昨日が星組集合日だったのに。
 昨日の今日で、新生星組の、ラインアップ発表。

 じ、時代は流れていくんだな……ったく劇団、容赦ねえな。
2014/12/26

2015年 公演ラインアップ【宝塚大劇場・東京宝塚劇場】<8月~11月・星組『ガイズ&ドールズ』>


12月26日(金)、2015年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、宝塚大劇場・東京宝塚劇場の上演作品が決定いたしましたのでお知らせいたします。

星組
■主演・・・北翔海莉、妃海 風

ミュージカル 
『ガイズ&ドールズ』 -GUYS & DOLLS-
原作/デイモン・ラニヨン 作曲・作詞/フランク・レッサー
脚本/ジョー・スワーリング、エイブ・バロウズ
脚色・演出/酒井澄夫
翻訳/青井陽治 訳詩/岩谷時子

 『ガイドル』かよ?!!

 意外なタイトル来たなー。
 『ガイズ&ドールズ』は12年前、かなり観ました。つか、原作まで取り寄せて読みました(すべて現在形だけで書かれた小説、面白かったよー)。
 12年前ならわたし、もうブログ書いてたんじゃ……?と調べて、あらまだ書いてないのね、2002年5月からだから、お正月公演の『ガイズ&ドールズ』は書いてないや。
 同人誌作ったりしてたから、すっかり書いた気でいたわ(笑)。

 海外ミュージカルなので、基本的にわたしは好きじゃないです。
 アメリカさんとは感性合わなくてさー。ナニが面白いのかわからん。
 でも、わたしが苦手なアメリカさんの中では、まだ拒絶反応が少ない作品です。つか、けっこう好き。
 女の子がかわいい。
 ヒロインのサラと、それに比肩する女性キャラのアデレイド。このふたりがとにかくかわいくて。
 ……それに比べると、男たちはあんまし魅力的じゃないんだけど……。
 で、でもとりあえずスーツ祭りなので、見た目は楽しめる。

 12年前はなー、ナイスリー@ゆーひくんと、ビッグ・ジュール@ケロがステキでなー、かわいくてなー、このふたりを観るためだけに通ったのよー。
 ふたりが脚本関係ないところでいちゃついてるのが、かわいくてかわいくてかわいくて。

 ストーリーはあまりないので、個々のキャラを楽しむキャラ物認識かな。
 たぶん本来の色とは違っていたんだろうけど、リカちゃんが独自のスカイを創り上げ……というか、リカちゃんならではの突き抜けたスタイリッシュぶりを堪能させてもらった印象。
 リカちゃんがいろいろ苦戦していたのって、新専科制度や特出のバタバタで組が落ち着かなかったことに加え、2番手がタニちゃんだった、てのが、多分にあるよなあ……。相手役もだけど、2番手との相性大事。
 リカちゃんは相手役のえみくらちゃんが中高生みたいな女の子で、2番手のタニちゃんがこれまた大人の男不可のお子ちゃまだったりしたから、不自由だったんだよなあ。リカちゃん自身はセクシーで大人っぽい人だったのに……。

 当時の『ガイドル』配役は、中年ヒゲ親父ネイサン@タニちゃん、ということだけをのぞけば、とても楽しくステキだったと思う。
 なんつってもアデレイド@きりやんがうまくてキュートで。

 わたしは、シカゴの大物ギャング・BJ@ケロとその世話役「馬面」ハリー@越リュウというツーショ、BJに何故か絡むネイサンの手下ナイスリー@ゆーひ、という画面だけでごはん三杯いけましたから!!
 ケロゆーひ越リュウ! みんなスーツ姿! キャッホウ!!

 だもんで気になるのはそこです。

 BJは、まさこ様だよね?!!

 迫力のダブルのスーツ、スカーフェイスに無表情、歌はないから音痴も安心、小僧っこには真似出来ない大人の男、台詞も少なく「クラップやろうぜ」。
 そして、手にはテディベア!!

 まさこ様で見たい~~、見たい~~、見たい~~。

 や、テディベアじゃなくていいんだけど。ナニか別のモノ持ってくれていいんで。
 強面ギャングとギャップになるモノで。

 ハリー・ザ・ホースも是非渋めのオトコマエ枠でお願いします。

 でもってナイスリーは胴布団なしのゆーひさん仕様で!
 もともとナイスリーはおでぶのコメディ担当男らしいけど、ゆーひくんは英断、スリムな二枚目のまま演じた。タカラヅカなんだもん、それ正解。見た目の悪さで笑わせる必要なし。
 おかげで、若手のかわいい役になった。
 いっつもお菓子食べてるゆーひくんがかわいかったなーー!

 アデレイドがもっとも重要な役、とも言えるんだが、どうなるのかなあ。歌もダンスも芝居も出来なきゃキツイ、という難役。大劇場センターで、女の子たちはべらして「スター!」として歌い踊るショーシーンあり。特に歌唱力必須。
 娘役がやるには大きすぎる、比重が。
 2番手役みたいなもんだもの。
 となると男役か。
 ハイミスの中年女性役なので、若手少年が女装してやるべき役じゃない。年季の入った男役がやるからこそ味も出る。

 実力だけでいうとことちゃんなんだけどなー。
 彼がスカーレットやってなくて、今まで女役をろくにやってないなら、ここで大きな役をばーんとやっちゃうのはいい経験になるだろうけど。
 さんざん女役ばっかやってて、本公演でも主役張りの女役までやるのは、誰のためにもならないしなー。
 ことちゃんが不人気だけど劇団事情で売らなきゃならないスター、だというなら女役ばっかさせたり、いっそ転向させてもいいだろうけど、せっかく今現在「ものすごく売れている」スターなのに、お金にならない女役にさせちゃったら、すげー損失だと思う。娘役の人気で興行が成り立つなら、劇団はとっくに娘役主演の公演をしているはず。そうじゃないのは、男役でないと「金をかげない」からだ。
 人気ある人は、目先の小銭ではなく、数年先の収益を見越して、ちゃんと男役スターとして育てましょうよ……。

 とはいえ、他に出来そうな人がいない、つーのがなー。
 ここまで比重も難易度も高くない役なら、劇団事情で推したい子にさせられるだろうに。

 というか、娘役がやるなら風ちゃんが出来るだろうし、男役がというなら、たぶんみっちゃんがすげーうまく演じると思う。
 …………と思うわたしは、『ガイズ&ドールズ』の主役カップルが、みち風コンビのイメージに合ってるとは思えないのだわ……。

 まあ、みっちゃんはうまいから、なんでもうまくやっちゃうと思うし、風ちゃんもうまいから以下同文。
 実力派コンビゆえ、ナニを与えられても一定ラインは保証してくれると思う。
 でも、彼らの魅力をもっとも出す作品であり役であるかというと……?

 しかしなんで劇団、立て続けにリカちゃんの作品を、みっちゃんにさせるかねええ。持ち味対極なのに。
 みっちゃんがリカちゃん張りにキザキザ二枚目になってくれると、期待していいのかなっ。

 実力安定コンビが海外ミュージカルをやるのは正しい、安心して観に行ける。
 配役も含めて、楽しみだ。
 どいちゃん、コロちゃん卒業が来ちゃったか……。
2014/12/25

星組 退団者のお知らせ


下記の生徒の退団発表がありましたのでお知らせいたします。

(星組)

柚希 礼音  -すでに発表済み-
音花 ゆり
鶴美 舞夕
夢咲 ねね  -すでに発表済み-
海 隼人
逢月 あかり

2015年5月10日(星組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団

 『アルカサル~王城~』を観たときの「世代」感を思い出した。
 若者たちが育っているから、ベテランは退くべき、という意味じゃないよ。現役云々とは別に、世代の差はある、それを感じたんだ。

 どいちゃんコロちゃんって、わたしが星組ホームにしていた頃の若手さんで、それゆえに「見守ってきた」感が強いのね。
 や、わたしがナニしたわけでもない、担でもない奴がナニ言ってんだってなもんですが。

 檀ちゃんMSとかさー、しいちゃんのお茶会とかさー。
 当時の思い出に直結しているから。
 初々しい彼らの姿を、今でも思い出せる。

 そして、なんか最近よく思い出す、『アンナ・カレーニナ』。
 コロちゃんが貫禄の公爵夫人でさー。
 どいちゃんが素敵なおじさまでさー。
 ともみんが暑苦しくて、ベニーが面白くて(笑)、みやちゃんがかしちゃんみたいで、まひろがぶっ飛んでて、せあらちゃんが美しくて……楽しかったなーー!

 思い出は美しくなるっていうけど、なんかほんと、美しかったなあ。なんかほんとに、ただもうキラキラ美しくて、キラキラキラキラ、切ないな。
 ともみんも卒業だしね……ああ、なにもかも遠くなっちゃうんだなあ。

 年寄りはもお、後ろばっか見てうじうじしちゃうよなあ。


 れおんくんという、大きな大きなトップさんの、大きな時代が終わりに向けて動き出しているんだね。
 タカスペの組ごとのコントは、「今年1年を振り返る」ものだと思ってた。
 実際、これまでのタカスペはそうだった。

 だけど今回の宝塚歌劇100周年フィナーレイベント『タカラヅカスペシャル2014-Thank you for 100 years-』は、そうではないみたい。
 やっぱナニ、100周年だから? 記念の年の特別なイベントなんで、いつもと同じことはしませんよってか?

 まあ、それならそれでいいんだけど。
 特別な年だから、ふつーのことはしません、なのはいいとして。
 そんじゃ一体、どこに焦点当ててたの?

 「今年1年を振り返る」だと、「今現在の客に向けてのイベント」だとわかる。
 「タカラヅカ好き~~」と言っている人でも、「10年くらい観てないけどぉ」と言っている人は、タカスペのコントを観ても楽しめない。元ネタが1年間限定だからだ。
 今現在のタカラヅカを観ている人、でも、「自分の組しか観てなーい」という場合は、「うちの組のお芝居面白かった、すっごく笑った~~、でも他の組はわかんなかったー」ということになる。でもま、「やっぱうちの組は最高! 他の組は面白くないから観なくていいわ」と、自組愛が深まったりして、それはそれで効果あるんぢゃね?
 もちろん、「わかんないけど楽しかった」「わかんないのは観てないからだろうし、来年は他の組も観てみよう」と思う人もいるだろうし。

 んじゃ今年は、どこへ向けて作られたコントなのか?

星組 今年の『眠らない男・ナポレオン』『The Lost Glory』がメイン。『REON!!』も今年になるのか?
宙組 あれ? 『風共』も『モンテ・クリスト伯』も2013年だよね……?
雪組 『JIN-仁-』2012年メイン、今年の別箱公演2つ、来年の別箱公演。
花組  『戦国BASARA』2013年メイン、『虞美人』2010年、来年の別箱公演。

 「今現在のファン」に向けて作られていたのは、星組のみ。
 「今年も去年も同じようなもんだ。今年観ていた客は、去年も観ていたさ」ということ? 「今年観ていた客は、去年はもちろん、一昨年だって観ていたさ」ということ?
 そうやって、「今年観ていた客は去年も一昨年も一昨昨年もその前も……(略)……100年前も観ていたさ」という考え方=「100周年のファイナルイベント!!」ということ?

 わたしは、逆だなあ。

 今年タカラヅカは、「100周年!」「100周年!」と騒いで、メディアにもいろいろ取り上げてもらい、良くも悪くも注目度が高かった。
 どんな公演もふつーに観ている者として、「100周年効果」によって、客席がにぎわっていくのを肌で感じた。
 それは今年はじめよりあとになればなるほど、雪だるま式に大きくなっていった。

 劇団が考えている(?)「今年観ていた客は、去年はもちろん、一昨年だって観ていた」だと、この「100周年バブル」は説明が付かないんだ。
 だってそれまでは、こんなにお客いなかったじゃん!

 何年も前からいるずーーっと同じ顔ぶれだけを相手にしていて、実際同じ客しか劇場に来ていないというなら、100周年祭りにかけた莫大な宣伝費は無駄だったということになる。
 新規客や、観劇には至らずにいた潜在客を取り込むことに成功した、それゆえの100周年バブル現象でしょう?
 宣伝した甲斐があったんでしょう?

 100周年祭りは成功した。宣伝した分、話題と集客を得た。
 実際のプラマイがどうかは外野であるわたしにはわかんないけれど、劇場が賑わっていることだけわわかるので、成功と考える。

 「100周年だ!」とぶちあげることで、新しい客が来た。
 そこで、「100周年ファイナルイベント」を開催する。

 となれば、企画意図はどこに据える?

 100周年祭りで増えた新規客、および、すべてのタカラヅカファンに向けて。

 ……一昨年とか去年とかのファンに向けてじゃない。

 100周年バブルゆえ、良くも悪くも「過去を知らない」客がいる。
 そこには「10年前は観ていたけれど」「独身時代は観ていたけれど」という、出戻り組も多くいる。
 そんな人たちに「2~3年前を知らないと楽しめない」モノを見せても仕方ない。
 今年限定とするならば、「100周年の今年だものね」と納得されるかもしれないが……何故数年前。しかも、組ごとにバラツキがある。

 増えた新規客、100周年という区切りの年、内外からの注目、伝統と歴史……それらを踏まえて組ごとのコントを企画するなら。わたしなら。

 「タカラヅカ」名作パロディにする!

 ここ数年ヅカを観ていない人でも、100周年ではじめてヅカファンになった人でも、自分の組以外観ていない人でも。
 みんなが楽しめるモノ、が起点。

 なにしろタカラヅカには、100年の歴史がある。
 名作、有名作があるんだ。
 実際に観ていなくても話が通じる、共通認識にまでなった作品が、たくさんある。
 それらをネタにすればいい。
 植爺祭りにはなるだろうけれど(笑)。

 『ベルばら』『風共』『エリザベート』、最近の再演の多さから『ロミジュリ』『ミーマイ』もアリ。
 著作権の壁が厚いなら、海外ミューなしになっちゃうけど、それなら『ノバ・ボサ・ノバ』とかショー作品入れてもいいもんなー。『ベルばら』はオスアンとフェルマリの2作に分けてもいいし。

 100年の歴史に、敬意を示して。

 パロディは元ネタを知っているかどうかで、面白さがまったく違ってくる。
 組ファンならどこで行われた別箱少人数公演でも追いかけて全部観ているだろうけれど、それ以外の人はせいぜい本公演のみでしょう。
 東京で短期間だけ、宝塚で短期間だけ上演された別箱公演を両方観ている人は、どれくらいいるんだろう……。そんな分母の少ない公演と、2年前2代前のトップさん時代の作品を元にコントをやらされた雪組、東京で短期間だけ上演された別箱少人数公演をメインに、4年前2代前のトップさん時代の作品を元にコントをやらされた花組……ネタは今年の『エリザ』だったけど、10年前の『Ernest in Love』がそもそも大きなネタ振りになってるし。
 これ、どんだけの人が元ネタわかってるんだろう……見ながら首をかしげた。

 生徒が出ていれば、ファンとしてはなんでもかわいいし面白いし、元ネタなんか知らなくても生徒さんへの愛情ゆえに楽しい、それゆえに今年のコントも温かい笑いに包まれていたけれど。

 劇団の姿勢には、盛大に疑問を持った。

 「歌を聴かせることより、100曲こなすことが大事」の100曲メドレーとか。
 どの層に向けて作ったのかわからない、練られてもいない投げっぱなしのコントとか。

 どこの誰に向けての企画なのか、わからない。
 宝塚歌劇100周年フィナーレイベント『タカラヅカスペシャル2014-Thank you for 100 years-』の組ごとのパロディ芝居パートの感想を、簡単に走り書き、後半。

 雪組パートの前振りに出て来たみっちゃんとみつるが……勝先生と南方先生。
 うわわわ、勝先生だ、勝先生だーー!!
 『JIN-仁-』は観た回数ハンパないので、記憶の甦り方が前の2組と違ってテンション上がる。
 でもってみつるがふつーに南方仁のパートをやっていて。おお、ちゃんと歌ってる、ハモってる! 歌ウマさんと一緒だと歌えるタイプの音痴なのか、みつる!
 みつるくんをキムくんに似ていると、このとき限定はじめて思った。唇かな? あと実はおでこも似てると思うな(笑)。

 前振りMCが出演者だった、てのは強いなあ。すごくスムーズに龍馬@ちぎくん登場。


 すいません。
 なんか、なんかもう、感無量で。

 わたし、ちぎくんの龍馬が大好きだったの!!

 でもって、ちぎくんの歌う龍馬ソングが。
 大好きで大好きで、当時もこの歌聴くとテンションぶわーーって上がった。

 ハートがドレッシング並にしゃかしゃか振り回されて、いろんな思いが爆発してぐるぐる回って。
 ただのお遊びパロディなのに、息も絶え絶え。

 そんだけでも十分楽しいのに……土方歳三キターーッ! この展開好きだったなあ、って……。

 土方歳三@だいもん。

 『JIN-仁-』をそのまんまやってますけど、配役違ってます、土方がだいもんです。

 だいもん……。
 組替えしてきていきなりイベントのパロディ芝居で、いきなり日本物で刀抜いて、こんなことさせられてんのか……(笑)。

 違和感なし。

 だいもんが雪組にいても、ぜんぜん違和感ナイ。日本物で土方で刀持っててぜんぜん違和感ナイんですがなんなの。
 つか、ちぎくんと合うなあ。

 このまま『JIN-仁-』で進むのかと思いきや、なんの脈絡もなく『パルムの僧院』『伯爵令嬢』の面々が出て来る。
 なんのひねりもない……。
 唯一おかしかったのは、ロンサール伯爵@大ちゃんか。ルロンさん最強。

 そしてどたばたのなか、突然玉勇@みゆちゃんが現れる……。

 あ。なんかこれ、デジャヴ。
 何年前のタカスペだっけ? どーしよーもないどたばたコントの中、ののすみ藤子が出て来て異空間になったの……。
 コントだったはずが、ガチの芝居になっちゃって、余計に「どーすんだコレ」になった、あの異空間ぶり。

 みゆちゃんがガチでなあ。
 うまいなー。つか、冗談通じないっつーか、コント出来ないんだろーなー。ガチで芝居してるっす……。

 タカスペの組ごとのコントって、「今年1年を振り返る」がコンセプトじゃなかったっけ……。
 メインになってるのが『JIN-仁-』って、何年前だよ?
 そしてオチが来年の博多座公演って、まだお稽古もしてない未来の話だし。
 なんかもう、むちゃくちゃやなー。

 でも、ちぎくんの沖田総司が良さそうなことはわかりきっていたし、ここにみゆちゃんがこの演技力で玉勇さんやるのだったら、「こりゃ楽しみだ」と思う人も多いだろうし、宣伝という意味では良かったのかな?

 コントのフィナーレで全員並んだ姿を見て、土方役は本来がおりなのにな、とちらりと思う。
 本役さんがいるのに、別の人がやっちゃうんだなあ。仕方ないけど、がおりファンはがおりの土方見たかったろうなあ、とか。


 この「本役さんがいるのに」が、次の花組では別の切なさになる。

 花組は、『戦国BASARA』+『虞美人』+『エリザベート』+『Ernest in Love』……。

 謙信様@みりおくんに対峙する忍びのPちゃんとカレーくんが……あー、そっかあ、もう本役さんたち、どっちもいないんだ、と気づかせる。
 本役さんがいれば、本人がやってると思うのね。みーちゃんもだいもんも、もういない……。
 んで、次が『虞美人』じゃないですか……あやねちゃんだってもちろんいないし、当時のトップ周辺の人たち、まとぶんえりたんみわっちまっつ、もう誰もいない……。

 あの人もいない、この人もいない。
 さみしさが募る。
 そして今、トップコンビとして真ん中にいるのが、月組のみりおくんと、宙組のかのちゃんで。
 や、それを言っちゃいけないのはわかるけど、『Ernest in Love』のポスター見て「どこの組?」と思った、その感覚を思い出した。

 このコント考えたの誰よ?!
 なんで素直にみりおくんが来てからの花組公演をネタにしなかったの?!!
 他の組はちゃんと、当人たちの公演をネタにしてるじゃん。なんで花組だけ、「誰もいない」感を大きくさせる作りなの??

 そして純粋に、帽子を探す、というネタは通じるのか?と疑問だった。
 『Ernest in Love』はまだ、上演されてません……。
 見た人でないとわかんないことを、コントの本筋されてもな……。

 脚本書いた人、アタマ悪い……。

 『戦国BASARA』の主題歌はテンション上がる曲なので、この曲でみりお様が登場すると、ぶわーっと盛り上がったんだけどさー。佐助の武器構えてよろよろするカレーくんもかわいかったんだけどさー。
 そっからあとは、よくわかんないっす。盛り上がりどころが……。


 コントとはいえ、芝居の脚本は、起承転結できる人にやらせましょうよ、劇団さん。
 宝塚歌劇100周年フィナーレイベント『タカラヅカスペシャル2014-Thank you for 100 years-』の組ごとのパロディ芝居パートの感想を、簡単に走り書き。
 思ったことのみのメモなので、あらすじ紹介なし。(当日の帰り道に書いた走り書きですから・笑)

 しょっぱなは星組。
 まだ劇場が暖まってないところにお笑いをやるわけだからハードル高いけど……星組だもん、大丈夫よね……って、ベニーいないんだった!

 えー、星組は『眠らない男・ナポレオン』+『The Lost Glory』+『REON』+『ノバ・ボサ・ノバ』ですか。

 プログラムを買ってはいても読み込んではいないので、誰がどんな役で出るのかはわからないまま。
 客席係の女の子トリオが登場、「紅子先輩はお休み」てな話をしている。
 女の子たちは、しーらん、みっきぃ、ことちゃん。違和感なく、女の子。
 ことちゃん以外はもういい学年なのに、女装にならないあたりがすごいよなー。
 で、わたしはすんなりと「ベニーは紅子役で出るはずだったのね」と思った。
 あとになって友人から「ベニーはロナルド役よ、プログラムに書いてあった!」と言われ、首をかしげたさ。
 ロナルド役で出て、ナニをどうする予定だったのかな?
 てっきり紅子で登場して、最後のオチもベニー担当だと思ったんだけど。もともとオチもみっきぃだったの?

 や、ベニーには是非元気になって戻って来て欲しいです。


 星組編のわたし的トピックスというかツボは、悲壮なまでにハイテンションのマカゼ氏です。

 いやあ、びっくりしたー。
 カーティス@『The Lost Glory』のマカゼさん。
 なんか突然ひとりちょーハイテンションで登場し、空気無視して歌い踊るのだわ。
 その無理してる感というか、痛々しさが、ジャストミートしましたMyハート!!(笑)

 何故マカゼにコレをやらせたんだ、演出家……(笑)。

 マカゼさん、大人になったなあ。こーゆーこと、させられるし、やるようになったのかあ。
 や、素のマカゼさんが宴会芸マスターで、空気凍った中でもひとりヘソ踊りするよーな超絶陽気うるさいキャラだったりするのかもしんないけど、わたしは舞台の不器用なマカゼさんしか知らないから、この「すべった芸人」みたいなテンションで大騒ぎしているマカゼさんが新鮮でさー。
 キャラに合わないことやらされて、またそれがすべってて痛々しくて、でも本人すげーがんばってる感じなのがまた正視しづらくて、すげー萌えるわー。てな感じに見えたの、わたしには。

 突然陽気に騒ぐカーティスさんは、ぜんぜん爆発的な陽気さも派手さもなくて、むしろいぶし銀っつーか、後ろの暗いとこでバーボンでも飲んでろよキャラに見えるんだけど、本人は「カルナバルだぜイャッホウ!!」的な太陽キャラのつもりでいる。
 大変だなー、マカゼ。がんばってるなー、マカゼ。
 ベニーがいたら、マカゼがここまで柄に合わないハイテンションやることもなかったのかなあ。それとも、自発的にナニか気負ってこんな風に盛り上がっちゃって、結果スベってんのかなあ。かわいいなあ。愛しいなあ。

 真実なんかなにひとつわかんないけど、わたしは萌えた。勝手に。

 てことで、星組編の印象は、マカゼが全部持ってった! かわいいよマカゼ!!

 しかし、最後の楽屋落ち感といい、コントとしてはいい脚本じゃない。
 例年にも増して残念感漂うんだけど、これは休演者が出たためか?
 と、首をかしげて、次は宙組。

 宙組は「みんなが知ってる『風と共に去りぬ』」というネタを使えるから、コントをやる分にはいいよな。
 『風と共に去りぬ』+『モンテ・クリスト伯』。

 ただ、『風共』はすでに「夢まつり」の『風共』パロディ祭りがあるため、ハードルが高くなっている気はする。
 バトラーの「わたしとアナタは裏表」も、え、コレやるの? 夢まつりですでにやっちゃったネタなのに??と、ヲタ歴の長さゆえに水を差されることが残念。ナニも知らなかったら、もっと楽しめたろうにな。

 そしてわたしは、ここで考える。
 『モンテ・クリスト伯』? あれ? 『モンテ・クリスト伯』って今年だったっけ?
 今年はわたし、怒濤過ぎていろいろ感覚おかしくなってるからなあ……。

 ところで、典獄@ヲヅキさんの落としどころはどこですか?
 なんかよくわかんないまま観てたんですが。
 ヲカマさんなの? 女なの?
 ベル@『風共』キャラなの?
 ナニか意味があるのかな、ナニかオチがあるのかな、と思って観てたんだけど、よくわかんなんかった……。わたしに笑いの才能がないせいかもしれんが。
 わたしがヲヅキさんばっか見てて、全体を見てないせいかもしれないし(笑)。

 んで、女のヲヅキさんがドSにかなめくん(もちろん男)をなぶるとか、そーゆーのはちょっと見てみたい、ムチ鳴らしたり引き倒したりしてことさらな女言葉でなじったりするの、そーゆーのはちょっとアリでないかい?と、腐ったことをちらりと考えたりなかったり。

 東宝に行く予定のないわたしは、最後に見たテルキタがこの女(ヲカマ?)ヲヅキさんと謎のバトラーかなめ様になるの……? えええ。


 1幕目がこの2組。
 初日初回なので、月組さん中継はなし。プログラムには月組コーナーも1幕にあると書いてあるけど。

 そして、2つともコントとしてはなんかバタバタするばっかで、おもしろいかどうか微妙……や、ジェンヌがかわいいしステキだからそれでいいんだけど。
 「うちの子」ノリというか、脚本の出来云々より、「うちの子が舞台にいる、動いてる、ナニか言ってる!」だけでテンション上がって声が出る、感じ。
 タカスペのコントコーナーなんてそんなゆるさでいいんだと思う。

 思う……けど、幕間に友人と「演出家誰よ?」と確認し、

「中村A……」
「どの組が?」
「全部……」
「……………」

 となったのは、言うまでもない(笑)。
 なにはともあれ、宝塚歌劇100周年フィナーレイベント『タカラヅカスペシャル2014-Thank you for 100 years-』初日初回を観劇しました。

 今回びびったのは銀橋です。

 わたしはあたりまえのよーにオペラグラス使用、ぼーっとトド様はじめトップスターさんたちの顔を眺めてた。
 すると、彼らは突然前へ前へと歩いて来るではないですか。
 えっ?
 思わず、後ずさっちゃう。

 感覚として、あるわけっすよ。
 舞台の位置について。
 ここまできたら立ち止まる、ここが舞台の端、って、観ている方もおぼえちゃってる。
 その感覚を超えて前進してくるもんだから、びびった。

 びびって、オペラ下げて、はじめて、気がついた。

 銀橋に、橋がある。

 日本語変だな(笑)。橋に橋。

 本舞台があってオーケストラピットがあって、銀橋があって、客席がある。これが大劇場。
 銀橋へ行くには、まず舞台端の花道へ出て、そこから銀橋へ行くことになる。銀橋の真ん中へは、端から辿っていくしかない。
 その本舞台と銀橋の間、オケピの上に橋が作ってあった。
 いちいち端へ行って花道を通らなくていい。本舞台真ん中から、銀橋真ん中へ出られる。

 ……なんてこと、気づいてなかった。
 舞台の大きさを感覚でおぼえているのと同じ、本舞台と銀橋の間にはオケピがある、銀橋へ出るには迂回しなければならない……そう、染みついているんだ。
 だから、幕が開く前からオケピに橋が作ってあることぐらい目に入っているはずなのに、気づいてなかった。そんなところ、ハナから見もしてない。
 幕が開き、明るいライトに照らされても、気づかない。
 そして、スターたちがナニもないはずのオケピの上の空間を歩いてきて、「えっ」となった。

 すげー違和感。

 銀橋に出るのに、花道回らなくていいなんて。そのまま前進すれば、銀橋センターに立てるなんて。

 タカスペなどのイベントでは、オーケストラは本舞台上に移動しているので、オケピはただの空洞、オケピとして使用されていないんだから、フタをしてステージの一部としてもいいはずなのに、その利用法にまーーったく気持ちが動かない。
 銀橋は銀橋。橋だからいいのであって、本舞台と続いてしまったらそれはもう橋ではなく舞台の一部、ちっとも「特別」でなくなってしまう。
 スターが銀橋に出て来たーー!! とテンション上がるのであって、最初から舞台の一部だったら、そこに立たれても「ふつー」になってしまう……。
 だからオケピが空でも、銀橋は銀橋のままである過去イベントになんの疑問も持たなかった。
 てなわけで、今回は違和感だった。

 空のオケピの有効利用だから、べつにいいんだけど、アリだと思うんだけど……。
 オケピの上を通ってスターが銀橋に出て来るたび「うわっ」と思った。

 ……アタマ固いっすね。


 そして、もうひとつ、こちらは演出のこと。

 銀橋、大安売り!!

 今回のタカスペのコンセプトが「宝塚歌劇の名曲100曲を歌い継ぐ」というもので。
 最初にそのテーマをMCで掲げられたとき、げ。やめとけよ、と思った(笑)。
 各組のパロディ芝居も入れて100分程度のイベントで、100曲歌うとか、余計な縛り入れんでええて。1曲あたり何分使えるのよ、1曲10秒で1分で6曲とか嫌だから! 「100曲歌う」ことだけが目的になって「観客を楽しませる」ことを二の次にするのはやめてーー!

 危惧した通り、「できるだけ短い時間でたくさん曲数を稼ぐ」が命題になっていて。
 あわただしい歌い継ぎばかり。

 曲数を稼ぐためスターが出て来て、数フレーズ歌って別の人にタッチ、また別の曲を数フレーズ歌ってタッチ、という流れ作業。
 そのどーしよーもない「作業」ぶりを誤魔化すために考案されたのが、「銀橋を使う」こと。

 上手からスター現れましたー、銀橋渡りながらちょろっと歌ってると、下手から別のスターが現れましたー、銀橋渡りながらさっきのスターと交代で歌い出しましたー……。

 銀橋があって良かったね。

 これ、本舞台のみでやってたら、目も当てられん……。

 「曲数を稼ぐ」が至上の命題、第一目的なので、1曲に人数は使えない。だからひとり1曲、踊る時間は惜しい、歩いて歌ってさっさと銀橋横断して、次いって、次! 時間ナイよ、あと何曲あると思ってんの! キビキビ動いて、ハイ次!!

 せっかく4組集まってるのに、ひとりずつ出て来て銀橋渡るだけ。

 うわー…………。

 劇団製作のオリジナルCDを思い出した。
 各組からの選抜15名とかでCD作るとして、そのうち1曲は15名全員で歌う曲だとして、全員一堂に集めて録音したりは、しないの。
 別々にひとりずつ歌わせて録音した音を、合成して「15人で歌いました」。
 AさんとBさんのデュエット曲がある! と、発売告知を見てワクテカしても、実際にはAさんはひとりで歌っていて、ひとりで歌っているBさんの声と合成して「デュエットしました」。
 そりゃ、ふたりの声が同時に、重なって聞こえるけどさ……ハモり部分はキレイにハモってるけどさ……これって、デュエットの意味あんの?

 アレとおんなじだなー……。
 せっかく豪華メンバー一堂に集めて、ひとりずつ銀橋渡って、「豪華でしょう?」。
 いつもは別の組で単体でしか見ることの出来ないAさんとBさんとCさんを一緒に観られる! はい、Aさん銀橋ひとり、Bさん銀橋ひとり、Cさん銀橋ひとり、AさんとBさんとCさん、全員観られて豪華でしょう? 満足でしょう?

 劇団のやることって……。


 なんのために複数組一緒にひとつの舞台に立たせているのか、忙しいスケジュールのなか生徒たちを集めているのか、考えていないところが、とっても劇団らしいです。(笑顔)

 「100周年だから100曲!」という、自己満足な思いつきがいちばん大事なんだろうなあ。
 合同イベントだからこそできる舞台や演出の可能性とか、スターの魅力とか、考えないんだろうなあ。それで新たな儲けにつながるような、広がりを生む可能性も、あるかもしんないのに。

 それでも、銀橋使ってくれてよかったよ。
 これで銀橋封印して、本舞台のみでやられたら、すげー地味でせわしないだけの「ワンフレーズコンサート」で終わってたかもしんないもん。
 1曲味わう暇もなくイントロクイズがえんえん続く感じ。「今の曲なんだっけ……あ、そうだ……って、次の曲。これってなんだっけ……」の繰り返しだもん。

 銀橋、大安売り。

 本公演で銀橋ひとり渡りしたことない子たちまで、銀橋ソロ。

「**さん、初銀橋ソロはどの公演でした?」
「『タカラヅカスペシャル2014』ですね」
「えっ?」
 ……てなことになるのかニャ、後年。
 なんかぴんとこないまま、行ってきました宝塚歌劇100周年フィナーレイベント『タカラヅカスペシャル2014-Thank you for 100 years-』(長いよ)、初日初回。

 ぴんとこないのはわたしの個人的な問題です。
 ご贔屓を見送ってからどうも余生感覚が抜けず、時間の経過具合が実感出来なくて。
 友会で当たったチケットしか観に行かないくらい、心も腰も重くなっているのに、肝心の抽選入力忘れてたり。あー、チケットないやー、観に行けないなー、仕方ないなー、まいっかー。
 だいもん観たいので、だいもんの出る公演だけはそれでも意識してがんばってるんだけど、どうも出遅れるというか取り残されるというか。

 完璧出遅れて、チケットないやー、どーしよー。めんどーだ、買っちゃえーー。
 贔屓退団祭りでぶっ壊れた金銭感覚のまま、ぽちっと購入。
 ……いかんいかん、こんなのはこれが最後よ、目を覚まして。来年からは慎ましく生きるの。
 ま、最後のゼイタクってことで、自分に甘く行ってきました、恒例の年末イベント。


 スルーしてもよかったんだけど、やっぱり行きたいと思ったのは、だいもんゆえ。

 雪組デビューがタカスペから、って、デジャヴありまくりです。

 当時のタカスペは大不評の梅芸メインホール。客席少ないわ立見もないわ、見切れ席大量で座席料金にそぐわない作りだわ、銀橋ないわ音響悪いわ、導線悪くて移動しにくいわトイレ少ないわ、ロビー狭くて居場所ないわ、大劇場が心から恋しいアウェイでのイベント。
 それでも、タカスペはタカスペ。ヅカファンは駆けつける。
 ましてや、ご贔屓組替え最初のステージが「今年1年間を振り返る、恒例の年末イベント」だなんて、駆けつけずにはいられないじゃないか。
 その年の公演をネタにしたパロディがあるのに、その公演に一度も出たことがないまま出演、って、すげー高いハードルですが?

 まずドキドキとプログラム買って、写真がどの位置に載っているかを確認、その扱いに驚喜し、次に場面ごとの出演者名をチェックし、名もなきひとまとまりだとしても、組順に名前は載るからいつも前から2~3番目掲載だったのに、真ん中になっていて「おお、雪組って真ん中だー」と改めて思ったり。
 組ごとパロディ場面では、「看護婦」という役名のなかに名前があって、「か、看護婦? 婦?!」と目が飛びだした……。

 なつかしいなあ。あれはもう、4年も前なんだね。
 結局雪組は、それを最後にタカスペにはちゃんとしたカタチでは出られなかったんだ……。
 ほんと、組ごとに差がありすぎさ……。


 いろんな思いを抱きつつ、今回もまた、まずプログラム買って、組替えデビューのだいもんの写真位置を確認する。
 まっつと違ってだいもんは、劇団がちゃんとした扱いをするだろうという期待もあるので、それほど心配はしていなかったけど。
 わたしの危惧は、大人の事情かジェンヌへの気遣いかわかんないけど、番手ぼかしを優先するあまり、組のピラミッドを崩壊させること。やっぱり、トップスターを頂点としたピラミッドは存在していて欲しい。それがタカラヅカだと思うから。
 だいもんはちゃんと、「組ごとの出演者」欄ではなく、「スター」の位置にいた。よかった。


 で、実際のステージでは、こっちの杞憂を吹っ飛ばす勢いで、だいもん大活躍で、くらくらしました。
 まぁ様と横並びって、えっと……。

 や、なつかしかったけど! うれしかったけど!
 まぁだいって、ファンのニーズに応える配置、どうしたんですか劇団?!

 えーと、今劇団が「2番手」として扱っているのはまぁくんとベニーだけよね。それまではそこにちぎくんがいたけど、ちぎくんは一抜けしたから。んで、ベニーはまさかの休演。
 特別枠にみっさまがいるけど、彼は何故かみつるとペアで「専科枠」。
 2番手枠にいるのがまぁくんひとりになっちゃった。
 ……てこともあり、新生雪組2番手予定のだいもんが、2番手枠でまぁくんとコンビになっている、ということか。

 4年前のタカスペでは、新生雪組2番手予定のちぎくんは、3番手チームに入れられていたような。んで、3番手予定のまっつはその他大勢にまとめられていたような。
 どちらもまだ、本公演で2番手3番手の仕事をしてなかったから、始動するのは来年からだから、「今年1年の集大成」というカテゴリのタカスペでは、今年の番手のグループに入れられるのね、という。

 イレギュラー対応なのかもしれないけれど、結果としてまぁだいなのは当時の花組ファンとしてはうれしいし、だいもんファンとして彼の出番と歌が多いのはうれしいし、ただの観客としても歌ウマさんに出番と歌が多いのはうれしい。

 だいもんのブリドリイベント、申し込んだけどもちろんはずれて、観に行くことは出来なかった。だからスカステで見たわけなんだけど。
 まぁ様が花束担いで現れた瞬間、どんだけテンション上がったか!!
 チャラい!!(笑)
 でもってもー、かっこいい!!
 まぁくんってこういうこと出来るからすごいわー。

 あれ以来、まぁくん見るとあの「花束担いだチャラ男」姿がぼーんと脳裏に浮かぶのね。
 カッコイイ、カッコイイ、カッコイイ!! リアル少女マンガ! アレやって許される男なんて、ヅカの男役だけよ! まぁ様ステキ~~!

 まぁ様のあざとさに比べ、あやちゃん(笑)は不器用だなというか、リアクション薄くて素になってる感じがして、その物足りなさも含めて、いかにもだいもんっぽい、気がした。

 まぁくんとだいもんは、わたし的に萌えコンビです。『MIND TRAVELLER』以来の(笑)。ただ、バウで主役と2番手をやるには、だいもんがブレーキきかないためにまぁくんがわり食ってて、あんまし似合わないと思ってた。
 でもでも、こうして成長した今なら、ふたり並ぶとわくわくするね。


 んで、これまたデジャヴの話なんだけど、4年前も1幕目はなんか破格の扱いで、不遇に慣れているまっつファンは「なんでこんな扱い受けてんの?! いいの? 大丈夫なの?」ってよろこびつつもとまどった。
 って、今思うと別に大した扱いじゃないんだけど、当時はほんとひどい扱いに慣れきってたので(笑)、3.5番手くらいの扱いされてるのを見て「こわい」と思うくらいよろこんだ。
 が、2幕目は「いつものまっつだったね」「うん」。はい、安定のその他大勢さんでした。

 1幕目で2番手まぁくんと並ぶような扱いで、なんかやたら歌ってなかったか??という、破格の扱いに驚喜。
 が、2幕目は「……あんまし出て来ない……」。
 あー、これ知ってる……4年前、花組から雪組に組替えした、雪組デビューがタカスペで、組替えと同時に番手も変わった、あの人のときと同じ感覚……。

 なんで1幕と2幕で扱い変えるんだろね、タカスペって。
 今回のタカスペは組ごとの出番が偏っていて、そのためにだいもんも比重が違っていたんだとは思う。
 でも、だいもんに限らず、こんだけ偏らせるのはどうかと。演出家、手ぇ抜いてるなあ。


 やたらまっつまっつ言いながらだいもん見てるように映るかもしれないが。
 まっつとだいもんは別モノ認識で重ねようがない。共に花男で小柄な歌ウマさんだけどさ、キャラも芸風もまったくチガウよ?
 おかげで特に気負うこともなくだいもんを見ている。こんだけ似ていないからこそ、安心してまっつまっつ言っていられるのだと思う。似てたりしたら、きつくて正視出来ないわー。
 だからわたしにとってだいもんは救世主。わたしをヅカにつなぎとめていてくれる。

 いつもにも増して文章ひどいけど、今回はこれでよし(笑)。記録記録。読み返したわたしが、感覚を思い出せればそれで良し。
 自分で「前楽抽選にだけは強い」と書いておいて、はたして本当にそうだったっけか? と、調べてみた。
 近年のトップ退団公演を振り返ってみる。

2014年
雪組『一夢庵風流記 前田慶次』えりたん(並んでない)
花組『ラスト・タイクーン』らんとむ 前楽〇、大楽×
2012年
雪組『JIN-仁-』キム(並んでない)
宙組『華やかなりし日々』ゆーひ 前楽×、大楽×
月組『エドワード8世』きりやん 前楽×、大楽〇
2011年
花組『愛のプレリュード』 まとぶん 前楽〇、大楽△(バウホール)
2010年
雪組『ロジェ』水しぇん 前楽〇、大楽〇
2009年
月組『ラスト プレイ』あさこ 前楽(並んでない?)、大楽△(バウホール)
宙組『薔薇に降る雨』タニ(並んでない)
星組『My dear New Orleans』トウコ 前楽〇、大楽×

 当日抽選に並んだもの限定で、前楽 6分の4、大楽 7分の2。
 大楽を観られたふたつの公演は、その、並んだ人数少なかったので……大楽並びはまず当たらない、と考えるべきだよなー。
 反対に、前楽は観られない場合の方が少ない。
 んじゃやっぱり、前楽限定で強運ってことであってるのか。
 ここに書いちゃったから、次から当たらなくなるよーな気もする……(笑)。

 そして、近年の退団公演を書き出しながら星組の退団公演の少なさに思いを馳せる……。
 2009年が最後かー……その間、他組では9人のトップスターが退団公演したんだねえ。当日抽選の行われないトップ娘役も合わせると、ずいぶんな数……。
 その星組も、次に退団公演がはじまるわけで。
 どんだけ並ぶんだろうなあ、当日券。



 てゆーか、今回の前楽抽選の結果入れてない(笑)。

宙組『白夜の誓い』テル 前楽〇、大楽(並んでない)

 結果、前楽 7分の5、大楽 7分の2。

 やっぱ前楽だけやたら確率いいよなー。


 そして、花組2名、月組2名、雪組3名、宙組3名、合計10名のトップスターが、れおんくんがトップ時代に辞めていったわけだ。
 すご。
 ぶっちゃけて言う。

 わたしは、テルキタ集大成が観たかったのだ。

 間違っていようと、いびつだろうと。
 いいも悪いもなく、ただ、わたし、が。
 わたしの個人的な思い入れ、趣味のみで。

 『凰稀かなめサヨナラショー』において。

 わたしは、テルキタスキーである。
 ヲヅキさんを好きで、それとは違ったハートで、かなめくんも好きである。
 そして、「タカラヅカ」が好きで、「タカラヅカ」の番手制度、ピラミッドにこだわりを持っている。トップコンビと2番手以下の、序列のはっきりした並びで公演運営をして欲しいと思っている。
 テルキタは好きだけど、番手制度を、ピラミッドを遵守した上で、その余白部分でやってくれ、と思っている。

 これが、それまでわたしが思い描いていた「わたしの前提」だ。
 わたしの立ち位置というか。

 自分で、そう思ってたんだ。

 そんなわたしが、『サヨナラショー』を観て、大層ショックを受けた。

 ヲヅキの扱いに。

 『凰稀かなめサヨナラショー』のヲヅキさんは、番手相応だった。

 彼が宙組にやってきて、はじめて、番手相応の扱いを受けていたんだ。

 つまり、新公主演していない、脇の上級生スター、という。

 退団するトップスターのワンマンショーの合間、彼がお着替えをする時間稼ぎに、同時退団者に出番が与えられる……それが定番。ワンフレーズずつ声を出し、みんなで歌いながら銀橋を渡る。
 バウ主演クラスのスターの退団者がいた場合は、それプラス銀橋1曲がその人の持ち分。
 退団者の出番は、その「同時退団者コーラスコーナー」だけ、というのが最小ライン。
 あとはトップの考え方なのか演出なのか、誰が決めるのかわかんないけど、トップさんの場面にまざったり、数組で踊ったりなど、出番が他にもある場合がある。

 そしてヲヅキは、その「最小の扱い」だった。
 同時退団者という以外には、一切出番・見せ場なし。

 新公・バウ主演なし研15、という立場なら、銀橋1曲+同時退団者コーラスコーナーでも上々の扱いだろう。
 しかし。
 大劇場本公演で、トップスターの相手役をした人だよ?
 トップ娘役や次期トップスターをエトワールにして、トップスターの前に階段降りする人だよ?

 今さらなんで、こんな「ふつーの扱い」するの?!


 えー、わたし、自分では、「ピラミッドを守って欲しい」と思ってました。そのつもりでした。
 でも、実際にこうして、「ピラミッドを守った」扱いをされて、ショックでした。

 いやあ、ダブスタも甚だしいですね。恥ずかしいですね。
 でもほんと、そういうことだったの。
 みりおんがトップ娘役として扱われないことやまぁくんが2番手扱いされないことに疑問を持っていたけれど、本当に彼女がトップ娘役として彼が2番手として大々的に扱われ、ヲヅキが「その他の退団者」でしかない扱いされてるのを観て、ショックだったの!!

 わたしのなかでは、ヲヅキってほんと、テルの相手役、宙組のトップ娘役認識だったのね(笑)。
 「同時退団者はお着替えがあるから、最後まで舞台にいてトップスターを見送れない」って知ってるはずなのに、「でも、トップ娘役なら最後まで舞台にいるわ! だから可能だわ!」と過去の例に直結する。
 お着替えの時間なら、組長さんのスピーチで時間を調節して作ることができる。だから、ヲヅキが最後まで舞台にいて、トップスターとして華々しく大階段を上がっていくかなめくんを見送ることが出来るはず。同時退団のトップ娘役がしてきたように。できるのにやらないんだから、わざとだー! ひどーい! なんで? ヲヅキは相手役なのに!

 と、まあ、そんなショック。

 ……落ち着いてくださいよ、こあらさん。ヲヅキさんはトップ娘役ぢゃないです。


 これでショックを受けることで、自分が無意識にナニを求めていたかがわかった、ということです。はい。

 口では「ピラミッドがー」「宙組がー」「タカラヅカがー」と言いながら、単なるテルキタスキーだったんですね。


 でもさ。
 言い訳させてもらうとさ。

 なんでヲヅキは、本公演であんな扱いだったの?

 わたしが誤解するくらい、特別扱いだったじゃん?
 本公演でみりおんやまぁくんをないがしろにしてまでテルキタやって、サヨナラショーで「ふつーの扱い」って、なんで?
 ふつー逆じゃね?
 本公演では番手遵守、サヨナラショーで「仲良し演出」よね?
 キタさんがテル支えた功労者だとしても、本公演ではふつーにみりおんとラヴラヴしてまぁくんとカッコ良く対立したり親友したりして、ヲヅキはその枠の外側のおいしいとこあたりにいるもんじゃないの?
 そしたらふつーのタカラヅカファンも、娘役ファンも、2番手その他路線ファンも、みんな心穏やかだし、それぞれの立場で楽しんだり応援したり、できたんじゃ?
 で、最後の最後にサヨナラショーでテルキタやって、ああやっぱりこのふたりいいね、テルキタだね、でほっこり締めて良かったんじゃないの?

 なんだかなあ。

 それまでさんざん本公演でテルキタで相手役か2番手かってな扱いで、最後の最後にサヨナラショーで扱い落とされるのってさー。

 公の場で正妻扱いされない日陰の身みたいで、いやん。

 それまでは正妻だーの後継者だーのを押しのけて、ご主人様のいちばん近くで権勢をふるっていたのに。
 葬儀の席には出させてもらえず、門の外で立ち尽くしてるお妾さんみたいじゃん……。喪主として堂々と挨拶している正妻や、今後の方針を語る後継者を、雨に濡れながら遠く眺める図……。

 勝手なイメージですまんのう。発想が昭和だわ、年寄りじゃからのう。

 どこのデュ・バリー夫人やねんっていう。国王様亡き後は追放ですかい、てな。


 今までさんざんテルキタだったんだから、最後までテルキタ貫いてくれ。
 や、最後の最後に「やっとまともに2番手扱いされた!」とまぁくんファンがよろこんでるのもわかるし、それをよろこぶくらい今までの扱いに疑問を持っていたその現実に切なくなるし、今までの扱いこそがおかしいんだってことも、重々わかっているのだけど。

 まちがっていること・正しいこと、と、納得すること・落胆すること、は、別カテゴリなんだよなあ。

 アタマではわかってる。でも。
 最後の最後に手を離された感が、大きくてなあ。


 ヲヅキさんの扱いが「ふつー」だったことへの驚き、違和感以外では、感動的なサヨナラショーだったんだと思います。
 「明日へのエナジー」はいいよなああ!!

 最後の最後に、かなめくんは「正しいタカラヅカのピラミッド」「ごくふつーのサヨナラショー」をきっちり務めて卒業していくんだ。
 これが彼の真意なら、本公演のみょーな配置はなんだったんだろう……。劇団のすることってわかんない。


 なんかいろいろ、考えさせられたし、気づかされた。

 わたしほんと、ヲヅキさん好きだったよ。
 ご贔屓より好待遇で疑問符飛ばしたりもしたけれど。
 それでも、彼の朴訥なキャラクタや、厚みのある芝居が好きだった。

 テルキタが好きだった。
 『銀薔薇』のオープニングでハクハクした。『凍てついた明日』で涙した。
 退団公演中、やたらと思い出していたよ、『ソロモンの指輪』の片翼の天使。かなめくんの美しさ、ヲヅキの「耽美、似合わねえ」感……(笑)。


 千秋楽は、当日券並びに行かなかった。
 心折れましたの……。まあどうせ、行っても当たらなかったと思うし。
 遠く見守ります。
 サヨナラショーが観たくて、前楽の当日券抽選に並びに行った。
 並んだ人数は500人ほど。
 わたしは前楽抽選にだけは強いので、無事アタリを引いて座席に坐ることが出来た。

 数日前に観たとき、絶望投げやりになっていたグスタフ@かなめくんも、阿呆度が上がっていたヤコブ@ヲヅキさんも持ち直してた。方向性は変わってないんだけど、前回観たときほど極端じゃなかった。
 そこはほっとしたけれど……好みじゃないのは同じ。

 それでも、長年楽しませてくれたテルキタを観納める、明日の千秋楽も当日券抽選に並ぼうとは思っているけど、楽はまず当たるとは思えないので(わたしのくじ運は前楽限定ですから!)今日が最後なんだと感慨深く眺めた。
 そして、いよいよサヨナラショー。
 泣く準備は出来てるぜ、感動する準備は出来てるぜ! てな気分で臨んだ。

 『凰稀かなめサヨナラショー』を観て、わたしは考えさせられた。

 わたしにとって、テルキタとはなんなのか。

 もともと、テルキタは好き。
 わたしは雪組ファンで、雪のツインタワーだったテルキタを愛でて来た。美貌のかなめくんと、個性のヲヅキさん。
 『ドリーム・キングダム』の黒鳥たち。スレンダー美女かなめくんと、巨乳ボンバーなヲヅキが並んで踊る迫力。単体でもステキだけど、ふたり揃うと破壊力倍増。

 わたしはもともとヲヅキ好きだったけど、2006年の『ベルばら』祭りで新公&全ツのアラン役でハートを打ち抜かれ、ときめき対象に。
 好きなジェンヌはいっぱいいるけど、ヲトメ心を刺激するときめきをくれる人は数少ない。それまではわりと「いじり甲斐がある」という意味で愛でていたヲヅキさんに、マジに落ちた。
 新公主演して欲しい、バウ主演して欲しい、真ん中に立つヲヅキが観たい……そう切望した時期はあったけれど、脇で舞台を支えることに専念する姿を観て、「役者」として彼を好きなのだと再確認。
 また、近年の役付の良さ……というか、おかしさに、真ん中に立つ人ではないんだということも、思い知った。彼は助演だから光る人だ。悪い意味じゃない、適材適所の話。

 かなめくんには、ダーリン的ときめきを持ったことはない。が、なにしろ彼は美しく、ときどきとてもツボにジャストミートする芝居をしてくれる。ヘタレ男スキーで悲恋スキーなわたしは、かなめくんの持つ「負」の部分に惹かれる。萌えを感じるジェンヌのひとり。
 そして、かなめくんにはいつも「もどかしさ」を感じていた。
 まだもっと出来るはず、今は足りていないけれど、これ以上の力があるはず……それを期待させる存在。
 かなめくんにはずっと、そういう感覚を持っていた。
 ポテンシャルに期待出来る、というのも、「生きている夢」=フェアリーであるところのタカラジェンヌの特性か。

 さすがに、この学年になり、この立場になれば、見方も違ってくるけれど。
 しないんじゃなくて出来なかったのかとか、現実が見えたりもするんだけど。
 芝居あんまうまくないよねとか出来る役が限られているよねとか、歌唱力とかダンス力とか以前に、ショーの真ん中で舞台を制する力が弱いよねとか。下級生だからとか経験不足だからとかじゃ、なかったんだ……と。

 それでも、長年眺めて来た愛着は積み重なっているわけで、出来なくてもそれはそれ、ないものねだりよりあるものを愛でるからいいよ、という。
 まあそんな位置。

 愛着あるからいいんだ。不満や愚痴はこぼすけど、それによっての否定はない。不満ごとまるっと「そーゆーもん」と思っている。完璧なものが欲しいわけじゃないから。

 テルキタに関しては、そんな感じ。
 宙組でもテルキタがテルキタで、仲良く重要な役をやったりしてくれるのは、楽しいしうれしい。
 が。
 わたしは古いヅカヲタなので、タカラヅカの伝統、ピラミッドにこだわりを持っている。
 番手制度に則った上で、テルキタを展開させてくれること。それが望み。

 つまり、トップコンビがラブラブで、2番手がおいしくて、若手たちも充実していて、その上で、「おっ、あそこは実はテルキタだなー、おいしいなー」とにやりとさせくれる。あからさまでも押しつけがましくもない、「テルキタスキー」にはわかる、という。
 オレだけがわかっている、的な部分をくすぐるような。
 そんなニクい使い方。

 お披露目の『銀河英雄伝説』は、いい温度感だったんだ。
 宿命のライバル同士、てのは。
 2番手役はキルヒアイス、トップスター演じるラインハルトとの友情、キルヒの死で終幕。色悪でおいしいオーベルシュタイン、美形揃い踏みの幕僚たち。
 その上で、敵パートにいるヤンの存在の大きさ。

 このラインをMAXにしておけば、よかったのになあ。あくまでも、ここが上限。
 なのにそのあとは、おかしなことになっていった。
 芝居でもショーでも、かなめくんの女房役がヲヅキだったり。
 トップ娘役無視、2番手と役替わり。「タカラヅカ」の枠組みを無視した配役、立ち位置。
 テルキタスキーだけど、これはチガウ、こんなの望んでない。
 どうしてこうなった。

 「タカラヅカ」のタカラヅカらしさを支持しているため、かなめくん時代の宙組を、とてもいびつだと思う。

 でも、テルキタスキーなので、「変だ!」と言いつつ、観るよ、観るともさ。
 ……てのが、わたしの立ち位置のゆるさ。
 タカラヅカのピラミッド重視を言うくせに、テルキタ舞台を観てるんだもの。「もう観ない! ぷん!」とかにはならないんだもの。
 好きなコンビがいちゃくらしてるの、楽しいもん。
 ダブスタ上等、文句言いつつ楽しみます。『白夜の誓い』も『PHOENIX宝塚!!』も楽しいよー。きれいだよー。

 まあそんな感じで、愚痴と言い訳にまみれつつ、観劇していたわけです。
 それを。

 砕かれたのが、『凰稀かなめサヨナラショー』だった、と。
 グスタフ@かなめくんがアホの子に見える……のは、たぶん、意図したモノではないんだろう。
 原田くんは、グスタフを聡明な青年、文武に秀でた素晴らしい王と描くつもりだったのだろう。
 なのに、アホの子に見えてしまう。聡明で誠実なはずのグスタフを理解せず、暴挙に走るヤコブ@ヲヅキの方が正しく見えてしまう。
 悪いのは脚本、だけど、役者たちはその足りない脚本でもなんとか正しい方向へ物語を軌道修正しようと努力する。
 アホの子グスタフ。常識人ヤコブ。
 コレをひっくり返すには、どうすればいい?

 グスタフがアタマ弱いのは脚本に書かれているため、動かしようがない。
 ならば、ヤコブを、グスタフよりさらにアホにすればいい。

 グスタフを賢くカッコ良くするのではなく、周囲を彼よりアホにかっこ悪くする。
 そうすることで、「**よりは、グスタフの方がマシ」にする。

 方法としては、合っている。

 100点満点のテストで5点しか取れない学力の子を、なんとか「いちばん賢い」ということにしなきゃいけなかったら、他全員が4点以下を取るしかないよね? みんなでがんばって4点以下になるように示し合わせて「**ちゃんすごーい、5点も取るなんてアタマいいー」「かっこいー、ステキー」と持ち上げる。
 うん、間違ってない、正しい。みんなが4点以下なら、5点の子がいちばん賢いよね、1位だよね。

 グスタフがアホなのは単なる事実。アホゆえに、ちっともかっこよく見えない。
 それなら、他のキャラを全員アホにしよう! そうすれば、グスタフを「マシ」と思ってもらえる!!

 あってる。
 間違ってない。
 でも。

 それ、誰もしあわせにならない解決法!!


 脚本を超えて、板の上の役者たちが物語を深める、走らせる、進化させていくのは、生の舞台のおもしろいところ。
 『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』もまた、脚本がアレレにも関わらず、あるいはアレレだからこそ、キャストがきっといっぱいがんばって、変化させているのだと思う。
 最終週に観たときは、グスタフとヤコブの芝居が変わっていた。

 グスタフは絶望しているのか投げやりな人になっていて、「え、王様がソレじゃいかんやろ??」とわたしを混乱させた。
 それに対するヤコブも芝居を変えてきていて。
 そのヤコブの芝居は、かなしいかなわたしの好みとは掛け離れていた……。

 ヤコブさんが、浅慮で暴力的な男になってた……。


 ヲヅキが誠実に心の動きを表現していたヤコブさん。信念を持って生きているのがわかるため、彼がグスタフの考えを否定するのも、とても説得力があった。
 ヤコブの助言にお花畑な感情論や理想論で返すグスタフこそが、間違っているように見えた。

 ……んですよ、当初は。
 なのに。
 ヤコブがキレやすい暴力男になっている!
 まともなことを言ってるんじゃない、考えがあって言ってるんじゃない、ただの暴力男、自分の領域を侵されるのが嫌なだけの自己中な男、かっこ悪い男……そういう演技になってる!!

 ひーどーいー……。

 他に方法がないのはわかるれど。
 前述の通り、5点の子を1位にするためには、いっそ0点取ってあげるしかないんだ。わかるよ。わかるけど。

 誠実な常識人ヤコブが好きだっただけに、この変更は悲しい。

 ヤコブがひどい男になった分だけ、グスタフもマシに見えるけど……主人公(トップスター)とその親友(作品内での2番手スター)が、どちらもみっともない人(役)って、どうなの。

 タカラヅカはカッコ良くてナンボっす。
 なんで主役をマシにするために、周囲を下げて焼け野原にしなきゃなんないの?
 主役をかっこよくする、ただそれだけでいいのに。
 周りもみんなステキ、カッコイイ、そんな素晴らしい人たちの中で、さらにいちばん輝いているからこそ主役は名実ともにステキ。……そーゆーもんじゃないの?

 見せ場であるはずのグスタフとヤコブの言い争いなんか、「え、両方ともバカ過ぎるんだけど??」と、アタマ抱えますよ? こんなのが国を動かす中枢にいる国もうダメっしょ。

 なんか、負の連鎖に陥ってないか……?

 すっごくしょぼーんだ……。
 テルさんはやさぐれて投げやりだし、ヲヅキさんは勝手にキレてるし。
 なんかもう……。
 この芝居、どうなんの? どうするの?


 脚本がアレだから、なんとかしようとジェンヌががんばった結果なわけで、方法論としては間違ってないんだけど。

 納得いかねーーー。
 宙組『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』千秋楽の日付だけど、まだ他の感想書ききってないので、順番にいく。

 初日スキーなので、『白夜の誓い』も初日に張り切って観に行った。
 そして、脚本のアレさにアタマを抱えつつも、なにより配役つーか番手制度無視した居心地の悪い作りに首をかしげた。

 それでもテルキタスキーでヲヅキファンなので、真ん中のふたりに集中している分には楽しめた。

 グスタフ@かなめくんがアホの子で、ヤコブ@ヲヅキは常識人。この関係性は、けっこうツボだ(笑)。
 アホというと言葉が悪いが、「常人に理解出来ない感性の人」だと無理矢理思って観ることが、出来ないでもない。
 そんな「アタマに翼のある人」を愛し、彼に振り回される常識人、というのは、好きな人がやっている分には萌えシチュになったりもする。
 天才と凡人のコンビものって、需要あるよねえ? ホームズとワトソンとか。
 たぶんグスタフとヤコブも、そーゆー路線を目指して、作家の力不足でぐちゃぐちゃになってるんだと思う。

 わたしとしては、脚本には期待してないんで、あとは板の上の役者たちに、物語の方向性を決めて欲しかった。
 台詞は決められていても、方向性を変えることは可能だと思う。その昔、植爺の超々々駄作『長崎しぐれ坂』が、キャストの力でムラ初日と東宝ではまったく別モノになっていたように。

 そして。

 千秋楽まであと少しというあたりに、わくわくとチケット握りしめて『白夜の誓い』観に行った。自分的良席、奮発席だぞぉ、と。

 で。
 実際、初日とは芝居が変わっていた。

 かなめくんが。

 えっと。

 グスタフさんは、クライド化してました。

 …………『凍てついた明日』の。

 …………えええ??

 虚無的というか退廃的というか、深い悲しみをたたえ、胸の奥に闇を抱えている。
 すべてに投げやり。

 ちょっと待て、なんなのこの既視感。

 わたしこれ知ってる。記憶に新しい。
 『ベルサイユのばら―オスカル編―』でも、後半日程でかなめ様はクライド化してた。
 オスカル様が絶望を抱いているのを見て、わたしは胸がきゅんきゅん、切なさに大泣きしたもんじゃった。

 しかし……。

 再度、見せられると……。
 感動するよりも、引く……。

 クライドもオスカルもグスタフも、全部別人です。別のキャラクタです。
 なのに、全部同じところに持って行ってしまう、というは。

 かなめくんって、こういう癖のある人だったのか。
 ひとつの役を長くやると、こっちに引きずられちゃうの?
 クライドがかなめくんアテ書きだったとしたら、かなめくん自身の色、本人のいちばんやりやすいところに、落ち着いてしまう?

 オスカル様は所詮個人なので絶望して投げやりになっていても自己責任だけど、グスタフはチガウでしょ? 王様が投げやりになってちゃダメだって、偉大なる王って脚本では祭り上げてるんだから、そのつもりでいないと!

 オスカルで感動した分、別の役と作品で同じことをされてしまうと、オスカルの感動にも水を差される思いで、なんかつらい。

 ということで、同じクライド化なのに、『ベルばら』とは雲泥の差の気分で、観ていました。

 考えてもみてくださいよ、ただでさえグスタフはアホの子なんです。脚本がそうなってるんです。
 なのに、そのうえ、演じている人が投げやりだと、どうなります?

 アホの上にいい加減なんですよー、たまりませんよー、無理ですよー。

 クライドは投げやりでもよかったの。彼は絶望していて、破滅に向かって歩いていたんだから。
 オスカル様も、希望よりは限界を見ていて、力尽きることを覚悟していた。原作とはチガウけど、原作の世界観の中で許される範囲の美しい解釈だと思う。
 だがしかーし!
 グスタフはチガウ。彼は自分の国を自分の力で、自分の信じる方向へ進めていく、その途中で親友の誤解と裏切りに遭って命を落とす、悲劇の王なわけでしょ? 最初から「国民道連れ自殺」するつもりじゃないでしょ?
 だから、あきらめの極地で投げやり風、はチガウのよ!!

 かなめくーん、待って待って、そっち行かないでーー!
 そっちへ流れるのが癖だとしても、今回はチガウと思うの。
 グスタフが正しく「天才」として描かれていたら、投げやりでも様になったかもしれないけど、実際にはアホの子だから!
 原田くんの筆力不足なだけで、かなめくんには「グスタフは天才だから、天才として演じて」と指示したために、こんなことになってるのかもしんないけど。
 でも、実際わたしの目に映っているモノは、なかなかどうしてアタマを抱えるモノだった……。


 この変化だけでも、わたしをあわてさせるに十分だったのだけど。

 対するヤコブ@ヲヅキさんも、芝居を変えてきていた……。
 これがまた……。

 わたしの好みから遠く……というか、正反対の進化を遂げていたんだ。
 いやその、わたしの好みに合わせる謂われはないんで、ほんと、わたし個人の好みの話ですよ?
 あうう。
 宙組、前楽の日付だけど、かまわず新人公演『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』の感想、覚え書き。

 宙若手のきれいどころというと、ずんちゃんの他だとわたし、かなこ&まりなを思い浮かべるんだけど、この新公ではこのふたりをほとんど見つけられなかった。
 あとになって、ああそうか、と思ったくらい。
 植爺一本モノ2連発は、なにより下級生の成長に関係してくるなあ。主要人物以外のモブ化すごい。
 や、あくまでもわたしには。世間的にはふたりはキラキラ目立ちまくり成果あげまくり!だったのかもしれん。

 印象が強かったのは、なんといってもニルス@瑠風くん!! なんかキラキラしてる~~。
 美形というほどわかりやすく整っているわけじゃないんだけど、目立つ顔立ちだなー。歌えるし押し出しいいし、見ていて気持ちいい。
 まっすぐな明るさがある。光がこちらに届いてくる感じ。
 前回の新公のときも似たようなことを書いているので(笑)、よほどわたしのツボにはまるらしい、るかぜくん。

 そして、次に好みだったのが、エカテリーナ@彩花まりちゃん! 前回の新公では歌が聴けなくて残念だったんで、今回がっつり歌が聴けてうれしい。
 きれいだしうまいし、お芝居も好きだわ。

 かけるくんはまだ新公学年だったのか!と、毎回お約束の驚きをしつつ、星月くんの安定ぷりにも感心する。

 みつきくんが好みなので毎回彼を楽しみにしているのだけど、今回もかっこいいんだけど……むー、ちょっと期待した感じではなかったかな。
 細かくお芝居しているのだろうけど、その分どうも地味になっていたというか。紙芝居系の作品だと、もっと大味に作ってもよかったかもしんない。


 わたしに余裕がないため、決まった子たちしか探すことができなくて残念。
 下級生に詳しかったら、もっともっと発見があるんだろうに。
 また、今年はわたしが宙組をあまり観られていないことも、大きい。贔屓退団祭りで奔走しまくっていたため、同時期公演だった宙組の全ツ&バウはノーチェックだもん。本公演以外を観ないと、下級生おぼえらんない。本公演は植爺だから、下級生の活躍は絶望的だったし。
 新公を観て、記憶をつなげる場所が、前回の『ベルばら』新公にまで飛ぶんだ、ということに、わたし自身おどろいたさ。そんなに観てなかったのか、と。
 ほんとに残念。
 次の宙組公演は、ちゃんと別箱も観に行くわ。……チケット取れたらだけど。(梅芸はともかく、バウはチケット難必至だからなー)
 うららちゃんが歌えないのには、なにか事情があるのではなかろうか。

 新人公演『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』を観て、そう思った。

 その昔、「いっちゃんは踊れないから」と、当たり前に言われていたトップさんがいた。「いっちゃん、脚上がってなかったね」「だっていっちゃんだもん」てな感じに、みんなもう「踊れない」「脚が上がってない」ことを「平常」にしていた。ダンスが苦手なことも含めて、うちの組のトップさん、という認識。美人で歌ウマだし、あのほよよんとした素の雰囲気もいいんだもん、ダンスがおよよでもいいじゃん、とわたしと友人たちからは愛でられていた。
 真相を知ったのは、彼女の退団後。自伝にて、カラダに障がいがあり、ふつーのジェンヌのように脚を上げることができなかったのだと告白。

 それを読んで、そうだったのか、ダンスへたとか言って悪いことしたなあ、と思った。知らなかったからとはいえ、なんともバツが悪いというか。罪悪感。
 ミュージカルスターであり、踊ることが前提の劇団にいたんだから、「ダンスがヘタ」「脚が上がってない」と言われても、それは仕方ないことだし、在団中は公式発表してなかったことなんだから、二重に仕方ないことだ。
 プロとして舞台の上にいる以上、それでお金を取っている以上、「病気だから」は言い訳にならない。
 わかっちゃいるけど。
 いっちゃんを好きで、ダンスが苦手なとこも含めて愛でていじっていたつもりだっただけに、苦いモノが残った。

 その苦さを、新公のうららちゃんを観て、思い出した。

 うららちゃんは、歌えない。
 音痴なジェンヌさんも多々いる(歌劇団ですけどね……笑)けれど、うららちゃんの「歌えなさ」は次元が違う。
 音をはずすとか、音を取れない、リズムが理解出来ないとか、そういうことではなくて。
 音が、ない。
 一定の音階になると、声が消える。
 これは……音痴とは言えないだろ……。

 なんかもう、客席で途方に暮れた。
 初抜擢の研3のお嬢さんが、緊張のあまり声が出なくなった、というなら「経験を積めばいいのよね」と思うけれど。
 研6で新公ヒロイン・別箱ヒロイン独占状態、本公演でも2番手娘役スターとしてポスターにも載っている人が、「声が、ない」となると、努力とか得手不得手の問題ではないのではないかと、不安になった。
 努力してないはずはないし。経験も、たっぷりだ。
 じゃあ、あとは……?

 なにか事情があるのかもしれないけれど、公式発表されていないのだから、「なにもない」と思って見守るしかない。
 あれだけきれいで、よそでも十分活躍出来る美貌を持ちながら、このタカラヅカで娘役になることを選んでくれた人だ。なんつっても、わたし好みの高い大きな鼻を持つお嬢さん。(わたしは鼻スキーだ)
 子どもっぽいかわいこちゃんの多い昨今貴重な、大人びた美貌の娘役スター。
 大成して欲しいと思う。心から。
 うららちゃんが美貌以外の武器を手に入れてくれたら、どんなに素晴らしいことだろう。

 本公演ではさー、「歌えてる」と思ったんだよ。うららちゃん、歌うまくなった?って。
 音域に合わせて作られた歌だったんだね……。
 じゃあうららちゃんがこれから活躍するためには、彼女が歌える音域の歌だけにして、未亡人とか人妻とか、大人の、憂いのある美女の役をやり続けるしかないのかなー。
 ヅカは大人のラブロマンスを楽しむところだと思っているので、ぴちぴちの少女役や、元気な女の子の役が出来なくても問題ないとは思うけど。

 本公演の未亡人役は似合っていてステキなんだけど、新公の王妃様役は、歌以外もいまいちだった。
 なんつーか、ハッタリに欠けるんだ。豪華ドレスでばーーん!と登場するときに、強いきらびやかさがない。きれいなんだけど、おとなしい。
 単色というか、セピア色とかグレーとかの中に沈んで見える。
 そのぶん落ち着いていて、上品。それは強み。美点。しかし。
 なんとももどかしい。

 次の『王家に捧ぐ歌』でアムネリスとかやれば、殻を破れるんだろうか。
 アムネリスは美貌よりも、実はハッタリ必須の役だからなー。
 2500人の観客全員を平伏せさせる、圧倒的華を持った女王の役。

 うららちゃん、美貌はあるけど華はないもんなあ……。

 なんか、きついばっかの感想になっちゃったかな。
 うららちゃんが元気に高音でも歌えるようになって、今のわたしのわだかまりが、全部杞憂、見当外れすぎてごめん!になることを、心から期待している。

 でもって、マカゼ氏とうららちゃんが並ぶところを見たいと、今から楽しみにしている。
 わたしはマカゼ氏もうららちゃんも、あのテの顔が好きだ(笑)。
 コレを言うのは反則だとわかってる。が。ヒロさんが、すごすぎる。
 声、芝居、存在感。……周囲を吹っ飛ばす勢いで。
 あくまでも助演、真ん中を食う類いの芝居ではないんだけど、ひとり段違いにうまい人がいるために、周囲の学芸会っぷりが際立つというか。

 本公演で、声を聞いただけで「今の誰??」と二度見してしまうような人でも、新公では別にへたじゃない、ふつーに見えたりする……要するに、周りがうまい人ばかりだと悪目立ちする人も、同じレベルの人たちの中にいれば気にならない。
 専科さんが舞台を締めてくれるありがたさは、常々痛感している。が、この『アルカサル~王城~』では、いちばんよく絡むまおくんとの格の差がありすぎて、まおくんが気の毒だったかなと。
 それと、ヒロさんがっつり活躍ゆえに感じたことは、今の星組ってほんとに大芝居じゃなくなってたんだなということ。
 ヒロさんはやっぱ「いかにも芝居」という芝居をしている。舞台役者として訓練された声音と動き。
 それが大袈裟に見えるくらい、周囲の星っこたちは芝居が薄い。小芝居してないとか、芝居心がないという意味じゃない。ナチュラル……ともチガウ。
 とにかく、色が違うなあ、と。
 ヒロさんがここまで別モノに見えるのは意外だった。
 今のジェンヌは昔に比べ、学年・年齢以上に若く、幼い。そのため、ベテラン専科さんとガチの芝居をすると、こうまで格差が開いてしまうのかなあ。
 これが「時代」というものかもしれんが、ヒロさんが浮いてしまうタカラヅカになるのはいやだなあ。彼の濃さと芝居らしさについていくタカラヅカであってほしいなあ。
 と。
 ……まあ、年寄りの愚痴ですわ。昭和は遠くなりにけり。


 あとは、思いつくままに。

 カベサ@夏樹くんがきれいできれいできれいで。目がキランキラン、あああそこになんか元気な人がいる……と。元気というのは物理的なことではなくて、なんだろ、なにかが発せられているような生きの良さを感じた。
 つーか、ヒロさんの部下がこの人で良かった……。

 ドン・ペドロの母@なっちゃん、うまいなー。歌も芝居も、ママっぷりも。エンリケの母@空乃みゆちゃんもよかった……けど、母対決だとやっぱなっちゃんは貫禄だなと。

 ファドリケ@飛河くん、新公ではわりとうまい子だと思ってたけど、そして今回もふつうにうまかったと思うけど……なんだろ、この違和感は。 脚本のせいかなー。

 フェルナンド@ひろ香祐、かっこよくなったねええ!!
 文化祭の変顔犯人がファーストインプレッションだったりするわたしには、彼がかっこいいおにーさんへと成長していく様が感慨深くてなりません。タカラジェンヌだなああ。すごいよなああ。
 ふつーにかっこいいし目に入るから、最初の出番がちょろっとでも、ちゃんと記憶に残って、あああの人のことね!と、物語がよくわかる。
 いい仕事してるわ!

 せおっち、ほとんど出番なしというか、このままの扱いで終わるの?と、見ていてあせるくらいの役だったような。
 でも、それ以外で「あ、きれいな子がいる!」と思うと大抵彼だったような。
 やっぱきれいよね。きれいっていいよね。

 ブランシュ姫@キサキちゃんが、とにかくきれい。かわいい。姫。
 登場するなり、すげー「ヒロイン」感。
 だからこそ、バランス悪い。こういうキャラが出て来たら、観客としては主要キャラだと思うじゃん! 原作でそんなにいいキャラだっけ? この展開でどう描くつもりなんだ?と。
 ……出番もほとんどない、ただの端役でした。って、落ち着かないなー。
 そのくせフィナーレではダブルヒロインばりの扱いで登場するし。
 なにかと混乱。

 ディエゴ@拓斗くん、美形。それしかわかんなかった。が、それだけで十分。目の保養でした(笑)。


 きれいといえば、脇に徹した上級生たちのきれいさがやっぱ、群を抜いていたなと。
 タカラジェンヌは経験を重ねてきれいになる。素が美人さんだからというだけでなく、舞台の上で、「美しく在る」ことが出来るようになる。
 群舞のしーらん&どいちゃんの美しさ、華やかさには舌を巻いたもの。
 下級生時代のどいちゃんって、わたしは舞台云々より先に「素顔写真」の印象が強くて。チケットを譲ってもらった人がどいちゃんファンで、携帯の待受にしているという素顔のどいちゃん写真(出かなんかのときに頼んで撮らせてもらったらしい)を見せられたんだ「かわいいでしょ!」と。
 それがほんとにかわいくて……ぶっちゃけ、男役というよりも、ふつーにテレビに出ているアイドル美少女みたいで、鼻白んだのをおぼえてる。めっちゃかわいいけど、こういうかわいさを、わたしはタカラヅカ男役に求めてない、から。
 たしか2003年くらい。オギーの『人魚姫』を観た帰り、メールのやり取りをしていたような……。や、『マルゴ』だったか?
 そのあと、90周年運動会でバトン回してて、新公でもぼちぼち役が付くようになって。
 あの「ヅカに入るより、ふつーにアイドル目指してた方がよかったんじゃ?」な美少女が……あのとき見せられた写真はすっげー美少女だったのに、舞台ではそこまできれいに見えない不思議、出版物を見ても、素人がケータイで撮ったあの写真ほどかわいく写ってない……何故だ……てなところからスタートしたまゆうちゃん(当時はそう呼んでた)が、こんなにこんなに、カッコイイ男役になっている。
 タカラヅカってすごい。
 だからタカラヅカは、長く見なきゃダメだ。自分の人生と同じように、移り変わっていく彼らを眺めるのが醍醐味なんだ。
 そう思わせてくれる。

 今、彼らほどきれいじゃないひよっこたちも、このあともっともっときれいになる。ステキになる。
 それを楽しみに、今を愛でるんだ。

 そして。
 どいちゃんの格好良さもさることながら、最前列ドセン観劇時にはわたし、しーらんロックオンです、彼ならきっと、最前列で自分をガン見している客がいたら、絶っっ対かまってくれると信じて!
 はい、がっつり目線からウインク来ました、ありがとうございます、ごっつぁんです!! しーらんのこういう「裏切らない」ところが好きだーー(笑)。
 でもって、組替え。
2014/12/09

組替えについて


このたび、下記の通り組替えが決定いたしましたので、お知らせいたします。

【専科】
北翔 海莉・・・2015年5月11日付で星組へ組替え
 ※2015年6月12日からの星組全国ツアー公演『大海賊』『Amour それは・・・』から星組生として出演いたします。

【星組】
真風 涼帆・・2015年5月11日付で宙組へ組替え
 ※2015年6月5日からの宙組宝塚大劇場公演『王家に捧ぐ歌』から宙組生として出演いたします。

【宙組】
七海 ひろき・・・2015年4月21日付で星組へ組替え
 ※異動後に最初に出演する公演は未定です。

 発表のあった日、相変わらずわたしはムラにいて、午前は星バウ観て午後は宙組公演とヅカヲタらしいダブル観劇中、モバタカメールは大劇場の客席で、幕間に見た。
 やはり、1通目が「組替えについて」で、「星組 次期トップスター、トップ娘役について」は2通目だった。
 この順番、なんとかしてほしいよなー。
 先に「みちこ星トップ」、がわかったあとで、「みっちゃん体制に向けての組替え」を読むならすんなり頭に入るのだけど。
 一発目が「組替えについて」でしょ。

 マカゼ組替え?? え? え?
 かいちゃん星?? え??

 てな、アタマついてかんわー。

 要するに、みっちゃんが星組降臨するから、そのために組替えがあるってことか。しかしこれ、星ファンは阿鼻叫喚では……。って、実際わたしの周囲の星ファンからは、嘆きと混乱しか伝わってこないし。

 マカゼ氏は栄転だからまだいいのかな。新生宙組で2番手だよね。
 『王家に捧ぐ歌』で2番手……はっ、アイーダ@マカゼ?!(白目) ←友人たちから「ナイナイ」と即ツッコミされる。
 現実的に考えてウバルド@マカゼ、は、ちょーカッコイイだろう。素直に楽しみだ。

 かいちゃんは壮くんパターンか。自組のトップさんが退団、このままなら2番手になれるところを、わざわざ組替えして3番手据え置き、という。
 壮くんの花組行きは、番手据え置きではあったけれど、トップのオサ様との相性も良く、結果的に良い組替えだったと思う。
 かいちゃんにとっても、良い結果になればいいな。

 が、組替えだーのトップ発表だーのの人事変動があったときに客席にいると、周囲の人々の声がいろいろ耳に入るわ、当事者たちが今まさに舞台に立っているわで、落ち着きませんな。

 しみじみと、星組ファンって多いんだなーと思った。
 や、バウが星組だからわたしみたいにダブルしている人が多いんだろうけど、大劇場の客席で、ふつーに「星組がホーム」視点で語ってる人多すぎ。
「かいちゃん来るの?」とか。「来る」ってことは立ち位置は星組よね? 宙組だったら「行っちゃうの?」になる。

 バウの風ちゃんがあまりに専科さん風味というか、ヒロイン度が薄くて将来を憂えたけれど、トップ決まってたのか……。
 トップが決まるとふつーキラキラ度を増すと思うんだが、渋さを増した風ちゃん、相手役がみっちゃんだということで納得。
 みっちゃんなら、風ちゃんをどーんと受け止めてくれるだろう。


 なんかいろいろ混乱する人事だが、いちばんずしんと響いたのは、客席で聞いた一言。
 近くの席の、見知らぬ人がぽつんと言った。
「みっちゃん、辞めちゃうのね」

 そっか。
 トップになる、というのは、そういうことだ。

 明確なゴールが見えた、ということ。

 だからファンは、祭り支度をして、誠心誠意駆け抜けるんだ。
 なにごとにも、終わりはある。それを嘆くのではなくて、出会えたこと、今共に在ることをよろこび、盛り上がる。
 人生も、そして、タカラヅカも。


 そして、わたしはとりあえず。
 かいちゃん、今日が発表だって知ってて、今舞台に立ってるんだなあ。
 後半のショーを、なんか感傷過多で過ごした。
 ところで、『大海賊』再演って……!!

 めっちゃ駄作だけど、いいの??

 今まさに、「中村Aのオリジナルは最悪」って話、してたよねえ??
 数日前の欄に、「まあぶっちゃけ、オリジナルは二度と書かなくていいよ的な脚本力と、平板でどんくさい演出する先生、という印象の人です。」と書いたところよね。
 『大海賊』は、中村Aのオリジナル作品。
 もちろん鉄板の駄作です。
 起承転結する力がないなら、はじめから書かなくていいのに。てな内容です。

 リカちゃんのお披露目公演だっけ。ムラでの公演なし、東宝だけ、つーんで、東宝まで観に行った。

 話がむちゃくちゃなのもひどいけど、演じる生徒への気遣いがないことも、痛かった。
 ラストシーンは主人公がヒロインを姫抱っこして銀橋を渡る、てな演出になってたのね、たしか。
 美しい姿だ。ロマンチックな図だ。
 しかし。
 演者は、どちらも女性だ。
 体力的に、無理。
 初日からしばらくはその演出だったらしいんだけど、ケガか体力か、とにかく役者の健康問題で、その演出が変更になった。
 てことで、わたしは本来の演出を観ていない。

 わたしが観たときは、主人公がヒロインを支えて、一緒に銀橋を歩く、という演出になっていた。

 ちなみに、ヒロインは瀕死です。

 死にかけの女の子を、自分の足でえんえん歩かせる主人公。
 そのあと本舞台に戻ってヒロインは死んでしまう。

 えーと。これって。

 死にかけのヒロインをえんえん歩かせたから、死なせちゃったんじゃないの??
 主人公のせい??

 ぽかーーーん……。

 抱きかかえて、なら、主人公は悪くない。彼は精一杯がんばった。
 でも、自分で歩かせて、結果死なせちゃうんじゃあ、男が悪いだろ。

 リカちゃんがえみくらを抱えて歩くことが出来ない、ならばなんで「姫抱っこ」と同じ演出のまま、ただ銀橋を歩かせたんだっつー。
 演出家バカなの?
 姫抱っこ出来ないなら、脚本から変更しろ。
 銀橋には出ず、本舞台でそのまま腕の中で事切れさせるとか。
 銀橋が必須だというなら、ヒロインは傷を負ってはいてもまだ元気で、自分の足で歩けていて、本舞台に戻って来たときに改めて撃たれるとか。
 瀕死の女の子を歩かせて死なせてしまうバカ男、に観客が涙すると思うの??

 女同士なら、抱え上げられないのは当たり前だから、ふたりして歩くしかない。
 でも、舞台では男と女なんだよ。瀕死の恋人を抱きかかえもせず歩かせて死なせる男は嫌だ。

 リカちゃんの不調でこのとき1回だけ変更になっちゃいました、なら、脚本直す時間がなくてそのまま……てのもわかるけど、抱っこ自体なしになったのに、それが公式変更なのに、そっからもずーっと脚本そのまま。単に抱っこしなくなっただけ。変だと思わないの? ……思わないんだろうな。
 実際、リカちゃんは体調悪そうで、いちばんよくわかるところでは声がえらいことになっていて、姫抱っこだけでなく、作品自体演出でなんらかのフォローをしてあげればいいのに……と、つらい気持ちになったことも、おぼえてる。

 というひとつの事象だけでも、中村Aの能力への不安さはありありと現れてますニャ。

 まあ、このときは新専科制度の混乱真っ只中、出演者たちも馴染みの顔ぶれでなく大変だったろう……し、出演していた新専科が華麗な大根役者たちだったので、さらにさらに、クオリティを下げまくっていたんだよなー。

 2番手の悪役はワタさんが演じてたんだけど、これがもお、ステキにでくのぼーで(笑)。ワタさんは元気に吠える役はなんとかなっても、抑えた大人の悪役というのは到底無理。
 ワタさんは主役なら輝く人なんだけど、それ以外の立場で重要な役をやられるとあざやかに舞台クラッシュ。
 そして、なおちゃん……。芝居は相性が大きいので、わたしと合わなかっただけかもしれんが、わたしにとってかなり上位の苦手ジェンヌさん。わたしの重要度は「芝居>歌>ダンス」。芝居の出来ない人が、いちばん苦手。同ランクに大伴さんとかマチオ先輩とかがいる。
 でもってなおちゃんはなまじ路線スターだったために、大伴さんやマチオさんの比ではなく、強力な舞台クラッシャーだったんだよなああ。それなりに大きな役をやるもんだから。
 とはいえ、『大海賊』のなおちゃんは一周回ってわたしのヘタレ男スキーハートにジャストミートして、けっこう萌えキャラだった……(笑)。
 
 とまあいろいろひどい言い様ですが、ワタさんは見た目はちょーかっこいいし、なおちゃんも美人さんだった。ヅカ的にはそれでOK。

 でも、作品ひどいし主役は体調悪いし、2番手3番手はよその組から特出しているお客さんだし、本人たちも決して器用じゃないし、いろんな意味でえらいことになってる公演だった……。

 ……ために、実際以上に駄作認識になってるかも。

 ゆーひくんがめちゃくちゃ美しかったことと、ケロちゃんが大人のいい男だったこと、きりやんがすっげかわいかったことぐらいしか、よかったことを思い出せない……。
 あと、何故か新人公演も観てるんだけど、あひくんが美しかったなー。

 ゆーひくんは悪役で、ただ美しいだけでなく、「野蛮」で「下卑」な感じがさいこーに素晴らしかった。見た目はクールで人形のように美しいのに、口元を歪めて毒づく下品さがね、いやしさがね、すっげーセクシーだったの!! 人間小さそうな悪役ゆえに、その野蛮な表情が合っててねー!
 あの役でゆーひさんに落ちた人、複数知ってるわ……。
 お茶会でまさにその「口元を歪めた」写真をGET出来て、どんだけよろこんだことか……!!

 はっ。
 つい昔語りを……。年寄りはコレだから……。


 とにかく、今の今まで忘れていたわ。中村Aの駄作列伝のひとつ、『大海賊』……。

 何故アレを再演……?
 よりによって、わざわざ。

 みっちゃんはリカちゃんトップ時代に新公主演をしているのだけど、そりゃあまあ、気の毒なことになっていた。
 本役さんとまったくチガウ持ち味ゆえに。
 なのに、ビジュアル特化したリカちゃんの役を、こうまで時が経ってから、持ち味がさらにさらに乖離してから、またやるのか……。
 た、大変だなー……。
 がんばれ。
 みっちゃんならきっと、駄作もビジュアルも、実力でねじ伏せてくれる、と思う。

 正直、みっちゃんと風ちゃんなら、ふたりの魅力をもっと出せる作品が他に山ほどあると思うんだが……。
 劇団のやることは、よくわかんない。
 タカラヅカのトップスターとは。

 炭酸煎餅の缶に、写真が載る人のことである。

 宝塚歌劇は100年前、温泉施設の客寄せ企画としてはじまった。
 大劇場もその他の施設もリニューアルを繰り返し、平成の今、21世紀の今に相応しい体裁になっている。
 が。
 未だに、温泉地土産の「炭酸煎餅」は販売している。
 昔と変わらずに。

 わたしが子どもの頃から売っていた、缶入り炭酸煎餅。
 物知らずのガキだったので、炭酸煎餅=タカラヅカの人の写真が載っているモノ、だと思い込んでいたなー。だって日常に当たり前にあったんだもん。どの家にも、どの家にも。
 だから、よその温泉地で同じような缶入り炭酸煎餅を見るたび、タカラヅカの人が載ってない炭酸煎餅なんて変! ばったもん?! と、思ったもんじゃった……。

 おみやげもグッズも多様化した今、炭酸煎餅だけがヅカ土産ではない。
 しかし、今現在も確実に、炭酸煎餅缶はある。売っている。
 そしてその缶を飾るのは、トップスターの写真なのだ。
 すなわち。

 興味もないままツアーの1行程だからと劇場にやって来た団体さんが、なんの意識もないまま「いかにもタカラヅカっぽい」というだけの理由で購入した炭酸煎餅缶が、土産として渡されたお宅で「ちょうどいいから」とペン立てなどに利用され、そのまま何年も何年も、へたすりゃ子や孫の代まで使われ続けてしまうことだって、あるんだ。
 わたしの家やご近所さんちにも、ごく当たり前に古い古いヅカ煎餅缶があったもの。年寄りばかり住む下町だかんな。ヅカにキョーミなくても、いや、ないからこそ、派手派手写真の付いた缶をなんの気なしに日常使いしちゃうのよ!

 一生に一度しかタカラヅカを体験しなかった人、あるいは一度も体験しないまま土産としてもらっただけの人にとって、その「炭酸煎餅缶の人」=宝塚歌劇、なのよ!!
 たとえ何年経っても。
 これから10年先、20年先であったとしても。
 煎餅缶の人が、「タカラヅカ」。


 ああ。
 すごいなあ。タカラヅカのトップスターって。

2014/12/09

星組 次期トップスター、トップ娘役について


この度、星組 次期トップスターに北翔海莉、次期トップ娘役に妃海 風が決定致しましたので、お知らせいたします。

なお、北翔海莉、妃海風の新トップコンビとしてのお披露目公演は、2015年6月12日に初日を迎える星組全国ツアー公演『大海賊』『Amour それは・・・』となります。

 このニュースを知り、何故か突然、炭酸煎餅缶のことを思った。

 みっちゃん、炭酸煎餅の缶に載るんだなあ、と。
 すごいことだよね。
 『アルカサル~王城~』にて、ヒロイン@風ちゃんの扱いは、うまいと思った。

 ヒロインの扱い……ナレーター。

 なにしろストーリーないから。人間の内面を描く気ないから。次々起こる出来事を「こんなことがありました」と説明することが目的の作品だから。
 ヒロインも、他にやることがない。
 ので、あらすじ解説担当。

 出来事羅列が目的の作品で、あらすじ解説役、って、すっげー重要だよ? これ以上に大切な役はナイよ? 主人公いなくても、ナレーターさえいれば成り立つんだからね! それくらい重要だよ!!

 ……皮肉はこれくらいにして。

 ふつうの作品なら、「ヒロインが、ナレーター以外出番も意味もないってナニゴト?!」と憤慨するところだが、この『アルカサル~王城~』ではうまい使い方だなと思う。
 純粋に役としての出番がなさ過ぎなのと、主人公の内面・人格を描くことが出来ていないため、主人公の理解者による解説で底上げが必要。
 ナレーターすることで、出番の嵩上げと、主人公のフォローが出来る。
 しかも、うまい。

 この下級生メインの新人公演みたいな公演で、風ちゃんひとり、ずば抜けてうまい。
 うまくない人たちを、うまい人たちで支える。うまくない人たちに機会を与え、うまくなってもらう。
 それが、この公演の意義のひとつなのだと思う。
 ならば、うまい風ちゃんが「ナレーター」という支え役に徹するのは必然。

 つまり風ちゃんは、研6にしてすでに、専科さんやコロちゃんたち上級生と同格扱いってことだ。
 ……これは、いいんだか悪いんだか。


 トド様を助演に、DCと青年館で「主演」をやってのけた風ちゃんだ。
 今さら新人公演やバウヒロなんか、やってる場合じゃない。……けど、風ちゃんは必要だ。

 風ちゃんがヒロインだと発表になったとき、友人とうなずきあった。
「風ちゃん、大変だね」と。
 マカゼのDC公演に引き続き、まおポコバウ。
 劇団推しの主演さんの実力に不安が大きい場合の、お守りヒロイン。

 主演が力不足で、その上ヒロインまで未熟だったりした場合、公演自体が転覆する。
 ソレを避けるために、「主役が倒れても、ひとりで立ち、舞台自体を力技で支えられるヒロイン」を用意する。
 あの人とかこの人とか、バウ主演時に経験豊富な上級生ヒロインを付けられてましたね……ええ、なにがあっても公演自体が木っ端微塵にならないように。

 でも風ちゃんまだ下級生なのにね……大変だね……。

 そして風ちゃんは、課せられた使命通りに、いい仕事をしていました。

 いい声だし、深みのある芝居で場面を締めてくれるし。安定安全、ほんとに素晴らしい。

 が。
 あまりにも「ナレーター」がハマり過ぎてて、彼女の今後が不安になる。
 とゆーのもだ、専科的な仕事をしているときは、その巧さで存在感を発揮するんだけど、そうでない場合、周囲に埋もれるというか、「あの光る美貌は?! あれはヒロインだわ! 大勢の中にいてもわかるわ!」……ということが、ナイ。
 自分のターンになるまで光らない、というのは、タカラヅカの娘役スターとしてはなかなか難しいキャラになっているのでは?


 反対にキサキちゃんは、出番はほとんどないんだけど、その美貌と華で、「この子がヒロイン!!」だと思わせられる。
 や、ヒロインは風ちゃんだとわかって観ていてなお、「この華やかな美少女がただの脇のはずがない。きっと重要な役だわ!」と勝手に脳がインプットする。……ただの脇だったんだけどね。


 風ちゃんに専科の貫禄が付きすぎてしまう……。
 うまい風ちゃんがいてくれたことで、1観客としては救われたので、そこはありがたいと思っているんだけど。

 風ちゃんも、苦手分野を磨いているところなのかな。
 「主役力」はすでに備えているから、それは置いておいて、「ヒロイン力」を。
 ヅカのヒロインは、「ミュージカルの主役」とは、別だからなあ。風ちゃんうまいけど、「主役」になっちゃう系の人だからなあ。
 風ちゃんが「ヒロイン力」を磨いてくれたら、こんなにうれしいことはない。天下無双になるぜ?
 何度も同じことを言って申し訳ないが。
 またしても、言う。
 まおくん、きれいになったねええ!

 まおくんがキレイで、これでもかと「タカラヅカ」でした。
 まおくんには、とりあえず登場するだけで「スターキターーッ!」と思わせる華がある。
 彼はスタイル美形だけど、スタイルゆえにじゃないと思う、彼の華やかさは。だって、せっかくのスタイルを残念にしていたぷくぷく時代も、華は確実にあったから。
 ゆえに、真ん中が似合う。
 華……華麗というより、派手、なんだよなあ。ある種、毒々しい。この尖った華やかさは、いかにも星組だと思う。

 そして、ポコちゃん。なにはさておき「美形!!」の彼。長身でコスプレ任せろな持ち味。

 この「語るときはビジュアルから」というふたりが、派手なコスチュームでばーーんと登場する『アルカサル~王城~』は、企画自体はとても正しいのだと思う。
 ただ、「なんでW主演にこの原作?」というのはあるとしても。
 えーとこれ、ふつーにまおくん主演で、ポコちゃんは2番手役だよね?
 W主演ってのはもう少しふたつの役が対等の比重で、同じならば上級生が上の扱い、てのがタカラヅカだよね?
 下級生のまおくんが原作でも実際の公演でも主役で、上級生のポコちゃんがそれ以下の比重役、でも名目だけW主演、てのが、大人の事情が垣間見えていやんですな。でもまあ、そういうところもタカラヅカ。


 役割として、薄いけれどキャラクタとストーリーがあるのが、まおくん。
 まおくんに対するにぎやかしがポコちゃん。

 物語性はあまりなく、言い訳程度にストーリーラインがある……ぐらいの話なので、主役のふたりがこの程度の役割でもいいんだろう。
 主役は華担当だから。
 そして、ビジュアルの華やかさ、という点において、まおポコはきちんと役割を果たしている。
 だから、それでいいじゃん、と思う。

 まおくの芝居力の低さ……というか、舞台人としての基礎力の低さは、組む相手が芝居巧者のヒロさんや実力安定の風ちゃん、ということでしっかりフォロー。
 まおくんは舞台度胸のある人だから、主役らしい主役がはまる。つか絶対、真ん中でチョーシ乗らせた方がいい(笑)。主役としてエンジンかかればかかるほど魅力が増す。
 苦悩させたり鬱屈させたりより、ぱーーんとはじける役が似合う。いろいろ紆余曲折あるにせよ、一貫して「王たる宿命」を得ている特別な存在、つーのはいいよな。

 ポコちゃんの役は、まおくんにチャチャ入れする役割。
 まずまおくんありき、そこに横入り、また本筋まおくんに戻り、ポコちゃんが横からわっと入る。その繰り返し。
 最初観たときは、大変だな、と思った。
 この「横入り」の方法がさー、「歌」なんだよ、よりによって!(笑)
 まおくんサイドが真面目にストーリーやってるとこへ、ポコちゃんが突然現れて、舞台ひとりで1曲ノリノリで熱唱するの。
 空気ぶった切り。
 で、ポコちゃんサイドには特筆するストーリーも事情もナイの。なんも描かれてナイの。ただ出てきて1曲歌うだけ。
 こーれーはー……(笑)。

 ポコちゃんが歌ウマなら、なんの問題もない。突然脈絡なく現れて、ひとりコンサート状態になっても場は持つ。
 しかし、ポコちゃんだ。
 ポコちゃんがあの歌唱力で、前後の空気関係なく突然ひとりでステージ背負って歌わなくてはならないんだよ? こーれーはー、大変だよ~~、やる方もだけど、観ている方も(笑)。
 現にポコちゃんは、歌唱力もだけど、登場するだけで劇場の空気を変える力や、観客を一瞬にして魅了するハッタリも、ナニもない。
 初日だってこともあり、すっげー遠慮というか、とまどいが見える。……空気ぶったり切りで真ん中ばーーん!で、とまどいつつうまくもない歌を歌われたら、観客はさらにとまどうって。
 最初は、うわ~~、と思った。演出家、これはないやろと思った。なんの罰ゲーム。

 しかしこの演出がなんとかのひとつおぼえ的に繰り返される。……うちに、楽しくなった。

 いいじゃん、コレはコレで。
 ポコちゃんに足りないモノは歌唱力よりナニより、ハッタリだ。歌がうまくなかろーが芝居力が足りてなかろーが声が浮いてて男役が頼りなさげだろーが、とにかくハッタリがあればなんとかなる。よくわかんないけどスターだわ、とか、いいもん観たわ、とか思わせちゃえばいいんだもの。
 バウなんて、基本ファンしか観に来ない。好意的な観客しかいない場所でなら、どんだけ出来てなくても大丈夫、ここで練習してハッタリ芸を身に付ければいいんだわ。

 まおくんが芝居パートで、ポコちゃんがハッタリパート。
 逆だろ、と思う配置だけど、「お勉強の場」だと思えば正しい。
 どちらも苦手分野をあえて、与えられているんだ。

 や、派手なコスチュームプレイというところで、ふたりの得意分野はちゃんとフォローされてるわけだしな。
 得意は得意として、あとはちゃんと勉強できる仕組みになっている。
 前述の通り、脇は芸達者やスターで固めてあるから、公演自体が転覆することはないし。

 途中から、どんどん楽しくなった。
 まおくんは「真ん中の自分大好き!」って感じに、どんどん調子上げてくるし。
 ポコちゃんは、真ん中に慣れてないまんまなんだけど、それでも本人比でいろいろ上がってるし。
 うわーー、楽しい~~。若手バウって、こーゆーのが楽しいんだよなあ。

 問題は、脚本演出自体が、どんどんつまらなくなってくること(笑)。1幕はまだ良かったけど、2幕なんてただあらすじやってるだけで、ストーリーとは言えん……演出家仕事しろ……。

 作品はともかく(笑)、キャストファンには楽しい、いい公演であるだろうと思う。

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