」といえば子どもがわらわら泣くアレだなとわかるけど、文化祭の客席って「宝塚歌劇を一度も観たことがない」人も、わりとふつーにいるからなあ。
 ほんと、文化祭の客席で周囲の話し声聞いてると、「タカラヅカは観たことがない」人がけっこういることに驚くよ~。彼らは「娘」とか「孫」とか、「身内の卒業公演」を観に来た人で、「タカラヅカファン」ではないんだもの。
 身内が音楽学校に入ったから、とりあえずタカラヅカ本公演を1回は観たことがある、ぐらいの人とか、ポピュラー・ヴォーカルの間ぽかーんとしてるものねえ。
 こんだけヅカファンなら誰でも知ってる曲のオンパレードでも「ぜんぜん知らない曲ばかりだった、あれは舞台の曲なの?」「さあ? たぶんそうなんじゃないかしら」と無邪気に連れと話してたりとか。

 ポピュラー・ヴォーカルを120%楽しめるのはヅカヲタの特権だ(笑)。


 けっこう後の日にち欄https://koala.diarynote.jp/201903040304035331/へ続く。
 宝塚音楽学校第105期文化祭の感想を書こうとして、手が止まる。
 どうしよう。

 名前の問題。

 文化祭の感想は何年も書き続けてきたけれど、わたしは今まで一度も「名前」を書いたことがないの。
 だって、文化祭の学生さんたちには、「芸名」がない。
 プログラムには本名が載っている。
 ふつうの、日本人の女の子の名前。

 「タカラヅカ」という架空の世界を愛しているわたしは、タカラジェンヌを2.5次元の存在として、彼らが持つファンタジーごと愛している。
 男役は男で、舞台の上の彼らは「女同士でラブシーンをしている」のではなく、美しい男性と女性が恋をしているのだと思っている。
 テレビドラマよりも、アニメを楽しむ感覚に近い。
 アニメだと、男性キャラを女性声優が演じていたりするし、のび太くん(女性声優)がしずかちゃん(女性声優)を好きでも「のび太はレズ」にはならず、ふつーに「男の子が女の子を好き」ってことで通る。「所詮女同士じゃん」とは誰も言わない。それと同じで、タカラジェンヌは舞台では役の性別だと思っている。
 そしてそれには、「芸名」は必須だ。
 いくら「男役です、舞台では男です」と言っても、ごくふつーの女性名じゃファンタジーが完成しない。

 本名まんまの音楽学校の生徒さんでは、「タカラヅカというファンタジー語り」が出来ないんだ。

 だから今までずっと、〇田〇子ちゃんがオトコマエだった、とかいう書き方はせず、「丘の上のジョニー」を歌った少年がオトコマエだった、という書き方をしてきた。

 だから今年もそう書くべきなんだけど。
 なにしろ松岡さんがいる。

 今さら「ニュースなどでも話題の某有名人の娘さん」なんて書き方をする方が、変な感じ。
 ヅカヲタ以外にも「松岡修造の娘さん、タカラヅカ入ったんだって?」と言われるほどだもの。
 ワイドショー騒ぎすぎだー。

 松岡さんはもう、松岡さんだなああ。

 だとすれば、他の子をどう書けばいいんだ。
 他の子が「丘の上のジョニー」を歌った少年、とか、オブリガートの娘さん、とかで、松岡さんだけ松岡さんなのか。
 なんだそれ。

 ……今年はあきらめて、名前で書くか……。
 あ、今年は「丘の上のジョニー」はありませんでした。今年の「ジョニー」相当の曲(ポピュラー・ヴォーカルで男役がソロとして最後に歌う曲)は、「さよならは夕映えの中で」でした。
 

 ということで、順番に記憶に残ったことを記す。

 第1部、日舞は娘役さんの「清く正しく美しく」のソロではじまる。
 ここはもう、毎年うっとりするような美しい歌声を響かせてくれる。伝統っていいなあ!という。
 そして、わりときれいな娘役さんが担う役割、というイメージがあるんだが……今年はちょっとファニー?
 ソロの田坂さんはこう、インパクトのあるお顔で、1列目センターから見上げているせいもあるんだろうけど、輪郭が強く打ち出されている感じで、記憶に残った。
 記憶に残る、というのは舞台人の強み。わたし、小ぶりな感じにきれいな人って、あんまし見分けつかなくて、おぼえられないのね。その点、田坂さんはわかりやすい顔で、表情もよく映る、舞台向きの顔立ちだった。

 踊っている人たちは次々変わるのでよくわからず、コーラスをしている人たちを見てみた。
 上手側の娘役さんグループに、美女がふたり並んでいた。
 そのうちのひとりが特に、顔ちっさくてすらりとしていて、ぱっと目に飛び込んでくる。
 第一印象は「わかばちゃん? となみちゃんにも似てる?」と、近年ヅカ史に残る美女スターの名が脳裏に浮かんだ。
 でも顎にかなり特徴あって、顔の小ささも加わって「カチャに似てる?」とも思った。

 ハーフだということが、ひと目でわかる。
 ハーバートさん。
 うっわ、きれーだなああ。

 チケットが当たったとき、文化祭で1列目でもあんま意味ないなあ……と思ったけれど、すぐに「利点」を思い出した。
 1列目なら、明るい。
 過去の文化祭でも、プログラム開きながらの観劇だったけど、席によっては文字も読めるのよね。
 1列目なら絶対プログラムで確認しながら見られるわ。
 そう前もって思った通り、舞台の照明で煌々と照らされて、プログラムで写真と名前を確認しながら観劇出来た。
 実際、文化祭ってふつうの公演と違って、プログラムめくりながら観る人多い。周りがそうだから、わたしもそうすることを覚えた、つーか。「プロのエンタメ公演」ではなく、「学生の卒業記念公演」だからかな。(ちなみに喋る人も多い印象……「観劇しに来た客」ではなく、「授業参観している父兄」が多いためだろう)

 さて、松岡さん観ないとな。と、踊り手さんたちにも視線を向ける。や、やっぱそこだけは押さえておかないと、人から「松岡さんどうだった?」って聞かれるのわかりきってるわけだし。
 しかし、顔わかるかなあ。わたし、松岡さんの顔って、2年前のニュースぐらいしか見てないんだけど……去年の文化祭で案内役やってるときに、ひとりだけファンに囲まれて写真撮られてるのを遠目に見て「大変だなああ」と思った記憶があるくらいで……あ、いた。
 わかるもんなんだ。
 30人ぐらい踊ってるわけだけど、松岡さんはわかった。

 踊りの善し悪しはわたしにはわからない。
 だからわたしが見るのは容姿と「好みかどうか」のみ(笑)。
 意外に、はんなりした、控えめな表情だった。

 意外と思ったことで気がついた、なんとなくパワフルだのパッションだの、うるさい芸風を想像していたみたい。修造氏のイメージからかな。

 松岡さんは、うるさい芸風には思えなかった。
 どっちかってーと、おとなしい印象。
 「松岡修造の娘」というレッテルがなければ、ふつうに端正な男役さん、ということでスルーしていそうだ。や、どうしても最初は鼻息の荒さというか、パッション系が目立つから。

 はんなり踊っている松岡さんより、元気なハーフの男の子が目についた。
 小柄で元気良くて、わたしには若い頃のきりやんっぽく見えた。病気をする前のきりやんはほんと、外国人の少年みたいだったからなあ。
 カタカナ名前が目に飛び込んでくる、ライスくん。

 日舞では、わかりやすい人しかわからない。わたしゃ、目もアタマも残念な人ですから。

 続く。
2019年2月22日 宝塚音楽学校第105期文化祭初日
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 宝塚音楽学校第105期文化祭へ行ってきました。
 初日初回。

 ……なんか、「文化祭へ行ってきました」より、「松岡修造の娘さんを見てきました」と言った方が通りがいい感じがするから、今回の文化祭は例年と違うな。ひとりだけが、あまりに注目されすぎてる。
 と、疑問を持つくせに、自分が観る回が、松岡さんが芝居に出る方の回だと知って喜んだ。……や、やっぱこの目で観ておきたいじゃん。


 今年の文化祭は、なんか拍子抜けするくらい、スタンダードでした。

 奇をてらうことも新しいことをすることもなく、めっちゃふつう。
 プログラムが基本まんま。なんのひねりもなし。
 マサツカの芝居すら、以前と同じだった。いつもなにかしら手を加えてくるのに、改稿したのかどうかわからないくらい、前と同じだった。
 唯一違いがあったとしたら、正攻法のジャズダンスで幕が降りることぐらい? 最近のフィナーレは衣装や演出を華やかにすることが多いのに、今年はシンプルだった。

 あまりに「基本パターンまんま」だったので、とっても観やすかった。

 はじめて観る作品より、「知っている作品の再演」とか「本公演を観たあとの新人公演」とか「役替わり公演」とかの方が、「元の作品」がすでに頭に入ってるから、「役者」にだけ集中して観られるじゃん?
 アタマ悪いからわたし、一度に40人の同じ年頃で同じ化粧と髪型をした子がどっと出て来て歌い踊られても、見分けもつかないし、おぼえてもいられないのよ。無理~~。
 そんなわたしに、とてもやさしいプログラムでした。


 あ、チケットは友会で当たったの。
 よりによって、最前列センター。
 …………文化祭でこの席って、どうなん。
 や、ありがたいよ。ありがたいけど……坐ってわかる、文化祭向きの席じゃない、と。
 てゆーか、バウホールって基本、お芝居やる小劇場じゃないですか。ショー作品は数年に一度やるかどうかの。
 ショーを観るのに向かない席だった、1列目。
 ふつうのバウ公演では「最前列うれしい! ジェンヌさんが目の前!」というよろこびしかないけど、顔も知らない学生さん公演だとそういううれしさよりも、「舞台見えねえ……」というストレスの方が勝つような……。
 ひとりから数名が出てきて真正面向いて歌う歌謡ショーと、お芝居はよかった。膝より下は見えないし、下から見上げることになるから、みんなスタイル微妙に見えちゃうし、鼻の穴がやたら見えちゃうけど。でもでも、顔が近くで見えるのはいい。
 が、ダンスショーは1列目で踊る人以外、重なっちゃってなんにも見えなかった……。

 今年になって当たったのって、文化祭と月組ムラ二次のA席1枚だけなんですが。
 29回入力して、当たりが2回(勝率6.8%……ダイヤモンドなのに……)。そのうちの1回がコレ。しかも無駄にいい席。もっと後ろの席でも良かったんだけど……その分、他にも当たりを……むにゃむにゃ。

 や、文化祭は毎年出来る限り観たい人なので、当たって助かりました。
 舞台全体はまったく見えないけど、真ん中に来る人の顔はよく見えた!


 第1部はまず、日本舞踊から。
 毎度のことだが、突然同じ衣装(袴姿)の子たちが40人どどーっと出て来るわけだから、誰が誰だかさーっぱりわからん。
 ここで個別認識できる子って、相当個性的な顔立ちか、好みの顔か、ぐらい。
 まんちゃん、りくくん、レオ様とかは、日舞から目についてたよなあ。あ、あと、ちゃぴとカレーくんも。
 去年の文化祭では、なんつってもさちか様の弟くんね。さちか様を知らなかったとしても、顔はおぼえたと思う。
 まあそれくらいなにかしら、わっかりやすい特徴がないと、わたしの老化したのーみそでは判別できぬ。

 だが。
 今回は、4人判別が出来た。

 松岡さんわかった!
 顔わかってる人は、40人どどーん!でもわかるもんなんだね!(笑)
 わかってるったって、ニュースで流れた入学式の映像と新聞の写真ぐらいしか知らなくて(2年前じゃん)、ヅカ化粧顔知らないので、判別できるかどうか、わかんないなーと思ってたんだけど。
 ふつーに、「あ、あれ松岡さんだ」とわかった。

 なんつーか、思ったよりずっと「はんなり」した感じだった。
 表情とか上品。

 それから、上手側でコーラスしていた「わかば+カチャ」みたいな美少女さんと、元気に踊っていたきりやん系の少年、ソロ歌唱のお嬢さん。
 この4人。

 ……って、たんにハーフの人がふたりいて、それゆえに顔がおぼえやすかったというだけなんですけどね……てへ。

 続く。
2019年2月21日 青年館・ドラマシティ月組『チェ・ゲバラ』発表
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2019年 公演ラインアップ【日本青年館ホール公演/シアター・ドラマシティ公演】<7月~8月・月組『チェ・ゲバラ』>
2019/02/21
2019年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、【日本青年館ホール公演/シアター・ドラマシティ公演】の上演作品が決定しましたのでお知らせいたします。   
月組公演
■主演・・・(専科)轟 悠

◆日本青年館ホール:2019年7月30日(火)~8月5日(月)
一般前売:2019年6月9日(日)
座席料金:S席8,800円 A席6,000円
◆シアター・ドラマシティ:2019年8月11日(日)~8月19日(月)
一般前売:2019年6月23日(日)
座席料金:全席8,800円

ミュージカル
『チェ・ゲバラ』

作・演出/原田 諒

「20世紀で最も完璧な人間」とサルトルに言わしめた男、エルネスト・ゲバラ(通称チェ・ゲバラ)。生涯一闘士としての生き方を選び、鋼のように強い意志と炎のような情熱を持った彼は、数々の伝説を残した革命家でありながら、人間愛を貫いた男でもあった。没後50余年を経ても、その不屈の精神と高い理想は今なお色褪せることはない。フィデル・カストロとの友情、妻アレイダとの愛、革命家仲間たちとの心のふれあいと軋轢──多彩な登場人物たちを織り交ぜながら、その誇り高くも激しく、清廉で理想に燃えた生き様をドラマティックに、そして鮮烈なまでに力強く描き出すミュージカル。
エルネスト・ゲバラはアルゼンチンの裕福な家庭に生まれながらも、ラテンアメリカの貧困を憂い、その原因となっている列強国による支配を打破すべく立ち上がる。キューバのフィデル・カストロと志を同じくしたエルネストは共に戦い、キューバ革命を成功へと導く。やがてキューバ政府の要職に就いたエルネストだが、自らの存在意義と国家のあり方に苦悩することになる。「祖国か、死か!」──民族や国家を超えて、世界革命を追い求めた孤高の革命家の眼は、自らに課した次なる責務を見据えていた……。

 ラインアップ発表の感想。

 またか。

 ……すみません。
 でも、これ以外感想がナイ。
 またか。
 まだやるのか。

 原田作でトドロキ主演の「箇条書き偉人伝」。

 トドと原田って名コンビなの? 「賞取りレースまかせろ!」的な?

 てゆーか月組公演なのに、トド様主演するのね。
 たまきちは同時期に梅芸主演だしみやちゃんいないし、れいこは2連続主演するほど劇団推しスターじゃないし、順番的には暁くんだったけど……まだ早いと判断されたのか。実際若いし?
 にしても、トド様かぁ。
 トド様主演するなら、年間スケジュールにない専科公演をあとから増やす方が、組ファンには優しい気がするんだが。
 「うちの組の公演。主演誰かしら」とわくわくしているところに降臨するより、「うちの組の公演」はそのままに、プラスしてもう1公演、だと「組子の活躍のチャンスが増える」になると思うの。

 それでもまあ、わたしはトドロキ主演はそれはそれでいいんだけど、また原田せんせっつーのが、正直あきたー。
 トドはイシダか原田としか組まないのか……。

 原田せんせは演出は出来るから、きっと美しく盛り上げてはくれると思う。
 偉人の人生の出来事箇条書きだから、あからさまな大失敗もしないんだろうし。
 面白いといいな……。わたし『ドクトル・ジバゴ』はイマイチだったのニャ。

 そして、月組で原田、ということでひそかに肩を落としていること。
 れいこはやっぱり原田組でしょうか……。

 れいこちゃんは、『アル・カポネ』『瑠璃色の刻』と原田作品で2番手やってるからな。組替えしたのに、また同じ演出家に当たるなんて。
 2度あることは3度ある。つか、原田せんせもナニ気に同じ生徒使うからなー。
 あまり特定の演出家作品ばっか出てると、要所要所の「縁のある先生の作品でお願いする」主演作に、回ってきそうで嫌だ。
 だいもんが生田せんせで良かった、と胸をなで下ろしているのと反対、れいこといえば原田、になりませんように。


 月組は『ON THE TOWN』と『チェ・ゲバラ』の2分割。
 わたしフォーラムの『ON THE TOWN』は観てないんだけど、『チェ・ゲバラ』とどっちがタカラヅカ的にオイシイのかしら……。やっぱ『チェ・ゲバラ』?
 『CASANOVA』感想。
 初日の帰り道で書いたメモより。
 基本箇条書き、順不同(思いついたまま)、まとまりなし。


 おー、歌のミュージカルだあ。
 歌がいっぱい。
 というか。
 歌多いな。長いな。

 長い歌の場面が終わりました、さあ次は物語パートがスタート……しない、また歌かーー!! 物語は? 物語はどこ?
 物語少ないなヲイ。

 みりお様は歌ウマだからイイ。
 美しい上に歌ウマってすごい。タカラヅカすごい。
 歌ばっかでも、長くても、うまいからいいのか。きれいだからいいのか。

 とはいえ、ちなっちゃんの歌は長かった。3回くらい、「ここで終わりだな」と拍手の準備して、その都度「まだ歌うんかい!」となった。
 ちなっちゃんが妖しい美女で歌ウマで、たっぷり聴かせてくれるのはうれしいんだが、予想の3倍は長かった(笑)。

 カレーくんが歌えたらなあ……。
 歌メインの作品になると、ただもう「歌えない」だけで弱点になってしまう。
 カレーくんの役はたぶん、歌ウマさんが演じていたら、すごくおいしい役だろうな。ショーヴラン系だから。
 真の悪人のいない舞台での、悪い役。この人がいないと主人公は自由自在に好き勝手やって、ただでさえ乏しい起承転結がさらに平坦になる。
 ストーリーがなくても気にすんな、キャラ物だからキャラクタに見せ場があれば良し、という作りである以上、悪役はどーんと「黒いですよ!」と見せ場を盛り上げてくれないと。
 あきらとのデュエット場面とか、この歌、本当はもっとかっこいいんだろうな、と想像した。
 ……あきらもなあ、歌はなあ。

 でも、カレーくんもあきらも、彼ら比では歌うまくなってる!

 でもってカレーくんは納得の美貌。華があるってこういうことさ!と、苦手分野はさておき華やいでる。
 てゆーかカレーくんとちなっちゃんカップルいい。このふたりがすれちがうのわかる、共通言語なさそう(笑)。でも、想い合ってるのもわかる、言語以外のとこでかみ合うんだろう(笑)。

 あきらもいい役でよかった……言うなればパリス伯爵だけど、ちゃんと男前だもん。じゅりあ様が一目惚れしてくれるくらいの!


 仙名さんがかわいい。
 めっちゃかわいい。
 ポスター詐欺(笑)。
 もっとセクシーなのかと思った。

 仙名さんが活き活きしているのを観て、切なくなった。
 わたしが彼女に求めたものは、彼女の魅力とは別のところにあったのかなあ、とか。
 まあそれはまたいずれ。
 とにかく今は、仙名さんがかわいい。

 べーちゃんがかわいい。
 大人で気品があって、でも姫君ではなく侍女で。
 庶民タイプと言われたべーちゃんが、今はこんなに品のあるお姉さんになって、誠実さがにじみ出ていて愛しい。
 マイティとのラブいシーン観たかったなあ。

 じゅりあ様が美しい。
 つか、いっくんじゅりあ様好きだよね、ドリーム持ってるよね、そのへん期待してたよ、美しくてハッピーエンドのじゅりあ様をありがとう。

 華ちゃんかわいい、モブでもかわいい。……あれ、モブじゃなくて役あるのか。見せ場ないな、もったいない。
 でもとにかくかわいい。


 モブにすごく好みの男前がいる……え、あれ聖乃くん? あんな顔だった? ニヒルな笑いがツボ。

 モジャモジャでも男前なマイティすごいな。この調子で出ずっぱりなの? ずっとみりお様と一緒なの? ……と思ったら後半あんま出て来なかったような?


 ……って、人の感想だけ書き殴ってあったんだけど、どの人を取ってもかっこいい、かわいい、美しいしか書いてない。ナニこのアタマ悪い感想メモ。

 でもそれって、すごく幸せなことじゃないかい?
 タカラヅカを観た感想が、どの人を観てもどの場面を観ても、ひたすら「かっこいい、かわいい、美しい」って……。

 良い「タカラヅカ」だね、『CASANOVA』。

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