「卒業」というパフォーマンス。@雪組東宝千秋楽
2014年9月5日 タカラヅカ ムラの千秋楽で、まっつのスタンスはわかった。
「卒業」というタカラジェンヌ最大のイベントに対し、どういう演出をするのか。
演出というと大袈裟かもだけど。
わたしたちふつーの人間でも、家族に見せる顔、会社で見せる顔が違うように、タカラジェンヌにもいろいろな顔があるはず。役ではなく芸名で舞台に立つ卒業セレモニーにて、どのあたりの顔を出すのだろうか。
まっつだけでなく、すべてのタカラジェンヌが、芸名で舞台に立つ場合考えることだろう。意識・無意識の濃度は別として。
タカラヅカにおいて、「卒業」はイベントである。劇団もジェンヌも、そして観客も、それを認めている。数々のお約束があり、ルールやエチケットがあり、それを遵守した上で楽しむ。ルールを守れない・理解できない人は、プレイを楽しむことはできない。この世のすべてのことと同じく。
だからタカラジェンヌも、そしてファンも、ルールの中でのプレイを楽しむ。
……である以上、そこでどんなパフォーマンスをするのかは、ジェンヌ個々の意識による。
まっつは「あのキャラ」で通すんだなあ。てことは、千秋楽ではなにかしらオチをつけるのかしら。
まっつの退団を知ったあと、たしかスカステを見ているときにふと、思ったんだよなあ。
「感謝の気持ちでいっぱいです」って、まっつも言うのかしら。
タカラジェンヌの定型句。挨拶するとき高確率で言う。100周年イベントでインタビューされている黒木瞳までもが言っていて、ヅカDNAすげえなと思った。
や、ヅカだけでなく世間一般でも常套句だけど、世間一般よりヅカではなにかっちゃー口にしている印象だから。
退団挨拶で、もっとも多く使われる言い回しは、個人的に以下のふたつだと思っている。
話の途中で「感謝の気持ちでいっぱいです」と1回言い、ラストは「感謝の気持ちを込めまして(ふつうの声)、ありがとうございました!!(大声)」で締める。
ってコレ、定番中の定番よね? 統計取ってないけど、かなりのパーセンテージ占めるよね?
とくに最後の「感謝の気持ちを込めまして~」は、日本語として変なので、聞くたびに「あ、まただ」と記憶に残る。
漠然と、まっつに「定番中の定番」は言って欲しくないなー、と思っていた。
ハタチそこそこの若い子が、定例句をつなぎあわせて話すのはいいとして、勤続17年の超ベテランが、新人と同じマニュアル通りの挨拶ってのもねー、と。
まさか感謝の言葉、礼の言葉皆無になるとは思ってなかったけど(笑)。
どんだけマニュアル破り。
ムラであんだけオリジナルな……長いモノに巻かれない挨拶をしておいて、東宝ではどうするのかと思った(笑)。
ネタ振りしたんだから、回収してくれなきゃやだな。
よろしくお願いします、と進行形にしたからには、エンドマークをつけてもらわないと。ふつーはありがとうございました、で締めるけどー。まっつさんが、さらにハズしたらどうしよう。
東宝楽のまっつの挨拶は、ムラ楽と呼応したモノだった。「いってきます」「ただいま」とか「いただきます」「ごちそうさま」くらい、対になる内容だったので、最初から決めてたのかなーと思う。
カーテンコールでのえりたん大好き発言も、ムラでウケたネタをグレードアップさせてたので、こちらも計算の上だなと思った。
計算というと言葉が悪いかもだけど、「舞台」の上で観客に見せるのだから、ネタを仕込むのはプロとして当然のことだ。
まっつは観客から求められる自分のキャラクタや立ち位置に応えた。
キムくん時代のアフタートークで見せたキャラが大変ウケが良かったので、それを踏襲したのかもしれないな。
スカステで見せるキャラともお茶会とも違う、間違いなくまっつではあるけれど、「観客」を意識したキャラクタ。
「舞台」の上だとそうなるのかもしれない。ギアが換わるというか。とことん、舞台人だ。
見事だと思ったのは、まっつが「この場をお借りして」と組子たちの方を振り返って話し出したとき、下級生たちが、ぶわーっと泣き出したこと。
わたしの視界にいちばんよく入ったのが咲ちゃんだったのだけど、彼が「崩壊」って言葉が似合う勢いでくしゃくしゃに泣き出したのを見て、こっちも崩壊した。まっつに、というより、組子たちの涙にもらい泣き。
最後のお茶会で、自分が卒業したあともタカラヅカを見て欲しい、雪組を見て欲しいと言ったことを、思い出した。
正直、そんなことを言うとは思ってなかったんだな。自分のことしか語らない人だったから。
雪組を、仲間たちを、愛していたんだね。
そして、雪組に、仲間たちに、愛されていたんだね。
それがわかる挨拶だから、ファンはそれでいいんだけど、もう少し、「お客様への感謝」を打ち出すべきだったとは思うよ(笑)。劇場にいるのもスクリーンで中継を見ているのも、まっつ個人のファンだけじゃないからねー。
でも、そういうところも含めて「未涼亜希」というキャラクタだと思う。
まっつの「卒業」パフォーマンスは、入りのヒョウ柄+黒パンツ(インナー白だったわ、あれって精一杯の歩み寄り?!とファンを沸かせた)高速歩み去り(会の人は声かけできず。去っていく背中に向かって遠く「いってらっしゃい」とばらばらに叫ぶのみ)からはじまって、袴姿での高速歩み去りパレードに至るまで、一貫していた。
そのなかで、「舞台」の上でこそ、もっとも輪郭のあるキャラクタを出してきた。個性的な退団挨拶、ネタ会話、客席大ウケ、笑い声と大きな拍手。
「舞台人・未涼亜希」の卒業にふさわしく。
きっぱりと起承転結、振ったネタは回収してオチまでつけた。きれいな構成に舌を巻く。
もちろん、ふつーに愛と感謝の言葉だけで、ネタ振りもオチもない、気持ちだけでつづられた、素朴な挨拶も好きだけど。
まっつはまっつらしくオチをつけた。そのこだわりが愛しい。
最後まで、小憎いまでに、かっこいい人だ。
「卒業」というタカラジェンヌ最大のイベントに対し、どういう演出をするのか。
演出というと大袈裟かもだけど。
わたしたちふつーの人間でも、家族に見せる顔、会社で見せる顔が違うように、タカラジェンヌにもいろいろな顔があるはず。役ではなく芸名で舞台に立つ卒業セレモニーにて、どのあたりの顔を出すのだろうか。
まっつだけでなく、すべてのタカラジェンヌが、芸名で舞台に立つ場合考えることだろう。意識・無意識の濃度は別として。
タカラヅカにおいて、「卒業」はイベントである。劇団もジェンヌも、そして観客も、それを認めている。数々のお約束があり、ルールやエチケットがあり、それを遵守した上で楽しむ。ルールを守れない・理解できない人は、プレイを楽しむことはできない。この世のすべてのことと同じく。
だからタカラジェンヌも、そしてファンも、ルールの中でのプレイを楽しむ。
……である以上、そこでどんなパフォーマンスをするのかは、ジェンヌ個々の意識による。
まっつは「あのキャラ」で通すんだなあ。てことは、千秋楽ではなにかしらオチをつけるのかしら。
まっつの退団を知ったあと、たしかスカステを見ているときにふと、思ったんだよなあ。
「感謝の気持ちでいっぱいです」って、まっつも言うのかしら。
タカラジェンヌの定型句。挨拶するとき高確率で言う。100周年イベントでインタビューされている黒木瞳までもが言っていて、ヅカDNAすげえなと思った。
や、ヅカだけでなく世間一般でも常套句だけど、世間一般よりヅカではなにかっちゃー口にしている印象だから。
退団挨拶で、もっとも多く使われる言い回しは、個人的に以下のふたつだと思っている。
話の途中で「感謝の気持ちでいっぱいです」と1回言い、ラストは「感謝の気持ちを込めまして(ふつうの声)、ありがとうございました!!(大声)」で締める。
ってコレ、定番中の定番よね? 統計取ってないけど、かなりのパーセンテージ占めるよね?
とくに最後の「感謝の気持ちを込めまして~」は、日本語として変なので、聞くたびに「あ、まただ」と記憶に残る。
漠然と、まっつに「定番中の定番」は言って欲しくないなー、と思っていた。
ハタチそこそこの若い子が、定例句をつなぎあわせて話すのはいいとして、勤続17年の超ベテランが、新人と同じマニュアル通りの挨拶ってのもねー、と。
まさか感謝の言葉、礼の言葉皆無になるとは思ってなかったけど(笑)。
どんだけマニュアル破り。
ムラであんだけオリジナルな……長いモノに巻かれない挨拶をしておいて、東宝ではどうするのかと思った(笑)。
ネタ振りしたんだから、回収してくれなきゃやだな。
よろしくお願いします、と進行形にしたからには、エンドマークをつけてもらわないと。ふつーはありがとうございました、で締めるけどー。まっつさんが、さらにハズしたらどうしよう。
東宝楽のまっつの挨拶は、ムラ楽と呼応したモノだった。「いってきます」「ただいま」とか「いただきます」「ごちそうさま」くらい、対になる内容だったので、最初から決めてたのかなーと思う。
カーテンコールでのえりたん大好き発言も、ムラでウケたネタをグレードアップさせてたので、こちらも計算の上だなと思った。
計算というと言葉が悪いかもだけど、「舞台」の上で観客に見せるのだから、ネタを仕込むのはプロとして当然のことだ。
まっつは観客から求められる自分のキャラクタや立ち位置に応えた。
キムくん時代のアフタートークで見せたキャラが大変ウケが良かったので、それを踏襲したのかもしれないな。
スカステで見せるキャラともお茶会とも違う、間違いなくまっつではあるけれど、「観客」を意識したキャラクタ。
「舞台」の上だとそうなるのかもしれない。ギアが換わるというか。とことん、舞台人だ。
見事だと思ったのは、まっつが「この場をお借りして」と組子たちの方を振り返って話し出したとき、下級生たちが、ぶわーっと泣き出したこと。
わたしの視界にいちばんよく入ったのが咲ちゃんだったのだけど、彼が「崩壊」って言葉が似合う勢いでくしゃくしゃに泣き出したのを見て、こっちも崩壊した。まっつに、というより、組子たちの涙にもらい泣き。
最後のお茶会で、自分が卒業したあともタカラヅカを見て欲しい、雪組を見て欲しいと言ったことを、思い出した。
正直、そんなことを言うとは思ってなかったんだな。自分のことしか語らない人だったから。
雪組を、仲間たちを、愛していたんだね。
そして、雪組に、仲間たちに、愛されていたんだね。
それがわかる挨拶だから、ファンはそれでいいんだけど、もう少し、「お客様への感謝」を打ち出すべきだったとは思うよ(笑)。劇場にいるのもスクリーンで中継を見ているのも、まっつ個人のファンだけじゃないからねー。
でも、そういうところも含めて「未涼亜希」というキャラクタだと思う。
まっつの「卒業」パフォーマンスは、入りのヒョウ柄+黒パンツ(インナー白だったわ、あれって精一杯の歩み寄り?!とファンを沸かせた)高速歩み去り(会の人は声かけできず。去っていく背中に向かって遠く「いってらっしゃい」とばらばらに叫ぶのみ)からはじまって、袴姿での高速歩み去りパレードに至るまで、一貫していた。
そのなかで、「舞台」の上でこそ、もっとも輪郭のあるキャラクタを出してきた。個性的な退団挨拶、ネタ会話、客席大ウケ、笑い声と大きな拍手。
「舞台人・未涼亜希」の卒業にふさわしく。
きっぱりと起承転結、振ったネタは回収してオチまでつけた。きれいな構成に舌を巻く。
もちろん、ふつーに愛と感謝の言葉だけで、ネタ振りもオチもない、気持ちだけでつづられた、素朴な挨拶も好きだけど。
まっつはまっつらしくオチをつけた。そのこだわりが愛しい。
最後まで、小憎いまでに、かっこいい人だ。