あー、まさおさん卒業しちゃったんだねえ。さみしいねえ。
 ガチファンでなくても、まさおさん印象強烈な人だから、卒業はさみしくなるよね……てな気分だったのが。

> 2016/9/6『エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』出演者が決定しました!

 で、そのメンバーにしれっとまさおさんが加わっているのに、盛大に吹きました。
 卒業の翌々日にエリザベート役かよ!!(笑)
 だって、この『スペシャル・ガラ・コンサート』って、「宝塚歌劇版歴代キャストと共に祝うアニヴァーサリー」がコンセプトなのよ? 公式HPにそう書いてあるのよ? つまり、タカラヅカの『エリザベート』に出演したOGが、当時の役で出演する、というイベント。

 まさお、シシィやってへんやん!! 君がやったんはルキーニやん!!

 なのに、しれっとエリザベート……(笑)。

 ツボ入った。
 なんかそういうとこ、すごく、まさおらしい。

 や、見たいし、まさおのエリザベート! 歌聴きたい。うまいもん、絶対。スカーレットがハマるキャラクタであるまさおは、良い面も悪い面も「エリザベート」というキャラクタがハマると思うし。

 ……キャストスケジュール見て、あきらめたけど。
 なんでマリコトート限定なのよーー。
 わたしのヅカヲタ人生で、ぶっちぎりのナンバーワン、この人に比べればどんな人でも音痴なんて呼べないわ、というくらい、突き抜けた最高峰音痴だと思っているスターさん、それがマリコ氏です。
 歌だけじゃなく、台詞もナニ言ってんのか聞き取れなかったしな……や、かっこよかったけど。タカラヅカスターとしての魅力のある人だと、わかってるけど。
 あー、星組『エリザベート』はお風呂屋さんかってくらいエコーすごくて、いつもびんびんばんばん音が響いて割れて、耳がつらかったなー……。宝塚大劇場ってこんなに音が響くんだ、くわんくわん鳴るもんなんだ、って感心したなー……360度逃げ場なしに跳ね返った音が襲ってくるのよ、あんな体験はじめてだった。なつかしい。
 ごめん、マリコさんだけはマジ苦手。あの方の「歌」を聴きに行く根性はないっす……。

 なんでトドロキ東京だけ出演なんだ(バウ主演してるからです)とか、オサ様に会いたい、オサ様LOVE! とか、やたらややこしいスケジュールを眺めながら。

 わたしは、古代みず希様の名前に反応しました。盛大に。

 うきゃ~~っ、大好きだったおじさま、あのエロかっこいい方にまた会えるの……?!
 卒業以来、芸能活動はしていない、よ、ね……? 当時はネットもろくに機能しておらず、その後の活動を追うすべもなかったけど。
 古代さんに会える、古代さんに会える。
 それだけでくるくる回っちゃう心地。チケ取りがんばらなきゃ。

 あ、現役生も出演するからと、タカラヅカ公式にもニュースとして出たので記録コピペ。(ちなみに上のは梅芸公式HPのニュースから)
外部出演について「エリザベート スペシャル ガラ・コンサート」
2016/09/06
(専科)
轟 悠
京 三紗、飛鳥 裕、五峰 亜季、美穂 圭子、凪七 瑠海が外部出演します。   
公演名
三井住友VISAカードpresents
エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート   

公演期間
・大阪公演(梅田芸術劇場メインホール)
2016年12月9日(金)~2016年12月18日(日)
・東京公演(Bunkamura オーチャードホール)
2017年1月8日(日)~2017年1月20日(金)

※出演者ごとに出演日程は異なります。
出演スケジュール等の詳細は下記からご確認ください。
http://www.umegei.com/schedule/586/   
お問い合わせ
梅田芸術劇場(大阪) TEL.06-6377-3800
梅田芸術劇場(東京) TEL.0570-077-039   

 ビジュアルセンスがどーにもダメだった、『NOBUNAGA<信長>』。や、わたしはね。

 すべてにおいて「無理!」だったんだけど、中でも大きな疑問だったのが、ロルテス@たまきちのビジュアル。

 あのヒゲは必要なのか?

 わかりやすくかっこいいヒゲではなく、むさくるしいヒゲ。
 タカラヅカは若い女性だけで老若男女を演じている都合上、どうしても「形式」が存在する。
 ヒゲの形もそうだ。バトラー@『風と共に去りぬ』のような口ひげ、ショーヴラン@みりお様限定『THE SCARLET PIMPERNEL』のイケメンヒゲは、「二枚目が付ける」。
 顔全体を覆うもしゃもしゃおっさんヒゲは、「美形役ではない、荒くれ者や中年男が付ける」。
 明文化されているわけじゃないが、概ねパターン化されている。演じているのが若くきれいな女の子ばかりなんだ、形式を守ることで区別するのは基本だろう。
 くわえて、純粋な見た目の問題。路線スターは、たとえおっさん役であっても少女マンガ的なヒゲしか付けない。観客は女性だから、たとえ荒くれ者設定であっても、女性が引くような体毛は表現しない。
 だから、この前の『リンカーン』でトドがもしゃもしゃおっさんヒゲを付けることが話題になった。「タカラヅカらしくない」からだ。
 タカラヅカの男役はヒゲを付ける。それが当然になっていても、付けるヒゲのタイプによっては、まだ物議を醸す。

 そんなタカラヅカで、何故か2番手役のロルテスが、「もしゃもしゃおっさんヒゲ」だった。
 タカラヅカのお約束的に、かなり異端な造形。
 おっさんでワイルドなキャラクタを表しているのかと思った。

 ……ら、なんと、若い青年、信長@まさおから見るとガキんちょらしい。
 えええ。
 おめめキラキラ、ヒゲを付けた少女のような信長と、むさくるしいヒゲ男、少女が中年オヤジでヒゲ男がぴちぴち?! なんなのその無駄に難しい設定!

 若者設定なら、何故おっさんヒゲ?

 「当時の風俗をリアルに再現したのです」は通用しない、帰蝶@ちゃぴが宇宙人みたいな衣装で長刀振り回してる世界観なんだから。

 たまきちが「もっとも美しく、かっこよく見える」ために、あえてこのヒゲなのだ! というなら、納得する。ここはタカラヅカだ、2番手で、数ヶ月後にはトップスターになる若者を「もっとも美しく、かっこよく見える」ように盛り上げるのは座付き作家の使命だ。
 だがしかし。
 もしゃもしゃおっさんヒゲは、はたしてたまきちを「もっとも美しく、かっこよく」見せたか……?

 たまきちの垢抜けなさやむさくるしさを、強調する結果になってないか……?
 たまきちの魅力である、男っぽさを出すためにやったんだろうか? しかし、「ガイジンさんで、こんな人いそう」「体毛濃くてもしゃもしゃなんだろうね」というあたりのリアリティは、たまきちの魅力を上げるのに必要だろうか?
 タカラヅカでこのテのヒゲを付けるのはオヤジか不細工とカテゴリ分けされるもんなのに、あえて敢行する意味はナニ?

 ふつーにヒゲなしか、あるいはイケメンヒゲでよかったんじゃないの?
 ひとりだけ洋装で、ガタイの良さを見せつけてくれてるんだしさ。

 たまきちのためのビジュアルかと思ったら、新公であちくんも同じヒゲ姿で、「ロルテス自体がこのビジュアル固定なんだ」とわかった。
 ロルテスを「タカラヅカらしい美形」に、何故しなかったんだろう。
 ロック・ミュージカル『NOBUNAGA<信長>』に、オスカル様みたいな茶髪ロン毛の耽美青年が出て来ても、「タカラヅカだもんねえ」で済むのに。(たまきちにオスカル風を期待するわけではない、念のため)

 2番手のビジュアル落として、いったいナニにこだわったんだろう、大野くん。


 ええと、世の中的にたまきちロルテスが「タカラヅカらしい美貌!!」「ヒゲがセクシー、野望あふれる若者に見える!」だったりするなら、すみません。
 そうだとしても、今よりもっと「タカラヅカらしい美貌!!」に出来たと思うので、今のビジュアルには疑問です。
 月組『NOBUNAGA<信長>』『Forever LOVE!!』東宝千秋楽日です。
 ラストディ中継を見るつもりだったけど、行けませんでした。残念。予定ではもう終わっているはずの仕事が、まだ終わらなくてな……ずっとパソコンに向き合ったまま、ここ数日。残念。
 スクリーンでまさおさんの美貌を見たかったよ……。
 大野せんせスキーとして、彼の作品をスクリーンで見たかった、というのもあるんだよね……。『エドワード8世』も中継は見られなかったから、まだ一度も大野作品をスクリーンで見たことナイ。


 てことで、今日タカラヅカを卒業するまさおさんに思いを馳せつつ、『NOBUNAGA<信長>』の話。

 勝手な思い込みですが。

 『NOBUNAGA<信長>』がアレな作品になってしまったのはすべて、制作発表会のせいだと思う。

 制作発表会は、初日の4ヶ月も前。
 ……4ヶ月前って、正気か? 
 4ヶ月前っていったら、脚本どころか、プロットすら出来てるかどうか危うい、「こんなのやりたいな」というイメージが漠然とあるだけの状態じゃないの?
 そんなときに制作発表会なんかやっちゃったら、百害あって一利なしでしょ?

 制作発表会のときは、「帰蝶の愛と憎しみ」を書くつもりだった。が、ふわっとしたイメージがあるだけで、具体的なことは決まってない。
 なんにも決まってないのに、やらせる方が悪い。
 そしてとりあえず、一旦書き上げた脚本では、制作発表会パフォーマンスの帰蝶とは人格もエピソードも別モノになった。
 なんにも決まってないのに、やらせる方が悪い。
 マスコミ相手にパフォーマンスした内容を、今さら撤回できない。人格もエピソードも別モノだけど、無理矢理パフォーマンスと同じ場面をねじ込んだ。
 前後のつながりもキャラクタの人格もめちゃくちゃだけど、しょーがない。
 なんにも決まってないのに、やらせる方が悪い。
 脚本ってのは初日の前日までに8割出来ればいいんであって、10割完成するのは公演がはじまって有料公開舞台稽古を宝塚という田舎町で1ヶ月やってから、首都東京の初日に合わせればいいんであって、なんで東宝初日の6ヶ月以上前に制作発表会なんかやるんだ、出来るわけないだろ、そんなことをやらせた劇団が悪い。
 ……てことかなあ。

 制作発表会で「言質を取られた」せいで、変えたくても変えられず、盛大に自爆した、ってことかなと。

 書き下ろしオリジナル作品の制作発表会は、筆の速い人しかやっちゃダメだよ……。
 創作物なんて、最後の最後まで手を入れまくるに決まってるやん……。8割方出来ていても、全ボツにして最初から書き直したりとか、キャラクタひとり削ったり、反対に増やしたり、当たり前にするじゃん。
 最後まで好きなだけ推敲出来るようにしてやってよ……「帰蝶にこの衣装でこの台詞を言わせる」という縛りのせいで、作品も帰蝶もぶっ壊れたとしか思えん……。


 帰蝶のわけわからなさを心から「ひでー」と思っていますが。

 加えて、人望ナッシング信長という、新しい信長像にも不満ありまくりですが。

 それはそれとして、構成についても大きな不満があります。

 この作品がどーしよーもないのって、クライマックスがないことも大きいと思うの。

 いちばん大きく物語が動くのが、「全員信長@まさおを裏切った! 信長、人望ナッシング! でも簡単に心変わりして信長にへつらった! 軽っ! ますます人望ナッシング!」という場面よね?
 ヒロインの帰蝶@ちゃぴは死ぬし、2番手のロルテス@たまきちの野望は潰えるし、という、主要人物の人生が動く場面よね?

 信長もひどいし家臣たちもひどい、帰蝶の死体は出しっ放しだし、全員の株を下げるだけの場面なんだけど、とりあえず、クライマックスだと思うの。
 わたしはあまりのことにアゴが落ちて戻らなかったけど。

 メンタルは理解を拒むけど、フィジカルな盛り上がりはわかる。

 で、そうやって「最高の盛り上がり」を作ったあとで。

 なんともしょっぱいラストシーンになる。

 本能寺の変だーー! と盛り上がるネタを使っているのに、ナニも起こらない。
 光秀@カチャと秀吉@みやるりの「説明台詞」があるだけ。
 信長と数名の、植爺のようなカーテン前芝居があるだけ。

 しかも信長、自分のために命を捨てて戦う家臣たち見捨てて、自分だけ逃げ出すし。しかもしかも、家臣たちにはナイショでだし。蘭丸@あーさとかを「一緒に死のうね!」と死地へ送り出したあと、突然心変わりして逃げるし。え、なにこれひどい。
 展開のものすごさにアゴが落ちて戻らない。

 説明台詞とカーテン前芝居という、しょぼい画面に、まさかの卑怯者展開。
 何故、クライマックスのあとに、こんなしょっぱい場面を??

 最後、龍の帆の場面をやりたいがため、なんだろうけどさ。
 ラストの絵面のためだけに、他のすべて犠牲にする意味がわからん。

 『一夢庵風流記 前田慶次』も同じ作りだから、大野くんの癖なのかこだわりなのか。
 いちばんのフィジカルの盛り上がりは、宿敵との一騎打ち、大野くんが大好きな傀儡たち跋扈、ばたばた人が死に、主人公大活躍!
 でもラストシーンは別の戦闘。主人公が大見得を切って幕。

 同じ作りだけど、『一夢庵風流記』の方はまだ、ちゃんと「戦」を描いてたのね。兵士たちが舞台全体を走り回り、群舞したりする。
 カーテン前で説明台詞、じゃない。

 クライマックスの位置がおかしいわ……。

 いちばん派手に盛り上げたなら、その勢いのままENDにするか、反対に静かなENDにするか、じゃない? 本能寺で盛り下げるくらいなら、裏切りクライマックスからそのままENDへ、もしくは本能寺を最大のクライマックスにするよう演出する。

 かといって、どこをどう直せばいいか、わかんないのよ。てゆーか、大野せんせがナニをしたかったのかわかんないんだもん。
 信長の描き方ひどいし、帰蝶はまともに書き込まれてないし、テーマもキャラクタも、ナニがやりたかったのか見えてこない。
 目指したモノがわかんないんじゃ、「ここをこうすればこうなる」という、いつものアタマの体操をやる余地もない。

 ビジュアルセンス以外は、面白そうだったのになあ、制作発表会。
 ああ、やっぱり制作発表会の罪は重い。
 花組全国ツアー『仮面のロマネスク』についてつれづれに。

 二度目の再演となる『仮面のロマネスク』。初演は通いました、雪ヲタですから! 再演は中日だったので通うに通えず、1回だけの観劇にはなりましたが、ともかく生で観ています。
 そして今回が再々演。中日の再演と同じく初日に駆けつけました。

 初演厨ではあるけれど、再演はヅカの宿命と受け止めているためこだわりなし、演者が変わることで作品がどう見えるか、どう感じるかこそが興味深い。

 『仮面のロマネスク』は、なにをさておいてもメルトゥイユ夫人だと思う。
 このキャラクタ次第。

 初演厨かつお花様スキーのわたしは、これまでずっと、キモはヒロインというか、「もうひとりの主人公」であるメルトゥイユ夫人だと思っていたの。
 主人公のヴァルモンはタカラヅカスターならなんとでもなる、別箱主演をするクラスのスターならできるでしょう、だってかっこいい役だもん。
 でも。メルトゥイユは違う。いわゆる「ヒロイン」ではなく、ましてや「タカラヅカのヒロイン像」からはかけ離れたタイプ。ふつーなら悪役でしかない、癖の強すぎる役。タカラヅカの娘役スキルだけで演じられない役だし、また、この役を演じきったとして、タカラヅカの娘役スキルにはストレートに関係しない。

 ぶっちゃけ、お花様だから出来た。
 そう思っている。

 再演のメルトゥイユはののすみ、芝居巧者ちして名を馳せた彼女ならあるいは、と思わせた。ふつうのトップ娘役には無理、ふつうではないののすみならばできるかもしれない、という観点で再演が決まった、んじゃないかなと勝手に思っている。

 男役至上主義のタカラヅカで、まず娘役を考え、この子ならいけるかも、じゃあこのコンビにこの作品をやらせよう……なんていう選び方になる作品は、異端だと思う。
 まず男役スターの魅力を考えて作品を選び、娘役はどんな役が来ても合わせられること……それが基本。
 『仮面のロマネスク』は名作だけど、ヒロイン役が難し過ぎてなかなか再演できない……主人公はかっこいいしプロットも面白く、主人公以外の男役スターの比重は低めだけど役自体はいろいろあるという、いい作品なんだけど、取扱注意、再演は難しい認識。

 そして今回の再々演は、メルトゥイユ基点に選んだわけじゃないよね?
 メルトゥイユ夫人は大人の女で、トップになってまだ数作の新公学年の若い女の子がハマる役じゃない。
 つまり、かのちゃんありき、で選ばれた演目じゃない。
 あくまでもみりおくんありき。や、タカラヅカなんだからトップスター中心で当たり前だけど、『カメロマ』はやばい、ヴァルモンよりメルトゥイユ夫人が重要。

 だから。

 この物語、メルトゥイユ夫人に魅力を感じられないと、こんだけつまらない話になるのかと、思い知りました。

 メルトゥイユ夫人って、ヒロインとしてはほんとに異色。
 元カレへの仕返しに、その婚約者の少女をレイプするよう男友だちに依頼する女、ってリアルにアウトでしょ。ありえないでしょ。婚約者、なんの罪もないやん、てゆーかまだ中学生やん、善人ぶって近づいて、その裏でレイプ依頼とか……どこの夜10時のサスペンスドラマよ?

 いやあ、今回はじめて、ヴァルモンがセシルを抱いたのはレイプなんだと思いました。
 ヴァルモンは犯罪者だし、メルトゥイユ夫人は教唆犯。やべえよこのカップル!!

 トゥールベル夫人にも同じことをしているんだけど、あちらは大人なんだから、自己責任。ヴァルモンに恋して自分から身を投げ出しているのだと描かれているし。

 ヴァルモンももちろんひどいけど、よりひどいのは、メルトゥイユよね?

 ヴァルモンはもともとプレイボーイだけど、今回の行動に限って言えば「メルトゥイユの愛を得るため」という理由がある。愛のために間違ったことをしてしまうのはタカラヅカのお約束。
 そして彼自身が行動し、罵られもするし、決闘騒ぎに発展するほどに非難もされる。

 でもメルトゥイユ夫人は、いつも陰に隠れてこそこそ、「自らは手を汚さない」。世間体大事、周囲の評判ステキ。
 元カレへの復讐も、「まだ愛しているから」というタカラヅカ的な理由ではなく、「むしゃくしゃしてやった」レベルの身勝手なものだし。
 傷つける予定のセシルやトゥールベル夫人に対し、完全な善人のふりで近づいているのも、サスペンスドラマの悪役そのまま。
 こええ。こええよ、メルトゥイユ!!

 こんな女を、どれほど魅力的に見せるか。
 それが作品のキモ、勝負どころ。
 最低女、でも魅力的。ひどい女、でも泣ける。……あなたも戦ってきたのね、この世界で。仮面を付けて生きるしかなかったのよね……その切なさに胸を締め付けられる。ラストシーンでたどり着く、そのカタルシス!

 お花様は圧倒的な華と存在感で君臨し、ののすみは卓越した演技力で人間的な部分を打ち出した。
 でも、かのちゃんは。

 …………なんか、いつも同じ表情して、泣いてるのか笑ってるのかわからない。歯茎見せるのやめてー、メルトゥイユ夫人はそんな下品な表情しないよー。

 ちっとも「メルトゥイユ夫人」に見えなかった……。

 ただの意地悪女、にも見えない。意地悪、という能動理由すら感じないんだ。
 何故この女性がこんな言動を取るのか、わからないんだ。なにをしたいんだろう? や、台詞がそうなってるからそう言ってるんだろうけど、何故そう言うのかがわたしには伝わらない……メルトゥイユ夫人がわからない……。

 わたしが初演や再演の「メルトゥイユ夫人」像に縛られすぎているのかもしれない。
 再演はヅカの宿命だから受け入れている、そう言いながらちっとも認めてないじゃん! ってことなのかも。

 かのちゃんにはかのちゃんのメルトゥイユがある。
 そう思って観たつもりだったんだか、……所詮初演厨か。

 とにかく、わたしにはメルトゥイユ夫人がわからなくて、感情移入できなくて魅力もわからなくて、「もうひとりの主人公」が「ストーリーを進ませるためだけにヴァルモンに無理難題を言う、作者の都合だけの存在」に落ちてしまうと、ただもう薄っぺらくて、つまらない物語に思えました。
 や、どんな話だって、準主役が「作者の都合」でその場限りの言動繰り返すだけの存在なら面白くないよ。

 好きな作品なのになあ。
 メルトゥイユがダメだと、ここまで楽しめなくなるのか。
 それを改めて知った再々演でした。
 花組全国ツアー『仮面のロマネスク』初日観劇。

 ねえねえ、最初にぶっちゃけた話していいですか?

 『仮面のロマネスク』というと、プレイボーイのヴァルモンが、いろんな女性をゲームで落としていく話じゃないですか。
 ヴァルモンの本命は昔の恋人メルトゥイユ夫人。彼女に持ちかけられた勝負(ゲーム)で、貞淑な人妻トゥールベル夫人や、無垢な少女セシルを弄んで、捨てる。

 トゥールベル夫人を口説き落とすところは尺を取って描かれているけれど、セシル嬢は「ヴァルモンが彼女の寝室へ行く」ことと、翌日召使いたちの会話で「具体的な行為があったらしい」と示されるに留まる。その後、セシルの恋人ダンスニーに向かって、メルトゥイユ夫人が直裁な台詞でナニがあったか告げたりもするけど。
 実際に、ヴァルモンがどんな風にセシルを口説いたのかは、描かれていない。

 ヴァルモンは、セシルを抱いた。
 これは、事実だと思う。
 問題は……合意の上かどうか。

 ……ぶっちゃけた話題でしょ? 強姦か、和姦か、という、ミもフタもナイ話っす。

 セシルにはダンスニーという恋人がいて、ヴァルモンのことは頼れる素敵な人、任せて安心、夜中に寝室に招いても大丈夫、という認識だったのだと思う。
 や、どんなに信頼出来る人でも、若い娘が男を夜中に寝室に招き入れること自体あかんやろ、とは思うけど、なにしろセシルは純粋無垢、世間知らずのお嬢さんだ。彼女の迂闊さを責めるより、そんな無知な少女を手込めにする男を責めるべき。
 悪いのはもちろんヴァルモンですよ。
 でもそのヴァルモンだけど、ほんとのところ、どうなの? セシルは彼を受け入れたの? 拒絶したけれど、力尽くで手折られたの?

 わたし、初演、再演と観てきて、「合意の上」だと思い込んでたの。
 セシルはもちろんダンスニーを愛しているんだけど、いざヴァルモンに口説かれたらぽーっとなっちゃって、つい流されてしまったんだと。
 嫌がって泣くのを力づくで……なんてことは、あの大人で百戦錬磨のヴァルモンがするわけない。自分から身を投げ出すように仕向けたんだ……そう思ってたの。

 それが。

 今回のみりおヴァルモン様ってば。

 ご……強姦……?! マジに暴力でやっちゃったんすか……??
 と、観ていて、焦りました。

 や、殴る蹴るしたわけじゃなくても、合意ではなかったんだろうなと。無理矢理だったんだろうなと。

 恋のマジックに流されて夢のような一夜を過ごしてしまった……わたしには恋人がいるのに……どうしよう……。
 と、ミリちゃんにしろれーれにしろ、「不貞をはたらいてしまった」ことへの後悔と混乱に取り乱しているように見えたんだ。「自分で自分が信じられない」「どうしたらいいのかわからない」てな。
 ヴァルモンが強引に仕向けたことは確か、だけどセシルもまた甘い蜜に酔ったのだと。

 でも、今回の音くりちゃんは、「暴漢に身を汚された」被害者に見えた……。

 えええ。
 同じ行動でも、この差は大きいよ? 大きすぎるよ?

 繰り返すが、行動自体は同じ、確実にヴァルモンが悪いよ?
 30男が未成年を騙して処女を奪ったんだから。しかも、そこに愛も欲望もなく、ただゲームの手段として。
 あ、年齢は知らないので、あくまでもイメージです。

 ヴァルモンが悪いのは前提だけど、それでも。
 セシルが恋の夢に落ちたのか、無理矢理強姦されたのかでは、意味がまったく違ってくる。

 タカネくんもゆーひくんも、「男慣れしていないセシルがぼーっとなっちゃったんだろうなあ、仕方ないよなあ、あんなエロ気むんむんの大人の男に迫られたら、恋愛初心者の女の子なんて簡単にのぼせあがるわなあ」と思わせてくれた。
 善良で色気皆無のアホBFがいるのに、うっかりときめいちゃっても、それはもう不可抗力だよ。相手が悪いよ、仕方ないよセシル、うんうん!
 そう思った。

 そして、しれっとセシルの前に現れるヴァルモンに、「悪いやっちゃな~~」と思った。

 そういうもんだと思っていたから……。
 びびった。

 み、みりお様? あなたマジに鬼畜なことを……?

 初演、再演とのいちばん大きな違いだと思った。今回の、再々演。
 ヴァルモンが余裕綽々の大人の男……ではなく、もっと神経質というか、狭量な男に見えた。

 そして、セシルが……。
 見た目が13歳の健康優良児で、心も身体も恋愛OKなほど成熟しているように見えなかった。
 一夜明けての様子も、暴力に傷ついた子どものようで……ヴァルモン最低っ!!って感じ。

 わたしが音くりちゃん苦手だからか、ほんとに「え、セシル、それでいいの??」とびびるくらい、わたしが「セシル」「セシルとヴァルモン」にイメージしていた演技ではなかった……。
 セシルが違えば、ヴァルモンは卑劣なレイパーではなく、プレイボーイに見えただろうに……と。


 や、わたしにはそう見えた、というだけです。
 「初演から一貫してヴァルモンはレイパーだよ! セシルは無残に暴力で強姦されたんだよ!」とか「みりお様こそ魅力で落としたの、セシルはヴァルモンに恋したのよ!!」とか、ひとさまの目にはそう映っているのかもしれませんが、そこはそれ、わたしはわたし。

 みりおくんの持つ繊細さは、清顕のようなわがまま王子ぶりにはハマるけど、ヴァルモンのようなインモラルな行動を取る男だとガチ鬼畜に突き抜けちゃう持ち味なんだなと。
 光源氏だってヴァルモンと同カテゴリの男だけど、少なくとも彼は、年端もいかない若紫をレイプして捨てたりしてないもんな。相手が大人になるまで見守るし、ちゃんと妻にするし。つか、若紫は音くりちゃんじゃないから、犯罪被害者みたいにはならないと思うし。

 うーむ、『仮面のロマネスク』は好きな作品なんだが、今回なかなかスリリングだった。
 みりおくんのヴァルモンはみりおくんのヴァルモンで、アリだと思う!
 てな話はまたのちほど。
 月が変わり、いろいろ発表になった。
 わたしが反応するのはとりあえず、雪組関係。
 あとから日にちを確認したくなることもあるかもしれないから、雪組関連だけメモを残している。

>2016.09.01 雪組 宝塚大劇場/東京宝塚劇場公演『私立探偵ケイレブ・ハント』新人公演一部の配役決定

 と、

>2016.09.01 雪組公演『私立探偵ケイレブ・ハント』人物相関図 公開!

 ということで、公式HPの公演案内の、「主な配役」ページに、新公主演とヒロインの名前が載り、さらに、すべての役名に(説明)が付いた。

 新公主演は予想通りひとこ。
 そりゃそうだ、ルパンと剣心というイロモノしか主演経験なしじゃ期待の若手スターとしてまずい。真っ当にスーツ物で主演しないと。
 ヒロインののぞみちゃんちゃんは想定外だった……だってその、いろいろ誤魔化しの利くイロモノでヒロインやって力足らずが如実だった子が、スーツ物でヒロインって……さらに大変なことになるんじゃあ?
 それとも、しばらく観ないうちに演技力や歌唱力が上がったのかな? 若い子は突然伸びるから、あり得ないことではない。

 のぞみちゃんの本公演での役が、だいもんの恋人役というと、娘役2番手の役割……?
 ふつう、本公演で娘役2番手やって新公ヒロインやったら、それってガチのトップ娘役候補ってことになるんだが……。
 や、のぞみちゃん美少女だから、トップ娘役候補もありだろうけど、ええっと、……やっぱり、知らないうちにうまくなったんだよな……? 実力重視傾向にある現在、音痴で大根の美少女をトップにはしないだろうから、たぶんきっと。

 のぞみちゃんの歌と芝居がふつうレベルになってくれているなら、それがいちばんタカラヅカにとって良いことだと思う。
 きれいは正義だから。きれいな子に破綻しないだけの実力があれば、それがいちばん。

 ……まあわたしは、くらっちヒロインが見てみたかったんだけどね……。
 正塚芝居、似合うと思うんだけどなあ。


 正塚氏の最近の脚本力には期待が薄いので、人物相関図が出ても懐疑心しかない(笑)。ほんとにちゃんと機能した物語なんだろうな? と。
 それでも、ハリーファンなのは変わらないので、期待はせずに懐疑しながら、それでも楽しみにしている。

 れいこの悪役が楽しみかなー。
 えー、とても私的な宙組『エリザベート』考。
 わたしの勝手なイメージなので、「どこが??」と思われる方は、そっとページを閉じて見なかったことにしてやってください(笑)。


 とある、ライオンと小型犬の夫婦の話。

 吹けば飛びそうな雌の小型犬が、立派なたてがみの雄獅子に、きゃんきゃん吠えまくっている。ライオンは太い首をかしげて、途方に暮れたように、小型犬を見ている。
 ライオンは、小型犬が大好きなんだ。彼女を喜ばせたいし、彼女に癒されたいと思っているのに……小型犬はライオンがナニをしても猛烈に吠える。
 小型犬はライオンに対し苛立ちや絶望を感じているし、ライオンは寂寥と哀しみを感じている。
 だってそもそも、ライオンと小型犬じゃ、生きる世界が違いすぎてて、一緒にいてもわかりあえないよ。つか君たち、そもそも言葉通じてる?

 小型犬は、自分が小さな犬だということ自体にも、たぶん納得していない。世界は広く大きく、彼女は小さくやせっぽちだ。
 だけど彼女は胸を張り、しっぽを立てて闊歩する。「私だけに」と。

 そんな彼女を、ライオンはまぶしく見つめている。大きな身体と強い牙と爪を持つがゆえに、彼は彼女のように生きられない。強い力には義務と責任が生じ、百獣の王たる立場に縛られる。
 小型犬は彼の元を離れて放浪し、彼は玉座で彼女の帰りを待つ。
 彼女の港はどこだろう? ……自分のもとでないことはわかっている。だけど、彼女が求める場所がどこにもないことも、わかっている。
 どこにもないのなら、ここに帰ってくるといい。
 そう思って彼は、彼が生涯懸けて守り通した王国で、愛しい妻の帰りを待つんだ。


 ……なんてイメージなんですが。マカゼさんとみりおんちゃん。
 太い首をかしげて途方に暮れている雄々しいライオン……そんなマカゼフランツにハクハクします、滾ります。
 シシィは通常猫タイプだと思うんだけど、みりおんは猫じゃないわ、真面目な犬だと思う。真面目だから許せないことが多くていっぱいいっぱいになってしまう。

 あ、トート@まぁくんは黒豹ね。小さな痩せた犬のみりおんを誘惑する、豪奢な豹。
 みりおん犬は、黒豹閣下にも等しく吠えます(笑)。

 ちなみに、マカゼライオンを誘惑するマデレーネ@かなりちゃんは金色の女豹。かなりちゃんの姿をしているけれど、ほんとのとこトート閣下自身だよね、だから豹。
 マカゼライオンが誘惑されちゃうのは、愛する小型犬の周囲によく似た黒豹を見かけていたから……てな。

 黒豹閣下はけっこう狭量で、小型犬相手に本気で怒って吠えたりしてる。小型犬も受けて立つから、この1匹と1頭のケンカは喧しい。
 ライオン陛下は彼らのケンカには混ざらず、下がった場所から眺めている。や、小型犬ちゃんに勝てないの知ってるし。

 なんやかんいって、小型犬最強説。
 誰も彼女に勝てない。


 そんなイメージ。

 起きているときはキャンキャンうるさいけど、たまに小型犬ちゃんはライオン陛下にもたれかかって眠っている。
 寄りそいあって眠る、大きなライオンと小さな犬。ナニその癒しショット。
 でも、嫉妬深い黒豹閣下がちょっかい出して、小型犬ちゃんは怒って吠えて、ライオン陛下は起き抜けにわけがわからないまま吠えられて、しゅん。
 ドヤ顔で小型犬ちゃんの前に現れた黒豹閣下も、やっぱり小型犬ちゃんに吠えられて、しゅん。黒豹閣下はしょんぼりするとき黙ってしっぽを巻くのではなく、やり返すからさらに小型犬ちゃんが吠えて、……エンドレス。

「毎晩毎晩、同じ質問ばかり」とルキーニが愚痴るくらい、「グランデアモーレ、偉大なる愛」の物語……ぐるぐる同じことを繰り返すのがラブコメの鉄則ですもの!

 三角関係ラブコメは、開き直って楽しむものよ。悲劇じゃなく、かわいいラブコメよ。あの世に行っても、生まれ変わっても、愛を叫べ、愛しい、不器用な獣たち。
 あー、萌えるわー(笑)。
 なんだか不思議な気がした。

 好みの顔の人が、フランツをやっている。

 宙組『エリザベート』
 マカゼ氏が皇帝フランツをやっている、ということに慣れない。

 初演からずーっと『エリザベート』本公演はコンプリートしてきているが、顔が好みのフランツってはじめてなんじゃ……? 純粋に、心の底から「若くてハンサムな皇帝」という台詞を実感込めて納得出来るのって、はじめてなんじゃあ……?

 や、フランツは作品2番手格の役なので、演じる人はみな美形スターさんばかりですが、そのなかにもどうしても好みにより美形に思う・思わないがあって……。
 えーと、歴代フランツはタカネ・ノル・たかこ・樹里・ガイチ・ゆみこ・きりやん・みちこ? 今そらでぱっと思いつくまま書いたけど、抜けはないかな?
 このなかではいちばん、たかこのことが好きだったけど、フランツやってたときのたかちゃんってば、たかこ史上最大に太っていた、よね? 顔がまるまるぱんぱんで、下級生時代から眺めていた者から見ても、びびるレベルだった。
 マリコさんが「さきちゃん史上最大の太さ」とガチファンから認定されていたのもトートをやったときだったし、『エリザベート』を歌うためには太らなければならないんだ、と納得したおぼえがある。
 つまり、たかこは好きだったけど、フランツのときは好みの顔ではなかった。

 こんだけ再演を重ねて、はじめて、好みの顔がフランツやってる……なんか不思議……なまじヲタ歴長いから、フランツはビジュアル不問的なイメージ持っちゃってて……や、どうせ半分ヒゲオヤジだし……。

 てゆーかフランツっていい役だな。

 今ごろ。
 今ごろ言うのか。

 初演を観たとき、わたしは断然ルキーニ派で、フランツのことはまったくいいと思ってませんでした。こんな役が2番手役だなんて可哀想、てな風に思ってました。
 それが、前回の花組『エリザベート』から、ルキーニよりフランツの方が良くね? と思うようになり……今回駄目押しで、「フランツいい役!」と思いました。

 や、初演雪組『エリザベート』公演終了後すぐに発売されたビデオを見て、「フランツっていい役じゃん!」とは思った。舞台ではわかんなかったけど、映像ではフランツはちゃんとアップになるから、どういう役なのかわかる。
 初演終了後からちゃんと、理解してはいたの、フランツという役。わたしの好みからいって、絶対この役好きだぞと。
 ただ、実際の舞台では、他にもっと観たい部分が多すぎて、フランツを観る余裕がないというか、あんまり気にならないから絶賛放置中というか……そういう扱いだった、わたしにとってのフランツ。

 でも。
 顔が好みだと、観てしまう。
 美しいから、眺めてしまう。
 うわ、舞台のフランツこんなに観るの、はじめてかも。

 マカゼフランツは美丈夫だ。
 ハンサムなだけではなく、強そうでもある。なのに、シシィ@みりおんに振り回されちゃうんだ。「仕方ないんだ」とか「開けておくれ」とか言っちゃうんだ。
 みりおんシシィがまた、一筋縄ではいかない感じでさ。気が強くて言うことを聞かない、とかじゃなくて、理論武装して正論でねじ伏せてくる系だから、フランツたじたじ。
 やだなにソレかわいい。

 フランツがでかくて強そうで、シシィが細くて折れそうな現実感を持っているところがいいの。
 フランツは大きさと同時に、鈍重さもある。自分の大きさが小さな相手を傷つけるのではないかというとまどいがある……ように思えるところが。
 大きさや強さに任せて、征服しよう食らいつくそう、という意識がまったく感じられない、むしろ及び腰になっている感じがいじらしい。

 シシィに対してはすごく慎重で下手に出ているのに、それ以外にはけっこう強いというか、冷酷な感じなのもまたいいよね。
 あっきールドルフが必要以上におどおどしているのもまた良くて(笑)、フランツあんた、シシィにはメロメロあまあまで、息子には一徹父ちゃん系なのか、なんだそれ萌える。
 最終答弁でのトート@まぁ様への態度といい、基本資質はドSなのかも。シシィにだけ弱い。

 外側に向ける顔と、愛する妻にだけ見せる顔がチガウ……イイヨイイヨ、ソレすっげーイイよ!

 みりおんがカリスマ性のある特別な存在ではなく、学級委員的なリアルな女の子なのがまたいいのよ。
 こんなふつうの女の子に惚れて、最上級の男が背中を丸めているのがロマンなのよ。
 英雄が女神と恋に落ちるんじゃ、ただの英雄譚でしかない。少女マンガなら、ヒロインはふつうの女の子よ。

 ということで、マカゼフランツがとても楽しいです。
 歌は、歴代フランツ最低レベルだと思うけど、びびるくらいマカゼ比でうまくなってるし、これだけ美しければアリだと思っている。
 実力とビジュアルのバランス大事、美形ならとりあえず出来ているとかヘタじゃない、あたりでもOK!(どんなに美形でも、作品壊すくらいへたっぴだとわたしは付いて行けなくなる……どんなに神実力でも突き抜けて不細工な路線スターは、やっぱり「チガウ」と思う……ので、バランス大事)
 しかしマカゼさん、マジ歌うまくなってる……星組時代はなんだったんだ。『Étoile de TAKARAZUKA』新公とか伝説レベルなのに……。
 宙組『エリザベート』の話です。

 今回、『エリザベート』という作品の力を改めて見せられたなと。

 前回の花組『エリザベート』は、異常だったと思う。人気の面で。
 異常な加熱っぷりというか、当日券を求めて徹夜する人が後を絶たず、公式に「徹夜禁止」と言い渡されるとか。
 そんなの、はじめてだ。

 や、昔はチケットを買うために1週間とか1ヶ月とか?以前から組織で並ぶのは当たり前だったけれど。
 バウのチケットが欲しくて発売日の前日の夜に並びに行ったら「今ごろ来ても買えないわよ、みんな1週間以上前から並んでるんだから」って追い払われたもんな。実際そこに並んでいる人は10人ぐらいしかいないとしても、「1週間前から100人以上並んでる」と。チケット販売を仕切っている「誰か」の許可を得ることのできない一般人は、一般販売されるチケットの列にすら並べない、買えないシステムだった。

 そんな閉鎖的な時代の話ではなく、今現在のチケット販売システムになってからは、はじめて。
 いくらなんでもそこまで大人気って、みりお様すごすぎ。

 という、前花組『エリザ』は行きすぎ、おかしかったと思うので除外するとして。

 今回の宙組『エリザ』も、思ったより周囲の反応が良くて、びっくりした。

「今度『エリザベート』やるんだって? 観に行きたいな」と、あちこちで聞いた。
 ヅカヲタでない人たちから。

 タカラヅカも観たことある、程度の人とか、昔ヅカファンだった、もう何年も観たことないわ、という人とか、ミュージカル全般観るの好きよ、という人とか。
 あと、「前回の『エリザベート』を観たかったんだけど、チケット取れなかったら、今回は観てみたい」という人とか。(←ヲタじゃないから、タイトルが同じなら同じだと思っている)

 「タカラヅカの『エリザベート』」って、ブランドなんだ……!

 「大石静脚本のミュージカルやるんだって?」と言って来た人も、「『王家に捧ぐ歌』再演するんだって?」も皆無だったが、『エリザベート』だと食いつきがチガウ……。

 知らなかった。
 『エリザベート』って、すでにそんな扱いなんだ。
 騒ぐのはヅカヲタだけかと思ってた。そんな、一般人へのアピール力のある演目だったんだ。
 や、そりゃ少しはあると思ってたけど、これほどとは思ってなかったんだ。


 実際、劇場へ行くと、いつもとはチガウ活気がある。

 建物に入って劇場改札口を目指して歩いていたら、なんか長蛇の列がある。
 団体客だとしても、この位置に並ぶのはおかしい。なんの列だろう、と思ったら、レストラン・フェリエの「幕間お食事予約の列」だった。

 えええ。
 心から、驚いた。

 フェリエって、改札口横のレストラン。高くて味もサービスもイマイチな、ヲタならまず使わない店……。
 そう、ヲタなら使わない。何千円も出して食べたい食事でも、得たいサービスでもない。
 でも、ヲタ以外にはここしかない。劇場にも宝塚という土地にも慣れてないと、食事をどうすればいいかわからない。建物内にあるふつうのレストラン、はフェリエだけ。あとは和食と喫茶とセルフサービスのフードコートだもの。内容のわりにちょっとお高いけど、テーマパーク内の食事が高いのと同じだとあきらめられる。

 わたしも数年に一度は利用する。ヅカ初心者の友人や、母をエスコートするときに。
 特に、母と一緒のときは、観劇前に「幕間お食事予約」をする。そして、1幕が終わったら予約していた食事をして、また座席に戻る、というのをやる。
 母にとっては、「宝塚大劇場のレストランでレビューランチを食べる」というのも、「宝塚観劇」というイベントのひとつに含まれているようだ。テーマパーク内の食事と同じノリ。

 とまあ、そんな感覚のレストランが、何故か盛況。
 通常公演なら、平日昼の「幕間お食事予約」コーナーは閑古鳥で、係のおねーさんがぽつんと暇そうに立っているのがふつうだ。
 なのに、そこが長蛇の列になっているということは、だ。
 ヲタではない人たちが、いつになく詰めかけている、という現象のひとつなんだ。

 まあ、そうでもないと、チケット完売とかあり得ないし、それを期待して劇団もわざわざ再演しているのだから、正しい結果を得ている、ということだろう。
 実際、『Shakespeare』の客入りを体感した者としては、ここで『エリザベート』を持って来たのは、経営戦略として正しいのだと思うわ……再演決まったときは不満だったけど。
 組子モブの一本モノはよせ、今の宙組に必要なのは芝居とショーの二本立てだ、って思ったけど、これだけ「ヲタ以外」を動員出来るなら、今の宙組に必要なのは、まず劇場に足を運ばせるネームバリューのある作品だったんだと、認めざるを得ない。

 んで、まぁ様と宙組には、力がある。基本力というか、与えられた題材を、真面目に形作ることが出来る。

「今、『エリザベート』やってるんだって? 観てみたいな。どんな感じ?」と聞いてくる、ヲタ以外の人たちに、「ぜひ、観てみて」と言える。
 なんというか、とてもスタンダードな「タカラヅカの『エリザベート』だよ」と。
 初日、まぁ様の背景に溶け込む黒髪と浮かび上がる白いまん丸顔にびびったけれど、リピートしたらそんなのぜんぜん気にならなくなった! むしろ、「スタンダードな『エリザベート』」だと思う!
 だからみんな、観に来て! と。
 『ロマンス!!(Romance)』初日感想メモ。


 オープニングの色合いからして、ロマンチックレビューキターー!と思う。

 淡い色のグラデーション、オーソドックスなデザインの衣装。
 ゆったりしたダンスと主題歌。

 んで、オープニングが終わったら、愉快な格好の男たちが銀橋に現れて「ダンディズムとは……」って語り出すのよね! あ、これ『ダンディズム』じゃなかったっけ。


 プログラム買ってないから、場面名とかわかんないんだけど、みち風の場面で……あ、ウィキに場面名載ってる!! いい時代だなヲイ。
 「第三章 初恋」。みっちゃんが真っ白ブラウスで「青年」やってて、風ちゃんがお嬢様ドレスでお友だちと恋に憧れる少女♪って感じに踊ってる場面。
 ここ、すごく好き!
 きゅんきゅんした!! みっちゃんなのに!(失礼)

 わたし、みちこさんに女子的な意味でときめいたことがないし、彼を美形とも思えていないのです。すまん。ついでに、若作りした彼が苦手で、いっそおっさんでいてくれ、と思ってるクチです。
 なのに。
 そんなわたしが、青年ほくしょー氏にときめきました!!

 初恋。……ああそうだよな、そういうタイトルだ、そういう場面だ。
 少女と青年の恋に、……ただ見つめ合い、ダンスを踊る、それだけで世界が変わる、甘酸っぱい想いに酔いました。
 みっちゃんの真っ白ブラウスがいいの、袖がふわっと膨らんでるのがいいの、あああタカラヅカだ、タカラヅカでこそだ、こんな美しさ!

 初々しい恋のダンスだけで十分、泣けてくるような甘い切なさを味わっていたのに。
 うわああ、別れきますか、出征ですか!!
 迎えに来た友人たちが、どう見ても同年代に思えない、ここで本物の若者出しちゃうとみっちゃんの「青年」フィルターが崩れるからヤメテと思ったことはナイショ(笑)。

 ここで終わり……と思ったあとに、とどめ来ました!!
 後ろから風ちゃんを抱きしめるみっちゃんに、ヲトメハート直撃された!
 やだコレ萌えるーー!

 いやあ、この期に及んでみちこ様にどきどきするとは……あ、あなどれんわ! ほくしょーさん!


 次の「ロックン・ロール・エイジ」は、目が足りない。どこ見ていいかわかんないまま終わった。
 とりあえず、スケート履いたお嬢さんたちがかわいくて……。

 前の場面であんだけときめいたのに、ここのみっちゃん見て、途端冷静になれました。うん。そうだよね(笑)。

 ところでれんたの髪型に目が点になったんですが……。


 ことファンの友人が、公演がはじまる前から「また女装があるのっ!!」と会うたび憤慨していたんですが、何度も同じ話を聞かされていたわりにすっかりそのことを忘れていて、中詰めでみっちゃんと踊っている美女をオペラグラスでチェックして驚きました。
 ことちゃんじゃん!!

 すげー、きれいだー!

 ことちゃんというと、何度も何度も女役をして、その都度うまくてハマってて、娘役スターだと言われても違和感ナイくらいだったけど。
 ハマってて違和感なくても、きれいかというとまた別の話っていうか、キュートでかわいかったけど、やっぱりごつかったしぷるぷるしていたしで、「きれい」という感じではなかったの、わたし的に。

 それが、違和感なくきれいだわ。
 娘役スターだわ。

 ことちゃん痩せたねえええ。ほんときれいでかわいくて、彼に転向を望む人たちがいるのもわかるわー……。


 中詰めのあとは、作品のメイン場面。
 「第六章 友情」……『ネオ・ダンディズム!』のメイン場面、「惜別」を思い出す。
 ここ好きだわ。「惜別」が大好きだったの。誰かをオペラで追うよりも、椅子に深く身を沈めて、降りそそぐ光の筋を浴びる感じ。
 波のようにあとからあとから重なってくる感情を、無理せず手を離して、あるがままに揺られるような。

 そして、なまじわたしの頭に『ネオ・ダンディズム!』があるもんだから、みっちゃんがここにいるのが不思議な気はする。なんか、「星組のショーを見ている」感覚があって、だとしたらやっぱりみっちゃんはわたしの思い描く星組にはいなくて、じゃあどこにいるんだろうと思うと……月組なのかな。
 『ネオ・ダンディズム!』の頃のみっちゃんは月組のホープで、月組で輝いていたから。

 いろんな記憶が交差する。
 現在を見ながら、過去を見る。宝塚歌劇団100年の歴史半端ナイ、過去は現在に続き、続いているからこそ循環し、想いは時を超える。簡単に。

 なんか、メイン場面のあとからは、あんまし記憶にナイというか、力尽きてメモに書かれていない。
 うーん、「惜別」に気持ちが行っちゃったせいだな。

 
 芝居もショーも、良い退団公演作品なのではないかと。
 正直『THE ENTERTAINER!』の方がサヨナラ作品っぽかったけどなー。
 『桜華に舞え』のあとなら、『ロマンス!!』のまったり感はちょうどいいんじゃないかな。
 『桜華に舞え』初日の観劇感想メモをさらっと記す。


 まおゆうきがうまくなっている……?!
 なんか、まおくんっぽくない。どうしたんだまおゆうき!
 まおくんはヘタレでないといかんとか、それは勝手な思い込みなので、うまくなってくれているのは喜ばしいことです、はい。
 しかし、まおくん年寄り似合わない……演技以前に、あんな神スタイルのじじいいねえ、と思う……。


 鹿児島弁、勘弁。

 聴き取れない……。
 わたしの耳の問題かもしれんが、ここまでぶわんぶわんした音では無理っす……。
 途中からあきらめて、雰囲気だけ受信することにした。
 NHKの大河ドラマ(音声調整がんばる年寄りにも優しい制作)ですら、字幕付きだったのに、テレビでもないナマ舞台で、しかも、こういっちゃなんだがタカラジェンヌの発声と滑舌で、「誰でも初回で音を完璧に聞き取れて、意味を完全理解出来る」と思って使用してるんすか? そうでないなら、「雰囲気やニュアンスを借りるだけ」にしてほしかったよ……。
 や、大河ドラマ『翔ぶが如く』も途中で脱落しちゃったから、もともとわたし、このジャンルが苦手なだけかも。

 『エル・アルコン-鷹-』以来、サイトーくんのオープニングには期待している。めちゃくちゃ盛り上がるんだもの、派手なんだもの、華々しいんだもの。アニメ的というか、フィクションであることの強みと旨味をぎゅっと詰め込んであふれかえってる感じが……!
 その期待感っつーか思い込みがあるから……うーん、今回ちょっと拍子抜け。
 そっか、衣装が豪華でも派手でもないし、幕末ってだけじゃあ華やかになりようがないのか……。
 予算たっぷりあれば、オープニングからオリジナルムービー流してキャラ紹介して、どーんと盛り上がれたんだろうな……。
 なんつーか、イマドキのカラフルキャラ弁期待してフタ開けたら、おばあちゃんの茶色いおかずだらけの昭和なお弁当だった感……? いや、茶色いおかずおいしいけど、昭和も好きだけど。

 時代があっちこっち跳ぶのな。
 逆流はせめて1回にするべきでは? どうしても必要だとも、効果的だとも思わない謎構成。


 桐野利秋(中村半次郎)@みっちゃんはいい。あってる。さすがサイトーくん、みちこのキャラははずさないな。
 みっちゃんのいいところも悪いところもハマってる……。そういうの、集大成的に見られるのはいい。

 衣波隼太郎@ベニーは、ええっと、まずいちばん言いたい、殺陣がんばって!!
 半次郎さんを止めるために斬りかかって、勝ってしまう場面あるじゃないですか、少年マンガのお約束!的な。あそこがあまりにへっぴり腰すぎて、「え、コレに負ける半次郎って??」になる。
 みっちゃんはカケラも負けそうじゃないのに、無理に負けるからまた嘘くさい展開に見える。

 みっちゃんは大人になってからの方が良いけど、ベニーは若いときの方がいいなあ。チョビ髭おっさんより、若衆の方が似合う。線が細すぎるのかな。

 八木永輝@ことちゃんがいいなあ!
 予定調和に「説明しなきゃならないことを説明してます、やることいっぱいあって大変です」な展開の本編の中、サイトーの趣味だけで存在するキャラクタは、本来「いなくていい」だけに、自由自在。
 説明聞くの飽きたなー、というときに、ことちゃんがぶわーーっと熱量出しながら、ストーリー関係なく出て来て個人的感情だけぶわーっと語ってくれるのが、とても痛快。
 うんうん、自由度高いキャラはいいね! 彼が出て来ると「物語が動く」気がするよ。

 あ、そんでもってことちゃん、かっこよくなった。男っぽくなって、どんどん雰囲気や顔が変わっている。若い子ってほんと、公演ごとに変わるねえ。

 大谷吹優@風ちゃん。……や、吹優ってこんな漢字なんだ、今はじめて知った……結命@『JIN-仁-』といい、サイトーくんのヒロインのネーミングセンスがこそばゆいです……タスケテ(笑)。
 女性の絡まない題材で、それでもがんばって絡めた方かなと。
 ただ、風ちゃんに似合う髪型でも衣装でもなかったのが残念……もっとかわいい姿を見たかったなあ。

 桐野と吹優の関係は、もっとおいしく出来たと思うの。記憶喪失ネタは鉄板だもの。
 だから、「ついで」程度にしか使われてないのがもったいない。

 西郷隆盛@さやかさんは、さすがのうまさ。
 なんだけど、タカラヅカでこのキャラクタをこういう描き方すること自体、わたしは求めてないなー。

 なんかすごく「サイトーだわ」と思ったのって、ママネタがどーんときたからか。
 以前はサイトーくんというとマザコン要素基本装備だったのが、最近あまり気にならなくなっていた。
 桐野母@あんる、若いのに老母芝居うますぎ。
 こういう比重の高い年配女性役を、組長がやらないんだなあ、と、今さらなことを思ってみたり。主人公の親って管理職がよくやるイメージだから。

 しーらんの役が年齢不詳というか……立ち位置がわかりにくいのは、華奢な若者に見えるからか。狭量な若者が意地悪をしているように見えて、そこだけ観ると学園モノっぽい。
 しーらんって老け役やったことなかったっけ? カチャさんと同じでいつまでもフェアリー、永遠の少年イメージ。
 それは武器であり魅力であると思うけれど、今回は違和感。

 せおっちが目に付くなあ……。
 他の役と区別して見ているつもりがないのに、ああまたせおっちだ、と思うから、立ち位置がよくなっているのかも?
 それともわたしが無意識に彼を求めている……?(笑)
 あ、あとあやなくんもわかります、目に付きます。

 反対に、かいちゃんがわからなかった……。
 最後の方でよーやく「あ、あれひょっとしてかいちゃん?」と気づいたのだけど、前半まったくわからん……出てた、よ、ね?
 『こうもり』に引き続き、芝居でかいちゃんを見失うとか……何故だ、宙組にいたときはこんなことなかったのに。


 ラストはもっと勢いのまま、なだれ込むように終わってくれても良かったかな。
 テンポ悪くなって完、という気がした。
 星組『桜華に舞え』『ロマンス!!(Romance)』初日観劇。

 サイトーくん新作の『桜華に舞え』を観た感想は、『TRAFALGAR』を観たときの感想と同じだった。

 すなわち。

 サイトー作大劇場本公演に必要なモノは、お金だ。

 『エル・アルコン-鷹-』がとてもステキに派手で盛り上がる海洋男子ロマンだったので、同じジャンルの『TRAFALGAR』も、同じように盛り上がると思ったの。
 実際、『エル・アルコン』と『TRAFALGAR』は同じ方程式で作られていて、設定や場面や演出などなど、「使い回……ゲフンゲフン、ワンパター……ゲフンゲフン、いやその、作者のライフワーク的こだわりが全編にあふれている」状況だった。
 やっていることが同じだと、印象を大きく変えるのは、そりゃ演者の違いとか題材とかいろいろあるけどそれはともかくとして、予算の差は、如実に出る。

 『TRAFALGAR』を観ながら、「そっか……お金、ないんやねえ……。『エル・アルコン』は予算いっぱいもらってたんやねえ……」と遠い目になった。

 それと同じ。
 歴史は繰り返す。

 『桜華に舞え』を観ながら、「そっか……お金、ないんやねえ……。『JIN-仁-』は予算いっぱいもらってたんやねえ……」と遠い目になった。

 『エル・アルコン』はスポンサー付き公演、『JIN-仁-』は人気ドラマのタイアップやったもんなあ。
 特に『エル・アルコン』は豪華だったなあ。ヅカの通常公演とは、かけられる予算が大きくチガウんだろうなあ。

 えー、『桜華に舞え』は、『JIN-仁-』と同じ方程式で作られてました。
 あまりに同じで、あちこち苦笑い。
 中村Bのショー張りに、「次にナニが来る」かわかる感じなのが、もう(笑)。

 『TRAFALGAR』が2010年だから、6年経ってもサイトーくん変わってねえ。海洋モノなら海洋モノ、幕末モノなら幕末モノ、同じジャンルで焼き直し。

 いちばんツボ直撃したのが、ことちゃんの役っす。キタキタ、これがないとサイトーじゃないっ(笑)。
 あ、『JIN-仁-』では咲ちゃんがやってました。頬の傷をなぞるポーズ(サイトーくんのお約束)付きで。

 でも、『TRAFALGAR』は「『エル・アルコン』劣化版」だったのに、『桜華に舞え』は「『JIN-仁-』の上位互換作品」です。『JIN-仁-』を習作として、完成版を作った感じ。
 あー、『JIN-仁-』はひどい出来だったけど、その失敗を元に、向上した作品を作れるなら、まだいいんじゃないかと。や、そのひどい出来なモノでサヨナラ公演見せられた者としては物言いたいこと山積みだけど、同じ焼き直しでも、よくなってるならまだ救いはある。劣化されたらたまらん。

 サイトーくんはますます男子萌えに突き進み、ヅカファンのほとんどが女性だということを忘れてるなー。
 男性は、少女マンガを理解出来ないとかそもそもコマを追うことすら出来ない場合も多いが、女性の多くは少年マンガを読めるし楽しむこともできる。だから、サイトー作品が少年ジャンプでも、大半の女性はついてはいけるのだと思う。けど、あちこちの感覚の乖離っぷりが「ああ、サイトーくん男子だもんなあ」と思う。

 少年ジャンプだからこそ、ばーんどーんぶわーっと派手であるべきで、予算が足りてない感じなのが悲しい。
 サイトーくんが満足出来るくらいの予算をもらえていたら、『桜華に舞え』はもっと華やかで派手で、ドラマチックになっていただろう。
 それが残念。

 サイトーくんに予算を!


 『ロマンス!!』は、なんともなつかしい空気感。
 ああこれ知ってる、昔のタカラヅカこんなだったー、的な。
 年寄りなので、この空気は嫌いじゃない。

 なんかすごく、ワタさんサヨナラを思い出していた。あれも岡田せんせ作品だった。
 夢中で、それこそ息を詰めて、見入っていたあの感覚。
 同じ星組だから似せているのか……って、岡田せんせにソレはないか。ツギハギ基本でこだわりなんかなさそうな作風だもんな。
 サヨナラ公演だとコレしか手持ちがないのかもしれない。

 だとしても、『ネオ・ダンディズム!』に通った者としては、なつかしくて切ない。


 芝居にしろショーにしろ、みっちゃんほんと、大活躍というか、すげー仕事量だなと思う。トップスターってすごい。
 身体に気をつけて、最後まで走りきって欲しい。
 宙組『エリザベート』、千秋楽も終わって翌日欄からは次の星組公演の話になる予定だが、ここでは初日の話。
 ……ええ、初日の帰り道に書いたメモを元にした感想が、まだ終わっていないのです……(笑)。


 うらら様はマダム・ヴォルフ役。
 歌えないうらら様が歌ばかりのミュージカルでなにするんだろう、柚長が『ロミオとジュリエット』で「フラメンコの女」という役を特別に作ってもらったように、うらら様も舞踏会場面で一瞬だけライト浴びて踊る役を作るとかするのかな……と思ったくらいだったけど。
 マダム・ヴォルフかぁ。男役が演じたりもする、低音を響かせる役だから、これならうらら様でも声が存在するのか、うまい抜け道を考えたもんだなー。そう思った。
 うん、実際、「声」はあった。裏声が「ない」だけで、地声はあるんだもんね、うらら様。
 しかし、声があるからといって、歌えているかどうかは、別だった……。

 ミュージカルなのに、ひとりだけカラオケ歌唱だった。
 ただ地声で歌っているだけ。アルトの艶も深みもない。

 あー……そうか……。出せる音程の歌=誰でも即プロ歌手! ってわけ、ないよなー……。声があっても、舞台人として聴かせる歌に磨き上げるのは、きっと何年もかかるんだよね……そうでないと、すべての歌手さんたちの努力を否定することになるよね……。
 うらら様はまだ研1だから、歌がうまくなるのはこれからなんだ。いつかきっと、美しい地声の歌を聴かせてくれるんだ。
 ただ、今現在、美しい歌を聴かせてもらえないことが、一観客としてとても残念だ。
 きれいなんだけどなあ。
 はじまる前、キャトルレーヴでうらら様のスチール見て、美しさに感嘆したのになあ。友人とその美しさについて語ったくらいなのになあ。
 神様のバカ。なんで二物を与えないの。

 ちなみにうらら様、きれいなだけじゃなくて、気品もあるの。売春宿のおかみに見えないのよ……。個性的な貴婦人に見えちゃって、美女たちの衣装が娼婦に見えないことも加わり、わたしが無知な中学生だったら、宅配とかの意味がわからなくて、単純に舞踏会の催しがはじまったのかと思うわ……。『ベルばら』とかで、アントワネットがお気に入りの貴族を集めてお芝居して遊んでた、あんな感じで。
 品がある、ってのは得がたい持ち味だから、柄違いの役を無理にやらせず、素直に「フラメンコの女」にしておけばよかったのに……。


 そう、「フラメンコの女」はいいと思う。うらら様だけの話ではなく。
 作品が違っても、突然「フラメンコの女」がスポットライトを浴びて踊り出す、って「お約束」を作ってしまえばいい。『ロミジュリ』でも『スカピン』でも『1789』でも、『エリザベート』でも。
 作品関係なく、とにかく突然「フラメンコの女」。イケコの必殺技として周知させるの、「ああ、歌えないから主要役をさせることはできないけど、どうしてもピックアップしなければならない事情のある人なんだな」と、ヅカファンならみんな「あっ……(察し)」と納得する。そういう「お約束」まで突き抜けちゃえば良いんじゃ?
 一見さんは過去のその作品を知らないから、「ここで突然フラメンコ? 何故?!」にはならず、「そういうもん」と思って見るだろうし。
 イケコ大作海外ミュージカル上演が決まるたび「今度はどの場面で『フラメンコの女』来るだろー?」「いやいや、『フラメンコの男』かもよ?」とか、ヅカヲタたちが予想して盛り上がる、的な。
 歌えなくても主要役をやらなければならないのは、タカラヅカのシステム上仕方ない。それなら、こういう逃げ道を作っちゃうのもアリだと思う。歌えない人が歌重要な役をやって作品を壊すよりは、ずっといい。


 ルキーニ@愛ちゃんはめっちゃイケメン。うらら様と絡むとことか、安定の麗しさ。画面が華やぐね。


 シシィパパ@まりんさん、花組『エリザベート』の同役がわたしにとって鬼門だったんで、今回の配役もめっちゃ身がまえたんだけど、……あれ? 嫌じゃない! このパパなら大丈夫だ!
 花『エリザ』のときはなんであんなに冷血漢だったんだ……? シシィを愛してないパパがどれだけ心冷えるか、身をもって知ったわ。
 今回は、「まりんが演じるヒロインパパならこんな風」という、想像通りのパパだった。


 ゾフィー@せーこは安定のゾフィー……なんだけど、あまり響いてこない……着地点がわからない。ゾフィーとしての外殻は完璧にあるんだけど、キャラクタが見えなくて。外殻はほら、過去『エリザ』から導き出されるもので、それだけなら問題ないのだけど。
 せーこのゾフィーはなにを目指しているんだろう。リピートするうちわかるかなー。


 ツェップス@りんきらがいい。なんだろ、リアルとファンタジーの狭間? いるいる、と思う肉感と、その「いるいる」と思わせる造形こそがデフォルメされた姿というか、ファンタジーなのではないかと。


 ヴィンディッシュ嬢がモンチだと知らなかったのでびっくりした。や、事前に細かい配役までチェックしないんで。
 そうか、モンチか! んじゃうまいんだろうな! と思ったからか、なんかわりとふつうっていうか、「え? それだけ?」と違和感。リアルなのかもしれんが、今のとこわたしにはわかりにくかった。


 シュヴァルツェンベルク@美月くんの歌が残念でな……。ほんとに歌苦手なんやな。
 重臣たちはとりあえず歌えないとつらいのだということを、改めて思った。
 かっこいいのになあ。歌もうまそうな雰囲気あるのになあ。


 黒天使@かけるくんが強そうで強そうで……きっととても素晴らしいダンスを踊っているのだろうと思うけれど、実力よりナニより容姿が「黒天使じゃない」と思うわたしを許して……。
 実力ナッシングさんがビジュアルだけで重要な役をやって作品をぶち壊すのをつねづね愁うわたしですが、実力さえあればなんでもいいのかというとそうでもなく……ただの好みの問題かなあ。世の中的に翔くんは耽美キャラなんでしょうか? 黒天使は耽美な存在だと思っているので、翔くん自身が素晴らしい舞台人であることとは別に、「柄違い」だと思ってしまうのです。
 黒天使で唯一ライトが当たり顔も姿も観客に示される人が、スリムなまぁトート様とは対極にあるような、ガチムチ野郎っつーのは……わたしのイメージする黒天使とチガウ……。

 てのが、初日感想っす。その後の感想はまたいずれ。
 いつもは観ない、他組の千秋楽。それを観ていたために、遅れて雪組退団者を知った。
雪組 退団者のお知らせ
2016/08/22
下記の生徒の退団発表がありましたのでお知らせいたします。   
雪組
朝風 れい
和城 るな
水沙 瑠流
真條 まから
瀬南海 はや

2016年12月25日(雪組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団

碧月 れん

2016年8月22日付で退団

 朝風くん……!

 歌ウマで男前で、しかもエロいという、三大要素を備えた大人の男が、退団するだと……?!

 前公演で大人の美形男役タジィを失ったばかりだというのに、雪組はまたひとり宝を失うの……?
 若いかわいこちゃんは毎年どんどん入ってくるけど、大人のイケメンに熟成されるまで年月がかかるのよ、貴重なのよ。
 朝風くんだって、最初に彼を認識した『凍てついた明日』では、顔のパーツが真ん中に寄った丸顔の素朴な男の子、だったわ。
 その後もなんとなく目で追ってはいたけれど、新公でも大した役はつかないまま学年が上がり、ずっと「いい人」の役ばかりという印象(悪役などのおいしい役がつかないともいう)だったのが、『ロミオとジュリエット』のキャピュレットの男でエロ&ダーク開眼、一気にエロい男役として目立ちはじめた……というわたし認識。
 キャピュレットの朝風くんが好み過ぎると浮かれていたら、某劇場ロビーで偶然ナマ朝風くんに遭遇、美形過ぎてびびった思い出。
 中堅になってから、悪役とか濃い役をするようになって。雪組のエロ担当になって。

 誰だっていつかは卒業していく、それはわかる。わかるけど。
 待って、朝風先輩、次の公演って、正塚よ?!
 主要人物以外モブ必至よ? ライトの当たらない場所で帽子を目深にかぶってダンスする、ぐらいしか組子に見せ場を作れない人よ?
 そんな公演で卒業とかマジか!!

 や、イケコの『るろうに剣心』だってウエクミ『星逢一夜』だって、パイセンろくに台詞もなかったけどさ……。『ローマの休日』だってあんなだったけどさ……。
 モブでも「あそこに美形がいる!」と目を引くのが、朝風くんの特徴、力技。

 ああ……。
 時を戻して、もう一度『ロミオとジュリエット』が観たいよ……。「今日こそその日」の朝風くんが観たい……あの舌を突き出したR18な顔を。


 るなくんも意外だ。だってこの間、スカステの「オシエテ」に出てたよね?
 雪組95期で出演したの、れいことるなくんだけだよね? おーじくんではなく、るなくんなのが意外っていうか、他組の95期メンバーと比べてもかなり不思議だったんだが、それってつまりこれから活躍するから、ってことなのかなと思ったのに……違うの?


 美貌の瑠流ちゃんは、娘役に転向してもこれといった活躍の場もないまま卒業……? それなら男役のままでよかったんじゃあ……? 「あ、あそこに美形がいる」って眺めるの好きだったのにな。


 まからくんは早すぎるわ、あまりに早すぎるわ。何故今タカラヅカを見限るのかわかんない……学年のわりに活躍してたはずなのに。そりゃ、路線スターとしての活躍ではなかったけれど……。
 別格候補というのは、まからくんの目指すものではなかったのかな……。


 毎度のことながら、集合日はしょんぼりすることが多い。

 そして、めずらしく集合日に配役も出たみたいだけど、オリジナル作品なので名前だけだとどんな役なのかわかんないし。
 あすレオが役付き悪いことだけはわかった。
 千秋楽で、「はじめてみりおんの顔がわかった」と思った。なぜかずっとおぼえられないままだったみりおん。や、大体においてわかるけれど、気を抜くとどこにいるのか、誰なのかわからなくなる、不思議なお嬢さん。
 テレビと違って舞台は、ヒロインだけしか画面にいない、わけじゃなく、モブも脇役もヒロインも、みんな同じにそこにいる。そこで「ヒロイン」だとわからなくなる……みりおんは、そんな危険性を秘めていたんだ。や、私にとって。

 それがはじめて、「顔がわかった」と思った……立ち位置とか衣装とかの問題ではなくて。
 そう思った矢先だ。
宙組トップ娘役・実咲 凜音 退団会見のお知らせ
2016/08/23
宙組トップ娘役・実咲 凜音が、2017年4月30日の東京宝塚劇場公演『王妃の館』『VIVA! FESTA!』の千秋楽をもって退団することとなり、2016年8月24日(水)に記者会見を行います。

なお、会見の模様は当ホームページでもお知らせ致します。

 いやむしろ、「顔がわかるようになった」からこそ、退団なのかもしれないなあ。わたしのような人間に伝わるくらい、みりおんの中で、区切りがついていた、ということなのかも。
 前日欄で宙組『エリザベート』初日の話を書いてますが、今日は千秋楽です。
 初日・新公・千秋楽は該当の日にち欄に書くMyルールゆえ、千秋楽日には千秋楽の話。

 いやあ、雪組以外の楽日観るのひさしぶり。や、雪組はチケットなくてもなんとか入手に努めるけど、全組にそんなお金はかけられない。友会で当たったんです、超絶ひさしぶり、いつぶりだよ千秋楽当たるの。一次抽選なんか何か月に一度?(ステータスはダイヤモンドですがナニか?)
 それでも、仕事立て込んでるし、行くかどうか迷ってたんだけど、Aバージョン初日を観て決めた、絶対行く(笑)。千秋楽だからというより、Aバージョンをもう一度観たかった。そして、Aバージョンのチケットを持っているのが千秋楽だけだった。や、完売公演ですから、前もってチケットある日しか選択肢ない。

 2度目のAバージョン。決めていました、りくエルマーだけを観る!


 真ん中は東宝楽のライブ中継を見るからいいや。
 それより、中継では見られないものを見るっ。

 りくくんの美貌と、エルマーのアツさを海馬に刻み付けました。
 あああ、かっこいい。バカで救いがなくてたまらん。
 エルマーはきっと目に映っているものがすべてで、それ以上ではないんだろう。だから見ているわたしは勝手に切なくなったりもどかしくなったりするんだ。
 複雑なものを読み解くのも楽しいけれど、シンプルなものに自由に想像の翼を広げるのも楽しい。


 ところでこのエリザベート、トートとはすぐに別れそうじゃないですか?
 長い旅路の果てに結ばれたふたり、トート@まぁくんとエリザベート@みりおんですが、最後の昇天場面を眺めながらそう思うのです。
 みりおんシシィはたぶん、この直後に正気に返るんだわ、はっ、私が欲しかったものはコレじゃない、って。
 そんな風に思うエリザベートははじめてで、なんというか、はじめて、みりおんの顔を見た気がした。

 研1でまぁくんの相手役に抜擢されて以来、みりおんはずーっとスター街道歩いてきたし、ヒロインやってる姿もたくさん見てきたけど。わたしは不思議と、みりおんを舞台で見失った。顔がわからなくなるんだ。
 あの子、誰だっけ。登場の仕方や台詞から、重要なキャラクタだとわかるけど、誰だっけ、前にどの場面で出てたっけ。
 しばらくしてから台詞の内容からそれが誰なのか消去法で判別する。えっ、この物語のヒロインか! すでに主人公と出会って恋に落ちてるのに、別の場面で大勢と一緒に出てきたらわかんなかった。
 ヒロインやってなお、顔がわからないとか。なんだそりゃ。わたしの頭の方がやばい。加齢こわい。が、みりおんに関しては、それが結構ある。
 さすがに、トップ娘役に就任してからはマシになったけど……衣装その他でわかるし……。
 美人で歌ウマでなんでもできて、なんの問題もないスターさんなのにな。
 なんでこう、顔がわからないんだろう。
 そう思っていた。それが疑問だった。
 疑問の答えは得られないままだが。とりあえず今、ああ、みりおんってこんな顔してるんだ、と思った。
 もうわかった、はじめて見た、知った、もう見失うことはないだろう。

 朝4時に起きてゾフィーを待ち構えるエリザベート。トートの手を取って昇天したあと、「やっぱり違うわ」と振り払うエリザベート。
 はじめて、みりおんを見た。顔が、わかった。

 ……まぁ様トートにはぜひ、振り払われて「がーーん!」ってやってほしいですな。んで、すぐさま文句垂れて責めてほしい。エリザベート、聞く耳持たないけど。ソコで文句垂れるのがまぁ様トート。
 マカゼフランツはその横で「やれやれ」ってお茶飲んでる。シシィに勝てるとはまったく思ってない皇帝様は、最初から不戦敗。苛烈に玉砕するトートに「わかってねーな」と上から目線で薄笑いしてる。……や、君も振られたわけだからね。同じ穴の狢だからね。

 そんな3人模様を想像して胸を熱くする『エリザベート』ファンです、はい(笑)。


 それとは別に、雪組退団者を知って悲鳴をあげた。
 宙組『エリザベート』の感想を書けていない。
 や、感想をUPする欄がない。
 役替わりが3パターンもあるもんだから、役替わり感想優先で、それ以外は初日感想すら書けていないという。

 てことで、今ごろ初日感想(笑)。


 まぁくんに感じている、この安心感はなんだろう。
 今の宙組で『エリザベート』が観たいわけではなかったんだが(組子が活躍する芝居とショーの2本立てが観たい)、まぁくんはトートよりフランツの方が合うと思うんだが、それでも、トートをやるとなっても、不安はない。
 まぁくんはさわやか好青年だけど、毒のある役はハマると思っている。てゆーか、ことさらさわやかな役をやるとき以外、油断すると毒とか影が出ちゃう人だと思う。人間臭い人だと思う。良くも悪くも。青い血も浮き世離れ感もないが、そこが彼の魅力。
 トートが似合わないと思う最大理由はただひたすら顔だけで、ほんとにもう特徴あり過ぎる丸顔でさえなければ、耽美も死も任せろなスタイル美形さんなのに。

 初日、芸風は問題ないし、歌だってたぶん大丈夫、ビジュアルは初の黒髪トートで丸顔隠ししてるんだろうからきっとOKなはず……と思って見たら、その黒髪がアダになって丸顔強調、白い風船が暗い舞台に浮いてる、みたいなものすごいことになっててびびった。
 ……けど、目が慣れれば平気。あとは、思った通りの安心感。


 慣れないのはエリザベート@みりおんかなあ。
 これは先入観なのかな。幕間に友人とも話していたんだが、みりおんシシィって「朝5時きっかりにはじめる」と言われたら、毎朝4時には起きて、ゾフィが起きて来たときには務めをすべて終わらせてそうだ。
 口うるさい姑の小言以前になにもかも完璧にやっちゃって、かといってえらそーにするわけでもなく、賢い犬のように正座して「お義母様、次はなにをいたしましょう?」って微笑んでそうで、それで姑余計にカチンとくる……的な「嫁姑の確執」パターンに思える……。
 本質的に「エリザベート」とは違って見える。
 きれいだし、歌うまいし、文句ないのになあ。

 これはアイーダ@『王家に捧ぐ歌』のときも思ったけれど、みりおんってある種の役をやると、「賢しさ」が出るのな。それがかわいげではなく、苛立ちにつながる感じ。
 わたし自身はあまりそれを感じない……というか、みりおん自体わたしの視界にあまり入らないタイプなんで、わたしは彼女の芸風には鈍感なんだけど、友人の話を聞いて、「ああ、なるほど」と思った。
 同性に嫌われる学級委員かあ……。


 フランツ@マカゼ、歌がマシになってる! これがいちばんびっくり。
 マカゼ氏というと、「美形には音痴しかいない」「音痴でないと劇団推しスターになれない」時代の代表的スターだったのに。や、今は若手抜擢に歌唱力重視が加わっているけど、ちょっと前までは音痴OKだった。
 宙組に来てから音痴というほど破壊力はなくなっていたけれど……。それにしても、さらに歌えるようになってる。
 歌ヘタでもOKなのがタカラヅカの『エリザベート』だけど、唯一フランツ役だけは歌ウマさんが務めてきた。「歌が命の海外ミュージカル」の体裁を保つための最後の牙城がフランツだったのに、今回の宙組再演で、それすら手放すのか、と愕然としていたんだけど、……びっくりだ。
 ビジュアルは申し分ない。ってゆーか、美形過ぎる。こんな美形と恋愛結婚しておいて、ナニが不満なんだエリザベート(笑)。


 でもってわたしは、黒天使のそらくんを探すのに手こずっていた。
 『エリザベート』の舞台は基本暗いし、黒天使は暗いところで踊る。
 ……ということを抜きにしても、探しにくかった。
 だって、「思ったところにいない」んだもん。

 全組眺めていれば、贔屓組でなくてもある程度のスターさんたちの「立ち位置」はわかる。全員登場のショーのオープニング群舞だろうと、数人口のダンスであろうと、あの人ならこのあたりにいる、つーのがあるじゃないですか。具体的にどうこうじゃなく、感覚的な刷り込み方。
 タカラヅカって基本学年順だし。番手と学年を考えれば、誰がどのへんにいるかイメージ出来る。

 それで、「そらくんはこのへん」と思って見ると、探せない。
 ? 黒天使全員の顔ぶれを確認したら、「和希そら」の立ち位置は予想出来る、この面子ならここよね、と。学年と過去の役付きからして。
 ふつー、新公主演済みスターは、10人グループのひとりだとしても、真ん中に配置される。ライトの当たらないダンサーチームの、唯一ライトが届く位置に来る。
 それが。
 いないのよ。真ん中にも、ライトの届くところにも。

 ……見事に、隅へ追いやられてる。
 マデレーネ@かなりちゃんと長のかけるくんがライトのあたる位置定番なのはわかるとして、その周囲にもいないとか……思わないよ!

 身長順だったり、するのかなあ。
 なまじわたし、「かずきそらのいそうな場所」を観る癖がついてるもんで、そこにゆいちぃやすばるくんがいると、びびる。

 初日はかずきそら探しに手間取ったわ……。くそー、なんでもっとわかりやすいところにいてくれないんだ。黒天使10人の中で、唯一の新公主演済みスターなのに。

 『Bow Singing Workshop~雪~』のMCは、レオ様、翼くん、たっちー、ゆきのちゃんの4人だった。

 ひとこは入らない。

 そのことに、びっくりしたなー。

 や、MCが学年順なのは、先の宙組、星組を観ていてもわかる。
 でも、宙組も星組も、「スター枠」の人が、上から4人目に入っていた。
 MCというのは、喋りがうまい人か、人気のある人、あるいは主催者側が推したいと思う人を入れるのが通常だろう。
 喋りがうまい人、人気のある人は観客のために必要。でないと素人が日替わりでなにか喋っても盛り下がる。へたすりゃ事故る。人気があれば、喋りはおろかまともに受け答えすらできなくても、観客は納得する。その人を観られればそれで満足するわけだから。

 しっかし、「スター枠」皆無でMCやっちゃうって、雪組すごいなー。身内しか観に来ない前提のワークショップすごい。一般興行なら、スター枠を入れるはずだから。

 や、わたしは組担なので上から4人で文句ないっす。もしも他組のように「スター必須」だと判断されてたら、ハズされてたのは翼くんだった気がするし。や、本公演・新公での役付きから見て、いちばん扱い低いの翼くんだもん。

 ただ、ひとこ抜きでOKと判断するプロデューサーすごいなと。や、誰が決めたのか知らないけど。
 劇団全体を考える立場の人が決めたなら、1幕トリを学年関係なくスターが務める、という構成と同じように、MCには1幕トリのスターを入れる。1幕トリは「劇団が、将来トップスターにと考えているスター」が務めるわけだから、そりゃMCにも入れるわ。(星組は候補未定)
 劇団全体ではなく、雪組単体で考えたら、学年順になったんだろうな。組と組ファン以外は念頭にないから、一般客に「誰?」と思われるようなメンバーでも気にならない。

 ひとこは雪組の超御曹司。抜擢されてから、丸4年? 4年間ずーっと「スター」であり、彼の下にはまだ明確な路線スターが置かれていない。
 それくらい特別扱いなのに、たとえば月組の暁くんみたいな「超劇団推し」のイメージが、わたしにはない。
 ……というのが何故か、この歌バウで思い至ったな、というメモ書きっす。

 歌バウラストの月組の出演者が出たときに感じた違和感、それが雪組MCメンバーを見てわかった。

 月組だけ、95~97期の出演者が少ないの。少なくともあと3人は、「歌バウ出てもおかしくないよね? 遊ばせとくのもったいないよね?」な人がいると思うんだが……彼らは、出ない。
 そっか……そのあたりの人を出しちゃうと、暁くんが「上から4人のMCメンバー」に入らないんだ……。
 1幕トリを98期の下級生暁くんに歌わせ、なおかつ上級生4人しか出られないMCに入れるためには、暁くんの上の学年を間引くしかないんだ。
 98期の子って、宙組は8番目、星組は9番目、雪組は7番目、花組は9番目っすよ。なのに月組だけ、4番目。間の3~5人、あえて出演させてないの。
 「MCは学年順ですよ、依怙贔屓してませんよ」という建前のまま、暁くんを推すために、そもそも間の生徒を出演させない……徹底してるわ……震撼。

 「超劇団推し」ってのは、これくらいやるもんだ。いや、その前に、「マギー名目主演、真の主演は暁くん」と銘打ったバウ公演をやっちゃうんだから、歌バウでの特別扱いごとき、大したことないのか。

 や、ひとこにも暁くんにも含みはなく、組の育成方法の違いに震えたの。
 これぐらいあからさまで容赦ないのが月組、そして、揺るぐことないひとりっ子政策を何年も続けるくせに、はっきりした態度は取らず日和っているのが雪組。

 ……ただの一般ヲタの目から見ると、どっちも効果的な方法じゃないと思うんだけどなあ。
 もっと臨機応変に、いろんなスターを競わせれば良いのに。
 や、ひとこも暁くんも、タカラヅカ100年の歴史に燦然と輝くビッグスターになってくれることを祈っているが。
 『Bow Singing Workshop~雪~』初日の感想だらだら語り、その3。これで最後。


 2幕の「恋の笹舟」デュエットのあがたくんとせりなちゃんに、ほっと胸をなで下ろす。
 よかった、あがたくん大丈夫だ。……と思うくらい、1幕の自爆っぷりが印象きつすぎて(笑)。
 てゆーかあがたくん、若いのにやっぱ持ち味昭和だよね。海外ミュージカルより、ド昭和なヅカソングの方がハマると思う。
 しかも植爺曲とかイケるクチではなかろうか。コブシ回しながらフェルゼンの曲とか歌って欲しいかも。


 「聞かせてよ愛の言葉を」、ひまりちゃんは印象が1幕と変わらず。歌苦手なのかな。今この場で表現出来ることが少なすぎる。


 すわっちはいいなあ。「Blues Requiem」ですよ……。
 わたし、歌バウでこの曲を選ぶ人は好き。「花吹雪 恋吹雪」と「Blues Requiem」は、歌バウで勝ちに行くための曲だと思ってる(笑)。
 「タカラヅカ」としての求心力の高い曲で、テクニック的にはそれほど難しい曲じゃない、という点でコスパ良好。歌唱力に自信ナイ場合は勢いで持って行く「花恋吹雪」、自信あるならしっとり歌い上げる「Blues Requiem」で。
 派手な芸風のイメージがあるすわっちが、しっとり「Blues Requiem」を歌い上げるのは意外だった。明るい持ち味の奥に、陰影深い物を秘めていそうだ。


 くらっちの「Amazing Grace」が美しくてな……!
 染み入るわー。


 じーんとしたあとで、りあん、まのみやの美形コンビが元気いっぱい「JUMP!」を歌ってくれて、なんかすげーほっこりした。
 いいなあ、このふたり!


 『レミゼ』から「オン・マイ・オウン」、みちるちゃん。
 ……ほんとに歌苦手なんやな……。
 歌バウの定番曲で、過去に何人もの別格歌ウマさんたちが歌ってきた、その記憶もあるもんだから、なんというか、うーむ。
 みちるちゃんはいわゆる「往年の路線娘役ポジ」で、「音痴ではない」「かわいいからOK」という位置づけでいくのかなと。
 ただ、近年はタカラヅカ自体が歌唱力重視になっているので、「かわいいからOK」がどこまで通用するのかはわからない。もっとうまくなってくれたらいいのになあ……。


 ひとこの2曲目は、「青い星の上で」。
 のびのびした、さわやかな歌声。
 すごく、ひとこっぽい。
 彼の笑顔のような歌声だ。
 わたし、ひとこっていつも笑っているような印象がある。目が線になっていて、ハンサムなんだかファニーなんだか、判断に困るようなくしゃっとした笑い顔。オサ様を思い出すような。や、わたし重度のオサファンです、今もオサ様の笑顔は鮮明に思い出せる。
 そのさわやかペパーミント、輝度と風通しの良さそうな笑顔まんまの、歌声だと思った。
 声に深みがあればいいのになあ、と思うくらいにすーっと空気に溶けていく。
 このすがすがしさはひとこの魅力だろう。雪組っぽくはないけれど、彼に濁や深という要素が加われば、さらに化けるんだろうなと思う。


 ゆきのちゃんの2曲目「あなたを見つめると」の違和感のなさ。「きれいなお姉さん」であるゆきのちゃんは、マルグリットが似合うんだな。
 そして、ヅカソングの方がハマるあたり、タカラジェンヌだー!と思う。


 たっちーの声が好きなので、彼が歌う「ひとかけらの勇気」はうれしい。
 でも歌ウマたっちーをもってしても、「ひとかけらの勇気」に物足りなさを感じるのは、この曲にはスター性も必要ってことなのかなあ。


 つばさくんの2曲目は、ほんとこの子雪組っこなんやなと。
 「足跡のない道」……ゆみこの声を思い出す。


 重ねてきた男役人生をのせて歌う、レオ様の「This is The Moment」が重く響く。はなたれ小僧には歌えない、10年近い道程あってこその歌声だ。

 初日だからだろうか、レオ様の緊張が半端なくて。
 なんかすげーキリキリと絞りきった弦のようだ。
 ガチガチではなくて、キリキリ。
 締めた弦はよく響いている。だけどその緩みのなさ、遊びのなさに、こちらも自然と息を詰めてしまう。
 なまじ、レオ様は歌ヘタ、ていう刷り込みがあるし、なのに十分歌えている現状に「最後までもってくれ……!」というアスリートを見守る祈りのようなものがあるし。

 破綻なく歌い切った瞬間の、レオ様の笑顔。

 どんだけ緊張してたんだこの人!
 はじけるような笑顔に、こっちの胸が熱くなる。ああもう、好きだーー!
 長として、見事に役目を果たしたね、面目躍如だね。


 ラストの「スイート・タイフーン」、なつかしの雪組曲。この曲聴くと思い出すよ、カリさんたち男役も全員かわいい小鳥さんになって踊りまくってた姿。
 風を起こせ、スイート・タイフーン。


 えーと、ぶっちゃけ歌唱力的にけっこうヤバめな人が多かった印象の歌バウでした。
 や、「歌唱力向上」がテーマなので、うまい人だけ出演するわけじゃないのは知ってる。他組だって微妙な人も出ている。
 でも他組では微妙さんは路線スターで、それ以外の人はみんな歌ウマを揃えてきたような。
 雪組は、路線でなくても微妙な人たちがいる……てゆーか明かな路線スターひとこしか出てないじゃん、っていうね……。

 わたしは組ファンだからなんでも楽しかったけど、純粋にコンサートとした場合、どうだったんだろ、コレ……。
 ちょっと不安(笑)。
 『Bow Singing Workshop~雪~』初日観劇、曲順に感想だらだら、その2。
 まだ1幕の話っす。

 りあんくん、あがたくんと同じ『ロミジュリ』から……曲は「いつか」。この曲はこの曲だけ独立させて歌っても問題ない。過剰な演技力は求められない、ふつーに歌手としてうまければいい。
 なんつーか、自分の売りをよくわかってるな! と感心。
 甘い美形が歌う、甘い曲……! うんうん、とってもタカラヅカだわ。
 とくに破綻もなく、かわいい歌をうたいきった。

 叶くんはこれまた難易度高い曲を……。
 歌ウマさんだし、男役度高いし、そりゃあチャレンジしてみたくもなるんだろう。しかし、それにしたって『レ・ミゼラブル』の「独白」は大変だわー。
 よく歌っていたけど、男役と女声の限界を思ったわ……女性の声では、曲が必要とする深みや重みに到達しない。や、女性として歌うならともかく、「男」としてこの声だと、やっぱ物足りない。女性である限り、無理ないことだ。
 でも、ここを狙うのはすごい。叶くんの目の表情好きだな。

 ゆきのちゃんの美女力がすごい。
 登場した途端、きれいなお姉さんキターー! と気分が上がる。
 曲は「Saving All My Love For You」、歌はそれほどうまくないんだけど、雰囲気で「うまそう」に見せる(笑)。美人は正義。
 でもほんと、美貌から期待する美声を磨いてほしいと思う。新公でせしこの役をやり続けたせいか、「美貌の音痴」ポジまで踏襲しないでと、切に願う!

 たっちーの曲は「マック・ザ・ナイフ」。わーい、たっちーの声好き、たっちーが歌う「マック・ザ・ナイフ」ってだけで「よっしゃああっ!!」(拳突き上げ)という気持ち。
 彼も路線扱いされてないのに、こういう場できちっとショーを盛り上げることが出来る。それがうれしく、誇らしい。や、誇らしいって、わたしの立ち位置どこよ。だって『インフィニティ』から見守ってたからその。もごもご。

 レオ様の選曲「黒い鷲」に、勝手にまっつを思い出す。なんでもかんでもご贔屓に結びつける痛いファンの典型思考で嫌だけど、まっつ好きを押し出してくれていたレオ様が、まっつヲタが「まっつの代表曲のひとつ」と勝手に思い入れている曲を歌ってくれるのは、感慨深いというかソレだけで感涙モノっていうかね……!
 レオ様が愛し過ぎる。ほんとにこの人好きだー。

 くらっちはいつも良い仕事するよな。「シェルブールの雨傘」が、安定してステキな歌声。
 『ドン・ジュアン』でまたくらっち熱が上がっているので、点数甘いかも。や、でもほんとうまいよね?

 1幕ラストはもちろん、ひとこ。
 ただ、選曲が残念過ぎる。「Til Hear You Sing」……ぜんぜん知らない曲っす。
 うまいのかな? わたしのような門外漢にはさっぱりわかりません。うまいのだとしても、タカラヅカでは直接関係ないしなー。タカラヅカに必要なのは、歌を日本語で表現するスキルだからなー。主役の後ろでBGMとして歌うクラブの歌手役なら、英語曲を完璧に歌うスキルも必要だろうけど。
 ひとこは将来タカラヅカの主役になるんじゃないのか……? せっかくの「ソロ曲熱唱して緞帳を降ろす」経験が出来る場で、「タカラヅカ!」としてのスキルアップを目指さないのが残念っす。


 2幕の幕開き第一声、翼くんだった? わーい。

 大勢でのオープニングが終わって、ソロ歌手が登場する、そのシルエットだけで、あ、タソに似た子だ、とわかった。シルエットで個別認識できるって、舞台人としては大きな武器だよな、ゆめくん。
 曲は『JIN-仁-』の「My Life Your Life」……あああ、いい曲だー、いい声だー。ゆめくんうまいねー。
 ほんと、これできれいだったらなあ……。まだ下級生だからな、痩せれば変わるのかな? せめてアゴが出来るといいなあ……。別格歌ウマさんならビジュアル不問でいいのかな。

 『ファントム』は娘役さんのあこがれが詰まってる気がするな……ヅカソングは娘役に名曲がないからなー。
 にしても、難しいチョイスだ、「My Ture Love」。桜庭さんすげえ。

 叶くんの「散らば花のごとく」にテンション上がりまくる。
 あたしこの曲鬼門なのよ、泣くのよ。
 ヒーローソング、立役タイプが映える曲。この曲をかっこよく歌うスキルを持つ叶くんに、新公主演してほしい、と思う。劇団は彼を脇としか考えてないのだろうけれど、美形だし歌えるしイロモノばっかやらされてるけど芝居も出来るんだし、一度真ん中に立たせてやってくれよと思う。
 将来トップスターになるかどうかではなく、がおりやハマコを育てるのだとしても、新公主演は有効だと思うのに。
 ベニーみたく、劇団の思惑とは別のはじけ方をする場合だってあるだろうに……。雪組は最初に路線外に振り分けた子には、ちょっとやそっとじゃ機会を与えないからな……。


 続く。

 さっきから猫にキーボード押されまくって、余計な文字やらスペースやらが入る、それを消して正しく入力し直して……って、地味な戦いが続いているんですが。
 え? 猫を膝から降ろせ? ゴロゴロ喉鳴らしてご機嫌なイキモノを無碍には出来ないのです……(笑)。

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