てことで、追いかけて四日市、2回目。
 水しぇん追いかけて「四日市ってどこ?」と、わけもわからないままたどり着いた地。あれから6年。
 全国ツアー『銀の狼』で3番手やってたキムくんが、トップスターになってはじめての全国ツアーなんだ。
 『銀の狼』がダイスキだったこと、レイ@水くんが好きすぎて、ジャンルイ@キムくんと、大統領(偽)@ハマコが好きだったこと、それらを一気に思い出し、なつかしく切なくなった。
 コム姫時代の雪組も、やっぱり大好きだったんだ。

 そんな四日市。
 場所はなんとなーくおぼえてるから、地図も持たずてきとーにふらふら行き、チケットないからサバキ待ちして。

 チケットを持っていない今回の遠征のテーマはずばり、下手で観る。

 初日からいろんな会場でいろんな席で観ているのに、下手に坐ったのはたった1回。梅芸3階席観劇1回をのぞけば残りすべて1階10列目より後ろでは観ていない、偏ったチケ事情、しかもソレがセンターから上手側ばっかだったの。
 おかげでキムくんやみみちゃんはじめ上手通路を降りる人たちのタッチを得られたり、花道で踊る下級生の目線もらったりいろいろ楽しかったけれど、下手通路のまっつのことは指をくわえて眺めるばかり。
 そしてラストの挨拶時は、一歩前に出るキムくんのおかげでまっつは全滅、カケラも見えないし。センターブロックでも下手側でないと見えないんだ。トップの大羽根おそるべし。

 後ろでもなんでもいいから、下手で観る。
 プガチョフの最後の表情だって下手でないと見えないし、幕が閉まる瞬間の羽根を背負ったまっつのお手振りだって下手でないと見えないんだから。
 なにがなんでも下手!!

 とゆー、祈りが神様に届いたのでしょうか。

 無事、後方センターブロック下手通路際ゲット。
 客席降りまっつの定地点。

 まつださんが真横だ……。

 ぽかんと彼を見上げ、固まってました。
 笑うまっつははにわのよーでした……。(もっとマシな表現はないのか)
 いやその、目が黒い空洞に見えて、口も黒い空洞で。どっちも横長の線になっていて。

 タッチもしてもらえました。はい。
 ありがとうございます。てゆーか、そっから先、しばらく記憶がナイ……。ホモの館のキムくん客席登場あたりでよーやく、正気に返った(笑)。

 しばらく手を洗わない! と、少女のようなことを思った……ことを、終演後の化粧室で、手を洗っているときに思い出した。←

 下手から眺める『黒い瞳』『ロック・オン!』は新鮮でした。

 プガ様の後ろアタマしか見えなかったところが、ちゃんと顔が見える!
 キムくんの羽根に負けず、笑ってるまっつが見える!

 プガ様はさらに落ち着いたというか、こなれてきたというか、彦根ほどおっさんに行き過ぎず、うまいあたりに着地している印象。
 お化粧変えるの面倒なのかな、プガチョフ化粧のままやってる『ロック・オン!』は、まっつにしてはとにかく濃い顔、濃い化粧。そのぶっといモミアゲはナニ、ぶっとい眉はナニ。……公演を重ねるにつれ、さらに濃くなってる気がするんですが(笑)。
 「涼しい、クールな男役」だった未涼さんが、なんか暑苦しくカッコつけてて、困る。……格好良くて。

 市川以来のまっつメイト、梅芸以来のまっつメイトとも合流し、「まっつカッコイイ」しか言わない時間を過ごし、「まっつって、絶対自分をカッコイイと思ってるよね、そーゆー顔して踊ってるよね、ムカつくー!(笑) でもカッコイイ~~」とか、支離滅裂なことをゆーて過ごしました。

 昼公演、夜公演とも客席には雪組『ニジンスキー』組がいて、きゃーきゃー盛り上がってました。
 はじめてナマを近くで見た翔くんがマジきれいでびびったり、あすくんのかわいかっこよさにきゅんとなったりしたのはいいんだが、ええっと、その。
 ひそかに、しゅうくんのかわいい女の子な笑顔にずきんとキテいたり。……大公様……いろいろとごめんなさい……(笑)。

 そしてなにより。

 昼公演客席に、水しぇんがいた。
 登場と共に、拍手起こってたし。

 水みなで並んで観劇。
 うれしいなあ。

 彼らの席はセンターブロック4列目下手通路際、だったかな。
 水くんが中寄りで、みなこちゃんが通路際。
 水くんが通路際ぢゃない! ということに、わたしとその周囲の知らない人たちは勝手に残念がってました。
 『ロック・オン!』の客席いじりで、水くんの手にキスするキムくんが見たかったんだ。みんな心はひとつだなあ、ヅカファンってば(笑)。水くんが通路際じゃなければ、やってくんないよなあ。反対に、通路際だったら絶対やってたと思う! キムはそーゆーとこはずさない人だ!(笑)

 んで、キスはないにしろ、「ワンモアタイム」の掛け声をキムくんが水しぇんに振っていた……んだけど。
 すごいね全ツ、客席の水くんに、スポットライトあてた(笑)。
 客席照らすんだ、グッジョブ、照明さん!!

 ライトを浴びて、水くんが記憶にある通りの声で、記憶にある通りの、ちょいとオネエなあの喋り方で、「ワンモアタイム」(笑)。

 なんか得した公演だ。
 そして、唯一水くんの『ロック・オン!』に出ていなかったまっつが、水くんの前で『ロック・オン!』をやるのはプレッシャーだろうなあ、とか勝手に考えて感慨深くなってみたり。

 そして。
 最後の黒燕尾で、ひとりだけ花組まんまの手をしているまっつに、水くんからのダメ出しが入らないことを、願いました。
 燕尾の端を押さえる手のカタチ、角度、位置。それがまっつひとりチガウ。
 ザ・花男の誇りを込めて、まっつにはそのままでいて欲しい。
 雪組に馴染み、雪組で生きることと、花組時代に積み重ねたモノを捨てることはチガウから。
 ……いつか変わってしまうにしろ、今はまだ、花組の香りを放っていて欲しい。胸を張って。

 水くん観劇後の夜公演、まっつの手が変わっていないことに胸をなで下ろした。
 よかったー。

 
 6年前、水くんを追いかけた四日市で、また水くんに出会えるなんて。
 年寄りだからすぐ、昔話をしたくなる。
 『銀の狼』良かったなああ。

 そして。
 今また、キムくんを好き過ぎるため、昔の自分の記事を引っ張り出して読み返す。
 http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1214.html
 ↑ 6年前の、『銀の狼』冷酷キム萌え語り(笑)。
 そしてついに、雪組全国ツアー『黒い瞳』『ロック・オン!』千秋楽。

 昼公演はチケットがなく、指をくわえてホールの外にいました。
 音が漏れまくっていて、どの場面でナニをやっているか、丸わかりだったんですが。
 ソリの場面のラストの歌い上げ、すごかった……! 音だけだとさらに。

 この日はサバキ待ちの人ばかりがずらりと玄関前に並んでいたんだが、係のおじさんに「中に入らないんですか、もう時間ですよ」と言われ、ならチケット売ってくれよと思ったのはわたしだけではないだろー。
 立ち見でもなんでも、急遽売ってくれたらいいのに、チケットなくて入れない人たちにいちいち「時間だから入ってください」と言って回るあたり、とっても地方公演ですね……チケットもないのにあきらめきれず、財布握ってこんな辺鄙な場所までやってくる人種、というものは想像の範囲にないらしい。(当然です・笑)

 まあ、その観られなかった昼公演も、新たなまっつメイトとお喋りして過ごしたので、有意義な時間ではありましたが。

 千秋楽は、念願の下手側前方席。
 最後の最後に、いちばんイイ席キターっ。
 『黒い瞳』で、今まで見られなかった、見たいと切望していたいろんなモノが見えて、スイッチ入りまくり、泣きまくりでした。

 芝居が終わってロビーに集合、まっつメイトはみんな「泣いたー」と口々に言うけど。
 「泣いた」のあとに続ける言葉が。
 ひとりは「エカテリーナとマーシャ!!」だし、ひとりは「ニコライ大好き」だし。
 ちょ、まっつプガ様はどうよ?!

 いやその、「ニコライ大好き」はわたしですが。
 『黒い瞳』千秋楽。
 わたしのハートを直撃したのは、ニコライ@キムです。

 どうしよう、この子好きだ。
 好き過ぎるっ。
 もともとキムくん好きだし、彼の芝居が好きなわけだが。
 なんかすごいツボにはまった。

 前日の四日市でもそうだったんだけど、ニコライは彦根で見たときより「プガチョフ大好き」寄りになっていて。
 梅芸ではまさに少年!って感じにプガ様にめろめろだったんですが、彦根では大人びていて、プガ様への傾倒も少なめ。なーんだ、と思っていたところ、四日市では青年+プガ様のこと好きになっていて、そしてこの千秋楽では。
 ちゃんと大人、だけどプガ様LOVE!
 ちょ、桂ちゃんあーた、最後にこんなことになるんですかっ。

 わたしはまっつファンで、まっつが演じている以上、プガチョフが好きです。
 わたしは、この雪組版のプガチョフを愛しています。

 そのプガチョフを心から愛しているニコライに、感情移入しまくり。

 ニコライは男の人なので、女性目線でプガチョフを愛しているわけじゃない。恋愛というなら、それは間違いなくマーシャ@みみちゃんに対してだ。
 恋愛ではない、だけど確かに「愛」としか呼べない感情で、彼がプガチョフを想っている。
 その感情にシンクロして、「ニコライとプガチョフの物語」に大カタルシスを得られた。

 健康的な真っ白な少年役を得意としながら、毒や歪みを持つキムくんの芸風は大好きだ。
 そんなキムくんが、魂をまっつに向けて、「愛」を表現している。

 『ロック・オン!』のホモの館で絡まれても、結局最後まで萌えには至らないくらい、異質すぎて収まりのよくない同期コンビだと思っている、キムとまっつ。
 や、「面白い」とは思って見てるんだよ(笑)、ホモの館。
 本人同士のキャラで「さあホモですよ」とやられると異質過ぎて萌えないけれど、こうしてその異質な特性を活かした役で、活かした芝居をされると、こんなに切なく盛り上がるのか。

 
 で、その『ロック・オン!』の紳士たちの倶楽部、ホモ館ですが。
 ニコライ×プガチョフに萌えまくったあとだったので(えっ、プガ様右っ?!)、最後くらいキムまつに萌えられるかと思ったんですが。

 昼間、新たなまっつメイトが言っていたことを思い出してしまって。

 市川で観劇したときに、彼女はアレを「ホモの館」だとは思わず、吸血鬼対決だと思ったそうです。

 発酵したまっつメイトぞふぃさん(腐ったまっつメイトと書いたら、苦情が来たので改める・笑)も、同じこと言ってた。
 まっつとキム、アレはキスしてるんじゃなく、首筋に噛みついてるんだと。
 ぞふぃさんはいろんな人から「チガウよ! アレはちゅーしてるんだよ!」と言われ、それでも「チガウよ、吸血鬼だよ、ちゅーのわけないじゃん、あんなに顔ズレてるのに」と言っていたなあ。
 梅芸の終わりくらいに、「ちゅーかもしれない」と認めるよーになっていたか。

 キスシーンがキスに見えない、研14の男役たちってどうよ?!

 吸血鬼だと客に誤解させるくらい、ちゅーがヘタだったわけです、キムとまっつ。……情けない……(笑)。

 わたしはそのかバウ観劇済みだから、同じ場面がはじまったことで、登場している男たちがホモだとわかったけれど、先入観のない人にはわからないのだと、ぞふぃさんに力説された。
 そして今また、ぞふぃさんと同じことを思った人に出会った……わけだが。

 この新たなまっつメイトちゃんは、さらに解説してくれた。

「噛みつかれてるから、まっつはあんなに痛そうな顔してるんだなって。そりゃ痛いよね、って思いながら見てました」

 初日のホモ館まっつというと、アレです。
 「オレ、受だから、受なカオしなきゃ」と、すげーがんばってアハン顔していた、アレです。

 まつださん渾身の受エロ顔を、「噛まれて痛がってる顔」だと思った!!(笑)

 まっつ……(笑)。
 似合わないこと、がんばってやってたのに……ぶっちゃけキモかったのに……彼の努力は報われず伝わらず……「そりゃ痛いよね」……聞いてて爆笑しました。

 いやはや。
 そんな会話をしたあとの『ロック・オン!』観劇だったから。
 いざホモ館がはじまると、つい脳裏にその記憶が。

 キムまつキスシーンで、思わず吹き出しそうになるという……。うわわ。

 まっつはそれほど受顔をがんばらなくなったけど、役割的に攻というわけでもない、どう受け取ってイイかわかんない感じで最後まで過ごしているよーに見えた。
 やっぱ得意なドS攻をやらせてあげたいです、まつださんには。その場合、相手はキムくんでない方がいいです、彼も攻だから食い合わせが悪い(笑)。

 
 ほんとに、隅から隅まで楽しかったっす、全ツ。
 『黒い瞳』の主人公、ニコライ@キム。

 この物語は、彼の成長物語でもある。
 ひとりの少年が、揺れる歴史の中で恋をし、友情を貫き、大人の男となる。

 ラストシーン、愛する少女マーシャ@みみちゃんと踊るニコライを見ると、涙が止まらない。

「叫ぶ声、流す血も、ぼくはもう見たくはない」……血を吐くようにそう訴える青年。
 勝ち戦、敵の死体が累々と続く戦場で、絶望に顔をゆがめる青年。

 戦うこと、傷つけることをこれほどおそれ、嫌悪するこの若者は。

 それでも、また、武器を取るだろう。
 もしもまた、愛する者が危険にさらされたならば。
 マーシャや、ふたりの子どもたちを害する者があるならば、彼らが生きるロシア帝国を害する者があるならば。
 愛する妻に、家族に「行かないで」と泣かれても、剣を取り、戦列に加わるだろう。

 彼自身がどれほど傷ついても。

 ニコライは、そういう子だ。
 そういう、男だ。

 
 それまでは、ハッピーエンドまでしか感じていなかったんだ。
 梅芸楽のニコライがすごく好きで。
 ピュアな少年ぶりがすごくて、愛情過多で。
 マジ泣きしながら「マーシャ~~っ!!」と上手袖へ駆け込んでいく姿に、一緒になって泣いた。

 ラスト、雪のベロゴールスクで「あなたは貴族、私はコサック……」と、結ばれてはいけないのだとうなだれるマーシャをたしなめるニコライ。「そんなことのために、どれほど多くの命が」と。

 貴族の彼がコサックの少女を愛するように、他のみんな、ひとりひとりが身分とか国とか民族とか、そんな壁を越えて誰かを愛すれば、いつかそんな壁はなくなる。
 ただ、目の前の人を愛する。偏見とか差別とかを捨てて。大切な人を、大切だと言う。
 それがいつか、世界を革命する。

 そこまでで、びーびー泣いてハッピーエンド感に酔っていた。
 だけど『黒い瞳』千秋楽。
 念願の下手からの視界と、キムくんの芝居の到達っぷりに、さらにその向こうまで考えた。

 戦いの虚しさを説くこの青年は、それでもまた、剣を取るだろう、と。
 なにもかもわかっていて、間違いは間違いだとわかっていても、絶望しながらでも泣きながらでも、それでもまた、戦うのだろう。

「戦いは虚しい。人殺しはよくない」と、軍を辞めて農民になったりしない。
 女帝陛下の士官として、変わらずに従軍するだろう。務めを果たすだろう。

 それがいいとか悪いとかではなくて。
 ああ、そうなんだ、と思った。

 
 そして。
 そんなニコライを、心から愛しいと思った。

 
 てことで、『黒い瞳』のニコライくんの愛と涙、光と闇をつらつら考える。
 まあぶっちゃけ、どんだけニコライが好きか、語りたいだけなんですけどね(笑)。

 地方貴族のおぼっちゃまで、大都会での生活に憧れる、ごくふつーの男の子。
 両親から、使用人たちから、愛情をいっぱい注がれて育ったんだろう。お金も愛も最初から「ある」のが当たり前のもの、それを求めて殺し合う人々がいるなんて想像したこともないだろう、精神的にも物質的にも裕福に育った青年。

 だから彼はいつもまっすぐで。
 澱みのない、きれいな瞳をしていて。
 真っ白な笑顔で相手を見つめる。

 最初の吹雪での立ち往生場面にしろ、ニコライは決して他人を責めなかった。
 従僕のサヴェーリィチ@ヒロさんを責めたって不思議じゃない、「お前がしっかり道案内しないから」とか、彼が主なんだから、主の身の安全を守れなかった従僕を叱っても責めてもいいはず。
 不運に対して悪態はつくけれど、責任転嫁はしない。甘ったれのぼうやだけど、ほんとうに育ちの良い子なんだ。
 ぎゃーぎゃーうるさいサヴェーリィチに文句を言いつつ、「お前の方が先に死ぬぞ」とか、応戦しつつも結局じいやを心配しているニコライを好きだなーと思う。

 とびきり子どもっぽい話し方なのに、そこに誠実さや純粋さを表現する、キムくんに舌を巻く場面でもある(笑)。

 雪の中で出会った不審な男プガチョフ@まっつに対しても、なんの警戒心も持たない。
 信用できない、と最初から敵愾心剥き出しのサヴェーリィチの横で、なんときれいな笑顔をプガチョフに向けることか。

 プガチョフはたぶん、それまでさんざん疑われ、迫害されてきていると思う。
 サヴェーリィチが特別なわけじゃない、「薄汚いコサック」であるところの彼は、どこへ行ってもサヴェーリィチのような人に理由もなく罵られ、虐げられてきた。
 親切にしてやっているだけなのに、一方的に暴言を浴びせられ、攻撃される。それでもプガチョフはそれをなんとも思っていない……それが当たり前、ふつうなんだ。

 通りすがりの貴族様の為に平伏し身を削って仕えて当然、見返りなどあるはずがない、気晴らしに斬り殺されなかっただけ感謝しろ、って感じだよね、サヴェーリィチの言動からすると。
 それくらい、一方的な立場なのに。
 ニコライはプガチョフにきれいな笑顔を見せる。

 もらった毛皮の外套を抱きしめて、プガチョフが「その気持ちがうれしい」と言うのは、本心だろう。
 物質だけの話じゃない。ニコライの誠実さや思いやりに感動したんだと思う。

 吹雪の中、最初に目線を合わせたその瞬間から、プガチョフはニコライを愛していたと思う(笑)。
「俺を信じるか信じないかは、お前さんたちの勝手だ」と悪ぶって言ったときに、まっすぐに目を見て微笑まれ、「頼むぞ」と言われて。
 あの瞬間、絶対きゅんっとしてる、プガ様。

 プガチョフが知らない瞳。
 知らない……得られなかった、与えられなかった、そんな瞳。そんな笑顔。

 それを惜しげもなく、与えられて。

 「ここまで案内してもらってうれしかった」……素直な言葉で礼を言われて。

 信頼と、感謝。
 人間が他人に対して見せる、尊いモノ、美しいモノ。
 それを相手の身分に関係なく、素直に純粋に表現できる、ニコライという青年の美しさ。

 そういった目に見えないモノだけでも十分、プガチョフはニコライにめろめろだったろうし、彼に感謝しただろう。
 でも、その上ニコライは、物質的なことでも礼をする。
 一杯の酒と毛皮の外套。
 酒はプガチョフから求められたからだけど、外套は、プガチョフの格好を見て、なんの気負いもなく思いやった結果だろう。
 報酬をお金で払うのではない。
 寒そうだ、だから暖かくしてやりたい。そんな、人として当たり前のやさしい気持ち。

 そこで高価な毛皮をぽんっと見知らぬ男へやってしまうのはニコライのおぼっちゃまさ、世間知らずさを表しているわけだけど、なんとも微笑ましい。
 ああ、いい子だ……そう思う。

 しかも外套は、今自分が着ているモノを脱いで渡すんだから、ニコライすげえ。
 外套を抱きしめるプガチョフは、ニコライの体温を抱きしめているわけですよ。脱いだほやほやですから、彼のぬくもりが残ってますってば。
 完璧なまでの、人タラシぶり。
 ニコライくん、今までもさんざんこーやって、男女問わずオトしてきてんぢゃないの……あの甘い美貌で「ニコッ」とやってさー。

 現にプガ様、絶対オトされてるしっ(笑)。

 
 続く。
 『黒い瞳』、ニコライ@キムくんにハマりまくりました記録、その2。

 ベロゴールスクに到着したニコライ。
 ド田舎ぶりに肩を落とし、ぶーたれる様が可愛い。
 あの甘えっ子なガキンチョぶりがツボ。
 文句言ってるけど、嫌味がないというか、そりゃそーだよね、少年なら都会に憧れるよね、とひたすら微笑ましい。

 それにここでもニコライの性質の良さが見えるの。

 不本意にやってきた地なのに、彼は決して土地の人にそれを見せようとはしないの。攻撃しようとか八つ当たりしようとかしないの。

 村の女の子たちにも笑顔で挨拶するし(若干引きつってるけど・笑)、砦の人たちにも礼儀正しく、また意欲あふれる様子で挨拶している。
 田舎暮らしにがっかりしていることと、その田舎に住んでいる人たちをバカにしたり攻撃したりすることは、チガウ。
 空元気とか誤魔化しではなく、ただ素直に、土地の人に対しては前向きに振る舞っている。

 当たり前のことなんだけど、その当たり前のことをするニコライが好き。
 ほんのちょっとしたことで、その人の人間性って出る。
 吹雪の中で迷い、死にそうなときに従僕を責めなかったように、ニコライってほんと、ふつーにいい子だ。

 そしてニコライは、ミロノフ大尉@ナガさんの娘、マーシャ@みみちゃんに一目惚れする。
 もちろんそれは、彼女の愛らしい容姿ゆえのことだろうさ。
 でもさ。

 ニコライがマーシャを本格的に好きになるのは、彼女の宝物の歌を聴いたときからだと思う。

 ベロゴールスクのあまりの田舎っぷりに、「内心ドン引きしているでしょ」とヴァシリーサ@ヒメに突っ込まれ、言葉を濁すニコライ。
 この地の良さを歌う女たち、そして。

 マーシャが歌う。
「私の宝物。果てしない草原、渡る風と青いブローチ、生きるものすべて」

 実はわたし、ここのマーシャが大好きで。
 彼女がこう歌い出す、それだけで泣ける。
 ナニかを「愛し、感謝している」人って、素敵だと思う。
 マーシャはこの地を愛している。
 自分の故郷を愛し、誇りに思っている。それを清々しい表情と歌声で表す彼女に、胸がきゅんとする。
 「こんなド田舎」とバカにされることもあるだろう(たとえばシヴァーブリンとか)、そんな一定の価値観からは鼻で笑われる場所、だけど胸を張って愛していると歌う人々、歌う少女。

 故郷を愛していると歌う少女はきっと、場所だけのことじゃなく自然だけのことじゃなく、両親や友だちなど、そこに生きる人々、自分を育んでくれたすべてを愛し、感謝しているんだ。
 そんな少女だから、ニコライは恋をする。
 てゆーか、そんな少女に恋をするニコライが、好きだ。
 見かけの可愛らしさではなくて、心の美しさに惚れ込む様が。

 ニコライとマーシャのカップルが好き。
 このふたりの恋が好き。

 ニコライがベロゴールスクへやって来て数ヶ月。
 季節は春になり、薄手のドレスに着替え、花を手にうふふあははと踊るマーシャが可愛すぎる。
 何故か女の子から、男に花束を贈る。てゆーかニコライ、花が似合うなヲイ(笑)。この少女マンガっぷりにときめく。

 ちなみに、ニコライぼっちゃまの居場所を探すサヴェーリィチ@ヒロさんに、パラーシカ@あゆみちゃんが「お仕事でしょ、お嬢さんは家にいたし」と言うのがツボだ(笑)。
 マーシャが家にいる=マーシャと会っていない=仕事中、って。
 そんなに毎日デートばっかしてるのか。マーシャと一緒にいるのがデフォルトで、仕事中かどうかはマーシャの居場所でわかるのか(笑)。

 ちなみに、ここの時点で数ヶ月経って季節も変わっているのに、ニコライの姿が見えない理由が「シヴァーブリンが新任のニコライに東の砦を案内している」から、ってのが……。
 数ヶ月経っても、新任。
 新入社員が入るまで、たとえ10年経っても新人扱い、みたいなもんですか。氷河期だから人員削減で新人採らないんだよねー、トイレ掃除も雑用お茶汲みも宴会の幹事も全部新人の仕事だから、あと何年新人のままか、あるいは永遠に新人扱いかもしんないけど、ま、がんばってよ!なノリですか。
 なにしろド田舎だからなー。補充はされそーにないし、がんばれニコライ。
 でも、さすがのんきな田舎要塞は違いますよ、砦の見回りは日常業務だろうに、「東の砦」とやらの見回りは就任して何ヶ月経ってからようやく教えてもらえるらしいよ。数ヶ月間、ニコライはナニやってたんだろう。やっぱ掃除やパシリからスタートなの? 新入部員は数ヶ月ボール拾い、野球はさせてもらえないとか、そーゆー運動部系の扱い?

 ふたりきりで「東の砦」とやらに行っていた、ニコライとシヴァーブリン@コマ。
 ベロゴールスクに到着した際、誰にも愛想良く素敵な笑顔で接していたニコライに、ヤな態度を取りまくったシヴァーブリン。さすがのニコライもカチン!と来ていた、あの反応のひとつひとつが可愛かったなあ。意地悪されてもすぐ反感!とかこいつ嫌い!になるのではなく、シヴァーブリンの悪意にとまどっている様子がイイの。
 バカじゃないから、悪意はわかる。ヤなことされたらムカっとする。それは人の生理であり、ニコライの反応はとても素直。ひねくれたり過剰な被虐意識や攻撃意欲を持たないの。
 そんな彼だけど、さすがに数ヶ月経ったらわかるよな。シヴァーブリンが問題児だっつーことは。

 でもさー。
 コレだけは、シヴァーブリンを責められない、と思うのは。

「ぼくの愛の詩(うた)を笑ったばかりか、マーシャの悪口を言うなんて!」

 ぼくの愛の詩。

 仕事中に、ナニやってんだ。

 軍人さんですよ、少尉さんですよ。任務中ですよ。
 愛の詩をバカにされたと怒る前に、愛の詩を口ずさむなと。

 やだよ、働いてる横で同僚が愛のポエムってたら。うざいよ、キモいよ、ムカつくよ。
 そりゃ笑うわ、バカにするわ。
 そんなポエム捧げられて喜んでる女のことも、一緒に鼻で笑っちゃうでしょうよ。

 こればっかりはニコライを擁護できない……(笑)。
 でも、そんなとこも、可愛い。
 好きだなー、ニコライ。

 激しているニコライがほんっとかわいくて。
 マーシャの秘密を知っているというシヴァーブリンに、「悪口は聞きたくない」と言い切るところがイイ。
 本当のことであろうがなかろうが、聞くならばマーシャの口から。マーシャが言わないことなら、知らなくていい。
 そう毛を逆立てて言い切る誠実さが好きだ。

 
 続く。
 『黒い瞳』、ニコライ@キムくんにハマりまくりました記録、その3。

 ねえねえソレで、ニコライって強いんですか?
 決闘だ!ってことで、シヴァーブリン@コマと斬り合うニコライが、可愛すぎるんですがっ。

 動作だけというか、流れだけだとふつーの殺陣だと思うんですよコレ。
 でもニコライがいちいち「うわっ」とか「あぶねっ」とかゆー顔をするもんだから。

 ニコライの反応は、すごく「まとも」で「リアル」だと思うの。
 刃物で斬り合うわけだから、それがかすりそうになったりしたら、うわっと思うじゃん。
 おっとっと、とか、ムカッ、とか、心は動くじゃん。

 ヅカは夢の王子様たちの出演する舞台だから、ヒーローたちは顔色も変えずにチャンバラするけどさ。
 等身大の18歳少年がはじめて剣を抜いて決闘したら、あんな感じになると思うよ。

 ニコライの無駄にリアルな顔芸がツボ直撃です。ちょうかわいい。ときめく。

 ちなみに、ニコライを切っ先でかすめてびびらせたあと、指を舐めてニヤリとするシヴァも大好物です。このときのシヴァーブリンの笑顔が年相応の若者の顔で、すごく可愛いの。シヴァも好きだー!

 あ、決闘の最中によそ見して、後ろからばっさりやられるニコライは、アホだと思います。……素直に(笑)。

 
 こんなアホな理由で死にかけて、5日も意識が戻らなかったとか、さすがに「ヅカの主役、ヒーローなんだからさー、もう少し格好良く描いてあげてもいいんじゃないの」と同情します。
 
 アホな理由だとわたしは思いましたが、『黒い瞳』世界ではアホ扱いではなさそーですね。
 愛想を尽かされることもなく、マーシャ@みみちゃんが「私のために戦って、私のために傷ついたなんて、うれしい」とかゆーてます。
 わたしのために戦ってくれるのはいいけど、よそ見して大ケガしないでよ、最後までわたしのために集中してよ。
 マーシャはここで疑うべきだったのよ。愛してる、君だけだ、まいすいーとはーとな彼だけど、肝心なときによそ見する男なんだってこと。おかげでこの男、肝心なときにプガチョフ@まっつを選んで回り道しちゃうのよ……。

 5日意識がなくて、そして今はそれよりさらに何日か経ってるのよね。
 三途の川から舞い戻ってきたニコライが、最初に見たのは大泣きしているサヴェーリィチ@ヒロさんだった、に100リーブル。
 んでさらに、意識戻ったばっかで混乱しているわ痛いわ苦しいわなニコライの枕元で、サヴェーリィチがキィキィ声で騒ぎまくって、ニコライぼっちゃまはまた一度意識を失った、とかそんな顛末だと思うわ。
 それがトラウマになっているから、目覚めたときにマーシャがいると「ちょ、おまそんな大袈裟な」ってくらい喜ぶのよ。

 薬を飲んで「苦い」って言うんだけど、この言い方が見事に変わったねー。
 最初のうちはたしか、薬を飲んで「うう……」とわざと苦しそうにして、マーシャが心配そうにのぞき込んで、「苦いっ(笑)」とふざけて言って、「苦しんでたのは演技なの?! もおっ♪」「ごめーん♪」「うふふ」「あはは」な、いちゃつきプレイだった。
 それが「うう……」と苦しそうにしてみせて、「にがーい」と、子どもっぽく芝居がかってみせ「もおっ、ニコライったらコドモなんだからん♪」「ごめーん♪」な甘えっこプレイになって。
 あとになるほどふつーに飲んで、ふつーに「苦い」と言うようになった。公演後半日程は、ニコライが大人びてきてたからなー。

 最初のお遊びや甘えっこの「苦い」を知っているだけに、やけに大人びた「苦い」にどきっとする……。
 『ロミオとジュリエット』のバルコニーの「おやすみ」みたいなもんですな。

 マーシャへのプロポーズも好きです。
 男は白衣の天使に弱い、弱っているときに優しく看病してくれる女の子に弱い。
 ニコライはもうすっかりめろめろで、起きあがれるようになるなりひざまずいてプロポーズっすよ……。
 白い王子様ブラウスで、ひざまずいて「君と結婚したい!」は、由緒正しいタカラヅカ過ぎてびびる。そんなプロポーズがハマるキムくんにもびびる。初演で同じことをあの黒エロかっこいーマミさんがやっていたかと思うと、さらにびびる(笑)。

 コサックであることを告げるマーシャが拳をぎゅっと握って、勇気を振り絞っているところや、そんなマーシャを黙って見つめているニコライが好きだ。
 このふたりがかわいくて、いじらしくて、泣けてくる。
 

 決闘場面があまりにヘタレっつーか、リアルで強く見えなかったニコライ。
 剣を抜いて戦って、それで死にかかったんだから、恐怖心とかあると思うの。
 だけど彼は戦うことに躊躇しない。
 反乱軍が攻めてくる、ってときに、なんのとまどいもなく戦いはじめる。

 彼は、武器を握る。
 はじめての戦い、はじめての戦争。

 ……まあ、この初戦ではベロゴールスクが陥落するだけあって、ニコライも走り回るばっかであんまし戦ってないというか、役に立っていない気はするが……。
 いちお、村の女性たちを守り、逃がす、という仕事をしていたんだよね? でも結局マーシャも逃げ遅れてるし、村のみんなも捕まってるしで、なんの役にも立っていない気はするんだけどさ……。

 ニコライは見た目と心に差があるんだと思う。
 見た目はかわいいおぼっちゃまで、剣の腕もいまいち、軍人としてはあまり有能ではない……。
 だけど、心が強い。
 まっすぐで澱みがない。そして、折れないし、曲がらない。汚れない。

 弱っちいからすぐ反乱軍に捕まっちゃうけど、それによって命乞いしたり志を曲げたりはしないんだ。

 再会したプガチョフに忠誠を誓えば命が助かるとわかってなお、うなずけないように。
 口先だけで切り抜けようとすら、しないように。

 プガチョフは何度も試している。ニコライを。
 ニコライは泣いて命乞いするチャンスが何度もあった。てきとーな嘘を並べて誤魔化すチャンスだって何度もあった。
 なのにいちいちくそ真面目に正直に、真実だけを口にした。

 プガチョフがニコライに惚れるわけだよなああ。
 シヴァーブリンにしろ、元帥たちにしろ、みんな外面だけでプガチョフに忠誠を誓っているに過ぎない。自分の立場や命の方が大事。
 なのにニコライだけが、チガウんだもの。
 そりゃこの少年にめろめろになるわ、プガ様……。

 えーと、プガ様は30代よね。で、ニコライくんは18歳くらい。
 いいなあ、この年齢差……(笑)。

 
 続く。
 『黒い瞳』ニコライ@キム語りの続き。

 ニコライは、戦いをおそれない。
 ヒーローならば当たり前のことだけれど、彼は絵に描いたヒーローとはずいぶん違っている。
 シヴァーブリン@コマとの決闘で「うわっ」とか「やばっ」とか切っ先がかすめるたびに大騒ぎしていたように、戦い慣れているわけでもないし、強いわけでもないんだろう。

 強くないくせに、いざ戦争となるとなんの疑問も恐怖もなく、戦いに身を投じる。

 とことん軍人なんだなと思う。
 女帝陛下に忠誠を誓った、と台詞に出てくるけれど、ほんとにそうなんだろうなと。
 女帝陛下に会ったことがなかったとしても、「陛下に忠誠」なんだろうなあ。そーゆー時代、そーゆー育ちなんだろうなあ。

 マーシャ@みみちゃんが、「私の宝物」として故郷の美しい自然を挙げているように、ロシア貴族として、軍人として育った少年は、愛国心と忠誠心を持っているんだろう。

 わたしがニコライを好きなのは、この「軍人」である部分と、彼個人の「やさしい」部分だ。

 軍人は、戦争をする。
 人間を殺すのが仕事。
 それは、「やさしさ」とは相容れない部分。

 物語の中のヒーローはいつだって平気で戦うし、敵を殺す。
 これは物語だからついそうやって見てしまうけれど、この『黒い瞳』をリピートしているうちに気付くんだ。

 ニコライの、痛ましさに。

 プガチョフ@まっつとふたりで仲良くソリに乗ってベロゴールスクへ向かう道中、ニコライは歌う。

「叫ぶ声 流す血も ぼくはもう見たくはない」

 プガチョフの暴挙を責めている会話での歌詞なので、わたしは最初聞き流していた。
 その前の歌詞が「どこまでも下り坂 地獄へとただまっしぐら」だし、そのあとの歌詞は「行く手には 不幸せの神が ほら 待ち受けている」だし。
 プガチョフたち反乱軍の悲惨な末路を訴え、思いとどまるように言っているのかと。

 たしかにそうなんだろう。
 初演でもそう思って聴いていたし。

 でも。
 気付いたんだ。

 ニコライの、血を吐くような悲しみに。

「叫ぶ声 流す血も ぼくはもう見たくはない」……負けがわかっている反乱軍を、勝利する政府軍側の人間として言っているんじゃなくて、ほんとうに、ニコライが苦しんでいるんだということ。
 反乱軍とか政府軍とか関係なく、ただ人間が戦い、傷つくのが嫌なんだと。

 決闘のときに、あんなに人間くさくヒヤヒヤした顔をしていた男の子。
 ベロゴールスク戦のときは無我夢中で走り回っていたようだけど、目の前でミロノフ大尉@ナガさんたちが処刑されて、はじめてわかったんだと思う。

 自分たちの仕事が、人殺しをすることだって。

 殺し、殺されるかもしれないのが、軍人だってこと。

 戦争がはじまる前は、反乱軍やコサックたちは、ただの「的」でしかなかったと思う。
 訓練しか知らず、生身の人間と戦ったことも殺したこともなかった。そして実際に戦争がはじまってみても、ほんとのところぴんときていなかった。

 彼が気付いたのはやはり、プガチョフと再会したからだろう。

 従わないモノは皆殺し、という反乱軍のやり方に、ニコライは反感しか持っていなかった。憎しみしかなかった。
 仲間たちが処刑され、自分もまた死刑になる。あの段階では、ニコライはコサックたちを「敵」とは思っていても「人間」だとは思っていない。
 あそこで武器を渡せば、なんのためらいもなくコサック兵たちを殺したろう。

 それが、プガチョフと再会し、彼と話し。

 プガチョフが魅力的な男であること。
 プガチョフに好意を持ったこと。

 それで、気付いてしまった。
 ベロゴールスク戦で当たり前に戦っていた相手、なんの疑問もなく斬り捨てていたコサック兵たちが「敵」と書いた的ではなく、「生身の人間」であることに。

 もちろん、マクシームィチ@がおりんのこともあると思う。
 「敵」もまた人間で、生きていて、誰かを愛し、愛されているんだってことに、気付いてしまった。

 暴挙だ、とプガチョフを責める……それは大国ロシア軍将校の驕りではなく、ひとりの心優しい若者としての声なんだ。

「叫ぶ声 流す血も ぼくはもう見たくはない」……本当に、泣いてるの。
 梅芸楽、ニコライがソリの中で目に涙溜めて歌うのを見て、胸を掴まれたような気がした。

 この子は軍人で、戦う人で、敵を殺すことを仕事としていながら……泣くんだ。
 誰も殺したくないって。

 ヒーローなら、なんの傷みもなく戦うだろう。
 敵を殺し、愛する者を守り、正義を貫く。

 誰も殺したくないと泣くなら、最初から軍人なんかやらなければいい。
 おとなしく農民でもやってればいい。故郷の領地で、小作人たちの管理だけして暮らせばいいよ。

 だけどニコライは軍人で。
 戦うことの意味を、軍人という職業の意味を知ったあとでも、軍人であり続けて。

 泣くくせに。
 敵だとか味方だとか関係なく、人間の血が流れることに、悲しみが満ちることに、痛みを感じて泣くくせに。

 それでも彼は、軍人なんだ。
 それでも彼は、戦うんだ。

 
 ニコライが軍人であり、男であるということが、この物語の根幹なんだなと思う。

 彼はプガチョフの反乱を暴挙だと言い、実際にロシア軍がプガチョフ討伐をするとなると、「彼の破滅を見守りたい」と言う。

 誰も殺したくないと泣く。だけど、戦争をする。
 プガチョフを愛している。だけど、彼を助けるのではなく、その死を見届けようとする。

 誰も殺したくないなら軍人をやめればいいのに、やめない。
 プガチョフを愛しているなら彼を助けるなり、彼の陣営につくなりすればいいのに、敵であることをやめない。

 ニコライは、哀しいくらい、男の子だ。
 どれだけ苦しんでも、傷ついても、為すべきことをする。

 自分の矛盾や罪を自覚してなお。
 前へ進むことを、やめない。

 「軍人」でありながら、「やさしい」。
 相反する特質。

 それがあまりに、痛ましい。

 だからわたしは、ずっと知りたかった。
 プガチョフ軍との最後の戦いを終えたあとの、ニコライを。

 あれほどプガチョフを愛し、戦いを悲しんでいた少年は、その手でプガチョフを追いつめ、人を殺したあと、どんな顔をしているのか。
 ずっとずっと、知りたかったんだ。見たかったんだ。

 
 続く。
 だらだら長いです、『黒い瞳』のニコライ@キム語り。

 下手からの眺めにこだわった。
 今回わたしは全部で12回観劇したのかな。全国ツアーを5都市追いかけて。
 だけどずーっと上手席ばかりだった。
 センターブロックでも、上手寄りだった。

 上手は上手なりの楽しさがあったけれど、センターのときとかまっつの目線とウインク直撃席(わたし個人がどうこうではもちろんなく、まつださんがいつも決まったところに目線をやり、ウインクをする、つーだけのこと)だったり、障害物無しの上手いちばん端席で舞台まるっと全部、袖まで見えちゃいますよとか、いろいろ愉快ではあった。

 だけどわたしは、下手に坐りたかった。
 処刑されるプガチョフ@まっつの最後の笑顔を見られるのが下手席だからってのはもちろんあったし、最後のパレードから幕が閉まる前のお手振りまで、下手でないとキムくんに隠されてまっつがカケラも見えないってのも、もちろんあった。
 それも下手がいい理由ではあったけれど、もうひとつ。
 下手からでないと絶対に見えない、そして、見たくてたまらなかったものが、あった。

 軍人でありながら、人を殺すこと、戦うことに痛みを感じる心優しい青年、ニコライ。
 ロシア政府軍将校でありながら、反乱軍の将プガチョフを愛した青年、ニコライ。

 こんな彼が自分の矛盾や罪を自覚しながら、それでも戦場を選んだ。
 再び戦いに……プガチョフを殺すために、戦場へ出た。

 誰も殺したくない、死ぬところを見たくないと泣いた少年が、その手で人を殺す。
 友だちを殺す。

 愛する少女マーシャ@みみちゃんと別れてまで、戦いを、プガチョフを選んだ。
 「やさしさ」よりも、「軍人」であることを選んだ。

 とてつもない決意であり、決断であったと思う。

 ニコライはほんとうに、プガチョフを愛していたんだなと。
 最初わたし、プガチョフの一方通行だと思っていたから。
 プガチョフはニコライの命を救うのに、ニコライは自分の立場をなにひとつ損なわずにいるから、と。

 でも、そうじゃない。
 マーシャと別れ、戦場を選んだ。
 プガチョフとマーシャ、ふたりを天秤に掛けて、プガチョフを選んだんだ。
 もしニコライが戦死することがあれば、マーシャには二度と会えない。マーシャを捨てても、プガチョフに会うことを選んだんだ……ニコライも、十分犠牲を払っている。
 自分のいちばん大切なものを捨てても、プガチョフへの愛を全うした。

 ニコライのプガチョフへの愛は、プガチョフの命を助けることではなく、プガチョフの生き様を見届けることだった。
 恋愛ではないから。男と男の愛だから。
 プガチョフを助けるとか、ニコライがプガチョフ側につくとかは、彼らの生き方や意志を曲げることになる。
 ニコライが、たとえ処刑されても偽皇帝に忠誠を誓わなかったように。
 男たちは、命よりも大切なモノを抱えて生きている。

 その「男」である部分はいい。
 ニコライは男だから、軍人だから、戦場へ行った。
 しかしニコライ個人は戦いや人殺しを良しとしない、やさしい青年だ。
 プガチョフを殺すために来たとしても、彼に死んで欲しくないと思っている。
 矛盾しているけれど、それが真実。
 どちらの思いも、ニコライの中にある。

 そんな葛藤の中で、戦い続けて。
 仲間だったマクシームィチ@がおりんをも、その手で殺し。

「叫ぶ声 流す血も ぼくはもう見たくはない」……そう泣いていた若者が、死体の山の中に立ち尽くし。

 プガチョフが捕まり、連行されていくのを見る。

 ニコライにとって、プガチョフは英雄だったのだと思う。
 尊敬する、年上の友人。
 大好きで、憧れていて、肩を並べられることがうれしくて。

 その敬愛する友人が、みっともなくあがき、騒ぎながら引きずられていく。
 英雄の化けの皮がはがれ、ただの下衆になりはてた。

 見たくなかったろう。
 プガチョフの最期を見届けると言った。それは、少年らしい潔癖さで、美しいモノを想像していたと思う。
 英雄に相応しい最期が繰り広げられるだろうと思ったろう。

 なのに現実のプガチョフは、みっとない小悪党めいていて。ちっとも潔くなく、ぎゃあぎゃあ騒いでいて。

 それは若者の心を打ち砕くに十分な衝撃だったと思う。

 愛する少女の名誉のために決闘した、夢見がちな少年。
 戦争の意味、軍人の意味なんてわからず、ペテルブルクで近衛隊としてきらびやかな生活を夢見ていた。

 それが、実際の戦争を知り、手を汚し。
 戦争の意味、軍人であることを知り。
 きれいごとじゃない、血塗られた現実を知り。

 今また、大切な英雄すら、失った。

 英雄を殺したのは、ニコライ自身だ。

 なにも知らないままでいることだって、できたのに。
 プガチョフと触れあうことで「敵」がただの記号でないことを知り、そのプガチョフの最期を見届けたいと従軍することで彼が高潔な英雄でないことを知り。
 全部自分で選んだことじゃないか。

 痛みを持ってなお、軍人であり続けるように、ニコライはプガチョフのみっともない姿を見ても彼を嫌いになりはしないと思う。そりゃ、捕らえられてなお高潔で「さすが英雄!」な姿であってほしかったろうけど。そうでなかったからといって、恨みに思ったりはしない。

 ただ、哀しかったろう。
 自分が正義の味方ではなく、ただの人殺しだと気付いたときのように。

 連行されていくプガチョフを見つめるニコライ。
 そのやるせない悲しみに満ちた顔を見るには、下手席でなきゃダメだったんだ。

 いや、正確には、センター席でもここまではなんとか、見ることが出来た。
 問題は、そのあと。

 すべてが終わり、死体の中を歩くニコライ。
 客席へ背中を向けて。
 舞台奥の方へ、階段を上がっていく。

 このときのニコライの顔が、見たかったの。
 センターでも見えなかったの。

 あれほどの痛みを持って戦った、悲しみを抱いて殺した、あの少年が、どうしているのか。すべてを終えたあと、すべてを失ったあと。
 どんな顔をしているのか。

 どうしても、知りたかった。

 それでわたしは、下手に坐りたいいぃぃ!!と、騒いでいた(笑)。

 こんなときに限って何故か、上手しか持ってなくて。
 サバキで手に入れた席も上手ばっかだったしさー。
 まっつとタッチ!を目的にセンター下手通路際だったりして、タッチできたのはうれしいけど、やっぱここじゃキムくんのあのときの顔が見えねーよ!!と、じれじれしてみたり。

 ほんと、渇望したなあ。

 それが最後の最後、千秋楽で手に入ったのが、まさかの下手前方席で。

 見たかったモノが、見えた。

 
 続く。 
 佳境です、『黒い瞳』ニコライ@キム語り。

 だからわたしは、音月桂が好きなんだと思った。

 キムくんが好きだという話は数え切れないほど書いてきたと思うので、今さらだけど。
 『黒い瞳』にて、キムくんが演じる「ニコライ」という青年……というか、少年というか、に魅せられるに従って、「あの場面の顔を見たい」と思うようになった。
 すべてを失い、死体の山の間を歩くニコライ。
 客席に背を向け、下手側に顔を向けているため、そのときの彼の顔をみるためには、下手側に坐るしかなかった。
 また、すぐに暗転することもあり、後方席では光源が足りなくて見えないのだと思う。

 千秋楽、最後の最後になって下手前方席に坐ることができたわたしは、念願だった、その場面のニコライの表情をオペラグラスでガン見することができた。

 そして。

 震撼した。

 
 それまでも、十分ニコライが好きだった。
 梅芸楽でマジ泣きしている少年ニコライを見て、ものすごいカタルシスを得た。
 プガチョフ@まっつファンで、プガチョフに肩入れして見ている以上、けっこうつらいキモチがあったりしたのだけど、それらが全部吹っ飛んだ。
 処刑台へ向かうプガチョフを前に、ボロボロ泣いているニコライを見て、プガチョフがごく自然に破顔する。
 救われたと思った。
 自分のために泣いてくれるこの少年の存在に。
 肯定されたと思った。
 高らかに歌うことができる、この少年のために。

 それが彦根で観たとき、ニコライはなんか大人になっていて、あまりカタルシスを得られなかった。
 梅芸が少年過ぎたんだよなあ、タカラヅカ・スター的にこれくらい大人でも仕方ないか。初演のマミさんはちゃんと大人だったしなあ。(てゆーかマミさん、18歳にはカケラも見えなかった・笑)
 残念だけど、それはわたしの好みの問題でしかない、これはこれでいいんだ、と思っていた。

 それが、千秋楽の日進では。
 ニコライが、少年寄りになっていた。
 てゆーか、プガチョフLOVEっぷりすげえ。梅芸に近いテンション! 梅芸より大人だけど、愛情や温度が近い!
 なまじコドモぢゃない分、さらに萌えるっちゅーか、切ない!!

 と、うれしい驚きにびびっていた。

 こんなにプガチョフのこと好きでいいの? ソリの場面の痛ましさすげえし、マーシャ@みみちゃんを説き伏せるところだって、なんかやばいよ?
 と、ドキドキ(笑)。

 そんな風に、今までよりさらに感情過多に愛すべき人間くささを持ったニコライくんで。

 誰よりも戦いの虚しさを、人殺しの惨さを知りながら、それでも武器を握ったニコライ。
 プガチョフを愛しながら、プガチョフ討伐に命を懸けたニコライ。

 誰も殺したくないと泣いた少年が、自ら作った死体の山の中を呆然と歩く。
 愛したプガチョフも捕らえられ、もうニコライにはなにも残っていない。
 あるのは、罪だけ。血塗られた両手だけ。

 そんな状態で、客席に背を向けて歩く。

 その、顔が。

 狂。

 念願の下手席で、オペラでガン見しながら、震撼した。
 
 くるって、る。
 ニコライが、狂っている。

 こころが、こわれてしまった。

 なにも映さない瞳。
 からっぽの目、からっぽの心。

 勝利したのに。
 正義の政府軍は悪の反乱軍を破り、ニコライは大活躍、無傷で戦い抜いたのに。
 ふつうなら、大団円、大喜びしている場面なのに。

 ニコライは、泣くよりも叫ぶよりも哀れな姿で、闇に向かって歩く。

 そこにある、狂気。
 狂ってしまった、壊れてしまった、おそろしさ。かなしさ。

 その表情を見るなり、号泣しました。
 マンガみたいにぶわっと泣けた。
 声ころすの必死、喉が鳴らないようにするの必死。オペラが揺れるわ曇るわ、もう大変。

 そうだ、どうしてわたしがキムを好きなのか。
 彼には、毒がある、狂気がある。
 とびきりのかわいこちゃんで笑顔が素敵で強くて健康的なのに、彼には歪みや澱みがある。
 だからわたしは、彼が好きなんだ。

 だから、音月桂が好きなんだ。

 ニコライの狂ってしまった瞳を見て、地団駄踏んで暴れたいくらい、思った。
 ニコライが好きだ。
 こんなに強くて痛ましい男の子、他にいない。
 大好きだ。
 そして、こんなに大好きだと思えるキャラクタを演じてくれる、音月桂をすごいと思い、好きだと思った。

 
 ここまでからっぽの瞳をしていながら、ここまで傷ついていながら、彼はまた立ち上がるんだ。
 愛する者のために。

 マーシャを守るために、査問会で戦う。
 どれだけ打ちのめされ、狂気を宿しても、その強さで彼は立ち上がるんだ。まっすぐに。

 千秋楽はシヴァーブリン@コマもすごかったんで、査問会も泣き通しました(笑)。

 で、プガチョフの処刑ですよ。
 ニコライが心を壊してしまうくらい愛した男の、最期ですよ。

 ニコライは泣いてました。
 プガチョフを見つめて。言葉もなく。

 ソリの中で必死に訴えていた姿、戦闘のあとのからっぽの瞳……そして今の、涙。

 ニコライが、愛しくてならない。

 こんなに傷だらけで、やさしい分ひとの何倍も傷ついて、愛が深い分人の何倍も引き裂かれて。
 それでもなお、愛することをやめない。
 傷つくことをやめない。

 こんな少年だからこそ、プガチョフは愛したんだろうし、また最期の瞬間に会うことが出来て、うれしかったんだろう。
 プガチョフは、救われたと思う。彼の人生を全うできたと思う。

 よかった。
 ただもお、「よかった」と思った。

 愛したことは、間違いではなかった。

 人生とか存在とか、全部全部肯定された気がした。
 わたしはプガチョフじゃないし、ニコライじゃない。『黒い瞳』の登場人物じゃない。
 だけどニコライを見て、思った。

 わたし、という人間すら、肯定された気がする、と。

 
 傷つくことをおそれない。愛することをおそれない。
 だからニコライは最後、雪のベロゴールスクでマーシャに言うんだ。
 コサックだから貴族だから、そんなもののために多くの血が流された。自分たちがそれを超えていくのだと。

 武力によって革命するのではない。
 愛することによって、変えていくんだ。

 実際に血を流した、血に汚れたニコライの言葉だからこそ。
 それはきれいごとや絵空事ではなく、血肉を持った言葉として響くんだ。

 
 そして。
 傷つくことをおそれない、愛することをおそれないニコライは、きっとこれからもまた、武器を取る。
 なにもかもわかっていて、間違いは間違いだとわかっていても、絶望しながらでも泣きながらでも、それでもまた、戦うのだろう。

 またあんな、狂気に汚れた瞳をしたとしても。

 彼は、戦うことから逃げ出さない。

 それがわかるから、わたしはニコライが好きだ。
 ちょっとうろたえるくらい(笑)、彼が好きだ。
 月組東宝千秋楽、そのかが卒業しちゃうんだ、と朝からの雨を眺めてぼんやり思った。

 タカラヅカを好きでいると、日々が流れていくのが早い。
 劇団はファンを飽きさせないようにと、次から次へとスケジュールを用意していく。
 広く浅く泳いでいたときは、次々起こるイベントを無邪気に楽しんでいられた。
 劇団が作る流れに乗るだけで、楽しく泳げた。

 でも自分がディープにファンをするようになると、用意された流れに違和感を持つ。
 自分のスピードで泳ぎたいと思う。

 劇団を無視して、自分のペースに戻せば済むことだけど、それをするにはわたしはあまりに長く深くこの流れの中にいて。今さら、この河を出て対岸を眺めるように遠くなることはできそうにない。

 すべてわたしが意志薄弱であり、またトシを取って順応力や反射神経が落ちたためなんだろう。

 
 まあとにかく。

 ここ最近のニュースに対しての感想羅列。

 花組集合日に日記を書く余地がなかったことは、地味にショックだった。
 もうずっと、花組のニュースには当日か遅くても翌日にはなにかしら触れていたのに。
 日々更新される全組のニュースに対して等しくコメントを述べたり、タカラジェンヌ全員ひとりひとりの去就についてなにかしら言えるほど全知の目と博愛の心を持っているわけじゃないにしろ、花組集合日にはずーーっと言及していたのに。
 組替えするってのはこういうことなんだなあ、と、こんなところでも寂しく思ってみたり。

 2011/05/10、花組『ファントム』集合日、ゆまちゃんの退団が発表されました。
 5組イチの美女揃いだと信じて疑わなかった、その花組美女メンバーのひとり。大輪の美貌と眼福なスタイル。
 どこにいても目立ったし、「あのきれいな子は誰」と人の口に上る、自慢の花娘。
 『La Esperanza』新公のダンサー役でその美貌に着目して(何故かあのときはゆーひくんに似てると思った……)、抜擢された博多座『マラケシュ』での台詞棒読みっぷりに震撼し(笑)、芝居はアレな子なのかと思ったけれど、『MIND TRAVELLER』他べつにそんなことはなくて、『舞姫』なんかすごく良かったし、芝居も歌も十分OKだ! なんでもかかってこい!な最強娘役のひとりだったゆまちゃん。
 好きな役がいっぱいあるよ。
 ヅカのオギー信者だったため、わたしがいちばん好きな役は『TUXEDO JAZZ』の「マフィアのボスの娘」役だけどさ。(そんな役名ぢゃなかったと思う・笑)

 再演一本モノでの退団はもったいないなああ。

 らんかくんもひそかに愛でていたので、退団は寂しいっす。顔が好きだったんだよー。

 『ファントム』は作品を好きではないため、配役にも萌えがない。
 ショレが二枚目系であることを祈るばかり。初演の宙組風だったら哀しい。
 いちかとみわっち、いちかとみつるカップルは楽しみだー。

 再演『ファントム』をアホみたいにリピートした身としては、再再演『ファントム』でも三兄弟はビスコを取り合っていちゃいちゃするのかが気になります(笑)。
 役替わりがあるからずっと同じ面子ぢゃないのは残念。3個イチでいちゃいちゃしてほしかったんだよなー。
 まぁくん、だいもん、あきらの3人と、みつる、だいもん、あきらの3人か。
 まぁだいのカップリングは好きだし、みつるとあきらの野郎コンビとかにも期待。(カップリング言うな)

 そして文化大臣はリシャールといちゃつくのでしょうか?
 そーすると、ふみか×だいもんで、『BUND/NEON 上海』再びになりますよ?! 期待していいんですか、ふみかさん?!(笑)

 んで、新公のキャスティングが現時点で全部確定したんで、新公がすげーたのしみっす。
 なんつっても仙名さんのカルロッタ!! いまっちのキャリエールも楽しみだが、はじめて大役がついた仙名さんの方にわくわくする。

 
 2011/05/24 星組東宝『ノバ・ボサ・ノバ』集合日。せあらちゃんが退団発表。
 トップになってもおかしくない子だっただけに、娘役のめぐりあわせというか運というものの大きさに溜息。
 あの怒濤のウメちゃんひとりっこ政策時(2003年から2006年まで6公演中5公演新公ヒロイン)にたったひとり、新公主演してるんだもんよ。どんだけ勢いがあったか。
 星組があそこまで極端な布陣でなければなあ。2005年のWSと2008年のWSのヒロインがふたりとも同じというくらい、娘役人事は停滞していたんだよね、極端なひとりっこ政策のために。
 とびきり美人で穴のない実力の子だっただけに、残念だ。アンナ役も好きだったし、なんつっても『フェット・アンペリアル』は大切な思い出だ……。
 てゆーかムラでも階段降りしてほしかったよ……。

 
 2011/05/27 スカイフェアリーズ終了、ナビゲーターズへ。
(花組) 瀬戸 かずや/芽吹 幸奈
(月組) 宇月 颯/彩星 りおん
(雪組) 蓮城 まこと/沙月 愛奈
(星組) 壱城 あずさ/白華 れみ
(宙組) 蓮水 ゆうや/愛花 ちさき
 って、すごい面々だなー。
 近年スカフェの選出基準に疑問だったこともあり、下級生から中堅への変更はうれしい。
 やっぱテレビで見るには美人がいいよー。ジェンヌは経験を積んできれいになる。下級生たちはきれいになる前の段階の子が多いから、ある程度出来上がった子が見たい。
 ナビゲーターズの面々は、個性も顔立ちもちゃんとタレントとして確立している子たちだ。安心だし、質の高いモノを見せてくれそうでわくわく。

 ただ、いまっちのブレイク(笑)っぷりはやはり、スカフェあってこそだったろうし、あずりんに出会えたのもスカフェあってのことだったし、と、舞台ではまだ活躍できない学年の魅力ある子たちとの出会いの場が減ってしまったことは残念ではある。
 両立はできないから、仕方ないよね。

 個人的にあきらの台頭がうれしい……。彼は遅れてきた路線キャラなので、下級生時代にはスカフェはもちろん、ビジュアル面で目立つ扱いを受けていないんだもの。
 あんだけかっこいいんだから、若いウチからもっとメディアに出していれば、それに比例して人気も出ただろうに……。遅い抜擢を取り返すためにも、イケメンぶりをテレビで発揮して欲しい。

 
 2011/05/28 雪組『ハウ・トゥー・サクシード』集合日、みうと退団発表。
 みうと……。雪組新公で彼を眺めるのがお約束だったのに。彼が新公を卒業したあともつい探してしまうくらい、それが日常だったのに。
 オサ様に似ているっつーことで注目を集めていた彼だけど、『ロミオとジュリエット』ではやたらかっこよくなっていて、あちこちから「あの金髪の子誰」って言われてたのに。OGに似ているから、ではなくみうと自身がステキだから、注目されはじめていたのに。
 卒業は本公演がよかったなあ。もったいないなあ。

 同日集合日だった雪組バウ『灼熱の彼方』への、ヒロインの片方がまったくノーマークゆえ、興味大です。
 ……朝風くんが長の挨拶をするだろーことにも、わくわくしていますが(笑)。 
 まだ『黒い瞳』の話だったりする。

 パラーシカ@あゆみちゃん。
 わたしがもっとも愛着を持っている期の娘役さん。ってことで、なんとなく眺めていたが、ここまでしっかりお芝居をしているのを見るのははじめてだ。
 ふつーにうまいよね。
 しかし。

 年齢不詳なのは、どうしたもんかと(笑)。

 初演を知っているのでパラーシカが若い女の子の役だと知っているけれど、初見の人にはわかるんだろうか。
 サヴェーリィチ@ヒロさんに「小娘」と呼ばれているので、わかるかな。でも聞きのがしちゃうかもしれないしな。
 そーすると、お嬢様と同世代の侍女の女の子(リゼット@『めぐり会いは再び』みたいな)だと、わかるだろうか……マーシャ@みみちゃんの乳母だと思われたらどうしよう、とか、関係ないところで心配してしまった(笑)。

 あゆみ姉さんは安定したうまさで演じていたけれど、これはやっぱり多少つたなくても見た目からして若い女の子がやるべき役なんだなあと思った。
 や、あゆみ姉さんでいいんですよ、別に不足はないっす! 年齢不詳だけど(笑)、それはソレでアリだと思ってるっす!

 夢華さんが休演していなかったら、多分この役だったんだろうな。劇団が売り出したいと考える下級生娘役にやらせるのに相応しい役だ。
 ショーでもあゆみちゃんのところがまるっと夢華さんだった気がする。かおりちゃんは別格歌姫、華やかな娘2ポジションを何故かあゆみちゃんがやっていたので、そういうことかなと。

 
 マクシームィチ@がおちゃんは、最初ずいぶん目立たないというか印象薄い役になってるなあと思ったし、やっぱり最後までなんか目立ちにくい演出だなあと思ったんだけど、それはソレとして、やっぱイイよなあ。

 最初に登場した場面でパラーシカに名前を連呼されるところ、「またクロが!」「またか!」みたいなやりとり、ナニが起こっているかわかりやすくしてくれればいいのに、とずーっと思っていた。
 なんでそのものズバリ、「牛が暴れてるの、マクシームィチ手伝って」「また牛が?! よーしっ」てなやりとりにしないんだろう。
 兵隊さんが村の女の子に呼ばれて牛の世話に走るなんて、シヴァーブリン@コマが「コサックと戦になるかもしれないのにっ」とキレるのも仕方ないわ、と思わせて欲しいっすよ。
 ナニが大変なのか、そしてなんでシヴァーブリンがキレてるのか、わかりにくいと思うんだ……。

 兵隊だけど牛さんをなだめるのが得意、ってのは、マクシームィチのキャラ説明のひとつになると思うんだがなあ。

 ……あれ? 暴れてるの、牛さんであってる? 説明ナイから、ほんとにわかんないよ……。

 ところでわたし、がおりくんの「仕方がないんだ!」が好きです(笑)。

 ここだけあざやかに樹里ちゃんを思い出す。樹里ちゃん好きだったなああ。
 や、好きだった人を思い出させてくれる、がおりくんの「仕方がないんだ!」が、なんかときめく(笑)。

 反乱軍襲撃!の混戦の中、再会したパラーシカがマクシームィチに言う「あたしをどうするの!」が好きだなあ。
 他になんの説明もなく、いきなり「あたしをどうするの!」。
 なんて直接話法。直球一直線、装飾ナシ。

 ほんとに、どうするのだよ。
 恋人がナニも言わずにいなくなって、敵になって帰ってくるんだもん。
 パラーシカにすべてを捨てて反乱軍に入れとか、マクシームィチが言えるはずないし、パラーシカもそんなことできるはずがないってわかってるし。

 真面目だけが取り柄でがっつり日々働いていた公務員の夫が、突然「退職した。明日から俺、ギター1本担いでアメリカ行ってくるよ。音楽が俺の夢だったんだ」とか言い出したら、そりゃもお目が点、「あたしをどうするの!」と罵るだろうなあ。
 絶対許容できない、ついても行けないところへ行くと、勝手に決められたら、キレるわ。

 そして、マクシームィチがパラーシカに言う「生きてるんだ! 生きてるんだぞ!」が、究極って感じで好き。
 同じ台詞をニコライ@キムもマーシャに言ってるよね。

 戦争がフィクションではなくリアルに存在する世界で、男たちは戦いをやめない。やめられない。
 そんな男たちは愛する女に、そう言うしかないんだ。
 女のために、愛のために、戦いをやめたり人殺しをやめたりはできない。信念を持って、進むことしかできない。
 守ることも助けることも出来ないけれど、愛している。
 だからもう、言うしかないんだよね。「生きていろ」と。
 待っていろとか信じろとかじゃなくて、生きろと。自分が関与できなくても、生きていてくれさえすればいいと。

 マリポーサの花を送り続けるよーな男ぢゃないのさ(笑)。そうやって女を縛ったりしない。
 でも女の立場からしたら、「待っていろ」とか「信じてくれ」とかゆー、ずるい男の方が救いだったりするんだけどね(笑)。

 ベロゴールスクは反乱軍の手に落ち、プガチョフ@まっつは従順を誓うならば農民たちには手を出さないわけで、パラーシカもそれで助かったわけよね。
 んで、マクシームィチとパラーシカは、味方同士として再会できたわけだ。腹の中はともかく、パラーシカもプガチョフと反乱軍を受け入れたから殺されずにすんだんだもの、だから暫定だけど味方同士。
 とはいえ、パラーシカがマクシームィチをがんがん責め立てたのは、想像に難くない。
 ぎゃーすか文句言って、お嬢さんの手紙を突きつけ、ニコライに渡してこい、たとえ敵の本隊オレンブルグに忍び込むことになっても、命がけでも渡してこいと。
 ……おっかなかったろうなあ(笑)。
 そりゃニコライにパラーシカとの関係を聞かれ、「おっかないけど」と言うわけだ。
 
 このふたりが、いいんだよなあ。
 ほんとに好きなカップルだ。
 パラーシカが見事に強くて姐さん女房で。
 マクシームィチがヘタレで尻に敷かれてて。パシリさせられてて。

 でも好きだわー。
 しつこく『黒い瞳』、しつこくパラーシカ@あゆみちゃんとマクシームィチ@がおりんの話。

 えー、わたしがカップルを語るときにたびたび出てくる話題というか、観点です。
 いつヤッたか。
 ……すみません、下世話なんです、すけべなんです、てゆーか愛し合う恋人同士には必然のことではございますが、夢の世界タカラヅカで語ることではない!ということも承知しておりますがなにしろソレ込みの恋愛話が大好物なもので。

 同じ村で暮らしていたパラーシカとマクシームィチ。
 駐屯部隊の司令官であるミロノフ大尉@ナガさんの家の使用人であるパラーシカは、ミロノフ大尉付きの下士官であるマクシームィチとはなにかと接点があった。
 コサック出身のマクシームィチは、農村の暮らしに詳しい。兵隊さんとしてより、農夫として頼りがいがある。
 パラーシカは気が強く物怖じしない娘なので、シャイな若い兵隊さんのマクシームィチを顎で使う(笑)。

 パラーシカは設定上はマーシャと同世代の若い娘(18歳くらい)なんだと思う。初演は新進娘役のみえちゃんだったし、新公はカノチカちゃんだ。どんだけ本気で若い女の子の売り出し役だったか、という証のようなキャスティング。
 コドモのくせに年上の兵隊さんにずけずけと話す、生意気な女の子だ。若い女の子だからこそ恋にも一途で容赦がない、裏切ったマクシームィチに「あたしをどうするの?!」と言いつのれる。

 今回の再演で、難しいのはパラーシカの年齢(笑)。
 初演と同じでいいのか、再演ならではのオリジナル設定なのか、よくわからない。
 まあさすがに18歳はナイだろーから、マクシームィチよりいくつか年上、20代半ばくらいだと思っていればいいのかなあ。

 あの時代ののどかな農村で25歳とか26歳とかだったら、すでに行き遅れかもしんねーけど、なにしろ肝っ玉かーさん系なので誰も気にしない、ってことで(笑)。

 んで、パラーシカとマクシームィチは両想いであることは、お互いなんとなくわかってるけど、はっきりとは言い出せずにいる。
 パラーシカは年上だし行き遅れな年齢だし、自分から若い男の子に言い寄るのはいけないことかなと思っているし、マクシームィチは年下の頼りない自分がヘタに口に出せることじゃないと思っている。
 マクシームィチは年齢的に恋愛即結婚!てほどでもないけど、パラーシカの年齢を考えたら、告白=プロポーズだもんよ、ハタチそこそこの男の子としては踏ん切りつかないでしょう。
 それにマクシームィチは、自分がコサックであることも重く考えているし。途中からは、反乱軍のこともあるし。
 ふたりで一緒に牛を追いながら、告白は出来ずにいる。

 ちゃんとつきあっていたなら、マクシームィチがパラーシカになにも言わずに村を出ることはないと思うの。
 なんの約束もしていない身だから、「コサックはひとつなんだ」と軍服を捨てることが出来る。
 パラーシカも、マクシームィチの捨てていった軍服を抱きしめることしか出来ない。

 まだ、想いを伝え合っていないから。

 そんな微妙な関係だったのに、一気に互いの気持ちを確認し合うことができたのは、なんといっても戦争のせい。
 平和だったベロゴールスクが戦場になった。
 生と死の狭間で、再会するパラーシカとマクシームィチ。
「お前は敵になったんだ!」
「うん」
 てな、どうしようもない会話。
 愛の告白もなにもなく、直接「あたしをどうするの!」。
 そのすっ飛ばし感がイイ。
 順番無視で核心のみ。
 それぐらい、切羽詰まってる、追いつめられてる。ここは戦場で、ふたりは敵同士だから。

 もしもパラーシカがマクシームィチの妻ならば、彼は「ついてこい」とも「待っていてくれ」とも言ったかもしれない。でもまだ、そんな関係じゃない。
 相思相愛なのはわかるけど、今たしかにわかったけれど、彼女に対してなんの責任も負えない男は「生きているんだ」としか言えない。

 「死ぬな」じゃなくて「生きているんだ」なのがイイよなあ。

 そうして、戦場の混乱は一旦終結。
 政府軍側の敗北というカタチで。
 ミロノフ大尉以下、将校たちは処刑。大尉の妻であり、パラーシカの直接の主人であっただろうヴァシリーサ@ヒメも自殺した。
 家族同然の人々を目の前で殺されたパラーシカの前に、マクシームィチが戻る。

 裏切り者の、人殺しの、自分からナニもかも奪った……憎い許せない、愛する人が、戻る。

 ふたりが結ばれたのは、このときだと思うんだ。

 あの気の強い、激しいパラーシカが、どれだけマクシームィチを罵ったか。
 剣を抜いて、殺そうとすらしたかもしれない。
 あの優しくヘタレなマクシームィチが、どれだけ心を痛めたか。
 剣を抜いて、自傷しようとしたかもしれない。

 罪と信念と愛と。
 絶対に許せない、だけど愛してる。
 絶対に許されない、だけど愛してる。

 家族のように思っていたベロゴールスクの人々を裏切り、殺しても、信念を曲げられないマクシームィチ。愛する女を泣かせても、戦うことをやめられないマクシームィチ。
 そんな男を罵り、責め、泣きわめきながらも、愛し続けずにはいられないパラーシカ。

 哀しく激しい恋人たち。

 ベロゴールスク出身のシヴァーブリン@コマが引き続きその地を託されたように、マクシームィチもベロゴールスクに残ったんだと思う。その後彼は、プガチョフ@まっつの本隊とは行動を共にしていない。……からこそ、パラーシカの頼みで単身オレンブルグへ向かうことが出来た。
 ほんのわずかな間でも、ふたりの蜜月はあったんだと思う。

 で、オレンブルグに忍んでいったマクシームィチは、パラーシカを「おっかないけど、気のいい女なんで」と言う。この台詞って、すでに「俺の女」でないと言わない艶があるよね。ああ、ふたりは結ばれたんだなと。
 ニコライ@キムも、ああそういうことなのか、と破顔する。

 で、マクシームィチとパラーシカの別れは、ニコライがマーシャを助けに来たときかなと。
 パラーシカは反乱軍兵士マクシームィチの妻として生きるのではなく、マーシャの侍女として、ミロノフ家の使用人として生きることを選んだんだなと。本来の彼女として。

 マクシームィチも、止めなかったろう。パラーシカがパラーシカとして生きることを。
 そういう女で、そういう男だった。

 完全な別れではなく、再会を祈っての別れだろうけど。
 生きていれば、また会える。きっと会う。そう信じて。

 だけどそのあと、勢力は変化し、反乱軍が敗走することになる。ベロゴールスクにいたシヴァーブリンもマクシームィチも、プガチョフ本隊と共に前線へ出る。
 そして。
 マクシームィチは戦死する。
 ただ戦って生きて帰ることより、情を重んじた彼はニコライに殺された。パラーシカはナニも知らない。彼女は彼女の主のもとで、一緒になってきゃーきゃー右へ左へ走り回っている。

 すべてが終わったあと、パラーシカも多分、ベロゴールスクへ帰っていると思う。マーシャと一緒に。
 ひとり雪の中で死者を悼み失った愛を追憶するマーシャの横で、パラーシカがその身に新しい命を宿していてくれたらいいなと思う。
 彼女はきっと、ひとりでも強く生きていくだろうから。

 いつかまた愛した男が帰ってくることを待ちながらも、子どもを育て牛を追い、強く強く北の大地で生きるだろう。
「生きているんだ」
 マクシームィチが、そう望んだから。
 彼女の男が、そう望んだから。
 彼女自身が、そう望んだから。

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