結局のところ、バイオリズムよりも、心の在処。@虞美人
2010年5月27日 タカラヅカ よりよって、2回連続なんだなあ、と思った。
『スカーレット・ピンパーネル』初日。
初演星組もそうだった。そして、再演月組も。
公演組も変わったし、公演順も変わった。
なのに、またしても、花組のあとに『スカーレット・ピンパーネル』なんだ。
ほんの数日前まで同じカンパニー、同じ値段で上演されていた作品と、レベルが違いすぎるだろう!!
特に初演初日は強く思った。たかだか4日前に、同じ値段で上演されていたのがよりによって駄作安定『愛と死のアラビア』。あの紙芝居をさんざん見せられたあとで、天下のVISA様がスポンサーについた豪華絢爛冒険活劇を見せられた日にゃあ、絶望もしますわよ。
そしてわたしは花組ファンで、駄作だということ紙芝居だということを悔しがりながらも、花組を眺めるためにその駄作をフタ桁通いしていたわけですよ。
『スカピン』がどんだけすばらしい作品でも、その直後にフタ桁通うなんてことは一般人には不可能なわけですよ。お金ないって!
納得できる作品に通いたい、お金を払いたい。
しみじみとそう思った。
そしてまた月日は流れ、『スカピン』は再演された。
んで、またしても、花組公演のあと。
再演月組初日、わたしは劇場で「4日前までやっていた作品と、違いすぎるな」とアタマを抱えていた。
再演はVISA様不在のせいか、初演ほど豪華絢爛なカネのかけ方はしていないようだが、それでも基本ラインがチガウ。もともと名作なんだってば。
毎回毎回、花組のあとにどーんと名作上演かぁ。ははは。
だがしかし。
初演の『愛と死のアラビア』比較だと話にもならなかったが。
再演の『虞美人』比較だと。
『虞美人』で、良かったな。と、思う。……こまったことに。
もちろん名作なのは『スカーレット・ピンパーネル』だ。作品の持つ力が段違い。とりわけ音楽の力は大きい。演出力もチガウ。
それはわかっている。
作品の力の差は、ふたつの公演の客入りに大きく現れていたさ。
でも純然たるファン目線で言うと、わたし個人は、『スカピン』より『虞美人』が好きなんだ。
作者と感性が合うかどうか、てのは大きいんだと思う。
今回演出的にいまいちで、描き切れていないところがいつも以上に多かったんだが、それでも「描きたい」と思っていること、その方向性が好みに合っているため、足りない部分は脳内補完できるのな。
結果、キャラクタに感情移入して大泣きしたり、二次創作可なほど萌えまくったりする。
バイオリズムに合わない演出で、盛り上がる!と思った瞬間に肩透かし、の大連続、ナマで観ているからわかるけど、あとでテレビ放送をたまたま見た予備知識ない人は「放送時間の関係で、あちこちカットしてあるのね」と誤解するぞ、と危惧するよーなつぎはぎ感。
平坦で退屈、時間が経つのが遅く感じるよーなしんどい作り。
それはたしかにそうなんだけど、それでも「泣ける」のは、『虞美人』だ。
主人公たちが死んでしまうから脊髄反射で泣くのではなく、その生き様に涙するんだ。
登場するキャラクタひとりひとりにドラマを感じ、彼ら主役でSS書けるくらいの魅力を感じる。
それがあるから、『虞美人』なんだ。
隣の芝生はいつも美しいもので、うらやましくはあるんだけれど、『愛と死のアラビア』の4日後に『スカピン』を観た2年前とは違い、今回は真面目に考えた。
もし『虞美人』ではなく花組が『スカピン』を上演していたら。
や、なにを上演していても、結局のところ贔屓組である以上それなりに楽しむのだが、それを抜きにしても。
『虞美人』に感じていたほどのカタルシスを、『スカピン』には感じられなかったろうな、と思った。
あくまでも、わたしは。
わたし限定。
ただ、『スカピン』の方が通いやすかったと思う、バイオリズムに合っているから。
メリハリがあって時間が経つのを早く感じられる、素晴らしい音楽と美しい画面でぐいぐい引っ張られてわくわくしたまま2時間半を過ごせる。
フタ桁リピートを前提として考えると、絶対『スカピン』が通いやすい(笑)。退屈を我慢しなくていいから、心の負担にならない。
贔屓の出番が少なくても、いや、少ないからこそ、彼の関係していない部分が面白くあってくれないと、リピートはつらいって。
また、『スカピン』くらい罪なく軽い物語の方が、リピートには楽だ。ショーヴランの最後を真面目に考えちゃいけない、笑って終わることができる、濃度で楽しむのが『スカピン』。
『スカピン』の方が通うのが楽だとわかっていても、たるくてしんどい『虞美人』の方が好きだ、ってのはもお、ただの好みの問題、どーしよーもないですな。
項羽の不器用な生き方に、劉邦のいびつさに、そしてすべてを照らす虞美人の存在に、心をひりひりさせて涙するのが、心地良かったのですよ。
世間的評価が正しいんだろうし、わたしもまた『虞美人』がいろいろとアレな作品であることはわかっちゃいるが、それでも『虞美人』が好きだ。
『虞美人』で良かった。『虞美人』と出会えて良かった。……こまったことに(笑)。
『スカーレット・ピンパーネル』初日。
初演星組もそうだった。そして、再演月組も。
公演組も変わったし、公演順も変わった。
なのに、またしても、花組のあとに『スカーレット・ピンパーネル』なんだ。
ほんの数日前まで同じカンパニー、同じ値段で上演されていた作品と、レベルが違いすぎるだろう!!
特に初演初日は強く思った。たかだか4日前に、同じ値段で上演されていたのがよりによって駄作安定『愛と死のアラビア』。あの紙芝居をさんざん見せられたあとで、天下のVISA様がスポンサーについた豪華絢爛冒険活劇を見せられた日にゃあ、絶望もしますわよ。
そしてわたしは花組ファンで、駄作だということ紙芝居だということを悔しがりながらも、花組を眺めるためにその駄作をフタ桁通いしていたわけですよ。
『スカピン』がどんだけすばらしい作品でも、その直後にフタ桁通うなんてことは一般人には不可能なわけですよ。お金ないって!
納得できる作品に通いたい、お金を払いたい。
しみじみとそう思った。
そしてまた月日は流れ、『スカピン』は再演された。
んで、またしても、花組公演のあと。
再演月組初日、わたしは劇場で「4日前までやっていた作品と、違いすぎるな」とアタマを抱えていた。
再演はVISA様不在のせいか、初演ほど豪華絢爛なカネのかけ方はしていないようだが、それでも基本ラインがチガウ。もともと名作なんだってば。
毎回毎回、花組のあとにどーんと名作上演かぁ。ははは。
だがしかし。
初演の『愛と死のアラビア』比較だと話にもならなかったが。
再演の『虞美人』比較だと。
『虞美人』で、良かったな。と、思う。……こまったことに。
もちろん名作なのは『スカーレット・ピンパーネル』だ。作品の持つ力が段違い。とりわけ音楽の力は大きい。演出力もチガウ。
それはわかっている。
作品の力の差は、ふたつの公演の客入りに大きく現れていたさ。
でも純然たるファン目線で言うと、わたし個人は、『スカピン』より『虞美人』が好きなんだ。
作者と感性が合うかどうか、てのは大きいんだと思う。
今回演出的にいまいちで、描き切れていないところがいつも以上に多かったんだが、それでも「描きたい」と思っていること、その方向性が好みに合っているため、足りない部分は脳内補完できるのな。
結果、キャラクタに感情移入して大泣きしたり、二次創作可なほど萌えまくったりする。
バイオリズムに合わない演出で、盛り上がる!と思った瞬間に肩透かし、の大連続、ナマで観ているからわかるけど、あとでテレビ放送をたまたま見た予備知識ない人は「放送時間の関係で、あちこちカットしてあるのね」と誤解するぞ、と危惧するよーなつぎはぎ感。
平坦で退屈、時間が経つのが遅く感じるよーなしんどい作り。
それはたしかにそうなんだけど、それでも「泣ける」のは、『虞美人』だ。
主人公たちが死んでしまうから脊髄反射で泣くのではなく、その生き様に涙するんだ。
登場するキャラクタひとりひとりにドラマを感じ、彼ら主役でSS書けるくらいの魅力を感じる。
それがあるから、『虞美人』なんだ。
隣の芝生はいつも美しいもので、うらやましくはあるんだけれど、『愛と死のアラビア』の4日後に『スカピン』を観た2年前とは違い、今回は真面目に考えた。
もし『虞美人』ではなく花組が『スカピン』を上演していたら。
や、なにを上演していても、結局のところ贔屓組である以上それなりに楽しむのだが、それを抜きにしても。
『虞美人』に感じていたほどのカタルシスを、『スカピン』には感じられなかったろうな、と思った。
あくまでも、わたしは。
わたし限定。
ただ、『スカピン』の方が通いやすかったと思う、バイオリズムに合っているから。
メリハリがあって時間が経つのを早く感じられる、素晴らしい音楽と美しい画面でぐいぐい引っ張られてわくわくしたまま2時間半を過ごせる。
フタ桁リピートを前提として考えると、絶対『スカピン』が通いやすい(笑)。退屈を我慢しなくていいから、心の負担にならない。
贔屓の出番が少なくても、いや、少ないからこそ、彼の関係していない部分が面白くあってくれないと、リピートはつらいって。
また、『スカピン』くらい罪なく軽い物語の方が、リピートには楽だ。ショーヴランの最後を真面目に考えちゃいけない、笑って終わることができる、濃度で楽しむのが『スカピン』。
『スカピン』の方が通うのが楽だとわかっていても、たるくてしんどい『虞美人』の方が好きだ、ってのはもお、ただの好みの問題、どーしよーもないですな。
項羽の不器用な生き方に、劉邦のいびつさに、そしてすべてを照らす虞美人の存在に、心をひりひりさせて涙するのが、心地良かったのですよ。
世間的評価が正しいんだろうし、わたしもまた『虞美人』がいろいろとアレな作品であることはわかっちゃいるが、それでも『虞美人』が好きだ。
『虞美人』で良かった。『虞美人』と出会えて良かった。……こまったことに(笑)。