わたしが「ル・サンク」のまっつにきゃーきゃー言ってる間に、来年のカレンダーについて公式発表があったようです。
(1)宝塚スターカレンダー
◎掲載メンバー(計16名) ※下線は今回初登場者
(専科)轟 悠
(花組)真飛 聖・蘭乃はな・壮 一帆
(月組)霧矢大夢・蒼乃夕妃龍 真咲明日海りお
(雪組)音月 桂・早霧せいな
(星組)柚希礼音・夢咲ねね・凰稀かなめ
(宙組)大空祐飛・野々すみ花・蘭寿とむ

(2)宝塚卓上カレンダー
◎掲載メンバー(計25名) ※下線は今回初登場者
(専科)轟 悠
(花組)真飛 聖・壮 一帆・愛音羽麗・未涼亜希・華形ひかる・真野すがた・朝夏まなと
(月組)霧矢大夢・桐生園加・青樹 泉・龍 真咲・明日海りお
(雪組)音月 桂・早霧せいな  
(星組)柚希礼音・涼 紫央・凰稀かなめ・夢乃聖夏・紅 ゆずる
(宙組)大空祐飛・蘭寿とむ・悠未ひろ・北翔海莉・凪七瑠海

(3)宝塚ステージカレンダー
◎掲載メンバー(計26名) ※下線は今回初登場者
(専科)轟 悠
(花組)真飛 聖・蘭乃はな・壮 一帆・愛音羽麗・華形ひかる・真野すがた・朝夏まなと
(月組)霧矢大夢・蒼乃夕妃・青樹 泉・龍 真咲・明日海りお
(雪組)音月 桂・早霧せいな 
(星組)柚希礼音・夢咲ねね・涼 紫央・凰稀かなめ・夢乃聖夏
(宙組)大空祐飛・野々すみ花・蘭寿とむ・悠未ひろ・北翔海莉・凪七瑠海
  
(4)宝塚パーソナルカレンダー(全12種類)
◎発売メンバー ※下線は今回初登場者
(専科)轟 悠
(花組)真飛 聖・壮 一帆
(月組)霧矢大夢・龍 真咲明日海りお
(雪組)音月 桂・早霧せいな
(星組)柚希礼音・凰稀かなめ
(宙組)大空祐飛・蘭寿とむ

公式より抜粋。

 雪組、少なっ。

 すべてにおいて、トップと2番手だけしか「スター」がいないなんて……。
 つか、卓上カレンダーって別格や若手も入る枠だよね? なんで雪組はいないの?

 えー、その昔、「ステージカレンダー」にまっつが入らないことにヘコんだことがありました。
 そのときに、「ステージカレンダー」の掲載基準ってなんだろ? と考えたんですよ。
 「ステージ」だから、やっぱ主演経験者なんだなと、納得に至ったのです。
 まっつ、主演してないもんなあ。
 ワークショップを含め、なんらかの主演を経験したスターのみが掲載される、それが「ステージカレンダー」。だからまっつは載らず、めおくんやみつるくんが載るのだと。枠に限りがあるから、学年順だったりWS1回だけより通常バウ1回を優先したりはするけれど。

 それはまあ、わかりやすい基準なのでアリだなあと思いました。
 劇団がバウ主演をさせる人は、路線スターとして期待している人だろうし、ひとつの公演で座長を務めたスターならば、「ステージカレンダー」に載るに相応しい。
 ので今回、新たにバウ主演をしたかちゃが入っていることは納得だし、すでにWS経験済みでさらに通常バウ主演も果たしたまぁくんとちぎが加わることも、納得だ。「ステージカレンダー」はあくまでも「主演者」という意味だから、どんだけ人気があってもみーちゃんたち宙組88期は入れない……残念だけど。

 と、ここで疑問。

 主演経験者を掲載、ならば何故、雪組にコマがいない?

 花組のみつるがW主演1回きりなのに掲載されていることからして、Wでもバウ主演すればOKなはずだ。そして、前回のまぁくんのように、学年と組の人数的に入りきらなかった場合はあるだろうけれど。雪組、枠ぜんぜん空いてるし。他組とのバランス悪すぎるし。

 とゆーと、「ステージカレンダー」の掲載基準には「新公主演した、バウ主演経験者」の他にもうひとつ、「卓上カレンダー掲載者」ってのが加わるのか?

 いきなり「ステージカレンダー」に登場するなら、「卓上カレンダー」にも同時に登場するはずだ。
 バウ主演するようなスターならば、ふつーはその前から「卓上カレンダー」には載っているもんだし。

 「ステージカレンダー」に掲載されてもおかしくない人でも、「卓上カレンダー」の人数制限に引っかかっちゃったのか?
 んじゃ「卓上カレンダー」の掲載基準はなんだってことなるけど。……こっちはグレー過ぎてわからん(笑)。新公主演してなくても載るし、してても載らない人多数だし。

 まあ、よーするに劇団の意志ってことに尽きるのだけど。
 ゆーひくんやキムくんが、番手にかかわらず掲載されたり「パーソナルカレンダー」が出ていたように、明確な「基準」なんてナイのかもしれない。
 だけど、微妙路線のファン(笑)である以上、そこになにかしらのルールを探したくなるのですよ。
 劇団の気まぐれで載らない、ではなく、こういう理由(まっつで言うなら、「主演していない」)があって(「ステージカレンダー」には)載らない、と。……その理由を作っているのが劇団であり、それゆえに劇団の意志(まっつに主演はさせませんよっと、だって別格だもーん)が見えたとしても。
 ルールがわかることは、安心につながる。
 ファンとしては、そのなかで覚悟を決めて応援できる。

 だから、暗黙の了解に過ぎなくても、劇団には通例を守って欲しいのですよ。
 2番手は次にトップになるとか、組には男役トップと娘役トップがいるとか、大劇場本公演でヒロインを務められるのはそれまでのキャリアや実力のあるスターだとか。
 通例無視の行いは、心をどこに持っていけばいいかわからなくなる。

 ふたりだけしか名前のない、雪組カレンダー掲載者を見て、なんでこんなことになってるのか、さみしく思う。
 まっつが1ページになってる!!

 「ル・サンク」ですよ、公演ごと発売の芝居脚本付き写真集。
 それにまっつが、1ページまるまる使って、ひとりで、載ってる。

 や、びびりました。
 ポイント貯めるために某書店で購入すると決めているため、キャトレではチラ見だけ、パラパラ~~と見本誌をめくって見るだけ……と、思っていたら。

 まっつ1ページ?! んで、その顔?!

 ……わたしがまっつオチを自覚し、「これから花担になる!」と宣言して通った公演、『落陽のパレルモ』『ASIAN WINDS!』の「ル・サンク」には、まっつは、載ってませんでした。
 当時もこのブログで嘆いていたと思うけど。どこに書いたかわからん、記事が膨大すぎて(笑)。
 全体写真とか、「載っていて当然、欠席さえしてなきゃ載ります」なとこにはいたんだっけかな。でもそれ以外のところ、本編には背景に写り込みすらなかった。
 「そんなはずないじゃん(笑)」って、某ゆみこ担の友人には信じてもらえなかった。新公主演済み研8男役が、「ル・サンク」に載っていないなんて、ありえないと。同じ立場の別の人たちはふつーに載っているものだからと。で、実際に「見てみてよ」ってやって「ほんとに載ってない……」と驚いていたっけ。
 まっつの立ち位置ってものがわかってなかったので、驚愕したなあ。そうか、「ル・サンク」に載せてもらえないよーな人なんだ、と。
 で、とーぜん当時は舞台写真も未発売だった。

 未涼亜希、という舞台人の写真は、公式にはどこにも存在しなかったんだ。

(博多座とかオサコンとか、別箱公演の写真はあったよ。新公主演時のものも。でも、本公演では未発売だった。『ASIAN WINDS!』の東宝から発売されるようになったんだ。「ル・サンク」の発売された『ASIAN WINDS!』ムラ公演時は未発売だった)

 そこからはじまったもんだから、どんだけ、まっつの画像に飢えていたか。

 次の『ファントム』で「ル・サンク」に載ったときはうれしかったなああ。
 3人で1ページに載ってたの。いきなり。写り込みもいっぱいあったし。
 ひとつ前の公演との扱いの差に驚いたさ。演出家がチガウと路線以外の露出はここまで差があるのだということを思い知った。(岡田作品だとまっつの立ち位置はすこぶる悪い)

 そーやって時は流れ、写り込む写真も多くなり、個人ショットも2分の1ページにはなっていたけれど。

 1ページになることは、生涯ナイと思っていた。

 つか、考えたこともなかった。
 「ル・サンク」に1ページで載るのって、スターさんだけだし。別格スターとして将来的に該当するかな、なのはしいちゃんやすずみんポジションだろうと思っていたけれど、すずみんポジションですらナイ現状では、そんな未来があるとは夢にも思ってなかった。
 2分の1ページで、素敵に載り続けてくれれば、それで満足。
 さあ、今回はどんな写真かしら、とパラパラやったわけで。

 びびびびびっくりしたっっ。

 「ル・サンク」ですよ? 「歌劇」(A5)や「GRAPH」(変形B5)ぢゃないですよ? A4版雑誌ですよ? 30cm×20cmの誌面まるまる全部使って、余白すらナシで、まっつひとりが載ってるんですよ?

 こんな大きさのまっつ、超レア!!

 でもって、よりによって写真が、アレ(笑)。

 『麗しのサブリナ』の電話口のウィリスさんです。クールに受け答えしているところではなく、おどろきの指示を受け、リアクションしているところ。

 ある意味、まっつの、とてもまっつらしい表情です。

 まっつらしいの。すごーくまっつなの。わたしがハマった当時のまっつはこんな役でこんな顔ばっかしてたわ。
 ものすごくまっつまっつな顔なんだけど、なんせ、はじめての1ページじゃん? 苦節何年、最初(で最後でなけりゃいいが)のドアップじゃん? 組子80人いて1ページ載りできる人はわずか数名、タカラジェンヌ数百人いてわずか20名強なのよ?
 そのものすごーくありがたい、貴重な、はじめての写真が……おすまし顔でもキメ顔でもなく、変顔。
 他の1ページ掲載スター様たちが、それぞれキメ顔なのに。まっつひとり、ヘタレ顔。

 あー。
 すごく、まっつ、だー……。

 とことん、まっつまっつだわー。

 『EXCITER!!』の方はいつもと同じ2分の1ページ。

 こっちは超二枚目、色男。
 つかこの写真欲しいっ。単独で販売してくれ、買う!! 印刷された紙面ではなく、写真として売ってくれ、画面の綺麗さがチガウから!!

 超二枚目色男が2分の1ページで、こまったちゃんな変顔が1ページ……。

 あー。
 すごく、まっつ、だー……。

 とことん、まっつまっつだわー。

 ええ、うれしいです。 

 ありがたいです、阪急コミュニケーションズの中の人ありがとう!!
 

 しかし、今ざーっとここ数年の花組「ル・サンク」(『落陽のパレルモ』だけ買ってない。プンプン!・笑)を見直してみると、みわっちは2006年の『ファントム』からすでに、1ページ載りだったのね。

 花組は、2006年から、2010年まで、丸5年、1ページ掲載される後続スターがいなかったんだよ……。
 組替えでゆみこやえりたんやゆーひくんが出たり入ったり、ついでにトップスターも変わったけれど、「スター」はいつもみわっちまで、それ以下は「その他」としての扱いだったんだねええ。
 丸5年、後続スターが「いない」ことになっていた組って、他にあるかニャ?
 新人公演『麗しのサブリナ』の演出は、あちこちイラッとさせられることが多かった。

 出演者の問題ではなく、演出。

 あのテンポの悪さはナニ?

 特に前半、コメディ場面が軒並み冗長になっていた。
 下級生たちにコメディをやらせるのは難しいから、スベると可哀想だから、時間をたっぷり取ってお笑いをやる時間を与えようっていう、親心?

 すっと流せばいいところを、わざわざ何拍もとって「笑わせる」ための台詞や芝居をさせることに、すごい違和感。

 ふつーにやらせろよー。
 「本公演とはチガウ笑いを」とか、余計なことは考えなくていいから。
 や、少しは考えてもいいけど、前半全部いちいちソレってのは、ウザ過ぎ。

 料理教室、使用人たち、ララビー家もタイソン家も、とにかくみんながみんな、もれなく全員が「笑わせる」ために芝居の流れを止める勢いでナニかやる。
 アドリブではなく、そーゆー演出と脚本に書き換えてある。

 1箇所2箇所なら「新公のお遊び」で楽しめるし、またアドリブならその場の勢いで楽しめることもある。
 が、もともとの演出がソレで、必死にお稽古して披露しているのがわかるだけに、もお。

 本公演も決してテンポがいいとは言えない、盛り上がりに欠けるかったるい芝居だ。
 それをさらにテンポを悪くする、って、演出家はナニ考えてんだ?
 センスがないにも程がある。

 ……ちなみに、新公演出も中村A自身でした……なんて筋の通ったアレっぷり(笑)。

 料理教室のシェフ@アーサーなんか、中村Aのいらん演出がなくても十分愉快に輝けたろうに、テンポが悪くなっているもんだから、やりすぎ感があった。
 生徒たちのキャラが全員本公演と違っているのとかは面白いんだけど、それとテンポの悪さは別。

 なかでも最悪の改編が、デイヴィッド@まゆくんの家族説得場面。

 サブリナ@みりおんとのデートに行くため、タキシードの尻ポケットにシャンパングラスを入れたデイヴィッド。
 彼を家族が説得するわけだが、デイヴィッドは聞く耳持たず。サブリナとのデートに行こうとする。
 それを、ライナス@あきらが引き留めて、わざとソファに坐らせ、グラスを割らせるわけなんだが。

 1回はソファに坐り掛け、でも坐らずに出て行こうとするデイヴィッド。それをライナスが「いいから坐れ」と言い、「わかったよ、味方は兄貴だけだ」とデイヴィッドが坐る。んで、グラスがぱりん!
 ……というのが、本公演の流れ。

 その「用があるから行くよ」「いいから坐れ」を、さらにもう1回やっんたんだ、新公。

 坐り掛けて、思い直して出ていこうとするデイヴィッド、「坐れ」と言うライナス、「坐りたくない気分なんだ」と言うデイヴィッド、さらに「坐れ」と言うライナス……。

 なんのために?

 ここでももちろん、無駄な繰り返しのためにテンポが悪くなっている。同じやりとりを繰り返すことに、意味なんかない。
 演出家は、「笑わせよう」と思ってやっているんだと思う。「志村、後ろ!」じゃないけど、危険がわかっていてそれに気づかないキャラクタを、観客が笑う場面にしているんだよね。

 でも、無邪気な「志村、後ろ!」ではなく、実の兄が弟に大ケガをさせる場面だ。気ままな弟の足止めとおしおきの意味もあるにしろ、23針も縫う大ケガをさせる件を、ギャグとして繰り返すのは、わたしには笑えない。
 さらっとやるからライナスの咄嗟の機転、笑いの範疇なわけで、何度も何度も確信的にケガをさせるよう導くのは、悪意を感じて気持ちが悪い。

 いや、「用があるから」「いいから坐れ」を何回繰り返してもいい。
 「坐りたくない気分なんだ」と言わせるのがわからない。

 坐りたくない、とデイヴィッドが言うことによって、彼がお尻にグラスを入れていることを思い出した? と、わたしには見えた。
 そんなはずはない、だってお尻にケガをしないと話が進まないんだ。そう思っていてなお、一旦坐り掛けて腰を上げ、さらに「坐りたくない」と言葉にして意思表示するってのは、よほどの坐れない事情があるのかと思う。
 サブリナとのデートはナイショだから、グラスを2つ隠し持っていることは家族に知られたくない。だからグラスを取り出すことは出来ないし、かといってお尻に入れたまま坐ったら大惨事になる。だから、坐れない、坐りたくない。
 そーゆー事情かと。

 それを、ライナスが3度坐るように命令する。「味方は兄貴だけだ」……パワーハラスメントによって。
 坐ったら大惨事、大ケガする……命令する方もされる方も、それがわかっていて、する。

「カウリ剣の儀式を要請します」
「疑わしき者の心臓に剣を突き刺し、生き延びれば無罪となる!」
「神の裁きを!!」

「尻ポケットにグラスなんか入れてないんだろう? それなら椅子に坐れ、できるはずだ」
「何度も坐れと命令するのは、尻ポケットにグラスを入れていることを知っているんだ。それでも、無実を示したかったら、椅子に坐れと……大ケガをすることで、彼女への愛を示せという命令? いや、自分の事業を台無しにするボクへの復讐? 兄はそこまでボクを憎んでいるのか……!!」
「神の裁きを!!」

 てなことかと思いました。

 殺すことが目的で行われるカウリ剣の儀式、大ケガさせることが目的で行われるグラスを入れたままの着席。

 なんて残酷な。

 まあそれはうがちすぎ、考えすぎだとしても。

 坐ったら大変なことになるのに、何度も坐りそうになって、その都度セーフなデイヴィッド、で笑わそうとする……って、そのセンスのなさにドン引きした。

 それで笑わせていいのは、「このままじゃケガをしちゃうから、助けるために周囲があたふたする」という繰り返しのみだ。
 助けよう、教えようとしているのに、おバカなデイヴィッドが何度も坐りそうになる、ああ~~坐っちゃダメだデイヴィッド!! よかった間一髪セーフ、てなこと言ってる間にまたピンチ、ダメだってば~~!!
 ならいいけど、今回はその反対。
 デイヴィッドにケガをさせるために、何度も何度も繰り返させる。「危ない!」じゃなくて、「惜しい、もうちょっとで大ケガだったのに!(舌打ち)」って、なんなの、このダークな心理。これをギャグだと思っている演出家にドン引き。

 終始この調子で、改悪されてました、新公の演出。
 笑いを取るために、大切なモノを捨ててしまった模様。
 シリアス場面は変わってないのでいいんだけど、コメディ場面、楽しい場面が悲しいことに……。
 笑いっていちばんセンスや人間性が出るよね。
 そんでもってアーサー。
 毎度思うことだが、彼は、センターで歌い踊るときの輝きが半端ナイ。

 新人公演『麗しのサブリナ』にて。

 公演がはじまる前はストーリーテラーという役自体に期待したんだが、ストーリーテラーをするのは最初だけで、あとはモブにまざってしまうので、アーサー的には残念。
 彼の得意とする、センターを取るミュージカル場面が1箇所だけなんだもの。

 唯一のセンター、料理教室場面では本領発揮、がなりを入れた余裕の歌声。

 でもモブに混ざってしまうと、やっぱりモブになってしまう。
 もともとストーリーテラーがそういう役だというのを差し引いても、あれ?という感じ。

 モブ生活の長い人だからかなあ?
 本公演でも新公でもバウでも、ぜんぜん役が付かなくて、その他大勢ばっかやってきた雑草育ちの人だから?
 前回の『虞美人』新公ぐらいだよね、「役」を演じたのって。

 1~2場面にちょろっと出るだけの「役名」のある役はやったことあっても、結局はアルバイトのモブの方がたくさん出ている状態、みたいな。
 本公演でも新公でもバウでも、とにかく「役」がつかないよね、アーサー。起承転結・物語・作品を通して必要な、生きた「役」。

 本公演は仕方ないとして、新公やバウでも、ろくに通し役もらったことない人なんだ……。
 張良せんせやコ将軍は通し役だし、いい役ではあるけれど、やっぱ場面ぶった切りでボツボツ出る役だったし新公自体ダイジェスト版だったし、なんかじっくり芝居しているアーサーを見たことがない印象。

 やっぱ本気で「役」を演じているアーサーを見てみたいっす。
 ストーリーテラーは、今までやって来たモブのアルバイトとあんまし変わらなくて、研7の新公最後の役がコレだったってのは、残念かなあ。や、『麗しのサブリナ』には役自体ほとんどナイので、ストーリーテラーが出来たことはとてもありがたいのだけど。

 新人公演『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の革命場面のベルナールとか、本公演『虞美人』の馬と鹿の居酒屋場面とか、アーサーの真ん中スキルはすごいと思う。
 真ん中で「好きにやっていいよ」となると、不遜な輝き方をする。

 でも、脇に退くと、脇の顔になってしまう。
 戦闘意欲があることは伝わるんだけど、それはモブのときも感じるので、ストーリーテラーとしての目新しさはない。
 モブなんて本公演でもどこでもやってんじゃん、その場限りのおかしな医者役とか、今までもこれからもありそうじゃん。なにもここで今やらなくても……てな。

 アーサーの主演が見たかったよ……この人を大劇場の真ん中に立たせたらどうなるのか、心から見たかった。
 モブのときと真ん中のときと、派手さや輝度がぜんぜんチガウんだもんよー。ナニこの不自由な特性。

 モブになってしまうとはいえ、ストーリーテラーはオイシイ役でもあるので、クラブの歌手もノリノリだったし、医者のコミカルさも楽しそうに、退場時に突然二枚目に戻るあたりトート閣下を意識してる?な感じだったし(笑)、電話ボックスの男も船員もキザでかっこよかったさ。

 んで、船員として数分前に登場していたにもかかわらず、最後の挨拶時に、紫の総スパンに着替えて出てきたのは、なんなんだ(笑)。
 客席からも勢いよく笑われていたぞ。
 つか、挨拶時のその他大勢に過ぎない人が出オチで笑い取るって、はじめて見た。

 挨拶のときって、好きな衣装を着ていいものなの?
 たしかにみんな、最後の場面出来ていたモブの衣装ではなく、役がある人は役の衣装に着替えていたりするけど。

 好きな衣装を着てよし、で、アーサーはわざわざアレを選んだの??

 えーと。
 煌雅あさひって、そーゆーキャラ?(首傾げ)

 下級生時代からアーサーアーサー言って眺めて来ているけど、彼のキャラクタなんかカケラも知らないままだからなー。
 最初に眺めるようになったときって、表情ナッシングでガチガチに固まったまま「やらされている」「振付を懸命にこなしている」だけの、実に不器用なシンガーだったわけだし。
 こんだけ表情のナイ子が、よく舞台人を目指す気になったなと、ある意味感心したくらいに。

 その、顔が固まったまま懸命に歌っていた子が、いつの間にか笑えるようになり、客を釣れるよーになり、舞台真ん中でぱーっと輝くようになり。

 でもって、意味なく紫の総スパンか。

 ……ヘンナヤツ(笑)。
 世の中が星組ラインアップで盛り上がっているところ、わたしの関心事はひたすら別口にございます。
 や、『愛するには短すぎる』も『ル・ポァゾン』も『メイちゃんの執事』もみんな楽しみでございます。
 『愛短』への思い入れは並々ならぬ……つか、アンソニー@かなめくんを想像していろんな意味で眩暈がしました(笑)。幕開きから彼のソロですか、れおんくんに後ろから抱きしめられるわけですか、とかまあその。
 『ル・ポァゾン』は観たことはございませんが、音だけはえんえん聴いておりましたので、不思議な愛着がございます。昔々、有線放送に「タカラヅカch」というモノがございましてね、毎日24時間ヅカのCDを流していたのでございますよ。わたしはバイトしながらひとりのときは大抵ソレを聴いておりましてね……観ていなくても、何度も何度も聴きましたのよ。
 『メイちゃんの執事』は原作マンガは存じませんが、ドラマは全部見ました。「実写はキツイなあ、マンガなら面白いのかも」と思った記憶がございます……キツかったのは実は、ドラマの中の美少女たちの「ファンタジーのなさ」、でした。あんなふつーのかわいこちゃんばっかじゃつまらんぶっちゃけふつーすぎて見分けもつかん、もっと異世界的な美少女ぢゃないと、と(笑)。その点ヅカならファンタジーとして異世界構築できるんじゃないでしょうか。ベニー主演もうれしいです。

 しかし。
 本日わたしの心を占めたのは、別の情報です。
2010/08/19

『タカラヅカスペシャル2010 ~FOREVER TAKARAZUKA~』について


『タカラヅカスペシャル2010 ~FOREVER TAKARAZUKA~』
構成・演出/三木章雄、中村暁、中村一徳

【会場】
梅田芸術劇場メインホール

【開催日時】
2010年12月 18日(土) 14時・★18時
2010年12月 19日(日) ★12時・16時
※18日18時、19日12時公演は宝塚友の会優先公演となります。
※公演時間は(第1部:約50分、休憩:25分、第2部:約50分)合計125分の予定です。

【内容】
第1部では、今年の大劇場を中心に各組公演を振り返り、各組のスターたちが顔を合わせ、名場面をパロディも交えてお届けするバラエティーショー。
第2部では、海外公演のエピソードも交えつつ、海外公演の場面やその都市をテーマにしたショーでお楽しみいただきます。

【出演】
(専科)轟悠 他 
(花組)真飛 聖 他
(月組)未定
(雪組)音月 桂 他
(宙組)大空 祐飛 他
※星組は東京宝塚劇場公演中のため出演いたしません。
[演奏:宝塚歌劇オーケストラ]

【座席料金】
S席10,000円、A席7,000円、B席5,000円(税込)

【宝塚友の会・会員先行販売】
(抽選申込み) 2010年10月11日(月・祝)10:00 ~10月14日(木)17:00
(抽選結果照会) 2010年10月18日(月)10:00 ~10月20日(水)17:00

【一般前売】
2010年11月13日(土) 10:00~


 『タカラヅカスペシャル2010』12月開催!!

 ……16時3分にモバタカメールが来て、ベッドでごろごろしていたのを飛び起きて(笑)、PCをチェック、星組ラインアップの他に『ヅカスペ』も発表されているのを知り、とりあえずいつもの癖でデータだけ保存して、そのあと出かけた。
 アタマの中は『ヅカスペ』でぐーるぐる。

 なのに、帰宅してから公式見たら、『ヅカスペ』の新着記事消えてる?
 なんで?

 今までもフライング掲載はあったから、それだけのことかな。翌日にはナニゴトもなかったように掲載されるのかしら。ふーちゃん退団とか、『ベルばら』主な配役とか、一瞬だけアップされて、すぐに消されたよなー。

 『ヅカスペ』が12月に梅芸で開催されることなんて、通例になっているので今さら驚くことじゃない。
 わたしだって、今までそんなこと特にどうとも思ったことはなかった。

 まっつが、組替えする、とわかるまでは。

 12月開催ですよ、『ヅカスペ』。
 そして、出演は、花・雪・宙。月は未定、星は不参加。

 次に、まっつの組替えお知らせ記事を確認する。

>未涼 亜希・・・2010年10月18日付で雪組へ

 12月は、雪組子ですがな!!
 まっつの雪お披露目は来年の『ロミオとジュリエット』じゃなく、今年の『ヅカスペ』?!

 オープニングでさっそくキムと並ぶの? 緑色の燕尾なんか着ちゃうの?

 そしてそして。

>第1部では、今年の大劇場を中心に各組公演を振り返り、各組のスターたちが
>顔を合わせ、名場面をパロディも交えてお届けするバラエティーショー。

 大劇作品のパロディに、雪組子として、ナニするの??!!

 雪組の大劇作品っつたら、『ソルフェリーノの夜明け』と『ロジェ』だよな。作品的に『ロジェ』はパロディにしにくいから、『ソルフェリーノの夜明け』?
 「タカラヅカ1白衣の似合う男」として、医者のひとりでまざるのか??

 ……眩暈がする。

 それとも、前回の『ヅカスペ』では花組のまぁくん・だいもん・れみちゃんは星組のパロディ『太王四神記 Ver.II』に混ざっていた……ように、まっつもナニ食わぬ顔で花組のパロディに混ざるんだろうか。

 花組の大劇作品は『虞美人』と『麗しのサブリナ』、版権問題で『サブリナ』はいじれないだろうから、『虞美人』で来るだろう。
 すでに雪組子になった張良先生が、しれっとまざってパロやるんだろーか。

 ……眩暈がする。

 てことで、アタマの中ぐーるぐる。
 や、こちとらイタいまっつファンですから。いつもまっつまっつですから。

 まさか、出ないってことはないよな。
 花で4番目、雪で3番目なら、出るだろふつー。
 『麗しのサブリナ』が10月17日終了後、来年1月1日まで出番のない人なんですよ、お仕事入れて下さいよ。
 こちとら大阪人ですよ、8月30日に千秋楽で、次にまっつに会えるのが来年って、8月なのにもう今年は会えないって関西公演ナシなんてなんじゃそりゃあな状態だったんですよ。
 今年のウチにまっつに会えるんだ、大阪で会えるんだ。

 てことで、アタマの中ぐーるぐる。
 や、こちとらイタいまっつファンですから。いつもまっつまっつですから。

 あああ、『ヅカスペ』ナニやるんだろう。
 ぐるぐるぐる。
 新人公演を観ることで、見えてくることがある。
 その作品について。

 新人公演『麗しのサブリナ』は、本公演とはいろいろ違っていて。
 その「違い」はひとえに、主役カップルの、「恋愛」の違いだった。

 てことで、みりおん初新公ヒロインおめでとー!!
 美貌と実力を兼ね備えた若手のデビューに拍手。
 なにより、歌。
 サブリナの銀橋の歌が、あーゆー曲だとは、新公観るまで知らなかった(笑)。歌えるって強いね。

 サブリナ@みりおんが歌唱力で本役の蘭はなちゃんを上回っているのは、予想できたことだった。
 歌えるヒロインってのはいいなあ、と素直に感動。

 まあその、ぶっちゃけ蘭ちゃんも今、本公演で「毎日が新人公演!」て感じに初心者マーク付けて奮闘しているわけで。
 娘役は若さが勝負、出来上がりが早くて当然、なところがあるから、みりおんの早熟さも意味のあることだろう。

 みりおんのサブリナは、大人っぽかった。

 ロリータのかほりはしない(笑)。若い女性だった。
 そして彼女は、とても素直に存在し、恋をしている。

 それはライナス@瀬戸くんとの関係性もある。
 ライナスは冷静なおっさんで、度を過ぎることがない。女性の扱いにも慣れ、暴走することはない。

 新公のライナスとサブリナは、大人同士の恋愛で、不器用な大人と少女の恋という印象はあまりなかった。
 蘭ちゃんのサブリナが終始とまどい、思い詰めている様子なのに対し、みりおんのサブリナは楽しそうに恋をしている。そしてふと思い出したように、悩む。
 まとぶんのライナスは内なる情熱との葛藤が大きく、いろんなところで熱情がほとばしりそうになっているんだが、瀬戸ライナスは感情の揺れが少ない。作戦遂行も恋情も予定ラインからはみ出ない。

 新公のふたりの方が、より大人で、より「おしゃれ」なのかもしれない。
 泥臭い激情に支配されず、淡々と恋愛している。

 そしてこのふたりに、「ふつーにイイ子」な弟、デイヴィッド@まゆくんが絡む。

 まゆくんはどんどんうまくなるなあ。
 声とか佇まいとか、安心できるわー。
 今回は主演じゃない分余裕もあるのか、前回の切羽詰まった感はなく、とてもナチュラルにイキイキしていた感じ。

 ただ、まゆくんのデイヴィッドは、プレイボーイには見えない。
 陽気で善良な若い男の子に見える。まだ若いので自覚がなくフラフラしている20代。大学出てフリーターしてますな感じ。
 トラブルメーカーには見えない、気の良い青年。
 3度の結婚とやらも、金目当ての年上の女に騙されたんだなと思う。まだ子どもだから、世の中のことがよくわかっていない感じ。
 「ボクはドンファンなんかじゃない」と歌うのも、かっこつけたい年頃なんだな(笑)と。誰も君をそんな風に思ってないよ、背伸びしてワルぶってみせても、コドモなのは見たらわかるから大丈夫、てな。
 さらに、髪を切ったサブリナと同世代に見える。サブリナがどんどん大人びていくので「キスしてデイヴィッド」「喋り続けて」のあたりでは、デイヴィッドの方が幼く見えてしまう。

 サブリナとライナスの恋に、ふつーのイイ子であるデイヴィッドは置いて行かれちゃうのな。あっちは大人だから。

 大人ぶって口説いた年上の女の子を、大人の兄貴に取られてしまった。
 そして大人だから、サブリナもライナスも立場に囚われてはっきりしない。それを若さの特権、アツい拳一発吹っ飛ばしてしまうデイヴィッド。
 好きなら行けよ、彼女の後を追って。……ああもお、大人って面倒くさいな。

 って、そんな話だっけ、『麗しのサブリナ』。
 ストーリーも設定も同じなのに、演じている人たちの違いだけで、えらく変わるもんだ。

 やっぱまとぶんって、どんだけ抑えててもにぎやかな芸風なんだなあ。葛藤の幅が大きいし、サブリナへの愛情、傷つけたときの傷つき方がすごく深い。
 そんなまとぶんと恋をする蘭ちゃんは、重い感情を背負わされる分必然的にいろいろ悩み、追いつめられることになるんだな。
 そしてなんつっても、壮くん。あの異次元っぷりは、他の追従を許さないんだなと(笑)。

 つま先立ちの少女の恋、であり、そんな少女に本気で恋してしまいテンパってる男の物語である、本公演の『麗しのサブリナ』。
 若い女性の初恋、であり、立場のある男が自分のスタンスと恋愛の位置取りにとまどう物語である、新公『麗しのサブリナ』。

 「恋愛」というセンシティヴな部分で、ずいぶん別物になっているなと。

 みりおんのまっすぐでくったくない恋愛は、大劇場向きの資質かも、と思った。
 蘭ちゃんの繊細さが、ある意味バウ向きな気もしているのと対照的に。

 そしてみりおんは、お化粧や着こなし等、娘役スキルは足りない部分が多々あるので、これから経験を積めばさらにあか抜けてキレイになるはず。『EXCITER!!』の銀橋が、再演の今の方がキュートであるように。
 でもって、持ち味が大人っぽいだけに、早く大人になりすぎないことを祈る。娘役の旬は短いし、タイミングが難しいからなあ。
 次のバウヒロも楽しみだー。
 かわいいは正しい、かわいいは正義。
 わたしは何度となく、このフレーズを使っている。

 だがここで、新しいフレーズを導入しよう。

 おっさんは正しい、おっさんは正義。

 ……いやその、ほんとに身もフタもないおっさんっつーんじゃなくて、「大人の男」って意味なんだけど。
 大人も範囲広いから、若造に毛が生えた程度とか、子どもじゃない程度でも「大人」に入っちゃう場合がある。
 そうじゃなく、ほんとに大人ってことで、あえて「おっさん」と書く。

 花組新人公演『麗しのサブリナ』にて、瀬戸かずやのおっさんぶりを讃えよう!!

 つーことで、瀬戸くん、新公初主演おめでとー。

 路線人生を歩んできたとは思えず、なんか微妙に脇から最後に新公主演にすべり込んだ人、というイメージがある瀬戸くん。
 正直路線だとはまったく思ってなくて、「路線だったらいいのになー」と思っていた。や、だって彼、ハンサムだから。

 瀬戸くんにナニがあるのか、ナニができるのか、わからない。
 ただそのビジュアルの良さだけに着目し、「もっと出番が、活躍の場があればいいな」と思っていた。

 まさかほんとに新公主演来ちゃうとは思ってなかったよー。前回の『虞美人』2番手が到達点だと思っていた。その上があったとは。

 めっちゃうれしーです。あきら主演だー、わーいわーい!!

 ビジュアルの良さだけに着目してきた、と書いた。
 ビジュアルなんて、人の好みで最も左右される部分だ。彼を美しいと思わない人だっているだろう。
 ただわたしにとって彼は、とても美しい人だ。

 何故なら彼は、大人である。

 若者の成長が遅くなった現代において、下級生男役たちの成長もとても遅い。健康的なまるまるぷくぷくしたふくよかなオンナノコたちが男装している、そんな新人公演、そんなバウ公演、そんな大劇場モブ、の中で、すらりと整った瀬戸くんはとても美しく見えた。
 男役として早熟な、がっしり男らしい体型。シャープな頬。
 男役未満の技術の足りないオンナノコたちが言い訳にする、フェアリータイプだとかアイドル系とか美少年とかゆージャンルを一顧だにせず、最初から漢くさい路線を進む姿が、目にとまった。

 本人が実は「オレってアイドル系☆」とか目指していたかどうかは定かではないが、中性的な少年たちの間で異質なビジュアルに映った……あくまでも、わたしには。

 その恵まれたガタイとか、いかつい顔立ちとかが目に付くだけで、どんな子なのかはよくわかんない……だって、ろくに台詞も出番もないし。うまいのかヘタなのかわからん、ちっとも役つかないから。
 だから密かにビジュを楽しむだけの生徒だった。

 顔立ち自体はそれほど美形とも、好みとも、実は思ってナイんだが。
 ときどきおばさんに見えるしなあ(笑)。
 でも彼は、「姿」が美しいの。舞台人はやっぱ顔だけではなく、全身で勝負ですよ。
 あきらの体型が、わたしにはとても美しい人だと思えるのですよ。

 そんな彼の、まさかの新公主演。
 下級生時代から大人びたビジュアルが好みだった彼が、主役を演じる。しかも、作品が『麗しのサブリナ』。それも、ライナスという、おっさん役!!

 瀬戸くんの得意分野は「野郎」だと思っているので、『虞美人』の項羽のようなどーんっと漢くさく発散する系で主演してくれた方が魅力を放出しやすかったと思う。長身でスタイルがいいので、コスプレ似合うし。
 だから新公主演が決まったときは、「まゆくんと逆だったら良かったのに」と思った。まゆくんは瀬戸くんと反対に、かわいいタイプでスタイルはいまいちなのでコスプレが似合わないし。

 でも、『サブリナ』本公演を観て、これならアリかも、と思った。
 ライナスは「大人」の役だ。求められるのは「青さ」や「熱さ」ではなく、スーツを着こなす「大人の男度」だ。
 熱さを禁じられるのは残念だが、大人度……ぶっちゃけ、おっさん臭さでは、有利なんじゃないかと思った。

 実際、スーツ姿、かっけーー!!

 長身小顔が映えるわー。
 肩幅と背中に萌えるわー。

 それほど歌えるわけでもない、声がいいわけでも、芝居がうまいわけでもない。
 でも、どれも破綻はない。

 ならばもお、ビジュアル勝負でしょう。
 純粋に、そのスーツ姿を堪能しました。
 着せられてる感がなく、ふつーにスーツ着た大人の男ですよ。

 最初の銀橋ソロは危なっかしかったけれど、あとは良くなっていったし。
 サブリナ@みりおんとの最初のデートで、舞台でナマ着替えしたジャケット、ボタン留め忘れたのか途中ではずれたのか、中が見えちゃって格好悪かったけど(笑)。
 車の運転が荒くて、ちょっとびびったけど(笑)。

 舞台が進むにつれ、どんどん落ち着いていくんですよ。
 クライマックスの夜のオフィスでは、しみじみ思いました。

 研7にして、ここまで重役デスクの似合う男がいるだろうか。と(笑)。

 びしりとスーツ着込んで、どでかい椅子に坐り、どでかいデスクに腕を付いている姿が、似合いすぎる。
 ナニあの貫禄。

 ライナスは中年ではないし、瀬戸くんだってそんな風には演じていない。
 イケメンで女の扱いに慣れた(たぶん、本役ライナスより慣れてる・笑)、今が人生旬の大人の男。
 断じておっさんではない。いわば、青年だ。

 が、しかし、あえて言おう。
 青年、とかゆー、ふつーの表現ではなく、今後の期待を込めておっさんと。

 新公学年で、ナチュラルにかっこいいおっさんを演じられる人は、真ん中に少ないんだもの。
 かっこよくない、ただのおっさんならヒゲや衣装で底上げして演じることが可能だし、脇にいくらでもいるし、かといってハンサムを演じようとすると青臭くなる。
 ハンサムでありながら、大人の男、おっさんであるというのは、この現代では珍種である。月組のたまきちと共に、保護して欲しい人だわ。

 実力に特に破綻はないけど、どれも特にうまくはないので、これから場数を踏んで磨いていって欲しい。
 せっかくせっかく、素敵なビジュアルを、武器を持ってるんだから。

 そして。

 このライナスって、女遊びは適度にしているよね、と思わせる芸風も、キープしていって欲しいっす!!(笑)
 まとぶライナスはほんとに堅物だと思うけど、あきらライナスはふつーにつまみ食いしてるぞ、と思わせるピュアでない感じ(笑)を、大切にしてほしい! そーゆーとこ好きだ(笑)。
『麗しのサブリナ』は好きだ。
 が、あちこち残念なのも事実。

 原作の縛りなんぞ知らん。
 言いたいことを言うぞー。

 とりあえず、ストーリーテラー@みわっちに、ストーリーテラーをさせようよ。

 コスプレみわっちを見るのは楽しいし、ツボでもあるんだが、途中からストーリーテラーでなくなってしまうのがもったいない。
 暗転で使う時間をみわっちタイムにしちゃえばいいのに。暗転長くてうんざりするから、そこにみわっちと、その前後の場面の関係者何人か連れてきて、出番の少なさを改善するとかさー。

 そして、ライナス@まとぶんにも、主役っぽいことをさせる。

 心が揺れ動いて歌になる、てのが、見事なまでにサブリナ@蘭ちゃん中心なのな。
 サブリナがデイヴィッド@壮くんとライナスとの間で揺れ動く→サブリナの独白or歌。てのは何度も繰り返されるのに。
 ライナスが騙しているはずのサブリナに惹かれていく→ナニも無し。ラストにとりあえずあるのみ。
 最後の分かり切ったところだけじゃなくて、途中の「揺れ動く」ところにこそ必要なんですよ。

 サブリナの場面1個削って、ライナスにしようよ。

 騙しているだけだ作戦なんだ、惹かれてなんかない……でもいいし、どーして弟の恋人なんだ、オレじゃダメなんかい……でもいい、挿入する位置に相応しい心の爆発ソロを入れる。
 出番の少ない人々のためにライナス銀橋ソロの間、本舞台に人いっぱい出していいから。ララビー社のテキパキリーマンズと華やか女性秘書たち、取引相手のタイソン@さおたさん一家も是非。ライナスさんの背負っているモノの表現、台詞ナシで踊ってるだけでイイから。

 で、どんだけソロで苦悩しても、ライナスさんはサブリナを騙す現実に立ち戻っていくのですよ。……切ないじゃないですか、もどかしいじゃないですか。
 観客は「どーして自分の気持ちに気づかない(正直にならない)のよ?!」とやきもきする、と。

 んで、クライマックスをベタに盛り上げたい。

 ここはタカラヅカ。タカラヅカならではの、お約束の展開ってのがあるじゃないですか。
 ライナスに惹かれてしまい、混乱するサブリナ。
 サブリナをこれ以上騙せなくて、真実を告げてしまうライナス。
 突然サブリナから別れのキスをされたデイヴィッド。
 三角関係モノで、主人公3人がそれぞれ決定的な出来事があり、眠れない夜を過ごしているんですよ。

 ここはもちろん、愛の三重唱でしょう。

 ララビーオフィスにて、ライナスとサブリナの会話だけでだらだら時間を取らないで、サブリナがデイヴィッドに別れのキスをする場面を舞台端でいいから挿入。
 デイヴィッドのとまどいのソロ、サブリナの嘆きのソロ、ライナスの苦悩と決意のソロ、それがついには三重唱になる。
 本舞台銀橋花道全部使って、派手にとことん盛り上げる。ここがクライマックス!! みんなどーなっちゃうの?! と、観客の涙をあおり、ハンカチをきりきり噛みしめさせるのですよ!

 んで、ライナスに集約、あとは今と同じ朝のオフィスへ着地。
 涙ながら旅立つサブリナも、「抜糸したっ、新品同様だーー!!」とキラキラ現れるデイヴィッドも同じ。

 兄弟の言い争いも「株のことはわからないが、キスならわかる。別れのキスだった」というデイヴィッドの台詞も、そのままつながる。

 誰が主役なのかはっきりしないまま、いつも同じテンションで物語が流れ、ストーリーテラーがいつの間にかモブになり、クライマックスがどこかもわかんない……今のままは、もったいないなあと。
 原作映画通り、カケラも変えてはいけないという契約なのかもしれんが。
 それにしても、立ち話だけのクライマックスはナイよなあ。

 
 今のままでも、実はいちばん泣けるのが、サブリナが真実を知る、夜のオフィス場面なんですがね。

 好きな男に、ここまでやられたら、パリに行くしかないよなああ。

 ライナスに惹かれていることに混乱して、このままじゃいけないと自分を律しているところに、ふたり分のパリ行きチケット。
 愛されてたんだ! 弟の恋人をパリにさらって逃げるほどに。
 ライナスは私の気持ちなんかお見通しだった。だからもう私は、迷わず彼についていけばいいんだ。

 そう舞い上がった直後に。
 全部嘘だったと告げられる。

「君が障害だった」

 障害て。障害って。
 や、たしかにそうなんだろうけど、好きな男にそう言われるって。

 デイヴィッドを忘れさせるために、心変わりさせるために、口説かれていた。
 ふたりの間で揺れ動いたのはとーぜん、だってそのつもりで踊らされていたんだもの。

 んで、完璧にただの嘘、騙されただけだとわかれば、怒るだけで済むが。

 ライナスが苦しんでいることまで、わかってしまうから。
 彼の誠実さ、自分を傷つけまいと今種明かしをしてしまったこと、そんなことが全部わかってしまうから。

 救われない。

 空っぽの船室に花と別れの手紙(代筆)が置いてある、と洞察したサブリナに、「それだけじゃない!」とあわてるライナスが哀れだ。「アパートと車と銀行口座と」傷つけたくなくて、誠意を尽くしたくて、でもその方向が間違っている仕事人間。そーやって、愛する少女を自分の手で、ずたずたに傷つけて。
「寛大ね」
 とつぶやくサブリナを見る、ライナスの目が。顔が。
 哀れで、滑稽で、切ない。

 ふたりともが、ふたり分、傷ついた。

 翌朝の、父@はっちさんと別れるときのサブリナが、いい女だ。
 たった一晩で、彼女は「女」の顔になっている。少女ではなくて。
 自分の傷を、真実を、誰にも告げず、全部ひとりで飲み込んで、旅立っていく。

 てのがなあ。
 切なくていいんだよなあ。

 もともと大好きな場面だから、今のままでもいいっちゃーいいんだが。
 ミュージカルとして、「タカラヅカ」として、盛り上げることは可能なのにな、と。
 それでもわたしは、キライではないのだ。
 ストーリーナッシングの、設定だけで出来上がった物語が。

 ハッピーになれるナニかが、そこにあるならば。

 『摩天楼狂詩曲』にあるのは、そのアホらしい物語に「温度」を加える力だ。

 主役アンソニー@ともみんの力は大きい。

 彼を見ていると、信じられるんだ。
 アホらしいとか恥ずかしいとか、彼がカケラも思っていないこと。むしろ、本気で「感動物語」だと信じて演じていること。

 1観客としては「マジっすか??」の連続、笑っていいのかネタ公演としてやっているのか、スタッフ側のスタンスを疑うくらい恥ずかしい作品に見えるんだけど、少なくともともみんを見れば、彼がネタなんてとんでもない大マジだってわかる。
 だからもお、それでいいのだ。
 彼を信じ、彼についていけばいいんだ。

 てことで、ツッコミは入れつつも、素直に楽しんだんだ。

 
 ストーリーやスズキケイの恥ずかしさについてはもう、いくら語っても同じことの繰り返しになるので(そしていくら語っても語り足りないくらいなので・笑)置くとして、メイン以外のキャストの感想。プログラム買ってないんで、わかる範囲で。

 レコード会社社長@ギリーが、大人だった。
 『ワルフザケ』のときの、嘉月さんを思い出した。マミさん相手に、年配役をやってたよなあ。あのおっさん社長を思い出していた……カオの重心とか似てるか。
 美少年顔であるために、立ち位置の難しい人だったんだが、イイ感じに大人になってくれた。おっさんOKだったら活躍の場が広がるよね。やる気……というか、鼻息の荒い人というイメージなので(笑)、これからも意欲的に舞台で活躍して欲しい。

 ヒロインの友だち、クレア@せあら。
 うまい。
 とにかく、うまい。
 華と美貌と実力、さらにヒロイン経験、すべてを持ち合わせている彼女が脇に回っていることで、舞台が華やかに底上げされた。
 ……あまりに、彼女ひとりの肩に多くのものがのっかってる危惧はあるが……せあらなら大丈夫だよね。

 ノーマン@りまくん。
 ごめん、なんか最初からツボに入って笑えた。わたしは彼を内心「ぱんだくん」と勝手に呼んで愛でているのだが、その可愛らしい顔でクールなビジネスマンをやっているところからツボだったんだ……しかも後半あんなことになってるし。

 個人的にすごーくすごーく気に入っているのが、アイス様@みやるりが、ノーマンの鞄を蹴るところ。
 めっちゃ練習して、ふたりでタイミング計って、「今だ」「よしっ」で蹴ったのがわかる、あの微妙な空気にウケた。ここがあまりに嘘くさくて、先の展開が読めるのも、どーかと思うが……。
 スズキせんせ、恥ずかしいよなあ。アレ、やらせなきゃならなかったのか。生田せんせがだいもんにテーブル滑らせたよーに、みやるりにもアレが必要だったのか(笑)。

 デザイナーのトーマス@まいける。
 まいけるといえば、出オチの伝説のロックシンガー・マイケル役がありますが(笑)……あっちはアルバイトで、本役はデザイナー君だよね?
 台詞もないときから、通行人として目立っていた。

 かわいいんだもん。

 なんか、ゆーひさん系のファニーフェイスだぞ……どうしよう、かわいい。
 派手な衣装で目を引くってばよ。
 ヲカマさんとか、なにかしら強烈なキャラクタなのかなと勝手に思っていたら、ふつーの人だった。
 子役専科の彼は、立ち位置探しをする頃なんだよな。どうか良い位置に落ち着きますように。

 アンソニーのバンド仲間たち、朝都、十碧、麻央はオイシイのかそうでないのか、いまいちわからないというか。
 『逆転裁判』の陪審員や『THE SECOND LIFE』のマフィア仲間たちよりは、人数が少ない分イイのか。
 個別認識できるエピソードもないので、そのうちのひとりが「喋った!!」と驚く場面で、え、喋ってなかったっけ?と、こっちが驚いたもんよ。朝都くんは顔の目立つ子なので、モブでも目に残るんだが、喋らない設定のキャラだとは気づいてなかったよ。

 紅一点のメグ@華雅ちゃんは、ナンシー@はるこちゃんと役替わりする子なんだね。
 スカフェのやり過ぎっぷりからイメージするまんまの舞台姿に、潔さを感じた(笑)。器用で鼻息荒くて早熟で。男子でこのテのキャラはアリだが、さて、女の子ではどうだろう。
 ナンシー役にこそ注目だな。こっちも鼻息荒かったら、いっそ素敵かも(笑)。

 ところで、バンドシーンは彼らが実際に弾いてるんですか。見てたらわかるもんなんですか。
 わたし、見ててもわからなかったし、てゆーか、そんなことだけは絶対にあり得ないと思い込んで、いつ生バンドがカーテン奥から登場するんだと待ちかまえてたんですが。や、ナマだってことだけはわかったので、後ろにバンドの人がいるのかなと。うまいヘタではなく、音の勢いだけで。

 ナンシー母@柚長が、アイス様@みやるりをはべらしている姿に、強烈なデジャヴ。
 こーやっておねーさまは、若いツバメをはべらしてましたっけねえ、『ヘイズ・コード』。や、あれはツバメではなく秘書って名前でしたっけ。
 わずかな間に、大人になったなあ、みやるり……。

 アイス様のカユさは、癖になりそうな類だと思っています。
 アイス役は、ふつーにこなしちゃうと面白くない。みやるりみたいにいたたまれない感じをかもしだすか、しーらんみたいに赤面レベルまで行くべきでしょう。(見てないくせに、しーらんを語るか!)
 前者はかなめ姫とかきんぐとか、後者はらんとむ氏とかだいもんとか。(2番手と89期で当てはめてみました)
 盛大に客席を爆笑悶絶させておいて、え、出番アレで終わり?な尻切れトンボ感もまた、素晴らしいです、アイス様。

 つかナンシー母、「社員の裏切りはわかんないダメ社長だけど、娘のことならわかるわ!」とどや顔で言うのはどうかと思います(笑)。社員のことは信じて騙されて、娘のことは疑って騙すのか。騙す前に、問いただせよ、会話しろよ。……嫌な母娘だ(笑)。
 伝説のロックスター、マイケル。
 主人公アンソニー@ともみんの、憧れの人。

 さんざんマイケルの素晴らしさを語られているので、そのマイケルらしき人がシルエットで登場した瞬間、誰もが思ったはずだ。
 ああ、やっぱりみきちぐなんだ。

 みきちぐはアンソニーが常連しているライブハウスの経営者。この物語で唯一の大人。アンソニーの良き理解者、叱ったりからかったり勇気づけたり。

 キャスト全員見回しても、伝説のスターを演じられる人はみきちぐ以外にいない。
 だからシルエットを見たときに納得、あの小さな姿はみきちぐだろう、やっぱりな。

 伝説のロックシンガー・マイケル!!
 そーやって現れたその人は!! まいける、だった。

「……ギャグ?」

 隣の席の見知らぬ人も、ぼそりとつぶやいていた。

 マイケル@まいけるって……!!
 伝説のスターがまいけるって……!!

 いやその、まいけるはうまい人です、いつもきちんと仕事をこなしてくれる人です、それはわかっています、しかし。
 このキャスティングは……出オチ狙い?(首傾げ)

 
 ツッコミどころ満載、んとに素敵な作品です、『摩天楼狂詩曲』

 作者が若い男性であることが痛感できる、男子的萌えが詰まった作品。ゲームか少年マンガだと思えば問題なし。
 スズキケイの好みの女の子は、学級委員の優等生美少女(もちろんさらさらロングヘア)で野球部のマネージャー、いつも遅くまで練習している彼のことをずっとグラウンドの陰から見守り、疲れた彼にタオルとドリンクを差しだし、「きっと甲子園に行けるわ、私信じてる。ずっとあなたを応援してるわ!」と言ってくれる子なんだね。
 そして、そんな女の子に「甲子園のマウンドで君に捧げる球を投げるよ。そのことを、この白球に誓う。このボールはその誓いの印だ。今日は俺たちの愛の記念日だ」と汗に汚れたボールを差し出す……のを、「かっこいい」と思っているんだろう。んで、女の子が感激の涙で受け取り、ふたりは夕陽の中で固く抱き合うの。
 
 女子からすりゃ、そんな「都合のいい女」、少年マンガかギャルゲーの世界にしか生息しないことはわかっているが、スズキケイはマジなので。マジでそーゆー女の子が好きで、そのテのヒロインばかり描き続けているので(笑)。

 男子脳で構成された、わっかりやすい少年マンガ『摩天楼狂詩曲』。
 主人公はとことんうるさい熱血野郎。ライバルは人格ナシでも「キザでカッコイイ」ことだけ言及。「あなたの夢を応援しているわ」と瞳キラキラ胸の前で両手を組むヒロイン、物理的な説得力はなくても「がんばっている」「熱意」「誠意」で夢が叶ってハッピーエンド。

 いいんじゃないっすか。ファンアイテムってのは、キャストのファンのみが楽しめればそれでOKなもの、世間的に名作である必要はない。リピート前提だから軽くて楽しいのがいちばん。
 
 キャストが魅力的なら、それでいい。

 主役のともみんがその体育会系の持ち味を遺憾なく発揮して、2番手役のふたり、みやるりとしーらんにトンデモな見せ場がある、それだけで役割を果たした作品だと思う。
 客席が笑いに包まれ、ツッコミ入れつつ爆笑失笑しつつ、あたたかい空気に包まれていた。

 しかしこの「夢を叶える」系の物語は、ジャンルによっては見せ方が大変だなと思う。『Paradise Prince』の「300万ドルの絵」のよーに、「成功」を納得させる「成果」を示すのはかなり困難。

 スターを夢見るアンソニーとそのバンド仲間たち。
 彼らはえんえんオーディションにチャレンジ、そして落ち続けている。
 落ちてるんだよね、こんなんじゃ評価できない、歌手デビューできないと。

 なのに、ラストはデビュー決定、スターへの切符を手にした! ハッピーエンド!!

 オーディションに落ち続けた曲と、ラストのレコード会社社長@ギリーの前で披露した曲が別だったのかどうかはおぼえていないが。
 技術的なことや、彼らの持ち味やスター性は、オープニングとラストで、ナニかが決定的に違っているということはない。ともみんの歌唱力も、バンドメンバーの腕も変化ナシ。
 その間、死ぬほど練習したわけでもなく、むしろ恋人とうまくいかずに練習には身が入ってない状態だった。
 なのに、デビュー決定なのよ、人気バンド決定なのよ。

 えーと、悩んだ分、人間に深みが出来て、ソウルのある歌を歌えるよーになった、ということなのかしら?
 本当は実力もスター性もあった、ただそれを見抜く能力のある社長と出会わなかった、悪いのは周りであって、主人公ではない、ということなのかしら?

 もちろん、説明はされている。
 ギリー社長が動いたきっかけは、アンソニーが幻のロックスター・マイケルを崇拝しているということだ。
 伝説で幻なので、今の若い子たちは誰もマイケルを知らないか、興味がないらしい。誰もマイケルの曲をカバーしたり、それに影響された歌を歌わないらしい。
 それってつまり、マイケルに現在の商品価値がない、売り物にならないってことじゃあ……と思うが、社長は大のマイケルファン。マイケルの曲をカバーしたデモCDを聴き、アンソニーに興味を持った。
 そして、アンソニーのナマの歌を聴く前に、彼自身が知らない出生の秘密……ぶっちゃけ、マイケルの息子だということを知る。

 お膳立ては完璧。
 アンソニーとその仲間たちが、オーディションに落ちまくっているときとなんら変わらなくても、社長に認められることになるのは必然。

 社長の大好きなスターの息子だから。
 アンソニー自身に実力も魅力もなくても、マイケルの息子で、マイケルを尊敬し、マイケルのような歌を歌う……これだけでオールオッケー、さあ契約しよう、君たちは明日から大スターだ。大丈夫、宣伝さえすりゃ、スターを作るコトなんて簡単さ。

 たしかに、辻褄は合ってます、スズキせんせ。
 しかしコレっていいのか……? ラストのぶっちぎりぶりに、『落陽のパレルモ』を思い出した(笑)。平民だからダメと言われていたら、ああらびっくり、ほんとはえらい貴族の息子だったから障害全部クリア、ハッピーエンド。って、主人公ナニもしてへんやん!!てな。

 しかも、最後の最後に歌うのがみきちぐで。
 説得力のある歌声で。
 ちょっと待て、ともみんの「この歌で大スター決定??」という微妙な歌をえんえん聴かされたあとに、みきちぐに歌わせるのはどうかと。
 全部、みきちぐが持っていった(笑)。

 いやその、ある意味すごい説得力なんだけども、だから社長はここまでマイケルに入れ込んでいるんだと納得できるけども、それにしてもそこでそーゆー納得をさせるのはどうしたもんかと。やっぱ社長、アンソニー単体にはなんの興味もないんじゃあ……。

 脚本には、ツッコミどころ満載ですよ。
 それでも楽しい『摩天楼狂詩曲』。

 うるさくて人騒がせで歌が微妙でも、アンソニー@ともみんは愛すべきキャラクタだ。
 彼の温度ごと熱意ごと、アレな脚本(笑)をスルーして、抱きしめたくなる。

 なんの説得力も現実味もなくても、「がんばっている」「熱意」「誠意」でハッピーエンドになる世界観を、愛しいと思う。(ただ、スズキケイは恥ずかしいと思う、あちこち・笑)
 えー、星ファンの方々にもキャストファンの方々にも演出家ファンの方々にも、まったく無関係なところでツボっていました、『摩天楼狂詩曲』

 『摩天楼狂詩曲』の感想ではあるが、まったくもって感想としての価値無し、個人的な思いこみ。

 ヒロインのナンシー@はるこちゃんが、まっつに見えた。

 …………ちょ、石投げないでっ!!

 自分でもおどろいたんだからっ。

 わたしがイタいまっつファンで、日々まっつのことばっか考えているから、ありえない妄想を見たのだとしても。
 2時間、みょーに愉快だったのは、事実。

 はるこちゃんの写真を見てもなんとも思わないし、『リラの壁の囚人たち』だってなんとも思わず見ていたわけだし。文化祭で愛希れいかくんを見たときのよーな衝撃はなかった。

 だが、プログラム写真より「おとめ」写真よりずっと頬のほっそりとした、サイドの髪すっきり前髪半分のナンシー役のはるこちゃんは、耳の位置や目の詰まり具合や鼻の付け根の角度など、さらに体型のバランスなども、みょーにまっつを彷彿とさせた。
 あれで鼻を長くすれば完璧じゃん? 鼻を伸ばせば、つまり顔も縦にのびるわけで、そしたらますますまっつに。

 あくまでも、舞台化粧や今回の髪型の効果、素顔はまったく似ていないとしても。

 相似に気づいてしまってからは、なんとも不思議な感覚に。

 まっつがヒロインやったらあんな感じ? いやいや、まっつは男子なのでヒロインはできません。
 まっつが女装したらあんな感じ? いやいや、まっつは男子なので女装したらいたたまれない姿になるでしょう。
 ちっこくてもまつださんは悲しいほど男なので、演出家も彼を女装させたり女役をさせたりは、まったくしませんもの。似合わないことがわかってるだろうし。
 てゆーかなんつっても、声。
 あんなに男らしく低い声をした人は、女の子のふりなんて出来ません。

 舞台の上のナンシーちゃんは、ピンクの似合うかわいいOL。女子度の高いけなげヒロインですよ。男子の夢(笑)が詰まったようなオンナノコ。きれいな女の子らしい声、可憐な仕草。まっつを重ねるのも困難なほど、完璧に女の子、完璧にヒロイン。

 てことで。わたしは首をひねる。

 まっつが女の子に生まれていたら、あんな感じ?

 顔もまっつほど細長くなくて、カラダも曲線のある華奢さで。でも8頭身とかのバーピー体型じゃなくて。
 そっかあ、まっつが女の子だったら、あんな感じかぁ。こんだけ等身バランスに違和感ないのは、ぶっちゃけ、身長も似たよーなもんなんだろうし。(暴言)

 ともみんが相手なら、爪先立ちのラブシーンができるんだね、まっつ……。(妄想が飛躍してきてまつ!)

 
 とまあ、変なところでツボってますが、『摩天楼狂詩曲』は面白かったし、はるこちゃんはうまくて可愛くて、とても素敵なヒロインでした。
 次に見るときにはもうまっつには見えないかもしれないし、や、そもそも見えなくてイイので(笑)、これからも活躍してくれることを期待しています。

 んで、女の子並にちっこくても、まっつが男子なことがうれしいです。
 『摩天楼狂詩曲』って、どんな話?

 スカステで放映している、CMまんまの話(はぁと)。

 ともみんがキザりまくってなんか語ってるCM、あれ、まんまの世界観。

 本日初日、客席はみんな潔く爆笑していたけれど、たぶん作ってる方はアレ、ウケ狙いじゃないから、ネタじゃないから。
 マジだから!!

 という、あちこち、いたたまれない話。

 いやその、とにかくCM見てみて。あれでくすぐったくならない・マジに「夢を追うってすばらしいわ」と感動できる・ナナメにツッコミ入れない、そーゆー人なら、別の受け取り方があると思う。
 でも、CM見てウケまくってあちこちカユくなってツッコミまくった人間には、『摩天楼狂詩曲』はなかなかどーして、腹筋を鍛えられる系の、愛すべきファンアイテムでした。
 なにしろタイトルからして『摩天楼狂詩曲、と書いてニューヨークラプソディーと読む、さらに副題-君に歌う愛-』とキタもんだ。
 どっから突っ込めと(笑)。
 

 1幕終わったときの、ぽかーん感……。

 ストーリーが、ない。

 1幕はたった45分で終わったんだが、登場人物紹介のみで終わった。

 ストーリーがない。なにもはじまってない。出てくる人たちが名前と立ち位置の説明を順番にしただけで幕が下りた! すげえよ鈴木圭!! これってどこの『逆転裁判』?!

 ぶっちゃけ、2幕だけ見れば話はわかります。
 出てくる人たちがゲームキャラ並にスキル別になっていて、「剣を持ってるから勇者ね」「三角帽子だから魔法使いね」てなふーにひとめで役割がわかるの。で、役割通りの仕事をするの。つか、それしかナイの、しないの。
 だから「登場人物紹介」である1幕を観てなくても、物語のある2幕から観ても、全部わかるよ。

 見た通りのキャラが、思った通りのことをして、予想した通りの結末に落ち着く。

 裏切らない物語。

 よくある話だっつー以前に、既視感ばりばり。
 『逆転裁判』で見たわコレ、とか、『THE SECOND LIFE』で見たわコレ、とか。スズキケイ、引き出し少なすぎ……つーか、同じことばかりあえてやるのは、ソレが彼の萌えだからか。

 とりあえず、「夢を語る若いふたりの回想シーン」と「フェミニンなスーツやワンピのOLヒロイン」てのはスズキケイのはずせない萌えらしい。また、『逆裁』『SECOND LIFE』でまいらちゃんのアテ書き固定キャラかと思われた「常識的なヒロイン……の親友の、うるさいトラブルメーカー女」は、ジェンヌの問題ではなく、スズキケイの持ちキャラだったらしい。

 スズキケイが『逆裁』を演出したのは正しい人選だったんだなあ。
 オリジナル書いてもゲームみたいな話になる人なんだ……。

 『逆裁』が面白かった人にはOKだと思います。

 伝説のロックシンガー・マイケルに憧れる売れないロックバンドのヴォーカル、アンソニー@ともみんはいつまでたっても「オレがてっぺんを取るぜ!」と言うばかり。就職もせずに楽なバイトで食いつなぎ、オーディションにも落ちまくっている。
 社長令嬢で母親の会社でOLやっているまともなヒロイン・ナンシー@はるこちゃんは、恋人アンソニーのそんなところが許せない。彼の夢を応援するとは言ったけれど、あれから4年、ナニも変わらないのだ。
 しかもアンソニーは、ふたりの記念日を忘れてるし! 愛を誓った思い出の場所で、「ナンシーに捧げる愛の歌」を毎年歌ってくれる約束なのに、ふたりの愛のアニバーサリーなのに!!(この設定すげえ!! スズキケイのオトメンぶりに拍手・笑)
 しかもナンシーには、母親お勧めの超美形エリート・ビジネスマン、アイス@みやるりが猛烈アタック開始! 彼はナンシー母の会社の協力者なのだ、会社を立て直してくれちゃう救世主なのだ。なにもかもアンソニーとは正反対、大人で経済力があってやさしく紳士なアイス様。
 ナンシーだけでなく、アンソニーもまたアイスを見て揺れ動いてしまう。自分の生き方に疑問を持ってしまう。夢なんか、あきらめるべきなのか……?

 
 えーとえーと、とりあえずともみん素敵。

 裏切らないともみんがそこにいる。
 想像するままのともみんがいて、力任せに爆走している。いいなあ、ともみん。

 んでもって、みやるりが大変。
 わたしはみや様がどんなキャラなのかよくわかっていないんだが、彼のノーブルな美貌から、ネタキャラよりはシリアスキャラの方が似合う人だと思っている。
 ゲームに出てくる典型的なライバルキャラ、男子マンガに出てくるバラの花をくわえたキザ男(あくまでも、イメージ。そんなシーンはナイ)を演じるみやるりっつーのは、ソレがみやるりであるというだけで、いたたまれなくなる。
 ひょっとしたら本人は悪ノリ大好きで『逆裁』のエッジワースのモノマネを大真面目に髪型や衣装まで自作して宴会で披露するタイプだったりするのかもしれないが(あくまでもイメージ、その事実はナイ)、そーゆーキャラには見えない以上、そんなキャラを演じる様はなかなかスリリングだ。

 一方、しーらんに関しては上記のネタキャラ全部ノリノリ易々とやってのける人物だと、勝手に安心しているため、「この役をしーらんが役替わりでやるのか」ってことについては、なんの疑問もない。
 つか、しーらんならハマるだろうなあ。うまいだろうなあ。ラクラクだろうなあ。……安心出来過ぎて、あまり気にならない。

 そして、現在しーらんが演じているヘタレなバーテン・エディー役を、みやるりがあの美貌で演じるのかと思うと、その方がいたたまれなくて、……気になる(笑)。
 や、しーらんは完璧です。うまいわかわいいわ……絶妙過ぎ。この役替わり、どっちにしろしーらんの方がハマるんじゃないかなと思う。しーらんなら、安心してトンデモキャラとトンデモ世界観に酔えるもの。いやあ、実にいいキャラクタだ、しーらんって。

 てことで、アイス様@みやるり素敵。

 ……文章のつながりがおかしいですが、キニシナイ! しーらんの方が違和感なくハマると予想しつつも、みやるりアイス様のこそばゆさに乾杯!!

 女はべらしてウハウハで指さしダンスで、腰振って回して、バチコーンとウインク決めて。
 友人のkineさんが「スーパーアイス様タイム」とか言ってたけど、まさにソレ。アイス様のアイス様のためだけの、素晴らしい見せ場がある。

 みやるりやしーらんに興味がある人は、是非彼らがアイス様を演じているときに見に行って欲しい。アレは、一見の価値がある(笑)。

 とにかく、作品がどんだけツッコミ満載でも(笑)、ファンアイテムとしてアリだと思うよ。
 キャストのファン、星組のファンなら楽しめる!!
 『EXCITER!!』のMr.SOのロールスロイスのことは、ナニも考えたことはなかった。
 たしかに初演で最初に登場したときは、その小さな車に大人がふたりの押し込まれている姿に笑ったけれど、それ以上にMr.SOの前髪に釘付けで終わっていた。

 が。
 再演になった今。

 壮くんの足コギを、この目で見た!!ときに、震撼した。

 前方上手端にたまたま坐った回があった。
 ここってクラブ場面で絡むえりまつの絶好ビューポイントだよね、てな程度の認識だったんだが。なにしろ端っこだから、舞台ナナメだし。

 「Mr.YU」のミュージカル場面で、車通勤の人たちがいる。小さなベニヤ板製の車に乗った彼らは、すごい勢いで下手から上手へ走ってくるわけなんだが。
 動力が別にあるよーには見えないから、自分たちで動かしているんだろうことは、想像がつく。
 だが、想像がつくことと、実際、この目で見るのでは、破壊力がチガウ。

 ちいさなローラー付きの台のよーなものにまたがった壮さんが、膝から下を高速回転させて、足コギしてるのよ、アレ!!

 上手端だと見える。ベニヤ板の裏が。

 カオは客席の方に向けてMr.SOとして演技してるんだけど、足は高速回転。
 2等身のカラダにえりたんのカオが乗っている、ような違和感。
 そしてその不思議なイキモノが、こちらに向かって爆走してくる!!
 スピード早っ。
 足コギ早っ。

 いやあ、もお……。
 すごいもん見ました。
 思わず口元押さえた……「ぶはっ!!」って、マンガみたいに笑った……爆笑シーンで良かった、みんなも笑ってるからわたしの笑い発作も目立たないはず……あ、あれは破壊力ハンパねえぇぇ……ありえない……。

 えりたんに恋に落ちそうな一瞬でした。

 あの水面下で足掻き続ける白鳥のような姿を見たら、恋に落ちますよ……たまらん……。ハァハァ。

 
 そのえりたんの誕生日にも観劇していたわけなんですが、クラブ場面で壮まつの絡みが多くて眼福でした。

 初日とその翌日、まっつはひとりでぼーっと立っていることが多く、壮くんとはあまり絡まず。
 初演『EXCITER!!』では、なにかといちゃくらしてたのしませてくれた、壮くんとまっつ。東宝になるとフジイくんの了承を得たのか、なんとなくライトも明るくなり、椅子も客席側を向いて置かれ、「さあ、見てくれ!!」と言わんばかりに変更されていて、その慎みのなさにかえって赤面したものですが(笑)。

 なーんだ、再演ではリセットされてる。
 ライト当たってないから暗いし、椅子も舞台側だ。

 まっつもすっかりリセットされて、壮さんには興味ない様子。

 ……が。

 んなこたぁーない。
 回数見るウチに、いろいろキました、小芝居。

 なかでもやっぱ、壮くんの誕生日はやたらめったらいちゃついてました。
 肩に手を置くわ、耳元でなんかささやいてるわ。坐っている壮くんにカオを近づけて、なにか耳元でこそこそ話している姿なんざ、ごちそうさまですよ。

 お互いに接触度高いんですねー。
 まっつはわりと遠慮しぃというか、相手を触っている、風でも実際には何ミリか手が浮いている感じ。衣装を汚しちゃいかんとでも思っているのか。
 壮くんはおかまいなしに、相手に手や腕を置いたりしている感じ。

 別の日だけど、壮くんの席にまっつが勝手に坐っちゃって、壮くんが現れると大仰に席を譲ってみせたり……仲良しだなあ。
 仲良きことは美しきかな、てことで、ほんとに美しいですな。黒タキの色男ふたりがじゃれている姿は。

 ムラ千秋楽とかニュース用カメラしか入らないし、入ってもまとぶんと蘭ちゃん映していて上手端なんて映らないんだから、壮さんいっそ、まっつのこと思い切りいじってくんないかなー、組替えの想い出作りに(笑)。

 
 んで、今度は前方下手端に坐ったときに、はじめて気づいた。
 わたしが上手端の壮まつに釘付けになっているあたりで、下手端ではちゃんとライトもらって、蘭ちゃんにみつるくんとかか絡んでたのねー。
 いいなあ、ライトもらってるから、明るくて見やすくて。
 壮まつなんか暗いから、遠いと見にくいんだよーっ!(本筋ぢゃないんだから当然です)

 はじめて気づいたといえば、まとぶさんの客席降りもね……うふふあはは、「『EXCITER!!』って客席降りないよね?」「ナイナイ、銀橋に階段ついてるけどアレ、ポーズ取るときに使うだけだし!」てな会話をしたまっつメイトなわたしたち。
 まっつ見るのに必死で、まとぶんが客席降りしてるの、マジで失念していた……初演フタ桁見て、再演もリピートしてる立場で。
 自分が前方席で、まとぶんが目の前まで来てくれてはじめて気が付いた……うふふあはは、ソレってボケすぎよ、こあらった。

 だってだって、後ろの隅からオペラでご贔屓だけガン見していたら、他でナニが起こってるかさっぱりわからないんだもん。
 客席降りでかまってもらえるよーな席にはまず坐れないんだしさっ。

 めずらしく坐った前方席で、ふと気づくとまとぶさんが目の前にいて、「え、なんでこんなところにゆうくんが?!」とびびる。(前方席でオペラばっかのぞくのは大概にしましょう)
 そっから先は、まとぶさんに釘付けで、気が付いたらまっつ、銀橋渡って行っちゃってたんだなこれが! あああ、二兎を追う者は一兔をも得ず~~!!

 
 まあそんなこんなで、通ってます。

 167.5cm。

 はるちゃんの、男役時代の身長です。

 で。

 167cm。

 今も男役でがんばっている、まっつの身長です。

 で。
 『EXCITER!!』にて、このふたりは今、恋人同士です(笑)。

 はるちゃんの膝、がんばれ!! まっつより小さくなるんだ、負けるなガッツだ気合いだ!

 韓信様@みわっちに寄り添う桃娘@だいもんぐらい、はるちゃんががんばってくれているのが、いじらしいです(笑)。
 はるちゃんなあ、転向してもしばらくはそのままの身長で通してたから、「組内高身長順一覧(男役は青字、娘役は赤字)」を作ると、まっつより上にいたんだよね、赤い文字で書かれたはるちゃんが……(笑)。

 それが今、改めて彼女の身長をチェックすると。

 164cmになってました。

 立場が変わると、身長も変わるんですよね。

 まっつは雪組に行ったら、身長表記変わるのかなあ……。(その昔、汐美さんは「雪169cm」→「月167cm」と組替え後1年くらいで変更してました。組によってチガウんだね……笑)

 てことで、「2010 Handy Takarazuka Otome Flower Troupe」買いました。
 なぜかこのへっぽこサイトからは、Amazonにリンク貼ることもできませんが。(ふつーの「おとめ」とか「歌劇」とか、水しぇんメモリアルブックとか、いくつかはできるのに。同じAmazon取扱商品なのに……謎)

 まっつ167cm、はるちゃん164cmなぁ……。(含み笑い)

 去年は買わなかったのに、今年買ったのはひとえに、花組のまっつが最後だからです。

 「ハンディおとめ」なんて、「おとめ」持ってたらいらないじゃん、贔屓組はかなりの範囲で顔わかるから携帯型名簿なんて不要だし、顔がわからないよーな他の組、わざわざお金出して買わないし、発売意義がわかんない、と思ってました。
 だから去年はスルー。

 そしたら今年はすげー残念な表紙になっていた……。
 去年の表紙がセンスいいとは特別思わなかったけれど、今年のよりはマシだ……なにあれひどい。
 トップスターさんはみな美しく、彼らが悪いわけではまったくないんだが、とにかくこのデザインはあんまりだ。

 花組のまっつのために、買ったけどさー。ぶつぶつ。

 
 それはまあさておき。

 『EXCITER!!』のハバナの場面では、相手役がはるちゃんになってます。
 まっつに合わせてか、眉を八の字にして儚げに寄り添ってくれてます。ちょっとやりすぎなくらい、たおやかな女の子を演じてくれてます。……もう少しふつうでもいいぞ、はるちゃん?(笑)

 はるちゃんはドリームガールズのときの「イイオンナ」っぷりが大好き。美人でいろいろと大きくていかつくて。あのガツンガツンくるところが大好物。
 その彼女が気合い入れて薄幸キャラを演じているのは、前が薄幸の代名詞だったれみちゃんだったから?
 それとも演出なのかな?

 まっつがあんまし彼女を顧みていない感じなのがまた……。
 このハバナ場面では、女よりも男……もとい、友情重視なのは変わってないようです。
 でも、今回も歌ウマの美人さんが相手役でよかったね、まっつ!

 まっつはいろいろとノリノリで、登場場面で壮さんにアピールしたり、みつるとハイタッチしたり忙しい。

 チャラ男らしく人の女にちょっかいかける壮さんに「やめとけよ」と言うあたりの、ナニ気なスキンシップの高さもツボ。
 触らなくてもいいとこで触ってるのはイイですねー。

 乱闘場面の相手はだいもん。……もうマメはいないもんなあ。
 そして、まっつを抱き留めるのは、またしてもらいらい。

 らいがあの大きなカラダで、ひょいっとまっつを抱き留めてしまうのがイイです。
 まっつがそれを振り払うのもイイです。

 んで、ファヌン様@まとぶん降臨で吹っ飛んだあと。

 前髪ぱらりの角度が、めちゃくちゃ美しい。

 上手から眺めるこのときのまっつが絶品!
 倒れ伏して、上体を起こした態勢のまましばらく伝道ソングを聴いているんだけど、このときの髪の落ち方とその下の輪郭がイイんですよ。
 額から鼻に掛けてのラインの端正さ。

 わたしはまっつの鼻を好きだ好きだとゆーてますが、おでこも好きです。
 理想的なラインですよ。出っ張り過ぎもせず丸過ぎもせず。ナナメとか横顔になったときに、おでこの美しさが光ります。
 そこに、長い黒髪がばさりと落ちているわけですよ。
 乱れた前髪の間から、ファヌン様を見ているわけですよ。
 くうぅ、かっこいー。
 ライトほとんど当たってないけど。角度的に、上手からでないとろくにカオ見えないけど。

 んで、初演に引き続きじゅりあと仲良くして、らいとも仲直りして。
 はるちゃんはじゅりあの向こうにいるのに、一顧だにしない……恋人なのに……。

 初演でも最初はれみちゃんガン無視だったのに、あとからアイコンタクトしたり手を取り合ったりするよーになっていたから、これから変わっていくのかな。
 演出ではとくに、ここでカップルで愛をたしかめあうよーにはなっていないんだと思う。なにしろ人類愛の伝道だから、自分の恋人とかゆー小さな愛ではいかんのでしょー。
 でもやっぱ、女を取り合って刃傷沙汰、の直後、恋人無視して他の女といちゃつくのは変だと思う、フジイせんせー。

 まっつらしからぬ満面の笑顔、恐竜みたいな歯を見せて笑っている姿に癒される。
 あああ、まっつ笑ってるーー、と思ったあとに、例の歌が来ますから。

 あんだけガンガンに踊り狂ったあと、揺るぎもしない声で、歌い出す。
 その正確な歌声にびびる。
 すげえなヲイ。

 泣けといわんばかりの演出をありがとう。
 あざとい、あざといよフジイダイスケ!!(笑)

 でも、そのあざとさに、素直に泣くよ。
 祭りのあとのような寂しさ、夕暮れのような切なさのなか、まっつの声が響き渡る。

 ハバナ場面ではまったくの無関係だった一花を相棒に。
 まっつと一花。
 『EXCITER!!』オープニングで、組んで踊っているふたり。

 『EXCITER!!』全体が、ひとつの物語であり、それを通してまっつと一花はコンビであるかのように。
 それぞれ他の相手と踊るけれど歌うけれど、最終的にここに収束する、みたいな。
 物語が今、終わるような。

 そしてパレードでは、やはりこのふたりがにこにこと歌いながら階段を降りてくるし。

 一花の公称身長は、157cm。活躍しているわ、「ハンディおとめ」(笑)。
 いろいろとありがとう。
 まっつといえば黒髪。黒髪と言えばまっつ。
 タカラジェンヌにあるまじき、黒髪キャラを通す未涼亜希さん。

 初日とその翌日に見たときは、相も変わらぬ真っ黒けぶりで安心し……でも、『麗しのサブリナ』の水色スーツとのバランスの悪さにびびったもんですが。

 1週間後に見たときは、髪の色が変わってました。

 黒は黒なんだけど、真っ黒じゃなくて、茶色っぽい明るい黒になってる。
 ボリュームも抑え気味にして、水色スーツがそこまで変じゃない。

 おお、変えてきましたか!
 舞台人たるもの、板の上で進化していくわけっすね。

 ライナス@まとぶんの秘書、ウィリス@まっつはいかにもまっつらしい役。
 ヘタレ系の愉快な青年役って、若いころはそんな役ばっかやってなかったか? まっつは動きがおもしろいためか、そーゆー役が妙にはまる。

 ウィリスは優秀な秘書なんだと思う。
 そして、堅物のライナスに仕えているだけあって、見た目は重視されていない。

 ウィリスがいまいち野暮ったく見えるのは、スーツのボタンを留めていないこともあると思う。
 中にベスト着用した上でのジャケットのボタン解放はいいけど、ワイシャツだけなのにボタン解放分厚いネクタイ動きまくり状態は、決して美的ではない。

 てゆーか、この作品のリーマンでベスト着用してなくてジャケットのボタン留めてないのって、ただひとりウィリスだけだよね? 『EXCITER!!』のフィットネス会社の面々だってベスト着用してるぞ(笑)。
 ひとりだけなんかおとーさん臭いスーツ姿なのは、そのせいか!(笑)

 仕事もプライベートも充実、女にモテモテ……なエリートではなく、「仕事は出来るけどモテない君」なんだろう。
 相棒のマカードル@一花がまさに「仕事一途で女捨ててます」系のとんがった女史風であるように。

 着こなしが野暮ったい上、KYな明るい水色スーツ。横にいるのは「ザマス喋り」をしそうなインテリ眼鏡の女史。
 このふたりが、無表情にしれっとシンクロした動きをするのが楽しい。
 ライナス様の言動をすべて理解し、短い台詞だけで的確に動く。

 ウィリスの「仕事できます」面はマカードルと共に真面目だからこそ愉快な感じになってる。ミニマムなふたりが無表情に同じ動きをするおかしさ。
 ライナス様の目の前でないところで見せる、「やれやれ」なカオ。
 最初から、ウィリスとマカードルは目配せしたりで、人間的な会話してるんだよね、ふたりだけで。

 そう、ウィリス君はどんどん顔芸が細かくなっていってる。
 まっつなのに、いちいち表情がよく動いてるんだよなあ。

 何年ライナス様の下にいるのか知らないけど、プライベートの話などせず、仕事一直線のライナス様に仕えているんだろう。
 どっかの下院議員のよーに秘書と銀橋に坐り込んで人生語っちゃうよーな関係ではないにしろ、ライナスは専制君主であっても恐怖政治をするわけじゃない。部下は全面的に従って反論もしないけれど、感情は出していいらしい。
 ライナス様、けっこー意見ころころ変えてるわけで、ウィリスはそのたび眉をハの字にしながらリアクションしている。

 驚いていいんだ、感情的でいいんだ。
 そーしてさらに、余計なコメント(意見)をして、いいんだ。

 サブリナ@蘭ちゃんを迎えに行ったウィリスは、彼女をライナスへ引き渡すときにいらん一言を付け加えている。
 女性関係(しかもあんなに年下の若い子)について、部下に突っ込まれるのは嫌だろうに、ウィリスは調子こいてコメントする。
 しかも、カオ近づけすぎて。

 「魅力的なご婦人です」だっけか、これみよがしにサブリナを誉めライナス様にすげー嫌がられるのがイイ。最後の「ね」のタイミングがからかいムードだったり「やべ、余計なこと言った」と離れる瞬間だったりは、そのとき次第なのか?

 このとき、ライナス様のカオに「近いって!!」と書いてあるのがイイ。
 チューでもできそーなほど、無意味に接近しているのがイイ。
 んで、思いっきり嫌がられて、しれっと身を正すのがイイ。

 そのあと、マカードルとふたりで歌い踊ることになるんだが。

 なにかとシンクロするウィリスとマカードル。
 同じ動きをあったりまえにしちゃうくらい息のあったコンビなのに、それはあくまでも仕事の上のことで。
 息が合いすぎて接触しちゃうと、そのたびに相手を意識して離れる。てのを、繰り返している。

 ……どこの中学生だ(笑)。
 手を握っちゃってあわてて離す、顔やカラダが近づきすぎて、あわてて離れる。
 ふたりの間に言葉はイラナイ的に2コイチで動いているくせに、やっていることは思春期の少年少女。

 その姿が、可愛すぎる。

 んでこのふたりが、ライナスからもらった芝居のチケットでデートをして。
 翌朝はふたり揃って遅刻。ウィリス曰く、「興奮して眠れなかった」ためだとか。

 はにかんで喋るウィリスがキモ可愛い(キモい言うな)んだが、それ以上にツボなのは、マカードルの髪型。

 あれほど「女捨ててます」なキツイ女史風な女性だったのに、恋をするなり髪型変えてるんですよ、乙女ちっくに!(笑)

 なにソレ、まっつのため?! まっつのためにそんな可愛いことしてくれるの、一花?!(落ち着きなさい)

 いやとにかく、このカップルの物語は、ソレだけで十分楽しい。
 どっちも異性に縁がなさそうなので、割れ鍋に綴じ蓋っつーか、手頃なところでくっつけて良かったねっつーか。

 このふたり的に最後の場面は、自分の心に正直になったライナスが、オフィスを飛び出していくところ。

 ライナス様を見送って、ふたりで手を取り合って喜んでるの。

 初日とその翌日は容赦なく暗転されてよく見えなかったけれど、次に見たときはライトが残って、見えるようになっていた。

 照明さん、ありがとう!!

 や、演出家の指示なのかもしれませんが。
 初日とその翌日、「見えねーんだよ、もっとライト残してくれよ!!」と口惜しく思っていただけに、今はナニ気にふたりが見えるようになっていることが、うれしくてならない。他は暗くなってるのに、一瞬とはいえここにライト当ててくれてるもんよ。
 作品の本筋にはまったく無関係で、邪魔にならない小芝居なんだ、あってもなくていいのに、それをちゃんと拾ってくれたのがうれしい。

 なんか、ここもハッピーエンドなんだ、ってわかって、すごくほっこりする。

 女の子とデートをするライナス様を訝しんで歌っていたのに、彼の恋の暴走に小躍りして喜んでるんだよ。
 ライナスのそばにいた秘書ふたりが、彼の恋の応援団になっていることが、うれしい。
 そーやって損得なしに応援したくなるボス、そして恋。……そう思わせることは、ライナスの格を上げるよね。

 
 ウィリスはあちこち可愛くてカユくてたまらんキャラなんだが。マカードルとのコンビぶりが最高なんだが。

 いちばん好きなのは、張良先生ばりのいらんツッコミ「返品できると良いけど」を入れたあとの、満面の営業スマイルだ。 
 胡散臭さNo.1!! ビバまっつ!!
 スケジュール帳を眺めていて気が付いた。

 巻末のスタープロフィール欄。
 2010年スケジュール帳には、2番手が壮くん、ゆみこ、キム、かなめくん、らんとむが載っている。

 雪組にはふたり2番手が載り、月組には2番手がいない。

 ……ほんとーに、現在キムが雪組2番手だ。手帳、間違ってない。正しい。

 そういや以前、2番手欄に壮くんが載らず、月組にゆーひくんときりやんが載っていて、結果としてゆーひくんが花組2番手に収まり、壮くんは3番手据え置きだったりしたっけ。

 年間単位でスケジュールを表す手帳だから、将来を見越した作りになっているのかな。
 まあキムくんは2009年から2番手枠に掲載されていたので、ここに2番手として載ったからってその年のウチにどうこうってもんでもないんだろうけど。

 そして来年、2011年の手帳には、月組にふたりの2番手としてまさおとみりおが載るんだろうな。

 となると。
 ここで疑問を持つわけだ。

 雪組には、2番手が載るのか。

 過去の手帳を見ても、学年が低かったり新米だったりする2番手は、あえて載っていないことがある。

2007年 花-まとぶ、月-ゆうひ・きりやん、星-ナシ、雪-ゆみこ、宙-タニ・らんとむ(トウコは前年11月にトップになったばかり、2月からタニがトップ)
2008年 花-ナシ、月-ゆうひ・きりやん、雪-ゆみこ、星-れおん、宙-らんとむ(1月からゆうひ花)
2009年 花-ゆーひ、月-きりやん、雪-ゆみこ・キム、星-れおん、宙-らんとむ(7月からゆーひがトップ)
2010年 花-壮くん、月-ナシ、雪-ゆみこ・キム、星-かなめ、宙-らんとむ(4月からキムが2番手、9月にはトップ)

 ……らんとむ、2番手長いな。
 来年も2番手なわけだから、ゆみこを抜いて手帳2番手掲載枠最長の人ですな。少なくとも5年分か。

 前年11月にトップになったばかりの星組トウコの2番手が掲載されなかったり、前年12月末にトップになったばかりの月組きりやんの2番手が掲載されなかったりしたわけだから、今年9月からトップになる雪組キムの2番手が来年掲載されない可能性はある。

 なにしろ、手帳の発売は11月だからだ。
 11月現在でまだトップが変わっていない場合は、2番手が掲載されていないようだ。
 また、2番手枠は5枠疑惑がある(笑)ので、月組が2枠独占するため、雪組枠が消失するかも? 花、月、月、星、宙で5枠かも。

 しかし、キムくんは9月からだから、2番手も載るかな。

 いっそとっとと載せて欲しいのですよ。
 ちぎくんが単独2番手でしょう? 劇団の今までの扱いからして、学年が上だからとまっつがちぎくんの上に入るわけないじゃないですか。W2番手すらありえないっしょ。
 
 まっつがもしも2番手としての組替えなら、10月の『サブリナ』東宝楽と来年1月の『ロミジュリ』ムラ初日の間に、ディナーショーやってますって。
 らんとむもかしちゃんもゆーひさんも、栄転で期間の空いている人はみんなやってますって。劇団はスターを遊ばせないもん。
 組替えして間が1ヶ月も空いてるのにお仕事ナシって……あ、ゆみこも花→雪の組替え時、そうだったっけ……。1ヶ月以上軽く空いてたのに、DSはなかったなあ。こんなところにも、劇団の意志が……ぶつぶつ。

 まっつの立ち位置が心配でならないのですが、とりあえず、今年の11月には少しは見えてくるのかなと。
 いいんだ、どんなことになったって、まっつはまっつ、ついていくんだから!

 
 今年の手帳にお茶をぶちまけてしまい、ページががびがびなので、早く新しい手帳が欲しい、というところからこんな話まで発展しましたのことよ。
 嘘と本当がわからない。

 『麗しのサブリナ』がいまいち盛り上がりに欠けるのは、翻訳調の台詞回しや演出の間延び感にあると思う。場面と場面のつなぎの悪さ、暗転の多さ、もったり感は如何ともしがたい。

 それに加えて、ライナス@まとぶんのわかりにくさ。

 はじめは嘘だった、それが真実の恋になる。
 んじゃライナスは、いったいいつからサブリナを愛していたのか。
 またそれを、いつから自覚していたのか。

 作品から見えないのだわ。
 それが原作の縛りで、描くことが禁じられているせいなのかもしれないけど。

 サブリナの心情変化は丁寧に描いてあるんだけど、ライナスはなー。
 映画なら些細な目線や表情で表現可能かもしれんがココ、大劇場だから。2500人収容の国内有数の巨大ホールだから。

 まとぶんはきっと、なにかしら考えて演じているんだと思うが、ごめん、わたしにはわからない。
 ライナスがいつサブリナに本気になったのか。
 最初のテニスコートからかもしれないし、デートのあとに我に返るところかもしれない。
 まとぶさんは基本ハートフルだから。冷酷にはならないから。いつだって愛情があるんだもん、すべてのことに。
 おかげでわっかりにくいったら(笑)。

 主人公の片割れが読みにくいと、そりゃー盛り上がるのが難しいだろうよ。
 カタルシスの少ない、平坦な話になるだろうよ。

 しかし。

 ライナスがわかんないから、イイのだ。

 えー、わたしが問題だと思うところをくどくどつついておりますが、前提として言っておきます。
 わたしは、この作品好きです。

 欠点はあるけれど、とにかくかわいい物語なんだ。何度もそればっか書いてる気がするけど(笑)。
 胸キュンな物語、魅力的なキャラクタ、きれいな画面。
 地味だけどいい作品だと思うのよ。

 てことで、ライナスも、実は今のままで十分たのしんで見ているの。
 彼にこれといった答えが見えないので、勝手に考える。その日の気分で、好きに。
 最初から好きだったのにあえて否定して、とか、無意識に鼻歌は歌っちゃうけどあくまでも仕事だと思い込んで、でもなんか暴走している、とか。

 でもって。
 ライナスがわからない、彼に答えが出ていないと。

 サブリナ視点で、萌える。

 あのイケメンがですよ、弟の代わりで仕方なくつきあってくれているオトナの男が、なんかわたしのこと口説いてくるんですけど? 「キミがいないと」とか「私は弟になりたい」とか。
 口説いてるとしか思えない言葉、熱い視線。
 だけど決して直接的な愛の言葉は口にしない、距離が近づくと身を翻す。

 わからない。
 だから、どきどきする。
 現実の恋と同じように。

 口説かれている、好意を持たれている、でも答えはくれない、全部わたしのカンチガイかも?
 わたしだって恋人がいる、子どもの頃から憧れていた人、それが恋だと思い込んでいた、全部わたしのカンチガイなの?

 ナニが嘘、ナニが本当?
 自分も心も、そして彼の心も。

 んで、ナニがたのしいってあーた、その小娘感なんですよ!

 ものすごーく年上のセレブ男性との恋。
 こっちがテンパっちゃってビルの1階まで来て「やっぱり会えない」って言ってるのに、騙して迎えに来ちゃったり、なにもいらないそれどころじゃないって言ってるのに、「私は飲むぞ」って勝手に飲み物作ったり。
 わたしってなんて子どもなんだろう! 恥ずかしい、こんなの。……そうやって涙が出ちゃうところに、ハンカチ差し出されるとか。
 あーもお、いちいち、わたしが「小娘」だと教えてくれる。
 パリ帰りで垢抜けて、若い男の子たちにちやほやされて。すっかり大人になった気でいたけれど。素敵な男性と対等に恋ができると思ったけれど。
 そんなことぜんぜんない、わたしは悲しいくらい子どもだ。世間知らずの小娘だ。

 てのが楽しくてならない、だってわたし、おばさんだもん(笑)。
 もう、あんな「小娘」として、大人の男性と恋できないよ~~。
 だからこそ、こちらからはまったく真意の見えない、「わからない」ライナスが素敵なの。
 現実では味わえない「背伸びした恋」を疑似体験、ロールプレイングできちゃうんですよ!!

 ゆらゆら揺れるヲトメゴコロがたまらん。
 久しくなかったトキメキ(笑)ですよ!!

 あのいつもぶっちぎり上等暴走あんちゃんのまとぶさんが、抑えたオトナの男やってんですから。彼の場合、そのギャップだけでも十分おいしくいただけます(笑)。

 まとぶんには「愛してる」って真正面から言っちゃうキャラが似合うでしょ? だからいっつもそんな役、愛愛愛愛うるさいくらいに。
 それが今回は、「匂わすけれど、決定打は出さない」んですよ。告白していると同じな態度は取るくせに、言質は取らせないんですよ。
 だから可哀想にサブリナは振り回されちゃうんですよ。期待させられて、突き落とされて。あああ切ないー。

 強引にキスしちゃったり、「私は弟になりたい」「もし君が弟の恋人でなかったら」とか言っておきながら、愛の告白はしない、情熱が見えるのに踏み出さない、寸止めまとぶんですよ?! はじめて見る! ときめく~~!!
 いいわぁ、ライナス……。

 でもなんかまとぶん、回数重ねるごとにエンジン掛かってきてる気がする……。そのうち出会ったときから恋愛ダダ漏れなあんちゃんになるかもなー。それはそれで楽しそうだ。
 今は今のライナスを楽しむ。ナマモノの醍醐味。

 
 あー、恋愛モノはいいですな。
 悪人が出てこない、ハッピーエンドな物語はいいですな。
 ふつーの少女が美女に変身して、セレブな大人の男性と恋に落ちる、シンデレラ・ストーリーはいいですな。

 ドラマティックなカタルシスには欠けるけれど、じんと胸のあたたかくなる物語。
 ちなみに毎回泣けます、わたし(笑)。
 あー、サブリナかわいい~~!! ライナス好き~~!! デイヴィッド萌え~~!!
 ここまで、著作権についてうるさく言われる公演があったろうか。

 『麗しのサブリナ』は、スカイステージにて、前代未聞の放送制限されまくっている。

 今まで『エリザベート』など「3分以上の放映ができない」とかいう制限はあった。そのため通常15分放送していた「ステージ・インフォメーション」が3分の縮小版だったりはした。
 だが、タカラヅカニュースではふつーに放送された。本編3分間であったとしても、フィナーレや挨拶も付けて、ふつうの分数、ふつうの回数。

 それが『麗しのサブリナ』は、ありえない制限。
花組公演『麗しのサブリナ』稽古場、舞台ダイジェスト映像放送予定
●宝塚大劇場公演 稽古場映像
7月29日(木)「タカラヅカニュース」22:00放送回のみ

●宝塚大劇場公演 初日映像
7月31日(土)、8月1日(日)「タカラヅカニュース総集編」で、全ての放送回

●宝塚大劇場公演 新人公演映像
8月19日(木)「タカラヅカニュース」22:00放送回のみ

●宝塚大劇場公演 千秋楽映像
8月31日(火)「タカラヅカニュース」 12:00放送回、22:00放送回の2回
  ↑スカイステージ公式HPより

 名だたる海外ミュージカル以上の制限を付けまくるほどお高いお高い『麗しのサブリナ』様だ、きっと公演本編にも制約が山ほどあったんだろう。
 台詞を変えてはならないとか、場面順を変えてはならないとか、理不尽な制約を突きつけられ、仕方なかった部分も沢山あるんだと思う。

 思う、けどさ。

 もう少しなんとかならなかったのかねえ。

 ……スカステへの文句ではなく、中村A演出についてです、ええ(笑)。

 『麗しのサブリナ』は、とてもかわいい物語だ。
 わたしは好きだ。
 きゅんと切なくて、じんわり泣ける素敵な物語。

 でもさ、全体的な平坦さ、盛り上がらなさと、つなぎの悪さ……よーするに、わかりにくさはどうなの、と思う。

 わかりにくいのよ、全体的に。
 それで盛り上がりにくいのよ。

 なにしろ初っぱなから、ライナス@まとぶんがラヴソングを歌うし。

 物語と無関係なオープニングでなら、ナニを歌ってくれても構わない。それこそ植爺の『ベルばら』みたいに、本編と無関係のドレスきらきら壮大ソングでも。

 だけど『麗しのサブリナ』は、オープニングなし、いきなり本編だ。
 ストーリーテラー@みわっちが人物紹介をする中、ライナスがラヴソングを歌い出す。
 現在進行形の歌だ。今現在、恋人がいる歌だ。

 何故、この歌……?!(白目)

 ライナスの設定は、堅物で女に興味なしの仕事人間だ。妻も恋人も愛人もいない。
 なのに何故、「登場人物紹介」で「ラヴソング」なんだ。どんなキャラかわかんなくなるだろーが。

 そして、サブリナ@蘭ちゃんとの出会い。
 ……使用人の娘だからもちろん知ってはいるけれど、彼女を気に掛けるきっかけとなる事件。
 それが、「締め切ったガレージでたかだか車1台のエンジンを吹かすことで一酸化炭素中毒で死のうとする」サブリナを、そうとは知らず助けてしまうコトなんだが、ここでなんで一言「死ぬ気か?!」とか「扉を開けておかないと死ぬぞ」って言ってくんないのかなー。
 自殺未遂、を台詞で印象づけて欲しいんだが、そのものズバリを言ってはいけないという原作の縛りがあったのか?

 そしてなにかと苦しい「くすりと笑える会話で、とーとつに暗転」。
 洋画によくある手法だけど、ここでは成功しているとは思えない……。オシャレな会話がテンポ良く展開され、ここぞってなときにぶった切るから「くすっ」とできるわけで、もったりした演出とのっそりした暗転では、観客が置き去りにされまつ……。
 それなら会話途中で暗転させず、その後のオチまで芝居を続けてしまえばいいのに。
 フェアチャイルド@はっちさんの「まだ好きです」はいいとしても、デイヴィッド@壮くんとライナスの「女にいくら掛かったか」は空回りが半端ナイっす……。

 第一、その「オシャレな会話」ってのが、現代語ではないっつーか、なめらかに感じられないんですが、あちこち。
 もう少し、「今」わかりやすい表現があるだろうと。
 原作の台詞を変えてはいけないせいなのかもしれんが。

 んで、暗転がのっそりしたイメージなんだが、とにかく場面場面のつなぎが悪い。
 ひとつの場面が終わると、しばらくぼーっとした時間がある。盆が回るのを待たされたり、えんえん暗転だったり。
 ストーリーテラー@みわっちがいるんだが、彼は途中から「ウォーリーを探せ!」的にモブに混ざっている妖精さんになり、ストーリーを語ってくれなくなる。
 時間と場面転換稼ぎの暗転や装置移動させてるときに、語り部さんを使えばいいのにー。あらすじを言わなくてもイイから、前場面と次とをつないでくれるだけでいいのに。

 カーテンの有無と立ち話で話を進める植爺も大概だが、すべての場面ごとに数秒必ずぼーっと待たされるのは、起動の遅いPCやロード時間の長いゲームみたいで、興醒めするんだよなあ。

 それとも場面ごとに数秒黒画面やなにもない画面を入れる、とか、契約条項に入ってるのかしら。

 で、実は物語が平坦になっているいちばんの理由は、主人公の考えていることがわからないことにある(笑)。

 サブリナの気持ちが揺れ動いているのはよくわかる。
 が、いくらタイトルロールがサブリナでも、ここは男役至上主義のタカラヅカ、ライナスがどう考えているかが重要なポイントのはずなんだが。

 女に興味ナシの堅物のはずが、ラヴソングを歌って登場したところからすでに相当アレなんだが、その後も彼は実にわかりにくい。
 彼がいつサブリナを愛したのか、表現する場がナイんだ。

 サブリナ中心で心情が盛り上がって歌、とか、幻想のダンス場面、とかにはなるけど、ライナスの心情中心ではない。
 愛し合っているんだけど、すれ違っている、という図式にならない。ライナスがわかりにくすぎて。

 ふつーここでライナスの心情吐露の歌とか入れるべきだろう!てとこで、のったり暗転、ふつーここで主人公たちの気持ちを盛り上げるだろう!てとこで、のったり暗転。
 おーい。

 板挟みになっているサブリナとライナス、それぞれの苦しい胸の内を歌にするとか、できるだろうに。
 サブリナはともかく、ライナスこそは「騙す立場」である以上、苦悩させておいた方が、それを全部ひっくり返す展開が生きるだろうに。
 ライナスは言動不一致、やることがころころ変わるんだが、そうなるまでの気持ちがわかりにくいので盛り上がらない。

 うん、きっと相当きつい原作縛りがあるんだな。
 映画と舞台、ストレートプレイとミュージカル、表現方法がチガウんだってことを、アタマの固い原作サイドが認めてくれなかったのね。
 それでこんな「映画なら良かったかもしんないけど、舞台でこれはどうよ」な演出がてんこ盛りなんだわ。
 悪いのは著作権とか版権とかそっちの方なのよね、中村せんせ?
 壮一帆が楽しい。

 『麗しのサブリナ』で、いちばんかわいいのは、愛されキャラなのは、実はサブリナ@蘭ちゃんではなく、デイヴィッド@壮くんだ。

 本能と感情とそのときの気分だけで生きているナマケモノ。
 大金持ちの家に生まれ、優秀な兄がすべてを背負ってくれていて、お金と時間と愛情だけ浪費して生きてきた超お気楽モノ、それがデイヴィッドだ。

 悪意のないプレイボーイなえりたん、って、一体何作観てきただろう。どの演出家も壮くんにはそんな役をアテ書きたくなるのか。

 いつものえりたんな役で、目新しさはない。
 陽気なチャラ男で憎めない二枚目、女の子にモテモテでいつも嬌声をあびている、てのは見飽きたくらいだ。

 しかし。
 目新しさがなくても見飽きていても、この愛されキャラっぷりには、感動する。

 デイヴィッドが何故デイヴィッドなのか。
 見ていると、わかるよ。納得するよ。
 3回も結婚して離婚して、4回目の結婚(しかも婚約者を無視してサブリナと)をしようかっていう、この半生。
 定職に就かず、仲間たちと遊び暮らす毎日。
 なんでこんなトンデモナイ男なのか。
 その答えがわかる。

 その、天使の笑顔。

 使用人ズにあきれられたり、パパ@まりんやママ@ちあきさんに叱られたりはしているけれど、それでも見ていればわかる。誰も彼を嫌っていない。結局のところ、愛されている。

 傷ついたお尻をさらして横たわる、なんともみっともない姿でなお、ライナスおにーちゃん@まとぶんに甘える姿。
 自分の頼みを、おにーちゃんが断るとは思っていない。

 彼は疑っていない。
 自分が否定されること。拒絶されること。

 どんだけ愛されてきたんだ、デイヴィッド。
 他人から否定される経験がない30男。(年齢知らんのでえりたん年齢。……って、ジェンヌはフェアリーですってば)
 ただ無条件に愛され、与えられてきた。だから彼は疑わない。天使の笑顔でおねだりをする。

 パパもママも、そしておにーちゃんも、デイヴィッドを愛しまくり、甘やかしまくってきたんだ。
 口先だけできついことを言ったり叱ったりしても、根っこでダダ甘だったんじゃあ、デイヴィッドの性根を鍛えることにはならないって。
 そしてデイヴィッドも、家族のそーゆー愛情を一身に受けてすくすくのびのび育ちまくったんだろう。

 お金持ちのおぼっちゃまである以上、世間の人たちは勝手に彼を甘やかす。ひざまずく。
 さらに美貌の青年である以上、女たちは勝手に彼を甘やかす。寵を争う。

 すべての符丁が一致する。
 愛されまくって、このデイヴィッドというキャラクタが存在する。

 ああ、まったく。

 デイヴィッドが、可愛すぎる。

 あの愛されまくって当然、望む通りに甘やかされて当然、というカオが、超ムカつく。

 ナニこの男、大嫌いっ。地球が自分中心に動くと思い込んでる、なんの悪意も自惚れもなく、自分が愛されると思い込んでる。
 他人が自分のために動くことを、当然だと思っている。
 ムカつくムカつくムカつく。

 大っキライ。

 ムカつきまくって腹を立てて、地団駄踏んで、キライキライキライ、もお、大好きっ!!って感じ。

 思い出すだけでムカつくわー、ナニあの笑顔。くおおおっ、ムカムカムカ、可愛すぎるんじゃ~~!!
 てめー、自分がかわいいと思ってるだろー、くそー、可愛いんじゃー、許せん~~!!(ちゃぶ台返し)

 …………壮一帆さんを好きすぎて、どーにかなりそうです(笑)。

 デイヴィッドのアテ書きぶりが半端ナイ。あれは壮一帆だ。いかにも壮一帆な破壊力だ。

 演じる人によっては、デイヴィッドは嫌な男になると思う。
 悪人ではないものの、あまりに無神経で無責任だからだ。
 それをえりたんはえりたんならではのフェアリーっぷりで、異次元キャラに昇華している。
 ったく、壮一帆パネェよ。

 デイヴィッドの笑顔に、彼の半生が見えるんだ。
 物語上都合良くそーゆーキャラクタになっているのではなく、家族も周囲のモノも、とりまくものすべて経験してきたことすべてが、透けて見える。
 その説得力。

 ただの無神経アホボンではないので、彼はちゃんとサブリナとライナスの真意に気づく。愛の在処に気づき、最善の方法を取る。
 お金でも名誉でもなく、ただ、愛を選ぶ。

 それは彼が、愛されて育った男だからだ。
 いちばん大切なモノを、惜しみなく浴びるよーに与えられて育った。
 そんな彼だからこそ、いちばん大切なモノを見間違わない。

 いざというとき、すべてをひっくり返すのは、「愛」なのだ。

 この殺伐とした世の中。
 それでもわたしたちは信じる。根底にあるのは愛であり、愛がすべてを救うのだと。
 だから物語はハッピーエンドになり、虚構の人々の幸福に、観客は感動するのだと。

 そしてそれこそが、「タカラヅカ」であると。
 人々が「タカラヅカ」を求める所以であると。

 「愛」をバカ正直に大上段に歌い続けるカンパニーが、1世紀近く愛され、必要とされてきたんだと。

 ああだから。

 いざというとき、すべてをひっくり返すのは「壮一帆」なのだ。

 ファンタジーを作り上げる壮くんってのは、「タカラヅカ」まんまな存在だ。

 壮くんってほんと、すごい舞台人だなあ……。演技力がある人だとは、ごめん未だに思えないんだが、それにしたって舞台支配能力が異次元だ。
 あの感覚芝居人間のオサ様とバッチリ噛み合った人だもんなあ、そりゃ計算ではなく本能で存在するタイプだよなあ。

 デイヴィッド@壮くんが大好きだ。
 可愛すぎてムカついてたまらん。ムカつき過ぎてハァハァする(笑)。
 くそお、キライだこんな男!! 好き過ぎて許せん!!
 昔から、微妙なモノに惚れる。
 ど真ん中ではなく、真ん中寄りの脇あたり。

 少年マンガ好きだったんだか、いつも主人公には興味がなく、その仲間の地味な人だったり、敵チームの宿命のライバル、にもなれないあたりの人を好きになった。

 マンガ好きのあと、ドラマ好きになり、かなりの数を見るよーになったが、いつだってわたしの好きなドラマは視聴率が振るわなかった。
 おかげでビデオソフトが発売されなかったり。(『踊る大捜査線』だって、本放送当時は人気がなくてビデオが発売されなかったんだ)

 狙っているわけじゃない。
 わたしだって、勝ち馬に乗りたいさ。好きなモノを言って「なにソレ?」と言われるのが楽しいわけない。需要がないから市場に出回ることがなく、分母が広がらない、いつこのまま消えてもおかしくない……そんなのがいいわけない。
 好きなモノに人気がない、大多数の人から認められない、興味を持たれない、そんな状態はちっともうれしくない。

 みんなが知っていて、みんなが大好きで、世間から求められていて、絶対になくならない、大人気だからいつでも供給され続ける、そーゆーモノのファンでありたいよ。

 
 そんなわたしが今いちばん好きなマンガが、『我間乱』だ。
 マンガ雑誌の発売日をこれほど楽しみにしていたことなんて、10代の頃以来じゃなかろーか。
 毎週毎週わくわく読んで、「次はどうなるんだろう、早く水曜日にならないかなっ」と思う。出てくるキャラクタみんなが大好きで、新しく出るキャラまでみんな好きで(笑)、新キャラが出るたびいろんな意味でわくわくして(笑)、展開にドキドキして、彼らの闘いや生き様を素直に「かっこいい」と思う。
 ついでにいろいろ萌える(笑)。

 しかしこの『我間乱』ってどうなの。人気があるよーには、まったく思えないんだが。
 
 少年マンガ市場はわたしなんか「巨大な歴史の歯車の中では無にも等しい」ってなもんで、自分から働きかけるなんてことはハナからあきらめている。わたしひとりがどんだけ好きでも面白いと思っても、売り上げや人気が変わるはずがない。
 だから今までの人生で、「好き」を表現することなんかなかった。
 や、パロディ同人誌作ってコミケで売ることはあってもだ、マンガの版元である出版社に「この作品がこんなに好きなの!」と意見を出すことは一度もなかったんだ。
 わたしひとりがどうこう言っても、変わらないじゃん?と。

 でもなんかこのままではイカンのかなと思って。
 『我間乱』が大人気、出版社の愛と信頼を受けて自由にいくらでも描かせてもらえる看板作品、だとはとても思えなくて。
 むしろ、いつ打ち切られてもおかしくないあたりの人気や売り上げしかないんじゃないかなと思って。

 何ヶ月前からかな、読者アンケートを出すようにしている。

 「面白かった作品を5つ上げて下さい」「その中から、一番面白かったモノを1つだけ上げて下さい」「今週号のマガジンを買った動機となる作品を1つだけ上げて下さい」……この3つの設問に、全部『我間乱』と答えている。
 や、「面白かった作品」も最初は『我間乱』だけしか入力しなかったんだが、そしたら「最低3作は入力しろ」ってエラー出たから(笑)、仕方なくあと2作品は入力してるけど。

 んで、「今週のマガジンの良かった点・悪かった点など」の意見を書くフリースペースに、「『我間乱』の増ページがうれしかった」とか、ちまちま書いて送信してるんですよ。涙ぐましく。

 雑誌の読者アンケートなんて、友だちの作品が載ってるとき以外で出したことなかったのに!

 ちまちまアンケート出して、コミックスを買って。
 別に欲しくないけど、オリジナルグッズ・プレゼントにも応募するかな……応募数少なかったら「人気がない」と思われるかもしんないし。

 好きなら、なにかしなきゃいけないんだろうなと思って。
 好きだってこと、なくなってほしくないってこと、意思表示しておくべきなんだろうなって。
 今まで「どーせわたしひとりがアンケート出したって、ナニも変わらない」って思い込んで、ナニもしたことなかったけど。
 わたしの好きになるモノって、いつも微妙で、人気がなくて物語の途中で打ち切られるんだもの。

 『我間乱』の他は、いつも『ベイビーステップ』と『課長令嬢』を入力、他は気が向いたらなにか入力(『A-BOUT!』も好きだ)、てなスタンスだっただけに、『課長令嬢』の終了が地味にショックだった……(笑)。
 『ベイビーステップ』も地味なテニスマンガなんだが、最初から好きで「打ち切られませんように」と祈りながら読んでいた。や、『我間乱』の好き度とは次元がチガウにしろ。

 『我間乱』と『ベイビーステップ』がこれからも続いていく週マガでありますように。(柏手&祈祷)

 あ、もしも興味持って読んでくれる人がいたら、『我間乱』が俄然面白くなるのは3話からです、1・2話まで読んで途中で1巻を投げ出さないでね(笑)。絵もどんどんきれいになるから、女子でも読めるよ~~。特に真さんと直善さんはどんどん美人になるよ(笑)。

 
 以前、『我間乱』の妄想配役をさらっと書いたけど、直善さん@まっつはどうかという気がしてきた……。
 最近直善さん大変なことになってるけど、それにしても兄弟子公認+お姫様抱っこにはアゴが落ちたので……。あそこまでヒロイン化すると、まっつだと気恥ずかしい(笑)。こまったなあ。
 善丸@ヲヅキで、真さん@かなめくんで見たいんだけどなあ。テルキタ、テルキタ! 天然ボケで美貌の剣士のかなめくん、その相方、ツッコミ担当で苦労性(笑)の善丸がヲヅキで。そしてこの流れだと、かなめくんがキムまっつを公認し、ヲヅキがまっつを姫抱っこすることになるのか……やはりまっつがミスマッチだな(笑)。でも我間@キムは譲れないし。
 配役のポイントは同期。

 
 てなことを書くのは、「『我間乱』打ち切られないよね、どきどき」と毎週思うのと、「まっつ、退団しないよね、どきどき」と思うのと共通しているというか。

 大好き、失いたくない、と思う……でも、世間的に大人気とか会社が「ドル箱スターだ、大事にしよう」と思っている節も感じられないというか。
 なんでこんな、微妙なあたりにばっか惚れるんだろう。もちろんいっそ、人気も実力もなくてすぐに消えてなくなる人や作品にははじめから惚れないもんよ。
 わたしからすりゃ魅力も実力もあるんだが、世間一般のニーズど真ん中かというとそうとは思えない感じ……? そんなあたりに、わたしのツボがあるんだろう。

 
 てゆーかそもそも、宝塚歌劇団なんてもんを大好きなあたり、微妙な趣味だよな。
 劇団の名前だけは知っていても、実際に劇場で観たことがある人は少ないだろうし、みんなが大好きというわけでも、世間から求められているわけでも、絶対になくならない、大人気だからいつでも供給され続ける、そーゆーモノではない、よな。
 一部のコアな人にだけ愛されている文化だよな。

 みんなが知っていて、みんなが大好きで、世間から求められていて、絶対になくならない、大人気だからいつでも供給され続ける、そーゆーモノのファンでありたいよ。

 タカラヅカの斜陽ぶりに危機感を持つ今日このごろ。いや、斜陽だと言い続けてずいぶん経つが、それにしても最近また顕著だなと。

 好きだからちまちまと、チケットを買い続けているわけですが。
 まっつの写真とかも、発売されるたびに買い求めているわけですが。

 好きなんだよ、応援しているんだよ。
 それを示すために。
 「巨大な歴史の歯車の中では無にも等しい」って、わかっているけどさ。

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