タカラヅカは、夢の世界である。
 タカラジェンヌは、夢の世界を構成する一員である。

 わたしはモノを書くことが好きで、小説を書くことが好きで、日々なにかしら書き散らかしているけれど。
 こうしてパソコンの上で、文字の上だけでも、「架空の世界」を作り上げることはけっこうな労力がいる。

 その労力を必要とすることを、タカラジェンヌは自分の人生を使って表現する。
 それは、並大抵のことではない、だろう。

 ジェンヌって個性が出るまでに何年もかかるし、キャラが確立するまでまた数年必要。
 そして大抵のジェンヌは「キャラが確立」したあたりで辞めていく。
 もちろんそこにはいろんな要因があるのだろけれど。

 ひとつ、言えることは。
 「キャラクタ」を保つことは、容易ではない。

 人生をかけて、架空のキャラクタを演じる、ということ。
 キャラを確立できる年数いるとしても、露出の少ない上級生たちはバランスを取りやすいかも。
 でも「番手スター」だと、「芸名」で日々の大半を生きることを使命づけられる。
 路線スターとして若い頃からその意識、生き方を順番に学ばされた人ならともかく、研14にもなって突然立場が変わった人は、混乱しただろうなと思う。

 それでもまっつは、最後まで「未涼亜希」だった。

 架空の世界で、求められる役目を果たした。
 そりゃあもお、頑ななまでに。
 本人が、宣言した通りに。

 舞台での美しさ。演技の神がかりっぷり。ダンスのキレ。歌声の確かさ。長台詞も古語ゆえに難解な言い回しも任せろ滑舌抜群。
 それはまさしく、「未涼亜希」だった。

 わたしが退団してほしくないから、わたしがもっともっと「未涼亜希」を見ていたいから、納得できていないだけで。
 まっつはきちんと完成して、卒業したのだと思う。

 頑ななまでに、完結。ちくしょー。

 本当に、美しい男役だった。未涼亜希。

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