時期遅れではありますが、未涼亜希『仮面の男/ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』東宝お茶会の感想、続き。
 レポじゃないです、あくまでも感想です。

 『仮面の男』お茶会だけど、わたしの思い込みの関係で『インフィニティ』の話のみお送りしております(笑)。

 『インフィニティ』ポスター撮影時エピソードを話すまつださん。
 ついには立ち上がり、

 ポスター再現、ナマまっつキました。

 両腕を広げて、振り返り様に撮影、だったそうで。
 男役テイストなロングジャケット姿で、振り返りキメポーズ、を実演してくれるまっつに、場内騒然。

 かっ……けーーー!!

 マジかっこいい。ナニこれすごい。
 まっつ、ちっこいのに。体型だけではすごく不利な人なのに、それでもその技術のみで、こんだけ「男」として美しいモノを形作る。
 舞台補正ナシの素顔姿で、気合い入れた「男役講座」的なものでもなく、話ながらのゆるい実演……それでこのレベルをぽんと出してくるんだ、さすが男役14年。

 某小柄な上級生お茶会に参加したときも思ったけど、小柄で華奢な男役さんが技術のみで作る「男役としての美しさ」ってのは、恵まれた体格の男役さんに感じるときめきとはまた別の感動がある。
(身バレがこわいので、少人数茶会参加時は、誰のどの茶会かは書きませぬ・笑)

 まあそんな風に、静止しての撮影ではなく、ひたすら動き続け、さらに「歌っている風」なので、実際に、歌うわけじゃないけどなにかしら声を出し続けての撮影だったそうです。
 空調の壊れた部屋で、分厚いベロアなんか着て。
 ああ、見てみてえ。

 んで、撮り終わってから見せられた写真データが、最初に見せられた目標イメージ画像そっくりだったと。第一の感想はそれだったと。

 でもまっつ的には満足っぽい。今までの自分と違うイメージを楽しんでいる様子。
 ポスター写真のまっつが変にピンぼけなのも、実際に歌っているような躍動感を表しているためだそうですよ。素人が下手な処理をしたためじゃないそうですよ(笑)。『アリスの恋人』の凝りまくったポスターデザインと加工っぷりを見たあとで、『インフィニティ』を見るとそのお金の掛かってなさというか手を掛けてもらってない感ありありで肩を落としていた、なんて言っちゃダメなんですよ!(笑)

 ポスター再現まっつがすげーかっこよかったことも確か。

 しかし、真の意味でコノヒトがカッコイイのは、別のところにあった。

 『インフィニティ』は、はじめてのバウ主演だ。同期より7年も8年も遅れて、花組にいたときは下級生に抜かされて、もうそんな機会はないのだろうと思われていた、研14。
 苦節何年、じゃないけれど、はたから見れば「よかったねえ、ようやくだねえ。どんだけ大喜びしたことだろうねえ」って感じじゃないすか。

 ところがまつださん、バウ主演をやってくれとプロデューサーだかに言われたときの反応は「はい」だったそうな。はい、わかりました、と。

 「きゃあ、うれしい♪」とか「どうしよう☆」とかではまったくなく。
 次の仕事を指示された、了解と応えた、みたいな。

 もちろん、うれしくないわけではない。とても光栄だし、うれしく思っている。
 ただ、「きゃあ♪」という次元の話ではない。という。

 もっと下級生のときなら、この重責になにか思うところはあったかもしれない。
 しかし今のまっつは、バウだから主演だからというところには、ないんだ。舞台人として、タカラジェンヌとしての位置が。
 バウ主演ですよ、と言われても、「はい、わかりました」でその仕事を受けられるだけの力がある。
 出来る、という自信。
 それは驕りではなく、実績からくる認識。
 わたしたちだってあるよね、新しい仕事を言い渡されたにしろ、今までの自分の経験から「これなら出来る」と思うこと。はじめてだからって、別に不安じゃない。だって、「出来る」もの。知ってるもの。これは驕りじゃない、ただの事実。

 バウ主演を聞いたときの反応が、「はい、わかりました」。
 ただの事実確認。

 しみじみ、思いました。

 この人、カッコイイ。

 不遜に思う人もいるかもしれない。仕事と情を混同する一部の人たちとか、過剰に謙虚さを求める人とかは、「はじめての大きな機会を与えられて、『きゃあ、うれしい♪』と舞い上がらないなんて、ナニかカンチガイしてるんじゃないの」とか「『私なんかでいいんですか?』とへりくだらない人は傲慢だ」とか思うのかもしれない。
 でも現実問題、「仕事」なんだから。企業がお金を掛けて行う事業なんだから、情とは別でしょう。

 舞い上がりもへりくだりも、ある意味言い訳だもの。
 「すごくうれしいのでがんばっちゃいます」は能力ではなく情のアピール、努力を評価対象に加えてくださいね結果だけではなく、「私なんかでいいんですか?」はスタート地点を下げる予防線、大した結果を出せなくても怒らないでくださいね。
 了解だけを伝えるってことは、出来て当たり前、ってことだもの。情も努力も手加減もなく、ただ結果のみで勝負。実力のみで勝負。
 勝つ前提、負けることはあり得ない発言。

 そして、「きゃあ、うれしい♪」と言わないことに対し「不遜だ」と思う人たちがいるウェットな世界で、本心はどうあれ「『きゃあ、うれしい♪ 私でいいんですか? どうしよう……不安だけど精一杯がんばります☆』と言いました」と言っておけばいちばんありきたりで安全な話なのに、わざわざ「『はい』って感じでした」という、まっつの嘘のなさ。

 仕事に対する真摯さと誇り、そして自信。
 舞台人としてもだけど、ひとりの働く人間として、かっこいい。ああ、ほんとうに「仕事の出来る人」なんだ、と思った。

 この人が作るバウ公演『インフィニティ』は、きっと成功するだろう。
 観客を満足させてくれるクオリティになるだろう。
 シンプルに、そう思った。

 惚れ直す、ってのはこーゆーときに使う言葉なのか。
 基本わたしは舞台の上の役者にしか興味はないんだが、「未涼亜希」という舞台人に改めて惚れ直した。
 こういう人だからこそ、あの舞台姿をわたしに見せてくれているんだ。

 この人を好きで良かったと思う。

 ……のはさておき。

 まっつがねえ、いちいち「『きゃあ、うれしい♪』とは思わなかったんですよ。あ、うれしくないという意味ではなくて!」と言うんだけど。
 あのまっつが、声を裏返らせて、「きゃあ、うれしい♪」と女子な感じで言う。ええ、♪とか☆とかはぁととかの感じで、言うんです。
 この人、女子な声出ないんだ、という事実。
 声が裏返っているというか、無理にかわいい高い声を出そうとして、かすれている。
 男が女子の真似をしているときの、あの不自然な声……。まつださん……いちおー生物学的には女子だと思うんだけど……そ、そうか、ぶりっこな女子喋りはマジで出来ないんだ……。
 トド様のぶりっこ喋り的なやっちまった感あふれる声でした。
 しかもまっつ、「だから、『きゃあ、うれしい♪』とは思わなかったんです」って2回言ったんです、話の中で。
 まっつの「きゃあ、うれしい♪」は2回とも、ひっくり返ったかすれ声で、女役はマジに無理だなと、関係ないところで感心してました。

 面白いなあ、この人。
 ……はっ。かっこいい、で終始させるつもりが、面白いに着地してしまった?(笑)

 続く。

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