個性がぶつかり合う!@ファントム
2011年6月25日 タカラヅカ 初日の素直な感想は、
「『ファントム』ってほんとーに、変な話だ」
でした。
『ファントム』再々演観劇にて。
初演もそれなりの回数観てるし、再演なんかアホみたいな回数観てました。
正直なとこ、わたしの人生でもう二度と観なくていいや、なくらいは、すでに観た。
見飽きた物語を再度同じ花組で観て……しみじみ思った。やっぱ変な話、と。
「そのとき私はすでに結婚していたのだー!!」(がーーん)とか、客席から総ツッコミだよなあ。
まあソレはさておき。
なまじよく知る作品だからこそのツボもツッコミどころも満載。
なにしろ幕間でワクテカ話題にしていたのが「母子像の絵はあるのか?」だったりするしなっ。
初演であまりのひどさに伝説と化す勢いだった母子像イラスト。赤ん坊の手が母の髪の毛から生えているホラー絵。素人が描いたとしか思えないヘタを通り越したよーな絵を商業演劇で使う不思議さが、観客の話題のひとつだった。
そこまで不評だったのに、再演でも母子像イラスト健在。あれはVISA社長直筆絵を元にしたとかで、援助の見返りとして使わざるを得ないのでは? とまで客席でささやかれた、ひっでー絵。
再々演でも使うのかしら、どんな大人の事情があって使わなければならないのかしら……? と、ワクテカしていたんですが、なかった。
使わなくてはならない事情があるわけじゃないなら、何故初演と再演で使ったんだ??
あってもなくても、謎は深まる……(笑)。
それはともかく、キャストの話。
フィリップ@みわっちが、大変イイみわっちでした。
みわさん……(笑)。
今回の『ファントム』、初日限定ですが、キャストの持ち味がそれぞれバラバラで、大変愉快でした。
芝居が合ってないというか、みんな好き勝手演じていてすごく面白い。
ファントム@らんとむは、子ども芝居と自分の持ち味とで模索している印象。母性本能くすぐり系耽美青年だったたかこエリック、無垢な少年で設定年齢低すぎのオサエリックともチガウ、どっちつかずさ。
彼はまともな人で知性も分別もふつーにありそうなので、子ども喋りが落ち着かない。
恋に暴走するようになると、ハートフルな持ち味で馴染んでくるんだけど、最初の駄々っ子あたりは……違和感。
対するキャリエール@えりたんは、彼の得意技の駄々っ子さややんちゃさを封じられ、固く地味な印象。こんなにモブに埋没しているえりたんも、キャリエールという役も、はじめて見た。
ヒロインのクリスティーヌ@蘭ちゃんは、歌を一生懸命歌っていることが伝わるのみで、クリスティーヌとしての人間性が見えない。
リアルで等身大の女の子に見えるため、仮面の先生を素直に受け入れたり、他人の言いなりになったりするように見えない。もっと自我と知性で、自分で行動しそうな女の子だ。母性や包容力は感じられない。
そして、シャンパンの王様、フィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵@みわっち。
さすがタカラヅカの申し子、代表的花男。
大芝居ぶっちぎり。
植爺芝居がハマるだけのことはある、すごい型芝居っぷり。
ひとりだけ時代劇なたたずまいと喋り方。
伯爵様なの、パトロン様なの。
他の人たちとは格がちがうの。
まとぶんがおぼっちゃまだったあのフィリップ役が、けっこうな大人の男なの。
キャリエールと友人だというのがよくわかる、同世代だよね? キャリよりちょい若いかもしんないけど、あの貫禄と浮世離れさは絶対若造ではないよね?
だからそんな伯爵様がクリスティーヌに夢中になるのが、なかなか香ばしい(笑)。
30代男が女子高生を口説いてる感じ。
そりゃクリスティーヌも相手にしないわ……「おとうさんと同じくらいの年齢の、寛大なパトロンさん」と思ってスルーしてたんぢゃ?
蘭ちゃんの演技が現代っ子風なので余計に、大芝居のシャンドン伯爵と不協和音。
キャシー@『サンタモニカの風』(ん?)と、ジェローデル@『ベルばら』がデートしてるみたい……。みわっちがジェローデルを演じたらこんな感じかなと思った、シャンドン伯爵。
そして、1幕の終わり、怪人に連れさらわれるクリスを思って、「クリスティーヌ~~っ!!」と絶叫するとこなんか、ものすげーイイみわっちぶりですよ。あの大芝居!! くどいわ濃いわ、たまりません。
銀橋のとーとつなソロも、『ベルばら』系大芝居ソングで、みわっちアテ書き?! 外国の作曲家さんなのに、『ベルばら』の映像見て勉強してくれたのかしら?! と、白目を剥きたくなるクオリティだし。
面白いです。
4人とも芝居も持ち味もバラバラ。すげー面白い。
特にみわっちのトバし方が半端ナイ。
ここにディズニーの悪役のようなカルロッタ@いちかが加わる。
いちかが、すげーうまいの。
この人ほんとに芝居がうまいんだ、って感心した。
ショレ@みつるはヒゲの色男。でもいちかに負けてる……届いてない感じ。役の大きさ的にそれは仕方ないかもしれないが、これからに期待。
文化大臣@ふみかが、色男。
えええ、色男でイイの? だってこの間はまりんで、三枚目だったじゃん……。
胡散臭い二枚目ぶりが余裕。ふみか得意だよね、こーゆーの。
どさくさまぎれにヴァレリウス@さあやとイイ感じになってる? 組んで踊ったりスキンシップしてるよねえ?
まさか文化大臣にそんなドラマが……(笑)。
ルドゥ警部@まりんが、優秀そうに見える! 空気を壊してない!
……すみません、みおさんのイメージが強すぎて、花組が誇る芝居クラッシャーのみおさん演じる警部が、どんだけ空気を壊して乱入突入ドタバタしていたかを改めて思い知らせてくれました。
ふつーに演じることができる役だったんだ、警部。
そして警部がまともに見えるだけに、キャリエールの三文芝居を信じるのが違和感。
エリックをかくまったキャリエールが「ここは私が」と警官たちを遠ざける場面、キャリがすごくわざとらしく「ここに怪人がいますよ」と言わんぱかりに両手を広げて後ろを隠す演出に変わっていた。キャリを共犯者だとわかっていて、泳がせて急襲する作戦だと思ったよ……警部絶対気付いてると思った……。
警部がふつうに優秀だと、演出的に変なんだということも、よーっくわかった(笑)。
そーいやキャリがエリックの肩を抱いて隠れる場面もなくなってたなー。アレってファンサービスだったはずなのになー。オサゆみのときなんて、確実にオペラがざっと上がっていたのに。
みんなの芝居がかみ合う日が来るのか、それはそれで楽しみだし、このままでもなかなか楽しいと思う(笑)。
「『ファントム』ってほんとーに、変な話だ」
でした。
『ファントム』再々演観劇にて。
初演もそれなりの回数観てるし、再演なんかアホみたいな回数観てました。
正直なとこ、わたしの人生でもう二度と観なくていいや、なくらいは、すでに観た。
見飽きた物語を再度同じ花組で観て……しみじみ思った。やっぱ変な話、と。
「そのとき私はすでに結婚していたのだー!!」(がーーん)とか、客席から総ツッコミだよなあ。
まあソレはさておき。
なまじよく知る作品だからこそのツボもツッコミどころも満載。
なにしろ幕間でワクテカ話題にしていたのが「母子像の絵はあるのか?」だったりするしなっ。
初演であまりのひどさに伝説と化す勢いだった母子像イラスト。赤ん坊の手が母の髪の毛から生えているホラー絵。素人が描いたとしか思えないヘタを通り越したよーな絵を商業演劇で使う不思議さが、観客の話題のひとつだった。
そこまで不評だったのに、再演でも母子像イラスト健在。あれはVISA社長直筆絵を元にしたとかで、援助の見返りとして使わざるを得ないのでは? とまで客席でささやかれた、ひっでー絵。
再々演でも使うのかしら、どんな大人の事情があって使わなければならないのかしら……? と、ワクテカしていたんですが、なかった。
使わなくてはならない事情があるわけじゃないなら、何故初演と再演で使ったんだ??
あってもなくても、謎は深まる……(笑)。
それはともかく、キャストの話。
フィリップ@みわっちが、大変イイみわっちでした。
みわさん……(笑)。
今回の『ファントム』、初日限定ですが、キャストの持ち味がそれぞれバラバラで、大変愉快でした。
芝居が合ってないというか、みんな好き勝手演じていてすごく面白い。
ファントム@らんとむは、子ども芝居と自分の持ち味とで模索している印象。母性本能くすぐり系耽美青年だったたかこエリック、無垢な少年で設定年齢低すぎのオサエリックともチガウ、どっちつかずさ。
彼はまともな人で知性も分別もふつーにありそうなので、子ども喋りが落ち着かない。
恋に暴走するようになると、ハートフルな持ち味で馴染んでくるんだけど、最初の駄々っ子あたりは……違和感。
対するキャリエール@えりたんは、彼の得意技の駄々っ子さややんちゃさを封じられ、固く地味な印象。こんなにモブに埋没しているえりたんも、キャリエールという役も、はじめて見た。
ヒロインのクリスティーヌ@蘭ちゃんは、歌を一生懸命歌っていることが伝わるのみで、クリスティーヌとしての人間性が見えない。
リアルで等身大の女の子に見えるため、仮面の先生を素直に受け入れたり、他人の言いなりになったりするように見えない。もっと自我と知性で、自分で行動しそうな女の子だ。母性や包容力は感じられない。
そして、シャンパンの王様、フィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵@みわっち。
さすがタカラヅカの申し子、代表的花男。
大芝居ぶっちぎり。
植爺芝居がハマるだけのことはある、すごい型芝居っぷり。
ひとりだけ時代劇なたたずまいと喋り方。
伯爵様なの、パトロン様なの。
他の人たちとは格がちがうの。
まとぶんがおぼっちゃまだったあのフィリップ役が、けっこうな大人の男なの。
キャリエールと友人だというのがよくわかる、同世代だよね? キャリよりちょい若いかもしんないけど、あの貫禄と浮世離れさは絶対若造ではないよね?
だからそんな伯爵様がクリスティーヌに夢中になるのが、なかなか香ばしい(笑)。
30代男が女子高生を口説いてる感じ。
そりゃクリスティーヌも相手にしないわ……「おとうさんと同じくらいの年齢の、寛大なパトロンさん」と思ってスルーしてたんぢゃ?
蘭ちゃんの演技が現代っ子風なので余計に、大芝居のシャンドン伯爵と不協和音。
キャシー@『サンタモニカの風』(ん?)と、ジェローデル@『ベルばら』がデートしてるみたい……。みわっちがジェローデルを演じたらこんな感じかなと思った、シャンドン伯爵。
そして、1幕の終わり、怪人に連れさらわれるクリスを思って、「クリスティーヌ~~っ!!」と絶叫するとこなんか、ものすげーイイみわっちぶりですよ。あの大芝居!! くどいわ濃いわ、たまりません。
銀橋のとーとつなソロも、『ベルばら』系大芝居ソングで、みわっちアテ書き?! 外国の作曲家さんなのに、『ベルばら』の映像見て勉強してくれたのかしら?! と、白目を剥きたくなるクオリティだし。
面白いです。
4人とも芝居も持ち味もバラバラ。すげー面白い。
特にみわっちのトバし方が半端ナイ。
ここにディズニーの悪役のようなカルロッタ@いちかが加わる。
いちかが、すげーうまいの。
この人ほんとに芝居がうまいんだ、って感心した。
ショレ@みつるはヒゲの色男。でもいちかに負けてる……届いてない感じ。役の大きさ的にそれは仕方ないかもしれないが、これからに期待。
文化大臣@ふみかが、色男。
えええ、色男でイイの? だってこの間はまりんで、三枚目だったじゃん……。
胡散臭い二枚目ぶりが余裕。ふみか得意だよね、こーゆーの。
どさくさまぎれにヴァレリウス@さあやとイイ感じになってる? 組んで踊ったりスキンシップしてるよねえ?
まさか文化大臣にそんなドラマが……(笑)。
ルドゥ警部@まりんが、優秀そうに見える! 空気を壊してない!
……すみません、みおさんのイメージが強すぎて、花組が誇る芝居クラッシャーのみおさん演じる警部が、どんだけ空気を壊して乱入突入ドタバタしていたかを改めて思い知らせてくれました。
ふつーに演じることができる役だったんだ、警部。
そして警部がまともに見えるだけに、キャリエールの三文芝居を信じるのが違和感。
エリックをかくまったキャリエールが「ここは私が」と警官たちを遠ざける場面、キャリがすごくわざとらしく「ここに怪人がいますよ」と言わんぱかりに両手を広げて後ろを隠す演出に変わっていた。キャリを共犯者だとわかっていて、泳がせて急襲する作戦だと思ったよ……警部絶対気付いてると思った……。
警部がふつうに優秀だと、演出的に変なんだということも、よーっくわかった(笑)。
そーいやキャリがエリックの肩を抱いて隠れる場面もなくなってたなー。アレってファンサービスだったはずなのになー。オサゆみのときなんて、確実にオペラがざっと上がっていたのに。
みんなの芝居がかみ合う日が来るのか、それはそれで楽しみだし、このままでもなかなか楽しいと思う(笑)。