書く順番や日付がめちゃくちゃですが。

 ちゃきちゃんはいったいどうしてしまったの?!

2009/10/29

星組 東京特別公演 休演者のお知らせ


星組 東京特別公演 日本青年館『コインブラ物語』の休演者をお知らせいたします。

 星組 水瀬千秋

■代役 イザベラ役 ・・・夢妃杏瑠

※体調不良の為、全日程(2009年10月30日~11月5日)休演いたします。

 なんかもお、わけわかんないっす。
 才能ある子なのに。努力して難関突破して入った劇団だろうに、こんなラストはつらすぎる。
 DC休演もびっくりだったが、きっと有終の美を飾るために万全を期しているのだと信じていた。願っていた。

 もう、ヅカの舞台でちゃきを見ることはないってこと?

 なんてこったい……。

 『コインブラ物語』初日、イザベラ@ちゃきは華やかに歌い踊ってました。

 退団発表は残念だけれど、最後の舞台できっと燃焼してくれる、きっと2番手娘役なのだろうし、と思っていたので、実際舞台を見て首を傾げた。
 あれえ? 役的には2番手娘役はお姫様だけど、お姫様はちゃきちゃんじゃない……。なんで?? ちゃき、役は?

 イザベラは早い話がいなくてもいい役で、まあそれを言うとほとんどの人がそうなんだけど、それにしてもコレだけなのか、と肩を落とした。いやその、いい役だよ、このどーしよーもない話の中で、歌とダンスがあって1場面ヒロインのよーに真ん中に立てるんだから。
 ただの脇役、ただのモブなんだけど、それでもダーリン@ともみんがいて、キャラクタとその背景を役者も観客も想像できるのはありがたい。

 愛だよね、愛。
 ちゃきの最後の役が、愛のある役でよかった。

 
 真ん中で歌うイザベラは、義賊役のペニーたちがそうであるように、本筋と無関係なのにいきなり1場面ミュージカルする。
 本筋をストップさせて大騒ぎ。

 で、この本筋と関係ない、主要人物でない人たちの場面が本筋より遙かに派手で盛り上がる……という、『コインブラ物語』ってのはほんとどーしよーもない作品。
 も、本筋やるのやめたら? と言いたくなる(笑)。

 脚本を書いた人が「物語」としての基礎をまったくわかっていないんだと思う。「物語」ってさ、方程式とか数字的なルールがあるんだよ? それに則って書かないと成り立たない部分っていうのはあるんだよ? それがナニか理解してもいない、できない人は、そもそも作劇に向いてないからやめておいた方が恥をかかなくて済むよ?
 素人が書いた設計図を元に家を建てろと言われた酒井せんせは気の毒だが、酒井せんせも物語を構築する能力のない人だ。ショーは作れるけど、ストーリーを作り進めまとめることは最初から出来ない。
 こんなふたりが組んで作ったもんだから、そりゃーもーステキにめちゃくちゃ。
 とりあえずショー作家の酒井せんせが自分のスキルで出来る、「ストーリー以外の部分」は楽しく作ってあるんだけど……なにしろ「ストーリー以外」で「本筋と関係ナシ」だから、そこが楽しかったり盛り上がったりすると余計『コインブラ物語』自体が「いらない」ものになるという。
 とまあ、建てられた家はボロボロなのに、なまじ権力者たちの遊び場だから、家具や装飾品はやたら豪華絢爛。
 キャストも豪華で、衣装も豪華。
 
 トドを求道者だと思うのは今にはじまったことじゃないが、トップスターになって以降、彼は劇団の意向に諾々と従うようになった。やんちゃはしない、わがままは言わない。与えられた仕事を黙々とこなす。
 どんなひどい作品のひどい役でも、全霊を挙げて演じる。
 ……ただそれはファンや観客に向けて、開かれた演技をするのではなく、自分の中に向かって極めていく職人のようだ。己れの道を極めることにこだわる求道者のよう。
 そーやって『花供養』他、権力者たちの遊びにつきあって、「主演」と持ち上げられてきた。
 トドの立ち位置がどうかは置くとして、役者として男役として、極みの域に入った人だと思う。
 どんだけ理にかなわない内容でも展開でも、感情をつなげて爆発させて、無理矢理演じきってしまう。
 あの「大仰芝居」はすごいスキルだと思うよ、トド様。公平氏や植爺他、ご高齢の方々にわかりやすく響くタイプの芝居なんだろうな。

 ただわたしは、トド様はそれだけの人ではないと思っているので、いっつもいっつも同じよーな扱いと同じよーな芝居色を求められていることが残念だ。
 トド様自身が「いつもの役」「いつもの扱い」しか求めていないとしても、やらせれば出来るんだから、他のこともやらせてみればいいのに。そんだけの能力がある人なのに。やれと言われれば諾々とやりますよあの人。
 もったいないわー。きりきり。←歯ぎしりの音。

 
 んでもうひとり。
 今回、がたがたの家を支え、装飾するために連れてこられた人、すずみん。

 楽しいのも盛り上がるのも、本筋以外のショー場面だから、本筋に出演しているビメンタ@すずみんは辛抱役。
 本筋に出演、ったって、その本筋も3行あったら片が付くよーなすっかすかぶり(作者がもとのあらすじをふくらませていない)なので、ただきれーな衣装を着て立っているだけのよーな役。
 
 政略結婚させられたお姫様を愛し抜く親衛隊長役なわけだが、これがもお、いろんな意味で大変で。

 ないに等しいストーリーの、ないに等しいキャラクタで、ただきれいなお衣装だけ与えられて、作品を華やかに波瀾万丈に盛り上げなければならない。
 や、ストーリー作ってないのは作者じゃん! キャラクタ作ってないのも作者じゃん! なのに豪華な着せ替えだけさせて、役者に「あとはヨロシク」ってナニゴト?!

 こんな状況ですずみんが、ストイックに戦ってます(笑)。

 お姫様を愛している臣下の男……だから、いかにも王子様になってしまってはまずい。抑えなければならない部分もあり、基本スキル「王子様」なすずみんも手こずってます。
 また相手役のお姫様が華やかに美しい人ならすずみんももう少しやりやすかったと思うけど、ええっとその、相手はかなり下級生だし、いろんな足りない部分をすずみんが補ってやらなければならないんだよね。

 これだけ苦戦している涼さんっていうのも、なかなか味がありますな(笑)。プルキル@『太王四神記 Ver.II』とはまた別の手こずり方。
 プルキルは役に対してすずみんが足りてなかったけれど、今回は役不足すぎて抑えるのが大変、抑えながらも作品は支えなきゃって、「どっちやねん!」などーしよーもなさ……。

 ベニーやともみん、ちゃきはある意味良かったのかもしれないよ。
 本筋に関係ある役の人たちはみんな、大変なことになっていたから。作者が作劇をわかっていないもんだから。
 役のナイ人たちの、ストーリー以外の場面こそが、『コインブラ物語』の醍醐味だから。
 まりもちゃんは真ん中向きなのかもな、と、はじめて思った。

 『コインブラ物語』を観て。

 ご、ごめん、はじめてだ。
 わたし的にまりもちゃんは、路線娘役だということはわかっているけれど現時点でまだ未知っちゃーか「これから」の子で、今すぐどうこうという子じゃなかった。
 ふたつのWSヒロインも『Kean』ヒロインも新公も、全部ナマで観てきているし、毎回ふつーにうまいと思っていたけれど。(あ、最後の『太王四神記 Ver.II』新公だけ観てないや)
 うまい、及第点である、ということと、「今すぐトップOK」とか「この子を真ん中にしないでどうするの」と思うこととは、まったく別で。
 わたしが「トップ娘役」に求めるものを、まりもちゃんはまだ満たしておらず、それは「若いから」「下級生だから」ってことで、「トップ候補生」としては目に入っていなかった。

 今のわたしがトップ娘役とその候補に求めているモノは、「ガーリッシュな輝き」なんだなあ、と、改めて思った。
 
 わたしは、「女の子」が好きなんだと思う。
 「女の子」というイキモノが持つ、顕著な部分。
 かわいくてキラキラしていて自己愛と狭い視野から生じる小悪魔的な部分があって。オシャレがダイスキで自分を飾ることに何時間でも費やせて。
 与謝野晶子の歌にある「おごりの春」というフレーズが似合う、今まさに美しい、とびきりガーリーな存在を、愛おしく思う。

 そこに、「タカラヅカ」的清く正しく美しくのスピリッツをブレンドした感じが、わたし好みの「路線娘役」なんだと思う。
 たとえばそれは、この公演で退団してしまうちゃきちゃんとか、『ラスト プレイ』で好みど真ん中な女の子を演じている蘭はなちゃんだとか。
 今、星組娘役トップとして花開いているねねちゃんだとか。
 ああ、女の子っていいな、かわいいな、と思う「やわらかさ」「華奢さ」に萌えるらしい。
 きれいに巻いた長い髪、小さな頭の上にマボロシのティアラが載っているよーな、「プリンセスちゃん」な女の子が好きだ(笑)。

 好みは変動するモノなので、あくまでもわたしの現在の萌えだけど。

 今のわたし的に、まりもちゃんは「トップ娘役」という狭い範囲のタイプに合う人ではなかった。

 うまいことはわかっているけれど、わたしが彼女から感じるのはうまさより美しさより「骨太さ」で。
 ずっしりどっしり本物系っていうか。
 それは骨格とか背が高いとか太っているとかいう話ではなくて。

 芸風的に、どうにも「重く、太い」と感じていた。

 わたしがタカラヅカ娘役に求める「きらきら」「華奢」な感じがしなかったの。あくまでも、芸風に。
 若手のバウや新公だと、まりもちゃんの「実力」……骨太さは頼りない主演少年を支える「力」となる。だから諸手をあげて歓迎したけれど、ヒロインではない、準ヒロとして出演したときはそれらが裏目に出る。
 『ハレルヤ』や『ブエノス』での準ヒロイン位置の女性を演じているのを見て、安定した巧さに感心すると同時に、その重さ……軽やかさのない堅実な芸風、きらきらよりは輝度の低い渋い色が強く印象に残った。
 実力があるから、重要な役で出てくれるとうれしい。でも、骨太すぎて場に沈むなあ。というのが、わたしのまりもちゃん感。
 彼女が登場しても、「キラキラな女の子キターー!」という昂揚感がない。

 実力に破綻がないことはたしかだから、真ん中に立つ人になっても文句はない。月組トップ娘役に決まったことはよろこばしいことだし、実力派のきりやんに相応しい実力派娘役ということで、高品質の舞台を約束されたよーなもんで、一観客としても心からありがたい。
 おめでとう、と思ったことに嘘はない。

 でも、わたし好みの「真ん中」さに欠けていると思っていたのも、たしか。

 それがなんか、覆されたというか、「真ん中アリぢゃね?」と思ったんだ、『コインブラ物語』を観て。

 トド様の相手役、イネスちゃんを演じる姿は、ひたすらいじらしく、かわいらしい。2役の盗賊娘ミネルバも、イネス役との対比でこれまた強くはじけて魅力的だ。
 そういや、『Kean』のときもかわいかったなと思う。
 わたしが路線娘役に求める「ガーリーさ」があったなと。

 脇役とか別格風味のヒロインやらせるから、ダメなんじゃね?
 と、開眼。

 真ん中で、いかにもなヒロインを演じるなら、それも「主演男が頼りないから支えなきゃな姐さん女房ポジ」ではなく、経験豊かな主演男がどーんと構えて、その腕の中で自由に泳がせてもらえる女の子なヒロインなら、ふつーにガーリッシュなヒロインちゃんですよ!!

 むしろそうなると、なまじちゃんとうまいだけに、安心して世界に酔えますよ。

 イネスちゃんきれい~~、かわい~~、健気~~。
 ミランダちゃんキュート~~、キラキラ~~。

 そうか、この優等生委員長が女の子っぽく見えなかったのは、男たちが悪いんだな。
 最近の男たちはもお、なよなよした草食系ばっかでさ。きれいでやさしいのはいいけど、甲斐性がないんだよ。だからこーゆー「強い」女の子はわりくっちゃって、「あねご」になっちゃうんだな。
 いかにもなキラキラした女の子たちの横で、「強い女」「頼れる存在」として、女子カテゴリから外されてるんだわ。

 と、妄想走っちゃうくらい、どーんとキましたね。
 だってだって、まりもちゃんの嫁入り先はきりやさんですよ? 大人の男ですよ、経験豊富ですよ。まりもちゃんのこと余裕で受け止めて、腕の中で自由に泳がせてくれるよねえ?
 彼女の、とびきりかわいらしい「女の子」な顔を、引きだしてくれるよねえ?

 と、未来にドキドキするくらい、トド王子25歳(笑)に愛されるまりも嬢はかわいらしいプリンセスちゃんでした。

 実際、「イネス」という役は「ヒロイン」という要因以外なにもないよーな、どうしようもない役で。
 タカラヅカのヒロインに求められている「美しさ」「清らかさ」「健気さ」とあくまでも外的イメージのみを求められ、そこだけで完結してしまったような役。……作った人が、そーゆー漠然としたイメージだけで脚本書いて終了しちゃってるのがよくわかる、気の毒な役なんだが。
 だからこそ、「タカラヅカ娘役力」をとんでもなく求められ、発揮する必要があった。

 まりもちゃんは見事にこなしていたと思う。
 や、すげえすげえ。

 そして、対するミランダの躍動感。
 こちらは作者云々よりも演出家の色付けかなと思うんだが、はすっぱなんだけれど清潔感のあるかわいらしい女の子を演じていて、ヒロイン力が更に高まった感じ。

 観ていてたのしかった。気持ちよかった。
 ああ、「タカラヅカ」だわ、と思えた。
 ほんときれいになったねえ、まりもちゃん。女の子だねえ。かわいいねえ。
 ともみん、きれいになったなあ……。

 と、しみじみした『コインブラ物語』

 や、昔からきれいなんだろうけど、彼は顔より姿の方がきれいな人認識だったんだ、わたし的に。
 『龍星』のニセモノ(いや、本物)だとか、『ダンディズム!』ポラリスのダンサーとか。顔見えません、でもあのきれいな姿と動きの男は誰? って。
 わたしがともみんに傾いたのは『エル・アルコン』新公でその健康的体育会的個性が楽しかったことと、その本公演『レビュー・オルキス』でいつもの最前列端っこに坐ったときに目線くれまくって構ってくれたことによる。
 それ以前はもちろん知っているけれど興味がないから、とくになんとも思っていない。そんな状態でも、彼の姿の美しさはときおりぽーんと目に飛び込んできた。だから、姿が美しい人認識。顔は……ええっと、とりあえずわたしの好み(オサ様とか水しぇん系)ではない、ということで(笑)。

 ……とゆーことだったわけだけど、最近きれいになったよなあ。

 この恋する水夫長@ともみんがまた、すげーイケメンぶりで。
 体育会系の役とキャラなのはいつもの通りなんだが(笑)、それでも乙女好みの「甘さ」や「きらきら感」がある二枚目なのよ。
 いやあ、最初に登場したとき「誰?!」と2度見しちゃったよ(笑)。

 だってこの水夫長くんは、客席から登場するのよ。かっこいいイケメン様だし、芝居しながら客席通って登場するしで、すげー重要キャラだと思うじゃん!
 うお、このかっこいーにーちゃんともみんかよ、そんなものすごい役だったのか、いかにもな少女マンガ系な姿ででワケ有りに「最後の航海」の話をして、結婚の話をして、どこの死亡フラグ?! なことをいちいち全部台詞で説明するんだもん。
 彼がこれからどう25歳王子@トド様やイネスちゃん@まりもちゃんの恋物語とふたつの国家を揺るがす大陰謀劇に関わるのかしら、そしてどんな劇的な最期をとげるのかしら、「最後の航海を終えたら、愛するカノジョと結婚だ」と言うからには最後の航海で死んでしまうはずだし! わくわくわくっ!!

 …………まさか、わざわざ客席登場させて、結婚だの最後の航海だのといろいろいろいろワケ有り気に語らせて時間使って、ストーリーと無関係な、ただのモブキャラだとは、夢にも思いませんでした。
 いてもいなくても同じ。実際、そのあと存在を忘れるくらい出てこないし。

 作者、どんだけ作劇の基本わかってないんや……。

 まあこのあと、さらにひどい「重要人物フラグ立てまくって登場、ただのモブキャラ」として、盗賊たち@ベニーその他いっぱいが登場するので、ともみんだけがひどいことになっているわけじゃない、作者がアホなだけとわかるんだけど、ともみんは最初だったからなー(笑)。

 悪いのはもちろん作者だけど、ここまで「ただのモブキャラを重要キャラだと誤解させた」要因のひとつに、ともみんがキレイってのは、あったと思う。
 そのあとの盗賊@ベニーが「ただのモブキャラを重要キャラだと誤解させた」要因のひとつと同様に。

 無駄に豪華に美形ばかりを取りそろえている『コインブラ物語』、冒頭の王宮パーティで、やっぱりちょろりと目立つ場面をもらっているみやるりが、その美貌ゆえに目に残り過ぎて「みやるり、貴族の役? どんな役割のあるキャラなの?」とわくわくしてしまったり。(答え・もちろん、ただのモブ)

 いやあ、罪が深いですなあ、星組美形軍団(笑)。
 
 で、ストーリーに無関係な人ばかりわいわい出まくるわけわかんない話の中、めずらしくストーリーに関係のある役、ロドリゲス@真風くん。

 とりあえず、かっこいいです。

 黒尽くめの悪役。歌わない踊らない、無表情に説明台詞を喋るのみ。
 や、いい感じっす。やることが少ないと、真風くんの美貌のみが際立って、すげーカッコイイっす。
 歌ったり踊ったり演技いろいろしたりすると、途端ヘタレるんだけどね(笑)。本編ではマジいい感じっす。やっぱ彼の顔、好きだ……。だからこそがんばって、もっといい表情を作って欲しいなあ。

 あと、脇役だけど王子の小姓@マイケル。すげーかわいい。
 もう子役は勘弁してやれよ、と思いつつも、こーゆーかわいい少年役をやるとオイシイ子だよなあ。
 されど2幕でどさくさまぎれの尼僧をやっていたとき、しっかりオカマで気持ち悪かった(笑)ので、子役だ少年役者だといっても、ちゃんと男役なんだと安心したり。

 なんかひたすら、登場人物がキラキラと美しすぎて。

 ストーリーほとんどナシで作劇間違いまくりのどーしよーもない公演なんだけど、ほんとキャスティングはいいんだよなあ。

 25歳という年齢はさておき愛に生きるトド様王子に、可憐なヒロインと元気な盗賊娘をまりもちゃん。キラキラお貴族サマすずみんに、ワケ有り盗賊ベニー、「年下の彼氏」みやるり、誠実な体育会系水夫ともみん、はしこいかわいい少年マイケル。
 それぞれが得意分野を活かし「アテ書きだよね? こーゆー**が見たかった!」を正しく見せてくれている。

 キャストとキャスティングは良く、衣装は豪華で音楽も耳に残るキャッチーさ。
 何拍子も揃っているのに、作者がダメすぎるってのが、もお……。「宝塚歌劇団」の問題点をそのまま内外に宣伝しているような、困った公演っぷり。
 自分で作った賞を自分で受賞してるよーなもんだもんな、公平氏のしていることって。ふつーなら恥ずかしくてできねーよ……。

 ともかく、すげーもったいない公演だった。
 役と設定をそのままに、1からストーリーを書き直させてくれ、オレ、いくらでもゴーストライターやるよ! と、懇願したくなるっす。

 伏線張ってそれを回収するの、得意っちゅーか、そーゆーとこに萌えるんだよわたし。ちゃんと水夫長も盗賊とその出生の話も、本筋に絡めて盛り上げて、最後に風呂敷もたたむからさ。代わりに書かせてくれ……!! 心の叫び。

 いやその、ただの素人のタワゴトですが。無責任な1ファン位置からならなんでも言える、つーことで(笑)。

 しかし、もったいない……。

 
 あー、えーと、お姫様@りこちゃんは、えーと、いろいろ足りていなかったんだが、はじめての大役だから仕方ないのかなと。
 なんつーか、「固い」。足りないことはいろいろあっても、それ以上に、せっかく今持っているものすら解き放っていないような印象。
 まさか彼女が準ヒロインだとは思わず観に行ったので、びっくりしたまま終わってしまった。
 や、りこちゃんはお父様とお話ししたことがあったので、勝手に感慨深く眺めている娘さんなのよ。……といっても別に、知り合いでもなんでもないっす。ある新公でたまたま席が隣の人と成り行きでお話ししたら、りこちゃんのお父様だったという。
 それで今回も、よかったねえ、抜擢だねえ、がんばれー、と勝手にオヤゴコロで見てしまったよ……オレ単純だから、ちょっとでもきっかけがあるとそれ以来「あ、あのときの子(はぁと)」ってチェックしちゃうから。
 キラキラ美形揃いのキャストの中、キャリアが不足しているりこちゃんは不利だったと思うが、この経験をもとにさらに美しく華やかになってくれるといいな。
 なにはともあれ10年なわけで。

 星組全ツ『再会』を観て、あちこちなつかしかったっす。

 当時の雪組のスターたちの姿が浮かんできて。

 スティーブ@あかしは違和感なし。もともとコウちゃんは別格向きの人だった。
 マーク@かなめは……違和感バリバリ(笑)。ナニこのイケメン?! とてもじゃないが社会人で近々結婚するふつーの人には見えなかったぞ。タータンは地に足の着いたおっさんで、一回り以上年下の女の子を騙したのか騙されたのかで結婚する、って感じだったけど。てゆーか鳴海先生……ゲフンゲフン。

 この、ジェラール@れおんの親友役ふたりっての、ほんとにしどころのない、どーでもいい役だったよなあ、と。
 改めて思う。

 でもって、タータンとコウちゃんはうまかったなあ、あの滑舌、テンポと会話の応酬、間の取り方……、と。
 改めて思う。

 会話で笑わせるコメディなので、なに言っているのか聴き取れなくてちょっと困った部分も多分にあったぞ、テル&あかしコンビ(笑)。まあ、れおんもだが(笑)。
 しかし、初演と比べて若々しいなぁ……。きらきらしてるなぁ……。

 酔っぱらい@れんた、バイオリン弾き@ミッキーの改めて見るほんとに「出番これだけ?」な脇役ぶりに、将来のトップスター、かしげとコムちゃんがこんな役だったんだよなあ、と感慨深かったり。

 「なつかしい」と、あたたかく、そしてちょっと切ない感じがずーーっとしていました、観劇中。

 
 まあそれはさておき。

 星組『再会』で思うことは、「かわいいっ」の一言に尽きる。

 どこを見ても、誰を見ても、かわいくてかわいくて手足をじたばたさせて黄色い声を上げたくなる。

 かわいいかわいいかわいい~~。

 登場人物全員、というか、キャストがかわいくて仕方がない。

 ジェラール@れおんくんが格好良すぎて可愛すぎてくらくらしているのはデフォルトとして。

 ヒロイン・サンドリーヌ@ねねちゃんがまた、可愛すぎるっ。

 『再会』自体キライな話なんだけど、その「キライ」とは別に、致命的に「作劇失敗しているだろ」と思う部分がある。
 それは、ブスヒロインが、美女に変身する瞬間を描かないことだ。

 今花組で公演中の『EXCITER!!』でもやっているが、イケてない主人公がそのイケてなさゆえにバカにされ、他人の力で思いがけず変身、ファッションを変えるだけで実はこんなにも美形だったんだ!! と、いうカタルシス。
 定番です、ありきたりです、お約束です。

 お約束なんだから、そのお約束をちゃんと描こうよ。
 タカラヅカのヒロインが、瓶底メガネのブスのまま終始するなんて、「タカラヅカはじめて観ます」な地方のおっちゃんおばちゃんだって思ってないよ。あの不細工な女の子は実は美人なんだって、わかって見ている。
 だからこそ、不細工だからとドン引きしている主人公が、美女になったヒロインを見てどきまぎする場面が必要なんだよ。

 ブティックでも美容院でもいいからサンドリーヌを放り込み、無理矢理着替えとメイクをさせて、「どーせこんなことしてもブスはブスだし」と決めつけてぶつぶつ言っているジェラールの前に、カーテン開いて変身後のサンドリーヌ登場、「ええっ、マジっすか、美人じゃんヲイ?!」と驚愕しているところに、「メガネはどこですか、なにも見えません」と中腰で目をすがめてブス時代と同じ動きをさせて観客を笑わせ、一旦がっくりしたジェラールが気を取り直し、「次はコンタクトレンズだっ」と中腰サンドリーヌを連れて出て行く。
 で、今と同じデート場面へつなげればヨシ。サンドリーヌのあのおかしな動きは、メガネが合ってなかったせいで、コンタクトレンズにすればふつーに立ってふつーに喋るんだってこともわかるし。
 『マイ・フェア・レディ』でもあるまいし、淑女特訓したわけでもないのに、喋り方や姿勢が治ってるの変だもん。

 ブス→美人の変身場面は、描くべきだよ。
 つか、このテの話でもっともオイシイ場面なのに、何故描かない?

 理由はわかってる、イシダ的には最後のあの無意味などんでん返しで「サンドリーヌは大金持ちのお嬢様」をやりたいから、同じシチュエーションである「変身」場面を作りたくなかったんだ。
 ラストの無意味な場面はふつーに「再会」場面として流していいから、それより不細工から美女への変身場面をどーんと描いてほしかったよ、初演も今も。
 初演初日、せっかく不細工とおかしな動きで笑いを取りまくったグンちゃんが、次の場面でふつーのきれーなおねーさんになっていて、盛大に、肩すかしを食らったことも思い出した。
 お約束は守ろうよ、イシダせんせ……。

 初演は過去のこととしてあきらめるにしろ、今回の星組公演では、是非是非是非、見たかったっ。

 不細工ねねちゃんが、美女ねねちゃんになってぱーーっと登場するところっ。

 そしてそれに、ぼーっと見とれるれおんっ。

 見たかったよ、そんなかわいいふたり!

 サンドリーヌ@ねねちゃんはもお、ほんとにかわいい女の子で。
 こんな子に煙草片手に不倫話されたら、そりゃジェラール@れおんもショックで顔がこわばるわ。

 でもって、ジェラールを騙したあと、お気楽マーク@かなめくんと話ながら泣き出してしまうところ、そのとぼとぼとした背中……この子かわいいっ、つか、ぎゅーってしたい、ぎゅーって!!(落ち着け)
 もー、後ろから「大丈夫だよ、泣かないで」って抱きしめてあげたくなるっす! ハァハァ。

 そしてさらに、最後の「嘘つき合戦」。
 嘘を嘘とわかったうえで、わざと悪ぶって言っているのに、それでもだんだん哀しくなって、マジ泣きしてしまうサンドリーヌ。
 そのいじらしさ、切なさ…………この子かわいいっ、つか、ぎゅーってしたい、ぎゅーって!!(落ち着け)

 も、ねねちゃん可愛すぎ。
 血管切れるかと思ったわ……(笑)。
 そーいや『大坂侍』でも、可愛すぎて取り乱したな、あたし……。

 
 で、他のキャラも可愛いんだよー。たまらないんだよー。
 つーことで、「かわいい」話、翌日欄へ続く。
 感想を言うならば、「かわいい」の一言に尽きる、星組全ツ『再会』

 マーク@かなめくんが無意味にきらきらかわいいんだが、彼をさらにかわいく感じさせ、身悶えさてくれるのが、ポーレット@コロちゃんとのカップリング。

 テル×コロってなんだソレ。
 や、ノーマークだった、そんな萌え。

 すっとしたイマドキなイケメンかなめくんが、あのちっちゃくてまるっこいコロちゃんといちゃいちゃラヴラヴしてるのが、手足じたばたさせたいくらい、可愛いんですが。
 またポーレットってのが、舌たっらずに語尾を上げて喋るおバカ美少女キャラ。うおお、コロちゃんのおバカ美少女ってソレなんのプレイよ? 可愛すぎる。

 他に美少女が出演しているのに、わざわざコロちゃんがこの役をやっているのが、イシダの好みというか、このテの役のイメージなんだろうなあと思う。
 ほら、ポーレット@雪組再演『再会』、ヒトミ@『猛き黄金の国』とあいようこお姉様が演じたように、語尾上げて喋るアタマゆるいけど善良な現代っ子が、きっとイシダ的に丸顔キャラなんだと思う。(しかも本来の持ち味は別格マダム系の娘役……なのに何故かロリ娘を演じさせるイシダの好みって濃いわ)
 
 あいようこお姉様のロリ娘はポーレット役に限らず毎回眩暈がしていたが、コロちゃんはまだまだロリータも大丈夫だ! たとえバウとかで迫力のマダ~ム役を経験していても、星娘らしく力強くて頼もしくても、かわいこちゃん全然OK!
 つか、うまいんだよな。「ポーレット」というイシダ作品にありがちな記号みたいなお約束キャラを、見事に演じている。うおー、かわいい~~!

 
 で。
 女の子ではないが、キモチ的には女の子に萌え萌えなハートでときめいているのが、ピエール@しーらん!

 うおおお、かーわーいーいー!

 このジェラール@れおんの義弟役ピエールっつーのは、しどころのないどーしよーもない役。
 悪役なんだかいいもんなんだかも中途半端。や、いい人なんだけど、作劇上それがわからないように、ぎりぎりのところで描いてあるので難しい。

 いろんな展開に問題はありまくりだが、イシダせんせの「見えているところに嘘はない」作りは、公平だと思う。
 試験に通らなきゃ長男ジェラールは跡継ぎとして認められないよ? 失敗したら、義弟のピエールが漁夫の利を得ちゃうよ? てな流れの中、派手ないぢわる顔の継母@ももさりが、「あなたはなにも心配しなくて良いのよ」とピエールに話しかける場面は、うまいと思う。
 どう見ても、悪妻が悪だくみをしている姿だし、その息子もどちらに転んでもおかしくなさそう。母と同じ善人ぶった悪者かもしれないし、善良でも母に逆らえないマザコンくんかもしれないし。

 真実は、悪妻の悪だくみではなく、あくまでもジェラールのために一芝居打っているゆえに、母が息子に声を掛けているんだけどね。2回目に見たら「そういうことか」と納得できる場面で、観客にも脚本にも嘘がなくて、うまい演出だと思う。
 ええ、ここでのポイントは、継母が「いぢわる顔」であるということ(笑)。善行をしているだけなのに、「たくらんでる!」と観客に思わせること(笑)。初演の五峰ねーさんといい、ももさりといい、なんてイイ仕事っぷりかしら。

 「観客を騙す」部分のグレーさで、書き込みをされていない、困った役……それがピエール。
 この役のおいしさは、「オテル・ド・モンテカルロ♪」と歌い踊りながら、銀橋が渡りがあるということに尽きる。

 や、ソレだけですよ。ソレだけ。
 たったソレだけで、「あの子誰?!」と思わせるのが仕事です。

 初演はトウコだもんよ。
 ええ、見事にやってのけてましたよ、トウコちゃん。一緒にいたのがまひるちゃんだしさー、そりゃーもーキラキラした若手スターっぷりでした。

 トウコの問題は、母と同じくたくらみ顔なので(笑)、間違いなく悪人に見えてしまったことかなー(笑)。
 絶対悪人だと思ったもの、ピエール@トウコ!!

 でも実は良い子だとわかったあと、どっかんとピエール・ブームがキました、わたし的に。
 ピエール@『再会』、わたしの「トウコの役の中で好きなキャラ」ランキング、実はナニ気に高い位置にいます。

 たしか当時、ジェラール×ピエールでSS書いた、よーな記憶がある……。兄弟BL……でも血はつながってないからセーフ、とか言いながら……ゲフンゲフン。

 まあトウコ萌えの話はともかく(笑)、ピエールっつーのは重要キャラなんです、わたしにとって。

 キャスティングを理解しないまま観ているので、音楽が変わって、「オ・オ・オ・オテル~~♪」と歌いながらしーらんが現れたのを見て、ぎゃふんなキモチでした。

 しーらんかよ、この役!!

 いやあ、テンション上がった。

 かーわーいーいー。

 銀橋がないから、唯一のお得場面すら何割か減なのに、それでもしーらんが真っ向勝負でアイドルしてる!!

 かわいこちゃん勝負。
 役としての台詞も見せ場もないから、ショーシーンでそのビジュアルと華で押す。つか、勝つっ!!という、気合い!(笑)

 いいよいいよ、しーらんいいよーっ! 自分の武器を理解した上で、正面勝負を挑むファイターは大好きだ。
 スーツ物だから地味になりがちな画面を、制服コスプレで盛り上げるわけだ、役割わかってるね、潔いね!

 かわいこちゃんな弟。
 優等生で大人受けの良い子ども。
 だけど「実は悪役?」と思わせたりもする、あまりにも翳りのない光りっぷり。

 うまいなー。かわいいなー。

 しーらんが出てくるだけでわくわくするわ。あああかわいいー。

 で、まひるポジションにいるのがせあらだしさー。眼福~~、かわいいー。

 
 美形がやることに意義がある、酔っぱらいとバイオリン弾きの、れんたとミッキー。どっちも鼻息荒くてステキ。つか、れんたはどんどんアゴが尖ってきてる気がする……?
 こいつらもすげーかわいいしっ。

 編集長@水輝涼はかわいいとはまた別の、不思議な味わいだし。つか、わたしの目に焼き付いているナルセのスタイルとの違いがすげえ(笑)。

 ドイちゃんとコトコトも、「この役がこの人たちなのか」という驚きもありつつ、コンパクトにかわいいし。
 
 いやはや、すばらしいですな、新生星組。
 トップコンビ、2番手を含み、かわいこちゃんだらけだ。
 眺めているだけで、この幸福感。

 
 幕が下りるなり、黙っていられなくて、見知らぬ隣の人と目が合うなり感動の声を上げてしまう、って、滅多にないことが起こった。や、ふつーは心の中で感動していても、声には出しません、ひとり観劇で。
 なのに、声を上げずにいられなかった。
 お隣の人も同じ気持ちだったんだと思う。一緒になって「かっこいー、かわいー」ときゃーきゃー言った。

 こんな気持ちにさせてくれるなんて。
 すげー幸福感をもらったよ。
 感想書くのが遅れて、書く予定のことがどんどん溜まっていっている現状。
 まだローレンス@もりえくんの感想を、現時点で書けていないんだけど。

2009/10/27

月組 宝塚大劇場公演 休演者のお知らせ

月組 宝塚大劇場公演『ラスト プレイ』『Heat on Beat!(ヒート オン ビート)』の休演者をお知らせいたします。

 月組 青樹 泉

●代役 ローレンス 役 …鳳月 杏

※体調不良の為、10月27日(火)13時公演より休演いたします。
なお、復帰時期につきましては、現在のところ未定となっております。


 なんてこったい。どーしたこったい。
 ラインアップ発表と新公と同時になってしまって、どこに書いたらいいかわかんないので、前日欄だが挿入しておく。

 同日ムラに行っても、一般人にはなんの情報もない。もりえくんが休演で、新公の子が急遽代役やったらしいよ? ……そんなことしか、わからない。

 それでも幕は上がり、ショーは進む。
 本公演はどうだったんだろう。
 新公はふつーに、ナニゴトもなく上演された。

 ゆっくりの療養と、早い回復を祈る。
 矛盾していても、毎回そう思う。

 幕は上がり、ショーは進む。
 だけどひとりひとりが、たしかにその瞬間、そこにいなければならない人なんだ。

 
「もりえ、ヒゲ希望」
 とか、他愛なく願望を語って待っているよ。
(ふつーのもりえくんはもとより、ヒゲのもりえがどんだけカッコイイかとか、好みだとかを、ことあるごとに語るヒトたちがいるのだ、昨日もまた仲間たちとしょーこりもなく語っていたのだ)

 や、ここに書いても誰に伝わるわけでもないが、「待っている」人がひとりでも多くいることを、エールを送る人がひとりでも多くいることを、とにかく声を上げておく。

 
 ……早く『ラスト プレイ』感想書ききろう。(予定では、新公までに書くつもりだったんだ……)
 キムシン新作キターー!!

2009/10/27
花組
■主演…(花組)真飛 聖、桜乃 彩音

◆宝塚大劇場:2010年3月12日(金)~4月12日(月)
<一般前売:2010年2月6日(土)>
◆東京宝塚劇場:2010年4月30日(金)~5月30日(日)
<一般前売:2010年3月28日(日)>

ミュージカル
『虞美人』
-新たなる伝説-
~長与善郎作「項羽と劉邦」より~
脚本・演出/木村信司

中国の最も優れた史書と言われる「史記」の中で、秦の始皇帝死後の覇権を争った項羽と劉邦の戦いを軸に、項羽と虞美人との悲恋を描いたドラマティックな物語は、いつの時代も多くの人に愛されてきました。宝塚歌劇では白井鐡造の作・演出による「虞美人」が1951年に上演されるや大好評を博し、初のロングラン公演が行われました。今回は、原作である長与善郎作、戯曲「項羽と劉邦」から新しく構成し直し、また音楽・装置・衣装を刷新した、一本立て大作ミュージカルとなります。より現代的にアレンジした、新しい『虞美人』を壮大なスケールでお送りします。


 キムシン好きなので、彼の新作は単純にうれしいです。

 それが贔屓組で1本モノというのが、ちょっと残念な部分はあるが……(笑)。
 ふつーにショー付きだったら、贔屓組で万々歳なんですがね。どの作家登板だろーと、贔屓組は2本立てがいい、つーだけのことで。

 だって原作が『項羽と劉邦』でしょ? や、読んだことないんですけどね、中国モノ苦手で。
 でも、野郎ふたりがタイトルになっている歴史物なら、主役とその恋バナだけでなく、もうひとりの男も比重高いと思っていいでしょ?
 で、キムシン作品って通常2番手男役がひじょーにオイシイし。

 壮くんがどんなことになるか、それだけでもわくわくしますわー。

 キムシンと壮くんって相性いいのわかってるし、黒トカゲな彩音ちゃんも安心だし。
 まとぶんは……潤ちゃんはいろいろ気の毒だったが、今回は主役だからきっとオイシイはずだし。
 
 不安なのは我が贔屓ですよ……。
 キムシン、まっつのこと知ってるかなあ。「その他大勢」としか認識してないかもな……(笑)。
 装飾過多なハッタリ衣装、似合わないだろうなあ……ちっちゃいから……とかなんとか、悪く考え出すとキリがないが。
 台詞が3つ以上あるといいな。(前回のキムシン作品で、まっつの台詞は「出たぞトカゲちゃんが」と「ボクとピアノの連弾を」と「黒トカゲ様がいらっしゃいました」と「名探偵の最後だ」……あ、4つだ!!)訂正、4つ以上あるといいな。……うわ、書いててヘコむわ(笑)。

 贔屓を含む、主要人物以外の出番と台詞については、不安もあるが、それでも「作品を楽しむ」という点に置いて、わたしはキムシンと波長が大変合うので実に楽しみだ。
 『王家』も『スサノオ』も『鳳凰伝』も『暁のローマ』も『君愛』もダイスキだー!! 『不滅』はフェイバリットだし、『オグリ』も愛しいぞー。
 ……いちばん好き度が低いのが『黒蜥蜴』だったりするのは残念な事実。明智@オサ様単体は悶えるほどスキだが(笑)。

 
 んで。
 今回のキムシン作品発表で、ひとつ気が付いたことがあるの。
  
『虞美人』-新たなる伝説- ~長与善郎作「項羽と劉邦」より~
脚本・演出/木村信司

 これは半世紀以上前に上演された、白井鐡造せんせーの『虞美人』の再演ではない。
 原作が同じで、同じタイトルで上演されたことがある、というだけ。
 よね?

 再演ならば、

作/白井鐡造 演出/木村信司 

 と表記される。
 最近の再演モノを例にすると、

『大江山花伝』-燃えつきてこそ- ~木原敏江原作「大江山花伝」(小学館文庫)より~
脚本/柴田侑宏 演出/中村 暁

『哀しみのコルドバ』
作・演出/柴田侑宏 演出/中村 暁

 それは柴田せんせが現役だから名前を使っているのよ、という場合を考慮して作者が現在劇団にいないものを例にしても、

『ホフマン物語』-オッフェンバックによる-
脚本/菅沼潤 脚本・演出/谷正純

 再演ならば、絶対に初演の作家の名前が表記される。
 それがないから、キムシンの新作。

 今回は原作が同じだけでなくタイトルをも同じにして、昔の栄光も利用しようという魂胆が見えてるけど、別のサブタイトルが付いているから、ほんとのとこは別タイトル扱いしていいんじゃね?

 大昔にタカラヅカでも上演したことのある題材を、同じ原作を使って別タイトルで別の演出家で上演する、というと最近では、

『紅はこべ』(柴田侑宏)
『スカーレット・ピンパーネル』(小池修一郎)

『シチリアの風』(太田哲則)
『カラマーゾフの兄弟』(斎藤吉正)

 とかあるよねー。

 もっと言えば今回と同じ作家同士で、

『トゥーランドット』(白井鐵造)
『鳳凰伝』(木村信司)

 があるわけだが。

 繰り返すが、今回のキムシン新作は、わざわざ昔と同じタイトルつけてる。
 別タイトルだから別作品ですよ、新しいですよ、とは主張せず、昔作品のファンもあわよくば取り込もうと画策しつつ、じつはよく見るとふつーに新作をやる気らしい。
 『トゥーランドット』と『鳳凰伝』が別物であるくらいには。

 そう。
 これらのことから、ひとつの事柄が導き出されるのだ。

 同じ原作を使って別物を別の作家で上演、て、できるんじゃん。
 昔作品のネームバリューや当時の人気も取り込みつつ、実は別物を。

 つまり、『ベルばら』も……っ!!

 なんか『ベルばら』だけは「植爺が存命の限り、ヘタすりゃその死後も永久に、別の演出家による新作は上演できない」ってファンもあきらめている節があるけど、別に前例はあるんじゃん。
 原作が同じで、別物上演してイイんじゃん!!

 『スカピン』は海外ミュージカルだから別物上演も仕方ないとして、先に上演した演出家が劇団を去れば、新作上演がアリ、ということか?
 白井せんせーはもうこの世になく、太田せんせは劇団を去った。
 何年あとかわかんないけど、植爺が劇団を去ったあとは、原作レイプでない、正しい『ベルばら』が上演される可能性もあるってこと?!

 そのときもきっと、劇団の紹介文には、

 今回は、原作である池田理代子作、劇画「ベルサイユのばら」から新しく構成し直し、また音楽・装置・衣装を刷新した、一本立て大作ミュージカルとなります。より現代的にアレンジした、新しい『ベルサイユのばら』を壮大なスケールでお送りします。

 って書かれるんだわ。刷新……現代的……まったくなあ。
 頼むよ劇団。いつか、いつの日かまともな『ベルばら』を……!!
 本公演初日を観て、そりゃいろいろ思ったけれど、さらに、新人公演、どーする気だよこりゃ? と、思ったよ。

 新公配役で知っていたのは主演がいつものみりおくんであることと、ふつーならヒロインの名前が載るところ、2番手男役の名前が併記されていて、男ふたりって変と思ったことと、さらにその併記されている名前が……誰? だったこと。

 それまである程度の番手の役をやってきた子ならわかる。

 宇月くん、ゆりやくん、煌月くん、千海くんあたり? 前回の『エリザベート』新公で番手のある役だった子たち。

 しかし、みりおくんと共に載っている名前は、おぼえがない。誰? 珠城りょう?

 ……調べればわかった、ジュラ役の子だ。そのかに似ていた、研2の子。オレ、感想で「好みの顔」って書いてるよ……。

 って、研2でいきなり2番手?!

 いやその、同じパターンで星組麻央くんがすでに『太王四神記 Ver.II』で新公2番手やってますが、彼はほら、入団前から騒がれていた芸能人関係者で舞台人としてどうこう以前に知名度があった。ヅカも芸能界だから、知名度のある人を抜擢するのは過去いくらでも例がある。
 しかしこの珠城くんって、特別な知名度はなかったよねえ?

 わたしの周囲に月組ファンがいないから、組内で珠城くんが大人気とか実力者として有名とか、耳に届いてないだけという可能性もあるが。
 とりあえず、わたしと周りの人たちは「誰?」状態だった。

 どんな子なのかいまいちわかっていないから、ただ「研2」というだけで初日にアタマを抱えた。
 この芝居を研2の坊やがやる?? 正塚芝居だよ? 研7の子でも手こずる独特の台詞回しと間、衣装の着こなしと立ち姿が必要な作品だよ?
 しかもムーア@きりやんの役って、大人の役だよ、下級生が少年性でどーにかなる役ぢゃないよ、ヘタしたら主役より大変だよこれ……!!

 てなことで、新人公演『ラスト プレイ』

 …………おどろいた。

 堂々たるおっさんがそこに。

 えーと。
 研2、なんだよね?(首傾げ)

 ふつーに体格のイイ、大人の男がいました。
 ふつーにおっさん。ふつーにうまい。

 ふつー? ふつーって? 研2だろ? 舞台経験ほとんどナイよね??

 研7の主演みりおくんより、ふつーにおっさんでしたがナニか?

 つか、この話って、ムーア主役だったんだ??

 新公で本役さんたちのすごさを知るのはめずらしいことではないが。
 この脚本と演出で、本公演にて主役として存在しているあさこちゃんの凄さを思い知りました。
 だってふつーに演じてたら、主役はムーアだわコレ。

 ムーアが物語を動かし、ムーアの感情が高ぶったときが歌になり、クライマックスになる。
 アリステア、ナニもしなさすぎ。

 
 新人公演は、ある意味本公演よりまとまっていた。
 本公演の散漫でどーしよーもない感じ、ひとえに「脚本ひでぇ」の部分が、アリステア@みりおくんのブレのなさで補われていた。

 アリステアは、まっすぐに「少年」だった。

 少年が人生最初の試練につまずき、進路を変える。だけどやっぱり本来の道へ、障害を克服して試練を乗り越えて進んでいく、という正しい「少年成長物語」。

 まだ少年だから女の子とどうこうなくても変じゃないし、大人たちの間でゆらゆらしていても変じゃない。
 モラトリアム真っ直中で、なにをするでもなくうだうだしたり、反応がやたら素直で純粋でも納得。銃とダイナマイトの間に割って入ったりと、突然暴走するのもアリ。

 ムーアがアリステアを拾うのも面倒を見るのも、相手がまだ未成年だから仕方ない。こんな子どもを放ってはおけないだろう。

 ドラマでもよくあるよね、主人公は少年の方だけど、それと同時に彼に関わる大人もが主人公になっていること。視聴者の年齢や好みでどちらに感情移入して観てもヨシという。
 まさにソレで、17歳のアリステアの青さや幼さを見守る38歳ムーアを主役として観るのもアリだろう、という感じでしたよ、『ラスト プレイ』新人公演。

 きりやんムーアが恋人のあいちゃんエスメラルダと女関係でこじれている、という話の流れはリアリティなくて感情移入しにくかったが(きりやんムーアは浮気なんてしません)、新公ムーアはおっさん、浮気しちゃったんだ……ダメだよ、そーゆーことしちゃ。と、すんなり思えた(笑)。

 で、男の浮気によって女との間に生じた亀裂が、ふたりが保護者になっている少年の事故をきっかけに修復され、女のために男が命を懸けることでさらに盛り上がり、少年の心の病気も無事に癒え、オールOK、ハッピーエンド。
 キラキラと旅立つ少年を見守る保護司夫婦の図……で、幕。

 少年サイドの多感な思春期物語は少年サイドで展開し、大人の視聴者は大人主役で大人の物語を楽しんでね!

 という話に思えた。
 みりおくん、若い……。でもって珠城くん、おっさん……(笑)。

 ふたりが最初に出会うところ、アリステアの衣装が謎の若者ファッションなこともあり、彼の少年体型がことさら強調されて、すらりと背の高い大人のムーアとの違いが体型や頭身からもわかった。

 珠城くん、ふつーにスーツ着こなしているし、立ち姿もふつーだ。違和感なく、正塚芝居してるし、歌もうまい。
 ここ数作の正塚芝居の新公主演者たちより、なんかすんなり正塚芝居している気が……。

 子どもに見えない、ことが大きいのだと思う。
 若い男役はまず、ぷくぷくした女の子体型ゆえに、スーツを着ても大人の台詞を喋っても、「少年」にはなっても「おっさん」にはならない。
 芝居が出来たとしても、お顔まるまる、お尻まるまる太股むちむちな女の子のままじゃあ「女子校の文化祭」の延長線になってしまう。
 他はさておき顔と姿がすでに少年や子役ではなく、「男役」であることが大きいよな珠城くん。
 声はそのか系というか、それほど低い訓練された男役声ではないもの。

 研2の時点でふつーに「男役」であり、スーツ着て違和感なく芝居して、及第点の歌唱力を持つ。
 これって、すごい。

「なんか、すごい新人が現れたね!!」

 と、観劇後は仲間たちと盛り上がる。
 珠城くんの学年を知らなかった人も「あれで研2? マジ?!」てなもんだし。

 抜擢が納得の実力派の登場だ、すげえなヲイ。あの子好きだわ、次の新公も観る。これからが楽しみ。
 と、にぎわっているにも関わらず。

「大型新人のキラキラ大スターが現れた、と思えないのもまたすごいね(笑)」

 うん。
 みんな珠城くんに感動して、きゃーきゃー言ってるんだけど、その、彼の持ち味っつーのが「キラキラ華やか美貌の若手スター!」ではなく、「渋い大人の男」だったりするもんだから……。

 とりあえず、わたしを含めた脇スキーたちのハートを見事にゲッチュしました、珠城くん。
 とくにケロファン、食いつき良すぎだ(笑)。
 真ん中スキーの人とまだ話していないので、そーゆー人の目にどう映ったかはわかんないけど、ケロとかまっつとかそのかとかを好きな人たちの琴線に触れる男でしたよ、珠城くんムーア。
 や、彼がどういう路線で育つのかはわかんないし、大型新人大スターとして驀進してくれても歓迎っす。だって大人の男だもの! 大人が演じられる新人ってどんだけ貴重か。

 今後が楽しみですわ。 
 鮮烈なデビューを果たし、終演後は彼の話題で持ちきり、「うまい」「おっさん」「好み」とはみんな口々に言うのに、誰も「きれい」「かっこいい」とは言わない珠城くん……。
 顔立ちは個性的だよねえ、かなり。
 おかげで一度おぼえたら最後、どこにいてもわかるけどさ。
 それは舞台人として大きな武器だろう。美貌はこれから磨けばいいんだし。わたしは好きだ、彼(笑)。

 さて、新人公演『ラスト プレイ』、研2の小僧っこがのびのび芝居できたのは、なんといっても芝居の相棒の、主人公役が経験豊かなスターだったから。

 主演・アリステア@みりおくん。
 この脚本ってムーア主役? と思わせるくらいなのに、それでもがっつり「主演」として踏み止まってくれるのは、彼の力。

 しどころのない役で大変だったと思うけど、さすがの安定感。
 なんにもしない、なに考えてるかわかんない役なのに、その清冽な輝きで説得力を持たせた。
 アリステアが前向きになったときの輝きと、愛らしさが半端ナイ。
 ムーア@珠城くんと出会い、彼についていくことになった場面。なんでも自由にしていいんだと自覚した瞬間の、あの輝きっぷりったら。

 ああ、この子好きだ。と、思った。なんの含みもなく、素直に。

 この子好き、この子かわいい。この子の成長を見守りたい、この子の物語を見たい。そう思わせる、素直な愛らしさ。
 そしてラストシーン、トラウマを克服して旅立っていくときの、まっすぐな輝き。
 心から、「よかったね、行っておいで」と手を振れる。

 あさこちゃんはやっぱ退団という悲しさが見ているこちらにもあるが、みりおくんの場合は別れではなく飛翔だと思える。
 彼がこれからさらに羽ばたくのだ、という期待に満ちた終わり方なんだわ。

 少年成長物語はありきたりだけど、ありきたりになるほど多くの人に求められている物語だ。
 心正しい少年が挫折して、苦難の末正しく立ち上がり、正しく未来へ向かって羽ばたいていく……これはもお、みんなが求める、心地よい物語なんだ。
 みりおくんはこの「心地よい物語の、心地よい主人公」を物語や役割が求めるまんまに表現してくれる。

 彼の「正しい光」が心地いい。
 

 みりおくんはこれで最後の新公だよね、89期。
 ……できれば今回は脇に回って、誰かキャリアのない下級生に主演を譲って欲しかった。
 そしてみりおくんは、おじさんとか悪役とか、普段本公演ではできない役をやって、芸幅を更に広げて欲しかった。
 みりおくんに限らず、ひとりっこ政策には疑問を持っているので、新公主演独占は勘弁してくれと思っている。

 あー、ムーア役のみりお、見てみたかったなああ。
 どんだけかっこよかったろう……。て、みりおくんが演じると青年になってしまうのかな? なんにせよ、彼の基本スキルにない役を見てみたかったな、せっかくの新公だから。

 それでも、みりおくんという揺るがない柱があったゆえに、研2の無名の新人を2番手……というか、相手役に抜擢できたのだから、それでいいのか。
 新人を育てるためには、ベテランと組ませる必要があるからなあ。(主役も相棒も新人だったら、ふたりして大変なことに……遠い目)
 
 
 まんちゃんに役がついていることに、個人的にとーーっても注目していたわけですが。
 ヴィクトール@そのかの役だもんなあ。
 ……演技なのか素なのか、よくわかんないあたり、本役を踏襲というか。
 ヴィクトール@まんちゃんは出オチに近い勢いで、出た瞬間から笑いを取ってましたが、……わ、わかんねー。うまいの、彼?
 

 でもってその相方、ジークムント@ゆりやくん。
 なんつーかもー……この子……。

 終始泣きべそかいているよーな芸風はいったい?!

 前回の新公にて、「ゆりやくんは、まっつに似ている」と多方向から言われ、いちいち否定していたわたしですが、なんかもお、否定するのも難しくなってきました。

 新公プログラムではじめて知ったんだけど、ジークムントって「裏社会の男」なんだ!! そんな解説付けられてるんだ! 本役があひくんなんで、そんなこと、夢にも思わなかったけど。

 新公のゆりやくんも、もお……。
 どこが「裏社会の男」なんだ、あの泣き顔ですごんでるヘタレ男!!(笑)

 まっつとは別に似ていないんだけど、得意分野はちがうんだけど、苦手分野というかみょーなとこが似ている……。

 あのヘタレ感が、めちゃくちゃかわいい。

 ちっとも強そうに見えない……どころか完璧に弱そうで、代わりに人が善さそうでまぬけでヘタレな甘い雰囲気のかわいこちゃん。
 このアホかわいいハンサムくんが、アホかわいい動物系のまんちゃんとふたりで終始出オチのダメコントを繰り広げている様は……。

 かわいい。地団駄踏む勢いで、可愛いっ。
 
 や、ふたりともぜんぜんうまくないんだけど……つか、ゆりやくんは『二人の貴公子』よりも『エリザベート』よりもヘタになったんぢゃないかとか……ゲフンゲフン、いやそのきっとコントは苦手なんだね、ヨシモト芸人じゃなくタカラヂェンヌなんだからコント苦手でも無問題、かわいいからもおいいよなキモチ。

 なんてかわいいイキモノなんだこいつら。

 昔のまっつに似ている、かな。
 今のまっつには似てないと思う。ああしかし、かわいい……(笑)。

 ゆりやくんとまんちゃんって同期だよね。
 このふたり、普段どんな会話してるんだろう……あのテンポの合わないコントは、どこをどうしてあんなことに……(笑)。
 や、そのズレっぷりもまた「自爆!」系のコントとして成り立っていたんだけど。
 
 このまま真っ直ぐ成長して下さい。たのしみですほんと(笑)。
 ぼやぼやしていたら、月組公演自体が終わってしまう……。今ごろ、月組新人公演『ラスト プレイ』の感想、続きです。

 
 ヒロイン?ポジションのエスメラルダ@蘭はなちゃん。

 …………エスメラルダの服って、トンデモなかったんだ……!

 や、本役のあいちゃんだと、気にならなかった。つか、気にしてなかった。いかにも高そうな女が着そうな服だな、としか。センスがいいかどうかより、記号として裏社会の美女が着そうな服と。

 それが、新公を見て、服の悪趣味さに、びびった。

 なにあのひどい服! ムーア@珠城くん、女の趣味悪っ。

 蘭はなちゃん自身はとても若く顔立ち自体は幼いんだけど、服装が大人っぽいもので、着こなせないとすごく「カンチガイしたおばさん」風味になるんだと、思い知った。
 演技以前に、着こなし、身のこなしの話。そして、視覚として最初に「うわ、イケてない格好の女」というのが飛び込んでくると、演技以前に「安い女」というイメージに支配されてしまう……わたしは。

 本公演では、夢にも思わなかったよ。こんなにひどい服装だったのか、エスメラルダ。
 というか、アテ書きだからだよな。「あいちゃんなら美しく着こなせる」という前提であの服なんだろう。
 蘭ちゃんがどうこうではなく、「娘役・城咲あい」は達人の域なんだと再確認。

 値段だけは高そうな悪趣味な服を好んで着る女と、そんな女を恋人にしている男。
 男が浮気をしたらしく、女は怒って出て行ってしまった。男の友人が仲裁に入るが、女はひとりできーきーヒステリー。

 ……というストーリーの流れが、ものすごーく説得力あります、新人公演。
 本公演では、そのへんの流れが実感できず、「あのいい女が別れるとか騒ぎ出すって、ナニがあったの?」「あの真っ直ぐな男が浮気ってそんなバカな?!」と首をひねっていたんだがな。
 この安っぽいおばさんと、ふつーにおっさんなふたりなら、ふつーにあり得そうだ……。

 思わぬところで説得力、これでいいのかマサツカ?!

 蘭ちゃんは本公演のポーリーンはすごくキュートだし、ショーでもかわいいから、等身大のかわいこちゃんは十分こなせるんだと思う。
 これからの課題は、セクシー系衣装の着こなしや大人の女の所作を勉強だなー。や、若手路線娘役は、かわいこちゃんさえできればソレでいいのかもしんないけどさ。本公演ではこんな役はまず回ってこないだろうし。

 でも、記憶を失ったアリステア少年@みりおを、ふたりで支えていこうとムーアとエスメラルダが決心するところ、マジで泣けたんですが。
 もー、このふつーのおっさんとおばさんに感情移入しまくりだよー。うんうん、そうだよねえ。男と女って、子どもでもないままごとでもない、ともに生きる男と女って、こーやって人生荒波乗り越えていくんだよねえ。

 誘拐事件のあと、救出されたエスメラルダがでかいムーアに全身で抱きついているのを見て、また泣けた。
 よかったね。おじさん、すげーがんばったんだよ、奥さん助けるために!!
 小僧っこが若気の至りで暴走して大騒ぎして、こわいもの知らずのはねっかえり小娘を助けるんじゃなくて、分別も足枷もある大人の男女がダイナマイト持ち出すまでの騒ぎをやるから、泣けるんだ。

 ……新公なのに(笑)。
 本公演より、不思議な説得力と、感情移入度。なにこの渋い『人間交差点』な感覚。(通じるよね、『人間交差点』。渋く地味な大人の人間模様を描いたコミック。たしかドラマ化もされてたぞ)
 王子様とお姫様ではない、リアルな感じがたまらん。
 

 もうひとりのヒロイン、ヘレナ@愛風ゆめちゃん。
 こちらも研2の抜擢。マサツカ芝居を懸命にこなしていた。ちょっと固い気はするけど、ヘレナってもともとそんな役だしなあ。

 ときどき花組の仙名さんに見えた。
 ……で、そーいや文化祭のダンス場面で、「あ、仙名さんだ……ん、仙名さんより可憐だわ、誰だろう」と思うとそのたび愛風さんだったことを思い出した。
 やっぱ似てるのか? わたしの目がそうなっているのか?

 仙名さんは入団してからどんどん可憐になってきているから、余計愛風さんとまざっちゃうのかなー。や、ふたりが別の組でよかった(笑)。

 研2の珠城くんも愛風ゆめちゃんも、文化祭に続いてマサツカ芝居なんだね。その点はまだ経験値があるだけ良いのかな。
 正塚せんせのあの独特の台詞回しは、ヅカ的大芝居が染みついた人には難しいみたいだし。(ex.やたらクドい演技になりがちだった某星組『愛短』・笑)

 ヘレナはなんだか、とても寂しそうな女の子に見えた。しょぼんとした背中が印象に残る。
 アリステアが少年だし、ヘレナもまた、恵まれない生い立ちのけなげな少女。
 もっと笑顔の多い役で、ゆめちゃんを見てみたいなー。

 
 エスメラルダもヘレナも、正塚の「ヒロイン衣装」を着ていないので、どっちもヒロインではないんだろうな、とエスメラルダの衣装に着目したために今さら考えたよ、新人公演。
 あのピンクのワンピースなー。もしくは、単色のシンプルな肩出しドレス。あ、大劇場ではもっと華美な衣装に意識的に変更されてたっけ? ……まあいいや。

 
 前回の新公でルキーニ、今回はまさかのマヤさんの役だった宇月くん。
 なにしろ役のない正塚芝居、主要数名をのぞいていちばんイイ役はマヤさんの役に決まっているから、専科さんの役だからと残念がることはない。
 実際オイシイ役なんだけど。

 ……新公は、いくつの設定?

 見た目はふつーにナイスガイ。
 ムーアの仲間。つか、ムーアがおっさんなので、見た目だけならムーアより若い。立ち姿も声も青年。
 なのに一人称「儂」、「この年で階段はきつい」などの台詞。

 いくつなんだグラハム?!

 青年なんじゃないの?
 よくわかんない役になってました。

 いっそ脚本変えて青年にしてしまうとか(一人称「私」、「インテリに階段はきつい」とか)、年配の役なら髪に白いものをまぜるとかヒゲを付けるとかすればいいのに。
 正塚芝居のこだわり? 脚本も変えないし、外見をいじることで役を作る言い訳はさせないってか?

 マヤさんの役は通常オイシイのに、どっちつかずのせいであんましオイシクない……。
 若い男の子の外見で、マヤさんの演技のコピーをして同じ滑稽な台詞を言っても、べつにおもしろくないし……この落ち着きの悪さはナニ?
 宇月くんうまい子なのに。マヤさんの役だとワクテカしたのに。

 
 マサツカ芝居って、新公だからといって演出変更禁止だっけ? 本公演アドリブ禁止みたいな感じで?

 たしかにコピーは上達の基本だから、本来の脚本演出通りに与えられた役を演じることは必要だと思うけど、新人にはハードル高いよな。
 新人公演『ラスト プレイ』感想つれづれ。

 当日にもりえくんがまさかの休演、本公演から代役として舞台に立ったローレンス@鳳月杏くんは、安定したおっさんぶりでした。
 よくがんばったねええ、と、彼の代役本公演を見たわけでもナイのに、新公で彼を見てエールを送っちゃったよ。(単純人間)

 前回の新公でも、ふつーに大人に見えたよなあ、と、今回も「少年が無理して演じてます」な感じはしなかった。周囲がみんな若いから違和感なく彼は大人に見える。
 でも、前回よりラインが丸くなっているなーな気がしたが……衣装や髪型のせいだろうか。

 
 でもって、その悪役チームのベレッタ@瑞羽くん。
 いやあ……愉快なことに(笑)。

 瑞羽くんが喋ってるのはじめて見た……って、新公のたびに言っている気もするが、印象的にはそんな感じなんだもん。
 役が役なので、うまいのかヘタなのかわからん(笑)。
 本役さんよりも、さらに「わかりやすく」変な人に仕上げてきた印象。特徴的な美貌でアレをやると愉快さに拍車が掛かる。

 美貌一発勝負で「変な人」としてキャラを売るのは、顔をおぼえてもらうには、良い役だったのではないかと。
 本役さんもそうだけど、一言喋るたびに笑ってもらって良かったね。
 
 
 瑞羽くんといえば海桐くん……て、わたしにとって並列すべき人ってだけなんだが、その海桐くんは、ピアノ屋さんやってました。
 目がきらきらというか、ピアノ屋さんでコメディな役割の人なのにぎらぎらというかしていて、アンバランスで目を引いた(笑)。
 相棒のピアノ屋@沢希くんは素直にコメディを演じ、笑いを取っていましたな。表情好きだわ。

 
 クリストファー@煌月くんはガタイいいなあ。肉厚なカラダは生身の男としてはアリかもしんないけど、タカラヅカとしてはぶ厚すぎる気がする。顔立ちはきれいなのに、まんまるなフェイスに埋まっちゃってるし……痩せてくれたらかっこいいだろうにあ。
 歌は歌えている方なのかな。前回の新公の方が、芝居の中でじっくり歌えたからかうまい気がする。今回のショーシーンのセンターは、大変な分、実りも多かったろう。

 アメフトやってました、みたいなぶ厚いクリスはイケメン度が下がっている分、自然に裏稼業っぽいかな。そのくせ小物感があるのは、やっぱり幼さが出てしまっているからかな。
 ムーア@珠城くんがおっさんだからか、クリスの「弟分」的な部分がより表に出ていたような。

 長身のムーア、横に大きなクリス、痩身のグラハム……って、本公演と逆の体型ばかりよくぞ揃えたなと(笑)。

 
 看護師@りおんちゃんは、なんかすごくきつかったような。
 優秀でクールな看護師なのはわかるけど、それならもう少し顔立ちを華やかにしてみるとかできつさをやわらげ……るわけにはいかないのかな、あのお化粧が演出家指示かもしれないし。
 あんだけ淡々と仕事して、そこにキャラを加えるのは難しいよな。

 悪者チーム紅一点@ちゅーちゃんはたしかにキレイなんだけど、うまい子だとわかっているので安心感もすごーくあるんだけど、なんでだろ、あんまし目立たなかった。
 ほたるちゃんは「ナニあの美女!」とやたら目を惹いたんだが。さほど台詞や動きがあるわけじゃないから、まずは一発見た目勝負なんだ、この役……。

 ポーリーン@琴音さんは、ちょっと大人っぽく見えて、言っている台詞とのギャップが不思議に思えた。ある程度大人の女の子が言うと、計算高さが感じられるんだなと。まあソレはそれでアリかもしんない。

 
 それにしても、役のない公演だ……。
 大半の人たちが「街の男」とか「街の女」。
 医者その2@千海くんとか、役としての出番あれだけじゃなんとも分が悪いというか。この子の芸風としての鼻息の荒さはいい感じなんだが、今回は抑えた役だからつまんないなー(笑)。
 院長先生@美翔くんは相変わらずステキなおっさんぶりで、いい仕事していると感心しきり。こーゆー美形カテゴリのおっさんはいいよなー。

 研1とか、モブですらろくに仕事ナイなー。
 愛希くん、輝月くんもちょろりとしかわからず。初舞台の新人公演、正塚芝居『薔薇に降る雨』の方が長々と踊る場面があったので、見つけやすかった。しかし2回連続役と出番のない正塚芝居って、大変だな月組研1生(笑)。あと、研1では麗奈くんがやたら目に付いた。目立つ顔だな、やっぱ。

 出演者の半分くらいの人が、舞台半ばで出番終了してんじゃね? 「街の男」とかモブの出番が7場でほぼ終了だから。あと場面8つは役名ついてる人しか出番ナシだし、役名あってもろくに台詞も出番もないし。
 正塚作品は大変だなあ……。

 わたしのように下級生ぜんぜんわかんない門外漢からすると、引っかかりがなくて残念だわ。
 印象的な役があると「あの役の子は誰かしら」とまず役から入るからなー。

 でも今回はなんといっても珠城くん!という、大型(笑)新人スターを痛烈に認識できたので実りはありまくりでしたが。
 これからたのしみだなー。

 ケロメイトでまっつメイトの木ノ実さんと「『スカピン』新公がたのしみっ」と盛り上がりましたよ。

1 2

 

日記内を検索