えーと、あのー。

 ふみか2番手?!

 花組WS『蒼いくちづけ』にて、2幕でふみかが演じるデイヴ役は、小池作品定番の悪役。

 ブライアン@『LUNA』、ミハイル@『薔薇の封印』、リチャード@『MIND TRAVELLER』etc.
 夢は、世界征服。
 とゆー、愉快な人たち。

 だが21年前に書かれたこの『蒼いくちづけ』では、デイヴは世界征服まで考えていない。
 ただの音楽関係会社の社長で、金の力でアイドル志望の女の子をモノにしよーとするだけの、セコいすけべオヤジ。
 や、あと10分上演時間が長かったら、世界征服ソングを歌っていると思うけどね! 「悪=世界征服」というキャラ立てしかできない人の作品だし!(笑)
 そして観客も「お約束」をたのしむ領域にまで来ているから。小池作品に関しては(笑)。

 その小池定番悪役を演じるふみかの、かっこいいこと。
 やーん、色男〜〜。

 1幕ではヘルシング教授@白髪のヒゲじじいだったんで、ふみかは相変わらずじじい専科かあ、と思って観てたのに。
 なによー、色男役なんじゃん。

 ぱーんと出てきて「あ、この人悪役(重要キャラ)だ」とわかる華と存在感。
 1幕のじじいと同じ人には見えなくて、せっかく「同一人物」「何度生まれ変わっても敵」という設定が生かされていないような?
 まあ、バウを観に来るよーなコアなファンは、ヒゲのじじい役でもそれが誰だかわかって観ているんだから、べつにいいのか。

 世界征服ソング歌って欲しかったなあ。
 きっとすげー胡散臭くてかっこいいぞぉ(笑)。

 
 てゆーか、観るまではめぐむが2番手だと思ってたんだよ。
 初演ではマリコさんの演じた役がめぐむの役だって、どこかで聞いたし。
 ……。
 えーとえーと。
 ……めぐむさん……。

 めぐむ氏があまりに地味でびっくりした。
 いやその、華勝負のキラキラタイプでないことはわかっているけれど、ニコラ@『落陽のパレルモ』新公とかDJ@『MIND TRAVELLER』とか、与えられた役目に相応しいだけの華やかさはあったじゃん。
 どんな役でもTPO関係なくキラキラしてしまう、てな人じゃなくても、華や輝度を含め、空気に合わせた「仕事」をする人だと思っていた。

 脇には脇の、主要キャラにはそのキャラに相応しい「華」ってもんがある。脇のときはむやみやたらの輝きを抑え、周囲と同系色になっていいけど、真ん中グループの役なら脇と同系色じゃダメだって。
 どういう立ち位置の役なのかを、その輝きで教えてくれなくちゃ。

 1幕2幕通していちおー、主役の「恋敵」役でしょう? や、2幕はいてもいなくてもいい役だとしても、立場的には主役たちに対立するという、オイシイ立場。
 なのに何故、あんなに地味……?

 それでも1幕はまだよかった。気弱だが誠実な医学生。
 無骨な持ち味が合っていないわけでもなかった。……その、もう少し甘さのあるハンサムでもいいんじゃないかとも、思ったけど。
 男は金でもルックスでもない、って感じで、ハートフルでよかったけれど。

 しかし2幕は。
 実力無し、華とルックスだけのアイドル役。

 出てくるだけで劇場内を釘付けにする華と押し出しの良さが必要。

 ……うわー。
 なんか、えらいことになってるっす。

 めぐむ氏が「自分と対極にあるキャラクタ」を演じようとして、盛大にスベってます。

 い、痛々しい……。

 この役をよりによりってめぐむにやらせるイケコもすげえよな……てゆーか、これまでのキャスティングを見ても小池氏がめぐむびいき(歌手属性キャラ好きだよね)なのは見当がつくけど、それにしても柄違い……。
 た、大変だな、めぐむ。
 強く生きてくれ。

 いやその。
 ぶっちゃけ萌えですが。
 めぐむ氏の自爆っぷり(笑)。

 
 そしてこの役、いっそアーサーで見たかったなと(笑)。

 いまいち表情の乏しい、温度の低いアーサーが、テンションぶっちぎりでアホ男を演じるトコが見たかったなー。

 
 ルナくんとはるくんはうまいしかわいいし。
 てゆーか、ルナは『アデュー・マルセイユ』で少年シモン役をやっていたのでうまい子だってわかってたけど、はるくんってこんな子だっけ?
 ビジュアルも演技も、なんかすげーイメージちがって。その、わたし的に。
 『MIND TRAVELLER』をえんえん観ていた身としては、あの固い演技や無理のある男役ぶりが印象きつくて。
 なんだ、こんなにうまい子だったんだ?
 まあ、男役と子役は別カテゴリ、外部のミュージカルを見ても女性が子どもを演じるのはいくらでもあることだしアイドルだって子役ならふつーにできちゃったりするんだから、子役がうまいからといってどうこう言うのは早計かもしれないが。
 1幕も2幕も子役、どっちもかわいくてうまかったっす。
 んでルナくんは子役と女役かぁ。WSでくらい、大人の男を演じる練習をさせてあげてほしかったなぁ。『アデュー・マルセイユ』で子役がうまいことはわかったんだからさ。

 
 驚異の新人、レンフィールド@真瀬くんは、『花の道より』とかなんとかゆーイベントにて、大階段の上に勢揃いさせられた音校生のなか、ただひとり「夜明けの序曲」のソロを歌った子だよね? や、わたしの記憶ちがいでなければ。
 口跡の良い、よく通る声だな。
 すごいうまいんだけど、ちょっと演技がひとりよがり?
 まだ研2だもんな、これから外見ともども磨かれて、どんどん美しく巧くなっていくんだろう。
 たのしみだー。

 こういう子に、本公演……せめて新公でいいから、活躍の場が増えると良いな。成長にはなんつっても経験だもの。
 若く、吸収のいい時期に、正しく育てて欲しいよ。モブのままとかじゃ、もったいない〜〜。
 

 花組WS『蒼いくちづけ』……えーっと、前半のAチームの感想っす。

 ヒロインのきらりちゃんは、納得の美しさ、愛らしさ。

 きれーだー。
 他はともかく、ヒロインが「美貌」でないと成り立たない芝居なので、きらりの美しさが説得力。

 つかやっぱ、華やかだよね、きらりちゃん。
 ヒロインであるということが、よくわかる。
 1幕のルーシーは、「典型的タカラヅカのヒロイン」。小細工ナシで演じるしかないってくらい、正統派でど真ん中。……って、たぶんソレ、いちばん難しいことだし。
 美しいこと、可憐であること、清楚であり、気品があること。一歩下がって男の邪魔にはならず、されど依存しすぎたりなよなよし過ぎてはいけない。……て、ハードル高すぎだっつの。
 でもそのハードル高い、「いねーよ、そんな神バランスの女」を求めるのがタカラヅカ。

 きらりちゃんは真正面からよく取り組んでいたと思う。
 「お姫様」を演じられること……それは大切な資質。もともとの持ち味は姫系ではないと思うけれど……だからこそ、それに取り組むことが大事。

 歌もがんばってた。
 きらりとゆーと、たとえ一小節でも、声を発すると「あ、今のきらりだ」とわかるくらい壊滅的てのが定説だったのに(笑)。
 きらりなのに、ふつーに聴ける。
 すごい。がんばったんだな。すごいすごい。
 声がきれいだから、ふつーレベルに歌ってくれるだけで、あとは美貌の助けを借りて、ヒロインとしてはぜんぜんOKな歌声だ。

 2幕のヴィーナス役は、若さと勢いでやれてしまう役。男役が子役を演じやすいのと同じで、元気な女の子役は基礎技術力が低くてもそれなりに見えるよーにはできる。
 ふつーにかわいい女の子だったよ、ヴィーナス@きらり。
 ただ、この役になると頭の大きさが気になった。
 きらりちゃんって顔は大きくないのに、アタマが……後頭部が大きいんだね。真正面から見ると等身が高いのに、横から見ると低くなってしまう。
 髪型やアクセサリで印象を変えることは出来るはず。今後に期待。

 
 カーミラ@じゅりあは、期待通りの色っぽさ。
 色っぽいとか大人の女だとかいう前提とはべつに、どこか「甘さ」のある……かわいらしさがいい。
 抜き加減っていうかな。浅慮な未亡人役なんだけど、憎めない、チャーミングさがある。
 これはじゅりあの持ち味なのかな。

 2幕ではダークサイドの女役で、や、かっこよかった(笑)。
 胡散臭いの、とにかく。そして、ソコがいいんだ。
 こういう、ドロンジョ系のコケティッシュな美女がハマる、いい女だ〜〜。

 
 美人3姉妹、ルーシーの妹たちは……ええっと、いぶちゃんはいいんだが、かぐらちゃんがこわかった(笑)。
 なんで彼女は無邪気に笑っていても「たくらんでいる」系の顔になってしまうんだろう……。や、その分どこにしても目について、好きなんだけども。

 
 ちあきさんが、いい仕事してました。
 1幕のやり手ママ、2幕のやり手ママ……あれ、考えて見りゃどっちもやり手ママ役なんだ。でも、キャラはぜんぜんチガウ(笑)。

 役としてもだし、公演の長としても、ちゃんと務めていることに感動。
 って、その、『エンカレッジコンサート』のときちあきさんが長をやったんだけど、そりゃあもおボロボロで。
 こんなにテンパっちゃって大丈夫なのか? って具合になっていたから。
 それが時は流れ、こんなにしっかりしたおねーさんぶりを発揮して。

 成長する人を見るのは心地よい。

 
 んで、肝心要のドラキュラ伯爵。
 主演のめおちゃんは……。

 難しい役なんだろうな。
 男役を極め、「立っているだけで男役」な人でないと成立しない役なんだと思う。
 まず男役という技術を完成させて、その余白の部分でたのしんで役を作る感じ?

 ルーシー役が「典型的タカラヅカのヒロイン」であることで、ものすげー難しい役であるように、このドラキュラ役も難しいんだと思う。
 だからこそ、若手が勉強のために演じるのは良いことだと思う。

 主役もヒロインも「タカラヅカ力」を高めるのにうってつけの教材だ。

 ドラキュラ役を演じたことは、めおちゃんの財産のひとつになるんだと思う。……たぶん。

 今のところ、いろいろいろいろアレだが、今後の糧に、血肉になったのだと思うよ。

 背が高いので衣装映えするんだが……なんつーか、アクというかケレンミというか、こんなイロモノ的ヒーローを演じていてなお、引っかかりに欠ける気がした。
 ふつう主役は「白い役」でしどころがないもんなんだけど、形式が難しい分ドラキュラ役は「黒い役」で耽美だったりダークだったりと、濃ゆくオイシク味を付けられるはずなんだが。
 なんでこう、するっとすり抜けていってしまうんだろう。無色透明、無味無臭というか。

 せっかく1幕の恋敵ジョナサン@めぐむが薄くて地味なんだから、対比として黒く派手に存在できるだろうに……ふたりして背景色っつーのは……。
 コントラストが悪いなぁ。
 誰か派手な色を置いてよ、このキャンバス。……と、思いました……。

 でもめおちゃんは地味っていうんでもないんだよね。
 引っかかりが、ない。
 うーむ。

 歌は、「歌いにくそうだな」とゆーのが聴いていても、よくわかった。でも、がんばってた。

 素顔が美しいことを知っているだけに、その美貌が舞台ではいまいち生かされていないのがもったいない。
 つか、真っ白なドラキュラ化粧のせいだと思うが、ときどき彼がマチヲ先輩に見えてとまどったナリよ……なんでだ? ぜんぜん似てないはずなのに。

 
 なんにせよ、Aチームを観て、「後半Bチームもたのしみだな」と思える作品でうれしい。
 月組はAバージョンを観た段階で、「他のバージョン観るの、やめとこうかな……」と肩を落とすくらい、作品が肌に合わなかったのだもの。

 出演者が若手で力不足前提ならば、作品くらいはいいものをチョイスしてくれよ。両方アレだと観るのがつらいよー。


 文化祭、おもしろかった。

 『第94期宝塚音楽学校文化祭』の感想なんだけど、ハリーファンとしてのハナシなんで、94期生のハナシではないっす。

 まずプログラムを開いて、芝居のタイトルを見るなりウケた。
 あ、今年の芝居も正塚なんだ、へー、『A MONOLOGUE』かあ……。え、『A MONOLOGUE』?
 配役を見ると、「ロベール」の文字が。

 『A MONOLOGUE』でロベールとくれば、「コム水で上演希望」と言っていた、あの話?

 みんなに愛され求められるイケメン好青年のロベールくんが、真実の愛を貫いて心中する話。
 ロベールくんを愛するものたちのなかに、彼の親友くんもいて。
 この親友くんが「お前、ソレは行きすぎだろう(笑)」ってくらい、本気でロベールくんを愛していて。
 当時、ロベール@コム姫、親友ジャンポール@水で見たいと、心から思ったもんだった。
 http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1321.html
 http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1322.html
  ↑過去日記。腐女子注意報付きだ(笑)。

 萌えはともかく(笑)、よくできた話だったので、再演は歓迎だ……あれ?

 「影」ってなんだ?

 配役表を見ると、知らない役がある。
 役名全部おぼえているわけではまったくないが、「影」なんて役がないことだけはたしかだ。
 で、よく見るとタイトルには『Vol.II』とある。

 再演じゃなくて改訂版かよ?!

 「影」というからには、抽象的な役だよね。
 正塚で「影」といえば「ブラックジャックの影」……主役の心を表現しちゃったりする、重要な役。
 んな役が増えてるってことは、多少手を加えました、バグ取りしただけのアペンド版程度ではなく、まったく別物と考えるべき?

 よくまとまったいい短編作品だったのに、それをさらに作者自らの手で改編って……オギーならよくやるけど、他作家ではまれなこと。
 ハリーはどう作ってくる?
 や、ファンとしては注目ですよ!!

 はい。
 本当に、別物でした。

 『マラケシュ』が博多座版『マラケシュ』になったくらいチガウ(笑)。
 博多座版『ドルチェ・ヴィータ』が大劇版になったくらいチガウ(笑)。

 大元のキャラクタと設定、そして台詞のほとんどは同じ。
 しかし、ストーリーの切り口がチガウ。

 てゆーか……。
 主役の相方が変わっている。

 2年前の『A MONOLOGUE 無印』は劇中劇だった。
 ロベール役の青年とヒロイン・フラウ役の女の子がふたりして物語を進めていた。
 どんな風に役を演じるか、ふたりで話し合ったり。

 ところが『A MONOLOGUE 2』は、主役のロベール役の青年ひとり、彼がたったひとりで「どう演じるか」を悩む。
 彼と対話するのは「影」……もうひとりのロベール。

 スカーレット2じゃないけど、ロベールの影くんは、奔放で正直。生真面目なロベールをびしびし追い詰める。

 劇中劇の色は薄れ、他の劇団員の出番はほとんどない。
 ほんとにロベール役の青年の内面に集中されるの。
 ヒロイン・フラウもロベール役の子の「同級生」のイメージを借りているだけだというし。
 より観念的に、メッセージ性を重く、大衆性は薄くなっている?(笑)
 正塚というより、オギー芝居みたい。

 『無印』では、当時の正塚内ブームだったらしい、「舞台中央に八百屋(あるいはそれに近い)舞台を作り、出演者は全員その脇の椅子に坐り、出番以外は舞台を眺めている」という手法だった。
 正塚は当時何故この手法にハマっていたんだろう? 『BourbonStreet Blues』『A MONOLOGUE』『スカウト』と3作連続で同じ手法だと、さすがに観ている方もアキるし、首を傾げる。そうまでして同じことをしなければならないナニが正塚にあったのだろう?

 で、今回の『A MONOLOGUE』改訂版もいちおー似た手法は取っているが、2年前の3作とはチガウ。
 たしかに舞台中央に八百屋(ではないが、段のある)舞台を作り、その両端に椅子を並べ、出演者はみなそこに坐っている。
 だがその中央の舞台つーのがとても大きく、ほぼ舞台全体を使っているんだ。2年前の3作は八百屋舞台が小さくて、両脇の椅子部分も十分作品の一部・演技のうち感がとても大きかったのに。
 今回は出演者が坐る椅子がものすげー隅なので、あまりそこにいることに意味が感じられない……。
 やっぱ2年前は正塚的に「ただのブーム」だったのか??(笑)
 
 劇団員たちの物語、ではなく、主役ひとりの物語になってしまったため、他の出演者=劇団員たちとの距離が遠くなってしまったのかもしれないが……「劇団員」が自分の出番になると「舞台の上で衣装を身につける」ところから観客の目に晒され、「ライトがあたった」瞬間から「役」になり、「演技がはじまる」という手法が薄くなってしまったのは、気になる。

 この、脇の椅子にいるときから「劇団員」ではなく「役」の演技をはじめたのは、他の誰でも主役でもなく、「影」ただひとりだったんだよなあ。
 このあたりも、正塚とゆーより、オギー的印象の演出だ(笑)。

 長くなるので、続く。


 『第94期宝塚音楽学校文化祭』の感想なんだけど、肝心の94期生の話はまーーったくしていません(笑)。
 正塚晴彦オリジナル最新作『A MONOLOGUE Vol.II』の話っす。
 

 ある劇団の若い俳優たちの物語……なので、みんな「元の俳優」と「演じる役」と役がふたつある。「演じる役」に名前はあっても、「俳優」としての名前はない。
 ややこしいので、便宜上名前をつけよう。名前はてきとー(つーか、たんにわたしが観た回の94期生の本名。読み方まちがってたらごめん。つーか本名はいいから芸名プログラムに載せてくれよ)。
 

 ある劇団に所属する青年、シオリくんがいる。
 シオリくんは「ロベール」という役をどう演じるかで悩んでいる。
 そこに現れるシオリくんの「影」。彼はシオリくんにアドバイスをする。
 役を演じるにはその役だけでなく、役を取り巻く他の役のことも考えるべきだ、と。

 それでシオリくんはロベールをどう演じるかだけでなく、ロベールを取り巻く周囲の人々のことも「どんな人か」「ナニを考えているのか」を考えはじめる……。
 シオリくんの意識の広がりに呼応して、舞台にいろんな「役」が現れる。ロベールの父、そして恋人……。
 「恋人とは、どんな風に出会ったんだ?」と、影が聞くと、ふたりの出会いの話になる。

 ……『無印』では、ロベールとフラウの「出会い」は描かれていない。ふたりがすでに愛し合っており、心中するってことだけだった。

 「脚本にない部分も想像してみろ。そうやってロベールがどんな人物か埋めていけ」と言う影。言葉のまま、無印にない話が出てくるのよ。
 ヒロイン・フラウはシオリくんの同級生のイメージ。
 実在する女の子の姿を借りているが、あくまでもシオリくんが今、頭の中で作り出した架空の少女だ。

 「ロベールとはどんな人物か?」というところから発展して、他の関わりある人たちの話になるので、みんなみんな「モノローグ」なの。
 「自分が誰でどんな立場でロベールをどう思っているか・関係があるか」を出てきて真正面を向いて話すのは、そもそもコレがシオリくんの内側にある話だから。

 そうやって物語は進み、シオリくんはロベールとなり、ロベールと区別がつかなくなっていく。
 最初は「シオリくん」の影であり、「シオリくん」に対して茶々を入れていた影も、どんどん「ロベールの影」になっていく。

 「ロベールの物語」自体の本筋は『無印』と同じ、2年前の日記に書いてある通りなんで割愛。(ん? あんまりまともに書いてなかったか?)

 そして最終的にロベールとフラウは心中して果てることになり、「ロベール」の死とともに「影」も消える……。

 ちなみに、『無印』でストーリー上強引つーか、「ロベール身勝手」と思えた部分は修正され、ロベールのいい男度が上がっていた(笑)。
 『無印』のロベールくんは恋人フラウの命も自分の両親の立場もどーでもいい的身勝手さがあった(からこそ、コム姫で見たいと思った・笑)のに、今回のロベールくんは賭けるのは自分の命のみ、両親のこともちゃんと考えている「いい人」だった。

 さて、「ロベール」として死んでしまったシオリくんを起こす者がいる。
 「影」……の姿をしているが、どうやら別人だ。
 フラウ役を「好きな女の子」のイメージで話を作っていたシオリくん、どーやら自分の影も、知り合いの姿を勝手にイメージとして使っていたらしい。
 それは同じ劇団の青年、カナエくんだった。

 えーと。
 「もうひとり自分」で、「愛」と「憎」を担う相手のイメージが、何故カナエくん?!
 それってどーゆーことなの、シオリくん?! キミ、カナエくんのことどー思ってるわけ??

 現実のカナエくんは、どうやらシオリくんのライバルらしい? カナエくんもまた、「ロベール役」の台詞の練習をはじめる。ナニソレ?
 シオリくんにとってのカナエくんって? 競う相手でありながら、自分をいちばんわかってくれている人? または、わかってほしいと思っている相手?
 なんなの、そのエロい関係?!(笑)

 「ロベールの物語」に登場した人々すべてが現れ、ストレッチをしたり発声練習をしたりする。みんな劇団員らしい。
 ロベール……シオリくんを取り巻く人々はみな「ロベール役」の台詞を口にしはじめる。
 やがて舞台は次第に闇に落ち、同じ台詞を唱えていた人々は誰が誰だかわからなくなり……シオリくんもカナエくんも、他のみんなも、同じように闇に消え。
 ラストに流れるメロディ、あれは「ハッピーバースディ」?

 そして、幕。

 
 ……やー、おもしろいから、この芝居。

 演じているのがひよっこたちだから、あちこちキツイし、「登場人物22人全員に台詞と見せ場を」というものすげー制約があるため、壊れ気味なところあるが、ふつーの芝居として作り直し、ふつーに演技できる人たちでやってほしいわ。

 『無印』はロベール@コム、ジャンポール@水、だったけど。
 真面目でいい人になった『2』ではぜひロベール@水、影@キムで見たいっす。

 わたしは花担だから花組でキャスティングしたいところだが、ロベール@まとぶはすげーハマると思うが、如何せん花組には「影」役をできる役者がいない……。
 まっつは王様あたりだなー、番手的に。腹黒(で、やってることはセコい)まっつは見たいかも(笑)。

 真っ当な文化祭感想は、またいずれ。


「いいお披露目公演だったね」

 花組中日公演『メランコリック・ジゴロ』『ラブ・シンフォニーII』千秋楽。

 幕間に会ったドリーさんは、しみじみと言う。

 うん。
 いいお披露目だった。
 あったかくて、しあわせで。

 まとぶさんは「真ん中」に相応しい人だ。
 そうなるべく育てられ、そうなるべく努力してきた人が、そうあるべき場所で最大限の力を放っている。
 それはとても、しあわせなことだ。

 3週間強の中日公演、4遠征だよ、週1以上の頻度、我ながらがんばった(笑)。名古屋はホテルが安くてありがたい。交通費もがんばれば切りつめられる。……や、過酷な日々だったが。
 そうまでして通って、出待ちとか一度もしてないんで、ナマまっつを見ることはかなわず(笑)。
 千秋楽ぐらい出待ちしてみよーかなー、とも思ったが、どこでギャラリーしていいのかもわかんないし、人がいっぱいいたのでやめた。
 久しぶりに会ったmaさんやユウさんとごはんする方がいいや。……てな優先順位。maさんとはひたすら「壮くんかっこいいよねーっ」と繰り返しつつ(笑)、ごはんのあと、ナース・コスプレしているナナちゃん人形を見に行きました……。なんなのあのシュールな光景。

 
 『メランコリック・ジゴロ』千秋楽、正塚芝居だからアドリブ禁止。ヅカでよくある千秋楽ゆえのお遊びはほぼナシといっていい。

 千秋楽はファンのためにあると思っているイタいヅカヲタなわたしは、千秋楽を免罪符に好き勝手に遊ぶジェンヌを見るのも好きだ。
 なにかやってくれるかな、こう来たか! みたいな、客席と舞台のかけひきみたいのも好きだ。

 そーゆー意味で、正塚作品は楽でもお遊び一切禁止、なにか特別なモノが観られるわけじゃない、とはじめからわかっているのは、つまらなくもある。
 正塚はほんと、自分の脚本に自信持ってんだなぁ。日替わりのアドリブなんかなくても客は何度でも通うと、完璧な作品だからなにひとつ変えてはならないと、そんなふーに思ってんのかなあ。
 他の先生ではそこまで厳しい「アドリブ禁止令」があるとは聞かないので、そう思っていた、ずーーっと。

 や、正塚が自作をどう思っているかはどーでもよくて。
 また、アドリブ禁止の是非を語りたいわけでもなくて。(役者のアドリブに頼らないとどーにもならないような駄作の方が悪い。まともな作品ならば禁止は正統。しかし舞台と客席との相互作用によって成り立つライブにおいて「禁止」を謳うのはどうなのか、とか、タカラヅカ演劇の根幹に迫る命題なので、今はスルー)

 アドリブは禁止、そして今日が千秋楽、という前提において。

 台詞も演出も変わらないのに、ちゃんと千秋楽仕様になっていた。

 すげえなヲイ。

「同じものを何回も見に行くの?」
 と、ふつーの人にはよく驚かれる。
 ふつーの、というのは、ヅカファンではないという意味ではなく、舞台とかコンサートとかに行かない、という意味だ。

 他のアイドルでも劇団でも、ナマのパフォーマンス業にハマっている人たちは大抵「わかる。何度でも行きたいよね」と言うけれど、それ以外の人たちには通じない。

「ああ、MCやアドリブがちがうのね」
 と言われ、まちがいではないのでここで頷いておくが、ほんとのとこはソレだけじゃない。

 MCがなくてもアドリブがなくても、一言一句同じ台詞で同じ演出だったとしても、ナマの舞台は「チガウ」のだ。
 オサ様みたく日替わりな人はめずらしいし、そうそう毎回「今日はここがチガウわ!」と実感しているわけでもないんだが、わたしみたいなアンテナ感度悪い人間にも「チガウ」とわかることがある。
 「チガウ」ものを見た、と感じられるときがある。

 それがたまらないから、何度でも観たいし、また、「チガウ」確率の高い千秋楽を観たいと思うんだ。

 いつ観ても同じ、初日でも楽でも同じ、な舞台を作るトドロキ氏のファンだったわたしは、このことに気づくまでにかなりの時間を要したけどな(笑)。

 『メランコリック・ジゴロ』千秋楽は、いつもにも増して、えーらいこっちゃになってました。

 ハジケっぷりがチガウ。
 台詞も演出も同じなのに、それをどう言うか、どんな声でどんなシチュエーションで言うかで、まったくちがってくる。

 『ガラスの仮面』でマヤが「はい、いいえ」だけで芝居をしなければならなかったときのように(笑)、同じ台詞でもどう言うか、どんな感情や表情で言うかで、別のモノを描くことができる。

 千秋楽だから、という以前に、後半戦、回を重ねるごとにそのキライはあったが、楽は野放しって感じ。
 笑わせていい場面での、まとぶや壮くんの張り切りはすごかったっす。
 てゆーかダニエル@まとぶん、フェリシア@彩音と出会ってからしばらくまともな声で喋ってない(笑)。

 壮くんは「笑わせよう」と思う気持ちが先走って空回りしている感は大いにあるんだが(や、もともと彼演技はあまり得意ではないし)、そんなこともぶっ飛ばす勢いで走り抜けてくれた。

 反面バロット@まっつは、周囲のハイテンション用に演技を変えてはいなかったような? もう少し変えてきてもよかったのでは? ちょっと惜しいなー。
 まっつ単体ではいいんだけど、やっぱ主役に合わせるべきだと思うし。

 フォンダリ@みわさんは、我が道を行く。周囲がどうあろうと、あのままでヨシ(笑)。

 
 芝居はほっこりあたたかくて、何度見てもたのしくて、ヲトメ心がきゅんきゅんいう切なくてかわいいお話で。

 まとぶんがかっこよくて、「こんな男のコと恋愛したいなぁ」と素直に思わせるような、ステキな子で。
 彩音ちゃんが「ソレなんのプレイ? 妹萌えってジャンル?」を体現するかわいらしさで。この子に「おにいちゃん(はぁと)」って言われてとろけない男なんているのか?

 これからこのふたりが、わたしたちに極上の夢を見せてくれるんだ。オサ様が遺したモノを受け継いで、形作っていってくれるんだ。

 そして、ふたりを取り巻く、花組のみんな。

 『ラブ・シンフォニーII』では、「どこが2やねん、バグ取りすらしてへんやろ」てな演出家の怠惰をあからさまにしたアペンド版でしかないけれど、それでもまとぶんと花組メンバーが見事に盛り上げた。

 まとぶんを中心に、結束する力。
 大きな羽根を背負って真ん中に立つ彼に、素直に祝福を贈る。

 客席と、舞台のベクトルがひとつになって、きらきらした空気に満ちていた。

 よいお披露目公演だった。
 終わってしまうのが惜しい。切ない。

 ただただしあわせなキモチになれる、そんな時間だった。

 
 カーテンコールの挨拶で、上がる声援にいちいち礼を返すまとぶんが、かわいくて。
 ああ、いい人だなあ。ほっこり。

 雪担だったmaさんが「客席の反応が、組によってまったくチガウ?!」とカルチャーショックを受けていた(笑)。
 やー、客席騒いでたからねえ。歓声上げてたからねえ。雪組ではありえないねえ。
 わたしも昔雪組しか観てなくて、はじめて他組の楽とか観たら、客席と舞台のやりとりの差、反応の差にカルチャーショック受けたよ。雪組は代々ファンがおとなしいんだ。
 でもってわたしは一時期星担でもあったので、花組ファンのおとなしさにびっくりしているクチなんだが……そ、そーだよな、雪組ファンに比べればにぎやかだよなあ。

 や、どの組ファン気質がいい悪いという話ではなくて。
 そうやって組ファンに特色があるってのが、いいところなんだ。
 雪組がおとなしい、からといって「つまらない、もっと盛り上げなきゃ」とは思わないでしょ? 「おとなしいウチの組が愛しい」って思うでしょ? ……ファンってそーゆーもん(笑)。
 「さっさと帰れアナウンス」が流れてなお拍手をやめず、幕を開けさせる星ファンのアツさもステキだと思うし、それまでさんざん騒いでいるのにアナウンスが流れるとぴたりと手を止めて帰り出す花ファンも愛しい(笑)。
 個性があるから、5組ある意味があるんだ。

 相変わらずアナウンスと共にぴたりと拍手は止んで、みんなわらわら帰り出す。
 ああ、終わってしまった。

 次は本拠地大劇場での、本格お披露目公演が待っているね。
 芝居がこれくらいたのしめるものならいいんだけど。……谷せんせ、がんばってくれ。
 

 新生花組スタートが、しあわせなものでよかった。


 ここんとこのわたしのスケジュールは、文化祭観て文化祭観て中日行ってムラ新公観て……と、4日連続タカラヅカな日々。
 でもべつにソレ、変でもなんでもないのよね。だってわたしの周り、そんな人ばっかだし。

 「昨日中日観た」というジュンタンとムラで会って、「新公観る」と言われたら、とーぜんそれは宙組新公だと思うじゃん?
 同じ4日間で中日行って、文化祭観て、ムラ大劇観てバウ観て、そして東宝新公観ている人が横にいたら、「わたしなんてまだまだ」と思うよねえ。ドリーさんはわたしより先に名古屋入りして連泊して中日に通っているはずだし。
 どりーずのおかげで、いつまでもひよっこヅカヲタ気分でいられるわ。

 
 てなわけで、宙組新人公演『黎明の風』
 大ちゃん初主演おめでとー。

 
 いやあ、なんつっても吉田茂@みーちゃん。
 なんなの、あの萌え眼鏡プレイ?!

 眼鏡好きは必見ですよ。
 あの色男みーちゃんが、枯れた風情の眼鏡男を演じています。

 じじい役だなんて、そんな。
 外見からはわかりません。枯れてんなー、とは思うけれど、ビジュアルに遜色なし。だってタカラヅカだもん、美しくなくちゃ。
 高翔さんが眼鏡っこをやっているよーな感じです。もももも萌え〜〜。

 マッカーサー@ちーくんに、もっといじめられてほしかったです。
 吉田VSマッカーサーが、もっとどーんとあればいいのに。

 
 そして、役名わかんない米兵@GOが、なんかあまりにふつーにうまかった(笑)。
 ひとりだけ本公演みたいなんですが。本役ともちまんまの役作り、といってはなんだが、違和感なく存在している。

 
 正子@アリスちゃんを見て、さらに「この役って……」と肩を落とした、しどころのない役。新公ですら感じるわけだから、本公演で、ウメちゃんがやっていたらさらに「もっと描きようなかったの?」と思ったろうなあ。
 堅実さより現代性と華勝負の役かな。しどころはないんだが、それでも登場するだけで「あそこにヒロインがいる!」と思わせないといけないわけだから。
 アリスちゃんの安定した輝きがまぶしい。

 
 マッカーサー@ちーくんは作り込んできたなあ、と。
 戦闘意欲があるのはいいことだ。

 奥さんのジーン役は抜擢の双子ちゃん? えーと……本役さんをさらに薄く地味にした感じになっていたので、大変そうだなあ、と。彼女を受け止め、泳がせてあげるだけの度量は、ちーくんマッカーサーには感じなかったし……。

 ちーくんは単体で「よく戦った」って感じ。仲間たちと一緒にいても、単体な感じ。
 この芸風で突き進むのかな。

 
 東京ローズ@エリちゃんは、よりコケティッシュ。マンガのベティさんが喋っている感じが、真面目な米兵からすれば不快度を上げているのでは。
 その放送がすごすぎるので、後半本名で出てきたときとのギャップが大きい。こんなにまともな人が、あんな放送させられてたんだ?みたいな。

 
 ポーラ@あまちゃきくんは、先日見た音楽学校文化祭の思い出とダブって、ひと知れずウケた。
 や、今年の文化祭のお芝居は、2年前、92期生が演じた芝居と同じ作品(改作済み)でねー。
 あまちゃきくんはその芝居で男役、しかも、総じて色気のない正塚芝居で唯一キスシーンのある男の役だったのよー。
 別れ際に強引にキスをする男、ですよ。そのキスで女はとろけ、腰砕けになるのですよ。
 あの役をやったぷくぷくした男の子(失礼)が、今はこんなに立派な女の子に……。

 や、ふつーにうまかったです。
 時代劇の中にいる、現代物の女の子。日本人たちの中、いかにも今どきなアメリカの若い女の子で、好感度アップ。
 GHQ制服の、セクシーな曲線もいい感じっす。

 
 蒼羽りくくんに役が付いていることに驚いた。
 ふつーにスーツ着て、ふつーに喋ってる。
 わたしが去年の文化祭でりくくんに釘付けだったことはジュンタンにさらりと(?)バラされてますが、ほんとすごいよねこの子。
 本公演でも「え? こんなとこにいるの?」てな使われ方してるし。
 若いウチから機会をどんどん与えて、ぐんぐん育ててくれぃ。出来る子には、相応の出番を。

 
 でもって辰美@カチャとソ連将軍@樹茉くんは、衣装に「着られている」感じなのが惜しいなと。
 演技はいいのになー。外見がなー。
 カチャは細すぎて、体型補正難しいのかなあ。
 樹茉くんはなんであんなことに……軍服の中でカラダが泳いで、衣装がナナメになってなかったか? 恰幅良く作り過ぎ? つか、本役衣装をいじれず、そのまま着たらああなった?
 芝居心のある子たちだから、ビジュアルもこなれていってくれるといいな。

 
 最後に、主役の大くん。
 ……がんばってた。すーーっごく、がんばってた。
 背が高くて顔が綺麗で、スーツの裾には折り目が見えて(あの折り目がトドの足の長さかー、と感慨深い)、スタイルよくて、こんなにこんなにめぐまれた外見を持っている人はめずらしい。
 最後の挨拶も、泣かずに終わらせて、すごーくがんばっているのがわかった。

 ほんとにな……なんでこんなに美しい子が、研6……4月で研7になるっつーにこの実力なんだろうなあ。神様は素直じゃないなあ。
 先日観た雪新公のアルセストくんを彷彿とさせた。美しくて、若くて可愛くて、すごーくがんばっている。
 これから伸びてくれるといいな。この美しさを無駄にしないためにも、どうか。

 遅咲きでも大輪の花を咲かし、「最初の新公主演は大変だったね(笑)」と笑い話に出来るよーになるといいな。


 文化祭の感想は、1回書いたんだけどUP直前に全部消えちゃったの。もう一度同じことを書く気力がなくて、放置していたよ。あー(遠い目)。

 なにをどう書いたんだったかな……。
 思い出しつつ、簡単に遺しておく。記録記録。

 『第94期宝塚音楽学校文化祭』、出演者の話。わたしが観たのは12時の部。

 まず販売プログラムが改訂されていて、おどろいた。
 ページ数が増え、オールカラーになってお値段据え置き。
 そして去年まではたしかふつーにキャトレのすみれ色の袋に入れて売っていたのに、今年は「宝塚音楽学校」と書かれた書類封筒に入れられた。……持ちにくっ。
 A4のプログラムよりさらに一回り大きいサイズなので鞄にも入らない(笑)。しっかりした手応えの紙封筒だから、余白を折ろうと思ったら「折るぞ」と意識して折らなきゃダメ。鞄に入れたら大きい部分が勝手にへちょりと折れました、てなことにはならず。
 なんでこんな不便なものを使うんだ? つか、袋なしでプログラムだけ販売してもいいだろうに。
 でも、封筒自体はめずらしいのでありがたくいただく。記念だと思って(笑)。

 去年までの「学校行事のプログラム」くささが抜け、ふつーに興行プログラムっぽくなっていた。
 座談会はあさこたちゃんたち月組。卒業生からのメッセージは檀ちゃん。
 いやあ、檀ちゃん美しー。そしてまたしても「夢を与える」話をしてます。ほんと檀ちゃんこの話好きだね(笑)。

 すでに初舞台口上順が発表になっているのに、プログラムには生徒の本名だけ記載。本名いらないから芸名載せてくれよう。

 
 んでもって。

 いちばんわたしの目を奪ったのは、筋肉美の娘役さんだった。

 背中丸出しドレスに浮かび上がる、筋肉。筋、くぼみ、肉の隆起。
 うわ、すげー……と、釘付けでした。

 これまたいつも、いいとこで踊ってるんだわ。
 大抵センター。少人数口。
 ジプシーダンスの情熱の赤が似合うこと。タップダンスでかわいこぶっても、迫力は衰えず。

 歌でもクラシックで唯一のソロ歌手を務め、芝居でも芸達者な別格役を余裕で演じていた。

 無駄なモノひとつない鍛え抜かれたカラダに、これまた筋肉質な顔立ち。
 いやあ、たのしみな資質ですよ。

 たとえば白雪姫とかシンデレラとかの可憐な姫君ができるのかどうかは未知数ですが、姫たちを虐めて陥れる美貌の継母なら余裕でハマると思う。
 こーゆー黒い持ち味のいい女は好きだ。
 

 あと、最初の日舞で「清く正しく美しく」を独唱した娘役さんが、声も佇まいも美しかった。 
 そして次のヴォーカル・コンサートで「アマール・アマール」を男役とデュエットした娘役さんも美しかった。顔立ちというより、所作が。早く声が聴きたくて、「デュエットだけ? ソロ・パートはないの?」とじれじれした。
 芝居のヒロインが、余裕でうまかった。

 ……えーと。

 さすがに、このへんで気づいた。

 全部、同じ子じゃん。

 娘役さんは髪型が全員ぴっちりオールバックのひっつめなので、美しくデコレーションしづらい。前髪がある男役はまだ個性が出せるんだが。
 わたしの好みの顔立ちではないのか、記憶には残らないのにいちいち「美しい子がいる」と目を奪っていく。

 ダンス・コンサートでも、前述の筋肉ねーさんと一瞬見間違い、「チガウわ、もっとたおやかに美しい」と思うと、このヒロインちゃんだった。いやその、筋肉ちゃんが美しくないという意味ではなくて。

 こちらは白雪姫やシンデレラも演じられる美形さんなんでしょう。演技力もあるから、継母もOKかな。
 

 娘役で目に付いたのが、芝居で王女役をやった子と、ヴォーカル・コンサートのラストでオブリガートをやっていたお嬢さん。
 ふたりが目に付いたのは、真逆の意味。

 この芝居は2年前、92期文化祭でも上演されたんだけど、王女役というのは「美少女だけど演技がアレ」な人がやる役なんですか、正塚せんせ?
 それともわざと棒読みちっくに演じるよう指導しているのかな?
 実より華・美貌優先の役ってことで。

 反対にオブリガートのお嬢さんは、その美しい歌声と完璧な笑顔、計算された所作を会得していた。だが、彼女が目を引いたのは、その、個性的な顔立ちゆえにだった。
 たしかな実力を持ち、他者と混同されない個性的なビジュアルを持つならば、それは武器だ。
 ビジュアルはこれから変わっていくだろうし、若いウチから高い技術を持っているのはいいことだ。

 
 男役はキャリアが必要なので、娘役に比べてどうしても見劣りしてしまう。去年のりくくんとか彩風くんとか、突出した美貌や華の持ち主でない限り。
 にしても今回の男の子たち、ソフト・スーツの着こなしがアレ過ぎてびっくりしたなー。ダンス・コンサートの最後は毎年タップなんだが、このときのカラフルなスーツ姿のものすごいこと。
 「スーツの着こなし、って、技術なんだ!」と改めて感嘆させてくれるくらい、えーらいこっちゃ、だった。
 ここからスタートして、どんどん美しくなっていくんだろう。スタート地点は低くくても、そのぶん伸びてくれればなんの問題もない。

 
 芝居でもっとも巧かったのが、影役だった彼。
 準主役とはいえ、正塚的に「いちばん役者として気に入っている子」にこの役をさせるんじゃないかな、てな役だった。まあ、正塚氏に芝居を気に入られちゃうと、路線的でない、つーカテゴリに入っちゃうかもしんないのがつらいとこだが(笑)。

 縦にも横にもデカい子だった。そしてコンサートでもなかなか派手なアピールっぷり。
 なんつーか、たのしそうだ。
 あれだけ芝居できたら、男役やるのもたのしいだろうなあ。

 わたしは顔よりアゴのラインで覚えた。りせ系のアゴだー。なんか芸名も個性的みたいだし、独自の道を進んで欲しいぞ。

 
 芝居の主役をやった男の子は正統派なのかな。
 そのうえクラシック・ヴォーカルでソロを務め、ポピュラーではとことんキザらなければならない「丘の上のジョニー」をソロで、となると期待が掛かってる子なのかなと。
 なにもかもふつーにうまかった。しかしなんか地味な気がする……。

 
 親友役の子が甘いハンサムくんだったのと、王様役の子がなんか壮くんに似ていて目に付いた。
 パパ役の彼は、とにかく幕が開いた直後から目立ちまくっていた……その、オブリガートをやっていたお嬢さんと同じ意味で。顔立ちつーかフェイスラインが個性的だと、目に付くよなあ。彼も歌の人のようで、前半は大活躍だし。

 日舞で気になった子がいたんだが、歌では活躍せず芝居には登場せず、よーやくダンスでまたいい位置にいた。でもやっぱ、芝居に出てくれないとちゃんとおぼえられないなあ。
 ダンスでずーっとセンターだった男の子は誰なんだろう。なんか泣きそうな笑顔だったけど(本人的には全開の笑顔、だと思う)。こっちも芝居に出てない子(もしくは出てても区別つかないくらいの脇役か)なんでわからん。

 
 文化祭はバウホールの客席の雰囲気が独特で、それもたのしいっす。
 父兄会の雰囲気つーかね。
 そしてみんな、手に手に「手書きの出番表」を持っている。「どこそこ場面・3列目の右から4人目」とか「どこそこ場面・ソロが終わったあとの何人口、前列真ん中」とか、図形入りで事細かに書いてあるの。しかも、鉛筆書きで。
 鉛筆(シャープペン含む)かぁ。高校までは使ってたなあ。それ以降はノート取るのも試験でも提出書類でも、みんな鉛筆禁止、鉛筆書きは失礼です、つーんでペンしか使わなくなったけど。子どもは鉛筆だよなあ。
 そうやって「何列目何番」とか書かないと、家族でもわかんないんだね(笑)。
 みんなもう必死になって出番表見てるの、休憩時間。

 正装して胸に花まで付けた老夫婦が、必死に出番表見つめて、最後は頭の上で拍手してるのとか見たら、胸が熱くなった。
 自慢のお孫さんですね。ステキですね。や、誰だかわかんないけど。他人様の出番表、のぞき込むわけにもいかないし。

 今この舞台に立っている子たちは、みんなステキ。
 夢のために努力をする、簡単そうですっごく難しいことを投げ出さず続けてきた子たち。
 いいジェンヌ生活になるといいね。

 みんながんばれ。


 正塚芝居は好きだ。
 しかし。

 正塚芝居だと、満たされないモノがある。

 直接的な、ラヴシーンが少ない。

 愛を語ったり心理戦やったり、言葉と心うらはらでじりじりしたりと、恋愛モードはたのしめるし、ちゃんと演技が出来る人だと台詞以外にも愛を表現してくれてすごーくたのしいことは、わかっているんだけど。

 ただ、直接的な、肉体的な、ラヴシーンはほんとに少ない。

 わかりやすい愛の言葉を並べ立て、ムードたっぷりにキスをするのが反正塚的だとわかってはいる。正塚はわざとそーゆーことを避けているのだとわかっている。
 でもほんとに、ラヴシーンないよなー(笑)。

 『メランコリック・ジゴロ』に至っては、作中でチューしてんの、フォンダリ@みわっちとカティア@もえりちゃんだけじゃん。主役のダニエル@まとぶとフェリシア@彩音はストーリーが終わったあとのラストシーンで幕が閉まる間際のどさくさ(……って)に、「物語の締め」としてやってるだけだし。

 作中唯一のラブシーン、フォンダリとカティアだって、ロマンティックな真面目なシーンというよりは、お笑い場面じゃん。
 や、フォンダリたちは真面目にやってるんだけど、その空気読まない大仰さをコメディにしているっていうか……初演はマヤさんなわけだし。

 まともな、直接的なラヴシーンは、ナシ。
 なんて正塚的。

 
 いや、その。
 正塚云々を語りたいわけでも、主役たちの話をしたいわけでもないっす。

 
 わたしは、まっつのラヴシーンが見たい。

 
 『アデュー・マルセイユ』で、クラウディア@としこさんとアツアツだったじゃない、とかゆーんじゃなくて。
 『MIND TRAVELLER』で、パメラ@きほちゃんに「海馬帝国のファーストレディに」とか言ってプロポーズしてたじゃん、とかゆーんじゃなくて。
 『舞姫』で、恋敵のエリス@ののすみに「俺だって彼を愛してる」と宣戦布告してたじゃん、とかゆーんじゃなくてっ!!

 ふつーに恋愛して、その過程としてラヴシーンになるまっつが見たいの。

 恋愛も告白も見たいけどな。
 けど、こーなるともー、ぶっちゃけキスシーンが見たいのよ。
 女の子とチューしてる未涼亜希さんが見たいのよーっ。

 見たことないですから。

 ほんとタカラヅカってスター以外はラブシーンろくにまわってこないから。
 それでもらいとかみつるとか、ちゃんと舞台でキスしてんのにー。

 まっつにはキスシーンがないっ。
 ふつー、バウで2〜3番手複数回やったら、キスシーンぐらいありそうなもんなのに。
 まつださんたら、そーゆー機会にまったく恵まれない。

 わたしがまっつのキスをナマで見たのは、『La Esperanza』新公までさかのぼります。でもって、たしかにナマで見ていて、そのときもまっつ好きでまっつまっつ言ってるけど、今みたいにご贔屓なわけじゃないのよ。あのころはまだケロちゃんいたし。
 見たけど「見た」うちに入ってないの。

 そして『La Esperanza』も正塚作品なんで、わかりやすいラヴシーンはなく、最後にとってつけたキスシーンがあるのみ。(世間的に不評で「CUTすればいいのに」と言われた場面にのみ、まともにラヴシーンがあるって……正塚……)

 まつださん、もう何年もキスしてないじゃないですか。
 男として、それはどうなの?

 や、ショーの振付?として、女の子にチューを迫ってかわされたりは、しょっちゅーしてますが。
 そんな、かわされるチューの演技ばっかうまくなっても。

 舞台でぜんぜんキスさせてもらえないっつーのは、やっぱキャラクタゆえなんでしょうかね。
 まっつにはキスさせたくないのか、演出家たち。
 まっつには色気を感じないのか、演出家たち。

 ……まっつびいきの演出家の筆頭、だと思えるのがかの正塚氏だから、ますます望み薄なのかなー……。

 わたしは初演の『メランコリック・ジゴロ』を見ていなかったので、「まっつといちかが夫婦」つーんで、ふつーにラヴいものを期待したんですよ(笑)。
 あわよくばいちゃこらシーンが、そしてあわよくば、よくば、軽い挨拶程度でもチューが見られるのでは……と。
 ははは、正塚作品だもんなー。んなわけないよなー。ははは。はは……とほほ。

 まつださん、チューの仕方、おぼえてるのかなぁ。
 技術は日々の鍛錬がものをいう。何年も1回もしてないと、腕も鈍るよなあ。……まつださんに腕があるかどーか知らんが。

 この際相手誰でもいいから、性別も問わないから、本気でムーディなキスシーンが見たいですよ。

 タカラヅカとして、「見せるための、美しいキス」を、まっつにもしてほしーです。
 ショーで一瞬、雰囲気だけ、ではなく、芝居できちんとバックボーンありで見たいです。

 新公がまっつ人生の最後のキスだったりしたら、どうしよう……。


 なんかいろいろ発表になりましたね。

>宙組大劇場&東宝
>『Paradise Prince(パラダイス プリンス)』作・演出/植田景子
>『ダンシング・フォー・ユー』作・演出/中村一徳

>月組大劇場&東宝
>源氏物語千年紀頌『夢の浮橋』(仮題)脚本・演出/大野拓史
>『Apasionado!!(アパショナード)』作・演出/藤井大介

>花組DC&青年館
>『銀ちゃんの恋』−つかこうへい作「蒲田行進曲」より− 潤色・演出/石田昌也

 
 花担なんで、花組演目に反応しときます。

 ゆーひくんで、『銀ちゃんの恋』って……。
 なんでそんなことに……。

 ヘコんでいいですか?
 大空祐飛は、シビアな現代では保護が必要な「耽美種」という貴重なキャラクタですよ。美しさを最大のウリにしている人ですよ。
 それを何故、タカラヅカでもっとも美しくない作風の演出家の作品をあてるんですか……?

 石田とゆうひって、食い合わせ悪いっすよ……。しょぼん。

 や、決まったからには前向きに楽しみにしておきますが。
 それでもきっと、ゆーひくんなら魅力的に見せてくれることを信じて。

 そして、番手とか振り分けとかとは別に、まっつが階段オチする姿がリアルに脳裏に浮かんで、ソレはソレで眩暈がしました。
 あああぅ、そーゆーキャラがふつーにハマる、イメージできる人に惚れてんだなぁ、あたしって……ううう。

  
 月組と宙組の大劇場演目はよさそうっすね。素直にたのしみだ。

 
>月組組長の異動について
>越乃 リュウ・・・月組組長に(2008年7月7日付)
>花瀬 みずか・・・月組副組長に(2008年7月7日付)

 月組はナニが起こってるんだろうなあ。

 
>東京宝塚劇場 宙組公演における主演娘役 陽月 華の休演

 あああ。
 やっぱり休演かぁ……。
 しっかり休んで、元気な姿で帰ってきてほしいっす。

           ☆
 
 2月29日、4年に一度の日。
 ナニがどうってこともないが、朝から『タランテラ!』のDVD見て泣いた。

 そしてPC前にはバロット@まっつの写真。
 膝の上には猫。

 すべて世はこともなし。


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