妖精に年齢はない。@キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
2015年6月30日 タカラヅカ わたしは、ベニーの年齢を知らないのだ。
そう、はじめて思った。
星組ドラマシティ公演『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』を観て。
ベニー、と勝手に呼んでいる、星組2番手スターの紅ゆずるさん。
しいちゃんへのお花で名前を知り、『それでも船は行く』で舞台姿を知り、そっから先はまったり愛でて来た、長いおつきあいのスターさん。
『それ船』が2005年だから、もう10年か。
…………10年か。10年なのか……そうか、そんなに経つのか…………。
や、マジ意識してなかった。年を取ると「それって去年だよね?」「ナニ言ってんの、5年以上前だよ!」なんてことが日常茶飯事、時間の感覚がおかしいのです。昨日食べたモノは思い出せないのに、10年前のことがつい昨日のことのように思い出せる、年寄りってのは不自由な生き物なのです。
もう10年経つというのに、わたしは紅ゆずるさんの年齢を、知らなかった。考えたことがなかった。
実年齢のことじゃないよ?
紅ゆずるさんの中の人の年齢ではなくて、タカラジェンヌ・ベニーさんの年齢。
っていうか、ジェンヌはフェアリーです、年齢なんてありません、だからこの場合の「年齢」ってのは、「舞台年齢」。学年でもなく、舞台の上での、キャラクタとしての年齢。
タカラヅカはスター制度の劇団だ。
お芝居を上演するけれど、芝居のタイトルで客を呼ぶのではなく、スターの名前で集客する。
「この作品を上演するため」にオーディションで集めたメンバーで公演するわけじゃない。このスターで、この組で、「次は、この作品を上演します」であって、まずスターありきだ。
スターは、役になりきって自分を殺してしまうのではなく、「このスターが演じるこの役」を見せるのが仕事。
だもんで、スターには個々、芸風やら持ち味やら、得意分野がある。
舞台上の役割に、年齢がある。
少年役が得意なスター、おっさん役が得意なスター、女性も演じられる、中性的なスター……。
決めつけるわけではないが、なんとなくの持ち味として、タイプ分けをしてしまう。
が、どんなスターでも絶対に得意というか、出来なきゃ困るのが「青年」役で、王子様から海賊まで、幅広くいろんなタイプの美青年を演じてこそのタカラヅカスタァ。
そして、トップ路線のスターは大抵いつもこの「青年」役を演じている。
多少年齢を上下に振られたとしても、「ヒロインの恋愛対象たり得る、恋愛適齢期の男性」役である。
それは、路線スターとして真ん中を歩く人ほど、振られる役のタイプが似通ってくる。善人とか悪人とか、主人公の親友とか恋敵とか、立ち位置は違うにしろ、基本イケメンばかり。
少年寄りの若者であろうと、ヒゲのダンディであろうと、恋愛現役の美青年様。同じカテゴリの役ばかりやるのが、ザ・路線スター。
だから、考えなかったのも、仕方ない部分はあるのかもしれない。
わたしは、ベニーの「舞台年齢」を、考えたことがなかった。
舞台の上の彼は、いくつに見えるのか?
彼が得意とする年代は、どれくらいなのか?
てなわけで、ベニー主演で『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』をやる、と知ったときも、ふつーにわくわくした。楽しい舞台になるだろうと。
パイロットとかドクターとか、コスプレ七変化はビジュアル美麗なベニーさんでなら、とても目の保養になるだろうと。
なんの疑問もなく。
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』が、どういう物語かは、知っている。
映画を見た。
このブログにも、感想を書いている。……昔は映画感想も書いてたんだな(笑)。
もうそれなりにいい年なのに、高校生役だと聞いてなんの違和感もなく「アリだなー(笑)」と思わせてしまうディカプリオ様の主演。
ディカプリオは本当に若いうちは良かったけど、それなりの大人になったのに顔立ちだけが幼いままで、肌の質感や体格は若くないのに顔だけ少年、というなかなか難しい素材になっていて……たぶん、それゆえ役者として回り道もしたろうけど、それを逆手に取っての高校生役で、これはもう、彼のためにある役であり、作品だなと、よろこんで見に行った記憶がある。
で、映画は面白かった。
ちょっとダレる部分もあったけど、ウケたり萌えたりじーんとしたりしつつ、見ることが出来た。
ミュージカル版は知らないけれど、ストーリーもキャラも知ってる。
主人公は大人のふりをして詐欺しまくっちゃう、トンデモ高校生でしょ?
パイロットとかお医者さんとかに化けて違和感ナイ、「大人」に見える高校生なのよね。
ベニーもよく知っている。
原作映画も知っている。
なのに。
実際に観劇して、驚いたんだ。
ベニー、高校生に見えないっ!!
主人公は「大人」に見える高校生……つまり、「高校生」なの。「大人」である前に、大前提として、高校生なの!
高校生に見えないと、はじまらないの!
びっくりした……。
ベニー、って、高校生、無理な人だったんだー……。
え、でも、ベニーって若い、よね?
舞台の上で。キャラとして。
若くてこう、ヘラっとかチャラっとかしているにーちゃん、よね? サービス精神旺盛な気のいいにーちゃん。
そりゃ最近、大人の役……おっさん役もやってるけど、別に似合ってなかったし、本質は若者役が得意な人、スターらしいイケメンが持ち味なんだろうなと、考えるまでもなく、思っていた。
若者役がど真ん中なキャラなら、ちょいがんばれば、高校生役くらい、出来るっしょ?
普段が25歳としても、18ぐらいには、化けれるよね? ジェンヌさん、みんな若い役得意だし。老け役よりも若者の方が、等身大の自分自身で演じられるわけだし。
ベニーだってバトラー船長やアラルコンが無理でも、等身大の高校生キャラなら楽勝よね……と。
思い込んでました。
そうか……。
高校生、無理なのか……。
じゃあベニー、いくつなんだろう。
おっさんも違って、高校生も違う。
テレビドラマの主役枠年齢、かな……? モラトリアム青年あたりの……?
こんだけ長くベニーを眺めてきながら、彼の年齢を考えたことなかったよ。
10年前なら高校生OKでも、今は無理、だって大人になったから? それはアリっちゅーか、ありがちなことだけども。
ベニーは若い持ち味だから、今でもぜんぜんOKだと思っていたよ。
真ん中を進むのなら、30歳前後の青年のみが得意であっても、なんら問題はない。タカラヅカ作品のヒーローは、それくらいの年齢だからだ。高校生が出来なくてもかまわない。
だからそれはいいんだ。
ただ、わたしが個人的に、驚いたんだ。
そうかわたし、ベニーの年齢知らないんだ、と。
こんなに長く眺めて来て……長くってどれくらい……え、もう10年かよ! という思考展開っす。
年齢を知らないというか。
ベニーって、年齢なくないか?
舞台上の彼がいくつなのかわからない……年齢とかいうモノが、ない、ように見える。
ベニーはただ、ベニーであるというか。
そして、改めて思う。
ベニー、妖精さんだな。
年齢がナイ。
それってすごくタカラジェンヌ。
そう、はじめて思った。
星組ドラマシティ公演『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』を観て。
ベニー、と勝手に呼んでいる、星組2番手スターの紅ゆずるさん。
しいちゃんへのお花で名前を知り、『それでも船は行く』で舞台姿を知り、そっから先はまったり愛でて来た、長いおつきあいのスターさん。
『それ船』が2005年だから、もう10年か。
…………10年か。10年なのか……そうか、そんなに経つのか…………。
や、マジ意識してなかった。年を取ると「それって去年だよね?」「ナニ言ってんの、5年以上前だよ!」なんてことが日常茶飯事、時間の感覚がおかしいのです。昨日食べたモノは思い出せないのに、10年前のことがつい昨日のことのように思い出せる、年寄りってのは不自由な生き物なのです。
もう10年経つというのに、わたしは紅ゆずるさんの年齢を、知らなかった。考えたことがなかった。
実年齢のことじゃないよ?
紅ゆずるさんの中の人の年齢ではなくて、タカラジェンヌ・ベニーさんの年齢。
っていうか、ジェンヌはフェアリーです、年齢なんてありません、だからこの場合の「年齢」ってのは、「舞台年齢」。学年でもなく、舞台の上での、キャラクタとしての年齢。
タカラヅカはスター制度の劇団だ。
お芝居を上演するけれど、芝居のタイトルで客を呼ぶのではなく、スターの名前で集客する。
「この作品を上演するため」にオーディションで集めたメンバーで公演するわけじゃない。このスターで、この組で、「次は、この作品を上演します」であって、まずスターありきだ。
スターは、役になりきって自分を殺してしまうのではなく、「このスターが演じるこの役」を見せるのが仕事。
だもんで、スターには個々、芸風やら持ち味やら、得意分野がある。
舞台上の役割に、年齢がある。
少年役が得意なスター、おっさん役が得意なスター、女性も演じられる、中性的なスター……。
決めつけるわけではないが、なんとなくの持ち味として、タイプ分けをしてしまう。
が、どんなスターでも絶対に得意というか、出来なきゃ困るのが「青年」役で、王子様から海賊まで、幅広くいろんなタイプの美青年を演じてこそのタカラヅカスタァ。
そして、トップ路線のスターは大抵いつもこの「青年」役を演じている。
多少年齢を上下に振られたとしても、「ヒロインの恋愛対象たり得る、恋愛適齢期の男性」役である。
それは、路線スターとして真ん中を歩く人ほど、振られる役のタイプが似通ってくる。善人とか悪人とか、主人公の親友とか恋敵とか、立ち位置は違うにしろ、基本イケメンばかり。
少年寄りの若者であろうと、ヒゲのダンディであろうと、恋愛現役の美青年様。同じカテゴリの役ばかりやるのが、ザ・路線スター。
だから、考えなかったのも、仕方ない部分はあるのかもしれない。
わたしは、ベニーの「舞台年齢」を、考えたことがなかった。
舞台の上の彼は、いくつに見えるのか?
彼が得意とする年代は、どれくらいなのか?
てなわけで、ベニー主演で『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』をやる、と知ったときも、ふつーにわくわくした。楽しい舞台になるだろうと。
パイロットとかドクターとか、コスプレ七変化はビジュアル美麗なベニーさんでなら、とても目の保養になるだろうと。
なんの疑問もなく。
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』が、どういう物語かは、知っている。
映画を見た。
このブログにも、感想を書いている。……昔は映画感想も書いてたんだな(笑)。
もうそれなりにいい年なのに、高校生役だと聞いてなんの違和感もなく「アリだなー(笑)」と思わせてしまうディカプリオ様の主演。
ディカプリオは本当に若いうちは良かったけど、それなりの大人になったのに顔立ちだけが幼いままで、肌の質感や体格は若くないのに顔だけ少年、というなかなか難しい素材になっていて……たぶん、それゆえ役者として回り道もしたろうけど、それを逆手に取っての高校生役で、これはもう、彼のためにある役であり、作品だなと、よろこんで見に行った記憶がある。
で、映画は面白かった。
ちょっとダレる部分もあったけど、ウケたり萌えたりじーんとしたりしつつ、見ることが出来た。
ミュージカル版は知らないけれど、ストーリーもキャラも知ってる。
主人公は大人のふりをして詐欺しまくっちゃう、トンデモ高校生でしょ?
パイロットとかお医者さんとかに化けて違和感ナイ、「大人」に見える高校生なのよね。
ベニーもよく知っている。
原作映画も知っている。
なのに。
実際に観劇して、驚いたんだ。
ベニー、高校生に見えないっ!!
主人公は「大人」に見える高校生……つまり、「高校生」なの。「大人」である前に、大前提として、高校生なの!
高校生に見えないと、はじまらないの!
びっくりした……。
ベニー、って、高校生、無理な人だったんだー……。
え、でも、ベニーって若い、よね?
舞台の上で。キャラとして。
若くてこう、ヘラっとかチャラっとかしているにーちゃん、よね? サービス精神旺盛な気のいいにーちゃん。
そりゃ最近、大人の役……おっさん役もやってるけど、別に似合ってなかったし、本質は若者役が得意な人、スターらしいイケメンが持ち味なんだろうなと、考えるまでもなく、思っていた。
若者役がど真ん中なキャラなら、ちょいがんばれば、高校生役くらい、出来るっしょ?
普段が25歳としても、18ぐらいには、化けれるよね? ジェンヌさん、みんな若い役得意だし。老け役よりも若者の方が、等身大の自分自身で演じられるわけだし。
ベニーだってバトラー船長やアラルコンが無理でも、等身大の高校生キャラなら楽勝よね……と。
思い込んでました。
そうか……。
高校生、無理なのか……。
じゃあベニー、いくつなんだろう。
おっさんも違って、高校生も違う。
テレビドラマの主役枠年齢、かな……? モラトリアム青年あたりの……?
こんだけ長くベニーを眺めてきながら、彼の年齢を考えたことなかったよ。
10年前なら高校生OKでも、今は無理、だって大人になったから? それはアリっちゅーか、ありがちなことだけども。
ベニーは若い持ち味だから、今でもぜんぜんOKだと思っていたよ。
真ん中を進むのなら、30歳前後の青年のみが得意であっても、なんら問題はない。タカラヅカ作品のヒーローは、それくらいの年齢だからだ。高校生が出来なくてもかまわない。
だからそれはいいんだ。
ただ、わたしが個人的に、驚いたんだ。
そうかわたし、ベニーの年齢知らないんだ、と。
こんなに長く眺めて来て……長くってどれくらい……え、もう10年かよ! という思考展開っす。
年齢を知らないというか。
ベニーって、年齢なくないか?
舞台上の彼がいくつなのかわからない……年齢とかいうモノが、ない、ように見える。
ベニーはただ、ベニーであるというか。
そして、改めて思う。
ベニー、妖精さんだな。
年齢がナイ。
それってすごくタカラジェンヌ。