『MIND TRAVELLER』本編がまるまる「第1部 テオ、その愛。」だったことは、もう書いた。

 そのあとの話、書いたっけ?

 「第2部 リチャード、その愛。」のことは?

 誰とナニを話し、どこでナニを書いたか、忘却の彼方。わたしの海馬は不良品ですから。

 愛するマックス@まとぶの心から、カザン@星原先輩の記憶を消しさろうとしたテオ@さおた。
 『MIND TRAVELLER』とは、テオの壮大な愛の物語だった。

 で、そのあと。

 舞台は数年後になる。
 NPOじゃ食えないので、マックスはまた警備会社に就職していた。ボディガードやるくらいしか、使い道のない体育会系男ですから。
 そんなマックスのもとに、仕事の依頼が。
 某超一流会社の要人警護だ。
 引き受けてみてびっくり、その要人とはリチャード@まっつだった。

 『MIND TRAVELLER』事件の折、リチャードは起訴もされない、服役もしない。大学病院は追放されたにしろ、罪に問われることはなかった。
 なにしろ彼の研究は金になる。今は未完成でも、人間の記憶を自由に出来る術を持つ天才を、周囲が放っておくハズがない。
 彼の新しいパトロンが、事件の処理ごと金と権力で引き受けた。
 で、リチャード教授はずーっと好きなだけ海馬の研究をしていたわけだ、この数年間。

 なにしろ研究の内容がやばすぎるので。命を狙われている、らしい。
 それでボディガードを必要とした、わけだ。

 サラリーマン・マックスは仕事を選べない。ものごっつー不本意だが、リチャードのボディガードを勤めるのだった。
 リチャードもまた、マックスに守られるのはものごっつー不本意なんだが、わがまま言ってる場合ではないので了承。

 そして。
 冷たい、ぎこちない空気をまとわりつかせながらも、男ふたりは四六時中共に過ごすことになるのだった。

 ……とゆーのが、第2部ですよ。
 わたし、ここで書いたっけ?

 この話を、某所でまっつメイトのモロさんとふたり、こっそりリレーもどきにやりとりしていたところ。

 青年館で再会したドリーさんに、しみじみ言われました。

「なにかやってるらしいと思って、あとからキミらの『MIND TRAVELLER』会話読んだけど……バカだな、キミら」

 やーん、バカって断言されちゃったー!!(笑)

 でもねドリーさん。そのときはもうすでに、鍵を開けられる人なら誰でも読めるところから、互いのメールへと、リレーもどきは書く場所を移転していたのよ。
 真におバカなことを書いていたのは、そのあとなのよ。

 「第1部 テオ、その愛。」を語っていたのも、モロさんとのメールでだったし。
 で、そのままテオ×リチャード語りしてたんだっけか。

 
 マックスの記憶を「全部見た」ことのある男、リチャード。
 そして、マックスの記憶を「書き換えた」ことのある男、リチャード。
 マックスを誰よりも理解し、彼をもっとも傷つける「嘘の記憶」を上書きした男。

 マックスのいちばんの理解者となりえるのは、この半分狂った元医者かもしれない……。

 て、そーゆー話です、第2部。

 ぶっちゃけ、どっちが攻かで頓挫したよーなもんなんですが。

 マックスにしろリチャードにしろ、どっちも受じゃん? てことで、話が進まないんですね。受ふたりぢゃ百合になっちゃうよ……。

 リチャードが攻になってくれりゃー、いちばんいいんですがね。マックスは総受基本だから。

 リチャードはマックスより年上だよね?
 いくつ上だろう……。
 マックスはファザコンで、年の離れた男が好みだから、リチャードともある程度は離れてくれた方がナチュラルに恋愛できるよね(笑)。
 7〜8歳差ぐらいかなぁ。

 リチャードは絶対マックスの海馬に執着しているから、ふたりでヴァージンロード歩いてしあわせになっちゃえよ!!

 
 油断しているウチに、『MIND TRAVELLER』のDVDが発売されているようですね。
 購入するかどうか、悩むわ……。『タランテラ!』は発売日に鼻息荒く購入したけど、『MIND TRAVELLER』はなぁ……作品がなぁ……。

 海馬の帝王@まっつは、ダイスキですが。

 まっつまっつまっつ。

 
 わたしの海馬はアテにならない。
 あれから1ヶ月半。もうすでに記憶は風化し、ろくにナニもおぼえていない。

 『MIND TRAVELLER』千秋楽。

 エディ@だいもんは、ちゃんとルーク@まぁくんを愛していた。

 楽の前日だったか。
 ドリーさんが言うのさ。

「最後のクラブ・ヒポキャンパスのシーンで、テオがサリーを殺させたと聞いたあと、ルークがとても傷ついてるんだけど、エディってばルークそっちのけでマックスたち話の中心を見てるの。ダメじゃんエディ」

 わたしがルーク争奪戦、ルーク×エディを唱えているもんだから、つい影響を受けて「傷ついているルーク」→「じゃあエディはどうしてるの?」と確認してしまったらしい。
 ドリーさんは「腐女子ではない」けれど、「なにが腐女子的か」を判別できる人。たまにいるのよね、こーゆー人。
 銀河の覇者になれるだけの軍事的センスを持ちながら、ソレを望まず早々に退役したヤン・ウェンリーのようだわ。>ドリーさん。
 立派な腐女子センサーを持って生まれているのに、興味がないなんて。
 腐女子的なことが好きであこがれているのに、そっちのセンサーを持ち合わせなくて見当はずれなことを言っている人だって、世の中にはいるのに。

 まあ、センサーの話はともかく。
 
 ひとり傷ついているルークを放置するようじゃあ、エディの彼への愛はたかが知れてますな。
 そーゆーときこそ、男を見せる機会だというのに。

 ドリーさんから聞くまでルークがどうしているかをまったく知らなかったのは、もちろんその場面でわたしが、リチャード@まっつしか見ていないせいですよ。

 すでにリチャードがどのタイミングでクラブ・ヒポキャンパスに現れるかまで、おぼえてますから。
 上手端のセットの上に登場する、裏の階段を上っているあたりからオペラグラス準備完了、リチャード先生しか見てませんから。

 舞台中央で「ハロウィン♪」となにかしら出し物をやっているよーですが、見てないので知りません。
 究極のアイドル衣装でジュディ@ののすみちゃんが歌い踊り、フィリップ@めおちゃんが彼女に襲いかかり、危機一髪!なところでカボチャの中から王子様が「エル・ブラボー」することも、見てないので知りません。
 「エル・ブラボー」つーのはアレですよ、ローラを助けるためにトニーが箱の中から飛び出した、『コパカバーナ』の1場面のことですよ。

 とにかく、なにがあろうとまっつガン見基本ですから。
 まっつが舞台上にいる以上、まっつしか見てませんから。

 ええ、あれだけリピートすりゃあ、そーなりますよ。物語も作品も、もう観たからいい、もう十分堪能しまくったからいい。
 あとは本能の赴くままに、まっつだけを見る。

 そういう状態になってましたから。

 姉のサリー@もえりを殺した真犯人がテオ@さおただとわかったルークがどんな反応をしていたかなんて……さーっぱりわかりません。
 そしてそのとき、エディがどうしていたかなんて。

 下手の出来事なんて、知るわけないじゃないですか、まっつ席は上手なのに!(開き直り)

 
 されど、そんなふーに言われちゃったら、確認するしかないでしょう。
 千秋楽、まっつガン見視点固定のこのわたしが、まっつが舞台にいるというのに、舞台中央から下手の方を見ました。
 ルークの反応、エディの反応を確認しました。

 で。

 大丈夫。エディは、ちゃんとルークを愛していた。

 てゆーか、両想いっぽいぞ?

 そう確信したんだが。

 …………ねえドリーさん、エディがどうしてたんだっけ?
 なーんだこいつらラヴいじゃん、と思ったことはおぼえてるんだけど、具体的にナニをしていたか、おぼえてないのよ!!
 わたしの海馬ときたら!!(白目)

 終演後、意気揚々とドリーさんに報告したところ。

「腐った話を確認するためなら、わざわざ見るのか!」

 と、お褒めの言葉をいただいたのだわ。
 さあてわたし、なにをどう報告したんだっけか。

 
 青年館では、舞台の広さの関係でまっつの後ろにりりかちゃんが立つことはなく、従って白衣のスケベ医者がセクシードレスのナイトクラブの歌姫を後ろから抱きしめる、という状況にはなりませんでした。
 カーテンコールで幕が開くたび、退団者やまとぶが金銀テープでぐるぐる巻きにされ、愛でられていました。まるでクリスマスツリーみたいだ。

「みなさんの海馬の中にこの作品を入れ込んで……」
 と、まとぶが言ったとき。

 まっつ、笑いすぎ。

 カラダをふたつに折って爆笑していた。
 「海馬」という単語に反応大きいんだよね、まっつ。伝え聞く楽屋出のエピソードでは、まとぶさんに「海馬」と呼ばれていたんだものね。

 作品はアレだったが、それでもまっつファンはたのしく通うことが出来たよ。
 そのあと『ヘイズ・コード』を観て、「『MIND TRAVELLER』に通うより、こっちに通いたかった……っ!」と思わせてくれちゃうよーな、所詮はそんなレベルの作品だったけどね。あああイケコ、頼むからもうオリジナルは書かないでくれえぇ。
 今年の大劇場作品が不安でならない。キムシンよりイケコの方がわたし的には不安だし、駄作度が高いんだよなぁ。

 
 今となっては、なにもかもなつかしいよ。
 『MIND TRAVELLER』に狂乱していたのは、ほんのこの間のことなのにね。


 声を大にして言おう。

 あかしのくせに!

 あああ、あかしのくせに! あかしのくせにぃぃぃっ!!

 あかし、かっこいいぃぃ!!

 
 バウ・ワークショップ星組『ハロー!ダンシング』に行ってきました。

 出演者も知りません。あかしが出ていることぐらいしか。
 去年のWS、芝居+ショーで計2時間、4500円は「高い」と思ったのに、今年は75分で4500円っすよ。劇団はナニ考えてんだろう。
 定価以下で市場に出るからいいってことですか? ……なんだかなぁ。

 内容は、小劇場で真面目にダンス中心、だけどやっぱり、ものすごーく草野らしい作品でした。

 アフリカは絶対やらなきゃならんのか?!

 草野といえば、アフリカ。
 なにがなんでも、アフリカ。
 なにがテーマでも、絶対アフリカ。

 『ザ・クラシック−I LOVE CHOPIN−』でもアフリカがあるんぢゃないかと危惧したよ。

 そして、ナビゲータ。台詞での解説。
 草野ショーでは必須ですな。

 『ハロー!ダンシング』では「真ん中」ナシの興行ってことになっているけれど、やはり「真ん中」はあった。
 武富士のCMじゃあるまいし、名もなきダンサーが同じ振りで踊っているだけでは「物語」のある舞台はつとまらない。タカラヅカはバックダンサー養成所ではなく、「スター」を輩出するところだからだ。

 主演は、あかしだった。

 ここまであかしを「真ん中」に据えた興行ならば、「主演」にして欲しかったよ。
 開演アナウンスや、最後の挨拶を聞きたかった。

 もちろん、立場上「真ん中」に据えても、任をこなさなければ「真ん中」には見えない。ただの群舞で終わってしまう。

 あかしは、「真ん中」の仕事をこなしていた。

 「真ん中」である意味。扇の要である意味。
 主演として公演を背負っていないのに、それでも「真ん中」で舞台をまとめていたよ。主演として、スターとして「仕事」をしていたよ。

 あかしのくせに。
 利助のくせに。

 かっこいい。
 色っぽい。
 素敵。

 あかしのくせに。

 おろおろおろおろ。
 彼の堂々たるスターぶりに、うろたえます。
 なんだよあかし、誰だよあかし、どーしたんだよあかし!

 こんなに素敵な男になるなんて、利助だったくせになんてことなの。

 あかしの顔を見ているだけで75分終わってしまった。
 マジ、エロくてこまる。あかしだとわかっているからよけいに混乱し、エロさにときめく。

 
 さて。
 あかし讃美はともかく。

 見応えはあった。
 去年のWSを観て、「ショーだけならもう一度観たい」と思ったことを、思い出した。芝居のレベルが低すぎて、複数回観たいとは思えなかったんだよ、『Young Bloods!! 』。
 ショーだけ3000円くらいで見せてくれないかな。そう思った。

 そうか、『Young Bloods!! 』でショーだけ見せろという声が高かったから、今年はショーだけになったんだな!
 でもなんで値段は芝居があったときと同じなんだろう? 生オケでもないのに。

 いい公演だったが、やはりWSであることはたしか。未熟さも愛でるところ。

 あかしセンター、2番手がドイちゃん?
 元気さとエロさ(笑)を2大テーマに構成されたこの作品において、いちばん夢ゆめしい場面を、あかしではなくドイちゃんが担っていたことがツボる。
 フリフリ衣装でドレスの娘とロマンチックに踊るのは、あかしではなくドイちゃんかー。そーだよなー(笑)。

 もっとともみん重視で来るかと思ったけれどそーでもなく、ドイちゃんと僅差で3番手、あとは天緒圭花(何故か彼はいつもフルネーム)としーらんで4番手ってとこか。
 しーらんがナニ気にオイシイ。なにができるわけでもないが、彼はやる気にあふれていて微笑ましいぞっと。
 娘役はセンター決めず適材適所?
 コロちゃんはソロがあったりと扱いはいいんだが、どうも別格っぽいよーな。

 予備知識はいらん人間なので、座席配布されていたプログラムも出演者名に目を通した程度。ざーっと眺めた感じでは、半分くらい顔がわかるから、あとはなんとでもなるだろーと。
 お約束として作品中に自己紹介があるだろーし、それを見ればいいや、と思っていたんだが。
 自己紹介、なにを言ってるのか、さっぱりわかんねー。最初から名前を知っている子しか、わたしには聞き取れなかった……ダメじゃん……。
 この子かわいいなー、と思っていた子の自己紹介だけは、かろうじて聞き取った。まりやちゃんか、なるほど。……と思っていたら、そのあとドイちゃんとまるまる1場面、ピンでデュエットダンスしていて、おどろいた。あんなに必死になって自己紹介聞き取らなくても、デュエットダンスがあるなら、あとからでも名前わかったよ……。

 黒スーツと帽子で踊るいかにもショースタイルな場面、男はブラウス、娘はドレスで情熱的にあるいはしっとりと踊るクラシカルな場面、タンゴありーのタップありーの、ストーリー仕立ての場面ありーのでこれでもかと盛りだくさん。

 技術が優れているとは、正直思わない。ダンス力だけのことではなく、姿勢や着こなし、舞台での在り方、どれもみんな初心者マークがあちこちに貼られている。
 ただ。

 もしも、わたしが今中学生で、このステージを観ていたら。
 タカラヅカに入りたい、このステージに立ちたい。と、思ったかもしれない。

 子供のころからヅカは観ていたけれど、入りたいとかあの舞台に立ちたいとか、んなこたぁ夢にも思わなかった。テレビの向こうと同じで、タカラヅカの舞台は「自分とは関係のない、一方的に眺めるもの」でしかなかったんだ。
 入りたいなんて、思ったことは一度もない。今もない。
 だけど、今、中学生だったら。そして、この『ハロー!ダンシング』を観ていたら。
 『ハロー!ダンシング』の技術が大劇場公演ほどではないからとか、舞台が近いからとか狭いからとかではなく。

 若いから、未熟だからこそ発散されるエネルギーやきらめき。貪欲でありながらストイックな叫び。

 それらが、「自分とは関係ない」とは思えない、足りない自分を奮い立たせるsomethingに満ちているんだ。

 いかんなぁ、ばばあだからそーゆーモノには、弱いんだ。泣けてきちゃうよ。
 や、たとえわたしが今中学生だったとしても、かろうじてあるのは身長だけで、容姿も才能も金もないので絶対ジェンヌを目指すことなんてありえませんが。

 たのしかったです、『ハロー!ダンシング』。
 他の組もたのしみだ。

 
 ……プログラム、上に猫が乗ったからぐちゃぐちゃになっちまったい……ちぇっ。


 先生、質問です。
「彩吹真央さんは、なに組ですか?」

 ゆみこちゃんとオサ様、どちらかを目当てでお稽古の入り出のギャラリーしに行くと、両方の姿を見ることができることがある、偶然同じよーな時間にお稽古に入ったり出たりしている、という話を小耳に挟むたびに不思議だった。
 なんでそんなことがニュースになるんだ? 偶然もなにも、同じ組なんだから、当たり前だろう。

 ……あれ?(首傾げ)

 回答。
「彩吹真央さんは、雪組です」

 ゆみこちゃん、オサ様と別の組だっけ!!(驚愕)

 すみません、ちっともわかってなかった。
 もう花組にゆみこはいないんだ……しょぼん。

 雪組でのゆみこも、もちろんたのしみなんだけどね。

 つーことで、今さらですが、『personal book 2007 VOL.1 彩吹真央』の感想。

 PB自体はね、早々に眺めていたのよ。なにしろ発売すぐにnanaタンに見せられたから。わたし、ちゃんと自分で買うって言ってるのに、それを待ちきれないnanaタンに解説付きで見せられた。待ちきれないのがわたしではなくnanaタンとゆーのがミソですな(笑)。

 なんか回を重ねるごとに発売冊数が減っていく、さみしいPB。第1弾なんか10冊も出てたのにねぇ。

 わたしは「物語」が好きなので、「寄せ集めバラエティ」よりは一貫したテーマがあるものが好き。
 PB第1弾の、春野寿美礼様の鬼畜エリート・ビジネスマンを超えるものには、まだ出会っていない(笑)。
 アレは「素顔でコスプレ」で「物語」があるから最強。

 第1弾がアレだったから、全種類このパターンで行くのかと思いきや、あそこまでしっかり「物語」になっていたのは寿美礼様の1冊のみで、あとはテーマはあってもソレがメインにはならない、「バラエティの一部」になっていた印象。
 1冊目で「やりすぎた」と思ったのかしらねぇ。ニーズがなかったのかしらねぇ。トウコの「逃亡者」とねったんの「追跡者」とか、もっときちんと「物語」として作って欲しかったわ。

 もちろん、ひとつの話だけで写真集まるまる1冊作って欲しいわけじゃない。そんなことしたら、同じよーな写真ばかりになるから。4等分したひとつあたりを、こだわって「物語」にしてほしかったなーと。
 

 さて、ゆみこPB。「テーマ」はあっても「物語」には達していない、いつものPBでした。世の中的にはこの方がいいのかもな。わたしはどうも、いついかなるときも少数派らしいから。

 いきなりパジャマ姿からはじまるあたり、「彩吹真央」をわかっているなぁと(笑)。
 かわいこちゃん全開。
 親しみやすいかわいーボクちゃんのあとは、貴族のおぼっちゃまのおだやかな昼下がり。

 ファンとそーでない人の目線の差を、痛いほど見せつけられた、気がする。
 

 あれはまだ『ファントム』の配役が発表になっていなかったころ。わたしを含め、わりと全組観るよーなヅカファンや、贔屓組を数回観るだけでヅカ全体あまり回数を観ないライトな人たちと、ゆみこファンとは「キャリエール役」に対する「ゆみこ観」がかけ離れていて興味深かった。

 ゆみこファンは「若者キャラのゆみこに、ヒゲの老け役は難しい」と言い、ファン以外は「ヒゲの老け役だから、ゆみこに似合う」と言う。正反対。

 なんでもゆみこは、老け役をろくにやったことがなかったらしい。ヒゲもつけたことがなかったらしい。
 若者役、ぼっちゃん役ばかりをやってきた人に、ヒゲの老け役なんて、トップスターの父親役なんて、できるのかしら、心配だわ! ……てのがファンの反応。nanaタンに限らず耳にした。

 だがそんなこと、一般ファンは知らない。ゆみこの芸歴をいちいち調べたりしない。
 舞台人「彩吹真央」から受ける印象だけで、深く考えずに話す。

 そこそこの学年で、芸風は地味で実力派。和モノが得意。カオが四角い。アイドル度やキラキラ度がとても低い。つまり、ビジュアル度外視キャラ認定。
 =老け役OKキャラ。

 やったことがあろうとなかろうと、「彩吹真央」はおっさんOK。
 だってそーゆーイメージ、そーゆー外見。

 ……ファンとそれ以外の温度差、すごかったわ……。

 わたしも「ゆみこおっさんOK」派。
 ゆみこのことはずーっと見てきているので、言われてみれば老け役やってないな、ついこの間まで18歳の少年役とかふつーにやっていたな(そして新公の子より若かったな)とか、思い出せるけれど。
 それでも、彼のイメージ的に「老け役、ヒゲ、ぜんぜんOK!」と思う。
 とくに彼を「若い」とは思わない。
 若さと同義語であるキラキラ感に欠けるせいかな。
 「少年キャラのゆみこちゃんに、ヒゲの老け役なんて心配!」とは、夢にも思わなかったさ。

 
 ファンとそれ以外の温度差、目線の差を、思い知ったわ。PBを見て。

 素顔のゆみこは、若い。

 舞台からは想像がつかない。
 若い女の子ではなく、ナチュラルに「少年」だ。

 ファンの人たちは、このゆみこを見ているから、「少年キャラのゆみこちゃんに、ヒゲの老け役なんて心配!」と思ったんだ。

 舞台しか知らない人間には、わかんねーよ。

 素のゆみこがこんなにこんなに、少年だなんて。
 ふつーにきれーで透明感のある、おいしそーな男の子だなんて。

 とりたてて「美少年」というわけじゃない。睫毛びしばしの耽美少年じゃない。
 だけど、清潔感だとか笑顔だとか育ちの良さだとか、やわらかい、やさしいものを感じさせる、素直な少年だ。
 嘘くさい耽美少年よりも、身近に感じられる分、罪作りというか。

 ドラマとかにこーゆー男の子が、主役の友だち役とかで出てたら、ふつーに人気出そうだな。
 主役で派手になにかやらなくても、どのクールにも登場しているというか。

 「少年キャラ」ではじまったPBは、データファイルや水くんとの対談、測量隊のネタ企画ページなどを経て、「大人の男」へ移行する。
 少年が素のカオだとさんざん見せたあとで、大人ぶったカオを見せる。「少年」ゆみこファンからすれば、ツボをつく構成ではないだろーか。

 
 素のかわいこちゃんぶりを、舞台で発揮できればなあ。
 あのままのキャラなら、人気も出る……失礼、今よりさらに人気も上がるだろうに。

 「少年」キャラが好みの人、ゆみこPBを見てやってくれ。
 実にいい感じに「少年」だよ。
 女性が愛する「少年」像がソコにある。

 いつかのこの「少年」が、舞台で力を放つときが来るかもしれないぞ?

 
 ……や、さんざん好き放題書いておいてなんだが。
 わたしは地味なゆみこの舞台姿や芸風が好きなので、今のままで十分魅力的だと思っているんだけどなっ。


まっつ探しに劇場へ行こう。@清く正しく美しく
         
 
 
 ←お花で飾られた逸翁像。
 

 はい、イベントです、野次馬です、祭り好きです。
 初日ダイスキ、とりあえずなんでもいっちょ噛みしておけ精神にて、行ってきました、小林一三没後50年追悼スペシャル『清く正しく美しく』−その教え護り続けて−(タイトル長いよ!)。

 
 イベントもののナマにこだわるのは、わたしが見たい人は、テレビに映らないから。
 真ん中そっちのけで背景眺めるのに必死。

 第1部が日舞+和物ミュージカル、第2部がゲストのみ、第3部が歌謡ショウ。
 まっつの出番は第1部の日舞の背景、第3部フィナーレの「出演者全員による『逸翁讃歌』合唱」のみ。

 『花の道』イベントのときのよーに、最後の合唱のみ出演、てのもアリだと思っていたので、1部に出番があったことに大喜びさ。
 まっつの日本物が見られる! 白塗りまっつ! 真ん中分けの若衆姿! 背景でしかないことなんて、ぜんぜんかまわない。
 すみれの若衆Aの各組2番手さんたちの後ろに登場、ちょろっと踊って退場、次に出てきたときは1部日舞のフィナーレ、いちばん後ろのセリに乗って高いところまで持ち上げられてしまう。デコレーションですから、背景ですから。
 2列構成のすみれの若衆Bのみなさん、まっつはいちおー前列でした。上手端。学年順かな、センターがしい・すずみ、そのかは後列センター近く。

 正直、同じセリ上でも下手側のことはわかりません。チラ見しただけで、あとはずーっと上手見てたから。
 正直、舞台真ん中のことはわかりません。そんなもんはスカステのカメラに任せて、ずーっと背景見てたから。

 まっつの隣が、よりによってあひくん。でかいよあひくん! まっつ端だから、隣はあひくんのみ。
 まっつの後ろは、かなめくん。でかいよかなめくん! まっつ端だから、後ろもかなめくんのみ。
 かなめくんの隣のでかい人、いくら顔を見ても誰かわかんなかったんだけど、めおちゃんかな? 日本物化粧と彼の芸風の薄さでよくわからん……。たぶんめおちゃん、のセンター側の隣はもりえちゃん。
 もりえ、めお、かなめ、あひに囲まれるまっつ!

 まっつ小さっ!! 萌え〜〜!!

 3番手以下、86期までのメンバー、花から5人、月から3人、雪からひとり、星から3人……バランス悪。雪組からはかなめくんひとりの参加、3番手のキムくんが次の芝居のヒロインなんで不参加、そしてたぶんヲヅキが休演しているせい。
 ヲヅキも是非参加して、まっつを囲んで欲しかった。大男たちに囲まれる、可憐なまっつ……ハァハァ。

 日舞はそんなこんなで、他の印象がありません。
 ぞろぞろ登場した若衆と美女軍団の顔ぶれを確認しようと、下手一番端の若衆をオペラグラスで見てみたら、満面の笑顔のチャルさんでぶっとんだことぐらいかしら。専科のみなさんの中では、チャルさんが最下級生男役。専科さん全員出演、役名はすみれの若衆とすみれの美女。春日野先生をはじめとする、ものすごい年齢の若衆、美女の大群でした。ああ……五峰姐さんがきれいだ……。

 水となの並びは初お目見えで、水くんトップお披露目おめでとー!と心の中で叫ぶつもりで駆けつけたのに、なんか違和感ないまま、気が付いたら出番が終わっていた。
 先日の植爺イベントでの、トウコちゃんのあの特別感と貫禄はなんだったんだろう……。

 日舞場面では、26人の娘役たちが袴姿でコーラス参加、されど彼女たちプログラムにも名前がない……気の毒な。
 わたしは相変わらず点呼に忙しい。

 終演後にnanaタンに捕獲された(待ち伏せされてました・笑)際、「芽吹幸奈ちゃん、やる気満々のカオで歌ってたよ」と報告すると、
「このそうそうたるメンバーの中で、わざわざくまくまちゃんをチェックしているなんて!」
 と感嘆されました。
 や、点呼してますから!(笑) そして彼女は、実に戦闘的に歌っていてNICEでした! カオ芸しすぎだよ彼女(笑)。

 和物芝居の『恋に破れたサムライ』は、いろいろ愉快でございました。

 星組のみんながモブで出演しているんだけど、わたしがいちばん先に探してしまったのは、ゆーほさとるでした。
 何故にゆーほ?! ゆかりより先にゆーほを見付けてしまうわたしって?!
 ちゃんと日本物の扮装で、モブで踊る彼らの、点呼を取るのに必死。だって、彼らはテレビに映らないはずだもの、ナマで見ておかなきゃ!!
 歌手の美女トリオ、みなみちゃん、ゆうかちゃん、花愛瑞穂ちゃんが華やか、かわいー。とくにみなみちゃんのかわいさときたら、もお。丸顔のポイントに一筋髪を脇に垂らしているのが、すげー似合う。

 そんな濃いぃ(笑)モブの中、トウコとキムがいちゃついている。
 
 失礼、役名で言わなければな。
 渡辺亘@トウコ、袈裟御前@キム。
 新婚バカップル、旦那の表情がやにさがっているのがポイント。……嫁、それほどかわいくないのに……ゲフンゲフン。

 なにゆえにキムがこの役を。
 彼は小柄でふつーの女子アイドルのよーな容姿をしているが、舞台では決して女子アイドルではないのだ。むしろかなりオトコマエな芸風だ。
 男役として人気や勢いを付けなければならない時期に、どーして勢いを殺ぐようなことをするんだろうなぁ。
 娘役をしても「女装」に見えるとゆーか、半分はかわいく見えて半分はやばく見えるとゆーか。ヒロインはいかなるときもかわいくあるべきで、たとえ半分だろーとやばかったらいかんと思うのだが。

 でもまあ、トウコと身長は合っている。路線男役で唯一、トウコ相手に娘役が出来るのはキムになるか。

 この生命感にあふれたゴツ……華奢ではない美女をめぐって、物語は展開する。

 恋愛モノかと思いきや、土曜ワイド劇場か、火曜サスペンス劇場のノリで話は進むんだぞ!! びっくりだ。
 

 と、めっさ話の途中だが、長くなったので一旦切る。
 
翌日欄に続く。


 スペサルな逸翁デー、『清く正しく美しく』

 もうすっかり忘却の彼方だったけどそーいや幕開き冒頭は、逸翁の演説フィルム上映でした。
 昭和13年の愛読者大会だっけかの。

 愉快なのは、そこですでに「日本物は人気がない」と逸翁の口から語られていること。日本物に人気がないことはわかっている、でもタカラヅカは日本物をやらなきゃーならないのだ、みたいなことを言っていた。

 1938年の段階で、すでに日本物は人気がなかったのかよ。

 タカラヅカの長い歴史の中、ずーっと日本物は人気がなかったっつーわけか。
 「選択肢がなかった」太平洋戦争時代だけか? 日本物が支持されたのって。

 まあ、そんなこんなで、「ファンが喜ばないことはわかっているが」と前置きしての日本物ミュージカル。
 『恋に破れたるサムライ』。

 女ひとりをふたりの男で争う、一見恋愛モノ。
 しかしその実、火曜サスペンス劇場系のノリで物語は展開する。

 
 遠藤盛遠@トド様。
 強引で猪突猛進な超美形様。人生挫折無しでなんでも思うがままにしてきた若きエリート官僚は、「子どもの頃、結婚の約束をしていた」袈裟御前@キムが渡辺亘@トウコと結婚してしまったことでブチ切れる。
「恋敵の亘を殺し、約束を破った袈裟御前の母親を殺してやる!」
 だって彼が正義。思ったことは思ったままにやってきた。「私がそーゆー性格だと知っているだろう!」……迷惑な。

 吠える盛遠に、袈裟御前が言う。
「亘を殺してください、私が手引きします」
 キラリ光る新妻の目。盛遠と袈裟は幼なじみ。亘の妻となりラヴラヴに見えた袈裟だったが、出世した盛遠を前にして気が変わった模様。
 夫・亘を殺し、幼なじみのエリート盛遠と再婚。完璧な筋書き。「ふふふ……」ぶ厚い唇に半分だけ塗った朱がこわい。

 そーして、殺人計画の夜。
 嫁にベタ惚れの夫・亘は袈裟の酌に、ヨイヨイで酔っぱらう。
 袈裟はなにかっちゅーと「これが最後……」とつぶやいては「なにか言ったか?」「い、いえ、なにも」てな会話を繰り返す。
 決行は今夜。今宵が夫婦最後の夜。袈裟はもー、しつこいほど「これが最後……ふふふ」を繰り返す。もういいから、ソレはわかったから! と観客に突っ込まれるためにだろうか。
 疑わない夫を酔い潰そうとする、新妻の鋭い視線。「これが最後……ふふふ」
 逃げて亘、逃げてーっ! その女、あなたの殺人計画を練っているのよ?! 酔い潰したあとに男を呼び、あなたを殺させるつもりなのよーっ。

 高まるサスペンス。
 悪女・袈裟のたくらみは成就するのか? 利用される単細胞・盛遠は? コキュとなりはてた亘の命運は?!

 火サスのノリ。すげえ。

 で。
 袈裟はもちろん、亘の身代わりに盛遠に殺されるんだけどね。
 「これが最後……」というのは、自分が死ぬって意味だったんだけどね。盛遠のよーな強引自己中権力者に見初められたが最後、自分が死ぬ以外に周囲のモノを守る術はないと思って。

 筋書きは最初からわかるんだけど。

 演出のせい? キムの演技のせい?

 袈裟が夫殺しをたくらむ悪女にしか見えなかった。

 そして、袈裟が自殺すれば済む話なのに、わざわざ盛遠に殺させるのは、盛遠への復讐にしか見えないんですが。

 おそろしい……。
 なんておそろしい女なの、袈裟!!(白目)

 火曜サスペンス劇場・女の犯罪シリーズって感じ。

 もっと可憐な持ち味の娘さんが袈裟を演じれば、ちがっていたのかもしれないけどねえぇ。

 さて、残された男たち。

 爆裂わがまま男・盛遠は、それでも袈裟を愛していたのは本当だったらしい。
 袈裟を殺してしまったことで慟哭し、激しく後悔し、亘に断罪を求める。
 イイ面の皮、ここまでコケにされた夫は大変・亘も激しく自分を責めながら、復讐の刃を納める。盛遠を殺したからって、どうなるもんでもなし。

 トド様とトウコの競演、てすげー豪華だ。
 しみじみ。

 このふたりのこってりした芸風は、合うんだよなー。元祖雪組芝居っていうか。
 トウコは下級生時代何度もトドの役をやっているしねー。トドのトップお披露目時は単独3番手で悪役やってたしねー。
 そーいや「トウコの涙がトドを動かした」ってのもあったよなあ、昔。
 新公を見に行かないトドが、そのときばかりは見に行った。何故か。「だってトウコが泣くんだもん」……グラフかなんかに載っていた話。
 本役のトドが、トウコになにも教えてやってなかったらしい。で、トウコが「どうしてなにも言ってくれないんですか」とマジ泣きしてトドを責めたという……そしてトドが降参したという……。
 今から思うと、すごい話だニャ。

 日本物の、トドの美しさときたら。
 遠藤盛遠、キャラのイタさはともかくとして、問答無用に美しい。

 日本物の、トウコの美しさときたら。
 渡辺亘、キャラのまぬけさはともかくとして、問答無用に美しい。

 そしてどちらも、泣きの演技に突入だ。

 亘の慟哭と絶望。
 いやあ、トウコに被虐キャラをやらせるなんて、GJっすよ!!

 そらした喉の美しさ。
 儚さ。

 このワンシーンだけでトウコファンは何杯でもおかわりできるでしょうよ。

 盛遠はその場で髪を切り、出家する。
 同じ慟哭演技でも、彼は儚くはならずに武人らしく生き方を決める。
 骨太な美しさ。
 あー、やっぱトドはいいなぁ。彼のハッタリに満ちた芸風が好きだ。

 袈裟御前があまりにこわかったうえに、彼女が死んでからの男たちの泣き演技の華々しさに、印象が見事にバラバラ、
「えーとソレで、コレってどーゆー話だっけ?」
 とゆー、混乱に満ちた作品。

 まさにカオス。

 イベントにて、ノリだけで上演するに相応しい作品だったと思います。

 混乱のまま幕。第1部終了。


 逸翁デーSP『清く正しく美しく』、第2部はOGコーナー。
 あまりにイベント続き、あまりに出演続きの人たちについては、言葉はない。すごいことはわかるが、正直もうありがたみに欠ける。

 つーことで、めずらしい方の人たちについての感想。

 マミさんが、素顔だ。

 真琴つばさが、素顔で宝塚大劇場の舞台に立っている。歌っている。違和感ナイ。
 派手な衣装と、「間奏でやることがないので、手拍子お願いします」と言う、言うことがゆるされるキャラクタも、現役時代そのままに。

 マミさんだー。喋れる人だから安心だー。

 歌唱力はともかく、エンターティナーとして安心していたのに、喋り部分で彼はやってくれた。
 次の出演者ヤンさんを紹介するはずが、声高らかに「次は、安奈淳さんです!!」

「ヲイ、ちょっと待て」

 観劇中に私語などもってのほかだが、思わず声に出して突っ込んでいた。や、わたしだけじゃない。劇場中から、声が上がったって。

 安奈淳と安寿ミラ。「安」しか合ってねーっつの。

 コレは、痛い。痛すぎる失敗。
 マミさんは狼狽し、その場に崩れ落ちた。

 土下座して謝罪。

 ヤンさんがいるだろう下手花道袖に向けて。

 爆笑渦巻く舞台に登場し、何事もなかったかのように「かわらぬ想い」を歌わなければならないヤンさんに同情。客席も、気持ちを切り替えようと努力している。努力はしているんだけど……な微妙な空気。
 いい歌なんだがなあ、「かわらぬ想い」。

 ヤンさんは外部の舞台でも見る人だし、また客席でもよく見かける人なのであまりなつかしさはない。相変わらずきれいな人だ。そして、マミさんのものすげー失態についてのコメントもナシ。クールだ。
 無料配布のプログラム、OGさんのみ写真入りなんだが、他のみなさんショーの写真なのに、ヤンさんだけ芝居、しかもブラック・ジャックなの。きらきらしい羽やらスパンコールやら付けた写真の中にひとりだけ、沈み込んだ芝居写真。だって正塚芝居だし。しかも、よりによってブラック・ジャック。コスプレですがな。
 芝居の歌を歌う人たちは他にもいるのに、何故ヤンさんだけこんなマニアックなことになってるんだ……(笑)。

 びっくりしたのは、杜けあき氏。舞台でこの人を見るのはひさしぶりだったんだが、変わらぬ豊かな歌声。
 うわああ、ギャツビー大好きだったよお。名曲「朝日の昇る前に」を、カリンチョさんの声で聴けるなんて。じーん。この作品、古代みず希さんの芝居巧者ぶりも際立ってたよなあ……そしてトドの美形執事ぶりも。トドがあの彫刻のような美貌で、無表情に淡々とアドリブでなにかしらやらかすのが、ものごっつーたのしかった……。

 しかしカリンチョさん、歌い終わった後がいかんかった……もんのすげーハイテンションで、空気読まずに喋りまくる。いつまで喋るんだろう、どこまで行くんだろうと、びっくり眺めてしまったよ。

 ゲストコーナーでいちばんおどろいたのは、マミさんの失言でもカリさんのマシンガントークでもなく、一時代を築いたOGたちの歌声でも存在感でもなく、カリンチョさんの、退団学年だ。

 研13て!!

 当時カリさんといやあ、親父トップの代名詞。大人の男、おっさん役まかせろのラテン・ラヴァーだったぢゃないですか。大石内蔵助やって卒業していった人ですよ?
 それにカリさん、4年トップやったよね?
 んじゃ、トップ就任時は研9とか10とか?!
 えええ、あんなに老けてたのにぃ?!

 研9とか10って、キムやほっくんぐらいの学年だよね。
 そして、タニちゃんが今年、つーか来年度研13だよね。
 キムやほっくんが新公卒業すぐに単独2番手になって、今年トップになる、くらいの感覚。
 タニちゃんが今の学年で「トップ生活4年目ですがナニか?」くらいの感覚。まとぶでもいいよ、同期だから。

 ……ありえない、時代のズレ。

 タカラヅカに限らず、現代の若者は成長が遅いよね。昔は24歳とか「大人」だったけれど、今はまだ「若者」であって「大人」ではないものね。
 25歳で行き遅れ、30過ぎたら高年齢出産だったあの時代、20代後半でトップ、30ちょい過ぎで退団、というのは「タカラヅカのトップスターは婚期をあきらめなければならないんだな」と思わせたもんだ。

 今の時代、30半ばで退団したって人生ふつーにこれから、だもんなあ。

 世の中的に旬な年齢が上がってきているもの。前にも書いたが、数年前のドラマ『やまとなでしこ』で究極のモテ女として描かれた松嶋菜々子演じるヒロインが28歳の設定だったくらい、昔と今ではチガウもの。
 杜けあきがトップをやっていたよーな時代なら、25歳過ぎれはババア認定、28歳ならどんなに美人でも28だというだけで周囲から後ろ指さされる設定になるところだ。

 世の中がそうだから、ジェンヌの学年が上がるのも自然の成り行き。
 5年くらい若者の成熟が遅れているみたいだから、ジェンヌも+5学年でいいんだろうさ。

 
 歌はよいのだけど、逸翁デーでナニがつらいかって、逸翁存命時の思い出、のあるOGのトークほどつらいものはない。

 興味がないとか、そんな人知らないとかゆーわけではなくて。

 たんに、5W1Hを理解せずに喋る素人の繰り言を聞きたくないだけなんですよ。

 When、Where、Who、What、Why、How。
 いつどこで、誰がなにを、なんのためにどうしたか。
 この「人に伝えるための基本中の基本」を知りもしないで、だらだら垂れ流されるお喋りが苦手。

 扇千景さんとか、政治家なんだから5W1Hぐらい、わきまえて喋ってくれるだろうと勝手に思っていたんだけど、無理だったらしい
 本人のアタマの中だけで辻褄のあった話をされても、あなたのアタマの中が見えないしアナタの半生も知らないから、わかりよーがないよ。
 もちろん想像して補完するけど、んなもん、客がすることじゃない。

 逸翁イベントは、毎年同じスライド上映と、最悪な「教祖様を讃える宗教ソング」と、まともに話すことの出来ないOGのトークを長々と聞かされる、この3点がつらくてつらくてしょーがなかった。
 OGのトークも、プロの司会者がいれば彼女たちが組み立てることの出来ない5W1Hを、司会者が「それは**が**したということですね」とか「それを言ったのは誰ですか?」とかいちいち翻訳したり、文章を組み立ててくれただろーに。それすらないからなー。垂れ流しだもんなー。

 とまあ、おばあさま方のトークはとほほでしかないんだが。

 深緑夏代さんという、カケラも知らない「昭和10年初舞台」というおばーさまの、歌に涙が出た。

 「逝きし人達」というシャンソンで、いろんな「もういない人たち」の名前が歌の中に出てくる。
 朗々と、決してしめっぽくなどなく、飄々とした明るさや茶目っ気すらある歌声なんだが、泣けるのよ。

 いつか、人は死ぬ。
 いつかみんな、いなくなる。
 それがかなしみだけでなく、とてもあたたかいキモチで歌われている。
 いつかまた、会えるよ。
 生まれてきたことすべてを肯定し、生きていくすべてを肯定し、この世のすべてを肯定する。

 いやあ、ありがたい歌声だった。
 こういう人をもあったりまえに内包している、タカラヅカってのはすごいところだ。


 今さら言うことでもないが、わたしは轟悠ファンだ。

 今さら言うことでもない、のは、わたしの気持ち的にな。

 あれは今から19年前。……目眩がするほど大昔だが、わたしからすりゃーついこの間のことじゃ。よぼよぼ。
 うっかり轟悠の美貌にハマってしまい、そのやんちゃな芸風に心躍り、機嫌良く彼を眺めるためにタカラヅカへ通っていたさ。
 友の会すら入らず、機関誌も買わない、ましてやFCには恐怖感しかなく(なんでお揃いの服着てるの? こわい団体! 目を合わさないようにしなきゃ! ……てなもん)、チケットの買い方もわからないまま壁にぶちあたりつづけていた、そんな初心者ファンライフ。
 舞台の隅っこにいるトドをオペラグラスで追いかけ、ドキドキしていたさ。
 数少ない出番を見逃さないよう、まずプログラムを買って、出演場面には蛍光マーカーで印を付けた。踊る男Bとか、10人以上いる役だと、短い時間で探しださなきゃなんないからねー。
 端までスポットライト当たらないことだってあたりまえにあるし。トドは1列目の端とか、2列目の端寄り(真ん中にはいない)あたりにいることが多かった。真ん中のスターさんを見ていたら目に入らない場所。おかげで、映像にはほとんど残ってない。この場面、トドも出てるのに! 端の方で踊ってるのに、ぜんぜん映ってない! ……が、あたたりまえ。

 そんなところからスタートして、気が付くと19年経っていた。

 トドのことはずっと好き。
 あまりに「好き」でいることが日常なので、なんとも思わない。

 『清く正しく美しく』で活躍するトド様を見ても、ときめくことはない。

 第1部の芝居で主役を務めたっつーに、第3部の歌謡ショウでもやたら登場。
 各組2・3番手の男前たちを両側にはべらし、4組分歌い継ぐ。
 若者ふたりの間にトド様。キムやれおんとも並んぢゃうんだー。

 トドかいるから絶対にトドを見なきゃ、とは特に思わない。
 ファンだけど。
 見るとか見ないとか、とくになにも考えることなく、そのままを受け止めている感じ。

 トド様が相変わらずきれいで、あいかわらず野太い声で、あいかわらずの重い芸風で、舞台にいる。
 それはすでに日常だから、とくになにも思わないし、ときめきもない。

 だけど、うれしい。

 特別彼を見なくても。オペラグラスでガン見したり、一挙手一投足を追いかけたりしなくても。

 ああ、いる。
 それだけのことを、うれしく思う。

 や、トップ専科としてのトドの使い方云々とかゆー話とはまったく別な。
 組トップを差し置いて、通常公演で主役級の扱いをされ続けることの是非とか、そーゆー話ではなく。

 彼の扱い云々とは別の次元で、彼がいることは、安心でありよろこびであるんだ。わたしには。
 ずーっと好きでいたから。ずーっと好きでいるから。

 変わらないモノという、「ファンタジー(嘘)」を愛している。

 変わらないモノなんて、この世には存在しない。
 トドも変わり続けているし、わたしも変わり続けている。

 それがわかっていて、わかっているからこそ、ファンタジー。
 嘘だと知りつつ、絵空事だと、男役は女が無理してわざわざ男を演じているありえない存在だと、わかったうえで夢を見る。夢に酔う。
 「タカラヅカ」という虚構をたのしむ。

 轟悠は、タカラヅカだ。

 端的に、タカラヅカだ。

 わたしを19年、この夢の花園に足を止めさせる(てゆーかどっぷり浸らせる)「タカラヅカ」という嘘の世界を象徴する、そーゆー存在だと思う。

 わたしより上の世代の人にとって、ソレが鳳蘭なのかもしれないし、あるいは深緑先生なのかもしれないね。

 今のトップスター、オサ様やあさこちゃんやトウコちゃんが、今と未来の人たちの「タカラヅカ」になるのかもしれない。

 退団したあとも、なにかっちゃーイベントに戻ってきて、男役時代の歌を歌って。
 戻ってきた彼らを見て「あのころ」にタイムワープして。
 若かった自分自身ごと、愛しく想う。

 ヅカファンとしての濃度が変わっても、卒業してしまったとしても。
 「タカラヅカ」として、刻まれるタカラヅカ・スター。

 わたしにとっては、轟悠。

 だから、いてくれる、それだけでうれしい。

 や、ほんと、ときめかないけどな(笑)。
 我が家のおとーさん的ポジション。長生きしてね、元気でいてね、みたいな。今さら彼氏にも旦那にもなれないけど、大切だよ、みたいな。

 ディナーショーに行く金はないが、彼の出る舞台は全部観る。観たいと思う。
 彼の「タカラヅカ」としての力を信じている。その心地よさを知っている。

 最近はイベントが多くて、そのたびいつものOGと、いつものトドロキを見ている気がする(笑)。
 まったく、タカラヅカはすごいところだ。
 こーやって、受け継がれてきて、受け継いでいくんだものな。

 2・3番手とのメドレーの他は、イベントのトリのソロ、持ち歌来ました「雨の凱旋門」。
 好きだよ、この歌を歌うトド様。
 枯れていて(笑)、色っぽくて。


 トップが代替わりしたり、組替えがあったり、したわけなんだが。
 その「新しい布陣」での最初の舞台だったりするんだが。

 変だなあ。
 『清く正しく美しく』では、その「新しさ」を特に感じなかった。トップに関しては。

 ずらりと並んだトップスター。
 オサ様、あさこちゃん、トウコちゃん、水しぇん。

 えーと、この並びははじめてで、とても新鮮なはずだよねえ?

 わたし的には、なんかとても馴染んでいてフレッシュさはないっす。

 たぶん、当然だと思えるからだな。

 彼らがトップスターであることに。
 トップになるべき人が、正しくトップスターをやっている。

 それだけのこと。
 だから、とても「あたりまえ」に思えてしまって、新鮮味がない。こまったわー(笑)。

 そこにそれぞれ、彩音ちゃん、かなみちゃん、あすかちゃん、となみちゃんと揃うともお、華やかで美しくて、拝んでしまいたくなるほど眼福です。

 これまでのトップコンビも好きだったけれど、これからもたのしみだー。

 
 でもって、2・3番手たち。
 多少顔ぶれが変わっているんだけどなあ。

 まとぶと壮くんが一緒にいる。
 …………。
 まあ、そんなもんかと思う。
 今までもイベントでは同じ3番手グループにいたわけだから、違和感がない。
 このふたりが、これから同じ組で同じ舞台で芝居したりするんだよなあ。……壮くんのキャラがツボなわたしは、ソレを想像するだけでたのしい。

 キムとゆみこが一緒にいる。
 …………。
 なんかこのふたり、似てる。なんでだろ。そっか、首がないところが似てるんだ。と言ったら、nanaタンにしかられました。やべ。
 雪組ゆみこに違和感ナシ。地味にならないことだけを切に祈る。

 しいちゃんとれおんが一緒にいる。
 …………。
 あれ? すずみんは? すずみん、出てたよね? 1部の日舞で見かけたぞ。
 今まで、すずみんはれおんとコンビ(『恋天狗/おーい春風さん』とか『それでも船は行く』とか)だった。最近では、しいちゃんと2個イチだった(『ネオ・ダンディズム!』とか『ヘイズ・コード』とか)。
 なのに今ここに、すずみんはいない……。
 すずみんの出番、まっつと同じなんだ……。まっつっていちおー、花組5番手?(5番目? 順位外?)そのまっつと同じにしか、出番がないなんて。
 今までのイベント物では、わずかでも1場面もらったりしてなかったか?
 なのに今回、背景扱いなの?

 なにがどうじゃないけれど、その事実にしょぼん。
 れおんがどうとか、しいちゃんがどうとかゆーことではなくて。

 ここにすずみんがいない、そのことがショックだった。

 変わっていくんだなあ。
 「新生」って、「代替わり」って、「組替え」って、そーやって変化しながら、進んでいくんだよなあ。

 トップ娘役と2・3番手による歌い継ぎを見ながら、トップスターたちのソロを聴きながら。

 「逸翁讃歌」という、心の凍り付くような「教祖様を讃える歌」を、それでも真面目に歌う全出演者たちを眺めながら。

 心から、祈るよ。
 みんなみんな、しあわせなタカラジェンヌ人生を送れますように。

 競争社会であり、ピラミッド型スター制度を取っているカンパニーなのだから、横並び一列でゴールを切れるはずがないのはわかっている。
 だがそれでも、それぞれが納得の出来る、幸福なジェンヌ人生を送って欲しいと、切に思う。

 
 トップのソロ曲は、なにがどうなってその曲に決まっているのかわからないけれど。

 「花に散り雪に散り」を歌うトウコちゃんに感動!!

 いやあ、トウコちゃんこーゆーくどいハッタリ系ソング、似合うよね〜〜!!
 本役のカリンチョさんが出演している舞台で、現役生が歌うことになるとは思ってなかったよ。

 なつかしいなあ、『忠臣蔵』。
 旧大劇場最後の公演。
 千秋楽の日は「混雑するからムラへ来るな」てな意味の張り紙が、わたしの最寄り駅(宝塚駅にじゃないよ。宝塚からはるかはなれた大阪の、小さな某駅だよ)にすら貼ってあったなあ。あのころはライトヅカファンだったので「トップ退団の千秋楽っていうのは、阪急沿線すべての駅に『混雑するから来るな』って注意書き貼るもんなんだ」とのんきに感心してたっけ。
 んな張り紙、あとにも先にも見たことないって。
 大劇場最後でトップスター退団、ほんとにビッグイベントだったんだよなあ。

 オサ様の持ち歌「愛と死の輪舞」を聴けたことに感動。
 あああオサ様好き、トート様好き。
 オロオロ取り乱しちゃうくらい、うれしかった。

 てゆーか、なんでオサ様だけ持ち歌なの? 他のトップはみんな持ち歌以外なのに。
 ソロの選曲は謎だが、とにかくうれしい。

 春野寿美礼、ダイスキだ。
 ひさしぶりに会えたオサ様に、「わたし、オサ様に飢えてたんだなー」と漠然と思う。

 すばらしい歌声に、「……コレ、水くんも歌うんだよね……が、がんばれ」と、改めて思う(笑)。
 水しぇんのソロ曲は「さよならは夕映えの中で」でした。トップ・ソロの先頭。えーと……ははは、水しぇん歌はほんとやばいよね。やばいけど、好きよ。その歌声ごと。

 
 トップスターはみな、トップスターらしい。
 納得の華と実力。
 彼らが一同に並ぶ様は見応えがあるさ。

 そしてさらに、彼らのソロ場面からずーっと閉められていた本舞台カーテンが開いたソコには、大階段を埋め尽くす全生徒たち!!(のぞく宙組)
 てっぺんまでぎっしり生徒。
 音楽学校生たちまで総動員。
 花道にもみっしり生徒。

 壮観。

 これぞ、記念イベントの醍醐味。


 大階段を埋め尽くす全生徒たち!!(のぞく宙組)
 てっぺんまでぎっしり生徒。
 音楽学校生たちまで総動員。
 花道にもみっしり生徒。

 壮観。

 これぞ、記念イベントの醍醐味。

 と、前日欄と同じ文章引っ張ってきてます、『清く正しく美しく』ラストパート。

 みんなで歌おう「逸翁讃歌」。

 てっきり素顔+袴姿だと思っていたのに、舞台化粧+黒燕尾と白ドレスだーーっ!!

 きゃっほー。

 わたしの第一目的は、まっつを探すこと。

 まっつどこだまっつ!!
 すぐに見つかった。上手花道。

 ゆーほさとるの隣!!

 花道は男女交互に並んでいたので、間に女の子ひとり挟まってるんだけど、男役としては隣同士!!

 ゆーほとまっつが同じフレームに入る! やーん!!(かなりうれしいらしい)

 そう、わたしがナマにこだわるのは、わたしが見たい人は、テレビに映らないから。

 まっつを探してガン見する。それが、いちばん強い原動力。

 ……なんだけど。

 
 こまった。

 わたしはどうも、贔屓だけを見ていればそれで納得、とゆーのができないらしい。

 あれほど「まっつを見る」と決めていたのに。

 どうしてまた、点呼取ってるんですか?!

 大階段をオペラグラスで丹念に眺め、下級生のカオを確認、点呼を取っていく。
 みんな楽譜見るのに必死だなあ。
 みんな下を向いて、重い付け睫毛が目を覆い隠している状態だから、前を見て歌っている子は目立つ。

 不思議だ……何故まぁくんが、前を向いて歌ってるんだ? 歌、得意じゃないのに。暗譜してるの? キミが? そーゆーキャラだったのか?

 まさきが必死に前を向いてアピっているのも、マギーが「当然ですが、なにか?」とキラキラ光線を発しているのも、だいもんがちゃっかり前を向いて歌っているのも、予想の範囲。

「めぐむはどうだったの?!」
 と、公演後劇場前で待ち伏せしていたnanaタンに聞かれましたが、めぐむはふつーに歌っていたよ。楽譜を見たり、顔を上げたり。
 ひとりだけにょきっとでかいから、目立つよね。宙組いないし。

 下級生チェックに必死になりすぎ、途中ではたと我に返る。

 なにやってんのよあたし! まっつ見なきゃ、まっつ!!

 と、あわてて花道のまっつを眺める。

 でもなあ、まっつずーっと楽譜ばっか見て歌ってるんだよなあ。カオ上げてくんないんだよなあ。

 また、まっつ眺めるのにあきて、点呼に戻る。

 なんでそのかはいつも、まっつと反対の場所にいるのよ。同期なんだから並べてよ、近くに配置してよ。
 まっつを見ているとそのかを見られない。それがくやしい。それが残念。
 ……それでも、そのかのいる下手花道も見る。点呼をする。

 花道は男女交互に並べられているのに、根本の方に行くとそれが崩れるのね。娘役が団子になっていたりする。このあたりの学年は、女の子の方が多いんだな。

 本舞台の隅も眺める。点呼をする。
 すずみん、こんなところにいるんだね。なんかすずみんがすごくなつかしい……見られると思っていた人を見られなかったためだろうな。
 82期まで本舞台、83期から86期まで花道、87期から大階段?

 真ん中は見ていません。

 潔いほどに。

 ごめんよ、オサ様もトウコちゃんも水くんも見てないっ。
 だってそんなヒマなかった。
 彼らはスカステで映してくれる。当日内に放送があるんだもの、わたしのオペラグラスよりずーっとずーっとアップで映してくれるはず。
 今はソレより、「今」しか見られないモノを見なくっちゃ!!

 つーことで、点呼。
 大階段、花道、舞台端。

 そしてまた、はっと我に返る。

 なにやってんのよあたし! まっつ見なきゃ、まっつ!!

 と、あわてて花道のまっつを眺める。

 花道のまっつを見て、大階段に戻り、またあわててまっつを見て、また大階段を見る。
 オペラグラスが高速移動。

 酔った。

 乗り物酔いと同じ。揺れる視界に、気分が悪くなる。

 植爺イベントのときは、まっつがいなかったから誰を観るということもなく、端から順に点呼をして行けたんだわ……まっつがいたら、こんな大変なことになるんだ……くらくら。

 なんて罪作りなの、まっつ!!(オマエが多情なだけだろ)

 花道のまっつって、なんかいいなあ。
 新鮮だなあ。

 ほら、花道ってば、終演のときぞろぞろと袖に引っ込んでいくでしょ。
 で、カーテンコールがあると、あわてて走り出てきて所定の位置に着き、幕が下りるタイミングに合わせてまた袖に走り去る。

 まっつが走ってるー。やーん、かわいー。(なんでもいいらしい)

 もっともっとカテコがあるかと思った。OGさん呼んで喋ったりするかと思った。
 が、とても淡々と終わった。
 時間が押してたのかな?

 カテコが繰り返されれば、走るまっつをもっともっと眺められたのになぁ。残念。

 にしても、あのクソ長い「逸翁讃歌」が、点呼を取っているとあっという間だったよ……「えっ、もう終わり?!」で、トップさんのソロとか、あのイタイ歌詞とか、ぜんぜん聴いてないよー。

 
 逸翁デーという催しはいつも微妙だと思ってきたけれど、逸翁という人がいてくれたから、タカラヅカがあるのだから、感謝しているよ。

 こんなにこんなにダイスキになれるものを、創ってくれてありがとう。
 大好きな宝塚歌劇団が、100周年、200周年、続いていきますように。


 確率はどれくらいだったんだろう、と思う。

 宝塚友の会の、会員先行抽選。

 たとえばさあ、先日の「音楽学校文化祭」。
 わたしはどりーずの仲間たちに半強制的に協力を依頼し、「ダブっても全部引き取るから、複数回観る気満々だから! てか、1枚だけでも当たれば御の字だから!」との願いを込め、ドリーさんはこの日時、kineさんはこの日時、とゆーよーに振り分けて入力してもらったですよ。

 結果は、全滅。
 1枚も当たらないさ。

 友会で抽選販売のみ、つーの勘弁してほしいよほんと。一般発売してくれよ……。
 89期からずっと観てきたんだが、去年からだっけ、一般発売がなくなったのって? まあ、文化祭であって身内が観るモノだから、市場に出回らないのは仕方ないが……。

 文化祭なんて、興味のない人にはほんとに興味のない催しだと思う。
 わたしも長年スルーしてきた。身内以外の人が観られるって、知らなかったし。
 入力総数はそれほど多くない? ただ、当選枚数が少ない?

 さて、倍率にするとどうなったんだろう?

 
 某協会の会報誌掲載プレゼント抽選は、倍率発表があるの。

 わたしはいつも宝塚歌劇チケットに応募しているんだが、当たったことはほとんどない。
 それもそのはず、ものすげー倍率なんだ、タカラヅカ。
 応募総数は5桁軽く行ってたかな。それで50組とかの当選者数じゃ、まず当たらないわなー。
 他の演歌歌手主演の特別公演だとか、それほど有名どころでないクラシックコンサートだとかとは、倍率桁違いだよ。
 でも、年2回くらいあるタカラヅカのチケットプレゼントには、果敢に挑戦しつづけている。
 ハズレ続きでも、倍率を公表されているので、納得してしまう。そして、どんなに倍率が低くても、演歌歌手公演とかにエントリーしようとは思わないもの。タカラヅカがいいの!!

 
 友会でも、倍率発表があればいいのに。

 全公演全日程、まんべんなく。

 あら、この平日3時開演は倍率0.7だわ。じゃあ入力したら絶対当たったってことね。
 サヨナラショー付き千秋楽、倍率5521486? んまぁ、これじゃわたしが当たるわけないわね。

 ……とかさー。

 大劇場平日公演も入力してるのに、それでも全滅とかすると、なんで?というキモチになるが、倍率発表があれば納得。
 なんでもいいから当たって欲しいときは、次から倍率の低そうな日時と席種にしてみるとか、対策も立てられるのに。

 応募総数ではなく、倍率のみ。
 人数だとか友会席が何枚あるかとか、知られてはならないことがいろいろ多そうな劇団なので、そのへんは公表しなくていい。
 倍率がえらく高くて不思議な日時、実は友会席が極端に少なかったり? でもそんなことまで倍率だけではわかんないよね。たまたまかもしれないし。
 倍率全部公表。友会はズルしてませんよ、ほーらこんなに倍率が!とアピールできるぞ。

 と、他愛ない夢を見る。

 去年のトップ退団ラッシュ、千秋楽倍率とか、どれくらいあったんだろう……ぶるぶる。

 まあ、倍率公表したって、数字は操作できるから意味ないかもしれないけどさー。
 
 なんにせよ。
 当たらないなあ、友会。


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