ずっとずっと欲しかったモノが、与えられた。

 欲しかったのは、わたしだ。
 このだいもんを欲していたのは、わたしだ。

 彼が走り出すところを、見たかったんだ。
 渇望していたんだ。

 『BUND/NEON 上海』にて、望んでいたモノが今たしかに与えられ、客席で悶絶する(笑)。
 恥ずかしい。や、だいもんの全開演技って、なんかこー、いたたまれない恥ずかしさがあるっ。
 彼の表現欲がハンパないから、彼の欲望の赤裸々さに触発されて、照れてしまうのだと思う。

 クールなことがかっこいい、謙虚が美徳だとされるこの社会で。
 だいもんはいつも、欲望垂れ流しだ。
 彼が望んでいること、欲していることは、まっすぐに伝わりすぎる。その温度、湿り気。

 そして、ここまで欲望丸出しでありながら、彼には、邪気がない。
 表現することでオイシイ思いをしようとか、かっこつけることで人気を得ようとか、前に出て誰かを蹴落とそうとか、そーゆーキモチがない。
 や、それを邪心というのはおかしい。舞台人である以上、そういった欲求を持って当然で、わたしはそーゆーキモチをギラギラ出している人が好きだ。また、だいもんにそれらが皆無だとも思わない。
 ただ、だいもんの場合、そーゆー出世欲よりも、ほんとうに「表現欲」の方が勝っているのだと思う。
 まず表現したい。内側からわきあがるエネルギーを発散したい。それだけに気を取られている気がする。……だから、あれだけうるさい芸風なのに、悪目立ちして叩かれることがなかったんだろう、今まで。

 そのナチュラルボーンな表現欲のまま、トランス状態のよーなぶっとばし芝居を見せてくれるから、恥ずかしくて仕方ないんだ(笑)。

 リビドーをそのまま見せつけられたら、恥ずかしいです(笑)。

 本能まんまなんだもん。
 剥き出しのだいもんなんだもん。
 恥ずかしい(笑)。

 そして、愛しい。

 えーらいこっちゃにイッちゃってるだいもんを見て、愛しさがこみあげる。
 こんだけ楽しそうに演じている姿を見たら、うれしいって。
 たのしいって。
 愛しいって。

 ナニも隠してない、全部ぶちまけてるじゃん。
 クールに澄ましたりして、自分を守ってないじゃん。
 全部全部さらけ出して、「舞台が好き!」と叫んでいる、そんな子、そんな役者、好きにならずにはいられないじゃん……!

 しかも、技術はありまくるし。キモチだけで空回っている素人ではなく、こんだけ高いスキル持った男が、はじめて場を与えられて快感の叫びを上げてるんだよ。
 愛しいって。でもって、恥ずかしいって(笑)。

 そして作品が『BUND/NEON 上海』で、役が劉衛強で。
 どっちもまあ、とても恥ずかしいモノで。作品も役も、中二病系というか男子の夢爆発ってゆーか。
 だいもんに合ってる、いろんな意味で(笑)。

 タイトなオールバック(気合いのシケ付き)、コートやチャイナ服。クールさとハードさが、彼の大振りな造作の顔立ちに合う。美形でしょう、彼。若干大きめだけど、顔立ちはとてもきれい。
 今まで顔をくしゃくしゃにする三枚目や子役しか当たってこなかったけれど、温度を落とせば美貌が全面に出る。

 温度を落とす、というか、硬度を増すと。
 硬く研ぎ澄まされることで金属の冷たさをまとうだけで、ほんとのとこ、冷たくはない。高温のまま。

 だから、慟哭だの愛情だのが、濃く湿度高く展開される。

 香雪@ゆまちゃんとの「純愛」ぶりがいじらしく、ラヴっていよーとどうしようと、根底にある飢えや澱みがちらちら見えるのがいい……し、ある意味その生真面目な多重演技が恥ずかしい(笑)。
 だってもお、おま、そこまで徹底して、いちいちくどくど、やるのかよ!という。

 嬉々として作り込んでいるのが伝わる。それがうれしく、気恥ずかしい(笑)。

 劉の見せ場である、テーブル越えで銃を構えるところ。
 や、かっこいいよ! マジあれは見せ場でしょう、ごちそうさま、生田せんせ。
 かっこいい! とときめく傍ら、笑いツボを刺激されるのも事実。だってもお、そんなわざわざ!という。

 アレだな、ジャンプ系とかラノベとかで萌えな美形キャラがゴシックな萌え衣装でこれみよがしなポーズ決めて立ってる扉絵を見る感じだな(笑)。

 かっこいいし、ニーズにドンピシャだし正しいんだけど、正しいがゆえにおばさんには気恥ずかしいわ、という。

 や、だいもんの芸風に合ってるから!

 クール+ハードで黒系で、慟哭とドMまでやって、そしてさらに、狂気へ手渡す。

 見たことがあったわけじゃないのに、なんか最初からわかっていた。
 だいもん、狂うと絶品だぞと。

 熱と狂気にトリップした姿に、ぞくぞくした。
 あの眼がこわい。

 狂気の合間にちらちら見える、荒廃。自棄。
 望んでいないはずなのに、魂が磁場に吸い寄せられる、そしてまた立ち戻ろうとする、振り子のような姿。

 脚本穴だらけなのに、わけわかんないのに、ひとりでぶっとばす空気無視さ加減もツボ。
 アクセル踏んだらもお、止まり方知らないんだ、クラッシュするのみなんだ。
 クリストファー@まぁくんごめん、この2番手、キミに合わせる気毛頭ないよ、や、本人がどう思っていようと、本能が走り出して周囲見てないから(笑)。

 ようやくめぐり逢った、表現欲を解放していい役だから。ブレーキの存在、アタマにないらしいよ。

 だいもんが暴走しているのに、それに揺るがない、迎合もしないまぁくんの真ん中スキルの高さにも感心した。や、おかげで作品自体がなんともわけわかんない芝居になっていたけども。もとの脚本のアレさに拍車を掛けたというか。

 まぁくんの白い光はほんと真ん中に相応しいモノだけど、だいもんの濃ゆい赤面な高温度も、「真ん中」に立つ力があるんだ。
 フィナーレ、カーテンが開くなり男たちの真ん中で踊るだいもんは、「劉」を引きずったまま、意志を客席へ放っている。
 ショーのだいもんが常々見せる表現欲を、役のまま。

 センターOK、そこに何人いたって関係ない。いちばん濃いのが彼。いちばん貪欲なのが彼。「表現」することに。

 そんなだいもんが、ラストのご挨拶後のダンスはだいもんに戻る。
 劉ではなく、だいもん。
 大劇場で、ショーで見せている、望海風斗。
 にかっとした笑顔、ぱかっと開く口。

 その、あざやかなコントラスト。

 ほんとのとこ、わたしがだいもんオチしたのは、ここでかもしれない。
 彼が巧いこと、狂気が絶品なことは、見る前からわかっていた。期待通りのものを見せられた。
 長年切望していたものを見せてもらって、それこそ胸ヤケするくらい(笑)おなかいっぱいいただいたあとで。
 ニカッといつものだいもんに戻った、そのときに、恋は訪れた(笑)。

 だいもんはだいもんのまま、劉の面影皆無で歌い踊る。笑う。
 あの闇も狂気も、演技でしかない。虚構でしかない。

 「ファンタジー」を、見せつけた。

 それこそが、わたしがもっとも求めていたモノかもしれない。

 ……てことで、だいもん萌え。
 劉という役が、ではなく、望海風斗が萌えなの。
 それでもしつこく『BUND/NEON 上海』の話。

 史上最大のだいもん萌え、とゆーてるわりにわたし、だいもんの感想書いてないことに気づきました。
 だいもん演じる劉衛強が萌えだ、とゆー話はえんえん書いた気がするけど。

 劉はオイシイ2番手役の典型なので、誰がやっても魅力的だとは思います。試しに「この話、劉を主人公にして書き直せばいいんじゃね?」と思って、まぁくんが劉で脳内上演してみたところ、それでも十分たのしかったし。まぁくん、黒い役OKだと思うの。

 誰がやってもオイシイだろう、それはたしか。
 でも、今現実にある劉衛強役は、だいもんだからこそここまで魅力的なことも、たしか。
 わたしがここまでハマるのも、だいもんだからだ。

 
 何度か書いているよーな気がするが、だいもんくんは、マジで実力派だ。
 出来る子だということは、最初からわかっている。文化祭からまったり眺めてきた子だもの。
 モブしか与えてもらっていない時代から、アピール力がすごくて前方席に坐ったときなんか目線爆撃のすごさにウケてしまうほど、花男らしい花男だった。
 歌唱力も芝居力もあることはわかっている。でもそれ以上に、表現欲のある子だと思っていた。
 銀橋にも乗せてもらえない花道の上で、どんだけ濃くアピールしていたか。群舞の端っこで暗いライトしかもらえない場所で、どんだけ感情を乗せて踊っていたか。

 だいもんはわたし、芝居よりショーの印象が強いの。
 だって芝居はやっぱり、どーあがいても役がつかないと限界があるのね、表現に。中央の芝居を邪魔するほどの小芝居はNGだし、そもそも出番もらえないから板の上にいないし。

 その点ショーでは、スポットはあたらなくても、見せ場はもらえなくても、群舞にまざっていることはできたから。

 花組ショーの危険は、マメとだいもん。うっかり視界に入れてしまうと、目を奪われて贔屓や全体を観られなくなる、という(笑)。
 どちらの男も、実に濃く派手に、「表現」することを第一に踊っている。
 決められた振付でみんなと同じように踊る、のは基本だけど、その上で「なにを表現したいのか」という明確な意識を、客席に向けて解放している。

 強い意志というのは、伝わるんだ。
 人間って不思議だけど。言葉とかなくても、「伝えたい」と全霊をあげた叫びは伝わるんだ。

 だいもんのダンスは、技術よりなにより、その「表現欲」ゆえに客席にその場面場面の彼の意識をびしばしに発していた。いつも。

 強い意志は、華やかさになる。
 小柄ゆえ、体格は恵まれているとは言えない。タカラヅカでいうところのキラキラ・オーラを持つわけでもない。それでもモブに沈み込まない光を持つのは、彼の発する意志ゆえだろう。前へ向かってまっすぐに淀みなく迷いなく発せられる意志、何故自分が「ここ」にいるのかを宣言する力。

 だいもんの舞台から目が離せなくなるのは、その光に射抜かれるから。

 ライトをもらえなくても、いつもいつもびっくりするくらい、「表現」していた。舞台に立つこと、客席へ向けて意志を解放することを、「天職」ってくらいに楽しんでいる様が伝わってきた。
 もっと、もっと。彼は「表現」したがっている。あくなき表現欲。小さなカラダがはち切れそうなほど、彼は客席に向かって叫んでいる。もっと「生きたい」と。

 そーゆー人だから、彼に表現すべき「役」が付くことを、心待ちにしていた。

 お手本のある新公や再演ではなく。
 彼のためだけに書き下ろされた、彼だけの役。1回こっきりではなく、まとまった期間板の上に立ち、深化させていける役。

 ……とまあ、もともとわたしはだいもんを好きで、彼に期待をして観劇したわけなんだけど。

 芝居が出来ることは知っている。男役としての立ち居振る舞い、ビジュアル、声、滑舌、全部クリアしていることも知っている。安定した歌唱力と、芝居を歌で表現することに長けていることも知っている。
 ただ彼には「役」がない。路線・路線寄りその他群雄割拠状態の花組では、だいもんにまで役は回ってこない。また、彼は超路線ではない。劇団が「売りたい」と思い、「将来トップスターにする」と決めて宣伝している子でもない。だから列の後ろに並んで、順番待ちをするしかない。
 出来ることは知っているから、あとは順番が回ってくるのを待っていた。彼がそのあくなき「表現欲」を満たせる「役」を。

 知っていたから、驚きはない。
 劉として、初日から憑依系演技でぶっ飛ばしているのを観ても、「こんなにできる子だったの?!」という意外性はない。
 や、言うならば、期待通り、さもありなん。だいもんなら、そうだろう。

 だからこそ、彼への感想は、だいもん、すげー(笑)、になる。
 
 見たかった望海風斗が、そこにある。

 彼が彼の表現欲を本能のままに解放する姿。
 やり過ぎちゃってかまわない役。

 もっと、もっと……と、舞台の隅でエネルギーをもてあましていた彼が、好きなだけ才能を爆発させられる役。

 それを、見たかったんだ。

 役者が役と舞台を愛し、シンクロしてエネルギーを発散する姿って、快感だよ。
 正の波動をあびることで、客席もなにかしら満たされる。

 だいもんに入り込み系の芝居をさせると、えらいことになる……わかっていた通り、彼は爆発する。
 わかっていた……期待していた、わくわくしていた、待ち望んでいた、その通りに!

 ずっとずっと欲しかったモノが、与えられた。

 欲しかったのは、わたしだ。
 このだいもんを欲していたのは、わたしだ。

 彼が走り出すところを、見たかったんだ。
 渇望していたんだ。

 
 てとこで、文字数により一旦切る。
 感想をろくに書けないまま、星組公演が終わってしまう……。

 あわてて、『BOLERO』の感想を走り書き。

 もう何度となく書いてきたが、わたしは、草野先生と気が合わない。

 のんちゃんの『マンハッタン不夜城』からはじまって、草野ショーの新作を観るたびに「ダメだ、合わない」と思う。
 おかげで、演目発表に草野せんせの名前があるとテンションが下がる。
 そーゆー人間だ。

 や、全部が全部ダメなわけではなく、たのしんだものも好きだったものもある。でも、9割以上の確率で「ダメだ……」な人なので、彼にナニか期待するのは危険すぎる。1割に希望は託すが、期待はしない。

 人間好みとか向き不向きがあるので、わたしが彼と気が合わないだけで、世間的に彼が「ヒットメーカー」とか「名作ショーばかりを手がける天才」とかゆー評価を受けている可能性もありますとも。
 あくまでも、わたし個人は、苦手。

 でもって今回の草野せんせ作品。

 感想は。

 やっぱり、草野せんせとは気が合わない。……でした。

 疑問ばかりが浮かび上がって、舞台に集中できないんですが、どーしてくれよう(笑)。

・何故、ポエムなのか。
・突然のあかし×ねねちゃんのあのシーンはなんなのか。
・トマケってなに。
・やっぱりアフリカなのか。
・タイトルであり、もっとも感動的シーンであるボレロ場面の、あの衣装はなんなのか。


 疑問は全編通しててんこ盛りなんだけど、その中でも見過ごせないレベルのモノを挙げてみた。

 草野せんせはストーリーのあるショーを作りたがるけど、物語を作る能力に欠けているので、無理があると思うんです……。
 素直にバラエティー・ショー作ってればいいのに、なんでいつもいつも出来ないことばっかやって自爆するんだろう。

 なまじストーリー仕立てになってるから、トップと娘役トップがふつーに絡まない。
 わたしがショーで「観たい」と思う、トップコンビのたのしかったり美しかったりする場面が極小になる。
 物語だと出会って別れてすれ違って、最後にハッピーエンド、でもいいけど、ショーでソレをやられると、最初と最後しか主役コンビがまともに一緒にいないことになるからやめれっつの。『蘭の星』でも同じこと書いたけどなっ。つか、『蘭の星』と同じストーリーラインかよっ。

 草野ショーのお約束は、狂言回し(ほぼ通し役)と、悪趣味な原色衣装と、ターバンと、アフリカ。
 今回もフル装備でしたな。
 予備知識なく観たもんで、突然アフリカになったときは、笑いツボ直撃した。
 またアフリカか! またか! やらなあかんのか!!(笑)

 トマケトマケと謎の言葉を銀橋で叫ばされているともみん他を観ながら、黒塗りでコック帽かぶって「アルプス一万尺」の替え歌を歌わされていた若き日のトドロキを思い出した。
 トド様もあんときゃ「……ヤケおこしてる?(首傾げ)」な勢いで叫んでたなー。せっかくの銀橋ソロであんなことやらされて……合掌。

 そして、圧巻のボレロ……のはずが、ひっでー衣装……。
 『ザ・クラシック』を思い出した。アレもクライマックスたる天井画場面で、ひでー衣装だったさ……何故よりによってここでその衣装、と嘆いたさ……。

 わたしは男役がカラダのラインを見せる「性別不詳」な衣装で踊るのは好きじゃないっす。
 「女装」ならいいの。女を演じているなら。チチでもモモでもヘソでも、なんでも見せんしゃい。
 されど、女でも男でもない、男役娘役関係なく女性のカラダで踊られるのは、好きじゃない。萌えない。
 なんのためにここがタカラヅカで、男役というモノがあるのか。
 その最低限のファンタジーを、壊さないで欲しい。
 

 あー、れおんを探して街へ行ったねねちゃんが、みんなにいじめられる場面は、心底びっくりしました。
 ああああかしっ?! なにやってんのーー?! と。

 男役と娘役のエロシーンは大好物ですが、それはふたりの間に「愛」がある場合のみです。
 愛し合うふたりが、その愛の表現としてねっとり絡むのはOKだし、もつれあって床を転がってくれてもぜんぜんOKっす。
 でも、そこに愛がない、ただの「暴力」としての表現は……びびりました。

 仰臥した女に男がのしかかるよーにする、同じよーな振付を『エンター・ザ・レビュー』で観ましたが、あれは「暴力」の表現ではなくあくまでも「愛」の延長上の表現だったので、「エロシーン大歓迎!」とファンは大喜びして食らいついてたなーと、遠い目になりました……。
 草野せんせ、根本をカンチガイしてないっすか……? エロならなんでもいいわけぢゃないっすよ?

 
 つーことで。
 草野せんせとは、今回もまた、気が合いませんでした。

 いつかまた、気の合うときが来るといいな。

 や、それでもキャスト単体を愛でる分にはいくらでも楽しみを見つけられるだろうから、リピート基本の組ファンには組ファンの楽しみ方があると思うよ。
 気は合わなかったけれど、『Red Hot Sea』は楽しめたもの、組ファンであり、ご贔屓に焦点合わせて観劇するならば。ええ、たとえ、棺桶が空を飛んでいても。

 そーゆーもんだよな。遠い目。
「今、つらい恋をしているから、気分を変えて浮気したかったんです」

 タカラヅカの正しい使い方。
 観劇している間だけは現実を忘れ、ヴァーチャルで罪のないときめきを得られる。
 浮気してやる、舞台の**ちゃんにときめいてやる!と思って観劇するのは、大いにアリだろう。

「だから今日は、まっつを観に来たんです☆」

 と言う彼女と、『相棒』青年館の幕間に会ったとき、

「なんであんなに“おとーさん”みたいなんですか、私、おとーさんには恋できないっ(笑)」

 と、嘆き笑いしていることに、ウケました。

 はい、『相棒』のまっつ、角田課長のまっつですが。

 ドラマシティのときも容赦なく「角田さん」で「おっさん」だったけど、青年館では、さらにおっさん度が激しくなっていた!!(笑)

 おっさん通り越して、おじーさんな感じすら漂う……。

 まっつまっつ、待って~~、アナタどこまで行くの、やりすぎだってば、ハマリすぎだってば~~(笑)。

 口角はいつも下がったまま。表情の作り方、姿勢に声、喋り方、回数を重ねるごとに演技が深化していくのは役者の常だが、まつださん、どこまで行くの。
 タカラジェンヌなんだから、もう少し手加減して、かっこよさを残してくれてもいいんだけど……そーゆー人じゃないから、今のポジションなんだと納得してみたり(笑)。

 若い女の子からしてみりゃ、あっこまで容赦なく「おっさん」にされてしまうと、恋愛対象にならないよなあ。実際、あの役は彼女のおとーさんの年代なんだろうし。
 わたしみたいなおばさんからすると、どんだけおっさんでも「対象外」な年齢ではないんですがねー。(反対に若すぎると対象外……そんなん犯罪や~~)

 が、しかし。
 女の子から見て「対象外」なおっさん姿を見たいわけではないのよ、まっつ!(笑)

 同じよーな年代でも、ジオラモ@『アデュー・マルセイユ』とかは十分「対象」だったと思うので、問題なのは役の年齢ではなくキャラクタ……ヒマ課長はすなわちそーゆーキャラであるということ。
 まっつは正しいし、そこが見ていて愛しいけれど、でもやっぱりやりすぎてるとは思うのよ(笑)。

 もともとのファンは楽しんで見るけど、新規ファンは増えない役だなーと……それを言うなら『相棒』のほとんどがそうだけど。「面白い」けれど、「恋に落ちる」作品と役じゃない。(壮くんとめおくん以外・笑)

 「おとーさんに恋できないっ」と嘆き笑う彼女には、「2幕最初を見て、下手奥! そこのまっつなら若いから! かっこいいから!」と必死になって訴えました。

 
 贔屓の出ている『ベルばら』よりも、出ていない『ロシアン・ブルー』の方が観劇回数が多かったわたしです。『相棒』もこのままでは『BUND/NEON 上海』よりも観劇回数が少ないまま終わるかなーと思ったけれど、まっつメイトの厚意により、もともとの観劇予定より回数が増えたため、なんとか『相棒』が勝ちました(笑)。

 2幕最初のロンドンのまっつといちか……ジョンとヨーコという名前らしい……の、ラヴラヴバージョン以外の芝居も見られました。

 つか、ラヴってないときのジョン@まっつ、ワイルドぢゃね?
 かっこいいんですけど、胡散臭い長髪とニット帽。ロックテイストなファッション。

 仕草や表情がやたら野性的で、ときめきました……(笑)。

 
 あ、2階席から観たときは、最初の客席登場する出前持ち@まっつ、腰を抜かしたあとはけるときに、神戸@壮くんに、抱き起こされてました。
 あの壮くんが、長い腕を回して、坐り込んでるまっつを「大丈夫?」って感じに立たせるの!!
 ナニあの萌え構図!!

 1階からはほとんど見えないのよ、坐り込んでいるわけだから客席に遮られて。
 青年館が2階建てだからこその奇跡! イヤッホーー!!
 つーか1階G列21番チケットが欲しい~~。(ナニそのピンポイント)

 今、壮松萌えすごいですから!(笑)
 まっつがお茶会で壮くんの話いっぱいしたみたいで(警視庁デート・夫婦と間違えられた事件、年末の「あたし帰る」と言って壮くんに10分しか会わなかった事件、真実がどうなのかは知らないが、聞いた範囲では萌えだぞ、壮松!!)、壮くんとまっつが絡むたびにテンションが上がるっす。

 「右京さん紹介ソング」も「顔、近いよ顔!」な感じがさらにステキっす(笑)。
 

 そもそも遠征を決めたのは、友人から「最前列センター、上手通路際チケット」を譲ってもらえたからっす。
 千秋楽でもなんでもない、ふつーの日の公演だが、とにもかくにも最前列の誘惑。

 友会の抽選結果が出たタイミング、つまり幕は開いておらずどんな作品になるかわからない状態で遠征を決めるのは、わたし的にかなり難しかったのですが(イシダだから。他の作家なら悩んでない・笑)「まっつを最前列で見る。客席降りの階段横だから、ひょっとしたらまっつが降りてくるかもしれない」という欲望に屈し、金も時間もないのにフラフラと手を差し出していました……ありがとうMyフレンド。

 で、実際上手っつーとまっつ降りてくるじゃないですか。
 他にもまとぶんや壮くんは見放題なすばらしーお席だし。今回客席登場ありまくりだし。(いちいち登場タイミングで後ろを振り返ってスタンバイする、リピート丸出し客)
 わかって堪能していたわけですが。

 まっつの客席降りの感想は。

 こわかった。

 の、ひとことです。

 や、だって、ものすげー勢いで降りてくるんだものっ。
 まず暴漢サンタ@めぐむがぐばぁーーっと走っていって、「待て~~!」と元気に、でもいちいち足元確かめながら(笑)壮くんが降りていき、続けて角田@まっつが、肉持って走っていく。

 こ、こわかったっ(笑)。
 あの距離で走られたら、こわいっす。

 ダーリンがわたしめがけて走ってくる(はぁと)、という妄想を抱ける席かなと期待していたんですが、そんなかわいいもんぢゃなかった。

 まっつがわたしめがけて走ってくる……そのイメージが、肉振り上げて怒りの形相で走ってくる姿で海馬に焼き付いてしまいました……どうなのソレ……。

 いやはや。
 堪能しました、いろんな意味で。

 まっつメイトとのまっつ語りなひとときも含め、すげー濃くてたのしい遠征でした。

(ついでに、新宿から青年館まで歩いて行けるよーになりました。や、東京宝塚劇場は東京駅から、中日劇場は名古屋駅から、博多座は博多駅から歩く人ですから)
 やはり、みなこちゃんも退団か……。
2010/01/22

雪組トップ娘役・愛原実花 退団会見のお知らせ


雪組トップ娘役・愛原実花が、2010年9月12日の雪組東京宝塚劇場公演『ロジェ』(仮題)、『ロック・オン!』の千秋楽をもって退団することとなり、2010年1月23日に記者会見を行います。

なお、会見の模様は当ホームページでもお知らせ致します。

 なんの根拠もないが、なんとなく、水しぇんと同時かなと思っていた。

 トップになったということは、近年中に退団するということ。
 旬の短いトップ娘役ではなく、芝居巧者の女役として長く在団してくれれば、これほど力強い人もいないと思っていた。
 役者として、とてもセンスのある人だから。……多少舞台嵐の素質があるので、脇でヒロイン食っちゃうよりも、いっそ主役をした方がいいタイプだったかもしれないが。でも、経験を積めばそーゆーこともなくなるだろうし、役者としてがっつり芝居しているみなこをもっと観たかったなと思う。
 他でもない、このタカラヅカで。

 みなこちゃんがトップになってからのインタビュー記事で、印象に残っているものがある。

「世界に一つの宝塚にしかいない 典型的な娘役が憧れ」

 宝塚は特殊なところ。いろんな意味で、形式ばりばり、縛りがたくさん。
 それが正しいかまちがっているかではなく、それを超えて、それを受容して、全部まるっと「タカラヅカ」。
 
 タカラヅカのいわゆる「ヒロイン」って、ほんっとーに他ではありえない女性だもの。
 男役をステキに見せる「娘役」という存在は、とてつもない技術と根性と才能がなくては出来ないんだもの。

 この人はほんっとーに、「宝塚」の意味を知っているんだなと。ほんとうに、タカラヅカを、愛しているんだなと。
 自分が背負う物、立つ場所を理解している人なんだ。

 そして、努力している人なんだと思った。

 タカラヅカが大好きで、入りたくてしょーがなかった人だと、以前聞いたことがある。単に芸能界なら、役者になるなら、他にいくらでも選択肢はあったろうに、それでもタカラヅカを選んで入ったわけだし。

 トップにならず、脇でもっと長く見ていたかった……とは思うけれど、「典型的な娘役」が希望なら、それは脇の芝居巧者ではなく、スターとして短く燃え尽きることだよなあ。

 イリーナ@『ロシアン・ブルー』に感情移入して、アルバート@水しぇんに恋をした。好き、と思える女の子を、リアルにせつなくなるヒロインを演じてくれた。
 あと2作も、良い作品に……あああ、次は植爺か……た、頼む正塚せんせ、水みなに完全燃焼できる作品と役を!
「劇団ってほんと、あのテの顔好きだよねえ」

Q.新人公演『ハプスブルクの宝剣』観劇後、友人間で出たこの言葉が指すジェンヌは、誰でしょう。

 1.真風涼帆
 2.早乙女わかば
 3.麻央侑希

 既存のスターに似ている、というのはありがちなこと。
 美人さんたちはそれぞれ共通点があったりするし。また、親しみがわいて記憶に残りやすいこともあるし。
 
「ヒロインの子、花ちゃん系だったね」

 花ちゃん。
 偉大なる伝説の娘役トップスター、花總まり様。

 とゆーことで、

A.2.早乙女わかば

 です。

 シナちゃん、アリスちゃん、彩音ちゃん、姫花、蘭&麗と、新公WSトップと、ヒロイン経験者にゴロゴロいる系統の、顔立ち(笑)。
 劇団好みなんだろうなあ。

 「かわいこちゃん」とのみ認識していたわかばちゃんは、こーして見るとたしかにお花様系だった……。

 つか、わたしにはお花様よりアリスちゃんに似て見えたな。や、どちらであったとしてもよーするに美少女であるということは、揺るがない(笑)。

 かわいーなー。まだ表情が少なくて、お化粧の改善も余地アリだけど、とにかくかわいーなー。
 そう、わたしはお花様系の顔が好きだ(笑)。花ちゃんダイスキでしたもの。(そして今は、月組の蘭はなちゃんをすごーくかわいいと愛でている)

 アーデルハイト役は、素の若々しさと清らかさで演じきった感じ。そしてテレーゼ役は、本役のねねちゃんを見ていても思うが、意外とこーゆー「強い」役は娘役さん的にやりやすいのかなと思う。
 やっぱなんつーても「女性から見ても、可憐」な演技っつーのは難しいんだと思う。毅然とした演技よりも。

 ウタは大変そうだ。ひとりのときも不安だったが、デュエットになるとまたさらに手に汗握る感じ(笑)。

 まだ研2、これからがたのしみだー。

 
 フランツ@真風くん。
 えーと。

 役に合っていない、気がしたんだが……。

 このフランツ役って、ほんっとしどころがナイというか、ただきれいなお衣装着て出てくるだけ、という印象がある。や、わたし的に。

 本役のかなめくんは「特技・美貌」ってなキャラ立ちした人なので、ソレだけを芸として特化して問題ない人だった。
 真風くんも美形なんだが、美貌の方向性がチガウ気がして、違和感。

 真風くんにはもっと、無骨な美丈夫系の方が似合ってる気がする。『コインブラ物語』はかっこよかったしさー。フリフリキラキラより、濃いぃ沈み色の方が、かっこよさを浮き上がらせるのでは?

 フランツというキャラを掴めていないまま演じているよーに見えた。
 本公演で演じている、弟キャラとの差もあまり見えない……。や、本公演の弟くんはあの美しい兄の弟として、「美形兄弟」と素直に納得のステキさなんだが。

 前回の『太王四神記 Ver.II』新公を見ていないので、わたしの記憶は初主演でいっぱいいっぱいだった『My dear New Orleans』新公まで遡る。
 それに比べて、余裕のある様子が微笑ましい。息の付き方がわかって良かったね
的な。……初主演のときは、息の仕方忘れてるんじゃ?って感じだったもんなあ。
 
 
 ジャカン@しーらんが、悪役だ(笑)。

 あれれ、ジャカンってそーゆー役だっけ? 悪役というか、意地悪キャラに見えた。お化粧もそれっぽいよーな。
 そういう役作りなんだ?

 しーらんの芝居は好きだし、きらきらした美形くんだと思っている。戦闘意欲にあふれたかわいこちゃんで、できることなら新公主演が見てみたかった……と、常々思い、実際ここでも語ってきた。

 でも今回、何故しーらんではなくみやるりが主演だったのか、わかった気がした。

 しーらん、大人の美形は苦手なんだ……。(いや、それでも、しーらんの主演も見たかったんだが)

 若者役や少年役を演じる彼は大変かわいらしく、はしこい感じが実に魅力的だし、やりすぎてもいいトリッキーな役柄も、ガッツあふれる芝居魂でとてもステキに演じてくれるわけだが。

 アイドル系であるがゆえに、落ち着いた大人の「美青年」は難しいんだ。どうしても「少年」になってしまう。
 小柄であることよりも、顔立ちがかわいらしいことよりも、問題は、だと思った。

 そうか、まだ男役の声ぢゃなかったか……。変声期前だったか……。イキイキと舞台に立つ姿が印象に強いためか、また、若者役ばかりやっていたためか、気にしたことなかったよ。
 改めて「大人の男」の役として見ると、声が男になっていないのが気になった。

 少年役ならまかせろ!な人なのになー。変なオッサンも得意なのになー。
 ふつーに大人の男前役は、難しいのか……。

 少年っぽく見えたためか、フランツのためを思って行動するジャカンが、意地悪で狭量な男の子に見えてしまったのは、自分でも意外だった。
 いや、そういう役作りなのかもしれない。

 
 で、結局のところこの芝居の役の少なさってナニ……?

 上から順番に感想書こうと思ったら、すでに行き詰まってしまった。

 主人公以外はほんとに役らしい役がナイんだよなー。
 ごちゃごちゃ舞台の上には人がいっぱいいるので、それはソレでいいのかもしんないけど。

 ばーんと銀橋に登場、歌とダンスがあるから、ハンガリー・トリオが「イイ役」なのか? 路線役なのか? そりゃナイよりいいけど、ソレだけっつーのは……景子タン……。

 まあともかく、たしかに華やかですな、ハンガリーの3人。
 本役さんたちは本人のキャラがそれぞれ立っているので、どうということのない扱いと出番でもキャラが見えるけれど、新公になると見ている側の問題か、差がよくわからなくて。
 ふつーにみんなきれいねー、と思う。

 美貌で秀でているのは十碧くんかな。十碧くんと麻央くんが並んでると「おお、でかいなー」と思う。れんたはまたあかしの役かぁ、力の入ったキザりがステキ。

 
 ラビ・ダウィド@みっきーのギラつき具合がステキ。目が利いてる。……でも、そーゆー役だっけ?(笑)
 オイゲンさん@まいける健闘、みきちぐ伯爵(そんな名前ではない)@りまくん、パパ@直樹じゅんも安心して眺めていられる。

 オルガ@妃白ゆあちゃんかー、うまかったわ。ドロテーア@音波みのりちゃん、かわいー。
 でもってフクス伯爵夫人@南風里名ちゃんがうまかった~~、終わったあと「アレ誰だっけ」とプログラムめくったわ。

 でもって礼真琴くん、活躍してるなー。ひろ香祐くんも相変わらず目立つ(笑)。

 アムシェル・モシェ@夏樹れいくんの役付きがうれしい。エリヤーフー@みやるりと兄弟なのがよくわかる(笑)。

 
 前回の新公も観たかったよ、ほんと。下級生はどんどん顔が変わるから、1回抜けるとさらに見失ってしまうわ。……や、わたしに記憶力がナイせいもあるが。(とゆーか、ソレがいちばんの原因)

 友人のなかでただひとり前回の新公を観ているチェリさんは、冒頭の3人を、

1.水夏希
2.花總まり
3.大和悠河

 に似ていると言う。
 
 麻央くんはホゲ役だとタニちゃんそっくりだったそうだ。見てみたかったな~~、ホゲを演じるタニちゃん(笑)。
 あまりにソレを聞いていたから、そのつもりで見たけれど、「言われてみれば、まあ、似てる……かなあ?」くらいにしか、わたしは今回の麻央くんにはタニちゃんを感じなかったんだが。

 しかし、豪華だな、星組新公。いつぞやの宙組ですがな、その面子(笑)。
 本公演を観たとき、オープニングで笑いツボ入った部分がある。

 舞台にいつまでたっても誰も出てこなくて、えんえんえんえん、主役ひとりが歌い踊っていたこと。

 なんだコレ。すげーオープニングだなー。
 ダンサーで、かつ歌えるトップスター、柚希礼音だからこそなんとかなってるっつーか。
 や、オープニングくらいみんなに出番あげようよ、景子タン。

 と、思って観ていた。

 で、さらに思ったさ。

 コレ、新公大変ぢゃないか?

 うん。
 すごーく、大変だった(笑)。

 星組新人公演『ハプスブルクの宝剣』観劇。

 たとえば、新公独り占めで4回も5回も主演したれおんくんが、その4回目や5回目でやるんなら、どーってことなかったと思うよ?
 そこまでいかなくても、ずっと路線扱いされて新公や別ハコ公演で1場面芯をもらっていたり、本公演でも抜擢されてオイシイ扱い受けて育った人なら。

 でもなあ、みやるり、そうじゃないし。

 本公演ではもちろんぜんぜん役付かないし、新公その他でも路線扱いなかなかしてもらえてなかったし。
 最近よーやく、役付き上がってきたけど。
 前回の公演なんか、本公演・新公共に女役だし。

 路線寄り、というポジショニングで下級生時代を過ごし、最後の最後に新公主演をGETした苦労人に、いきなりこのオープニングはナイだろ(笑)。

 いやあ、大変でした。
 なんにもナイ舞台で、たったひとりで歌い踊って、舞台を埋めるの。

 歌も佇まいも、そりゃーもー大変!!なことになってました(笑)。

 手に汗握った、そして笑った。
 や、ごめん、バカにするとかじゃなくて、孤軍奮闘している様が愛しくてな。

 すげーがんばってる、空回りまくって、つついただけで倒れちゃいそうだけど、みやるり、すげーがんばってるよー!

 見えてくるのは、闘志。

 出来ていようといまいと、空回りだろうとなんだろうと。
 みやるりは、負けていない。
 いや、負けるという選択肢が彼には最初からナイ。

 立つ。
 進む。
 勝つ。

 それしか、彼のアタマにはないんだ。

 それが、すごーくよくわかる、超アグレッシヴな姿。

 ……うん、逃げ道なんか、どこにもないもの。
 それが、大劇場の真ん中に立つということ。

 選ばれたる者の壮絶な覚悟を漂わせて、みやるりが戦っていた。
 あの広大な舞台で。

 ああだから、新人公演ってのはたのしいんだ。
 愛しいんだ。

 芸だけ観るなら、出来上がった舞台をたのしみたいのなら、本公演がいいに決まっている。
 だけどソレだけじゃない、「与えられる」だけの楽しさではない、こちらから「働きかける」ことで得られる感動が、新公にはある。
 タカラジェンヌと宝塚歌劇団という、特殊なカンパニーを理解し、予備知識を得た上で楽しむということ。
 成長過程である若者が、そのすべてを懸けて「より高みに」挑戦する姿をたのしむこと。
 感動、すること。

 ライトにも楽しめるし、ディープなヲタも楽しめる、懐の広さがあるんだ、タカラヅカには。

 だからこそ、1世紀近く続いてきたんだろう。

 
 とゆーことで、みやるり主演の新公『ハプスブルクの宝剣』、すげー楽しかったっす(笑)。

 まず、開幕アナウンスから、力入りまくってて、ウケた(笑)。

 ナニあの低音っ。
 や、もともとみやるりは少女マンガな甘い顔立ちに「詐欺だ!」ってくらい、ドスコイ低音の持ち主ですが。
 その深みのある男役声で、めっさ入り込んだ、陶酔した調子でアナウンスしてるのよ。
 録音からコレって、どんだけ本気なんだ、美弥るりか!! と、人知れずウケる。

 幕が上がったら上がったで、オープニングはアレだし。
 この作品でもっとも難しい部分が最初に来ちゃってるし。ありゃビギナーには酷だわ~~。

 お化粧もすげーがんばっていて、オンナノコっぽい素顔をダークにキメようと試行錯誤したのか、なんかエライコトになってるし。
 ちょっとちょっと、どーしちゃったの? なんか描きすぎてないか、その顔? せっかくの美人が行き過ぎてファニーテイストよ?
 ただでさえパーツがでかいのに、そんなに力入れて描き込んじゃうと……。

 最初どーなることかとびびった研7、最後にして初主演のエリヤーフー@みやるり。
 オープニングの空回りを経て、どんどん、エンジン掛かっていった。

 変わりはじめる。
 舞台の上で。

 ああ、舞台ってほんと、イキモノなんだ。
 ナニか目に見えない精霊がいて、それを捉えた役者は別の呼吸をはじめるんだ……。

 決闘あたりから、みやるりはどーんと大きくなった。

 あ、主役だ。
 この子が、主役だ。
 この舞台、この物語。
 この子が空気を動かし、物語を動かしていくんだ。

 それを、すとんと納得した。

 あとはもお、怒濤の如く。

 エリヤーフー@みやるりは、とてもあざやかだ。

 その心の変化。悩み、つまずき、闇の葛藤とそれを突き抜けた光。

 王者れおんが最初から最後まで骨太で挫折感が薄いことと対照的に。ひとりの男の人生が、やたらめったらメリハリついて語られる。

 クライマックス、泣いちゃったんですが。
 自分でもびびった。

 思いもかけないカタルシス。
 ドイツ語版聖典抱きしめて歌う姿に、涙腺決壊。

 その後、約束の橋の上でアーデルハイト@わかばちゃんと再会するところでもボロボロ泣けた。

 や、わたしだけでなく友人も泣いたと言っていたし、なにより、わたしの隣の人! ぜんぜん知らない人だが、しゃくりあげる勢いで泣いていて、ちとびびった。や、わたしも泣いてるから人のことは言えないが、それにしても泣きすぎだろうと(笑)。
 そんだけ大泣きしていたのに、気が付いたらいなくなっていて、さらにびびった。……劇場の妖精さん? ほんとにいたよね、隣で泣いてたよね?(所詮立見ですから!)

 あー、よかったわ、新公。
 堪能した。

 でもってわたし、みやるりのあのでかい目とでかい鼻が好きだなー、と、しみじみ思った。
 そして、あの低い声が大好物だ。

 新公初主演、オメデトウ。
 (仮題)ってナニ?!

2010/01/19

2010年 公演ラインアップ【宝塚大劇場、東京宝塚劇場】
<5~8月・宙組『TRAFALGAR』『ファンキー・サンシャイン』/6~9月・雪組『ロジェ』(仮題)『ロック・オン!』>


雪組

ミュージカル
『ロジェ』(仮題)
作・演出/正塚晴彦

国際的な捜査機関に所属するロジェとヒロインは、事件に巻き込まれて大切な人を失った心の痛みを持つ。寡黙で冷徹なまでに捜査を進めるロジェ。偶然に出会った二人は、同じような境遇に親しみを覚え束の間の安らぎの時間を持つようになる。心を通わせながらも運命の糸に操られ予期せぬ事件に巻き込まれ翻弄されていく男と女……。この公演で宝塚歌劇団を退団する雪組トップスター・水夏希の男役生活18年間の集大成を飾るに相応しい、正塚晴彦による哀愁漂うオリジナル作品。

ショー
『ロック・オン!』

作・演出/三木章雄

“Rock on!”―気持ちを込めて観客の心を揺さぶり続けたいというメッセージを込めたショー作品。これまで舞台から観客の心を揺さぶり続けてきた水夏希が、最後のステージでも全力を尽くして取り組む姿そのものが、作品のテーマでもある。水夏希が“Lock on”(絶えず追い続ける)していた夢、宝塚歌劇でしか実現しない夢の世界を、シャープにまたゴージャスにお届けします。

 ……演目未定で退団会見やった数日後に演目が出るとは思ってませんでした。
 そして、出た演目が、「演目発表」にもなっていない、企画段階の状態で、さらに驚きました。

 でも、ほっとした。

 演目未定だから、どんなことになるのかさっぱりわからなくて、それこそ『ベルばら』だったらどうしようとか、持ち味無視の大作再演とか、わたしの苦手な版権だけ高そうな鳴り物入り海外ミュージカルだったらどうしようとか、キモチの持って行きようがなかったのだけど、水しぇんのためのオリジナルを、座付き作家が書き下ろすのだとわかって、胸をなで下ろしました。

 キモチの着地点が出来たというか。
 あとは作品の出来についてのみ、やきもきしていればイイというか。

 どんな作品になるのかさっぱりわかんないけれど、マサツカせんせお願いします、シリアスと見せかけて、実はコメディは、もう勘弁してくださいね。頼みます。
 『愛短』『薔薇雨』『ラスプレ』と、正塚せんせ同じテイストでサヨナラ公演書いてるよね? 『マリポサ』は失敗作(DCなら佳作、でも大劇場作品としては……笑)だと思うけど、好きだったのでそっち系でお願いします……。

 てゆーか、正塚せんせがもっと早く原稿上げてくれていたら、「演目未定の退団発表」なんてせずにすんだのかな。
 劇団のすることはよくわからない。
 

 三木せんせはわたし的に特に問題ないヒトなので、「宝塚歌劇でしか実現しない夢の世界」を見せてくれることを、素直に期待します。

 
 でも、改めて「演目解説」として文字にすると、クるものがあるな。
 「最後のステージ」かぁ。「男役生活18年間の集大成」かぁ。

 別れのときが近づいている……。
 て、考えるとすごくドキドキする。なんか、焦燥感にかられる。ナニも出来ないのに。

 水くんには全面の信頼を置いているので、絶対にすばらしい姿を見せてくれると、なんの心配もなく思っている。
 構成・演出面でも、良い作品になりますように。

 
宙組

グラン・ステージ
『TRAFALGAR(トラファルガー)』
-ネルソン、その愛と奇跡-

作・演出/齋藤吉正

イギリスの国民的英雄ホレイショ・ネルソン海軍提督の半生を描いたミュージカル。18世紀半ば、「海を制するものは世界を制す」の言葉通り、フランス、スペインといった大国が制海権を掌握していた頃。ホレイショ・ネルソンは軍人である伯父の影響を受けイギリス海軍に入隊し、頭角を現していく。愛国心と野望に溢れ、数々の武勲をあげ艦長にまで昇格したネルソンは、彼の支援者の娘フランシス・ニズベッドと結婚する。そんな時、ネルソンは、在ナポリ英国大使ウィリアム・ハミルトン卿のパーティで、彼の妻エミリィ・ハミルトン(通称エマ)と出会う。妻子との関係に亀裂が生じ始めていたネルソンと、金で買われた結婚に嫌気がさしていた美貌のエマ。二人は逢瀬を重ね、共に惹かれあうようになる。そのスキャンダルが周知のものとなっていくのに時間はかからなかった。ウィリアムのネルソンへの信頼と友情は、怒りと嫉妬心へと変わり、ネルソンは次々と危険な戦地への派遣を命じられることになる。やがて、小国イギリスの命運を担い出撃するネルソンの行く手には、宿敵フランスの軍神、ナポレオン・ボナパルトが立ち塞がる……。

グランド・ショー
『ファンキー・サンシャイン』

作・演出/石田昌也

生命、エネルギーの根源である「太陽」をテーマにしたショー。サンビーム、夜明け、プリズム、コロナ、日食、黒点、太陽神、虹、白日夢……など、太陽からイメージされる言葉、生活、文化、ファッションを多角的な視点から捉えた作品。

 ゆーひ×サイトー、キターーっ!!

 サイトーくん、長い片思いだったね、よーやくゆーひくんだね! と、仲間内で喜びの声が挙がる(笑)。
 サイトーくんというとトウコちゃん、のイメージ強いけど、ゆーひくんへのコールが強かったことも、よく耳にしていただけに……ああ、ようやく! ついに! というキモチ。

 たのしみだなー、サイトーくんの大劇場新作。
 しかもまた派手派手なコスプレ物。セリ・盆・銀橋、大劇場全部使ってめちゃくちゃ派手に盛り上げてほしー。

 ……イシダせんせはわたしの鬼門なので、そっちはまぁ、逆ツボがナイことだけを祈ってます(笑)。
 いろいろとヘトヘトなんだが、老体にムチ打って、バウホールへ行った。

 朝、大阪に着き、しかも仕事があったりしたんだが、それでも時間を捻出して駆けつけた。

 『BUND/NEON 上海』千秋楽。

 ヅカファンなら、行くしかない。

 そう思ったんだ。

 『BUND/NEON 上海』は出来の良い作品じゃない。ツッコミどころは満載……とゆーか、グダグダにぶっ壊れた脚本(笑)。別に、感動作品ってわけでもない。
 涙腺の弱さには自信のあるわたしが、まったく泣けないし。

 でもコレ、おもしろいんだわ。

 ツッコミも含めて、おもしろくてしょーがない。
 観ていて、わくわくする。

 ……前日欄に腐った感想を書いているが、それはわたしの中のごく一部、大部分のわたしは純粋に観劇しているのよ、と言ってみる(笑)。

 腐女子萌えはともかくとして、わたしがタカラヅカに求めるモノはナニかって考えたの。

 タカラヅカにはいろんな魅力がある。そして、人の好みは千差万別、ヅカに求めるモノも、人の数だけあるだろう。

 他の人はわかんないが、わたしがヅカに求めるモノは、異世界に連れて行ってくれる、おもしろさなんだと思う。

 観ている間だけ、別の世界に夢中になれる。
 アニメとかゲームとかに通じる……というか、わたし的には同一線上にある、たのしさ。
 問答無用でわくわく出来て、そしてさらに、キャラ萌えして二次創作できる系のたのしさ。
 触発されて、「わたしもなにか書きたい、創作したい!」と思わせてくれるよーな。

 なんかのためになるとか賢くなるとか、生き方が変わるとか、世のため人のためになるとか、そんなことぜんっぜんないけど、とにかくたのしい。
 2時間現実を忘れ、理屈を忘れ、ファンタジーに酔える。

 ソレが、わたしが「タカラヅカ」に求めているモノだ。

 『BUND/NEON 上海』には、ソレがある。

 けっこーいろいろとギリギリで、それでも行くかどうか迷ったときに、思ったんだ。
 わたしにとって「タカラヅカ」ってなに。
 なんでそもそもわたし、ヅカファンやってんだろう。

 萌えるからじゃん。

 萌え、なんて言葉や概念がなかったころから。
 それゆえにわたしは劇場へ通った。

 それなら、近年いちばんの萌え作品、『BUND/NEON 上海』を見納めないでどうする!
 ナマで観て、感じて、五感で味わって、細胞に叩き込まなきゃダメだろ、こあら。
 名作ぢゃないから(笑)、絶対再演されないし!

 ああそうか、わたし、タカラヅカが好きなんだよなあ。
 ただもおたんに、舞台の上がたのしいから、好きなんだ。

 ご贔屓が出来て、他にも大好きなジェンヌさんがたくさんいて、人事とか人事とか人事とか(笑)、納得できないことや悲しいことがいろいろあっても。

 よーするに、「舞台」が好きなんだ。

 ご贔屓が出てなくても、好きなんだ。

 だって、たのしいから。
 わくわくするから。
 子どものころ、アニメを見てわくわくしていた、たのしんでいた、あのころのままに。
 もう大人だから、色恋その他、ねっとり濃い系が好きだけど(笑)。

 タカラヅカを好きなら、『BUND/NEON 上海』は見なきゃダメだろ、と思った。
 こんなタノシイ作品、また数年はめぐり会えない可能性が高いんだから。

 だから、無理をしてでも行ったんだ、千秋楽。

 チケットはサバキでGET。ムラはいいとこだ、行けばなんとかなるんだから(笑)。

 そーやって、観劇して。

 思った通り、たのしかった。

 男役が格好良くて、娘役がきれいで可愛くて。
 なんでそーなんのかさっぱりわかんないけど(笑)、最後はハッピーエンドで主人公とヒロインが清々しく笑顔で旅立っていくし。
 フィナーレのミニ・ショー付いてるし。
 明るく楽しいパレードで、発散して終わるし。

 コワレていたって、おもしろい。わけわかんなくっても、キャラクタが魅力的。

 だいもんすげー、まぁくんぴかーっ、れみちゃんきれー。
 ふみかノリノリ、スミレコード、スミレコード!(笑)
 ゆまちゃんかわいい、姫花天使、いまっちかわい~~、圭子ねーさまステキ、さおたさん変態でカッコイイ(笑)。
 じゅりあこわいよこわいよかっこいいよ、まりんうまいし実は彼が「月笙」って呼ぶのも萌えだ(笑)、しゅん様二枚目、よっちかわいいよよっち、萌子エロかっこいー、瀬戸くんの肩のライン好きだー、まゆくんの芸風って後ろから膝かっくんしてぇ(笑)、力仕事まかせろ銀華くん力持ち! みちるタンGOGO!

 ああ、タカラヅカって、コレだよな。

 小難しいことも説教も啓蒙もなく、ただ単純にシンプルに、わくわくさせる。

 キレイで萌えがあって、キャストをさらに好きになる。

 観終わったあとに、もう1回観たいと思わせる。

 タカラヅカにはいろいろあれど。

 コレも、タカラヅカだ。

 名作だから好きになるわけじゃない。大作だから感動するわけじゃない。
 ただ「楽しい」ってだけで、ぜんぜんOKだ。

 そして、『BUND/NEON 上海』は、たのしかった。
 何十回リピートして楽しいかどうかは知らないが(笑)、時間見つけて気軽に通うには、十分だ。

 千秋楽、カーテンコールのあと、フィナーレの最後の歌とダンスがもう一度あった。
 役を引きずらないこのフィナーレが好きだ。
 だいもんがにかーっぱかーっといつものだいもんに戻り、劉の面影皆無になっているところがイイ。だいもん、いつもながら顔芸やりすぎだから!!(笑)
 ふみかのかっこつけた笑顔、れみちゃんの全面の笑顔。
 黒かったり悲しかったりするキャラを演じていた人たちが、すべて一気にリセットして、きらきらきらきら笑って終わるのがイイ。

 キモチイイ。

 最後、作者の生田くんまで登場して(モヤシ系ヲタク青年に見えました……・笑)、すげーお祭りムード。
 ジェンヌたちと同世代の若い男の子なんだもんなー、そりゃ同志として舞台に引っ張り出したくもなるか。

 や、たのしかったよ、ありがとう。
 行って良かったよ。出会えて良かったよ。

 タカラヅカってやっぱ、おもしろいよ。
 劉衛強@だいもん萌えゆえ、彼の周辺を妄想語りし続けておりますが。

 ついに大本命(笑)、杜月笙サマ語り行きます。

 つーことで、今回は腐女子モード全開です。解禁です。だもんでそっちダメな人はトバしてくださいませ。

 『BUND/NEON 上海』の最強(笑)キャラ、杜月笙@ふみか。
 森下@まゆくんごときに緊縛プレイされちゃってそれっきり出てこないけど、森下はアレ、三日天下でしょ、本人も言ってる通り。上海事変と絡んでいるにしろ、森下自身はあっけなくあぼーんしてそうだ。
 杜月笙サマはその後も揺るがずゴーマン俺様ドS様で、中国社会に君臨し続けたわけだし。

 杜月笙サマが最強キャラなのは間違いない。

 そのヅカ史上稀な究極悪役キャラ杜月笙の、片腕と称される男・劉。
 そう言われてはいるけど、立場の弱さからして、ただのボディガードにしか過ぎないと思うんだけど(笑)。

 劉は幼い頃から青幇にいて、組織の中で育ったらしい。それゆえにボス杜月笙やその妻・沈素娥@もえりが「親代わり」にあたる。
 劉を育てたのは組織であって、杜月笙や沈素娥とかがほんとになにかしら世話を焼いて劉を養育したとは思えない。
 組織に放り込まれたガキが勝手に育ったんでしょう。ふつーのガキなら駆逐されて残ってないけれど、劉は努力と才能で自ら成長した、と。
 
 ある程度育ち、組織に有益な存在であるとわかってからじゃないのか、杜月笙に目を掛けられたのは。

 ナニが言いたいかというと、杜月笙は、劉に手を出していないとゆーことですわ(笑)。

 彼はディノ・ゴルツィネ@『BANANA FISH』とはチガウ、とゆーことです。
 お稚児趣味なんぞナイっ。(断言)

 杜月笙サマにあるのは、ドSな変態ハァトだけだっ。(断言)

 彼が好きなのは、陵辱、征服。
 なにもわかっていない無力な子どもなんぞ犯しても愉しめない。
 確固たる自我と立場を持った、誇り高い大人の男を踏みにじってこそでしょう。

 ふつーに女好きなので、ミシェル@れみちゃんに舌なめずりしたり、香雪@ゆまちゃんをアレしたりしている杜月笙サマ。
 劉のことも、別にそっち方面で見たことはなかった。

 が。
 自分の妻が、「息子同然」にかわいがっている劉を、そっち方面でかわいがっているとわかったときから、豹変。

 「自分のモノが損なわれるのは我慢できない」杜月笙サマですから。
 お気に入りの劉が自分の妻に手を出し(つーか出され)ていたことが許せない。

 杜月笙サマの中の人、ふみか様が自身のお茶会で「いちばん愛しているのはだいもん」と言い切ったそうですな。複数のタレコミいただいてます(笑)。
 浮気している妻は言い訳もさせず即切り捨てたのに、劉には挽回のチャンスを与えているのは、そのためだと。

 劉はふつーの男で、どんだけ彼が色男で総受オーラゆんゆんで男たちのアイドルだったにしろ、誰にも手は出されてなかったと思うのよ。
 いちばん強かったから単純に誰も押し倒せなかっただけっつーのもあるし(笑)、また高嶺の花として遠巻きに憧れられていたのもあると思う。
 だから彼は一途に香雪を愛していられた。
 彼は殺し屋だし、マダムのツバメ強要されてたりで汚れきってるんだけど、でもそれは「オス」としての矜持は保っていられるヨゴレ方だから。

 その最後の一線を、杜月笙サマが軽々奪っていく、と。

 香雪を人質に取り、クリストファー@まぁくん抹殺を命令して。
 跪いて慈悲を請う劉の指を踏んづけて。

 そして。

 そっからだと思う。
 「オス」としての本能や誇りすら、全部奪う。

 劉にはナニもなく、すべてが杜月笙の「モノ」であると。

 沈素娥だとか香雪だとかが「汚した」劉のカラダを、杜月笙サマが自分の色に塗り替えていくのだと。

 香雪の目の前だとか、他の青幇部下たちに手伝わせたりとか、とにかく「ここまでやるか!」な最悪残酷な振る舞いをして。

 劉の心を、壊したんだと思う。

 自分のモノのはずが、自由意志を持っていた。
 まったくの人形に興味はないくせに、意志を持つと逆鱗に触れる。矛盾が暴君を作り上げる。

 自由な心を持っていた? 誰かを愛したり、抱いたりしていた?
 それを許せないと思うから、それを壊す。もう二度と、誰も愛せないように。誰も抱けないように。

 タノシイのは、陵辱、征服。
 肉体的な欲望よりは、精神の欲望。

 肉体を陵辱することで、魂を貪り尽くす。

 ビバ、ドS様、ビバ、杜月笙サマ。

 その直後の劉くんは、香雪のことすらどーでもよさげな、まさに狂気の眼をしていて。
 荒みきっていて。

 内側から壊れている姿が、凄惨で。

 あのコワレまくった劉こそが、杜月笙の劉。彼が望んだ姿。

 ……とゆー、マフィア物BL的見解です(笑)。
 ヤクザ系っつーのは、BLの中では1ジャンルを為す萌えファクタですからなあ。

 劉は死ぬしかなかったんだよ。彼はもう、香雪を抱くことはできなかったから。
 たったひとつの愛すら、失ったから。

 しかし、リチャード@さおたさんごときを相手に死なないで欲しかったわ。
 マフィアBLの王道で行くなら、劉は杜月笙に殺されなきゃ!!

 森下の出番は間違ってると思うの。
 劉VS杜月笙で、劉が杜月笙の手で殺されてから、森下が出てくるべきだと思うなー。
 それゆえにクリスたちは無事に大世界から脱出できる、と。

 で、わたし的にはこの物語の裏側……つーか、横で、劉を愛している陸@瀬戸くんの葛藤を入れる、と(笑)。
 攻キャラスキーなので、杜月笙サマと陸くんにめいっぱい思い入れて書きますよ、同人誌なら(笑)。
 陸くんはプラトニックでヨロシク。いちばん近くにいて、いつでも手を出せたのに、出せていないところが彼の萌えです。
 そしてシンシア=クリスってことで、このへんは劉の思い込みでどんどん神聖化されていき、最期はクリスの周囲に天使が見える勢いで。……ほんとに、二次創作で1本長編書けますな。

 あああ、ほんっとに、楽しすぎるわ、『BUND/NEON 上海』。
 で、ただ今前代未聞史上最大のだいもん萌えしているわけですが。

 『BUND/NEON 上海』の謎は解けないばかりか、放置されている気もします。なにしろバウ公演、基本キャストのファン以外観ないわけで、リピート客>新規客だから、新たに疑問を発する人が日を経るにつれて減るという図。

 わかんないまま、勝手に妄想。記憶の断片つなげあわせて、勝手に読み解き。

 青幇の方々の人間関係についてです。

 ボスの杜月笙@ふみか。で、劉衛強@だいもんはその片腕、であるらしい。1年前のロンドン工作以前は、ふつーにばんばん人を殺す、イケてるマフィアだったらしい。

 で、他の青幇さんたち。幹部の張嘯林さん@まりんは別として、実戦部隊である劉に近いところの男たちです、気になるのは。

 陸桂才@瀬戸くん、万墨林@輝良まさと、高懐礼@真輝くん。
 輝良まさとのみフルネーム呼び捨てなのは当ブログの仕様です。輝良まさとは輝良まさとなのっ(笑)。

 この中で、劉と仲良しは、陸くんと高くんでヨシ?

 高くんは最初いきなり出てきて殺される頬に傷のある男の子……ゲフンゲフン、男、よね?
 台詞からして、高くんと劉くんは、かなり親密な関係だったと思えるのですが、違いますか?

 ちっさい裏切り者ひとり粛清する程度なら、なにも片腕の劉を差し向ける必要はない。が、ドSの杜月笙はわざわざ劉に高を追わせた……それはもともとふたりが親友だから。
 高くんが自嘲気味にそのような台詞を言いますよね。

 1年前のロンドンでも、この高くんがどーやらヘタ打ってクリストファー@まぁくんに捕まってもつれているところを、劉が助けに行ってるわけだし。

 高くんって、ダメっこ?
 顔に傷があるのも、武闘派だからじゃなくて、ヘタレだから?

 マフィアとしては役に立たないダメっこの上、故郷の父親が病気、とかゆーステキにありがちな理由で金になびき、組織を裏切った、という。
 どんだけ心弱いんや。

 こんなダメダメ過ぎる男と、何故かエリート・マフィア街道ぶっちぎりの劉が仲良し。
 不思議だなー。

 やっぱナニか、ハードボイルドな劉からすれば、アホの子の方が、心安らげたのかな。

 裏切り者の高くんを殺せなかった、ことで、「劉は1年前のロンドン以降、人を殺せなくなった」と表現しているわけだが、それなら高くんと親友設定は不要だと思うのよ。
 シンシア@姫花の呪いで人を殺せない、というより、親友だから殺せなかった、てなふーに見える。

 高くんに、劉と親密だったみたいな台詞言わせなきゃいいのに。や、男子の好きな定番展開だとは思うけど、「よりによってお前が追っ手か。……ふっ、味な計らいだな」つーのは。
 生田くんが男子的な萌えハートゆえにハァハァ言いながら書いた脚本だとは思うけど、その男子的萌えがあちこち笑いツボにハマるんだなこれが(笑)。

 で、男が男に萌えて書いた話ってのは、腐女子的に実に美味なので、素直にがっつりいただきます(笑)。

 劉にとっての聖域は幼なじみの恋人・孫香雪@ゆまちゃん。チャイナドレスがまぶしい美少女。劉がどんだけ汚れても、変わることなく臆することなく、彼だけを愛する少女。
 表社会での癒しは彼女で、裏社会……野郎ばっかで殺すの戦うのとゆーてる社会においての癒しは、高くんだった、と。
 高くんはよわっちいし、おつむもちょっと花畑風味だけど、劉になついていてかわいい相棒だったと。

 高くんを殺さなかったことで、劉は杜月笙に責められるわけだが、「自分はどうなってもいい」と膝を付いて身を投げ出すところが、その後香雪の命乞いをするときとほぼ同じなんだよね。

 劉にとって、香雪と高は同じ扱いなのか?! と思って、びびりました(笑)。

 愛されてるなあ、高くん。
 劉みたいないい男に命懸けで愛され、守られてるっつーのに、よりによって森下@まゆくんごときにたぶらかされるつーのがもお……どんだけアホアホなん、つーか(笑)。

 まあ、そーゆーヘタレワンコなところが、劉の保護欲を誘ったのかもな。香雪にしろ高にしろ、「オレが守ってあげなきゃ!」なタイプが劉の好みみたいだし。

  
 で。

 そのどーしよーもない高くんに対し。
 もうひとりの仲良し、陸くんは、どーやら優秀なマフィアみたいです。

 1年前は劉たちと一緒にロンドン、そして現在も劉と一緒にGOGOマフィア生活エンジョイ。
 「めんどーなときは殺せ」という青幇の組カラーに忠実な、良いマフィアさん。彼の欠点は、帽子を深く被りすぎて、顔がほとんど見えないところ(笑)。
 体格がいいんで、顔見えなくても十分かっこいいんだけど、表情すらほとんど見えないっつーのは、やりすぎじゃないのか瀬戸くん。それとも演出家指示?

 陸くんがまた、ステキに劉ダイスキで。

 高くんを殺せない!と苦渋の決断をする劉に対し、「お前がそう言うなら」と身を引き、ロンドンにてクリスを殺せない!と苦悩する劉に対し「どーしたんだ、劉衛強ともあろう者が!」とファントーク、香雪人質に取られてぶち切れた劉が戦闘モードに入ると「お前がやるなら!」と一緒に虐殺暴走。

 ナニこの愉快な人(笑)。

 ことさら仲良し場面がないだけに、いちいち劉に夢中な言動を取られるとツボります(笑)。

 ハードにクールに情け無用に生きてるっぽいのに、よく聞くと劉のことすごく尊敬してるってゆーか一目置いてるのね。
 でも劉の部下ってわけじゃなく、対等っぽいというかえらそーにしているというか。
 こじろーとわかしまづ的といいますか、対等な友人関係で普段はぞんざいだけど、実は片方が片方を内心崇めている感じってゆーか。

 ぶっちゃけ、萌えです。

 萌えだけで構成されたこの『BUND/NEON 上海』で、いちばん萌えな関係が、ココだ。なにかと派手派手なこの『BUND/NEON 上海』で、よりによって、こんな地味なところ(笑)。

 で、エドガー@よっちの屋敷でパーティのとき、芳玉蘭@じゅりあに袖にされてなんかモメてるのも陸くんだと思って、どんな人間関係が?!とわくわくしてたんですが、あそこって別人なの?

 
 陸くんがクールぶりながら実は劉萌え(萌え言うな)な人だというのは、もうひとりのクールなマフィア・万くんの存在ゆえでもある。
 同じよーな立場の男に思える、陸と万。
 でも、万はすっきりはっきり杜月笙寄りで、劉に同情的だったりしないんだよなー。
 万が揺るがない分、余計に陸が「そうか、そんなに劉が好きか(笑)」と思えてステキ。

 
 とまあ、勝手に盛り上がっています。

 上海黒社会のアイドル・劉をめぐる男たちの物語。
 まっつMS出演キターっ!!
2010/01/15

桜乃彩音 ミュージック・サロン
<タイトル>『Ever green』-春風のように-


<構成・演出>稲葉太地

<出演者>(花組)桜乃彩音
            未涼亜希、望海風斗

<料金>25,000円(税サ込)

 水くん退団発表の陰でひっそり?と、彩音ちゃんミュージックサロン情報も更新されました。

 まっつとだいもんって、当代歌ウマ競演?! と、実にテンションの上がるキャストです。
 水くんとの別れを突きつけられたあとに、いろいろフクザツだったり不安だったりな心境になりつつも、キモチを切り替えていきます。
 観劇に疾走するのがヅカヲタ人生。
 

 わたしは周知のイタいまっつファンであり、今まさに前代未聞のだいもん萌え真っ直中だったりします。

 まっつとだいもんって! ナニそのわたし的垂涎キャスト。
 行く気満々です、がんばってチケ取りします!

 ……といっても、1回が限度ですが。
 だって、お金ナイし。

 3年連続ディナーショー出演って、うれしいけど金かかりすぎです、まつださん。

 2008年がトド様DSで、2009年が本人中心の巴里祭で、2010年が彩音ちゃんMS。……ふつーディナーショー出演って、何年かおき、あるいはジェンヌ人生に1~2回程度のもんぢゃないの? や、主演ぢゃない、脇のキャストだとしても。
 毎年毎年DSって、単価が25000円以上のステージって、びんぼー人にはキツイ……。金の掛かる男に惚れちまったもんだぜ。ふっ。(ナマ舞台を売る以上、ジェンヌはみんな金の掛かる存在ですってば・笑)

 彩音ちゃんはお歌はともかく(笑)、華やかに美しいトップスターさん。その最初で最後の主演ステージを楽しみたいと思います。

 タカラヅカは男役至上主義世界。
 だからこそ、娘役が主役を張れるほぼ唯一のステージが、退団イベント。
 芝居がいちばん好きなわたしとしては、グンちゃんのようにバウ公演をやってほしいと思う。
 彩音ちゃん主演でバウでお芝居書いていいって言われたら、わたしならすごくいろいろ楽しんで企画するけどなあ。
 彼女の持つ包容力とピュアさ、そして、魔性……。正反対のうつくしさを持つスターだもの。
 お芝居が観られないのは残念。
 けれど、昔と違って今のスケジュールでは絶対無理。MSがやっと……MSだってかなりタイトな日程。

 ヅカの「娘役」っていうのは、性別女なだけでは務まらない、特別な技術。その集大成として、主演のステージがあるのは救い。お稽古とか大変だろうけど、健康に気を付けて満喫して欲しいよ、彩音ちゃん。

 や、他のトップ娘役さんのMSだって行ってみたかったけれど。娘役さんの場合、チケット事情もアレだからお金さえあれば参加することは可能なはずなんだが、なにしろびんぼー過ぎて。清水の舞台から飛び降りるきっかけがないと、実際にホテルの宴会場までは駆けつけられません。みんなびんぼーが悪いんや。
 ご贔屓出演をきっかけに、ぺちゃんこの財布からなんとか25000円捻出したいと思います。

 それにしても、演出がイシダせんせじゃなくてよかった……(笑)。今やってる公演がイシダせんせだから、そのまま引き継いじゃったらどうしようかと思った。公演やりながらMSの企画も平行して煮詰めて……とかの作業ができるから、と。

 稲葉せんせといえば、『Appartement Cinema』。彩音ちゃんのトップ娘役プレお披露目公演の演出家だね。でもっていなばっちもコレでデビューじゃなかった?

 思い入れのあるモノ同士で作るステージを、心から楽しみにしているよ。
 (演目未定)ってナニ?!
2010/01/14

雪組トップスター・水 夏希 退団会見のお知らせ

雪組トップスター・水 夏希が、2010年9月12日の雪組東京宝塚劇場公演(演目未定)の千秋楽をもって退団することとなり、2010年1月15日に記者会見を行います。

なお、会見の模様は当ホームページでもお知らせ致します。


 水しぇん退団の覚悟はあった。
 ナニを知っているわけじゃないが、漠然と今年……2010年だろうなとは思っていた。
 『ソルフェリーノの夜明け』という演目が発表になったときに、2010年退団は仕方ないのかもしれないが、植爺作品退団だけは避けてくれ、つか植爺での退団は誰であってもやめてくれと祈った。
 トップの退団発表があってしかるべき時期を過ぎて、人知れずホッとしたさ。
 そして、じゃあきっとその次だなと思った。2010年の2作目、そこを区切りとしてゆみこちゃんにバトンタッチするんだなと。
 誰に言うこともないが、そうなんだろうとひとり勝手に思って、覚悟していた。や、覚悟決められるほど強くないので、予防線を張って自分を守っていた。きっとあと2作、と。

 それが、まさかのゆみこちゃん退団で。
 そこでアタマがストップしていたので、それよりあとのことは考えていなかった。
 あと2作で水しぇんがいなくなるというのは、考えていたし心の予防線も張っていたけれど、でもどこかで意識からなくなっていた。

 だって、水しぇんが今年辞めるなら、なんでゆみこちゃんが今辞めるのよ?!

 ゆみこちゃんが先に辞めるから、水くんはしばらく辞めないとか、特に考えていたわけじゃない。ほんとに目の前のことしかわかんないので、そこまで考えてなかった。
 アタマの中はゆみこちゃん退団発表と、次いでハマコ退団発表で止まっている。
 ただ、長年のヅカヲタ人生から、人事発表のタイミングを肌で計っている。計算ではなく慣習、癖とか本能の域で。

 だからトップ退団にたどり着くまでの流れ……今までの流れから、「たとえ今年2作目が退団公演であっても、発表はまだ先」だと思っていた。

 まず演目が発表になって、タイトルに別れを象徴するものが入っていて、なにかしらイベントになりそうなスケジュールが組まれて……そういう、一連の流れ。

 根拠があるわけじゃないが、慣習はある、なにごとも。
 そして迷信や慣習には大抵、根っこにはそれらが起こるための理由や原因がある。なんの因果関係もなく発生しない。

 だからこそ。

 (演目未定)って、なんだよ?

 演目未定で退団発表したトップスターなんて、知らない。

 通常ではないことが起こっている。慣習や流れに逆らう事態が起こっている。今の、宝塚歌劇団で。
 ここ20年なかった、2番手退団が起こったように。

 水しぇんがいなくなる、男役の彼に会えなくなる衝撃は大きい。覚悟していても、大きい。
 だけど。

 何故、今発表なの? という衝撃こそが、大きい。(演目未定)なんてイレギュラーなときに。
 
 
 なんつーか。

 わたし、『ソルフェリーノの夜明け』『Carnevale睡夢』は、ゆみこちゃんの退団公演であって欲しかったのよ。
 準トップスターである彩吹真央が退団する公演、であって欲しかった。
 たとえ大劇場だけでも、ゆみこちゃん単体のサヨナラ公演であると思って、観劇したかった。
 や、ハマコ他の退団者もいるけれど、去年の『ラスト プレイ』だってスタークラスの退団者が他にいてもまず「瀬奈じゅんサヨナラ公演」だったわけで。
 ゆみこちゃんを、そういう風に送り出して欲しかったんだ。わたしの勝手な思いだとわかっているけれど。

 ゆみこちゃんのサヨナラ公演であると同時に、水しぇんのプレ・サヨナラ公演になってしまったことが、なんだか寂しい。
 
 てゆーか、同時に組替えでやって来たふたりの卒業がわかったあとで観るわけだから、「水くん時代の雪組のサヨナラ公演」?! 見納めだから目に焼き付けろって?
 

 なんか、もお。
 PC画面に向かってえんえんひとりで吠えちゃったよ。なんで?と。
 罪なく萌えバウ作品に萌えて、アホな感想書いていたのに。モバタカメールで吹っ飛んだよ。で、あとはお決まりの貧血起こして。

 整理がつかないなあ。
 水しぇん、いなくなっちゃうの?
 演目もわからない作品で、別れだけ突きつけられて、覚悟をしろと。
 なんかねえ、『BUND/NEON 上海』を語り出すと止まらなくなるのよ。
 いや、止まらないのははっきり言って妄想が、ですわ。

 こんだけおもしろいと思える作品に出会えるのは久しぶりだ。贔屓も出てないのに(笑)。

 「おもしろい」にもいろいろあって、『BUND/NEON 上海』のおもしろさは、同人誌を作りたい系のおもしろさです。
 その昔、サイトーヨシマサ作のトンデモ物語、『血と砂』で狂ったよーにパロ小説書いた、あのころの血のざわめきを感じますわ……(笑)。

 
 えー、今回はもちろん、劉衛強@だいもん萌えです。

 わたしが受キャラに萌えるのはめずらしい。大抵攻キャラにめろめろになってますから(笑)。
 しかし劉くんてば、エロ垂れ流しの総受キャラだから、わたしの完敗です。彼の虜です。

 腐女子的な話は置いておいて、とにかく劉くん周辺に萌えまくっているので、今回はその話。

 
 テーマは、「シンシアと、劉」。

 闇の汚泥の仲で生きる狼、劉衛強。
 彼は本能的に「光」を欲している。

 本来の彼は、闇より光を正とする人間なんじゃないか。

 演じているだいもんのまっすぐさや強さが、そう思わせるのかもしれないけれど。

 本来の生きる場所とは違うところで、生きるしかなかった悲劇。
 殺し屋なんか向いてないのに、そうすることでしか生きてこられなかった。
 真実の自分を押し殺し、分厚い殻で覆って闘い続ける。ただ、生きるために。

 でも本能は消えない。消せるはずがない。
 彼は光を求めている。

 そして。
 遠い異国、ロンドンで。
 彼は出会ってしまった。

 「光」に。

 シンシア・フレミング@姫花。
 白いドレスの少女。無垢な光、無垢な魂。相愛の婚約者がおり、結婚式を控えている、幸福絶頂の少女を誘拐し、監禁する。

 そう、上海マフィア青幇は、阿片貿易絡みでフレミング一家を誘拐した。

 殺すだけならすぐにできたのに、わざわざ誘拐したのだから、しばらくは生かしてあったのだと思う。

 囚われのシンシアと、犯人一味のリーダー劉。

 ……このふたりに、ナニがあったのか。

 考えるだけで、萌えまくります。

 イメージとしては、ニコラ@らんとむとマチルダ@彩音(by『落陽のパレルモ』)ですな(笑)。

 心を閉ざしている劉に、シンシアはやさしい光を放つ。
 はじめは反射的に反発・拒絶し、だけど抗いがたい力で惹きつけられ、劉の心はシンシアに傾く……。

 別に男と女の感情ではなくて。
 シンシアの持つ光が、劉が焦がれてならない、「彼の本来の場所」を示すんだ。開けてはならない扉、自ら鍵を掛けた真実の劉衛強が、シンシアの光によって現れてしまう。

 人を殺せなくなったのは、シンシアのせいじゃないよ。
 
 劉のカラダを縛るのは、劉自身の心。
 シンシアがナニかしたからではなく、その最期の表情がどうとかでもなく。そんなことは表面的なことでしかなく。

 劉は、気づいてしまったんだ。
 本来の自分は、人なんか殺せないってことに。

 真っ当で、やさしい青年。
 汗を流して労働し、ささやかな日々の糧を得、愛する少女と寄り添い合い、平凡に生きることによろこびと充足を感じることのできる、ふつーの感性を持つふつーの青年。
 光の中で笑って生きる、本来の姿。

 真実の自分を押し殺し、分厚い殻で覆って闘い続けてきた。ただ、生きるために。
 それが、壊れた。
 分厚い殻が破れ、剥き出しの魂が、心が、あえいでいる。
 闇でなんか生きられない、光が欲しいと。

 どちらも、「生きる」ための本能。
 光を求めるのは、生まれ持った本能であり、闇に沈もうとするのは、生きるためにそうするしかないのだという、生存本能。

 そのふたつの本能に引き裂かれ、混乱し、あえぎながら、手を下した。
 劉衛強、最後の殺人。

 彼は自身の手で、「光」を殺した。

 それは同時に。

 自身の手で、「光」を得てしまったんだ。

 シンシアは死に、劉は人を殺せなくなった。
 それは、彼自身が闇オンリーではなくなってしまったということ。本来の彼、光を必要とする彼が表面に出てしまったんだ。

 でも、これでは生きていけない。
 「光」を否定しなければ。元の「闇」に戻らなければ。
 あがき続ける1年間。

 そして。

 ふたたび、彼の前に「光」が現れる。

 クリストファー・ブレナン@まぁくん。

 死の間際に告白していけれど、ほんとのところ劉は気づいていたんじゃないか。

 自分が、クリストファーを待っていたことに。

 最初から、無意識に。

 シンシアを殺したあと、次に殺人の必要があったのは、捜査官クリストファーと対峙したときだ。
 いつものように劉はクリスを殺そうとした。
 が、出来なかった。

 はじめての、失敗。
 自分が変わってしまったことに、そのときはじめて気づいた。

 もう戻れない。
 闇の中には。

 なのに、闇の中にしか、居場所はない。

 滅びるしか、ない。

 自分の翼が蝋だと気づいたイカロスのように。
 墜落しはじめて、ようやく知る。空は、彼の生きられる場所じゃなかった。大地の上こそが、彼の故郷だったのに。

 彼が大地に着くとき、それは彼が死ぬとき。偽物の翼を背に、大地に叩きつけられて、彼は死ぬ。

 わかっていた。
 シンシアに出会い、禁断の扉が開いてしまったときに。

 シンシアを殺し、クリストファーを殺せなかった。
 だから。

 劉は待つんだ。
 クリストファーが、自分を殺すのを。

 光が、彼を溶かすのを。

 
 という。

 劉にとって、「シンシア=クリストファー」であり、『BUND/NEON 上海』は、劉が救われるための物語。

 ぶっちゃけ、劉とクリスの愛の物語でイイと思ってますが(笑)。
 や、愛っつっても腐った意味ではなく。もちろん腐っていてもぜんぜんかまわないが(笑)。

 2幕オープニングの歌で交わるふたり、クリストファーと劉がドラマティックでいいですな。
 ライトが、クリスは赤、劉は青でね。
 ふたりが左右入れ替わったとき、ライトはどうなるのかと思ったら、ご丁寧にライトも切り替わって、やっぱりクリスは赤、劉は青なの(笑)。はいはいはい、こだわりなのね、生田くん、となまぬるく笑った(笑)。

 萌えは止まりません、いろいろと。
 わかんないことがありすぎる『BUND/NEON 上海』
 わかんないことを、自分なりに考えてみる、PART.2。


 作品を通していちばんの謎。
 1年前の、ロンドンでの事件。
 フレミング一家が誘拐の上、殺害された。

 犯人は上海マフィア・青幇。
 ここでのポイントは、誘拐の上、ってこと。
 殺すだけなら襲撃時にやってしまえばいいだけなのに、わざわざ苦労して連れ去ったわけでしょう? その場で殺すより、生かしたまま3人もの大人を拉致する方が大変なのに、それをしたってことは、生かして連れ去らなければならない理由があったはず。

 フレミング一家の命を盾に、なにかしら取引要求があった。

 誰に?

 阿片密輸をしている共犯会社、トラヴァースとフレミング。ただの仕事上のつきあいだけでなく、フレミング家の長女ミシェル@れみがトラヴァースの一人息子エドガー@よっちのところに嫁いでいる、姻戚関係。運命共同体。
 そして、エドガーは知っていた、フレミング一家が殺されること。もしもミシェルがロンドンに駆けつければ、彼女も巻き添えを食うかもしれないことを、知っていた。だから妻に恨まれても憎まれても、絶対に行かせなかった。

 マフィアと警察を後ろ盾にして、いくらでも儲け放題だったはずなのに、そのマフィアがフレミング一家を殺害、トラヴァースは見て見ぬフリ、ってのはおかしい。

 ふたつの家に、会社に、ナニがあったのか。

 阿片貿易、なんてのはもちろん悪。だけどひょっとしたらフレミングはいい人たちで「そんなことしたくない!」と言ったのに、ミシェルを人質に取られているから仕方なかったのかもしれない。

 想像に過ぎないが、フレミングはそうとは知らずに密輸に荷担していて、知ってしまったからミシェルを人質に取られたのかも? 口をつぐみ、協力することを半永久的に誓うために。
 だけど正義の捜査官クリストファー@まぁくんとシンシア@姫花が結婚することがきっかけになり、反旗をひるがえしたとか。「やっぱり悪いことをするのは嫌だ、もう手を切る!」とか?
 
 誘拐されたのは、「真実を公表する」と言ったフレミングを諫めるためとか?
 妻や娘の命が惜しかったら、今まで通り密輸に勤しみなさいと。
 だけどフレミングがうんと言わなかったから、一家三人皆殺しにされたと。

 エドガーに対してのみせしめもあったかもしれない。気の弱い彼はあちこちで怖じ気づいて、優柔不断な態度を取っているんじゃないか。
 フレミング一家を見殺しにしたエドガーも、もう後には引けない。彼が決断しなければいけない、ぐずくずしていると被害が広がる。そーやってずぶすぶと泥沼、青幇の餌食。
 
 ……いやまったく、真実はわかりませんけどね。ひでー話だ、生田くん、もっとちゃんと作劇してよ(笑)。

 
 さて、阿片密輸のロンドン窓口を失ってしまっても、青幇的には問題なくなっていた、ということでしょうね。
 それはトラヴァースの社長が代替わりしたからかな、と想像。
 先代社長、エドガーのパパはやり手だったんじゃないか? もしも誰か演じるなら、はっちさんあたりのイメージで(笑)。星原先輩も可。(だからどこの『アデュー・マルセイユ』……)
 優秀だけど油断ならないパパの時代は青幇もトラヴァースに手を出せなかったが、エドガーなら問題なし、さっさと手なずけちゃった。それならもうフレミングはなくてもいいや、と。
 どんだけ派手に事件を起こしても、中国人が団体で覆面して街を走り回っても(笑)、ロンドン警視庁が味方だ、みんな揉み消してくれる。

 一件落着、あとは追々エドガーも殺して、名実ともにトラヴァースを乗っ取る予定。(by青幇ボス・杜月笙@ふみか)

 ……と、思っていたのに。

 はい、よーやく現在、クリストファーが上海にやってきた。嗅ぎ回られると迷惑。てゆーか、どこまで知ってるんだ? と、杜月笙じきじきに見聞に現れる。

 いやあ、フットワークいいよね、杜月笙。
 エドガーんちのパーティに、いそいそ出かけちゃうし。注目されること、演壇で演説したり拍手されたり好きっぽいし。
 そのへんのかわいさも含め、中国人っぽいなー(笑)。

 や、わたしはボスがクリスに興味持ってるのは劉@だいもん絡みだと思ってるけどねー。
 クリスって「劉が殺せなかった男」だからさー。そこにナニかある、と勝手に思っていても、おかしくない(笑)。

 だってクリスってば別に、優秀でもなんでもないじゃん? 上海へやって来たのも、ただの山勘らしいし。行き当たりばったりだし。
 なんか勝手にみんなしてクリスのこと過大評価し過ぎてないか?

 好色な杜月笙さんは、美女のミシェルに興味大。そのうちエドガー殺してミシェルを手に入れようと思っていた模様。

 エドガー可哀想だなあ、誰も彼もに軽んじられて。クリスと正反対(笑)。

 
 クリスが「上海生まれ」という設定があるのは、「中国語がわかる」必要があるためかなと思う。
 ロンドンでクリスが中国人グループに襲われたとき、彼らの使う言葉がわかる必要があった。
 青幇のみなさんが仲間同士で話すときに、いちいち英語を使ったとは思えない。上海訛りとか、土着民しかわからない言葉で会話していたんじゃないか。イギリス人の捜査官にわかるわけがないと思っているから、あそこで劉の名前を出したんでしょ? わたしだったら中国語で「劉衛強ともあろう者が!」と言われても、ナニが名前でナニが助詞でとか、さっぱりわからない自信あるもん。

 おかげで、上海に降り立ったクリスが、まるきしジェラール@『アデュー・マルセイユ』とかぶるんですけどね(笑)。
 昼間の観光案内からはじまって、夜のマルセイユ……ぢゃない、上海マフィアの話になるあたり、かぶり過ぎててびびるんですけどね(笑)。

 そんなことより、実はわたしとしては、人を襲うときに、わざわざ覆面を取ったりしない青幇さんたちは正しいな、なんて基本事項に感心しちゃってるんですけど、なんとかしてよ(笑)。
 黒尽くめの男たちが主人公を囲んでわらわら襲いかかる、その図にデジャヴありすぎて。つい先日見た図を思い出して。

 かっこつけて、わざわざ覆面を取る男がいたな、と肩を落としてしまうのですよ……(笑)。
 困ったもんだ。
 わかんないことがありすぎるんですが、『BUND/NEON 上海』
 誰か教えて下さい。

 
 2年前から、エドガー・トラヴァース@よっちは、阿片をはじめる。が、妻のミシェル@れみは気づいていない。すでに夫婦仲は冷めていた模様。

 エドガーが阿片中毒になったのは、パパから譲り受けた会社をうまく経営できないから。こわい重役たちがいっぱいいて、ぼんぼん社長なんか大事にしてくれない。そのプレッシャーから阿片に手を出す。

 そのさらに前、エドガーのパパが生きていたころにトラヴァース家へ嫁いできたミシェルは、どうやら政略結婚っぽい。冷たい扱いを受けるなか、優しくしてくれたのはエドガーだけ……なのに彼を愛することはなかったのか、エドガーどんだけ魅力ナイ設定なん。

 トラヴァースとフレミング(ミシェルの実家)は仕事上のつきあい。そこでミシェルがここまで頑強に心を閉ざすほどの政略結婚ってのは、どういうことか。

 人質?

 フレミングがトラヴァースを裏切らないために差し出された人身御供か、財政破綻した家を建て直すために金で買われていったか。
 そのあたりしか思いつかない。
 ふたつの家が対等ならば、ミシェルだけがこんなにつらい結婚をする必要はないもの。なにしろ現在の彼女は両親も妹も憎んでいるんだ、彼女の意志に反して人生を決められたんだろう。

 人身御供なら誰にも愛されない存在で、冷たく扱われていたのもわかる。
 が、もしも金で買われたなら、誰かトラヴァースの家の者が熱烈に彼女を欲したことになる。借金の肩代わりをしてもイイと思うほど、彼女を欲しがる者……そしてソレは、無力なエドガーではない。

 エドガーのパパがミシェルを欲したのかもしれない、と、妄想する。
 体面的に息子の嫁として迎えたけれど、実質は当主の愛人扱いだったのかも、と。
 それなら、エドガーひとりが優しかった、といっても、ミシェルが生涯エドガーに心を開かず、妻に愛されないまま、父の影を超えることが出来ずにもがくエドガーが阿片に溺れるのもわかるんだが。
 

 で、このあたりの時系列で疑問がある。

 ミシェルとクリストファーは、いつどこで知り合ったのか?

 『BUND/NEON 上海』の時点で、ふたりは知り合い状態である。エドガーが「昔話でもすれば」と言うくらいに、旧知の仲らしい。
 クリストファー@まぁくんは、ミシェルの上海での暮らしぶりを知らなかったようだし、彼自身上海に来るのは久しぶりのようだ。
 つまり、彼らが出会っていたのはミシェルが結婚する前、家族と共にロンドンにいた頃、ということになる。

 でもミシェルの妹、シンシア@姫花とクリストファーの出会いを、ミシェルは知らない。クリスがわざわざ「こーやって俺たちは出会った」と語って聞かせるくらい、ミシェルには未知の世界。

 ミシェル独身時代にクリスと出会い、クリスはシンシアの存在を知らず、ミシェルが上海へ嫁入りしたあとに、彼女の妹とは知らずシンシアと出会って婚約した。……てこと?
 政略結婚で悲しい日々のミシェルのもとへ、「ボクたち婚約しましたー♪」って報告が来たの? えええ、あたしの友だちだったクリスと、妹が婚約?! なんで? どーして? あたし紹介してないのに、どっからそんな話に?!(白目)……てこと?

 これでミシェルが実はクリスを好きだった……とか、実は昔ふたりはつきあっていた……てな設定があれば、いろいろ辻褄が合う(シンシアを憎む理由、結婚生活がうまくいかない・エドガーに心を開かない理由)んだけど、そんな設定、なさそうだし。
 もしもふたりの過去に色恋ネタがあったなら、絶対会話に出るでしょ。

 ただの顔見知り程度に思えるんだけど、パーティで再会したふたりの会話。
 「妹の婚約者」「婚約者の姉」というだけの関係にしか見えなかった……。
 
 
 そして、1年前。
 ロンドンにてフレミング一家が殺害される。

 スコットランドヤードの捜査官でシンシアの婚約者であるクリストファーは、上海にいるミシェルに「ロンドンに来てくれ」と言う。
 呼んだのは、殺害に至る前かな。一家は誘拐された上、殺されたらしい。誘拐の時点で呼んだのかもな。
 捜査上の協力が欲しかったのかもしれないし、友人だから呼びやすかったのかもしれないし。

 だけどミシェルは来なかった。

 彼女は行こうとした。が、夫のエドガーが行かせなかったらしい。
 ふつーなら妻の家族が死んだんだから、葬式他に顔を出させて当然なのに、それを許さなかった。あのヘタレよっちが。チガウ、エドガーが(笑)。

 多分このことが、夫婦の仲を完全に裂いたんだろう。もともとうまくいってないのに(2年前から寝室は別だったと推察・笑)、家族の葬式にも出席させてくれないんじゃ、家庭内離婚も当然だわ。

 エドガーは言う。「行かせなかったのは、君を愛していたからだ」。

 エドガーは知っていた。フレミング一家が殺害されること、そして、その犯人が誰なのか。
 だからミシェルを行かせなかった。もし彼女がロンドンへ行けば、一緒に殺されていただろうから。
 あのよっちが、頑としてゆずらなかったんだ、どんだけの覚悟!!(よっちじゃないです、エドガーです)

 とゆーことで。

 結局どうなのよ、あのロンドンの事件って。

 フレミング一家を誘拐の上殺害したのは、上海マフィア・青幇。ボス杜月笙@ふみかの命を受けた、劉@だいもんたち。

 わざわざ誘拐したってことは、なにか目的があったはず。
 無事に返して欲しくば~~しろ、と、なにかしら要求を突きつけられたはず。

 誰に?

 エドガーの会社は青幇と組んで阿片密輸をやっていたっぽい。上海窓口がトラヴァース、ロンドン窓口がフレミング。
 そしてロンドンのスコットランドヤードもまた、密輸に荷担している。

 それってどこの『アデュー・マルセイユ』……!

 ところどころ小池作品っぽい筋立てなのは置いておいて(笑)、この流れで行くとシンシアを殺したのは、実はエドガーなんじゃないの?ってことになりますが。

 青幇が脅した相手がエドガーならば、間接的とはいえ、フレミング一家殺害に関与したことになりますよ。
 トラヴァースがなにかしたことによって青幇が怒り、要求が叶えられなかったからとフレミングを殺した場合は。

 だとしたら、エドガーが阿片に救いを求めた理由も、より強く納得できますね!!(笑)
 やーん、よっちなのに、すべての元凶だなんて!!
 じつは、影の主役?!(笑)

 エドガー素敵。すげーツボなキャラだ。よっちかわいー。(関係ありません)

 
 いやその、ほんとにそこまで大きな役なら、あんな簡単な最期だとは思ってません(笑)。
 真相は別にあると思いますが。

 それがなんなのかわかんねーし。
 『BUND/NEON 上海』感想で、ヒロインの立て方が間違ってるとか、シンシア@姫花ちゃんこそがヒロインだとか書いてますが、ミシェル@れみちゃんに含みはありません。

 れみちゃんの「娘役スキルの高さ」には心からの拍手を。

 あんなやりようのない役で、よくぞ「美しさ」を刻んでくれる。
 囚われの身になっているときの、長椅子に坐っている姿の美しさときたら……!

 今回れみちゃんの、曲線の美しさに開眼した。
 れみちゃんの手足が長いとは今まで特に思ったことがないわけだが、今回のマーメイドドレス姿でわかった、そうかこの子、胴が短いんだ。ミニマムにボンキュッボンなエックス体型。なんかリアルに肉感的、ええ女やわー。

 しっとりとした大人の女、感情的になってなお小娘にはならない。
 ミシェルはれみちゃんアテ書きなのかな。なんつーかこう、れみちゃんって、不幸な女が似合うよね。喪服を着せたい美女というか、疲れてたり儚げだったりすると萌えるというか。

 娘役は大人になるのが早い。さおたさんとふたりでメルヘンなコンビ@『熱帯夜話』をやっていたのはええっと、たかだか5年ちょい前。いかにも現代っ子な気の強いヒロインを演じていた@『Young Bloods!! 』のは4年前か。
 いったいいつの間に、ここまで芸風が変わったんだ……。わたしが最初にれみちゃんを「薄幸そう」と思ったのは、2007年の『TCA』だった……まっつと組んで踊ってるのを見て「うわ、薄幸そうなカップル!!」と思ったんだよなー。あれ以来、なんかれみちゃんは寂しげな女性が似合うっちゅーか……。
 あっという間に、大人になっちゃったんだね。
 研3で初ヒロイン(WS)抜擢以降、月組ではねねちゃんに次ぐポジションの路線娘役スターとしてキャリアを重ね、花組に組替えになって現在に至る、わけだもんなあ。

 あまりに大人びていて、正直おどろいた。
 実際の学年より、ずっと上に見える……つか、ねねちゃんと同学年なんですけど。ねねちゃん、マリア・テレジア女帝陛下演じてすら少女なんですけど(笑)、あのねねちゃんとWSで同じ役をやっていたりするんですけど、しかも当時はねねちゃんの方が大人っぽかったような気がするんですけど、この分岐点はいったいどこに……(笑)。
 わかんないもんだよなあ。だからタカラヅカはおもしろいんだけど。

 大人び過ぎちゃってることに、これからのれみちゃんのヒロイン人生を勝手に危惧してしまいました。
 や、もっと上級生の相手役だったら、ここまで姐さんには見えないだろうからいいのか。

 
 相手がれみちゃんだとヒロインの方がずっと年上に見えてしまったけれど、主人公クリストファー@まぁくんも、一時期からは想像できないくらい大人になっている。
 少年には見えないもの。ふつーに大人に見える。声がいいというわけじゃないものの、ちゃんと大人の喋り方をしていてブレがない。

 この作品はやたら2番手の劉@だいもんがいい役で、主人公は書き込み不足で分が悪い。
 黒い役の方がかっこいいのは世の常、いい人な白い主役は割を食う。
 それでも、その分の悪い状況で、まぁくんが「主役」としての光を放っているのは、すごい。
 「真ん中」という才能を持った人だなと思う。
 華がある、というよりは、光がある、と思う。なにができるできないよりも、彼をまず「真ん中」に立たせてみたいと思う、そのキモチはよーっくわかる。

 でもさー、このクリストファー役見てて思ったんだけどさー。
 このクリスっちゅー役がなんか消化不良の困った役になっている要因のひとつに、まぁくん自身もあるんじゃね?
 脚本・演出が悪いのが、いちばんの理由だけど。それに加えて。

 まぁくんってさ、「真っ白」な持ち味の人じゃないじゃん?

 たしかに「真ん中」の光に満ちているんだけどさー。
 まぁくんの光ってさ、どこかにこう、歪みがあるんだよなー。

 クリスって、ナニ気に狂ってね?

 真っ白な主人公というには、オカシイですよあの人。
 過去のクビキがどーので暗鬱としている設定だけど、本当に真っ白属性の陽性の人が演じたら、もっとストレートに苦悩するしつまずくと思うの。でもまぁくんだから、ちょっと違ったことになってる。
 たしかに彼は陽性キャラだけど、明るいだけの太陽ではないから。すべてを包み恵みを与えるのも太陽だけど、命を枯らせ死の大地を作るのも太陽だから。

 劉の陰に隠れてるけど、クリスくんも十分コワレてて変です、ダークです(笑)。

 まぁくんがあのでかい目をくわッと剥いて苦悩しているのを見ると、手に汗握ります。
 ここここえー。
 誰もこの男変だと思わないの? 誰か止めてやってよ、「意外と無謀なんですね」次元ぢゃないから!! すでに暴走してるから! 外面イイから保っているだけで、中身かなり病んでるから。
 ……まあなあ、あの電波っぽいシンシアと恋愛していたあたりから、こちら側の階段踏み外していたのかもしんないけど。

 てことで、クリスもけっこー好きですよ、という話(笑)。

 クリスをもっと、「白しかできない」タイプの役者が演じたらどうなるのか見てみたかった気がします。
 きっとその方が物語的に落ち着きはよかったんだろうなと。

 
 でも、主役も敵役も病んでいて、形式上ヒロインがほんとに形式でしかなくて、真のヒロインが電波で最強キャラ、つーのが、魔都上海に相応しいのだと思います。
 花組バウホール公演『BUND/NEON 上海』
 初日に駆けつけたのは、まぁくん単独バウ主演おめでとー! ではなくて。いやもちろん、わたしは花担なわけだし、花組っこたちの公演は楽しみにしているし、できれば初日から観てみたいのだけれど。

 ほんとのところ、いちばん興味があったのは、新人演出家の、デビュー作ってことだ。

 デビュー作には、その作家の個性っつーか、持っている根っこの部分が出ちゃうじゃん?
 『BUND/NEON 上海』-深緋(こきあけ)の嘆きの河(コキュートス)なんてタイトルを恥ずかしげもなく付ける新人作家だよ? このタイトルだけで、いいトシしたわたしは「うわっ、恥ずっ!!」と赤面してしまうよーなクオリティだよ?
 いったいどんなモノを出してくるのか、興味津々じゃん?

 中2病ゆんゆんの、わけわかんないものを出してくるかと、心配したんだ、ほんと(笑)。
 オギーの劣化コピーとか、『エヴァ』シンドローム的な痛々しいモノとか。

 サイトーくん系だとは、思わなかった(笑)。

 サイトーくんよりは、オーソドックスに「タカラヅカ」の枠の中で作ってあるし、らしい雰囲気も出てる。

 韓流だの華流だのの流行る前、きれいで明るいシネコン映画館になる前、単館上映の古い小さなビルの地下とかで見たよなあ、中国黒社会モノの映画。当時あたしゃ年間50本以上見ます、な映画スキーでもあったんで、毎週映画館へ通っていたよ。
 『BUND/NEON 上海』を観て、「あー、知ってるコレ……」と思ったのは、あのころ見た映画の感じを思い出したから。
 中国マフィアもの映画もさあ、ドシリアスなんだけどツッコミどころも満載でなあ。や、わたしがあのへんよく見ていたのは、腐女子だったので男男した世界の映画は大抵チェックしていたのよ。(なんてアホな理由・笑)

 男子向け黒社会映画を見て思うのは、「男ってロマンチストだなあ」ってこと。
 バコバコ暴力シーンがあって、バコバコ人が死ぬんだけど、結局のところ、主人公の生き方はとてもストイックなの。誰を殺そうが裏切ろうが、全体通してみると、意固地に硬質。そーゆーのが男の萌えなんだろうなあ。と、外側から想像する。

 『BUND/NEON 上海』にも、同じ手触りを感じた。
 作者は、ロマンチストなんだな、と。
 ……ロマンチストでないと、ヅカで演出家やろうなんて思わないかもしれないけどな(笑)。

 同じマフィアものでも欧米にせず、中国にしたあたりに、サイトー系のクセモノ臭を感じる。
 中国の方が、より、ファンタジー(異世界)じゃん?

 スーツものの欧米マフィアより、チャイナ服に阿片に煙管ですよ。より異世界感が強く、夢を描きやすい。つか、めちゃくちゃをやりやすい(笑)。
 軍服の男装の麗人が鞭で男を拷問したり、白いドレスの少女がふわふわ踊っていたり、悪党が自分の王国建立を夢見て哄笑したり、なんでもアリですよ。

 同じよーに「マフィアもの」でも、大野せんせなんか、江戸時代で青天でやっちゃったわけだしね。作家の性格出ますよ(笑)。

 なんでもありーののファンタジー色の強い1930年代上海で、「破滅する男の美学」を描きたかったんだろうなと。
 や、ストイックさのあるマフィアものでは大抵、主人公は栄光の手前で泥にまみれて死にますから(笑)。生きてしあわせになったら、美学に反するんだろうな。

 だから、作者が描きたかったのはクリストファー@まぁくんではなく、劉衛強@だいもんなんだろうなと。

 でもここはタカラヅカだから、劉のよーな男を主役には出来ない。つーことで、クリストファーを設置。しかし、クリス単体より、ヒロイン・シンシア@姫花を通して思い入れているような。

 劉を中心にして、ふたりのヒロインがいる。
 男子モノ定番の「幼なじみ」孫香雪@ゆまと、これまた定番の「聖域・マドンナ」シンシア。
 どちらも劉にとっては「守りたいモノ」であったのに、シンシアを殺したことでトラウマを抱え、香雪を守れなかったことで血に狂う。

 シンシア殺害の因縁によって、香雪の腕の中で息絶える、つーのが「ヒーロー」劉を描く上での美学、譲れないこだわりだろうさ。

 劉に思い入れまくってるのはいいけど、いちおー対外的にはクリスが主人公でまぁくんが主演なんだから、もう少しリビドーを抑えて描いてくれよ、と思う(笑)。

 たとえばこだまっちの『天の鼓』は、描いているウチに悪役(帝)に思い入れ過ぎちゃって途中で視点やら主役やらが混同してわけがわかんなくなった例だと思うけど、生田くんの『BUND/NEON 上海』は、最初から悪役(劉)こそを中心に考えて、あとから別の主役(クリス)を付け加えたんだと思ったよ。
 おかげで、クリスの薄いこと。劉は生い立ちからなにから全部描かれているのに、クリスは「捜査官です」というだけ。

 劉はヅカの主役には向かないので、彼を助演キャラにしたことは正しい。シャアは敵役だからオイシイのであって、視聴者のためにはアムロが必要だ。

 いちばんの失敗は、ヒロインを間違えたこと。

 ヒロインはシンシアであって、ミシェル@れみじゃない。
 物語が壊れているのは、そこを間違っているから。
 最初からシンシアをヒロインとしていれば、ミシェルはいなくてイイので、彼女に費やす時間を「物語の中枢」に回せた。

 クリスと恋に落ちるならともかく、どーしてミシェルを出す必要があったんだろう?

 男と女の関係が恋愛だけだとは思っていない。平行線のまま、それでも共に荒野を行く『銀の狼』は名作だったさ。
 しかし、クリスとミシェルには、「追いつめられた、この世で最後の男と女」という関係もない。
 たまたま同じ船に乗り合わせただけで、それで人生共にしちゃうのはハリウッド映画以下の説得力だってば。ハリウッド映画でもいちおー、主人公とヒロインは窮地を共に切り抜けることで、吊り橋恋愛するんだから。
 クリスとミシェルはそれすらなく、とくに心が通い合うこともないままミシェルがさらわれ、それをクリスが命懸けで助けに行くという……ほんとに「シンシアの姉」というだけの扱い。

 『銀の狼』を目指してスベっただけなのかしら。1時間半の大劇作品でも描けた男と女の関係を、バウで2時間掛けてかすりもしなかったと?

 ストーリーに無関係なミシェルをヒロインとして成立させるのは難しいから、最初からストーリーの鍵であるシンシアをヒロインにすれば、簡単だったのに。
 劉に比べてクリスが薄いのも、劉を主役に出来なかったのもよくわかるけれど、ヒロインの立て間違いは、よくわからない失敗だわ。

 生田せんせ、ナニがしたかったんだろう?
 1幕が2幕のおよそ1.5倍の長さがあり、かつ、1幕の半分までは承前、状況説明、本編がはじまるのは1幕の最後の方から。そのくせ、風呂敷の広げっぷりは半端なく、休憩時間に花担友人のドリーさんと「相当話広げてるけど、たためるのか、この話?」と首を傾げていたんだが。

 やっぱり、たためなかったね(笑)。

 登場キャラクタののほとんどが、それで、どーなったのよ??状態。

 ストーリーの中核であるはずの1年前のロンドンの話はまともに説明されていないし。キーパーソンであるシンシア@姫花の死と彼女の家族についての説明もないし。おかげでヒロイン@れみちゃんがいちばんワリくって、無意味な人になっちゃってるし。
 雰囲気優先で、作者は自分の頭の中だけで納得してしまって、観客のことまで考えが至っていない。穴だらけの脚本、構成。

 しかし。
 『BUND/NEON 上海』は、たのしかった。

 それはたぶん、とてもオーソドックスな「タカラヅカ」だったからだろう。

 主人公の男ふたりが、それぞれ愛する少女のために一途に生きる物語だ。彼らの行動の根幹には恋人への愛があり、それゆえに苦悩する。
 マフィアがどーの時代背景がどーのってのは、ただの小道具であって、殺伐とした小難しい話だと分類する必要はない。
 あるのはただ、オーソドックスでとってもありがちな、ふつーの「タカラヅカ」。

 まあ、主人公とヒロインが恋愛していなかったりするのはヅカ的ではないし、ぶっちゃけヒロインの立て方を間違えているのは、痛すぎる失敗だが、それでもまあ、この話はアリでしょう。
 全体を通して、笑えるくらい「タカラヅカ」なんだもん(笑)。

 ところで。
 今になって公式の作品解説読んだんだけど。
 
[解 説]
 1930年代、イギリス・ロンドン。スコットランドヤード特殊部門に属する青年捜査官、クリストファー・ブレナンには誰もが羨む輝かしい未来が待っているように思われた。しかしある日、恋人が失踪。彼自身が捜査に当たるが、事件は迷宮入りの様相を呈し彼自身も深い傷を負ってしまう……一年後、突然降りかかった過酷な運命に心の晴れない彼は休暇を得る。選んだ旅先は、上海――劉衛強ら青幇の頂点に立つ杜月笙の治める街。そこで彼は恋人の姉、ミシェル・トラヴァースとの再会を果たすが……。列強各国の租界地として爛熟期を迎えていた魔都・上海を舞台に、一人の青年捜査官が失われた過去を取り戻し、再生してゆく姿を描いた、サスペンス仕立てのミュージカル作品。この作品は生田大和のバウホール公演デビュー作となります。

 間違ってはいないけれど、正しくもないぞ?

 捜査官クリストファー@まぁくんは殺された恋人シンシア@姫花の事件を追って、上海へやって来た。シンシアとその両親が殺された事件に、中国人が関わっていたためだ。「劉衛強」という男を追ってやってきた……ことになるのかな。
 マフィア関連を追うなら、そこのマフィアのボスに会うのが正しいよな、と上海を牛耳るマフィア・青幇のボス杜月笙@ふみかに近づくために、彼と商売をしている大金持ちのぼんぼん社長エドガー@よっちのパーティへ行った。そこでエドガーの妻ミシェル@れみに再会。ミシェルは自分の両親や妹が殺されたっつってもロンドンへやって来ず、スルーした冷たい女。自分は金持ち夫人に収まって幸福そうでいいよな、とクリストファーの私感。
 さて、クリスが追っている男・劉衛強@だいもん。彼は1年前、わざわざロンドンくんだりまで行ってシンシアを殺したときから、マフィアとしては重い病にかかっていた。人を殺せないんだ。シンシア殺しが重度のトラウマになった模様。……シンシア最強。
 人を殺せないマフィアなんか、どれだけ優秀でも使い道に困る。とくに青幇さんたちは「面倒だから殺せ」でなんでもかんでも皆殺しにして完了するカラー。組カラーに合わない路線スターはフルボッコ。どれだけ結果を出しても責められる。それでもここでしか生きられない彼は、幼なじみの恋人・孫香雪@ゆまと一緒になる日を夢見てがんばっていた。
 そんなところへやって来て、あちこち嗅ぎ回るクリスは間がいいのか悪いのか。共産党地下組織@じゅりあとかしゅん様は「敵の敵は仲間、協力し合おうぜ」とコナ掛けしてくるし、お高いクリスくんはそんなの歯牙にも掛けなかったのに、「クリスは共産党とつるんでるぞ」ってことで、青幇さんたちが共産党な人たちを虐殺してみたり、上海大変。
 まあなにはともあれ、結局のとこクリスは私怨で動いているだけで。シンシアの仇が取れればそれでいいんだよね。杜月笙の屋敷に突撃カマすのも、「シンシアの姉」ミシェルが拉致されたから。ミシェル自身はどーでもいいが、シンシアの死がトラウマになった彼は「もう誰も失いたくない」病にかかっている。……シンシア最強。
 突撃カマしたら、そこになんとシンシア殺害実行犯、劉がいたので一騎打ち。でもほら劉くん、トラウマで人が殺せないから……。
 いろいろあったけど、ミシェルは助け出したし、シンシア殺しの犯人も死んだし、一件落着、なんて清々しい旅立ちの朝。……幕。

 
 だから、なんでシンシアが殺されなければならなかったのか、わからないとストーリー自体成り立たないんですが、ソコは全力でスルー。

 マフィアだのスコットランドヤードだのが絡んで、壮大な陰謀が企てられていたらしいが、作者の脳内にしか存在しない。

 ただクリスくんが恋人の仇を討つだけで終了。背後にある陰謀に、主人公であるクリス自身が興味を持っていないので、とても薄いキャラクタになってしまっている。
 最初から最後まで、彼の「自分探し」だからなー。で、当座の目的であった「シンシアの仇を討つ」と「シンシアの姉を助ける」が達成できたので「俺、乗り越えたよ、ひとつ大人になったよ!」と晴れ晴れ。
 なんかチガウと思うの……だって君の上司はあんなことになってるわけだし、スコットランドヤードの膿出しだけでも大変よ? わかってる?

 なにも解決してないんだけど、なんか、終わったことになっている不思議な話。

 まともに考えると「生田くん、ソコ坐りなさい」ってくらい、めちゃくちゃな話なんだけど(笑)。

 それでも、たのしい。

 サイトーくん作品がどんだけ整合性皆無でもたのしいのと、同じ次元の楽しさだわ。
 チャイナドレスのぶりっこじゅりあが、いざ共産党活動するってときは、わざわざ制服に着替えてたり、だいもんがわざわざがんばってテーブル乗り越えて銃構えたり、マッドサイエンティストなみちるタソが注射器持って笑っていたり、一騎打ちが殴り合いって……!! とか、ツッコミどころ満載、いや、つっこむことは野暮!な勢いで「萌え」を表現しているところが、素敵です(笑)。

 あー、とりあえず、ひとりで悶えまくってるだいもん見に、もう一度行きたいな。
 役名ではなく、役者名で走り書きします。
 まともな感想はまたいずれ。

 『BUND/NEON 上海』初日観劇。

 姫花の呪いは最強ってことですか?←作品の核に触れる発言(笑)。

 すべては姫花の呪いからはじまる。
 まぁくんを虜にし、れみちゃんを狂わせた。そしてだいもんはガイ@『白夜伝説』のようなことに……!!(笑)

 姫花の正しい使い方、白いドレスとたったひとことの台詞、それですべてを掌握する。その美貌、その非現実さ。なんせすべてまぁくんの夢の中。
 極力喋らせないで美貌だけを見せる姫花の美しいこと。白いドレス凶悪、白いベレー帽凶悪(笑)。つか、それすらもまぁくんの夢の中。まぁくん作ってないか? 夢見過ぎてないか?

 だいもん、アクセル全開。
 苦悩、愛憎、受(笑)、狂気。この子に入り込み系の役やらせたら、えらいことに……!の、見本。
 1幕の苦悩系ヒーローっぷりと、2幕の狂気。つか、だいもんでホゲ@『太王四神記』が見たかった。絶対どえらいことになっていたよ!と、思わせる。
 壊れていく、この男壊れていってるよ……!! 狂気の炎、ゆらめく慟哭。

 負けるな、まぁくん!
 だいもんを迎え撃て。いろいろと分が悪いが、負けるな負けるな。てゆーかこの作品、W主演作だっけ? だいもんが全開でぶっとばしてるから、主役に負けてもらったら困る。
 主題を入り込んで歌ってるのがだいもんで、まぁくんはそれに並び立つ役……濃い影に屈せず白い光を放たなければならない。難しいのはわかるけど、真ん中に立つモノの宿命だ。
 ドリーミングな主人公。特技は回想。自分探しに行き当たりばったりな行動、物語の終わりにはお約束の成長が待っている。

 まぁくんを見ていて、ときどきオサ様を思い出した。登場シーンなんか、きゅーんと。顔も体型もまったく似てないのに、スーツ+帽子姿に面影を見る。
 オサ様の背中を見て育った子なんだね。なんか泣きたくなった。

「で、れみちゃんはなんで姫花を憎んでたの?」
「あんな妹がいたら、ムカつくからじゃね?」
「……やっぱり、ソレが理由?」
 れみちゃん、ヒロインぢゃないけど、がんばれ。
 ヒロインは姫花。れみちゃんは……なんだろ、あの役? 主役と恋愛しない、でもいちばん多く絡む女?
 誰からも愛されていない、「美女」というだけで男たちにトロフィーにされている女。……チガウ、よっちがいた! よっちだけはれみを愛している。……れみちゃん、カケラも相手にしてナイけど。よっち可哀想!!(笑)

 てことで、よっちが、「愛されキャラ」ポジションを獲得した!
 よっち、かわいいよ、よっち。
 出てくるだけで漂う小物感、飲んだくれている様がさいこーにプリチー。阿片の虜なところは、……ええっと、なんかみょーな気恥ずかしさが。あー、かわいすぎる~~。

 ふみか、ノリノリ。
 楽しそうだな、ふみか。楽しいんだろうな、ふみか。もーノリノリだ、「オレが主役!」な勢いだ。
 役者が楽しんで演じている様は、見ていてたのしい。
 てゆーか、ふみかとだいもんって、すごく恥ずかしい。なんなのこのふたり。演技の質は違っても、温度とベクトルが似ているもんで、ひとりずつでもえらいこっちゃなのに、ふたりになると赤面度がウナギ上り。
 ……ふみかさんのお茶会に行ってみたいと思いました。

 じゅりあに、鞭。
 男装して、鞭をばちこーん! じゅりあじゅりあ、どこへ行くの、どこまで行くの、てゆーか演出家、じゅりあにナニを求めているの(笑)。
 あちこちで出てくるチャイナドレスのかわいこちゃんじゅりあに、「街の女の役でアルバイトしてるんだな」と思っていたよ。まさか、同一人物だったのか……!(白目)

 ヒロインゆまちゃん!!
 これって「物語の核」的にはだいもん主人公だよね……? な展開であるだけに、ゆまちゃんのヒロインっぷりが素晴らしい。闇に生きる男の心の支え、聖域たる少女。その美貌がうれしい、説得力。
 フィナーレのドレスは、胸の谷間がえらいことに……。

 いまっちは、どこへ行く。……え、やっぱそっちなんですか?
 清涼飲料剤。唯一の救いとなるキャラクタ。めちゃくちゃうまい。うまいのはわかるが、やはりお笑い系なんですか、彼。せっかくのかわいこちゃんだから、そっちで花開き切っちゃうことに危惧。今度は是非本気の二枚目役が見てみたい。
 ……にしても、うまいわー、かわいいわー。彼のタンゴは必見ですよ、下手端、ライト暗めだけど是非チェックを!!

 萌子×だいもんって……!!(白目)
 しかも、「息子のように思っている」年の差で……!! 唇噛んで萌子に抱かれに行くだいもんって(しかもゆまに見送られて)、どんだけ……!!(白目)

 まゆくん、うまくなったねー。新公ホゲがアレだったしフェルゼンもまたアレレだったのでアレなままかと思ったけど、健闘してました。三日天下上等!ってか。

 みちるタソはとってもみちるタソでした。帽子落としすぎ。明日からはピンで留めるなりするのかな?
 小池オリジナルの「マッド・サイエンティスト」枠が彼かしら……? 姿はマンガ的なのに、やたらイイ声で歌うあたり……とってもみちるタソ(笑)。

 しゅん様、わりとよく画面にはいるんだけど、ただいるだけっつーか……。
 まりんさんは裏切らない出来だ。
 さおたさん出番少なっ。……そして彼、ナニ気に出オチっぽく役柄がわかってしまうのはいったい……(笑)。

 圭子ねーさまの無駄遣い。まぁくんのドリームのBGMやるために連れてきたのか? いや、諦観と慈悲の素敵なマドンナっぷりでしたが。

 瀬戸くん、無駄に濃い(笑)。輝良まさともなにかと目に付く。
 男のドラマだから、女の子たちの扱いが十把一絡げ。そこは残念。

 
 なにしろタイトルが『BUND/NEON 上海』-深緋(こきあけ)の嘆きの河(コキュートス)-でしょ? 中2病全開!! って感じで、懐疑心しかなかったので。

 なんだよ、ふつーに、おもしろいじゃん。

 ポスターに載っている3人が、まったく互いに恋愛感情を持っていないのは、ヅカ的にどうかと思いますが(笑)。や、歯車が違っていればあったかもしれないし、これから先あるかもしれないにしろ。
 つか、どんだけ姫花の呪いはすげえんだ、つーか。3人とも姫花に運命狂わされて(笑)。

 で。
 その、姫花の事件のことが、まーーったくわかんないまま終わっちゃったんだけど、それってどうなの?(笑)

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