実は『タカラヅカスペシャル』ってなんなんだろう、って、しみじみ考えちゃいましたよ今回。

 年に1回のお祭りだから、過去にあった『TMP音楽祭』だとか『TCAスペシャル』と同じモノだと思っていたの。各組選抜スターが集まって行われる、豪華なイベント。
 梅田でチケット発売していた頃はすごかった、早朝から人人人、何千人もの人が抽選に参加するため並んでいた。
 あーゆービッグなイメージ。

 しかし……。

 今のタカラヅカに昔日の勢いはなく、今同じように梅田でチケット発売しても過去の何分の一しか人は並ばないんだろうなとか。
 5組のうち3組しかまともに出演していないんだから、全組かあるいは4組出演していた頃とはスターの数がチガウとか。
 梅芸開催だから劇場の設備悪いし本拠地じゃないから盛り上がらないとか。
 時代は変わるものだから、過去の『TMP』や『TCA』と同じである必要はない、『ヅカスペ』は『ヅカスペ』だ、とか。

 いろいろ思うところはあるが、そーゆーこととは別に。

 『タカラヅカスペシャル』って、なんなんだろう?? と、思った。

 とゆーのもだ。

 あまりにも、つまらなかったからだ。

 このブログにも何度となく書いているが、本来『TCAスペシャル』っつーのは「参加することに意義がある」わけで、面白いモノではないんだ。
 複数の組のスターが出演するからお稽古時間は取れず、凝っていない簡素なダンスと練習不足の歌は当たり前、群舞がバラバラ、誰それが振り間違えたはお約束、ショボイその場限りの張りぼてセット、使い古したお衣装。
 チケット代だけ高くて、「ショー」としてのクオリティは通常公演のはるか下。

 そーゆーもんだと、わかっている。

 だけど何年かに1回は、とても面白い回もある。
 アタリハズレが大きいが、当たるとお得感が大きい。なにしろ全組単位のイベントだから。

 ハズレで当然、当たったらラッキー。
 チケ取りは大変だけど、実際観れば「ショー」としてのつまらなさに「1回で十分」と思い、それゆえに「参加することに意義がある」と割り切る。
 そーゆーモノだと、今までだって書いてきた。

 だから今年のショーが取り立てて、史上まれに見るハズレっぷりだったのかどうかはわからない。よくあるハズレっぷりだったのかもしれない。
 でもなんかすごく、いつもにもましてひどかった気がする。

 1部の公演パロディは面白かったよ? 笑ったよ? ……1回は。
 2回目はわかって観てしまうので、初見ほど笑えなかった。でもま、4回しかないイベントだ、1回しか観ないことを想定しているのだから、そこはつっこんじゃダメだなと。

 でも2部のショーはほんっとすごかった。ナニあの構成。
 トップ3人+トドがなんの演出的工夫もないまま順番に客席降りして空っぽの舞台を十何分客に見せ続けるとか、ありえない。

 んでパロディは面白かったけど……って、そもそも『TCAスペシャル』って公演パロディをする催しだったか?
 いや、してくれていいし、むしろ「やってくれ!」派なんだけど、それとは別に、「パロディをしなかった場合の『ヅカスペ』」を考えちゃったんだ。

 パロディをやってお茶を濁さず、正攻法の「ショー」を創る能力が、今の「タカラヅカ」にあるのか?と。

 各組のスターを集めた、豪華な特別のショーを。

 そこで、アタマを抱えた。
 うわ、無理っぽい、と(笑)。

 だってさあ。

 ピラミッドが美しく構成されていない、んだもの。

 『TCAスペシャル』とかってさ、パロディをやるやらないはその年によってまちまちだったけれど、いつだって決まっていることはあった。

 『TCAスペシャル』のお約束というより、「タカラヅカ」のお約束。

 トップスターがいて、娘役トップがいる。男役2番手、3番手がいて、2番手格の娘役がいる。そして、若手のスターたちがいる。

 だから『TCA』等のお祭りでは、トップ5人が並んで歌う場面があり、娘役トップが5人で歌う場面がある。
 娘トップを各組の2番手たちが顔ぶれを替えてエスコートしたり、トップスターの周囲で組を超えた若手スターたちが歌い踊った。
 ただ出てきて歌って引っ込む、の繰り返しではなく、過去の名作名場面の再現を、組の枠を超えた夢の配役でやって見せた。

 そーゆーことが、今はもうできないのか。

 今回の『タカラヅカスペシャル2010』では、おおまかにグループ分けすると、男役は、

トド、ゆーひ、まとぶ、キム
らんとむ、壮
みわっち、みちこ、ちぎ、まさお
ともち、まっつ、そのか、まさこ
まぁくんとその他

 で、娘役は「すみ花、蘭はな」しか個別化されていない。かろうじて「れーれ、みみ」かな。

 ピラミッドぢゃ、ない……。

 タカラヅカのタカラヅカたる、トップと娘トップ、2番手3番手という、美しい三角形が作られていない。

 このグループ分け自体は、わかりやすいと思う。
 組2番手は壮くん、まさお、ちぎ、らんとむの4人だけど、単独2番手としてすでにキャリアのある壮くんとらんとむを、W2番手だったりまだ2番手として一度も大劇場に立っていないまさおとちぎを同列にはできない。だからまさおとちぎは3番手のみわっちとみちこと一緒にする。
 「スター」という観点でいえば、3番手グループの次に置かれているのはまぁくん。でもその間に、別格グループのまっつたちが入る、と。

 すごくわかりやすいし納得だけど、でもソレ、ピラミッドになってない……。

 なんといっても、娘役トップがいないのは、構成の幅を狭め、またいびつにしている。

 組ごとのポジション構成がチガウもんだから、スターを均等にバラして再構成できない。
 たとえばよくあるパターンの「トップコンビのシャッフルダンス」とか「トップスターに、各組3番手男が女装してデュエダン」とかできないですよ、組によってそのポジがいたりいなかったりするから。

 だから今回は組のポジション構成に合わせ、「花組はトップコンビ」「雪組はトップひとりとその他大勢」「宙組は男1・2・3」という分け方。
 特に雪組は、キムひとりしか見せ場もソロもない構成だから、いびつさが強いなあ。娘トップいないし、2番手は新米ってことで他組3番手と並列、組単位の場面では全員横並びだし。

 タカラヅカとしての正しいピラミッドがない、組ごと生徒ごとに立ち位置がチガウ、そんな人たちを使って、時間不足経費不足でショーを作れっつっても、難しいのかなああ。

 組内構成のいびつさは、大きな目で見れば「タカラヅカ」の崩壊に近づくのだと、ショーをまともに作れない現実を目の当たりにして思いました。

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