第10回『JURIのやっぱりGOGO5!?』、どーせすぐにスカステ放送されるし、わたしの海馬ではまともな記録なんかできてないし、相変わらずアッタマ悪く感想のみ記します。

 樹里ちゃんが、「愉快な生き物発見!」という目で、がおりを見ていた。

 初対面だったという、樹里ちゃんとがおりくん。
 「はじめまして」と挨拶し合って、「『黒い瞳』でマクシームィチ演じたんですよ」てな世間話からはじまったふたり。

 キムくんは緊張していても緊張しているように見えないタイプだし(なにをやっても余裕綽々に見える)、ひろみちゃんは実際イベントごとには慣れているだろうし樹里ちゃんとは小学生(!)のときからのつきあいだというし、ほわわんとしたタイプなのでヨシとして。

 がおりくんは、いちばん緊張しているように見えた。
 なんつーか、ひとりだけ「隙なくタカラヅカ男役!」なスタイルを作っていた。
 気合いのロングブーツもそうだし、ヒールもそうだし。樹里ちゃんに指摘されていたけれど、坐り方自体「タカラヅカ男役ですが、ナニか?」なカタチだった。

 そうやって、緊張していることは見てわかるのに。

 彼は……その緊張に、まったく負けていなかった。
 むしろ飄々と、自己表現していた。

 なんつーか、個性的な人やなあ。

 どれくらい変な人かってゆーと。

 舞台上で、「なまこ」の真似をしたスターは、ヅカ史上に存在しただろうか?

 わたしはお笑いにうといんですが、どこぞのお笑い芸人さんの持ちネタにあるの? なまこって?

 パンダの物真似をしていたまっつも大概だと思うけど(それ、わかりにくい)、なまこ、ってそもそも、物真似できるもんなの……?

 スイーツのこだわりを語るキムラさんに対し、がおりくんが「こだわりの食べ物」として語った物が、なまこ……。
 スイーツに対して、なまこ……。

 どれだけなまこが好きかを熱く語るタカラジェンヌ。
 お店で丸ごと一匹買ってきて、自分で捌くそうだ。内臓をどうするとか、リアルな話もさらりと。
「なまこって丸ごと売ってるの?」
「故郷ではふつーに売ってます」
 山口県、おそるべし!!
 山口県民はみんな生きたなまこ丸ごと買ってきて、自宅で捌くのか……すげえな。
 大阪人はみんな自宅でたこ焼きを作る、と似た香りのするネタだ。

 なまこ愛を語りまくるがおりくん。
 とーぜん樹里ちゃんに渾名を付けられた。「なまこ」と。

 そして渾名はさらに発展し、「なまこホリック」に。

 ことあるごとに「なまこ」連発。
 罰ゲーム(キムに押しつけられた・笑)ときも、樹里ちゃんから「ナニやるの? なまこの物真似?」と言われ、「はい」とふたつ返事、その場で「なまこ!」とやって見せた。
 がおりくんは罰ゲーム用にキムくんの物真似を仕込んできていたので、なまこの物真似はアドリブだと思うんだが……咄嗟にできるもんなんだ……。
 ついでにひろみちゃんも巻き込んで、ふたりでなまこの物真似してた……。

 変だ……こいつ、変……。

 樹里ちゃんにナニを言われても、「はい」と真顔で受け答え。笑っちゃって大変、ということもなく、速球に速球で返すというか。
「化粧顔と素顔、すごいチガウよね」(ありがちなツッコミ)
「はい、そうなんです。目と目とが離れすぎてて、書き込むのが大変です」(真顔)

 目と目が離れているというと、その代表格はとなみちゃん。
「どちらの方がより離れているか」ってことで、目の間を計ったことがあるそうだ。
 ……ジェンヌって、変……ふつーそんなことしない……。
「で、誰がいちばんだったの?」
「となみさんでした」
 ……ジェンヌって、変……。

 となみちゃんは「新幹線ガオ」だと言って盛り上がる。
「それも、ひかり号な!」とじゅりぴょん。
 いや、たしかにそうなんだけど。なんて容赦ない……(笑)。

 とにかくがおりくんはいちいち反応が変で、樹里ちゃんが大変機嫌良く彼に絡んでました。
 一見まともそうなのにな……いや、すごく真面目な受け答えする人で、質問に対する答えも的確で、ナニも間違ってないんだけど、なんかしら変っていうか、この人一見まともそうなのに、……という感想になる(笑)。

 がおりくんで、『ベイビーステップ』の難波江くんを見てみたいと思いました。(7巻の表紙の子です)

 キムくんの物真似も、すごく的確っちゅーか、うまくて。
 この子能力高いなーと。

 それらすべて、笑いながらウケながらとかじゃなく、おろおろしながらとかでもなく、事務的ってわけじゃないけどすべてを受諾・一種の予定調和的諦観による許容をにおわせているあたりがもお、ナニこの変な子、という印象。

 おもしろい子だなあ、がおりくん……。
 ヲヅキさんとはタイプが違うのに、彼に通じる独特の雰囲気。

 
 ひろみちゃんは、すごくアタマのいい人、という印象でした。
 ぽやんぽやんと癒し系小動物みたいににこにこしているのに、フォローがうまい。
 こぼれ球をひとつひとつ拾って返してくれる。それもレギュラーとしてコートの真ん中にいるんじゃなくて、コートの外で球拾いしてるんだけど、必要なときにちゃんと「どうぞ」って珠を拾って返してくれるの。
 えらいなー、すごいなー。
 数日前のアフタートークショーでも感じたんだ。とっちらかった話題とかを、ひろみちゃんが拾ってくれるんだよね。

 最近舞台でひろみちゃんの活躍の場が減っているので、こうやってトークショーで彼がちゃんとスターとして存在しているのを見て、ほっとした。

 
 爆笑につぐ爆笑。
 期待に違わず、すっごく楽しかった。

 そして、長らく続いた『GOGO5』はこれで最終回。
 最後に新番組の告知くるかなーと思ったけど、それもなかった。
 ほんとにコレで終わりなのかなあ。

 わたしは樹里ちゃん好きだし、タイトルを変えてまた続けていって欲しいと思う。
 
 けど。
 今回またちょっと、思った。
 現役スターと学年が離れすぎた人が司会のトークイベントは、そろそろつらいかなと。
 司会者が現在のタカラヅカについて勉強熱心な人ならいいけど、樹里ちゃんはそうじゃない。ゲストとして出演する現役生の基礎知識すら入れていない人だ。
 現在のヅカファンなら知っていて当然のこと(誰がどの組だとかどの公演に出たとか、同期だとか。どんな公演やイベントがあったとか)をナニも知らないで、トークをする。せっかくの話題が基礎知識のなさゆえにいちいち頓挫するんだな。
 たとえば、キムがスイーツを好きである、ということも知らないので、まずキムがその説明からしなければならない。そんな説明はイイから、話進めてくれよと思うよ。
 今は機転とキャラで乗り切ってるけど、このまま「タカラヅカのことナニも知らないし、知る気もないです」で世代違いのスターたちとトークをされるのは、キビシイかもなあと。

 それでも、樹里ちゃんのトークもキャラも好きなんだけどね。『GOGO5』は樹里ちゃんだからこその面白さなんだし。
 彼女がもっとちゃんと、現在のタカラヅカに興味を持ってくれるといいなと思う。
 人生は発見の繰り返しである。
 このトシになってなお、知らないことを目の当たりにし、その真実にアゴを落とすのである。

 第10回『JURIのやっぱりGOGO5!?』に行ってきました。

 わたしのくじ運って贔屓関係ないと発揮されるのか、すげー良席でございました。オペラグラスいらず……。

 そこではじめて知ったの。

 キムくんって、かっこいい。

 ……すすすすすみませんすみませんすみません。今ごろナニ言ってんだってことは承知しております。
 我が雪組のトップスター様つかまえて、そんな当たり前のことを今さら何故言う、驚く、発見とか言う!!

 舞台のキムくんがかっこいいことは知っている。
 そんなのずーっと昔から言っている。

 だけど、素顔のキムくんがどうとか、考えたことがなかったのよ。

 わたしは基本、ジェンヌは舞台の上しか知らない。
 スカステで素顔のトークとかは見ているけれど、あくまでもブラウン管の中。(すみません、ウチ、まだブラウン管です)

 ナマでジェンヌを見る機会はほとんどナイ。
 テレビという、誰かの視点(カメラとか編集とか)を通してのジェンヌしか知らない。
 こんなトークショーでもない限り、素顔なんかわかんないのよ。制作発表もアフタートークショーも、舞台衣装と化粧だったし。

 キムくんのことはずっと好きだった……というか、なまじ彼が下級生のころから舞台でテレビで眺めているだけに、印象が固まっている。
 すなわち、かわいいと。

 収集癖のあるヲタクであるところのわたしは、スカステに加入した2004年からこっち、ずーっと固定ジェンヌの映像を録り溜めている。そのジェンヌが出演しているトーク番組とかを蒐集する、わけだ。
 このブログのどこかにも書いた気がするが、ケロゆーひトドかしげしい水トウコオサとかはずっと録画していた。みんな卒業しちゃったけど……って、トドとゆーひさん現役ですがな。まだ録り続けてますよ(笑)。
 んで、そのスタートメンバーの中に、キムも入ってる。すでに「音月桂」だけでファイル1冊ある。トークだけでだよ、出演番組多すぎだよ御曹司。(ちなみにまっつは、彼にオチた2005年から蒐集をはじめた。上記の人たちより1年遅いスタートである)
 そうやって、テレビの中の彼をずっと見てきて、なんかもう「知ってる」気になっていたんだね。

 考えてみればわたし、キムくんナマで見るの、はじめてだ。
 トップ退団千秋楽の入りでどさくさまぎれに目撃、とかぢゃなくて。
 ちゃんとした舞台で、芸能人としての、スターとしての彼を見るの。

 格好いい。

 ぽかーん……。

 かわいいと思ってた。
 女の子だと思ってた。
 舞台では男臭いけど、素はスイーツ好きのかわいい女の子だと思ってた。

 ごめん。心から謝る。

 ちょうかっこいー。

 リアルに少年。
 イケメンなの。
 きりっとした顔立ちもだし、肩や二の腕、姿勢、体型、歩き方。
 美しい若者がそこにいる。

 ほんとにびびった。
 まさか、ときめくとは思わなくて(笑)。オマエどんだけキムをなめとったん、つーのを白状しているよーなもんですが。
 すみません、びびりました。

 マジ、あんな男の子好きです。
 超美形とか現実離れした人形みたいな人、ではなく、生身のかっこいーにーちゃん。生身っつっても、わたしみたいな凡人はおそれおおくて近寄れない。「特別な人」ならではのオーラあり、そのくせぱぁっとさわやかなイケメン。

 年齢も性別も不明だわ。
 ハタチくらいの少年に見える。芸能事務所所属の。
 街歩いてたら「今の事務所どこ?」と声掛けられる系の。

 フィンチ役のために髪を切ったとかで、その髪型がまたイイの。襟足すっきり少年度アップ。

 美しい若者が、ソコにいる……。

 じゅりぴょんにいじられ、表情豊かゼスチャー豊かにリアクションしてるんだけど、なんかすごく不思議な生き物に見えた。

 わたしがこの前に観に行った『GOGO5』はまとぶん・みわっち・まっつだったし、その前は水しぇん・かなめ・ヲヅキだったりする。(きりやんは当たったけど日程が合わなくて、スカステさんへ権利を放棄しました……行きたかったよおお)
 彼らは「男役」としての美しさのある人たちだった。
 美しい女性ではなく、「男役」だな、という印象。

 もちろんキムくんもそうなんだろうけど。
 わたしには「男役」という美しい女性、ではなく、性別を超えた存在に見えた。
 少年だと思って見たら、それで通るっていうか。

 それだけ彼はナチュラルなんだろう。
 人工的なにおいがしない。

 なんか……まずいなあ。
 キムくんがマジで男の子だったらよかったのに。あれで女の子だなんて、なんかまずいっていうか、ずるい気がした。

 わたしがハタチそこそこの少女で、今のキムくんと出会ってたら、マジ落ちして大変だったろうなあ。
 もともと彼の顔は好きなんだ。あの分厚い唇とか。でかい笑顔とか。ナニ気に立派なアゴとか。鼻が唯一好みからはずれてるんだけどねー、その鼻も許容範囲内だしねー。
 いやあ、大人になってから出会って良かった。おばちゃん、虚構とは距離置いて楽しめるからね、マジでどうこうナイからね、と(笑)。

 顔だけでなく、あの骨っぽい肩と筋肉質な腕を見ているだけでも、楽しくてしょーがなかった……まさかこんなに好みの男だったとは……ぬかったわ……。

 
 他の出演者は、ひろみちゃんとがおりくん。

 がおりくんの体型が、好みだった。

 やっぱ肩と腕ですな。
 リアル若者っぽくて。
 そして、がおりくんが「キムさんの真似」を4連発してくれるんだけど、コレがまた、格好いい。
 がおりもだし、アタマの中でキムに変換して、さらに悶えた(笑)。
 うおおお。キムかっけー。

 こまった。
 贔屓の同期が、まさかこんな二枚目だったとは……好みだったとは……くそお。
(重ね重ね失礼発言)

 
 他の感想はまた別欄で。
 『ハウ・トゥー・サクシード』を救う方法は、1幕95分モノに短縮することだと思うんだ(笑)。

 初演を1回観ただけ、肌に合わなかったのでそれきり一度も観ていないわたしは、とても新鮮な気持ちで雪組版の『H2$』初日を観劇した。
 そして、1幕の長さに驚いた(笑)。

 わたしの周囲限定の狭い世界の話で恐縮だが、誰も彼もが「1幕がつらい」「あんまり長いから、休憩無しで3時間上演するのかと思った(=1幕の1時間半が3時間に感じられた)」「1幕は寝た」「もう2幕だけでイイよ」との意見。1幕に見せ場があるまっつメイトですらそう言うほどに、1幕はつらい。

 1幕のテンポの悪さはすごーく前世紀的。
 2幕になると話が動くので、それほど苦痛ではないんだが。

 そんならもう1幕は大幅に削って、ふつーに全部で95分の芝居にしちゃえよ。
 で、2幕はショーを55分やればいいじゃん。ロケットも階段も付けて。

 まず真っ先に、「コーヒーブレイク」の場面をカットだな(笑)。
 『H2$』というと!という名場面らしいが、これこそカット。いらんやろコレ。
 ストーリーとは無関係、もちろん主人公もヒロインも出ない、突然なんの脈絡もなくはじまって、しかも長い。
 ストーリーと関係なくても唐突でも、共感できるとか感動できる場面ならアリだけど、ソレすらない。日本人ぽかーん……。

 「コーヒーブレイク」の場面は、2幕目のショーに入れればいいよ。芝居の中にはイラナイ。

 んであとは、ヒロインの妄想ソロかなあ、カットするの。
 主人公以上にヒロインはひとりでえんえん歌い続けるからなあ。ストーリーとは直接無関係……というか、説明にはなるけどアクションにはならない、彼女の考え方を表すだけの歌が……しかも長い。

 主人公のサクセスに視点を合わせ、それに直接関係する場面のみをチョイス。
 次に、ストーリーと関連し、なおかつ出演人数の多い、派手な場面をチョイス。
 重複やただの説明場面はカット。
 主人公の場面でも、だらだら会話や歌で時間を使わず、テンポアップする。

 それで95分に収めてくれ。
 主人公がどんだけ小狡くて、現代日本人が「それってどうよ?」とか「こんな人やだ」と思う前に・気付く前に、テンポの良さでさくさく進んでエンドマークにまでこぎつけてくれ。

 あ、ただし作中唯一のタカラヅカっぽい場面である、重役洗面室はそのままに。
 主人公がまともに「かっこいい」場面ってあそこくらいじゃん。

 160分も必要な芝居ぢゃないよコレ……。

 
 で、2幕は1960年代ニューヨークを舞台にしたショー。
 1幕に入りきらなかった「コーヒーブレイク」をはじめ、お洒落にパワフルに展開させるの。
 澄夫ちゃんだから、見た目にきれいなショーになるはず。ナマ演奏だし。
 ニューヨーク物の定番、ギャングや裏社会アリですよ、男たちのキザな場面、それに絡む美女たちの艶っぽい場面。
 そこに迷い込んできた純真な少女みみ、彼女を守ろうとするギャングキム、敵対するちぎとか。ありがちでいいんです、ヅカは同じこと繰り返してナンボです。
 ジャズでもロックでもゴスペルでも、なんでもござれ。キムもまっつもかおりもヒメも、がんがん歌いますよ! 汝鳥サマだってキュートに参加しますわよ!
 芝居で二枚目シーンのなかったちぎくんも美貌を発揮し、出番のなかったせしる以下も見せ場をもらって輝くのよ。
 あちこちに『H2$』っぽいモチーフや、「バドの日常」場面とか、「ヘディちゃんの前の職業」とか、関連したことをやりつつ。
 最後はトップコンビのデュエットダンス、そして中階段を使ってのパレード、もちろん大羽根+シャンシャン付き。シャンシャンはやっぱアレか、$マークか(笑)。

 
 観たかったなあ、そんな『H2$』。
 今まで何度も書いてますが、わたしは『ハウ・トゥー・サクシード』は嫌いです。
 作品として、物語として、共感できません。
 なんでこんなもんをタカラヅカでやるんだ、ブロードウェイとやらでやってればそれでいいじゃないか! と思ってます。

 だからストーリー部分もキャラクタもテーマもみんなみんなあきらめて、贔屓や雪組っこたちを眺めに通っています。
 愛しい彼らを観るために劇場へ行きます。
 とりあえず、人事部長は美形なので、彼単体を見る分には楽しいので。

 あくまでも、わたし個人の好みの問題です。
 ひとさまのことはわかりません。

 アメリカンな思想っちゅーか笑いのセンスは、わたしには理解不能です。

 もともとわたしは笑いのツボが少ないんですよ。
 趣味に合わない「笑い」はむしろ「逆鱗」に触れます。

 わたしの苦手な「笑い」は、「人の不幸を笑う」「他人を傷つけて笑わせる」「弱いモノ・愚かなモノをいじめ、彼らが苦しむ様を笑う」などです。
 アメリカさんのコメディは、ソレ系が多分にあるため、苦手です。

 『H2$』初演からして、ダメでした。
 わたしの苦手な笑いに充ち満ちていて。

 フィクションだから、主人公が卑劣でもいいんです。「こんな酷いことをするなんて!」ときーきー言ったりしません。
 ピカレスクロマンは好物です、悪い人が「悪い」とわかっていて悪を為し、観客もそれを悪だとわかって見ているならば。
 ダメなのは、卑劣な主人公が悪を行うのに、それを「正義」として描かれたもの。シリアスでもダメだし、コメディでもやだ、キモチワルイ。
 『H2$』は主人公もヒロインも、敵役も全員ひどい人です。嘘をついて自分だけが得をし、他人を陥れることを是とする主人公、アタマの中はピンクなことと自分の欲だけで完結したヒロイン、主人公と同じ性格の敵役。彼らが行う酷いことを「笑う」「愉しむ」世界観は、わたしの感性と対極にあります。

 苦手だ……アリエナイ……助けてくれ……。

 植爺作品を同じ意味で苦手なので、今回『H2$』を観てすごく植爺作品を彷彿としていました。
 や、一緒にしたら悪いけど。いくらなんでも植爺とじゃな(笑)。
 『H2$』はよく出来た作品なので、破綻しきった植爺とはまーーったく品質がチガウのだけど、主人公の嫌さ加減が同類項。
 わたしとは相容れない感性によって造形されているため、出番の多さ台詞の多さに比例して嫌悪感が増す。だから主要人物はみんな苦手、台詞のろくにない脇役の方が嫌わなくて済むので心安らかに観ていられる、という。
 『外伝ベルサイユのばら-アンドレ編-』のとき、贔屓に台詞がひとつしかないことに、かえって感謝したことを思い出した。台詞ナシで、あとはただ美しい姿を見せてくれているだけなら、彼のことは単純に好きでいられる、と。
 今回の『H2$』がなんとか耐えていられるのは、リピートできているのは、同じことだと思う。
 脇で良かった……あの程度の描かれ方なら別に、キャラを嫌いにはならない(笑)。

 
 でもって、わたしが苦手だから、ってだけでなく、この作品は雪組に合っているんだろうか?

 キムくんはほんとに雪組御曹司なんだと思う。
 彼の今ドキの若者的な明るい可愛い持ち味は、たしかに軽妙に映るのかもしれない。
 雪組を大して見たことナイ人なら、キムくんのわかりやすい可愛らしさ、少年っぽさゆえに「陽気なアメリカンコメディが似合う」と思うのかもしれない。
 でもなあ、ソレ、見た目だけだから。
 キムくんは雪組の重く真面目な遺伝子をしっかり受け継いだ人だから。
 トドやタータン系譜の人だから。

 芸風的にキムは、『H2$』や『ME AND MY GIRL』とかが、いちばん似合わないトップスターだと思うんだけどなあ。
 彼の不幸は、「見た目」がそれらがいちばん似合うトップスターだってことだよなあ。

 劇団のエライ人も、雪組プロデューサーも、雪組の公演をろくに観たことないのかもなあ、と思った。
 一見さんくらいの認識で「似合うよねー」とか言ってそう。

 キムは重厚な悲劇系の方が似合うし、生真面目な雪組もその方が実力を発揮できると思う。
 『ロシアン・ブルー』 のときも思ったけれど、雪組はコメディのときも大真面目に真剣にコメディを演じ、結局なんか深刻に観てしまって肩が凝る芸風。

 ただキムくんは、実力のある人だ。
 持ち味と違っていても、演じてしまう。
 フィンチ役も彼の得意分野ではないけれど、ちゃんと演じている。真ん中として機能している。
 技術があるってすごいな、うまいなーと感心する。

 ふつーに1回だけ、タカラヅカもなにも関係なく観る分は楽しいんじゃないかなあ。
 わたしも小学生の頃なら、ふつーに笑って観ていたと思う。滑稽な人が滑稽なことをしたら、そのまま笑っていたもの。(中学生から『はみだしっ子』にかぶれたため、ピエロを見ても笑えなくなった・笑)

 すごいや、うまいや、と眺めつつ。
 キムみみのラヴラヴ芝居あたりを見ながら、このふたりで、ドロドロの悲劇とか見ててぇ!と、切望した。
 心理とか掘り下げ系の、無駄に難解でうざったいヤツ。
 高尚ぶるわけじゃないの、単にキムみみだと軽妙なモノよりソレ系の方が心穏やかに見られるってことなの(笑)。

 
 劇団はなんでこう、海外ミュージカルを輸入するセンスが悪いんだろう。
 半世紀前に外国で大人気だったとかを判断基準にするとか、アリエナイ。

 一昔前のタカラヅカはスター個人で客を呼ぶ時代だったので、どんなクソ作品でも客は入った。ファンはスターさえ見れればソレでヨシ、作品なんかどーでもいいからどんなモノでもリピートした。
 でも今はそうじゃない。
 スターが誰であるというよりも、作品がなんであるか。

 外国の人が、でも、何十年前の人が、でもなく、今現代の日本人が、ナニを楽しいと思うか。
 それを考えて欲しいよ。

 なんで『めぐり会いは再び』があんなに現代のヅカファンに喜ばれているか、わかんないのかなあ。

 
 いやその。
 『H2$』リピートしんどいなあ、贔屓がいても。という愚痴でした(笑)。いやそれでもまだマシだと思う、部長かっこいーだけ考えていればいいんだから。
 ところで『ハウ・トゥー・サクシード』のイベントの数々は、テレビ放送あるんでしょうか。
 わたしにルポ機能はないので、誰がナニを言った、とかゆーのではなく、あくまでも、こんな感じだった、わたしにはこう見えてこう感じられた、ということを記すのみ。
 テレビでもサイトでも、どっかに正しい記述が残っていればいいのにねえ。わたしは嘘八百しか書かないから。(脳内変換済のため)

 さて、アフタートークショー『努力しないで出世したい重役たち』に行ったのはもちろん、まっつ目当てです。
 こーゆーイベント物に、まっつが混ぜてもらえることはまずなく、わたしが彼のファンになってからはたぶんはじめてです。一度も見たことナイもの。
 公演関係トークショーだと、持ち回りでやってくる「トークスペシャルin東京」に5年前『ファントム』で出演したのが最後か。持ち回りで順番制だから、「まっつだから!」というイベントではない。
 公演とは別だと、スカステの『JURIのやっぱりGOGO5!?』に3年前出演したのが最後。
 『H2$』の制作発表参加はまっつ人生はじめてだったわけだしねええ。
 イベントごとには参加させてもらえないポジションの人だと覚悟していただけに、毎回なにをおいても駆けつけたし、今後もそうするつもり。1回1回が超貴重、見逃すな。

 つーことで、とても貴重なイベント。
 あの広大な梅芸にて、2000人近い観客の視線を浴びて、歌うでなく踊るでなく、演出された芝居をするでなく脚本通りの台詞を喋るでなく、ただ、喋る。
 すごーく緊張することだと思う。

 が。

 なんつーんだ、まつださん……ゆるい?(笑)

 制作発表のときの方が、よっぽど緊張感あったと思う。
 まっつだけでなく、全員それほど緊張している風ではないっていうか、ゆるくぐだぐだに喋っていたような。

 それって、司会がヲヅキだから?(笑)

 バウホールと違って、客席が多すぎて遠すぎたから、かえって気にならないのかもなあ。

 みんなスーツ姿に舞台メイクだから、自然におっさん。肘掛け椅子に坐る姿も、自然におっさん。
 キムとちぎは青年だけど……コマもまだ若めだけど……まっつとヲヅキは容赦なくおっさんだった。あと、意外にひろみちゃんも年齢高く見えた。

 まっつはよく喋っていた。
 自分から喋っていた。
 マイクなくても関係なく喋っていた。

 成長したなあああ。
 オサ様コンサート『I got music』のとき、学年や立ち位置から、もっと積極的に参加しなければいけないフリートークの場で、完全に傍観者、自分から喋る気ナッシングでただ笑っていた青年とは思えないっす。(あんときは、みわさんとそのかが喋り続けていた)

 大人になったまっつが、気負いなく自然な様子で会話していて。
 そんな彼を眺めているのが、うれしかった。
 今、充実しているんだね。組替え決まったときはどうなることかと気を揉んだけど、幸せならよかったよ。

 話の内容よりも、雪組で、仲間たちと一緒にいる彼の、ゆるい空気感こそ興味深く、また、感動してました。

 話はあんまりおぼえてないわ(笑)。

 最初の質問は役作りについてだっけか。人事部長はふつーの人だから、ふつーの人が真面目にしていることのおかしさを、てな、「NOW ON STAGE」でも制作発表でも言っていたことの繰り返し、目新しさナシ。
 失敗談は、ない、と言い切って終了。それよりひとの失敗談にツッコミ入れるのに忙しい。
 まっつは楽しそうにすっころんだローズマリーと、それをフォローする男前なフィンチについて話すんだけど、完全説明不足、内心「ヲヅキ、司会者、なんとかしろ! ローズマリー@まっつ、フィンチ@キムで再現させろ!!」とじたばたした。……該当の公演を見ていない人には、なにがどうなったのかわかんなかったと思うよ、あれじゃ。

 健康法は、湯船につかること、なんだけど。まっつの言い方が男子的荒っぽさで。
「健康法で気を付けているのは、風呂に入ること」
 みんな、がやがや。
 あ、言葉足りてないかな、と、まっつはさらに。
「あたし、お風呂嫌いなんです」
 客席ざわざわっ。

 風呂が嫌いな女優。風呂が嫌いな妙齢の美女。←

 ワイルド系男子ならソレもありかもしれんがなー、女子がソレ言っちゃうとまずいよなー、イメージ的に。
 まっつも、しまったと思ったのか、すごい勢いで注釈していた。
 湯船につかるのが嫌いだけど、健康のことを思ってがんばってつかっていると。お風呂自体はちゃんと入ってるし、清潔ですと。

 自分で自分を「清潔ですよ!」と宣伝しなければならないタカラジェンヌをはぢめて見た……(笑)。

 今までもまっつは、ことあるごとに「湯船嫌い」を言っているので、ファンはみんな知っていること、シャワー派の人だっつーだけのことなんだが、今回は言い方が悪かった。
 ダブルのスーツの中年男姿で、「俺、風呂嫌いだから」って、どんだけ男らしい発言……。

 そして、まっつの「風呂嫌い」発言を聞いたときにどよめいた客席と舞台上、なかでも「カッコイイ(はぁと)」とすかさずつぶやいたひろみちゃんがステキです。

 そのひろみちゃんは健康ヲタクらしく、なにかハマるたびにまっつに勧めたくてしょうがなくなるらしい。
「あたしってそんなに不健康そう?!」
 と、声を上げるまっつに、納得の客席(笑)。健康優良児には見えないよね。
 現代のサッカー部主将より、大正時代の肺病の書生さんの方が似合うキャラだもんな。

 努力しないで手に入れられたものってなんかある、てな質問で、みんなが「うーん……」と悩んじゃってる中、まっつは挙手して「男役の声」と。
 音楽学校入学試験の面接時に、試験官から「その声は地声ですか」と聞かれたと。
 受験のときってまっつまだ17歳? 入団当初の写真を見る限り、世間の同世代よりさらに幼い感じ(ジェンヌにはよくあることだが)だったのに、「かわいい娘役さんね」ってな顔だったのに、それであんな声だったのか……。
 まあこの話も既出だからファンはみんな知っているけど、本人の口からあの声で言われると愉快ですわ。

 まっつの美声は「神が授けた声」なんだなあ。

 おっさん姿で「あたし」なまっつがステキで身悶えますわ。
 「わたし」と言っているのかもしれないけど、冒頭の子音が聞こえないので「あたし」に聞こえる。
 一人称がソレでも、声がアレなうえに女オンナした喋り方でもないので、不思議な味になっている。

 この日は学生の団体さんがどーんと入っていたんだが、彼らの目にはどう映るのかねえ。
 見た目はおっさん、でも女子として喋る出演者のトークって……。
 タカラヅカおそるべしっ!とか?
 緒月遠麻に司会をさせると企画した、その瞬間からこの結果は出ていたのだ。

 イベント目白押しの『ハウ・トゥー・サクシード』です。
  アフタートークショー『努力しないで出世したい重役たち』に行ってきました。

 出演者は、フィンチ@キム、バド@ちぎ、ブラット@まっつ、ギャッチ@コマ、ジェンキンズ@ひろみ。
 そして、司会者が、ウォンパー@ヲヅキ。

 6人ともフィナーレまんまのおっさん(青年)姿。

 ジェンヌだけに託されたトークショーがぐだぐだになる、というのはよくあること。
 そーゆーところも含めて、ファンは楽しく愛でるわけだが。

 このトークショーは、ぐだぐたすら、超えていた。

 なんつーの?

 自由?(首傾げ)

 トークショーが終わったあと、まっつメイトと「このトークショーの面白さって、絶対観た人にしかわからないよね」と頷き合った。
 話していた内容だけを文字にしても「ふつう?」な感じだし、テレビで流したにしろ、ジェンヌが答えているところだけを編集したんじゃ伝わらない。
 なんというか、とても手に負えないトークショーだった。

 とゆーのもすべては。

 司会をするヲヅキの、投げやりさにあるのだ(笑)。

 あああ。
 ヲヅキが好きだ……もーめちゃくちゃ好きだー。(身悶え)

 まず、坐り方。
 制作発表のとき、おっさんスーツ姿で背筋をぴんと伸ばし、両膝と足首を揃えた女の子坐りをしていたヲヅキさん。
 それとは別人のようにラフな、くつろいだ坐り方をしていました。
 肘掛け椅子に深々と坐り、脚は自然に開いて猫背。
 脱力したおっさんがそこに。

「ほんじつは『H2$』をごらんいただき、ありがとうございました(早口・棒読み)」
 という、口火を切る挨拶からして、相当だった。
 なんつーんだ、「ありがとう」という言葉を使っていながら、客の顔を見ていない、誰に伝えるために発しているのかわからない。

 そして彼はその体勢のままファイルを開き「まずなにしましょうかね。えー、んじゃじこしょうかい」てなノリ。
 すべてが、投げやり。
 放りっぱなし。
 仕切ろうとかいう気概もなければ、人の話も聞いていない風、客のことも気にしていない風。
 「やくづくりについてかたってください」とかお題目を言ったあとはファイルに目を落として、喋っている人をろくに見ないし、ましてや客席なんか、カケラも見ないっ。
 ヲヅキさんはうつむいた横顔しか見せてくれません。

 完全に「他人事」になっているので、全員が質問に答えたあとキムくんとかが「きたろうはどうなの」と振ると、顔を上げることもなくぼそっとひとことてきとーな返事で終了し、「じゃあつぎ」と質問を読み上げる。

 キムくんが「こんなにラフでいいの?」と何度も繰り返していた。
 あまりにあまりな空気感なので。
 そして、ヲヅキさんのシュールさに「やだこの司会者!」「ほんと自由だね!」と叫んでいた。

 ファイルには進行や質問が書いてあるらしく、最初のいくつかは「必ず聞く質問」と書いてあったんだろうけど、「時間が余ったら、ここから好きな質問を選ぶ」欄も別にあったんだと思う。
 まず必須事項を終わらせたヲヅキさんは、その「彼の選択にゆだねられた質問」に関してはもう、さらに投げやりで。

「つぎなににしますか」←質問を選ぶのは司会者、質問一覧を持っているのも司会者、なのに出演者に聞く
 自分でそう聞いておきながら、
「じゃあけんこうのひけつ」←棒読み

 ヲヅキ……。

 なんなんだろうね、この人。

 もう、大爆笑。オイシイところはヲヅキが全部持っていく。

 投げやり、やる気ナシ、人の話聞いてねえ、客の顔も見ねえ。
 ……これは全部、違います。
 ヲヅキさんはめちゃくちゃ緊張して、使命感でいっぱいいっぱいになっているのでしょう。
 自分の世界にこもっているような、猫背で丸まってファイルばっかり凝視しているのは、進行を恙無くクリアするために必死なんです。
 投げやりな棒読み、言葉の意味を理解していないようなひらがな喋りは、緊張ゆえでしょう。

 わかる。わかるんだ。
 「この人、なんか怒ってるの?」な顔のまま、突き放した棒読み。
 それこそがヲヅキさん。

 わかっている客席は、抱腹絶倒。

 いやあ……すごいよ。
 得難いキャラだ、緒月遠麻。

 こんなシュールなトークショー、はじめて見た。

 ヲヅキがめちゃくちゃ面白くて愛らしかったことが、文字では伝わらない。
 あったことだけを書くと、まるで悪口のようになる。
 そうじゃない、そうじゃないんだ。
 それこそが最高に面白くて、ファンが喜ぶことだったんだよ。

 ヲヅキさんを好きすぎて、胸が苦しい(笑)。
 タカラヅカって不思議なところだ、こんな不器用な生き物が生息していられるなんて。
 仲間たちからもファンからも愛されて。

 司会者がこの通りの異次元空間生命体なので、それに流されることなくマイペースに話を進める出演者たちのすごさも、よくわかった(笑)。
 みんなくじけないねっ、すごいねっ!
 マイクの数がぜんぜん足りてないのに、マイク無しでも勝手に喋り出してるしね。(特にエエ声のあの人・笑)

 そんな感じで盛り上がっている中、ぜんぜん話と関係なく突然、
「はなしもまとまったところで、これでおわりです。ありがとうございました(超棒読み)」
 と、ヲヅキさんが強引に言い出して、突然幕が下りたのに、さらにびっくり爆笑。

 これで終わるんだ?!
 まとめの言葉も挨拶もナシかいっ。

 いやもお、呆然とする面白さ。
 ヲヅキさんさいこー。

 観られて良かった……むちゃくちゃ笑った……面白すぎた……。

 劇団様、これからもヲヅキさん司会でトークショーやってください。
 そして、今後ともあの人を、あの個性を、保護してください。貴重種ですよ、彼。あの個性は「天から与えられた才能」です。

 
 ただ。
 たまたま今日観ていただけの、ヅカ初体験の団体さんたちは、あのトークショーと司会者をどう思ったろう。
 「やる気ナシのぶっきらぼうプレイの芸人さん」だと思ってくれたかしら、ヲヅキのこと。持ち芸としてアリだよね、ああいう投げやりさ(笑)。
美形役だとは、知らなかった。←ファン目線(笑)@ハウ・トゥー・サクシード
「昨日初日観て、今日ダブル? しかもチケットは昨日買い足したって? ちょうウケる~~」
 と、まっつメイトに梅芸で会うなり言われました。

 そりゃあね。
 あんだけ、「『ハウ・トゥー・サクシード』興味ない、通わない。お金使わないで済むから助かるわ」とか言ってたのにね。

 仕方ないじゃないか、ブラット@まっつ、格好良すぎ。

 いやはや、驚きました。
 マジで考えてなかった。

 まっつの役が、こんなにカッコイイなんて。

 ポスターに写真が載っていて、その写真はとてもカッコつけているし実際カッコイイわけなんだが、近い過去にヒマ課長@『相棒』があっただけに、信用していなかった。
 キャラクタとして、ヒマ課長を連想するんだ。年齢とか立場とか。
 たまたまこの写真がカッコイイだけで、ブラットなんて初演でもろくにおぼえていないくらい脇の役だし、なんかモミ手していたキャラっつー印象だし、そーゆー役を演じるまっつはこれまでも見てきてるし、今さら見たいわけでもない。
 贔屓の役は情けない系のおっさんで、その他大勢のひとり。で、作品は感性に合わず面白いと思えない。
 となると、期待値最低レベル。1回は観るけど、それ以外はどうしようかな。初日を購入したあと、制作発表に行きたくて仕方なくもう1枚チケット買ったけど、ほんとソレだけ。トークショーも行きたいけど、結局チケット持ってないままだし。

 そんなテンション低いまま、初日を迎え。

 瞠目。

 ブラットって、こんな役だったの?

 社長にへこへこしている情けないおっさん、美人に鼻の下伸ばす三枚目……ぢゃ、なかったの??

 や、ちゃんと初演時からブラットはステキだったのかもしれないけど、1回しか観てないと、バド@タモさんの印象しか残ってないくらい、彼が強烈だったので。
「ナニ今頃言ってるの? ブラットって二枚目の役なのに!」と、初演ファンさんは思うかもしんないけど。
 わたしは微妙な三枚目の役だと思っていて。

 いや、認識は間違っていない。
 たしかに社長@汝鳥サマにへこへこしているし、美女ヘディちゃん@かおりちゃんに鼻の下伸ばしてる。
 十分三枚目、実際客席からもどっかんどっかん笑われている。

 が。

 めちゃくちゃ、格好いい。

 表情や台詞が三枚目でも、基本的に二枚目なの。美形なの。
 黙って立っていれば、すげーイケメンなの。

 たとえばヒマ課長とかウィリスくん@『麗しのサブリナ』とかは、ただ立っているだけでも三枚目だったの。
 今回もそうだと思い込むくらいに。

 でも、そうじゃない。
 純粋に、美しい。
 洗練された美しい大人の男、仕事忠実なビジネスマン……であることと、三枚目部分がふつーに同居してる。

 三枚目も「間が命」のお笑いやりとりも、はっきり言って得意だし。バロット@『メランコリック・ジゴロ』他でやってきてるし。
 そういう面白い部分を見せてくれながら、それ以外のところ、基本部分が全部、ふつーにタカラヅカらしい端正キャラって……楽しくないはずがない。

「どうしよう、ブラット部長カッコイイ!」
 と、幕間からとろけるまっつメイトたち。みんな予想外のことに心の準備出来てなかったもんだから、余計に効いた(笑)。

 ヅカの舞台では地味の部類だろう、グレーのスーツが似合う似合う。
 なまじそういう「ふつう」の色の、「現実」にありそうな衣装だから、余計に彼の美しさがわかる。
 髪も自然な黒で、そのへんのリーマンがしていそうな髪型。派手な色だったり突拍子もない髪型だったりしない。微妙に茶髪なんだけど、ぱっと見は黒。重くない黒っていうかな。(きんぐの黒髪がまさに黒!って感じ)
 そういう、現実と陸続きでありながら、現実ではありえない、虚構としての美しさを創っているのがイイ。どきっとする。

 そして、左薬指の、指輪。

 この「現実と陸続き」な美しい男が、なんの解説もないまま結婚指輪をしているということに、萌えまくる。
 明らかに遙か彼方の異次元の生命体ではない、生身のリアルさを持つだけに、きゅんっとくる。
 作中で家庭のことや奥さんのことは一切出てこない、台詞にはない。だけど、その指輪ひとつで、舞台では描かれていないブラット個人が見えてくる。立体化するっていうかな。

 仕事中に見せる顔と、2幕4場「重役用トイレ」にて、仲間たちに見せる顔がチガウことにも、萌える。
 それまでは「私」だったのが「俺」になるんだよなー。口調も変わるんだよなー。
 あの生身っぽさ!

 2幕のダブルのスーツと、ジャケットを脱いだあとのサスペンダー姿がたまらん。ひとりだけサスペンダーが幅広でねー、小柄で華奢な男ならではの色気がねー。
 会議中のテーブル(本物)に着いた手の美しさと、その指に光る指輪、袖から見え隠れする腕時計。装飾品も含め、リアル男性っぽさにドキドキする。
 1幕のスケベおやぢぶりもステキ。
 「秘書はオモチャじゃない♪」のブラット部長の腰振りは最高です! 両手に誘導灯を持って腰を左右に振るとこが好き過ぎる……っ。

 で、今回気になるのはマシューズ@にわにわとの関係(笑)。
 目と目で会話、あうんの呼吸で辞表プレイ。
 ブラットのためにテーブルになるマシューズって?? これが彼らの日常? このふたり、日頃こんな練習してるの? 社長がクビを切りたい社員がいたら、その場で人事部長が辞表とペンを用意して、マシューズがテーブルになって、相手にサインをさせる?
 会議中もふたりで喋ってるし、接触してるし。
 で、にわさん今回オトコマエだし(笑)。

 まっつとにわさんって、どんだけリアルにおっさん同士……俺得?

 
 これだけ楽しいと、作品が苦手とか言ってられないわー。
 思っていたより、出番は断然あるし、見せ場もある。こんな役だなんて知らなかったよマジごめん。

 贔屓にある程度の出番があり、彼が、美しいというだけで、こんだけリピート可になるもんなんだな。タカラヅカってすげえ。

 
 画像は初日にゲットしたものたち。
・制作発表の日に配布していた、ちゃんと別に持ち手のあるうちわではなく、丸い厚紙に親指を入れる穴を開けただけの簡易版うちわ。
・終演後に配っていた、UCCコーヒーの入っていたパッケージ。例の本を模してある。背表紙もちゃんとあるんだよー。
・キャトルレーヴ梅田店で売っていた、『H2$』グッズの詰め合わせ。スチール写真とクリアファイルとノートで1セット。クリアファイルに写真が載っている男役ごとにセットが作られていた。
 画像のように透明袋に入ってて、右上に「未涼亜希セット」とか書かれてるんだぜ……は、恥ずかしい……。買うの勇気いった……でもこあらは大人になったから、がんばって買いましたの。未開封(笑)。

 スチールのまっつ、かっこいい……。
 ってほんと、「まっつカッコイイ」しか言ってない日々。
 『ハウ・トゥー・サクシード』初日の感想、続き。

 ブラット@まっつのポイントは黒髪と、結婚指輪。
 まつださん、黒髪歴更新中。どこまでいくんだろうこの人(笑)。
 そして、台詞にはまったく出てこないけど左手に指輪。あ、既婚なんだ。そりゃそうだろう、アメリカ社会で重役で、独身なわけない。
 ちょろっとだがブラットがセンターのミュージカル場面有り。……海外ミュージカルってすげえ(笑)。

 そして、まっつもナニ気に2役やってます。
 本の声。
 ナレーション専科として確立しつつありますな、まつださん。
 エエ声はイケコだけでなく、演出家の先生方に広く知られているのでしょうか。

 トィンブル@ヲヅキ。お辞儀萌え。
 だがなんつってもウォンバー会長@ヲヅキの、登場場面のわけわからなさ(笑)。
 制作発表のとき、個性的なキャラたちの間に埋もれてしまう的な心配をしていたけれど、とんでもない。ほんっと目立ちますよアナタ。
 で。
 そうやって存在に個性的な華のあるヲヅキさんだからこそ。
 頼むよ、どっちかヒゲプリーズ!
 髪型だけだと、別人だとわからず混乱するナリ……。どっちも年配役なんだし、片方だけでイイからヒゲつけてー。ヲヅキはヒゲつけてもオトコマエだから!

 ヲヅキとかおりちゃんの並びは好きだ。『君を愛してる』を思い出す。大好きだったもん、あのカップル。

 ギャッチ@コマ……かっけー。
 ねえねえ、マジかっこいいんですけどっ。ウインク似合いすぎ。胡散臭くてたまらん。
 本編で出番が少ない分、フィナーレはカーテン前センターあり。オイシイぞ。

 社長@汝鳥サマが、かわいい。この人のぷりちーさはどうなの、なんなの。
 ゴルフウェアなんかもお、持って帰りたいかわいさだ。
 汝鳥サマとキムくんの丁々発止に、『やらずの雨』を思い出すわたしの脳みそってばよ……。ここはアメリカよおっ。

 スミティ@あゆっち、めがねっこ。ナニこの萌えキャラぶり。ロリ顔にメガネで巨乳で白ソックスにベルト靴。お花畑な中身。完璧すぎる。

 ヘディ@かおりちゃん。典型的金髪美女。デフォルメされきったお色気アホの子美女。お尻と歩き方見ているだけで楽しい。すべての男たちが彼女に鼻の下を伸ばしているのがもお……。

 かおりちゃんがステキにいい仕事をしてくれるので、男たちのいろんな顔を見られるのが楽しいの。
 特に人事部長がね……リアルにおっさん的反応をしていてね……たまらん(笑)。

 ミス・ジョーンズ@ヒメは肉布団入りの黒人おばさん。いやあ、最後のソロが圧巻!

 脇の子たちは、全体的に女の子の方が見せ場があるっちゅーか、それぞれかわいかった印象。
 リサリサと杏奈ちゃんはそりゃーもお、雪組お色気美女双璧としてゆるがない華を見せつけてくれているし、きゃびいとひーこはキュートだー。
 
 男たちはちょっともったいないかなあ。
 ひろみちゃんは目立つ方の役より、脇のめがねっこ社員が美しいです。せしるはきれい過ぎて嘘くさいめがねっこ。
 きんぐはなにか目覚めたんだろうか、なんか色濃いですよ髪も黒いですよ。しゅうくんやがおりもきれいだけど……このあたりみんなもったいないー。
 にわにわの役は、テーブル。……ここは、萌えるところ……?

 みうとはマジ外人さんみたい。香音くんが目につくというか、目が合いまくった気がした(錯覚です)。
 ハウルはナニ気にオイシイ気がする。りんきらもオイシイよね、コーヒーボーイ。でも彼の場合、ああいう若めの役より、ふつーにスーツ着てるときの方がいいな。
 ザッキーはなんつっても掏摸……あのみなぎるやる気は(笑)。央雅くん出番少ない……っておっさんが不足していた全ツと比べちゃいけません。あすくん、2幕はじまりはナニ気にセンター?
 

 フィナーレにて、はじめて、キムみみのデュエットダンスを見られて、胸熱。

 そおなんだよ、『ロミオとジュリエット』ではロミオとジュリエットのデュエットダンスがなかったし、全ツでもまともなデュエットダンスはなかったんだよ、空気読めない演出家のせいで。
 ここにきてよーやく、はじめてのデュエットダンス。
 じーん……。
 よかったねええ。


 幕間の抽選会は下級生が4人ぞろりと出た。
 最下からだから、回が進めば上級生も出るんだろうか? それとも下級生たちだけで回すんだろうか?
 次の回あたり、あすくんがメンバーに入りそうな気がする。
 抽選会は全部で5回だから、もしも下から順番に4人ずつ、なら、89期の誰かまでは回るかな?
 
 
 初日は記念品付きとかHPに書いてあった気がするけど、入口でもらった『H2$』うちわがそうなのかな、こんなのよりポスカの方がいいなと思ってたんだけど。
 終演後にもらえました、記念品とやら。
 UCCのスペシャルブレンドコーヒーが入った、「努力しないで出世する方法」の表紙のみ(笑)。や、劇中でフィンチが読んでいるあの本と同じデザインの、本っぽい厚紙にコーヒーが挟んであるの。
 コーヒーはともかく(飲めない)、この表紙かわいいー。

 あ、配っていたうちわは、制作発表時に配っていたうちわとはまた、別でした。

 
 作品は好きじゃない、キャラもテーマもストーリーも笑いのセンスも理解できない、と言いつつ、帰りにチケットを買い足しているんだから、どうしようもない。
 所詮はヅカヲタですから。

 贔屓がカッコイイ、それだけで通えるのです(笑)。
 7月です。今年も後半突入です。
 『ハウ・トゥー・サクシード』初日行ってきました。

 今まで何度となく書いてきたように、わたしは、この作品を好きではありません。初演は1回観て辟易、以来映像ですら観たことがありません。
 アメリカさんとは気が合わないのよ……価値観やらセンスやら。特に「笑い」の考え方はわたしとはかけ離れている。

 ソレはあくまでもわたし個人の趣味。
 こーゆー話を面白いと思う人だっているのだろうし、そーゆー人にはすごく楽しいミュージカルなんじゃないかな?
 
 15年ぶりに観た『H2$』は、やっぱりわたしの趣味には合いませんでした。いや、もお、困ったもんだ(笑)。
 だからソレはもう、あきらめる。
 ストーリーはまるっと無視。
 キャラクタも無視。真面目に考えると、アタマを抱えたくなるから。わたしとは合わない、到底理解できないししたくもない人々ばかりが闊歩しているので。

 そーゆーハード面、「だって原作通りなんだから仕方ないじゃん」というところは無視して。
 ソフト面、その(わたしにとって)どーしよーもないモノを、どれほど「タカラヅカらしく、楽しく美しく」彩っているか。
 そこにのみ着目します。

 だってタカラヅカだもん。
 ストーリーがアレでもテーマやキャラがアレでも、楽しめてしまえるのがタカラヅカ!
 そしてわたしは、ヅカの楽しみ方を知っている、ヲタですから!

  
 まず、画面が、かわいい。

 悪趣味なモノがない。
 セットはすっきりお洒落だし、なにより女の子衣装が可愛い。
 オフィスだけが舞台なのに、小物とかにポップな差し色が使われ、衣装の色と相まってすごくかわいい。
 めがねっこ多数なのもイイ。
 女の子が女の子であるということ、「女子」って感じを全開にしているのがツボ。あの曲線を強調したワンピやスーツ、女優めいた仕草。
 百花繚乱って感じがイイ。
 

 スーツ祭キターーっ!

 スーツ男たちのイケメンぶり。ヒゲなしメガネ多し。
 スーツに地髪スキーにはたまりませんな。

 とくに、重役用化粧室。よーするに、男子トイレ。入ってくる人にタオルを手渡すボーイがいるような、セレブなおトイレですよ。
 そこの鏡の前で身だしなみを整える男たち。

 かっけー! めちゃくちゃかっけー!!

 鏡の中でストップモーションするわけだが、これがもう男役人生懸けてキザってますっ。って感じなのよ、全員。みんなすげー。

 ブラット@まっつのかっこよさにくらくらしているわけだが、つい他も見たくなる……みんなかっこいい……にわさんだって二枚目だよここ……どーしたこったい(失礼な)。

 んで無意味な脱衣プレイ。
 わざわざ上着脱いでサスペンダー姿で踊って、また上着着るの。
 ナニ、脱いだ瞬間にドキッとさせるのが目的?! うひょーー。

 男子トイレおそるべし。

 他のコミカルなダンスナンバーも、ご贔屓の美しいスーツのライン見ているだけで楽しい。
 なんだよもお、二枚目じゃん、美しいじゃん。もっと三枚目にくずしてくるのかと思ったよ。

 美しい、かわいい、ってのは、武器だよなあ。
 とりあえず目に楽しい。

 
 フィンチ@キムがのびのび演じているのは言うまでもなく。
 わたしはフィンチというキャラクタは好きになれないんだけど、脚本にある部分以外の、キムくん自身の表情にどきっとする。
 それはふと真剣になったときの重みのあるリアルさだったり、ローズマリー@みみちゃんを見つめるやさしい瞳だったり。
 でもいちばんときめくのは、そのやさしい瞳でローズマリーを見つめていながら、ときどきふっと「男」の顔になる。かわいいとかやさしいとかではなく、「強い」顔。
 それが胸に来る。

 ローズマリー@みみちゃんは、とにかくかわいい。着替えてくる衣装のひとつひとつがかわいいし、ナニ気に靴もかわいいんだよー。履き口に色の切り替えがあるパンプス、いいなあ。
 歌はまだこれから良くなるのかなという感じ。
 「かわいい」という力を持つ女の子って、イイ。
 でもってやっぱキムみみはイイわー、かわいいわー。

 バド@ちぎは運動量すごいなと(笑)。動きもだけど、表情筋? 元気だなあ。
 スタートからこれだけエンジン掛かっているので、今後どう変化するのかなと。
 超美形のちぎくんだからこそできる、徹底した三枚目。動いて笑いを取る、オイシイ役なんだろうけど、初見の印象はうるさい方向に強く出ている気がしたから、これからかわいい方向に行ってくれるといいなと思う。お笑いキャラを極めつつ、愛らしさを増す……というか。
 ちぎくんってほんと真面目な人なんだなと思った(笑)。

 
 続く~~。
 花組の秋の全ツとドラマシティの振り分けが出ました。

 感想をひとことで表すと。

 正塚ェ……。
 

 『カナリア』にみわっちを召喚したのは正塚だよね? 彼の趣味だよね?
 ミサノエールの役があるのにミサノエールが出演していない、ってことは、ええっとまさか、そういうことなのか?
 ミサノエールの役は、みわさんが演じれば胡散臭くてオトコマエな2番手の役になると思うけど……。
 ぶっちゃけ、ラブロー神父より。(神父は2番手役としては微妙。オサ様めちゃかわいかったけど!)

 でもでも、全ツのみわさんが見たかったよーっ。
 『ル・ポァゾン 愛の媚薬II』のみわっちが見たかった。ザ・昭和なクドギトさ加減がみわっち十八番だったのにー。

 『カナリア』出演者を見て、「正塚好きそう」と思う面子がぞろぞろ揃っていて、彼の慎みのなさに目眩がします(笑)。

 まりんのことは好きだよね、『スカウト』で二枚目役やらせたり、『メランコリック・ジゴロ』でキーパーソンやらせたりしているし。
 いちかのことは、言うまでもなく大好きだよね。役者としてめちゃくちゃ買ってるよね。なまじっかのヒロイン系より、よっぽど好きだよね。
 さあやのことも、2回にわたる『メランコリック・ジゴロ』でわかるよね。
 めぐむのことは『La Esperanza』新公でのものすげー抜擢とか、『スカウト』での扱いからしてもわかるよね。
 いまっちとタソは文化祭の親友コンビだよね。熱情標準装備のアツいハートの役をWキャストでやらせていたよね。
 仙名さんもまた、文化祭で「正塚、この役いちばん好きだよね(笑)」系の脇の女役をやらせてたよね。
 
 と、主立った人たちが過去の正塚作品でオイシイ使われ方をし、それゆえに記憶に焼き付いている人ばかりで……。
 正塚せんせが臆面なく自分のお気に入りをピックアップしたんじゃないかと、気恥ずかしくなります(笑)。
 あくまでも、個人的な思い込みです。ほんとのとこなんて知りません、わかりません。
 でも、演出家が惚れ込んだ役者で創る芝居って、わくわくしませんか?

 だからこそ、「芝居」を観る上で、すげーたのしみだ、この面子!!

 
 そして、『ル・ポァゾン 愛の媚薬II』は、「ショー」を観る上で楽しみです。
 若手スターは軒並み全ツですよ!
 やっぱショーは場数だものな、経験値だもんな。某星組が「トマケ」の羞恥プレイ全国巡りで経験値の圧倒的に少ない子たちを鍛えたように、花組若手スターたちにも全ツで経験を積ませようということですかな。

 個人的にだいもんの歌が聴きたいです……。彼の番手的に、本公演では歌がまったく回ってこないんだもの。年功序列大事の花組ゆえ、歌ウマは若いウチは出番がなさ過ぎる……。

 芝居は苦手作品なので、語る言葉ナシ。演目が決まったときに、盛大に凹みましたから(笑)。
 わたしがヅカでもっとも苦手としているのが「大人が演じるわざとらしい子ども」なんです。洋ものならまだマシだけど、日本物の子ども芝居は、裸足で逃げ出したいくらい苦手。
 青天物で子どもで人情物と、わたしの地雷が三点セットになっているので演目知ったときは悲鳴上げました(笑)。
 いや、あくまでもわたし個人の話なので、世の中的には名作なんだと思いますよ。わたしが「初演当時は名作だったのかしら」としか理解できなかった『誰がために鐘は鳴る』とか『バレンシアの熱い花』とか『赤と黒』とか『星影の人』とかも、世の中的には大傑作の名作様なんですもの。理解できないわたしが悪いんですとも。

 植爺の『おーい春風さん』よりはマシだもん、ぜんぜんイイよね……。(青天物で子どもで人情物、つーことで挙げてみました)

 らんとむは青天も人情物も似合う人だから、そこは楽しみだが。

 とにかく、全ツはショーがたのしみっす。
 でもって、個人的な『ファントム』語りの続き。

 現在上演中のものも含め、どの公演をも否定する意味ではなく、過去2公演もとっても楽しんだし、現公演も楽しむ気満々であるがゆえに、『ファントム』という作品について思うところを記す。
 実は以前も書いたけれど、今回も同じことを思ったので、再度記す。

 
 キャリエールさんのしたこと。
 既婚者でありながら、そのことをナイショにして少女とつきあい、妊娠させた。結婚できると信じていた少女は失踪、心を病む。堕胎薬の影響だかで生まれた子どもは奇形児、少女は狂ったまま早世。
 醜い息子に仮面を与え、オペラ座の地下へ幽閉。自分が父だともすべての元凶だとも告げず、息子を「オペラ座の怪人」に仕立て上げ、自分は社会的地位も信頼も失わずにずーっと見守る。

 さて、このような行動を取る人を、フィクション界で「是」とするのに必要な要因は、なんでしょうか。
 現実なら完全アウト、どんなことがあっても許されることぢゃないが、『ファントム』はフィクションなので。ええでも、フィクションだとしても、さすがに彼の行動はひどいです、ふつーならアウトです、でもなんとか「仕方ないね」と観客を思わせるだけの理由が必要です。

 わたしは、「愛」だと思います。

 今の『ファントム』がいろいろ誤魔化した上で描いている愛じゃないです。
 誤魔化しナシで真っ向勝負、「仕方ない、仕方ないよソレは!」と全部答え合わせしてくれるだけの、究極の愛です。

 すなわち。

 キャリエールはエリックを愛していた。自分ひとりだけのモノにしたかったから、地下に幽閉した。

 ザッツ監禁愛。

 エリックの幸福とか人権とかは関係ない。
 あるのはエゴのみ。
 自分のためだけに、エリックを閉じこめた。

 誰にも見せたくないから、ホームレスを拾ってきたりしない。従者とはこの世のものではない存在、孤独なエリックが創りだした幻。エリックの影。

 外の世界を知らせず、人間の社会を教えず、自分だけを頼り、自分だけを愛するように洗脳して。
 だからエリックは人殺しがいけないことだとも知らないし、自分から外に出て行こうともしない。
 キャリエールが与える詩集だの戯曲だのだけを読んで、オペラ座の出し物の音だけ聴いて育つ。
 天使のように。

 キャリエールのお人形。それがエリック。

 
 さて、タカラヅカの『ファントム』の特徴は、エリックが美青年であるということ。
 地下に閉じこめなければならないほど醜い、怪物呼ばわりされてしまうほど醜い、愛する少女が悲鳴を上げて逃げ出すほど醜い……という設定のエリックが、とことん美青年であるという、矛盾。

 タカラヅカだから、美しくなくてはならない。だけど、オペラ座の怪人は醜くなくてはならない。
 ということで折衷案、顔にちょっとだけ痣がある。ほんとにちょっとだけで、別にぜんぜん醜くないしこわくもないけど、すごーく醜いってことにしておいて。そういうつもりで見て。
 という、無言のルール。

 空気を読めばルールには気付くけど、でもやっぱ、視覚というのは大きくて。
 エリック、きれいじゃん。ちっとも醜くないじゃん。
 それが事実なのに、あんなに愛を歌ったヒロインがそんなエリックの素顔を見て泣いて逃げ出すのは、変。
 ヒロイン、心せまっ。と、思えてしまう。

 これを解決する方法も、ひとつだと思う。
 すなわち。

 キャリエールはエリックを愛していた。自分ひとりだけのモノにしたかったから、彼に「ぼくは醜い」と信じ込ませた。

 ザッツ洗脳愛。

 確かに生まれながら痣はあったし、子どもの頃は今より酷かった。
 幼いエリックが自分の顔を見てびっくりするくらいには、ひどい痣だった。
 でもソレ、成長するに従って治っていったんだよね。
 その程度の痣や皮膚のトラブルを抱えている人は世間にいくらでもいるし、エリックは元の顔立ちの美しさでお釣りが来る、てなもん。

 だけどエリックは、キャリエールによって「醜い」と教え込まれた。
 信じ込まされた。
 二目と見られないバケモノなんだと刷り込まれた。

 年端もいかない子どもに「お前は醜い」と仮面を与えるんだよ、キャリエールは。克服するよう導くのではなく、さらに追いつめたんだ。
 少年の心を、壊した。歪ませた。

「ぼくは醜い」と。「ぼくはバケモノだ」と。

 それが可能なんだ。
 だってエリックは地下に幽閉されていて、誰とも会わない。トラウマゆえ仮面ナシでは鏡も見られない。
 外の世界なら、誰か真実を教えることも出来たろうけど。監禁されている少年には、真実などわからない。

 クリスティーヌがショックを受けたのは、エリックが醜かったからではない。
 美しかったからだ。

 問題なく美しい、十分外の世界で生活できる青年が、「自分は醜い怪物」と信じ込まされて20年ほども地下に監禁されていた現実に、耐えられなかった。
 エリックの美しい素顔を見た途端、キャリエールの犯罪に気がついた。
 クリスティーヌをエリックから遠ざけようと必死だったあの男が、犯したほんとうの罪に。

 哀れなエリックは、自分が美しいことも知らず、劣等感と飢餓感を抱えて孤独の底にいる。
 手をさしのべてくれるのはキャリエールのみ。だから、キャリエールだけを信じる。彼の言葉をすべて、なにもかも。

 愛した女性に瓜二つの美貌と、天使の歌声を持つエリック。
 愛ゆえにキャリエールは罪を犯した。
 愛するひとを、自分ひとりの宝箱に隠した……。

 
 で、最後の銀橋場面になる。
 警察が踏み込み、これ以上キャリエールは「地下の楽園」を守れない。このままでは、彼の罪が白日のもとに晒される。
 美しい青年を「醜い」と信じ込ませて監禁した。
 罪を問われて投獄されるより、キャリエールがおそれたのは、愛する青年が遠くへ行ってしまうこと。
 エリックは醜くもなんともない、ただの監禁事件の被害者だ。罪を犯しはしたけれど、それは善悪の区別がなかったため。キャリエールがそう育てたため。外の世界へ出れば、新しい人生が待っているだろう。

 キャリエールは、エリックを殺さねばならなかった。
 自分ひとりのものとしておくために。

 エリックがすべてに気付いてキャリエールの歪んだ愛に殉じようとしているとしてもいいし、なにも知らないまま、親子の名乗りに感動していることにしてもいい。
 キャリエールとエリックの親子銀橋は、演出も台詞も歌詞も、なにもかもそのままで十分できる。

 エリックはクリスティーヌを愛している。クリスティーヌもエリックを愛している。
 それもそのままに。
 クライマックスの「助けてくれジェラルド」もそのままに。
 

 主人公はエリック。ヒロインはクリスティーヌ。その大前提のまま。

 キャリエールはエリックを愛していた。自分ひとりだけのモノにしたかった。

 というだけで、このいろいろと変な物語は、全部辻褄が合う。
 歪んでいても、確かに「愛」。
 まぎれもない「愛」の物語は、美しいだろう。
 哀しいだろう。
 現在上演されている再々演『ファントム』を離れて、わたしの「こんな『ファントム』が観てみたい」語り。
 原作がどうだからどうだとか、過去に舞台・映像になったものがどうだったからどうだとかいうことではなく。

 あくまでも、タカラヅカの『ファントム』で、わたしが、観てみたいと思うものを語る。

 「いい人」の話ではなく、「怪人」の話。
 誤解されちゃって可哀想ないい人だからヒロインに愛されるのではなく、いろいろ歪んで間違っちゃってるけど魅力的だからヒロインに愛される主人公が見たい。

 そんなのヅカぢゃねーってことになるのかもしれんが。
 でもキャリエールを「いい人」として描くより、「間違ってるんだよ、ソレのどこが悪いんだ」として描いてくれる方が、すっきりする。
 初見ではストーリーを知らないからキャリエールのやっていることも「ふうん?」と観ていられるけど、ネタバレしたあとでは無駄に難易度高いよね、彼のしたことを「仕方なかった」とか、彼を「いい人」「いい父親」と思うのは。

 キャリエールさんのしたこと。
 既婚者でありながら、そのことをナイショにして少女とつきあい、妊娠させた。結婚できると信じていた少女は失踪、心を病む。堕胎薬の影響だかで生まれた子どもは奇形児、少女は狂ったまま早世。
 醜い息子に仮面を与え、オペラ座の地下へ幽閉。自分が父だともすべての元凶だとも告げず、息子を「オペラ座の怪人」に仕立て上げ、自分は社会的地位も信頼も失わずにずーっと見守る。

 これで最後の銀橋で「愛する息子」とか歌われても。

 もちろん、キャリエールさんにはそうせざるを得ない事情とか時代とかしがらみとかあったんでしょーけど、描かれていないので「ナイ」と判断。
 こんだけ変な人だとわかって観ると、やっぱ『ファントム』って変な話だと思える。

 キャリエールを「いい人」にしたいなら、それを納得させてくれるくらい「仕方なかった」ことを教えてもらわないと。
 やっていることがひどすぎて、今のままでは「いい人」になれない。
 なのに「いい人」と描くから、混乱する。

 やってることがひどいんだから、それなら素直に「ひどい人」にすればいいんだ。
 ひどい人、間違った人だけど、魅力的なのだ、と。

 これは、オペラ座の怪人こと、エリックにも言える。
 こんなひどい人に育てられたんだから、無理に「いい人」にしなくてもいい。
 ひどいことをする「怪人」だけど、抗いがたい魅力のある男にすればいいのに。

 いや、明らかにひどいのはキャリエールだけなので、悪魔に育てられた天使設定もアリだとは思うけど。
 エリックの場合は、天使と悪魔は紙一重だと思う。どっちもアリだが、結局根っこは同じになるというか。

 
 初演の『ファントム』は、ホラーテイストであり、エリックもまた「可哀想ないい人」ではなく「歪んだ怪人」だった。ヅカなのでいい人寄りに描いてはいるけれど、まだちゃんと怪人。

 従者は街のホームレスで、エリックが食べ物を与えないと死んでしまう人間たちではなく、現実に存在するのかどうかわからない怪しい存在だった。舞台だから役者が演じているだけで、映像作品なら実態を持たないのではないかと思えるような。
 エリックのそばに仕え、彼の意を汲んで動いていたけれど、エリックもキャリエールも従者の存在には言及しない。
 エリックはまさに「ひとりぼっちで」オペラ座の地下に住んでいた。

 そしてエリックは、殺人者だった。
 侵入者ジョセフ・ブケーを殺す。当然のこととして。
 今平気で人を殺す彼は、これまでも、そしてこれからも、平気で人を殺すのだろう。何故なら彼は「怪人」であり、オペラ座の地下に君臨する王、地上のわたしたちの法の外側に存在する者だからだ。
 彼をわたしたちの法で裁くことは出来ない。

 また、そんなエリックが少年じみた喋り方をしても、ピュアとゆーよりは歪みを感じるだろう。殺人平気でぼくちゃん喋りですよ。
 クリスティーヌを案内する地下の楽園……「ぼくの美しい森」とやらが、ほんとうはかなり怪しいものだったらしい。
 狂ったエリックの目には、なにやら美しいところに映っているらしいが、クリスティーヌには「うわ、この人やばい」としか見えなかったんだろう。盗撮写真の切り抜きが壁一面に貼られた部屋に案内され「こんなに君を愛してるんだよ」とどや顔で男に言われたのと同じくらい、同意を求められた彼女が苦しそうに頷いていた。

 いい感じにこわかったんだけどなあ、初演『ファントム』。
 だからこの路線を貫き、もっと「歪んだ愛」を突き詰めて欲しかったんだ。
 エリックがどんだけ間違っていても歪んでいても血塗れていても、彼を「天使」と描くことは可能だったから。
 善悪について教わっていないんだもの。蝶の羽根をちぎって遊ぶ子どものように、純粋であるがゆえに恐ろしい存在であることはできた。

 だから再演ではそっち方面の進化を期待したんだがなあ。
 所詮はタカラヅカってことですか? 大衆演劇だからですか?
 ファントムは「いい人」になってました。がっくり。

 行き場のない従者たちを養ってあげるイイ子で、オペラ座の地下で大所帯で暮らしているそうです。殺人なんてとんでもない、ブケーは勝手に死んだんです。それも、可哀想なエリックの顔を見て、誤解して差別して。なんて可哀想なエリック! ぜんぜんひとつも悪くないのに、見た目だけで誤解されて!!

 おかげでエリックは「狂っているから少年喋り」なのではなく、「本当に身も心も子ども」になってました。
 またキャリエールがエリックにベタ甘でなあ……。甘やかしすぎだよおとーさん……。

 そしてクリスティーヌは母性のカタマリ、お子ちゃまエリックが惚れるに相応しいときたもんだ。

 タカラヅカだから、主人公は「いい人」でなきゃダメなのか。
 だから「怪人」ではなく、全部誤解、悪いのは他の人、エリックは悪くない、可哀想! でなきゃいかんのか。

 いや、ソレはそれで楽しく観ましたが。

 単に方向性として、せっかく「オペラ座の怪人」という、歪んだ男が主人公の物語を持ってきておきながら、「オペラ座の怪人」でなくてもイイじゃん、な「いい人」の「お涙ちょうだい」に着地しないといかん、つーのは残念だなと。

 オサ様を擁してなおそんな改変をされた『ファントム』ですから。
 彼よりさらに前向きの明るい力を持ったらんとむ氏を主人公にする以上、ホラー寄りに戻るはずもなく、歪んだ愛の物語になるはずもなく。

 とても人間くさい……オサ様エリックよりさらに地に足のついた人間くさいエリックと物語『ファントム』に、「ああ、やっぱりなあ」と思ったのでした。

 いや、ソレはそれで楽しく観ましたが。

 タカラヅカの『ファントム』は、これから何度再演されても「いい人」路線「健康」路線なんだろうなあ。
 仕方ないよな。それが「タカラヅカ」だもんな。
 再々演『ファントム』の初日感想いろいろ。1回じゃとても見切れない。見たいところが多すぎる。

 なんか全体的にセットや画面が豪華な気がした。
 って、単に過去2回が安っぽすぎたせいかしら。それに慣れてしまったから、「今回なんか豪華っぽい?」と思えたのか。
 衣装にあまりお金を掛けなくていい(使い回し)分、他のところに使えたとか?

 最初のカーテン前の背景に使われる、そのカーテンにロウソクは何本描かれているのか。ただのイラストでなく明かりちらちら、そんなとこもちょっと豪華?(笑)
 しかしわたしは「なんだろうコレ、なんかに似ている……そうか、迷図だ」とか、関係ないことを思った。入口の矢印が右端にあって、左端にゴールがある。指でたどりながら、行き止まりとか回り道とかしながら、ゴールにたどりつくアレ。
 ほんとにどうでもいいことを……。

 オープニングの黒鳥さん@ゆまちゃんを見て、「ああ、この谷間も見納めなのか」としみじみする。白鳥さんから黒鳥さんに変わるとその分衣装の露出が上がるのかな、谷間がよく見えた……。

 1回こっきりの観劇では従者を見ているヒマがない。マメの幻影を見ている場合か。次はもっと従者眺めるんだー。
 立ち位置的にいちばんいい従者くんであろう鳳くんばかりが目に入るし、輝良まさとは放っておいても絶対目に飛び込んでくる。で、ところどころで「かっこいい人がっ」と思うと日高くんだったりする。
 その日の朝、何故か夢によっちが出てきたので、「よっちが夢の中と髪の毛がチガウ……!」と、これまた関係ないことに感じ入る。夢の中のよっちはド金髪のベリーショートで、前髪をすごい気合いの入った角度で立たせてたのだよ(笑)。

 ここ数日で、エルモクラート先生と旅芸人みきちぐのデート(ふたりで食事してた)と、派手派手スーツらんとむ(単体登場)と、みわっちと娘役さんが買い物している横を素通りするよっちの夢(ナニこのシチュ?)を続け様に見たわたしはなんてヅカヲタ脳。
 そして贔屓はカケラも夢に出てきてくれない。

 ファントム@らんとむ、キャリエール@壮くん。
 このふたりに対し、なんかとても素直に「今回の『ファントム』って、美しい」と思った。
 なにしろほら、脳裏に焼き付いているのが5年前のオサゆみだから。オサ様のあのビミョーなファントム……誰も彼もが「アレ、いいの……?」とおそるおそる口にした、ヅラの似合わなさ……(笑)。ゆみこキャリエールは年喰い過ぎっつーか、枯れまくってたし(オサ様の父親役ぢゃ仕方あるまい)。
 ソレに比べ、らんとむさんもえりたんも、なんてストレートに美しいんだろう!!
 これぞタカラヅカ。
 怪人だろうとイケメン、おっさんだろうと美形。

 ところで、地味にショックを受けているのが、ふみか×だいもん再びぢゃなかった!ってことなんですが(笑)。

 5年前は、文化大臣@まりんとリシャール@まっつは、なにかとスキンシップ多めでした。いつも一緒、気がつくと横にいる、触るな抱きつくな!てな。
 リシャールがいちばんよく絡む相手って、セルジョ@みわっちでもラシュナル@そのかでもなく、よりによって文化大臣かよっ?!
 いやそのぶっちゃけ美しくない絡みなので、とまどってました(笑)。

 それが今回、文化大臣@ふみかじゃないですか。
 しかも、今回の文化大臣は色男系じゃないですか。
 ふみかがふみからしい二枚目ぶりで登場したとき、期待したんですよ、あのビジュアルでだいもんと絡むのか!!と。
 そしたら。
 ぜーんっぜんっ、絡みませんでした。
 立ち位置違いすぎ、そばにも寄らない。

 なんなの、文化大臣×リシャールっつーのはまりんとまっつ専用の演出だったのかよ。それって誰の趣味? 中村Bなの? なんつーマニアックな(笑)。

 ファントム係ことメグたん@仙名さんの落ち着きっぷり。
 メグって若手娘役の花形役だと思ってるんですよ。初演がアリスで、再演がきらり。とびきりのかわいこちゃんが演じる役。
 仙名さんはたしかに美少女なんだけど……なんなんだ、あの芸風の貫禄は(笑)。
 メグたんがあまりに易々で軽々な感じ……。震撼。

 ベラドーヴァ@くまくまもまた……。
 ごめんよくまちゃん、キミが満面の笑みでせり上がってきた瞬間、「こわっ」と思ってしまった……。
 くまくまは美人だし歌ウマなんだけど、可憐さとか儚さとかとは、対極にある持ち味の歌姫だよね。
 くまちゃんすげーや、と感心して眺める。

 ところでこのくまちゃんの相手役、若き日のキャリエール@まぁくん。カツラが、えらいことに。

 今回のまぁくんは、セルジョ役が、すげーかっこいい。
 長年見ていなかった、「似合う髪型のまぁくん」がそこにいた。
 何故か彼はずっと、その特徴的な顔を強調するようなリーゼントだのオールバックだのばかりしてきた印象。
 ふつーの青年の髪型だと、こんなにかっこいいのに。
 等身大の男の子でいられるセルジョ役は、センターパーツで素直にかわいこちゃんビジュアル。
 白い軍服とか似合いすぎですよ。うっわー、王子様だあ、と思う。
 群舞の中でも、そのスタイルで目立ちまくるし。やっぱ華やかだなあ。……劇団ももう少しプロデュースうまければなあ、こんなにかっこいいのに似合わない役とか過剰なひとりっことかで埋没させて……と、口惜しくなる老婆心。

 そのセルジョ役との差別化なのか。
 セルジョ=とても似合うかっこいい髪型。その差別化として、若キャリ=めちゃくちゃ似合わないひでー髪型、ということなのか、まぁくん?! たしかに同一人物とは思えないくらいアレな感じになってるけど、ほんとにソレでいいのか、まぁくん?!
 初見のライト客に、モブのセルジョは「あ、なんかかっこいい人がいる」と思っても名前がナイも同然だから覚えてもらえないけど、若キャリだと「あ、あのイケてない人」ってモロに記憶に残されちゃう役だぞ?!

 ……翌日には髪型が変わっていたそうですね、若キャリ。
 やっぱり誰が見ても変だったんだ、アレ……(笑)。

 バレエ教師@じゅりあがかっけー。黒いドレスの迫力。クールなじゅりあってなんか新鮮。

 ジョセフ・ブケー@タソは、死体がさすが。
 しかしタソくん、モブにまじっているときもけっこー目立ってると思うんだがキミいいのか?(笑)

 あ、そーいやエリックくんの地下の楽園で、せり上がってくるのはピクニックセットだけぢゃなかった。従者も一緒。……やっぱピクニックセットだけってのは、悪目立ちだったよなあ(笑)。
 この森の美術がけっこう変わっていた。のを見て、キムシン演出『ファントム』を観てみたいと思った。
 この楽園なんか、すげーシュールなビジュアルになるんだろうなと(笑)。
 どうしても、定点観測。

 染みついた習慣はそう簡単にぬぐい去れるモノではありません。
 自分でも意識してなかったけれど、『ファントム』がいざはじまると、わたしの視点は一箇所に固定されるのです。

 リシャール@だいもんに。

 だいもんは大好きだが、本公演で彼だけを見つめ続けることはかつてなかった。
 なんでそんなことになっているかというと、そりゃもうひとえに、彼が今回演じている役が「リシャール」であるということに尽きるんだ。

 はい。
 5年前わたしは、えんえん『ファントム』を観ていました。
 何回観たのかおぼえてないし思い出したくもないが(東西合わせて20回くらい?)、いつも必ず同じモノばかり見てました。
 すなわち、リシャールという名の、オペラ座団員を。

 カラダが覚えてる。
 この場面は、ここを見る。この音楽ならば、こっちを見る。
 ……おそろしい……染みついてるよ……。

 つーことで、最初のパリの場面からリシャール@だいもんと、セルジョ@まぁくん、ラシュナル@あきらに釘付け。
 どうやらビスコはナイみたいだ。これからなにかしら使うようになるのかな。

 オペラ座では、謎のローマ兵。
 うぞーむぞー、ただのモブでしかない扱いに胸熱。
 そうそう、そうよね、台詞もないのよね。背景のひとりなのよね。

 リシャールのはじめての台詞はそのあとの、ファントム@らんとむからの手紙をキャリエール@えりたんに渡すところ。
 ええ、おぼえているわ。貴重な台詞よ、「あなた宛です」とたったひとこと。

 が。
 リシャールに、台詞はなかった。
 手紙を拾ったリシャールは、宛先のキャリエールにではなく、メルシエ@さおたさんに渡す。
 そしてメルシエさんがキャリに「あなた宛です」と渡す。

 だいもん、台詞削られてる……っ!!

 き、貴重な台詞が。
 ぶっちゃけ、ふたつしかない台詞の片方が、削られてる。

 目が点。
 だいもんって、花組路線スターだよね? 5年前のまっつよりプログラムの扱い上だよね?(3番手みわっちの次のページに3人で1ページ写り、インタビューも掲載。ちなみに当時のまっつはまったくの学年順、まりんたちと一緒に脇役として5人で1ページ)
 何故、だいもんの台詞を削る……? むしろ増やして当然の子じゃ……?

 あとにもっとオイシイ演出があるのか、別のところで台詞を増やしてもらっているのかと思ったら。

 群舞センター、削られてる……っ!!

 「カルメン」場面、赤い闘牛服を着たリシャールが、群舞センターで踊る場面があったんだ。
 リシャールとラシュナルとセルジョがそれぞれ団員の花形として踊る場面。それぞれ見せ場があるんだけど、そのトップバッターがリシャール。
 最初だから驚いたんだ、えええまっつが派手な衣装で男たちのセンターで踊ってる?!と。
 そのあと同じ振り付けで下手側からラシュナル登場、最後にセンターからセルジョ登場で、別にリシャールひとりの見せ場じゃないんだが、最初だからとりあえずその一瞬だけは「群舞センター?! えええ?!」とうれしい驚愕を得られたし、短い間だけど確かに逆三角形の頂点で踊るわけだし。
 
 だいもんが同じ衣装を着ていたので、安心して眺めていたんだ。
 そしたらこの「カルメン」場面は、再演とはがらりと変えられていた……。

 白軍服+スターブーツのセルジョが最初からセンターで踊り、赤闘牛士服のリシャールは上手から、紺軍服のラシュナルは下手から、ふたり同時にバックダンサーと共に登場……リシャールとラシュナルふたり同時登場だし、センターはずーっとセルジョだし、一度もリシャールはひとりにならないし、センターにも立たない。

 なんで変えちゃうかなあ、導入部。
 群舞センターのだいもんが見たかったし、あきらが見たかったよ……。あきらなんか、こんな機会でもないとなかなか三角形の頂点位置でひとりチガウ衣装で踊らせてもらえないと思うのに……。

 新しくなった「カルメン」は、今までよりずっとわかりやすくなっていて、それはイイと思っている。
 白軍服を着こなしたまぁくんのかっこよさは半端ナイ。てゆーかセルジョ役のまぁくんマジかっこいい。センターパーツ、センターパーツ! イイよーイイよー、いつもそーゆービジュアルでいてくれよお。
 カルロッタ@いちかが、相手役のセルジョではなく、ファントムを選んでしまう、それくらいファントムがかっこいいのだという解説にもなっていてイイ。
 や、らんとむはもちろんかっこいいけど、作中では「醜い」と言われる役でしょ。顔の痣さえ見えなければ本当に美形なんだという証明ですよ。そういう「解説」は作中にあってヨシ。

 だから展開と意図はいいんだけど、導入部分は別に変えなくてもいいじゃないか。
 これからの花組をにぎやかす、若手の美形ふたりをセンターに立たせるぐらい、減るもんぢゃなし。

 リシャールの見せ場、イロモノ妖精王のソロではなく、ど真ん中ストレートに美形でカッコイイ見せ場が、削られていることに衝撃。

 そしてこの新しい「カルメン」では、リシャールは三枚目役なんだ……。
 いや、セルジョにしろラシュナルにしろ、団員たちはみんなファントムに翻弄され、きりきり舞するわけなんだけど、その姿が再演時よりもさらにコミカルに、ギャグっぽくなっている。セルジョはまだ二枚目系として描かれているけど、リシャールはお笑い一直線。
 リシャールはカルロッタに吹っ飛ばされてギャフンとなってたり、してる……。

 えーと。これは、オイシイ、のか?
 ギャグで笑われる役っつーのは。
 そういう目にあって笑われるのがひとりだけならともかく、ラシュナルや他のモブたちと同じよーに、十把一絡げ的にへっぽこ扱い、ってのは……ただきれいでかっこいいより、オイシイ、の、か……?

 ぼーぜん。

 もうひとつの台詞は削られてなかった。
 ビストロで「フェアリークイーンのですか?」と一言。

 ……他に、リシャールくんに台詞ありました? 一本モノ2時間半で、モブとしてマイクなしで勝手に喋ってるんじゃなくて、台本に書いてある台詞って、ナニかありました?

 もちろん、リシャール最大の見せ場、オーベロンのソロはありましたけどね、ほんのわずか数小節の。

 1幕も終わりってときに「はぢめて、歌ウマさんの歌声だわ!」と感動させてくれる、見事な声でした。……主要キャラに歌ウマいないもんだから……(笑)。
 しかしほんと、ここの歌は一瞬で終わる。
 だいもんの見せ場も、一瞬で終わる。

 2幕は見せ場皆無、ほぼ出番無し。名もなきコロスと団員モブのみ。

 だいもんランクで、コレだもんよ……だから嫌なんだ、海外ミュージカル。
 タカラヅカなのに、スターがこんな扱いになる。
 それで名作なら仕方ないなと思えるけど、『ファントム』って別に名作ぢゃないし。変な話だし。

 当時のまっつはもともと台詞が2つ3つしかもらえない人だったので、オーベロンのソロがあるだけでもめっけもんと喜んでいたし、なによりまさかの一瞬群舞センターでテンション上がりまくりだった。
 しかし、今の立場のだいもんでコレっつーのは……花組プロデューサーはナニをしたいんだろう。
 だいもん以下は、もちろんそれ以下の扱いなわけだしね。新公がある子はまだいいけど、新公卒業したスタークラスで台詞1個とかナシとか、初演のたかはな時代宙組だからこそ許された配役と作品だよなあ。
 溜息。

 まだフィナーレでメドレーがあるからいいのか……。
 フィナーレはふつーのショーの中詰めっぽくてイイよね。歌い継ぎメドレーがあって、スターの顔見せしてるし。

 
 で、ついでにまっつ誕生日おめでと。(ついでっ?!)
 初日の素直な感想は、

「『ファントム』ってほんとーに、変な話だ」

 でした。
 『ファントム』再々演観劇にて。

 初演もそれなりの回数観てるし、再演なんかアホみたいな回数観てました。
 正直なとこ、わたしの人生でもう二度と観なくていいや、なくらいは、すでに観た。
 見飽きた物語を再度同じ花組で観て……しみじみ思った。やっぱ変な話、と。

「そのとき私はすでに結婚していたのだー!!」(がーーん)とか、客席から総ツッコミだよなあ。
 まあソレはさておき。

 なまじよく知る作品だからこそのツボもツッコミどころも満載。

 なにしろ幕間でワクテカ話題にしていたのが「母子像の絵はあるのか?」だったりするしなっ。
 初演であまりのひどさに伝説と化す勢いだった母子像イラスト。赤ん坊の手が母の髪の毛から生えているホラー絵。素人が描いたとしか思えないヘタを通り越したよーな絵を商業演劇で使う不思議さが、観客の話題のひとつだった。
 そこまで不評だったのに、再演でも母子像イラスト健在。あれはVISA社長直筆絵を元にしたとかで、援助の見返りとして使わざるを得ないのでは? とまで客席でささやかれた、ひっでー絵。
 再々演でも使うのかしら、どんな大人の事情があって使わなければならないのかしら……? と、ワクテカしていたんですが、なかった。
 使わなくてはならない事情があるわけじゃないなら、何故初演と再演で使ったんだ??
 あってもなくても、謎は深まる……(笑)。

 
 それはともかく、キャストの話。

 フィリップ@みわっちが、大変イイみわっちでした。

 みわさん……(笑)。

 今回の『ファントム』、初日限定ですが、キャストの持ち味がそれぞれバラバラで、大変愉快でした。

 芝居が合ってないというか、みんな好き勝手演じていてすごく面白い。

 ファントム@らんとむは、子ども芝居と自分の持ち味とで模索している印象。母性本能くすぐり系耽美青年だったたかこエリック、無垢な少年で設定年齢低すぎのオサエリックともチガウ、どっちつかずさ。
 彼はまともな人で知性も分別もふつーにありそうなので、子ども喋りが落ち着かない。
 恋に暴走するようになると、ハートフルな持ち味で馴染んでくるんだけど、最初の駄々っ子あたりは……違和感。

 対するキャリエール@えりたんは、彼の得意技の駄々っ子さややんちゃさを封じられ、固く地味な印象。こんなにモブに埋没しているえりたんも、キャリエールという役も、はじめて見た。

 ヒロインのクリスティーヌ@蘭ちゃんは、歌を一生懸命歌っていることが伝わるのみで、クリスティーヌとしての人間性が見えない。
 リアルで等身大の女の子に見えるため、仮面の先生を素直に受け入れたり、他人の言いなりになったりするように見えない。もっと自我と知性で、自分で行動しそうな女の子だ。母性や包容力は感じられない。

 そして、シャンパンの王様、フィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵@みわっち。
 さすがタカラヅカの申し子、代表的花男。
 大芝居ぶっちぎり。
 植爺芝居がハマるだけのことはある、すごい型芝居っぷり。
 ひとりだけ時代劇なたたずまいと喋り方。

 伯爵様なの、パトロン様なの。
 他の人たちとは格がちがうの。

 まとぶんがおぼっちゃまだったあのフィリップ役が、けっこうな大人の男なの。
 キャリエールと友人だというのがよくわかる、同世代だよね? キャリよりちょい若いかもしんないけど、あの貫禄と浮世離れさは絶対若造ではないよね?

 だからそんな伯爵様がクリスティーヌに夢中になるのが、なかなか香ばしい(笑)。
 30代男が女子高生を口説いてる感じ。
 そりゃクリスティーヌも相手にしないわ……「おとうさんと同じくらいの年齢の、寛大なパトロンさん」と思ってスルーしてたんぢゃ?
 蘭ちゃんの演技が現代っ子風なので余計に、大芝居のシャンドン伯爵と不協和音。
 キャシー@『サンタモニカの風』(ん?)と、ジェローデル@『ベルばら』がデートしてるみたい……。みわっちがジェローデルを演じたらこんな感じかなと思った、シャンドン伯爵。

 そして、1幕の終わり、怪人に連れさらわれるクリスを思って、「クリスティーヌ~~っ!!」と絶叫するとこなんか、ものすげーイイみわっちぶりですよ。あの大芝居!! くどいわ濃いわ、たまりません。

 銀橋のとーとつなソロも、『ベルばら』系大芝居ソングで、みわっちアテ書き?! 外国の作曲家さんなのに、『ベルばら』の映像見て勉強してくれたのかしら?! と、白目を剥きたくなるクオリティだし。

 面白いです。
 4人とも芝居も持ち味もバラバラ。すげー面白い。
 特にみわっちのトバし方が半端ナイ。

 ここにディズニーの悪役のようなカルロッタ@いちかが加わる。
 いちかが、すげーうまいの。
 この人ほんとに芝居がうまいんだ、って感心した。
 
 ショレ@みつるはヒゲの色男。でもいちかに負けてる……届いてない感じ。役の大きさ的にそれは仕方ないかもしれないが、これからに期待。

 文化大臣@ふみかが、色男。
 えええ、色男でイイの? だってこの間はまりんで、三枚目だったじゃん……。
 胡散臭い二枚目ぶりが余裕。ふみか得意だよね、こーゆーの。
 どさくさまぎれにヴァレリウス@さあやとイイ感じになってる? 組んで踊ったりスキンシップしてるよねえ?
 まさか文化大臣にそんなドラマが……(笑)。

 ルドゥ警部@まりんが、優秀そうに見える! 空気を壊してない!
 ……すみません、みおさんのイメージが強すぎて、花組が誇る芝居クラッシャーのみおさん演じる警部が、どんだけ空気を壊して乱入突入ドタバタしていたかを改めて思い知らせてくれました。
 ふつーに演じることができる役だったんだ、警部。
 そして警部がまともに見えるだけに、キャリエールの三文芝居を信じるのが違和感。
 エリックをかくまったキャリエールが「ここは私が」と警官たちを遠ざける場面、キャリがすごくわざとらしく「ここに怪人がいますよ」と言わんぱかりに両手を広げて後ろを隠す演出に変わっていた。キャリを共犯者だとわかっていて、泳がせて急襲する作戦だと思ったよ……警部絶対気付いてると思った……。
 警部がふつうに優秀だと、演出的に変なんだということも、よーっくわかった(笑)。

 そーいやキャリがエリックの肩を抱いて隠れる場面もなくなってたなー。アレってファンサービスだったはずなのになー。オサゆみのときなんて、確実にオペラがざっと上がっていたのに。

 みんなの芝居がかみ合う日が来るのか、それはそれで楽しみだし、このままでもなかなか楽しいと思う(笑)。
 らんとむさん、トップお披露目初日おめでとう!

 花組下級生時代からずっと、トップになることを宿命付けられ、正しく大きく育ったスターさん。
 さまざまな思い出を噛みしめつつ、お披露目に拍手した。

 花組公演『ファントム』開幕。

 数日前からテンション上がっているせいか、らんとむの登場する夢を見たり、今朝はみわさんとよっちが登場する夢を見たりしてました……そしてテレビを点けたら、まっつがらんとむにえらそーに女のことで指図していて驚いた……。
 スカステはらんとむDAYなのね。『琥珀色の雨に濡れて』新人公演が流れていたわけですが、らんとむ、変わらないわ……新公学年からこの出来あがりっぷり。まっつのうまくなさが目立つったら……ゲフンゲフン。

 チケット完売、立ち見も鈴なり、盛況なお披露目初日。
 キャトルレーヴのプログラム売り場に商品がなくなってたりと、はじまる前からわくわく。
 プログラムが完売したということではなく、売れるスピードが速すぎて、商品の補充が間に合ってない状態なの。プログラムを陳列しているあの台が、からっぽになってるのよ? 「GRAPH」は横に積み上がってるのに。
 で、なんか宙組さんがすげー人数現れてました。席はバラバラ、いろんなとこに、あちこちに、あっちもこっちも宙組さん。

 塩田せんせの指揮もステキ、オーバーチュアから盛り上がり。

 で。

 えーとえーと。

 らんとむさんは、とてもらんとむさんでした。

 エリック@らんとむは、とてもらんとむだった……(笑)。
 そりゃあもお、いろんな意味で。

 わたしは、すごく運動神経の良さそうなファントムだ、と思った……。
 インドアタイプぢゃないっすね、彼。多分、オペラ座の外にふつーに出没していると思います。
 だって花束持って、ビストロで成功したクリスティーヌ@蘭ちゃんに会いに行こうとしたくらい、ふつーに外で生活してそうだ。
 いやあ、あの「いそいそ」した感じがたまらん……なのにクリスティーヌはフィリップ@みわっちとデートに行っちゃうし……エリック可哀想!!
 あと、カルメン場面の軽快さ……脳裏に焼き付いているのがオサ様なので、動きの違いにツボる。

 そしてなんつっても、クリスティーヌに「顔を見せて」と操られる……ぢゃねえ、お願いされる場面のらんとむさんが、大変正しいらんとむさんでした。あの、動き……!(震撼)

 で、わたしには今のところ、蘭ちゃんとの相性がいまいちに見えたんだけど……。
 フィナーレではそんなことなかったので、芝居の中、そしてこれはエリックの問題というより、クリスティーヌ側の問題な気がする。

 クリスティーヌがあんなに難しい役だとは、思ってなかった。
 や、歌が難しいのはわかってるけど、役としては若い可憐な女の子ならその持ち味とビジュアルだけで説得力になるので、その後押しと共にけっこーイケるんじゃないかとか、勝手に思っていた。
 なにしろ彩音ちゃんのトップお披露目作品だったんだし。歌が壊滅でしかもお芝居も苦手、『二都物語』のときなんか「標準語を喋れるだけの女の子」とまで思った棒読み大根ぶりだったあの彩音ちゃん……。『二都物語』に比べれば格段の進歩だったとはいえ、やっぱりまだそれほど芝居がうまいわけでもなかった彼女でも、可憐な美少女という持ち味だけでなんとかなっていた、と。

 蘭ちゃんは若くて可憐な美少女なんだけど……なんつーんだ、ファンタジー界の住人ではなかった。もっと現実的というか、リアルな女の子だった。
 だもんで、ファンタジーな設定のファントム氏をそのまま受け入れるには無理がある気がした。

 なんかひたすら微笑んでるんだけど、彼女がナニを考えてナニを感じて微笑んでいるのか見えない……。
 だもんでときどき、こわかった。
 最高にこわかったのが「顔を見せて」と歌うところ……妖術でも掛けているかのような……アレ慈愛の表情なの? 張り付いたままでこわかったよ……らんとむがその歌に合わせてぴくんぴくんしてるし。

 なんか今回蘭ちゃんの芝居が誰とも合っていない気がした。みわさんとの並びもなかなか異次元……って、コレはみわっちにも問題あるんだけど(笑)。

 でもフィナーレはキュートで魅力的な、いつもの蘭ちゃんだった。
 中村Bはいつも、娘トップに娘役率いて登場させるよねええ……すげーいつもの中村Bショー的フィナーレだった。

 キャリエール@壮くんは……えーっと、親子銀橋は良かったっす。
 最後にらんとむの頬を指でぬぐうところなんか、この天然タラシ男!!と思った(笑)。同期男タラシてどーすんだっ。

 ただ、いろいろ首をひねった。
 キャリエールってこんなに目立たない役だっけ?
 スター仕様な演出をされていた初演の樹里ちゃんはともかくとして、再演のゆみこと出番も演出も同じだろうに、何故かとても脇の役に思えた。
 シャンドン伯爵が2番手で、キャリエールは番手外の役なんだなって感じ。
 もともと押さえ役、支え役を得意としたゆみこと、そーゆー人に支えられて真ん中でぴかーっと光る役を得意とする壮くんの、芸風の違いゆえだろうか。

 しみじみ、キャリエールってえりたんの魅力を全開に出来る役ではないんだなと。
 えりたんのえりたんらしい輝き、あのトンデモな力を発揮できるのは、こーゆー押さえに回った役ぢゃない。
 もちろん役者なんだからいろんな役を演じるべきだ。しかしここはタカラヅカ、脇の人はそれでいいけど、真ん中寄りのスターはいわゆる「アテ書き」とやらでそのスターがもっとも魅力的に見える役をもらうもの。
 えりたんはなにをやってもえりたん!な、とてもタカラヅカらしいスターさんのひとりなので、ちょっと残念だ。

 ビジュアルはすばらしいですよ、ヒゲかっけー。

 ビジュアルといえば、今回もっともツボったのは、音楽教師@さおたさん!!

 かっけーーっ!!

 油断してた。
 めーっちゃ油断してた。
 だもんで登場するなり、目ェ剥きました。ナニあの美男子。
 好みど真ん中。

 音楽室の壁に貼られていそうなロン毛にヒゲ姿で、超絶美中年。
 そして気品。
 ふつーにおだやかにしている紳士なんだけど、音楽指導中とか、どことなくエキセントリック。
 この人絶対貴族出身の芸術家だわ。

 幕間に友人とさおたさんビジュの麗しさについて盛り上がるとは思ってなかったよ……なんたる伏兵。

 
 初日なので、メインどころの人々に感じたことなんぞはきっと、これから変わっていくと思う。
 彼らが変わるのか、わたしが変わるのかはともかく。
 だからこそ、記憶に留めておきたい。
 
 役替わりも楽しみだしなっ。

 んで、きらりの復活を待つよ……。あああ、きらり……。
 どうしよう、楽しみすぎる……!!
2011/06/13

2011年 公演ラインアップ【宝塚バウホール】<9月・専科『おかしな二人』>


6月13日(月)、2011年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、宝塚バウホール公演の上演作品が決定いたしましたのでお知らせいたします。

専科公演
■出演者・・・(専科)轟 悠、未沙のえる
        (星組)美稀千種、碧海りま、如月 蓮、天寿光希、妃白ゆあ、夢妃杏瑠

◆宝塚バウホール:2011年9月15日(木)~9月26日(月)
一般前売:2011年8月13日(土)
座席料金:全席6,000円(税込)

バウ・コメディ
『おかしな二人』
-THE ODD COUPLE by Neil Simon-
原作/ニール・サイモン 脚色・演出/石田昌也

ブロードウェイの喜劇王ニール・サイモンの傑作戯曲「おかしな二人」は、妻と離婚したずぼらな性格のオスカーと、「妻に逃げられた」と彼の部屋に転がり込んできた几帳面な性格のフェリックスが巻き起こす騒動を描いたコメディ。1965年にブロードウェイで上演、舞台の好評を受けて1968年に映画化、続いてドラマ化もされている作品です。演技巧者である専科の轟悠、未沙のえるの、軽妙なユーモア溢れる丁々発止の演技による抱腹絶倒の舞台が大いに見ものです。

 トド様とミサノエール!!
 てゆーか、ミサノエール主演……!

 すげーすげーすげー。
 ポスターどうなるんだろ、楽しみだー。

 他の星組出演者も豪華! どこまで俺得な公演なの。
 演出家がイシダせんせだということ以外は、好みど真ん中。でもイシダせんせのオリジナルぢゃないから大丈夫だと思いたい。……臓器移植の話と現代人カップルと老人の解説者は出ないよね?

 しかし、「専科公演」という表記をはじめて見た気がする。
 
 
 そして、月組『アルジェの男』の新公配役。

 ジュリアン・クレール@紫門ゆりや
 サビーヌ@愛希れいか

 ゆりやくんだーー!!
 もう無理なのかと思ったよ、ラストチャンスだね、良かった~。

 でもって、ヒロインちゃぴ!!
 なんてイヤッホウな配役。うれしい。

 ちゃぴの娘役転向は、予想通りってゆーか、この身長と線の細さで男役を続けても、目指すモノがかなり限られるっちゅーか難しいだろうなと思われたので、賢明な判断だと思う。
 が、なにしろわたしは彼が男の子だったからこそ注目したわけで(笑)。
 文化祭のあのときめきは稀ですよ、騒ぎすぎたので友人に「95期生を応援するって、その子が一人前になって卒業する頃、アンタはいくつになってると思うの」とたしなめられるほど。や、そこまでの覚悟で騒いだわけぢゃなかったんだが(笑)。
 もしも文化祭から女の子だったら、あそこまでご贔屓に似ているとは思わなかっただろうから、出会っていなかったかもな。そりゃまあ、音校ポスター時で「まっつに似ている」と人の口にはのぼっていたけどさー、そんなのスルーしてたから、ナマで観て驚いたんだよ、なんじゃこりゃあ?!と。
 きっとこれから顔も変わっていくだろうし、ちゃぴちゃん自身の、美しい娘役さんとしてのビジュアルを磨いていくんだろう。期待している。

 わずかな間だけでも、男役でいてくれて良かった。音校入学時は娘役だったわけだし、ほんっとにわずかな間。
 それでも、男の子でいてくれたから、文化祭、初舞台と注目して眺めることが出来た。娘役人生も、まったり眺めていくよー。
 そして、95期文化祭のあの衝撃は、思い出として大切にしておく(笑)。

 で。あの顔であの身長であの華奢さで、男役で居続けてくれたまっつを、今さらながらにすげえなと思う。
 よく転向しないでいてくれた(笑)。
 あ、まっつの場合、声が男過ぎたのか……?
 (ちゃぴとまっつの公式身長は同じです)


 宙組さんは『ヴァレンチノ』再演ですか。
 というか、中止になった公演を予定していた劇場でやるわけだから、いわゆる再演とはチガウか。
 実際、劇団からの発表文も

>宙組 東京特別公演『ヴァレンチノ』(日本青年館)公演実施のお知らせ

 であり、再演ではない。あくまでも、「公演実施」なんだね。予定がズレただけってことなのか。

 よい作品だったので、多くの人にナマを観る機会が出来たのはよかったかと。
 でも東京だから観に行けないなああ。もう一度観たいなああ。オレがここまでびんぼーでなければなああ。

 しかし、驚いたのは。
2011/06/13

宙組 退団者のお知らせ

下記の生徒の退団日の変更がありましたのでお知らせいたします。

 (宙組)   
  妃宮 さくら
     
     2011年8月19日(宙組 東京特別公演千秋楽)付で退団

 退団日変更、ってはじめて見た……。
 変更してもいいもんなんだ、劇団都合なら。

 それなら変更して欲しかった人や事情が、この春はいろいろあったのになあ。
 や、仕方のないことなんでしょうけれど。

 よい舞台を期待してます。
 新人公演『美しき生涯』覚え書き、その2。ほんとに、さらに備忘録、メモ系。

 福島さん@あっきー、きれいだった。人形みたいな顔だなあ。
 最初の七本槍せり上がりで、真ん中としての仕事は出来ていたと思う……って、あの7人の中で際立っていてくれなきゃ学年的にも経験的にもまずいわけだが、それでもちゃんときれい。
 本役さんの歌が耳の奥に響いて残っているから(笑)、銀橋の歌はきびしい。でも本役さんとはちがったわかりやすい二枚目なので、タカラヅカとしてはいいんじゃないかな。優等生主人公に嫉妬する、学年2位の努力家二枚目的っていうか。
 最後の牢獄場面は、やりすぎていない新公の方がよかった気がする。……いや、あのこってり感が本公演の福島さんならではの味で、すっきり抑えめが新公の福島さんの持ち味か。

 しかし、七本槍のみなさんって、ほんっとしどころがないというか……大変だなあ。
 本公演だと新公や別箱も含めセンターで活躍経験のある人たちだからなんとか持っているけど、新公だとなにがなんだか。
 奥方のくだりはおもしろかったし、おてもやん@りりこの独壇場はすごかったけど。

 市@れーれがうまかった。やっぱりもお、新公の中では群を抜いてうまいし、目立つなあ。
 短い出番で市の立ち位置や考え方がよーっくわかったよ。頑固でカッコイイ女性だ。

 秀吉@松風くんはふつうにうまい。ある意味準主役でしょ、いきなりよくがんばったなあ。
 で、わたしは秀吉役って、これくらい若さがあってもいいと思った。
 主人公の恋敵で準主役、助演だもの、史実なんか無視して若い二枚目でいいのよ。
 松風くん自身はちゃんと老け役としてがんばっているんだけど、やっぱり本来の若さは出てしまう。重厚さや老獪さは難しい。
 でも三成とあまり年齢差が開きすぎていない、現役感がある方が、タカラヅカの三角関係としてアリじゃないかと。
 (昔、『ささら笹舟』という作品があってな、美貌の貴公子かしげが、チャルさんよりミサノエールのより年上の役を演じていたんだよ。秀吉@ミサノエールで今と同じ感じなんだけど、ここはタカラヅカだからって、年齢無視してかしげは美青年のままだったの)

 おね@ももちもうまいので、秀吉&おね夫婦はいい感じ。
 おねには何故か謎の銀橋ソロがある(専科さんの銀橋ソロはタカラヅカ的に謎だろう)ので、歌ウマももちだったんだろうなあと。期待通りうまいのだけど、ももちの歌声って主役系の声じゃないのかな。本人がヒロインタイプかどうかではなく、歌声として。
 文化祭で「清く正しく」を独唱したときは、そんな風には思わなかったんだが……曲の違いと場の違いゆえか。

 家康@天玲氏がふつーでおどろいた。……って、ナニその感想。いやその、もっとナニか起こるかと思ってたんだ……(笑)。まともに家康をやっていたと思う。

 たつの@うららちゃんは美貌で目立つ。が、えりちゃんの妹って設定は苦しいなあ(笑)。ふたりの画風がちがいすぎて。芸風というほどのものは伝わらないため、見た目だけの話。
 えりちゃんがアニメ系で、うららちゃんが劇画系なので、姉妹と言われてもなあ、というか(笑)。
 いや、美人姉妹で眼福です。

 
 名前のある役ってこれぐらい? ……少なっ。
 あ、トニカくんモブでセンター、歌、がんばってたね。彼は目立つ顔だなあ、本公演も含め。彼もスカフェゆえにおぼえた子だ。スカフェがなくなると、若い子をおぼえるきっかけが減っちゃうんだな。
 顔でいうと、七生くんも目につく……やっぱアレ系の顔は好きだ(笑)。

 あと、じゅまくんの歌をどーんと聴きたいなあ、とモブをやっている姿を見て思った。(七本槍はモブぢゃありません! ……でも新公だと……あうう)
 最近記憶の衰えが激しいなあ……と、つぶやきつつ、新人公演『美しき生涯』覚え書き。

 うれしい驚きは、疾風@りくくんの声。
 あれ、こんな声だっけ? ちゃんと男役の声になってる。
 声がイイと芝居もうまく見えるし、舞台映えするよねー。これから楽しみだわ。
 顔立ちが舞台向け……というか、個性的だから、コスプレ似合う。となみちゃんがスーツよりドレスがハマったのと同じ方程式。

 温度のある、人間くさい疾風。
 ちゃんと茶々@瀬音リサちゃんを想っているのがわかる。
 冷徹なことを言っても、まず心があって温度があって、その上で冷たいことや厳しいことを言っているらしいよ、この忍者さん。
 ついでに、銀橋で三成@愛ちゃんと「光と影」って歌われると納得する(笑)。

 さぎり@えりちゃんを口説くシーンに色気がないことと、最後たつの@うららちゃんに刺されて死ぬところに色気がないことに、本役さんの妙な得意分野っちゅーか味?に思いを馳せつつ「がんばれ(笑)」と思った。
 そーいや死ぬところの衣装、膝が見えないんだね……テルの膝見せはファンサービスだったのか……?

 
 主人公三成@愛ちゃんは、期待したほどコスプレが似合っていない気がした。何故だ。
 前回のロバート@『誰がために鐘は鳴る』は美しかったのに。ブルース@『記者と皇帝』だって格好良かったのに。
 もちろん、長身小顔さんなんで、頭身の高さは気持ちいいんだけど……あのみょーに肩幅ばかり強調した衣装の数々は、もっとアニメ的な顔立ちや芸風の人が似合うのかもしれない。

 とても素直で可愛い三成で、本役さんより説得力があった。
 というのは新公でよくあることなんだけど、人間として幼い思考や言動の主人公を演じる場合、大人である本役さんより、若者が演じる新公の方がすんなりハマって無理がないんだよね。
 キャラが中二だから、愛ちゃんが若々しく青春芝居をしていると違和感がない。
 いるいる、こーゆー男の子! 思春期ゆえの潔癖さと理想の高さで、自分でこうと目標掲げたら、それ以外はやせ我慢しちゃう子。間違ってるんだけど、本人は大真面目、自分の正義に酔っている。いい子なんだけどなあ、周りの大人がしっかりと彼のことを見て、アドバイスしてあげたら、もっと楽に生きる方法も気づけるだろうに。親とか先生とかは彼の優等生で手が掛からないところばかり見て安心して、放置しちゃうんだよね。鈴木先生がここにいたら、どんな指導をしたんだろう、と思ってしまうような男の子。(ドラマ『鈴木先生』がナニ気に好きな人の感想である・笑)

 また、三成がちゃんと光……タカラヅカの主人公らしい、まっすぐな輝きを持っていることに着目。
 裏方じゃないですよ、支えに回る人じゃないですよ、そんなややこしいことしなくても、まっすぐに真ん中で主役ですよ、な光。
 主演するに相応しい資質だね、愛ちゃん。
 この健やかな光が、派手で豪華、だけど太陽というよりは月や闇のある蒔絵のイメージの、今回の三成コスプレ群に合わなかったのかな。

 
 さぎり@えりちゃん。色気のない疾風相手に、ひとりでお色気を放っているのがツボだった(笑)。
 そう、女が悶えて見せたら、とりあえず男がうまいよーに見えるのよ!(笑) さすがクノイチ、男を騙す(「こんなに喘いでるんだから、オレ、うまいんだよな」と自惚れさせる)演技に長けている。
 えりちゃんってほんと、コスプレの人で、アニメキャラの人だと思う。
 さぎりという女がどうというより、「クノイチの悲劇ってこんな感じ」という、アニメ・マンガ的設定が彼女が演じることによって際立っている。
 寂しげな顔とか、決意の顔とか、二次元萌えキャラ系。
 タカラヅカでは良い資質だと思う。わかりやすいのはイイ。

 あとはスタイルのバランスがよければなあ。
 衣装を選ぶというか、脚は出さない方がいいというのは、萌えキャラとしては残念だなー。
 細すぎて痛々しい。蘭はなちゃんやみみちゃんの脚と共通項。
 美貌と萌えキャラ特質をさらに活かしていってほしいなー。実力は問題ないし。つか、えりちゃんアテ書きの主要な役を見てみたいっす。

 そして彼女が新公の長として挨拶をしたことに、軽く驚く。
 そうか、そんな学年なのか……月日が流れるのは早いなあ。

 
 茶々@瀬音リサちゃんは、うまかった。
 実力には問題なし? ふつうに眺めていられたし、三成とも恋愛しているのがわかった。
 でも見ていてときめかないのは、なんでだろう……。
 せっかくのヒロイン物芝居で、これだけお飾りではない重要なヒロインなのに、吸引されない。ここが舞台の真ん中!とわからない。
 ヒロイン経験の少なさゆえかな? 慣れてくればもっときれいに華やかに、タカラヅカのヒロインに見えてくるのかしら。
 日本物は難しいよね。
 真矢みきの美貌はハンパねぇなと思いました。

 『ハウ・トゥー・サクシード』制作発表会、初演キャストからのビデオレターを見て。

 バウホールの舞台に、大きなスクリーンが設置され、そこに映像が映し出されるわけですよ。
 ミキちゃん、純名、タモさん、タータン、ガイチ、あきちゃん、オサ様、コム姫……だっけ。
 この中ではミキちゃんがいちばん年長なのかな? 実年齢と学年の関係性、すでに忘却の彼方なんだけど。
 なのにいちばん美しいのは、間違いなくミキちゃんだー。
 初演『H2$』の映像も流れたけど、ミキちゃん、若返ってる……。
 フィンチ@ミキちゃんは、けっこうシワが……目の下とか……ハードだったんだろうなあ、トップスター人生。

 OGの中では若いはずのオサ様とコム姫がなかなか微妙な映像写りで、77期ファンとしてはちと微妙だったり(笑)。

 さて、このビデオレターを見ている間は、出演者は上手側下手側に別れて坐っているわけなんだけど。
 上手側がキムみみヲヅキ澄夫ちゃん、下手側がちぎまっつコマ。

 ヲヅキ可哀想。と思った(笑)。

 新婚カップルと同席してしまった独り身男。
 隣のみみちゃん、キムしか見てねええ(笑)。
 キムみみがふたりでくすくすやっている横で、ヲヅキさんは直立不動。反対側の隣が先生だからヘタに話しかけられないのか、孤高にいらっしゃいます。

 そしてまた、ヲヅキ氏の坐り方が。

 素顔のトーク番組ならば、男役でも女性である。しかし、ヅカメイクをして、しかもコスプレとかじゃないスーツ姿というリアル男性な格好で、どう過ごせばいいのか。居住まいの難しさハンパない。『ガラスの仮面』の「若草物語」のオーディション場面とか思い出しちゃったよ(笑)。

 ええ、スーツ姿の男6人(ひとりは酒井せんせですが)で、ただひとり膝をぴっちり揃え、女子坐りをしているヲヅキさん。
 スーツ姿の男6人(だから、ひとりは酒井せんせ)で、もっとも男らしい姿の、ヲヅキさん。

 このギャップ……(笑)。

 ちなみに、もっとも自然に男らしい坐り方をしているのは、まっつでした。

 まっつ……膝も足も開いてる……。

 他のみんなは膝は閉じてない+足を閉じる感じにしてるんですね。男役がよくやる、完全に男でもないけど女らしくない坐り方。
 ただひとりまっつだけ、膝も足も開いた完全な男坐り。ヲヅキさんだけが膝も足もぴったり閉じた女子坐り。そして、このふたりのおっさん度は、極めて高い。

 際立っておっさんなふたりがとても対照的で、ひそかにウケてました。

 で、まっつは隣のちぎくんとなにやらひそひそくすくすやっていて、とても眼福だったです。
 ええ、ビデオレターは所詮映像のビデオレターを見るモノではなく、それを見ているナマのスターたちを見るモノでしょう?
 まっつの横顔スキーとしては、これだけ長いまとまった時間ずーっと横顔を見られるなんて幸福です。

 
 そのあと、マスコミ関係者からの質疑応答……なんだけど、浜村淳オンリーステージ。ひとりで時間フルに使っちゃって、他の記者が質問する時間がなかったという。
 浜村淳が客席にいることは気付いてたけど、あの人は「マスコミ」の人だったのか。肩書きは「毎日放送の浜村淳」だった。
 さすがに彼ひとりで質疑応答を終わらせたらそれは「マスコミ関係者の質疑応答コーナー」ではなく、「浜村淳のパフォーマンスコーナー」になってしまうので、無理矢理もうひとり、「月刊ミュージカル」さんかな、記者さんの質問を入れて、制作発表は終了になった。ミュージカルの記者さんは出演者全員への質問で、実に空気の読める人だった(笑)。

 さてその浜村淳パフォーマンスコーナー。
 人の話を聞くというより、自分が喋る、ツッコミを入れる、ことを主眼とした自己主張の場なので、トークの誘導っぷりがすごいです。
 自分がした質問に対し、相手の答えを誘導するのね、自分の思い通りに。勝手に話をまとめたり、決めつけたり。
 酒井先生はうまく喋れない人だからしどろもどろ、ちゃんとした答えを出せないままに、勝手に浜村淳にまとめられて終了。
 「初演と変わった場面はありますか」「ありますけど……」「企業秘密で教えられない、そうですね」「いや、あの、少しぐらいは……」「コーヒーブレイクの群舞はありますか」「はい、ありますけど、振付が……」「あるんですね!」「いやそのだから、あるけど、振付を新しく……」みたいな。
 澄夫ちゃんに喋らせてやれよ!!(笑) 新しい場面、澄夫ちゃんはもっと喋りたそうだったのに、浜村淳が流してしまった。アンタなんのために質問してんのよー。フィンチと社長の場面が新しくなった? つっこんで欲しいところをスルーされて、ストレス(笑)。

 そして、浜村淳の次のターゲットは、バド@ちぎ。
 ちぎに質問したかったというよりは、バドというキャラがいじりやすいため、パフォーマンスしやすいという判断か。ちぎくんは真面目に答えているんだけど、浜村淳、聞いてねえ。ちぎが話していることを、自分で決めていた方向へねじ曲げていく。
「バドって早霧さん地のままでしょ?」「いえ、そういうわけでは……」「地のままですね、はい、地のままだ」「あの……」てな勢い。
 もちろん、地のままだっつーことにした方が、話が盛り上がるので客席の笑いは取れてるんだけど。それは質問者が決めつけることではなくて、ちぎくんが自分の言葉で語るところだろう。

 ちぎへの質問……というか、まさにちぎをいじって浜村淳が楽しそうにワンマンショーやっている時間がやたら長かったので、この作品の主役がちぎくんみたいでした。
 や、楽しかったけどね(笑)。
 キムくんは向かいで爆笑しているし、みみちゃんといちゃついてるし、ヲヅキさんはオトメのまま直立不動だし。
 あまりにいじられまくるのでちぎが取り乱し、隣で大笑いしているまっつになついたのが萌え。
 彼らの椅子はそれなりに間を取って設置されていて、隣の人に触れるのは「あ、触っちゃった」とか「当たっちゃった」レベルではなく、触るつもりで行かないと触れない、くらい離れている。
 のに、ちぎくんがまっつの肩にしなだれかかるよーに手を置いたのは、「憎しみ」のベンマーコンビのようで萌えでした。うわー、わざわざ触りにいったよ、下級生から触ってヨシなくらい、ふつーに気安いわけかー。と。
 それが見られたので、浜村淳GJ! ということにしておきます(笑)。

 浜村淳はあとコマに質問していたけれど、彼はどうも『ロミオとジュリエット』のあとに全国ツアーがあったのは知らない模様。コマが乳母役だった、女役だったことにこだわっていた印象。あのー、そのあとにもうちゃんと男役やってますから。
 ヒメの名前まちがったり、知識の半端さが耳につく。

 そのあとだから、ミュージカルの記者さんはまともにいい人だったなあ(笑)。

 
 まっつはよーっく見ると茶髪なんだけど、6人ずらりと並んで「あの黒髪の人」と言われるくらいには、ふつーに黒髪です。
 ブラックまっつ記録更新中(笑)。

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