『再会』という、ものすげー話がある。

 売れない小説家ジェラール@れおんは、親からの仕送りゆえに女の子たちにちやほやされている男。……それってプレイボーイっていうの? 単に金目当ての女たちに食い物にされているバカ男でしかないんじゃないの? と、設定からつまずくが、大富豪の父親から「結婚して家を継がないと、仕送りは中止する」と通告される。
 女たちにも親友にも借金まみれのジェラールは、仕方なく一旦実家へ帰ることになった。……仕送り受けててなお借金まみれ、周囲の人全員に金銭がらみでしか関係を築けていないって、どんだけ最低男なの? と、設定からつまずくが、とりあえず舞台は彼の故郷、モナコへ。

 大ホテルの経営者である父の跡を継ぐ気になったジェラール。後妻の連れ子である弟に、後継者を譲るのは嫌だ、というだけの理由。……単に金目当て。
 小説家になる夢とかホテル経営への意識とかなにもなく、ただ「義弟に財産を持って行かれるのは嫌だ」「金がない人生は嫌だ」というだけ。そんな男が主人公って……と、設定からつまずくが、とにかく金目当てのジェラールは、父の出す試練を受けることになった。

 この試練がすごい。「サンドリーヌという女性を騙し、心もカラダも弄び、その後捨てる。その様子を小説にする」……いくらなんでもこれはないやろ。ひどすぎるやろ。人間としてありえないやろ。
 「経営者は時に非情になることが必要」だからこんな条件なんだと父は言うが、「経営者として非情になること」が、なにゆえに「なんの罪もない女性を騙して弄んで捨てること」なのか。経営者としての非情さなら、仕事関係で非情さを試せばいい。仕事で非情になるのは生きる上で仕方ないこともあるが、わざわざ女性を騙して捨てることは必要性がまったくない。性別に関係なく、そんな事態とは一生無縁な人がほとんどのはずだ。
 結婚詐欺師になる試練ならともかく、ホテル経営者となんの関係があるのか。と、設定からつまずくが、自分の欲のためだけに、ジェラールはこの条件を承諾。えええ、引き受けるってどんだけ最低なの、人間やめろ! この親にしてこの息子あり! と設定からつまずくがとにかくジェラールはサンドリーヌ@ねねちゃんを騙すために近づき、偽りの恋を仕掛ける。

 ところでこの物語は「コメディ」で、「笑い」部分の大半は、「女を騙してえっちする」ことに関する笑いと、ヒロイン・サンドリーヌの外見を笑うことにある。
 サンドリーヌは外見も性格も「男性から見た女性的な魅力」に乏しい女性で、外見さえまともになれば他に問題ないという描かれ方をしている。滑稽な言動も彼女が不細工な格好をしているときのみで、美しいドレス姿になれば立ち姿からして別人で、そこには性格的な問題もなくなり、笑い要素はほとんどなくなる。外見がすべて。女は所詮カオとカラダ。ブスは笑いものにしてヨシ。少年マンガでもよくある描かれ方。

 服と化粧を整えたサンドリーヌは美しい女性で、ジェラールは彼女に惹かれていく。
 外見さえまともになれば他に問題ない、むしろあの外見だったから男に相手にさせず、清純無垢だと良い方向へ考えられるよーになった。
 そーやって男にとってのマイナスがプラスになったあとで、彼女が不倫・同棲歴有りの「ふしだらな女」だとわかる。

 それでも彼女を悪く思えないと驚くジェラールは、自分は金で女を買う生活(前述の「金の切れ目が縁の切れ目」でしかない女性関係)だったくせに、恋愛感情ゆえにしていた不倫のことは「ふしだら」で「怒ったり責めたりして当然の犯罪」だと思っていることが判明。どの面下げてソレを言うのかと設定からつまずくが、あくまでも悪人はサンドリーヌでジェラールは「彼女の悪を知ってもキライになれない」と善人ぶる。
 
 サンドリーヌに惹かれているジェラールは、父の命令で「えっちしてから捨てろ」を実行できずにもたもたしているが、なにしろ不倫経験有りで「ふしだら」なサンドリーヌは行動的だ。さあ、これからえっちするわよ、とホテルの部屋で意思表示。
 女が処女でないことは罪だから責めていいが、ソレとは別腹、えっちに貪欲で積極的な女を、男は大好きだ。『青い鳥を捜して』で自分から宣言してベッドで脱ぐヒロインをわざわざ描く作家ですから、この「女が自分から」つーのが萌えポイントなんだろう。
 で、女から意思表示させておきながら、それを受け入れておきながら、ジェラールはひとりで先に眠ってしまう……のはよくわからない。サンドリーヌが一服もったのかもしれないが、作品中で名言はされない。

 サンドリーヌは作家志望の貧しい女の子で、ジェラール父に雇われていた。ジェラールに恋を仕掛けて捨てる役だったのだ。
 ……それはいいんだが問題は、ジェラールの親友たちもグルだったということだ。ナニも知らないのはジェラールのみ。だって彼にあるのは父親の金だけ、彼の周囲は金目当ての人間しかいない。親友たちも金のために平気でジェラールを騙して高みの見物でニラニラしていた……ってどうなのよ、そんな主人公、そんな親友、という設定からつまずくが、なにしろこれは「コメディ」なのでかまわないらしい。

 ひとりだけナニも知らないジェラールは父の財産も得られずひとり都会でびんぼー生活。みじめに太鼓持ち人生。
 そこへ羽振りの良くなった親友たち登場、ジェラールに種明かしをする。
 「すべてお前のためにしたことだから」と騙していたことを正当化、金で雇われ金のために親友を騙し、金を儲けてウハウハ笑う親友は、「小説が売れて金持ちになったんだから許してくれるよな」と金がすべての世界観を語る。……もし小説が売れなかったら、友情を金で売っただけで終わっていたんだが、そんなことはまったく気にしていない。
 またジェラールも、自分が騙されて書いた小説がベストセラーになったと知り、ころりと全部肯定する。もともとその程度の人間関係、それしかない人格、傷つくこともない……って、どんだけ最低な人しかいないの、と設定からつまずくが、「ボクたち親友! ルルル♪ラララ♪」と割れ鍋に綴じ蓋、最低人間ばかり平和につるんでモナコへ。

 すべては父の策略で、ジェラールとサンドリーヌがデート中に感銘を受けた出来事はヤラセだったと判明。最低男の最低物語の中の、わずかばかりの「ちょっといい話」もただの嘘、じゃあマジでただ最低なだけでナニも残らないけどいいのソレで?! と、設定からつまずくが、「どんでん返し、すごいだろー(笑)」「すごいなあ、イシダせんせってばストーリーテラー♪」な盛り上がりを見せる舞台上。
 騙されて書いた、その騙されっぷりを本人以外が書いた(1冊の本になるようまとめたのは別人、ジェラールはラストまで書いていない)、しかも共著でひとつの出来事をふたりの作家が書いているという小説がベストセラーになったからといって「オレって大作家! ホテル経営者にはならないよ、小説で食べていくから」と言い切るアホさはどうなの、アンタの実力でも実績でもなんでもないやん……と設定からつまずくが、ジェラールは夢を叶えて実は善人の後妻と義弟に家督を譲って家庭円満。

 そこへサンドリーヌ登場。実は彼女は貧しい卑しい生まれの娘ではなく、大富豪の姫君だった!! ……貧しいから金のために泣く泣く、ではなく、お金なんかいくらでもあるのにわざわざ悪事に手を染めたの?! と、設定からつまずくが、「どんでん返し、すごいだろー(笑)」「すごいなあ、イシダせんせってばストーリーテラー♪」な盛り上がりを見せる舞台上。
 サンドリーヌは「金のために女を抱いて捨てようとしている男を騙す」ことがミッションだったが、ジェラールは「なんの罪もない女を弄んで捨てる」ことがミッションだった。ふたりのやったことは同じように「金のために相手を騙す」ことだが、罪の重さがチガウ、つーか倫理的にちがいすぎる。なのに罪を責めるのはジェラールのみ、悪人はサンドリーヌ。
 しかもサンドリーヌは不倫歴ありの「ふしだら」な女だ。大悪人だ。こんな女を、男はいくらでもなじっていい、責めていい。女も、悪いのは自分だけだと思っている。

 傷物で嘘つきな大悪人だけど、寛大な男はそんな女を許して結婚してやることにした!! ジェラール人格者! 赦してもらってよかったねサンドリーヌ!!
 とゆーことで、ハッピーエンド!!

 ……とゆーオチに設定からつまずくんだが、さらに駄目押しが付け加えられる。

 ご丁寧に、「金の切れ目が縁の切れ目」だった相手をラストに再登場させ、「主人公が金持ちになったから態度を豹変、媚びへつらう」ところを「コメディ」として描く。ことさら滑稽に描き、笑わせる。
 金がないときは強者に媚びへつらっていた主人公が、いざ上の立場になると豹変、弱い立場の者を足蹴にする様、をまた「コメディ」として描く。笑わせる。
 どんだけ最低なん?!! と、また絶句させて幕。
 

 ……というなにもかもがすごすぎる話なんだが、ナニより怖いのは、この物語が、「かわいらしい、罪のないラブコメディ」だと世間的に認識されていることだ。
 まともな人間は誰ひとり出てこないし、愛も誠実さもどこにもなく、あるのは金と権力への執着、すり寄りと媚びへつらい、騙して平気、傷つけて平気、徹底した男尊女卑、他人を傷つけ虐める様を笑う価値観。
 これが「かわいらしいラブコメ」で、何度も再演される「名作」なのだ。

 この事実が、いちばんこわい。
 「宝塚歌劇団」に絶望する要因のひとつだ。
 『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』をキライだと書いた。
 好き嫌い以前に許容できない、見ることすら出来ない、自分の中から抹消するとまで書いた。

 だけど結局のところ、ベルナール@まっつ単体は、めちゃくちゃ好きだったりする。

 なんつー言動不一致。ダブルスタンダード。
 作品がどうの演出がどうのと語る資格ナシ。

 しかもベルナールを好きな理由っつーのがね、ただもお単純に、「カッコイイ」から、だけなのだわ。

 なんつーアタマ悪い理由。恥ずかしい理由。
 脚本がどうのテーマがどうのと語る資格ナシ。

 どんな作品だろうとどんな扱いのどんな役だろうと、ただたんに「**ちゃんが出てるから名作(はぁと)」「他の組? くだらないのわかってるから見ないわ、だって**ちゃんが出ていないもの」とのたまうある意味ヅカファンの究極のカタチ!
 あああ、わたしもまた、紛うことなきそーゆーヅカファンのひとりなのだわ!!
 だってあれほど大嫌いな植爺『ベルばら』なのに、おかまいなしにまっつまっつなんだもの! アンタよーするにまっつさえ出てればそれでいいんじゃん、今後作品がどうのとえらそーに語るなよ、てなもんですよ。

 いっそ「まっつがカッコイイから名作(はぁと)」と言い切る方が潔いですよ。
 作品を完全否定しながら、ご贔屓だけ肯定するなんて、卑怯すぎる。

 自分でもひでーなーと思うし、かっこわるいし恥ずかしいし、間違ってると思いますよ。

 しかし、事実なのだ。

 ベルナール@まっつは、カッコイイ。

 ……たぶんねえ、台詞がナイのが、幸いしているんですよ。
 植爺の『ベルばら』は、ほんっとにわたし、心から大嫌いで。原作レイプの気の狂ったよーな台詞を聞いていると、「うき~~っ!!」となるんですよ。
 その台詞はそーゆー意味で書かれたんじゃない、そんな場面で使われたんじゃない、何故原作の台詞をそのまま反対の意味や無意味な場面で使う?!
 いっそ原作と関係ない、植爺オリジナルの台詞ならもう少し心穏やかでいられるものを、原作のまま、原作を陵辱する意味でしか使用されないから、許せないの。
 役とかキャストとかへの愛情とは無関係に、ただもう植爺が許せないの。

 まっつのベルナールがどんだけかっこよくても、植爺台詞をべらべら喋っていたら、わたしはべつにときめかなかったと思う。
 ネタとして「ベルナール・コスプレをしているご贔屓」として受け止めるに留まったと思う。全ツ『アラン編』のジェローデルみたいに。

 それが、ベルナールは喋らない。
 わたしがアタマをシャットアウトして抹消しなければならないよーな、気の狂った台詞を言わない。

 アンドレ@まとぶんを闇討ちするのはよくわかんないが、喋らないし他に出番がないから、なにか事情があったんだと、脳内補完できる。

 あとは、市民のリーダーとして、武装した王宮軍を相手に立ちはだかる場面だ。
 ろくな武器も持たない烏合の衆なのに、敵わないことはわかっているのに、それでも立ち上がり、志を遂げようとする……その真ん中で、矢面に立つわけですよ。
 かっこいいじゃないですか。
 民衆のリーダーっつーことはだ、それだけの人望があるってことでしょ? そんだけ素晴らしい人格者だっつーことでしょ?

 だって、描かれてないし。

 台詞も出番もないから、ただ「ある」ものだけで判断すると、「民衆のリーダー」「勇敢に戦う」というものすごーく素晴らしいキャラクタ像だけで、そこから逆算すると「アンドレ闇討ち」にもなにかしら事情があったんだっつーことになるし。

 台詞がナイ、出番がナイゆえに、わたしは素直にベルナールを見た目だけで判断できるのですよ。

 彼の美貌と、弱き者たちを背中にかばって剣を取る男らしさ、無傷で戦い抜く戦士としての強さ、過ちを悔やんだり傷ついたモノをかばったり悼んだりする優しさ。
 目に映る情報ゆえに、ときめくのですよ。

 でもってまっつがまた、すげーストイックにハードに、本気で美形に演じているし。

 こんだけ真正面から美形キャラやってるまっつ、すげーひさしぶりに見る。

 アルバロ@『哀しみのコルドバ』は三の線入ってた。ヒョンゴ@『太王四神記』は愉快なおっさんだった。ジェローデル@『外伝 ベルサイユのばら-アラン編-』はたしかに二枚目だけどわたしの中ではノーカウント(植爺だから、キャラ破壊されてるから、まともに受け止められない・笑)。アブ・サラン@『愛と死のアラビア』はヒゲのおっさん。
 相沢くん@『舞姫』まで遡るのか? ……でもわたし、相沢くんを美形キャラだとは特に思ってなかったよーな……(笑)。や、まっつだからクール・ビューティだったけど。
 バロット@『メランコリック・ジゴロ』はバカキャラだったし、ジオラモ@『アデュー・マルセイユ』はこれまた愉快なヒゲオヤジだったし、書生さん@『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』はヘタレキャラだったし、リチャード@『MIND TRAVELLER』はマッド・サイエンティストだし。

 役としてはまあ、相沢くんやリチャード以来の、美形キャラなのか。

 なんかもー、すげー久しぶりに、本気でストイックに美形やってるまっつを見た。

 抜きどころナシに、本気に美しく、かっこよくやってる。
 途中弱い表情をすることはあるけれど、それはキャラクタのうちで、そーゆーところも含めて、美形キャラ。

 喋らないから、その美しい姿のみで、あとはいくらでも想像の翼を広げられる。
 彼がどんな思いで革命運動をし、あの日あのときサーベルを手に民衆の前に立ったのか。
 描かれてないからこそ、勝手に都合良く美しく想像できる。

 彼は平民だし、新聞記者という知的職業(文盲率の高かっただろう民衆の中で、書く側だったんだから、インテリだろう)でありつつ、黒い騎士なんかやっちゃう武闘派である。剣術にも長けているわけだよ。
 そーゆー強い強い男なわけで。

 あのまっつが、精悍だ。

 小柄で華奢、医者役者のまっつが。皇子とか弁護士とかのハマるまっつが。
 ベルナールは弱っちくない。ちゃんと強い。

 アンドレたち衛兵隊と合流したあと、男たちが吠える場面があるんだが、この吠えるまっつが、すげーカッコイイ。

 精悍なまっつ。ワイルドなまっつ。

 ときめくなという方が、無理だろう。

 最後の「やったぞおおお」のあと、死に逝くアンドレに対し腕を伸ばすとき、見るたびに表情がちがっていた。
 嘆き悲しんでいることも、苦痛に顔を歪めていることもあるんだけど。

 いつだったか、強い、決意のある表情をしていたことがあって。
 唇を引き結び、まっすぐにアンドレを見つめていた。

 その強い強いまなざしが、嘆き悲しむより姿よりも、なお見ているわたしの胸を締め付けて。
 いやあもお、アレはキたなあ。ぐさりと。

 まあさらに、今後アラン@壮くんと親友になるのかと思うと、楽しさ倍増だし(笑)。

 あああ。
 ベルナールかっこいー。ベルナール好き~~。

 アッタマ悪く、そんなことをほざいております。

 思いあまって「ベルナール・ストラップを作ろう」と貴○製作所とかウロウロしてるんだけど、サーベルのチャームって売ってないんだねー。
 どっか売ってるとこない? ベルナールっぽいモチーフで、てきとーにデザインして作りたいんだが……(笑)。

 
 ところで。
 「ベルナールは台詞ひとつだけ」だと、さんざん書いて来ましたが。

 「ル・サンク」見たら、そーぢゃなかったの。
 「引け!」の他に、「フ!」てのがあったの!!(笑)

 アンドレ闇討ちのとき、やたら気合い入れて声出してると思ったら、「フ!」っての、台詞だったのよ! 脚本に書いてあるのよ、「フ!」って、わざわざ感嘆符付きで!(笑)

 見たとき爆笑したわ。
 そっかー、ベルナールさん、台詞ひとつぢゃないじゃん。ふたつじゃん、2行あるじゃん。

 ははははは。
 日向燦は、どこへ行くのだろう。

 花組『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』『EXCITER!!』千秋楽。

 組長が読む退団者からのメッセージで、すでに客席は爆笑に次ぐ爆笑だった。
 惜しむらくは、組長が噛み噛みで読んでいたことか。何度もつかえて読み直したり、意味が通じにくかったりした。……アレ、ふつうに読める人(うまくなくていい、ふつーに朗読できる人)が読んだら、さらにおもしろかったと思う。組長下手すぎ。

 そしてもちろん、マメ本人の挨拶も、実に愉快だった。

 この人を失うことが、心から惜しい。
 残念すぎる。

 てゆーか辞めてナニすんだよ、もったいないだろその個性、才能。
 芸能界以外では宝の持ち腐れ、じゃあここではないどの芸能界へ行くんだ?

 芸能界も広いから、どこかマメが才能を遺憾なく発揮できる場所があるのだと信じたい。
 またどこかで、めぐりあえることを。

 マメの才能を惜しみ、マメ個人を惜しむ。
 彼は十分美しい人だ。スタイルが素晴らしいのは言うまでもなく、丸いやさしい顔立ちはふつうにかわいらしいが、これからさらにあか抜けて美しくなる整い方をしている。

 マメを好きで、マメにずっとここ……タカラヅカにいて欲しいと思い。

 だけどやっぱり、タカラヅカではダメだったのかなあ、とも思う。

 今回の公演を通して見て。
 わたしはひたすらまっつまっつな人で、いつもまっつ中心の視界しか持っていないんだが、それでもマメのことは極力追うようにしていた。や、んなことせんでも目に入るし彼。
 千秋楽は、いつもならまっつ見るとこでも、マメを見ていたりした。

 マメは素晴らしい舞台人だと思う。
 これからも可能性のある、のびしろのたくさんある人だと思う。
 だからそれを発揮しきらないうちに、若くして卒業していくことが残念でならない。別れがさみしくてならない。

 それでもなお。
 マメのいる場所は、タカラヅカではダメだったのかもなあ、と思った。

 この公演通して、そして、楽が近づくとかなり、さらに楽においては、もお。
 マメは、「群舞のひとり」というタカラヅカのルールを無視して、自分ひとりで踊っていた。

 揃える気はないんだと思う。
 主役の後ろのバックダンサーではなく、ただひとり別カンパニーの人のように踊っていた。

 タカラヅカは個性を出して踊ってもいいところで、ぴたりとCGのように動きを揃えることだけを求められる場所ではない。
 だから個々にカラーはチガウし、個性を大切に踊ってヨシ。

 が、マメのダンスはそーゆー域を超えていた。

 悪目立ち。
 ひとりだけ、チガウ踊りをしている……。
 や、振付は同じだけど。でも、同じ振付でも揃える気がなく自分ひとりが気持ちよく踊ると、チガウ踊りになるよ。

 マメだから、退団だから、みんなそれでも愛しく眺めていると思うけれど。
 無名の生徒が退団でもなくコレをずーーっとやり続けたら、いろいろ弊害があるだろうなと。

 楽の日のマメはほんとに、完璧にひとりだけチガウ踊りを踊っていた。群舞なのに。

 反対に、どれだけ個性を出したくても、ただ同じ振付で踊るだけでここまでチガウものにならない、目を引かない人もいるだろう。
 マメはここまでできてしまう。
 本気になればもっともっと、衆目を集めるパフォーマンスができてしまうのだろう。
 本人に実力があり、華がある。
 彼が自分の持つパワーを、彼の個性にとって正しい方向で発散したら、それは「タカラヅカ」のルールを壊してしまうのかもしれない。

 限界だったのかもしれない。

 彼は「タカラヅカ」の群舞にいてはならない人だ。
 彼が「タカラヅカ」を愛し、「タカラヅカ」に合うように自分を抑え、和を乱さないようにしてようやく群舞のひとりとして踊ることが出来た。……それでも十分個性的に。
 彼の本来の姿は、ずっとずっと抑えられ喘いでいたのかもしれない。

 彼の持つ、爆発的な力。個性。光。
 それは、宝塚歌劇団で発揮できるタイプのものではなかった……のかも、しれない。

 だからこそ。

 それでも彼がここにいて、ここを愛して、楽しそうに脇役を務めてくれた。
 いろんなものを表現してくれた。
 そのことがうれしく、貴重で、泣けてくるほど愛しい。

 ぶっちゃけ悪目立ちしている千秋楽のダンス、明らかにやりすぎなパフォーマンスも苦笑しつつ愛しい。
 そっかあ、こーゆーのが全部まるっとマメなんだよなあ。

 本人も自分の組でのキャラクタや立ち位置を知り、期待されていることを知っているだろう。
 それに応えるべくやっている面もあるのだろう。

 マメだから……と、どんな役でも登場するなり演技も役割も無関係に観客に笑われた新人公演。まず演技を見てやれよ、「マメだからおかしい」って先入観で笑うなよ、と腹立たしかったほどに。
 彼はきっと、ここではないどこかで、リセットする必要があるんだろう。

 彼が本来の才能を、魅力を、素直に生きるために。

 それがタカラヅカでなかったことが、残念だ。
 タカラヅカだからこそ出会えて、彼を好きになれて、タカラヅカだからこそ彼は去っていく。
 なにひとつ間違ってはいないのだろう。
 そうだとしても、ただただ寂しい。悲しい。

 日向燦は、どこへ行くのだろう。

 ここには収まりきらなかった光と華を持つ彼は、これからどこへ向かうんだろう。

 わたしがもっともときめいた、あの毒に満ちた耽美キャラとしての彼を、また見せてくれる場であればいいのだけど。
 ……この公演通して、芝居もショーも耽美とは逆路線ぶっちぎりのいわゆる「マメらしいマメ」だったから、外部でもそうそうあの美しいマメには出会えないのかもなあ。
 両方持っている人なのになあ。片方だけに特化した扱いはもったいないよ~~。

 彼との別れを惜しみ、未来に期待する。
 ああそれでもやっぱ、まだいてほしかったな。この花園に。

 でもって組長。
 東宝楽では、噛まずに朗読してくれよ。何度も読んでるだろうに自分ひとり笑ってなに言ってるのかわかんないとか勘弁して。

 最後のメッセージや挨拶までが、「日向燦」という作品なのだから。
 マメが「タカラヅカ」でプロデュースしているキャラクタなんだから。
 彼のその意識の高さやサービス精神もが、うれしくてならないから。

 最後まで、タカラヅカの日向燦として、爆走して。
 今回の花組公演を何回観たか?
 それは、『EXCITER!!』を何回観たか、と聞いてほしいっす。『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の回数は聞かないで。
 心の狭いわたしは、芝居は観てないっすから。チケット代はフジイくんの『EXCITER!!』のためだけに支払ってます。植爺のためには払ってない。今回の公演はフジイくんのショー1本立て、50分のコンパクト公演だと割り切ってます(笑)。立見、あるいは前後左右誰もいないような通路際席をわざと選んで買って、革命場面から途中入場したことは複数回ありますが。芝居を最初から最後まで観たのは初日と楽とあと1回だけだ。

 飢爺を憎んで生徒を憎まず、生徒に罪はないのだから、あんな脚本でもがんばって演じているキャストに敬意を払って観劇するべきだ。駄作を耐えてこそファン、耐えられないなんて、ファンのすることじゃない、ファン失格。
 と、思いはするが、それでも駄目だ。

 植爺『ベルばら』は、わたしには致命的に鬼門。
 繰り返し観ると、植爺云々を超えて宝塚歌劇に絶望する。
 「タカラヅカなんか大嫌い、もう二度と観ない」と、極論へ走るおそれがある。
 こんなモノが容認され、キャストたちが涙ぐましい努力で演じ持ち上げている「宝塚歌劇団」を、許せなくなるんだ。
 劇団を憎んでしまうと思うんだ。嫌悪感から、愛情よりも黒いモノがわたしを支配してしまう。

 わたしはタカラヅカを好きでいたい。
 これからも、作品にツッコミ入れつつ生徒に萌えて、たのしく観劇したい。
 だから、タカラヅカを好きでいるために、これからも観劇していくために、今回の芝居はわたしの中で抹消した。

 わたしはとびきり心が狭いのだ。

 『EXCITER!!』は9回観ました。はい。結局のとこほぼ週2ペースで観劇。1ヶ月公演は短いなあ。あっちゅー間だ。でさらに、オサコンだのケロコンだのトウコちゃん『AIDA』だの観に行っているので、さらにもー大忙し。
 第九のレッスンはあるわ、マジに体調アレで病院通いだわで、もーフラフラ(笑)。
 あー、寄る年波には勝てん……数年前ならこれくらいなんでもないスケジュールなのに、今はもう体力が持たない。
 8月あたりから体調がアレでいまだにヨボヨボ、這うように観劇して、友だちが同じ回を観ているとわかっても連絡もせず這うように帰る……誰かに会える健康状態と気力がないという……そんな孤独な日々も送り、ブログも停滞し。

 こんなときに植爺『ベルばら』なんかで消耗できるかっ!!(笑)

 わたしに必要なのは『EXCITER!!』、そしてまっつなの!(笑)

 と、とびきり視野狭く、苦手なモノを排除して好きなモノだけに閉じこもる、精神的ニート生活。

 実際視界もすごく偏っていて、何回ナマ舞台観たって、まっつしか見ていない。
 オペラグラスで切り取った視界にまっつしかいないから、まちがった感想をイロイロ書いている。
 全体を見ていたらまずこんなこと書かないのに……てなことを、平気で書いてますよ、まっつ語り。
 や、それもまたヨシ。

 間違いに気づいたときは「あちゃー、恥ずかしすぎ!」と思うけど、それも含めてリアルタイムの感想、記録だから。
 真実がどうあれ、その一瞬のわたしが感じたことは、事実だから。
 も、ソレでいいじゃん、と。

 
 ところで、9月11日の記事に書いた、はじめて『ベルばら』を娘さんと観に行く人の話。
 先日会ったので、聞いてみたのよ、「どうでした?」と。

「すっごく良かった!! また行きたい」

 ……案ずるより産むが易し。
 『ベルばら』だから、わたしが大嫌いだからと、他人様の観劇チャンスを奪ったり水を差したりするものじゃない。
 ソレがなんであれ、「観たい」と思ったときが運命のとき、背中を押してやるがヨシ。

 ふつーに楽しんだようだ、『ベルばら』。
 原作を知らない娘さんにはあらかじめプログラムを読むように勧めたらちゃんとストーリーについて行けたらしいし、大昔に原作を読んだことのあるご本人は「そうそう、たしかアンドレって失明するんだわ! すっかり忘れてた!」と、素直に舞台の展開に膝を打って喜んだ模様。

「ドレスがすごいわね。それも、私たちが子どものころ夢見たような、いかにもなドレスで」
 さおたさんたち女子部の人たち、さすがです。カーテン前で喋るだけの短い出番で、ちゃんと『ベルばら』らしく初心者を喜ばせたんだ。

 ショーはさらに、楽しかったそうな。「すごくカッコイイ!!」と。

「お買い物も楽しいわね、『ベルばら』のメモ帳買っちゃった(笑)」
 と、笑顔で言われて、こっちまでうれしくなった。

 ご本人は大昔、天海祐希の『風と共に去りぬ』を1回だけ観たことがあるらしい。
 さすがは天海。なんの関係もない一般人を劇場に足を運ばせる力のあった大スター。
 そして今回の観劇理由は、「『ベルばら』だから」。娘さんが「『ベルばら』って観てみたい」と言ったから。

 腐っても『ベルばら』だ。

 で、高校生の娘さんと一緒にトップスター5人の素顔を比べて、「真飛さんと大空さんがきれい」という話になり、「娘は大空さんがいちばんカッコイイって言ってる」そうな。
 ヅカ初見の高校生のハートを動かすのか、さすがだビジュアル系ジェンヌおーぞらゆーひ!!(笑)

 んじゃまた観てくれる? そのカッコイイゆーひさんの主演公演があるよ。『カサブランカ』を娘さんと是非。

「今度はあわてて2階S席の端っこを買ったりせずに、そのすぐ後ろのB席を買うことにするわ(笑)」
 ……なんか、いきなりスキル上がってる。「たまたま見かけた新聞に広告が載っていて……電話したら、幸運にもチケットが残ってて」と2階S席をなんも知らずに買った人が。

「こあらちゃんの好きな人も見たわよ。クールな感じの人ね」
 おおお。まっつのことも見てくれましたか。プログラムにインタビュー載ってることとかベルナール役で台詞がないこととか、あらかじめ説明した甲斐があった(笑)。
 そうそう、クールエロな人なんですよー、歌ウマなんで、ショーではちょろちょろ歌ってたでしょ? ……と言っても、そっちでは区別ついてなかったらしく「?」と顔に書いてあった。
 おおお、腐っても『ベルばら』、腐っても黒い騎士、ベルナール。初見者に説明できる役って貴重なんだ。

 すっかり視界が狭くなって、偏った考え方しかできないわたしに、新しい風。
 初心者さんの話が心地よい。

「ところで私、家に帰ってから『風と共に去りぬ』のパンフレット探したの、なんかなつかしくなって。そしたら。『風共』のパンフにおおぞらゆーひがいたのっ。あの人いくつよ?!!」

 高校生の娘さんもびっくり、と。

 落ち着いて落ち着いて、ジェンヌはフェアリーだからっ。とくにゆーひさんはフェアリーの中のフェアリー、奇跡のファンタジスタだからっ(笑)。

 いやあ、びっくりしただろうなあ。
 高校生の娘さんなんか、ふつーにカッコイイと思ったにーちゃんが、実は自分が生まれたころ(生まれた翌年とかその次とか?)の舞台に、ふつーに今と変わらない姿で立っていたと知ったわけなんだから。

 タカラジェンヌってすごかろ?
 現代にある、奇跡のよーな人たち、奇跡のよーな劇団。

 
 彼らを愛して、見つめていきたいの。
 『EXCITER!!』のまっつが、満面の笑顔でずり落ちる羽根ショールを押さえている姿を思い浮かべているときに、とーとつに昔自分が書いた日記のことを思い出した。

 フィナーレのパレードで全開の笑顔を見て「まっつキライ!」と言う人の話。

 えーと、あれはたしか『マラケシュ』のときの話だな、と、発掘発掘。

>「私の友だちに、まっつを嫌いな人がいて」
>
> ほほお。
> そりゃ好きな人も嫌いな人もいるよなー。
>
>「なにが嫌いって、なんかこう、不幸そうっていうか、いつも泣いてるよーな顔が嫌いだって」
>
> すみません。
> ツボに入りました。
>
> 爆笑しちゃったよ。
>
>「笑ってても、フィナーレでも、なにしててもベソかいてるよーな顔だから、嫌いって」

 2005/06/18(土)の記述ですな。(http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1077.html

 今から4年前。
 このときわたしはまだ、まっつファンではない。

 まっつ好きでダイスキできゃーきゃー言ってるけど、このときは別に、ほんっとにファンではないんだ、今のように。

 まっつの笑顔、変わったよね?

 当時のまっつはたしかに、泣いてるんだかなんだかわかんない笑顔だったが、今は誰もそんなこと言わないよね?

 まっつ、笑えるようになったんだよね。

 笑顔を見て泣き顔だとは思われないよね? パレードでシャンシャン振ってて「こっち見るな、不幸が伝染るっ」とは思われないよね?(当時、「まっつをキライ」な理由として「見てると不幸が伝染りそうでイヤ」っての聞いた。爆笑した)←ひどい。

 それとも、今も変わってないんだろうか?

 変わったのはわたしの方?

 わたしがもお、まっつ好きで好きで、彼が絶世のイケメンでキラキラ王子様に見えているから、真実がわからない?(前日欄で「こんな不幸くさい地味な男役」と書いた舌の根も乾かないうちに、のうのうと書きますよ)

 あれから4年。
 ヘタレな若い男の子(でも目の下にはシワ有り)だったまっつは、見事に大人の男に成長した。
 薄幸キャラだし暗いし地味だと思うけど、それだけではなくそこには留まらず、翳りだとか深みだとか渋さを得ていると思うの!!

 薄幸→翳りがある、暗い→深い、地味→渋い、ですよ、ひとつの事柄には同時にもうひとつの側面があるものなのです。わたしが「まっつ地味~~(笑)」と言ったら、それは「まっつ渋みがあってステキ~~!」ノロケているのです。人生裏腹、言葉の裏を読まなければ都会という名の砂漠は渡れません。
 
 まっつも変わったし、わたしも変わったんだと思う。

 今の大人でかっこいいまっつと、ヘタレ標準装備の泣き顔まっつはチガウと思うし、今のマジまっつファンなわたしと、ヘタレまっつをネタキャラとして無責任に愛でていた昔のわたしはチガウのだわ。

 …………なんか、のっぴきならないところまで来ちゃったというか、「オレもヨゴレちまったな、フッ」てキモチだわ。
 昔からヅカファンだったけど、ご贔屓はいたけど、今がいちばん病が重い、気がする……。

 周囲の影響もあると思う。
 わたしの周囲にまっつファンはいないが(まっつメイト募集中です、よろしくフレンズ・笑)、濃いぃヅカファンには事欠かない。

 上記の日記に登場する友人ふたりは、わたし以上の濃さでヅカファンライフを送り、ご贔屓への愛に日々爆走している。
 周囲の仲間たちに比べたら、あたしなんかひよっこもいいとこだわ……と思う。心から。

 友人たちが素直にご贔屓への愛を叫んでフルスロットル人生送ってくれているから、わたしも安心してイタいまっつファンとして世界の片隅でまっつへの愛を叫んでいられる。
 ビバ友情、ビバ責任転嫁!

 2005年。
 ……博多座『マラケシュ』と『I got music』で、わたしは華麗にまっつオチする。
 で、この博多座へ初日から参戦することを決めたのは、この日記の遠征、東宝『マラケシュ』宝くじ貸切の日の当日券並びなんだよな。
 友だちの友だちで、メールで少しやりとりはしていても、実際会ったことのなかったジュンタンとはじめて会い、ムラで何度か顔は合わせていても双方大人ゆえ社交辞令の域を出ていなかったnanaタンと本気で打ち解けたのが、この日だった(いきなり一緒に旅行へ行く計画立ててるんだからな)。
 この日出会った(さらに親しくなった)友人たちが、その後のわたしを変え(エスカレートさせ)、結果としてわたしはまっつにオチ、現在まっつまっつゆってるわけだ。

 あああ。人生ってなにがどう転ぶかわからない……。

 
 それにしてもまっつ、今も昔もステキよねっ。(言うことがコロコロ変わる)
 とりあえず、途中で消えたまっつ語りを終わらせる。
 こあらった目線の『EXCITER!!』

 フィナーレ階段前の男たちのオラオラダンス。
 ここは細かいテクニックより力押し。あの細かくキメてくるまっつですら、力任せに踊ってる。そーゆー振付で、そーゆーものを演出家が求めているにしても、らしくない粗さ。
 体力的にいちばんピークに来るところなのかなー。
 ショーを通して一本調子じゃつまんないわけだから、踊り方にもいろいろあっていいわけだが、この力任せで大雑把……技術や繊細さより気合いと勢いのここのダンスは、じつはあまり好きじゃない。
 かっこいいよ。かっこいいんだけどねー。ガン見しているんだけどねー(笑)。

 だからダンスよりも、掛け声を楽しみにしている。

 まっつが、あの低音で、本気で、漢っぽく吠えている。

 台詞声や歌よりも、このダンスの声出しっていうのはある意味「本気」っぽいよね。
 一声だけで雰囲気を出さなければならない。間違ってオンナノコの声を出してはならない。
 とびきり野郎っぽく、セクスィに(笑)、わずかなタイミングで確実に、キメなくてはならない。

 まっつはなんかよく吠えていて、まっつらしくもなくアグレッシヴでたのしい。
 いい声だなほんと。

 
 で、最後のおたのしみのエトワール。

 まっつがエトワールだと最初に耳にしたときは、否定的だった。
 わたしが「エトワール」を娘役の晴れ舞台だと思っていることと、男役がやる場合でも華やかな歌ウマさんがやるべきだと思っていることからだ。
 ショーの最後は、ドレス姿の娘役さんのハイソプラノが聴きたい。非日常的な、夢の世界のプリンセスな歌声でパレードに導いて欲しい。
 そうでなければ、将来のトップスターである若手男役スターが、そのキラキラ度を全開にタカラヅカならではの美しさでパレードをはじめて欲しい。

 残念ながらまっつは、チガウと思うんだ。
 「エトワール」には向いていない。
 彼の歌声も姿もキャラクタもダイスキだけど、容赦ない言い方をすれば「こんな不幸くさい地味な男役で、パレードをはじめるのは勘弁してくれ」と思う。

 ついでに、こんだけキャラの合わない仕事が回ってくるってことは、ひょっとしてまっつ**するのかと、びびった。や、**ご祝儀っていうか餞別っていうか。言霊を恐れるため、伏せ字で書きますが(笑)。

 次に、エトワールといっても単独ではなく、いちかちゃんとふたりでだと知った。
 それならアリか、とかえって安心した。
 華やかな女性歌手と一緒なら渋い男が歌ってもわたしのイメージの「エトワール」を損なわない。
 いちかちゃんとのコンビは「いつもの」安定感、相性の良さ、ありがちなことなので、これなら**ご祝儀ではないなと、そんなことでも胸を撫で下ろした(笑)。

 そんなつまらないいろーんなことを、ささやかにうだうだとさらっと考えてはいたんですよ。

 で、実際目にしてみたら。

 まっつにエトワールが合わないって、誰が言ったのよ? んなこと言ったヤツ出てこい。(前言ころっと撤回)

 否定的な思いが全部ひっくり返りました。
 おーっほほほ、なんのことかしら、やーねぇ。

 エトワールをやるご贔屓ってのは、こんなにたのしいものなのか!!(目からウロコ)

 いろんなショーを見てきているから、エトワールっつーのが名前ばかりだったり、ワンフレーズしかソロがなかったり立ち止まって歌うのが一瞬ですぐにパレードに突入したり、いろいろあることはわかっている。
 単独エトでない以上、まっつの声を聴くことはあまりないかもしれない、とも思っていた。

 それが、ほんとにちゃんとしたエトワールで。
 あの大階段の真ん中で、ふつーに1曲歌いきる系のエトワールで。せわしなく歌い継ぐパレードで、ショートバージョンとはいえ1曲持ち歌を歌いきるのは、エトワールとトップスターだけ、という、ほんとにふつーにエトワールの役割で。

 つか、まとぶんとまっつだけなのか。パレードで1曲歌いきりって。

 改めて、じーん……。

 そう。
 わたしのなかでは「エトワールは女子」という思い込みがあって、一花と一緒に歌うのなら、彼女が主でまっつは従だと思っていたのね。彼女のソプラノを、まっつが下から支えるのだと。
 ……すみません、んなこたぁないですね。タカラヅカは男役上位。
 あくまでもまっつがソロ歌手で、いちかちゃんはハモり要員でした。デュエットですらなく。
 や、それでも形式としてはデュエットでふたりエトワールなんだけど、まっつの単独エトだなんて思ってないし実際チガウんだけど。

 まっつがどうこうではなく、タカラヅカのシステムとして。
 まっつが主旋律と歌詞を歌い、一花はそれに「るーるー♪」とスキャット入れるか歌詞を重ねて歌うという主従ぶりは、見る前に「まっつだからきっと従の方」と勝手に思い込んでいたわたしが、まーーったく予想だにしなかったことなの。

 まっつが、パレードで1曲ソロ。いちかゃんという実も華もあるすばらしい相棒と共に。
 じーん……。

 ドリーミングな導入歌を、まっつが確実な「男役の声」で歌う。
 ショー『EXCITER!!』導入部で夢王子がうっとり歌っていた、名前通り夢夢しい美しい旋律。
 まっつの低音に、一花が確実にハモりを入れる。響き合う美しさ。

 まっつは饒舌な歌手ではない。
 美声だけど確実だけど、表現力が高いとは、あまり思ってない。

 だけどこの「エトワール」という役に求められる「的確な美しさ」は果たしていると思う。
 端正であること。
 大きく深く響くこと。

 光とか華とかには欠けているかもしれないが(笑)、まっつの的確で端正で真面目な歌声は、個人の個性よりも記号としての技術を必要とするエトワールに、ある意味合致しているのかもしれない。
 と、思った。

 ……ので、見る前はあんまりよく思ってなかったくせに、前言ころっと撤回、大フィーバー。

 やーん、エトワールうれしいっ、エトワールたのしいっ。

 まっつが本気できれいに歌ってるよーっ。
 ただ「キレイであること」に集中していいんだもの、役割的に。
 美声をより真正面から研ぎ澄ましている感じがもお、たまらん~~。

 ありがとうフジイくん、ありがとうまっつ。
 まっつのエトワールが見られて、聴けて、心からうれしい。

 
 パレードの並びは壮くんの隣。
 大きな羽根にときどき攻撃されてるのもたのしい。
 や、いっそまっつの後ろが全部壮くんの黒い羽根に覆われて欲しい(笑)。背景全部黒。まっつ黒髪だから保護色。

 いつだっけかの午後公演、まっつが肩から掛けてる赤い羽根ショールがはずれちゃったことがあって。
 肩からずり落ちるの、羽根が。
 まつださん、必死。笑顔振りまきながら、押さえるのに必死。

 で。
 それに気づいたのは、たぶん隣の壮さんのみ。羽根は壮くん側の肩に掛けているわけだし。片手でごそごそやっているのは、隣ならばわかるもんなんでしょう。

 ずり落ちる羽根を必死に押さえ、誤魔化し歌うまっつを見て。

 壮一帆、容赦なく笑う。

 今あの人爆笑した? ぱかっと笑ったぞ、まっつ見て?!!
 ナニあのSっぷり!!(笑)
 いやあ、今回壮くんとの絡みが美味しいわ~~(笑)。

 
 今回まっつまっつな位置はみんな上手側で、上手前方はふつーには手に入らないしでしょぼんなんだが、最後のパレードだけは下手側。
 エトワールで上手にはけるわりに、次に登場するときは下手端からなのー。後ろぐるーっと走ってるのかなー、とか考える(笑)。

 『EXCITER!!』のまっつは大変美味です、はい。
 あー、かっこいー。
 さてと、いい加減ラストスパートです、こあらった目線のまっつまっつ、『EXCITER!!』

 フィナーレの大階段前男ダンス。
 大階段中央で踊るまとぶさん、まっつは少し遅れて階段上から降りてくる。ここも上手。

 わたしはオープニング衣装を変わり燕尾と書いたけど、ほんとのとこアレが燕尾なのかはわかっていない。燕尾カテゴリだと思うからそう書いたけど、厳密にはチガウかも。
 だって「燕尾」たるツバメのしっぽ……テールがジャケットとつながってないんだもの。見た目はテールなんだけど、あれってただのスカートなのかなー、マントなのかなー。
 まあいいや、どーせオレ、衣装の知識ないし。無知だし。

 ほんとの燕尾はこのフィナーレの方だよな。男役の制服のシンプル黒燕尾ではなく、華美な飾り付き。中のブラウスもひらひらキラキラ。

 ここでは、ダンスよりも吠えるまっつを堪能



 って、ちょっと待って、書いた文章が途中から消えてる!!
 オーマイガッ。

 あと2000字強、なんで消えてるの?
 わーん、パレードまで全部書いたのにー。DiaryNoteのばかー。今日2回目のエラーだよ、わたしから何千文字と何時間奪ったら気が済むの?
 

 書き直せるだろうか……。

 
 追記。
 今までになかったタイプのエラーだから、記録として残しておく。
 3000文字弱ふつーにテキストを入力し、ふつーに「この内容で書き込む」ボタンを押してふつーに書き込みができたのに、ブログを確認すると最初部分しか存在せず、2000文字以上が消えていた。
 タグのアタマだけが残っている状態だったので、以降の記事がすべて大きなフォントになっていた。

 DiaryNoteは今までも勝手にログを消してくれたり、壊してくれたりいろいろいろいろあったので、信用はまったくしていない。問い合わせたってただの一度も回答はおろか、反応すらもらえない。
 だからUPする際は自衛手段を執っていたんだが、今回はたまたま抜け落ちていた。連続更新で一気に10000字とか書いてて疲れてたせいだなー。千秋楽までに少しでも感想追いつかせたいと思ってがんばった結果、テキスト消失で凹んで終了。

 DiaryNoteは信用できない。
 他のブログと比べて「なにもできないから、最初からなにもしなくていい」ところが長所。
 しかし、他のブログと比べてあまりにもエラーが多く、そしてそれに対する誠意がない。
 再度肝に銘じて自衛しなければ、こんなサイト使ってられない。
いざ、まっつとツーショット! その2。@宝塚ステージスタジオ
 「ステージスタジオ」のツーショット写真スターの面子に、まっつが入った。
 ので、まっつとツーショ写真が撮れる。

 せっかくだからと参戦してきた、まっつとツーショット写真記録、その2。
 
 迷わず、「未涼さんでストラップを作りたいんですけど」と言い切ったわたし。
 応対してくれた店長さんがアルバムをめくり、「未涼さん……こちらの写真でよろしいですか」とまっつ写真を示して確認を取る。ああ、やっぱジェンヌの顔と名前をおぼえてないとできない商売よね。(前にココで写真を撮ったとき、実は友人が着付けスタッフとして働いていたのだな。彼女はふつーに派遣会社からやってきた非ヅカファンだったので、ジェンヌの顔と名前がわからずに苦労していた……・笑)

 写真だけ確認できればいいのかと思ったら、次は「フレームはどうされますか」ときた。
 ツーショの背景が、3つのフレームから選べるらしい。

 が。

 ど、どれも微妙。
 示された見本ページを見て、わたしは思わず無口になった……(笑)。

 わたしはいかにもCGです、なキラキラと半端な加工は好きぢゃないんですよ。マットで鋭角な装飾が好きです。
 花と宝石と、なんだっけ? 厨なグラデが苦手感を煽りまくってくれるが、「大丈夫、ストラップは小さいわ、どーせどんな背景選んだってろくに見えなくなるわ」と自分を励まし、「花」を選んだ。

 えーと、赤いフレームですな。よく見るとバラの花が舞っているのよ。

 まっつ写真が『EXCITER!!』スチールなので、赤がいちばん無難かなと。

 そこまで決めたら、注文用紙に名前を記入。電話番号も書いたっけ?
 そこに「未涼、花、ストラップ」とか注文内容がすでに書き込まれていた。そして会計を済ませる。

 次に撮影。
 顔だけですから、着替える必要もなく、カウンターの中で。

 ええ、カウンター。
 「ステージスタジオ」という名前の店なのに、肝心のスタジオにも入れてくれません(笑)。玄関先での応対。

 会計したり見本アルバムを眺める、あのカウンターの中で撮るのよ、なんつーチープさ。
 や、経験者だから知ってはいるけど、もう少し手を掛けてくれてもいいんぢゃ……? ってくらいの扱いだよな(笑)。

「未涼さんの顔がこちらになります」
 と、ナニもない空間を店長さんが指す。
 わたしは「まあ、ここに未涼さんが」というように、目線を向ける。

「ポーズはどうされますか。これとか、こんなふうとか」
 見本写真は顔の前で指を組む「乙女の祈り」ポーズとか、両手を合わせる「ぶりっこ」ポーズとかで微笑んでいる。
 コレも以前はなかった。なかったけどたしかわたし、勝手に「夢見る乙女」ポーズで写真撮ってもらったんだわ……見学していた友人が笑いこけてたっけ……。

 迷うのも面倒なので(ヲイ)、「じゃあこれで」と指を組んでにっこり笑う。少々のはにかみも忘れずに。

 イベントですから! 祭りですから!
 まっつが横にいるわけじゃなし、ぜんぜんへーき!

「じゃあちょっと首を傾げて……そうです、そんな感じで」
 言われたことをすぐにやる。じたばたしない、照れたりしない。事務的に、機能的に、しゃきしゃきと。

 手間取ってたまるか。(イベントとして祭りとして、楽しむ気はなさそーですよこの人)

 そーやって「はい、撮りますよー」で撮影は3回。
 まっつの顔が合成される方向を向いて、ヲトメっぽく指を組んで首を傾げて、「笑ってー」……まともに考えると、すげーアホっぽい作業ですな。(まともに考えてはいけません!!)

 相変わらず、写真は見せてくれない。念のため聞いてみたけど、むべなく却下。
 客に選ばせると、時間が掛かって大変なんだろうな。1000円レベルの仕事に、そんなことを求めてはいけない。
 3回撮影したウチの、どのどんな映りのものが商品として渡されるのかは、秘密のまま、一旦終了。

「4時以降に来てください」
 と言われるのみで、引換券もナシ。カウンターで名前を言えば良いんだって。

 撮影自体はほんと数分。
 アルバムめくって迷ったりしなければ、ほんとに手続き入れて5分で済む。
 3時10分くらいに店に入って、3時20分くらいには終わっていたよーな……。

 で、真面目に4時過ぎに引き取りに行った。とにかく、人のいないときにしか行動したくないのだ(笑)。上演中しかないのだ。静まりかえったロビー、人気のないステージスタジオ。

 そして。
「こちらでよろしいですか」
 と、女性スタッフから、確認の上渡された、問題の一品。

 まっつとわたしのツーショ写真ストラップ。
 大きさは、3cm×2.5cm。

 舞台メイクのまっつは、小さくても目鼻くっきり、美しい。
 そして、問題のわたしは。

 おおお。
 白くボケてて、シミもシワも一切写ってない!!(笑) 薄く小さな目鼻が「描いてる途中の絵?」みたいで、まっつの邪魔にならない!!(笑)

 良い感じだ、店長さんGJ! きっと修正してくれたのね、ナマのまんまぢゃあんまりだから!

 表が写真で、裏が公演ロゴ。
 ……あれ、なんかシールが貼ってある。
 「池田プロ」とマルC付きで、猫の絵。
 そっか、著作権ね、『ベルばら』だから……って。

 まっつは『ベルばら』ちゃうやん。『EXCITER!!』やん。

 こんなシール貼るくらいなら、ベルナール@まっつスチール作ってよ?

 しつれーだわー。
 黒と赤の衣装を着た、赤い口紅のまっつは、池田御大とは無関係だもん。関係したくても、まっつはさせてもらってないんじゃん。ふーんだ(笑)。

 シールは早々に剥がして、『EXCITER!!』のロゴがよく見えるようにする。 

 グッズ作りが好きなので、写真を使ったオリジナルストラップ制作キットとか、好きで調べたりしているんだけど、そーゆー素人工作キットより、ずっとまともな作りでした。

 ころんとした触感がかわいい。意外。
 写真はともかく、公演ロゴのストラップ、つーのはわかりやすい記念品だ。いやその、写真はショーのものだから、あとから見たらどの公演かわかんなくなる可能性あるから……ゲフンゲフン。

 身につけることはないだろーけど、コレクションするにはいいかも。
 毎公演記念に作ってもいいかも。

 と。
 誕生日の祭りムードでやっちゃいましたー、のはずが、なんか本気な感じに……?(笑)

 でもって。
 毎回、まっつはメンバー入りしてくれるのかしら。(たとえばそのかは、前回は入っているけど、今回ははずれている)

 次の公演もまっつあったら、撮っちゃおうかなー……。ぼそり。
いざ、まっつとツーショット! その1。@宝塚ステージスタジオ
 ちょっと奥さん、ご存じでした?

 我らが未涼亜希さんと、ツーショット写真が撮れるんですってよ?!

 や、全国5万人のまっつファンには周知の事実とは思いますが、念のため(笑)。

 「ステージスタジオ」なるものが、大劇場内に、ある。
 宝塚変身写真館、と言った方が馴染み深いし、直感的にわかりやすいと思うんだが。いつの間にかカタカナ名前に変わっていたんだな。
 タカラヅカのレプリカ衣装を着て写真を撮れるアレだ。

 わたしは過去、2回か3回かは挑戦したことがある。もちろん娘役のドレスだ、金を出して着るからには! ……が、友人のリクエストで男役もやったかな……オレがマリコさんで、友人があやかちゃんだっけか、寄り添って写真に収まったな……そんな友人ももう1児の母、ヅカはとっくに卒業……あああれは若かった日のマボロシ……なんでオレひとりまだ独り身でヅカ通いしてんだ……るるるー(哀愁)。

 て、それはさておき、変身写真館には衣装着用でどうこう以外に、スターの顔写真と「わたし」で合成ツーショット写真を撮る、というサービスもやっている。

 そんなもんやるくらいなら、ふつーにジェンヌのデータ入りプリクラマシンをロビーに設置してくれよ、と心から思うが、それじゃ儲けにならないんだろう、ふつーに写真屋で証明写真撮るくらいの値段で、自動ではなく有人でやっている。

 有人。
 つまり、店員さんが、カメラで撮影する。

 ツーショとはいっても、ジェンヌさんはいない。
 たったひとりで顔だけ撮影されて、それをジェンヌさん写真と合成されるわけだ。

 だからそんなの! ふつーに考えてありえないから!(笑)

 
 でも、やってきました。(素)
 
 
「まっつグッズは恥ずかしくて買えないのに、あのツーショット写真が平気だなんて、その基準がわからない」とも、「これ撮るのって衣装着るのより恥ずかしくないですか?」という意見もいただいておりますが。

 大丈夫だ!(親指立て)

 
 まず、グッズを売店で買う、のはわたし的に日常の範囲。雑誌やDVDを買ったりする場所でしょ、キャトルレーヴ。
 日常の場所で、日常のわたしが「まっつグッズください……」と店員さんに言うのはすげー恥ずかしいのだ。

 が、変身写真館までいくと、あれは日常じゃない。
 特別、お祭り、ハレの日だ。
 家や職場やご近所の道で、ミッキーマウスのカチューシャしてたら変な人でも、ディズニーランドでなら平気でしょ? アレと同じ。
 キャトレという日常の場では恥ずかしくてできなくても、変身写真館なら平気。もーすでにあそこはイベントの場、祭りだわっしょい!!

 しかも、決行したのは9月29日。
 招き猫の日(9来る29福)であり、わたしのばーすでー。
 誕生日なら多少おちゃめなことをしても、自分に言い訳が立つ。

 自分へのプレゼント、いざまっつまっつ!!

 
 はい、つーことで、ここで変身写真館ツーショ写真レポートです。

 変身写真館はいつも混んでいるので、精神的余裕をもって撮影に臨みたい人、誰か知らない人が店にいる状態は気が引ける人は、上演中を狙いましょう。
 わたしは『ベルばら』上演中に行きました。や、ショーだけ観る場合、芝居の間は余裕のフリータイムですよ。

 ツーショ写真は「タカラヅカファンタジー」というわけわかんない名前がついているようだが、この正式名称で申し込む人はどれくらいいるんだろーか?(ちなみに、衣装を着て撮影するコースは「タカラヅカストーリー」というらしい。ナニこのネーミングセンス??)
 とりあえず「ツーショット写真お願いします」と言ってもいいし、カウンターに置いてある見本写真のアルバムや、カウンター脇に掲示してある見本写真を指さして「アレ撮りたいんですけど」と言っても店員さんには通じる。

 ちょうど前のお客がツーショアルバムを広げたまま去っていったので、わたしはそのアルバムを差し、「未涼さんでストラップを作りたいんですけど」と迷わず言いました。

 ツーショット写真で作れるのは、A4プリント、A5プリントと、ストラップのみ。
 このストラップっての、前はなかったぞ。ケロちゃんのとき(5年前? 6年前か?)は仕方なくA5の1050円プリントを注文した。

 でもさ、自分の顔を、そんなでかいサイズで見たいヤツがいるのか?
 あー、若くて美人な娘さんなら、でかくてもいいのかもなー。最近のお嬢さんたちってみんなキレイよね。
 でも、わたしは嫌だ(笑)。美しいジェンヌさんの顔は大きい紙でどーんとプリントしてくれて良いけど、わたしみたいな不細工なおばさんの顔は大画面でなんか見たくない。

 だからできあがる写真は、小さければ小さいほどイイ(笑)。

 つーことで、ストラップ決定。他に選択肢なし。

 自分の顔を見たくない、なのに何故ツーショ写真を注文するのか。

 それはもちろん、まっつがツーショット写真スター入りしたことがうれしいからデスヨ。
 他に理由はありません。

 公演プログラムのインタビューと同じ。
 いつもは買わないプログラムを購入したのと同じで、まっつがツーショ入りしたのなら、申し込むさ。

 ひとつの組に80人だか組子がいて、歌劇団に何百人生徒がいたって、この「変身写真館タカラヅカファンタジー」に写真が掲載される生徒はほんの一握りなの。
 ひとつの組で5~6人、全組合わせても30人ほどなのよ。

 まっつが、その一握りのメンバーに入った。
 ……というなら、それを支持するしかナイでしょう。ファンとしては。

 掲載はふつう、トップコンビと男役2~4番手くらいまで。
 各組2公演分データを用意してある。

 ……月組は、なんかカオスな顔ぶれだ……。だってデータが『エリザベート』なんだもん……トップ娘役不在で3番手以下不明っちゅーか横並びルドルフ役替わりに、ルキーニに……。

 宙組は現代的な『薔薇に降る雨』写真に、突然顔色の悪いホゲ様@ゆーひくん……。

 せつないのは、宙組、星組のページが抜け抜けだったこと。

 以前、ケロとツーショを撮ったときは、この見本アルバムには「退団した人の写真」もふつーに貼ってあった。もういない人だけれど、その公演にいたことはたしかだから、「この公演のデータでツーショット写真を撮りたい」と思ったら、選ぶことが出来たんだ。
 だけど今はもう、退団した人の写真は抹消してしまうらしい。

 2公演分のデータだから、前回の公演で退団した人の写真があったはずの場所は、そのまんま白く抜けているの。はがしたあとがあるの。

 宙組と星組は、トップコンビや番手のあった人たちの位置が、ずこっと空白だった。
 ここにはきっとタニちゃんが……ウメちゃんが……トウコちゃんが、あすかちゃんが、しいちゃんが……。涙。

 また、雪組にはとなみちゃんらしき空白があるし、花組はゆーひさんの不在がある。

 なんかもお、こんなところで劇団の激動人事に想いを馳せたりな……あああ。

 まあそんなこんな、波瀾万丈のタカラジェンヌたち、その1ページに我らがまっつも名を連ねたわけですよ。
 今回の『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』『EXCITER!!』ページに、まっつが載っているわけですよ。
 みんな『ベルばら』扮装写真なのに、気の毒にまっつだけショー写真ですよ。なにしろ台詞もない役ですから(笑)、芝居用のスチール撮ってもらってないのな。

 そんな扱いでもなんでも。

 まっつがここにいてくれることが、うれしい。
 まっつを必要としている人間が、ここにいる。

 そのキモチを示すために、ささやかだけど行動しているわけですよ。ええ、ささやかすぎて、ただの自己満足ですが。

 自分の顔とのツーショ写真なんてもんに、必要性はまったく感じていないけどな。

 続く~~。
 こあらった目線のオススメまっつ、『EXCITER!!』その4。

 中詰めの黒タキ祭りで盛り上がりすぎるせいか、そのあとのハバナはあまり好きじゃない。
 なにより、衣装が嫌い。
 それまでが燕尾やスーツやタキシードばかりだから、カラーを変える必要があったんだろうけど、そんな気遣いは無用だフジイ!!
 
 まあともかく。

 ここでもまっつは壮くんと一緒に登場。
 下手端で歌うアーサーに見とれていたら、まっつの「陽気に踊りながら登場だホイ♪」を見遅れてしまうので注意。

 なんか今回ほんと、壮くんと仲良しで、なんのサービスかと。

 軽薄タラシな壮くんに「やめとけよ」と言う、友人まっつ。
 ここもまた、そのときによってにスキンシップ度が上がっていることがある(笑)。

 二の腕をがしっと握って話したり、顔を近づけて喋っていたり。
 演じているうちについ大袈裟ってゆーか、激しくなっていくこともあるんだろうな、なにごとも。「タラシな友人をいさめる演技」も、それで単に熱っぽくなっていってるんだと思う。……が、見ていて愉快だ(笑)。

 横恋慕はやめておけ、と注意するだけあって、まっつにはちゃんと「ぼくの女の子」がいる。れみちゃんだ。……ナニ、その薄幸顔のカップル(笑)。

 喧噪の中、歌い出すまっつを見つめる、れみちゃんがステキです。すげーうっとりした目で、まっつを見つめているの。

 まっつにうっとり見とれる女の子って!! 新しい! 新しいわっ!
 大抵まっつの場合、つきあっていても惚れているのはまっつの方で、カノジョの方は「ま、こいつでいいか」的妥協の見える感じで。もしくはまあ、ふつうに対等っていうか、それほどラヴラヴでもないけどつきあうってこんな温度感がいちばん長続きするよね的平凡カップルか。

 それが、れみちゃんの方がまっつに惚れているのよ、この場面。このカップル。

 れみちゃんは歌うまっつをうっとり見つめているけれど、まっつは気づいていない。背中向けてやがりますから。
 まっつはれみちゃんを自分のカノジョだと思っているけど、いざとなると扱いはけっこーぞんざいっていうか、カノジョより友だちとか乱闘という男子世界の方が大事っぽい。

 まっつの方が、カノジョから愛されている! 女の子が目をハートにしてまっつを見ている! ナニ、その新境地。(どんだけ……)

 とりあえず、まっつをうっとり見つめてくれるれみちゃんにシンパシィ半端ないっす。れみちゃんステキ。

 乱闘シーンのわざとらしさは、けっこう萎えポイント。つか、まっつの転がり方が嘘くさくて(笑)。
 まっつが乱闘相手のマメを殴り飛ばすまではイイ。それで転がるマメはうまい。
 が、転がったマメがまっつを蹴るところ、ここでのまっつのふっ飛び方が、ありえない。
 だってさー、下からこう蹴って、どーしてこう吹っ飛ぶのよ?(見た人にしかわからないって、そんな説明・笑)
 ありえないでしょ。ドラマヲタクゆえにふつーにドラマのケンカ場面とかいくらでも見てきたし、少年マンガ育ちゆえに格闘マンガもアニメも山ほど見てきたけど、まっつのアレはナイわー、嘘臭いわー。
 マメのキックが当たったというなら、「うっ」と立ったまま受けるか、避けた振りをすればいいに。
 あの体勢からの蹴りで、関係ない方向へ曲がって吹っ飛ぶって、マメが人間ではないことになるよ? マメキックには人間離れしたパワーが込められ、かつ足首にありえない回転が掛かっていて、それゆえにまっつは吹っ飛び、しかもその回転にまきこまれてカラダも回転し、結果転倒した、としか思えないもん。
 マメの蹴りに大して力がないように見えて(あの体勢では力は入らない)、なのにまっつが「やられたーー!」って感じに転がるから、「当たってもいないのに、当たった振りして大袈裟に転んで見せて、ナニやってんのこの人?」に見える。
 ヤラセが見え見えの格闘シーンは萎える……(笑)。

 興奮するまっつを、らいが抱き留めるのはイイ。うん、まっつごとき、羽交い締め容易いでしょう(笑)。……て、らいだよな、アレ?(まっつしか見えていないのか)

 ファヌン様@まとぶん降臨で、まっつは下手端に倒れ伏す。
 盆には乗っていないので、まっつは固定。動かず。
 ライトが横から当たっているので、その輪郭を堪能。早めに顔を上げてファヌン様を見ていたり、いつまでもうつむいて歌を聴いていたりは、そのとき次第。
 早めに顔を上げているときの、横顔の輪郭が好き。

 ファヌン様の説教で改心?したまっつ、笑顔で何故かじゅりあちゃんとスキンシップ……ヲイヲイ、れみちゃんは?
 人数多くてごちゃっとしていてよくわかってないんだけど、じゅりあの背後にれみちゃんいるよね?
 じゅりあとしか触れあっていないときもあるけど、れみちゃんとアイコンタクトしているときもある? 背中しか見えない子と頷き合ってたときがあった、あれってれみちゃん?

 まあともかく、そっから先は、フジイくんのいつもの「新世界」。

 今回は演出もストーリーもあんまし好きぢゃないんだが、それでもまっつの満面の笑みが拝める、貴重場面。

 最後の最後で、まっつ笑顔。
 すげー笑顔。
 小さな歯がずらりと並んだ口をぱかっと開けて、怪獣みたいに笑ってる。いやその、まっつって大口開けると怪獣とか爬虫類っぽいってゆーか……ゲフンゲフン。

 あー……まっつが笑ってるー。あんなに歯を見せて、セサミのパペットみたいに笑ってるよー。
 ときめく~~(笑)。

 ここまでくしゃくしゃになってまっつが笑うことは、あまりない。
 だからこそ、まるで花火みたいにぱーんと笑うまっつが貴重。

 
 しかし。
 せっかくのラヴラヴなカノジョ、れみちゃんとは二度と絡まないのだった……フジイ……だから場面にオチをつけてくれよ……(笑)。

 人間愛だの明日への希望だのに目ざめたって、ステディなオンナノコ放置して笑って終わり、つーのは……。(まっつに限らず、他のみんなも、全員それまでの人間関係放置して終了)

 
 続く。
 まっつは、まとぶさんに対してはあまり冷たくなくないですか?(日本語微妙にもどかしい)

 こあらった目線のオススメまっつ、『EXCITER!!』その3。

 黒タキ祭りでのエロ標準装備のまっつ。
 美女彩音ちゃんにせまったあと、一旦上手端で傍観者やって、再度舞台中央へ出て、ひと踊りしたあと、色男まとぶんに絡む。

 そのときのまっつが、彩音ちゃんに迫ったり拒絶されたりしたときの冷徹さとはチガウってゆーか。
 まとぶん相手だと、どっか遊び心みたいなものがあり、鬼畜系にはなっていないとゆーか。

 まとぶんに後ろから抱きつくところ、まつださん耳の後ろでチューっぽい口してませんか?

 耳裏っちゅーか、首筋っちゅーか、そのへん。チューの口して、フッとやってますよね、あの人。唇が当たることは絶対ない離れっぷりだけど、息吹きかけでもしてんのかって感じにアクションを起こしている。
 それがクールというよりは、たのしそうなので、彩音ちゃん相手のときの本気っぷりとはチガウなー、と。や、まとぶん相手だと嘘気(本気の反対語。な、わけナイ)だというんじゃなくて。

 振りは毎回同じでも、表情はそのときどきで変化がある。まとぶん相手でも、すげぇクールでSに徹しているときもある。ので、すべてがそうってわけじゃない。
 それでも、まとぶさん相手のときの方が、変な意味も含めてノッている気がする(笑)。男相手ってのが久々だから、本人楽しいのかな?

 とゆーことで、まとめてみると。
 女の子(彩音ちゃん)相手だとドSで、男(壮くん)相手にくだけた笑顔で雑談し、男(まとぶん)相手だとたのしそうにエロい絡み方をする男、という設定。
 そう受け止めちゃっていいですかね、まつださん(笑)。

 や、極寒クールエロなまっつと、たのしそーなまっつと、たのしそーに悪のりエロなまっつと、いろんなまっつを見られて、ものすごく楽しんですが。

 とりあえずその中でいちばんアップで見てみたいのは、まとぶさん相手にノリノリでエロ絡みしているまっつですね。スカシてエロやってるまっつはわりとあるけど、内心ノリノリ?てな様子のまっつは久しぶりな気がする。『ファントム』フィナーレ以来?(アレも相手は男だったっけ……)

 トップさん相手のシーンだから、まっつのチューっぽい表情も劇団公式映像にアップで収録されるかしら。アップで見たい、ぜひぜひアップで見たいっ。
 と、考えて。あー、まっつひとりぢゃなく、男たちが一斉にまとぶさんに群がるから、アップにはならないな。全身像か膝から上程度にしかアップにならないんだろーな、全員映さなきゃならないから。
 と、考えて。トップさんにはトップさんだけの特別アングルってあったっけ、公式DVD。男たちにまとわりつかれているまとぶさんの、顔アップ収録されないかしら。そしたらまっつもどさくさにまぎれてアップで映り込むのに!!
 と、いろいろ考えて、気を揉む(笑)。

 で。
 ここまでエロエロと連発で書いて、絡みについて語っておきながら、実はそのエロ場面はいちばん好きな場面というか、振付ではなかったりする(笑)。

 もちろんエロもクールも大好物なので、がっつり食いついてるけどさ。
 それ以上に、身悶えするくらい好きなトコがある。

 それが、そのあとの場面。
 エロエロは一旦暗転で終了、次にライトが点いたときキャストもセットもそのままだが、がらりと音楽が変わり、別場面になる。(だからフジイくん、同じ演出続きすぎ・笑)

 それまでのエロが嘘のように、全員で元気に主題歌熱唱。
 手拍子と歓声、全開の笑顔、イキのいいヒーローソング。バチバチでガチガチですから!

 ここでの、まっつの腰振りが、さいこーに好きだっ。

 腰振り。
 ま っ つ の、腰 振 り、腰 使 いっ。

 はーはーはー。(落ち着け)

 
 今までずーっと上手ばかりにいたまっつがよーやく下手側にやってくる。まとぶん中心の下手側で、黒タキまっつはみんなと一緒にヒーロー主題歌熱唱。
 フィンガーアクション過多の威勢のいい振付なわけだが。

 その元気ソングの中の、指さしでもウインクでもなく、腰をクイッくいっクイッと横振りすることに、大いに反応。

 えーとねえーとね、

「♪マドンナのふりした 夜の蝶~~♪」で、指さし。
 続けて、「♪Ah~~、火傷するようなエキサイトラ~~ブ♪」の、「♪火傷するような♪」デスヨ、最高の腰振り!!

 ココ、ここがサイコーなのっ。
 わたし的にここがMAXなのっ。

 そのピキピキした腰振りが好きだっ。

 なんかもお、ハート直撃。

 他にもね、そのあと銀橋出てから「♪バチンバチンバチン」で腰振ってたりするし、そこの腰振りもダイスキなんだけど、この「火傷するような」を超える腰振りではないのっ。
 オープニングでも同じ曲・歌詞は踊ってるけど、振付チガウし。

 ココなの。ここだけなのよ~~。
 ココだけが、もっともわたしをアツく狂わせる(笑)。

 腰だけ語るのはアレだから、上半身は……えーっとたしか、両腕を上に、気怠く上げていきながら、左右に腰を強く動かしていた。

 なんで? なんでこんなにときめくの?
 『ラブ・シンフォニー』でもたしか、まっつの腰振りについて、あうあう悶えていた気がするが……。あそこもたしか、両腕あげて腰振るとこだっけ……? わたしのツボ? ツボなのか? こんな妙なところが?? うおおお。(アタマを抱えている)

 
 はー。
 オープニングに引き続き、この主題歌に震える。たのしい。この主題歌、このショー、たのしすぎるっ。

 もともとアニメ系好きだからさー。ヒーローソングに馴染みあるからさー。演歌やムード歌謡より一昔前の特撮主題歌風の方が、ダイレクトに心に届くわー。(ヅカの音楽比率としては圧倒的に演歌・ムード歌謡>アニメ・特撮ソングだけどさ)

 指さしが多いのも、単純にうれしいなー。
 まっつの指さしが真っ直ぐにオペラ越しに飛び込んでくることがあるのよ。
「うわっ、まっつに串刺しにされたっ」
 って、思うもん。(オペラ越しです、距離めちゃくちゃ遠いです、100%カンチガイです)

 黒タキまっつが好物過ぎます。

 いつかヒゲ付けてやってください。伏してお願いしまっつ。(はぁはぁはぁ)
 初日を観たあとに「コレを新公でやるの……?」「大変だね下級生」「がんばれ、だいもん」などなど、仲間内で話題になったが。
 鬱も過ぎれば突き抜ける。なにごともポジティヴ・シンキング。

「ゆまちゃん、初ヒロインおめでとう」

「チガウよ、ヒロインじゃなくて主役だよ」

 だってこれは、『外伝 ベルサイユのばら-マロングラッセ編-』だもんね。マロングラッセが主人公なんだから、新公でも主人公なのはゆまちゃんじゃん!

「そっかー、ゆまちゃん主役かあ」
「すごいねゆまちゃん!」

 ……みんなそろって現実逃避しているだけですけどね、はい。

 新人公演『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の感想、続き。

 ええ、我らがゆまちゃんは、とってもキュートに主役を務めておりました。
 もっとも多い出番、もっとも多い台詞。そして物語のキーパーソン……とゆーかすべてを握る人物。

 わたしはもう『ベルばら』の登場人物がなにか喋っているとき、ただの「音」として聞き、その意味を脳みそには伝達しない、という癖が付いているので、実のところマロングラッセの演技がどうであったのか、よくわかっていません。
 ただ、とてもかわいいおばーちゃんだったということは、たしかです。
 愛くるしさとアニメっぽさがあるので、台詞や役割のブラックさを軽減していたのではないかと。

 ゆまちゃんというと、『マラケシュ』博多座の超棒読み台詞が有名ですが、あそこからはじまって、ほんとにお芝居うまくなったよねえええ。
 アンドレ@だいもんとの芝居も、同期同士で良い空気感だった。
 
 美貌と華やかさを封じられた老婆役が新公最後の役というのは残念極まりないが、それでもなんつっても主役だからよかったのだと思おう……思うしかない……ちくしょー、責任者出せー! こんな脚本書いた役に責任取らせろー!!

 
 と、気を抜くとつい、暴れたくなるんだが、もう作品のアレさについては考えたくもないのでスルーして、他のキャラクタの話。

 さて、主人公はマロングラッセ。アンドレはその相手役かな。
 そして準主役はというと。

 イマッチ、準主役おめでとー!!

 『外伝 ベルサイユのばら-マロングラッセ編-』の2番手役は、ブイエ将軍@イマッチだよね?
 や、スカフェになってくれたおかげで、「イマッチさん」という呼び方が耳に馴染みましたよ、真瀬くん。

 いやあ、ブイエ将軍かっこよかったっす。
 なにあのチョイ悪オヤジ(笑)。

 悪役ぢゃないの、ちょっとワルぶった、でも愛すべき美中年なの。枯れる一歩手前の飄々とした自由さがある。
 最初の娼館……ぢゃなくて、酒場に現れたときの二枚目ぶりってば。おおお、なんかかっこいい男が現れたぞー、と思える。

 マリーズ@あまちゃきを口説いても、いやらしさよりも、ロマンがある。
 悪いがわたしには「平民の三十路女を養女にする大貴族・平民への差別感バリバリ中年男」なんて設定を信じていません。
 ブイエ将軍はマリーズを愛人にしたんだと思う。だけど、そこはキャラクタと描き方の問題だと思う。

 イマッチのブイエ将軍は、ほんとーにマリーズのことを想っていそうだ。
 養女というのは本当で、きっと指一本触れずに、ただそばに置くんだろうなと。

 純愛ですよ、純愛。

 酒場勤めなんてさせたくない、手元で見守りたい、幸せにしてやりたい……それだけの思いで、男として彼女を愛しながら、好々爺のふりをしているわけですよ……! 自分の恋情が彼女の人生の負担にならないようにと……!

 いい男だ、ブイエ将軍。
 マリーズはきっと、アンドレの死後やがて真実の愛に気づくのよ。
 自分をずっと見守ってくれていた、広い大地のような愛に。ほろり。

 
 でもって、そのマリーズ@あまちゃき。
 大変だね、初ヒロインがこんな役って……。

 あまちゃきの最大の魅力は、純朴な少女としての魅力にあふれていること。
 「少女」であることが違和感ないってのは、ある意味強い。

 マリーズは、若く幼い女の子だった。
 実年齢がどうあれ(笑)、恋に恋して道を踏み外してしまう少女の純粋さを感じられた。
 30女には見えないから、ケータイ小説世代のオンナノコとして視界に入ってくる。やー、運命の恋は大好物って世代ね。障害とか別れとか裏切りとか(笑)。

 本役さんだと精神か知能か、発育になにか障害がある系のこわさが漂う、アンドレとの再会シーンも、未熟な若い少女の逆ギレっぽく見えてセーフ。
 女子高生ナメたらイカンよなあ、これぐらいの復讐、脊髄反射でしちゃうよなあ、と。

 だけど邪悪なわけではないから、そのあと本気で後悔して泣き崩れるのもわかる。
 泣いて懺悔すれば赦されると思ってるあたりのゆるさも、いかにも女子高生っていうか。

 大丈夫、君にはブイエ将軍がいるよ。
 空と君との間に冷たい雨が降っていてもだ、たとえ悪になっても君を守ってくれるブイエ将軍の愛に、早く気づいてあげたまえ。

 少女のかわいらしさは抜群だが、ドレスを着て大人の美女に変身したときは、あまり「おおっ」という感動につながっていない気がするので、さらに女ぶりを磨いて洗練された美女に育ってくれるとうれしいな。
 や、あの少女っぽいやわらかなラインとあどけない風情が、かわいくてならないんだが。

 
 娼館……ぢゃなくて、酒場のマダム@くまくまちゃんは、余裕の第3ヒロインぶり。

 え、『外伝 ベルサイユのばら-マロングラッセ編-』って、主人公マロングラッセ、その相手役アンドレ(ヒロイン)、2番手ブイエ将軍、その相手役マリーズ(準ヒロイン)、でもって第3ヒロインがマダムだよね?
 なかもー、わけわかんないけども。

 くまちゃんのマダムっぷりがもお、ステキでステキで。
 美人で押し出しが良くて歌がうまくて、もおサイコー。
 まだまだ現役のいい女、若い恋人の3~4人は囲ってそうだ。

 ブイエ将軍とは昔恋バナが……というよりは、同じ相手を取り合った恋敵、今は気の置けない友人、とか、そんな男同士の関係に思える。
 くまちゃんは本役さんとちがって女にしか見えないし、若くて肉食系がっつりに見えるのに、ブイエ将軍とは男同士の関係に近いって……(笑)。
 昔取り合った相手ってのは、男かしら、女かしら。どっちもありそーだ♪ とかな。

 余裕で演じるくまちゃんの懐の深さと実力にくらくらしていたのに。

 実はいちばんウケまくったのは、最後の天国場面です。

 美しく昇天していくアンドレ……あああ、白い軍服が美しい……でも襟はもっと短いヤツにしてやってくれ……と思ってのぞいているオペラグラスの視界の中に。

 超ヤル気満々、鼻息荒っ、の、くまちゃんのすんごい笑顔がっ!!

 またイイ位置で踊ってるもんだから、アンドレ@だいもんを見ると必ず目に入るのよ、飛び込んでくるのよ!!
 やる気満々の笑顔が。戦闘意欲満々、エンジン全開、そのへんのもんなんか跳ね飛ばして爆走するぜ!なステキ笑顔が。

 あああ、くまちゃんダイスキだー。

 終演後にnanaタンとふたり、「天使のくまちゃんがっ」と地団駄踏んで喜んださ。
 いやあ、アレは目が離せないってばよー。

 
 アラン@嶺乃くんは、思ったよりぜんぜんきれいなアランだった。『愛と死のアラビア』新公よりはずっと男役になっていた。つか、丁寧に本役さんをなぞっていた。
 役が役だから、大変だよなあほんと。健闘していたと思う。

 フェルゼン@鳳くんもまた、あんな役だから大変だよなあ。
 まともに演じてしまうと、フェルゼンってただのイヤナヤツで終始するので、この役を演じるにはなにかしらファンタジーが必要なんだと思う。
 浮世離れした美貌とか、異次元的な愛嬌とか。本役さんはアレ、すげーファンタジーが成立してると思うよ、「こいつ絶対ヒトの話聞いてねえ!(笑)」と思わせてくれるもの。
 ふつーの人が演じると、ツッコミも入れられなくて困るよなあ。

 
 カロンヌ伯爵夫人@れみちゃんは堂々たる貴婦人ぶりだったけれど、やっぱり彼女は「娘役」だなと思った。
 この「カーテン前説明婦人団体」には、男役が演じるだけの理由があるんだなと。本役さんのもつ説得力は、いわゆる「路線娘役」が持たないスキルであり、持たなくてもいいスキルなんだなと。

 あ、この婦人団体の中、はるちゃんがやたらキラキラして目を引いた。やっぱ彼女派手だなー、存在が。

 
 みちるタンはステキにみちるタンで、村人だとか衛兵隊だとかやっていたけれど、……ううむ、ちょっと最近やりすぎている気がしている。
 この芸風でこの立ち位置でいくならば、もう少しキレイになって欲しい。ここはタカラヅカだから。
 せっかく歌えて演技が出来るんだから、あとは最低限ラインの体型やフェイスを保ってほしいっす。もったいないよー。

 仙名さんをすっかり見失っていたんだが、最後の天使でよーやく捕獲。大階段にたった3人で(少なっ)コーラスしてました。
 歌ウマさんだからなー。

 姫花ちゃんの破壊力は健在、どこにいてもひとこと喋れば「あ、姫花だ」とわかる(笑)。
 あの美貌であの声と芝居……いやあ、キャラ立ってますなあ。

 美貌と言えば研1の柚カレー(誤変換)くんは目立つなあ。なんかまた衛兵隊やってたけど。本役と新公役が同じでも、それでもまだ軍服を着こなせないあたりが初々しい。ええ、革命場面の市民役も、本役さんの衣装だからとはいえ、あの「服の中でカラダが泳いでる感」ってのは……(笑)。
 がんばれー。

  
 89期はこれで新公卒業かあ。
 ゆまちゃんに新公ヒロイン、一度はしてほしかったなあ。
 新人公演『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の感想、続き。

 新人公演は1回限り。
 だから拍手がアツい。拍手が多い。開演アナウンスで拍手して、主役登場時に拍手して。
 舞台の上もだが、客席もまたアツいのだ。
 それが心地いい。

 これは本公演でもそうなんだけど、衛兵隊登場時の拍手のすごいことったら(笑)。
 みんなみんな、待ってたんだね。待ちわびていたんだね。この「作品」に辟易しているがゆえに。
 単調な紙芝居演出と無意味な真正面向いてひとりずつ説明台詞のオンパレード、歌もダンスもないまま少人数棒立ち場面の連続に、我慢の限界も近いなってときだからね。
 威勢のいい音楽と、威勢のいいイケメンズたち登場に、観客が心から拍手を送っている。

 てゆーか、瀬戸くんかっこいい。

 花組新公学年イケメンを代表するひとり。前回の新公に続き、なんてオトコマエぶり!
 本公演の衛兵隊でも、実は彼の顔をぼーっと眺めていたりする(笑)。だってかっこいいんだもん。

 顔も整っているけど、わたし的にはあの体格ですな、胸にずきゅんとクる(笑)のは。
 肩とか胸板とかが好きです。ラインが好みです。
 瀬戸くんの役が目立つのは、衛兵隊登場時の歌とダンスのみ、あとはみんなアランに役割を託してしまうので、他の衛兵隊のみんなと一緒に「1列に並んで説明台詞を順番に話す」だけの存在になる。

 瀬戸くんは健康的なオトコマエだなと思う。
 だから真っ正直に「オトコマエ勝負」をする衛兵隊でキラキラしている。
 「武器を持って闘う強い男」という点では前回の新公チョロ@『太王四神記』も同じなんだけど、チョロ役は本役がめお様だったために瀬戸くんでは耽美度と「変な人度」が下がり、「ふつーにハンサム」あたりへ落ち着いてしまった。
 チョロが変で耽美なヒトである必要があるかないかは置いておいて(星組版はふつーの人だったし。めおくんならではのチョロでしょアレは)、インパクトという点ではかなり落ちていたのはたしか。
 しかし今回は、みょーな特色ナシに、自分の持ち味で真っ向勝負が出来る。まっすぐに「前へ」オーラを発散していい役。

 オラオラと漢っぽく舞台センターで歌い踊る瀬戸くんは、そりゃーもー安心できるかっこよさでした。
 もっとまともに演技している彼を見てみたいなあ……。植爺の『ベルばら』じゃ主役級か専科さん以外は演技やキャラクタを堪能するところまで書き込まれないし、出番もないもんなあ。「1列に並んで説明台詞を順番に話す」だけだもんなあ。

 
 酒場のおかみさん@くまくまちゃんを除いて、いちばん鼻息が荒くこの新公に臨んでいたのは、オスカル@がりんくんだと思う。くまちゃんの鼻息が荒いのはいつものことなので置くとして(笑)、研3のがりんくんのオスカルは大役、抜擢だ、あれくらい鼻息荒くてナンボでしょう。
 
 オスカルの白パンツは男役泣かせの難しい衣装、ラインがまんま出てしまうので女らしい丸々した桃尻ぶりだとか、太股の肉感が隠せないんだよね。新公学年でオスカル・パンツを着こなすのは至難の業だと思う。
 さらに金髪巻き毛も膨張色でフェイスラインが膨れて見える。よっぽど細面でないと丸顔に見えてしまう罠。
 ……とゆーことで、外見的には難易度の高い役だ。
 が、中身はというと、実はけっこー難易度が低い。
 「男装した女の子」でいいので、まだ男役になっていない発展途上の女の子がそのまま演じればなんとかなるんだ。女の子の声、女の子の立ち居振る舞いでも、まかり通る。

 極端な意見になるが、「オスカル」という役の意義は、「劇団が期待している生徒」ということと、「外見の美しさ」にある……と思う。
 もちろんそれだけでないことは重々承知だが、大雑把にまとめるとそんな感じ。

 外見はともかく、新公オスカルで芝居ができてなかったのって、宙組のあいりくんぐらいしか思い出せない。ふつーに数年間路線スターとして注目されてきた若手男役なら、オスカルの芝居自体はできる。男装した女の子、ならば素のまんまでも大丈夫なんだから。
 学年的ふつーレベルの芝居さえできればそれでOK、あとはひたすら「外見の美しさ」勝負。
 そーゆー意味でもオスカル役ってのは、たしかに「タカラヅカ」を象徴する役だ。
 
 がりんくんは、十分うまかった。
 男装の麗人というよりは、「女の子」を全面に出したオスカル。外見はやはり丸さとの戦い。丸く見えて当然のオスカル衣装やカツラとの戦い。
 女の子としてきれいな声でクリアに話し、女らしいかわいらしい仕草でラヴシーンに臨む。
 膨張必至のカツラや白パンツのおかげでスレンダーには見えないものの、十分きれいなオスカルだったと思う。

 愉快だったのは、植爺オスカルらしい女々しさに満ちた独白シーンのあと、「誰だ!」と叫ぶ声の唐突な男らしさ(笑)。
 衛兵隊との場面があったりしたら、この凛々しい声ももっと聞けたのかも……と思わせる。
 今回は男としての芝居ではないので、男役としてどの程度うまいのかはよくわからない。若い女の子役(娘役は別スキルだから、娘役としてぢゃないぞ)ならば、十分演技できるんだとわかった。
 前回の新公も子役寄りの役作りだったし、大人の男は演じられるんだろうか、今後はソレを知りたい。(前回の新公の本役と新公役のふたりで、今回はオスアンやって愛し合ってるのね・笑)

 臆するよりも挑んでいく感じの舞台姿がイイなあ。
 や、挑むよーに「女らしく、しなだれかかる」演技っぷりもステキ(笑)。
 アンドレに告白するとこは少女マンガ的にかわいーぞー。お目々うるうる、星が飛ぶ勢いで。
 
 がりんくんも歌ウマさんだから、ちゃんと歌のあるミュージカルでだいもんとのコンビを見てみたかったなあ……。
 本公演の子アンドレ役でも、方言で観客に笑われつつも、歌い出すと「あ、ここはヨシモトぢゃなくてタカラヅカだったんだ!」というきれいな歌声を披露してるもんなー。
 
 
 本公演は一見さんも多いので、最初の子役たちの唐突な方言に日々失笑がわき続けているが、ファンが客席のほとんどを占める新公では笑いが起こらなかった。みんなもう、あきらめているもの。本人たちの責任ではないところで笑ったら、役者が気の毒だもの。
 主要キャラ初登場場面や銀橋ソロの位置もわかっているから、確実に大きな拍手が入る。なんて通な空間。
 ……だからこそ、主要キャラの中で唯一「拍手が起こらなかった」ヒトがいたのはびっくりだ……。タイミング的に入れにくいことと、みんながそろってオペラグラスをのぞいていたせいかもしれないけど、東宝では無事拍手が入ることを祈る。ナイとさみしい。(わたしはオペラのぞいていて、拍手できなかった人だ・笑)
 花組新人公演『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の感想。

「だいもんに、オサ様の新公やらせたかったっ」

 帰り道、友人たちと熱弁。
 「歌」という武器。「歌」という説得力。
 だいもんが持つ、もっとも顕著な能力。

 だいもんくんは実力者で、演技にしろ派手な顔芸にしろ(笑)、全部ひっくるめたパッショネイトな芸風にしろ、高水準を保っている。
 そして、歌唱力はさらに高いんだよね。
 ただ「正しい音階で歌える」だけではなく、「歌で芝居をする」ことができるの。
 その純粋な心を、そのままに音楽にすることが出来る。

 だからこそ、彼の特質をもっとも表現できるのは稀代の歌手であった、オサ様の役だったと思う。

「だいもんで『アデュー・マルセイユ』が見たかった」
「『黒蜥蜴』でもいいよ」
「トカゲぇェ~~♪を熱唱するだいもん、見てみてぇ!」

 だいもんの芝居は、いつも熱い。高温多湿。冷めていたり引いていたり諦観したりは決して、しない。彼はいつも「舞台が好き、芝居が好き、歌が好き」と感じる芝居をする。舞台にいることが、たのしくてならないように。
 本公演でろくな役もつかないまま、すみっこにその他大勢として立っているときだって、それがビンビン伝わってくる。
 その舞台への愛情、アグレッシヴさが、新公は演じること、表現することのできる「役」があるため、より一層強く発散される。
 プラスの感情っていうのは、伝わるんだ。
 だいもんが舞台を好きで、タカラヅカを好きで、それゆえに今舞台に立ち、作品を愛し役を愛し、真摯に誠実にすべてのものと向き合っているのがわかる。
 その素直な感情が、素直に芝居になる。素直に、歌になる。

 アンドレ@だいもんは、なんかもーやたらめったら、ピュアでした。
 見ていて泣けてくるような純粋さ。
 ほんとーに心がキレイで、疑うこともなく生き、オスカルを愛しているんだなと。

 心の動きが繊細で、ひとつひとつの反応が新鮮で純粋で、見ていてはっとさせられる。ああそうか、そうなのか、と。
 生まれたばかりの子馬が、おぼつかなくも走り出すような。彼の目に映る世界は、何十年もすでに生きてきたわたしとは別のモノに映っているんだろうな、と思えるような。

 アンドレは、ピュアでありすぎたために、この不浄な現実には長く留まれなかった天使なんだ……。
 だから最後、天使たちが迎えに来るんだ……パトラッシュ、ボクはもう疲れたよ……。ラララ……。

 だいもんは植爺の型芝居なんかより、もっとナチュラルな「表現力・芝居力」を必要とする真っ当なミュージカルの方が任に合っていると思う。
 それでも、実に丁寧に「植田歌舞伎」をやる姿に実力派ゆえの底力を見た。向いてない芝居も作品も、ちゃんとカラーを変えてこなすんだねええ。

 てゆーかほんと、一見派手なだけでつまんない曲だよな、『ベルばら』の楽曲って。や、派手でわかりやすくておぼえやすくて素人が真似して歌ったり遊んだりしやすくて、大衆演劇に必要なテイストだとわかっているけど。こーゆーハリボテ世界を作ることが出来るのが、植爺の能力だとは思っているけど。(たとえば正塚とかは、やろうとしてもできないだろーし)

 本公演でだってもちろん納得も満足もカケラもしていないが、それにしても新公ではさらに曲への不満が募った。
 つまらない。こんなストーリーと関係ない、場をぶった切って「主役だから・トップスターだから」というだけで銀橋を歩きながら1曲どーでもいい曲を歌う、のではなく、「物語」のある曲を聴きたかった。
 ストーリーが盛り上がり、人間の感情を表現する手段として、テーマをよりドラマティックに彩る手段として、台詞がそのまま歌になるよーな「ミュージカル」をだいもんで見たかった。

 てゆーか、歌少ない……。もっと歌を聴きたい、次の歌はいつだっけ、と思う新公は久しぶり。
 ああ、みっちゃん主演だった『飛鳥夕映え』以来だな。

 だからこそ、「オサ様の役を見たかった」になる。
 脚本がどうあれ演出がどうあれ、歌の力で全部ねじ伏せていった、かの偉大なヒト(笑)の役を、歌を、だいもんで見て・聴いてみたかった。

「オサ様の役で、作品で新公やらせてあげてほしかったよ……」
「『マルセイユ』でも『トカゲぇェ~~』でもいいから、スーツ物でさ」

「コスチューム物は、可哀想だよ」

 うん。
 だいもん、ほんと実力派だし歌ウマだし美人だし。期待の新人なんだけど。

 なんでもできる優等生でありながら、以前行ったトークショーでは終始オタオタしたドジっこだったり、こっそり参加した某フェアウェル・パーティでダダ泣きしていて、泣きすぎで挨拶できず同期に介抱されていたり(笑)、堂々たる舞台とのギャップの大きさが魅力の愛すべき若者なんだけど。
 もちろんわたしはダイスキなんだけど。

 コスチューム物は……あああ、今回ほんっと似合わない衣装ばっかで大変ナリ。アンドレの衣装ってなんであんな、「首の長さ」が必要な衣装ばっかしなの?!
 シャツの襟、高すぎだよ。軍服の襟、高すぎだよ。くぅぅ……。

 いや、それは新公だから、本人に合わせた衣装ぢゃないから、仕方ないということで……たとえコスチューム物でも本公演で本役ならもう少し考慮したお衣装にしてもらえるはずだしっ。

 だいもんでマジにミュージカル見たいっす。
 彼にちゃんとした役を、出番を。
 ……今度のバウに期待しまっつ。
 アーサーに、タムドク@『太王四神記 Ver.II』やらせたいっ。

 新人公演『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』を観ながら、いや、正確には革命場面を観ながら、痛感していました。

 『太王四神記』ではないです、『太王四神記 Ver.II』です。花組版ではなく、星組版(笑)。

 ベルナール@アーサーは、すげー傲慢かつ、冷酷でした。

 なんなの、あの悪役っぷり!!(笑)

 黒いんですよあの人!
 傲慢なんですよあの人!
 自分のこと英雄だと思ってますよ。
 実際、英雄だと思いますよ。
 アンドレ@だいもんは途中で倒れてしまうわけだしね。革命勝利の旗を振るのはベルナールなわけだしね。
 このあと彼は絶対、傲慢な支配者になるんですね。ギロチンによる恐怖政治を行うわけですね!(それってロベスピエール……)

 はぁはぁ。
 や、とにかくね。

 アーサーが、めちゃくちゃ格好良かった。

 善人に見えないところが、とくにカッコイイっす。イヤナヤツだけど間違いなく魅力的で、傲慢冷酷だけど指導力のあるリーダー、だというところが、たまりません!

 もー、れおんくんに激似。

 今までもれおん似だということは言われてきたけれど、わたしはそれほど思っていたわけじゃないんだが(あー、似てるわねー、程度)、今回はもう脱帽。マジ似てる。
 かっこいー。
 めちゃくちゃかっこいー。

 いやその、カツラはアレでいいのかとか、お化粧もちょっと微妙ぢゃなかったかとか、本公演の衛兵隊役の方が作り込まれていて単純なビジュアルは上だと思っているんだが、そーゆー末端の話でなく、役作りというか、「ベルナール」というキャラクタ全体が格好良かったの。

 まっつとは、まったくキャラクタのちがうベルナールさんでした。
 まっつはある意味神経質さがあるんだよね。でもアーサーにはそんなもんナイ。どーんと強い。
 そして、この男、アンドレに対して、なんの負い目もない。
 気にしてませんよ、まったく。
 戦いの最中一度も弱くならず、終始一貫して前を向いて強く強く闘い続ける。

 カリスマ系の男性的なリーダー。
 黙って俺に付いてこい。刃向かう奴、離反する奴は抹殺する。それが当然、俺が正義。俺が神。

 アーサーって今まで、いわゆる「二枚目役」がつかなかったじゃん? 脇のおっさん役とかばっかで。
 二枚目系やったら、こーゆーことになんの?
 王者系なキャラクタ。

 長身とバランスのいい着こなし、群舞センターを締める大輪の華っぷり。
 押し出しのいい歌声といい、目の覚める感じ。

 わたし好みど真ん中の、傲慢ドSキャラ……!!

 タムドクやってー、『太王四神記 Ver.II』やってー!
 歌ウマだし台詞声いいし、体格いいし。顔はれおんくんだし、タムドクプレイ見たいよー!(プレイ言うな)

 
 そして今回はじめて、冷静につーか、客観的に革命場面を見回すことが出来たのね。
 本公演は視界が限られていて、全体はほとんど見られずにいるので(笑)。

 オペラも使わずふつーに眺めてみて。
 しみじみ、思った。

 ベルナールって、いい役だなヲイ。

 なんかすげーかっこいい役だ。
 本公演では、自分のご贔屓だってことや、台詞がないとか出番がコレだけとか、いろんな要因で冷静になっていない部分がある。
 まっつしか見てないから、まっつが全体の中でどんなふうなのかとか、よくわかってないし。

 そっかあ、こんな風に見えるんだ。こんな位置取りで、こんな感じで存在しているんだ。

 今さらそんなことに感心した。
 

 あ、とーぜんですが、アーサーくん、まっつと衣装違ってました(笑)。
 ごめんねえ、まっつ小さいからさぁ。細いからさぁ。長身で男らしい体格の若者には、着回せないよねええ。
 めぐむのときも別衣装になっていたし、すまんねええ。
 んで、本役の衣装が着られないときは、よく似た別の、さらに地味目の衣装に変更するっていう決まりなのかな? めぐむもそうだったけど、アーサーもさらに地味な衣装になってた。

 アーサー格好いい、しか言っていないが、文字数中途半端だから一旦筆を置く。
 だいもんの話はまた明日~~。
 『EXCITER!!』です、まっつです、こあらった目線のオススメまっつです。

 黒黒赤金でキメキメだったオープニングから一転して、次は白です。
 天才デザイナー@はっちさんが狂言回しとなる、5分でわかる服飾史(笑)。ロココ衣装からはじまって、現代へと下っていくわけだ。
 まっつは3組目、きらりちゃんとカップルでジャズエイジ。まっつは白タキ、きらりちゃんはフラッパーガール。『ギャツビー』や『THE LAST PARTY』の、あの時代ですな。

 まっつきらりって、なんか新鮮。
 きらりちゃんの持つスキルは「華」。苦手としているものは「歌」。すなわち、まっつと正反対のお嬢さんなので、このカップリングはなかなかどーして良い相乗効果。

 アップテンポの曲に乗って、なんかすごくまっつらしいジャズぶり。
 『TUXEDO JAZZ』とかで見かけた、まっつらしいまっつ。
 二枚目然とスカシながらもどっかコミカルで、リードしていながらも根っこは女の子に押さえられていそうな、軽妙な男。

 初見からして「うわ、また難しい歌、歌わされて」と思った。
 正しい音程で歌う、というのも必要なことだけど、まっつの場合そこに「正しいリズム」が加わるというか。『エンカレッジコンサート』の「And All That Jazz」だとか、この間の『Red Hot Sea』の幽霊船の歌手だとか。メロディだけでも大変そうだけど、これをこのリズムで、このビート感で歌うのか、と感心したもんだ。
 勢いだけで、雰囲気だけで、歌うのではなく、ほんとーに丁寧にリズム刻んで歌う姿に拍手。
 
 で、そんな大変な歌を歌っているわりに、場面はおちゃめでダンスはコミカル。

 とにかく「かわいこちゃん」な振りとキメポーズがついているのが、おかしくてならない。
 指を一本立てて片足曲げてぴょんっと飛ぶのが、さいこーっす。
 まっつだから、余計オカシイ。
 もともとかわいこちゃん属性、アイドル系の子がやればふつーに「かわいい♪」で済むんだろうけど、なにしろまっつだから。
 かわいこちゃんでもアイドルでも、ましてや若手でもないので。
 もうおっさんカテゴリに片足突っ込んだ、いぶし銀のクールビューティ(研12、花組で上から9人目)が「ナニをトチ狂ったんだ」的はしゃぎっぷりなのが、可愛すぎる(笑)。

 いやいやいや、まっつまだまだ若いなー。
 アイドル大丈夫、若者もぜんぜんOK!(笑)←笑うのか。

 カップルで銀橋を渡ったあとは、本舞台カーテン前に全員集合。
 男たちも女の子たちも、みんな白い衣装なので、デザインも時代もばらばらなんだが、見ていてきれい。
 いろいろ入れ混ざって歌い踊るけれど、最後はそれぞれのパートナーとがっちり組んでキメポーズで暗転。

 ……が、そのまま次景へ。て、フジイくんこのパターン多いな。

 ポイントはこのライトが消えたあとっすよ。
 カーテンが開き、中では次のミュージカル場面の立ちベッド(笑)がせり上がってきている。
 夢見心地のMr.YU@まとぶんと、黒鳥たちが現れる中、白衣装のカップルたちもそれぞれ反応してるのね。

 まっつは二枚目白タキ男らしく、すげーかっこつけてMr.YUを眺め、さらに彼の寝言「あの子もキレイ、あの子もセクシィ……」に合わせて、じつにまっつらしいキザキザポーズを取っている。

 あー、独特のかっこつけ、好きだー。
 腕の表情がきれいで、ぴしっと決まっているがゆえに、さらにおかしいという。

 そのあと、きらりちゃんをエスコートして下手へはけていくのも萌え。

 
 で。
 黒赤金変わり燕尾→白タキ、と来て、お次が黒タキですよ、お客さん!!

 お待ちかね、花組ならではの男祭り、黒タキ祭りです!

 まっつは最初から壮くんと一緒に板付き登場。壮くんの隣、上手側です、ライト当たるのちょっと遅れるけど見逃すな。
 奥から前へ歩いて登場、彼が定位置に来るころには他の黒タキ男たち、ドレスの女たちも勢揃い。つか、人口密度高ぇ。

 セクシー全開。
 やたら指さし、フィンガーアクション過多の振付がたまりません!!

 まっつのね、手が好きなの、手。
 腕の動き、指の表情、きれいよね。

 振付がそっち重視だから、まっつの手の美しさを堪能できまっつ。

 ここの後ろがたしかマメで。
 マメの濃いぃやりすぎ感漂うダンスと、同じ振付とは思えないのが、ひそかなツボ(笑)。
 まっつ温度低い! クール全開! エッジの鋭角さ全開! でもって後ろのマメ、高温注意! ねばっこさ注意!(笑)

 壮くんの歌で1曲踊って、そのあとアンニュイに上手端へ。
 舞台中央にはみわっちが登場しているっぽい。(よくわかっていない)

 みわさんのねちっこい歌声(誉めてます)が響く中、まっつはずっと上手端の壁際にいる。いちばん端っこ。いちばん客席寄り。
 遅れて壮くんがやってきて、手前の椅子に坐る。

 ここは自由なのか、そのときどきで微妙に違っている。
 
 好きなのは、先に来たまっつが黒服よろしく腕を広げ「どうぞ」と壮くんに椅子を勧める姿。
 壮くんが「ああ」と肯いて、とーぜんのよーに椅子に坐る姿。

 傍観者よろしく中央のショーを鑑賞しつつ、「踊れHotNight♪」で、気怠くされどかっこつけてアクションを決める姿。

 坐っている壮くんに立ったまま話しかける姿。
 また、坐っている壮くんの話を聞くために腰をかがめ、内緒話のよーに耳元でなにやらささやいている姿。

 まっつ×えりたん!
 ジオラモ×モーリスだったわたし(笑)としては、たのしすぎる場面っすよ!

 や、ほんと日替わりなので、そのときどきでやってることチガウんだけど。
 まっつは壮くん関係なしにひとり離れて立ったまま、服を直すのに必死だったり、こっそり顔の汗を指で拭いてまわるのに忙しかったりすることも、あるんだけど。
 壮くんと絡みの多いときは、よりたのしいっす。

 そして、舞台中央での歌手が変わったらしく「オレの出番だ」と、歩き出す姿。坐ったままの壮くんに手を振って。壮くんも鷹揚に手を振り返し、この一種共犯者めいた「男同士の目線」がすげー好き(笑)。

  
 中央で歌っているのは、赤いドレスの彩音ちゃん。
 彼女の歌に合わせてセクシーに踊る男たち。まっつとみつるがシンメになってるのかな。(反対側がよくわかっていない)

 男たちがひとりずつ彩音ちゃんに絡み、でも相手にされない、とゆーのを繰り返す。

 まっつは後ろから抱きついて、手首の内側にキスする。

 このキスするときの顔もですが、実はいちばんエロいのは、キスをはねのけられたあとだと思う。

 すげー冷たい眼。

 海馬帝国のファーストレディの座を蹴った女を、「バカな女だ」と言い捨てたときのマッドな眼ですよ!!

 ナニあのナチュラルに鬼畜な上から目線。
 冷ややかな侮蔑。

 そして再度、彼女の腰を後ろから抱きしめるわけだけど、そのときはもう口説こうとか思ってなさそーなとこが、もお。
 他の男たちにまざって低温なまま抱いて、でも彼女の目を見る気はなさそーで、首筋を一瞥して身を離す。そのくせ、腰に回した腕は他の男たちが離れたあと、いちばん遅くまでそのままときた。

 なんかプライド高そうで、心温度は低そうで、すげーヤなヤツですがな!
 きゃー!!(大喜び)

 続く~~。
 最近、語彙の少なさが加速している気がする。

 かっこいい以外の言葉を使っていない気がする。
 昔のわたしは、もう少し他のことも書いていたよーな記憶があるんだが……。

 まっつまっつな『EXCITER!!』です。視界はいつでもまっつセンター。まっつ中心。

 夢ゆめしくはじまる『EXCITER!!』の、まっつ登場は世界が赤と黒とゴールドへ変化するのと共に。
 大階段を2列になって降りてくる男たちの、上手の先頭。
 『ベルばら』で打ちのめされたあとなだけに、この「花組! タカラヅカ!」というクドカッコイイ演出にわくわくする。

 男役の花組と言われ、ダンスの花組と言われ。
 組カラーは時代によってそのときのトップによって変わるものだけれど、その奥に息づくDNAだけは変えようがない。
 男たちが静かな情熱を漲らせ、爆発の予感をひそませたまま大階段を降りてくる姿に、「花組キターーッ!」と思う。

 まっつは花男らしい花男で、花組DNAを色濃く受け継いでいるひとり。
 今回はいつもにも増して、そのことに強く気づかされる。

 黒の変わり燕尾っつーんですか、テール部分がドレスのようにひだになってる衣装。踊るとテールが揺れて、裏の真紅が炎のようにひるがえるという。
 情熱的な音楽と赤黒変わり燕尾男たちのダンスが、息を飲む格好良さ。

 男たちだけのダンスのあと一旦ハケて、壮くんの歌でトップコンビが踊るところで、再登場。
 今度は相手役アリ、いちかちゃんとのデュエットダンス。

 ここが、もお、もお。

 最初からナニしてくれますねん! ってくらい、エロカッコイイ。

 数組のカップル登場で、それぞれタンゴをがっつり踊っているわけなんだが、見事にココはまっついちかしか見ていないので、他の顔ぶれがまったくわかっていない(笑)。
 まっつといちかちゃんは、なんつーかこう、「目線が合う」感じが好きだ。がっつり見つめ合っている感じ。双方逃げ場なしの容赦なしっていうか。
 もともとエロい振付なんだと思うが、それにしてもあれってキスシーンなんですか?
 抱き合って踊ったあと、ふたりが顔を近づけていって、顔が客席から見えないように踊る角度を変える、というのは。
 ヅカのキスシーンはほんとにキスするわけではなく、寸止め。だから唇が重なっていないことを見せないように、チューの瞬間背中を見せて、客席からはしてなくてもしてるよーに見せる。
 それと同じことをしてるよね? 顔を近づけて、唇が触れるのかな、ってときに、角度変えて顔は見せないよーにして踊るっつーのは。ダンスだから、芝居のキスシーンほど顔が近くないので、判断が難しい。
 ただ、いちかちゃんが目を伏せているのはわかる。目を伏せて、顔を近づけているんだわ。
 しかしまっつがどうなのかが、よくわからない。まっつは背中向きになるんだよなー。まっつが目を伏せているならほんとにキスシーンなのかも?

 まっつキスは大変レアなので、間近で見てみたいです。

 まっつさんのキスシーンをまともに見たのは彼の新公主演時にまで遡ってしまいます。
 大変微妙なカツラだった『天使の季節』とか、最後の最後にとってつけたよーに1回あっただけの『La Esperanza』とか。……なんかまともなキスシーンではなかったよーな、そんなものしか見たことありませんから。

 エロダンスでエロエロに顔を近づけるまっつは、どんな顔してるんでしょうね? 是非間近で見てみたいんですが、彼の踊る位置からして、上手タケノコに坐るしかないんぢゃないかと……そのへんって一般発売してないよーな……しくしく、一生見られないわ。

 ちなみにここのダンスは壮くんの歌で踊っているわけだが、まっつは壮くんから歌を受け継ぐんだな。パートナーのいちかちゃんを壮くんへ譲り渡して。
 それまで数組のカップルのひとりとして踊っていたのに、突然ひとりで歌い出す。
 しかも、すげえイイ声で。

 この、大勢の中でひとり突然歌い出す、つーの、すごく好き(笑)。
 フォーカスが合う感じが、わくわくする。
 もとからひとり豪華な衣装、というならともかく、みんな同じなのにふとピントが合うように、突然ライトが当たるように、その他大勢から一歩前へ出る、ひとり特別になる、その感じが。

 まっつが歌い出すところで、周囲に人がわーっとやってくるから余計に「大勢の中で、不意にひとり」に思える。
 ええ、オペラはまっつロックオン状態なので、全体はわかりません。まっつの周囲にわらわらみんな現れるから、舞台全体に大勢登場したんだなと推察(笑)。

 んで、まっつの歌の間、周囲の人たちは男女カップルでタンゴを踊る。舞台狭っ。大階段出てるからただでさえ狭いのに、いったい何組のカップルが踊ってるの?! すごい密度でデュエットダンス。
 そしてわたし的ツボに入りまくりの、この場面ラストのキメ……まっつの歌が終わり、短い後奏が「じゃんっ、じゃんっ、じゃらららん、じゃん!」と入って暗転する演出部分。
 この「じゃんっ、じゃんっ」でカップルたちはそれぞれポーズを決めていく。最後の「じゃん!」ではみんな、互いに抱き合ってポーズ決めて暗転、なわけよ。
 他のみんなは、カップルなの。男には女がいるのよ。
 なのにまっつだけ、シングル。
 ひとりぼっち。
 男女カップルがエロカッコ良くポーズを決めているなか、まっつは男ひとりでポーズ。

 まっつひとりかよ! 女ナシかよ!! さびしーーっ!!(笑)
 ひとりだけ女ナシ(カノジョは壮くんに取られた)なのに、すげースカシた顔でポーズ決めてるのが、もお。

 きゃーきゃーきゃー。

 変なトコでツボ入りまくり、萌えまくり(笑)。

 
 んで一旦暗転したあと、一拍おいてライトが点く。がらりとムードが変わり、主題歌GO!
 あの「バチっバチっバチっ」で「ガチっガチっガチっ」です。ナニこの特撮ヒーローソング?!な主題歌です。

 みんな一気に笑顔全開、ライト輝度アップ、手拍子解禁で祭りムード。
 曲に合った「アクション!」って感じの振付も好きだー!

 この主題歌好き。問答無用でテンション上がる。真似して踊りたくなる。

 でもってナニ気に好き過ぎるのが、銀橋を歌い踊りながら忙しく通っていくときの、「バチっバチっバチっ」と「ガチっガチっガチっ」で両腕を広げる振付。
 かなりなスピードで銀橋移動しなきゃいけないのに、この歌詞のところで体勢低くして両腕広げなきゃいけなくて、ものすごく忙しそうなの!あわあわわたわたしているよーに見えるの! やーん、ステキーー!!(笑)

 このプロローグほんと好きだ。
 アダルト・セクシーではじまって、特撮ソングではじけて終わるなんて、小気味良い。

 まっつはここで本舞台上のほとんどの人々と一緒に上手へさーっと退場しちゃうけど、彼らと入れ替わりに歌い出す女豹@彩音ちゃんもすげーかっこいいし。特撮主題歌の裏バージョン、女主人公編。いやあ、主題歌がイイと盛り上がるなー。

 うわ。プロローグだけで1日欄使い切った。続く~~。
 『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の、まっつの出番は何分あるでしょうか?
 前半の「黒い騎士」としての出番は1分ほど。後半の革命場面は?
 まあともかく、両方合わせて10分くらい?

 出番的には思っていたよりぜんぜん短かったし、それでも「そんなもんか」というあきらめもあって、特に落胆もなかった。

 おどろきだったのは、むしろ逆。

 かっこいいんですけど、ベルナールさん@まっつ?!

 出番ほとんどなくて、その上前半の「黒い騎士」はわけわかんない人なんですよ。
 なんにもしてないアンドレ@まとぶんを脈絡なく大勢で襲い、覆面して出てきたのにわざわざ覆面取るし。
 たったひとりの男を10人弱で襲ったくせに、やたら手間取って殺せないって、どんだけ弱いの、ベルナールとその手下。
 さらに、やって来たオスカル@みわっちひとりに、尻尾を巻いて退散するし。どんだけヘタレなん、ベルナールとその手下。

 プラス要因はなにひとつないのに、かっこいいって、どういうこと?!

 覆面取る仕草が、無意味に、かっこいい。

 あの無造作っぷり、獲物から目線を一切逸らさない、温度のない眼差しがこわい。
 そして、立ち回り。
 身のこなしの鋭さ、美しさ。
 やたら気合いの入った、イイ声(掛け声)が響く。

 黒い服に、漆黒の髪、白い肌のコントラストが美しい。
 ちっちゃいけど(笑)、鋭利だ。触れれば切れるだろう、危険な光。

 冷徹だけど、それだけではない感じが見える……気がする。
 ただの悪役には作っていない、よね? 後半の「革命の闘士ベルナール」につなげて演技してるよね?
 目的ゆえに冷徹に振る舞っているけれど、本意ではないっつーか、アンドレを襲うのも憎しみとか快楽殺人とかゆーわけではなく、必要に駆られた使命感ゆえにやっているというか、目を傷つけた一瞬冷酷さが薄くなり、またすぐに思い直したように剣を取り直すよね、トドメを刺すために。

 目を傷つけたあと剣を構え直すまでの引いた感じと、なかなかトドメを刺さず痛がるアンドレを囲んで眺めているダサい植爺演出に、勝手にドリーミングですわ(笑)。

 そしてなんつっても、「引け!」のひとこと、たった2文字の台詞の、美声っぷり。

 いーなー(笑)。
 無駄に美形で、無駄に美声って。

 黒尽くめで抑えた感じのビジュアルと、ストイックなキャラクタがやたらオトコマエでびびります。
 出番が一瞬なのがまた、美形っぷりを上げている感じ。
 ほら、人間ってチラリズムに反応しちゃうでしょ? 「いくらでも見てくださいよ」と長々と見せつけられるより、一瞬チラっとやられた方が、いいもん見たよーな気になるっしょ?
 そういう心理が働いて、よりオトコマエに見えるのかしら……。

 いやその、オトコマエ度が下がっても、出ずっぱりでいてくれた方がうれしいっちゃうれしいんだが、ここまでまっつが美しく見えちゃうのはまあそういう錯覚もあるのかなと。(錯覚言うな)

 
 でもって、後半の革命場面。
 全ツ『外伝 ベルサイユのばら-アラン編-』でも同じ役目だったし、左右にはべらす女の子の顔ぶれが同じだったりして、デジャヴに襲われるんだけど。
 全ツの市民の男のときは、あくまでも「市民の男」であり、名もない脇役だった。他の市民たちと同じテイストの服装だったし、顔も汚していて美形キャラではなかった。

 されど、今回は。

 同じ役わりだからこそ、前回とキャラクタがチガウ、ということが、全面に出ている。

 名もなき市民、ではなく、「ベルナール」であるということ。
 その確固たる意識が、ある。

 まず、なんつっても、美しい。

 タカラヅカの代表作『ベルサイユのばら』であり、そのなかの主要人物のひとり、ベルナール役であるということ。
 今回のベルナールが台詞もない役だということとは別に、そんな微視的なことではなく、『ベルサイユのばら』世界でのベルナールという意識。
 ただ群衆の真ん中で踊るのではなく、ベルナールとして、踊る。

 その前へ向かって発散される意識の高さと強さに、息を飲む。

 美しいのも、その一環だ。
 ベルナールなら、美しくなくっちゃ。原作のベルナールが美青年設定かどうかは置くとして、役割としての、タカラヅカとしての美しさ。

 なんの罪もないアンドレを問答無用で多数で襲って失明させたとか、オスカルひとりにびびって逃げたとか、植爺脚本だけ見ていると相当アレな人で「こんな男に『愛する者のために闘うのだ』と扇動されても、説得力ナイよな」とドン引きせず(笑)、書かれていないけれど、革命家としてのベルナールを受け止めるのよ。
 
 強く美しくセンターで民衆を率いるベルナール。
 それだけでも十分「まっつなのに、すごいことになっている!」状態(笑)。
 みんなの気合いがものすげーので、それを背中に受けて、まっつがさらに前へ気合いを吐いている。

 だけど、なにしろまっつだから暑苦しくはならない。
 深刻だし熱もあるんだけれど、勢いに任せてうわーーっというよりも、鋭利に切り裂く感じ。
 切っ先が、喉元を狙っている。
 四方への爆発よりも、弾道の定まった無駄のない銃弾のように。

 まっすぐな、方向性。

 まっつがセンターであるがゆえのカラー。
 そこにまとぶさんが登場することで、センターを彼に譲り渡すことで、まっすぐ鋭利だった情熱は、メラメラ系の熱さに変質する。
 おおお、これぞまとぶん。素直で誠実な炎、高くて湿った、人間味あふれる体温。

 アンドレ@まとぶんの持つ人情っぷりに、ベルナール@まっつの色も変わるの。

 脇へ退いたベルナールは、センターのアンドレを見て顔を歪める。
 ただ前を向いて闘っているだけではなく、なんか突然苦しみ出すんですよ、この人。
 戦闘のつらさを表しているだけかもしれないけれど、NOWONで「ベルナールはアンドレにごめんと思っている」とまっつが言っていたので、そのことを表しているんだろうか。
 台詞がないのでわかんないけれど、ベルナールはただ強く前へ前へ闘うだけでなく、1回は確実によわよわになる。
 それを振り切って、また強く持ち直すんだ。

 この、一旦苦悩する、弱くなるのが、すごーく「まっつ」でねえ……。
 なんかもー、すげー細かく演技してるのよ、いろんなことやってるのよ、戦闘ダンスの中で。

 まっすぐに前へ向かって斬り込んでいるときの方が、冷ややかに美しいんだけど、このヘタレ……もとい、苦悩する様が、美しさ自体は下がるけれど、さらに魅力的で。

 その一旦引いた後だからこそ、そのあとの渾身の叫び「やったぞおおお」が切ない。
 落ちたあと、這い上がってきて、さらに強く叫ぶわけだから。

 あー、あの地味なグレーのジャケット、似合うなー。いぶし銀な感じがいいのよねー。
 つか、まっつはクラシカルな丈の長い上着は似合うのよね。漆黒の髪も好き。カツラ具合が合っているかどうかはわかんないが、長髪なのは目立ってイイ。

 短い出番だが、それがもー、予想以上に格好良くて、まっつさんがステキ過ぎて困ります(笑)。
 贔屓の欲目だとわかってますが、いいのよ、シアワセだから。ドキドキするから。
 あー、ちょっとそこのアンタ。
 俺の言い分も聞いてくれる?

 俺は使命に燃えた革命の闘士で、新聞記者やりながらやがて来る決戦の日に備えているわけだよ。
 戦争やるにはまず金だ。
 敵である貴族たちから、その貴族たちを討伐するための資金やら武器やらを奪っている、一石二鳥な日々。
 生命懸けなんだよ。遊びぢゃないんだよ。

 あの日も、仕事をしに行ったわけだよ。
 某貴族の屋敷に侵入した。現国王アンチで王位を狙っているオルレアン侯爵を利用し、彼の御者に扮してね。
 で、一仕事終えて戻ってきたわけだ。
 疲れてるわけよ。
 あー、今日もいい仕事したっ。あとは家帰って一風呂浴びて一杯やって寝るぞー! てなときにだよ。

 仮のアジトとして利用中のオルレアン侯爵の屋敷前で、変な男が大声でひとりごと言ってるわけだよ。

 不審だろ。
 明らかに、不審者だろソレ。

 芝居がかったうわごとみたいな、わけわかんないことをがなり立ててる。
 夜の色をした絹糸のような睫毛に縁取られた冬のオリオンを浮かべる瞳、ってなんだそりゃ。装飾語多すぎって文章入力ソフトからエラー喰らうくどくどしさだぞ。てゆーか1文1義、ひとつの文章はひとつの内容で完結させろよー、蛇行しすぎだ文章。目で読むマンガの台詞ならいいとして、声に出して読む日本語としてはおかしいだろ、脚本家。

 不景気のせいだろうか。
 陽気のせいだろうか。
 こーゆー病んだ人間が出没するのは。

 まあ世の中、いろんな人間がいる。夜中にひとんちの前でわけわかんないポエムをがなりたてる変質者がいても、不思議はない。

 ただ問題は、俺たち革命家たちの仮アジトの前で騒ぎを起こし、警察沙汰にでもなられたら迷惑だってこと。
 このままこの男を放置していたら、絶対通報されるって。やばいって。

 黙らせる=抹殺する。
 短絡的だが、仕方ない。俺たちは革命の闘士だ。大義のための犠牲は厭わない。
 まともな相手なら話しかけて場所を移動するなり促すこともできるだろうが、相手は変質者だ。ヘタに声を掛けてどうこうするより、一気に片を付けた方がイイ。

 てゆーか、なんでわざわざこの場所でポエム?

 まさか、オルレアン侯爵への恋唄?!

 ……ますます、殺した方がいいな、マジ変態だ。

 相手が常人ではないという恐怖感から、単体で対峙するのは避けた。数に頼んだ方がいい。失敗は出来ないのだから。
 仲間たちが抜刀して変質者を囲むと、その男はわけ知り気に身構えた。ただの変質者ではなく、兵士上がりかなにかか? 剣は使えるようだ。
 口封じの礼儀として、俺は俺自身で剣を抜いた。仲間たちに任せるのではなく、自分自身で危険に身を置き、また手を汚すことが重要。高みの見物はしない。

 変質者は覆面をした俺を見て「黒い騎士?!」と叫んだ。黒い騎士を知っている? というと、貴族か。あるいは、俺が今までに襲撃した屋敷の下男か。しかし、なんかとんでもない衣装だな、一見軍服のようだが、本物の軍服ではなさそうだ、無意味にきらきらした飾りが嘘くさい。近衛隊の軍服のレプリカのようだ。……って、軍服マニア? コスプレ?!
 やはり、ふつうではない男のようだ。

 俺は腹をくくり、覆面を取った。
 死角の多い覆面姿より、障害物がない方が確実に戦える。
 目撃者を作らぬよう、短い時間で終わらせるんだ。
 てか、こんな気味悪い男、さっさと始末したい。

 相手の得体の知れなさに、仲間たちもみんな臆している。こわいのはわかる、俺だってこわい、てゆーか気持ち悪い。でも負けるな、がんばれ。

 気後れが剣を鈍らせ、存外に手間取った。
 ようやく目を傷つけることが出来、あとはトドメを刺すだけとなった。

 そのときに。

「アンドレ?!」

 しまった、誰か来た。
 しかも、知っている相手だ。以前ロベスピエールと一緒にいるときに、会ったことのある近衛隊長。
 まずい。顔を見られたら、事が大きくなる。

「引け!」

 俺は仲間たちと共に一目散に撤退した。
 知らない相手なら、一緒に口を封じることもできたが。国王一家の信任厚い将軍家の一員だとわかっていて、今ここで事を起こすのはまずい。オルレアン侯爵の居城前だ。

 まったく、すべてはあの変質者のせいだ。俺だって好きで刃傷沙汰を起こしたわけじゃない。
 
 夜中にひとんちの前で、なんちゃって軍服着た男が大声でポエムをがなっていたら、異常だろう? どう考えても。

 俺には俺の都合があった。立場があった。
 仕方なかったんだ。
 ちょっとそこのアンタ。
 俺の言い分も聞いてくれよ。
 好きで襲ったんじゃないよ、ひとりを多勢で。
 アンタだってこわいだろ、あんな異常者。

 
 いざ革命、バスティーユ攻撃するぞってなときに、どこかで見た男が叫びながら現れた。
 あのなんちゃって軍服のコスプレ男だ。
 衛兵隊に向かってなにか言っている。衛兵隊の軍服は着ていない、相変わらずのレプリカきらきら軍服着用だが、衛兵隊士たちと顔見知りらしい。その男の言葉を聞いて、なんと衛兵隊が我々市民側に寝返った。

 すまん。
 正直、すまんかった。
 俺、あんとき目ェ潰しちまったよなあ?
 ほんとごめん。
 でもさ、あまりにだったからさ……。

 人間、外見で判断しちゃいけないってことだよな。
 コスプレしてても夜中にひとんちの前でポエムってても、悪いヤツぢゃなかったんだ……たぶん……。

 俺は自分の行いを悔やんだ。
 そして、その男に感謝した。その男は市民たちの先頭に立ち、雄々しく国王軍と闘っている。
 しかも撃たれても決してひるまず、下がることをせず、戦い抜いて勇敢な最期を遂げた。すばらしい勇気だ。闘志だ。
 男の獅子奮迅の活躍もあって、無事にバスティーユは陥落した。

 ありがとう、コスプレ男!

 しかし。
 男を見直し、自らの行いを反省した俺は、やっぱり最後に内心首を傾げた。

 何故ならその男は、

「オスカル……!」

 と、虚空に向けて話しかけ、そのせいで盛大に撃たれまくって散っていったのだ。

 えーと。

 やっぱり、ナニかふつーの人間には見えないモノを見ている男だったのか? ありえない電波でも受信していたのか?
 オスカルってあいつだろ、ジャルジェ准将。今、衛兵隊の隊長だっけ? そんな人間、最初からパリにはいなかったし。いないのに、まるでいるようにふるまっていて……やはりあの男は……。
 
 まあいいや。

 革命、成功したし。ハッピーエンドだ。


              ☆

 植爺作『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』を辻褄が合うようにいろいろ補完して考えると、とっても愉快なことになるよな。
 で、まっつのことを語ろう。
 贔屓を語らないでどーする。たとえ『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』であったとしてもだ!!(笑)

 公演がはじまるより以前に、「まっつ台詞ナシ、歌ナシ」という話を人づてに聞いていたので、「植爺は路線と専科・管理職以外に冷たい人だけど、すげーあからさますぎてキツイなー」としょぼくれていた。
 演出家によって役付きってナニ気に個性が出るけれど、植爺は「役者」というスキルに対しての好みよりも、「劇団にとって有益かどうか」を大切にしている気がする。さすが理事長職にあった人だけあって、その辺は徹底しているなと。その「劇団にとって」てのが植爺個人の損得とイコールなんぢゃないかとか、まあそれは置くとして。
 で、その損得勘定……もとい、劇団の意志以外のどーでもいいところでは、年功序列だとか、とりあえずその時点でついている番手通りに上から当てはめる。役者の個性も技術も関係なく。
 全ツの『外伝 ベルサイユのばら-アラン編-』のときは、まっつはこの「どーでもいいところ」ゆえに学年とそのときの番手具合でジェローデルが廻ってきたわけだが。
 人数が倍になる本公演では、その年功序列部分でも与えられる場がそんだけ少なくなるかと。
 ありえることではあるが、それにしても台詞も歌もナシぢゃつまんないなー。ただでさえ植爺で『ベルばら』だからテンション落ちてるのに、と。

 てなわけで、公演がはじまるっちゅーにあんまりエンジンかからなくて、それよりも大野くんの『ロシアン・ブルー』がもう観られなくなってしまうことの方を惜しんでいたよ……『ベルばら』イラナイ、オレに『ロシアン・ブルー』を観させろ~~。

 そんな状態で。
 義務?みたいな感じで、スカステのお稽古場映像を見た。予備知識はいらない人なんだが、贔屓組だけは音声ナシで眺めるだけはする。欲しいのはどんな話とかどんな出番とかの予備知識ではなく、たんにみんなの素顔を見たいから。「お稽古場」という風景を見たいから。

 そこで。

 まっつのかっこよさに、びびる。

 あ、あれ?
 なんかまつださん、すげー格好いいんですけど。

 出番がない、と聞いているわりにはなんかいろいろ映っている。でもそれって、「出番がなさ過ぎるから」気を遣って映してもらってるんだろうなと思った。
 『愛と死のアラビア』のときもそうだったけど、出番や見せ場がない場合の方がスカステの中の人が気を遣ってか、その唯一の見せ場を映すもんなんだよなー。
 『愛と死のアラビア』のように、きっとスカステニュースで映っているわずかなカットが出番のすべてなんだろうと推察。(そしてもちろん、正解だった・笑)
 だからそれはもう「わかってる」のでいい、なんとも思わない。扱いとか出番とかの次元ではなくて。

 画面に映っている素顔まっつが、カッコイイ。

 黒髪と削ぎ落とされた頬の線、鋭い眼光。黒尽くめの姿。
 あれえ?

 まっつって、こんなに男っぽかった?

 稽古場で女子っぽいはずもないが、そーゆー意味ではなく、ここまで「男」として違和感なくかっこいいってのは、どーしたんだ?
 まっつはなにしろ小柄で華奢なので、「男役」としての美しさはあっても、やっぱり体格的に「男!」ってのとはまた違っていて。

 立ち回りをしているせいかな?
 
 それがさらに、ショー『EXCITER!!』になると、またどーんとかっこよくなった。

 つか。エロいんですけど。

 本気でエロ系やってるー。
 や、今までもクール&エロスは演じてきた人だけど、なんか記憶にある姿と違っていて。
 より研ぎ澄まされた、獣っぽい感じがチガウ、の、か?

 力ではなく俊敏さゆえに戦闘力を増した猫科の獣のよーだ。小柄で華奢なのは変わってない……とゆーかさらに細くなったよーな気もするが、弱さは感じない。
 とりあえずこいつ敵に回すのはやめとこ的な鋭角さがあって。

 なんだろ。より精悍になったのか。

 まっつが精悍って。野性的って。
 そーゆー形容と無縁な人だと思っていたので、ちょっとびっくりだ。
 無造作に揺れる黒髪と、剥き出しの二の腕、薄いカラダ。舞台衣装の力を借りず、メイクの力を借りず、なんかすごくいろんなものが剥き出しになっているのに、男として美しい。

 たぶんアップがないから何割増しかでオトコマエになってるんだろーなー。アップになるとほら、シワとかスジとか険とかいろいろ……(笑)。
 や、まっつのそのトシより老けた顔の年輪が好きでたまらないんですが(笑)、対外的にはそーゆーものが映らないカメラの遠さはありがたいかなと。

 今回の公演自体に対し、自分的に盛り上がらないモノを感じていたので、お稽古場映像で目を疑うことになるとは、予想外。
 まっつカッコええ……!!

 前回はヒョンゴさんだったから、シリアスモードでもここまで鋭い顔つきはしていなかったんだなあ、と。
 役割によって、顔つきからナニからこんだけ変わるんだなと。

 
 そーやって素顔まっつにハクハクして、次に見たモノが、プログラムのインタビュー写真ですよ。

 カッコイイ。

 目つきの鋭さと腕のくぼみ(笑)がいいっす!
 青年……だけどなんかちとおっさん寄り(少なくとも少年寄りではない)な感じもいいっす!

 つくづくわたしはまっつの顔というか、ビジュアルが好きなんだなと思う。
 一般的に彼が美人なのかどうか、一時期に比べわからくなってきているんだが(ちょっと前は本気でふつーに美人だと思っていた。最近は老けっぷりもあってよくわかんない……)、「わたし」がまっつのビジュアルを好きでしょーがないので、「わたし」には彼が美しく見えるんだなこれが。
 あー、ナマまっつもっと見てぇ。劇団様、まっつ写真もっと見せてくだせえええ。

 
 と、舞台感想にたどり着くまでにこんだけタワゴト並べるのははじめてか(笑)。

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