『シャングリラ-水之城-』は、記号だけで成り立っている。

 主人公ソラにあるのは、「主役」というだけの記号。
 誰が演じてもハマるだろう、美しい、かっこいい主役。

 だがしかし。

 ゆーひさんが演じると、なんであんなに残念なキャラになるんだろう?(笑)

 や、ビジュアルは完璧ですとも。
 おーぞらゆーひのこの世のモノとも思えない、三次元世界に存在することが驚異なほどの、徹底した美貌ゆえに成り立っている役であり、作品である。

 キャラとビジュアルを楽しむことが主眼であるこの作品で、ソラ@ゆーひくんの美しさは素晴らしい。

 が。
 ゆーひくんの持つ無機質さ、クールさは、小柳タンの書く「男子ヲタク的世界観の主人公」からは、微妙にずれているんだ。

 主人公なんて、ぶっちゃけナニもしなくても、そのアツさでストーリー的には誤魔化しが利くもんなんだ。
 よく考えるとこの人ナニもしてない……とか、なんでこの人の言う通りにコトが運ぶんだろう……と思っても、彼の平素のパッションで全部なし崩しになる。熱に巻き込んで、うやむやのウチに出来事を転がしていく。

 ソラも、アツい芸風の人が演じれば、説得力になったと思う。
 水源独り占めイクナイ!とか、記憶喪失で苦悩してまつ!とか、とくにどーってことないけどいつの間にかミウ@すみかとラヴラヴ!とか、考えなしの行き当たりばったり行動も、全部全部問題ナシ。
 ああ、この男ならそうだろう、と思わせることが可能。
 設定上がクールガイだとしても、魂のパッションは別だからね。

 ゆーひくんはそのあたりの説得力につながらないいつものゆーひくんっぷりで、突き進むから(笑)。

 なんとも不思議なキャラになってますなあ。

 ナニがウケたかって、最後の託児所オチ。

 断言します、ゆーひさんのソラは、あんなことしません(笑)。

 や、脚本上の主人公記号さんならするだろうけど、ゆーひさんは違います(笑)。
 ゆーひくんにアテ書きしてたら、ああはならん。

 子どもなんか好き嫌い以前に興味もないクールかつ乾燥しまくりなソラさんが、すげー嘘くさいボランティア託児所経営。

 それだけでもありえなさ、画面のシュールさにウケまくったのに、さらに、トドメ。

 子どもに、好きな女の名前を付けて育ててる、とかゆーし。

 だから、脚本上の主人公記号さんならするだろう、男子向けラノベならこのラストだろう。
 しかし、相手はおーぞらゆーひだからっ。

 女の子に「ミウ」と名付けて育てている、という段階で、ダメっぷりMAX!!(笑)

 なんつーんだ、かわいこちゃん派遣OLに声もかけられないクール美形眼鏡エリート正社員男子が、家でこっそり子猫にその派遣さんの名前付けて育てている的な、ダメっぷりを感じて、爆笑した。
 ツボった。

 まとぶんとからんとむとかがソレやってたら微笑ましいけど、ゆーひさんがやってるとで、かえって面白いから。

 もー、ソラがいちいち残念キャラ過ぎて、ウケる(笑)。

 少年マンガぢゃないんだ、ゆーひさんは。少女マンガか耽美系なのよー。体育会系ではなく、バリバリの文系なのよ。
 男子脳で構成された世界観は、微妙に不協和音。
 
 その本質的な似合わなさと、表面的なビジュアルのハマりっぷりのギャップが、すげー面白い効果になっている。

 
 小柳タンは女性だけど、男子ヲタクハートを持った作家さん。男性だけど女子ヲタクハートを持った大野くんで、一度おーぞらさん主演作を見てみたいなあ。

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