ピンクのハートがとびかう世界で。@君を愛してる−Je t’aime−
2008年1月1日 タカラヅカ あけましておめでとうございます。
今、テレビをつけたらまっつが喋ってました(『新春メッセージ』)。おおっ、すばらしータイミングだ。……て、録画間に合わないじゃん。
ちなみに、今朝の夢に黒髪のまっつが出てきたよーな気がします。『ハリラバ』千秋楽の客席で、黒髪まっつに会えたことが相当うれしかったらしい。あのときの髪型まんま(笑)。
目覚ましが鳴る前に起きてしまって、「ん? 今、まっつ出てなかったか?」と、あわててもう一度布団に入ったんだが、「出ていた」ことはおぼえていても、それ以外のことも、また続きを見ることもかなわず。……ちぇっ。
とまあ、まっつまっつなはじまりですが、本日の内容は水しぇんステキ!!です。
『君を愛してる−Je t’aime−』『ミロワール』初日、行って来ました〜〜!!
や、元旦は家族サービスしなきゃいかんので、行けるとは思ってなかったんだが、数時間だけ抜け出してムラまで走りました(笑)。
水しぇん水しぇん! ピンクでハートでハッピーな、ラブラブ水しぇん。それにキムシン! やっぱ早く観たいっす。
ぶっちゃけショーの方はあんまし期待してないが、芝居はわくわく。キムシン作品大好き〜〜。
スカステで嫌ってほど目にするこっ恥ずかしいCMも好き。直接的すぎるタイトル、『君を愛してる−Je t’aime−』……いいぢゃないですか!
となみが空中ブランコのスターだとか、水くんがお金持ちのおぼっちゃまだとか、ゆみこが恋敵だとか、そーゆーキャラ設定だけは周囲の某ゆみこファンがいろいろいろいろ叫び続けているのでどーしても耳に入るんだが、ストーリーに関しては予備知識ナシ。
幕が上がるナリ、いきなり葬式場面でおどろいた。
でも、そのおどろきをそのまま台詞で言われてしまう。「新年早々これか」みたいに。あ、ソレ今、わたしが思った台詞まんま。
貴族の大富豪が亡くなり、遺言が発表される。後継者は長男ジョルジュ@水……ただし半年以内に上流階級の娘と結婚すること。
まだまだ遊び足りないジョルジュは大ショック。父の跡を継ぐことは人生のレールとして疑いもせずに生きてきたが、結婚はまだ具体的に考えたことがない。
なんで具体的に考えないかって、実は彼、「結婚」とか「愛」というものにすごーく夢を持っていて。このへん世間知らずのおぼっちゃまだなーと思う。どこの中学生だオマエ?!てな感じに夢見るユメコちゃん。女たちにちやほやされてうれしいのも、思春期の少年のノリだ。
いやあ、ジョルジュのモテモテソング最高っ!!
ジョルジュモテモテ♪
結婚狙いの上流階級の女たち、こわすぎ。
にわにわこわいよ、しゅうくんこわいよ、せしるふつーに美人だよ。……ええ、でかいよ女たち!!(笑)
半年以内に政略結婚が決まってしまったよーなものであるジョルジュは荒れる。「どーせボクはひとりぼっちなんだ!」
酔っぱらいジョルジュかわいいっ。
三角坐り。
水しぇんの三角坐り。膝抱えて、ちっこくなって坐り込む。
あの水夏希が、「くすん」って三角坐りよ?!
も、萌え死ぬかと思った……。
そしてさらに、三角坐りのままころんと転がってしまう……。
かわいいかわいいかわいいっ。
場内からも笑いが起こってた。わーんもー、なんなのあのかわいいイキモノ〜〜!!
凍死必至なジョルジュを発見するのが、マルキーズ@となみ。
となみの膝枕@しあわせにまにま水しぇん!!
膝枕!
ひっざっ、まっくっらっ。
拳握って膝枕コールしちゃうわ。
なんなのあの萌え構図。
目覚めたジョルジュはまだ不幸のどん底。人生ままならない彼は自分の不幸を嘆く……と。
ジョルジュをたらいでぶん殴るマルキーズ萌え。
甘えんじゃないわよ、このボンクラヘタレおぼっちゃまが!! ……や、そんな台詞はないが。
ジョルジュの甘えをかっとばすマルキーズの怒りは、とてもストレートだ。
たしかにヘタレているジョルジュはすげーかわいかったが、あまりにも「思春期の中学生」みたいで、「なにが『ひとりぼっち』だ、アホかオマエは」と言いたいことでもあった。
だからマルキーズが突っ込んでくれて、アホにアホと言ってくれて、すごく気持ちよかった。
そしてジョルジュは、誠実なアホだった。
たしかに彼は成人男性としてありえないくらい幼い社会性しか持っていなかったが、素直で誠実だった。
まちがっていることを「まちがっている」と叱られて、反発したりひねくれたりしない。素直に、それを受け入れることができる人間だった。
おぼっちゃまな彼は、叱られなくても生きてこられたんだろう。
それでもまっすぐ育ったのは、彼を含め、周囲の人たちもいい人たちばかりなんだろう。
ジョルジュがお金持ちでもなんでも、まちがっていることを「まちがっている」と言える女の子、マルキーズ。
ジョルジュは彼女に惹かれる。
ジョルジュとマルキーズはふたり仲良く、ジョルジュの弟クレアント@ヲヅキのアトリエを訪ねる。
クレアントは芸術家で、家督相続を拒否して妻のアンジェリック@かおりちゃんとラブラブ生活中。
このクレアントの新作、真ん中に亀裂のある大きなカンバス……その亀裂の隙間からなにか見える、つーんでふたりしてのぞき込むジョルジュとマルキーズ。
まだ恋人未満、なふたりが、隙間をのぞくのに必死で自然と触れ合い、密着する……そのふたりの背景、巨大なカンバスに。
ハートのライト点灯。
ベタ。
なんなの、このベタさっ!!
どこの少女マンガ? ラヴいふたりの背景にピンクのハートが飛ぶ、って、ありえね〜〜!!(笑)
もー、大好き〜〜!!
舞台全体が、すげーかわいい。なにもかもがかわいい。
デフォルメされた背景、サーカス。
ありえない色彩感覚のオサレなスーツ。
ひとつの世界観で、統一されているの。
それが、この「ピンクのハート」。
ありえないことだけど、これがこの「世界」なの。
公園のキリンとオウムが音楽にのせてひょこひょこ踊る、それがこの「世界」なの。
とことんベタで、「いくらヅカでもここまでやる?」てなメルヘンさ。
現代(や、50年くらい前だけど)を舞台にしながら、描かれているのは完璧なファンタジー。
異世界を作る力。
貫かれた価値観。
キムシンだ。すっげーキムシンだー。
ダイスキ。
ファンタジーとして、この「ピンクのハート」な世界が、そこに生きる人たちが、かわいくてかわいくて、愛しくてならない。
ジョルジュとマルキーズの出会いあたりから涙腺決壊、あとはもーずーっと泣きっぱなしだ。
彼らの言動ひとつひとつがかわいくて、愛しくて、きゅんきゅんして(笑)、泣けて泣けて仕方がない。
みんな善良で、一生懸命で、誠実で、かわいくて。
登場人物ひとりひとりに感情移入できる。
みんながそこに「生きて」いる。
ああもー、水しぇんステキ過ぎ。
となぽんかわい過ぎ。
水夏希のファンでよかったっ。
こんなにこんなに、しあわせな気持ちになれるなんて。
つーことで、続くっ。
今、テレビをつけたらまっつが喋ってました(『新春メッセージ』)。おおっ、すばらしータイミングだ。……て、録画間に合わないじゃん。
ちなみに、今朝の夢に黒髪のまっつが出てきたよーな気がします。『ハリラバ』千秋楽の客席で、黒髪まっつに会えたことが相当うれしかったらしい。あのときの髪型まんま(笑)。
目覚ましが鳴る前に起きてしまって、「ん? 今、まっつ出てなかったか?」と、あわててもう一度布団に入ったんだが、「出ていた」ことはおぼえていても、それ以外のことも、また続きを見ることもかなわず。……ちぇっ。
とまあ、まっつまっつなはじまりですが、本日の内容は水しぇんステキ!!です。
『君を愛してる−Je t’aime−』『ミロワール』初日、行って来ました〜〜!!
や、元旦は家族サービスしなきゃいかんので、行けるとは思ってなかったんだが、数時間だけ抜け出してムラまで走りました(笑)。
水しぇん水しぇん! ピンクでハートでハッピーな、ラブラブ水しぇん。それにキムシン! やっぱ早く観たいっす。
ぶっちゃけショーの方はあんまし期待してないが、芝居はわくわく。キムシン作品大好き〜〜。
スカステで嫌ってほど目にするこっ恥ずかしいCMも好き。直接的すぎるタイトル、『君を愛してる−Je t’aime−』……いいぢゃないですか!
となみが空中ブランコのスターだとか、水くんがお金持ちのおぼっちゃまだとか、ゆみこが恋敵だとか、そーゆーキャラ設定だけは周囲の某ゆみこファンがいろいろいろいろ叫び続けているのでどーしても耳に入るんだが、ストーリーに関しては予備知識ナシ。
幕が上がるナリ、いきなり葬式場面でおどろいた。
でも、そのおどろきをそのまま台詞で言われてしまう。「新年早々これか」みたいに。あ、ソレ今、わたしが思った台詞まんま。
貴族の大富豪が亡くなり、遺言が発表される。後継者は長男ジョルジュ@水……ただし半年以内に上流階級の娘と結婚すること。
まだまだ遊び足りないジョルジュは大ショック。父の跡を継ぐことは人生のレールとして疑いもせずに生きてきたが、結婚はまだ具体的に考えたことがない。
なんで具体的に考えないかって、実は彼、「結婚」とか「愛」というものにすごーく夢を持っていて。このへん世間知らずのおぼっちゃまだなーと思う。どこの中学生だオマエ?!てな感じに夢見るユメコちゃん。女たちにちやほやされてうれしいのも、思春期の少年のノリだ。
いやあ、ジョルジュのモテモテソング最高っ!!
ジョルジュモテモテ♪
結婚狙いの上流階級の女たち、こわすぎ。
にわにわこわいよ、しゅうくんこわいよ、せしるふつーに美人だよ。……ええ、でかいよ女たち!!(笑)
半年以内に政略結婚が決まってしまったよーなものであるジョルジュは荒れる。「どーせボクはひとりぼっちなんだ!」
酔っぱらいジョルジュかわいいっ。
三角坐り。
水しぇんの三角坐り。膝抱えて、ちっこくなって坐り込む。
あの水夏希が、「くすん」って三角坐りよ?!
も、萌え死ぬかと思った……。
そしてさらに、三角坐りのままころんと転がってしまう……。
かわいいかわいいかわいいっ。
場内からも笑いが起こってた。わーんもー、なんなのあのかわいいイキモノ〜〜!!
凍死必至なジョルジュを発見するのが、マルキーズ@となみ。
となみの膝枕@しあわせにまにま水しぇん!!
膝枕!
ひっざっ、まっくっらっ。
拳握って膝枕コールしちゃうわ。
なんなのあの萌え構図。
目覚めたジョルジュはまだ不幸のどん底。人生ままならない彼は自分の不幸を嘆く……と。
ジョルジュをたらいでぶん殴るマルキーズ萌え。
甘えんじゃないわよ、このボンクラヘタレおぼっちゃまが!! ……や、そんな台詞はないが。
ジョルジュの甘えをかっとばすマルキーズの怒りは、とてもストレートだ。
たしかにヘタレているジョルジュはすげーかわいかったが、あまりにも「思春期の中学生」みたいで、「なにが『ひとりぼっち』だ、アホかオマエは」と言いたいことでもあった。
だからマルキーズが突っ込んでくれて、アホにアホと言ってくれて、すごく気持ちよかった。
そしてジョルジュは、誠実なアホだった。
たしかに彼は成人男性としてありえないくらい幼い社会性しか持っていなかったが、素直で誠実だった。
まちがっていることを「まちがっている」と叱られて、反発したりひねくれたりしない。素直に、それを受け入れることができる人間だった。
おぼっちゃまな彼は、叱られなくても生きてこられたんだろう。
それでもまっすぐ育ったのは、彼を含め、周囲の人たちもいい人たちばかりなんだろう。
ジョルジュがお金持ちでもなんでも、まちがっていることを「まちがっている」と言える女の子、マルキーズ。
ジョルジュは彼女に惹かれる。
ジョルジュとマルキーズはふたり仲良く、ジョルジュの弟クレアント@ヲヅキのアトリエを訪ねる。
クレアントは芸術家で、家督相続を拒否して妻のアンジェリック@かおりちゃんとラブラブ生活中。
このクレアントの新作、真ん中に亀裂のある大きなカンバス……その亀裂の隙間からなにか見える、つーんでふたりしてのぞき込むジョルジュとマルキーズ。
まだ恋人未満、なふたりが、隙間をのぞくのに必死で自然と触れ合い、密着する……そのふたりの背景、巨大なカンバスに。
ハートのライト点灯。
ベタ。
なんなの、このベタさっ!!
どこの少女マンガ? ラヴいふたりの背景にピンクのハートが飛ぶ、って、ありえね〜〜!!(笑)
もー、大好き〜〜!!
舞台全体が、すげーかわいい。なにもかもがかわいい。
デフォルメされた背景、サーカス。
ありえない色彩感覚のオサレなスーツ。
ひとつの世界観で、統一されているの。
それが、この「ピンクのハート」。
ありえないことだけど、これがこの「世界」なの。
公園のキリンとオウムが音楽にのせてひょこひょこ踊る、それがこの「世界」なの。
とことんベタで、「いくらヅカでもここまでやる?」てなメルヘンさ。
現代(や、50年くらい前だけど)を舞台にしながら、描かれているのは完璧なファンタジー。
異世界を作る力。
貫かれた価値観。
キムシンだ。すっげーキムシンだー。
ダイスキ。
ファンタジーとして、この「ピンクのハート」な世界が、そこに生きる人たちが、かわいくてかわいくて、愛しくてならない。
ジョルジュとマルキーズの出会いあたりから涙腺決壊、あとはもーずーっと泣きっぱなしだ。
彼らの言動ひとつひとつがかわいくて、愛しくて、きゅんきゅんして(笑)、泣けて泣けて仕方がない。
みんな善良で、一生懸命で、誠実で、かわいくて。
登場人物ひとりひとりに感情移入できる。
みんながそこに「生きて」いる。
ああもー、水しぇんステキ過ぎ。
となぽんかわい過ぎ。
水夏希のファンでよかったっ。
こんなにこんなに、しあわせな気持ちになれるなんて。
つーことで、続くっ。
そして世界は、光に満ちる。@君を愛してる−Je t’aime−
2008年1月2日 タカラヅカ 「世界」が、やさしい。
やさしい人たちが、やさしい世界に生きている……『君を愛してる−Je t’aime−』感想の続き。
マルキーズ@となみの誕生日プレゼントをどうしよう、と彼女の妹分のリュシール@シナがジョルジュ@水に相談を持ちかける。
サーカス団のために日夜尽くしているマルキーズ。経営から雑用まで、なにもかも一手に引き受けている彼女のために。
毎日みんなのためにおいしいごはんを作ってくれるあのひとに、感謝の気持ちを伝えたい、お祝いをしてあげたい。
……てことで、ジョルジュを含めたサーカス団みんながしたことは。
マルキーズのために、特製ポトフを。
食事の支度は、「日常」だけど。「あたりまえ」になって、なにも感じなくなってしまいがちなことだけど。
そのことに、感謝を。
どれだけわたしたちが、あなたに救われているか、癒されているか。それが「日常」で「あたりまえ」であるか。
それを今、与えられてきたものと同じカタチを取ることで、ほんの少しでも返したい。
特製ポトフを前に、顔を覆ってわっと泣き出すマルキーズ。
やさしい。
みんなが、やさしい。
やさしすぎて、泣ける。
さて、やさしいだけで、ジョルジュにもマルキーズにも、なんの力もない。
サーカスは経営難。
昔ながらのやり方じゃ、せちがらい現代ではお客が入らない。
マルキーズはすばらしいスターだけど、スターひとりがどんなに技術や美貌や人望があったって、どーにもならない。トップスターひとりで都心から離れた田舎の2500人劇場がいっぱいになるわけないじゃん、この現代。
「若手の育成なんかやめてしまえ。成長を見守るなんて無駄だ。できあがったスターだけを集めてすばらしい舞台を作る。代わりはいくらでもいる。チケット代は跳ね上がるが、ま、とーぜんだな」
大手サーカス団のプロデューサー、アルガン@ゆみこは断言する。
入団人数を減らす、新公学年引き下げ、タレント契約学年引き下げ……ま、とーぜんだな。
必要なときに必要なスターを集めればいい、組カラー撲滅、組替え特出ワン切りなんでも来い……ま、とーぜんだな。
びんぼー人は切り捨てて良し。選民のみが愉しむ文化であればいい……ま、とーぜんだな。
マルキーズは反発。
サーカスを好きでがんばっている若手、家族のように彼らの成長を見守ること、チームワークと信頼、低料金で大衆が愉しめる文化……それを否定するサーカスは、サーカスじゃない。
だけど、現実は夢だけではどーしよーもない。
サーカス団は立ち退きを迫られ、解散の危機。
アルガンはマルキーズの元カレ。マルキーズに未練タラタラ。サーカス団解散は必至だが、その後路頭に迷うだろう団員たちを我が大手サーカス団で引き受けよう。
仲間たちを守りたかったら、僕と結婚しなさい……うおー、悪役キターッ!!
だけどアルガンは、真摯に訴える。
彼は本当に、マルキーズの未来を考えている。沈む船と心中するような彼女の生き方を惜しんでいる。
「若手育成? 家族? フッ」てな考え方だったのに、「キミを失うくらいなら、信念も破ろう♪」てなもんで、使い物にならない若手くんたちまで全部自分の会社で引き受け、面倒見るってよ。
彼はただの金の亡者ではない。夢だけ追って破滅する、人生を棒に振る、そんな若者たちを否定する……つまり、心配し、惜しんでいる。
マルキーズは、彼女の愛するサーカス団を救いたい。でもそのためには、政略結婚を受けるしかない。
親の遺産を継いでいないジョルジュには、なんの力もない。ただの世間知らずの若造でしかない。
マルキーズと彼女の愛するサーカス団を救いたい。でもそのためには、遺産を継ぐために政略結婚を受けるしかない。
ジョルジュとマルキーズ。
自分のためだけに生きられない彼ら。
やさしい世界で、やさしい人たちが、そのやさしさゆえにぶつかり、すれ違い、傷ついている。
誰かを救うために、自分の心を偽り、そのゆえに誰かを偽ることになる……それってやっぱり、まちがってるよね?
サーカス団を救うために政略結婚、てのは、やっぱりチガウよ、ジョルジュ、マルキーズ。
登場人物全員そろった、サーカス団の貸切公演にて。
サーカス団のメンバーは、アルガンに絶縁を叩きつける。
マルキーズを犠牲にしてまで守りたいモノなんかなにもない。立派な小屋なんていらない、たったひとりでもたのしんでくれる人がいるならそれでいい、どさ回り上等、それがサーカス魂。
そこへ飛び込んでくるジョルジュは、マルキーズに告げる。
いちばん大切な言葉。
すべてのはじまりとなる言葉。
「君を愛してる」
この物語は、ジョルジュの結婚相手を捜すところからはじまった。政略結婚することで遺産を受け継ぐ、それがすべてのはじまりだった。
サーカス団の女の子に愛を告白するってことは、相続権の放棄。ジョルジュはすべてを失う。
それでも。
「どさ回りについていく!」
サーカス団を守るために偽りの結婚をするのではなく、彼女がなにも失わずに済むようにするのではなく。
傷つかぬように偽りで守るのではなく、真実ゆえに傷ついたとしても、そのあとの彼女を守り、支える。
その覚悟を決めての告白だ。
やさしい世界、やさしい人たち。
やさしいだけでは済まないのが現実だけど、せめてこの「世界」だけでは、やさしさが力となる、奇跡を起こす、そんな「夢物語」を信じたい。
「君を愛してる」……誰もが使うことの出来る、最小の、そして最大のマジックスペル。
予備知識なく観て、最初にいやぁな予感がしたの。某下品作家の下品なラブコメが、これと同じよーな設定だったから。
富豪のぼんぼんが、「親の富を継ぐための条件は、とある女に恋を仕掛け、ピー(警告音)したあと捨てること」というありえない条件をのんで女を騙す。だがぼんぼんは、その相手の女に本気で恋してしまう。騙してピー(警告音)したあとに捨ててもかまわない程度の女、だと思っていたのに、彼女は実は大金持ちのお嬢様だった。ぼんぼんと家柄も釣り合う相手だ、ハッピーエンド!
……という、最低話。
上流階級の娘としか結婚できない。でも、主人公が恋したのは貧民の娘。ふたりの障害は、身分の差だけ。……いやいや、彼女は貴族のお姫様だったのです! なーんだ、それならハッピーエンドだ、よかったね!!
……という話だったら、どうしよう。
身分の差、なんて、障害じゃない。
男がなにもかも捨てれば済むだけのこと。それをしないなら、それだけの思いだったってこと。
ポイントは、「この恋を選べば、すべてを失う」ということ。
それでも恋を選ぶかどうか。
男がなにも失わず、「彼女は貴族のお姫様だったのです!」でハッピーエンドだったらどうしよう。これはものすごーくありがちで、そして、ものすごーくまちがった結末。
そんなまちがった結末に、某下品作家のようなことをされたらどうしよう?
いや、キムシンはそーゆーまちがい方はしない人だと思っていたので、そのへんは半信半疑だったんだが。
やっぱり、まちがわなかったね。
ジョルジュは愛を選んだ。
なにもかも失って、サーカス団でどさ回りするってさ。
それによって弟はじめ迷惑はかけるけれど、できるだけのことはするってさ。
そのあと怒濤のハッピーエンドになだれ込むのはそれこそお約束だが、肝心なのはジョルジュが一度、本気で愛を選んだこと。相続権を放棄し、マルキーズが貴族じゃないことを承知の上で愛したこと。
どんでん返しがなければ、ほんとーにふたりでどさ回りしていたんだってこと。
ハッピーエンドになったふたりは、ちょっとオマエらマジかよ?ってくらい、ラヴラヴ全開。
あれよあれよと結婚式!
となぽんウェディングドレス!! かわいー!!
てゆーか。
姫抱っこキターッ!!
でろでろにあまあま、とろとろの水しぇんが、とにゃみ姫抱っこしてドナルドダックみたいな口で笑ってますよ!!
もー、どーしてくれよう(笑)。
これは、「ファンタジー」だから。「夢物語」だから。
やさしい人たちが、やさしい世界に生きている……やさしい人たちがやさしいまま、みんなみんなしあわせになる物語。
……スカステで花組『エリザベート』放送後に流れた「後日談」らしき『君を愛してる』CMでも、泣かされた。つか、萌えた。
フィラント×アルガン、公式認定でいいっすか?(笑)
やさしい人たちが、やさしい世界に生きている……『君を愛してる−Je t’aime−』感想の続き。
マルキーズ@となみの誕生日プレゼントをどうしよう、と彼女の妹分のリュシール@シナがジョルジュ@水に相談を持ちかける。
サーカス団のために日夜尽くしているマルキーズ。経営から雑用まで、なにもかも一手に引き受けている彼女のために。
毎日みんなのためにおいしいごはんを作ってくれるあのひとに、感謝の気持ちを伝えたい、お祝いをしてあげたい。
……てことで、ジョルジュを含めたサーカス団みんながしたことは。
マルキーズのために、特製ポトフを。
食事の支度は、「日常」だけど。「あたりまえ」になって、なにも感じなくなってしまいがちなことだけど。
そのことに、感謝を。
どれだけわたしたちが、あなたに救われているか、癒されているか。それが「日常」で「あたりまえ」であるか。
それを今、与えられてきたものと同じカタチを取ることで、ほんの少しでも返したい。
特製ポトフを前に、顔を覆ってわっと泣き出すマルキーズ。
やさしい。
みんなが、やさしい。
やさしすぎて、泣ける。
さて、やさしいだけで、ジョルジュにもマルキーズにも、なんの力もない。
サーカスは経営難。
昔ながらのやり方じゃ、せちがらい現代ではお客が入らない。
マルキーズはすばらしいスターだけど、スターひとりがどんなに技術や美貌や人望があったって、どーにもならない。トップスターひとりで都心から離れた田舎の2500人劇場がいっぱいになるわけないじゃん、この現代。
「若手の育成なんかやめてしまえ。成長を見守るなんて無駄だ。できあがったスターだけを集めてすばらしい舞台を作る。代わりはいくらでもいる。チケット代は跳ね上がるが、ま、とーぜんだな」
大手サーカス団のプロデューサー、アルガン@ゆみこは断言する。
入団人数を減らす、新公学年引き下げ、タレント契約学年引き下げ……ま、とーぜんだな。
必要なときに必要なスターを集めればいい、組カラー撲滅、組替え特出ワン切りなんでも来い……ま、とーぜんだな。
びんぼー人は切り捨てて良し。選民のみが愉しむ文化であればいい……ま、とーぜんだな。
マルキーズは反発。
サーカスを好きでがんばっている若手、家族のように彼らの成長を見守ること、チームワークと信頼、低料金で大衆が愉しめる文化……それを否定するサーカスは、サーカスじゃない。
だけど、現実は夢だけではどーしよーもない。
サーカス団は立ち退きを迫られ、解散の危機。
アルガンはマルキーズの元カレ。マルキーズに未練タラタラ。サーカス団解散は必至だが、その後路頭に迷うだろう団員たちを我が大手サーカス団で引き受けよう。
仲間たちを守りたかったら、僕と結婚しなさい……うおー、悪役キターッ!!
だけどアルガンは、真摯に訴える。
彼は本当に、マルキーズの未来を考えている。沈む船と心中するような彼女の生き方を惜しんでいる。
「若手育成? 家族? フッ」てな考え方だったのに、「キミを失うくらいなら、信念も破ろう♪」てなもんで、使い物にならない若手くんたちまで全部自分の会社で引き受け、面倒見るってよ。
彼はただの金の亡者ではない。夢だけ追って破滅する、人生を棒に振る、そんな若者たちを否定する……つまり、心配し、惜しんでいる。
マルキーズは、彼女の愛するサーカス団を救いたい。でもそのためには、政略結婚を受けるしかない。
親の遺産を継いでいないジョルジュには、なんの力もない。ただの世間知らずの若造でしかない。
マルキーズと彼女の愛するサーカス団を救いたい。でもそのためには、遺産を継ぐために政略結婚を受けるしかない。
ジョルジュとマルキーズ。
自分のためだけに生きられない彼ら。
やさしい世界で、やさしい人たちが、そのやさしさゆえにぶつかり、すれ違い、傷ついている。
誰かを救うために、自分の心を偽り、そのゆえに誰かを偽ることになる……それってやっぱり、まちがってるよね?
サーカス団を救うために政略結婚、てのは、やっぱりチガウよ、ジョルジュ、マルキーズ。
登場人物全員そろった、サーカス団の貸切公演にて。
サーカス団のメンバーは、アルガンに絶縁を叩きつける。
マルキーズを犠牲にしてまで守りたいモノなんかなにもない。立派な小屋なんていらない、たったひとりでもたのしんでくれる人がいるならそれでいい、どさ回り上等、それがサーカス魂。
そこへ飛び込んでくるジョルジュは、マルキーズに告げる。
いちばん大切な言葉。
すべてのはじまりとなる言葉。
「君を愛してる」
この物語は、ジョルジュの結婚相手を捜すところからはじまった。政略結婚することで遺産を受け継ぐ、それがすべてのはじまりだった。
サーカス団の女の子に愛を告白するってことは、相続権の放棄。ジョルジュはすべてを失う。
それでも。
「どさ回りについていく!」
サーカス団を守るために偽りの結婚をするのではなく、彼女がなにも失わずに済むようにするのではなく。
傷つかぬように偽りで守るのではなく、真実ゆえに傷ついたとしても、そのあとの彼女を守り、支える。
その覚悟を決めての告白だ。
やさしい世界、やさしい人たち。
やさしいだけでは済まないのが現実だけど、せめてこの「世界」だけでは、やさしさが力となる、奇跡を起こす、そんな「夢物語」を信じたい。
「君を愛してる」……誰もが使うことの出来る、最小の、そして最大のマジックスペル。
予備知識なく観て、最初にいやぁな予感がしたの。某下品作家の下品なラブコメが、これと同じよーな設定だったから。
富豪のぼんぼんが、「親の富を継ぐための条件は、とある女に恋を仕掛け、ピー(警告音)したあと捨てること」というありえない条件をのんで女を騙す。だがぼんぼんは、その相手の女に本気で恋してしまう。騙してピー(警告音)したあとに捨ててもかまわない程度の女、だと思っていたのに、彼女は実は大金持ちのお嬢様だった。ぼんぼんと家柄も釣り合う相手だ、ハッピーエンド!
……という、最低話。
上流階級の娘としか結婚できない。でも、主人公が恋したのは貧民の娘。ふたりの障害は、身分の差だけ。……いやいや、彼女は貴族のお姫様だったのです! なーんだ、それならハッピーエンドだ、よかったね!!
……という話だったら、どうしよう。
身分の差、なんて、障害じゃない。
男がなにもかも捨てれば済むだけのこと。それをしないなら、それだけの思いだったってこと。
ポイントは、「この恋を選べば、すべてを失う」ということ。
それでも恋を選ぶかどうか。
男がなにも失わず、「彼女は貴族のお姫様だったのです!」でハッピーエンドだったらどうしよう。これはものすごーくありがちで、そして、ものすごーくまちがった結末。
そんなまちがった結末に、某下品作家のようなことをされたらどうしよう?
いや、キムシンはそーゆーまちがい方はしない人だと思っていたので、そのへんは半信半疑だったんだが。
やっぱり、まちがわなかったね。
ジョルジュは愛を選んだ。
なにもかも失って、サーカス団でどさ回りするってさ。
それによって弟はじめ迷惑はかけるけれど、できるだけのことはするってさ。
そのあと怒濤のハッピーエンドになだれ込むのはそれこそお約束だが、肝心なのはジョルジュが一度、本気で愛を選んだこと。相続権を放棄し、マルキーズが貴族じゃないことを承知の上で愛したこと。
どんでん返しがなければ、ほんとーにふたりでどさ回りしていたんだってこと。
ハッピーエンドになったふたりは、ちょっとオマエらマジかよ?ってくらい、ラヴラヴ全開。
あれよあれよと結婚式!
となぽんウェディングドレス!! かわいー!!
てゆーか。
姫抱っこキターッ!!
でろでろにあまあま、とろとろの水しぇんが、とにゃみ姫抱っこしてドナルドダックみたいな口で笑ってますよ!!
もー、どーしてくれよう(笑)。
これは、「ファンタジー」だから。「夢物語」だから。
やさしい人たちが、やさしい世界に生きている……やさしい人たちがやさしいまま、みんなみんなしあわせになる物語。
……スカステで花組『エリザベート』放送後に流れた「後日談」らしき『君を愛してる』CMでも、泣かされた。つか、萌えた。
フィラント×アルガン、公式認定でいいっすか?(笑)
愛ゆえに、世界は回っているんだ。@君を愛してる−Je t’aime−
2008年1月3日 タカラヅカ キムシンといえば、アテ書き。
そしてタカラヅカは、アテ書きさえきちんとしてくれたならば、あとは多少アラがあってもどーにかなる。
『君を愛してる−Je t’aime−』の、キャラクタたちの愉快なこと!!
ジョルジュ@水しぇん、かーわーいーいー。
やさしすぎる、やわらかすぎる心を持つ青年。
とんでもない色合いのスーツもオシャレに着こなし、ファンタジー世界の住人としての仕事を果たしている。
バラク、アオセトナと黒い役ばかりを与えてきて、ここでこんな真っ白……つーかパステルカラーなかわいこちゃんを、天下の水夏希に振りますか。トート閣下に今さらこの役をやらせますか。
たぶん、素の乙女なチカちゃんへのアテ書きなんだろうなあ(笑)。善良さや生真面目さがそのまま魅力になっている。
キャラ設定の上で「うまいな」と思うのは、ジョルジュのかわいらしさやヘタレさだけでなく、「客観的なかっこよさ」もきちんとエピソードとして挿入していること。
あの唐突なフェンシング場面ね。
アレ、ストーリー的には別になくてもいいけど「キャラもの」としては絶対に必要なの。
ジョルジュっつーキャラについて語られるのがメンタル面ばかりだったのに対し、フィジカル面を表す、という意味で。
たまたまヘタレ(笑)でやさしい面ばかりがストーリー上語られているけれど、別の角度から見れば彼はすげーかっこいい男なんだってば。……というエピソード。
キャラメイキング上の「お約束」をきちんと果たすキムシンに拍手(笑)。
ジョルジュの誠実さ、ある意味「無力な良心」がツボ。
心正しいとか善良なだけでは、なにもできない。それが現実。だけど、現実だからとあきらめるのでもひねくれるのでもなくて、その中で、「できること」を探す、あがく、その強さ。
水くんの持つハートフルさが存分発揮されていると思う。
ダイスキ。
マルキーズ@となみちゃんの、華やかなかわいらしさ。
サーカスの花形スターだということが、その存在だけで納得できる、美貌とかわいらしさ、その輝き。
サーカス衣装もめっちゃかわいい。
気の強い女の子だからこそ、支えてあげたい、守ってあげたい。
自然にそう思わせる、けなげさ。
水くんとの並びも美しいし、キュートだし。
いいなあ、このカップル。
ふたりそろってかわいーよー。
悪役(笑)、アルガン@ゆみこ。
……ごめん、すげー笑った。
キムシン、このアテ書きぶりって……!!(震撼)
カッコつけた、カッコつけのタメのカッコづけした、大人な悪役。
あのゆみこが腰振って、腰回して、「オレってセクスィ〜〜」とキメてくれると、ツボ直撃して爆笑した。
や、わたしの横で超絶ゆみこファンがふたり、カラダをふたつに折って爆笑してるし。声殺すためにぴくぴくしてるし。
あまりに真剣にオモロキャラで、登場当初はどーなることかと思ったが。
……いい人でした。
すげー理不尽な、絵に描いたような悪役っぷりなんだけど、話しているうちに、わかってくるの。
彼は彼なりの信念と正義で、マルキーズのために言っているんだって。
考え方がチガウだけで、別に悪でもなんでもないんだって。
悪役に見えるほどの強引さと、不器用さ。
それに気付いたときに、胸がきゅんとなる。
うわわ、アルガンいい男だ〜〜、ダイスキ〜〜。
ラストのはじけっぷりもイイ。や、その、ソレがまた恥ずかしくもかっこいいわけで……なんでああもオモロなんだアルガン!!
てか、美穂姐とゆみこのデュエットなんて、キムシン素晴らしすぎる!!(笑)
フィラント@キムの、明るさとしたたかさ。
えー、彼へのアテ書きっぷりが、いちばんすごいと思う。フィラントって、一見単純で、そのくせすげー難しいキャラクタだと思う。
物語を牽引し、収束する力。
それが、レオン神父@ハマコと、フィラント@キムなの。
物語のテーマ部分、メンタル部分を担うのがレオン神父。そして、物語のアクション部分、フィジカル部分を担うのがフィラントなの。
愛について語り、心を支えたり正したりするのがレオン神父。
そしてフィラントは、物語の流れを動かす。引っ張る。引っかき回す。
停滞したとき、彼がひょいっとつまんで、流れを起こすの。
その、強さ。明るさ。
大地に足の着いた力。太陽を業として生まれてきた存在。
強すぎて、ちょっと無神経テイストだったりするあたり……どんだけすげーアテ書きなんだと。
彼の「正しい」強さが心地良い。ほんとにすごい持ち味だ。
アルセスト@かなめくんのヘタレっぷりときたら。
容赦ないアテ書きだなー(笑)。傷つくのがこわくて、言い訳ばかりして、逃げてばかりの心優しい青年。弱いこととやさしいことを混同してしまった、袋小路。
ルドルフの姿が二重写しになる。歴代ルドルフのなかでもっとも惰弱でヘタレな、万引きが見つかり親に叱られて自殺する中学生みたいな皇太子。
その彼が、曲がりなりにも勇気を出し、一歩を踏み出す物語。
ルドルフにもちゃんとした友だちがいれば、あんな死に方しないですんだんだろうねえ……てなキャラクタ。
ヘタレっぷりがかわいい。すげー本気で、正面切って取り組んでいるのがわかって、それだけでもわくわくする。
そんなダメダメ男アルセストに恋するセリメーヌ@さゆちゃんが、すげーいいキャラだ(笑)。
やさしすぎるダメダメ男だから、セリメーヌのような気の強い女の子が惹かれたんだろう。
そして、やさしすぎるダメダメ男だからこそ、許せなくてキレてしまう。
そんな心の流れが想像できる、人騒がせだけどかわいい女の子。
てか、さゆちゃん、その胸の大きさはいったい……(笑)。
クレアント@ヲツキ、いったい全体、どーしたことだ?!
ヲヅキが、ヲヅキが、役がある台詞がある、歌がある〜〜っっ。
ちゃんと重要な役で、「芝居」してるよお。うれしいよお。
役者ヲヅキ氏の「芝居」がダイスキなので、それだけで感涙モノです。
なによりまず、センターパーツにツボる。
センターパーツ? なんなのそのかわいこちゃんな髪型。しかもなんか、若い、かわいこちゃんな演技してるよ、ヲヅキったら!
奥さんのアンジェリック@かおりちゃんとラヴラヴ。
モブ場面でも、奥さん守ってたりいたわってたり、おなかに触っていたり、もーすげー愛情ダダ漏れでステキ。
大袈裟なことはなくても、ナチュラルに妻を愛し、生きることを愛している。その安定感が心ときめかせる。
仕事に対するこだわりや自信も、ヘタレテイスト(兄弟共に・笑)なキャラクタのアクセントになってるよね。
いい男だ、クレアント。素直に、「こんな男の人、好き」と思える。
他のキャラもみんな「好き」と思える、かわいい人たちばかりで。
やさしい人たちが、やさしい物語を綴る。
そのきらめきに、胸が熱くなる。
ダイスキ。
そう、シンプルに思わせてくれる。
タカラヅカを好きで良かった。
そう、シンプルに思わせてくれる。
「愛」と「夢」を語る、「愛」と「夢」のためだけにある劇団、タカラヅカ。
新しい年に、心新たに、「しあわせ」を感じさせてくれる。
大好きな人の退団にさんざん泣いたけれど、今でも心の整理がついたとは言えないけれど、それでも、タカラヅカを「好き」だと改めて思わせてくれる。
そのことが、うれしい。
好きでよかった。
すべてのことを、超えていける。そのための、力。
そのための、マジックスペル。
「愛してる」
そしてタカラヅカは、アテ書きさえきちんとしてくれたならば、あとは多少アラがあってもどーにかなる。
『君を愛してる−Je t’aime−』の、キャラクタたちの愉快なこと!!
ジョルジュ@水しぇん、かーわーいーいー。
やさしすぎる、やわらかすぎる心を持つ青年。
とんでもない色合いのスーツもオシャレに着こなし、ファンタジー世界の住人としての仕事を果たしている。
バラク、アオセトナと黒い役ばかりを与えてきて、ここでこんな真っ白……つーかパステルカラーなかわいこちゃんを、天下の水夏希に振りますか。トート閣下に今さらこの役をやらせますか。
たぶん、素の乙女なチカちゃんへのアテ書きなんだろうなあ(笑)。善良さや生真面目さがそのまま魅力になっている。
キャラ設定の上で「うまいな」と思うのは、ジョルジュのかわいらしさやヘタレさだけでなく、「客観的なかっこよさ」もきちんとエピソードとして挿入していること。
あの唐突なフェンシング場面ね。
アレ、ストーリー的には別になくてもいいけど「キャラもの」としては絶対に必要なの。
ジョルジュっつーキャラについて語られるのがメンタル面ばかりだったのに対し、フィジカル面を表す、という意味で。
たまたまヘタレ(笑)でやさしい面ばかりがストーリー上語られているけれど、別の角度から見れば彼はすげーかっこいい男なんだってば。……というエピソード。
キャラメイキング上の「お約束」をきちんと果たすキムシンに拍手(笑)。
ジョルジュの誠実さ、ある意味「無力な良心」がツボ。
心正しいとか善良なだけでは、なにもできない。それが現実。だけど、現実だからとあきらめるのでもひねくれるのでもなくて、その中で、「できること」を探す、あがく、その強さ。
水くんの持つハートフルさが存分発揮されていると思う。
ダイスキ。
マルキーズ@となみちゃんの、華やかなかわいらしさ。
サーカスの花形スターだということが、その存在だけで納得できる、美貌とかわいらしさ、その輝き。
サーカス衣装もめっちゃかわいい。
気の強い女の子だからこそ、支えてあげたい、守ってあげたい。
自然にそう思わせる、けなげさ。
水くんとの並びも美しいし、キュートだし。
いいなあ、このカップル。
ふたりそろってかわいーよー。
悪役(笑)、アルガン@ゆみこ。
……ごめん、すげー笑った。
キムシン、このアテ書きぶりって……!!(震撼)
カッコつけた、カッコつけのタメのカッコづけした、大人な悪役。
あのゆみこが腰振って、腰回して、「オレってセクスィ〜〜」とキメてくれると、ツボ直撃して爆笑した。
や、わたしの横で超絶ゆみこファンがふたり、カラダをふたつに折って爆笑してるし。声殺すためにぴくぴくしてるし。
あまりに真剣にオモロキャラで、登場当初はどーなることかと思ったが。
……いい人でした。
すげー理不尽な、絵に描いたような悪役っぷりなんだけど、話しているうちに、わかってくるの。
彼は彼なりの信念と正義で、マルキーズのために言っているんだって。
考え方がチガウだけで、別に悪でもなんでもないんだって。
悪役に見えるほどの強引さと、不器用さ。
それに気付いたときに、胸がきゅんとなる。
うわわ、アルガンいい男だ〜〜、ダイスキ〜〜。
ラストのはじけっぷりもイイ。や、その、ソレがまた恥ずかしくもかっこいいわけで……なんでああもオモロなんだアルガン!!
てか、美穂姐とゆみこのデュエットなんて、キムシン素晴らしすぎる!!(笑)
フィラント@キムの、明るさとしたたかさ。
えー、彼へのアテ書きっぷりが、いちばんすごいと思う。フィラントって、一見単純で、そのくせすげー難しいキャラクタだと思う。
物語を牽引し、収束する力。
それが、レオン神父@ハマコと、フィラント@キムなの。
物語のテーマ部分、メンタル部分を担うのがレオン神父。そして、物語のアクション部分、フィジカル部分を担うのがフィラントなの。
愛について語り、心を支えたり正したりするのがレオン神父。
そしてフィラントは、物語の流れを動かす。引っ張る。引っかき回す。
停滞したとき、彼がひょいっとつまんで、流れを起こすの。
その、強さ。明るさ。
大地に足の着いた力。太陽を業として生まれてきた存在。
強すぎて、ちょっと無神経テイストだったりするあたり……どんだけすげーアテ書きなんだと。
彼の「正しい」強さが心地良い。ほんとにすごい持ち味だ。
アルセスト@かなめくんのヘタレっぷりときたら。
容赦ないアテ書きだなー(笑)。傷つくのがこわくて、言い訳ばかりして、逃げてばかりの心優しい青年。弱いこととやさしいことを混同してしまった、袋小路。
ルドルフの姿が二重写しになる。歴代ルドルフのなかでもっとも惰弱でヘタレな、万引きが見つかり親に叱られて自殺する中学生みたいな皇太子。
その彼が、曲がりなりにも勇気を出し、一歩を踏み出す物語。
ルドルフにもちゃんとした友だちがいれば、あんな死に方しないですんだんだろうねえ……てなキャラクタ。
ヘタレっぷりがかわいい。すげー本気で、正面切って取り組んでいるのがわかって、それだけでもわくわくする。
そんなダメダメ男アルセストに恋するセリメーヌ@さゆちゃんが、すげーいいキャラだ(笑)。
やさしすぎるダメダメ男だから、セリメーヌのような気の強い女の子が惹かれたんだろう。
そして、やさしすぎるダメダメ男だからこそ、許せなくてキレてしまう。
そんな心の流れが想像できる、人騒がせだけどかわいい女の子。
てか、さゆちゃん、その胸の大きさはいったい……(笑)。
クレアント@ヲツキ、いったい全体、どーしたことだ?!
ヲヅキが、ヲヅキが、役がある台詞がある、歌がある〜〜っっ。
ちゃんと重要な役で、「芝居」してるよお。うれしいよお。
役者ヲヅキ氏の「芝居」がダイスキなので、それだけで感涙モノです。
なによりまず、センターパーツにツボる。
センターパーツ? なんなのそのかわいこちゃんな髪型。しかもなんか、若い、かわいこちゃんな演技してるよ、ヲヅキったら!
奥さんのアンジェリック@かおりちゃんとラヴラヴ。
モブ場面でも、奥さん守ってたりいたわってたり、おなかに触っていたり、もーすげー愛情ダダ漏れでステキ。
大袈裟なことはなくても、ナチュラルに妻を愛し、生きることを愛している。その安定感が心ときめかせる。
仕事に対するこだわりや自信も、ヘタレテイスト(兄弟共に・笑)なキャラクタのアクセントになってるよね。
いい男だ、クレアント。素直に、「こんな男の人、好き」と思える。
他のキャラもみんな「好き」と思える、かわいい人たちばかりで。
やさしい人たちが、やさしい物語を綴る。
そのきらめきに、胸が熱くなる。
ダイスキ。
そう、シンプルに思わせてくれる。
タカラヅカを好きで良かった。
そう、シンプルに思わせてくれる。
「愛」と「夢」を語る、「愛」と「夢」のためだけにある劇団、タカラヅカ。
新しい年に、心新たに、「しあわせ」を感じさせてくれる。
大好きな人の退団にさんざん泣いたけれど、今でも心の整理がついたとは言えないけれど、それでも、タカラヅカを「好き」だと改めて思わせてくれる。
そのことが、うれしい。
好きでよかった。
すべてのことを、超えていける。そのための、力。
そのための、マジックスペル。
「愛してる」
薔薇とピストル。−腐女子注意報−@アデュー・マルセイユ
2008年1月4日 タカラヅカ 私が部屋に戻ると、先客があった。
いつものことだ。彼には、この部屋に自由に入っていいと言ってある。気配を察し、クラウディアが隣の部屋に消えていく。
案の定、モーリスがいた。
……いるのは、いい。繰り返すが、モーリスには自由に私の部屋に出入りしていいと言ってある。
しかし。
私が言葉を失ったのは、彼の格好にだった。
モーリスは顔が埋まりそうなほどの、フリルまみれのブラウスを着ていた。
腰にはこれまた大仰なサッシュベルトを巻き、何故か内股に足を流して乙女のようにベッドに坐っていた。
「……どうした?」
私はなんとか動揺を眉を動かしただけに留め、鷹揚に歩み寄った。
「ボクとあの男と、どっちが大事なの?!」
「その話か」
「あの男はなにかとマリアンヌに色目を使っている。マリアンヌの石鹸工場を利用するのはボクだ。それを、あとから現れて……」
あの男……我々「裏マルセイユ浄化委員会(仮名)」が新たに仲間に迎えたルイ・マレーという密輸業者のことだ。
モーリスと同年代の頭の良さそうな色男で、互いにライバル心を燃やしているらしい。
「ジオラモは、ボクの味方だよね……?」
モーリスは上目遣いに私を見る。瞬きの数が異様に多い。
唇が妙に紅いと思ったら、どうやら手にしていた薔薇の花びらを一枚、ついばんだらしい。唇でくわえて、ふふふと笑う。
薔薇なんぞ持っていたのか。フリルとレースで埋まりきっているので、どこが袖だか手だかわからなくなっていた。
……じつに、愉快なイキモノだ。
自分を絶世の美青年で、魔性のファム・ファタルだと信じ込んでいる。己れの美貌で国を傾けるのも可能だと、無邪気に思い込んでいるようだ。
たしかに美しい青年ではあるが、彼の美貌はそういった負の力は持たない。選挙ポスターの中で白い歯を輝かせ、中年女性の支持を集めるに適した健康的な美貌だと思う。
彼は、自分の才能がわかっていない。
父の遺志を継いで市長を目指す……そのためには手段を選ばない。父を無惨に失い、辛酸な少年期を送った彼は、客観的な感覚を失ってしまったようだ。故郷マルセイユを出てパリで育ったらしいが、そのあたりですっかりその美貌と肉体でのしあがる、しか方法がないと思い込んだらしい。
どんな三流映画を見たのか知らないが、「ボクは野良犬のように、パリの片隅に落ちているシアワセを探した」とか、「貧しい故郷は捨てた、惨めな自分は捨ててきた」とか誰かの書いた脚本のようなことをぶつぶつ言っては、角度を考慮した憂い顔で髪をかき上げていた。
父の遺志を継ぐのは立派だが、何故そこで迷わず手を汚すのか。
モーリスには、肉体や金の力を使わなくてもいずれ欲しいモノを手に入れることができるだけの、能力は備わっている。
明るくさわやかな美貌も、目標のために努力を惜しまない生真面目さも、如才なく立ち回っていながらもどこか抜けたところのある……かわいらしさも、彼本来の才能だ。
生来の豊かな知性に、生い立ちの暗さを跳ね返すだけの教養を身につけ、一般大衆が好む清潔さを武器に、いくらでも陽のあたる道を歩けたはずだ。
なのにモーリスは、「こちら側」にいる。
日陰の世界、我々が生きる側に。
「ねえ、ジオラモ……」
精一杯の流し目をし、フリルとレースに埋まった手を差しのばしてくる。
自分を絶世の美青年だと、女はもちろんのこと男でも自分を欲さずにはいられないと、信じ込んでいる。
自惚れ?
いや、ちがう。
もっとも自分の価値を信じていないのは、モーリス自身だろう。
自分に自信がないのは、モーリス自身だろう。
だから、身を汚す。
金だとか色欲だとか、簡単で、目に見える、安いものしか、信じない。
美貌だとか躯だとか、そんなものにしか、自分の価値はないと思っている。
可哀想に。
そこまで歪んでしまった、追いつめられてしまった彼の生い立ちを思う。
お前の周りの大人たちは、お前を追いつめるだけで、罵るだけで、誰もお前の才能や魅力については教えてくれなかったのだな。
誰もお前のためを思って、叱ってくれたり道を示してくれたりはしなかったのだな。
哀れだと思う。
思う……が。
私はモーリスの父親でも師でもない。
彼の哀れさは、愚かさは、愉快だ。
モーリスの期待する通り、私は彼の差し出した手を取った。甲に口付け、そのまま指を絡める。
モーリスは「ふふふ」と少女のように笑い、自分でブラウスの胸をはだけるようにもう片方の手を差し入れた。
誰に習ったんだか、独学なんだか、はじめから彼はこうだった。出会ってすぐに、彼は私を誘惑しはじめた。
あまりにわかりやすく「小悪魔なボク」を演出して迫ってくるので、最初はとまどった。
目を伏せ小首を傾げてキスをねだる仕草も、いちいち小指を立てていやいやをするのも、かなりキツいのだが……おもしろいから注意はしないでいる。
いやしかし、いい加減教えてやるべきかもしれないが……「小悪魔美少年系は似合わないからよせ」と。少なくとも、自分の年齢を考えろ、と。
最初に彼が権力者にすり寄っていった頃には、それで良かったのかもしれないが……少なくとも10年前と同じセンスで生きるのはよせ。
スーツだけは四角四面に着こなしているが、モーリスの私服のセンスは最悪だ。秘書のロベールにフリル付きアームカバーやエプロンを使わせていることでもわかるだろうが、とにかく感覚が個性的すぎる。
そのままのノリで「美少年系」で迫ってくるので、ときどき笑いツボに入って困る。
いつだったか、全裸にピンクのフリル付きエプロンで「お帰りなさい(はぁと)」をやられたときには、しばらく二の句がつなげなかったが……。(一緒にいたクラウディアも放心したのち、私の肩をぽんぽんと叩き、一言も発さず部屋を出て行った)
モーリスは、必死なのだ。
愚かな彼は、自分の武器でけなげに闘おうとしている。
それしか価値がないと思っているから、なりふり構わず持てる力のすべてですがりつこうとしている。
ベソをかきながら泥玉を投げている愚かな子ども。泥玉の横に、立派なピストルが置いてあるのに、気付いていない。
欲しいものを得られる力は、そこにあるのに。愚かさゆえに、それが武器だと気付かない。
自分の価値を認められないモーリス。
自分を愛せないモーリス。
そんな愚かさごと、彼を愛しいと思う。
モーリスが望む通りに、フリルとレースに埋まった彼の白い躯を組み敷く。薔薇の花びらがシーツに散る。
求められることで、彼は束の間の安堵を手に入れる。
私の背中に両腕を回しながら、彼は一瞬、子どものように笑った。
計算した美少年顔ではなく、父親の胸でくつろぐ幼子のように。無邪気な、委ねきった顔で。
お前を哀れとも愛しいとも思うけれど、お前を救いたいとは思わない。
それは、私の仕事ではない。
お前を救うのは、別の誰かだろう。
いつものことだ。彼には、この部屋に自由に入っていいと言ってある。気配を察し、クラウディアが隣の部屋に消えていく。
案の定、モーリスがいた。
……いるのは、いい。繰り返すが、モーリスには自由に私の部屋に出入りしていいと言ってある。
しかし。
私が言葉を失ったのは、彼の格好にだった。
モーリスは顔が埋まりそうなほどの、フリルまみれのブラウスを着ていた。
腰にはこれまた大仰なサッシュベルトを巻き、何故か内股に足を流して乙女のようにベッドに坐っていた。
「……どうした?」
私はなんとか動揺を眉を動かしただけに留め、鷹揚に歩み寄った。
「ボクとあの男と、どっちが大事なの?!」
「その話か」
「あの男はなにかとマリアンヌに色目を使っている。マリアンヌの石鹸工場を利用するのはボクだ。それを、あとから現れて……」
あの男……我々「裏マルセイユ浄化委員会(仮名)」が新たに仲間に迎えたルイ・マレーという密輸業者のことだ。
モーリスと同年代の頭の良さそうな色男で、互いにライバル心を燃やしているらしい。
「ジオラモは、ボクの味方だよね……?」
モーリスは上目遣いに私を見る。瞬きの数が異様に多い。
唇が妙に紅いと思ったら、どうやら手にしていた薔薇の花びらを一枚、ついばんだらしい。唇でくわえて、ふふふと笑う。
薔薇なんぞ持っていたのか。フリルとレースで埋まりきっているので、どこが袖だか手だかわからなくなっていた。
……じつに、愉快なイキモノだ。
自分を絶世の美青年で、魔性のファム・ファタルだと信じ込んでいる。己れの美貌で国を傾けるのも可能だと、無邪気に思い込んでいるようだ。
たしかに美しい青年ではあるが、彼の美貌はそういった負の力は持たない。選挙ポスターの中で白い歯を輝かせ、中年女性の支持を集めるに適した健康的な美貌だと思う。
彼は、自分の才能がわかっていない。
父の遺志を継いで市長を目指す……そのためには手段を選ばない。父を無惨に失い、辛酸な少年期を送った彼は、客観的な感覚を失ってしまったようだ。故郷マルセイユを出てパリで育ったらしいが、そのあたりですっかりその美貌と肉体でのしあがる、しか方法がないと思い込んだらしい。
どんな三流映画を見たのか知らないが、「ボクは野良犬のように、パリの片隅に落ちているシアワセを探した」とか、「貧しい故郷は捨てた、惨めな自分は捨ててきた」とか誰かの書いた脚本のようなことをぶつぶつ言っては、角度を考慮した憂い顔で髪をかき上げていた。
父の遺志を継ぐのは立派だが、何故そこで迷わず手を汚すのか。
モーリスには、肉体や金の力を使わなくてもいずれ欲しいモノを手に入れることができるだけの、能力は備わっている。
明るくさわやかな美貌も、目標のために努力を惜しまない生真面目さも、如才なく立ち回っていながらもどこか抜けたところのある……かわいらしさも、彼本来の才能だ。
生来の豊かな知性に、生い立ちの暗さを跳ね返すだけの教養を身につけ、一般大衆が好む清潔さを武器に、いくらでも陽のあたる道を歩けたはずだ。
なのにモーリスは、「こちら側」にいる。
日陰の世界、我々が生きる側に。
「ねえ、ジオラモ……」
精一杯の流し目をし、フリルとレースに埋まった手を差しのばしてくる。
自分を絶世の美青年だと、女はもちろんのこと男でも自分を欲さずにはいられないと、信じ込んでいる。
自惚れ?
いや、ちがう。
もっとも自分の価値を信じていないのは、モーリス自身だろう。
自分に自信がないのは、モーリス自身だろう。
だから、身を汚す。
金だとか色欲だとか、簡単で、目に見える、安いものしか、信じない。
美貌だとか躯だとか、そんなものにしか、自分の価値はないと思っている。
可哀想に。
そこまで歪んでしまった、追いつめられてしまった彼の生い立ちを思う。
お前の周りの大人たちは、お前を追いつめるだけで、罵るだけで、誰もお前の才能や魅力については教えてくれなかったのだな。
誰もお前のためを思って、叱ってくれたり道を示してくれたりはしなかったのだな。
哀れだと思う。
思う……が。
私はモーリスの父親でも師でもない。
彼の哀れさは、愚かさは、愉快だ。
モーリスの期待する通り、私は彼の差し出した手を取った。甲に口付け、そのまま指を絡める。
モーリスは「ふふふ」と少女のように笑い、自分でブラウスの胸をはだけるようにもう片方の手を差し入れた。
誰に習ったんだか、独学なんだか、はじめから彼はこうだった。出会ってすぐに、彼は私を誘惑しはじめた。
あまりにわかりやすく「小悪魔なボク」を演出して迫ってくるので、最初はとまどった。
目を伏せ小首を傾げてキスをねだる仕草も、いちいち小指を立てていやいやをするのも、かなりキツいのだが……おもしろいから注意はしないでいる。
いやしかし、いい加減教えてやるべきかもしれないが……「小悪魔美少年系は似合わないからよせ」と。少なくとも、自分の年齢を考えろ、と。
最初に彼が権力者にすり寄っていった頃には、それで良かったのかもしれないが……少なくとも10年前と同じセンスで生きるのはよせ。
スーツだけは四角四面に着こなしているが、モーリスの私服のセンスは最悪だ。秘書のロベールにフリル付きアームカバーやエプロンを使わせていることでもわかるだろうが、とにかく感覚が個性的すぎる。
そのままのノリで「美少年系」で迫ってくるので、ときどき笑いツボに入って困る。
いつだったか、全裸にピンクのフリル付きエプロンで「お帰りなさい(はぁと)」をやられたときには、しばらく二の句がつなげなかったが……。(一緒にいたクラウディアも放心したのち、私の肩をぽんぽんと叩き、一言も発さず部屋を出て行った)
モーリスは、必死なのだ。
愚かな彼は、自分の武器でけなげに闘おうとしている。
それしか価値がないと思っているから、なりふり構わず持てる力のすべてですがりつこうとしている。
ベソをかきながら泥玉を投げている愚かな子ども。泥玉の横に、立派なピストルが置いてあるのに、気付いていない。
欲しいものを得られる力は、そこにあるのに。愚かさゆえに、それが武器だと気付かない。
自分の価値を認められないモーリス。
自分を愛せないモーリス。
そんな愚かさごと、彼を愛しいと思う。
モーリスが望む通りに、フリルとレースに埋まった彼の白い躯を組み敷く。薔薇の花びらがシーツに散る。
求められることで、彼は束の間の安堵を手に入れる。
私の背中に両腕を回しながら、彼は一瞬、子どものように笑った。
計算した美少年顔ではなく、父親の胸でくつろぐ幼子のように。無邪気な、委ねきった顔で。
お前を哀れとも愛しいとも思うけれど、お前を救いたいとは思わない。
それは、私の仕事ではない。
お前を救うのは、別の誰かだろう。
まっつと東宝『ラブ・シンフォニー』と『アデュー・マルセイユ』その1。
2008年1月5日 タカラヅカ
まっつは、いつから投げチューをしなくなったのだろう?
わたしが期せずしてまっつオチしたころ、彼はさかんに客席に向けて投げチューをしていた(そして自爆していた)。
だが最近はとんとご無沙汰なよーな?
そーいや『TUXEDO JAZZ』でミトさん他に向けて投げチューしてたっけ? でもあれは毎回やってたから振付かもしんないし……(オギーがやらせた? ま、まさか……震撼……)。
毎回決まってやる、お約束だから、仕事だからやる、とゆーのではなく。
アピールのため、高ぶりのため、自発的に、抑えきれず投げチューをする……てのは、最近とんと見なくなったなー、と思っていたら。
『ラブ・シンフォニー』で、ひーさん相手に投げチューしてた。
アドリブで、しかも両手を使ってのW投げチュウ。
う、うわー……。
まっつが……まっつなのに、テンション高っ。
満面の笑顔で、両手使ってチュパッチュパッやってるまっつに、鼻白んだっつーかウケたっつーか(笑)。
まっつすごいよまっつ。やればできるんじゃん、これぞハイテンション・ラバーズ、パッショネイト・ダーリン。(棒読み)
いやあ、いいもん見ました。東宝公演ラスト・スパート。ラテンの場面、赤ジャケオサ様登場無礼講時のどさくさで、まっつがみょーにハジケてた。
で、なにがステキかって、まっつがそこまでやってるのに、ひーさん、気づいてないっぽいし。
ひーさんは全開の笑顔で正面向いてドレス振り回して踊ってる。まっつの方見てない。
ステキ。
ひーさん、グッジョブ。
まっつ最高っ。
5回観た東宝公演のうち、2回はまっつ、投げチューしてました。してないときもあったから、まちがいなくアドリブ。楽はやっていたと思う。
振り向いてもらえなくても果敢に投げチュー! その不幸さ加減、最高にまっつだ!
つーことで、東宝のまっつまっつな話です。
個人的にすげー愉快だったのは、ジオラモさん@『アデュー・マルセイユ』のエロおやぢ度が上がっていたこと。
歌声、巻き舌が進化していたのはうれしいことだが、ある意味予想の範囲内。
でもなー、まさかなー、モーリスに対するエロ・アピールが上がっているとはなー(笑)。
モーリス@壮くんなのかよ?! ジェラール@オサ様でもクラウディア@としこさんでもなく。
なんでモーリスに対して触る回数増えてんの?
ホテル・ネプチューンでぢゃないっすよ?
アルテミス主催の舞踏会のときっすよ。
偽札発覚でみんなが舞台中央向いてあーだこーだやっているとき。
ムラではリシャールの手を振り払うだけだったジオラモさん、自分からモーリスに絡んでいきます。ハラショー!
肩に触ったり胸をとんとんしたり。顔を近づけてなんか言ってます。
毎回なにかしらモーリス相手にやっているので、ムッハーッ!!でした(笑)。
とくに1回は、肩を抱き寄せ、ほっぺたつんつんしてました。
ホテル・ネプチューン再び?! ナニ同じことしてんの? 1日2回ほっぺたつんつんなんて……っ。
といっても、ホテル・ネプチューンにて駄々をこねるモーリス相手につんつんするのは振付だから、双方わかってやってるわけじゃん。
スカステのトークで壮くん自身が言っていたように、振付を受けたまっつは「失礼します」と断ってから壮くんの肩を抱いたそうだし(その生真面目さに萌え。そして、その生真面目さを笑い話にする壮くんにも萌え)、ただの演出でしかないのよね。
でもさ、んなこととは別に、しなくてもいいところでわざわざしている、つーのはさー。
まっつが自発的に、エロおやぢモード炸裂で、ヤリたくてヤッてるんでしょ?
Sなまっつ、攻なまっつが大好物なわたしは大歓びです。
ちっこくてやらしージオラモさん。
ひょろっとでかくておツム少々弱めのモーリスくん@パツキン超美形を、オイシクいただいちゃってください、はい。
基本的にモーリスくんはジェラールさんとのカップリングが好きですが、愛のない関係も萌えなので、ジオ様×モーリスくんはぜんぜんアリです、OKです(笑)。
ジオ様を「ボクの美貌とテクでめろめろさっ」と利用しているつもりのモーリスくんと、そんなモーリスくんの腹の内全部見透かした上で手のひらで転がしているジオ様@使える限りは利用していらなくなったらポイっ主義……いいなあ。うっとり。
あ、モーリスはそんなジオラモさんの手を、すげー嫌そうに振り払ってます。毎回。
ジオ様気にせず、肩をすくめてみせたり、眉上げてみたり。
で、リシャールを振り払うのはムラと同じ。……モーリスのことは触っても、リシャールには触れないあたり、いい感じです。
ラストの「弁護士を呼べ!」はとってもチャーミング(笑)になってたし。
くやしまぎれの一言ではなく、警察を揶揄している感じで、厭ったらしさ大幅アップ。
まつださん、こんなにステキにエロおやぢになっちゃって、また好青年の相沢くんに戻れるのかしら(笑)、ってくらい、ステキに厭なおっさんですわ。
まあ、ファンの目にしかかっこよくは見えていないのかもしれないけど……(仲間たちは肯定してくれないしっ)、わたしの目には十分ステキな色男なんで、問題ないです。はい。
んで、話はまた『ラブ・シンフォニー』に戻る……が、文字数半端なんで、翌日欄に続く。
あ、上の写真はアズ@ジオラモコスプレ中。
わたしが期せずしてまっつオチしたころ、彼はさかんに客席に向けて投げチューをしていた(そして自爆していた)。
だが最近はとんとご無沙汰なよーな?
そーいや『TUXEDO JAZZ』でミトさん他に向けて投げチューしてたっけ? でもあれは毎回やってたから振付かもしんないし……(オギーがやらせた? ま、まさか……震撼……)。
毎回決まってやる、お約束だから、仕事だからやる、とゆーのではなく。
アピールのため、高ぶりのため、自発的に、抑えきれず投げチューをする……てのは、最近とんと見なくなったなー、と思っていたら。
『ラブ・シンフォニー』で、ひーさん相手に投げチューしてた。
アドリブで、しかも両手を使ってのW投げチュウ。
う、うわー……。
まっつが……まっつなのに、テンション高っ。
満面の笑顔で、両手使ってチュパッチュパッやってるまっつに、鼻白んだっつーかウケたっつーか(笑)。
まっつすごいよまっつ。やればできるんじゃん、これぞハイテンション・ラバーズ、パッショネイト・ダーリン。(棒読み)
いやあ、いいもん見ました。東宝公演ラスト・スパート。ラテンの場面、赤ジャケオサ様登場無礼講時のどさくさで、まっつがみょーにハジケてた。
で、なにがステキかって、まっつがそこまでやってるのに、ひーさん、気づいてないっぽいし。
ひーさんは全開の笑顔で正面向いてドレス振り回して踊ってる。まっつの方見てない。
ステキ。
ひーさん、グッジョブ。
まっつ最高っ。
5回観た東宝公演のうち、2回はまっつ、投げチューしてました。してないときもあったから、まちがいなくアドリブ。楽はやっていたと思う。
振り向いてもらえなくても果敢に投げチュー! その不幸さ加減、最高にまっつだ!
つーことで、東宝のまっつまっつな話です。
個人的にすげー愉快だったのは、ジオラモさん@『アデュー・マルセイユ』のエロおやぢ度が上がっていたこと。
歌声、巻き舌が進化していたのはうれしいことだが、ある意味予想の範囲内。
でもなー、まさかなー、モーリスに対するエロ・アピールが上がっているとはなー(笑)。
モーリス@壮くんなのかよ?! ジェラール@オサ様でもクラウディア@としこさんでもなく。
なんでモーリスに対して触る回数増えてんの?
ホテル・ネプチューンでぢゃないっすよ?
アルテミス主催の舞踏会のときっすよ。
偽札発覚でみんなが舞台中央向いてあーだこーだやっているとき。
ムラではリシャールの手を振り払うだけだったジオラモさん、自分からモーリスに絡んでいきます。ハラショー!
肩に触ったり胸をとんとんしたり。顔を近づけてなんか言ってます。
毎回なにかしらモーリス相手にやっているので、ムッハーッ!!でした(笑)。
とくに1回は、肩を抱き寄せ、ほっぺたつんつんしてました。
ホテル・ネプチューン再び?! ナニ同じことしてんの? 1日2回ほっぺたつんつんなんて……っ。
といっても、ホテル・ネプチューンにて駄々をこねるモーリス相手につんつんするのは振付だから、双方わかってやってるわけじゃん。
スカステのトークで壮くん自身が言っていたように、振付を受けたまっつは「失礼します」と断ってから壮くんの肩を抱いたそうだし(その生真面目さに萌え。そして、その生真面目さを笑い話にする壮くんにも萌え)、ただの演出でしかないのよね。
でもさ、んなこととは別に、しなくてもいいところでわざわざしている、つーのはさー。
まっつが自発的に、エロおやぢモード炸裂で、ヤリたくてヤッてるんでしょ?
Sなまっつ、攻なまっつが大好物なわたしは大歓びです。
ちっこくてやらしージオラモさん。
ひょろっとでかくておツム少々弱めのモーリスくん@パツキン超美形を、オイシクいただいちゃってください、はい。
基本的にモーリスくんはジェラールさんとのカップリングが好きですが、愛のない関係も萌えなので、ジオ様×モーリスくんはぜんぜんアリです、OKです(笑)。
ジオ様を「ボクの美貌とテクでめろめろさっ」と利用しているつもりのモーリスくんと、そんなモーリスくんの腹の内全部見透かした上で手のひらで転がしているジオ様@使える限りは利用していらなくなったらポイっ主義……いいなあ。うっとり。
あ、モーリスはそんなジオラモさんの手を、すげー嫌そうに振り払ってます。毎回。
ジオ様気にせず、肩をすくめてみせたり、眉上げてみたり。
で、リシャールを振り払うのはムラと同じ。……モーリスのことは触っても、リシャールには触れないあたり、いい感じです。
ラストの「弁護士を呼べ!」はとってもチャーミング(笑)になってたし。
くやしまぎれの一言ではなく、警察を揶揄している感じで、厭ったらしさ大幅アップ。
まつださん、こんなにステキにエロおやぢになっちゃって、また好青年の相沢くんに戻れるのかしら(笑)、ってくらい、ステキに厭なおっさんですわ。
まあ、ファンの目にしかかっこよくは見えていないのかもしれないけど……(仲間たちは肯定してくれないしっ)、わたしの目には十分ステキな色男なんで、問題ないです。はい。
んで、話はまた『ラブ・シンフォニー』に戻る……が、文字数半端なんで、翌日欄に続く。
あ、上の写真はアズ@ジオラモコスプレ中。
まっつと東宝『ラブ・シンフォニー』と『アデュー・マルセイユ』その2。
2008年1月6日 タカラヅカ まっつは、カード弱いです。
『ラブ・シンフォニー』の「ラブ・ゲーム」、下手端に集まったスーツの男たち、さおた、みわっち、まっつ、しゅん様。
オサ様の歌声に合わせてカード勝負。
カードを投げ、勝敗を競う。
つっても、パントマイムだからカードは実在しない。投げるふりをしたあと、自己申告で「勝った!」とやった者が勝つっぽい。
だからギャンブルじゃなくてスポーツ? 勝ち名乗りを上げる瞬発力だよね、必要なのは。
んで、誰に聞いてもまっつが勝ったとは聞かないんだ。ムラにいるときからそうだったけど、東宝になるとほんとにまっつ、負けっぱなしみたいで。
勝率は、しゅん様>みわっち>さおた>まっつ?
いちばん下級生のしゅん様に勝ちを譲ってあげてるのかな、上級生たち。大人だな……と、ちらりと思ったりもしたけど、みわさんはけっこー大人げなく勝ちに行ってる印象(笑)。そゆとこ好きだ(笑)。んで、そゆとこでアツくならないさおまつは必然負け続ける、と。
でもなー、ムラで1回だけ見た「勝利のまっつ」はすげーかわいかったしなー。
まっつが勝つとこ見たいなー。勝ってくんねーかなー、と思いつつの東宝公演。
22日は相変わらずまっつは負けていたけれど。
23日昼、まつださんは、いきなり勝った。
両手でガッツポーズ。
ラスト3回、なんて微妙なとこで勝ちに来たのか、勝率最低男!!
すげーすげー、まっつが勝った〜〜。
と、なんかささやかなことで大喜び。大ウケ。
そんでもって、24日夜、前楽。
4人揃って、遠慮の固まり。
勝ち名乗りを上げる=勝者、なのに誰も勝利を宣言しなかった。
4人揃ってお見合い状態。
一瞬の沈黙。顔を見合わせる4人の男。
で、誰もいないなら、と、まっつとさおたさんが、手を挙げた。
や、ふたりとも空気読んで、それゆえに「誰もやらないなら、俺がやったことにしておくよ」と動いたわけだ。
その空気読んで気を遣って動いた人が、ふたりいたから、変なのであって。
ギャンブルですから、勝つのはひとり。ふたり勝利はおかしい。
ので、気を遣って名乗りを上げかけたふたりは、さらにふたりで顔見合わせて「あ゜」という表情になった。
……タイミング悪。
てゆーか、ほんと仲良しやな、さおまつ。気ィ合いすぎ(笑)。
さて、そんなふーに気を遣いすぎてお見合い状態になってしまった前楽を経て。
最後の最後、大楽にて。
最後のカード勝負の勝者は誰だ?!
最下級生、おにーちゃんたちからかわいがられてます、しゅん様か?
狙うぜ負けないぜ、いつもギラギラみわっちか?
ここはやはり上級生に花を持たせるもんでしょー、さおたさんか?
そして、あまり勝つ気がなさそーなまま、とりあえず2連勝中(1回はさおたさんと同時首位)のまっつか?
ダダダダダ(ドラムロール)……ジャジャーン!!(ファンファーレ)
なんと、しゅん様、みわっち、まっつの3人勝利です!!
つか、さおたさん以外の3人が、同時に「俺、WINNER!!」と勝ち名乗りを上げた!!
で、3人揃って「え゜?」て顔してた。
……空気読めよ、お前ら(笑)。なに最後の1回まで勝とうとしてんのよ、譲り合えよ!!(譲り合った結果が前楽のお見合い状態です・笑)
全員で譲り合いから、3人で勝利のポーズという、極端な結果に。
そして、最後の最後に譲ってしまう最上級生(翌日から管理職)さおたさんに萌え(笑)。
んで結果として。
勝率最低男まっつが、最後の最後に3連勝。てなことに。(いやその、1回はさおたさんと同時首位、1回は3人首位とゆーめちゃくちゃさだが)
勝ち方はトホホだが、なにはともあれ勝利のまっつ! おめでとーおめでとー。
でもって3回とも、勝ち方がちがったためにまっつの表情がまったくちがったので、それぞれおいしかったっす。
黒燕尾デュエットダンスのまっつが、なんか別の人だった。
相手役のひーさんに、なにかしきりに、話しかけていた。
や、喋ってるわけじゃないの。
言葉は発していないと思う。
でも、表情がね、いちいち彼女に語りかけているの。
踊りながら、全身で、相手役に話しかけている。
表情が動く。自分ひとりの感情でではなく、相手の感情を求めて、反応を映して、動くの。
……こんな人だった……?
こんな踊り方、今までしてたっけ?
びっくりした。
つか、ドキドキした。
相手の女の子を、こんなに大事に大事に踊るんだー。たのしそうに、しあわせそうに。
や、基本薄幸そうではあるんだけどね(笑)。
大楽の、最後のデュエダンなんかね、のぞき込むようにひーさんの顔見て、笑ってるの。彼女の反応を全身で追いかけ、受け止め、泣きそうな顔で笑ってるの。
表情が、笑顔が、動き続けるの。
じっとなんかしてないの。
ひとつひとつ、はじけるようにやさしくて。
きらっきらって、仕草のひとつひとつが輝いてるみたいでね。
ダンス技術もあるのだろうけれど、気持ちがそこに乗っていることがわかるから、それが空気を輝かせている感じ。
……そりゃ、地味かもしんないけどさぁ。
自分自身で、ひとりきりで輝く人ぢゃないかもしれないけどさぁ。
このひと、好きだなぁ。
と、今さらながらに思った。
そして、今さらながらに照れた。
うわ、なんかなんか、すげー恥ずかしいよぉ。まっつと目が合いませんように。なんかすごく、恥ずかしい。
まっつを好きでガン見していること自体に、テレまくった……。
あああ、まっつまっつまっつ。
『ラブ・シンフォニー』の「ラブ・ゲーム」、下手端に集まったスーツの男たち、さおた、みわっち、まっつ、しゅん様。
オサ様の歌声に合わせてカード勝負。
カードを投げ、勝敗を競う。
つっても、パントマイムだからカードは実在しない。投げるふりをしたあと、自己申告で「勝った!」とやった者が勝つっぽい。
だからギャンブルじゃなくてスポーツ? 勝ち名乗りを上げる瞬発力だよね、必要なのは。
んで、誰に聞いてもまっつが勝ったとは聞かないんだ。ムラにいるときからそうだったけど、東宝になるとほんとにまっつ、負けっぱなしみたいで。
勝率は、しゅん様>みわっち>さおた>まっつ?
いちばん下級生のしゅん様に勝ちを譲ってあげてるのかな、上級生たち。大人だな……と、ちらりと思ったりもしたけど、みわさんはけっこー大人げなく勝ちに行ってる印象(笑)。そゆとこ好きだ(笑)。んで、そゆとこでアツくならないさおまつは必然負け続ける、と。
でもなー、ムラで1回だけ見た「勝利のまっつ」はすげーかわいかったしなー。
まっつが勝つとこ見たいなー。勝ってくんねーかなー、と思いつつの東宝公演。
22日は相変わらずまっつは負けていたけれど。
23日昼、まつださんは、いきなり勝った。
両手でガッツポーズ。
ラスト3回、なんて微妙なとこで勝ちに来たのか、勝率最低男!!
すげーすげー、まっつが勝った〜〜。
と、なんかささやかなことで大喜び。大ウケ。
そんでもって、24日夜、前楽。
4人揃って、遠慮の固まり。
勝ち名乗りを上げる=勝者、なのに誰も勝利を宣言しなかった。
4人揃ってお見合い状態。
一瞬の沈黙。顔を見合わせる4人の男。
で、誰もいないなら、と、まっつとさおたさんが、手を挙げた。
や、ふたりとも空気読んで、それゆえに「誰もやらないなら、俺がやったことにしておくよ」と動いたわけだ。
その空気読んで気を遣って動いた人が、ふたりいたから、変なのであって。
ギャンブルですから、勝つのはひとり。ふたり勝利はおかしい。
ので、気を遣って名乗りを上げかけたふたりは、さらにふたりで顔見合わせて「あ゜」という表情になった。
……タイミング悪。
てゆーか、ほんと仲良しやな、さおまつ。気ィ合いすぎ(笑)。
さて、そんなふーに気を遣いすぎてお見合い状態になってしまった前楽を経て。
最後の最後、大楽にて。
最後のカード勝負の勝者は誰だ?!
最下級生、おにーちゃんたちからかわいがられてます、しゅん様か?
狙うぜ負けないぜ、いつもギラギラみわっちか?
ここはやはり上級生に花を持たせるもんでしょー、さおたさんか?
そして、あまり勝つ気がなさそーなまま、とりあえず2連勝中(1回はさおたさんと同時首位)のまっつか?
ダダダダダ(ドラムロール)……ジャジャーン!!(ファンファーレ)
なんと、しゅん様、みわっち、まっつの3人勝利です!!
つか、さおたさん以外の3人が、同時に「俺、WINNER!!」と勝ち名乗りを上げた!!
で、3人揃って「え゜?」て顔してた。
……空気読めよ、お前ら(笑)。なに最後の1回まで勝とうとしてんのよ、譲り合えよ!!(譲り合った結果が前楽のお見合い状態です・笑)
全員で譲り合いから、3人で勝利のポーズという、極端な結果に。
そして、最後の最後に譲ってしまう最上級生(翌日から管理職)さおたさんに萌え(笑)。
んで結果として。
勝率最低男まっつが、最後の最後に3連勝。てなことに。(いやその、1回はさおたさんと同時首位、1回は3人首位とゆーめちゃくちゃさだが)
勝ち方はトホホだが、なにはともあれ勝利のまっつ! おめでとーおめでとー。
でもって3回とも、勝ち方がちがったためにまっつの表情がまったくちがったので、それぞれおいしかったっす。
黒燕尾デュエットダンスのまっつが、なんか別の人だった。
相手役のひーさんに、なにかしきりに、話しかけていた。
や、喋ってるわけじゃないの。
言葉は発していないと思う。
でも、表情がね、いちいち彼女に語りかけているの。
踊りながら、全身で、相手役に話しかけている。
表情が動く。自分ひとりの感情でではなく、相手の感情を求めて、反応を映して、動くの。
……こんな人だった……?
こんな踊り方、今までしてたっけ?
びっくりした。
つか、ドキドキした。
相手の女の子を、こんなに大事に大事に踊るんだー。たのしそうに、しあわせそうに。
や、基本薄幸そうではあるんだけどね(笑)。
大楽の、最後のデュエダンなんかね、のぞき込むようにひーさんの顔見て、笑ってるの。彼女の反応を全身で追いかけ、受け止め、泣きそうな顔で笑ってるの。
表情が、笑顔が、動き続けるの。
じっとなんかしてないの。
ひとつひとつ、はじけるようにやさしくて。
きらっきらって、仕草のひとつひとつが輝いてるみたいでね。
ダンス技術もあるのだろうけれど、気持ちがそこに乗っていることがわかるから、それが空気を輝かせている感じ。
……そりゃ、地味かもしんないけどさぁ。
自分自身で、ひとりきりで輝く人ぢゃないかもしれないけどさぁ。
このひと、好きだなぁ。
と、今さらながらに思った。
そして、今さらながらに照れた。
うわ、なんかなんか、すげー恥ずかしいよぉ。まっつと目が合いませんように。なんかすごく、恥ずかしい。
まっつを好きでガン見していること自体に、テレまくった……。
あああ、まっつまっつまっつ。
まっつと東宝『ラブ・シンフォニー』と『アデュー・マルセイユ』その3。
2008年1月7日 タカラヅカ まっつは、テンション高かったと思う。
『アデュー・マルセイユ』『ラブ・シンフォニー』東宝千秋楽。
ムラに引き続き、なにかアドリブするとかスタンドプレイするとかはなかったと思うが。
まっつ的に、ハイテンションだったと思う。
でないと、カード勝負で3連続勝ちに行ったりしないよなあ(前日欄参照)、とか。
ラテンはノリノリで投げチューしてたし、全開の笑顔だった。
……ハイテンション……いや、高密度という方が正しいかもしれない。
昂揚とか高温とかではなく。
まっつがすごく、つまっている気がした。
こう……なんつーか、洗面器に「100まっつの溶けた水」1リットルが入っていて、通常は「1000ml=100まっつ」なんだけど、今は水分が蒸発して体積が減り、そのくせまっつは減っていないから「300ml=100まっつ」ってゆーか。
や、これは密度でなくて濃度か。密度だったら体積変わっても一定だから例として相応しくない……?(混乱中)
あああ、洗面器の中にきっちり小さなまっつが詰まっている妄想が……。(ウンパルンパ@『チャーリーとチョコレート工場』のノリで)
いやその、アホな表現になっておりますが、つまり通常よりまっつがきゅっと詰まっている気がしたの。
余分なものがすべて削ぎ落とされ、キンキンのカツンカツンに中身が詰まっている。
強い強い、濃いまっつだった。
だから「ラブ・ゲーム」でクールにキザっているし、「ラテン」ではノリノリ。
一分の隙もなく、力が正しい方向へ進んでいる。一直線、遊びとか歪みとか、曖昧なところがまったくない。
オサ様を見送る歌とダンスの「スパニッシュ」でも……ベクトルはブレることがなかった。
確実に踊り、確実に歌う。
表情、目線、指先の動き、すべてが「正しく」演じられていた。
もう何十回見てきた、デフォルトの表情を、動きを、まちがいなくしていた。
それは、頑ななまでの集中力で。
自分がやるべきこと。
成し遂げるべきこと……それだけに集中した姿。
まっつが高密度で高純度で高濃度で、混じり気ナシのびっちり詰まったまっつで、もう、どうしていいかわからない。
公演に、演技にだけ、まっすぐに集中している。
それは正しい姿。正しい……の、だろうけれど。
舞台人は、自分の演技だけに固まるのではなく、舞台という空間に立ち、客席に向かうために、どこか「余分」なものを持っていると思う。
余分、というのが言葉が悪いなら、「余白」とでも「行間」とでも言おうか。
書かれたこと以外のフリースペース。
そこに個性とか表現とか余韻とかを含ませる。
新人がいっぱいいっぱいになっちゃってその「余白」がなにもなく、ただ自分をそのままさらけ出して自爆しちゃう……てことがある、よね?
まっつに感じた「余白のなさ」は、そういうものとは違っていて。
自分の意志で、余白を塗りつぶしていた。
紙面いっぱいにまでデフォルトの演技を広げ、余分なものを一切排除していた。
そうすることで、なにかと闘っていた、のだろう。
余白があったら、フリースペースがあったら、なにか飛び出してきてしまうから。
それはナマのまっつかもしれないし、本名のまつださんかもしれない。
タカラヅカはそーゆーものを余白に載せてかまわないところだし、かえってソレが喜ばれたりもするのだけど、まっつは余白を力尽くで塗りつぶしていた。
すげー頑なな意志の力が、なにかを抑え込んで、「正しい仕事」をしていた。
……そこまで、キンキンのカツンカツンにまで、ならなくてもいいのに。大丈夫なのに。
まっつ濃度が高すぎて、胸が痛いよ。
もう少し、ゆるくていいから。
泣きたいときは泣いていいから。
舞台への集中がすごいから、その延長線上にある「ラテン」でのオサ様への笑顔とか、黒燕尾のときのひーさんへの笑顔とか、集中しきった上でこの表情にたどり着くのかと思うとせつない。
舞台に、演技に、役に、余白無しで没頭しているからこその笑顔なんだな。
退団とか別れとか最後とか、そーゆー外側の問題ではなく、ただ、今この場所にいる上で。
余分なものを全部削ぎ落としたら、こんなにも高い純度でひとは誰かのために笑えるんだなと。
一途なものは、こんなに美しいのだなと。
退団者挨拶までたどり着くと、まっつは相変わらず表情がなかった。
ほっこりした挨拶の言葉に泣いている人たちまでもが思わず笑っても、まっつの表情は動かなかった。
笑いが起ころうが周囲が泣いていようが、ただまっつは無表情に立ち続けていた。
人の動きに合わせて目線は動くし、相変わらず高速の拍手もする(まっつって拍手のとき、手が小さく高速で動くよね?)けど、表情は変わらない。動かない。
止まったまま。
人形のように。
清々しくも美しく微笑む退団者たちの後ろで、なんの表情も作ることができずに立ちつくしていた。
泣きながら、それでも笑顔を作る多くのジェンヌたちの間に、立ちつくしていた。
何度幕が降り、また開いても、強い顔で固まったままだった。
……最後の最後に、ようやく笑ってくれて、ほっとした。繰り返されるカーテンコールの最後に、やっと表情があった。
不自由な人だなと思う。
頑固な人だなと思う。
全部全部、自分で受け止め咀嚼して、自分の血肉にするんだろう。
そーやってどこまでもまっつのまま、寿美礼サマを、他の仲間を見送って。
翌日に、そのかの舞台を観にムラにいたことに、ほっとする。
たしかみわさんと一緒にいたと思う。あとふたり、金髪の子(男役と娘役)がいたけど、わたしの席からは確認できず。
魂ぎりぎりまで追いつめられた翌日、友だちと一緒に、友だちの舞台を観に現れる。
昨日の今日で、よくここに現れたな……いや、昨日の今日だからこそ、そのかに会いに来たのかもしれない。
……ひとりじゃ、ないんだなぁ。
そうやって誠実な舞台を作るひとたちは、そうやって絆を作り、支え合っている。
彼らは決してひとりではなく、立ち止まることなく進んでいく。
まっつが誰かと抱き合って泣く人なのか、ひとりきりで泣く人なのか、わたしは知りようがないけれど。
彼がひとりではなく、仲間たちとともにあることを、心からうれしく思う。
「卒業」というセレモニーに団員も観客も共に涙を流す、独特の世界観。
芸であること仕事であることはわかった上で、前提の上で、それでもそこに「人の心」を求める。
ひとの絆や情を力にかえて夢を織る、宝塚歌劇団というファンタジーを、信じたい。
未涼亜希というファンタジーに酔い続けたい。
『アデュー・マルセイユ』『ラブ・シンフォニー』東宝千秋楽。
ムラに引き続き、なにかアドリブするとかスタンドプレイするとかはなかったと思うが。
まっつ的に、ハイテンションだったと思う。
でないと、カード勝負で3連続勝ちに行ったりしないよなあ(前日欄参照)、とか。
ラテンはノリノリで投げチューしてたし、全開の笑顔だった。
……ハイテンション……いや、高密度という方が正しいかもしれない。
昂揚とか高温とかではなく。
まっつがすごく、つまっている気がした。
こう……なんつーか、洗面器に「100まっつの溶けた水」1リットルが入っていて、通常は「1000ml=100まっつ」なんだけど、今は水分が蒸発して体積が減り、そのくせまっつは減っていないから「300ml=100まっつ」ってゆーか。
や、これは密度でなくて濃度か。密度だったら体積変わっても一定だから例として相応しくない……?(混乱中)
あああ、洗面器の中にきっちり小さなまっつが詰まっている妄想が……。(ウンパルンパ@『チャーリーとチョコレート工場』のノリで)
いやその、アホな表現になっておりますが、つまり通常よりまっつがきゅっと詰まっている気がしたの。
余分なものがすべて削ぎ落とされ、キンキンのカツンカツンに中身が詰まっている。
強い強い、濃いまっつだった。
だから「ラブ・ゲーム」でクールにキザっているし、「ラテン」ではノリノリ。
一分の隙もなく、力が正しい方向へ進んでいる。一直線、遊びとか歪みとか、曖昧なところがまったくない。
オサ様を見送る歌とダンスの「スパニッシュ」でも……ベクトルはブレることがなかった。
確実に踊り、確実に歌う。
表情、目線、指先の動き、すべてが「正しく」演じられていた。
もう何十回見てきた、デフォルトの表情を、動きを、まちがいなくしていた。
それは、頑ななまでの集中力で。
自分がやるべきこと。
成し遂げるべきこと……それだけに集中した姿。
まっつが高密度で高純度で高濃度で、混じり気ナシのびっちり詰まったまっつで、もう、どうしていいかわからない。
公演に、演技にだけ、まっすぐに集中している。
それは正しい姿。正しい……の、だろうけれど。
舞台人は、自分の演技だけに固まるのではなく、舞台という空間に立ち、客席に向かうために、どこか「余分」なものを持っていると思う。
余分、というのが言葉が悪いなら、「余白」とでも「行間」とでも言おうか。
書かれたこと以外のフリースペース。
そこに個性とか表現とか余韻とかを含ませる。
新人がいっぱいいっぱいになっちゃってその「余白」がなにもなく、ただ自分をそのままさらけ出して自爆しちゃう……てことがある、よね?
まっつに感じた「余白のなさ」は、そういうものとは違っていて。
自分の意志で、余白を塗りつぶしていた。
紙面いっぱいにまでデフォルトの演技を広げ、余分なものを一切排除していた。
そうすることで、なにかと闘っていた、のだろう。
余白があったら、フリースペースがあったら、なにか飛び出してきてしまうから。
それはナマのまっつかもしれないし、本名のまつださんかもしれない。
タカラヅカはそーゆーものを余白に載せてかまわないところだし、かえってソレが喜ばれたりもするのだけど、まっつは余白を力尽くで塗りつぶしていた。
すげー頑なな意志の力が、なにかを抑え込んで、「正しい仕事」をしていた。
……そこまで、キンキンのカツンカツンにまで、ならなくてもいいのに。大丈夫なのに。
まっつ濃度が高すぎて、胸が痛いよ。
もう少し、ゆるくていいから。
泣きたいときは泣いていいから。
舞台への集中がすごいから、その延長線上にある「ラテン」でのオサ様への笑顔とか、黒燕尾のときのひーさんへの笑顔とか、集中しきった上でこの表情にたどり着くのかと思うとせつない。
舞台に、演技に、役に、余白無しで没頭しているからこその笑顔なんだな。
退団とか別れとか最後とか、そーゆー外側の問題ではなく、ただ、今この場所にいる上で。
余分なものを全部削ぎ落としたら、こんなにも高い純度でひとは誰かのために笑えるんだなと。
一途なものは、こんなに美しいのだなと。
退団者挨拶までたどり着くと、まっつは相変わらず表情がなかった。
ほっこりした挨拶の言葉に泣いている人たちまでもが思わず笑っても、まっつの表情は動かなかった。
笑いが起ころうが周囲が泣いていようが、ただまっつは無表情に立ち続けていた。
人の動きに合わせて目線は動くし、相変わらず高速の拍手もする(まっつって拍手のとき、手が小さく高速で動くよね?)けど、表情は変わらない。動かない。
止まったまま。
人形のように。
清々しくも美しく微笑む退団者たちの後ろで、なんの表情も作ることができずに立ちつくしていた。
泣きながら、それでも笑顔を作る多くのジェンヌたちの間に、立ちつくしていた。
何度幕が降り、また開いても、強い顔で固まったままだった。
……最後の最後に、ようやく笑ってくれて、ほっとした。繰り返されるカーテンコールの最後に、やっと表情があった。
不自由な人だなと思う。
頑固な人だなと思う。
全部全部、自分で受け止め咀嚼して、自分の血肉にするんだろう。
そーやってどこまでもまっつのまま、寿美礼サマを、他の仲間を見送って。
翌日に、そのかの舞台を観にムラにいたことに、ほっとする。
たしかみわさんと一緒にいたと思う。あとふたり、金髪の子(男役と娘役)がいたけど、わたしの席からは確認できず。
魂ぎりぎりまで追いつめられた翌日、友だちと一緒に、友だちの舞台を観に現れる。
昨日の今日で、よくここに現れたな……いや、昨日の今日だからこそ、そのかに会いに来たのかもしれない。
……ひとりじゃ、ないんだなぁ。
そうやって誠実な舞台を作るひとたちは、そうやって絆を作り、支え合っている。
彼らは決してひとりではなく、立ち止まることなく進んでいく。
まっつが誰かと抱き合って泣く人なのか、ひとりきりで泣く人なのか、わたしは知りようがないけれど。
彼がひとりではなく、仲間たちとともにあることを、心からうれしく思う。
「卒業」というセレモニーに団員も観客も共に涙を流す、独特の世界観。
芸であること仕事であることはわかった上で、前提の上で、それでもそこに「人の心」を求める。
ひとの絆や情を力にかえて夢を織る、宝塚歌劇団というファンタジーを、信じたい。
未涼亜希というファンタジーに酔い続けたい。
「いい男」であるという結論。@HOLLYWOOD LOVER
2008年1月8日 タカラヅカ 月組バウホール公演『HOLLYWOOD LOVER』観劇。
いろいろ思うところはあったが、いちばんショックだったのは。
わたし、そのかってやっぱりダメかもしれない。
と、いうことだった。
そのかは好きだ。
出てくれるとうれしいし、よろこんで見る。注視する。
ビジュアルも芸風も好き。ジェンヌとして、舞台人として好き。不思議ちゃんな素顔も好き。
スカステだのTCAの出だので、いまだにまっつとラヴいエピソードを披露してくれるところも好き(笑)。
だが、それとはまったく別、まったく無関係なところで、きつい。
今回のそのかの役、ハートフルな三枚目、「いい人」なカメラマン、ビリー役は……きつかった。
ケロに似ている。
やっぱりこの人、似てるよ。
姿が似ている、演技が似ている。
ケロがもしいれば、ケロがこの役を演じていれば、まったく同じではないにしろ、近いディテールで演じただろうと思える。
そのかの姿に、ケロを見てしまう。
それがつらい。
最近のそのかは別にケロには見えなくて、ふつーにそのかとしてかっこ良くてかわいくて、毎回よろこんで眺めていた。
だからもうすっかり、油断していた。ケロがどうこうとか関係なく、忘れて、そのか自身を愛でていた。
それが。
……油断していただけに、きつかった。
好きな人に似ている、というのは、こんなにもつらいことなのか。痛いことなのか。
ましてや、一緒にいるのはゆーひくんだ。ケロの弟、ケロの相棒だ。
すっかり大人になったゆうひくんと、幼さの残るケロが一緒にいる。親友役を演じている。
……もうダメかも。
そのかを見るのはつらすぎるかも。
と、びーびー泣きながら思い……。
それでも、そのかを、好きでしょうがない。
好きな人に似ている、というのは、ケロ云々を抜いても、そのかが「好みの男である」ということなんだ。
つらくて、痛くて、もう嫌だ、もう見たくないと思いつつ……そのかから、目が離れない。どきどきする。
こんな感情があるなんて、知らなかった。
矛盾しまくり、混乱しまくり。
似ている、似ていない、似ているから好き、似ているからキライ、似ていても、それとは別に好き。いっそまったく似ていなければいいのに。あの人に見えるくらい、いい男なの?
矛盾しまくり、混乱しまくり。
ああもお、恋に落ちるしかないんじゃないの、コレ??
そのかが好きだ〜〜!!
いやその、すでにわたしのハートはまっつのもの(笑)なんで、今さらどうこうはなりませんが。
まっつがいなかったら、そのかにまっしぐらだったんだろーか。そしてこんな痛い思いをしょっちゅー味わうことになっていたんだろうか。ぶるぶる。
わたしはケロファン友だちがほとんどいないんでアレだけど、ケロ友の多いチェリさんのもとにはやはり、「『ハリラバ』のそのかが似ている!」と感想が集まっているようだし。
あああ、ケロファンはみな、多かれ少なかれ悲鳴を上げているのだなぁ……。(うれしい悲鳴もあるのかな?)
千秋楽も観に行ったのだけど、それは東宝でオサ様を見送った翌日で。
オサ様を失った翌日に、涙も乾かないウチに、なんであたしここにいるの? よりによってそのかを見ているの? と、うろたえました。
ケロの面影を見てしまい、息も絶え絶えになる人を、オサ様を失った翌日に見ている……って、マゾですかわたしは。
何重もの意味で、胸の痛みを味わいましたともさ。
それでも、そのかを好きだと思う。
見ていたいと思う。
ある意味象徴的だ。オサ様楽の翌日に、ビリー@そのかを見るなんて。
この傷みを繰り返し、それでもわたしはこの美しいファンタジー世界を愛し続けるのだな、と。てか、毒にずっぽりハマっちゃって、抜け出せない、解脱できないんだな、と。
そのかがすげーいい男ですよ、お客さん。
バカで鈍感でやさしくて、ふつーに妻と息子に甘い若いパパで、泣けるほどいい男なの。
一見の価値あり。
いろいろ思うところはあったが、いちばんショックだったのは。
わたし、そのかってやっぱりダメかもしれない。
と、いうことだった。
そのかは好きだ。
出てくれるとうれしいし、よろこんで見る。注視する。
ビジュアルも芸風も好き。ジェンヌとして、舞台人として好き。不思議ちゃんな素顔も好き。
スカステだのTCAの出だので、いまだにまっつとラヴいエピソードを披露してくれるところも好き(笑)。
だが、それとはまったく別、まったく無関係なところで、きつい。
今回のそのかの役、ハートフルな三枚目、「いい人」なカメラマン、ビリー役は……きつかった。
ケロに似ている。
やっぱりこの人、似てるよ。
姿が似ている、演技が似ている。
ケロがもしいれば、ケロがこの役を演じていれば、まったく同じではないにしろ、近いディテールで演じただろうと思える。
そのかの姿に、ケロを見てしまう。
それがつらい。
最近のそのかは別にケロには見えなくて、ふつーにそのかとしてかっこ良くてかわいくて、毎回よろこんで眺めていた。
だからもうすっかり、油断していた。ケロがどうこうとか関係なく、忘れて、そのか自身を愛でていた。
それが。
……油断していただけに、きつかった。
好きな人に似ている、というのは、こんなにもつらいことなのか。痛いことなのか。
ましてや、一緒にいるのはゆーひくんだ。ケロの弟、ケロの相棒だ。
すっかり大人になったゆうひくんと、幼さの残るケロが一緒にいる。親友役を演じている。
……もうダメかも。
そのかを見るのはつらすぎるかも。
と、びーびー泣きながら思い……。
それでも、そのかを、好きでしょうがない。
好きな人に似ている、というのは、ケロ云々を抜いても、そのかが「好みの男である」ということなんだ。
つらくて、痛くて、もう嫌だ、もう見たくないと思いつつ……そのかから、目が離れない。どきどきする。
こんな感情があるなんて、知らなかった。
矛盾しまくり、混乱しまくり。
似ている、似ていない、似ているから好き、似ているからキライ、似ていても、それとは別に好き。いっそまったく似ていなければいいのに。あの人に見えるくらい、いい男なの?
矛盾しまくり、混乱しまくり。
ああもお、恋に落ちるしかないんじゃないの、コレ??
そのかが好きだ〜〜!!
いやその、すでにわたしのハートはまっつのもの(笑)なんで、今さらどうこうはなりませんが。
まっつがいなかったら、そのかにまっしぐらだったんだろーか。そしてこんな痛い思いをしょっちゅー味わうことになっていたんだろうか。ぶるぶる。
わたしはケロファン友だちがほとんどいないんでアレだけど、ケロ友の多いチェリさんのもとにはやはり、「『ハリラバ』のそのかが似ている!」と感想が集まっているようだし。
あああ、ケロファンはみな、多かれ少なかれ悲鳴を上げているのだなぁ……。(うれしい悲鳴もあるのかな?)
千秋楽も観に行ったのだけど、それは東宝でオサ様を見送った翌日で。
オサ様を失った翌日に、涙も乾かないウチに、なんであたしここにいるの? よりによってそのかを見ているの? と、うろたえました。
ケロの面影を見てしまい、息も絶え絶えになる人を、オサ様を失った翌日に見ている……って、マゾですかわたしは。
何重もの意味で、胸の痛みを味わいましたともさ。
それでも、そのかを好きだと思う。
見ていたいと思う。
ある意味象徴的だ。オサ様楽の翌日に、ビリー@そのかを見るなんて。
この傷みを繰り返し、それでもわたしはこの美しいファンタジー世界を愛し続けるのだな、と。てか、毒にずっぽりハマっちゃって、抜け出せない、解脱できないんだな、と。
そのかがすげーいい男ですよ、お客さん。
バカで鈍感でやさしくて、ふつーに妻と息子に甘い若いパパで、泣けるほどいい男なの。
一見の価値あり。
彼が清冽な「美しさ」を発する世界で。@HOLLYWOOD LOVER
2008年1月9日 タカラヅカ 大空祐飛の美しさを痛感する。
月組バウホール公演『HOLLYWOOD LOVER』観劇。初日に行けなかったので、あとはもーいつでもいいや、とグレた初日好き(笑)。結局nanaタンと一緒にWヘッダーっす。
予備知識ナシ。誰が出ているのかもノーチェックで、とにかく行く。
ハリウッドは大作映画「サラ・ベルナール」の製作発表に沸き返っていた。大ヒットメーカーであるプロデューサー、リチャード@あひ、大女優ローズ@あいあい主演、監督はイタリアから招致したステファーノ@ゆーひだ。
ステファーノは昔ハリウッドで映画制作修行をしており、そのころにローズと恋仲だった。ステファーノの監督デビュー作「HOLLYWOOD LOVER」で初主演したローズをリチャードが見初め、ローズはリチャードと結婚、ステファーノは追われるようにハリウッドをあとにした……という過去があるにもかかわらず、因縁の顔ぶれでの大作映画制作。
それはローズのたっての希望だった。彼女はこの「サラ・ベルナール」を最後に引退をほのめかすが……。
大変タカラヅカらしいメロドラマで、とことん美しく、また、泣ける物語でした。
ラヴストーリーというより。メロドラマ、という言葉が似合う。や、誉め言葉ですとも。
他のジャンルでは成立しない、タカラヅカならではの作品なので。
つくづく、「タカラヅカ」に理屈はいらないのだと思った。
大空祐飛の美しさだけで、あとは全部まるっとどーでもいーと思えてしまうからだ。
もちろん、「タカラヅカの男役」というファンタジーを作り上げるための「作品」は必要で、景子せんせはとても良い仕事をしていると思うが。
景子せんせの作品の最大の美点は、「タカラヅカ男役が誰でも美しく見える作品」を作ることで、『HOLLYWOOD LOVER』もゆーひくんでなくてもOKなキャラと作品なんだが、「タカラヅカ男役」であるゆーひくんの美しさを最大限に引き出していると思う。
大空祐飛が美しい。
もう、コレだけで他はナニもいらない……つー勢いだ。
これほど美しい人が生きて、動いている奇跡。
そしてゆーひくんは、景子作品に合ってる人だと思う。
植田景子作品は、美しいが、薄い。淡々としていて、少女マンガ的な美しさや正義で貫かれているため、リアルな汚れ、濁の部分を持たない。
強い個性、アクのある人は、景子作品には合わない。彼の個性が作品の流れを変えてしまうから。美しく、温度の高くない、作品の空気感や世界観を壊さない及第点以上の男役スキルを持ったスターが相応しい。
ゆーひくんは強い個性もアクも持っていると思っているけれど、その個性ゆえに、作品やキャラを選ぶ。
いわゆる正統派な白い役は苦手部類に分類。
なにしろ「愛」の演技が苦手。嫉妬や苦悩は得意で、ドロドロしたものを演じるとすげーハマるのだが、それは「真ん中」向けの資質じゃないので、「真ん中」である今回は関係なし。
今回は大したストーリーも起伏もない、淡々と進むメロドラマ。正統派の白い「愛」だけで話を進めなければならない。
そしてゆーひくんは、恋愛温度が低い。熱愛濃度が薄い。
だからこそ、薄い景子作品に似合う。
淡々と流れる白いドラマを、淡々と白いゆーひくんが、ただただ美しく演じる。
景子せんせの世界観を、そのまま形作ることができる。
高温だったり愛情ダダ漏れだったりエロエロだったりすると、どうしても泥臭くなる。作品が濁る。
透明に透き通った白い世界を描くには、相応しくない。
たとえばこの話、トウコ×あすかで演じていたら、すげーエロエロな情念の世界に突入していただろうな、とか(笑)。18禁上等。
らんとむ主演でも暑苦しくなったろうな、とか(笑)。熱血上等。
ゆーひだから、こんなに温度の低い物語になってるんだよな。おしゃれになってるんだよな、と。
ちょうどドラマシティであさこちゃん主演の『A-“R”ex』が上演されている頃だったからこそ、より興味深かった。
どちらの作品も、「タカラヅカ的美しさ」のみを主役に求めている。
しかし『A-“R”ex』はその「タカラヅカ的美しさ」ゆえに救いがなく、『HOLLYWOOD LOVER』は「タカラヅカ的美しさ」ゆえに成立している。
あさことゆーひ、ふたりの壮絶な美しさゆえに、存在した作品。
そしてわたしは、『A-“R”ex』を観ながら「ここにゆーひがいれば」と切望したし、『HOLLYWOOD LOVER』を「あさこちゃん主演で観たいなー」と思った。
『A-“R”ex』でいたたまれないほど「世界」から孤立していたあさこを救えるのはゆーひだと思った。ゆうひくんが『A-“R”ex』に出演していれば、たったひとり「タカラヅカ」であるあさこちゃんと「世界」を、ゆーひくんが「つなぐ」ことができたと思う。……そしたら、作品が変わってしまうから、ありえないんだけど。
『HOLLYWOOD LOVER』は、「タカラヅカの男役スター」がその白い資質、真ん中の力で演じるものであるからこそ、ふつうにトップスターあさこちゃんで見てみたいと思った。ゆうひがその個性を存分に発揮できるのは、この作品ではリチャード役だし。
『A-“R”ex』と『HOLLYWOOD LOVER』に文句があるとか、それぞれの主演に不満があるとかゆー意味ではなく、単純にそう思った。
『A-“R”ex』の持つ「タカラヅカ」へのアンチテーゼ、『HOLLYWOOD LOVER』の「タカラヅカ」でしか存在し得ない作品の骨組み自体の甘さゆえに、「タカラヅカ的」であるあさことゆーひの存在をシャッフルしてもアリだろう、とか、そーゆーことを思ったわけだな。
まあなんにせよ、わたしは「美しい」ゆーひくんを見られたので、それだけでうれしいし、たのしかったっす。
わたしが「大空祐飛」で見たいモノではまったくなかったが、彼がココまで成長していたことがうれしくてならない。
大人になったなあ……。
観ながら、『シニョール ドン・ファン』をすごーく思い出していた。スティーブ役をこなせていなかったあのふくれっ面の不良少年が、よくぞここまで育ったなあ。
役の幅が狭く、黒い役、真ん中からちとひねくれたようなところの役は得意でも(そしてその辺を好む客には熱愛されても)、正統派の「白い役」、路線スターならば誰が演じてもOKな役(そしてそれこそが大衆に愛される役)は苦手だった彼が、この「真ん中」という以外になにもないよーな役を、ここまできちんと演じることができるよーになるとは。
ちょっと前までは、想像もできなかったよ。
確実に成長し続けているんだ。
持って生まれただけの美しさではない、彼自身が磨き上げた美しさに、感動する。
月組バウホール公演『HOLLYWOOD LOVER』観劇。初日に行けなかったので、あとはもーいつでもいいや、とグレた初日好き(笑)。結局nanaタンと一緒にWヘッダーっす。
予備知識ナシ。誰が出ているのかもノーチェックで、とにかく行く。
ハリウッドは大作映画「サラ・ベルナール」の製作発表に沸き返っていた。大ヒットメーカーであるプロデューサー、リチャード@あひ、大女優ローズ@あいあい主演、監督はイタリアから招致したステファーノ@ゆーひだ。
ステファーノは昔ハリウッドで映画制作修行をしており、そのころにローズと恋仲だった。ステファーノの監督デビュー作「HOLLYWOOD LOVER」で初主演したローズをリチャードが見初め、ローズはリチャードと結婚、ステファーノは追われるようにハリウッドをあとにした……という過去があるにもかかわらず、因縁の顔ぶれでの大作映画制作。
それはローズのたっての希望だった。彼女はこの「サラ・ベルナール」を最後に引退をほのめかすが……。
大変タカラヅカらしいメロドラマで、とことん美しく、また、泣ける物語でした。
ラヴストーリーというより。メロドラマ、という言葉が似合う。や、誉め言葉ですとも。
他のジャンルでは成立しない、タカラヅカならではの作品なので。
つくづく、「タカラヅカ」に理屈はいらないのだと思った。
大空祐飛の美しさだけで、あとは全部まるっとどーでもいーと思えてしまうからだ。
もちろん、「タカラヅカの男役」というファンタジーを作り上げるための「作品」は必要で、景子せんせはとても良い仕事をしていると思うが。
景子せんせの作品の最大の美点は、「タカラヅカ男役が誰でも美しく見える作品」を作ることで、『HOLLYWOOD LOVER』もゆーひくんでなくてもOKなキャラと作品なんだが、「タカラヅカ男役」であるゆーひくんの美しさを最大限に引き出していると思う。
大空祐飛が美しい。
もう、コレだけで他はナニもいらない……つー勢いだ。
これほど美しい人が生きて、動いている奇跡。
そしてゆーひくんは、景子作品に合ってる人だと思う。
植田景子作品は、美しいが、薄い。淡々としていて、少女マンガ的な美しさや正義で貫かれているため、リアルな汚れ、濁の部分を持たない。
強い個性、アクのある人は、景子作品には合わない。彼の個性が作品の流れを変えてしまうから。美しく、温度の高くない、作品の空気感や世界観を壊さない及第点以上の男役スキルを持ったスターが相応しい。
ゆーひくんは強い個性もアクも持っていると思っているけれど、その個性ゆえに、作品やキャラを選ぶ。
いわゆる正統派な白い役は苦手部類に分類。
なにしろ「愛」の演技が苦手。嫉妬や苦悩は得意で、ドロドロしたものを演じるとすげーハマるのだが、それは「真ん中」向けの資質じゃないので、「真ん中」である今回は関係なし。
今回は大したストーリーも起伏もない、淡々と進むメロドラマ。正統派の白い「愛」だけで話を進めなければならない。
そしてゆーひくんは、恋愛温度が低い。熱愛濃度が薄い。
だからこそ、薄い景子作品に似合う。
淡々と流れる白いドラマを、淡々と白いゆーひくんが、ただただ美しく演じる。
景子せんせの世界観を、そのまま形作ることができる。
高温だったり愛情ダダ漏れだったりエロエロだったりすると、どうしても泥臭くなる。作品が濁る。
透明に透き通った白い世界を描くには、相応しくない。
たとえばこの話、トウコ×あすかで演じていたら、すげーエロエロな情念の世界に突入していただろうな、とか(笑)。18禁上等。
らんとむ主演でも暑苦しくなったろうな、とか(笑)。熱血上等。
ゆーひだから、こんなに温度の低い物語になってるんだよな。おしゃれになってるんだよな、と。
ちょうどドラマシティであさこちゃん主演の『A-“R”ex』が上演されている頃だったからこそ、より興味深かった。
どちらの作品も、「タカラヅカ的美しさ」のみを主役に求めている。
しかし『A-“R”ex』はその「タカラヅカ的美しさ」ゆえに救いがなく、『HOLLYWOOD LOVER』は「タカラヅカ的美しさ」ゆえに成立している。
あさことゆーひ、ふたりの壮絶な美しさゆえに、存在した作品。
そしてわたしは、『A-“R”ex』を観ながら「ここにゆーひがいれば」と切望したし、『HOLLYWOOD LOVER』を「あさこちゃん主演で観たいなー」と思った。
『A-“R”ex』でいたたまれないほど「世界」から孤立していたあさこを救えるのはゆーひだと思った。ゆうひくんが『A-“R”ex』に出演していれば、たったひとり「タカラヅカ」であるあさこちゃんと「世界」を、ゆーひくんが「つなぐ」ことができたと思う。……そしたら、作品が変わってしまうから、ありえないんだけど。
『HOLLYWOOD LOVER』は、「タカラヅカの男役スター」がその白い資質、真ん中の力で演じるものであるからこそ、ふつうにトップスターあさこちゃんで見てみたいと思った。ゆうひがその個性を存分に発揮できるのは、この作品ではリチャード役だし。
『A-“R”ex』と『HOLLYWOOD LOVER』に文句があるとか、それぞれの主演に不満があるとかゆー意味ではなく、単純にそう思った。
『A-“R”ex』の持つ「タカラヅカ」へのアンチテーゼ、『HOLLYWOOD LOVER』の「タカラヅカ」でしか存在し得ない作品の骨組み自体の甘さゆえに、「タカラヅカ的」であるあさことゆーひの存在をシャッフルしてもアリだろう、とか、そーゆーことを思ったわけだな。
まあなんにせよ、わたしは「美しい」ゆーひくんを見られたので、それだけでうれしいし、たのしかったっす。
わたしが「大空祐飛」で見たいモノではまったくなかったが、彼がココまで成長していたことがうれしくてならない。
大人になったなあ……。
観ながら、『シニョール ドン・ファン』をすごーく思い出していた。スティーブ役をこなせていなかったあのふくれっ面の不良少年が、よくぞここまで育ったなあ。
役の幅が狭く、黒い役、真ん中からちとひねくれたようなところの役は得意でも(そしてその辺を好む客には熱愛されても)、正統派の「白い役」、路線スターならば誰が演じてもOKな役(そしてそれこそが大衆に愛される役)は苦手だった彼が、この「真ん中」という以外になにもないよーな役を、ここまできちんと演じることができるよーになるとは。
ちょっと前までは、想像もできなかったよ。
確実に成長し続けているんだ。
持って生まれただけの美しさではない、彼自身が磨き上げた美しさに、感動する。
昔ハリウッドというところに、びんぼーだけどラヴラヴな、若いカップルがいました。毎日、こいつぅ♪いやぁん♪つかまえてごらんなさぁい♪あはは♪うふふ♪な生活でした。あまりに毎日ソレ一色だったので、女の方が「こんなぴんくいろにしあわせなひびが、ずーっとつづくわけないわ。しあわせがこわれることなんかたえられない。それならじぶんからこわしちゃえ。えいっ」と、他の大金持ちとあっさり結婚してしまいました。
突然捨てられた男は失意のまま故国へ帰り、あっという間に8年経ちました。
お金持ちの夫の力で大スターになった女は、またしても夫の力で昔コケにして捨てた恋人の男をハリウッドに呼び寄せました。男はあれから一念発起して、故国で映画監督として成功を収めていたのです。夫の会社が金を出し、夫がプロデューサーを務め、昔の男が監督をする映画で、主演女優を張るのです。すばらしい。
もちろん女は男をずーっと愛しており、夫を捨てて男と逃げる算段です。「おかねより、あいだわ!」ということらしいですが、えーと、あのぅ、男は昔のなにも持たない若造ではなく、今をときめく売れっ子監督なんですから、富も名声もそれなりにあるっつーかなんつーか。うふふ♪あはは♪ 人生薔薇色、ぴんくいろ。
ところが急転直下。女の夫は独占欲の固まり。なんせ筋金入りのマザコンでファザコンです。ママにそっくりな女が、別の男を選ぶなんて耐えられない! ボクはパパとはちがって妻一筋なんだっ。ボクたちは完璧な夫婦だあぁぁぁぁ(エコー)ということで、女を道連れに無理心中カマしました。どいつもこいつも、うふふ♪あはは♪な思考回路だなヲイ。
……てな話だったよーな気がしないでもないが、そのへんは深く考えず。
『HOLLYWOOD LOVER』のハナシです。
ネタ一発勝負っていうか、シチュエーション萌えっていうか、ぶっちゃけストーリーほとんどナイのに、それでも2時間保たせるんだからすごい。
ストーリーと呼べるべき「アクション」の部分は全部「回想(録音)」でしかなく、なにもしていない現在パートばかりが淡々と続く。
「物語」としてふつーに成立させるなら、過去と現在を両方きちんと役者を使って、実際に演じて、表現するべきだった。
朗読劇でもOKな作りだもんよ、今のままじゃ。
もっとも、わざとソレを狙って作ったのかもしれないので、それじゃー仕方ないな、と思う。
ストーリー性が薄い、起伏がない、淡々としている。平均以下のクオリティの作品ならそれらを欠点として上げられるけど、これだけまとまった「美しいもの」を作ったのだから、「狙って作りました」と言われたらもう、仕方ない。お手上げだ。
あとは好みの問題。
つーことで、ただたんにステファーノ@ゆーひがかっこいいという話をしよう(笑)。
わたしがステファーノを「かっこいい」と思うのは、なによりも彼が働いている男だからだと思う。
……や、だって。
ヅカのヒーローで、まともに仕事している人、仕事している様子がかっこよく描かれている人、ほとんどいないんだもんよ。
愛だの使命だのに苦悩はしてくれても、ふつーの社会人として「働いている」姿は描かれないんだもん。
芸術家とかが、その才能を発現するために苦悩している様とかは描かれることがあるけど、それは「働いている」のではなく、「ヒーローとしての活躍」を描いているだけだし。
天才の話は好きだけど、そうではなく、等身大の「理想の恋人」を描くなら、「仕事をしている姿」は重要でしょう?
ステファーノは才能あるクリエイターだけど、快刀乱麻の絶対無二の天才カリスマではなく、あくまでも「ふつう」の岸にいる人。地に足の着いた「有能な男」。
ならば彼がどう有能なのかを、台詞だけでなく「生き方」で見せて欲しい。
プロデューサー側の無理難題を受け入れ、スタッフをまとめ、自ら現場に立って指揮をする。人々の信頼、仲間の輪、大衆性と自己表現とを誤解せずに創作する。
アーティストとしての力と、社会人としての力、リーダーシップを見せつけることで、自然と彼を「かっこいい」と思わせてくれる。
てゆーか、仕事に誇りとこだわりのある男が好きつーだけなんだけどね、わたしが(笑)。
愛や恋や、情や傷は人間なら当然持っているし、それによって揺れ動きもするけれど、ソレを言い訳に仕事を投げ出したり穴を空けたり手を抜いたりする男は嫌い。や、男に限らず、女もだけど。
自分を捨てた女とその夫の映画であっても仕事を受け、女への気持ちが再燃しているにしろ、それとは別に仕事を完璧に仕上げる。
女と逃げるのは、仕事を終えてから。ふたりきりでいくらでも一緒にいられるだろう仕事中ではなく。
そういう、「あたりまえ」の部分を、ごく「あたりまえ」に満たしていることに感動。
ステファーノは、恋や傷を言い訳に仕事を投げ出さない。人生を投げ出さない。
恋や傷を理由になにもかも投げ捨てる方が簡単にドラマティックだし、それだけ情が深い、すばらしい人間のように描きがちな「フィクション」界で。
ステファーノはどれだけ傷ついても、人として、社会人としての常識や役目を果たし続けるだろう。そう思えることがステキ。
そーゆー「まとも」な感覚の男だからこそ、人妻とかけおちする重みもあるわけで。
ふわふわした男とはチガウ、あのまともな男が下した決断だから、とてつもなく重い。
そして彼は、その重みを知り、すべてひとりで担ぐつもりでいる。……女の方は絶対、担がない。全部男になすりつけるはず(笑)。
ローズとステファーノはかけおちに成功していたとしても、大した時間は掛からず破局するだろうし、あの弱く自分勝手なローズは自虐することで自分を守り、結局ステファーノはとことん傷つくことになるだろう。
それでも彼ならきっと、傷だらけの身体を起こし、重い足取りで、それでも歩き出すだろうと思える。
それらも含めて、「かっこいい」んだ。
ローズとの思い出の写真を手に号泣する背中がせつない。愛しい。
強い人。
だからこそ、悲しくて。
最後の空港の場面にて、去っていく背中がせつない。愛しい。
強い人。
まともで、ふつうで、だからこそ強い人。
エキセントリックだとかデリケートだとか、弱さを守るための飾りを持たず、ただ真正面から強い人。
だからこそ、愛しくて。
つーことで、ただたんにステファーノ@ゆーひがかっこいいというだけの話。
それだけでいいもん。
突然捨てられた男は失意のまま故国へ帰り、あっという間に8年経ちました。
お金持ちの夫の力で大スターになった女は、またしても夫の力で昔コケにして捨てた恋人の男をハリウッドに呼び寄せました。男はあれから一念発起して、故国で映画監督として成功を収めていたのです。夫の会社が金を出し、夫がプロデューサーを務め、昔の男が監督をする映画で、主演女優を張るのです。すばらしい。
もちろん女は男をずーっと愛しており、夫を捨てて男と逃げる算段です。「おかねより、あいだわ!」ということらしいですが、えーと、あのぅ、男は昔のなにも持たない若造ではなく、今をときめく売れっ子監督なんですから、富も名声もそれなりにあるっつーかなんつーか。うふふ♪あはは♪ 人生薔薇色、ぴんくいろ。
ところが急転直下。女の夫は独占欲の固まり。なんせ筋金入りのマザコンでファザコンです。ママにそっくりな女が、別の男を選ぶなんて耐えられない! ボクはパパとはちがって妻一筋なんだっ。ボクたちは完璧な夫婦だあぁぁぁぁ(エコー)ということで、女を道連れに無理心中カマしました。どいつもこいつも、うふふ♪あはは♪な思考回路だなヲイ。
……てな話だったよーな気がしないでもないが、そのへんは深く考えず。
『HOLLYWOOD LOVER』のハナシです。
ネタ一発勝負っていうか、シチュエーション萌えっていうか、ぶっちゃけストーリーほとんどナイのに、それでも2時間保たせるんだからすごい。
ストーリーと呼べるべき「アクション」の部分は全部「回想(録音)」でしかなく、なにもしていない現在パートばかりが淡々と続く。
「物語」としてふつーに成立させるなら、過去と現在を両方きちんと役者を使って、実際に演じて、表現するべきだった。
朗読劇でもOKな作りだもんよ、今のままじゃ。
もっとも、わざとソレを狙って作ったのかもしれないので、それじゃー仕方ないな、と思う。
ストーリー性が薄い、起伏がない、淡々としている。平均以下のクオリティの作品ならそれらを欠点として上げられるけど、これだけまとまった「美しいもの」を作ったのだから、「狙って作りました」と言われたらもう、仕方ない。お手上げだ。
あとは好みの問題。
つーことで、ただたんにステファーノ@ゆーひがかっこいいという話をしよう(笑)。
わたしがステファーノを「かっこいい」と思うのは、なによりも彼が働いている男だからだと思う。
……や、だって。
ヅカのヒーローで、まともに仕事している人、仕事している様子がかっこよく描かれている人、ほとんどいないんだもんよ。
愛だの使命だのに苦悩はしてくれても、ふつーの社会人として「働いている」姿は描かれないんだもん。
芸術家とかが、その才能を発現するために苦悩している様とかは描かれることがあるけど、それは「働いている」のではなく、「ヒーローとしての活躍」を描いているだけだし。
天才の話は好きだけど、そうではなく、等身大の「理想の恋人」を描くなら、「仕事をしている姿」は重要でしょう?
ステファーノは才能あるクリエイターだけど、快刀乱麻の絶対無二の天才カリスマではなく、あくまでも「ふつう」の岸にいる人。地に足の着いた「有能な男」。
ならば彼がどう有能なのかを、台詞だけでなく「生き方」で見せて欲しい。
プロデューサー側の無理難題を受け入れ、スタッフをまとめ、自ら現場に立って指揮をする。人々の信頼、仲間の輪、大衆性と自己表現とを誤解せずに創作する。
アーティストとしての力と、社会人としての力、リーダーシップを見せつけることで、自然と彼を「かっこいい」と思わせてくれる。
てゆーか、仕事に誇りとこだわりのある男が好きつーだけなんだけどね、わたしが(笑)。
愛や恋や、情や傷は人間なら当然持っているし、それによって揺れ動きもするけれど、ソレを言い訳に仕事を投げ出したり穴を空けたり手を抜いたりする男は嫌い。や、男に限らず、女もだけど。
自分を捨てた女とその夫の映画であっても仕事を受け、女への気持ちが再燃しているにしろ、それとは別に仕事を完璧に仕上げる。
女と逃げるのは、仕事を終えてから。ふたりきりでいくらでも一緒にいられるだろう仕事中ではなく。
そういう、「あたりまえ」の部分を、ごく「あたりまえ」に満たしていることに感動。
ステファーノは、恋や傷を言い訳に仕事を投げ出さない。人生を投げ出さない。
恋や傷を理由になにもかも投げ捨てる方が簡単にドラマティックだし、それだけ情が深い、すばらしい人間のように描きがちな「フィクション」界で。
ステファーノはどれだけ傷ついても、人として、社会人としての常識や役目を果たし続けるだろう。そう思えることがステキ。
そーゆー「まとも」な感覚の男だからこそ、人妻とかけおちする重みもあるわけで。
ふわふわした男とはチガウ、あのまともな男が下した決断だから、とてつもなく重い。
そして彼は、その重みを知り、すべてひとりで担ぐつもりでいる。……女の方は絶対、担がない。全部男になすりつけるはず(笑)。
ローズとステファーノはかけおちに成功していたとしても、大した時間は掛からず破局するだろうし、あの弱く自分勝手なローズは自虐することで自分を守り、結局ステファーノはとことん傷つくことになるだろう。
それでも彼ならきっと、傷だらけの身体を起こし、重い足取りで、それでも歩き出すだろうと思える。
それらも含めて、「かっこいい」んだ。
ローズとの思い出の写真を手に号泣する背中がせつない。愛しい。
強い人。
だからこそ、悲しくて。
最後の空港の場面にて、去っていく背中がせつない。愛しい。
強い人。
まともで、ふつうで、だからこそ強い人。
エキセントリックだとかデリケートだとか、弱さを守るための飾りを持たず、ただ真正面から強い人。
だからこそ、愛しくて。
つーことで、ただたんにステファーノ@ゆーひがかっこいいというだけの話。
それだけでいいもん。
パパ、どこなの、抱きしめてよ。@HOLLYWOOD LOVER
2008年1月11日 タカラヅカ 暗い舞台に少年リチャード@遼河はるひ登場、ピンスポット。短パン希望。のんちゃん@『PUCK』風味?
「ママ、どこなの、聞こえてるの。寒いんだ、抱きしめてよ」
頼りなげに歌う。ボーイ・ソプラノよろしく。がんばれあひ。
「ママ、お部屋は真っ暗なんだ。目が覚めるとこわいんだ。泣いても誰も来ない。ボクはひとりぼっち」
徐々に明るくなる舞台奥に、銀髪の男@越乃リュウ登場。
坐り込む少年リチャードの後ろに立つ。
「ママには聞こえない」
「誰?」
驚いて振り返る少年リチャードに手をさしのべる。
「友だちさ。呼んでくれれば来てあげる」
「本当?」
「必ず」
少年リチャード、その手を取り、男に抱きつく。
「ボクはならない、パパのようには。昨日も一緒だった、別の女の人。ママが可哀想」
少年の母親は女優だった。銀幕の中でこそ輝いていた。
舞台奥、ホリゾントに映像。古いフィルムらしくぼやけてしまってよく見えない。どうやら女性が映っている。
「ママ、どうして旅に出るの。ボクも連れてって。お家にいるときだけでもボクをひとりにしないで」
少年リチャード、スクリーンの女性に語りかけるように歌う。
スクリーンのフィルムは空回りをし、やがて消える。
暗転。
銀髪の男は一旦背を向け、暗転中に舞台上で着替える。
リチャードのオフィス。
銀髪の男が立っていた場所に、レイ@越乃リュウが立っている。
下手から現れた青年リチャード@遼河はるひ、椅子に坐る。憔悴している。
リチャードは大映画会社の名プロデューサーであり、妻ローズを主演とした人気映画を作り続けてきた。
しかし、今。
「大女優のイメージ保ってローズ様を守り続ける。ステファーノに勝ち、生き残る。虚しい闘いですね」
部下レイの言葉に、リチャードが激しく反応する。
「妻は私を愛してくれている」
「彼女を信じてるのですか」
「もちろんだ」
「もし裏切られたらどう生きていく?」
「ありえない」
ホリゾントに映像。ザラザラの荒れた画面に、モノクロの美しい女の姿が映る。後ろ姿だったり指先だったり口元だけだったり。
決して顔は映らない。
映像の前に、女が立つ。
いかにも「女優」なファッションをした、物憂げな美女@城咲あい。
美女はなにも言わず、現れた男@大空祐飛と抱き合い、静かに踊り出す。
スクリーンには断続的に映像が流れる。
モノクロの、美しい女の姿。髪、背中、肩先……決して顔は映らない。
その前で抱き合うふたり。生身の、男と女。
「これが彼女の愛なんです」
レイの声だけがする。彼は一旦ライトの外に出ている。
デスクに両手をついたリチャードはつぶやく。
「どうすればいい。生きていけない」
「死ねばいい」
レイの声色が変わった。
再びライトの中に戻った男は、いつかの銀髪の男だった。早変わり大変。
「お前」
リチャード、驚いて立ち上がる。音楽変わり、彼を翻弄するようなものになる。ぶっちゃけ、ルドルフがトートと黒天使に弄ばれるときの音楽。
リチャード、上着を脱がされ、シャツ姿で銀髪の男の腕の中でくるくる踊る。弄ばれて踊る。
その後ろに、ザラザラとモノクロの女が映るスクリーンがある。映像は消えたり、また気まぐれに浮かび上がったりしている。
その前で踊る男と女は、銀髪の男と踊るリチャードと時にシンクロする。
また、女@城咲あいと踊る男が、別の男@磯野千尋に変わる。そのふたりのダンスも、銀髪の男とリチャードのダンスに、時にシンクロする。
音楽高まり、沈黙。
銀髪の男がリチャードを抱き寄せ、接吻するかしないかのタイミングで暗転。
スクリーンの顔の見えない女だけが、浮かび上がる。
再びライトがついたとき、そこはやはりリチャードのオフィスであり、デスクに坐るリチャードと、その傍らに立つ彼の忠実な部下レイがいた。
レイは淡々と、ローズがステファーノと逃げる計画をリチャードに報告していた。
「レイ。お前は私を卑怯だと思うか」
「貴方らしいやり方だと思います。私は貴方の作る映画が好きでした」
スクリーンにはザラザラの途切れ途切れのフィルム。微笑み続ける幻の美女。
スクリーンの前に、純白の花嫁衣装の女@城咲あいが立つ。顔にはベール。彼女は、まるでそこに新郎がいるかのように腕を伸ばす。
エスコートを求めるように。
リチャードが立ち上がり、舞台奥の花嫁の腕を取るように腕を持ち上げ……ふたりは、別々の方向へ、袖へはけていく。
残るのはスクリーンと、レイ。
ラジオ放送と、マスコミの声。
リチャードと妻ローズの飛行機事故を口々に告げる。雑音、騒音。
サウンドエフェクトのみ。
それらが治まると、同時に舞台には無数のロウソク。中央に棺。
棺にすがりつき、泣き崩れるリチャードの父@磯野千尋。
レイもその場に立ち続ける。
「ママ、どこなの、聞こえてるの。寒いんだ、抱きしめてよ」
ボーイ・ソプラノの歌声が聞こえ……ライトが照らしたのは大人のリチャード。
「ママ、どこなの、聞こえてるの。寒いんだ、抱きしめてよ」
大人の声で歌う。
父には彼が見えないのか、泣きながら下手へ去っていく。レイはその場に残るが無表情。
その顔は、銀髪の男のものかもしれない。
スクリーンにはもうなにもない。ただときどきザラザラした影や汚れだけが映る。
スクリーンの前に立つリチャード。
その影が、スクリーンに映る。幻の女の代わりに。
「ママ、どこなの……」
歌声が途切れ、その声が消えると同時にレイの姿が闇に消える。
暗闇の中、スクリーンとリチャードだけになる。
「パパ……」
少年の声でつぶやき、最後のライトが落ちる。
幕。
☆
越リュウのトート、見てみたいなー。
「ママ、どこなの、聞こえてるの。寒いんだ、抱きしめてよ」
頼りなげに歌う。ボーイ・ソプラノよろしく。がんばれあひ。
「ママ、お部屋は真っ暗なんだ。目が覚めるとこわいんだ。泣いても誰も来ない。ボクはひとりぼっち」
徐々に明るくなる舞台奥に、銀髪の男@越乃リュウ登場。
坐り込む少年リチャードの後ろに立つ。
「ママには聞こえない」
「誰?」
驚いて振り返る少年リチャードに手をさしのべる。
「友だちさ。呼んでくれれば来てあげる」
「本当?」
「必ず」
少年リチャード、その手を取り、男に抱きつく。
「ボクはならない、パパのようには。昨日も一緒だった、別の女の人。ママが可哀想」
少年の母親は女優だった。銀幕の中でこそ輝いていた。
舞台奥、ホリゾントに映像。古いフィルムらしくぼやけてしまってよく見えない。どうやら女性が映っている。
「ママ、どうして旅に出るの。ボクも連れてって。お家にいるときだけでもボクをひとりにしないで」
少年リチャード、スクリーンの女性に語りかけるように歌う。
スクリーンのフィルムは空回りをし、やがて消える。
暗転。
銀髪の男は一旦背を向け、暗転中に舞台上で着替える。
リチャードのオフィス。
銀髪の男が立っていた場所に、レイ@越乃リュウが立っている。
下手から現れた青年リチャード@遼河はるひ、椅子に坐る。憔悴している。
リチャードは大映画会社の名プロデューサーであり、妻ローズを主演とした人気映画を作り続けてきた。
しかし、今。
「大女優のイメージ保ってローズ様を守り続ける。ステファーノに勝ち、生き残る。虚しい闘いですね」
部下レイの言葉に、リチャードが激しく反応する。
「妻は私を愛してくれている」
「彼女を信じてるのですか」
「もちろんだ」
「もし裏切られたらどう生きていく?」
「ありえない」
ホリゾントに映像。ザラザラの荒れた画面に、モノクロの美しい女の姿が映る。後ろ姿だったり指先だったり口元だけだったり。
決して顔は映らない。
映像の前に、女が立つ。
いかにも「女優」なファッションをした、物憂げな美女@城咲あい。
美女はなにも言わず、現れた男@大空祐飛と抱き合い、静かに踊り出す。
スクリーンには断続的に映像が流れる。
モノクロの、美しい女の姿。髪、背中、肩先……決して顔は映らない。
その前で抱き合うふたり。生身の、男と女。
「これが彼女の愛なんです」
レイの声だけがする。彼は一旦ライトの外に出ている。
デスクに両手をついたリチャードはつぶやく。
「どうすればいい。生きていけない」
「死ねばいい」
レイの声色が変わった。
再びライトの中に戻った男は、いつかの銀髪の男だった。早変わり大変。
「お前」
リチャード、驚いて立ち上がる。音楽変わり、彼を翻弄するようなものになる。ぶっちゃけ、ルドルフがトートと黒天使に弄ばれるときの音楽。
リチャード、上着を脱がされ、シャツ姿で銀髪の男の腕の中でくるくる踊る。弄ばれて踊る。
その後ろに、ザラザラとモノクロの女が映るスクリーンがある。映像は消えたり、また気まぐれに浮かび上がったりしている。
その前で踊る男と女は、銀髪の男と踊るリチャードと時にシンクロする。
また、女@城咲あいと踊る男が、別の男@磯野千尋に変わる。そのふたりのダンスも、銀髪の男とリチャードのダンスに、時にシンクロする。
音楽高まり、沈黙。
銀髪の男がリチャードを抱き寄せ、接吻するかしないかのタイミングで暗転。
スクリーンの顔の見えない女だけが、浮かび上がる。
再びライトがついたとき、そこはやはりリチャードのオフィスであり、デスクに坐るリチャードと、その傍らに立つ彼の忠実な部下レイがいた。
レイは淡々と、ローズがステファーノと逃げる計画をリチャードに報告していた。
「レイ。お前は私を卑怯だと思うか」
「貴方らしいやり方だと思います。私は貴方の作る映画が好きでした」
スクリーンにはザラザラの途切れ途切れのフィルム。微笑み続ける幻の美女。
スクリーンの前に、純白の花嫁衣装の女@城咲あいが立つ。顔にはベール。彼女は、まるでそこに新郎がいるかのように腕を伸ばす。
エスコートを求めるように。
リチャードが立ち上がり、舞台奥の花嫁の腕を取るように腕を持ち上げ……ふたりは、別々の方向へ、袖へはけていく。
残るのはスクリーンと、レイ。
ラジオ放送と、マスコミの声。
リチャードと妻ローズの飛行機事故を口々に告げる。雑音、騒音。
サウンドエフェクトのみ。
それらが治まると、同時に舞台には無数のロウソク。中央に棺。
棺にすがりつき、泣き崩れるリチャードの父@磯野千尋。
レイもその場に立ち続ける。
「ママ、どこなの、聞こえてるの。寒いんだ、抱きしめてよ」
ボーイ・ソプラノの歌声が聞こえ……ライトが照らしたのは大人のリチャード。
「ママ、どこなの、聞こえてるの。寒いんだ、抱きしめてよ」
大人の声で歌う。
父には彼が見えないのか、泣きながら下手へ去っていく。レイはその場に残るが無表情。
その顔は、銀髪の男のものかもしれない。
スクリーンにはもうなにもない。ただときどきザラザラした影や汚れだけが映る。
スクリーンの前に立つリチャード。
その影が、スクリーンに映る。幻の女の代わりに。
「ママ、どこなの……」
歌声が途切れ、その声が消えると同時にレイの姿が闇に消える。
暗闇の中、スクリーンとリチャードだけになる。
「パパ……」
少年の声でつぶやき、最後のライトが落ちる。
幕。
☆
越リュウのトート、見てみたいなー。
ハリウッドの人々。@HOLLYWOOD LOVER
2008年1月12日 タカラヅカ「アギラール、良かったよね」
「うん、キョドってなかったし」
「世界征服とか考えないで、女ひとり征服することを考えていればよかったんだよ」
『HOLLYWOOD LOVER』を観終わったあと、友人たちと話しました。共通の感想だ、「アギラール、良かった」。
まあ問題は。
「……ところで、役名、アギラールじゃなかったよね?」
「なんだっけ?」
「さあ……」
と、続いてしまうことかな。
アギラール……もとい、恋敵役のリチャード@あひくん。
絡むのがパパ@ソルーナさんだからなおさらアギラール@『NEVER SAY GOODBYE』風味。
どうもあひくん、役の引き出しは相当少ないらしい? 最近カテゴライズされたいくつかのパターンを順番に見せられている気がする。
だとしても、ようは作品とキャラがハマっていればいいわけで。
『ネバセイ』のアギラールが萌えキャラだったよーに、『ハリラバ』のアギラールことリチャード氏も萌えキャラだ(笑)。
『Le Petit Jardin』のアラン以降、あひくんはキュートな萌えキャラ。同じ役のともちは攻だったのに、あひくんは受だったあのときから、ナニをやっても受くさいのがチャームポイント(笑)。
今のとこ、タカラヅカでもっとも長身の総受キャラってことでFA?(俳優でいうとこの仲村トオルみたいなポジ?・笑)←またわかりにくい喩えを。
月組に戻って、男臭さがなく「きれーなおねーさん」に見えたこともあり、「男役」として危ぶんだこともあったけれど、よかった、踏み止まってくれたみたい。
ちゃんと男に見える外見に、ヲトメな性格、というリチャード役はいい感じ。
主役であるステファーノ@ゆーひくんサイドにストーリーらしいストーリーがなく、「じゃあどこにストーリーがあるんだよ」というと、このリチャード周辺。
てゆーかふつー、この話を描くならリチャード主役にするだろー。物語の起伏とか盛り上がりとかキャラ立ちとかいろんなことを考えても。
リチャードは「まちがった人間」だから、景子せんせの世界観では主役になりえないんだろーけどさー。世界に「濁」が存在しないのは景子タンの主義みたいだし。ゆーひくんアテ書きするならリチャード主役になりそーなもんだが、アテ書きより作品優先、世界観優先はいつもの通り。
まあそれゆえに「タカラヅカらしい」作品になっているんだから、正しいのだろう。
つーことで、他キャラの感想をちょろっと。
麻月れんかが、喋ってる。演技してる。てゆーか、役大きくね?
『ハロー!ダンシング』以来のおどろきです。
いやあ、あんときもびびったなあ。ライトついたら麻月くんセンターで。
初舞台から意識して眺めてきた子なんだけど、だからこそびっくり。
だって。
バウでも全ツでも新公でも、いつもろくに役つかないし、喋ったり演技したりしてるのほとんど見たことなかったんだよ。
わたしが月担だったのははるか昔のころで、麻月くんがわたしの最後の月担時代下級生なんだよなあ。
『ガイズ&ドールズ』新公でタクシー運転手やってたなあ、とか、『SLAPSTICK』ではどさくさにまぎれて娘役で踊ってたよな、とか。
そのころの方が記憶が深くて。
ケロ組替えとともにわたしは星担になったので、月を観る回数が昔ほどではなくなった。回数観ないと脇の下級生まであまりチェックできない。
とりあえずどこにいる、なにをしている、は確認するけど、舞台上で探すけど、そこまでだからなあ。
なんかもー、すげーおどろきだったんですよ、『ハリラバ』の麻月くんの扱い。ステファーノ@ゆうひのハリウッド・スタッフ、助手のサム役。最初から最後まで出ずっぱり。
や、純粋に、うれしいです。
で、演技しているのも声を聞くのもはじめてに近いんだが……声、高くね?
サムっていったいいくつなんだ……少年?
もう少し大人に作ってもよかったんじゃないか、とか、あまりにアホっぽすぎる、とか、思いはするんだけど……今のサム@麻月れんか以外は考えられない。
や、すでに(笑)。
彼でいい。いいっす。まるっと肯定。
あのうるささ、ウザさ込みでサムだから(笑)。
サムの相棒……というか、彼女のナンシー@なっつもすげーかわいい。ふたりそろってうるさくてウザいところが(笑)。
個人的に、ナンシーが自分を売り込もうとするときに大きなおっぱい(中身が本物か、非常に胡散臭い)を持ち上げるのが好き。や、だって気合でしょ? 彼女というキャラをよーっく表しているよね。
ロリだけど巨乳(中身が本物か以下略・笑)。記号としてもいい仕事してますってば(笑)。
オカマさん@えりおっとがナニ気にステキだった。
いついかなるときも存在が目に飛び込んでくる彼が、まさかこーゆー役で花開くとは。
うまいよね? 存在感あるよね? なんか彼を見ているとわくわくする。
ステファーノの恋人兼デザイナー、モニカ@ちわわちゃんがかっこいー大人の女でびっくりだ。たしかこの間、ゆーひの娘役やってなかったか?(笑)
かっこよさの中に、女のかわいさとか弱さみたいなものが垣間見えて、うまいなと思う。
カマラ@ひまりちゃんは相変わらずうまい。すげー存在感だー。
ケロファンのチェリさんとふたり、「“6歳児”だったのに、大きくなったよねえ」と、未だに言ってしまう。『血と砂』は永遠だ(笑)。
『血と砂』は永遠なので、「エル・アルコン」メンバーの良基くんには甘い(笑)。バーのマスター、なんかいろいろ微妙だけど、わたしには許容範囲。足りない部分はいろいろ想像できるからいいや。
そーいや光月るうくんが、えらくきれーになっていた気がする。あれ? こんな子だっけ? スウィートな美青年でびっくりしたぞー。
レイ@越リュウがすばらしいのは、言うまでもなく。
なんなのあのダークなアンドレ。お前は光、俺は影。あまりのかっこよさにくらくらしたわ。
あひくんチームいいよなー。越リュウにソルーナさんだもん。なんつー渋さ、オトコマエさ。そしてホンモノ臭さ(笑)。
萌えの宝庫ですわ。
「うん、キョドってなかったし」
「世界征服とか考えないで、女ひとり征服することを考えていればよかったんだよ」
『HOLLYWOOD LOVER』を観終わったあと、友人たちと話しました。共通の感想だ、「アギラール、良かった」。
まあ問題は。
「……ところで、役名、アギラールじゃなかったよね?」
「なんだっけ?」
「さあ……」
と、続いてしまうことかな。
アギラール……もとい、恋敵役のリチャード@あひくん。
絡むのがパパ@ソルーナさんだからなおさらアギラール@『NEVER SAY GOODBYE』風味。
どうもあひくん、役の引き出しは相当少ないらしい? 最近カテゴライズされたいくつかのパターンを順番に見せられている気がする。
だとしても、ようは作品とキャラがハマっていればいいわけで。
『ネバセイ』のアギラールが萌えキャラだったよーに、『ハリラバ』のアギラールことリチャード氏も萌えキャラだ(笑)。
『Le Petit Jardin』のアラン以降、あひくんはキュートな萌えキャラ。同じ役のともちは攻だったのに、あひくんは受だったあのときから、ナニをやっても受くさいのがチャームポイント(笑)。
今のとこ、タカラヅカでもっとも長身の総受キャラってことでFA?(俳優でいうとこの仲村トオルみたいなポジ?・笑)←またわかりにくい喩えを。
月組に戻って、男臭さがなく「きれーなおねーさん」に見えたこともあり、「男役」として危ぶんだこともあったけれど、よかった、踏み止まってくれたみたい。
ちゃんと男に見える外見に、ヲトメな性格、というリチャード役はいい感じ。
主役であるステファーノ@ゆーひくんサイドにストーリーらしいストーリーがなく、「じゃあどこにストーリーがあるんだよ」というと、このリチャード周辺。
てゆーかふつー、この話を描くならリチャード主役にするだろー。物語の起伏とか盛り上がりとかキャラ立ちとかいろんなことを考えても。
リチャードは「まちがった人間」だから、景子せんせの世界観では主役になりえないんだろーけどさー。世界に「濁」が存在しないのは景子タンの主義みたいだし。ゆーひくんアテ書きするならリチャード主役になりそーなもんだが、アテ書きより作品優先、世界観優先はいつもの通り。
まあそれゆえに「タカラヅカらしい」作品になっているんだから、正しいのだろう。
つーことで、他キャラの感想をちょろっと。
麻月れんかが、喋ってる。演技してる。てゆーか、役大きくね?
『ハロー!ダンシング』以来のおどろきです。
いやあ、あんときもびびったなあ。ライトついたら麻月くんセンターで。
初舞台から意識して眺めてきた子なんだけど、だからこそびっくり。
だって。
バウでも全ツでも新公でも、いつもろくに役つかないし、喋ったり演技したりしてるのほとんど見たことなかったんだよ。
わたしが月担だったのははるか昔のころで、麻月くんがわたしの最後の月担時代下級生なんだよなあ。
『ガイズ&ドールズ』新公でタクシー運転手やってたなあ、とか、『SLAPSTICK』ではどさくさにまぎれて娘役で踊ってたよな、とか。
そのころの方が記憶が深くて。
ケロ組替えとともにわたしは星担になったので、月を観る回数が昔ほどではなくなった。回数観ないと脇の下級生まであまりチェックできない。
とりあえずどこにいる、なにをしている、は確認するけど、舞台上で探すけど、そこまでだからなあ。
なんかもー、すげーおどろきだったんですよ、『ハリラバ』の麻月くんの扱い。ステファーノ@ゆうひのハリウッド・スタッフ、助手のサム役。最初から最後まで出ずっぱり。
や、純粋に、うれしいです。
で、演技しているのも声を聞くのもはじめてに近いんだが……声、高くね?
サムっていったいいくつなんだ……少年?
もう少し大人に作ってもよかったんじゃないか、とか、あまりにアホっぽすぎる、とか、思いはするんだけど……今のサム@麻月れんか以外は考えられない。
や、すでに(笑)。
彼でいい。いいっす。まるっと肯定。
あのうるささ、ウザさ込みでサムだから(笑)。
サムの相棒……というか、彼女のナンシー@なっつもすげーかわいい。ふたりそろってうるさくてウザいところが(笑)。
個人的に、ナンシーが自分を売り込もうとするときに大きなおっぱい(中身が本物か、非常に胡散臭い)を持ち上げるのが好き。や、だって気合でしょ? 彼女というキャラをよーっく表しているよね。
ロリだけど巨乳(中身が本物か以下略・笑)。記号としてもいい仕事してますってば(笑)。
オカマさん@えりおっとがナニ気にステキだった。
いついかなるときも存在が目に飛び込んでくる彼が、まさかこーゆー役で花開くとは。
うまいよね? 存在感あるよね? なんか彼を見ているとわくわくする。
ステファーノの恋人兼デザイナー、モニカ@ちわわちゃんがかっこいー大人の女でびっくりだ。たしかこの間、ゆーひの娘役やってなかったか?(笑)
かっこよさの中に、女のかわいさとか弱さみたいなものが垣間見えて、うまいなと思う。
カマラ@ひまりちゃんは相変わらずうまい。すげー存在感だー。
ケロファンのチェリさんとふたり、「“6歳児”だったのに、大きくなったよねえ」と、未だに言ってしまう。『血と砂』は永遠だ(笑)。
『血と砂』は永遠なので、「エル・アルコン」メンバーの良基くんには甘い(笑)。バーのマスター、なんかいろいろ微妙だけど、わたしには許容範囲。足りない部分はいろいろ想像できるからいいや。
そーいや光月るうくんが、えらくきれーになっていた気がする。あれ? こんな子だっけ? スウィートな美青年でびっくりしたぞー。
レイ@越リュウがすばらしいのは、言うまでもなく。
なんなのあのダークなアンドレ。お前は光、俺は影。あまりのかっこよさにくらくらしたわ。
あひくんチームいいよなー。越リュウにソルーナさんだもん。なんつー渋さ、オトコマエさ。そしてホンモノ臭さ(笑)。
萌えの宝庫ですわ。
「愛」を叫ぶ女。@HOLLYWOOD LOVER
2008年1月13日 タカラヅカ この物語の中で、もっとも「ハリウッド」を愛しているのは、ヘッダだと思う。
ゴシップ記者ヘッダ・ホッパー@憧花ゆりの。
あちこちに現れては解説をし、「それがハリウッド!」と叫ぶ、わかりやすい「嫌な女」。
ただひたすら美しい物語、『HOLLYWOOD LOVER』。
そのなかで、ただひとりの「悪役」。
悪徳の都で、ことさら人間たちの悪だの醜さだのに食いつき、あさる、ハイエナ人生。いろんな人にわかりやすく嫌われながらも、他人の話に聞き耳立てたり強引に割って入ったり、ろくなことをしない。
だってそれが彼女の仕事で、彼女の選んだ生き方だから。
誰もがあこがれる映画界、スポットライトの中の夢舞台。
まぶしすぎるライトの影のドロドロすら、夢舞台を彩る「艶やかな出来事」。
人々は知りたがる。光の世界にあこがれながら、その光ゆえの濃い影の葛藤を。
ことさら露悪的にふるまうヘッダはハリウッドを知り尽くしている。
その光のまばゆさ、美しさ。
同時に存在する影の醜さ、惨たらしさ。
美しいモノだけを愛していられるなら、しあわせだと思う。
でも、一度好きになったらもっともっと知りたくなるじゃん? その世界にのめりこんで、美しいだけではない裏側を知ってしまう。
汚いモノは見ずに、「なかったこと」にして見たいモノだけ見て、愛していられるならそれでいい。
だけど。
醜さを、悲惨さを知ってなお、醜さや悲惨さに憤り、傷つき、いっそ憎みたいと思い……それでも、その負の感情を超えて「愛しい」と思ったのなら。
想いが深いほど、傷は大きくなる。
愛が深いほど、憎しみは強くなる。
知らない人に裏切られるより、魂懸けて愛した人に裏切られた方が傷つく。
大してハリウッドを愛していないなら、ただのメシのタネだと思っているなら、憎みもしないだろう。
息子を亡くしたばかりの父親の前で、事故ではなく自殺ではないのかと根拠を羅列し、追いつめるヘッダ。被害者の悲鳴のような嘆き、誹りを切り捨て、彼女は叫ぶ……「それがハリウッド!!」
そう。
憎むほど、愛してしまった。
どれほど彼女がハリウッドを愛しているか。
それが、伝わる。
醜さも惨さも、「在る」。
きれいごとではなく、良いも悪いもなく、ただ「在る」んだ。
その醜さごと、ハリウッドを愛して。
絢爛ゆえに円熟ゆえに腐臭を放つハリウッドの、そのずぶずぶに腐った甘さに魅せられて。
ゴシップをあさるハイエナ、そんなカタチでしか愛を示せない女。
汚れていることを知りながら、それでもそこに美しいものを探し当てようとするコラムニスト、シーラ@五峰亜季とは、正反対に。
どちらが正しいとかゆーわけではなく。
より「人間」への愛が深いのがシーラで、「ハリウッド」への愛が深いのがヘッダかなと思う。
「人間」が生きるのが「ハリウッド」で、「ハリウッド」には「人間」が生きているのだけど。
ふたりの女の目線は、こんなにもチガウ。
わたしの2番目の泣きポイントは、リチャードとローズの死の原因を究明するヘッダの、絶唱のような叫び、「それがハリウッド!」だったりする。(いちばんは、ビリー@そのかとマギー@あーちゃんのラヴソングだ)
欺瞞を、偽善を許さない彼女の非情さが、痛すぎる。
鋭角な言葉。
研ぎ澄まされ、追いつめられ、むき出しになる真実。
それは美しいだけのはずがなくて。
それがわかっているからこそ、華美な包装をむしり取らずにはいられなくて。
正しいもの、美しいものだけでは、わたしは生きられない。
闇や毒に惹かれる。惹かれてしまう。
愛を理由に聖域を作れない。そこにヘビを送り込まずにはいられない。
だから。
愛しながらも憎み、憎みながらも愛さずにいられない、彼女の悲鳴が胸に突き刺さる。
泣きポイントだわ。
景子せんせ作品は、わたしにはきれい過ぎて軽すぎることがよくある。
ひたすら美しい世界のなかにある、小さな濁と汚の部分に、過剰に反応してしまうのは、「好み」とか「性格」とか、そーゆー部分の話だと思う。
主役サイドの話には、あまり感銘できないからなあ。や、泣けるけど。
ヘッダとマギーにいちばん感情移入できた、つーのがもう……(笑)。
ハイエナ記者ヘッダ。
もっと楽な生き方が、いくらでもあるだろうに。
彼女はこれからも、誹り罵られながら、胸を張って汚濁の中を生きていくのだろう。
愛ゆえに。
ゴシップ記者ヘッダ・ホッパー@憧花ゆりの。
あちこちに現れては解説をし、「それがハリウッド!」と叫ぶ、わかりやすい「嫌な女」。
ただひたすら美しい物語、『HOLLYWOOD LOVER』。
そのなかで、ただひとりの「悪役」。
悪徳の都で、ことさら人間たちの悪だの醜さだのに食いつき、あさる、ハイエナ人生。いろんな人にわかりやすく嫌われながらも、他人の話に聞き耳立てたり強引に割って入ったり、ろくなことをしない。
だってそれが彼女の仕事で、彼女の選んだ生き方だから。
誰もがあこがれる映画界、スポットライトの中の夢舞台。
まぶしすぎるライトの影のドロドロすら、夢舞台を彩る「艶やかな出来事」。
人々は知りたがる。光の世界にあこがれながら、その光ゆえの濃い影の葛藤を。
ことさら露悪的にふるまうヘッダはハリウッドを知り尽くしている。
その光のまばゆさ、美しさ。
同時に存在する影の醜さ、惨たらしさ。
美しいモノだけを愛していられるなら、しあわせだと思う。
でも、一度好きになったらもっともっと知りたくなるじゃん? その世界にのめりこんで、美しいだけではない裏側を知ってしまう。
汚いモノは見ずに、「なかったこと」にして見たいモノだけ見て、愛していられるならそれでいい。
だけど。
醜さを、悲惨さを知ってなお、醜さや悲惨さに憤り、傷つき、いっそ憎みたいと思い……それでも、その負の感情を超えて「愛しい」と思ったのなら。
想いが深いほど、傷は大きくなる。
愛が深いほど、憎しみは強くなる。
知らない人に裏切られるより、魂懸けて愛した人に裏切られた方が傷つく。
大してハリウッドを愛していないなら、ただのメシのタネだと思っているなら、憎みもしないだろう。
息子を亡くしたばかりの父親の前で、事故ではなく自殺ではないのかと根拠を羅列し、追いつめるヘッダ。被害者の悲鳴のような嘆き、誹りを切り捨て、彼女は叫ぶ……「それがハリウッド!!」
そう。
憎むほど、愛してしまった。
どれほど彼女がハリウッドを愛しているか。
それが、伝わる。
醜さも惨さも、「在る」。
きれいごとではなく、良いも悪いもなく、ただ「在る」んだ。
その醜さごと、ハリウッドを愛して。
絢爛ゆえに円熟ゆえに腐臭を放つハリウッドの、そのずぶずぶに腐った甘さに魅せられて。
ゴシップをあさるハイエナ、そんなカタチでしか愛を示せない女。
汚れていることを知りながら、それでもそこに美しいものを探し当てようとするコラムニスト、シーラ@五峰亜季とは、正反対に。
どちらが正しいとかゆーわけではなく。
より「人間」への愛が深いのがシーラで、「ハリウッド」への愛が深いのがヘッダかなと思う。
「人間」が生きるのが「ハリウッド」で、「ハリウッド」には「人間」が生きているのだけど。
ふたりの女の目線は、こんなにもチガウ。
わたしの2番目の泣きポイントは、リチャードとローズの死の原因を究明するヘッダの、絶唱のような叫び、「それがハリウッド!」だったりする。(いちばんは、ビリー@そのかとマギー@あーちゃんのラヴソングだ)
欺瞞を、偽善を許さない彼女の非情さが、痛すぎる。
鋭角な言葉。
研ぎ澄まされ、追いつめられ、むき出しになる真実。
それは美しいだけのはずがなくて。
それがわかっているからこそ、華美な包装をむしり取らずにはいられなくて。
正しいもの、美しいものだけでは、わたしは生きられない。
闇や毒に惹かれる。惹かれてしまう。
愛を理由に聖域を作れない。そこにヘビを送り込まずにはいられない。
だから。
愛しながらも憎み、憎みながらも愛さずにいられない、彼女の悲鳴が胸に突き刺さる。
泣きポイントだわ。
景子せんせ作品は、わたしにはきれい過ぎて軽すぎることがよくある。
ひたすら美しい世界のなかにある、小さな濁と汚の部分に、過剰に反応してしまうのは、「好み」とか「性格」とか、そーゆー部分の話だと思う。
主役サイドの話には、あまり感銘できないからなあ。や、泣けるけど。
ヘッダとマギーにいちばん感情移入できた、つーのがもう……(笑)。
ハイエナ記者ヘッダ。
もっと楽な生き方が、いくらでもあるだろうに。
彼女はこれからも、誹り罵られながら、胸を張って汚濁の中を生きていくのだろう。
愛ゆえに。
「闇」を歌う女。@HOLLYWOOD LOVER
2008年1月14日 タカラヅカ 救いは、彼の愚かさだった。
ビリー@そのかが好きです。『HOLLYWOOD LOVER』において。
他のことはさておき、とにかく、ビリーが好き。
善良で物事を深く考えない、子どものような30男。妻と小さな息子がひとり。
子煩悩で陽気なパパで、愛情・友情に厚く、真面目に仕事に打ち込むごくふつーの感覚の男。
彼があまりにふつーに「いい家庭」をやっているから、「絵に描いたようなしあわせ家族」をやっているから。
そのほのぼの日だまりの横で、影がより鮮明になる。
ステファーノ@ゆーひ、ローズ@あいあい、リチャード@あひの三角関係もそうだけど。
ビリーの妻、マギー@あーちゃんの影。
物語の中で、多くは語られないが。
8年前、映画界で生きることを夢見た仲良し4人組……監督志望のステファーノ、駆け出しカメラマンのビリー、そして女優の卵ローズとマギー。
結局ローズは大物プロデューサーと結婚して大女優になり、マギーは引退してビリーと結婚、ビリーはそこそこ稼げるカメラマンになった。一度はハリウッドを追われたステファーノも、イタリアで成功して凱旋してきた。
仲良し4人組の中で、夢をあきらめたのは、マギーひとりなんだ。
もちろんそれで、悪いわけじゃない。不幸なわけじゃない。マギーは今も美しく、愛に溢れた生活を送っている。夫と子どものためだけに生きる人生が、まちがっているわけじゃない。
恋人だったステファーノを捨てて権力者の妻となり、大スターとなったローズに対し、割り切れないモノを抱えている。
マギーとはまったく逆の生き方……愛を取って夢を捨てたマギーと、愛を捨てて夢を叶えたローズと。
や、たとえマギーが愛を捨て仕事だけに打ち込んだとして、スターになれたかどうかは定かではないが。
とりあえず彼女は自分から可能性を捨てた……らしい。
少なくとも本人はそう思っている。思い込もうとしている。
女優として先が見えるから結婚したのではなく、愛を選んだために女優をあきらめたのだと。
彼女の中にある、闇。歪み。
ローズへの嫉妬。
闘う前に棄権して、「愛」という美しい「棄権理由」まで手にしているくせに、闘って栄光を得た友人を嫉んでいる。
私が栄光を手に出来なかったのは「棄権」したからであり、「愛」という美しいものを選んだためである。「棄権」しなければ、「愛」を捨てるという、ローズのように非道なことができれば、私だって栄光を手にしていたのに。
きれいで気の利く完璧な奥さん、である自分に価値を認めていながら、心のどこかに棘がある。
ローズを嫉み、彼女の不幸を悦ぶ棘がある。
それは、自分自身を傷つけつづける棘で。
マギーは、ローズがステファーノと再会し、愛を手にしようとしているのを許せず、リチャードに密告する。
愛を捨てて、代わりに他のすべて、それこそ「アメリカ中の女の子があこがれる」地位にいるローズ。
なのにそのローズが愛まで手に入れてしまったら。
マギーの人生が、否定される。
ローズが大スターなのは、しあわせなのは、「愛」を捨てたから。
私は「愛」を捨てるなんてひどいことはできないから、スターになれなかったの。
その言い訳が、成り立たなくなってしまう。
ローズが、なにもかも手に入れるなんて。
富も名声も得た上に、愛まで手に入れるなんて。
じゃあ、愛を選んで女優としての未来を閉じた私はどうなるの? 私はなんなの?
や。
それだけの人間、それだけの器だったんだよ。
それだけのことなんだよ。
……でもそれは、認めたくない真実で。気付いてはならないことで。
密告した理由を、「リチャードを裏切ってはいけないから」とかなんとか、微妙に辻褄の合わないことで誤魔化しながら。
ローズがふつうの精神状態なら、マギーの真実に気付いたかもしれないけど、彼女もそれどころじゃなかったのでマギーの言い分を信じ、というか考えることもせず受け止めてしまった。
おかげでマギーはさらに袋小路に入る。
「嘘つき。わたしを嫉んでたんでしょう」
そう言ってローズが責めてくれたなら、爆発することが出来たのにね。
何年も抱え込んでいた澱をすべて。
でもローズは自分の傷に手一杯で。マギーのことまで考える余裕はない。
ステファーノは気付いていたよーな気がするけれど、彼は女性にそんなひどい問いを突きつける男じゃない。むしろ、密告という行為をしなければならないほど追いつめられたマギーの精神状態を気遣う男だ。
そして、一連の流れを全部目のアタリにしながら、思いっきり当事者のひとりであるはずの、マギーの夫ビリーは、なにもわかっていない。
マギーの言い訳をそのまま信じているんだろう。不倫はいけないよなそりゃ。マギーは既婚者だから、その立場で考えれば友だちの不貞を正しても不思議じゃない。
ビリーはナニも気づかない。
マギーの抱える闇、毒、絶望。
なにひとつ。
そのくせ、愛している。
闇を、毒を、絶望を抱えたマギーを。
受け入れている。
たとえマギーがすべてぶちまけたとしても、ビリーは変わらないだろう。
だって彼は「わからない」、今まで気づかずにいたのだから、言われたところで「そーゆーもんか?」と思うことは出来ても真実理解は出来ない。
だから彼は受け入れるだろう。
汚れたマギーを。
ただ、愛して。
その腕で抱擁し、すべての重荷をその背で背負うだろう。
真実に届かないまま。そんなもん、どーでもいいとばかりに。理解しないまま、マギーの闇を、毒を、絶望を、全部肯定して。
抱えていたものを打ち明けるマギーに、「ぜんぜん気づかなかった」と真顔で言ってしまう男。
や、一歩まちがうと離婚言い渡されるぞ、その台詞。でも、それくらいすげえ台詞だってことすら、ビリーは気づいていない。
あまりにも、愚かで。
その愚かさこそに、救われる。
ビリーが好きだ。
この大らかな光は、多少の闇とか毒とか、全部まるっと「なかったこと」にして包んでくれる。
わたしから闇や毒が消えることはないけれど、絶望がなくなることはないけれど、大丈夫。生きていける。アナタがいるから。
素直に、そう思える。
マギーはきっと、これからもいろいろ悩んだり迷ったり嫉んだり、すると思う。
ローズのことだけでなく、いろんなことに。
自分の人生を後悔したりすると思う。
そのたびに、ビリーに救われるのだと思う。
そのために、ビリーがいるんだと思う。
傷だらけのまま、生きていく。
その傷すら愛してくれるひとと共に。
ビリーが好きだ。
彼に会いたいと思う。
ビリー@そのかが好きです。『HOLLYWOOD LOVER』において。
他のことはさておき、とにかく、ビリーが好き。
善良で物事を深く考えない、子どものような30男。妻と小さな息子がひとり。
子煩悩で陽気なパパで、愛情・友情に厚く、真面目に仕事に打ち込むごくふつーの感覚の男。
彼があまりにふつーに「いい家庭」をやっているから、「絵に描いたようなしあわせ家族」をやっているから。
そのほのぼの日だまりの横で、影がより鮮明になる。
ステファーノ@ゆーひ、ローズ@あいあい、リチャード@あひの三角関係もそうだけど。
ビリーの妻、マギー@あーちゃんの影。
物語の中で、多くは語られないが。
8年前、映画界で生きることを夢見た仲良し4人組……監督志望のステファーノ、駆け出しカメラマンのビリー、そして女優の卵ローズとマギー。
結局ローズは大物プロデューサーと結婚して大女優になり、マギーは引退してビリーと結婚、ビリーはそこそこ稼げるカメラマンになった。一度はハリウッドを追われたステファーノも、イタリアで成功して凱旋してきた。
仲良し4人組の中で、夢をあきらめたのは、マギーひとりなんだ。
もちろんそれで、悪いわけじゃない。不幸なわけじゃない。マギーは今も美しく、愛に溢れた生活を送っている。夫と子どものためだけに生きる人生が、まちがっているわけじゃない。
恋人だったステファーノを捨てて権力者の妻となり、大スターとなったローズに対し、割り切れないモノを抱えている。
マギーとはまったく逆の生き方……愛を取って夢を捨てたマギーと、愛を捨てて夢を叶えたローズと。
や、たとえマギーが愛を捨て仕事だけに打ち込んだとして、スターになれたかどうかは定かではないが。
とりあえず彼女は自分から可能性を捨てた……らしい。
少なくとも本人はそう思っている。思い込もうとしている。
女優として先が見えるから結婚したのではなく、愛を選んだために女優をあきらめたのだと。
彼女の中にある、闇。歪み。
ローズへの嫉妬。
闘う前に棄権して、「愛」という美しい「棄権理由」まで手にしているくせに、闘って栄光を得た友人を嫉んでいる。
私が栄光を手に出来なかったのは「棄権」したからであり、「愛」という美しいものを選んだためである。「棄権」しなければ、「愛」を捨てるという、ローズのように非道なことができれば、私だって栄光を手にしていたのに。
きれいで気の利く完璧な奥さん、である自分に価値を認めていながら、心のどこかに棘がある。
ローズを嫉み、彼女の不幸を悦ぶ棘がある。
それは、自分自身を傷つけつづける棘で。
マギーは、ローズがステファーノと再会し、愛を手にしようとしているのを許せず、リチャードに密告する。
愛を捨てて、代わりに他のすべて、それこそ「アメリカ中の女の子があこがれる」地位にいるローズ。
なのにそのローズが愛まで手に入れてしまったら。
マギーの人生が、否定される。
ローズが大スターなのは、しあわせなのは、「愛」を捨てたから。
私は「愛」を捨てるなんてひどいことはできないから、スターになれなかったの。
その言い訳が、成り立たなくなってしまう。
ローズが、なにもかも手に入れるなんて。
富も名声も得た上に、愛まで手に入れるなんて。
じゃあ、愛を選んで女優としての未来を閉じた私はどうなるの? 私はなんなの?
や。
それだけの人間、それだけの器だったんだよ。
それだけのことなんだよ。
……でもそれは、認めたくない真実で。気付いてはならないことで。
密告した理由を、「リチャードを裏切ってはいけないから」とかなんとか、微妙に辻褄の合わないことで誤魔化しながら。
ローズがふつうの精神状態なら、マギーの真実に気付いたかもしれないけど、彼女もそれどころじゃなかったのでマギーの言い分を信じ、というか考えることもせず受け止めてしまった。
おかげでマギーはさらに袋小路に入る。
「嘘つき。わたしを嫉んでたんでしょう」
そう言ってローズが責めてくれたなら、爆発することが出来たのにね。
何年も抱え込んでいた澱をすべて。
でもローズは自分の傷に手一杯で。マギーのことまで考える余裕はない。
ステファーノは気付いていたよーな気がするけれど、彼は女性にそんなひどい問いを突きつける男じゃない。むしろ、密告という行為をしなければならないほど追いつめられたマギーの精神状態を気遣う男だ。
そして、一連の流れを全部目のアタリにしながら、思いっきり当事者のひとりであるはずの、マギーの夫ビリーは、なにもわかっていない。
マギーの言い訳をそのまま信じているんだろう。不倫はいけないよなそりゃ。マギーは既婚者だから、その立場で考えれば友だちの不貞を正しても不思議じゃない。
ビリーはナニも気づかない。
マギーの抱える闇、毒、絶望。
なにひとつ。
そのくせ、愛している。
闇を、毒を、絶望を抱えたマギーを。
受け入れている。
たとえマギーがすべてぶちまけたとしても、ビリーは変わらないだろう。
だって彼は「わからない」、今まで気づかずにいたのだから、言われたところで「そーゆーもんか?」と思うことは出来ても真実理解は出来ない。
だから彼は受け入れるだろう。
汚れたマギーを。
ただ、愛して。
その腕で抱擁し、すべての重荷をその背で背負うだろう。
真実に届かないまま。そんなもん、どーでもいいとばかりに。理解しないまま、マギーの闇を、毒を、絶望を、全部肯定して。
抱えていたものを打ち明けるマギーに、「ぜんぜん気づかなかった」と真顔で言ってしまう男。
や、一歩まちがうと離婚言い渡されるぞ、その台詞。でも、それくらいすげえ台詞だってことすら、ビリーは気づいていない。
あまりにも、愚かで。
その愚かさこそに、救われる。
ビリーが好きだ。
この大らかな光は、多少の闇とか毒とか、全部まるっと「なかったこと」にして包んでくれる。
わたしから闇や毒が消えることはないけれど、絶望がなくなることはないけれど、大丈夫。生きていける。アナタがいるから。
素直に、そう思える。
マギーはきっと、これからもいろいろ悩んだり迷ったり嫉んだり、すると思う。
ローズのことだけでなく、いろんなことに。
自分の人生を後悔したりすると思う。
そのたびに、ビリーに救われるのだと思う。
そのために、ビリーがいるんだと思う。
傷だらけのまま、生きていく。
その傷すら愛してくれるひとと共に。
ビリーが好きだ。
彼に会いたいと思う。
踊る水くん。@JURIのどんだけGOGO5!?
2008年1月15日 タカラヅカ
『VO5 presents JURIのどんだけGOGO5!? #4「水夏希・凰稀かなめ・緒月遠麻」』(長っ)へ、ちょい苦労しつつも行って来ました、宝塚ホテル。
VO5のイベントはおみやげが豪華だからうれしい〜〜。VO5商品もうれしいし(わたしは使わないが、びんぼー性なんでくれるものはみんなうれしい)、えーっと、なんだ、今回はあの微妙な「スカステ5周年記念Tシャツ」も参加者全員プレゼントなんだな、も、まあネタとしてうれしいっちゃうれしい。
でもいちばんうれしいのはなんといっても、美しいパンフレット。
オリジナルで作ってくれる、出演者写真入りA4サイズ3ページ(4ページ目は広告)のきれーなフルカラーパンフ。きれいな水くん、もちろんきれいなかなめくん、きれいでびっくりのヲヅキの写真とプロフィール入り〜〜。
前回、コム姫と水くんのVO5トークショーでもらったパンフレットも大切にしてる。
同じ水くん出演だった『ベルばらカウントダウン』は、リーフ1枚もらえなかったさ……スカステ・オリジナルとVO5が付いているかの違いは大きい。はっ。わたし、ナニ気にスカステの水くん出演イベント制覇してる?(笑)
家族行事の日だったので、京都からぜーはー言いながら駆けつけ、すみっこの席にひとりで坐っておりました。あああ、ステージが遠い……。
そしたらすぐ横のドアが開き、水くんが現れたので、息が止まった。
そ、そうか、客席から登場だっけ。ステージばっか必死に見ていて、そんなことも忘れきっていた。心臓ばくばく。一瞬だけだったけど、近かった〜〜。そして、そのあとはステージずーっと遠かった〜〜(笑)。
ナマの水先輩を拝める機会なんぞ、ほんとーにナイ。
だからだろうか、見るたびに水くんのカオがチガウ気がする……。
たしかわたし、『カウントダウン』のときはじめてナマ水体験をして、「素顔はじめて見るけど、かなりファニーフェイス」って思ったよなあ。やっぱ横顔見るとアゴすごいし。
いつも「かっこいい」とは思っているけど、「かっこいい」と「きれい」とか「美人」とかはチガウじゃん?
なのになー。
今じゃ美形じゃん? そりゃ、横顔になるとアゴが目立ってるけど、そんなのだからナニってもんじゃん? ……と、思ってしまうのですが。
見るたびに美しく見えるってゆーのは……。
このまま水くんイベントに幸運にも参加出来続けていたら、そのうち彼が、絶世の美形見える日が来ると思う。この世でいちばん美しい、って、真顔で言うね、絶対。
や、素顔が美しいかどうかはさておき(美の基準は人それぞれ。年末東京でどりーずメンバーと「美」の基準でさんさんモメたからな・笑)、ファニーフェイスだと思っていたときすら、わたしは水先輩の顔が好きだったんだから語るに落ちる。
『カウントダウン』は生中継だったし、前回のVO5トークのときはわたし、遅刻して行ったんだよね(オサ様初日を取った……)。
だから公開録画番組に最初から参加して、テレビ放送とのちがいを実感したのははじめてだった。
なにしろ収録の1週間後にはオンエアされるっつー話だったから、わたしのつたない海馬でなにかレポっても無意味ってゆーか自分の記憶力にまーーったく自信がないので、まずテレビ放送を待った(笑)。
んで、1月22日、雪組新公の日にはテレビ放送されていて。
わたしが書くのはいつも「感想」、客観的「報告」をする能力はない、つーことでイベントとテレビで感じた差異、「あれ? テレビだとこーなるんだ」てな「感想」を書こうかと。
イベント自体は、1時間半あった。
でもテレビ放送は1時間弱。短縮される30分のうち、15分はプレゼント抽選だと思う。だから正味カットされるのは15分かな。
水くんひとりで35分強くらい喋っていたと思う。30分以上テルキタ出てこないんだ、と思ったのをおぼえているから。
そしてテレビではテルキタが30分くらいで登場しているから、5分以上水くんのお喋りがカットされたことになるかな。
最初の水くんソロ話題のとき、「あ、この話題はカットね」てなことを水くんが自分で言った……というか、ゼスチャーしたとこがあったんだが、かわいかったよー。
両手で大きくバッテンして、さらに両手でハサミ作ってチョキチョキ、バルタン星人みたいだった(笑)。スカステさん、ほんとにカットしなくても……本人の意志をくんだのか。や、たんに時間の関係だろーけどさ。
公演初日、芝居の話だったんだけど、どこを切られているのか放送ではパッと見わからなくなっていたから(芝居の話からショーの話へ移った)、こーやってつなぐんだー、へー、と感心。
でもバルタン星人より「なのはな体操」の方がずっとかわいかったし、こちらはちゃんと放送されたからよかったっ。
「なのはな体操」は、千葉県民ならば誰でも知っている、小学校で習う体操らしい。
だから水くんは全国ツアーの地元公演にてはりきって「なのはな体操」を踊り……自爆した。
客席は静まりかえったそうな。
千葉県民なら大ウケするはずなのに?!(白目)
同期・スタッフなどの同郷の人に「なのはな体操知ってる?」「知ってるー、踊ったよねー」てな会話をし、あらかじめリサーチした上でのファン・サービスだったのに?!(白目)
えーと、水くん、そーゆーものには「時代」ってのがあるからさぁ。
水くんと同年代の人たちが小学生の頃には「常識」でも、それ以外の人たちには浸透しているかどうかわかんないよ……?
つか、客席には地元の人より、全国から駆けつけてきた水ファン・雪ファン・ヅカファンの方が多かったんぢゃないかとか。
いろいろ考えますわー(笑)。
で、その客席を困惑させた「なのはな体操」を、水くんは披露してくれた……。
すばらしいです、水夏希さん。
お尻を突き出して腰を両手でとんとん、とするポーズ。
思い出したのは、『のだめカンタービレ』の「おなら体操」。
どちらも、小学生がやるからかわいいポーズであって、大人がやると……あああ、ソレをやってしまう水先輩ステキ!! かわいいっ。
ソレを彼は、巨大なトップ羽根背負ってやったそうですよ、ステージで……。
見たかった……ソレ、客席で見たかったよーっ。
ああ、愛しいなあ、水先輩……(笑)。
や、ここは絶対カットされちゃいけませんよなっ。この番組いちばんの目玉だよなっ(笑)。
あと、樹里ちゃんにせがまれて『ミロワール』の冒頭のステップを踏んでくれたりと、水くんはやたらいろいろやらされていた。つか、生真面目にやっていた(笑)。……いい人だ。
このへんはそのまま放送されたからヨシ。
つーことで翌日欄はテルキタ登場してからの話へ続く。
VO5のイベントはおみやげが豪華だからうれしい〜〜。VO5商品もうれしいし(わたしは使わないが、びんぼー性なんでくれるものはみんなうれしい)、えーっと、なんだ、今回はあの微妙な「スカステ5周年記念Tシャツ」も参加者全員プレゼントなんだな、も、まあネタとしてうれしいっちゃうれしい。
でもいちばんうれしいのはなんといっても、美しいパンフレット。
オリジナルで作ってくれる、出演者写真入りA4サイズ3ページ(4ページ目は広告)のきれーなフルカラーパンフ。きれいな水くん、もちろんきれいなかなめくん、きれいでびっくりのヲヅキの写真とプロフィール入り〜〜。
前回、コム姫と水くんのVO5トークショーでもらったパンフレットも大切にしてる。
同じ水くん出演だった『ベルばらカウントダウン』は、リーフ1枚もらえなかったさ……スカステ・オリジナルとVO5が付いているかの違いは大きい。はっ。わたし、ナニ気にスカステの水くん出演イベント制覇してる?(笑)
家族行事の日だったので、京都からぜーはー言いながら駆けつけ、すみっこの席にひとりで坐っておりました。あああ、ステージが遠い……。
そしたらすぐ横のドアが開き、水くんが現れたので、息が止まった。
そ、そうか、客席から登場だっけ。ステージばっか必死に見ていて、そんなことも忘れきっていた。心臓ばくばく。一瞬だけだったけど、近かった〜〜。そして、そのあとはステージずーっと遠かった〜〜(笑)。
ナマの水先輩を拝める機会なんぞ、ほんとーにナイ。
だからだろうか、見るたびに水くんのカオがチガウ気がする……。
たしかわたし、『カウントダウン』のときはじめてナマ水体験をして、「素顔はじめて見るけど、かなりファニーフェイス」って思ったよなあ。やっぱ横顔見るとアゴすごいし。
いつも「かっこいい」とは思っているけど、「かっこいい」と「きれい」とか「美人」とかはチガウじゃん?
なのになー。
今じゃ美形じゃん? そりゃ、横顔になるとアゴが目立ってるけど、そんなのだからナニってもんじゃん? ……と、思ってしまうのですが。
見るたびに美しく見えるってゆーのは……。
このまま水くんイベントに幸運にも参加出来続けていたら、そのうち彼が、絶世の美形見える日が来ると思う。この世でいちばん美しい、って、真顔で言うね、絶対。
や、素顔が美しいかどうかはさておき(美の基準は人それぞれ。年末東京でどりーずメンバーと「美」の基準でさんさんモメたからな・笑)、ファニーフェイスだと思っていたときすら、わたしは水先輩の顔が好きだったんだから語るに落ちる。
『カウントダウン』は生中継だったし、前回のVO5トークのときはわたし、遅刻して行ったんだよね(オサ様初日を取った……)。
だから公開録画番組に最初から参加して、テレビ放送とのちがいを実感したのははじめてだった。
なにしろ収録の1週間後にはオンエアされるっつー話だったから、わたしのつたない海馬でなにかレポっても無意味ってゆーか自分の記憶力にまーーったく自信がないので、まずテレビ放送を待った(笑)。
んで、1月22日、雪組新公の日にはテレビ放送されていて。
わたしが書くのはいつも「感想」、客観的「報告」をする能力はない、つーことでイベントとテレビで感じた差異、「あれ? テレビだとこーなるんだ」てな「感想」を書こうかと。
イベント自体は、1時間半あった。
でもテレビ放送は1時間弱。短縮される30分のうち、15分はプレゼント抽選だと思う。だから正味カットされるのは15分かな。
水くんひとりで35分強くらい喋っていたと思う。30分以上テルキタ出てこないんだ、と思ったのをおぼえているから。
そしてテレビではテルキタが30分くらいで登場しているから、5分以上水くんのお喋りがカットされたことになるかな。
最初の水くんソロ話題のとき、「あ、この話題はカットね」てなことを水くんが自分で言った……というか、ゼスチャーしたとこがあったんだが、かわいかったよー。
両手で大きくバッテンして、さらに両手でハサミ作ってチョキチョキ、バルタン星人みたいだった(笑)。スカステさん、ほんとにカットしなくても……本人の意志をくんだのか。や、たんに時間の関係だろーけどさ。
公演初日、芝居の話だったんだけど、どこを切られているのか放送ではパッと見わからなくなっていたから(芝居の話からショーの話へ移った)、こーやってつなぐんだー、へー、と感心。
でもバルタン星人より「なのはな体操」の方がずっとかわいかったし、こちらはちゃんと放送されたからよかったっ。
「なのはな体操」は、千葉県民ならば誰でも知っている、小学校で習う体操らしい。
だから水くんは全国ツアーの地元公演にてはりきって「なのはな体操」を踊り……自爆した。
客席は静まりかえったそうな。
千葉県民なら大ウケするはずなのに?!(白目)
同期・スタッフなどの同郷の人に「なのはな体操知ってる?」「知ってるー、踊ったよねー」てな会話をし、あらかじめリサーチした上でのファン・サービスだったのに?!(白目)
えーと、水くん、そーゆーものには「時代」ってのがあるからさぁ。
水くんと同年代の人たちが小学生の頃には「常識」でも、それ以外の人たちには浸透しているかどうかわかんないよ……?
つか、客席には地元の人より、全国から駆けつけてきた水ファン・雪ファン・ヅカファンの方が多かったんぢゃないかとか。
いろいろ考えますわー(笑)。
で、その客席を困惑させた「なのはな体操」を、水くんは披露してくれた……。
すばらしいです、水夏希さん。
お尻を突き出して腰を両手でとんとん、とするポーズ。
思い出したのは、『のだめカンタービレ』の「おなら体操」。
どちらも、小学生がやるからかわいいポーズであって、大人がやると……あああ、ソレをやってしまう水先輩ステキ!! かわいいっ。
ソレを彼は、巨大なトップ羽根背負ってやったそうですよ、ステージで……。
見たかった……ソレ、客席で見たかったよーっ。
ああ、愛しいなあ、水先輩……(笑)。
や、ここは絶対カットされちゃいけませんよなっ。この番組いちばんの目玉だよなっ(笑)。
あと、樹里ちゃんにせがまれて『ミロワール』の冒頭のステップを踏んでくれたりと、水くんはやたらいろいろやらされていた。つか、生真面目にやっていた(笑)。……いい人だ。
このへんはそのまま放送されたからヨシ。
つーことで翌日欄はテルキタ登場してからの話へ続く。
A型ばかりの彼ら。@JURIのどんだけGOGO5!?
2008年1月16日 タカラヅカ
『VO5 presents JURIのどんだけGOGO5!? #4「水夏希・凰稀かなめ・緒月遠麻」』の、当日とテレビとで感じた印象の話、その2。
テレビを見ていちばん「カットされてる」と思ったのは、テルキタ登場後のガチャガチャのときだ。
たしかに、ガチャガチャを回す、というのは作業であってどーでもいいこと。肝心なのはガチャガチャで引いた「質問」にどう答えるか。
だから彼らがガチャガチャを回す場面はまるっとカットされ、質問を読むところからスタートしていた。
いちいちとても細かく、その作業部分はカットされていたんだ。
でもなー。
この「ガチャガチャを回す」とこに、テルキタの性格が出てて、すごーくおもしろかったんだよー。
まず、テルキタを交えてガチャガチャ・コーナーやるときって、樹里ちゃんが「罰ゲーム」カプセルを入れるじゃん? 水くんひとりのときは入ってないヤツを、みんなの前で。
ここでヲヅキ、こだわりまくる。
「今、次に出るところに入れませんでした??」
てな意味のことを言って、ガチャガチャをのぞきまくる。
樹里ちゃんはとぼけるんだけど、ヲヅキ、信じない。疑いまくり。
で、誰が回すんですか、ひょっとしてアタシですか、みたいな、なんつーかこー、警戒して背中丸めてる動物みたいだった。
そんなヲヅキを、かなめくんが横で涼しい笑顔で「他人事」って感じに眺めている。
ヲヅキの警戒ぶり、かなめくんのどこを吹く風。……なんなのこいつら、かわいすぎ。
たぶん、あらかじめ台本があって決まってるんだろうな。
罰ゲームはヲヅキがやるって。ババを引くのがヲヅキで、テルはそれにつきあう。だからふたりでネタ合わせしているし、お稽古(笑)もばっちりしている。衣装や髪型まで、罰ゲーム用にキメてきた。
わかっていないのは、「いつやるか」?
ガチャガチャだから、運が良ければ罰ゲームカプセルが出ないかも? そんなことってアリ?
せっかく椅子に坐ったのに、腰を浮かしてガチャガチャの前に貼り付き、中をのぞき込むヲヅキの必死さに萌え(笑)。つかヲヅキさん、ずっと客席に背中向けてますよ、ガチャガチャに貼り付いてるもんだから(笑)。
でも容赦なくステージは進み、おそらく台本通りにヲヅキが最初にガチャガチャを回し、「次に出るところに入れた」罰ゲームカプセルが出て来て、ヲヅキ罰ゲーム決定。
ガチャガチャを回す前はあんなに抵抗していたヲヅキ、引いた後はすごーく男らしく「場が暖まってからでイイですか」とかなんとか言って、即罰ゲームを回避していた。
やることは決まっていたから、もうそこで警戒する必要がなくなったんだろう(笑)。
そしてかなめくんは終始、他人事モード。ヲヅキの息の荒さを笑顔で眺めていたのに。
樹里ちゃんが「まだ他にも罰ゲームカプセル入ってるかも」てなことを言ってから、かなめくんも「本気モード」に入った。(ヲイ)
彼もまた、自分がガチャガチャを引く前に、機械に貼り付いて中をのぞき込む。カプセルの中身を確認しようとする。
回すまで、時間かかるってば。
これを、ヲヅキとかなめ、ふたりそろって自分の回にやるわけよ。必死なのよふたりとも。
罰ゲーム1回分は用意して来てても、2回分はナイのね? で、台本にはない「2個目の罰ゲームカプセル」が入ってたらどーしよー、てゆーんで、ふたりとも「本気っっ」だったのよね?
おかげで樹里ちゃんに「キミら潔くないな」と突っ込まれていた……(笑)。
や、だって彼ら生活掛かってますから!(謎) 職人肌のAA型ですから!!(笑)
テルキタ登場時に、ヲヅキが「今日はみなさんにいじられに来ました」と言い、樹里ちゃんが「台本通りや」「(ヲヅキは)台本を熟読したらしい」と言っていたし、実際ソレが放送されたけれど。
番組の最後に「ほんとに台本通りやった」と樹里ちゃんが言ったのはカットされていた。
雪組さんはほんっとーに真面目だったよーで。なにしろみんなAA型、真面目真面目(笑)。
第4回にしてもっとも台本通りに進み、樹里ちゃん的に感動したそうな。
その真面目さ、つーのが「質問をしたら、返答する」ことだっていうのが、もお……。前回の月組で、質問しても「聞いてた?」てな感じにぐたぐだになっていた(そのかとかそのかとかそのかとか)反動も大きいんじゃないか?(笑)
ガチャガチャの出来レースをカットしていたり、「台本」とわかるところはカットするのがルールなのかな、と思ってみたり。
4組の中でもっとも「台本通り」で「真面目」っていうのは、雪組らしい(水くんらしい?)エピソードで、微笑ましいと思うんだけど、それは放送してくんないんだー、と。
でも罰ゲームをやるのがトップ以外の下級生、つーのはもう「お約束」って感じで「台本通り」でも公になってるしなー。番組収録後のトークで、テルキタが「練習した」って言ってたし、実際本番中も「なにも考えてない」と言いつつ髪型や服装まで罰ゲームのために揃えてきていたことを告白しちゃってるし。
……はっ。コレこそ「真面目な雪組」らしいのか。ふつーはここで「出来レースです、台本です」とは暴露しないでさらっと流すんぢゃないのか? テルキタだから言っちゃったけど??
だとしたら、ますますかわいいぞ、かなめとヲヅキ。
ナマかなめ、ナマヲヅキ初体験だったんですが、かなめくんはとにかく美形で、きれーなおねーさんにもおにーさんにも見えた。ヲヅキは男子にしか見えなかった(笑)。
かなめくんはあちこちテンション高かった。……そーゆー人なのか?
ヲヅキはおとなしかった。黙っていると「……怒ってる?」って感じ。でも笑うとかわいーし、なんか言動ナニ気に変……つーか、本人真面目でちとズレてる感じ? ……かわいー。
で、なにかっちゅーとテルキタで顔見合わせるの。目配せするの。も、無意識って感じ。
で、立ち話のとき、なにかあるとヲヅキは無意識っぽくかなめくんの後ろに隠れるの。一歩下がるの。ナニその萌え関係!(笑)
にしても、テルキタの罰ゲーム「幽体離脱」は、なんにも見えなかった。
段差無しのシアター形式だから、舞台自体ろくに見えてないのね。かろうじて出演者の肩から上が見えているくらい。
わたしはまだいっそ端席だからマシだったけど、半端にブロックの中で前に座高が高かったり肉厚の人が坐っていたら、顔すらろくに見えなかったかもしれない。
前に参加したVO5トークショーは、ホテルではなくふつーにホールでやっていたから、遅れていちばん後ろの関係者席から見ることになっても「見えない」ということはなかったが。
今回はちときつかったなー。
あと、テレビには映らない、「お楽しみ抽選会」なんだが……。
なかなかひどい抽選でした(笑)。
抽選してないの。
入場券を受付で渡し半券を返されるときに、すでにハズレってわかるの。
抽選って、くじ引きって意味だよねえ……。Yahoo辞書にはそう載ってる。でもくじ、引いてないし。
入場時にVO5商品のCMカード(宣伝文句が載っている)が渡されるんだけど、もらった瞬間「あ、みんなと同じだ」ってわかる。だって見渡す限りみんな同じカード持ってるんだもん。
なのにこの「同じカード」が「お楽しみ抽選」なのよ。
「サイン入りTシャツは、**カードをお持ちの方5名様です」とか発表するんだけど、発表する以前に「見渡す限り同じ××カード」を持っていたら「あ、これハズレだ」ってわかる。
だから「おたのしみ抽選」の間中、会場の雰囲気は微妙でした。盛り上がらない……みんな自分がハズレだってわかってるから。や、当たった人へ祝福の拍手は心からするけれど。
当選カードを読み上げるのは司会の人だし、水くんたちはプレゼンテータなだけ。
やっぱ抽選は、その場でスターにくじを引いてもらうドキドキ感がないと意味ないよなー。なんでこんな変な抽選スタイルなんだ?
あとは大体テレビ通り? わたしの海馬なので抜けていることもありまくるだろうが。
会話のロスタイムをうまく編集してあるなって感じだった。
水くんはちゃんと喋れる人だから、見ていて気持ちいいし。彼が積極的に「喋ろう」としているのが伝わってきて、その気持ちが気持ちイイっていうか(笑)。
いい人だなあ、水くん。
あ。
歌のプレゼントはゴスペラーズの「ひとり」だったんだけど。
樹里ちゃん、実はまちがえたそうですよ。「ビデオを録っている人にはバレるかも」って言って笑いを取っていたのに、その台詞放送されなかったんじゃ?
わたしにはなにがまちがいなのかわかんなかったっす。
ナマで聴けるだけでわくわくで、のーみそ動いてないし(笑)。
とにかく、たのしかった〜〜。
冒頭の写真は、おみやげのTシャツその他。
Tシャツはいろんな色があって、問答無用で席に置いてあったので、わたしはこの目に痛いオレンジ。着られないって!!(笑)
や、こっそり着てるかもしんないけど(笑)。
テレビを見ていちばん「カットされてる」と思ったのは、テルキタ登場後のガチャガチャのときだ。
たしかに、ガチャガチャを回す、というのは作業であってどーでもいいこと。肝心なのはガチャガチャで引いた「質問」にどう答えるか。
だから彼らがガチャガチャを回す場面はまるっとカットされ、質問を読むところからスタートしていた。
いちいちとても細かく、その作業部分はカットされていたんだ。
でもなー。
この「ガチャガチャを回す」とこに、テルキタの性格が出てて、すごーくおもしろかったんだよー。
まず、テルキタを交えてガチャガチャ・コーナーやるときって、樹里ちゃんが「罰ゲーム」カプセルを入れるじゃん? 水くんひとりのときは入ってないヤツを、みんなの前で。
ここでヲヅキ、こだわりまくる。
「今、次に出るところに入れませんでした??」
てな意味のことを言って、ガチャガチャをのぞきまくる。
樹里ちゃんはとぼけるんだけど、ヲヅキ、信じない。疑いまくり。
で、誰が回すんですか、ひょっとしてアタシですか、みたいな、なんつーかこー、警戒して背中丸めてる動物みたいだった。
そんなヲヅキを、かなめくんが横で涼しい笑顔で「他人事」って感じに眺めている。
ヲヅキの警戒ぶり、かなめくんのどこを吹く風。……なんなのこいつら、かわいすぎ。
たぶん、あらかじめ台本があって決まってるんだろうな。
罰ゲームはヲヅキがやるって。ババを引くのがヲヅキで、テルはそれにつきあう。だからふたりでネタ合わせしているし、お稽古(笑)もばっちりしている。衣装や髪型まで、罰ゲーム用にキメてきた。
わかっていないのは、「いつやるか」?
ガチャガチャだから、運が良ければ罰ゲームカプセルが出ないかも? そんなことってアリ?
せっかく椅子に坐ったのに、腰を浮かしてガチャガチャの前に貼り付き、中をのぞき込むヲヅキの必死さに萌え(笑)。つかヲヅキさん、ずっと客席に背中向けてますよ、ガチャガチャに貼り付いてるもんだから(笑)。
でも容赦なくステージは進み、おそらく台本通りにヲヅキが最初にガチャガチャを回し、「次に出るところに入れた」罰ゲームカプセルが出て来て、ヲヅキ罰ゲーム決定。
ガチャガチャを回す前はあんなに抵抗していたヲヅキ、引いた後はすごーく男らしく「場が暖まってからでイイですか」とかなんとか言って、即罰ゲームを回避していた。
やることは決まっていたから、もうそこで警戒する必要がなくなったんだろう(笑)。
そしてかなめくんは終始、他人事モード。ヲヅキの息の荒さを笑顔で眺めていたのに。
樹里ちゃんが「まだ他にも罰ゲームカプセル入ってるかも」てなことを言ってから、かなめくんも「本気モード」に入った。(ヲイ)
彼もまた、自分がガチャガチャを引く前に、機械に貼り付いて中をのぞき込む。カプセルの中身を確認しようとする。
回すまで、時間かかるってば。
これを、ヲヅキとかなめ、ふたりそろって自分の回にやるわけよ。必死なのよふたりとも。
罰ゲーム1回分は用意して来てても、2回分はナイのね? で、台本にはない「2個目の罰ゲームカプセル」が入ってたらどーしよー、てゆーんで、ふたりとも「本気っっ」だったのよね?
おかげで樹里ちゃんに「キミら潔くないな」と突っ込まれていた……(笑)。
や、だって彼ら生活掛かってますから!(謎) 職人肌のAA型ですから!!(笑)
テルキタ登場時に、ヲヅキが「今日はみなさんにいじられに来ました」と言い、樹里ちゃんが「台本通りや」「(ヲヅキは)台本を熟読したらしい」と言っていたし、実際ソレが放送されたけれど。
番組の最後に「ほんとに台本通りやった」と樹里ちゃんが言ったのはカットされていた。
雪組さんはほんっとーに真面目だったよーで。なにしろみんなAA型、真面目真面目(笑)。
第4回にしてもっとも台本通りに進み、樹里ちゃん的に感動したそうな。
その真面目さ、つーのが「質問をしたら、返答する」ことだっていうのが、もお……。前回の月組で、質問しても「聞いてた?」てな感じにぐたぐだになっていた(そのかとかそのかとかそのかとか)反動も大きいんじゃないか?(笑)
ガチャガチャの出来レースをカットしていたり、「台本」とわかるところはカットするのがルールなのかな、と思ってみたり。
4組の中でもっとも「台本通り」で「真面目」っていうのは、雪組らしい(水くんらしい?)エピソードで、微笑ましいと思うんだけど、それは放送してくんないんだー、と。
でも罰ゲームをやるのがトップ以外の下級生、つーのはもう「お約束」って感じで「台本通り」でも公になってるしなー。番組収録後のトークで、テルキタが「練習した」って言ってたし、実際本番中も「なにも考えてない」と言いつつ髪型や服装まで罰ゲームのために揃えてきていたことを告白しちゃってるし。
……はっ。コレこそ「真面目な雪組」らしいのか。ふつーはここで「出来レースです、台本です」とは暴露しないでさらっと流すんぢゃないのか? テルキタだから言っちゃったけど??
だとしたら、ますますかわいいぞ、かなめとヲヅキ。
ナマかなめ、ナマヲヅキ初体験だったんですが、かなめくんはとにかく美形で、きれーなおねーさんにもおにーさんにも見えた。ヲヅキは男子にしか見えなかった(笑)。
かなめくんはあちこちテンション高かった。……そーゆー人なのか?
ヲヅキはおとなしかった。黙っていると「……怒ってる?」って感じ。でも笑うとかわいーし、なんか言動ナニ気に変……つーか、本人真面目でちとズレてる感じ? ……かわいー。
で、なにかっちゅーとテルキタで顔見合わせるの。目配せするの。も、無意識って感じ。
で、立ち話のとき、なにかあるとヲヅキは無意識っぽくかなめくんの後ろに隠れるの。一歩下がるの。ナニその萌え関係!(笑)
にしても、テルキタの罰ゲーム「幽体離脱」は、なんにも見えなかった。
段差無しのシアター形式だから、舞台自体ろくに見えてないのね。かろうじて出演者の肩から上が見えているくらい。
わたしはまだいっそ端席だからマシだったけど、半端にブロックの中で前に座高が高かったり肉厚の人が坐っていたら、顔すらろくに見えなかったかもしれない。
前に参加したVO5トークショーは、ホテルではなくふつーにホールでやっていたから、遅れていちばん後ろの関係者席から見ることになっても「見えない」ということはなかったが。
今回はちときつかったなー。
あと、テレビには映らない、「お楽しみ抽選会」なんだが……。
なかなかひどい抽選でした(笑)。
抽選してないの。
入場券を受付で渡し半券を返されるときに、すでにハズレってわかるの。
抽選って、くじ引きって意味だよねえ……。Yahoo辞書にはそう載ってる。でもくじ、引いてないし。
入場時にVO5商品のCMカード(宣伝文句が載っている)が渡されるんだけど、もらった瞬間「あ、みんなと同じだ」ってわかる。だって見渡す限りみんな同じカード持ってるんだもん。
なのにこの「同じカード」が「お楽しみ抽選」なのよ。
「サイン入りTシャツは、**カードをお持ちの方5名様です」とか発表するんだけど、発表する以前に「見渡す限り同じ××カード」を持っていたら「あ、これハズレだ」ってわかる。
だから「おたのしみ抽選」の間中、会場の雰囲気は微妙でした。盛り上がらない……みんな自分がハズレだってわかってるから。や、当たった人へ祝福の拍手は心からするけれど。
当選カードを読み上げるのは司会の人だし、水くんたちはプレゼンテータなだけ。
やっぱ抽選は、その場でスターにくじを引いてもらうドキドキ感がないと意味ないよなー。なんでこんな変な抽選スタイルなんだ?
あとは大体テレビ通り? わたしの海馬なので抜けていることもありまくるだろうが。
会話のロスタイムをうまく編集してあるなって感じだった。
水くんはちゃんと喋れる人だから、見ていて気持ちいいし。彼が積極的に「喋ろう」としているのが伝わってきて、その気持ちが気持ちイイっていうか(笑)。
いい人だなあ、水くん。
あ。
歌のプレゼントはゴスペラーズの「ひとり」だったんだけど。
樹里ちゃん、実はまちがえたそうですよ。「ビデオを録っている人にはバレるかも」って言って笑いを取っていたのに、その台詞放送されなかったんじゃ?
わたしにはなにがまちがいなのかわかんなかったっす。
ナマで聴けるだけでわくわくで、のーみそ動いてないし(笑)。
とにかく、たのしかった〜〜。
冒頭の写真は、おみやげのTシャツその他。
Tシャツはいろんな色があって、問答無用で席に置いてあったので、わたしはこの目に痛いオレンジ。着られないって!!(笑)
や、こっそり着てるかもしんないけど(笑)。
悪霊の声と、輝かしい未来の日本。
2008年1月17日 タカラヅカ 霊石ラジオ、というものがある。
某ホラーゲームに出てくるアイテムで、霊の声を聴くことができるの。
ゲーム中に拾う「石」をラジオにセットし、再生を押すと、「……(雑音)……ぃたい……痛いぃ……(雑音)……苦しぃぃぃい……(雑音)(啜り泣きらしい音)……(無音)……(雑音)……呪ってやるぅぅぅぅ……(雑音)……」てなステキな声が聞こえてくるのよ。
音が割れていて、突然聞こえなくなったり、ざらざら雑音がして、聞き取りにくくて、またそれがこわくて、すっごいステキなの。
霊の声を聴かなくてもゲームのクリアはできるから、ただの盛り上げアイテムでしかないんだけどね。
いやあ、なつかしいなあ、霊石ラジオ。
「宝塚友の会電話予約システム」で、悪霊の声を聴けるなんて。
巷で噂の、新しい電話ガイダンス。
「ひどい」とは聞いていたけど、ほんとにひどかった(笑)。
「こチラは、タカらヅカともノカイ、デんワよやクしすてムデス。がーがーぴー」
てな感じで。
気味の悪い合成音。複数の声が重なって、そのくせ微妙にズレて聞こえる気持ち悪さ。発音のおかしさ、不明瞭さ。そして回転数を間違ったような冗長さ。
不要な説明がえんえん流れ、「ソレ、さっきも聞いた」なことを何度も繰り返し、スキップすることはできず、操作途中で不気味な無音時間が何度もあり「電話、切れた? なにか間違いがあった?」と不安に陥れる。
すごいよなあ、宝塚歌劇団。
聞いた人を「不快にさせる」ために想像力と技術の限りを駆使して作り上げた「悪霊の声」を、こんなに簡単に作り上げて、客に向かって有料で流すなんて。
聞いた途端、「うわコレ、霊石ラジオだ!」と思った。いつも友会入力は受話器を置いたままのスピーカ通話なんで余計。電話機のスピーカからざらざらと流れてくる現実ではありえない音声。
悪霊の声だ。この世のすべてを呪い、恨んでいる声だ。わたしたちと同じ言葉を話しながら、どこか欠けている、間違っている、壊れている声だ。
まったくチガウ言葉、チガウ世界の音声ならこわくない。同じ、でありながら、「どこか狂う」ことが、はてしなくこわいんだ。
てなキモチになるステキ音声。
友会に入っていない人でも、是非一度体験してみてくださいよ。電話番号は調べればどっかに載っているんだと思う。あ、もちろん体験するのは真夜中にお願いします(笑)。
音声の気持ち悪さはこーやってネタとして笑い飛ばすとしても、純粋に操作が不便過ぎるっつーのは考え物だ。
あんまり面倒なんで、4公演入力する予定が、2公演でやめてしまった。わたしのよーに根性ない人が他にも大勢いたりしたら、売り上げに響くこともあるんじゃないかなぁ。
霊石ラジオ、より一般的な、明るいものにたとえるならば。
まだ白黒だったころの『鉄腕アトム』とかの、SFアニメ。よく2時間バラエティとかで、「なつかしアニメ」とかゆってやってるやつ。
昭和中期、日本が「未来」に「科学文明」に夢を見ていたころのアニメ。
四角い箱が市松模様に点滅しながら、「キンきゅウじたイ、きンキゅうジたい」とか棒読みにがなっていた。アレですよ。
白黒アニメに出てきた「スーパー・コンピュータ」。カタコトの日本語を発し(話すわけではない)、なにかしら計算したものをレシートみたいな細長い紙に点々と穴を開けて吐き出す。
すばらしい「未来」「科学文明」の賜物。
50年前の日本人が夢見ていたまんまの音声が、今ここに。
ずけえや、宝塚歌劇団。
50年前の夢を叶えるなんて!
21世紀万歳、科学文明万歳。
……うん、今が50年前ならよかったね。
某ホラーゲームに出てくるアイテムで、霊の声を聴くことができるの。
ゲーム中に拾う「石」をラジオにセットし、再生を押すと、「……(雑音)……ぃたい……痛いぃ……(雑音)……苦しぃぃぃい……(雑音)(啜り泣きらしい音)……(無音)……(雑音)……呪ってやるぅぅぅぅ……(雑音)……」てなステキな声が聞こえてくるのよ。
音が割れていて、突然聞こえなくなったり、ざらざら雑音がして、聞き取りにくくて、またそれがこわくて、すっごいステキなの。
霊の声を聴かなくてもゲームのクリアはできるから、ただの盛り上げアイテムでしかないんだけどね。
いやあ、なつかしいなあ、霊石ラジオ。
「宝塚友の会電話予約システム」で、悪霊の声を聴けるなんて。
巷で噂の、新しい電話ガイダンス。
「ひどい」とは聞いていたけど、ほんとにひどかった(笑)。
「こチラは、タカらヅカともノカイ、デんワよやクしすてムデス。がーがーぴー」
てな感じで。
気味の悪い合成音。複数の声が重なって、そのくせ微妙にズレて聞こえる気持ち悪さ。発音のおかしさ、不明瞭さ。そして回転数を間違ったような冗長さ。
不要な説明がえんえん流れ、「ソレ、さっきも聞いた」なことを何度も繰り返し、スキップすることはできず、操作途中で不気味な無音時間が何度もあり「電話、切れた? なにか間違いがあった?」と不安に陥れる。
すごいよなあ、宝塚歌劇団。
聞いた人を「不快にさせる」ために想像力と技術の限りを駆使して作り上げた「悪霊の声」を、こんなに簡単に作り上げて、客に向かって有料で流すなんて。
聞いた途端、「うわコレ、霊石ラジオだ!」と思った。いつも友会入力は受話器を置いたままのスピーカ通話なんで余計。電話機のスピーカからざらざらと流れてくる現実ではありえない音声。
悪霊の声だ。この世のすべてを呪い、恨んでいる声だ。わたしたちと同じ言葉を話しながら、どこか欠けている、間違っている、壊れている声だ。
まったくチガウ言葉、チガウ世界の音声ならこわくない。同じ、でありながら、「どこか狂う」ことが、はてしなくこわいんだ。
てなキモチになるステキ音声。
友会に入っていない人でも、是非一度体験してみてくださいよ。電話番号は調べればどっかに載っているんだと思う。あ、もちろん体験するのは真夜中にお願いします(笑)。
音声の気持ち悪さはこーやってネタとして笑い飛ばすとしても、純粋に操作が不便過ぎるっつーのは考え物だ。
あんまり面倒なんで、4公演入力する予定が、2公演でやめてしまった。わたしのよーに根性ない人が他にも大勢いたりしたら、売り上げに響くこともあるんじゃないかなぁ。
霊石ラジオ、より一般的な、明るいものにたとえるならば。
まだ白黒だったころの『鉄腕アトム』とかの、SFアニメ。よく2時間バラエティとかで、「なつかしアニメ」とかゆってやってるやつ。
昭和中期、日本が「未来」に「科学文明」に夢を見ていたころのアニメ。
四角い箱が市松模様に点滅しながら、「キンきゅウじたイ、きンキゅうジたい」とか棒読みにがなっていた。アレですよ。
白黒アニメに出てきた「スーパー・コンピュータ」。カタコトの日本語を発し(話すわけではない)、なにかしら計算したものをレシートみたいな細長い紙に点々と穴を開けて吐き出す。
すばらしい「未来」「科学文明」の賜物。
50年前の日本人が夢見ていたまんまの音声が、今ここに。
ずけえや、宝塚歌劇団。
50年前の夢を叶えるなんて!
21世紀万歳、科学文明万歳。
……うん、今が50年前ならよかったね。
天災は忘れた頃にやってくる。@全国ツアー演目発表
2008年1月18日 タカラヅカ 植爺と『ベルばら』が「避けられない天災」であるこの現実において、もっとも良い災害対策ではなかろうか。
もちろん、災害はないに越したことはない。地震も台風もなくなればいい。……が、人類の英知をもってしても天災を「なくす」ことはできない。
ならば、どうやったら被害を最小限に抑えられるかを考えるべきだろう。
そこで必殺技。
全国ツアー『ベルばら』祭り!!(大山のぶ代の声希望。背景は紅白の集中線が点滅)
>雪組 『外伝 ベルサイユのばら−ジェローデル編−』『ミロワール』
>花組『外伝 ベルサイユのばら−アラン編−』『エンター・ザ・レビュー』
>星組『外伝 ベルサイユのばら−ベルナール編−』『ネオ・ダンディズム!III』
うわー、すごいことになってるなあ。
てゆーか、演出全部植爺なんだー。うわー。
はい、見事な力業です。天災被害を抑えるための苦肉の策だよねコレ。拍手拍手。
つーことで、今回の「災害対策」の良かった点。
・芝居とショーの2本立て。
どれだけ芝居が破壊されたとんでもないものであっても、ショーを楽しみにすることができる。
・役替わりがない。
どれだけ芝居が破壊されたとんでもないものであっても、とりあえず1回観るだけで済む。役替わり回数観ないで済む。
・貴重な本公演を消費しない。
どれだけ芝居が破壊されたとんでもないものであっても、全ツは全ツ、1会場数日、全日程合わせても公演数は少ない。本拠地・東京とで2ヶ月半もの長期上演は避けられた。
災害対策本部、グッジョブ☆
繰り返すが、災害はないに越したことはないんだ。わたしだって嫌だ。肯定しているわけでも、存在を歓迎しているわけでもない。心の底から「なくなれ。消えろ」と思っているさ。
しかし現実問題、「ある」んだ。「なくす」ことは不可能なんだ。いつかなくなる未来がくるかもしれないが、今現在でソレは絵空事でしかないんだから、語っても仕方がない。
避けられない不幸として植爺と『ベルばら』がある現実を見つめ、最良の方法であった、というハナシをしている。
話の種に地元で1回観ておしまい、あとは「宝塚=ベルパラ」と思い込んでいる一般の方々に観ていただこうじゃないですか。
配役がどうなるかさっぱりわかりませんが、壮くんオスカルが見たい。
えりカル見たい〜〜見たい〜〜、じたばた。
んでもって、まとぶアランに無理矢理チューされるの。見たい〜〜見たい〜〜(笑)。
2006年雪組全国ツアー『ベルサイユのばら』の、壮アンドレがあまりにステキ過ぎた……。壮くんって植田芝居に合う人だったんだ……と、目からウロコ。
あのキラメキの日々を再びプリーズ!!
で。
まつださんはそのころナニやってんですかね?
花組全ツの裏はDC公演があるので、振り分け発表があるまでどちらに出るかわからないから、今「上から順」に配役しても意味はないんですが。
とりあえずまっつファンとしては、まっつオスカルだけはありえないとわかっているんで、心穏やかです。
や、『ベルばら』において「オスカル」だけは特別な役なんで、劇団的に押すつもりのある人にしかやらせないっす。
万が一、ゆーひくん、壮くん、みわっちがDCで、まっつが全ツでも、まっつにオスカルは回ってきません。まぁくんとか下級生がやるんじゃないですか?
なんかのはずみでまっつにアンドレが回ってくる可能性ならゼロじゃなくても、オスカルはゼロだと断言できる(笑)。
そーだなー、妄想配役でいいなら、みわカルとまつドレが見たいっす。
豊太郎と相沢で「今宵一夜」はお願いしたいっす。や、『ベルばら』でやんなくても、『舞姫』後日談でもいいから。(今宵一夜の台詞のやりとり、まんま豊太郎と相沢でハマる……)
……まー、まっつはいつものよーにDCかなー、とゆー気もしますが。(番手外の場合、ショースター・ダンサーは全ツ、歌と芝居が得意な人はバウ・DCに出演しがちだという慣例により)
まっつが『ベルばら』に出るとして、ありえそーなとこで希望を言うなら、栄養失調の衛兵隊士ですわね。
貧血で倒れるとこプリーズ。
もちろん、災害はないに越したことはない。地震も台風もなくなればいい。……が、人類の英知をもってしても天災を「なくす」ことはできない。
ならば、どうやったら被害を最小限に抑えられるかを考えるべきだろう。
そこで必殺技。
全国ツアー『ベルばら』祭り!!(大山のぶ代の声希望。背景は紅白の集中線が点滅)
>雪組 『外伝 ベルサイユのばら−ジェローデル編−』『ミロワール』
>花組『外伝 ベルサイユのばら−アラン編−』『エンター・ザ・レビュー』
>星組『外伝 ベルサイユのばら−ベルナール編−』『ネオ・ダンディズム!III』
うわー、すごいことになってるなあ。
てゆーか、演出全部植爺なんだー。うわー。
はい、見事な力業です。天災被害を抑えるための苦肉の策だよねコレ。拍手拍手。
つーことで、今回の「災害対策」の良かった点。
・芝居とショーの2本立て。
どれだけ芝居が破壊されたとんでもないものであっても、ショーを楽しみにすることができる。
・役替わりがない。
どれだけ芝居が破壊されたとんでもないものであっても、とりあえず1回観るだけで済む。役替わり回数観ないで済む。
・貴重な本公演を消費しない。
どれだけ芝居が破壊されたとんでもないものであっても、全ツは全ツ、1会場数日、全日程合わせても公演数は少ない。本拠地・東京とで2ヶ月半もの長期上演は避けられた。
災害対策本部、グッジョブ☆
繰り返すが、災害はないに越したことはないんだ。わたしだって嫌だ。肯定しているわけでも、存在を歓迎しているわけでもない。心の底から「なくなれ。消えろ」と思っているさ。
しかし現実問題、「ある」んだ。「なくす」ことは不可能なんだ。いつかなくなる未来がくるかもしれないが、今現在でソレは絵空事でしかないんだから、語っても仕方がない。
避けられない不幸として植爺と『ベルばら』がある現実を見つめ、最良の方法であった、というハナシをしている。
話の種に地元で1回観ておしまい、あとは「宝塚=ベルパラ」と思い込んでいる一般の方々に観ていただこうじゃないですか。
配役がどうなるかさっぱりわかりませんが、壮くんオスカルが見たい。
えりカル見たい〜〜見たい〜〜、じたばた。
んでもって、まとぶアランに無理矢理チューされるの。見たい〜〜見たい〜〜(笑)。
2006年雪組全国ツアー『ベルサイユのばら』の、壮アンドレがあまりにステキ過ぎた……。壮くんって植田芝居に合う人だったんだ……と、目からウロコ。
あのキラメキの日々を再びプリーズ!!
で。
まつださんはそのころナニやってんですかね?
花組全ツの裏はDC公演があるので、振り分け発表があるまでどちらに出るかわからないから、今「上から順」に配役しても意味はないんですが。
とりあえずまっつファンとしては、まっつオスカルだけはありえないとわかっているんで、心穏やかです。
や、『ベルばら』において「オスカル」だけは特別な役なんで、劇団的に押すつもりのある人にしかやらせないっす。
万が一、ゆーひくん、壮くん、みわっちがDCで、まっつが全ツでも、まっつにオスカルは回ってきません。まぁくんとか下級生がやるんじゃないですか?
なんかのはずみでまっつにアンドレが回ってくる可能性ならゼロじゃなくても、オスカルはゼロだと断言できる(笑)。
そーだなー、妄想配役でいいなら、みわカルとまつドレが見たいっす。
豊太郎と相沢で「今宵一夜」はお願いしたいっす。や、『ベルばら』でやんなくても、『舞姫』後日談でもいいから。(今宵一夜の台詞のやりとり、まんま豊太郎と相沢でハマる……)
……まー、まっつはいつものよーにDCかなー、とゆー気もしますが。(番手外の場合、ショースター・ダンサーは全ツ、歌と芝居が得意な人はバウ・DCに出演しがちだという慣例により)
まっつが『ベルばら』に出るとして、ありえそーなとこで希望を言うなら、栄養失調の衛兵隊士ですわね。
貧血で倒れるとこプリーズ。
恋文。−腐女子注意報−@君を愛してる
2008年1月19日 タカラヅカ「レオン神父。以前、僕がマルキーズとサーカス団を救うためにセリメーヌと結婚しようとしたとき、おっしゃいましたよね。『馬鹿者、お前まで偽りの人生を生きるつもりか』と。お前まで……と。僕と、誰のことを言われていたのですか?
あのときは、心を偽ってアルガンと結婚しようとしているマルキーズのことだと思ったんですが。
でも、神父が叱られたのは僕だけですよね。マルキーズのことはあんな風に叱らなかった。
何故、僕のときだけあんなに声を荒らげて叱ったのか。何故、あんなにも取り乱したのか。
お前まで、というのは、どういう意味なのか。
ずっと、引っかかっていたんです。でも、このたび父の若い頃の日記を見つけて……」
語るジョルジュを、レオン神父は静かに制した。
「ジョルジュ。君はアンリに……君の父上によく似ている。姿はまさに、生き写しだ。君と話していると、アンリと話している気分になる。
私も、アンリも若かった。彼もまた不器用で、やさしい男だったよ。君と同じように。ひどくロマンチストで……永遠の愛を信じていた」
「父は、『私は神を裏切った。いや、私の犯したもっとも深い罪は、愛する人に神を裏切らせてしまったことだ』と書いていました」
「アンリは、悔いていたのかね?」
「……いいえ。苦しんではいましたが、後悔はしていませんでした。父の日記には、愛する人への気遣いと、ただ、愛する気持ちだけが綴られていました。
父の恋人は、とても奔放な人だったようです。幼い頃から神に仕えるよう義務づけられていたそうですが、枠に収まりきらない生命力を持ち、陽気で型破りでいつも父を驚かせていました。
修道院を抜け出し、臆する父の腕を取り駆け出すような人だったと。大きな声で笑い、歌う人だと。
父の日記には、ただ、その人のことだけが書かれていました。『Lが笑った。Lが歌った。Lがこう言った』と。前後のつながりもなく、ただ、恋人の行動だけが書かれていました。まるで、彼の世界のすべてがそのLという人物であるかのように。
それだけで、どれほど愛しているかが伝わってきました。恋人の行動の羅列だけなのに、その表現のひとつひとつが、とてもやさしいんです。愛しみに満ちているんです。
恋人の全存在を肯定し、ただ、愛していました」
「アンリらしい文章だね。出来事の羅列……なのに、愛が見える、か」
「疑問に思っていました。何故父は、あんな遺言を残したのか。半年以内に貴族の女性と結婚しなければ、家督は継がせない。結婚相手はドビルバン氏が認めた者だけ……ではドビルバン氏だけが判断、許可を委ねられたのかと思えば、『教会へ行け』と……つまり、レオン神父に相談しろとある。
結局父がすべての判断を委ねたのはレオン神父、あなただ。ドビルバン氏に否を言わせない権力を持つあなたが、僕の人生を統べる権利を持っていた。
父はあなたが、僕にとってもっとも善い、正しい道を選んでくれる、尽力してくれるとわかっていたんです。だから僕にあなたのところへ行くようし向けた。
実際あなたは、そうしてくれました。迷う僕を叱り、励まし、なにもかも受け止めてくれた。
僕とマルキーズが結婚できるように、権力まで駆使して立ち回って下さった。
マルキーズのためじゃない。僕のためだ。マルキーズがアルガンと結婚することは、怒鳴ってまで止めなかった。本人が決めたことだからと、ふたりが内緒で結婚式を挙げることに同意していた。なのに、僕のときだけ、あなたは我を忘れた。
僕は父に連れられて子どもの頃からこの教会に出入りしていたし、あなたのことも慕っていました。はじめからあなたが遺言の執行人であれば、なんの問題もなかったのに。いやそもそも、父の性格からして、貴族の娘と結婚しなければ、とか、半年、とか、おかしいことだらけだ」
「もし、半年以内に君が真の愛を見つけられず、偽りの結婚をしようとしていたら、やはり私は叱りつけていただろうね」
「そして結婚しなくても家督を継げるよう、その権力を使ってくれていた……あなたにはそれだけの力がある。父はそれを見越して、あなたを頼るよう遺言したんだ」
「君がドビルバンの娘と愛し合い、結婚を決めていたなら、私の出る幕はなかったよ。アンリも本当のところは、そう願っていたのだろう」
「あなたの存在は隠したかった。だけど、あなたに委ねたかった」
「なつかしいな……貴族の娘と結婚。そして、半年というキーワード。アンリも昔、父親にそんな条件を突きつけられていた。恋人と別れ、立場に相応しい女性と結婚をしろと」
「父には愛する人がいた。だけど、結ばれることが許されない相手だった。祖父は父とその人のつきあいを認めず、引き裂くために強引な条件を出した。『半年以内に貴族の娘と結婚しろ。さもなくば後継者と認めない』……」
「アンリは君と似ている。君と、同じことを言ったよ。愛を選び、他のすべてを捨てると」
「だが、父の恋人はうんとは言わなかったんです。身を引いたんだ。
父のどのような説得にも頷かなかった。短剣を自らの首筋に当て、父が身分に相応しい人生に戻らないとこの手を引くとまで言った。神を裏切って父を愛し、そのうえ自ら命を絶ち、地獄に堕ちると宣言した。
その人の奔放さと力強さを愛していた父は、それがただの脅しや演技ではないことを知っていた。
父は、その人と別れ、祖父の選んだ女性と結婚しました。祖父が出した条件通り、半年以内に」
「そして、君や弟のクレアントが生まれた」
「……母のことを、父はたしかに愛していました。それは、僕たち兄弟がいちばんよく知っています。でも。
日記に綴られていた、Lという人物への思いとは、まったく違ったものでした。
父はLを愛していました。ずっと。日記はもう綴られなくなっていたけれど、それでも、言葉にしない、文字にしない、心の奥底でずっと愛し続けていたんです。共に生きることは出来なくても、この世から先に去ることになったとしても。
だから」
再び、語るジョルジュを、レオン神父が静かに制した。
「ジョルジュ。君の幸福を、心から祈っている。見守り続けたいと思っている。
君と、アンリは似ている。彼も、一途に信じていた。
永遠の愛を」
「僕への遺言だと思うから、おかしなことばかりだったんです。あれは、父からの恋文でした。生涯懸けて愛した、ただひとりの人への」
愛のために、心を偽って生きるしかなかった、不器用な恋人への。
「レオン神父。あなたも、信じているのでしょう?
永遠の愛を」
レオン神父は答えず、ただ静かに微笑んだ。
☆
アンリ・ドシャレット氏は、水先輩の2役でお願いします(笑)。
あのときは、心を偽ってアルガンと結婚しようとしているマルキーズのことだと思ったんですが。
でも、神父が叱られたのは僕だけですよね。マルキーズのことはあんな風に叱らなかった。
何故、僕のときだけあんなに声を荒らげて叱ったのか。何故、あんなにも取り乱したのか。
お前まで、というのは、どういう意味なのか。
ずっと、引っかかっていたんです。でも、このたび父の若い頃の日記を見つけて……」
語るジョルジュを、レオン神父は静かに制した。
「ジョルジュ。君はアンリに……君の父上によく似ている。姿はまさに、生き写しだ。君と話していると、アンリと話している気分になる。
私も、アンリも若かった。彼もまた不器用で、やさしい男だったよ。君と同じように。ひどくロマンチストで……永遠の愛を信じていた」
「父は、『私は神を裏切った。いや、私の犯したもっとも深い罪は、愛する人に神を裏切らせてしまったことだ』と書いていました」
「アンリは、悔いていたのかね?」
「……いいえ。苦しんではいましたが、後悔はしていませんでした。父の日記には、愛する人への気遣いと、ただ、愛する気持ちだけが綴られていました。
父の恋人は、とても奔放な人だったようです。幼い頃から神に仕えるよう義務づけられていたそうですが、枠に収まりきらない生命力を持ち、陽気で型破りでいつも父を驚かせていました。
修道院を抜け出し、臆する父の腕を取り駆け出すような人だったと。大きな声で笑い、歌う人だと。
父の日記には、ただ、その人のことだけが書かれていました。『Lが笑った。Lが歌った。Lがこう言った』と。前後のつながりもなく、ただ、恋人の行動だけが書かれていました。まるで、彼の世界のすべてがそのLという人物であるかのように。
それだけで、どれほど愛しているかが伝わってきました。恋人の行動の羅列だけなのに、その表現のひとつひとつが、とてもやさしいんです。愛しみに満ちているんです。
恋人の全存在を肯定し、ただ、愛していました」
「アンリらしい文章だね。出来事の羅列……なのに、愛が見える、か」
「疑問に思っていました。何故父は、あんな遺言を残したのか。半年以内に貴族の女性と結婚しなければ、家督は継がせない。結婚相手はドビルバン氏が認めた者だけ……ではドビルバン氏だけが判断、許可を委ねられたのかと思えば、『教会へ行け』と……つまり、レオン神父に相談しろとある。
結局父がすべての判断を委ねたのはレオン神父、あなただ。ドビルバン氏に否を言わせない権力を持つあなたが、僕の人生を統べる権利を持っていた。
父はあなたが、僕にとってもっとも善い、正しい道を選んでくれる、尽力してくれるとわかっていたんです。だから僕にあなたのところへ行くようし向けた。
実際あなたは、そうしてくれました。迷う僕を叱り、励まし、なにもかも受け止めてくれた。
僕とマルキーズが結婚できるように、権力まで駆使して立ち回って下さった。
マルキーズのためじゃない。僕のためだ。マルキーズがアルガンと結婚することは、怒鳴ってまで止めなかった。本人が決めたことだからと、ふたりが内緒で結婚式を挙げることに同意していた。なのに、僕のときだけ、あなたは我を忘れた。
僕は父に連れられて子どもの頃からこの教会に出入りしていたし、あなたのことも慕っていました。はじめからあなたが遺言の執行人であれば、なんの問題もなかったのに。いやそもそも、父の性格からして、貴族の娘と結婚しなければ、とか、半年、とか、おかしいことだらけだ」
「もし、半年以内に君が真の愛を見つけられず、偽りの結婚をしようとしていたら、やはり私は叱りつけていただろうね」
「そして結婚しなくても家督を継げるよう、その権力を使ってくれていた……あなたにはそれだけの力がある。父はそれを見越して、あなたを頼るよう遺言したんだ」
「君がドビルバンの娘と愛し合い、結婚を決めていたなら、私の出る幕はなかったよ。アンリも本当のところは、そう願っていたのだろう」
「あなたの存在は隠したかった。だけど、あなたに委ねたかった」
「なつかしいな……貴族の娘と結婚。そして、半年というキーワード。アンリも昔、父親にそんな条件を突きつけられていた。恋人と別れ、立場に相応しい女性と結婚をしろと」
「父には愛する人がいた。だけど、結ばれることが許されない相手だった。祖父は父とその人のつきあいを認めず、引き裂くために強引な条件を出した。『半年以内に貴族の娘と結婚しろ。さもなくば後継者と認めない』……」
「アンリは君と似ている。君と、同じことを言ったよ。愛を選び、他のすべてを捨てると」
「だが、父の恋人はうんとは言わなかったんです。身を引いたんだ。
父のどのような説得にも頷かなかった。短剣を自らの首筋に当て、父が身分に相応しい人生に戻らないとこの手を引くとまで言った。神を裏切って父を愛し、そのうえ自ら命を絶ち、地獄に堕ちると宣言した。
その人の奔放さと力強さを愛していた父は、それがただの脅しや演技ではないことを知っていた。
父は、その人と別れ、祖父の選んだ女性と結婚しました。祖父が出した条件通り、半年以内に」
「そして、君や弟のクレアントが生まれた」
「……母のことを、父はたしかに愛していました。それは、僕たち兄弟がいちばんよく知っています。でも。
日記に綴られていた、Lという人物への思いとは、まったく違ったものでした。
父はLを愛していました。ずっと。日記はもう綴られなくなっていたけれど、それでも、言葉にしない、文字にしない、心の奥底でずっと愛し続けていたんです。共に生きることは出来なくても、この世から先に去ることになったとしても。
だから」
再び、語るジョルジュを、レオン神父が静かに制した。
「ジョルジュ。君の幸福を、心から祈っている。見守り続けたいと思っている。
君と、アンリは似ている。彼も、一途に信じていた。
永遠の愛を」
「僕への遺言だと思うから、おかしなことばかりだったんです。あれは、父からの恋文でした。生涯懸けて愛した、ただひとりの人への」
愛のために、心を偽って生きるしかなかった、不器用な恋人への。
「レオン神父。あなたも、信じているのでしょう?
永遠の愛を」
レオン神父は答えず、ただ静かに微笑んだ。
☆
アンリ・ドシャレット氏は、水先輩の2役でお願いします(笑)。
彼視点の物語。@君を愛してる
2008年1月20日 タカラヅカ 『君を愛してる−Je t’aime−』のいいところのひとつは、登場人物それぞれの視点に、それぞれの物語があること。
物語とは人間が関わり合うことで成り立っている。多くの人間、多くの人生が交差した物語ほど、視点を変えるおもしろさがある。
まあ、「キャラが立っている」という一言に集約できるんだけどね(笑)。
つーことで、今回はアルガン様@ゆみこの視点で考えてみる。
アルガンってさ、ジョルジュのこと、「知らない」よね?(笑)
大物プロデューサー、アルガン氏。若くして成功した時の人。強引で俺様。
弱小サーカスを出発点にしたが、今は大きなサーカスを経営する身。恋人アリ。
そう、「恋人アリ」。
アルガンは、マルキーズと別れたつもりナイよね?(笑)
「生き方がチガウ」ということで、マルキーズ@となみはアルガンとは「別れた」と言っている。
実際、「わたしたち、もう終わりね」「別れましょう」とか、すげー身も蓋もない定例句をマルキーズは言ったんだと思う。なにしろキムシン脚本だし。
でもアルガンは、それを本気にしていない。
ただの「ケンカ」だと思っている。アルガンがマルキーズのサーカス団を出て別の道を選んだことで、ギクシャクしてしまったのだと。
いろいろあって今はうまくいってない。でもきっと彼女はわかってくれる。いや、わからせてみせる。
強引で俺様な彼は、ナチュラルにそう信じている。
でないと、プロポーズしないって。
とっくに別れた、別の男のいる女に、いきなり脅迫まがいのプロポーズしないって。
アルガンは、ジョルジュ@水を知らない。
だって彼の世界では、マルキーズは変わらず彼の恋人。スターのマルキーズに入れあげたファンが彼女の周りをちょろちょろしていることなんて、別にめずらしくない。
だから何度か目が合うくらいのことはあっても、その存在を認知していない。気にしていない。
ケンカしたまま、ぎこちなくなってしまっている恋人。
彼女をしあわせにしたい。彼女としあわせに生きたい。
彼女をしあわせにする術が、彼にはある。その明確なプランがあるのに、彼女はうんと言わない。
彼女が求めるモノは彼が信じる道に不要だと思うモノが多いのだけど、それを彼女が欲するなら受け入れよう。すべては、彼女のために。
彼にとって不要なモノでも、それがあることで彼女が満ち足りるなら、譲歩しよう。
素直じゃない恋人。強情な恋人。
あまりにこじれてしまっているし、彼もまた言葉が足りない、誤解されやすい人間だということは自覚している。
ここはひとつ、強引に出よう。
彼がアクションを起こすことで、アクシデントを乗り越えられるはず。
だってふたりは、愛し合っているのだから。
つーことで、プロポーズ。
アルガン視点では、長年つきあってきた恋人に結婚を申し込んだだけ。
自分が悪役になっているなんて、知らないから。
や、多少悪だとは思っているけど、それは「俺って強引だな。悪い男だ。フッ」てな程度で、自分のやっていることが金にものを言わせて、泣いて嫌がる娘(恋人アリ)を妻にしようとする成金エロじじいみたいだなんて、わかってないから。
サーカス団千秋楽貸切公演にて、乱入してきたジョルジュの「君を愛してる」、応えるマルキーズの「あなたを愛してる」は、寝耳に水。
サーカス団のメンバー全員引き取るって言ったのに。ただの給料泥棒になるだけだとわかっている使えない団員まで全部、金を捨てるつもりで引き受けると言ったのに。
団員たちはそれを断るし。
そしてマルキーズもまた、自分との婚約を無視して知らない男と盛り上がっているし。
ちょっと待て、なんだこの展開。
俺、なに?
俺、悪役?
俺、空気読めない奴?
俺、いい面の皮?
いやあ、アルセストが飛び出してきたときのアルガン様がステキです。
アルガンにとってはジョルジュだって十分知らない人。何度かサーカスで会ったというかすれ違ったというか「いたな、そんな奴」程度だっつーに、アルセスト@かなめに至っては「誰?」状態。
人生の一大事、「ちょっと待て、僕との婚約はどーなった?!」と恋人に問いただしている肝心要なときに、いきなりまったく知らない男が飛び出してきて「君を愛してるっっ。許してくれ、ボクは臆病だったっっ」とかなんとか、いきなり別世界。
でもってこれまたまったく知らない女が「ゆるしてあげるっ、だってあなたを愛してるっっ」で、ちからいっぱいラヴシーン・クライマックス。
あの、俺の物語……俺が主役の……?
目の前で突然怒濤の展開を見せる、ひとさまの物語についてゆけず、ぼーぜんと立ちつくすアルガン様が傑作です。
すごすごと舞台奥へ退場していくアルガン様は、そこではじめて知るのだと思う。ここに、自分の「居場所」がないことに。
彼の中の「物語」では、サーカス団の「時」は止まっていたのだと思う。
彼がいた頃……彼が「このままじゃダメだ」と見捨てた頃のまま。
シャルル@ひろみは頼りない若手のままだし、アルガンがいなくてはどーしよーもないのんきものたちの集まり、「仲間」だった頃のアルガンが見ていたままの世界。
だから彼は知らなかった。
シャルルが成長していることも、仲間たちが彼をもう仲間だと思っていないことも、マルキーズが本当に彼に反発し、嫌がっていることも。
ジョルジュという知らない男がサーカス団に受け入れられ、「仲間」として輪の中で笑い、マルキーズに愛されていることにも。
なにも、気付かなかった。
気付けなかった。
彼は、自分が見たいモノしか、見なかったから。
マルキーズが他の男と婚約したとか、自分が振られたとか。
それもたしかにヘヴィな事実で、彼を打ちのめしただろうけれど。
それだけじゃなくて。
アルガンに突きつけられたのは、「現実」。
彼が彼であるがゆえに「見なかった」ものたち。
彼の狭量さ。彼の愚かさ。
だから。
アルガンは、歌うんだ。
なにもかも受け入れて。
や、だって、振られても仕方ないじゃん? 自分が狭量だったせいなんだから。
事実はずっとそこにあったのに、見なかったのは自分の愚かさ。都合良く解釈していた自分勝手さ。
横から強引に恋人を奪われたなら、いくらマルキーズがその男を愛していたとしたって、許したりしない。自分の方がマルキーズを愛している、しあわせにできると信じられるなら、正面から闘うだろう。
自分の足りなさ、至らなさを見せつけられたから。痛感したから。
歌うしかない。肯定し、祝福するしかない。
そうやって、前へ進むしかない。
アルガンは、いろいろと不器用なだけの「イイ奴」だから。悪人でも理不尽でもない、等身大の青年だから。
強引でも俺様でも、心に曇りのない人間だから。
わたしはどっぷり三角関係が好きなので、主人公と恋敵の関係は濃ければ濃い方が好きだ。
相手に対し深い感情を持っている方が、ひとりの女をめぐる関係がおもしろいものになるからだ。
てゆーか主人公を中心に物語を描くのだから、2番手演じる恋敵は主人公に深く関係し、見せ場をいっぱい描くべきだと思っている。
だからキムシンの前作『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』では、「2番手演じる恋敵」を主人公が存在すら認識していないのが不満だった。恋敵もまた、主人公のことを大して重要視してなかったしな。不満不満。
でも。
『君愛』に関しては、未認識が萌え(笑)。
それぞれの人生、それぞれの視点。
アリでしょ、こーゆーの。
あー、アルガン様、好きだなー。
すげーいいキャラだ。
レイチェル@圭子女史がんばれー(笑)。
物語とは人間が関わり合うことで成り立っている。多くの人間、多くの人生が交差した物語ほど、視点を変えるおもしろさがある。
まあ、「キャラが立っている」という一言に集約できるんだけどね(笑)。
つーことで、今回はアルガン様@ゆみこの視点で考えてみる。
アルガンってさ、ジョルジュのこと、「知らない」よね?(笑)
大物プロデューサー、アルガン氏。若くして成功した時の人。強引で俺様。
弱小サーカスを出発点にしたが、今は大きなサーカスを経営する身。恋人アリ。
そう、「恋人アリ」。
アルガンは、マルキーズと別れたつもりナイよね?(笑)
「生き方がチガウ」ということで、マルキーズ@となみはアルガンとは「別れた」と言っている。
実際、「わたしたち、もう終わりね」「別れましょう」とか、すげー身も蓋もない定例句をマルキーズは言ったんだと思う。なにしろキムシン脚本だし。
でもアルガンは、それを本気にしていない。
ただの「ケンカ」だと思っている。アルガンがマルキーズのサーカス団を出て別の道を選んだことで、ギクシャクしてしまったのだと。
いろいろあって今はうまくいってない。でもきっと彼女はわかってくれる。いや、わからせてみせる。
強引で俺様な彼は、ナチュラルにそう信じている。
でないと、プロポーズしないって。
とっくに別れた、別の男のいる女に、いきなり脅迫まがいのプロポーズしないって。
アルガンは、ジョルジュ@水を知らない。
だって彼の世界では、マルキーズは変わらず彼の恋人。スターのマルキーズに入れあげたファンが彼女の周りをちょろちょろしていることなんて、別にめずらしくない。
だから何度か目が合うくらいのことはあっても、その存在を認知していない。気にしていない。
ケンカしたまま、ぎこちなくなってしまっている恋人。
彼女をしあわせにしたい。彼女としあわせに生きたい。
彼女をしあわせにする術が、彼にはある。その明確なプランがあるのに、彼女はうんと言わない。
彼女が求めるモノは彼が信じる道に不要だと思うモノが多いのだけど、それを彼女が欲するなら受け入れよう。すべては、彼女のために。
彼にとって不要なモノでも、それがあることで彼女が満ち足りるなら、譲歩しよう。
素直じゃない恋人。強情な恋人。
あまりにこじれてしまっているし、彼もまた言葉が足りない、誤解されやすい人間だということは自覚している。
ここはひとつ、強引に出よう。
彼がアクションを起こすことで、アクシデントを乗り越えられるはず。
だってふたりは、愛し合っているのだから。
つーことで、プロポーズ。
アルガン視点では、長年つきあってきた恋人に結婚を申し込んだだけ。
自分が悪役になっているなんて、知らないから。
や、多少悪だとは思っているけど、それは「俺って強引だな。悪い男だ。フッ」てな程度で、自分のやっていることが金にものを言わせて、泣いて嫌がる娘(恋人アリ)を妻にしようとする成金エロじじいみたいだなんて、わかってないから。
サーカス団千秋楽貸切公演にて、乱入してきたジョルジュの「君を愛してる」、応えるマルキーズの「あなたを愛してる」は、寝耳に水。
サーカス団のメンバー全員引き取るって言ったのに。ただの給料泥棒になるだけだとわかっている使えない団員まで全部、金を捨てるつもりで引き受けると言ったのに。
団員たちはそれを断るし。
そしてマルキーズもまた、自分との婚約を無視して知らない男と盛り上がっているし。
ちょっと待て、なんだこの展開。
俺、なに?
俺、悪役?
俺、空気読めない奴?
俺、いい面の皮?
いやあ、アルセストが飛び出してきたときのアルガン様がステキです。
アルガンにとってはジョルジュだって十分知らない人。何度かサーカスで会ったというかすれ違ったというか「いたな、そんな奴」程度だっつーに、アルセスト@かなめに至っては「誰?」状態。
人生の一大事、「ちょっと待て、僕との婚約はどーなった?!」と恋人に問いただしている肝心要なときに、いきなりまったく知らない男が飛び出してきて「君を愛してるっっ。許してくれ、ボクは臆病だったっっ」とかなんとか、いきなり別世界。
でもってこれまたまったく知らない女が「ゆるしてあげるっ、だってあなたを愛してるっっ」で、ちからいっぱいラヴシーン・クライマックス。
あの、俺の物語……俺が主役の……?
目の前で突然怒濤の展開を見せる、ひとさまの物語についてゆけず、ぼーぜんと立ちつくすアルガン様が傑作です。
すごすごと舞台奥へ退場していくアルガン様は、そこではじめて知るのだと思う。ここに、自分の「居場所」がないことに。
彼の中の「物語」では、サーカス団の「時」は止まっていたのだと思う。
彼がいた頃……彼が「このままじゃダメだ」と見捨てた頃のまま。
シャルル@ひろみは頼りない若手のままだし、アルガンがいなくてはどーしよーもないのんきものたちの集まり、「仲間」だった頃のアルガンが見ていたままの世界。
だから彼は知らなかった。
シャルルが成長していることも、仲間たちが彼をもう仲間だと思っていないことも、マルキーズが本当に彼に反発し、嫌がっていることも。
ジョルジュという知らない男がサーカス団に受け入れられ、「仲間」として輪の中で笑い、マルキーズに愛されていることにも。
なにも、気付かなかった。
気付けなかった。
彼は、自分が見たいモノしか、見なかったから。
マルキーズが他の男と婚約したとか、自分が振られたとか。
それもたしかにヘヴィな事実で、彼を打ちのめしただろうけれど。
それだけじゃなくて。
アルガンに突きつけられたのは、「現実」。
彼が彼であるがゆえに「見なかった」ものたち。
彼の狭量さ。彼の愚かさ。
だから。
アルガンは、歌うんだ。
なにもかも受け入れて。
や、だって、振られても仕方ないじゃん? 自分が狭量だったせいなんだから。
事実はずっとそこにあったのに、見なかったのは自分の愚かさ。都合良く解釈していた自分勝手さ。
横から強引に恋人を奪われたなら、いくらマルキーズがその男を愛していたとしたって、許したりしない。自分の方がマルキーズを愛している、しあわせにできると信じられるなら、正面から闘うだろう。
自分の足りなさ、至らなさを見せつけられたから。痛感したから。
歌うしかない。肯定し、祝福するしかない。
そうやって、前へ進むしかない。
アルガンは、いろいろと不器用なだけの「イイ奴」だから。悪人でも理不尽でもない、等身大の青年だから。
強引でも俺様でも、心に曇りのない人間だから。
わたしはどっぷり三角関係が好きなので、主人公と恋敵の関係は濃ければ濃い方が好きだ。
相手に対し深い感情を持っている方が、ひとりの女をめぐる関係がおもしろいものになるからだ。
てゆーか主人公を中心に物語を描くのだから、2番手演じる恋敵は主人公に深く関係し、見せ場をいっぱい描くべきだと思っている。
だからキムシンの前作『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』では、「2番手演じる恋敵」を主人公が存在すら認識していないのが不満だった。恋敵もまた、主人公のことを大して重要視してなかったしな。不満不満。
でも。
『君愛』に関しては、未認識が萌え(笑)。
それぞれの人生、それぞれの視点。
アリでしょ、こーゆーの。
あー、アルガン様、好きだなー。
すげーいいキャラだ。
レイチェル@圭子女史がんばれー(笑)。
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