「10リトル 9リトル 8リトル ドギー
 7リトル 6リトル 5リトル…」

「おまえなァ! その歌“ドギー”じゃなくて“インディアン”だぞ」

「知ってるよ!」

 知ってるよ…4リトル・3リトル…みんないなくなっちゃう歌

2009/12/26

雪組 退団者のお知らせ

下記の生徒の退団発表がありましたのでお知らせいたします。

(雪組)
未来優希         
彩吹真央      ―すでに発表済み―
神 麗華
大月さゆ

       2010年4月25日(雪組東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団

貴穂しゅう
       2009年12月26日付で退団


 彩音ちゃんの歌うインディアンの歌がアタマを回る今日このごろ、それと同時に「ドギー」が1匹ずついなくなるのを無力なまま見つめるしかなかったマックスの台詞がアタマを回っている。

 知ってるよ、みんないなくなっちゃう歌。

 知ってるよ。
 いずれ、みんな、いなくなる。

 すべての出会いは、別れを前提としている。

 知ってるけど。

 胸の動悸が治まらない。

 
 12月26日か。
 グレアムの誕生日で、ケロの卒業した日。
 花組ドラマシティ公演『相棒』
 テレビドラマ、あの『相棒』との異色コラボ作品。

 出演者たちはとても健気に、ドラマキャストのモノマネ……ゲフンゲフン、イメージを損なわないように、それぞれのキャラクタを演じている。
 観劇した人たちはみなもれなく、キャラクタの再現率の高さにおどろく。

 『逆転裁判』でもそうだったけど、ジェンヌたちの「創る力」は侮れない。文字データ以外の原作がある場合、それをこの三次元に、舞台という特殊空間の上に、見事に息づかせてしまうんだ。

 彼らが懸命に『相棒』という作品を創り上げているのに、演出家がそれをぶちこわし、裏切っているんだ。
 そのことに、唖然とした。

 作劇クオリティが低いという話じゃない。そんなのいつものイシダだし、ものすごーい演出を見せてくれるなんて誰も期待してはいなかったろう。
 そうではなくて、『相棒』という作品の根幹、スピリッツの問題。

 イシダ作品に「心」がないのはいつものことだが、それを象徴しているのがよりによって、「相棒」というテーマ。

 パリス@彩音ちゃんの専属調律師キャロル@あまちゃきは、パリス夫@みわっちと不倫していた。や、夫に言い寄られていただけで、相手はしていなかったのかもしれないが、まんざらでもなさそうな昼メロっぷりを見せていた。
 が、彼女には秘密があり、パリスを二重に騙していたんだな。

 パリスの調律師で付き人が夫と不倫していただけでも裏切りなのに、さらにそれすべてが演技で、他に目的があって仲間の振りをしていただけ、なんて。
 ここまでものすごいことをしておいて、最後は「あなたを騙す仕事が終了したから、失業しちゃった。調律師として雇ってくれません?」「いいわよ、騙されていたけど、あなたは私の相棒よ♪」で、ちょっといい話風にまとめる、ものすごさ。 

 いやいやいや、ありえないから!!
 さんざん騙していて利用して裏切って、「騙す仕事が終わったから、次は相棒」って、どんだけ、心がナイんだ、こいつら??!

 人間としてありえないでしょう?

 仮に、キャロルとパリスの間に深い信頼と友情があったから、誤解が解けて和解した、としよう。
 でもそれなら、パリスは「親友のキャロルに裏切られた」ことで深く傷つき悩まなければならない。しかし、飲んだくれてわがままを言っているときの彼女から、そんな苦悩は伺えない。キャロルのことは「ただの使用人」「飼い犬に手を噛まれた」あたりの扱い。
 友情も信頼もない、ただの腕の良い調律師だから雇っていた、というなら、「騙されていた」時点でロンググッバイでしょう。仕事で仕方なかったとはいえ、今までパリスが見ていたキャロルは全部偽りの存在、真のキャロルとは今出会った初対面みたいなもの。初対面で、しかも「仕事のためなら、平気で人を騙す」とわかっている人間を即「親友」認定できるか?

 パリスの人格は分裂し破綻しているので今さらっちゃー今さらだが、ここでまたがくんとアゴが落ちた。

 そしておろそしいことに。

 この、パリスとキャロルの「私たちは相棒よ♪」という、背筋の寒くなるよーな偽善に満ちた「ちょっといい話」を、右京さん@まとぶんと神戸@壮くんへと、話題をスライドするんだ。
 

 えー、神戸くんも、右京さんに近づいたのは上からの命令を受けて、です。
 だから、キャロルと同じ立場なのね。
 だから、キャロルとパリスの和解は神戸と右京の「相棒」に掛けてあるの。

 でもチガウからっ、キャロルとパリスの「相棒」はひどすぎるから!! なまじ近づいた理由が神戸と右京の関係に似ているだけに、「相棒」という関係を、冒涜しているから。

 これは、いくらなんでもナイだろ……。

 …………誰か、止めるモノはいなかったのか…………。
 いや、いたら、『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』なんてとんでもないモノが上演されているはずもないよな……そーゆーとこだよな……。

 パリスとキャロルの「私たちは相棒よ♪」がなければ、まだセーフだったのに。
 わざわざコレがやりたくてキャロルというキャラを仕込んだっぽいのがもお……遠い目。
 「心」がナイのが作風とはいえ、コラボでコレは勘弁してくれ、ヅカの恥を外部にさらさないでくれ。
 
 
 そして、なんといっても最悪な、「臓器移植キャンペーン」……。
 つまらない話だけれどそれでもキャストの魅力だけで観ていたのに、いきなり冷水を浴びせられる感覚、つーのを味わいましたよ。
 うすっぺらさを誤魔化す、都合の良い手段として利用するよーなことぢゃないでしょうに。
 どこまで無神経なんだろう。や、今にはじまったことぢゃないけどさー。イシダってさー。溜息。
 
 
 キャストのハマりっぷりを楽しむ、のは、あくまでも一見さんの楽しみ方ですよ。
 リピートには向きません。

 でも、1回は観る価値あります。なにしろ、キャラの再現率が半端ナイから。

 たくさんの人たちが、1回だけでも観てくれますように。
 タカラジェンヌってこんなに「創る力」があるんだそーってことを、見て欲しい。
 それはそうと、『相棒』ですが。

 ドラマの相棒ファンは、どの程度劇場へ足を運んでいるんでしょうねえ。
 タカラヅカを観たことがない、テレビドラマの知名度だけで、7500円出して師走の大阪で芝居を観ようっていう人は、どれくらいいるんだろう。

 それとも、劇団的には「タカラヅカはたまに観る」「昔はヅカファンだった」とかの、「下地はあるけど、現在はヅカを観ていない」人たちがターゲットなのかな? タカラヅカを知っていて、芝居を観るためにお金を出したり足を運んで労力を使うことができる人。
 知っているけれど、普段は観ない人たちが、ドラマの知名度でヅカのことを思い出して久しぶりに観劇してみる、てなあたりを狙ったのか。

 テレビドラマのお茶の間ファンってのは通常、「娯楽は無料が当たり前」「娯楽は茶の間で動かずに与えられて当たり前」だからなあ。
 自分で努力して動いて、大金払って、はじめて得られるモノぢゃないからなあ。

 まあなんにせよ、知名度がある作品とのコラボはいいんじゃないですか? 年末のDC公演としてはびっくりな売れ行きのようですから。
 景気が冷え込んでからのDCで、こんだけ売れてるのは大したもんだと、全組全公演ゆるく観劇している者の感想っす。

 しかし、疑問だったんですよ。
 ドラマファン、タカラヅカを観たことがない人たちが、どの程度観に来ているのかって。

 だってこの作品ときたら。
 非ヅカファン向け、だよね?

 まあ、イシダせんせの作品は大抵タカラヅカファン以外の客層を狙っているのかもしれませんが。
 『猛き黄金の国』とか『黎明の風』とか、なんでこれをタカラヅカで上演するんだろう、と首を傾げるモノを嬉々としてやっているわけだし。
 ヅカファンやディープなリピーターは無視して、一見さんや団体客をターゲットにする作品をあえて作るのも、企業としては当然のことだから仕方ないと思ってますが。

 観劇し終わったあと、「劇団は10回観る1人のファンより、1回しか観ない人が10人欲しいんだ」と思って、寂しくなりました。
 や、だからそれは仕方ないことだし、そこを狙うキモチもわかるんだ。わかってるんだ。
 それでも、まさに「1回しか観ない人」用に作られた『ベルばら』のあとで、「1回しか観ない人」用の『相棒』を見せられると、組ファンとしてはしょぼんです。……バランスとして、『ロシアン・ブルー』みたいな一見さんお断りのディープファン向け作品も混ぜてくれよおお。

 と、肩を落としてリピートをあきらめた、ドラマシティ公演『相棒』。

 ストーリーは、ひどいです。や、いつものイシダだから。

 世界的な作曲家でピアニストで映画の音楽監督で大酒のみでヘビースモーカーで臓器移植経験者で臓器移植キャンペーンのチャリティーコンサートに出演する予定のパリス@彩音ちゃん。あーあ、設定を書いてるだけで徒労感にさいなまれるな(笑)。
 そんなパリスの護衛を、特命係の右京さん@まとぶんと神戸@壮くんがすることになった。
 まあ実際、彼女は何者かに狙われているらしい。サンタ姿の暴漢@めぐむが2度も襲ってくるし? でも彼女もナニか隠しているようだし? なにしろ部屋にガスマスクとドライアイスを隠し持っているわけだし?
 右京さんは無事にパリスの命を狙っていた犯人を捕まえるわけだが……。
 

 イシダせんせらしい平板な演出で、短い場面を暗転でつなぐ「カーテン前芝居」「立ち話芝居」の大連続。とってつけた歌とダンス。
 画面は単調で工夫ナシ。『銀ちゃんの恋』でウケたからと、安易にテレビスクリーン付き。
 ……なのはまあ、想定内なのでいいとして。(いいのか)

 作劇の3大タブーのひとつに、夢オチってのがあります。
 盛り上げるだけ盛り上げておいて、ぜーんぶ夢でしたぁ、アハッ☆ で終わるヤツ。
 なにしろ夢だから、どれだけアンフェアでも無責任でもイイ。盛り上げるためだけに嘘もその場しのぎもなんでもOK、だって夢だもん。誰でも簡単に作家になれますよ、夢オチなら。小学1年生のとき、はじめて描いたマンガのラストが夢オチだったなあたし……遠い目。

 まさかタカラヅカで夢オチを見せられるとは思ってなかったっす……。同人誌とかならともかく。

 彼女の夢ならば、角田課長@まっつとアンコキナコモチコ@きらりハルくまのパジャマパーティが出てくるのはおかしいし。
 ただのご都合主義、整合性ナシ。「だって夢だもーん、キャハッ♪」で終了ですかそうですか。

 ふたつの殺意、ふたつの殺人計画が同時進行し、たまたま彼が犯人で彼女が被害者になった……という作劇も、できたはずだ。あんなひどい夢オチを使わなくても。
 構成を煮詰めることを放棄して、簡単なこと、楽なことしかしたくなかっただけじゃないの? という不誠実さが見えてつらい。

 また、ふたつの殺人計画の、動機のチープさ。
 人の心を軽んじているがゆえに、とってつけたよーな、どーでもいい動機。

 彼女の動機はまだマシっちゃーマシだけど、それならそれで彼女の音楽への思いとか夫への愛情とか、「憎」にふさわしいだけの「愛」を描いてからの話でしょう。うすっぺらいものしか描いてないのに、「ソレを損なわれたから殺そうと思った」……そして、「やっぱり許して待ちます」……なんなのこの「心」のない簡単ぷーな心情の変化っぷりは。

 その上彼女は「主人公と恋愛しちゃいけないけど、主人公に恋愛に近い感情を持つ」という矛盾した「お約束」ゆえに、心変わりが激しく気味の悪いことになってるし。『逆転裁判2』のヒロインが気持ち悪かったのと同じ。
 ヒロインが主役(探偵役)に淡い恋心を抱くなら、犯人の恋人だの妻だのの設定をやめておけよといつも思う。ヒロインは最初パートナーを愛していて、パートナーが犯罪者だっつーこともあり、途中で都合良く主役を好きになり、恋愛をしてはならないシリーズ物の主役はヒロインを振る、するとヒロインはやっぱり犯罪者となったパートナーを見守ることにする、と「ちょっといい話」のようにまとめて終了。くるっくる変わるキモチ、分裂する人格。……なんてキモチ悪い。

 夫の動機はさらにひどいしな(笑)。すべての物語上の負債を、オリキャラなのをいいことに、都合良くひとりで背負わされた感じ。

 なにごとにもまず「心」があり、人間であるがゆえに時には罪を犯してしまったりするもんなんだがなあ。

 
 まあ、ミステリ仕立てはなにかと難しいものだし、この作品は心理劇ではなくトリック系なんだから、動機をどうこう言うのは野暮だとするのもアリだろう。
 ということにして、動機のアレさを置くとしても。

 この作品が『相棒』というタイトルを名乗っていることへの、致命的な問題点がある。

 翌日欄へ続く。
 さて、男同士で仲良くしている話を楽しげにしてくれる春風さんですが。
 彼の本領はそんなところにはなかった。

 みーちゃんは、女を口説いてナンボだ。

 はい、春風弥里『カサブランカ』お茶会の感想、続きです。

 お茶会恒例のゲームコーナーは、「サッシャのお悩み相談室」だった。
 お茶会開始前に公演やオフについての質問を書いて提出するのと同じように、「悩みを書く」用紙もあった。しかもその用紙には電話番号記入欄が!
 なになに、選ばれたら、みーちゃんから電話が掛かってくるの?!

 うれしがって、思いっきりアホな悩みを書きました。や、別にそんな癖はないし、そんなことで悩んでないんだけど、悩みがアホすぎる方が、選んでもらえるかと思って。
 ウケを取ることしか、考えなかった……悲しき大阪人のサガっつーか。
 いやその、つまらん小細工です。あとで盛大に後悔しましたとも、「やめときゃ良かった……」と。

 実際には、お悩み用紙は内容で選ぶのではなく、抽選と同じように箱の中からみーちゃんがてきとーに引くものだったので、コトなきを得た。良かった……ウケ狙いのアホな内容をみーちゃんに読まれなくて。

 ともかく、みーちゃんが箱の中から用紙を引き、そこに書いてある番号に電話を掛けるわけですな。

 あの、緊張感!!

 みーちゃんから電話が入るかもしれない! という、ものすげー濃いぃ張りつめた空気。
 みんな携帯握りしめて、固唾をのむ。

 そこで、間違い電話をする、お約束なみーちゃんは、天然過ぎて素晴らしいです。や、あのタイミングで素で間違えるって、神!なボケっぷりですよ!!(笑)
 どこに掛かったのか、「チガウ!」とわかるなりみーちゃんは反射的に切ってしまい、「あっ、切っちゃった……」と呆然。「すみません、間違いました」とも言えず、ほんとにみーちゃん自身がびっくりして、ぱっと切っちゃったもんなー。
 ……みーちゃんから、突然電話が掛かってきたどこかの誰か、おどろいただろーな(笑)。

 間違えたのは1回だけ、あとはふつーにTEL。

 せっかく電話という小道具を使っているのに、肝心の「お悩み相談」は電話でではないんだな。
 「サッシャの」お悩み相談なので、バーカウンターで、彼がサーブした飲み物を介して、相談するんだわ。

 わざわざステージ上に、バーカウンターに見立てたワゴンを用意して、みーちゃんはお着替えまでしてやってます。
 お着替えったって、ジャケット脱いで腕まくりしただけなんだけど、それが、めっちゃかわいいの!
 わざわざ退室して着替えるんだよー。そのもったい付け方がもお(笑)。

 メニューはオレンジジュースのみなんだが(笑)、サッシャが淹れてくれるの。
 相談者はジュースを飲みながら、壇上でサッシャと向かい合って話を聞くという。

 悩み自体はとても他愛のないもので。あがり症で困ってますとか、初対面の人とうまく話せないとか、小心系な悩みだったような……みんないい人だな。あと、お孫さんになんと呼ばせればいいか、「おばーちゃん」とはまだ呼ばれたくないし……みたいな相談。

 みーちゃんの回答は、役に立つんだかなんだか。
 内容よりも、彼の「相談者への接し方」「答え方」が興味深かった。

 これは、「サッシャの」お悩み相談である。「みーちゃんの」ではない。

 だから彼は、「サッシャとして」答えるんだ。

 もちろん、お茶会でのゲーム、余興なんだからそこまで難しくしていない、ゆるい応対なんだけど。だけど彼は、「サッシャとして」を忘れていない。
 素の女の子として答えるんではなく、「男」として、相談者の女性に接している。

 だから、「人と打ち解けるには簡単ですよ、ボクは『お客さんの好みのタイプの女の子は?』って聞いてます!」と、リックの店でサッシャがマイクを切られている、隅っこの小芝居でなにをやっているかを話す。
 そうか、客と話しているサッシャは、そんなことを言ってるのか~~、と、公演の話も出来るし、キャラクタもわかるし、また、裏話も聞ける。
「だから、『好みの異性のタイプ』を聞けば、ばっちり会話できますよ!!」みたいなまとめ方をして、初対面からそんなことが聞けるか!!という客席全員からの声なきツッコミをしれーっと流す。

 うまいなー。

 サッシャとしてではなくみーちゃんとして、「私の母(だっけ?)も、孫に『おばーちゃん』とは絶対呼ばせない! ってがんばってました、いろんな呼び方考えてました」と話し、共感をあおった上で、「でも、問題ないです、実際孫が生まれたら、『おばーちゃんでちゅよ~~♪♪』って自分から言いだしましたからっ」と、オチをつける。

 アタマいいよこの人!!

 「お悩み相談」といっても、自分にナニを求められているのか、ちゃんとわかってるのね。
 自分がタカラヅカ・スターであり、今、ファンに囲まれているのだということ。
 自分の一挙手一投足にファンが一喜一憂すること、それをわかったうえで、じらしたり喜ばしたりしている。

 女性に黄色い声を上げられ、ファン心理ゆえに緊張されたり、凝視されたりしていることを、理解し、そのうえで、楽しんでいる。

 や、めっちゃたのしそーだ、みーちゃん。
 女の子にきゃーきゃー言われるの。ラヴ視線あびるの。
 彼が楽しんで「男役」を、「タカラヅカ・スター」をやってくれるから、こちらも素直に「ファン」をやれる。
 彼が創り出す「ドリーム」を享受できる。

 彼がソレを許してくれるから。
 まるで少女のようになって、素敵なスターさんに、きゃーきゃーときめくことができた。

 
 『カサブランカ』から、「過去は聞かない」だっけ、リック@ゆーひさんの歌を歌ってくれた。「大人だー」とそのかっこよさに感心しているのだと、解説した上で。
 これがまた、すげー、うまくて。

 某ゆーひファンと一緒にお茶会参加してたんだが、一緒になって「やばい、ゆーひさんよりうまい……」と聴き惚れる(笑)。
 
 いやあ、たのしかったよ。ときめいたよ。
 みーちゃん、いいなあ。なんかいろいろ感動しちゃったよ。
「なにを妄想しても構わないが、俺にだけは言わないでくれ。聞きたくない」

 この台詞はかなりの名台詞であり、いろんなところで今後語り継がれると思うけれど(笑)。

 リック@ゆーひさんの唇を奪う男サッシャ@みーちゃんにも、ソレは当てはまるらしい。

 本来ロシア式挨拶は頬にチュッチュッとやるもので、マウスtoマウスではないんだが、みーちゃん自身そう調べたそうなんだが、それでもサッシャは脚本にある通り、ブチュ~~っと思いっきり食らいついているらしい。
 ここはもうがっつりとやる気満々で、ホン読み時から派手にキメていたそうですよ。

 いやあ、世の中の需要を理解してますね、春風さん!

 さらにこの野郎同士のキスシーンにて、リックの店のスタッフたちはみんなたのしげに見守っていますが、ビゴー@カイくんのみ、くやしそうにしているそうです。

 ビゴーはボスが大好きなんだって。他の男にクチビルを奪われたら嫉妬するくらい、ボスを大好きなんだそうですよ。

 その話を当のゆーひさんにすると、「ちょっと、やめてよ(笑)」と、リックさんの例の名台詞「なにを妄想しても構わないが……」を彷彿とさせる反応があったとか。

 さらに、やたらとリックのカフェにいりびたっているバーガー@大ちゃん。
 誰だったかに「サッシャとの関係」を聞かれ、「僕たち、デキてるんです」と答え、またしてもゆーひさんに引かれる、という。

 宙組美形若手たちの、ノリの良さに乾杯。

 ……つか、なんでそんなにホモネタ好きなんだ? 腐女子が混ざってるのか?(笑)

 いやはや、ニーズをわかってますね!(親指立て)

 つーことで、いろいろ有望な若手スター、春風弥里『カサブランカ』お茶会に混ざってきました。

 わたしのみーちゃんのファースト・インプレッションは、タカコン『W-ing』です。
 そのときに「ゆーひくんに似てる」と注目した子です。ゆーひくんとさおたさん足した感じだなーと。

 そしたら次に『NEVER SAY GOODBYE』新公で、超エロ男をやってるぢゃないですか、ナニあの黒塗りワイルド・エロ・マタドール。ゆーひくん似の顔でその濃度はツボですよ。

 その後新公ではオッサン役を演じることが多く、オッサンスキーなわたしのハートをくすぐりつづける(笑)。
 で、おっさん役者認識になると、最初に思った「ゆーひ似」の意識は薄れ、どっちかっつーと「さおた似」に傾く。声もさおたさんっぽいよねー。

 『Paradise Prince』新公ではわたし、みーちゃんにプロポーズされたい~~。とか書いてますな、そう言えば。どんだけおっさんなみーちゃんが好みだったんよ、という(笑)。

 さて、そんなみーちゃんのお茶会。舞台でのみーちゃんしか知らないから、彼がどんな人なのか、わかっていない。わたしにはレポ能力はないので、あくまでもわたしの目を通した感想、しかもポンコツ海馬ゆえ事実が歪曲され、別物になっている可能性大。
 それでも記録記録、自分のために記録。

 
 なんなの、あのかわいこちゃん。

 みーちゃんは、アーガイルのセーター+同色ジャケット姿で登場。ネクタイ付き。

 結婚式場みたいな会場で、新郎(え?)みたいに舞台奥から登場。上がる歓声。きゃー、かっこいー、かわいー!!

 乾杯時の台詞はもちろん、「キミの瞳に乾杯!」きゃーきゃーきゃー。

 『カサブランカ』のみーちゃんは、お調子者属性の若者役じゃないですか。フィナーレの銀橋渡りだって、「ボクたち若手スター☆」って感じで瑞々しいじゃないですか。
 だからまあ、免疫ついてはいたんですよ。
 これが『ネバセイ』新公だの『黎明の風』新公直後だったら、あまりのギャップに、うっかり恋に落ちていたかもしれません(笑)。
 舞台の大人の色男っぷりと、別人。

 かわいこちゃんアイドル系の、さわやかな男の子でした。

 またネクタイ+アーガイルセーターとジャケットがキョーアク。リセに通う少年のようだよ。
 でもって、「ネクタイは、蘭寿さんに直してもらいました」と、萌えの宝庫のような発言。
 春風さんのネクタイを直す、蘭寿さん?!
 ちょっと奥さん、想像してみてくださいよ、舞台姿でも素顔でもいいから。
 蘭寿さんが自分より背の高い若者の胸元に両手をやり、必死になんかやってるんですよ? で、春風さんは姿勢を正して蘭寿さんがやりやすいように直立しているわけですよ? 春風さんの鼻先に、一生懸命な蘭寿さんのアタマとか顔とかがあるわけですよ?
 それも成り行きっちゅーか、通りすがりにそんなことになってるんですよ? エレベータとかの密室だとなお萌えですな。ハァハァ。たまたま顔を合わせたときに、みーちゃんが今からお茶会だと言ったら、らんとむさんが張り切ったっぽい。
 
 や、らんとむさんはなにかしらのこだわりをもって「ここはこう!」と直してくれたそうな。だけど彼がナニにこだわってどこをどう直してくれたのかは、みーちゃんには伝わらず。
 ただ、「蘭寿さんが直してくれた」ネクタイを、胸を張って付けているのみ(笑)。

 同期ネタはてんこ盛り、とくに大ちゃんの話題には事欠かない。
 大ちゃんって普段は、とろとろのろのろの大阪弁なんだ? みーちゃんが再現するやりとりの、大ちゃんのユルすぎる喋りがすごい。「ねぇねぇ~、みーちゃぁん、いっしょにぃ、しゃしんとらへん~~?」全部ひらがなで喋ってるだろ、大ちゃん(笑)。
 みーちゃんの語る大ちゃんは、とにかく愛らしい。めっちゃアホかわいい。川原泉の描く鳥アタマキャラみたいだ。舞台でのあの美形っぷりを知るだけに、さらに川原泉ワールドっぽい(笑)。

 ちーちゃんとはふつーに男子同士、友人同士の会話をしてるなあ……。大ちゃんのキャラが愉快すぎるのか、ちーちゃんがふつー過ぎるのか。
 ちーちゃんも同日お茶会だったため、みーちゃんはサプライズ・プレゼントを仕組んだそうで。ちーちゃんお茶会の様子を知りたいっすよ。

 あとはゆーひさんが「かっこいい」と、いつも「見惚れている」という話を大真面目に。

 いやあ、和気藹々っぷりがイイです、楽しいです。
 ディック@『逆転裁判』があり、今回はサッシャで、しかもこのお茶会での姿……なんか、最初みーちゃんをエロ男だと思ったことが、遠い昔過ぎて、忘れそうです。
 さわやかアイドル……かわいく笑って、男タラシな話をする(笑)。いやその、男同士仲良くしている話は楽しいですとも。
 「音楽」は記憶に結びつく……ので、トド様の「キッチュ」で泣きかけた。

 トド様は『風共』や『ノバボサ』『凱旋門』あたりはよく歌うけれど、『エリザベート』はほとんど歌わない、気がするんだけど、わたしの思い違いかしら。
 イベント公演のたびになにかしら持ち歌披露しているけれど、それはいつも「タカラヅカの顔」みたいな作品の曲ばかり。
 轟悠の最大の当たり役はルキーニだと思っているので、出し惜しみ感が強い。

 だからほんっとーに久しぶりにトド様の「キッチュ」を聴けてうれしかった、『タカラヅカスペシャル2009~WAY TO GLORY~』

 わたしはジェンヌのがなりを入れた歌い方が好きなんだが、「キッチュ」ってトド様にはめずらしいがなり曲なんだ。
 トド様は声が独特なんでふつーに歌っていても濁音っぽいというかがなっているよーに聞こえるけど、そうじゃない、だからこそ滅多にがなりを入れない人なんだと再確認。
 「キッチュ」は思い存分がなりを入れて舌を巻いて歌うんだー。うわーん、かっこいー。

 雪組のやんちゃな男の子、だったトド様。
 ルキーニはいつも大暴れしていた。

 ダイスキだったよ、初演雪組『エリザベート』。あそこからすべてがはじまった。今、『エリザベート』がこんなにタカラヅカの代表作になるなんて……つか、再演されまくってナニがなんだか、な作品になるなんて、夢にも思わなかった。

 
 さて、『ヅカスペ』の感想、あとはもう簡単に。や、感想書くヒマがなかったために、記憶も薄れてるし(笑)。順不同、つかめちゃくちゃ。

 世界は、らんとむ×ゆーひを求めている。

 と、確信したオープニングの組ごとのショー主題歌場面。
 宙組は『Apasionado!!』、ゆーひさんを後ろかららんとむが軽く抱きしめる振りがあった。ショーでよくある、後ろから腰に腕を回してってやつ。

 いやあ、空気感がぜんぜんチガウ、客席のみなさま、今がっつり食いついたでしょー?! あわててオペラが一斉に上がるんですが?(笑)

 ゆーひさんがエロいのは標準装備ですが、らんとむさんのエロさはちょっとまたチガウので。なんなんだろね、あの人は。ちょっと間違うとお笑いになりそうなエロさ……あはんあはんしていて、赤面してしまう系のエロさを芸風としている方なので、ゆーひくんとの絡みは異世界との出会い。
 ぜひイベント以外の公演で、芝居で、がっつり絡んでみてほしい。

 らんとむさんというと、ほんっとに赤が似合うなあ。2部で赤ブラウスで腰振って熱唱する「ジタン・デ・ジタン」に感動。

 「ランベス・ウォーク」を歌い踊るゆーひくんをぼーっと眺めて、彼の激動の近年に思いを馳せる。『ME AND MY GIRL』に出る出ないで噂が飛んだよね……。

 ぞろりと終結したときにスターとしての華というか覚悟というか、そーゆーものが見えるもんなんだなと思った、キムのギラつき具合。そして、テルの空気っぽさを心配した(笑)。
 
 花組の3人はトド様のバックで歌ったり、彼らの学年や番手からすればかなり特別扱い。よかったよかった。

 てゆーか、だいもん。
 この子に入り込み系の歌を歌わせると、やばいです。「明日へのエナジー」にて、顔、こわすぎ(笑)。すっげー入ってる、入りすぎて別次元へ行っちゃってるよ~~。

 いりすくんのダンスをきれいだなと思う。すらっときれい。加えて、ダンスで目につくのはあかし。こっちは、濃い。あちこちでもお、ねとっと、濃い。

 ともちはメイクが悪役顔になってる……どーしたんだ、その眉。

 オペラを上げた瞬間、飛び込んでくるのがたまたま大ちゃんだったりすると、彼以外見られなくなって困る(笑)。なんであんなに面白い動きで踊ってるんだ……美形なのに。

 トップコンビのシャッフル場面、れおんくんとみなこちゃんがいい感じでした。つか、ダンサー同士ってかっこいーなー。
 ゆーひ×ねねはいくらでも記憶にあるのでとくにナニも思わず、水×すみ花は……悪くはないけどときめきもなく、「ふつう?」な感じ。3組しかいないから、シャッフルの枠がせまいっす。

 2幕はメドレー尽くしというか、1曲1ターンが短くて次々人が出てきて流れて、という感じでめまぐるしくて、スターさんたちはいいけど、脇の子たちはもおなにがなんやら。
 大劇場ならよかったのに。銀橋もあるし、オケはオケピットに収めて本舞台も大きく使えるしで、いくらでも見せ場を作れたろうに。
 狭苦しくて演出に幅がなく、若手たちがかなり割を食った印象。

 そんななか、トド様ひとり立て続けに3曲はバランス悪い……。しかも聞きあきた『風共』曲。TCAとかのイベント公演のたびにこの歌歌ってないか、この人?
 ナマ観劇ならバックの娘役ちゃんたちを見たりできても、中継の人は視点固定されてさらに長く感じたのでは?

 とはいえ、トド様の出番は昔に比べて減っている。
 出るときはほぼひとりで、とか、若手とか娘役とかと一緒で、今をときめく男役スターたちの出番とは線引きされるようになったと思う。このへんも時代だなあ。

 クリスマス抽選会、なんてものがあることにおどろいた。
 このテの抽選で当たった試しがないので、半券を用意することもなく「出し物」として眺めた。
 販売DVDやスカステ放送などではカットされるであろう、素のスターさんたちのやりとりを見るのが面白い。
 振付が決まっているわけじゃないこーゆー場面って、ナニ気に性格とか出るんだよなー(笑)。

 フィナーレ、トド様が「次は娘役3人が、ソプラノで『すみれの花咲く頃』を披露します」とかなんとかMCしたもんだから、「トップ娘役3人で歌う場面かぁ」と思いましたよ。今の娘トップ3人って、歌がそのあのえっと、でもまあ歌うんならがんばれー、と。
 で、トップ娘役3人が登場すると思い込んでいただけに。

 階段上にポーズを付けて登場するドレス姿の3人の、シルエットの太さに驚く。

 ちょ、ちょっと待て、いくらなんでもそれは……っ?! と思ったら、トップ3人ではなく、コーラス専門で出演している3人でした。
 演出がほんと、トップ登場でもおかしくない感じだったので。壇上からシルエット登場だもん……。
 で、シルエットのたくましさっつーか横幅にびびったのはりりこ嬢ひとりなんだけど、ひとりだけでも全体の印象を左右する力があることがわかった(笑)。

 みんなすばらしい歌声だったけど、こーゆーハレの場で「見せる」歌い方は、コロちゃんがいちばんわかっているんだなと。りりこちゃんはとにかくパワー勝負、さらさちゃんはうまいのに地味だった。

 そして、娘役たちのダンスのあとに、男役黒燕尾の「すみれのボレロ」……。

 圧巻。

 
 たのしい祭りだった。
 来年こそは、大劇場でやって欲しい。
 まあそれはともかくとして、公演パロディに笑った。

 『タカラヅカスペシャル2009~WAY TO GLORY~』観劇。
 初日初回にこだわるのは、先入観を入れたくないため。せっかくのイベント公演、ネタバレなしで笑いたいじゃないか。

 今年のヅカスペ参加は3組。花組も参加はしているけれど、去年の雪組のように3番手4番手がいるわけじゃないから、彼らだけで組の場面をまるまるひとつ担うことはできず。公演パロディも、3組分のみ。

 雪組が『ベルばら』+『ZORRO 仮面のメサイア』。
 星組が『太王四神記 Ver.II』のみ。
 宙組が『大江山花伝』+『逆転裁判』。

 つか、雪組の『ベルばら』って、ナニ?! ヅカスペのコンセプトは、「今年1年を振り返って」でしょう? 雪組今年『ベルばら』やった? つーか、まさかの、『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』。

 アンドレ@ゆみこが、なんか謎の方言を話してる……九州方面っぽいが、定かではない。つか、ものすごく嘘くさい。そして、あのカツラは、どこから調達したんですか、ゆみこさん?! や、アンドレなカツラなんだけど……なんであんなにくちゃく……ゲフンゲフン。

 そして、堂に入ったオスカル@キム。本役だもん、慣れたモノよね、つーか堂々と余裕でイロモノっぷりを見せつける。
 ゆみキムはイロモノとお笑いでしか、見られない運命なんですか……? となみちゃんサヨナラショーでノリノリで絡んでいた姿しか思い出せないんですが?

 マリーズ@みなこちゃんらしいが、彼女がマリーズだとは、実はわからなかった。やっぱ原作にないキャラは弱いんだよなー。変な方言で喋るだけじゃ、誰なのかわかんないっす。アンドレがなまっているように、他のキャラもなまって登場してもおかしくないし。

 そして出ました、黒い騎士……てゆーか、ゾロ@水しぇん。
 他、出演している雪組メンバー全員で、ゾロの影。さゆちゃんたち、女の子も!

 ゾロって黒い騎士みたいよねー、って、ヅカファンなら一度は思っただろう、そのネタ一発で、ナニやってんですか(笑)。

 そして、そんだけ派手に風呂敷を広げておきながら、オチは不発。水しぇん、滑舌悪い……ダジャレで締めるならもっとがつーんといってくれないと(笑)。

 
 ある意味感動したのは、星組の『太王四神記 Ver.II』パロ。

 あのクソ派手なコスチューム劇だからこそ、外見を整えて登場するだけで「カタチ」が出来上がる。派手な作品ってすごいなー。
 また、それぞれのキャラが立ってるもんだからさ。
 なんつっても、プルキル@すずみんの入りっぷりがすごかった(笑)。

 しかし、そーやって派手に登場したわりに、星組さんたちは大してナニもしていない。
 すごく凝った脚本だとか演出だとか。複数作品のコラボでもない。

 だからこそかえって、感動した。

 だって。

 『太王四神記 Ver.II』の姿で、メガホンを持って熱唱する、それだけが「芸」になるなんて。(白目)

 一生懸命ネタ仕込んであうんの呼吸の漫才練習してきたっつーに、真のスターがそのへんにあるものを手に持ってふつーに1曲歌うだけで、場をさらっちゃって完全勝利、がんばってきたオレたちってなんなんだろう、凡人とスターの差ってこーゆーことか、しょぼん……みたいな(笑)。

 すごいなあ、タカラジェンヌって。
 メガホン1個で、場を支配しちゃいましたよ。

 ついでに、花組『太王四神記』メンバーも、どさくさにまぎれてまざっているのが愉快だった。
 つーか、Wチュムチ@まぁくん&ベニー!!(笑)
 Wモヒカン(笑)。
 なにをしているわけでもないのに、ただそこにいるだけなのに、なんであんなにおかしいんだ、星組+花組!!

 最初に「チュムチがふたりいる?!」と気づいて、あわてて全員の点呼した。だいもんとれみちゃんも混ざってる……ってゆーか、戦闘服れみちゃん、かっこいー。
 ナニあれ、カクダンなの? 何故にカクダン……。りせより強そうだぞ?(笑)

 
 演出勝ちしたのは、宙組。
 てゆーか、『逆裁』って、オイシイねっ。
 いじりやすいわ、ほんと。

 シリアスに茨木童子@ゆーひくんが登場して、それがそのまま裁判場面になるのがたのしすぎる。
 そしてなんつっても、あの音楽。
 『逆裁』本編でもそうだったけど、あの裁判ミュージックが流れるとテンション上がるなあ。

 ニック@らんとむ、エッジワース@ともち、ディック@みーちゃん。この3人は鉄板だな、なくてはならない素敵キャラ。

 綱@みっちゃんがとてもナチュラルに裁判長やってるし。他のみんなは鬼になって傍聴してるし。

 シュールな画面、シュールな会話。
 それだけでもおかしくて仕方ないのに。

 舞台荒らし、藤子@ののすみキターーッ!!

 ののすみ、やりすぎだから! あーた絶対間違ってるから!(笑)

 その後の回では少しマシになったらしいが、初回のののすみってばもお、本気で藤子になりきって乱入してきたもんだから、その空気読まない登場には唖然としましたよ。
 舞台の空気をばっさりぶった切れるのは、彼女の才能と実力ゆえだとわかるが、こんなお笑いパロディ芝居ですらアクセル全開でぶっ飛ばしていくとは思ってなかった(笑)。

 舞台上の人たちも、演技ではなく一瞬置いていかれてなかったか、ののすみに?(笑)

 そして強引に現在の公演『カサブランカ』の宣伝までしてエンド、って、ほんとうまいわ、宙組コント。

 『逆裁』組が日本物を歌い踊るのもまた、すげーレアでシュールな光景。みっちゃんは演歌ぶっちぎりだし。

 あー、ともちのエッジワースにまた会えてうれしかったなー。今の公演でエロおっさんを演じているだけに、またあの「美青年ヘア」を真面目に作って登場しているのが愛しい(笑)。

 
 花組と月組にも、パロディ芝居やってほしかったなあ……。どんな話になったんだろう。
 「音楽」は、ダイレクトに記憶に結びつく。

 ウチの父がえんえんえんえん昭和歌謡番組ばかりを至上のモノとし、新しいモノをなにひとつ受け入れられないのも、わかるさ。
 青春時代に聴いた曲は、その曲自体の力もさることながら、自分自身の記憶とシンクロしていることによって、永遠の名曲なんだ。自分自身の失われた過去に勝る音楽なんてナイんだ……。

 老境ど真ん中の父と違い、まだわたしは新しい音楽と現在の自分も愛しくメモリーしたいと思っているので、過去の音楽だけで思考をストップさせる気はありませんが。

 それでも、音楽を聴くことによって、当時の記憶が甦る。その過ぎた日々への愛しさを、止めることが出来ない。

 『タカラヅカスペシャル2009~WAY TO GLORY~』初日初回観劇。

 1幕はヅカスペ恒例?の、公演パロディだったので、大笑いして盛り上がって終了したわけだけど。

 2幕はなんかもー、部分的に、ゆみこちゃんサヨナラショーみたいだった。

 ゆみこに新公の主題歌歌わせちゃったりすることもそうだし、95周年つーことで、名曲を振り返ったりして、なつめさん追悼コーナーみたいになっていることもそうだし。

 「音楽」が、記憶に結びついているんだな。

 その曲を聴くことで、その曲に出会った時代の自分にスイッチが入る。
 愛しく、切ない感覚。

 わたしは、『ルートヴィヒII世』の主題歌を歌うゆみこちゃんを見ながら、この曲でスイッチが入るだろうゆみこファンのことを思い、そしてさらに、2年前の『TCAスペシャル』のことを思い出していた。

 2年前の、TCA。
 オサ様の退団公演の、直前に行われたイベントだったんだ。
 たとえどんな公演だろうと、オサ様を少しでも多く見たくて駆けつけたけれど……まるで、オサ様サヨナラショーみたいだった。

 歌うオサ様に組子たちがひとりずつ絡んでみたり、オサ様が自由に「音」で遊んでみたり、オサアサのゆるいトークコーナーがあったり、同期歌ウマ同士トウコとオサで歌対決があったり。
 本公演のサヨナラショーより、よっぽどサヨナラショーらしかった(笑)。

 わたしは勝手にスイッチ入りまくりで、号泣しまくりだった。

 「アリベテルチ・ローマ」でやばいくらい泣いたなあ。別れの「記憶」に直結してるんだよなあ。

 そんな自分の記憶と二重映しに、今目の前の舞台を眺めた。
 「すみれのボレロ」で、三角形の中心として階段を降りてくる「男役・彩吹真央」の姿にも、そのゆみこちゃんの美しい姿の切なさと同時に、過去のTCAで号泣している記憶を思い出して、うろたえた。

 ああ、まだこれは、「痛み」なんだ。

 ケロの卒業公演だった『ドルチェ・ヴィータ!』はもう、わたしのなかでこれ以上なくしあわせな記憶になっている。
 しあわせ過ぎて泣ける、今思い出すだけで、世界中への感謝の気持ちでいっぱいになる。
 ご贔屓退団で切なくて苦しくて、当時は息も絶え絶えだったと思うが、それでも幸福感と人々への感謝があった。タカラヅカってすごいところだ、ご贔屓を見送る、となると、あんなにたくさんの厚意が、無償の親切が与えられるんだ。友だちからも、見知らぬ人々からもものすごく助けられ、優しくされ、支えられた。
 あれから5年、つらかったことは昇華され、ただあたたかい、うつくしい感覚だけが、残っている。

 だけど2年前、「これってオサ様サヨナラショー?!」と号泣していたときのわたしはまだ、大好きな人を失う痛みで、それ以上はナニもなかった。
 素晴らしい演出をありがとう、と思う気持ちとは別に、取り乱してしまって、平静ではいられない。

 すみれのボレロを踊るゆみこちゃんを見て、この構成をしたスタッフが、そして劇場に詰めかけたファン……ゆみこファンだけではなく、「タカラヅカ」ファンが、どれだけの愛情を込めてゆみこちゃんを見つめているかがわかる。ちりちりと肌に伝わるあの、空気。
 黒燕尾の男役たちで踊るすみれのボレロが、「タカラヅカ」にてどういう意味があるか。それを95周年の記念公演で、クライマックスに披露する、そのセンターを務めること、任せることの、意味。
 通常ならトップスターが、あるいは理事であるトド様が、出てきてセンターを張るだろう場面を、最初から最後までゆみこセンターで貫く。
 ここが「タカラヅカ」であるからこその、愛と美の詰まった演出。

 いつかきっと、この記憶は、宝物のひとつになる。

 今はまだ、「痛み」だ。
 美しい、愛がある、うれしい、すごい……よくぞ今ここでこの演出でこの人たちを見せてくれた!と感動する気持ちとは別に、「痛み」がある。
 悲しい、切ない。

 でもいつかきっと、かなしみを超えて、幸福感だけで涙する場面を、わたしは今、見ているんだ。

 「音楽」は、記憶に結びつく。
 哀しみは涙で洗われ、時で流され、愛だけが残る。

 ……なんてことを、いろいろいろいろ考えてしまったのは、わたしもたしかにゆみこちゃんが好きで、そして一ヅカファンとして2番手退団という現実にショックを受けているものの、本物のゆみこファンではないためだろう。
 加えて、素直に舞台の上だけに集中する以前に、これを今同じ劇場で見ているゆみこファンの友人がどう思っているのか、大丈夫なのか、心配になって浮き足立ったせいもある。
 自分のことだったら、もうただただ取り乱して号泣して貧血起こして大騒ぎしているのだと思う。や、過去の経験からして。(友人諸姉にはほんとーに迷惑掛けっぱなしでした、はい)

 いろんなこと考えて、キモチがめちゃくちゃで、混乱しつつ、でも、今、見なければいけない、と、必死になって見た。
 舞台を。
 黒燕尾の彩吹真央を。その隣のらんとむとテルという、ゆみこちゃんと縁の深いふたりのスターを。黒燕尾の男たちを。

 ただもお、目に焼き付けろと。心に、焼き付けておけと。
 今は痛かったり複雑だったりつらかったりいろいろだけど、とにかく見て、刻んでおけば、いつか、愛しさだけで思い出せるから。

 それが「タカラヅカ」だから。

 人事その他もろもろに納得できないことがあったとしても、舞台上にいるタカラジェンヌには関係ない。
 彼らが作り上げる舞台は、その美しさは、そんなモノを超えていくから。
 彼らは、それだけのモノを創り上げているんだ。わたしは、彼らを信じている。卑小な自分の善良さなんぞ信じられないが、ジェンヌの「夢を作る力」を信じているんだ。

 だから、いつかこの記憶を、好きな人の美しい姿を、宝物にするために。
 今は、刻みつけろと。

  
 ゆみこちゃんも水しぇんも、みんなみんな、きれいに笑っていた。
 その笑顔を、刻みつけるんだ。
 全ツ『RIO DE BRAVO!!』にて、中詰めの歌手にあずりんが入っていると、パクちゃんから早々に教えてもらっていました。

 あずりんが中詰めの歌手に?!
 えええ? だってそーゆーのはスター様がやる仕事ぢゃないですか、何故にあずりん?!

 いやあ、よくはわからんけど、堪能しました。

 てゆーかあずりん、ソコだけ髪型変わっててウケた。他は基本同じオールバックに前髪一筋はらり、なのにさー。中詰めのトリオだけかわいこちゃんなアイドル風になってて、どんだけ力入ってんだと(笑)。

 ラクダシャツ付きのロケットも、あずりんガン見だったので他の人はよくわかってません……脚きれーだねー、そしてすでにロケット衣装似合わない・オカマに見えるくらい、素敵に男役だねー!(笑)

 
 しかしわたしはどうも、あずりんにはナントカスキー@『ロシアン・ブルー』タイプをやってもらっているときが、いちばん安心していられるようです。
 ふつーに若いチャラいにーちゃん。てきとーにハンサムで、てきとーにかっこつけていて。楽しそうに笑っていて。

 ソレが今回、『情熱のバルセロナ』でなんかドシリアスな役をやっていて。
 や、役名わかんないんだけど(公式見たら「密偵」って書いてあった。……密偵て?!!)、悪役チームでワルい顔してあちこちに登場している男の役。
 それがねー、オールバックにシケ一筋ぱらりの「美形ですが、ナニか?」な、すげー本気な髪型でね、さらにさらに、悪役だからってこれまたすげースカシきってカッコつけて「美形ですが、ナニか?」な演技してるのよっ!!

 うわ、なんか、たまらん。
 くすぐったいっちゅーか恥ずかしいっちゅーか、笑ってしまう。

 悪い意味での笑いではなく、きゃーきゃー黄色い声の延長線上にある笑いっちゅーか。

 かっこいい、んだけど、ソレをそのまま認めるにはわたし、いろいろいろいろ不純だわってゆーか、こんな小僧っこにときめくほど若くないのよってゆーか、あああ困ったなー。(アタマ抱え)

 後半の祭り場面はみなさんなんかすごい顔ぶれで、「なんで君がいるの?!」な人たちまでもが無礼講で踊っていて、配役的に「いくら全ツでもいいの?」な謎な場面だったわけだけど。

 あずりんもさっきまでの悪役からうって変わって、いつもの陽気な男の子として踊っていて、すごくほっとした。
 そーだよ、コレだよ、安心して眺められるあずりんは。
 あんましライト当たらない隅っこで、たのしそーに踊っている姿を、遠くからまったり眺めるのが、わたしに合っている。

 でもすぐまた、あのダークなあずりんに戻って再登場。うわわわ。

 かっこよくて、困る。

 ビジュアルが好みの人が、好みの髪型で好みの役柄やられちゃうと、うろたえてしまって、困るわ(笑)。

 
 だからショーの方が、安心して見ていられたなー。同じよーな髪型でも、ショーは悪役ぢゃないもん、出している雰囲気がチガウもん。

 はー。
 まいったまいった。

 
 ショーのヲヅキさんが格好良かったことは、言うまでもなく。

 なんか押し出し良くなってきたよなあ、キタさん。
 あのガタイを、もてあましている風がなくなって、武器にしている感じ。

 ゴッドファーザーなヲヅキさんの格好良さ、「出番コレだけ? そのまま1場面踊ってくれていいよ?!」と引っ込む背中に思わず「行かないでぇ」と手を伸ばしたくなった。
 だからこそ、オチには感動したし。
 や、ふつーに「あのスーツの下に札ビラ用意しているのねっ」とわくわく眺めていただけに(笑)。

 泥棒トリオも愉快というより、かっこいい、の方が印象強くてびっくり。つか、でけぇ。(比較対照がキムだし)

 ここまでスター様なヲヅキを見る日が来ようとは……。
 でもパレードとかはひろみちゃんが上なんだなあ。ポジションをグレーにする細かい作業が行われてますって感じ。
 タカラヅカって大変だわ……。

 
 そして最近、じわじわと気づいてはいたんだが、わたしはどうも、朝風くんが気になるらしい……。
 その昔、ゆーほさとるを愛でていたハートがじんじんうずいているのだ……。
 本公演でもなんとなーく彼を眺めてしまっていたんだが(ダーリンに対するハァトではないので、あまり騒いでいないが)、今回もまた、人数が少ない分余計に彼を眺めてしまい……まさかのオカマ役で、驚愕した。
 きききき聞いてないよっ?! ナニやってんですか、ソコのオカマ!!

 つかそもそも、本当にオカマなのか女性役なのか、そこからしてわかっていなかった。本公演時はわたし、ふつーに真ん中見てたし。
 あ、朝風くんあんなとこにいる、って、女役?! とまず目を疑い、次の瞬間、彼が、胸パッドを直していることに気づいた。
 自分の胸をむんずと掴み、すごい形相で持ち上げていた。
 ヲカマだ……アレ、女ぢゃない……オカマさんだよ……。
 それにしても、仁王立ちしてパッドを直すって……もうひとりのオカマさんも似たよーなことをやっていたので、振付なんでしょうかアレ……?

 こわかったです……(笑)。

 
 無邪気に楽しいショー、たのしい公演でした。
 芝居が好みでなかったため、リピートは考えなかったけれど、舞台も客席も華やいだ笑顔で満ちあふれていて、今思うとなんてしあわせだったんだろう。
 わたしはともかく、雪担友人の天井知らずのテンションをおぼえているだけに、そのわずか数日後の発表に衝撃を受けましたさ。

 みんなみんな、わらっていたんだ。ひかりのなかで。
 雪組全国ツアー公演『RIO DE BRAVO!!』

 1ヶ月に渡るツアー公演の最後の地であり、本拠地お膝元である、梅田芸術劇場。
 盛り上がらないわけがない……のはわかっていたが、手拍子の揃いっぷりが、すげえ(笑)。

 なんなの、このリピーターばかりの客席?! ファンで埋め尽くされた劇場?! 全ツと謳いながら、一見さんお断りかよ?!(笑)

 てな空気が楽しい。
 初心者さんの多い客席も、反応が新鮮でそりゃたのしいけれど、この濃密な空間もイイ。
 両方たのしめる方がイイ。

 あたりまえのよーに「はい、コレ」と横からポンポンが渡され、振ることになる。……つか雪担の人たちって、いくつポンポン持ってるのよ、いつでも貸し出しOKなのかよ?(笑)

 参加型だとわかって、割り切って来ているので、ポンポン振るのはぜんぜんいいんだけど、スタンディングとかウェーブとかまでやるんだろうか?と、参加の度合いを測りかねてちょっとドキドキしたぞ(笑)。

 
 わたしより先に観劇した元マミファンでケロファンを経て現在ヲヅキファンなチェリさんが、顔を合わせるなり、
「水くんの歌唱力がっ」
 と訴えてきて、横からゆみこ担で雪組担のnanaタンが、
「マミさんファンに言われたくないっ」
 と遮って、「マミさんの方がマシですよ!」「それはファンだからよー!」と諍いをはじめ、未観劇なわたしは置き去りにされました(笑)。
「とにかく、水くんの歌うマミさんの歌聴いて下さいよ、私の言っている意味わかるから」「緑野さんは水さんファンだから、そんなことないもん!」……いやその、諍いにわたしを巻き込むな(笑)。

 予備知識を入れたくない人なんですが、さすがに幕が開いて1ヶ月も経った公演のことは自然と耳に入る。
 何故かサイトーくんが、自作『BMB』の焼き直し場面を『リオブラ』へ入れていると。

 『BMB』っつたら他のナニよりビジュアル命!な作品。
 マミさんのとんでもねー美貌と、檀ちゃんのありえないほどの美貌とナマ腹、リカちゃんの次元を超えた耽美っぷりで成り立っていた。

 それを、えーと、現雪組で?

 水くんの美貌以外、まったくハマってないじゃん?

 ……すすすすみません、わたし水しぇんのビジュアルは好みど真ん中なので、彼の美貌という一点のみしか一致を認識していませんでした。

「大丈夫、みなこちゃんは意外とハマってたから!」
 と、檀ちゃんファンでもあるチェリさんが太鼓判。

 ……すすすすみません、わたしがいちばん危惧していたのはみなこちゃんではなく、ゆみこちゃんです。ヅラでぬめぬめした耽美キャラって、ゆみこちゃんのもっとも苦手とするジャンルじゃないですか。
 スーツ芝居ならともかく、ヅラ耽美ゆみこ×ワイルド水しぇんには、萌え以前に不安しか感じません……。

 で。

 仲間内でいちばん最後に観劇したのがわたしだから、あちこちから感想を求められるんだが。

 ごめん、歌は、マミさん以下だった。

 nanaタンに「なんでーっ?!」と叫ばれたけど、やっぱ水しぇん歌はアレだわー。低音になると滑舌の悪さ+声量のなさで、なに歌ってんのか、そもそも声を出しているのかもよくわかんない……。
 つか、同じ歌をそのあとでゆみこちゃんが歌うんだもん、同じ歌とは思えない(笑)。

 でもいいのよっ、水しぇんはかっこいいんだから。美貌なんだから。
 マミさんも美しかったが、水しぇんもほんと美しかった。ソルジャー似合うんだよ、『マリポサ』でもそーだったけど! 眼福眼福。

 そして、みなこちゃん!!

 かっこいーー!!

 闇キャラ演じるとめちゃくちゃかっこいいね、みなこちゃん。あの抜群のスタイルが映えて、危険な美しさとなる。
 みなこ×水っていいなー。わくわくするなー。

「ゆみたんも、思ったより悪くないでしょ?」
 と、ゆみこ担に目を見つめられて付加疑問文で詰め寄られ、「う、うん、思ったより、悪くなかった。悪くはなかった、よ」とたじたじ答えてしまいました。

 悪くはなかったけど、良かったとは言……ゲフンゲフン。

 想像していたよりは悪くなかったけど、それはほんとうで、オペラのぞいてほっとしたんだけど、ええっと。

 ごごごごめんゆみこちゃん、やっぱわたしが求めるアナタはぬるぬる耽美ではないのよーっ!
 耽美ってのは限られた人に与えられた才能であって、万人が持つ必要もないし、ないからといって困るスキルでもないのよ。

 ソルジャー@ゆみこで、蛇@水しぇんだったらなんの問題もなかったのに……むしろゆみこちゃんの総受スキルはそれでこそ発揮できただろうに……。

 サイトーくんともあろう人が、フジイくんみたいな失敗をするとはなー。(フジイくんは、ヅラらんとむ×ヅラ水でフリルフリルなホモ耽美をやらせる人です)

 
 『BMB』のお楽しみのひとつ……というか、かなりの重要ポイントだった、「檀れい様のナマ腹」。
 美貌の檀ちゃんのおへそとその横のピアスをがっつり眺めるのが、観劇のお約束だった。(リピートしていましたとも!)
 だからみなこちゃんが同じ役をやると聞いて「みなこのナマ腹が見られるのね」と思っていたのに。

 ナニあの茶色の布!!

 無粋だわー。

 ナマ腹でこその「赤い花」なのにー。
 ちぇ~~っ。

 無粋な茶色い布といえば、その最高峰はロケットの、おとーさんのラクダシャツ!!

 全ツ名物の新鮮な顔ぶれのロケット、瑞々しい女の子たちの健康なお色気を楽しむべき場面なのに、みんなシワシワのラクダシャツ着用……。
 肌を見せないために、肌っぽい色のシャツを着ているわけなんだが、ビキニの腹だけならともかく、胸から上全部シャツってのはあんまりだ。
 それもカラダにぴったりフィットしてればともかく、ほんとにシワシワダブダブで「おとーさんの古いシャツ(何度も着てあちこちのびちゃってます)を借りて着ています」状態……。

 や、わかるんだよ。
 全ツだから仕方ないって。
 男役の子が肩やら背中やら黒塗りしてられないから、シャツで誤魔化すしかないんだろうって。それで全員シャツ姿なんだって。みなこのおなかもそーゆーことなんだろうって。
 わかるけど、ビジュアルががくんと下がるのはたしか……。

 残念ナリ。

 
 まあそんなところも含めて、すげーたのしんだよ。
 たのしかったよ。

「ゆみこちゃんのヅラがストレートで良かった(笑)」
 とか、笑いながら言えたんだよ。

 夢にも思ってなかったから。 
 記者会見の様子を読めないかと公式をチェックしかけて、気づく。
 トップじゃないから、会見はないんだな。

 正2番手の退団は、わたし的に初体験なので、とまどっている。ヅカファンやって長いけど、ルコさんのときはわたし個人ではなんの経験もしていない。
 ファンになりたてでなんの情報もなく、贔屓組以外ではなにが起こっているのかさっぱりわかっていなかった。

 だからはじめての、「2番手退団」だ。

 これだけ衝撃が大きいのは、わたし自身のゆみこちゃんへの思い入れ……97年のゲイル@『嵐が丘』からはじまり、雪花雪という2回の組替えも全部まったり見守ってきた……と、「世の中のほとんどはゆみこファン」とことあるごとに書いてきたように、わたしの周囲のゆみこファン率がとても高く、彼女たちのショックと悲しみを思うだけでつらいということもあるが、さらにもうひとつ。

 「準トップの退団」であるということ。

 95年の歴史のなかでもイレギュラーであり、ここ20年近くなかったことが、起こってしまった。
 今起こるということは、これからも起こるということだ。
 かしちゃんの1作トップに絶望したのと同じ、劇団から裏切られたような気がする。

 だからこそ、会見の記事を見たかったのかもしれない。

 退団発表記者会見があれば、ゆみこちゃんはきっと、きれいな笑顔で現れていると思う。

 なにがあっていつ退団決意に至ったのか、ほんとうのことのみが語られるとは思っていないが、本人が公式の場で語ることを、わたしは信じたい。

 宝塚は、夢の世界だという。
 夢というのは、ゲームに似ている。
 ルールがあって、そのルールを守って楽しもうと思っている者しか、楽しめない。
 夢だからなんでもありだとか、与えられるだけでいいとか、そーゆーもんじゃない。
 女性が男を演じる、そのことを「バカじゃないの、気持ち悪い」と思ってしまえば、もうそれを楽しめない。
 ルールを理解し、遵守した上でないと、ゲームは出来ないんだ。
 宝塚は夢の世界で、タカラジェンヌはフェアリーである。
 現実はそうでないと知っていても、このルールを信じた上でないと、夢は見られない。

 退団者は袴姿でブーケを持ち、「ありがとうございました」と感謝の言葉を別れの挨拶にする。
 その人がどんなものを抱え、どんな事情があって花園を去るのかはわからない。でも、本人が幸せと感謝を語るのならば、それを信じる。

 好きな人の言葉を信じないで、この世のなにを信じられるというのか。

 大好きなスターさんたちが、たくさんの愛と感謝を語って、タカラヅカを去っていった。
 だからわたしは彼らの言葉を信じる、彼らが「見て欲しい」と思うままの夢を見る。

 ゆみこちゃんもきっと、きれいな笑顔で舞台に立つだろう。
 わたしはそれを真実とする。
 準トップって、なんだろう。

 宝塚歌劇団の2番手は、「スターとして上から2番目」という意味だけではない。
 準トップと言われる人だ。

 トップスターに準ずる人、次のトップになる人、だ。

 娘役は残念ながら確定した2番手というものが存在しない。組に確実に置かれるのはトップコンビと男役2番手。男役3番手も決まっていることは多いが、複数だったり不明瞭だったりいろいろなケースがある。
 トップコンビと2番手。この図式は変わらない。わたしがヅカファンでもなんでもない子どものころから、いつも乗る電車には男ふたりと女のポスターが貼られていた。

 明言されていない娘役では2番手位置の人が退団することが、残念ながら少なくなかったけれど、明言されている、劇団から「準トップである」と認定されている男役は、退団しない。時期の差はあれ、いずれはトップスターになる。
 そのための、「準トップ」という呼称だ。

 「主演男役」という珍妙な名称を劇団が強要していた時代、外部出版物にも無理矢理そう書かせていたように、マスコミにそのスターをどういう呼称で載せるか、劇団は意識していたと思う。
 そんな劇団から、2番手は「準トップ」と肩書きを付けられて外部出版物に掲載される立場だった。
 いずれトップになる人、という認識で。

 
 それを崩す、意味がわからない。

2009/12/15

雪組 彩吹真央 退団について
このたび雪組の彩吹真央が、2010年4月25日の雪組東京宝塚劇場公演『ソルフェリーノの夜明け』-アンリー・デュナンの生涯-、『Carnevale(カルネヴァーレ) 睡夢(すいむ)』-水面に浮かぶ風景- の千秋楽をもって退団することになりましたのでお知らせいたします。なお、今後の出演スケジュールは下記の通りです。

■今後の予定
(1)2009年12月19日(土)~20日(日)<梅田芸術劇場メインホール>
 『タカラヅカスペシャル2009~WAY TO GLORY~』
  監修/三木章雄 構成・演出/中村 暁、中村一徳、木村信司

(2)2010年2月5日(金)~3月8日(月)<宝塚大劇場>
 赤十字思想誕生150周年 宝塚ミュージカル・ロマン
 『ソルフェリーノの夜明け』-アンリー・デュナンの生涯-
  作・演出/植田紳爾
 ショー・グランデ『Carnevale(カルネヴァーレ) 睡夢(すいむ)』-水面に浮かぶ風景-
  作・演出/稲葉太地

(3)2010年3月10日(水)~11日(木)<宝塚ホテル>
       3月13日(土)~14日(日)<第一ホテル東京>
 彩吹真央ディナーショー『(タイトル未定)』

(4)2010年3月26日(金)~4月25日(日)<東京宝塚劇場>
 ※演目は(2)に同じ

なお、宝塚大劇場公演千秋楽(3月8日)および東京宝塚劇場公演千秋楽(4月25日)には公演終了後引き続き、サヨナラショーを実施予定です。


 2番手は、退団しない。
 わたしはなんの疑問もなく信じていた。ヅカファンになって20年強、自分の目で見てきた劇団のやり方、暗黙のルールから、2番手の退団はないと信じていた。
 異論はあるだろうが、劇団はトップスターに相応しくない人、どう考えても向かない人は、2番手にはして来なかったと思う。個人の好みや現実的な集客力の有無で首を傾げる場合はあっても、トップをアリだと思う人しか、2番手にはなっていない。
 だから、2番手は必ずトップスターになると思っていた。

 もちろん、トップにならず辞めた2番手がいることは知っている。
 しかし、95年の歴史のなかでほとんど例がなく、またここ20年近くいないのだから、現実問題として「ない」と考えるのが普通だろう。

 ゆみこの退団はない、彼は必ずトップになると、信じて疑っていなかった。

 だって、2番手だから。
 「トップスター」というブランドがあるように、「2番手」もまたブランドのはずだ。
 宝塚歌劇団が、商売をする上での。

 営利企業である以上、商売をしている以上、自身でそのブランドを踏みにじるとは、そんな愚かなことをするとは、思っていなかった。

 
 トップに向いているかいないか、魅力を感じるか否かは、個人の感覚だから今は置く。

 ただの20年超えヅカヲタとして、自身の経験から語る。

 ゆみこちゃんが花組にいたころは、たしかに扱いが微妙だった。まとぶんが組替えでやって来たときに、「劇団が2番手にしたいのはまとぶんである」と丸見えだった。
 その少し前、壮くんが雪組にやってきたとき、彼を次代の3番手にしたいのが丸見えだったように。
 劇団の意図は丸見えでも、彼らは同組内で露骨な下克上はしない。扱いを変えたいときは、組替えをする。
 オサ様の任期が見え、2番手=間もなくトップスターだと誰でも想像がつくようになってから、ゆみこちゃんは組替えされた。
 間もなくトップスターになる2番手位置から、新トップに着いたばかりの水くんの下の2番手へ。ポジション的には同じ2番手だけど、降格に近い扱い。だがそれでも、あくまでも表向きは「2番手から2番手への組替え」であって、面子は保たれている。
 その少し前にあった、壮くんを雪組3番手にしたいがゆえに、しいちゃんを星組に組替えしたときとカタチは同じだが、扱いがチガウ。しいちゃんは組替えすることで3番手候補から路線外に置かれた。下級生のまとぶんの下に置かれたんだ。
 ゆみこをトップにしたくないと思うなら、こうやって外すことが出来たはずだ。同組内での下克上は基本やらないが、異動によるポジション替えは冷徹に行ってきたのだから。

 機会はあったのに、やらなかった。
 心情的に見て「それはないだろ」という扱いがあちこちであったにしろ、外面的な部分で、ゆみこちゃんは決してスターとしての面子を潰されるような扱いは受けていない。
 劇団は自社ブランドを守ってきた、「2番手」……「準トップ」というブランドを。

 ゆみこちゃん個人がどうこうではなく、これまでの流れ、扱いから、2番手の退団なんか、あるはずがない。
 営利企業が、自社ブランドを自分で傷つける愚を犯すはずがないから。

 ピュアゆみこファンが退団の噂に怯えていても、わたしはいつも笑い飛ばした。
 そんなことあるはずない、ゆみこちゃんはトップになるよ。好き嫌いの話ではなくて、経験からくる話だもん。

 
 PC画面に向かって、「そんなバカな」と、ひとりで言い続けた。
 公式の更新タイトル欄見て血の気が引いて、心臓ばくばくして、マウスを持つ手が震えた。

 だってそんなの、あってはならないことだもん!

 
 自分の経験から、まったりヅカヲタやってきた記憶から、語った。
 経験をもとに、わたし個人が勝手に思ったり、判断したりしてきたに過ぎないが。

 感情だけで書くなら、もっとめためただ。
 こんなのひどい、おかしいって、そればっかになるよ。
 わけわかんない。
 こんなことして、誰がしあわせになるの。
 みなこちゃんは、主役役者なんだなと思った。

 『うたかたの恋』と同カテゴリのヒロイン、『情熱のバルセロナ』のロザリア@みなこ。
 知能や自我はなくてヨシ、むしろない方がヨシ、「美貌・可憐」とい記号さえあればヨシ、という実にものすげーヒロイン。
 下手な知恵や小賢しさがあるとウザくなる、いっそ幼児程度のメンタルである方が哀れさを誘う、「ヒロイン」というだけの記号キャラ。

 みなこちゃんは美貌と可憐さという、ヅカ娘役の基本スキルを持っていない特異な娘役。
 が、スキルがないから演じられないというわけではないのが、舞台のすごいところだ。

 可憐なヒロインでしたとも、ロザリア@みなこ。

 主人公のフランシスコ@水くんには、残念ながら感情移入出来なかったのだけど、ロザリアにはOKっす。
 いやあ……アホな男に惚れられて、大変だったね!(笑)

 フランシスコへの想いを断ち切るために、安全牌の当て馬@キングを利用しようとするのは浅はかだが、それもあの時代の女性として自然な選択だったろうし。
 あのまま善良当て馬くんと結婚していても、きっとふつうに幸せな家庭を築いただろう、ちゃんと夫を愛して。

 ロザリアが自分の恋の成就より、いつもフランシスコの無事だとか幸福を願っているのがいい。
 色ボケのフランシスコが、自分の情欲と恋の成就しか考えていないっつーのにね。

 主人公に一目惚れされるところの説得力は、ごめん、あまりないんだが、その後の彼女の行動ゆえに「愛すべき少女」だと思える。
 恋する相手のために尽力し、犠牲を払う覚悟のある女の子だから。

 フリフリドレスの下から垣間見える、意志と決意の深さ、骨太な力強さに、ああ、この子好きだなー、と思える。
 ロザリアの言動はとてもリアルだ。
 記号みたいなヒロインなのに、そこにこれだけ血肉を感じさせるのは、みなこちゃんの持ち味なんだろうな。

 ろくに出番もなかったアニス@『凍てついた明日-ボニー&クライドとの邂逅』を、ヒロインにまで見せてしまった、あの感じ。
 彼女の一代記から、そこだけ切り取ったかのような、濃密な背景感。脚本以上のドラマを持っていると感じさせる芝居をする、主役役者なんだなー。
 それはすごいと思うけど、……でも、ヅカのヒロインにそーゆー部分が必要かというと、ぶっちゃけ首傾げるしな。記号を記号として演じ、華と美貌だけで免罪符もらうのが、タカラヅカの娘役に求められる役割のひとつだから。

 
 反対に、リンダ@かおりちゃんはやっぱり、タカラヅカの娘役であり、ヒロイン役者なんだと思う。
 公爵夫人リンダは、「娘役」ではなく、大人の女役。娘役の範疇を超え、娘役スキルを捨てる覚悟でのぞまないといけない役。

 影の主役ってゆーか、どっから見てもリンダ主役じゃん?な作品だからこそ、かおりちゃんの持つ華やかさと美貌、真ん中オーラが活かされていた。
 すごくかっこいい大人の女っぷりで、「かおりちゃん素敵、よかったー!」と喝采する傍ら、それでもやっぱりこのリンダ役としては、ナニか違ったんじゃないかなという気はする。

 マダム・ヴォルフ@『エリザベート』でも感じたけれど、かおりちゃんってほんと、汚れ役似合わないなー(笑)。
 太陽と月でいえば、なにをやっても基本太陽で、月ではないというか。
 強く、真っ直ぐで、華やか。
 そして、若い。
 学年的に大人の女性を演じておかしくないんだが、そして芝居の出来る人だから十分大人の女性も演じられるんだが、若い女性になってしまい、大人というか、おばさんにはならない。役の年齢がおばさんでも、魂に若さを持った女性になる。
 少女しか演じられないロリータな持ち味というわけではまったくなく、ドラマのヒロインあたりの女の子になってしまう。

 美貌と華と歌唱力があり、ヒロイン系しか似合わない太陽系持ち味……ほんと、ヅカの路線娘役に必要なモノを全部備えているんだけどなー。だからこそかえって、別格スターとしては立ち位置が難しいというか、役を選ぶなあ、と。

 みなこちゃんとかおりちゃんの役が逆だったら、なかなかどーして面白い芝居が見られたんではないかと思う。

 
 ところで、ルーシーちゃんの、最大級の正しい使い方を見たっ!(笑)

 えー、その昔雪組で、『ホップ・スコッチ』という、どーしよーもない駄作があった。
 なにがどうじゃない、ほんとどーしよーもないレベルの哀しみ作品なんだが、この作品の哀しさを確実にひどくする要因のひとつに、「ルーシー」という女の子がいた。
 ただでさえ意味のナイつまらない話なのに、そのつまらない本筋すらをぶった切って、ルーシーという女の子が場面をもらって独壇場。
 ぽかーん……。
 しかもこのルーシーちゃん、感動的なほどに、棒読み。

 ストーリーをぶった切って流れを止めて、ストーリーにまったく無関係なルーシーちゃん。
 棒読み異次元感覚なルーシーちゃん。

 ルーシーちゃんが出てくると、芝居が止まる。空気が止まる。流れが止まる。
 すばらしい破壊力だ、ルーシーちゃん!!

 それ以来、ルーシーちゃんは、ルーシーちゃん。名前はおぼえてなくても、彼女が舞台上で声を発すればわかる、「あ、ルーシーちゃんだ!」
 花組にいたりおんちゃんとか、現花組の姫花ちゃんとかと同じ。とにかく、どんな混雑したモブに混ざっていても、喋ると「あ、りおんちゃんだ」とか「あ、姫花だ」とか一瞬でわかる、そーゆー女の子。
 共通項は、みんなとっても美貌だってこと。そして、どんだけ美貌でも、ここまで芝居がアレだと大きな役はつきにくいということ。

 えー、そのルーシーちゃんもすっかり上級生。てか、雪組では上から数えて数人目の娘役だ。大人の女役が回ってくる……というか、やってもらわなきゃ困る学年になった。
 相変わらず美貌はすばらしいので、あとは芝居をなんとか「ルーシーちゃん」から脱して欲しい……脱することは不可能でも、ちょっとは変化があると助かるな、というルーシーちゃん。
 いやその、何年経ってもルーシーちゃんなところを愛でているんですけどね(笑)。

 今回、そのルーシーちゃんが「ルーシーちゃん」ぶりを、遺憾なく発揮!!

 とことんKYな、美貌なだけの大公妃。
 空気読まずに登場して、空気読まない奇声を発し、周りをしらーっとさせて、でもそんなことすらなにも感じずマイペースに退場する。
 
 うっわー、ルーシーちゃんだ。すげーすげールーシーちゃんぶりだっ。

 杏奈ちゃんの、もっとも正しい使い方っ! 演出家GJ!
 ツボ入りまくりました。

 ルーシーちゃんはルーシーちゃんだからいいんですよ。もうソレは芸風ってやつだから、貫いてくれていいよ。

 ほっこりしました(笑)。
 ストーリーはともかくだ、鉄格子の中の水しぇんは萌える。

 『情熱のバルセロナ』にて、囚人やってるフランシスコ@水が格子窓から外をのぞいているんだが、それがもーすげーかわいい。

 ナニあの飾り窓?!

 飾り窓よねアレ?!
 あの男、売り物よね?!
 それくらい萌えですが?

 『霧のミラノ』のオペラ座を思い出した。
 水くんはせまいところにハマってると、フェロモン量が増えるみたいですな(笑)。

 格子ごとあそこの水くんをまるっといただきたいっす。

 
 そしてなんつっても、エドワルド大公@ハマコ。

 ナニ、あの色男っ。

 最初は、ふーんハマコまた悪役かー。くらいの気持ちで俯瞰していたんだが。
 最後の最後、リンダ@かおりちゃんを奥の部屋へ導くときの徹底した悪っぷりに射抜かれた。
 悪役ではない、「悪」ですよ、悪。

 かかかかっこいい。この根っこのずしんと張った信念がすげえ。

 たかが女ひとりのためにセコいことやってんなあ、大公ともあろう者が、と思っていたけれど、そーゆー感覚は最後で吹っ飛んだ。
 そうか、彼は当たり前のことをしただけなんだ。セコいとかいう次元のことではなく、方法がなんであれ、リンゴが地面に落ちるくらいふつーのことを大した労力も使わずふつーに、命令するだけでやってのけて、欲しかったモノをふつーに手に入れるんだ。

 人情的にいうと彼のやっていることは「悪」だけれど、ほんとのところ彼は「悪」ではない。
 正義の反対は悪ではなく、別の正義。
 大公は、正義を執行したに過ぎない。
 そのことが、最後の表情でわかる。

 かっこいい。本気で色悪なハマコ。こーゆー演技が出来るから、ハマコは好きだ。

 
 ヲヅキに、いったいナニが起こったのか。

 ラモンさん@『バレンシアの熱い花』が登場したのかと思いました、ナニこのワンパタ演出?!
 『バレンシア』でもラモンは2番手の役だか3番手の役だかわかんなかったけど、今回もまた番手制度による半端さを背負った役です、ラファエル@ヲヅキ。

 役としては別にいなくてもいいんだけど、登場だけは派手で華やか。
 物語には不要でも、舞台には必要なミュージカルとしての、動と華を受け持つ。(てなところも、ラモンと同じ)

 なんつー派手で「スター!!」な役なの、ヲヅキさん。
 ロレンツォ@『DAYTIME HUSTLER』以来?!!な、エロエロ・ラテンスタァ!

 ……こまった。
 ロレンツォのときは大爆笑していたのに、たとえシリアスな役でも登場したら爆笑していたのに(ex『さすらいの果てに』)、もうヲヅキに一切ウケられない自分がいる。
 素直に、ときめいている。

 うおおお、かっこいー!! ヲヅキ好きだーっ。

 こんなにこんなにいい男に、エロのしたたる暑苦しい男に成長するなんて……アフロ犬@『スサノオ』新公で途方に暮れていたころからは想像もつきませんよ……ほろり。

 ラファエル自体は、よくわかんない男でしたが。
 一度も絡まないリンダに焦がれてる設定って、どこの『ベルばら』キャラ?みたいな不自然さ。王妃様出てこないけど王妃様王妃様言ってるフェルゼンとかとりまき貴婦人ズとか? その場にいないオスカルの名前呼んで勝手に死ぬアンドレとか?
 ああでも、指輪を返すくだりは好き。男らしいわー。

 ふつーにラファエルを2番手にして、もう少し彼の物語を描き込んで絡ませればよかったのでは? リンダの恋人のルイス伯爵は『ベルばら』でいうルイ16世みたいな「待っているよ」と一歩下がって眺めている人なわけだし。

 
 ルイス伯爵@ゆみこちゃんは、贔屓にやって欲しい系の役ではある。が、贔屓にやって欲しい役と、「タカラヅカの男役2番手スター様」にやって欲しい役はチガウ。
 2番手スター様ならやっぱ、歌とダンスでばばーんと登場して劇場の空気を一変する役をやって欲しい。
 いつの間にか舞台にいました、すごく脇役です、でもじわじわとあとになるほどいい役です、みたいな役ではなくて。

 ヲヅキとゆみこちゃんの持ち味を考えたらこうなったのか?
 たしかにゆみこちゃんは「歌とダンスでばばーんと登場して劇場の空気を一変する」とゆー持ち味ではない。
 地味にいい役を務め、じわじわと追い上げて来る方がらしいっちゃー、らしい。
 でも、できないわけじゃないし? 爆発的な光や瞬発力には欠けても、安定した技術と長年の経験があるからちゃんと任を果たすことはできるはずだ。

 ラファエルがキムなら、キムの得意芸の明るい光と華に役割を譲って、ゆみこちゃんは得意ないぶし銀をやる、というのは不思議でもなんでもない。
 しかしキムは何故か全ツには出演せず、本来の持ち味というほどど真ん中ストレートではないだろう、つかそもそも路線でも番手付きスターでもないヲヅキにわざわざ「歌とダンスでばばーんと登場して劇場の空気を一変する役」をやらせた。

 ルイス伯爵は良い役だ。それは、たしか。ルイスさんを演じるゆみこはたぶん魅力的なんだろう。
 だが、そーゆーこととは別の次元で、配役の奇妙さに思考が引っかかった。

 まるで、ゆみこにラファエルをやらせたくないばかりに、ヲヅキを仮2番手役にして、ルイスに歌1曲付けて仮2番手役にしたみたいだ、と。

 どっちにしろ「仮」が付く2番手クラスの役がふたつ。……治まりが悪いったら。
 役替わりとか番手とかで中途半端になる古い柴田作品のお約束ですか?

 複数回見ればルイスの魅力もわかったんだろうけれど、植爺のルイ16世をイメージさせる妙にゆっくりした枯れた喋り方にびびって、「なんでこんな演技?!」と驚いているうちに終わってしまった。
 ふつーに喋っちゃいかんかったんか……。年配の役だから、懐深い役だから、それを表現している? やってることが毎日手紙書いて返事強要ストーカーで、仕事を女のためにぽいっと捨ててしまうよーな人でも?

 こんだけ疑問持ちながらも「ルイスがいい役」だと思うのは、リピートすればこのテの役がツボに来ることがわかっているためだ。なにしろわたしゃ、鼓より軽い命の男@『天の鼓』に萌えまくった人間なので(笑)。

 ただやっぱり、ルイスを2番手役にするには、もっと改稿するべきだったよ。
 半端な番手役の変更は、作品のパワーバランスを悪くするだけだ。

 
 ……て、わたしはゆみこちゃんが「雪組準トップ」であることは疑っていなかったので、そのうえで「なんでこんな扱いするかな」と割り切れない思いを持って眺めていたわけだが。
 ファンがこの役や作品を好きなら、それでいいんだと思っていた。わたしは水しぇん寄りにしか見られないので、「この水しぇんは好みじゃない」と悲しんでいたのみで。
 や、飾り窓の水しぇんはオイシクいただきましたが!!(笑)
「ひどい話だな(笑)」

 というのが、観劇後の第一声でした。

 雪組全国ツアー公演『情熱のバルセロナ』。おとなしく大阪公演まで待ちに待って、某ゆみこ担の友人と並んで観劇。
 すでに地方追っかけて観劇済みの友人は、わたしの忌憚ない感想を聞いて、「ええ~っ、なんで~~?!」と、異を唱えてました、はい。彼女はこの作品大好きだって。雪担の人が大好きならそれで良かった。

 柴田せんせの古い古い作品の再演シリーズです、はい。
 初演は27年前。わたしももちろん知りません。

 恋は暴走ぶっちぎり、他のことはなにも見えず、自分だけ愛して駆け抜ける人たちの物語。あ、ごめん、自分だけ、てくだり、消しておいて(笑)。
 愛です、愛。愛のため、愛さえあればなんでも許される、誰を傷つけても罪を犯しても、最高の免罪符、愛最高! 愛、愛、愛!

 いやその、とても、タカラヅカらしい作品です。てゆーか、ヅカでなきゃやってらんない話だわ(笑)。

 美少女ロザリア@みなこちゃんに一目惚れしたフランシスコ@水しぇんは、もう自分の恋しか見えない。どさくさまぎれに殺人犯で囚人になっていたんだが、そんな自分の立場も無関係にLOVE一直線、せっかく周囲の人たちががんばって脱獄させてくれたのに、ロザリアに会いたいだけでまた舞い戻っちゃうし。彼を助けるために、ロザリア当人も含めいろいろ尽力してるのに、毎回フランシスコがぶち壊す、愛上等、愛のため。
 全員不幸にして、美しく?エンドマーク。
 

 わたしは純粋な心の持ち主ではないので、愛のためになにやってもヨシ、愛しか見えない!男の子には感情移入できません。
 一時期、こーゆー少女マンガやBLが流行り、「これが純愛ってゆーのか」と閉口した経験もあります。
 「愛する君のために!」と罪のない人を突き飛ばして転ばせて、わたしに会いに来る男を、わたしは嫌いです。「転んだ人を助け起こしてたら、約束に遅れちゃった、ごめん」という人の方が好きです。や、文句は言うだろうけど、遅刻しないでよぷんぷん、と。でも、傷つけることが平気な人より、見過ごせない人の方が絶対好き。
 優柔不断な草食系男子がはびこる昨今、こんだけわき目もふらず暴走できる男が、女性の目に魅力的に映るのは仕方ないかもしれませんが、わたしの好みではない。

 好みの問題なので、こーゆー男や愛し方がツボな人も、きっとたくさんいるんでしょう。

 わたしの好みだと、罪を罪だとわかった上で、苦悩して、それでも罪を犯す、犯さざるを得ないほど愛している、て流れになりますな。
 自分の悪を知りながら、泥の中であがきながらも美しい蓮の花に手を伸ばす……つー感じ?
 人を傷つけてもいい、ただ、傷つけていることを知り、返り血を浴びながら前へ進めと。

 しかしこのフランシスコくんってば、自分がナニをしているのか、まったくわかってませんから。
 アホの子ですから。
 判断力も認識力も反省も、ナニもないっすから。自分が気持ちいいことしか理解できない、自分が不快なことは我慢できない、ただの動物ですから。

 その動物っぷりを愛でるのはアリだろうけど、わたしの好みではないし、少年の暴走ならまだしも、それを水しぇんで見たいかというとかなりつらい……(笑)。

 水くんの芸風は、とにかく「生真面目」だ。コメディやってもアドリブやってもすごく真面目に真剣にやっているのが伝わってくる。勢いとかハッタリで力押しする芸風ぢゃない。
 その生真面目な人に、生真面目に「若さゆえの暴走」を演じられると……うわー。

 この話、野獣系の持ち味の人がやればハマったんだろうなあ。今のトップ陣なら、れおんくんか。のーみそまで筋肉だから仕方ないね、若いからね、一旦アクセル踏んだらブレーキの存在忘れる人だしね、てな演技イメージの彼ならハマリそうだ……。
 水しぇんは超安全運転しかしないだろ……石橋を何度も何度も叩いてからしか渡らないだろ……。

 役者のイメージ、先入観だけの話ではなく、ほんとに舞台から生真面目さは伝わってくるし。
 そうやって伝わる個人の色、芸風があるからこそ、役者個々に魅力があるわけで、作品ごとにまったく個性を殺し別人になる人もそりゃすごいが、スター制度のヅカではそんな人求められないし(そーゆー職人属性の人は、別格向き)、水しぇんはそーゆータイプじゃないし。

 
 水くんのタイプは置くとして。

 アホの子が他人に迷惑を掛けまくる話ではあるが、それでもこの物語は、「まちがっていない」と思う。

 わたしの好みではないというだけで、まちがってはいないので植爺作品のような気持ち悪さはない。

 植爺もさんざん「愛のため、愛さえあればなんでも許される、誰を傷つけても罪を犯しても、最高の免罪符、愛最高! 愛、愛、愛!」をやっている。
 同じことをしても、柴田作品は「酷い話だな」と思いはしても、気持ち悪くはないんだ。

 植爺の場合、「愛があればナニをしてもイイ」と本当に酷いことをして、やっていることはどっから見ても最悪にひとでなしの言動なんだが、それを、世の中の正義とする。
 主人公が愛のために行うアホな行動を肯定するために、世の中の方を曲げてしまう。
 主人公のやることはすべて正しい、と。

 柴田先生に、ソレはないんだなと今回観て思った。
 フランシスコはアホの子だが、誰も彼を正義の人で、彼の行動が正しいとは思っていない。フランシスコ個人は優秀かつ善人だと誉められもするが、今回のアホ行動についてはみんなノーコメント、「口に出したら悪口にしかなんないから、感想言うのは控えよう。それより、自分のやるべきことをやろう」って感じで黙々と動いてますがな(笑)。
 友人がアホなことをしたからって、その友人への好意が消えるわけでなし、今はまず助けなきゃ、みたいな?

 植爺が演出してたら、せっかく脱獄して命拾いしたのに、色ボケして飛び出していくのを「それこそ正義!」と周囲が大絶賛、「若さゆえの暴走」「後先考えない、そのアホさが純粋で感動的」ではなく、「偉人の偉業、この世の唯一の美徳」「それを理解しない者たちは悪!」だと描かれたんだろうなあ。

 柴田せんせはフランシスコの行動を逐一描くけれど、それについての感想は作品内に織り込んでない。どう感じるかは観た人へ委ねてある。
 その突き放し感は、いいと思う。

 ただわたしは、見たくないけどな、こんな話。

「『星影の人』と比べてどっちがマシ? 『バレンシアの熱い花』と比べてどっちがマシ?」
 と、友人から究極の選択を突きつけられたけど、『星影』は水しぇんの幼児プレイと演出の古さがきつかっただけで、主人公自体は別に変じゃなかったからマシかなあ。『バレンシア』は主人公は狂ってるし作品中の正義観も植爺系の狂い方してたしで、あっちの方が見るに耐えなかったかな。
 ちなみに『哀しみのコルドバ』は、主人公が自分の罪を理解した上でそれでもあえて罪を犯すので好みです。

 柴田作品の古すぎる再演は、わたしには鬼門が多すぎる。
 そして、『カサブランカ』千秋楽。

 1ヶ月公演ってほんとうに短い。って、この1年ずっと同じことを言ってきた気がするが、ほんとにどの組のときもそう思うんだもん。めまぐるしく、あっという間に終わっていく。……てゆーか、新公の10日後に楽って、やっぱなんか変な気がする。
 花東宝楽だの『1万人の第九』だのいろいろあって、結局本公演は3回しか観られなかった。でも、新公も行ってるから、結局週1で毎週ムラ通いしてたんだよなあ。(雪バウのためにも行っていたから、週1以上か……)

 『太王四神記』もそうだったけど、小池作品はキャラ萌えできるところがたのしいなあ。いくらでも二次創作OKなところというか。

 ゆーひさんが真ん中であること、その事実に、本人もファンもようやく慣れることができたのかなと、楽のリック@ゆーひくんを見て思った。
 初日のゆーひくんは、「あのゆーひくんが大劇場の真ん中に!」という感動ひとしきりだったが、その真ん中がしっくり来ていたかどうかはまぁそのええっと。

 ゆーひくんは得意なことが少ない人だと思うんだが、かわりに、その得意なことの得意っぷりが半端ナイ。スーツの着こなし、男役としてのヴィジュアル、退廃的な雰囲気、哀愁のある色気っぷり。
 たったひとつの武器を磨いて、成り行きではなく本当に自身の意志と努力で磨いて、ここまでたどり着いた人なんだなと。
 「男役」としての、作り込まれた姿に感動する。恵まれた体格でなんとなくやっているのではなく、すごい意志力で形成されているのだなと。
 覚悟の入りっぷりが芯になって、広大な大劇場の真ん中に立つことができているんだなと。

 
 そして、この公演で「ザ・男役」の萬ケイさんが退団する。

 その昔、わたしがまだヅカヲタとアニヲタの2足のわらじを履いていたころ。
 アニヲタの相方は、どんなに勧めてもヅカにはハマってくれなかったが、唯一オギー作品だけは観てくれた。しかも、バウ限定。本公演はいかにもヅカなショーと2本立てだからダメだった模様。
 そんな相方と、萌えまくった作品がある。
 オギー作『聖者の横顔』。

 東京-大阪で、8時間とかえんえん長電話してたなあ。
 そしてどんだけ大絶賛しただろう、地獄から戻ってきた男@萬ケイさん。

「ナニあの色男!」
「あの男となら心中するって!!」

 それまでわたしは、専科のおじさまのことを好きとか素敵とか、無責任にきゃーきゃー言ってはいたが、真ん中のきれいどころとは区別していたというか、好意は好意でも、恋愛対象ではないよね、というか、そんな感じが無意識にあったのね。
 でもここで、認識がころっと変わる。

 恋愛OKっす、萬ケイさんとなら!!

 野蛮な破滅系色男。つか、ダダ漏れるエロス。
 若造には出せない、危険な魅力、骨太さ。

 以来、萬ケイ様は特別な位置に認知される、わたしのなかで。
 それぞれ魅力的な専科のみなさんのなかでも、色男と言えば萬ケイ様! てな。

 狂喜乱舞したのが、オギーのはじめてのショー作品『パッサージュ』、隻眼のサーカス団長!! 片手に鞭!!
 その後の博多座『凱旋門』でナチス役、萬ケイ様の悪役! 軍服! ドS!

 いやはや。
 萬ケイ様フィーバー止まらず。

 あれはほんと、ついこの間のことのようだ。(年寄りの「ついこの間」は10年単位ですよ)
 そっからはもお、いろんな専科のおじさまにも、新鮮な気持ちでめろめろになりはじめたなあ(笑)。

 その後萬さんの演じたいろーんな役のなかには、精彩を欠くものもあったし「台詞忘れとか、棒立ちとか、すごすぎないか?」と首を傾げる出来のものもあった。
 それでも、彼は、色男だ。
 三枚目を演じてなお、わたしのなかでは燦然たる色男なんだ。

 そしてこの『カサブランカ』。
 サムはむちゃくちゃいい役だが、それでも残念ではあった。
 色男の萬ケイさんが、見られない。
 サムは可愛い、それはたしか、そして萬さんは黒塗り大仏ヘアーでもオトコマエ、それはたしか。
 でもでも、「ザ・男役」のエロい萬さんも見たかったよ……。DS行くお金なかったしさ……しょぼん。つか、DSはDSであって、大劇場本公演とはチガウもんよ。
 それに、今回は1本モノだから、大階段パレードだって役の扮装のまま。つか、黒塗りで袴着るの?!

 そしたら、最後のパレードはひそかにお着替え済みになっていた。
 サムとしての出番は早々に終わるから、時間はあるもんな。

 まさかの、黒燕尾!!

 最後に黒燕尾を見られるなんて。
 黒塗りではなく、ふつうに「タカラヅカ男役」としての、美しい姿。

 すぐに袴に着替えるわけだから、ただこのパレードのためだけに、黒燕尾なんだ。

 …………ありがとう。
 ただ、この言葉だけが浮かんだ。

 ありがとう。
 タカラヅカにいてくれて、男役を見せてくれて、最後にサムを演じてくれていっぱい歌ってくれて、最後の最後に、黒燕尾姿を見せてくれて。

 わたしがヅカファンでいた時間なんか、微々たるモノだ、専科さんのヅカ人生に比べて。
 わたしは萬さんのジェンヌ人生の晩年しか知らないひよっこファンでしかないが、その豊かな大人の姿を見ることが出来て、ほんとうに幸福だった。

 思い出は消えない、萌え心も消えない。
 もうアニヲタを卒業してしまった今でも、変わらずアニヲタな当時の相方(趣味は違っても仲良しですから)と、話題に上ったりする。「地獄から戻った男は良かったよねえええ」「アレは惚れるよねええ」(だから、年寄りの「ついこの間」は10年単位ですってばよ)

 きっと一生、ときめき続ける。
 若かった、幼かった、あのころの自分の心ごと。

(若かったのは精神年齢で、当時もべつにわたしは若くなかったですが、まあソレは置くとして。いつだって過去の自分は今より若いのです、ええ!)

 
 萬ケイさん卒業も感慨深く、切ないモノであるのだが。

 さらにもうひとつ、ギャフンなことがあった。
 宙組さんに詳しくないため、もうひとりの退団する生徒さんのことは、あまりよくわかっていなかった。ぜんぜん知らない名前だったし。
 でも、わたしの知る知らないは関係ない、卒業するジェンヌさんはみんなドラマを背負い、美しく巣立っていく。その姿に心からの拍手をし、そこに感謝と幸福をこめるのが通常。

 が。
 拍手する手が、止まったさ。
 ちょっと待て、あの子、知ってるぞ?

 あわててオペラでガン見。

 新公で、好みの横顔発見! とウハウハしていた子じゃん!!

 …………はううう。(アタマを抱えている)

 卒業しちゃうのかあ。残念だ……。はきはきした挨拶も良かったですよ、まうくん。(あわてて名前を覚えた。遅い)

 ありがとう、しあわせになってください。

 
 宙組公演『カサブランカ』。
 良い公演でした。わくわくとヲトメ心と萌えと感動が詰まっていた。

 これでもお、今年の大劇場公演は終わりなんだ。
 なんて早いんだろう、1年って。

 今年の元旦、この場所で、しいちゃんの鏡割り見てトウコちゃんやタニちゃんの挨拶聞いて、まとぶんの横で大きな羽根を背負っていたゆーひさんを見ていたのにね。
 猫リセットされた……っ!!

 ブログ1日分、消された。
 ぼーぜん。

 マウステーブルに飛び乗り、マウスを蹴落としがてら、てきとーにクリックしやがった。
 すると書きかけの入力画面から、ひとつ前のページに戻った……。

 
 トーコという名前より、「まさお」の方が似合っているんじゃないかと、チェリさんに言われてたうちのギラギラ娘(もう小柄ぢゃないんです、でかいんです。でも小顔でスリムで手足長くて8等身くらいあります)、いろんなものを壊し、落とし、破壊の限りを続けているんだが、さすがに猫リセットには呆然だ……。

 「猫リセット」が通じない世代の人は、ググってください。

            ☆

 で、新人公演『カサブランカ』の話。

 小柳先生の大作省略版新公は、いつもひでー出来なんだが、今回は良かった。
 オープニングの群衆シーンカットは残念だけど、尺的に仕方ないかなと思うし、パリの回想場面全カットは英断だと思う。
 や、主人公たちの出会い場面だし、サムも含めた主要キャラ人間関係描く上で重要だし、セザール@いりすを含めレジスタンス役の男たちのすげーかっこいい見せ場だけど、けど、なくても、話わかるし。
 短縮版で半端に入れるより、「現在の再会」だけに焦点を置いた構成はうまいと思う。
 人間、実際に目にしない方が、美しく深く想像できる場合があるんだし。
 過去をカットしたことで、それを解説する余計な説明台詞を加えたりせず、現在のやりとりだけで過去を想像させるのはイイですよ、ええ。

 このふたりにナニがあったのか。
 と、より集中させる効果がある。

 
 初ヒロインおめでとー!のイルザ@えりちゃん。
 イルザってほんと、難しい役なんだなと、しみじみ。えりちゃんはふつうに実力のある娘さんだと思っているけど、やっぱりイルザがなにを考えているのかわかりにくい。また、あの髪型はつらいなぁ。

 主人公もヒロインも初主演、きっとプレッシャーも大きかったことだろう。それでも破綻なくよく演じてはいたと思う。

 
 とりあえず、りくくんの顔を好みだと思った。

 や、もともと好きな顔で好きな鼻だと幾度となく語ってますが。
 オールバックに前髪一筋ぱらり、な、本役さんに倣った「本気で美形狙ってますヘア」がまた一段とステキなんですよ(笑)。

 つっても、りくくんが本公演で演じているレジスタンスの男との違いが、演技で感じられなかったんだが……わたしが引き寄せて見てしまうからかな。
 代役でヤンを演じたときは、どうだったんだろう?

  
 公演の前半に休演者が出たとき、突然のことなのに、代役が新公キャストじゃなかった。月組でもそうだったけど、まずは同じ役をやる新公キャストで1日しのいで、次から正式な代役が立つ場合が多いのに。
 それは、『カサブランカ』新公では場面自体が存在せず、「同じ役」じゃなかったからなんだ。

 パリ場面がないから、新公でいりすの役をやる雅くんがいりす代役に入れなかったし、最初の群衆場面がないので、新公でカチャの役をやる桜木くんがカチャ代役に入れなかったんだな。
 削られている場面がよりによって、その役のいちばんの見せ場であり、難しい場面なんだもんなあ。

 とゆーことで、セザール役のないいりすの役、空気読めないアメリカ人紳士@雅くんは、ステキにかわいいおじさまでした(笑)。や、いいよねあの役。色男なセザール役も、見てみたかったけどなー。

 ヤン@桜木くんは、えーと、……太った? 記憶にある顔と、フェイスラインがちがってるんですが……特に横顔のアゴのラインにおどろきました。
 正味「少年」だよね、既婚者には見えん……研1だから、当然か。

 ヤンを支えることになるアニーナ@れーれは……ええっと……WSヒロイン経験者なわりに、いろいろいろいろ、大変そうだ。がんばれー。

 えりちゃんにしろ、れーれにしろ、『逆転裁判』はあんなに素敵だったわけだから、やっぱ正統派のスーツ芝居は大変なんだなあ。

 
 副組長役のせーこちゃんは、やっぱ華のある人だなと。
 どーんという押し出しの良さ。安定した歌唱力。
 徒っぽい役が似合うし、そこにちょっと少女っぽい表情を浮かべるときがあるのが、不意打ちでかわいい(笑)。

 新公はいろんな名もなき役の性別が変わり、女性役が増えていたような?
 で、りりこちゃんは歌声もだが、その体格ででもよく目立つ……。
 そーいや文化祭で横幅の立派さにびっくりした素晴らしい声の歌姫がいたよな……彼女の本名がりりこだったよーな……そうか、そうだったのか……。

 
 そして新公でモブだの脇だのを眺める際、世間一般的な意味での美形よりも、自分の好みの顔を探している、今日このごろ。

 わたしは、鼻の大きさ、長さ、カタチにこだわるため、顔を鼻を中心にふたつに分けたとき、鼻がでかいか長いゆえに、そっから上がどーんと長い顔が好みです。あと、口は大きい方がいい。受け口とかタラコ唇も好物です。
 正面顔より、横顔のラインにときめきます(笑)。大きな鼻を中心にした弓なりの横顔がいいのー。
 それにしてもわたし、目のカタチや大きさは、まったく気にしてないな。

 つーことで、顔の上下比と横顔センサーで見知らぬ新人くんは区別していっている(笑)。
 好みの横顔の子って、意外に少ないんだこれが。

 で、エミール役の子がなかなかどーしていい横顔をしていた。
 エミールくんはもともと横顔しか見えないくらい、「横顔勝負」の役。まあ、こんなにきれいな横顔の子だから、この役なのかしら、と喜んだぞ(笑)。
 リック@カチャにお金を出してもらいに来るときにはじめて、よーやく横顔以外も見ることが出来たんだが……横顔の方がいいな(笑)。

 でも好みのプロフィールを発見できて嬉しい。顔はおぼえたわ、名前は未チェックだけど♪ (……で、そのあと「ギャフン!」となるわけだな)

 サッシャ@あっきーも、鼻はわりといいんだけどなあ。本公演の鼻しか見えない帽子姿とか、「いい鼻だ」と思って見てるんだが、今のところどこかチガウんだなー。好みセンサーが反応しない。
 前回の新公では勝手にホモにしちゃってごめんね(笑)。でも今回は男にチューする役だね(笑)。

 
 1幕2幕を通して、抜粋場面だけで形成された新人公演。群衆場面はカットされまくりだけど、「我々は生きている♪」と国歌合戦はあるので、宙組コーラスのすごさを体感。
 下級生ばっかの新公でも、やたらすごいんだよコーラス。さすがは宙組。

 1幕と2幕はそのまま暗転でつないである。1幕最後のリックの銀橋ソロは、ほんとーに、リックひとり。本公演は本舞台に主要キャラ全員登場でストップ・モーションしてたり、したのに。

 でも、違和感なし。
 むしろ、暗転の長さに、違和感あり。

 暗転、長っ。

 次の場面は地下水道の「我々は生きている♪」なので、セット替えに時間を食って暗転が長引いたのではないだろう。
 演出効果として、わざと時間を取ってあるんだと思う。

 わたし、小柳先生の暗転好き、好きぢゃないなー(笑)。

 『アメリカン・パイ』なんか数分おきに暗転で、暗転の多い芝居というより、暗転の合間に芝居をしているみたいだったもの。

 暗転ナシで前景に重ねるぐらいの勢いで、次の場面につながる方が好みだ。
 小柳タンの暗転っぷりは、まるで外部の芝居みたいだよ……空気を切らずに場面転換してほしい、小池の弟子なのにー。

 
 さあ、今度は猫リセットされないウチに、アップしよう。(猫は今、パソコンラックのてっぺんで熟睡中)
 ひそかにイヴォンヌ@せーこが好きだな、『カサブランカ』

 短い出番で、ちゃんとドラマがある役っていいよなー。

 リック@ゆーひに惚れて飲んだくれて騒いでるところはただのバカ女だし、またナチスに尻尾振ってる自棄っぱちなところもアホな尻軽女っぽいのだけど。

 国歌合戦から、彼女の「フランス万歳!」までがすごく好き。
 挫折から再生へ。そのコントラストを、せーこちゃんが力強く骨太に演じているなと。……や、女の子への表現ぢゃないですがコレ(笑)。

 正直、イヴォンヌのどこがいいの? と思うわけですよ、サッシャ@みーちゃん。最初見ているあたりは。
 こんなのただの迷惑なバカ女じゃん? 顔だけ? でもせーこちゃん、女の子にしてはゴツいから、ビジュアルだけで惚れられる対象かどうか、設定はともかく見た目ではよくわかんなくて。(すまん)
 サッシャ女の趣味悪いなーってゆーか、リックの女だったから好きになっただけぢゃあ、とか、腐った邪推をしてみたりなんだりしそーになったんだが、なるほど、こーゆー女の子なら、サッシャが惚れるのもアリか、と思う。

 感情だけで突っ走り、みっともないところもさんざん見せるけれど、ほんとにまっすぐな子なんだなと。

 ツンツンしながらも、ほんとのとこはやさしくされたいと思っていそーな、弱くてずるい「オンナノコ」な部分を、ぜひサッシャに受け止め、支えて欲しいと思うナリ。

 
 アニーナ@アリスちゃんはやっぱ、ヒロインっぽい子だと思う。
 ドラマが見えるのは、この子も同じ。うまいよねー。

 ただ、ヤン@カチャとは夫婦というより姉弟に見えて、弟のために姉がカラダを売ろうとしているよーに見えて、血縁設定ならバランスいいんだけど、恋愛設定ではちょっと難しいかなあという感じ。
 ヤンが世間知らずのおぼっちゃまに見える演出だから、余計にそうなのかも。

 夫婦、という言葉がしっくり来ないのは、ふたりそろってほんとに若く見えるからだなあ。
 ビザと引き換えにアニーナを口説くルノー@みっちゃんが、ロリコンに見えるもの。女子高生と援交オヤジ……。

 
 つか、マジで女の子の役、少ないなこの芝居……。

 
 おっさんばかり活躍しているこまった作品(笑)だが、またしても話をおっさんに戻そう。

 ときいり萌え。

 セザール@いりすと、カーティス夫@いりす。
 このふたつの役のいりすくんがもお、すげー好きだっ。

 深刻ドラマティックな世界で、ひとり空気読めてない、のんきなおじさん。
 財布スられても気づかない、ホテルに忘れてきたと本気で思ってる、その平和ボケした姿、危機感のなさ。

 それだけで十分ハァハァできる素敵さだったんだけど。

 隻眼男セザールの壮絶な色気は、ナニゴト?!

 びびびびっくりしたー。
 誰ですかあの人、あんな色男いましたか?
 いりすなのにー、トーク番組でぼけほけぽやぽやを披露しまくってるまさこちゃんなのにー。

 あまりにかっこよくって、ハート型した心臓がどっきんと飛び出ましたよあたしゃ(笑)。

 しかも、リックといろいろいろいろもつれていた過去がありそうだし。
 で、出てくるなりリック口説いて、振られてるし。

 かっこいいなー、ときいり。
 色男だなー、ときいり。

 ワイルドないりすさんって、こんなにかっこいいのか……。滑舌良くないんだけど、雰囲気に合ってるからいいわー。

 と、ものすごーくハァハァさせてくれたあとで、のんきなカーティスおぢさんに戻って、再登場するし。
 踊り子さんに鼻の下延ばしたりしてるとこがもお、素敵すぎるっ。さらに、奥さんに首根っこ掴まれてる感じがもお、素敵すぎるっ。

 イイ。
 このギャップ、イイよ、最高だよ!! GJ!


 しかしおっさんどもは、どーしてどいつもこいつもリックを好きなんだろう?(笑)

 ウガーテ@タマちゃんは面と向かって告ってるし、ジャン@すずはるきだって、リック好きだよねえ。
 ジャンがリックに言う、「冷たいぜ、俺のときは助けろよ!」がすごくツボです。あれって告白だよね。ねっ?(笑)

 サム@萬ケイさんはもちろん、フェラーリ@ソルーナさんにしろ、カール@すっしーにしろ……みんなリックリック。

 まあ、リックをいちばん愛してるのは、ルノーだと思うけどな。

 
 それまではリックがカサブランカの女王様(笑)だったけど、そこに「世界的アイドル・スタァ」のラズロ@らんとむがやってきた!
 さあ、2大アイドル激突だ、オトコは競ってこそ華、負けて落ちれば泥、浮動票はどちらに流れる?(違います)

 大スター・ラズロに一方的に焦がれていた、一途なファン、バーガー@大ちゃん。
 新聞記事だけで恋できるって、それでこそファンの鏡。

 いやはや、このバーガーくんがすごーく美形でねえ。今まで大ちゃんってわりと、美貌の無駄遣いしてた節があるんだけど、今回は正しく遣ってるわ。
 世界のスーパースター・らんとむさんにかしずくならば、やはりここは美形の大ちゃんストイック・バージョンですよ!!(役名で言いましょう)

 しかし、この髪型するとすごーくテルに似てるなあ……。ロジャー@『マリポーサの花』っぽいってゆーか。

 おっさんばかりが活躍する中、美形若者のバーガーくんがんばれ。若いファンなんて金も権力もなくて、スター様は振り向いてくれないかもしれないけど(笑)、それでもがんばれ、君には明日があるさ!(ラズ郎、さっさとカサブランカ出て行っちゃうけどな・笑)

 
 おっさんと若者、と言えば。

 『カサブランカ』初日観劇後、いつもの店で集まったときに「それでフィナーレはどうだったの?」という話になった。

 やっぱり幕が下りるなり、下手セリかららんとむさんがせり上がってきて、銀橋をひとり主題歌をあはんあはん歌って渡ったの?

 いやそれが、イケコもさすがにワンパタだと気づいたのか(遅せぇよ)、銀橋主題歌はみー・大・カチャの若手トリオだったの。
 それからロケットになって……ああ、アレだ、『太王四神記』と同じ、花組の方。

 これだけで通じた。

「花組の方? 星組じゃなくて? じゃあ、年長者たち出番なかったんだ?」

 そうなのよー。
 若者たちはふたつある男役群舞の両方に出るのに、でもって2番手まではセンターでオイシイんだけど、3、4、5は最後しか出番がないの。
 星組版で、全員どっちにも出られるって構成的にOKだってわかってしまっただけに、「ひどい、なんで花組は年長者差別されてるのっ?!」と哀しくなった、アレを再び、やってます。

 『エリザベート』と同じフィナーレはまずい、と13年掛けてよーやく気が付いたイケコだが、『太王四神記』花組版のスター使いはファンに歓迎されないってことを、いつ気づいてくれるかなっ。
 日々記憶は遠くなる。
 哀しいことに。

 さて、今ごろですが、『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』『EXCITER!!』東宝楽のまっつまっつです。

 『ベルばら』アレルギーゆえ、観劇はずっと控えてきたけれど、さすがに楽はおとなしく鑑賞いたしました。

 黒い騎士@まっつはムラ初日とその周辺では、えらく気合いの入った力強い声で「フッ」だの「ハッ」だのやって、「引け!」と美声を張り上げていたんですが、ムラ楽でかなり抑えた発声になっておりました。
 東宝楽でも同じく、掛け声も「引け!」も静かだった。……やっぱ、やりすぎだったんだな(笑)、最初の方のアレって。

 革命場面のベルナール@まっつの、最後のアンドレ@まとぶを看取る表情は、「静かな悲しみ」バージョンでした。

 なんつーかまっつって、「千秋楽だからここぞとばかりにやりすぎる」のではなく、「千秋楽だから基本に忠実になる」人だと思う。

 開演前にまっつメイトと話していたんだけど、「まっつってナニかやってくると思う?」「思いません、きっとなーんにもしないと思う」と頷き合ってしまった。

 や、『EXCITER!!』で上手端で壮くんの横に立っているとき、かなりオイシイことになっている場合もあると、友人から聞いていたので。
 友人が目撃したときは、いつもは壮くんに椅子を勧めるところでまっつがちゃっかり自分で坐ってしまい、椅子を取られた壮くんが後ろからまっつをかまいまくる……という。
 話を聞くだけで「どこのBL?!」な画面になっていた模様。

 でもそれって、まっつから仕掛けないとあり得ない構図じゃん? 先に椅子に坐っちゃうという。
 千秋楽にまっつがそんなことすると思う? しないよ、あの人はしない、そーゆーことをする人じゃない。

 きっと、いちばん基本に忠実で、地味でおもしろくないことになるよ。

 と、友人と一緒に予想していたら、ほんとにその通りだった(笑)。

 『EXCITER!!』のフリースペースにて、壮くんとも誰とも絡まず、ずーっとひとりで突っ立ってた。
 てゆーか、舞台中央ガン見してた。「このかっこいいゆうさんを見られるのは今日で最後!」と言わんばかりに。……や、稽古場でいくらでも見ていただろうに、そもそもアンタら同僚だからそんなに特別な相手とチガウやん! と突っ込みたくなるくらい、舞台ばっか見てた(笑)。

 そういやこの黒タキ場面、ムラとは違い、壮くんの椅子が客席側を向いて置かれていた。照明もなんか明るくなっているような?
 話を聞くと、東宝がはじまって半ばくらいに、椅子の位置が変更になったという。
 ファンが舞台端の壮くんやらまっつやらに注目しているということに、演出家が気づいたということか。
「ファンが見ているとわかって演出されてしまうと、なんかチガウんですよねー」
 とまっつメイトが言っていたことに、力一杯うなずく。うん、あの端っこの暗いスペースで、自由にゆるく(笑)ふるまっているまっつとえりたんが良かったんだよねえ。

 千秋楽だからこそ、さらに地味になるまっつ。
 ……というのは、正直つまんない。楽ってのはとびきりはじけていいもんなのに。
 ……というのが、正直萌えだったりする。なんてまっつらしいのかしら、と。ほんとに、ファンってのはどーしよーもないな(笑)。

  
 そーいや「美の革命」……天才デザイナー場面の銀橋登場って、カップルによって照明チガウんだ? てことに、東宝楽にしてはじめて気づいた。

 照明の、点く位置がチガウ。

 チャールストンの男@まっつは、上手花道に登場したところからライトをもらっている。
 スカシきって恋人のきらりちゃんを呼ぶところから、ちゃんとライトがあたってるのね。

 でも他のカップルは銀橋に来てはじめてライトだったりして、カップルのキャラクタと物語によって登場タイミングが違っているんだ。

 まっつときらりが、花道から物語スタートでラッキー(はぁと)。
 あの上から目線でカノジョを呼ぶまっつ、ダイスキだもんよー。Sっぽいのに、あちこちカノジョに負けてタジタジになってるところがイイ、すげーまっつアテ書きだと思う(笑)。
 そのキャラクタが良く出ている演出だもの、花道のまっつ。そこからライトもらってて、良かった。

 
 ハバナのまっつは、いつもより重かったと思う。ダンスがではなく、キャラ的に。
 シリアス度が高いというか、暗いというか(笑)。
 ファヌン様降臨後、盆が回って舞台中央にしか光がないときの、まっつの暗さときたら。
 すごい重さで沈み込んでるんですけど。
 いやその、すごいかっこいいんですけど。
 やっぱシリアス似合うわー、重くて暗いの似合うわー。
 ライト当たってないから、ほぼシルエットしか見えないんだけど(笑)。沈み込むまっつに巻き込まれて、こっちまで重くなっちゃったよ。
 まっつが暗い分、ステージ中央の光、退団者がわきあがるよーに踊るところとか、まぶしくて泣けるしね。

 ステージが明るくなり、みんなが微笑み合うところはちゃんと笑ってるんだけど、そのあとの解放のダンスでも、ちょっとキャラが重いまま。
 最後の方まで、あのはじけた笑顔がナイし。このまま全開の笑顔ナシかと思ったら、ほんとに最後の方でよーやくパペットみたいなあの笑い方をしていた。
 ……ほっとした。なんか。
 その、重いままで終わられると、悪い方に考えちゃうよ?(笑) いやそのいろいろ。

 
 退団者挨拶では、やはり、固まったまま、泣いていた。

 表情変わらない……動かない……(笑)。
 でも、ときおりささっと目元をぬぐっている。

 固まって泣いてるのに、マメの挨拶ではぶはっと吹き出して、涙飛んでるし(笑)。
 泣き笑いの勢いで、どさくさにまぎれて自分の顔いっぱい触って、整えてるし。クールビューティも大変だな。

 自分のことでは泣かないのにねえ。
 初主演でものすげー重責だったろう『宝塚巴里祭2009』千秋楽でも、涙のカケラもなく幕を下ろしていたのに。
 退団者のいる千秋楽のたびに、ふつーに泣いたり涙ぐんだりしてるし。

 ままならない人だな。
 普段より千秋楽に地味になる、そんな芸風も含めて。

 愛しい人だ(笑)。
 よく聞かれるけど、『1万人の第九』のテレビ放送は、12月23日の昼間です。キー局が大阪のMBSなので、TBS系で全国ネット、のはず。
 毎年12月最初の土日にリハと本番、23日がテレビ放送。これは決まりごとらしく、確かめるまでもなく11年間同じパターン。

 テレビ放送はもう何年も見たことナイ(笑)。や、見たくないわけではなくて、正直忘れてる。気が付いたら、終わってるんだもんよ。
 『1万人の第九』コンサート自体を放送するのではなく、あくまでダイジェスト+ゲストに重きを置いた舞台裏とかのドキュメント風になっている。コンサート全部放送したら、1時間枠では無理だもん、「第九」だけでCM抜きで1時間超えるっつーの。
 コンサート中継はDVD販売しているから、そっちで見てね、ってことで、テレビ放送は別物と考えるべき。
 ちなみに、DVDは買ったことナイので、ほんとに出演はしても映像はろくに見たことがない……(笑)。

 あ、それと、『1万人の第九』参加者募集は毎年6月で、レッスン会場は大阪が中心だけど、東京クラスもあるよー。抽選なんで、参加できるかどうかは時の運だけどな。
 参加費は6000円、12回(経験者は6回)もレッスンしてもらって、コンサートを聴けて、参加できて、この価格はアリエナイ安さ。カルチャースクールの価格を思えば、サントリーが広告活動でやってるからこの価格であのレベルのイベントができるんだなと思う。レッスンに参加するとわかるけど、先生たちの情熱もすごいよ。本気で第九を愛し、「1万人の第九」を作り上げようとしている。

 大人が時間捻出してレッスンに通うのは大変だけど、それを超えた感動が得られるよ。
 と、宣伝してみる(笑)。

 
 コンサートは、2部構成。
 1部がゲストを交えての、ふつーのコンサート。基本わたしたち「1万人の合唱団」もお客さん感覚で自分の座席で聴いている。
 2部がまるまる「第九」。長い曲だから、ソレだけではじまり終わる。

 今年の『10000人の第9 歌のある星へ』のゲストは、槇原敬之。
 1部はあり得ないほどの盛り上がりで、カオスでフリーダムなまま終了。

 2部構成のイベントで、1部のラストが盛り上がりすぎてカーテンコールおさまらないとか、ふつーナイから!

 あんまり盛り上がりすぎて、「え、まだ第2部あるの?」とゆー雰囲気に。

 お祭り騒ぎで大興奮!の1部、幕間休憩を経て、次にステージがはじまるときには、空気が、変わっている。

 この変わりっぷりがすごい。

 お笑いとお祭りに徹していた佐渡先生のまとう空気も、まったくチガウ。

 なんのトークもなく説明もなく、いきなり、はじまる。
 司会者の小倉智昭氏もステージにいない。演奏者だけの舞台。

 ……ここまで「変わる」コンサートも、めずらしいんじゃないだろうか。
 1部と2部の別物っぷりが半端ナイ。
 特に今年はもお。
 1部のぶっ飛び方がものすごかったから、こんなにこんなに「祭りだわっしょい」をやって、みんな立ち上がって大騒ぎで、歓声と拍手で盛大にカオスだった直後に、同じステージで、ここまで厳粛になるっつーのは。

 どちらも、「音楽」なんだ。

 わたしたち、人間の作る、人間の愛する、「音楽」というものなんだ。
 なんて広いんだろう。なんて奥が深いんだろう。

 「音楽」って。

 両手を打ち鳴らし、カラダを動かしながらきゃーきゃーに参加するのも「音楽」ならば、厳粛に緊張感を持って参加するのも「音楽」なんだ。

 そして、それを同時に体験できる、『1万人の第九』。

 おもしろいなあ。
 『1万人の第九』って、おもしろい。

 例年にない、ぞくぞくした感じが、あった。
 自分が今、すごい場所にいるんだと思った。

 「第九」という音楽の力。
 それを奏でる人々の力、指揮する人の力、聴き入る人々の集中力……すべてのものが、ひとつの場所に集約する感覚。

 ベクトルが、ひとつになる。

 ばらばらであるはずのものが、今このときだけ、たしかにひとつになる……その、感覚。
 肌にぴりぴり感じる、不思議さ。興奮。

 広大な大阪城ホール内部の空気が、「気」が、濃縮され圧縮され、なんかチガウものに変換されていく。

 そしてソレが、解き放たれる。

 ぎりぎりまで引き絞った矢が、放たれるみたいに。ぱんぱんの水風船が、はち切れるみたいに、
 大きさは変わっても質量は変わっていない、小さく小さく凝縮した分、濃く濃くなったナニかが、一気に爆発する。

 合唱となって。

 「声」があって良かった。
 「楽器」を持って生まれてきて良かった。

 オーケストラの奏でる音と共に、自分自身の声という楽器で、共に奏でることが出来て、良かった。

 内側からわきあがる不思議な力に押されて、外側からわきあがり続ける頼もしい力と手を取り合って、ただ、歌う。

 歌う。
 喜びの歌。
 歓喜の歌。

 細胞のひとつひとつまでもが、うわーーっと声を出している。

 …………いやあ。
 脳内麻薬出まくってんじゃないの、あの空間。あそこにいた人々。

 テンション、熱気、なんかもお例年にない温度で、皮膚感で、曲はフィニッシュを迎える。

 ブラボー!を叫ぶ人たち、拍手と歓声と。
 てゆーか、なんかみんな興奮状態で。なんかハイになってて。
 歌い終わった瞬間、声出てんじゃん、叫ばないだけで。

 すごいことになってるな今年の『第九』。

 
 心からもお、ひたすら、おもしろかった。

 人間ってすごい。
 音楽ってすごい。

 生きるって、おもしろいよ。

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