初日を観たあとに「コレを新公でやるの……?」「大変だね下級生」「がんばれ、だいもん」などなど、仲間内で話題になったが。
 鬱も過ぎれば突き抜ける。なにごともポジティヴ・シンキング。

「ゆまちゃん、初ヒロインおめでとう」

「チガウよ、ヒロインじゃなくて主役だよ」

 だってこれは、『外伝 ベルサイユのばら-マロングラッセ編-』だもんね。マロングラッセが主人公なんだから、新公でも主人公なのはゆまちゃんじゃん!

「そっかー、ゆまちゃん主役かあ」
「すごいねゆまちゃん!」

 ……みんなそろって現実逃避しているだけですけどね、はい。

 新人公演『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の感想、続き。

 ええ、我らがゆまちゃんは、とってもキュートに主役を務めておりました。
 もっとも多い出番、もっとも多い台詞。そして物語のキーパーソン……とゆーかすべてを握る人物。

 わたしはもう『ベルばら』の登場人物がなにか喋っているとき、ただの「音」として聞き、その意味を脳みそには伝達しない、という癖が付いているので、実のところマロングラッセの演技がどうであったのか、よくわかっていません。
 ただ、とてもかわいいおばーちゃんだったということは、たしかです。
 愛くるしさとアニメっぽさがあるので、台詞や役割のブラックさを軽減していたのではないかと。

 ゆまちゃんというと、『マラケシュ』博多座の超棒読み台詞が有名ですが、あそこからはじまって、ほんとにお芝居うまくなったよねえええ。
 アンドレ@だいもんとの芝居も、同期同士で良い空気感だった。
 
 美貌と華やかさを封じられた老婆役が新公最後の役というのは残念極まりないが、それでもなんつっても主役だからよかったのだと思おう……思うしかない……ちくしょー、責任者出せー! こんな脚本書いた役に責任取らせろー!!

 
 と、気を抜くとつい、暴れたくなるんだが、もう作品のアレさについては考えたくもないのでスルーして、他のキャラクタの話。

 さて、主人公はマロングラッセ。アンドレはその相手役かな。
 そして準主役はというと。

 イマッチ、準主役おめでとー!!

 『外伝 ベルサイユのばら-マロングラッセ編-』の2番手役は、ブイエ将軍@イマッチだよね?
 や、スカフェになってくれたおかげで、「イマッチさん」という呼び方が耳に馴染みましたよ、真瀬くん。

 いやあ、ブイエ将軍かっこよかったっす。
 なにあのチョイ悪オヤジ(笑)。

 悪役ぢゃないの、ちょっとワルぶった、でも愛すべき美中年なの。枯れる一歩手前の飄々とした自由さがある。
 最初の娼館……ぢゃなくて、酒場に現れたときの二枚目ぶりってば。おおお、なんかかっこいい男が現れたぞー、と思える。

 マリーズ@あまちゃきを口説いても、いやらしさよりも、ロマンがある。
 悪いがわたしには「平民の三十路女を養女にする大貴族・平民への差別感バリバリ中年男」なんて設定を信じていません。
 ブイエ将軍はマリーズを愛人にしたんだと思う。だけど、そこはキャラクタと描き方の問題だと思う。

 イマッチのブイエ将軍は、ほんとーにマリーズのことを想っていそうだ。
 養女というのは本当で、きっと指一本触れずに、ただそばに置くんだろうなと。

 純愛ですよ、純愛。

 酒場勤めなんてさせたくない、手元で見守りたい、幸せにしてやりたい……それだけの思いで、男として彼女を愛しながら、好々爺のふりをしているわけですよ……! 自分の恋情が彼女の人生の負担にならないようにと……!

 いい男だ、ブイエ将軍。
 マリーズはきっと、アンドレの死後やがて真実の愛に気づくのよ。
 自分をずっと見守ってくれていた、広い大地のような愛に。ほろり。

 
 でもって、そのマリーズ@あまちゃき。
 大変だね、初ヒロインがこんな役って……。

 あまちゃきの最大の魅力は、純朴な少女としての魅力にあふれていること。
 「少女」であることが違和感ないってのは、ある意味強い。

 マリーズは、若く幼い女の子だった。
 実年齢がどうあれ(笑)、恋に恋して道を踏み外してしまう少女の純粋さを感じられた。
 30女には見えないから、ケータイ小説世代のオンナノコとして視界に入ってくる。やー、運命の恋は大好物って世代ね。障害とか別れとか裏切りとか(笑)。

 本役さんだと精神か知能か、発育になにか障害がある系のこわさが漂う、アンドレとの再会シーンも、未熟な若い少女の逆ギレっぽく見えてセーフ。
 女子高生ナメたらイカンよなあ、これぐらいの復讐、脊髄反射でしちゃうよなあ、と。

 だけど邪悪なわけではないから、そのあと本気で後悔して泣き崩れるのもわかる。
 泣いて懺悔すれば赦されると思ってるあたりのゆるさも、いかにも女子高生っていうか。

 大丈夫、君にはブイエ将軍がいるよ。
 空と君との間に冷たい雨が降っていてもだ、たとえ悪になっても君を守ってくれるブイエ将軍の愛に、早く気づいてあげたまえ。

 少女のかわいらしさは抜群だが、ドレスを着て大人の美女に変身したときは、あまり「おおっ」という感動につながっていない気がするので、さらに女ぶりを磨いて洗練された美女に育ってくれるとうれしいな。
 や、あの少女っぽいやわらかなラインとあどけない風情が、かわいくてならないんだが。

 
 娼館……ぢゃなくて、酒場のマダム@くまくまちゃんは、余裕の第3ヒロインぶり。

 え、『外伝 ベルサイユのばら-マロングラッセ編-』って、主人公マロングラッセ、その相手役アンドレ(ヒロイン)、2番手ブイエ将軍、その相手役マリーズ(準ヒロイン)、でもって第3ヒロインがマダムだよね?
 なかもー、わけわかんないけども。

 くまちゃんのマダムっぷりがもお、ステキでステキで。
 美人で押し出しが良くて歌がうまくて、もおサイコー。
 まだまだ現役のいい女、若い恋人の3~4人は囲ってそうだ。

 ブイエ将軍とは昔恋バナが……というよりは、同じ相手を取り合った恋敵、今は気の置けない友人、とか、そんな男同士の関係に思える。
 くまちゃんは本役さんとちがって女にしか見えないし、若くて肉食系がっつりに見えるのに、ブイエ将軍とは男同士の関係に近いって……(笑)。
 昔取り合った相手ってのは、男かしら、女かしら。どっちもありそーだ♪ とかな。

 余裕で演じるくまちゃんの懐の深さと実力にくらくらしていたのに。

 実はいちばんウケまくったのは、最後の天国場面です。

 美しく昇天していくアンドレ……あああ、白い軍服が美しい……でも襟はもっと短いヤツにしてやってくれ……と思ってのぞいているオペラグラスの視界の中に。

 超ヤル気満々、鼻息荒っ、の、くまちゃんのすんごい笑顔がっ!!

 またイイ位置で踊ってるもんだから、アンドレ@だいもんを見ると必ず目に入るのよ、飛び込んでくるのよ!!
 やる気満々の笑顔が。戦闘意欲満々、エンジン全開、そのへんのもんなんか跳ね飛ばして爆走するぜ!なステキ笑顔が。

 あああ、くまちゃんダイスキだー。

 終演後にnanaタンとふたり、「天使のくまちゃんがっ」と地団駄踏んで喜んださ。
 いやあ、アレは目が離せないってばよー。

 
 アラン@嶺乃くんは、思ったよりぜんぜんきれいなアランだった。『愛と死のアラビア』新公よりはずっと男役になっていた。つか、丁寧に本役さんをなぞっていた。
 役が役だから、大変だよなあほんと。健闘していたと思う。

 フェルゼン@鳳くんもまた、あんな役だから大変だよなあ。
 まともに演じてしまうと、フェルゼンってただのイヤナヤツで終始するので、この役を演じるにはなにかしらファンタジーが必要なんだと思う。
 浮世離れした美貌とか、異次元的な愛嬌とか。本役さんはアレ、すげーファンタジーが成立してると思うよ、「こいつ絶対ヒトの話聞いてねえ!(笑)」と思わせてくれるもの。
 ふつーの人が演じると、ツッコミも入れられなくて困るよなあ。

 
 カロンヌ伯爵夫人@れみちゃんは堂々たる貴婦人ぶりだったけれど、やっぱり彼女は「娘役」だなと思った。
 この「カーテン前説明婦人団体」には、男役が演じるだけの理由があるんだなと。本役さんのもつ説得力は、いわゆる「路線娘役」が持たないスキルであり、持たなくてもいいスキルなんだなと。

 あ、この婦人団体の中、はるちゃんがやたらキラキラして目を引いた。やっぱ彼女派手だなー、存在が。

 
 みちるタンはステキにみちるタンで、村人だとか衛兵隊だとかやっていたけれど、……ううむ、ちょっと最近やりすぎている気がしている。
 この芸風でこの立ち位置でいくならば、もう少しキレイになって欲しい。ここはタカラヅカだから。
 せっかく歌えて演技が出来るんだから、あとは最低限ラインの体型やフェイスを保ってほしいっす。もったいないよー。

 仙名さんをすっかり見失っていたんだが、最後の天使でよーやく捕獲。大階段にたった3人で(少なっ)コーラスしてました。
 歌ウマさんだからなー。

 姫花ちゃんの破壊力は健在、どこにいてもひとこと喋れば「あ、姫花だ」とわかる(笑)。
 あの美貌であの声と芝居……いやあ、キャラ立ってますなあ。

 美貌と言えば研1の柚カレー(誤変換)くんは目立つなあ。なんかまた衛兵隊やってたけど。本役と新公役が同じでも、それでもまだ軍服を着こなせないあたりが初々しい。ええ、革命場面の市民役も、本役さんの衣装だからとはいえ、あの「服の中でカラダが泳いでる感」ってのは……(笑)。
 がんばれー。

  
 89期はこれで新公卒業かあ。
 ゆまちゃんに新公ヒロイン、一度はしてほしかったなあ。
 新人公演『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の感想、続き。

 新人公演は1回限り。
 だから拍手がアツい。拍手が多い。開演アナウンスで拍手して、主役登場時に拍手して。
 舞台の上もだが、客席もまたアツいのだ。
 それが心地いい。

 これは本公演でもそうなんだけど、衛兵隊登場時の拍手のすごいことったら(笑)。
 みんなみんな、待ってたんだね。待ちわびていたんだね。この「作品」に辟易しているがゆえに。
 単調な紙芝居演出と無意味な真正面向いてひとりずつ説明台詞のオンパレード、歌もダンスもないまま少人数棒立ち場面の連続に、我慢の限界も近いなってときだからね。
 威勢のいい音楽と、威勢のいいイケメンズたち登場に、観客が心から拍手を送っている。

 てゆーか、瀬戸くんかっこいい。

 花組新公学年イケメンを代表するひとり。前回の新公に続き、なんてオトコマエぶり!
 本公演の衛兵隊でも、実は彼の顔をぼーっと眺めていたりする(笑)。だってかっこいいんだもん。

 顔も整っているけど、わたし的にはあの体格ですな、胸にずきゅんとクる(笑)のは。
 肩とか胸板とかが好きです。ラインが好みです。
 瀬戸くんの役が目立つのは、衛兵隊登場時の歌とダンスのみ、あとはみんなアランに役割を託してしまうので、他の衛兵隊のみんなと一緒に「1列に並んで説明台詞を順番に話す」だけの存在になる。

 瀬戸くんは健康的なオトコマエだなと思う。
 だから真っ正直に「オトコマエ勝負」をする衛兵隊でキラキラしている。
 「武器を持って闘う強い男」という点では前回の新公チョロ@『太王四神記』も同じなんだけど、チョロ役は本役がめお様だったために瀬戸くんでは耽美度と「変な人度」が下がり、「ふつーにハンサム」あたりへ落ち着いてしまった。
 チョロが変で耽美なヒトである必要があるかないかは置いておいて(星組版はふつーの人だったし。めおくんならではのチョロでしょアレは)、インパクトという点ではかなり落ちていたのはたしか。
 しかし今回は、みょーな特色ナシに、自分の持ち味で真っ向勝負が出来る。まっすぐに「前へ」オーラを発散していい役。

 オラオラと漢っぽく舞台センターで歌い踊る瀬戸くんは、そりゃーもー安心できるかっこよさでした。
 もっとまともに演技している彼を見てみたいなあ……。植爺の『ベルばら』じゃ主役級か専科さん以外は演技やキャラクタを堪能するところまで書き込まれないし、出番もないもんなあ。「1列に並んで説明台詞を順番に話す」だけだもんなあ。

 
 酒場のおかみさん@くまくまちゃんを除いて、いちばん鼻息が荒くこの新公に臨んでいたのは、オスカル@がりんくんだと思う。くまちゃんの鼻息が荒いのはいつものことなので置くとして(笑)、研3のがりんくんのオスカルは大役、抜擢だ、あれくらい鼻息荒くてナンボでしょう。
 
 オスカルの白パンツは男役泣かせの難しい衣装、ラインがまんま出てしまうので女らしい丸々した桃尻ぶりだとか、太股の肉感が隠せないんだよね。新公学年でオスカル・パンツを着こなすのは至難の業だと思う。
 さらに金髪巻き毛も膨張色でフェイスラインが膨れて見える。よっぽど細面でないと丸顔に見えてしまう罠。
 ……とゆーことで、外見的には難易度の高い役だ。
 が、中身はというと、実はけっこー難易度が低い。
 「男装した女の子」でいいので、まだ男役になっていない発展途上の女の子がそのまま演じればなんとかなるんだ。女の子の声、女の子の立ち居振る舞いでも、まかり通る。

 極端な意見になるが、「オスカル」という役の意義は、「劇団が期待している生徒」ということと、「外見の美しさ」にある……と思う。
 もちろんそれだけでないことは重々承知だが、大雑把にまとめるとそんな感じ。

 外見はともかく、新公オスカルで芝居ができてなかったのって、宙組のあいりくんぐらいしか思い出せない。ふつーに数年間路線スターとして注目されてきた若手男役なら、オスカルの芝居自体はできる。男装した女の子、ならば素のまんまでも大丈夫なんだから。
 学年的ふつーレベルの芝居さえできればそれでOK、あとはひたすら「外見の美しさ」勝負。
 そーゆー意味でもオスカル役ってのは、たしかに「タカラヅカ」を象徴する役だ。
 
 がりんくんは、十分うまかった。
 男装の麗人というよりは、「女の子」を全面に出したオスカル。外見はやはり丸さとの戦い。丸く見えて当然のオスカル衣装やカツラとの戦い。
 女の子としてきれいな声でクリアに話し、女らしいかわいらしい仕草でラヴシーンに臨む。
 膨張必至のカツラや白パンツのおかげでスレンダーには見えないものの、十分きれいなオスカルだったと思う。

 愉快だったのは、植爺オスカルらしい女々しさに満ちた独白シーンのあと、「誰だ!」と叫ぶ声の唐突な男らしさ(笑)。
 衛兵隊との場面があったりしたら、この凛々しい声ももっと聞けたのかも……と思わせる。
 今回は男としての芝居ではないので、男役としてどの程度うまいのかはよくわからない。若い女の子役(娘役は別スキルだから、娘役としてぢゃないぞ)ならば、十分演技できるんだとわかった。
 前回の新公も子役寄りの役作りだったし、大人の男は演じられるんだろうか、今後はソレを知りたい。(前回の新公の本役と新公役のふたりで、今回はオスアンやって愛し合ってるのね・笑)

 臆するよりも挑んでいく感じの舞台姿がイイなあ。
 や、挑むよーに「女らしく、しなだれかかる」演技っぷりもステキ(笑)。
 アンドレに告白するとこは少女マンガ的にかわいーぞー。お目々うるうる、星が飛ぶ勢いで。
 
 がりんくんも歌ウマさんだから、ちゃんと歌のあるミュージカルでだいもんとのコンビを見てみたかったなあ……。
 本公演の子アンドレ役でも、方言で観客に笑われつつも、歌い出すと「あ、ここはヨシモトぢゃなくてタカラヅカだったんだ!」というきれいな歌声を披露してるもんなー。
 
 
 本公演は一見さんも多いので、最初の子役たちの唐突な方言に日々失笑がわき続けているが、ファンが客席のほとんどを占める新公では笑いが起こらなかった。みんなもう、あきらめているもの。本人たちの責任ではないところで笑ったら、役者が気の毒だもの。
 主要キャラ初登場場面や銀橋ソロの位置もわかっているから、確実に大きな拍手が入る。なんて通な空間。
 ……だからこそ、主要キャラの中で唯一「拍手が起こらなかった」ヒトがいたのはびっくりだ……。タイミング的に入れにくいことと、みんながそろってオペラグラスをのぞいていたせいかもしれないけど、東宝では無事拍手が入ることを祈る。ナイとさみしい。(わたしはオペラのぞいていて、拍手できなかった人だ・笑)
 花組新人公演『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の感想。

「だいもんに、オサ様の新公やらせたかったっ」

 帰り道、友人たちと熱弁。
 「歌」という武器。「歌」という説得力。
 だいもんが持つ、もっとも顕著な能力。

 だいもんくんは実力者で、演技にしろ派手な顔芸にしろ(笑)、全部ひっくるめたパッショネイトな芸風にしろ、高水準を保っている。
 そして、歌唱力はさらに高いんだよね。
 ただ「正しい音階で歌える」だけではなく、「歌で芝居をする」ことができるの。
 その純粋な心を、そのままに音楽にすることが出来る。

 だからこそ、彼の特質をもっとも表現できるのは稀代の歌手であった、オサ様の役だったと思う。

「だいもんで『アデュー・マルセイユ』が見たかった」
「『黒蜥蜴』でもいいよ」
「トカゲぇェ~~♪を熱唱するだいもん、見てみてぇ!」

 だいもんの芝居は、いつも熱い。高温多湿。冷めていたり引いていたり諦観したりは決して、しない。彼はいつも「舞台が好き、芝居が好き、歌が好き」と感じる芝居をする。舞台にいることが、たのしくてならないように。
 本公演でろくな役もつかないまま、すみっこにその他大勢として立っているときだって、それがビンビン伝わってくる。
 その舞台への愛情、アグレッシヴさが、新公は演じること、表現することのできる「役」があるため、より一層強く発散される。
 プラスの感情っていうのは、伝わるんだ。
 だいもんが舞台を好きで、タカラヅカを好きで、それゆえに今舞台に立ち、作品を愛し役を愛し、真摯に誠実にすべてのものと向き合っているのがわかる。
 その素直な感情が、素直に芝居になる。素直に、歌になる。

 アンドレ@だいもんは、なんかもーやたらめったら、ピュアでした。
 見ていて泣けてくるような純粋さ。
 ほんとーに心がキレイで、疑うこともなく生き、オスカルを愛しているんだなと。

 心の動きが繊細で、ひとつひとつの反応が新鮮で純粋で、見ていてはっとさせられる。ああそうか、そうなのか、と。
 生まれたばかりの子馬が、おぼつかなくも走り出すような。彼の目に映る世界は、何十年もすでに生きてきたわたしとは別のモノに映っているんだろうな、と思えるような。

 アンドレは、ピュアでありすぎたために、この不浄な現実には長く留まれなかった天使なんだ……。
 だから最後、天使たちが迎えに来るんだ……パトラッシュ、ボクはもう疲れたよ……。ラララ……。

 だいもんは植爺の型芝居なんかより、もっとナチュラルな「表現力・芝居力」を必要とする真っ当なミュージカルの方が任に合っていると思う。
 それでも、実に丁寧に「植田歌舞伎」をやる姿に実力派ゆえの底力を見た。向いてない芝居も作品も、ちゃんとカラーを変えてこなすんだねええ。

 てゆーかほんと、一見派手なだけでつまんない曲だよな、『ベルばら』の楽曲って。や、派手でわかりやすくておぼえやすくて素人が真似して歌ったり遊んだりしやすくて、大衆演劇に必要なテイストだとわかっているけど。こーゆーハリボテ世界を作ることが出来るのが、植爺の能力だとは思っているけど。(たとえば正塚とかは、やろうとしてもできないだろーし)

 本公演でだってもちろん納得も満足もカケラもしていないが、それにしても新公ではさらに曲への不満が募った。
 つまらない。こんなストーリーと関係ない、場をぶった切って「主役だから・トップスターだから」というだけで銀橋を歩きながら1曲どーでもいい曲を歌う、のではなく、「物語」のある曲を聴きたかった。
 ストーリーが盛り上がり、人間の感情を表現する手段として、テーマをよりドラマティックに彩る手段として、台詞がそのまま歌になるよーな「ミュージカル」をだいもんで見たかった。

 てゆーか、歌少ない……。もっと歌を聴きたい、次の歌はいつだっけ、と思う新公は久しぶり。
 ああ、みっちゃん主演だった『飛鳥夕映え』以来だな。

 だからこそ、「オサ様の役を見たかった」になる。
 脚本がどうあれ演出がどうあれ、歌の力で全部ねじ伏せていった、かの偉大なヒト(笑)の役を、歌を、だいもんで見て・聴いてみたかった。

「オサ様の役で、作品で新公やらせてあげてほしかったよ……」
「『マルセイユ』でも『トカゲぇェ~~』でもいいから、スーツ物でさ」

「コスチューム物は、可哀想だよ」

 うん。
 だいもん、ほんと実力派だし歌ウマだし美人だし。期待の新人なんだけど。

 なんでもできる優等生でありながら、以前行ったトークショーでは終始オタオタしたドジっこだったり、こっそり参加した某フェアウェル・パーティでダダ泣きしていて、泣きすぎで挨拶できず同期に介抱されていたり(笑)、堂々たる舞台とのギャップの大きさが魅力の愛すべき若者なんだけど。
 もちろんわたしはダイスキなんだけど。

 コスチューム物は……あああ、今回ほんっと似合わない衣装ばっかで大変ナリ。アンドレの衣装ってなんであんな、「首の長さ」が必要な衣装ばっかしなの?!
 シャツの襟、高すぎだよ。軍服の襟、高すぎだよ。くぅぅ……。

 いや、それは新公だから、本人に合わせた衣装ぢゃないから、仕方ないということで……たとえコスチューム物でも本公演で本役ならもう少し考慮したお衣装にしてもらえるはずだしっ。

 だいもんでマジにミュージカル見たいっす。
 彼にちゃんとした役を、出番を。
 ……今度のバウに期待しまっつ。
 アーサーに、タムドク@『太王四神記 Ver.II』やらせたいっ。

 新人公演『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』を観ながら、いや、正確には革命場面を観ながら、痛感していました。

 『太王四神記』ではないです、『太王四神記 Ver.II』です。花組版ではなく、星組版(笑)。

 ベルナール@アーサーは、すげー傲慢かつ、冷酷でした。

 なんなの、あの悪役っぷり!!(笑)

 黒いんですよあの人!
 傲慢なんですよあの人!
 自分のこと英雄だと思ってますよ。
 実際、英雄だと思いますよ。
 アンドレ@だいもんは途中で倒れてしまうわけだしね。革命勝利の旗を振るのはベルナールなわけだしね。
 このあと彼は絶対、傲慢な支配者になるんですね。ギロチンによる恐怖政治を行うわけですね!(それってロベスピエール……)

 はぁはぁ。
 や、とにかくね。

 アーサーが、めちゃくちゃ格好良かった。

 善人に見えないところが、とくにカッコイイっす。イヤナヤツだけど間違いなく魅力的で、傲慢冷酷だけど指導力のあるリーダー、だというところが、たまりません!

 もー、れおんくんに激似。

 今までもれおん似だということは言われてきたけれど、わたしはそれほど思っていたわけじゃないんだが(あー、似てるわねー、程度)、今回はもう脱帽。マジ似てる。
 かっこいー。
 めちゃくちゃかっこいー。

 いやその、カツラはアレでいいのかとか、お化粧もちょっと微妙ぢゃなかったかとか、本公演の衛兵隊役の方が作り込まれていて単純なビジュアルは上だと思っているんだが、そーゆー末端の話でなく、役作りというか、「ベルナール」というキャラクタ全体が格好良かったの。

 まっつとは、まったくキャラクタのちがうベルナールさんでした。
 まっつはある意味神経質さがあるんだよね。でもアーサーにはそんなもんナイ。どーんと強い。
 そして、この男、アンドレに対して、なんの負い目もない。
 気にしてませんよ、まったく。
 戦いの最中一度も弱くならず、終始一貫して前を向いて強く強く闘い続ける。

 カリスマ系の男性的なリーダー。
 黙って俺に付いてこい。刃向かう奴、離反する奴は抹殺する。それが当然、俺が正義。俺が神。

 アーサーって今まで、いわゆる「二枚目役」がつかなかったじゃん? 脇のおっさん役とかばっかで。
 二枚目系やったら、こーゆーことになんの?
 王者系なキャラクタ。

 長身とバランスのいい着こなし、群舞センターを締める大輪の華っぷり。
 押し出しのいい歌声といい、目の覚める感じ。

 わたし好みど真ん中の、傲慢ドSキャラ……!!

 タムドクやってー、『太王四神記 Ver.II』やってー!
 歌ウマだし台詞声いいし、体格いいし。顔はれおんくんだし、タムドクプレイ見たいよー!(プレイ言うな)

 
 そして今回はじめて、冷静につーか、客観的に革命場面を見回すことが出来たのね。
 本公演は視界が限られていて、全体はほとんど見られずにいるので(笑)。

 オペラも使わずふつーに眺めてみて。
 しみじみ、思った。

 ベルナールって、いい役だなヲイ。

 なんかすげーかっこいい役だ。
 本公演では、自分のご贔屓だってことや、台詞がないとか出番がコレだけとか、いろんな要因で冷静になっていない部分がある。
 まっつしか見てないから、まっつが全体の中でどんなふうなのかとか、よくわかってないし。

 そっかあ、こんな風に見えるんだ。こんな位置取りで、こんな感じで存在しているんだ。

 今さらそんなことに感心した。
 

 あ、とーぜんですが、アーサーくん、まっつと衣装違ってました(笑)。
 ごめんねえ、まっつ小さいからさぁ。細いからさぁ。長身で男らしい体格の若者には、着回せないよねええ。
 めぐむのときも別衣装になっていたし、すまんねええ。
 んで、本役の衣装が着られないときは、よく似た別の、さらに地味目の衣装に変更するっていう決まりなのかな? めぐむもそうだったけど、アーサーもさらに地味な衣装になってた。

 アーサー格好いい、しか言っていないが、文字数中途半端だから一旦筆を置く。
 だいもんの話はまた明日~~。
 『EXCITER!!』です、まっつです、こあらった目線のオススメまっつです。

 黒黒赤金でキメキメだったオープニングから一転して、次は白です。
 天才デザイナー@はっちさんが狂言回しとなる、5分でわかる服飾史(笑)。ロココ衣装からはじまって、現代へと下っていくわけだ。
 まっつは3組目、きらりちゃんとカップルでジャズエイジ。まっつは白タキ、きらりちゃんはフラッパーガール。『ギャツビー』や『THE LAST PARTY』の、あの時代ですな。

 まっつきらりって、なんか新鮮。
 きらりちゃんの持つスキルは「華」。苦手としているものは「歌」。すなわち、まっつと正反対のお嬢さんなので、このカップリングはなかなかどーして良い相乗効果。

 アップテンポの曲に乗って、なんかすごくまっつらしいジャズぶり。
 『TUXEDO JAZZ』とかで見かけた、まっつらしいまっつ。
 二枚目然とスカシながらもどっかコミカルで、リードしていながらも根っこは女の子に押さえられていそうな、軽妙な男。

 初見からして「うわ、また難しい歌、歌わされて」と思った。
 正しい音程で歌う、というのも必要なことだけど、まっつの場合そこに「正しいリズム」が加わるというか。『エンカレッジコンサート』の「And All That Jazz」だとか、この間の『Red Hot Sea』の幽霊船の歌手だとか。メロディだけでも大変そうだけど、これをこのリズムで、このビート感で歌うのか、と感心したもんだ。
 勢いだけで、雰囲気だけで、歌うのではなく、ほんとーに丁寧にリズム刻んで歌う姿に拍手。
 
 で、そんな大変な歌を歌っているわりに、場面はおちゃめでダンスはコミカル。

 とにかく「かわいこちゃん」な振りとキメポーズがついているのが、おかしくてならない。
 指を一本立てて片足曲げてぴょんっと飛ぶのが、さいこーっす。
 まっつだから、余計オカシイ。
 もともとかわいこちゃん属性、アイドル系の子がやればふつーに「かわいい♪」で済むんだろうけど、なにしろまっつだから。
 かわいこちゃんでもアイドルでも、ましてや若手でもないので。
 もうおっさんカテゴリに片足突っ込んだ、いぶし銀のクールビューティ(研12、花組で上から9人目)が「ナニをトチ狂ったんだ」的はしゃぎっぷりなのが、可愛すぎる(笑)。

 いやいやいや、まっつまだまだ若いなー。
 アイドル大丈夫、若者もぜんぜんOK!(笑)←笑うのか。

 カップルで銀橋を渡ったあとは、本舞台カーテン前に全員集合。
 男たちも女の子たちも、みんな白い衣装なので、デザインも時代もばらばらなんだが、見ていてきれい。
 いろいろ入れ混ざって歌い踊るけれど、最後はそれぞれのパートナーとがっちり組んでキメポーズで暗転。

 ……が、そのまま次景へ。て、フジイくんこのパターン多いな。

 ポイントはこのライトが消えたあとっすよ。
 カーテンが開き、中では次のミュージカル場面の立ちベッド(笑)がせり上がってきている。
 夢見心地のMr.YU@まとぶんと、黒鳥たちが現れる中、白衣装のカップルたちもそれぞれ反応してるのね。

 まっつは二枚目白タキ男らしく、すげーかっこつけてMr.YUを眺め、さらに彼の寝言「あの子もキレイ、あの子もセクシィ……」に合わせて、じつにまっつらしいキザキザポーズを取っている。

 あー、独特のかっこつけ、好きだー。
 腕の表情がきれいで、ぴしっと決まっているがゆえに、さらにおかしいという。

 そのあと、きらりちゃんをエスコートして下手へはけていくのも萌え。

 
 で。
 黒赤金変わり燕尾→白タキ、と来て、お次が黒タキですよ、お客さん!!

 お待ちかね、花組ならではの男祭り、黒タキ祭りです!

 まっつは最初から壮くんと一緒に板付き登場。壮くんの隣、上手側です、ライト当たるのちょっと遅れるけど見逃すな。
 奥から前へ歩いて登場、彼が定位置に来るころには他の黒タキ男たち、ドレスの女たちも勢揃い。つか、人口密度高ぇ。

 セクシー全開。
 やたら指さし、フィンガーアクション過多の振付がたまりません!!

 まっつのね、手が好きなの、手。
 腕の動き、指の表情、きれいよね。

 振付がそっち重視だから、まっつの手の美しさを堪能できまっつ。

 ここの後ろがたしかマメで。
 マメの濃いぃやりすぎ感漂うダンスと、同じ振付とは思えないのが、ひそかなツボ(笑)。
 まっつ温度低い! クール全開! エッジの鋭角さ全開! でもって後ろのマメ、高温注意! ねばっこさ注意!(笑)

 壮くんの歌で1曲踊って、そのあとアンニュイに上手端へ。
 舞台中央にはみわっちが登場しているっぽい。(よくわかっていない)

 みわさんのねちっこい歌声(誉めてます)が響く中、まっつはずっと上手端の壁際にいる。いちばん端っこ。いちばん客席寄り。
 遅れて壮くんがやってきて、手前の椅子に坐る。

 ここは自由なのか、そのときどきで微妙に違っている。
 
 好きなのは、先に来たまっつが黒服よろしく腕を広げ「どうぞ」と壮くんに椅子を勧める姿。
 壮くんが「ああ」と肯いて、とーぜんのよーに椅子に坐る姿。

 傍観者よろしく中央のショーを鑑賞しつつ、「踊れHotNight♪」で、気怠くされどかっこつけてアクションを決める姿。

 坐っている壮くんに立ったまま話しかける姿。
 また、坐っている壮くんの話を聞くために腰をかがめ、内緒話のよーに耳元でなにやらささやいている姿。

 まっつ×えりたん!
 ジオラモ×モーリスだったわたし(笑)としては、たのしすぎる場面っすよ!

 や、ほんと日替わりなので、そのときどきでやってることチガウんだけど。
 まっつは壮くん関係なしにひとり離れて立ったまま、服を直すのに必死だったり、こっそり顔の汗を指で拭いてまわるのに忙しかったりすることも、あるんだけど。
 壮くんと絡みの多いときは、よりたのしいっす。

 そして、舞台中央での歌手が変わったらしく「オレの出番だ」と、歩き出す姿。坐ったままの壮くんに手を振って。壮くんも鷹揚に手を振り返し、この一種共犯者めいた「男同士の目線」がすげー好き(笑)。

  
 中央で歌っているのは、赤いドレスの彩音ちゃん。
 彼女の歌に合わせてセクシーに踊る男たち。まっつとみつるがシンメになってるのかな。(反対側がよくわかっていない)

 男たちがひとりずつ彩音ちゃんに絡み、でも相手にされない、とゆーのを繰り返す。

 まっつは後ろから抱きついて、手首の内側にキスする。

 このキスするときの顔もですが、実はいちばんエロいのは、キスをはねのけられたあとだと思う。

 すげー冷たい眼。

 海馬帝国のファーストレディの座を蹴った女を、「バカな女だ」と言い捨てたときのマッドな眼ですよ!!

 ナニあのナチュラルに鬼畜な上から目線。
 冷ややかな侮蔑。

 そして再度、彼女の腰を後ろから抱きしめるわけだけど、そのときはもう口説こうとか思ってなさそーなとこが、もお。
 他の男たちにまざって低温なまま抱いて、でも彼女の目を見る気はなさそーで、首筋を一瞥して身を離す。そのくせ、腰に回した腕は他の男たちが離れたあと、いちばん遅くまでそのままときた。

 なんかプライド高そうで、心温度は低そうで、すげーヤなヤツですがな!
 きゃー!!(大喜び)

 続く~~。
 最近、語彙の少なさが加速している気がする。

 かっこいい以外の言葉を使っていない気がする。
 昔のわたしは、もう少し他のことも書いていたよーな記憶があるんだが……。

 まっつまっつな『EXCITER!!』です。視界はいつでもまっつセンター。まっつ中心。

 夢ゆめしくはじまる『EXCITER!!』の、まっつ登場は世界が赤と黒とゴールドへ変化するのと共に。
 大階段を2列になって降りてくる男たちの、上手の先頭。
 『ベルばら』で打ちのめされたあとなだけに、この「花組! タカラヅカ!」というクドカッコイイ演出にわくわくする。

 男役の花組と言われ、ダンスの花組と言われ。
 組カラーは時代によってそのときのトップによって変わるものだけれど、その奥に息づくDNAだけは変えようがない。
 男たちが静かな情熱を漲らせ、爆発の予感をひそませたまま大階段を降りてくる姿に、「花組キターーッ!」と思う。

 まっつは花男らしい花男で、花組DNAを色濃く受け継いでいるひとり。
 今回はいつもにも増して、そのことに強く気づかされる。

 黒の変わり燕尾っつーんですか、テール部分がドレスのようにひだになってる衣装。踊るとテールが揺れて、裏の真紅が炎のようにひるがえるという。
 情熱的な音楽と赤黒変わり燕尾男たちのダンスが、息を飲む格好良さ。

 男たちだけのダンスのあと一旦ハケて、壮くんの歌でトップコンビが踊るところで、再登場。
 今度は相手役アリ、いちかちゃんとのデュエットダンス。

 ここが、もお、もお。

 最初からナニしてくれますねん! ってくらい、エロカッコイイ。

 数組のカップル登場で、それぞれタンゴをがっつり踊っているわけなんだが、見事にココはまっついちかしか見ていないので、他の顔ぶれがまったくわかっていない(笑)。
 まっつといちかちゃんは、なんつーかこう、「目線が合う」感じが好きだ。がっつり見つめ合っている感じ。双方逃げ場なしの容赦なしっていうか。
 もともとエロい振付なんだと思うが、それにしてもあれってキスシーンなんですか?
 抱き合って踊ったあと、ふたりが顔を近づけていって、顔が客席から見えないように踊る角度を変える、というのは。
 ヅカのキスシーンはほんとにキスするわけではなく、寸止め。だから唇が重なっていないことを見せないように、チューの瞬間背中を見せて、客席からはしてなくてもしてるよーに見せる。
 それと同じことをしてるよね? 顔を近づけて、唇が触れるのかな、ってときに、角度変えて顔は見せないよーにして踊るっつーのは。ダンスだから、芝居のキスシーンほど顔が近くないので、判断が難しい。
 ただ、いちかちゃんが目を伏せているのはわかる。目を伏せて、顔を近づけているんだわ。
 しかしまっつがどうなのかが、よくわからない。まっつは背中向きになるんだよなー。まっつが目を伏せているならほんとにキスシーンなのかも?

 まっつキスは大変レアなので、間近で見てみたいです。

 まっつさんのキスシーンをまともに見たのは彼の新公主演時にまで遡ってしまいます。
 大変微妙なカツラだった『天使の季節』とか、最後の最後にとってつけたよーに1回あっただけの『La Esperanza』とか。……なんかまともなキスシーンではなかったよーな、そんなものしか見たことありませんから。

 エロダンスでエロエロに顔を近づけるまっつは、どんな顔してるんでしょうね? 是非間近で見てみたいんですが、彼の踊る位置からして、上手タケノコに坐るしかないんぢゃないかと……そのへんって一般発売してないよーな……しくしく、一生見られないわ。

 ちなみにここのダンスは壮くんの歌で踊っているわけだが、まっつは壮くんから歌を受け継ぐんだな。パートナーのいちかちゃんを壮くんへ譲り渡して。
 それまで数組のカップルのひとりとして踊っていたのに、突然ひとりで歌い出す。
 しかも、すげえイイ声で。

 この、大勢の中でひとり突然歌い出す、つーの、すごく好き(笑)。
 フォーカスが合う感じが、わくわくする。
 もとからひとり豪華な衣装、というならともかく、みんな同じなのにふとピントが合うように、突然ライトが当たるように、その他大勢から一歩前へ出る、ひとり特別になる、その感じが。

 まっつが歌い出すところで、周囲に人がわーっとやってくるから余計に「大勢の中で、不意にひとり」に思える。
 ええ、オペラはまっつロックオン状態なので、全体はわかりません。まっつの周囲にわらわらみんな現れるから、舞台全体に大勢登場したんだなと推察(笑)。

 んで、まっつの歌の間、周囲の人たちは男女カップルでタンゴを踊る。舞台狭っ。大階段出てるからただでさえ狭いのに、いったい何組のカップルが踊ってるの?! すごい密度でデュエットダンス。
 そしてわたし的ツボに入りまくりの、この場面ラストのキメ……まっつの歌が終わり、短い後奏が「じゃんっ、じゃんっ、じゃらららん、じゃん!」と入って暗転する演出部分。
 この「じゃんっ、じゃんっ」でカップルたちはそれぞれポーズを決めていく。最後の「じゃん!」ではみんな、互いに抱き合ってポーズ決めて暗転、なわけよ。
 他のみんなは、カップルなの。男には女がいるのよ。
 なのにまっつだけ、シングル。
 ひとりぼっち。
 男女カップルがエロカッコ良くポーズを決めているなか、まっつは男ひとりでポーズ。

 まっつひとりかよ! 女ナシかよ!! さびしーーっ!!(笑)
 ひとりだけ女ナシ(カノジョは壮くんに取られた)なのに、すげースカシた顔でポーズ決めてるのが、もお。

 きゃーきゃーきゃー。

 変なトコでツボ入りまくり、萌えまくり(笑)。

 
 んで一旦暗転したあと、一拍おいてライトが点く。がらりとムードが変わり、主題歌GO!
 あの「バチっバチっバチっ」で「ガチっガチっガチっ」です。ナニこの特撮ヒーローソング?!な主題歌です。

 みんな一気に笑顔全開、ライト輝度アップ、手拍子解禁で祭りムード。
 曲に合った「アクション!」って感じの振付も好きだー!

 この主題歌好き。問答無用でテンション上がる。真似して踊りたくなる。

 でもってナニ気に好き過ぎるのが、銀橋を歌い踊りながら忙しく通っていくときの、「バチっバチっバチっ」と「ガチっガチっガチっ」で両腕を広げる振付。
 かなりなスピードで銀橋移動しなきゃいけないのに、この歌詞のところで体勢低くして両腕広げなきゃいけなくて、ものすごく忙しそうなの!あわあわわたわたしているよーに見えるの! やーん、ステキーー!!(笑)

 このプロローグほんと好きだ。
 アダルト・セクシーではじまって、特撮ソングではじけて終わるなんて、小気味良い。

 まっつはここで本舞台上のほとんどの人々と一緒に上手へさーっと退場しちゃうけど、彼らと入れ替わりに歌い出す女豹@彩音ちゃんもすげーかっこいいし。特撮主題歌の裏バージョン、女主人公編。いやあ、主題歌がイイと盛り上がるなー。

 うわ。プロローグだけで1日欄使い切った。続く~~。
 『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』の、まっつの出番は何分あるでしょうか?
 前半の「黒い騎士」としての出番は1分ほど。後半の革命場面は?
 まあともかく、両方合わせて10分くらい?

 出番的には思っていたよりぜんぜん短かったし、それでも「そんなもんか」というあきらめもあって、特に落胆もなかった。

 おどろきだったのは、むしろ逆。

 かっこいいんですけど、ベルナールさん@まっつ?!

 出番ほとんどなくて、その上前半の「黒い騎士」はわけわかんない人なんですよ。
 なんにもしてないアンドレ@まとぶんを脈絡なく大勢で襲い、覆面して出てきたのにわざわざ覆面取るし。
 たったひとりの男を10人弱で襲ったくせに、やたら手間取って殺せないって、どんだけ弱いの、ベルナールとその手下。
 さらに、やって来たオスカル@みわっちひとりに、尻尾を巻いて退散するし。どんだけヘタレなん、ベルナールとその手下。

 プラス要因はなにひとつないのに、かっこいいって、どういうこと?!

 覆面取る仕草が、無意味に、かっこいい。

 あの無造作っぷり、獲物から目線を一切逸らさない、温度のない眼差しがこわい。
 そして、立ち回り。
 身のこなしの鋭さ、美しさ。
 やたら気合いの入った、イイ声(掛け声)が響く。

 黒い服に、漆黒の髪、白い肌のコントラストが美しい。
 ちっちゃいけど(笑)、鋭利だ。触れれば切れるだろう、危険な光。

 冷徹だけど、それだけではない感じが見える……気がする。
 ただの悪役には作っていない、よね? 後半の「革命の闘士ベルナール」につなげて演技してるよね?
 目的ゆえに冷徹に振る舞っているけれど、本意ではないっつーか、アンドレを襲うのも憎しみとか快楽殺人とかゆーわけではなく、必要に駆られた使命感ゆえにやっているというか、目を傷つけた一瞬冷酷さが薄くなり、またすぐに思い直したように剣を取り直すよね、トドメを刺すために。

 目を傷つけたあと剣を構え直すまでの引いた感じと、なかなかトドメを刺さず痛がるアンドレを囲んで眺めているダサい植爺演出に、勝手にドリーミングですわ(笑)。

 そしてなんつっても、「引け!」のひとこと、たった2文字の台詞の、美声っぷり。

 いーなー(笑)。
 無駄に美形で、無駄に美声って。

 黒尽くめで抑えた感じのビジュアルと、ストイックなキャラクタがやたらオトコマエでびびります。
 出番が一瞬なのがまた、美形っぷりを上げている感じ。
 ほら、人間ってチラリズムに反応しちゃうでしょ? 「いくらでも見てくださいよ」と長々と見せつけられるより、一瞬チラっとやられた方が、いいもん見たよーな気になるっしょ?
 そういう心理が働いて、よりオトコマエに見えるのかしら……。

 いやその、オトコマエ度が下がっても、出ずっぱりでいてくれた方がうれしいっちゃうれしいんだが、ここまでまっつが美しく見えちゃうのはまあそういう錯覚もあるのかなと。(錯覚言うな)

 
 でもって、後半の革命場面。
 全ツ『外伝 ベルサイユのばら-アラン編-』でも同じ役目だったし、左右にはべらす女の子の顔ぶれが同じだったりして、デジャヴに襲われるんだけど。
 全ツの市民の男のときは、あくまでも「市民の男」であり、名もない脇役だった。他の市民たちと同じテイストの服装だったし、顔も汚していて美形キャラではなかった。

 されど、今回は。

 同じ役わりだからこそ、前回とキャラクタがチガウ、ということが、全面に出ている。

 名もなき市民、ではなく、「ベルナール」であるということ。
 その確固たる意識が、ある。

 まず、なんつっても、美しい。

 タカラヅカの代表作『ベルサイユのばら』であり、そのなかの主要人物のひとり、ベルナール役であるということ。
 今回のベルナールが台詞もない役だということとは別に、そんな微視的なことではなく、『ベルサイユのばら』世界でのベルナールという意識。
 ただ群衆の真ん中で踊るのではなく、ベルナールとして、踊る。

 その前へ向かって発散される意識の高さと強さに、息を飲む。

 美しいのも、その一環だ。
 ベルナールなら、美しくなくっちゃ。原作のベルナールが美青年設定かどうかは置くとして、役割としての、タカラヅカとしての美しさ。

 なんの罪もないアンドレを問答無用で多数で襲って失明させたとか、オスカルひとりにびびって逃げたとか、植爺脚本だけ見ていると相当アレな人で「こんな男に『愛する者のために闘うのだ』と扇動されても、説得力ナイよな」とドン引きせず(笑)、書かれていないけれど、革命家としてのベルナールを受け止めるのよ。
 
 強く美しくセンターで民衆を率いるベルナール。
 それだけでも十分「まっつなのに、すごいことになっている!」状態(笑)。
 みんなの気合いがものすげーので、それを背中に受けて、まっつがさらに前へ気合いを吐いている。

 だけど、なにしろまっつだから暑苦しくはならない。
 深刻だし熱もあるんだけれど、勢いに任せてうわーーっというよりも、鋭利に切り裂く感じ。
 切っ先が、喉元を狙っている。
 四方への爆発よりも、弾道の定まった無駄のない銃弾のように。

 まっすぐな、方向性。

 まっつがセンターであるがゆえのカラー。
 そこにまとぶさんが登場することで、センターを彼に譲り渡すことで、まっすぐ鋭利だった情熱は、メラメラ系の熱さに変質する。
 おおお、これぞまとぶん。素直で誠実な炎、高くて湿った、人間味あふれる体温。

 アンドレ@まとぶんの持つ人情っぷりに、ベルナール@まっつの色も変わるの。

 脇へ退いたベルナールは、センターのアンドレを見て顔を歪める。
 ただ前を向いて闘っているだけではなく、なんか突然苦しみ出すんですよ、この人。
 戦闘のつらさを表しているだけかもしれないけれど、NOWONで「ベルナールはアンドレにごめんと思っている」とまっつが言っていたので、そのことを表しているんだろうか。
 台詞がないのでわかんないけれど、ベルナールはただ強く前へ前へ闘うだけでなく、1回は確実によわよわになる。
 それを振り切って、また強く持ち直すんだ。

 この、一旦苦悩する、弱くなるのが、すごーく「まっつ」でねえ……。
 なんかもー、すげー細かく演技してるのよ、いろんなことやってるのよ、戦闘ダンスの中で。

 まっすぐに前へ向かって斬り込んでいるときの方が、冷ややかに美しいんだけど、このヘタレ……もとい、苦悩する様が、美しさ自体は下がるけれど、さらに魅力的で。

 その一旦引いた後だからこそ、そのあとの渾身の叫び「やったぞおおお」が切ない。
 落ちたあと、這い上がってきて、さらに強く叫ぶわけだから。

 あー、あの地味なグレーのジャケット、似合うなー。いぶし銀な感じがいいのよねー。
 つか、まっつはクラシカルな丈の長い上着は似合うのよね。漆黒の髪も好き。カツラ具合が合っているかどうかはわかんないが、長髪なのは目立ってイイ。

 短い出番だが、それがもー、予想以上に格好良くて、まっつさんがステキ過ぎて困ります(笑)。
 贔屓の欲目だとわかってますが、いいのよ、シアワセだから。ドキドキするから。
 あー、ちょっとそこのアンタ。
 俺の言い分も聞いてくれる?

 俺は使命に燃えた革命の闘士で、新聞記者やりながらやがて来る決戦の日に備えているわけだよ。
 戦争やるにはまず金だ。
 敵である貴族たちから、その貴族たちを討伐するための資金やら武器やらを奪っている、一石二鳥な日々。
 生命懸けなんだよ。遊びぢゃないんだよ。

 あの日も、仕事をしに行ったわけだよ。
 某貴族の屋敷に侵入した。現国王アンチで王位を狙っているオルレアン侯爵を利用し、彼の御者に扮してね。
 で、一仕事終えて戻ってきたわけだ。
 疲れてるわけよ。
 あー、今日もいい仕事したっ。あとは家帰って一風呂浴びて一杯やって寝るぞー! てなときにだよ。

 仮のアジトとして利用中のオルレアン侯爵の屋敷前で、変な男が大声でひとりごと言ってるわけだよ。

 不審だろ。
 明らかに、不審者だろソレ。

 芝居がかったうわごとみたいな、わけわかんないことをがなり立ててる。
 夜の色をした絹糸のような睫毛に縁取られた冬のオリオンを浮かべる瞳、ってなんだそりゃ。装飾語多すぎって文章入力ソフトからエラー喰らうくどくどしさだぞ。てゆーか1文1義、ひとつの文章はひとつの内容で完結させろよー、蛇行しすぎだ文章。目で読むマンガの台詞ならいいとして、声に出して読む日本語としてはおかしいだろ、脚本家。

 不景気のせいだろうか。
 陽気のせいだろうか。
 こーゆー病んだ人間が出没するのは。

 まあ世の中、いろんな人間がいる。夜中にひとんちの前でわけわかんないポエムをがなりたてる変質者がいても、不思議はない。

 ただ問題は、俺たち革命家たちの仮アジトの前で騒ぎを起こし、警察沙汰にでもなられたら迷惑だってこと。
 このままこの男を放置していたら、絶対通報されるって。やばいって。

 黙らせる=抹殺する。
 短絡的だが、仕方ない。俺たちは革命の闘士だ。大義のための犠牲は厭わない。
 まともな相手なら話しかけて場所を移動するなり促すこともできるだろうが、相手は変質者だ。ヘタに声を掛けてどうこうするより、一気に片を付けた方がイイ。

 てゆーか、なんでわざわざこの場所でポエム?

 まさか、オルレアン侯爵への恋唄?!

 ……ますます、殺した方がいいな、マジ変態だ。

 相手が常人ではないという恐怖感から、単体で対峙するのは避けた。数に頼んだ方がいい。失敗は出来ないのだから。
 仲間たちが抜刀して変質者を囲むと、その男はわけ知り気に身構えた。ただの変質者ではなく、兵士上がりかなにかか? 剣は使えるようだ。
 口封じの礼儀として、俺は俺自身で剣を抜いた。仲間たちに任せるのではなく、自分自身で危険に身を置き、また手を汚すことが重要。高みの見物はしない。

 変質者は覆面をした俺を見て「黒い騎士?!」と叫んだ。黒い騎士を知っている? というと、貴族か。あるいは、俺が今までに襲撃した屋敷の下男か。しかし、なんかとんでもない衣装だな、一見軍服のようだが、本物の軍服ではなさそうだ、無意味にきらきらした飾りが嘘くさい。近衛隊の軍服のレプリカのようだ。……って、軍服マニア? コスプレ?!
 やはり、ふつうではない男のようだ。

 俺は腹をくくり、覆面を取った。
 死角の多い覆面姿より、障害物がない方が確実に戦える。
 目撃者を作らぬよう、短い時間で終わらせるんだ。
 てか、こんな気味悪い男、さっさと始末したい。

 相手の得体の知れなさに、仲間たちもみんな臆している。こわいのはわかる、俺だってこわい、てゆーか気持ち悪い。でも負けるな、がんばれ。

 気後れが剣を鈍らせ、存外に手間取った。
 ようやく目を傷つけることが出来、あとはトドメを刺すだけとなった。

 そのときに。

「アンドレ?!」

 しまった、誰か来た。
 しかも、知っている相手だ。以前ロベスピエールと一緒にいるときに、会ったことのある近衛隊長。
 まずい。顔を見られたら、事が大きくなる。

「引け!」

 俺は仲間たちと共に一目散に撤退した。
 知らない相手なら、一緒に口を封じることもできたが。国王一家の信任厚い将軍家の一員だとわかっていて、今ここで事を起こすのはまずい。オルレアン侯爵の居城前だ。

 まったく、すべてはあの変質者のせいだ。俺だって好きで刃傷沙汰を起こしたわけじゃない。
 
 夜中にひとんちの前で、なんちゃって軍服着た男が大声でポエムをがなっていたら、異常だろう? どう考えても。

 俺には俺の都合があった。立場があった。
 仕方なかったんだ。
 ちょっとそこのアンタ。
 俺の言い分も聞いてくれよ。
 好きで襲ったんじゃないよ、ひとりを多勢で。
 アンタだってこわいだろ、あんな異常者。

 
 いざ革命、バスティーユ攻撃するぞってなときに、どこかで見た男が叫びながら現れた。
 あのなんちゃって軍服のコスプレ男だ。
 衛兵隊に向かってなにか言っている。衛兵隊の軍服は着ていない、相変わらずのレプリカきらきら軍服着用だが、衛兵隊士たちと顔見知りらしい。その男の言葉を聞いて、なんと衛兵隊が我々市民側に寝返った。

 すまん。
 正直、すまんかった。
 俺、あんとき目ェ潰しちまったよなあ?
 ほんとごめん。
 でもさ、あまりにだったからさ……。

 人間、外見で判断しちゃいけないってことだよな。
 コスプレしてても夜中にひとんちの前でポエムってても、悪いヤツぢゃなかったんだ……たぶん……。

 俺は自分の行いを悔やんだ。
 そして、その男に感謝した。その男は市民たちの先頭に立ち、雄々しく国王軍と闘っている。
 しかも撃たれても決してひるまず、下がることをせず、戦い抜いて勇敢な最期を遂げた。すばらしい勇気だ。闘志だ。
 男の獅子奮迅の活躍もあって、無事にバスティーユは陥落した。

 ありがとう、コスプレ男!

 しかし。
 男を見直し、自らの行いを反省した俺は、やっぱり最後に内心首を傾げた。

 何故ならその男は、

「オスカル……!」

 と、虚空に向けて話しかけ、そのせいで盛大に撃たれまくって散っていったのだ。

 えーと。

 やっぱり、ナニかふつーの人間には見えないモノを見ている男だったのか? ありえない電波でも受信していたのか?
 オスカルってあいつだろ、ジャルジェ准将。今、衛兵隊の隊長だっけ? そんな人間、最初からパリにはいなかったし。いないのに、まるでいるようにふるまっていて……やはりあの男は……。
 
 まあいいや。

 革命、成功したし。ハッピーエンドだ。


              ☆

 植爺作『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』を辻褄が合うようにいろいろ補完して考えると、とっても愉快なことになるよな。
 で、まっつのことを語ろう。
 贔屓を語らないでどーする。たとえ『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』であったとしてもだ!!(笑)

 公演がはじまるより以前に、「まっつ台詞ナシ、歌ナシ」という話を人づてに聞いていたので、「植爺は路線と専科・管理職以外に冷たい人だけど、すげーあからさますぎてキツイなー」としょぼくれていた。
 演出家によって役付きってナニ気に個性が出るけれど、植爺は「役者」というスキルに対しての好みよりも、「劇団にとって有益かどうか」を大切にしている気がする。さすが理事長職にあった人だけあって、その辺は徹底しているなと。その「劇団にとって」てのが植爺個人の損得とイコールなんぢゃないかとか、まあそれは置くとして。
 で、その損得勘定……もとい、劇団の意志以外のどーでもいいところでは、年功序列だとか、とりあえずその時点でついている番手通りに上から当てはめる。役者の個性も技術も関係なく。
 全ツの『外伝 ベルサイユのばら-アラン編-』のときは、まっつはこの「どーでもいいところ」ゆえに学年とそのときの番手具合でジェローデルが廻ってきたわけだが。
 人数が倍になる本公演では、その年功序列部分でも与えられる場がそんだけ少なくなるかと。
 ありえることではあるが、それにしても台詞も歌もナシぢゃつまんないなー。ただでさえ植爺で『ベルばら』だからテンション落ちてるのに、と。

 てなわけで、公演がはじまるっちゅーにあんまりエンジンかからなくて、それよりも大野くんの『ロシアン・ブルー』がもう観られなくなってしまうことの方を惜しんでいたよ……『ベルばら』イラナイ、オレに『ロシアン・ブルー』を観させろ~~。

 そんな状態で。
 義務?みたいな感じで、スカステのお稽古場映像を見た。予備知識はいらない人なんだが、贔屓組だけは音声ナシで眺めるだけはする。欲しいのはどんな話とかどんな出番とかの予備知識ではなく、たんにみんなの素顔を見たいから。「お稽古場」という風景を見たいから。

 そこで。

 まっつのかっこよさに、びびる。

 あ、あれ?
 なんかまつださん、すげー格好いいんですけど。

 出番がない、と聞いているわりにはなんかいろいろ映っている。でもそれって、「出番がなさ過ぎるから」気を遣って映してもらってるんだろうなと思った。
 『愛と死のアラビア』のときもそうだったけど、出番や見せ場がない場合の方がスカステの中の人が気を遣ってか、その唯一の見せ場を映すもんなんだよなー。
 『愛と死のアラビア』のように、きっとスカステニュースで映っているわずかなカットが出番のすべてなんだろうと推察。(そしてもちろん、正解だった・笑)
 だからそれはもう「わかってる」のでいい、なんとも思わない。扱いとか出番とかの次元ではなくて。

 画面に映っている素顔まっつが、カッコイイ。

 黒髪と削ぎ落とされた頬の線、鋭い眼光。黒尽くめの姿。
 あれえ?

 まっつって、こんなに男っぽかった?

 稽古場で女子っぽいはずもないが、そーゆー意味ではなく、ここまで「男」として違和感なくかっこいいってのは、どーしたんだ?
 まっつはなにしろ小柄で華奢なので、「男役」としての美しさはあっても、やっぱり体格的に「男!」ってのとはまた違っていて。

 立ち回りをしているせいかな?
 
 それがさらに、ショー『EXCITER!!』になると、またどーんとかっこよくなった。

 つか。エロいんですけど。

 本気でエロ系やってるー。
 や、今までもクール&エロスは演じてきた人だけど、なんか記憶にある姿と違っていて。
 より研ぎ澄まされた、獣っぽい感じがチガウ、の、か?

 力ではなく俊敏さゆえに戦闘力を増した猫科の獣のよーだ。小柄で華奢なのは変わってない……とゆーかさらに細くなったよーな気もするが、弱さは感じない。
 とりあえずこいつ敵に回すのはやめとこ的な鋭角さがあって。

 なんだろ。より精悍になったのか。

 まっつが精悍って。野性的って。
 そーゆー形容と無縁な人だと思っていたので、ちょっとびっくりだ。
 無造作に揺れる黒髪と、剥き出しの二の腕、薄いカラダ。舞台衣装の力を借りず、メイクの力を借りず、なんかすごくいろんなものが剥き出しになっているのに、男として美しい。

 たぶんアップがないから何割増しかでオトコマエになってるんだろーなー。アップになるとほら、シワとかスジとか険とかいろいろ……(笑)。
 や、まっつのそのトシより老けた顔の年輪が好きでたまらないんですが(笑)、対外的にはそーゆーものが映らないカメラの遠さはありがたいかなと。

 今回の公演自体に対し、自分的に盛り上がらないモノを感じていたので、お稽古場映像で目を疑うことになるとは、予想外。
 まっつカッコええ……!!

 前回はヒョンゴさんだったから、シリアスモードでもここまで鋭い顔つきはしていなかったんだなあ、と。
 役割によって、顔つきからナニからこんだけ変わるんだなと。

 
 そーやって素顔まっつにハクハクして、次に見たモノが、プログラムのインタビュー写真ですよ。

 カッコイイ。

 目つきの鋭さと腕のくぼみ(笑)がいいっす!
 青年……だけどなんかちとおっさん寄り(少なくとも少年寄りではない)な感じもいいっす!

 つくづくわたしはまっつの顔というか、ビジュアルが好きなんだなと思う。
 一般的に彼が美人なのかどうか、一時期に比べわからくなってきているんだが(ちょっと前は本気でふつーに美人だと思っていた。最近は老けっぷりもあってよくわかんない……)、「わたし」がまっつのビジュアルを好きでしょーがないので、「わたし」には彼が美しく見えるんだなこれが。
 あー、ナマまっつもっと見てぇ。劇団様、まっつ写真もっと見せてくだせえええ。

 
 と、舞台感想にたどり着くまでにこんだけタワゴト並べるのははじめてか(笑)。
 『任侠ヘルパー』が面白かったナリ。今期ドラマでいちばん好きだー。腐った萌え抜きに(笑)、ヲトメハートで楽しんだわ。

 と、ドラマヲタクなりにひとこと言ったあとで、さて、ドラマヲタクの必需品、録画機器についてです。

 ええ、しつこくもDVDレコーダの話。や、文字数オーバーで、1日では書ききれなかったという(笑)。

 購入した当初から、「覚えのない映像」を勝手に録画する癖のある、こまったちゃんなMyレコーダ。
 しょっちゅうではないが、たまたまと言うには頻繁に、勝手に変な部分録画をしてくれる。
 スカステだけでなく、ドラマもがんがん録画しているので、ふつーの地上波放送でも、同じように「覚えのない映像」が入る。今日の『任侠ヘルパー』最終回はふつーに録画できてて良かったわ(笑)。

 いちばんステキにこわかったのは、昨日欄に書いた通りの「女の悲鳴と倒れる音」……そして、もっともわけわかんねーのが、「2月20日のニュース」。

 8月はじめにだったか、「6月15日のニュース、変じゃなかった?」とブログに書いたけれど、誰も「ふつーだった」とも「変だった!」とも言ってくれなかったんだよ、Myフレンズ。
 誰もナニも言わないってゆーのは、変じゃなかったってことなのかなあ、でも、だとしたらおかしいよなあ、なんでわたしだけ2月20日のニュースを録画しているんだろう?
 と、思いつつも日々の忙しさにかまけて忘れていたんだ。

 それが数日前、またこわいこと(笑)があって。

 実はわたしの部屋にはもう1台DVDレコーダがある。
 最初に購入した超初期型で、ハードディスク容量も少ないし高速ダビングできないしで、不便だから現在は使っていない。
 配線の都合上、いつも通電してあるしアンテナにもつないであるけれど、リモコンの受光部は塞いであるし、リモコンも片づけてあって、普段は使えなくなっている。使うときは、受光部の覆いをはずして、リモコンを奥から引っ張り出さなければならない。

 この、もう何年かはまともに使っていないレコーダを、久しぶりに使ってみようと、リモコンを引っ張り出してみた。
 すると。

 覚えのない、録画データがあった。

 ええ。
 2009年2月20日の、スカステニュースが、録画されていたのだわ。

 …………さすがに、びびりました。

 2009年2月20日のニュースって、ナニ? なんかあんの?!
 この日にナニか意味があって、誰かっつーかナニかが、わたしに語りかけてるの?!
 と。

 正確には、2009年2月20日の深夜3時台から録画がスタートし、7時のニュースが終わったあとで終了しているの。
 深夜のブルー画面と「今放送してませんよ」というテロップのみがえんえん続き、忘れたころにトウコちゃんの「すみれの花」が流れ、ニュースがはじまる。
 で、ニュースが終わって、次のNOWONがはじまってちょっとすると切れる。や、HDD容量めちゃ少ないから、最高画質録画だと数時間しか保たないの。
 数時間録画されてはいるけれど、ちゃんと入っているのは、問題のニュース1時間のみ。

 2台のDVDレコーダに、同じニュースが録画されている。どちらも、わたしには覚えがない。

 そして、古いレコーダはたしかに2月20日に録画されているけれど、新しい方のレコーダは、6月15日の録画なのよ。なのに、2月20日のニュースなのよ。

 昨日の日記に「ナイ映像をどこから取り出して、わざわざ録画して存在させられるとゆーんだ。」と書いた。
 正確には、2月20日のニュースはわたしの部屋にデータは存在する(6月15日の段階で、わたしはソレに気づいていないが)。しかし、別のレコーダに、しかも半端な長さで入っているデータ(ニュースがはじまる前数時間はブルー画面)を、6月15日の午前7時の時報に合わせてニュースがはじまるように再生し、もう1台のレコーダで録画するなんてことは、物理的に不可能に近い。

 そのとき部屋が無人なら、できたかもしれない。
 前日から用意をして2台のレコーダをつないで、朝7時ジャストに2月20日のニュースを録画することは、できるかもしれない、がんばれば。

 でもわたし、6月15日、家にいたし。
 前日の6月14日から、ふつーに自分の部屋で生活して、15日の朝7時はベッドで寝ていたし。
 誰もわたしの部屋に侵入して、そんなことできっこない。

 ちなみに、2月20日もふつーに家にいたんだが。使っていないレコーダが勝手にスカステニュースを録画していたなんて、まーーったく、気づいてなかった。

 この事実に気づいたとき、さすがにこわくなって(笑)再度「2月20日のニュースって?!」と騒ぎ、そこではじめてドリーさんが「6月15日のニュースはふつーだった」と教えてくれた。
 ……ふつーだったんなら、どーしてわたしのレコーダだけ2月20日のニュースなのよお?!

 こわいぢゃないですか。

 いったいなんなんだ。
 おもしろいから、どっちのデータも残してある。(おもしろいのか・笑)
 女の悲鳴入りの『エリザベート』も残してあるし。
 いいネタぢゃないですか、こんなの。

 他の、ふつーレベルの「覚えのない映像」はいちいち残してない。きりがないもの。
 男の悲鳴が入っていたこともあったんだが、やっぱ男ぢゃダメだね、こわさは女の悲鳴の方がぜんぜん上。男の悲鳴はさくっと消しちゃった。

 わたしは大抵予約録画で、外出中にレコーダさんがせっせと働いて、ドラマやスカステを録画してくれているわけだが、ランダムに変な「一瞬だけ」映像が録画データ入るんだよなー、ブロックノイズと共に。ひとり暮らしだし、出かけるときは猫も親の家にあずけるからまったくの無人になるし、誰もレコーダを触れないはずだし。
 ほんとに、なんなんだろう。

 お金があれば、新しいレコーダ買うのになあ……。みんなびんぼーが悪いんや……。(博多座に行ったために、ブルーレイ買うぞ計画が狂って、未だ買えていないびんぼー人ですよ……)

 あ。
 新しいレコーダ買って、それでも勝手に「覚えのない映像」が録画されてたらもっとこわいから、今のままにするべきか?
 今のままなら、悪いのはレコーダ(きっと不良品)であって、わたしの部屋とかナニかとかじゃないもんな。
 DVDレコーダに、覚えのないデータが録画されることは、どれくらいの確率で存在するか?

 ここに、2009年6月15日午前7時から1時間録画されたデータがある。
 データを「詳しく見る」指定すると、「2009年6月15日午前7時」という日付が確認できる。この日付は録画されたときにレコーダが自動的に記録するもので、ユーザーがいじって入力できるものではない。
 わたしがどうすることもできない、自動作成される部分に記載されているのだから、まちがいなく「2009年6月15日午前7時」に録画されたデータだ。
 記録されているチャンネルは、「L1」。これも自動的に記録される部分のデータで、わたしがいじれるものではない。
 「L1」とは外部入力ライン1のことで、スカステのチューナーにつないである。つまり、「2009年6月15日午前7時」に1時間スカステを録画したんだな。

 で、スカステの朝7時というと、もちろんタカラヅカニュースを放送している。
 2009年6月15日午前7時の録画データなんだから、それはもちろん2009年6月15日のニュースが録画されていないとおかしい。

 おかしいんだ。

 なのに、録画されていたのは、2009年2月20日のニュースだった。

 こんなことは、起こりえるのか。
 起こったのだから、6月15日には6月15日のニュースを流す代わりに、2月20日のニュースを流したんだろう、スカステは。
 わたしはそう思っていた。
 毎日録画予約してあるので、6月14日も6月16日もふつーにその日のニュースが録画されているが、6月15日のニュースだけは存在しない。録画できなかった、だって放送されなかったんだもん。スカステで何故か4ヶ月も前のニュースを流したんだもん。

 原因はスカステにあると思っていた。
 機械は嘘をつかない。購入して数年間、毎日録画予約してあるニュースが、勝手に別のモノになるはずがない。実際、ちゃんと朝7時にスカステのチャンネルを録画していると記録されているんだから。

 でも、わたし以外誰も「6月15日のニュースが存在しなかった、2月20日のニュースが再放送されていた」とは言っていない。
 どうして?
 スカステを契約している何割の人かは、朝のニュースを見ているでしょう? 6月15日なのに、2月20日のニュースを流されたらびっくりするよね、ふつう?

 「6月15日朝7時はちゃんと6月15日のニュースが放送されていた」と、ドリーさんの証言。
 えええ。
 だとしたら、何故わたしのDVDレコーダには、2月20日のニュースが録画されているの?

 わたしの勘違いとかじゃなく、機械が自動的に記録する日付データがちゃんと「2009年6月15日午前7時L1」なのよ? そこに2月20日のニュースが録画されているのよ?

 スカステが2009年6月15日午前7時に放送したんじゃなければ、この2月20日のニュース映像はどこからやってきて、わたしのDVDレコーダに録画されたんだ?

 
 上記の話とはまったく別に。
 わたしのDVDレコーダには、「覚えのない録画」が入る。2月20日のニュースのように丸々1本別番組というのはさすがに他にナイが、一瞬だけ「覚えのない画像」が挿入されていることがある。

 録画した番組の合間に、別の番組が一瞬だけ入っているんだ。

 最初に気づいたのは、博多座の『マラケシュ』を見ていたときだったと思う。待ちに待ったよーやくの放送で、わたしは最高画質で録画して、それをあとからゆっくり鑑賞していた。
 するとその『マラケシュ』映像の画面が一瞬止まり、目の端になにかちらりと「別の映像」が映った。
 止まっていたのは一瞬で、映像はすぐにナニゴトもなかったかのよーに動き出したが……でもたしかに今一瞬止まったよね、音も途切れたよね? そしてなんかちらりと、別の映像が見えたよね?

 巻き戻して、コマ送り再生してみた。

 『マラケシュ』が映っている……画像がふと乱れ、ブロックノイズが入り、次に『マラケシュ』の画像の奥から、ノイズと共にかしちゃんが現れた。

 お稽古場映像だ。多分、博多座『コパカパーナ』のお稽古をしている、素顔のかしちゃんが現れ、両手を広げて笑顔で歌っていた。音声はなし。画面だけ。

 だがそれはほんとうに一瞬で、またブロックノイズが画面を覆い尽くし、『マラケシュ』に戻った。

 ぽかーん……。

 なんなんだこりゃ。

 コマ送り再生でないと判別できない、1秒以下の挿入。
 でもたしかに、覚えのない別の映像。

 そのときもわたしは、「スカステの中の人がまちがえて、『マラケシュ』オンエア中に『コパ』稽古場を一瞬流しちゃって、いかん間違えたってあわてて『マラケシュ』に戻したんだな」と思って納得していた。

 だってありえないもの。
 予約録画した『マラケシュ』の中に、かしちゃん『コパ』が1秒以下だけ入っているなんて。

 『マラケシュ』はその後録画し直しました、ええ。次は変な映像は入らなかった。

 
 それが記憶の最初、そっからはたびたびそーゆーことが起こる。
 花組『エリザベート』でオサ様トートが銀橋で歌っているときに、一瞬だけタカハナが白い衣装でデュエットダンス踊っていたりな。(リフト場面だった、あれはなんの作品だろう??)

 スカステの中の人が、こんなしょっちゅう放送を間違えるとは思えないから、この「一瞬だけ別の映像が混ざる」のは、わたしのレコーダの問題だろうと思った。
 レコーダの問題……だとして、どーゆー問題なんだ?

 たとえば、録画しているチャンネルが勝手に一瞬だけ別のチャンネルになるのかと思ったんだ。
 L1(スカステ)を録画しているのに、レコーダに問題があってときどき勝手に別のチャンネルに移るとか、アンテナの受信が不安定で複数のチャンネルを間違って受信するとか。
 W録画機能があり、同時に2番組録画可能なレコーダだから、レコーダ1で録画中、停止しているはずのレコーダ2が勝手に動き、しかもレコーダ1のデータに一瞬割り込んでいる、とか。
 
 でもそれだと、説明が付かないんだよな。

 だって、スカステは今現在『マラケシュ』を放送している。レコーダが誤動作して他のチャンネルを一瞬だけ録画しようとしたって、どこの局でも『コパ』稽古場風景は放送していない。

 放送されていないのに、どうやって録画したんだよ、Myレコーダ。

 
 たとえばわたしが夢遊病とか二重人格とか、わたしとしての記憶のないときに「『マラケシュ』録画中に、一瞬だけ『コパ』を録画してやろう」と思ったとしても、技術的に不可能なんだ。
 6月15日の朝7時に、2月20日のニュースを録画しようとしても。
 ナイ映像をどこから取り出して、わざわざ録画して存在させられるとゆーんだ。

 
 とゆーことで、録画データに突然別の画像や音声が入っているのは、めずらしいことではない……わたしのDVDレコーダときたら。
 たびたび起こるんだコレ。

 いちばんすごかったのは、星組『エリザベート』。
 「夜のボート」を歌うノルさんフランツの音声が途切れ、画面が静止したかと思ったら、女の悲鳴と、倒れる音がした。 
 画面はノルさんフランツのまま。ノイズでざらざらだが、別の絵は入っていない。音声のみ割り込まれた。
 「きゃあ!」という悲鳴と、どさっという、なにか大きなモノが落ちる音。
 で、そのあとはまたナニゴトもなかったかのよーに、ノルさんフランツが「夜のボート」を歌っている。

 さすがにコレは、こわかった。
 夜中にひとりで見ていたからなー。いきなり女の悲鳴はびびるわー。

 パナソニックの人に修理に来てもらい、この「女の悲鳴」部分を見てもらったんだが、「こんな症状、見たことナイ」と言われ……原因不明。

 DVDレコーダの修理というのはよーするに、中身を全部新品と入れ替える、ということなので、そこに入っている録画データを全部失うことになるので、結局修理はあきらめた。
 ときどき変な画像や音声が勝手に録画される、まま現在も使っている。

 
 とゆーよーなことは、どれくらいの確率で存在するのだろう?
 世の中の人も、似たような状況は経験しているんだろうか。

 そして、6月15日の朝7時、何故2月20日のニュースが録画されたのか。スカステの中の人が放送を間違えたのか? わたしのレコーダがまた、存在しない映像を勝手に録画したのか?

 謎は尽きない。

(スカステに問い合わせてはいません。以前質問メールしてスルーされたので、「問い合わせても無駄」という思い込みがある・笑)
 なによりもまず、月組に、トップ娘役が復活することがうれしい。

2009/09/15

月組次期トップ娘役について


この度、月組次期トップスター霧矢 大夢の相手役に星組の蒼乃 夕妃が決定しましたのでお知らせ致します。

尚、蒼乃 夕妃は2009年12月21日付で星組より月組に異動し、2010年2月の月組中日劇場公演『紫子』『Heat on Beat!』よりトップ娘役として出演致します。


 タカラヅカは変わらないところ。「伝統」という名の時代錯誤を護り続けるところ。
 トップスターを頂点にしたピラミッドが美しく構成されるところ。

 オープニングがあって中詰めがあって、ロケットがあってデュエットダンスがあってエトワールが歌って大階段パレードがあって大きな羽根のトップスターが最後に登場する。
 鉄壁のワンパターンを守って、95年続いてきた。や、今のよーなカタチに到達したのはいつからかわかんないけど、少なくともこの四半世紀はそうやってきたはずだ。

 だからこそ、トップ娘役が存在しないなんて異常事態は、これ以上続いてはならない。
 タカラヅカの根幹に関わる。

 よかった、平時に戻って。心から、良かった。

 
 とゆーことで。

 まりもちゃん、トップ娘役決定おめでとー。

 まりもちゃんは実力のある娘さんなんで、きりやんとがっつり良い舞台を見せてくれるでしょう。

 それはわかってるんだけど。安心しているし、期待しているのだけど。

 わたしのなかに、まりもちゃんが今このタイミングできりやんの相手役になる、という実感は、まったくない。

 まりもちゃんがいい娘役スターさんだということとは別に、なんでだろ、モバタカからメールを受け取って「ぽかーん」とした気分になった。
 将来的にトップになるかもしれなくても、今の彼女がトップ候補だったとは、わたしはまったく思っていなかったらしい(笑)。

 残念ながら『太王四神記 Ver.II』の新公は見ていないが、それまでの新公やバウのヒロイン、本公演の姿を見て、彼女をトップ云々とはまったく結びつけられなかったらしい……こあらさんってば。
 みなこちゃんほど別格さんだと思っていたわけじゃないが、まりもちゃんもわりとそっち寄りかなあ、持ち味……と。
 なにしろ強くて安心感あって、新公なのに専科さんみたいな安定した……周囲から浮くほどの舞台人ぶりだったりしたので。
 みなこちゃんは良くも悪くも目立つアクがあったけれど、まりもちゃんはそーゆーわけでもなく、ほんとに「新公に上級生出てるわー」な感じで、若さや初々しさより貫禄を感じる芸風だったので、「タカラヅカ路線娘役」というわたしの狭い思い込みからは微妙にはずれていたのよ(笑)。

 だからといって、「そんな別格風味のトップ娘役は嫌だわっ」と思うこともまったくなく、「へー、そーなんだー、おめでとー」と思う。
 わたしの印象はどうあれ、世間的にはきっと、バリバリの新進娘役だったのだろう。
 実力のある子が抜擢されるのは、正しいことだと思う。

 まりもちゃんならほんと、安心だよなー。
 芝居もダンスもOKだし、歌もまあそこそこだったよね? 大柄で骨太な、パワフルなダンサーという印象だが……えーと、デュエダンの華であるリフトは……『銀のロマンティック』方式希望。

 冗談はさておき、きりやさんとの並びは未知数だし、これからどんな化学反応を見せてくれるのか、心から楽しみだ。

 ……しかしこれで、トド様の相手役をやった子は、あいちゃん以外全員トップになるわけか……まりもちゃんは『Kean』に続いて2度目のトドの相手役を『コインプラ物語』でするわけだし。やっぱ期待の若手スターでないと、トド公演でヒロインはやらせないんだろうなあ。
 そう思うとさらに、あいちゃんが惜しいなぁ……。言っても仕方ないことだけどさ……。

 
 でもって。

2009/09/15

星組 退団者のお知らせ


下記の生徒の退団発表がありましたのでお知らせいたします。

(星組)
水瀬千秋

   2009年11月5日(星組東京特別公演千秋楽)付で退団


 ちゃきちゃん退団は、ありえないんですが……。
 こちらはもお、ど真ん中に路線娘役らしい娘役なのに。まだヒロインをしてないけれど、今まで演じてきた役で十分その素質と未来に期待を抱ける子だったのに……。
 惜しいわ、あまりに。
 『懐かしの宝塚イブニングコンサート』汐美真帆の回の構成について、グダグダ語ってます、続き。

 
 ケロの立場が中途半端すぎるんだ。

 たとえば最初から、「わたしが選んだ曲に、カラーセラピストの張さんに色を選んでもらいました」ならば、混乱はない。
 曲ごとの色は、「カラーセラピストとしての知識に基づいて」選ばれているとわかる。

 だが、なにしろ最初の1曲のボトルをスタンドから取り出して歌ったのはケロで、「曲に合わせて選びました」と言う。
 まるでケロ自身が選んだかのように。

 ケロが選んでいないとは言わない。選んでいるのはたしかだから、嘘を言っていないことはわかる。
 でも、ケロの立ち位置がわからない。
 カラーセラピーの知識とは無関係に、「この曲にはこの色!」と思って選んでいるのか、知識を元に「この色の持つ意味はこうだから、この曲にはこの色」と思って選んでいるのか。

 「この曲にはこの色!」と選んでいるのならば、色に対するイメージを語ったあとに「合ってますか?」と張さんに聞くのはおかしい。
 カラーセラピー的にどういう意味があろうと、「わたしはこう思った」で済むはず。
 もしもセラピー的に意味が違っていたとしても、それを軌道修正するのはセラピストの張さんの仕事でケロがいちいち「カラーセラピー的正解」で色の説明をする必要はない。

 おそらく、ケロは打ち合わせ段階、このハンドメイドな企画段階で「この曲にはこの色!」をやり、プロの張さんから「この色の意味はね……」とレクチャーを受けているんだろう。
 そのために、立ち位置がおかしくなった。
 打ち合わせでそれをやるのはかまわないが、本番で「客に伝えるのはなにか」を客観的に考えて欲しかった。

 イベントだから台本があるのはいい。当たり前だ。
 ただ、その台本通りに披露してもらわないと。

 今回のコンサートは、台本を読んだ上での感想、になっている。
 テレビドラマを見た視聴者が自分目線も入れてストーリーを解説している状態になってるの。だから、そのドラマを見ていない人には、本筋がどれで、どれが語り手の主観なのかがわかんないという。

 曲の色を選んだのは誰か。歌い手のケロなのか、カラーセラピストの張さんなのか。
 ケロが選んだというならば、ケロ個人の意志で張さんの意志はまったく含まれていないのかどうか。
 また、ケロにはどの程度カラーセラピーの知識があり、それに左右されて色を選んでいるのかどうか。

 それをまず、明確にする。

 ケロがカラーセラピー的には素人で、自由に色を選び、それによってケロ主体のコンサートにカラーセラピストの張さんが色を添える、という意味ならば、ケロが「わたしが選んだ、わたしはこう思う」と意見をブレさせずに貫き通し、それに対して張さんが「yokoちゃんの選んだ色にはこういう意味があって……」と解説すればいい。
 ケロははじめて聞く顔をして「そーなんですかー」と言うべきで、「合ってますか?」と言う必要はない。

 最初に選んだのがケロで、打ち合わせ段階で張さんの指導がすでに入っているというならば「わたしは単純にこの曲はこの色っぽいかなと選んだんですけど、張さんに聞くとこの色にはこーゆー意味もあるそうで、なるほどと思いました」とやり、最後に自分の語ったうんちく(指導済みの内容)を間違えずに言うことが出来たかを確かめるために「合ってますか?」と聞く。これならアリ。

 張さんとケロが一緒に選んだというならば、「この色にはこういう意味があって、この曲にはこういうイメージをわたしは持っているので、コレを選びました」と説明する。ふたりで決めたことをちゃんと間違えずに言えたかどうかを確かめるために「合ってますか?」と聞く。これならアリ。

 台本があるのは前提ですよ。ケロがナニも知らない、という設定でも、本当になにも知らないでぶっつけ本番にセラピーやれという意味じゃない。
 客にナニを伝えるかを考え、そのためにどう演出するかを考えるってこと。

 なのに今回ケロは「わたしが選びました、こんなイメージを持ってます……で、合ってますか?」とやっている。
 「異議あり!」の連続だわ。
 「わたしが選んだ」の「わたし」はどの位置で選んだのか、「選んだ」と言いながら語る内容は自分の意見や感想なのかカラーセラピー的見解なのか不明だし、最後にいちいち「カラーセラピー的正解」を得ようとするし。自分の意志や感性ならば「カラーセラピー的正解」とは無関係なはずなのに。

 立ち位置、視点がめちゃくちゃなままだから、色の意味やこの曲にはこの色ってのはわかるけど、それがなんなのかがわからない。
 ぶっちゃけ色の意味なんて、調べればわかることだ。それを解説することに必死になるより、彼らだけにしかできないこと(何故、誰が、どの位置からソレを選んだか)を大切にして欲しかった。

 誰かプロに仕切って欲しかったなあ……。
 この客観性の欠如は、身内だけでやっているために起こっているんだろう。

 今後もこういったカラーセラピー・コンサートをやっていきそうな感じなのに、このグダグダっぷりってば。
 一度プロに脚本書いてもらって、骨組みを理解してからあとはその展開でやっていけばいいのに。

 試みはおもしろいと思うし、なによりケロを好きだからいろいろと残念で。

 今までも多分同じようなコンサートをしてきて、「汐美真帆コンサートと言えば、カラーセラピー」だと身内同士では常識になっているとしても、永久に身内相手だけで終わらせるならともかく、新規客が欲しいなら基本は押さえて欲しいと思ったナリ。
 ただの余計なお世話、老婆心に過ぎないのだけど。
 『懐かしの宝塚イブニングコンサート』汐美真帆の回の構成や進行をグダグダだなと思ったのは、「カラーセラピーと音楽の融合を狙ったコンサート」であるという点。
 試みはおもしろいけれど、足りないことばかり。

 まず、このコンサートのタイトルは『懐かしの宝塚イブニングコンサート』だ。
 カラーセラピーがどうのとは、まったく関係ない。
 タイトルに「カラーセラピーやりますよ」という意味の副題を付けるか、パンフレット(チラシ1枚でも可)を配布するかして、あらかじめ意図を明らかにするべきだ。

 「んな金や準備の必要なことはしたくない」というなら、台本を練り、コンサートの最初にコンセプトをしっかり解説する必要があった。

 このへん所詮タカラヅカってゆーか、お茶会感覚ってゆーか、すべて、なし崩しに進んだのよ……せっかくの興味深いコンセプトが。
 プロの主催するイベントならまずありえないことだけど、出演者が自分でコーディネートするハンドメイド・イベントだから、素人臭さ丸出しなグダグダっぷりが、残念で。

 ステージ……というか、段差もないレストランの一画のふつーの空間で歌うわけなんだが、そこにカラーセラピーのボトルスタンドが置いてある。
 登場したケロはそこからボトルをひとつ選び、グランドピアノの上にちょこんと置き、歌い出す。
 1曲ごとにボトルを替える。
 曲とボトル(色)になにか意味があるらしい。

 それはわかるんだが、ものすげー説明不足。

 カラーセラピーがなんなのかわかんない人にだって、「色になにか意味がある、イメージするものがある」くらいはわかる。
 ケロが説明したのはその「素人でもわかる、見たらわかる」部分のことで、肝心の「で、ソレがなんなの?」については説明しなかった。
 自分たちがわかっているので、説明しなかったんだろう。素人イベントにありがちな、客観性の欠如。

 選んだ色に意味があることは見たらわかるから、「何故そんなことをするのか」を教えてくれよダーリン。

 カラーセラピストの張さんも、真面目に色の持つ意味を解説してくれるけど、「で、それがなんなのよ?」についてはスルー。

 たとえば、NYな歌を歌うケロ。
 「NYはこんなイメージなんで、この色のボトルを選びました」
 ふーん、ケロちゃんにとってはNYってこんな色なんだー。……と、ここまではいい。
 そのあとに、ケロは張さんに聞く。「合ってますか?」

 えーと、この「合ってますか?」の意味は?
 NYのイメージは「この色」と、世の中ではカラーが決まっているの? 「黄色」が正解だとしたら、ここで「青」を選ぶことまちがい?
 それとも、NYに対してどんな色を選んだかの正誤ではなく、ケロが語った「色」に対する解釈がカラーセラピー的に合っているかということ?

 たぶん後者の意味だとは思うんだが、ケロは1曲歌い、その曲の色について語ったあと必ず張さんに「合ってますか?」と聞く。そして張さんが「合ってます」と答える。
 このやりとりの意味がわからない。

 曲に対して、イメージする色を選ぶ。
 これはわかるし、興味深い試みだと思う。

 だがそれを選ぶ人間と、その人間のスタンスがわからない。

 選んだのは、誰なのか?

 ケロのコンサートである以上、選ぶのはケロであるべきだと思うが、どうやらそうでもない。
 「次の曲は何番のボトル」と張さんが指示を出す。
 そしてケロが歌い、色の意味を語り、「合ってますか?」「合ってます」と言う。

 どんな曲を歌うか打ち合わせたときに、カラーセラピストの張さんも一緒になって、あらかじめ色も決めていたっぽい。

 では、その立ち位置をまずはっきりと説明してもらわないと、見ている方はわけがわからない。
 「この曲はこの色」と思ったその動機を、コンサートを通してどういう立ち位置で選んでいるのかを、最初に説明してもらわないと。

 ケロの立場が中途半端すぎるんだ。

 
 半端に長くなったので続く。
君の名は。@懐かしの宝塚イブニングコンサート
君の名は。@懐かしの宝塚イブニングコンサート
 ケロちゃんは、現役時代より歌がうまくなったと思う。

 宝塚ホテルのティーラウンジ「ルネサンス」で開催された、『懐かしの宝塚イブニングコンサート』汐美真帆の回に行ってきました。

 宝ホHPや、現地に掲示されている写真はコレ(右端の画像参照)ですよ。所詮携帯写真(わたしはカメラを持ってないっす)なんで、わたしの取った写真ではなんともボケボケですが、雰囲気は伝わると思う。

 つまり、いかにも元タカラヅカなカッコイイ系いい女です。

 掲示されている写真がコレだから、そーゆー姿で現れると思ったのね。
 そしたら。

 ショートカット+パンツ姿で登場です、汐美さん。

 変わってねえ。

 現役時代と、印象変わってないっす。
 なんか、時間が止まっているような、戻ってるような、不思議な感じ。

 かの人が、ヅカを卒業して5年。
 学年的には、77期はもう誰もいないけれど、年齢的にはケロちゃんってゆみこちゃんと同い年だから(ケロの方が誕生日は遅いので、現在はまだひとつ下)、まだヅカにいてもおかしくないんだよな。(ジェンヌはフェアリーです、年齢はありません)

 ピアニスト兼カラーセラピストの張さんと組んでのコンサート。
 構成と進行はけっこーアレで、ツッコミどころ満載だが、それまあ置くとして(笑)、ケロちゃんはなんか今でもふつーに「タカラヅカ・スタァ」だった。

 「洋行帰り」バリバリの発音で歌うミュージカル曲だとか(笑)、タカラヅカな曲だとか。
 コンサートのテーマが「懐かしの宝塚」だから、ヅカの曲やヅカっぽい曲を歌うのは当然としても。
 前を開けた白いロングシャツをコートのよーに燕尾のよーに着こなし、全身白尽くめという「ジェンヌ」らしい姿。
 スーツでもドレスでもない、ひとつずつはカジュアルなアイテムなのに、白一色にすることで際立つフェアリー感。てゆーかコンサート衣装ぢゃないよアレは、お茶会衣装だわ、イメージ的に(笑)。

 体型も変わらずスリムで、顔の凹凸もくっきりで。うおー、鼻高いー、でかいー。
 舞台にいるときはケロの顔が小さいとか思ったことなかったけれど、やっぱりこうしてナマで見ると一般人よりよっぽど小顔で。均整が取れたプロポーションで。
 ……服のせいか補正しているのか知らないが、女性らしい曲線はまったく感じさせず、ほんとにふつーに「タカラジェンヌ」だった。

 声もあのハスキーヴォイスのままだし。ちょっとまろやかになっているけど、いわゆる女声のクリアなソプラノとかで歌っているわけでは、まったくないし。
 話している「昔のまんまのケロ」が、そのまんま歌っているし。

 変わらない……ことに、ちょっとびっくり。

 たしかに5年分年を取っていて、オペラグラスでのぞくと目の下のクマとシワは昔以上に深く濃く刻まれている。
 その「年輪」を、感慨深く見つめた。

 ケロがどんなおじいさんになるのか、想像つくなあ。

 そう思った。
 5年分老けた顔を見て、さらに数十年あとの顔を思い描いた。
 きっとしわしわのおじーちゃんになった顔も、愛しいんだろうなと。

 ……おばーちゃんぢゃないですよ、おじーちゃんです。
 すごくナチュラルに、おじいさんなケロを思ったよ。

 それはとても、しあわせなことだと思う。

 夢がまだ、続いているのだから。

 ありがとう。
 変わらないでいてくれて、夢を見せてくれて、ありがとう。

 タカラヅカという夢の楽園を出て、現実という荒れ野の中にいてなお、美しく在ってくれて、ありがとう。

 現役時代、これくらい歌えていたらまた別の未来もあったんではないかとか、ヨガってすげえな、こんなに歌えるようになるんだとか、まあいろいろ思いつつ。

 やっぱり声が好きで、顔が好き。
 あのでかい鼻が好き。目の下のシワが好き。

 好き、と思えることがうれしい。
 好き、と思わせてくれることがうれしい。

 ふつーにコンサートやって来たのに、最後にやっぱ「同期の安蘭けいちゃん」の話をうれしそーにはじめるあたりがもお、ほんっと変わってないなと、笑いを噛み殺しましたのことよ。

 トウコの話は絶対出るよな、まったく(笑)。そのトホホぶりも健在で、ほんとに裏切らない人だ。

 
 ちなみにこの日は、友人たちとランチをして、お茶をして、5時から花組公演を観て(ショーのみ・笑)、ケロ・コンサート行って、さらにディナーまでして終了しました。帰宅は必然的に午前様。いやはや、濃い1日。

 『EXCITER!!』観劇時、今日はまっつだけ見る、と決めていた。
 全体は置いておいて、ただひたすらオペラグラスでまっつだけを見る。

 現在のダーリンだけを見る。

 そのあと、昔のダーリンに会う(見る)んだもの。

 まっつを見て、そのあとケロを見る。
 その感覚を、自身へ刻みつけようと。
 弱い人間なので、無自覚に泣きかけた。
 ちょっと軽く愚痴るつもりだったのに、別にどーってことないつもりだったのに、喋り出したら声がどんどん涙声になって、自分でびびった。
 い、いかん、なにやってんだ。
 鬱積しているんだ、弱っているんだ。

 泣き出すつもりはまったくなかったので、本気で困った。
 このまま気を抜いたらマジで泣き出すぞ、それは困る。ほんとに、大したことじゃないんだ、愚痴っていた話題自体は。世間話レベルのことだ。
 自分的には「不景気でやんなるわよねー」レベルの愚痴だったのに、そこで泣き出したら、相手も困るしわたしも恥ずかしい。社会生活にヒビが入る。

 「不景気でやんなるわよねー」レベルでマジ泣きしそうなほど、弱っている自分に心底びびったが(や、だからほんと無自覚)、今はそれどころじゃない、なんとか取り繕わなくては。
 泣きそーなことを、知られてはならないっ。

 背を向けてお茶を淹れながら、わたしは内心あせりまくっていた。どうする、どうするよオレ!! どう誤魔化す!

「そーいえばこあらちゃん、タカラヅカ好きって言ってたわよねえ。『ベルばら』って、もう観た? 私今度、『ベルばら』観に行くのよ」

 あせる背中に、あっけらかーんと別の話題が振られた。

「行きましたよー、明日もまた行くんです。てゆーか、行くんですか、『ベルばら』?!」

 お茶のカップ持って振り向いたわたしは、自分でも「あ、今スイッチ入った」ことがわかった。

「ええっ、同じモノを観るの?」
「観ますよー、毎週通ってますから」

 泣きそう、だったわたしは瞬間的に消えた。弱っていて、自分でもわけわかんないことで臨界点達しそうになる、そーゆーやばいモードは瞬時に消し飛んだ。

 わたしは心から笑って、会話していた。

 タカラヅカすげえ。

 てゆーか、「好きなこと」って、「愛するもの」って、すごいよな。
 心の暗雲全部ばさっと取っ払って、笑えるんだから。好きなモノの話なら。

「娘が『ベルばら』観てみたいって言うから、はじめて行こうかと思って。でもタカラヅカってチケット取り方わかんないし、取れないもんなんでしょう? でもたまたま見かけた新聞に広告が載っていて……電話したら、幸運にもチケットが残ってて」

 …………う・わー…………。

「S席なんだけど、2階の隅っこなの。でも取れただけラッキーよね」

 なんで先に、わたしに一声かけてくれないの、もっといい席を取る方法くらい、もしくは同じあたりの席を安く……ゲフンゲフン。

「娘が楽しみにしているの。だって『ベルばら』でしょう?」

「いや、その、『ベルばら』は『ベルばら』だけど、外伝だから……」
「オスカル出ないの?」
「出ます。出るけど……えーと、アンドレを好きだった女の子がいる、という新しい切り口で……」
「原作知らないとまずい? 娘はマンガ読んだことないんだけど」
「原作を知っていることが前提だから、知らないとストーリーついていけないかも……」
「観る前にあらすじ説明するべき? 私なんかはマンガ読んでる世代だからいいけど」
「そ、そうっすね……」

 原作熟知していても「ついていけない」なんて、言えないっ。(内心冷や汗ダラダラ)

 やーもー、ブルーな気分なんか、見事に吹き飛んだねっ(笑)。
 タカラヅカ万歳。

 
 タカラヅカ入門者はいつだって大歓迎。
 どの組のどの演目だって、「今度観てみることにしたの」「観ようかと思うの」と言われたら、諸手を挙げて大歓迎。
 「どんなお話? 初心者向きかしら?」とか相談された場合、どんな感じの舞台か説明しはしても、「初心者向きじゃないから、行かない方がいいよ」とか「この公演はやめて、次の公演にした方がイイよ」とかは、絶対言わない。

 行こう、と思ったときが、そのときなんだ。
 「次回」とか「これがおすすめ」とか言っていたら、機会を逃して一生行かないかもしれないじゃん。
 観てもいいかも、と思ったそのときでなきゃ、1万もする娯楽にはなかなか踏み切れないよ。

 わたしがどんだけ「駄作!」と思ったって、人間の数だけ考え方と感性がある、その作品でタカラヅカを好きになってくれるかもしれない。

 ええ、わたしの周りには『剣と恋と虹と』でヅカにハマった人と、『ミケランジェロ』でハマった人がいますから。わたしが「初見がコレだとヅカを誤解されそう」と思う場合でも、そんなのまったく関係ないんだ、ハマるときはハマるんだ。

 「タカラヅカ」をナメるな、「タカラヅカ」には「タカラヅカ」だとゆーだけで、他のどこにもない魅力があるんだ。
 長くヅカファンやって、作品をあーだこーだ言うようになってしまうと、ときどきわかんなくなる。
 どんな作品であろうと、「タカラヅカ」という文化自体の持つ力に、魅せられる人は、魅せられてしまうのだと。
 だから、ヅカファンとしては、ヅカファンである驕りから入門者からその機会を奪ったり、水を差してはいけないんだ。

「外伝なんで、ちょっと地味かもしんないけど……でも、ショーがイイから、派手だから!」

 いざ、ポジティヴに、アグレッシヴに! ついでにオプチミズムに!

「こあらちゃんの好きな人も出てるの?」
「出てます、ベルナールやってます……つっても、わかんないだろうけど」
「どうして? 私はマンガ読んでるからベルナールくらいわかるわよ?」
「いやその、台詞ないから……ムニャムニャ」
「え? どーしてベルナールなのに台詞ナイの?」
「わかりません(泣)」


 どんな作品であろうと、「観てみたい」という人を止めはしない。いつだってウェルカム!
 ……でもやっぱ、自分的に「イイ作品」「好きな作品」を観て欲しいよ、正直なとこ。

「とにかく、ショーを楽しみにして下さい、ショーを観てください。『ベルばら』だけでタカラヅカを判断しないで、ショーまで観てから決めて下さい」

 ……いかん、最後はなんか泣きが入ったぞ、わたし?(笑)
 細胞を洗う瞬間が、必要なのだと思う。

 わたしのカラダが、ココロが、ぴりぴりと震えて、プリミティヴなものがむき出しになって、呼吸することすら「特別」なことになる。
 口元を押さえるのは、呼吸を確かめるためであり、嗚咽をこらえるためである。
 叫び出すのを、こらえるためである。

 呼吸に、声がまじりそうになる。
 息をするだけでは足りないなにかが、わたしの中であえいでいる。

 そーゆー感覚を、久しぶりに味わった。
 必要なのだ。
 求めていたんだ。
 この感覚。

 毎日毎回こんなじゃ生きていけないれど(笑)、わたしがわたしとして生きていくのに、絶対必要だ。

 生まれ変わっても、きっとアナタの声を探す。

 
 神様。
 わたしの人生に春野寿美礼を与えてくれて、ありがとうございます。

 
 久しぶりだ。
 貧血起こすくらい、客席で泣いたのは。

 ……大笑いもしたけどな。ゲスト他とのトークがフリーダムすぎてカオスです、オサ様。案の定終演予定が半時間以上まるっと延びるし(笑)。

 
              ☆

 とゆー、テキストを、書いてはいたけどUPしそこなっていた。
 今は毎日寿美礼サマの歌声一色。気が付いたら脳内であの歌声がエンドレスだし、CDは毎日何時間もエンドレス再生中だし。

 不思議なもので、アタマを廻る曲は毎日チガウ。
 今日は「♪ダバダバダ……」でしたわ。昨日は「チャイナドール」だったし、その前はえんえん「Tango」だったし……。あ、「あさき夢みし」がナニ気にいちばんよく廻るかもしれない……。

 「前山にて」はナマで聴いたときは脳内麻薬出る感じだったが、CDで聴く分にはどうにも退屈だ。
 この曲がシングル発売されていて、しかもNHKで披露されたっつーのは、販売戦略がいまいちな気がするっす。
 他にもっと歌唱力を見せつける曲も、派手でキャッチーな曲もあるのに、何故よりによってこの曲なんだろう、と。
 や、ただの個人的な感想だが。
 

 寿美礼サマの歌声にひたる日々、なんて幸福なんだろう。

 
 ああ……。
 『ベルばら』のバカー、植爺のバカー。

 ……はっ。
 最後に辛い現実がのぞいてしまったわっ。
今年はかっこいいっす、玄武万歳。@ブックマーク
 ブックマークの季節です。

 もう1年経つのか……。
 年の流れの高速ぶりに、唖然としますな。

 と、去年と同じ書き出しにしてみる(笑)。
 実際にはもう、とっくにブクマは発売されていて、わたしも雪組公演中にとっくに購入済みなわけだが、ネタにするタイミングを逸して現在に至る。

 さて、もう毎度同じことを書いて恐縮ですが、わたしはグッズスキーのくせに、贔屓のグッズを買うのは恥ずかしい人間である。
 (http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1457.html 過去に「まっつブクマ買うの恥ずかしい」とわめいている記述)

 今年もまた、贔屓のみでは恥ずかしくて買えないこともあり、他のスターさんのブクマと共に購入しようと、注文票を持ってキャトレの列に並んでおりました。

 全48種、48人の名前が印刷された注文票。
 欲しいスターの名前の横に、欲しい枚数を書き込む。それをレジで店員さんに渡すと、ブクマを出してくれる。
 ムラのキャトレのレジは今年から1列並びになったので、蛇行する長い行列にその日のわたしはおとなしく並んでおりましたのよ。

 すると店員のおねーさんがひとり、注文票を持って並んでいる客たちから前もって、その注文票を回収して廻っていた。
 先に商品をピックアップしておいた方が、早く会計を済ませられるからだ。時間短縮、商売は効率よく。
 一旦回収された注文票は、希望したブクマと共に返却される。
 つまり、通常レジカウンターで行われる作業(注文票を店員が受け取り、記載商品を棚から取り出し、客に確認を取る)を、行列に並んでいる時間を利用して済ませるわけだ。

 ちょっとちょっと、それだと並んでいる前後左右の人に、どのブクマ買ったかわかっちゃうじゃん?! ぎっしり並んだ行列の中で商品確認されるなんて。
 ……と、内心うろたえたが、仕方ない。
 ただの自意識過剰、周囲の誰もわたしが誰のブクマを買うか興味なんかナイ、とわかっていても、恥ずかしい。

 落ち着いて、こあら。
 たしかにここでまっつブクマ1枚だけなら恥ずかしいけど、大丈夫、他のスターのブクマも一緒に買うんだもん。まっつが本命だなんて誰にもわかんないわっ。

 そう自分に言い聞かせて、澄ましていたのに。

 わたしのところへ戻ってきた店員のおねーさんは、わたしの注文票とブクマを差し出して、こう言った。

「水さんと、大空さんのブックマーク、この2枚でよろしいですね?」

 …………………。

 一瞬、沈黙。

「…………あのー…………もう1枚…………」

 注文票の上の方を指さす。

 ええ。
 そこには、“未涼亜希 1”と書いてあるのですよ、ええ。

「申し訳ありませんっ」
 おねーさんはそのままレジカウンターへすっ飛んでいった。
 そしてあわててもう1枚、ブクマを持って戻ってきた。

「未涼さん1枚、これでよろしいですか?」

「…………はい」

 何故わざわざ、まっつだけとりこぼしてくれるの?!
 まっつ1枚だと恥ずかしくて買えないっつってるのに、わざわざまっつ1枚を別に発音してくれるの?!

 これってなんのネタ? いぢめ?!

 店員さんにまっつだけスルーされたとき、思わずこのまま水しぇんとゆーひくんだけ買って帰ろうかと思ったよ。
 まっつがナイ、抜けてます、と言い出す勇気がなくて。

 でもそれじゃ、次にまっつ1枚だけ買えない、今勇気を出さなきゃ、とがんばって、でも言葉には出来なくて、指で示したのに。
 結局、あとから名前単体で大きく確認されて。

 あああああ。(アタマを抱えている)

 なんでこーなるのおおおお。(じたばたしている)

 神様は、わたしのまっつへの愛を試しているのおおお?!(あうあうしている)

 この話をしたら友人たちは「ソレってなんのネタ?」と大笑いしてくれたけど、ネタぢゃないから、ただの事実、体験談だから!
 あああ、なんでよりによってまっつ……。
 「未涼のブクマ買う人なんかいない」という先入観(経験)から目が勝手にスルーしていたとか、キャトレの店員さん?

 
 毎年毎年、まっつグッズ買うのは大変だニャ……。(しみじみ)

 それにしても今年のブクマ、小さくなってタカラヅカ手帳にもぴったりサイズになりましたな。


                  ☆

 ゾロ目並びにわくわくする小市民ゆえ、カウンターの「4444444」を自分で踏もうと思っていたのに、帰ってきたらとっくに過ぎてた……。
 次のお楽しみは5並びだなっ。(だからナニ)
「この世で最も大切なのはオスカル様。オスカル様のためになら、腕でも脚でも目玉でも、なんでも捧げて良し。むしろ捧げなさい」

「この世で最も尊いことは、オスカル様のために生きること。身も心も時間もなにもかも捧げること。この世で最も尊いことは、オスカル様のために死ぬこと」

「オスカル様は素晴らしい。オスカル様は神。オスカル様、オスカル様……」

 幼いアンドレは、繰り返しこの呪文を聞いて育った。
 

 謎の九州弁で話すフランスのプロヴァンス地方で育った彼は、好きな女の子もいる、ふつーの少年だった。
 だが両親の死をきっかけに、彼の人生は大きく変わる。

 ほぼはじめて会う「祖母」を名乗る老婆が現れ、まずアンドレ少年を徹底的に否定した。
「うん、しか言えないの? これだから田舎モノは……」

 アンドレがどんな人格かは関係ない。
 彼に与えられるのは、徹底した「否定」。

「家を畳まなきゃならないから、孫になんか構ってられないよ! ああ忙しい忙しい」

 亡き息子夫婦に代わってアンドレを引き取りに来たと言う老婆は、「アンドレのために来た」はずなのに、彼のことを「どうでもいい」と切り捨てる。

 彼はみなしごの「やっかいもの」で老婆に迷惑を掛けるだけのどうしようもない存在なのだ。たたみかけられる言葉に「うん」しか返せない低脳な彼に価値などなく、「生かしてやるだけ感謝しな」ということなのだ。

 この老婆しか身寄りがないアンドレは、なにを言われてもなにをされても、この老婆にすがるしかない。

 出会った最初から叩き込まれる、「否定」。
 お前はダメな奴だ、お前に生きる価値などない。

 繰り返し繰り返し、老婆は少年に言い聞かせる。

 出会った最初から叩き込まれる、「罪悪感」。
 お前は厄介者だ、お前が生きているだけで他人に迷惑が掛かる。

 繰り返し繰り返し、老婆は少年に言い聞かせる。

 プロヴァンスの生まれ育った家を引き払う最中に、またベルサイユへの道すがら、老婆はわずか8歳の少年の人格を粉砕する。

「生きていてごめんなさい、生まれてきてごめんなさい」
 ……少年がそう思うところまで、追いつめる。

 さあ罪の子よ、お前に救いの道を示そう。
 生きる価値もないお前が赦されるのは、唯一女神を守ることのみだ。女神の手足となって生き、盾となって死ぬことだ。

 繰り返される呪文。
 アンドレを否定し、オスカルを讃える。

 アンドレは、幼なじみの少女のことを忘れた。幼い恋も、約束も。
 人格も変わった。彼自身の意志はなく、ただ「オスカルのため」という使命感だけが彼を支配する。

「オスカル様のためになら、アンドレの目のひとつやふたつ」
 と言って、当のオスカルの父親に「馬鹿者、アンドレもオスカルも同じ人間だ」と叱られる老婆、というやりとりの直後に、
「オスカルのためなら、目のひとつやふたつくれてやる!」
 と、威勢良く飛び出していくアンドレの、なんと教育の行き届いたことか。

 老婆の言葉は、そのままアンドレの言葉。
 老婆の意志は、そのままアンドレの意志。

 アンドレにはなにもない。
 彼の人格は8歳のときに砕かれた。アンドレはもう死んだ。

 今ここにあるのは、老婆の人形。
 老婆ののぞむままの言葉を喋り、行動を取る。

「目が見えなくなるなんて、それじゃ誰がオスカル様をお守りするの? なんて役立たず。オスカル様を守れないなら、もうお前になんの価値もない、意味もない」
「見えなくても見えている振りをして、戦場に行くよ、おばあちゃん。オスカルを守って立派に死ぬよ」
「そうよ、死になさい。オスカル様のために死ぬのがお前の幸せ、お前の存在が赦される理由だからね」

 
 そうして人形は死んだ。
 見えもしない目で戦場へ行き、真正面から撃たれて死んだ。

 老婆の施した洗脳通り、「オスカル……」と最期に女神の名を呼んで。

 しかし彼の女神、当のオスカルをパリで、戦場で見かけた者は誰ひとりいない。
 アンドレは、そこにいない女神の名を呼んで、衛兵隊の仲間たちに囲まれてひとりで逝った。

「アンドレとオスカル様はパリで死んだ」
 と、老婆は涙ながらに語る。……だが、オスカルの死体を見たものはいない。パリでオスカルを見た者はいない。

 ただ老婆が語るのみだ。

 
 ところで。

 フランス革命をたくましく生き抜いた老婆の手元には、彼女が望んでいた通りのものが手に入ったとか。
 孫に「目でも命でも捧げろ」と言い聞かせていたくせに、自分の髪の毛一本傷めることはしなかった老婆は、哀れな人形をひとつ使い潰した上で、ほんとうに欲しかった人形を手に入れた。

 美しいブロンドの人形は、「愛するアンドレは、パリで死んだ」と知ってからすっかり心を閉ざし、老婆の言いなりになっているとか。

「さあオスカル様、おぐしを梳かしてさしあげましょうね……」

 
            ☆


 マロングラッセこわすぎ……。
革命まっつまっつ。@外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-/EXCITER!!
 とりあえず、プログラムを買った。

 ***目から上が切れてるのがいい感じだな、この写真(笑) →

 観劇しても、基本プログラムは買わない。いちお全公演1回は観る派なので、観るたびに買っていたら狭い家がますます狭くなる……つーか、床が抜けるわ(部屋は2階)。
 昔は芝居でも映画でも、観たら必ずパンフレット(プログラム)を購入していたんだけど、それがもお、自分でも収拾つかないくらいになっちゃって。年間に舞台100回以上、映画50本以上観てたんぢゃ、さもありなん。
 いつからかよっぽどのことがないと買わなくなった。(映画は最近あんまし見なくなったしなー)

 プログラムを買うのは、「観たから」ではなく、なにかそこに特別の意味があるときのみ。
 その公演・作品をめちゃくちゃ好きだとか、トート@水しぇんが美しかったからとか、パーシー@トウコちゃんが美しすぎたからとか、オギーの作品と生徒への言葉を読みたかったからとか、トウコちゃんのサヨナラ公演だとか。
 「プログラム」というより、「公演記念品」として購入。

 近年買った大劇場プログラムって、雪組がほとんど、次が星組か。
 花組は買ってないなー。最後に買ったのは、オサ様のサヨナラ公演。

「まっつのインタビューが載ることがあれば、買うかもしんないけど(笑)」

 なんてことを、言ってました。
 他意があるわけではないですが、どーせ読まないとわかってる、置く場所もないモノにお金を使うより、その分チケットを買おうと。

 まっつインタビューが載れば、買うかも? と、自分で言いつつ。
 いやあ正直なとこ、一生買う機会がめぐってこないんぢゃないかと思ってました。いろんなところですでにトバされている人だから。

 まっつでもプログラムにインタビュー載せてもらえるんだー。びっくりー。

 だってさ、今回、芝居の出番アレだけの人だよ?(笑)

 インタビュー載せても、一見さんには「で、この人芝居に出てた?」「なにしてた人?」と、混乱させるだけなんぢゃないかと(笑)。

 『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』、ベルナール@まっつは、思っていたよりはまだマシでした、扱い。
 台詞も歌もないと聞いていたので、実際観て見てびっくり、台詞あるやん、歌あるやん!!(笑)
 ほんとに「声」を聞く機会もないと思ってたよ。

 台詞はアンドレ闇討ちのときに、「引け!」と一言。
 文章ではなく、一言(笑)。
 にしても、台詞あるー、すげー。(だから本気でまっつ台詞ナシを信じていた)

 この一言がまた、無駄に美声でウケる。
 あー、『エリザベート』の裁判官の声やってほしー(笑)。

 あとは台詞ではないけれど、チャンパラ時の「はっ」がやたら気合い入りまくっていて、まっつなのにめちゃアグレッシヴ! アンニュイとかゆーてられません、なにしろ出番ナイから! 台詞ナイから! 声出せるところで出しておけ! みたいな(笑)。

 で、革命場面もワンフレーズとはいえソロがあってびっくり。

 だって彼はすでに全ツで同じ役……役割を、やっているわけですよ。
 同じ曲、同じ演出で歌い踊っている。
 全ツでも「ひとりスポットライトもらってセンターで歌い踊ってるのに、ソロは無し」という状態だった。
 今回もそれと同じでなんの問題もない。
 最初から最後まで市民たちのコーラスでかまわないわけだ。
 なのにわざわざ、まっつがひとりで歌う部分がある、というのは驚きだった。

 まっつ歌ってるー。すげー。(だから本気でまっつ歌ナシを信じていた)

 で、歌が終わるとマイク切られちゃうみたいで、その後いろいろ喋っているみたいだけどなにも聞こえず。
 でも、ラストの渾身の叫び「やったぞおおお」はマイクなくても聞こえる(笑)。
 まっつなのにテンション高ぇ。

 てゆーか、革命場面かっけー!!
 まっつセンター! 全ツよりはるかに大人数の群舞センター!! うわわわわ。

 ところでベルナールさんに聞いてみたいですな、その真ん中で踊ってる人、アナタが片目潰したんですけど、おぼえてます? って。
 

 ちゃんと時間のチェックもしていました。わたしの腕時計は暗闇の中でもチェック可能。
 1時間25分は遅れてきても、大丈夫!
 や、黒い騎士@まっつも見たいけど、アレ一瞬だし! それよりメインは革命場面でしょう!
 

 『EXCITER!!』は、エロまっつ山盛り状態だし。
 いやあ、久しぶりに男に絡むまっつを見た。
 近年まつださんってば、めっきりノンケだったから、まとぶさん相手にエロ顔しているのは新鮮です。
 あやねちゃん口説くダンスの方が、まっつらしく嫌味やらしーですが(笑)。

 ……なんてことをふっ飛ばすくらい、チャールストンの男がおもしろい。

 きらりちゃんとふたり、銀橋を歌い踊りながら歩くわけだが、ここがもお。
 なんでこんな愉快なアクションついてるの? や、それがチャールストンだと言われればそうなんだが、ソレまでなんだが、だってだって、まっつだよ?!
 他の人がやったらおしゃれだったりかっこよかったりするのかもしれないが、まっつがやるとおかしい、みょーなポーズとフィンガーアクションの連続。

 いちばんの注目は、最後のポーズですね、ぴょんとやるやつ。
 次のカップルが上手に登場してるんで、見ている人少ないかもしんないけど、最後がいちばん愉快です、まっつ。劇団発売のDVDやスカステ放送には映らないと思うんで(次のまぁくんたちを映しているだろう)、劇場で、ナマで、チェックよろしくです、全国5万人のまっつファンのみなさま!

 エトワールは正直びっくり、でも、単独でないのならアリかなと思った。
 まっつの声は大好きだけど、エトワール向きじゃないと思う。声に渋さはあっても、派手さがないので……(笑)。
 で、向いてないと思っていたって、エトワールはうれしい。
 踊りながら忙しくではなく、せーの、でじっくり歌えるんだね、エトって。思ったより長いし、ソロパートも長いし。いちかちゃんががっつり支えてくれているし。
 初日より翌日の方が確実に声が出ていたし、これから先どんどん響いていくことだろう。たのしみだー。

 
 で、せっかく買ったプログラム、初日の幕間にまっつのインタビュー読んでそれっきりだったわけだが。写真撮るために引っ張り出してみたら。
 ……あれ? ページがもう、取れ掛かってる。表紙の次のページ、アンドレ@まとぶん&マリーズ@彩音ちゃん、アラン@壮くんのページがぱきっと割れて、1枚ずつはがれそうだ……。

 数年ぶりで買ったのに……なに、この製本クオリティの低さ?! そのうちばらばらと1枚ずつ落ちる?

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