さて、リチャード先生@まっつの話をしよう。

 星楽について語り足りないことは山ほどあるし、芝居幕開きの幼少時代のマイケル&クラウディアの無邪気なやりとり見てkineさんのSS思い出してスイッチON、だーだーに泣き出したことだとか、そもそも書きたかったことや書く予定だったことはまったく書きそびれてしまったし、『愛短』自体語り足りていないこともあるんだが、今書くとドツボにハマりそうなので回避。

 お茶を濁すときは、まっつの話。……とゆー法則ができあがってますな、わたしの場合。
 頼むよまっつ、いつまでもわたしの逃げ場でいてね。癒しキャラでいてね。

 なにもかもが謎でとっても愉快な『MIND TRAVELLER』

 はーい、ここで質問です。

 マックスの偽記憶版「カザン殺人事件」の脚本書いたの、誰ですか?

 記憶喪失のマックス@まとぶは、リチャード教授の手術によって記憶を取り戻すことに成功。なんと彼は殺人犯だった!! しかも恩人殺し、父と慕ったカザン@星原先輩を殺していたのだ!!

カザン「なんだまた給料の話か」
マックス「親友のボブとふたりで会社作るんだ。パパ、資金出してよ」
カザン「冗談じゃない、断る」
マックス「なんで? 俺のこと息子みたいに思ってるって言ったじゃないか」
カザン「どこの馬の骨ともわからん奴を信用するわけないだろ。係累のない奴は使い捨ててもいいから、ちょうどよかったんだ」
マックス「ひどいっ、アタシのこともてあそんだのねっ?!!」

 えーと。
 金銭関係のトラブル、というより、痴話喧嘩の末って感じなんですが。あ、台詞はてきとーですよ、もちろん。

 誇らしそうに「カザンパパからプレゼントされたペンダント」を身につけ、おねだりをするマックス。
 拒否されて「アタシのこと愛してるって言ったじゃない!」と憤慨し、逆ギレして発砲。

 ……それ、痴話喧嘩ぢゃん。

 マックスの記憶をスキャンしたうえで、「もっともらしい脚本」を書いた人間がいる、わけだよな。
 ただの金銭トラブル、では動機が弱い。給料をめぐってのいざこざ程度ぢゃ無理だと判断したのだろう。
 マックスが金のことで簡単に人を殺す人間ならそれも可能だが、彼は真っ当な社会人だ。育ちがいいとはいえないのかもしれないが、働きながら大学に通い、ふつーに勤め人になったふつーの感覚の男だ。犯罪歴もない(あったら大手警備会社に就職はできんやろ)。
 いくらそこだけ記憶を書き換えても、「思いもしないような出来事」を挿入するだけぢゃ、意味がない。なにより本人を騙さなきゃならんわけだから、「魔が差したらやりそうなこと」「万が一に起こりそうなこと」である必要がある。

 考えてもみてよ。
 ふつーのOLに、嘘の記憶を刷り込むとして。
 上司に「起業しようと思ってるんですよ、課長、お金貸して下さい」と言って速攻「ダメだ」と断られた。それでOLは激昂して上司を刺し殺した。
 ……てな記憶を刷り込んだとして、信じてもらえるか? なによりも、当のOLに。
 魔が差してもやらんだろ、そんなこと。

 脚本にはもうひとつ、工夫がいる。
 ただの上司ではダメだ。
 だが、「OLと不倫関係にある上司」だったらどうだ?
 「起業しようと思ってるんですよ、課長、お金貸して下さい」と言って速攻「ダメだ」と断られた。……そこに、ドロドロしたものが加わるだろう?
 「あたしのこと愛してるなら、あたしの将来も考えてくれていいじゃない! 結婚してくれないんでしょ? だったら独立する援助ぐらいしてよ! それともあたしとのことは遊びだったの?!」てな展開で殺人事件はアリだろ。魔が差したら、あるかもしれないだろ。

 愛と憎悪は紙一重。
 「ただの上司。毎日お茶を淹れるだけの相手」に拒絶されるのと、「上司であり、愛し合う恋人」に拒絶されるのでは、意味合いがまったくチガウ。

 つーことで、マックスに与えられた記憶には、「息子みたいに思ってるって言ったじゃないか」という件が入る。

 マックスはとてもまともな男だ。
 考え方、感じ方、行動がすごーくまとも。そのせいではっきりいって、すごく地味なんだけどまあソレはソレとして、それだけまともな男が「恩人を殺した」と信じられるのは、「カザンに愛情を拒絶された」というシナリオがあったからだ。
 まともな男だから、「金銭トラブル」で殺人は犯さない。借金で首が回らず、断られたら死ぬしかないっつーよーな状況でもなかった。
 だが、「愛を踏みにじられた」ら、激昂するのさ。傷つくのさ。
 その怒りや悲しみゆえに、罪を犯すことがないとは、言えない。

 この脚本書いたの、誰よ?

 マックスという男を理解し、彼のウィークポイントを正しく突いてきたのは、誰よ?

 ……やっぱり、リチャード先生ですか。

 マックスがカザンを愛していることを知り、カザンに裏切らせることにした。愛を訴えるマックスを嘲笑し、踏みにじった。
 それゆえにマックスは怒りで我を忘れた。

 マックスのアタマの中……海馬の中をのぞき、なにもかも知ることができた人物。
 莫大な資金のかかったプロジェクト、その根幹となる部分を下っ端たちに任せるとも思えない。
 しかもその「嘘の記憶」は多分に三文芝居風味(笑)ときた。狙いが正しいのはわかるが、なんともダサい。

 コレってやっぱ、リチャード先生だよな? な?(笑)

 マックスの過去、孤独な半生、そして愛。
 それらを全部知った上で、「万が一に起こりそうなこと」を嘘の記憶として刷り込んだ。

 そして。
 リチャード先生は言うのさ。

「キミの海馬は、私のモノだ」

 ……「海馬帝国のファーストレディ」も大概なプロポーズだが、こっちのプロポーズもすげえ。
 名言多過ぎだリチャード。笑い死んだらどーしてくれるんだ。脚本の才能もだが、センスもないよなあ。

 いや、わかるよ。
 マックスの人生全部、見ちゃったわけだろ。10時間かけての大手術もそうだし、その後もえんえんファイル探しでスキャンしてて。なにやってんだか具体的にわからんっつーか想像するとトホホになるからしたくもないが、とにかくリチャードの、マックスへの入れ込みは、何気にすごいディープなところまで行っていても、おかしくないよな。

 一部の記憶をいじっただけの富豪婦人も定期的にケアする必要があり、「一生分の記憶」をいじって取り戻させたマックスに至っては、3日に一度のケアが必要てか。
 一生、マックスの面倒を見る気だったのか。

 なにしろ「キミの海馬は、私のモノ」だからなー。すげーよなー。

 いやはや。
 愉快すぎです、リチャード先生。

 まあとりあえず、マックス×リチャードで。
 ……わたしは攻キャラスキーだが、リチャードが攻には見えない……どうがんばっても見えない……。

 
 「嘘の記憶」がどーにもこーにも嘘っぽくてバカくさい。小池、なにも考えてないな。……てなことは承知の上で、書いてます(笑)。
 いや、ソレを言ったら『MIND TRAVELLER』自体がどーにもこーにも嘘っぽ……ゴホゴホ、バカくさ……ゲフンゲフン。


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