ナっマ着っ替え! ナっマ着っ替え!!

 自分が闘牛士モノを見るとどうなるか、どう反応するかを、忘れていた。
 や、今ごろよーやく『哀しみのコルドバ』『Red Hot SeaII』を観劇。
 でもって『哀しみのコルドバ』は、スペイン、闘牛士モノ。

 わたしにとって闘牛士とは、フアン・ガルラード@ケロである。

 スペイン物もマタドール物もヅカの定番中の定番なので、所有権主張もおかしい。
 それがわかっていてなお、わたしにとってのエル・マタドールはフアンであり、彼と共に闘牛士姿で踊っていた美貌の弟プルミタス・ガルラード@ゆーひの記憶が消えることはない。
 ドンニャ・ソル@みえちゃんの硬質かつ恍惚としたモノローグ、血と砂のダンス。
 あまりに濃く激しい、兄と弟の愛憎物語。バウ初日のいろいろいと行き過ぎたイヤラシサ。(すみれコードに引っかかったのか、翌日からエロ過ぎたゆーひくんの拷問シーンと、兄と弟の和解ラヴラヴ場面が短縮されていた・笑)
 ヅカファン人生において、あれほどハマった公演はない。

 でもって。
 あまりにも彼らにハマり過ぎたゆえに同人誌出すことになって、パロディ書くために、闘牛関連書籍を読みあさった(笑)。
 マタドール列伝、闘牛のあれこれ、スペインの生活……そのあたりの知識を、突貫工事で詰め込んだ。勉強ダイキライなくせに、ホモパロ書くためならエンヤコラ(笑)。所詮一夜漬けなんで、パロ書き終えた途端アタマの少ないメモリから消去されちゃったけど。

 で。

 闘牛士の、いちばんの萌えポイントは、マタドール衣装の着付けであると、わたしの中で位置づけられた。
 細かい知識が抜け落ちても、萌えネタは残っているという。

 マタドールのあの「光の衣装」ってねえ、ひとりでは、着られないんだよ?
 助手の手で着せられるの。
 でもってこれは、神聖な儀式なの。生命を懸けた戦いに赴くための精神集中の場なのよ。俗と聖を分かつ行為なの。

 ガラベエトオ@のぞみくんの腕の中で、フアンが美しく飾り立てられる様をねっとり描く、ことに萌えた……んだ、わたし。


 それらのことを、走馬燈のようにざざーーっと思い出しました。

 アルバロ@まっつの光の衣装ナマ着替えを見て。

 う・わー。
 わー。
 わー。

 見たかったモノが、ここに!

 闘牛士アルバロさんは、後輩のマリオ@鳳くん(だよな?)の手を借りて、光の衣装を身にまといまっつ。
 あの長い帯を腰に巻くところからスタート。

 なんと、まっつが自分でくるくる回ってます。
 助手が回ってやれよ……(笑)と、思いつつ、自分で回った方が早いもんな。
 そして、金糸も美しい上着を着せられ、最後にカポーテを腕に掛ける。

 用意の出来たまっつは中央の祭壇へ赴き、十字を切る。

 すげー即席で略式ではあるが、闘牛士の準備場面をまっつが表現している。

 アルバロさんは愉快なチャラ男くん設定なんだが、友人であり花形スターで憧れ(笑)のヒトでもあった兄弟弟子(どっちが兄なのかわからん)エリオ@まとぶんの裏切りとその出生の秘密を知ったあとなので、人格変わってます。
 エリオのあれこれがあったあとは、ぜんぜんチャラ男ぢゃないんだな。すげーシリアスな男になってます。

 そのシリアスまっつが、端正に闘牛士の儀式をしているわけですよ。
 闘牛士と言えばケロで『血と砂』で心臓ハクハクして冷静でいられないっ、のわたしとしてはもー、どうしようかと。

 
 初日観劇をあきらめた身なので、すでに予備知識はてんこ盛り、まっつがどんなでどんなことになっているかは詳細報告をいただいておりました。
 それでも、ただの知識と実際に目にするのは、まったくチガウわけで。

 知っていたのに、まっつが女の子を両手にはべらして現れたときは、吹き出しました。

 わかっていてなお、何故こんなにおかしいんだ。ほんとにぶはっとやっちゃって、周囲を気にした(笑)。

 予習完璧でコレだもんなあ、なんの予備知識もなく観ていたら、腹の皮がよじれて大変だったかもしれん……。

 
 『Red Hot SeaII』の、「子どもの名前はペドロがいい……がくり」場面のチンピラ@まっつは、スカートめくりはしませんでした。
 や、これも予備知識で、先に見ていたNOWONでまっつ本人が言ってたの。壮くんはスカートめくりするのに自分は……って。

 ええ。
 同じ役なのに、壮くんのチンピラくんはとっても「やんちゃ」な感じで、まっつは「ヤヴァイ」感じでした。
 あー、ほんとに悪いチンピラさんなんだわ……ペドロ母@彩音ちゃんへの絡み方が、スカートめくりなんて子どものイタズラじみたことではなく、やばい感じでイヤラシイっす……。
 まとぶさんへケンカをふっかけるのも、ムカついたからとかだけじゃなく、本気で彩音ちゃんを拉致しようとしているっぽい。

 草野せんせい、この演出変更って、まっつへのアテ書きなんですか……(笑)。

 久々に見たまっつのキスシーンが、乱暴系ってどうなの。

 嫌がる女の子を暴力で無理矢理チューしよーとしてまつ。うわわわ、まっつ悪いー、ひどいー(笑)。

 最初、彩音ちゃんにキスしようとして、したのか寸前でできなかったのか角度的にわからなくて、彼女から離れるなり唇をぬぐうから、噛みつかれたのかよヲイ?! と、アセりました。まっつさん、すみれコード、すみれコード!!
 や、そーぢゃなく、口笛を吹く演技だったの、SEがズレてたからピンと来なかったけど!(笑) がんばれスタッフさん。

 
 全ツなのでスタッフさんが大変なのは仕方ない。
 が、昼公演では海馬が3匹しかいなかった。

 全ツにヒポキャンパスを連れて行くかどうか、わたし的にはチェックポイントのひとつですから。
 チョンパで華やかな中詰めラテンメドレーがはじまったとき、「おおっ、海馬も健在だ」とよろこんだのに……あれえ? 3匹しかいない。本公演は4匹だったのに、ツアーには全部連れて行けないのか?
 と思っていたら、まとあやの真珠デュエットでよーやく4匹目がこっそり出てきた(笑)。安定悪いのか、ぶわんぶわん揺れていて、見ていてコワイ。倒れたらどうなるんだろ?
 で、そーやって出てきたはいいけど、電飾が点かない。暗いままなら、いっそ3匹で良かったのに……と生ぬるく見守っていたら、途中から点いた。がんばった、海馬。がんばった、スタッフさん。
 
 海馬教授のファンですから……海馬の状態は気になりますよ……(笑)。

 
 ショーはほんと見慣れたいつもの『Red Hot Sea』で。
 あー、20回観た作品をさらにまた観るのかー、と思いつつ、まぁいいか、と。

 ボリュームのある黒髪オールバックを無造作にかき上げながら踊るまっつがかっこいいっす。ハァハァ。

 細かい感想はまた後日。
あの悪魔は、今ごろどうしているのだろう。海の底で。
          トウコちゃんを眺める猫のトーコの図。→

 いちばん、を決めるのは難しいし、そもそも意味のあることとも思えない。
 だけど、卒業、という大きな区切りを迎え、振り返る意味で「いちばん」を考えてみるのもアリだろう。

 てことで、わたしにとってのトウコちゃんの、いちばん好きな役を考えた。

 そりゃいろいろあるけれど……ぶっちぎりで「いちばん」だと思えるのは、ディアボロ@『ドルチェ・ヴィータ!』だ。

 トウコちゃんの魅力は、そりゃいろいろある。ブリリアントにいろんな輝きを持った人だ。
 「スター」として舞台の真ん中に立ち、劇場の空気を自在に操ることもそうだし、エンターテイナーとして緩急自在に笑わせたり沸かせたりすることもそうだろう。ずば抜けた歌唱力もそうだし、ただ歌うだけでなく、歌で芝居をする、ドラマを作ることもそうだ。
 美少年からエロおやぢまで演じきるところも、その芝居のきめ細やかさとリアリティ、温度と湿度、肉感のあるキャラクタ造形もそうだし、さわやかなお色気からすみれコードを心配してしまうよーなエロ満載なラヴシーンも得意だったりすることもそうだ。
 それらを踏まえた上で、あくまでもわたしが、いちばん心ときめくのが、トウコの、傷ついた瞳だ。

 壮絶な孤独や救いがたい痛み、そーゆーものに傷つききり、だけど倒れ伏して敗北するのではなく、ボロボロの姿でなお立ち続ける、戦い続ける姿。
 ソレがもー、わたしが安蘭けいという役者を好きで好きでしょーがない要因となっている。
 泣きわめくより悲しい瞳で、強がってみせられたりしたら、もお。もお。
 机をばんばん叩きながら「ソコがいいのよ~~っ!!」と叫びますよ。

 役者トウコに惚れ込んだ演出家オギーに、ディアボロ……「悪魔」と名付けられた役は、トウコのいろんな魅力が詰まっている、と思う。

 いろんなタイプの歌を相当数まとまった長さで聴かせ、耽美ありーのハードありーのの世界観、そして忘れちゃならないお笑いのお遊びアリで、トウコがアドリブで毎回自由にできる場面アリ。
 なによりも、孤独、絶望が全面に行き渡り、トウコの傷ついた瞳を堪能できる作り。

 「見たい」と思えるトウコちゃんを、まるっと詰め込んでぎゅっとエキスを濃縮した感じがたまりません。
 1時間で何作分も堪能できる(笑)。

 
 『ドルチェ・ヴィータ!』がトウコ的にも作品的にもいちばん好きだが、トウコちゃんの「傷ついた瞳」だけに特化して愉しむならば、『龍星』ですな。
 作品全体が同人誌っぽいので、「トウコ萌え」の女性同人作家がその妄想力でハァハァ描いたマンガ、みたいなハァトで愉しめます。
 龍星@トウコの痛々しさが半端ナイから。
 絶望に哄笑する姿にこちらも号泣ですよ。

 同じカテゴリに、ジェレミー@『凍てついた明日』も入りますな。
 「傷ついた瞳」を堪能できますぜ。
 ただこちらは作品自体を好きすぎるので、キャラとして役として突出して「好き」だとは思えないのが惜しい(笑)。
 
  
 好きな役はディアボロだけど、好きな「キャラクタ」だと、アンソニー@『愛するには短すぎる』だったりする。

 『愛短』は正塚おじさんがいつもの男目線の男の美学で描いた作品なんだが、アンソニーはタカラヅカではめずらしい温度感のキャラクタに仕上がっている。
 主人公の親友で恋敵だけどブラックにもダークにもディープにもならず、慟哭して愛と友情とで苦悩したりせず、かといって「身を引きましょう」といい人ぶったり「オレのことはいいからうまくやれよ」と間を取り持って偽善者ぶることもない。
 軽いのに、深さを感じさせるという、不思議で愉快な存在。

 トウコの芸達者ぶり、を堪能するキャラクタだと思う、アンソニーは。
 シリアスもお笑いもおふざけもOK、されどどんなときも二枚目の枠は壊さない。
 会話の妙、アドリブではなく役者同士の間で笑わせるって、すげー難しいはず。トウコちゃんは難なくクリアしてしまうけど。
 アンソニーって実はすごく難易度の高いキャラだと思う。職人技があってこそ成り立つというか。技術やセンスの足りない人が演じると、お笑い度や破天荒度ばかり上がることになって(わかりやすいところに頼るしかないからそーなるだろう)、ウザいだけだろーなと。

 アドリブ禁止、規定演技だけで笑わせる正塚芝居のしばりの中で、技術の高さを見せつけるトウコちゃんが好きだった。
 いやその、トウコちゃんのサービス精神たっぷりのアドリブお笑い場面も、好きは好きですけどね……。
 しばりがある方が、より研ぎ澄まされた演技をしてくれる気がする。

 
 痛々しい系の魅力として龍星を挙げたけれど、それによりアニメ的英雄像を付け加えたのがサイトーくん作品だと思う。
 五右衛門@『花吹雪恋吹雪』、小次郎@『厳流』、ティリアン@『エル・アルコン』。
 傷ついた瞳、「抱きしめてあげたい」「守ってあげたい」……それと同時に「させに泣かせたい」と思わせるトウコちゃんの萌え要素、ソレだけ特化ではなく、「カッコイイっ」とわくわくさせる英雄的魅力をミックスさせたのが、サイトー作品の魅力。
 かっこいいヒーロー度の高さと、繊細に崩れる萌え度の高さ、このふたつの落差が大きいがゆえに、カタルシスも大きい。
 うおおおかっけーーっ!と盛り上げて、あああ切ないーかわいそーと胸を締め付ける、コレですよ!!(笑)

 舞台人トウコのハッタリの良さ、ケレン味の豪快さ。それに、必殺技の「傷ついた瞳」を要所に加えることで、最強っすよ、まったく。

 
 ヒーローがハマる人だからこそ、マンドラン@『バッカスと呼ばれた男』とか、クロバエ@『アナジ』など、絵空事的英雄タイプ(すげーありがちで、ご都合主義・笑)も、好きだ。
 ヤン・パラフ@『プラハの春』になると、そのヒーローぶりに「傷ついた瞳」要素もプラスされるしな。
 谷正純作品のトウコもいいよねー。男役と舞台人としての基礎が出来ていて、なおかつ古典的な「見せ方」を知っている人でないと谷作品はハマらないからなー。
 

 ……て、好きな役を並べていくだけだといくら書いても足りなくなるから、系統として、「傷ついた瞳」を堪能できる役と、ハッタリの効いた英雄役、その両方を兼ね備えた英雄だけど傷ついてうるうるな役、これらに分類される役が好きかな。
 それらすべてを兼ね備えた役が、ディアボロだとわたしは思っている。

 いちばん好きな役は、ディアボロ。
 そして、いちばん好きなキャラクタは、アンソニー。

 作品まるまる「トウコ萌え」するなら『龍星』。
 作品まるまる感動するなら『凍てついた明日』。

 そんな感じ?
 新人公演『薔薇に降る雨』感想補足。てゆーか、前日欄の『薔薇な薔薇に降る雨』ネタは冗談ですから、念のため(笑)。
 フランシス@りくくんの美しさは本当ですが、グザヴィエ氏@澄輝くんをホモだと思ったわけではございません。や、ここでフランシス狙いをキメてくれるよーなキャラだったらかえってすごいと思うけど(ヲイ)、ふつーにすべてにおいてがんばっている男の子でした。
 宙担ジュンタンのコメントにも書いたが、

新公のグザヴィエ氏はべつにフランシスにどうこうでなく、「イヤラシク」することだけに力を入れているよーな気がしました。で、その結果フランシスに絡むトコも意味もなくイヤラシイ、と。
イヤラシク演技しているのではなく、悪役っぽく大人っぽくした結果、自爆していただけかもしれませんが。

 とゆーことを勝手にいじって薔薇な話をでっちあげただけっす。
 澄輝くん、あっきーっていうのね。んじゃ次からは愛称表記に切り替えまつ。

 わたし好みの顔の男の子は、光海舞人くんで合っているみたいです。ジュンタンに教えてもらったけど、ジャスティンの会社で踊っていたと思う。その前のコロスだったか、とにかく女の子と踊っているときに「おおっ、あの顔は!」と注目しました(笑)。

 
 新人公演だと話が変わってしまうことはよくあることで、正塚芝居はそれがさらに顕著である気がする。
 物語に派手さがない分、どんなカラーになるかが主要キャラたちの肩にかかっているような。

 ジャスティン@かいくんはひどく真面目な、木訥な青年でした。
 彼に対するふたりの女性、初恋のイヴェット@ちさきちゃんがどっしりとした落ち着きのある女性で、現在の恋人ヘレン@せーこちゃんがかわいらしい恋する少女であったこともあり、より「三角関係」になっていた気がする。
 男目線で描かれた男の身勝手さ全開の物語なので、このバランスは女性観客には共感を得にくいかなと。

 真面目で誠実な、そして地味目な青年の物語だと、展開に納得しにくいなぁ。
 正塚ドリームには、主役に「派手さ」が要求されるのだと改めて思った。
 衣装がキラキラじゃないから背景に沈みがちなのもたしかだけど、地味なストーリーを牽引する「華やかな男」でないと、説得力がなくなるんだ。
 正塚作品はそーゆーとこがすごく「タカラヅカ」的だ。

 ……いやその、わたしのご贔屓も正塚作品で新公主演していたので。キラキラ華やかな人ぢゃないのに、正塚作品の真ん中に立つ、という点でちょっと親近感というか、「大変だよな、うんうん」系のキモチで見てしまうというか(笑)。
 
 かいくんは長身のスタイル良しさんだと思うが、宙組では「ふつー」になってしまうのだろうか。身長173cmって、花組だったら長身カテゴリなのに、宙組では特に武器にならない、つーのがすごいよな。

 
 ……と、10日も前に書いて途中で終わっているテキスト、あとナニを書くつもりだったんだ自分?
「相変わらず美しい」
 金の力で伯爵家に入り込んできたグザヴィエ@澄輝は、自分の獲物に向かってそう言った。フランシス@蒼羽は、眉をひそめた。男を無視して部屋を出ようとし、呼び止められる。
 男はフランシスにプレゼントだとリボンのついた小箱を差し出した。
「私たちは兄弟になるんだ」
 グザヴィエは空々しい笑いを浮かべて言う。
 彼は伯爵家の負債を肩代わりすることを条件に、フランシスの姉イヴェット@愛花と婚約した。
 兄弟……この男が、兄?
 フランシスは慇懃に小箱を受け取り、立ち去った。
 グザヴィエからのプレゼントは豪華な腕時計だった。……身につけざるを得ない、のだろう。金で買われた獲物としては。いっそ指輪なら、突き返すことも出来るものを。
「少しずつ犯されていくみたいだ」
 フランシスは拒めない。伯爵家を守るために姉はこの政略結婚を受け入れるつもりでいるのだ。男の目的が美貌の弟の方だと知りながら、それでも家のために、彼女はただのお飾りとしての結婚を飲む覚悟なのだ。
 姉の決意と献身を前にして、フランシスになにが言えるだろう……。
 
 あきらめるしか、ないのか……。
 フランシスは唇を噛みしめた。

 
 その後。
 伯爵家の負債がなくなり、グザヴィエとイヴェットの結婚がナシになったとわかったとき、フランシスは「めでたい飲みたい♪」と大喜びで歌い踊りましたとさ。

      -完-


              ☆

 ……て話に思えて、びびりました、新人公演『薔薇に降る雨』
 なるほど、さすが「薔薇」な話だな。って、チガウか。

 とりあえず、フランシス@りくくんが、大層美しゅうございました。

 グザヴィエ氏の登場シーン、彼を見て、次にフランシスの美貌をオペラでぼーっと眺めていたら、そこへ「相変わらず美しい」というグザヴィエ氏の台詞が入って来たので、「うん、美しいよな」と素直に肯きました。

 てゆーか、姉と婚約したからって弟にプレゼントすることないよな。モノで釣ろうとする浅はかな男、って設定なんだろうけど、それにしてもなんかヤラしいじゃん、変に。
 や、本公演では、あり得ませんけど。いやその、みっちゃん相手にソレはないだろう、いくらなんでも。(失礼な。……ん? 失礼なのか?)

 しかし新公のフランシスなら、アリだ。
 ぶっちゃけ姉よりも美し……ゲフンゲフン。てゆーか姉があまり美しく……ゲフンゲフン。

 
 正塚芝居はなにより新公が大変なことになる。
 派手な衣装や舞台がかった台詞で底上げできず、シンプルな着こなし力だとかナチュラルな演技力が必要になる。
 そして、主要人物だからといって特別な衣装は着せてもらえないので、自力で輝かないと、背景に埋没する。

 大変だよな、ほんと。

 その大変さを思えば、みんなよくやっていたかと。

 しかし正塚せんせ、この脚本やっぱタルいっす(笑)。
 盛り上がりに欠けるというか、本公演がどれだけ出演者の力で持っていたか、よくわかった。
 新公だと場が保たない、沈む。
 なんともとっかかりのない、目の覚めるような場面のない話だなと。

 初主演のジャスティン@かいくんはほんと、大汗かきながらがんばっていた。
 今まで特に意識したことなかったけど、なんかみっちゃんに似てるなあ……、顔。
 ふつうにうまかった、よね?
 挨拶が素晴らしかった。このままオペラでもはじまりそうな勢い(笑)。何度も何度も繰り返す感謝と感動の言葉。いい子だ。ほろり。

 男爵@いちくんは……いっそヒゲがあればいいのに、と思った。すごく専科さん風味っつーか。『ME AND MY GIRL』のジョン卿みたいだ。
 この役を「2番手役」として輝かせているのはらんとむのスター力なんだなと再確認。

 グザヴィエ@澄輝くん、えーと、本役と衣装同じだった? ちがっていたよーな気がするんだが。ヤラしかったが、イヴェットをどう思っているのかはよくわかんなかった。
 や、わたし的にはそこがたのしかったが(笑)。
 エロダンス男担当だったようだが、エロダンス女@れーれに釘付けになっていたので、そっちはよくわかんにゃい……。

 クリストフ@星吹くん、顔芸すごいなヲイ。イヴェットパパ@香翔くん、はじけてた……けど、コメディは難しいなぁ。

 今回、役名あるのかどーか知らないが、やたらいろんなとこに出ている光海舞人くんの顔が好みだと思った。や、今「おとめ」で確かめたんだが、多分この子だと思う。

 公爵夫人@百千さん、イヴェットママン@えりちゃん、うまいなー。

 ヘレン@せーこちゃんは、ラヴ度が高くて、びっくりした。
 本役さんはなんつーか、もっとヘレンとジャスティンの関係が「生活の一部」っぽいのに、新公では「恋愛中」に見えた。
 カフェの場面が「デート」って感じで……ジャスティンと会って話していることがうれしくて仕方ないっていうか……。
 主人公とわかりやすく恋愛しているため、彼女のヒロイン度が上がっているんだが、それは見ていてたのしいが、作品バランス的にはどうなんだろう。
 ジャスティンがより一層「不実な二股男」に見えるんだが……ヘレンがいじらしすぎるよーっ。

 せーこちゃんは「タカラヅカのヒロイン」にしては、キャラクタ的にちょっとチガウ部分があるんだが、とりあえず派手な人……目立つ人だと思う。それは、バウヒロイン経験者であるっていうキャリア面もあるんだろうが。
 真ん中向きではないかもしれないけど、この存在感を活かしていって欲しいと思ったナリ。

 ベロニカ@れーれは、ほんと、かわいいわ……。登場すると、素直に「あ、かわいい子がいる」と思える。それは大きな武器だよなあ。
 ロリっぽいのもまたヨシ(笑)。彼女が大胆なエロシーンを演じているもんで、おもわずがっつり食いついてしまった(笑)。

 イヴェット@ちさきちゃんは、ふつーにうまいと思う。でも、やっぱ「タカラヅカ」って大変だよなあ……大劇場でヒロイン張るってのは、難しいんだと思った。
 そしてやはり、水しぇんに似ていると思った……。口とか顎とか。

 
 個人的に、カフェのボーイにツボった。

 開演ぎりぎりまで友だちと喋ってたんで、キャストのチェックができないまま観劇したんだが、役ついてるんじゃん、研1生。
 えらそーなでかいボーイ@輝月ゆうま、ただ立っているだけの美形ボーイ@柚香光。
 輝月くんはすぐにいなくなるのに、レイくんはそのままずーっとただ突っ立っていることに、ウケる。美貌を正しく使っているわ(笑)。

 ひろ香祐くんはどこにいてもわかるし、またちゃっかり上級生群舞の末席にまざっていたりするのね。

 つーことで愛希れいかくんも探したんだが、ほとんど出てないな、彼。
 パーティ場面で1回ターンしただけではけていくカップルと、もう1回のパーティでいちばん後ろの隅にただいるだけの人……。最後の挨拶では泣いてた?
 顔が幼すぎて、まだ男役以前……。若い子はどんどん顔が変わるから、これからどう成長するのかまったり眺めていよう。
 
 研1が加わっているため、本公演より人数の多い新公だったような?
 いやあ、最後の挨拶時の人口密度の高いこと。
 舞台に人のいらない正塚作品だっつーのに。たとえにぎやかしであろうと、人数の必要な『太王四神記 Ver.II』とかの方が研1さん的にも観客的にもよかったのでは?と、思ってみたり。
 ユニットの人数って難しいんだな。
 と、宙組ショー『Amour それは・・・』を観て思った。

 スカステで前もってともちたちが、「6カラット」というユニットで活躍するとかなんとか、言っていたらしいことを、聞きかじっていた。予備知識ナシ観劇希望のわたしは番組自体見ていないが。

 それを聞いたときに、「6カラット? それって、ただの6人口のことなんぢゃないの?」と、いやな予感がした。
 6、という数に、不安を感じたんだ。だってAQUA5よりさらに人数多いわけだし、第一真ん中誰よ、学年順でともちなら、偶数ってのおかしいでしょう?

 6人のアイドル・ユニットぐらいこの世にはいくらでもあるが、ヅカには順列がありルールがあり、いろいろややこしい。外の芸能界のよーにユニットが成立するとも思えない。
 アイドル・ユニットではなく、ただのスクールメイツなんぢゃないの? と、おばさんは思った。スクールメイツってのは、大昔にあったスターの後ろで踊る個々に名前のないバックダンサーのチームね。

 ええ。
 ほんとにただの6人口で、しょんぼりした。
 ありゃただのスクールメイツだ……。

 AQUA5が「5人」で成り立っているのは、トップスターを中心としたユニットだからだ。5人以上、そこに誰も入らない。5人で完結している彼らは、たしかにひとつのユニットとして使うことが出来る。
 一方6カラットがスクールメイツでしかないのは、彼らの真ん中に別のスターが入り、そのスターの場面を盛り上げる脇役でしかないためだ。彼らだけでは場は成り立たないという……ソレってただの6人口……。
 でもって、若い子はいいけど、ともちが今さら88期生と一緒に6人口っつーのは、ええっと。

 ユニットとか言ってるけど、AQUA5のような活躍をするわけではない、今回のショー限定でそんな名前がついている、というのはわかっています。
 だからこそ余計に、「ただの6人口に名前付けるなよ」と思ったのです。6人組、としばってしまうと、かえって個々の活躍とか、作品のバラエティ度が下がる気がして。
 ふつーなら顔ぶれを替えて2人、3人と使うべき場面でも、「6カラットって言っちゃったから、6人で登場ね」とか、自分で自分の首を絞めている気がするんですが、岡田先生?

 ショー1作品限定でユニットを組むならば、3人組が限度かな。
 トップスター以外の脇(番手スターを含んでいたとしても、トップでない以上脇だよな)で構成されたユニットをオイシク使うための、最大人数。
 銀橋でも花道でもカーテン前でも、3人なら場は保つし、また「ただの大勢」にはならない。あくまでも「スターが3人」でいられる。
 大勢が登場している場面にも、3人ならプラスアルファとして投入できる。

 トップスターを含んでいるユニットなら、5人でも大丈夫。だっていつでもどこでも真ん中は決まっているから。そして、彼らだけでカーテン前ではない、本当の一場面まるまるもらえるから、人数多くても問題ない。
 ……脇のユニットでは、人数多いとただのバックダンサーかコーラスチームでしかないよ……。

 と、ユニット人数について、つらつら考えてしまいました、『Amour それは・・・』。

 上から1・2・3、そして6カラットという作りなので、必然的に3番手みっちゃんはオイシクなった気がする。トップと2番手は通常通りで、4以下が存在しないも同然(6人セット)だと、通常4番目や5番目に振られがちな役割も全部3番手がまかなうことになる。
 まあ、それもソレでアリかなとは思うが……。作品の幅が狭まってるよなー。

 6カラットのしばりで、さらに平板に散漫になっていたけど、よーするにもお……古い、よね、ね、この作品……。
 いや、きれいだよ? きれいだけど、そのきれいさも薄い水色とかがずーーっと続いて、いつか他の色や光があるのかなと思っているうちに終了、えええ、ほんとにコレだけで終わり?! と、びっくりした。

 あまりに平板、あまりに凡作。
 大劇場での新作ショーというより、どこかの市民ホールで全ツ再演ショーを観ているみたいだった。大劇場を使い切っていない。
 盛り上がるところはどこだ……なにを訴えたくてクリエイトしてるんだ、作者?
 その後全ツで使い回すことを念頭に置いて、規模を小さく紙芝居的にまとめているのか?

 サヨナラ公演だということも、わかりにくい。
 岡田せんせ、タニウメ退団公演だっておぼえてるのかなあ。

 や、前回の星組さんがやりすぎだったんデスヨ? フジイくんアレはやりすぎ、毎日サヨナラショーぢゃ観ている方も持たないって。
 だからって、ここまでどーでもいい作りにしなくてもいいじゃないか、岡田せんせ?!

 アテ書きが観たかった。
 最後だからこそ、キャストを愛し、ファン目線を理解し、「タニちゃんだからこそ」「タニウメだからこそ」の場面やシチュエーションを楽しみたかった。
 ……コレ、どの組で誰がやっても同じだよねえ……サヨナラ関係ない、通常公演でいいよねえ……。

 いやその、ファンの人には「これぞタニウメ」「これぞサヨナラ作品」になっているのかもしれないが。
 わたしはただの全組観るゆるいヅカファンでしかない外野だから、すごくとんちんかんなことを言っているのかもしれないが。

 らんとむとウメががっつり絡む、大人な場面が観たかったよおお。
 またしてもウメちゃんの場面、相手はみっちゃんですよ。もうソレは観たから、今回はらんとむにしてくださいよ。

 クラシカルなタニウメもいいけど、それ一辺倒でなく、現代的な部分も見せてくださいよ、このふたりほどソレが似合うトップコンビもいなかったんだから。

 七帆くんもアレだけですか……彼中心の場面をわざわざ作らなくても、十分オイシイものを演じられる実力のある美形くんなのに。

 退団公演がオリジナル書き下ろしショーなのにアテ書きとは思えない、ってのは、寂しいなあ。
 クリエイターだから、自分の作風優先もアリだと思っているけれど、タカラヅカである以上生徒をどう活かすかにも気を配ってほしいっす、岡田せんせ。

 
 それでも、初舞台生ロケットのあとに、ひとり歌うタニちゃんを見て泣いたがな。
 はじまる子たちと、卒業する人と。
 そのコントラストのあざやかさに。
 役が少なすぎる……のは正塚作品のデフォ。『マリポーサの花』に比べれば上出来とはいえ、『薔薇に降る雨』にどーしてこんなにも「役が少ないんぢゃね?」と思うのか、考えた。

 7年前と現在と、いわば舞台がふたつあるため、通し役が少ない。
 舞台がふたつあるから、それぞれに役を作ることは出来るが、ボーイやメイド、踊る街の人役が増えるだけで、物語に絡む役が上演時間に対して2分の1になっているんだ。
 物語に絡む役だって、現在パートにしか出ないからどーしても出番が少なく、書き込みも少ない。

 グザヴィエ@ともちんだって、7年前からイヴェット@ウメに目を付けていたってゆーなら、7年前から登場していればいいのに。
 ジャスティン@タニちゃんが潜入するパーティ場面を華やかに盛り上げて、現在に登場する人たちをみんなぶちこんでおく。
 取り巻きを連れたグザヴィエ、成り上がりモノを見下す貴族サマたち、イヴェットのパパとママン、お屋敷の会計士とその息子@七帆も正装してかちんこちんに混ざっている、と。
 オーランジュ男爵@らんとむが優雅に舞っていたり、歌ってくれてもヨシ(笑)。
 特に台詞があるでなく、ストーリーが展開するでなく、パーティ自体は背景でいいからさ。「キャラクタ」をつないでほしいの。

 さすがに庶民代表の下請け会社社長@いりすは混ざれないけどさ。

 1時間半の3分の1近い時間、主要キャラが出番なしっつーのはもったいないと思うのよ。
 『マリポサ』もそうだったけど、とにもかくにも「出番」なんだよ、とりあえず板の上に載せておけば、別にわざわざ台詞作ってあげなくても、ジェンヌは演技するんだから、小芝居でもなんでも作り込んでいくんだから。
 コロスや通行人ではなく、「役」として板の上にいれば、現在パートへとつながる演技を無言でしてくれるよ。

 ジャスティンがイヴェットを見つけてキスの雨を降らせて、駆け落ちを持ちかける。
 それを銀橋にして、本舞台では華やかなパーティ。現在パートの主要キャラ勢揃い。
 で、「早く戻らないと怪しまれる」とイヴがパーティ場面にたどり着いたところで紗幕が降りる。ジャスティンとは無縁の世界が紗幕の向こうで静止しているのを背景に、「イヴェットは来なかった」のモノローグでいいんじゃない?

 女の子を壁に押し付けてキスの雨、っての、萌えシチュだから壁がないのは残念だが(笑)、銀橋だったら客席に近いから、情熱のタニウメラヴシーンが目の前でごっくん、になるしさー。

 
 初見時に「ともちの出番、アレだけ?」と言いはしたが、別にグザヴィエ氏の出番的にはあれでしょうがないかなとは思っています。
 ジャスティンVSグザヴィエって話じゃないし。ジャスティンはイヴェットの結婚相手になるつもりはないんだから、グザヴィエは恋敵ですらない。

 しかし、七帆くんの出番の少なさっつーか、役の小ささは、惜しいと思うんだよなー。彼のタカラヅカ人生、男役人生、最後の役なんだよお? 番手的にはたしかにまだ下だから仕方ないとはいえ、新公主演してバウ主演もしたスターなんだよお?
 もったいないっす。

 これ以上「役」の数を増やすことができないなら、7年前にも出番を増やして、今ある役の描き方をプラスアルファしてくれればなと。

 唯一主要キャラで通し役なのは、フランシス@みっちゃん。
 フランシスは正直なとこ3番手の演じる比重のキャラではないと思う。みっちゃんには役不足。7年前も現在も、出てはいるけれど、だからどうってことのない描き方。7年前なんて、モブに近い扱いだし。

 この「モブに近い扱い」だからこそ、みっちゃんが演じている意味はあるのかもしれない。
 みっちゃんは、モブには混ざらないからだ。

 主要キャラだからといって特別扱いされない正塚作品、自力で輝かないとモブとの区別がつかない。
 もしも半端な人がやると、フランシスという役はモブに混ざってしまうと思う。避暑地で歌い踊る名もなき人と混ざってしまう。

 その点、みっちゃんは背景には絶対ならない、押し出しの強さと派手さがある。
 彼のスターとしての実力、キャリアに信頼があるから、あーゆーモブめいた扱いをされているんだろうな。
 自力で輝けない人だったら、もう少し演出面で気を遣われていると思う。
 あの集団お祭り騒ぎの中で再会するからこそ意味のあるふたり、を描く以上、弟だからって登場を特別扱いするわけにいかない。だからただの脇扱い、でもその存在感と男役としての佇まいの確立された姿で「おっ」と思わせ、「あ、あの人最初に出てた弟役の人だ」と観客に自発的に気づかせる。気づかせたからといって、ストーリーには絡まないから「弟と来ていたのね、ふーん」で終わらせる。

 同じ意味で、フランシスのガールフレンド、ベロニカ@アリスちゃんもいる。彼女もまた、なんの説明もないまま現在パートで再登場し、「あのとき弟くんと踊っていた女の子かぁ」と観客に気づかせるために、とにかくスター力のある子を配置しているよね。

 難しい仕事をさせられているわりに、役として美味しくないよなあ、フランシス。
 でも二枚目役だから、『Paradise Prince』よりいいと思う。『パラプリ』では「目立つ」役ではあったけれど、3番手スターのやるべき役ではないと思ったから。今みっちゃんが大劇場でやるべきなのは、絶対二枚目役だと思う。コメディやイモにーちゃんではなく、ふつーにハンサムな役。

 『パラプリ』では目立つ役だけどお笑い役で新人がやるならいいけど、3番手が今さらやるべき役じゃない、で、『薔薇雨』では二枚目だけど自力で目立たなくてはならない役で、役割的に3番手が今さらやるべき役じゃない……って、与えられた仕事は正反対なのに、3番手としてはどうよ、なところは共通って。

 2番手が主人公の親友をやっているのだから、3番手は敵を演じるのがいちばんオイシイんだがなあ。
 グザヴィエをみっちゃんがやれば良かったんじゃないのかな、それこそ7年前のパーティ場面描いて、イヴェットの美貌に瞠目してる姿を見せて。
 なにげに悪役のみっちゃんって見たことないよな。ファンがわかりやすく食いつく役じゃん、恋のためには遮断を選ばない悪役って。

「ダメだよ、みっちゃんに悪役はできるけど、ともちに弟役は出来ないから」

 わたしの提案は、友人にあっさり却下されました。
 あー……ともちのきらきら若ぶった16歳(推定)演技……そ、それは確かに羞恥プレ……ゲフンゲフン。
 正塚おじさんが描くところの、小悪魔受が、大層魅力的な件。

 トップと2番手に愛があるのは正塚作品の常だが、受に「小悪魔」要素が加わったときの破壊力はすごいよな。

 計算と無意識の絶妙なバランスにより、攻を翻弄する小悪魔受。そのかわいらしさと美貌で、押したり引いたり誘惑したりツンツンしたり。
 女性BL作家が描く分には「ふーん」で済むっちゅーか、わたし的には作者の計算面が感じられてかえって萎えるんだけど、そのつもりのない男性作家が「友情」だと信じてナチュラルボーンで描かれると、身もだえするわ(笑)。少年マンガとかに、ままあることなんだけど。

 『薔薇に降る雨』の、ジャスティン@タニちゃんの、小悪魔ぶりに乾杯☆

 オーランジュ男爵@らんとむってば、振り回されて、大変☆

 ジャスティンはどーゆーわけか、オーランジュ男爵を、口説いている。

 なんで男爵なのかは、わからない。描かれていないよな?
 ジャスティンの会社の出資者らしいが、なにをどーやって貴族の彼が、興信所……ぢゃなくて、調査会社?の、出資者になったんだ?
 ジャスティンは若すぎるし、また、会社自体も内容が地に足がついていないというか、起業当初に力を貸したくなるよーな種類のものでもないし。男爵がどこから関わっていたか知らないが、ビジネスとしての旨味より、ジャスティン個人への好意が先に立っているよーに見える。

 そのただの出資者に、「共同経営者になってくれ」と口説くわけだ。

 二の足を踏む男爵に対し、ジャスティンときたら。

 無防備に机に寝っ転がるのはよせ。

 ナニあのものすげー誘い受!!
 エロダンスの男@みーちゃんの比ぢゃないだろ、そのエロっぷり!!

 エロダンスの男は「エロです」とわかってやっているので、罪がない。
 ジャスティンは、無自覚にやっているので、重罪だ。

 男爵に同情しますよ。
 あの美貌であんなことされて、しかも誘惑しているつもりもなく、無自覚でやってるなんて。
 やられる方の身にもなれ。

 男爵、人生誤っちゃったぢゃないか。

 ……男ふたりの友情シーン、なわけでしょ、アレ。
 友情でなんで、机に仰向けにならなきゃなんないんですか?
 正塚おじさん、素でアレやってるんだ?

 
 正塚の描く究極の小悪魔受は、アンソニー@トウコだと思う。
 『薔薇に降る雨』の元ネタのひとつだろう(笑)、『愛するには短すぎる』の主人公フレッド@ワタさんの親友。
 いやあ、フレッドの振り回されっぷりのすごかったこと。

 自分勝手に傍若無人に振る舞って、金をせびったり横恋慕したりしつつ、しれっと「一生養ってくれ」と言ってみたり。
 コレをなんの含みもなく描いているハリーは大丈夫か、と思ったもんだった(笑)。

 『愛短』は婚約者のある男が初恋の女性と再会して、短い恋に燃え上がるが、結局別れて元の人生……婚約者の元へ戻る話。
 『薔薇雨』は婚約者のある男が初恋の女性と再会して、短い恋に燃え上がるが、結局別れて元の人生……婚約者の元へ戻りかけるんだが、婚約者に三行半突きつけられて、最終的に初恋の女性と結ばれる話。

 『薔薇雨』は『愛短』のアナザーエンディング・バージョンっぽい。

 「もうひとつの」物語であり、「裏」物語的であるわけだから、主人公とその親友の役割も逆転しているのね。

 小悪魔な受が実直な攻を振り回す話なのは同じだが、主人公はチガウのね。

 そして、小悪魔受が主人公になると、物語自体彼に振り回されることになる、と(笑)。

 ジャスティンがひどいのは、共に婚約者がいながら、「一晩だけ」イヴェット@ウメを抱くことだ。
 再会し、キモチが盛り上がって自然に……ではなく、女の方は「やめて」と言っているのに、強引にそっちへ持っていってしまう。
 一生の想い出のために、ではなく、たんにがっついて、「やりたいからやる」でしかない(笑)。

 なんて本能的。
 なんて浅慮。

 そして結局のとこ、ジャスティンはイヴェットとのことを「一夜限り」だと思っている。
 その後彼女に会う予定はないんだ。
 彼女の不幸な身の上のために尽力するが、それは「イヴェットと結婚するために」現在の婚約者の悪事を暴いたわけではない。彼女が自由になればソレでいいわけで、「婚約者」に自分が取って代わりたいわけじゃない。

 その後パーティでイヴェットと踊ったのは、結果でしかないっつーか、招かれたから行っただけで、それがなけりゃほんとに2度と会ってないだろう。

 伯爵家を救ったことも、ジャスティンが男爵を代理人にして、自分は表に出なかった。影からイヴを救えれば、それで良かったんだろう。ええ、いかにも男の美学ですわね。
 だったらなんで、わざわざ1回だけ、関係したのかと。

 なにもせずに別れて、影から彼女を救い、ひとり去っていく男こそが、真のヒーローだろう。
 ヤリたいから、と強引にヤッちゃって、翌朝「大丈夫?」とか言ってんぢゃねえよ(笑)。

 ……その言動の不安定さが、まさに小悪魔。

 計算と、無意識と。
 やってることはけっこーひどいんだが、それもひっくるめて魅力になってしまうこと。
 それが、小悪魔受。

 
 イヴはそーやって1回ヤッちゃったけど。
 男爵はどうなんだろ。おあずけ?
 今回のドラマの中ではおあずけ食ってそーだが、今後の展開はわからない。

 あの調子で無自覚に誘いオーラ全開にされたら、しまいに男爵キレるね。
 強引に出る日が近い将来あるね。
 で、男爵は「大丈夫?」とは言わないの。彼が言うのは「すまない」だわ。断言(笑)。
 どんだけジャスティンが自業自得でも、男爵は自分を責めるのよ~~。

 後日を舞台にした二次創作ができましてよ、ほほほ。

 
 あー、ステキな小悪魔だよね、ジャスティン。
 
 イヴェットも大変だし、男爵も大変。
 えらい男に惚れちゃったね。

 でも、しあわせだと思うよ。

 いつも、ときめいていられる。

 油断すると、痛い目に遭うからね(笑)。
 フレッド@ワタルとバーバラ@となみは、ヤッているかいないか。

 正塚晴彦作『愛するには短すぎる』の主人公カップルです。
 わたしとその友人たち(どりーず)は、当時そんなことを真面目に語り合っていました。(参照http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-513.html

 5日間しかない船上の恋。フレッドには婚約者があり、バーバラとは身分違い。船旅が終われば、ふたりは別れることが前提。
 そんな最後の4日目の夜、「めくるめく……」と主題歌を歌ったあと、ふたりは結ばれたのではないかと、仲間内で論争になりました。
 フレッドとバーバラは「ヤッてないわ、ずっと追いかけっこしていたのよ」と主張する「プラトニック派」と、「愛し合うふたりが一緒にいてヤることヤラないなんてナンセンス!」と主張する「ヤッている派」。ちなみにわたしは「ヤッている派」でした。

 論争の果てに、「ヤッている派」の中に、「初夜は、4日目の夜ではなく、3日目の夜だったのではないか」説が浮上。
 わたしも最終的にはソレを支持、フレッドとバーバラは3日目の夜に結ばれたのだと力説。

 もちろん、作品内ではんなことに触れていないので、正式な答えはありませんでした。

 それが、今になって。
 思わぬところから、「答え」が出ました。

 上着に袖を通しながら男が、共に夜を過ごした女に言う。

「大丈夫?」


 このシチュエーション。
 今まさに宝塚大劇場で絶賛上演中の『薔薇に降る雨』で使われている場面です。

 どりーずで論争した仲間(笑)のチェリさんの指摘により発覚。

 ハリーイズム(造語)によると、はじめて結ばれたあとの男は、女にこう言うのがダンディズムらしいですよ!!(笑)

 『愛短』では直接的な描写がなかったため、「ふたりは結ばれたのか、否か」「それはいつか」で論争が起こったけど、『薔薇雨』ではそんな疑念が起こる余地もなく、直接的な表現が取られていますから。

 で、ヤッたあと男は、「大丈夫?」と言う(笑)。

 正塚、さいてー(笑)。

 この「大丈夫?」っての、すげー男子目線な萌え台詞なんだろうなあ。

 相手を気遣っているようで、実は「オレってすごい」って言ってるだけ。
 なんつーか、「自分に酔っている」感が強くて嫌です、そんな男。
 でも正塚は「うおお、かっけーっ!」とマジで思ってそうだ。だからこそ、何度も同じシチュエーションを書き続けるんだろうな(笑)。

 恥ずかしい正塚せんせのツボゆえに、『愛短』の答えが出ました。
 正塚的にはフレッドとバーバラは、4日目の夜に結ばれていたようです。

 つーことでみなさん、これからも正塚作品に「大丈夫?」が出てきたら、その男と女は結ばれているのですよ!!(笑)
 ひょっとしたら、他にもあるかもしれません、正塚作品。主役とヒロインが一緒にいて暗転、次の場面で主人公がヒロインに「大丈夫?」と言う作品が。
 もし心当たりがあったら、是非ご一報下さい。

 
 ……ちなみに、この法則を発見したチェリさんは、『薔薇雨』未見です(笑)。
 わたしが前の感想で“えっちのあとに「よかった?」と聞く男は最低だと思っているが、「大丈夫?」と聞く男は、その次にキライだ(笑)。”と書いていたためらしい。
 下世話な感想も書いてみるもんだ、思わぬところにつながっていく。

 がっついて暗転→「大丈夫?」なジャスティン@タニちゃんはステキです。(はぁと)
 『薔薇に降る雨』がなんかあれれに思えるのは、なにもかも都合良く、時間内に終わり過ぎているせいだと思う。

 ジャスティン@タニちゃんのキモチの整理とかその進退とか、設定や展開がリアルなわりに、決着のつき方がとんとん拍子過ぎてリアリティがない(笑)。
 ふつーならもう少し、前後にずれこんだりするもんだけど、1時間半で終了するお芝居だから、みんなするする決着しちゃうんだよね。

 とくに、初恋の相手イヴェット@ウメと再会し、彼女を政略結婚から救い、自由の身にした→でもジャスティンには婚約者がいるからイヴェットとくっつけない→婚約者ヘレン@まちゃみから別れを言い渡される→これでジャスティンは晴れて自由の身→イヴェット登場、ハッピーエンド、という流れが、ジャスティンに、都合良すぎてのがあるだろう(笑)。
 二股かけたあげく、キープ女が身を引いてくれて、本命とハッピーエンド、に見えるだろう。

 タイミング良すぎるのは物語だから仕方ないとして、わたしはかえってこの「タイミング良すぎる」ことに感心する。

 だってうまいじゃん。
 ご都合主義、と言い捨てるには、ちゃんと伏線張ってあるし、ピースが揃っている。

 「新天地にふたりで旅立とう!」と、男は言う。いつだって夢を見るのは男、無茶なのも男(笑)。言われた女は現実と照らし合わせて、結局男を捨てるんだ。
 7年前、駆け落ちを持ちかけられたイヴェットは結局母を……家族を選び、ジャスティンを切り捨てた。
 そして今、アメリカ行きを持ちかけられたヘレンは母を選び、ジャスティンを切り捨てた。

 イヴとヘレンは、同じシチュエーションで、同じ結論を出した。

 恋よりも、家族が大切。ヅカ的にはつまんない・間違った選択だけど、現実ではありがちなこと。

 7年前のイヴと現在のヘレンをわざわざ同じ展開で描きながら、さらに現在のイヴを描く。
 7年前、家族を選んだイヴだったが、現在の彼女はもう家族を選ぶ必要がない。一旦没落・崩壊の危機に瀕しただけに、貴族であることにこだわり過ぎていた父は変わり、母もまた強くなっている。そして、7年前はまだ少年に過ぎなかった弟が、きちんと育ち、家族を支えることができるだろう青年になっている。
 イヴは家族を卒業し、家族も過保護を卒業すべき時期に来ていた。

 家族のため、家のために人質として政略結婚を飲もうとした健気な娘が、自分の恋を、しあわせを追っていくことに、もう誰も反対しないだろう。
 しかも、彼らの危機を救ったのが当の娘の恋の相手であり、父たちの意識を変えるきっかけを作った人物でもあるのだから。

 7年前と同じシチュエーションでヘレンは去り、代わりにイヴェットが追ってくる。
 彼女が追ってこられたのは偶然でも成り行きでもなく、ジャスティン自身が尽力した結果。彼女を縛る鎖をひとつずつ解き放って、自由にした。
 自由になった彼女が、彼を追って現れたのは、たた、彼女の意志。

 イヴェットにとっては、7年前の駆け落ちの続きではない。あのときはジャスティンが彼女を待っていたし、愛されていることもわかっていた。
 でも、今は。
 ジャスティンに恋人がいることはわかっている。別れた、ということを聞いていたかまではわからないが、男の中で自分のことは「終わったこと」になっている可能性も高い。

 それでも、追っていった。

 ジャスティンに連れがいれば……恋人と一緒の旅立ちならば、なにも言わずひっそりと見送り、ひとりで帰るつもりだった。本人の台詞にある通り。
 ジャスティンがひとりだとわかったから……それだけにすべてを懸けて、船に乗ったんだ。
 今の彼女はもう、自分自身で、自分の人生を決める力があるから。

 ハッピーエンド、になるための布石は揃っていた。

 たしかにまあ、ヘレンにプロポーズしたのってつい数分前だよね?なジャスティンが、イヴェットを「薔薇」呼ばわりしてラヴソングでハッピーエンド、という展開の速さには、びっくりしますが(笑)。
 都合が良すぎる、という気はしますが。

 1時間半ぢゃなかったら、ジャスティンの心理面についてもうひとつ場面つくって、ラストにつなげられただろうにね。
 でも演じているのがタニちゃんだから、くどくど心理描写を入れるより、不親切なくらいかっこつけてるだけで進む方がイイと思う。

 正塚芝居の男目線のナルシシズムが、タニちゃんという現実離れした王子様と不思議に融合しているんだよなあ。
 リアルになりすぎると鼻につく部分を、タニちゃんがうまく「物語」にしてしまっているというか。

 ……なんにせよわたしは、「ハッピーエンド」が好きだ。

 男目線だとすぐ悲劇になるが(なんで男って成功の間際で死ぬ話とか大好きなんだろう?)、ふつーの女子であるわたしはいくつになっても「そしてふたりは幸せに暮らしました。めでたしめでたし」が好き。
 タニちゃんとウメちゃんの最後の物語が、「ハッピーエンド」でうれしい。

 ご都合主義でも二股でも、所詮「最後は旅立ち」でも(ドラマ最終回の黄金パターン、大抵誰か旅立つ)、とにかく「ハッピーエンド」でうれしかった。

 まあ、もっとも。

 初見時、「ともちの出番、アレだけ?」と言ったあとに、正塚過去作品との類似点や簡単に収束しまくりの物語についていろいろ語ったあと、つい。

「最後に正塚お得意の船が出て来て、都合良くハッピーエンドだったねー……はっ。これぞ、『渡りに船』?!」

 と、言ってしまいましたが。
 団歌って、初舞台生が歌うアレじゃん!!

 95期生お披露目口上を観て、今さらながらのおどろき(笑)。

 いやその、つい先日タカラヅカを卒業された立樹遥様がね、ムラ最後のお茶会で歌っておられましたのよ。
「団歌ってゆーのがあるんですよ、みなさんご存じないでしょ?」と、わざわざ断って。
 ええ、たしかに断りを入れてましたよ、しい様。「みんな知らないよね~~」って感じに。

 初舞台生が毎回歌う曲なら、知ってるってふつう。

 前置きされての歌唱だったのに、聞き覚えどころか「歌えるわコレ」てくらい既知の曲だったのは、イベントその他で使う曲だったからだ。なんのイベントかわからなくてももトップクラスの人たちが歌っているのを見た記憶があるから。
 だから「団歌」を聴いたのは、おぼえているのは、TCAなどのイベントもので聴いたためだろうと思った。しいちゃんの「みんな知らないよね?」っていう、特別な物言いといい。

 しかし、初舞台生が毎年1ヶ月以上毎日毎回歌い続けている曲なら、いつ、なんのかわからないイベントより、初舞台生公演で耳に馴染んでいたんだろうな。
 てゆーかしいちゃん、団歌の説明をするならまずその話をするべきじゃないのか?
「団歌っていうのがあるんですよ、初舞台生が口上のあと袴姿で全員で歌うのが、その団歌です」
 って。
 しいちゃん、初舞台生にはまったく触れなかったぞ?
 
 
 ともかく。

 しいちゃんがムラの最後のお茶会で歌ったのは、初舞台生の歌ですよ。
 79期生のしいちゃんが伴奏もなくアカペラで歌った歌を、95期生が袴姿で合唱していますよ。しいちゃんが別れの餞に歌った歌を、スタートの希望の歌として、初舞台生が歌っていますよ。

 タカラヅカってやっぱ、すごいところだよね。

 袴姿で「我が宝塚 栄えある歴史ここにあり」と歌うところからスタートして、同じ姿で卒業していく。
 そうやって95年続いてきた。
 そりゃほんとのとこ、キレイゴトだけではないいろんなことがあるんだろうけど、「清く正しく美しく」あるべき姿をわたしたちに見せて、端正に去っていく。

 感謝の言葉と共に。

 つい先日、同じ袴姿で旅立っていった人たちを思いつつ、同じ姿ではじまる若者たちの姿に感傷的になってますよ(笑)。
 あのひとたちが卒業した年に、新たに舞台を踏む若者たち、彼らのタカラヅカ人生が豊かなものであることを望む。

 
 ……95期生の初舞台お披露目公演であるのだから、初日を観てみたかった。
 何期生であるかではなく、ヅカファンとしてイベント好きとして、初舞台生の初日が好きなんだ。
 彼女たちの緊張を感じ息を飲み、まるで親のよーに見守り、拍手する。

 でも今年は初日、観に行けなかったからなー。しょぼん。

 どーせ初日に行けないならば、と、愛希れいかちゃんの口上の日をチョイス。
 ええ、文化祭のとき吠えていた、まっつ似の彼です。

 文化祭の演劇はWキャストなので、わたしは彼が芝居をして声を出しているところを観ていないのだ。
 スカステで文化祭の放送があるからそれに期待していたんだが……れいかちゃん、映ってねえ。
 芝居は出演者全員に台詞と見せ場がなにかしらあるもんなんだが、れいかちゃんの喋るところはカットされていた……。顔もまともに映らない……。

 そりゃま、彼はダンサーらしいので、そのあとのバレエでがんがん映っていたけれど、そーぢゃなくて、「タカラヅカ男役」としての姿が見たかったんだってば。文化祭のダンスはまだ「タカラヅカ」になってない、ただダンスをうまく踊る場だからさ。
  いちばん「タカラヅカ男役」な姿を確認できるのは、芝居なんだよ。
 そこで映してもらえないってことは……。

 ひょっとしたら、と思ったら、思った通り。

 口上の声は、女の子まんまでした……。

 男役娘役以前に、ふつーの女の子だろコレ(笑)。

 なにしろ小柄で華奢で、芸名も女の子っぽいし、娘役への転向も視野に入れているんだろうか? 顔だって、まっつっぽいってことはめっちゃかわいいってことだしな。娘役もアリだよな。

 新公で役はつくんだろうか……男役として動いて喋っているところを見たいんだが、その機会はいつ訪れるだろう。下級生のほとんどは、なかなかそんな機会に恵まれないもんだからなー。

 
 文化祭の放送で改めて、芝居の輝月ゆうまくんに、ときめいた(笑)。
 ナマ見てないのに! 所詮映像でしかないのに! うわ、この子かっこええ、と思ったわ。
 あの肩から背中、すげー好みです。ナマで見たかったよ、芝居。コメディだから、映像では空気感がわかりにくいんだよなー。
 
 わたしが見た芝居の主役だった、ひろ香祐くん。なにしろ顔立ちが個性的で、どこにいてもわかる人なんだが、芝居では彼の似顔絵が使われており、それに合わせてすげー表情して見せたんだよね、彼。
 そこまで顔崩しますか!って、とことんものすごい変顔をして見せたんだ。もちろん客席は大爆笑。
 わたしも笑ったけれど、内心首を傾げていた。ジェンヌがこんな顔するべきだろうか、お笑い芸人じゃないのに? と。
 そして、Wキャストのもうひとりの主役は、首席の美少年・礼真琴くん。あの美形くんも、こんな変顔をして笑いを取るんだろうか?

 スカステの放送は、わたしが観た日ではなく、翌日の収録だった。
 そしたら、その似顔絵場面にて、ひろ香くんは変顔をしなくなっていた。ふつーにすごむだけだった。
 ……やっぱり、やりすぎだったんだ、あの変顔。夢のフェアリーがするべき表情じゃなかったもんな(笑)。

 しかし、同じ役の礼真琴くんなんか、似顔絵自体違ったんですけど、ソレってどうなの? 真琴くんはそれほど容赦ないイラストではなかったよ? ひろ香くんの立場は?!(笑)

 真琴くんはハンサムだし、首席なだけあって文武両道武芸百般なんだろーけど(表現チガウ)、ふつーになにもかも持っているせいか、わたしにはあまり区別がついていません。

 お披露目口上にロケット、真琴くんはよくわかんないのに、ひろ香くんは、どこにいてもわかる。ひとめでわかる。
 これは、武器かもなあ。

 文化祭でも、そしてスカステ放送でもステキで目を引いたゆうまくんも、ちゃんと探せます。でかいし(笑)。

 あとはなんつっても柚香光くんですな、すげー美貌。目立ちまくり。
 文化祭で目を引いた男の子たち、今回は見分けられる子がけっこーいてうれしい。麗奈ゆうくんは顔でわかる、凰津りさくんはデコでわかる(笑)。水美舞斗くんと月城かなとくんがわたし的に間違えやすい……月城くんは芝居がけっこううまかったので記憶に残っている。

 ロケットは衣装も瑞々しくてかわいい。90周年の90期が気の毒すぎたので(アタマに90円玉)心配したが、ちゃんとかわいい衣装でよかった。

 しかし口上のときの並びはなんだアレ? 身長順になっていないから、でこぼこしまくりで見苦しい。なにか横槍でも入ったの? 身長順に直してほしいなあ。ダメなのかなあ。
 スカステで、全国ツアーの稽古場映像見ました。
 芝居でだいもんに抱きつくまっつに反応し、ショーにてまとぶさんと戦っているまっつにびっくりしました。

 や、抱きつくというか肩を抱き寄せてなんかひそひそやってるんですけど。めぐむが横にいるのに、彼をわざわざ通り越してだいもんを選んで密着しているあたりがイイですな(笑)。
 まっつとだいもんというとヒョンゴとヒョンミョンですが、まっつの表情が、若い。
 あー……お師匠様はほんとにおっさん演技だったんだなあ、と改めて思ってみたり。

 まとぶと戦っている場面は、「子どもの名前はペドロがいい……がくり」の場面ですよね。セリ下がりはどーするんだろうね。
 ペドロ父@まとぶんをうっかり殺しちゃう男がまっつなわけですね。あらびっくり。
 なんつーか、弱そうなちっちゃなチンピラだなあ(笑)。や、ここのまっつ、さおたさんと戦っているときからずっとかっこいいから、うれしいのだけど。

 予備知識入れたくない人なんで、通常お稽古映像は見ないんですが、やっぱ贔屓が出ていると見ちゃうねえ。

 とゆーわけで、全ツのいちばんの関心事は、まっつはスカートめくりをするのかどうかです。

 壮くんは彩音ちゃんのスカートめくってましたが、まつださんも同じことをするんでしょうか?
 初日を観る方々、チェックよろしくです。

 わたしはびんぼーゆえ遠征はできません……交通費分で大阪で回数観る~~。
 トウコちゃんで燃え尽きているので、財布もだが精神・体力的にもやばいので、毎週遠征は自重しまつ……。

 しかし、ゆーひくんのかっこよさは半端ナイな……うおおお、かっこいー。
 男役のみわさんがうれしい~~。(芝居。ショーはまた妖精さんだった……)
 芝居はまっつ出番なさそー(笑)。『愛と死のアラビア』の稽古場映像みたいだった。たぶんソコしか映すとこナイんだろうな的というか。ははは。
 まっつが見られれば、出演してくれてりゃ、ソレでいいし、正直『ベルばら』ぢゃないだけで、うれしい。

 はっ。
 思い出してしまった。
 忘れようとしているのに。
 忘れろ忘れろ、次の花組公演は大介ショー1時間1本ものよおおお。(現実逃避中)
 本公演で『ベルサイユのばら』をやる以上、特出or役替わりアリだよね?

 特出か役替わりのなかった『ベルばら』ってありましたかね? 平成以降、記憶にないんですが。
 全国ツアーの『外伝』シリーズは役替わりはなかったけれど、中日劇場ではお約束のオスカル役替わりがあったわけだし。

 1ヶ月の短期公演で、役替わりアリで、『ベルばら』なら、チケ難になるよね?

 たとえ、『ベルばら』史上最凶と言われる『外伝 ベルサイユのばら-アンドレ編-』であったとしても。

 前売り即日完売しなくてもいいから、とにかくふつーに座席券は売れて、立見チケットが発売になるよね?

 や、わたしはなにしろびんぼーなので。
 8000円で1時間の公演を観るのは「コストパフォーマンス悪いな」と思っちゃうけど、2500円ならぜんぜんOK!
 朝が弱いので、11時開演の日もゆっくり朝寝して、昼過ぎにムラへ着けば済むのは助かるっちゃー助かるわけだし。

 頼みますよ、立見でリピートできますように!
 10回観ても、『巴里祭』1回より安い。
 『巴里祭』だってショーは1時間、次の花組公演も1時間。なのに10回も観られるなんて、お得だわ~~。

 はい。

 盛大に、現実逃避しております、次回花組大劇場公演演目(笑)。

2009/04/28

宝塚ロマン
『外伝ベルサイユのばら -アンドレ編-』   
原作/池田理代子  外伝原案/池田理代子  脚本・演出/植田紳爾

2008年、全国ツアーにおいて上演した『外伝ベルサイユのばら』3部作は、原作者・池田理代子氏が宝塚歌劇のために特別に書き下ろしたストーリーのもと、従来とは視点を変えた『ベルサイユのばら』の世界を構築し、好評を博しました。また本年2月には、同じく外伝として、アンドレ・グランディエに焦点を当てた『外伝ベルサイユのばら -アンドレ編-』を宙組により中日劇場で上演。フランス革命の動乱に翻弄されながらも、オスカル一筋にその人生を捧げ、数奇な運命の苦難を乗り越え生きたアンドレの人生を描き出しました。宝塚歌劇を代表する演目の一つである『ベルサイユのばら』。宝塚歌劇95周年を記念して、数あるバージョンの中から最新作の“アンドレ編”を、真飛聖を中心とした花組のために新たな場面も加えながら、更にブラッシュアップしてご覧頂きます。

スパークリング・ショー
『EXCITER!!』

作・演出/藤井大介

刺激、熱狂、興奮をもたらす者“EXCITER”。ありふれた人生も、ちょっとした刺激、スパイスでバラ色に輝く。“音の革命”“美の革命”“男の革命”・・・。愛と夢を現代社会に送り届ける宝塚こそ“EXCITER”であるという軸の上に、究極に格好良い場面で構成された現代的でエネルギッシュなショー作品。


 贔屓組公演はフタ桁通うのが前提なので、演目がナニかは死活問題ですよ(笑)。
 まあ、いっそあきらめがつくというか、立見で通えるならいいかな。

 特出ナシならオスカルは組内若手の役替わりだよね。まぁくんとかめおくんとか、でかい華々しい人で見てみたいですな。(今、手が勝手に「まぁくんとかめぐ」と打っていた。「めぐ」? 「めぐむ」と打つつもりだったのかわたしの無意識よ?!)
 頼むからみわっちはやめてくれ。男役のみわさんを見せてくれ。

 
 他組演目は、なにを見ても「うらやましい」としか思えません(笑)。
 いいなー、よその組。
 わたしの苦手な演出家作品であっても、日本物でもなんでも、とにかくうらやましいわ~~。隣の芝生は青い~~(笑)。

 気になるのはトド様主演DCなんですが、よりによってわたしの鬼門演出家作品。『ベルばら』よりはうらやましいが、それにしても公平+酒井はナイだろお、と肩を落としていたりする。
 酒井せんせはショーだけやってて下さいよ……物語書く能力ないんだからさ……。

 作品としておもしろそうだなと思うのは、月組の正塚芝居かな。
 雪組のサイトーくんもうらやましいなー(笑)。

 
 という、「2009年 宝塚歌劇公演ラインアップ」、小出しに小出しに、6回目の発表。(だよな?)
 2008年が3ヶ月ごとの季刊発表だったから、今年もそうかと思ったら、さらにひどい。
 もう5月になろうというのに、まだ今年の公演がわからないなんて(11月の宙組)。
 去年8月、11月に2回、そして今年2月に2回、で、今回の4月。このまちまちのわけわからん発表の仕方はなんなんだ。
 タカラヅカに勢いと潤いを感じたころは、年に2回、きれーに半年ごとに計画を打ち出すことが出来た……はず。

 そんなに危ないのか、歌劇団? ……と、不安になるぞヲイ。

 
 歌劇団も危ないかもしれないけど、わたしの懐も危ないです。

 DVDレコーダが寿命来てるっぽいです。
 買い換えるとなると……あああ、マジで金がないーーっ!!(切実な悲鳴)

 今日はレコーダをなだめすかしながら、弟と協力してモンスター狩ってました。わびしいっすね。
 安蘭けいの魅力はナニかを考える。

 退団公演を通して見て、改めて。

 舞台人・役者・エンターティナーとしての高い実力とプロ意識。それと同時に、プロ意識の欠如した、アマチュア感覚。が、魅力なのかもな、と思った。

 や、矛盾してますよ。
 高いプロ意識と、その欠如って。

 千秋楽の入りで、オープンカーにサングラスでふんぞり返り、お花のアーチ前で演出過剰に投げキッス。
 これはまちがいなく、エンターティナーとしての行動。

 ファンは「最後にひとめ」トウコちゃんに会いたくて何時間も待っているのに、車の中に坐り込んでいる、しかもサングラスで顔を隠しているなんて、「アマチュア的距離感をヨシとするタカラジェンヌ」の通常行動ではない。
 人混みの後ろにいた友人は、車の中のトウコちゃんは見えなかったと言っていた。前列の人しか見えないんじゃ、オープンカーの意味ないじゃん。

 きれいな素顔を見せて、オープンカーの高い位置に坐ってにこにこ手を振って登場、がふつーだよね。

 だけどトウコちゃんは、それをしなかった。
 わざと「イベント」として「演出」してみせた。

 千秋楽の楽屋入りも、「ステージ」と考えてのことだろう。
 そのエンターティナーとしての意識は素晴らしいと思う。

 が。
 肝心の舞台では、役を離れて「退団が寂しいトウコちゃん」として泣きっぱなし。千秋楽に限らず、ムラでも後半からは崩れまくっていたし。
 「プロ」ならば、舞台の上では完璧に役を演じ、本心を見せないものではないのか?

 矛盾している。

 プロの舞台人ならば、エンターティナーを目指すならば、自分の個人的感情を見せるべきではない。

 トウコちゃんは自己プロデュースをたのしげにやっているわりに、自分でめためたになっている。そして、そんな自分を許している。
 ひでー話だなと思う。
 思うが。

 そのアンバランスさが、たまらない魅力なのだろう。

 目が離せない。放っておけない。
 それは「淡々と自分の仕事をクールにこなす、いつも完璧に同じ姿しか見せない人」より、ファンを熱狂的に虜にするんだと思う。

 もちろん、トウコちゃんの場合は、「高い実力」に裏打ちされている。
 なんにもできないダメ子ちゃんが個人的感情でめろめろになっていたら目も当てられないが、トウコの場合はどんだけ本人がめためたになっていよーと、それでも高水準なわけで。
 こんだけテンション高い舞台で、こんだけ求心力にあふれ、こんだけの歌を聴かせてくれているなら、本人がびーびー泣いていても、文句は出ないだろうという。

 そして「タカラヅカ」は、ジェンヌ自身のそーゆーアマチュア感覚を愛でる場所でもある。
 安蘭けいは、とてつもなく「タカラジェンヌ」だと思う。

 エンターティナーでありながら、「タカラジェンヌ」なんだ。
 

 てことで、そのトウコちゃんのラストディ。東京まで遠征して、中継を見てきました。
 
 『My dear New Orleans』
 他でもないこの芝居こそ、スクリーン向けだと思う。
 大劇場の最奥のセリ上で繰り広げられる会話劇は、あまりに遠かった。

 テレビと同じように役者をアップにして表現する必要がある。演出家は稽古場ですぐ近くで見ているから、きっと最後まで気づかなかったんだろうけどね。

 ジョイ@トウコと、ルル@あすかの演技の濃密な応酬を、大スクリーンで見てみたかったんだ。

 わたしが見たのは『安蘭けい ザ・ラストディ』だったので、もちろんトウコ中心の画面だ。それでもトウコのみを映し続けるのではなく、いろんな人、とくに退団者のことは気を使って抜いていたと思う。

 てゆーか、大スクリーンに、ポン引き@みきちぐがドアップになったことに、まずウケた。

 そっかあ、退団者ぢゃなくてもアップになるんだよなあ。このサイズでみきちぐを見ることがあろうとはなあ……。
 あと、モモカさんのアップとか……。
 組長アップの多さはもお、なにも言うことなし……。

 濃い演技の人をビッグサイズで見ると、その濃さがより際立つっつーか……あかしとかペニーとかえらいこっちゃ。

 細かいフラストレーションは言い出したら切りがないが、「自分のオペラグラスではない」ことを理解して見ているのでかまわないんだが……四重唱でアンダーソン@しいちゃんがまったく映らないってのは、どーゆーこと?!
 アンダーソン氏の唯一の心情吐露場面なのよ? 餞別感アリアリの銀橋ソロとはちがい、物語上での情報が詰まった歌なのよ?
 まさかここで、ジョイとルルの無言ダンスのみを映し、アンダーソンさんの歌声がBGMになるとは……ソロでは抜いてもらえると思ってたよ……。

 『ア ビヤント』では、みなさんの泣き顔堪能フレームというか。
 トウコちゃんが泣きに入るのはわかっているが、れおんがなー(笑)。テンパっちゃってさあ大変。がんばれ次期トップ!!

 千秋楽アドリブとして、銀橋の「アランです」が「宝塚歌劇バージョン」になっていたし(パリの下町のアラン少年は、宝塚音楽学校に入って、トップスターになったそうですよ!)、せり上がり登場の「レビューの華」美女@トウコさんは、アタマの上に「77」の文字を付けていたし!!
 映画館でも大ウケです。
 真っ白なひこにゃん(額に「瞳」の文字、黒紋付きに緑の袴!)も手渡されたし。うわー、かわいい~~。

 仕方ないとわかっているが、しいすずのラスト・ハグは映らず。……劇場にいないと、脇は見られないよなあ。

 あと、ジザベル@あすかをめぐっての三角関係場面では、トウコとしいちゃん(+ベニー)のいるセットが揺れまくっていてんなことを気にしている場合ではないのに、気になって仕方なかった……(笑)。
 わたしだけではなかったらしく、あとで友人たちとそのことで盛り上がっちゃったよ……気になるよねえ、あれは……。
 ナマで見ていたら気にならない・気づかないことなのにね。中継の醍醐味か。

 黒燕尾トウコのキメ顔の後ろに、ものすげー顔の組長が映り込んでいることも、醍醐味よね。
 
 
 初日スキーなわたしとしては、サヨナラショー初日であったムラ前楽で、なんの予備知識もないまま「妖しいまでに美しいグラパン」(笑)を見られて良かったと思う。
 たとえカメラが映していなくても、舞台全体がどうなっていたか、ナマで観たことがある、のは心穏やかだ。

 前楽にはなかったもの……水色の星形のペンライトの光を見ながら、ほんとうに美しいところだ、と思う。
 いろんなお約束、伝統に守られて、縛られて、情熱と愛情で続いてきた歌劇団。

 
 人数が多いからか、退団者挨拶はみんな短く端的で。
 そして、学年が上がるにつれて長くなっていく感じが年功序列絶対のヅカらしくてイイ(笑)。

 トウコちゃんは最後のご挨拶でも、エンターティナーであろうとする意識と、アマチュア感覚なところがモロに出ていて、せめぎ合っていて、トホホでもあり、愛しくもあった。
 あんなにめためたに崩れているくせに、カーテンコールで「トウコさん、アイシテル」と叫べと仕切るのよ? 大泣きしている本人が、それでもいつものスカシた声色で。

 中継会場で叫ぶ勇気はなかったが、叫ばなかっただけで、声に出して言いました、「トウコさん、アイシテル」。

 是非ではなく、「安蘭けい」というとてつもないストームに巻き込まれるしかないんだ。
 彼は「タカラヅカ」。とんでもなく「タカラヅカ」。

 今、「タカラヅカ」のトップスターが退団する。

 歴史が大きく動いた。
 動いて、しまった。

 中継会場から1時間以上掛けて、また東宝へ取って返し、出のパレードを人混みの後ろから見た。
 見守った。

 ものすごい数の人。
 拍手とフラッシュの光が、退団者の歩みと共に移動する。

 トウコちゃんは出でもやっぱり、トウコちゃんらしくパフォーマンスしていたみたいだね。わたしの位置からでは、歩いている途中までの、しかも顔から上しか見えなかったんだけど。
 

 すべてが終わったあと、友人たちと歩きながら話した。

「ひとつの時代が終わったね」

 ……それでも、タカラヅカはこれからも続き、スターたちは続いていくのだけれど。

 でも、たしかに、ひとつの時代が終わったと思う。
 その寂寥の深さを、ひしひしと感じている。
 できることなら時間を止めて……と、言うけれど。

 時間を止めることは、出来る。

 鳴りやまない拍手によって。

 通常ならすぐに次の場面に移るはずのラストシーンで、鳴りやまない拍手が時を止める。
 それはほんの数秒だけど、地球をも止める勢いで。

 
 トウコちゃんたちを見送りに、東宝行ってきました。
 チケット? あるわけないぢゃないですか。

 西新井ってどこ? てな立場です。はじめて聞く地名っす。
 同じ日本なんで、行けばなんとかなると地図も持たずに上京。迷わず一発で行けた自分に拍手(笑)。てゆーか駅からけっこー遠かったぞヲイ。
 西宮ガーデンズみたいなとこでした。郊外の上に、駅からはなれたところにあとから無理矢理でかいショッピングゾーン作りました系。
 西宮ガーデンズの方が、でかくて遠い。『ソロモンの指輪』見に行ったとき、その遠さにびびったもんだ(しかも映画館のファースト上映のため、ショッピングゾーンが営業前で通行できないところだらけ、迷宮になっていた)。が、西宮は陸橋を造って強引に「駅から直結」にしてある。
 西新井さんはそれほど大きくないため、駅から見えない。そして直結通路も造ってないので、自力でふつーの道を歩いて建物探して行かなければならない。
 ……あくまでも、地元民のためのショッピングセンターでした。
 東宝から徒歩も含めて1時間強。

 
 いつもの夜行バスで早朝に東京に着き、そっから入り待ちしました。

 巨大な白い生花で作られたアーチが運ばれ、劇場入口前で完成されるさまを、ぼーっと眺めてた。
 薔薇や百合で作られたアーチで、男の人たち5~6人で運んでいた。その周囲に付き添う人たちもいて、すげー大がかり。
 目の前を通るときに、花の……たぶん百合の香りがした。

 ムラでは蘭のアーチだったなあ、今回は蘭はないんだ……と思ったら、アーチを正位置に設置してから、蘭でさらに飾りはじめた。そうか、蘭の花は重いからあとから付けるんだ。

 昨日今日の花相場は、いったいどれほど動いたんだろう、と感嘆する豪華さ。

「なにがすごいって、あのアーチを通るのはたったひとり、ってことだよね」
 と、仲間たちと頷き合う。

 生花のアーチを使うイベントは、たしかにこの金満国日本にはいくらでもあるだろう。
 しかし、たったひとりが1回通る、ただそのためだけに作られる場合は、いったいどれほどあるだろうか。

 夢の国の集大成となる夢のイベントだから。
 そのためにすべてがあるから。

 夢の時間のために、それを彩る人たちも駆けつける。

 えーと、わたしが見ただけで、さららん、ケロ、ナルセ、オサ様、みどりちゃん、ゆりちゃん、さえちゃん? ドリーさんは檀ちゃんも見たって言ってたけど、わたしは見落としたみたい(のちにお花渡しを映像で見るわけだが、入りの姿は見落とした)。

 ケロが現れたときは、来ることはわかっていても、今まで見たどのときより近かったので、そして昔と変わっていなかったので、言葉にならず。
 コメントなし。
 なにも言えない。ケロちゃんが楽屋口へ消えたあとも、わたしは硬直していた。……ケロちゃんはずっと特別、Myダーリン。

 オサ様は退団者の入りにちょっとかぶってしまったため、あわてて隠れた(笑)。が、ギャラリー含め「オサさんキタ!!」とざわついていたので、隠れるのをあきらめて、会釈しながら入っていった。
 その姿がすげーかわいい。

 ムラでは当日抽選に参戦していたため(そして結局ハズれた)見られなかった退団者の入りを、東宝楽でようやく見られた。

 真っ白な人たちに見守られる中を歩く、真っ白な人たちを。

 みんな帝国側から現れて、楽屋口を通り過ぎて、いったん反対側まで歩いて、沿道のみんなに顔を見せてくれた。
 ありがとうありがとう。
 きれいな笑顔をありがとう。

 みんなすごくきれい。
 彼らのカラダの周囲に、なにか一枚チガウ膜があって、周囲から浮き上がっているの。

 あすかちゃんはすごくすっきりしていた。
 髪の毛を一筋の乱れもなくぴったりとまとめ上げて……研一の女の子みたいにすっきりした姿だった。
 妖精みたいにかろやかなの。

 しいちゃん登場に、心拍数乱れた(笑)。
 しいちゃんはいつもの笑顔で……でも、真っ白な姿で。
 ジャケットはなく、ブラウス姿。こちらもすっきり。
 ほんとうにお別れなんだ、と思う。

 トウコちゃんは……(笑)。

 オープンカーでの登場なんだけど、姿が見えない。
 ふつーオープンカーって、群衆向けというか、人混みの後ろからでも見えるように座席の上?に坐って、ボンネット位置よりも上にカラダを出すもんだよね?
 なのにトウコちゃん、座席に深く坐って、カラダを出さないの。

 サングラスを掛けて、ふんぞり返っている。

 ええ。
 これぞ、「スター!!」な風情で。

 コレをやりたくて、オープンカーなのか!!(笑)

 安蘭けいは、「エンターティナー」である。
 サヨナラショーでグラパン@『スカーレット・ピンパーネル』をやって観客を泣き笑いさせる人である。
 最後の楽屋入りも、イベントとしてセルフプロデュースするんだ。

 ふんぞり返る口元が、微妙に笑ってるの。
 こーゆーこと、やりたくて仕方ないんだね(笑)。

 車を降りて、これまた「スタァなオレ様」パフォーマンス。
 黄色い歓声を浴びることを、楽しんでいる。

 そして、彼のためだけに作られた真っ白なアーチをくぐって、劇場へ消えていく。
 中では組子たちが待ち構えているんだろう、わたしたちの位置からは見えないが、ガードやギャラリーが激しく反応していた。

 
 そーやってはじまった、長い長い1日。
 わたしの友人たちは、劇場内、東京それぞれの中継会場と分かれて見送りをするので、一旦解散。

 わたしは前述の西新井の東宝シネコンにて、大スクリーンでトウコちゃんたちの最後の舞台を見納めました。

 千秋楽に限らず、一度は映画館スクリーンでヅカを見てみたい人なので、どんな風に映るのかは興味津々。
 映画『ソロモンの指輪』のような意志のある作りではなく、ただの記録映像だとわかっているが、単に大きなスクリーンで、アップで見たいの。

 あの人たちの顔を、表情を。

 スクリーンでしかなく、そこに彼らはいないのに、一緒に拍手して堪能しました。

 届くわけないのに、ショーストップとなる場面では、祈りつづけた。
 拍手よ、続け。
 時間を止め続けろ、と。

 鳴りやまない拍手によって進行が止まっている間、スクリーンはトウコちゃんのアップを映し続ける。

 涙の光る、せつない表情を、スクリーンいっぱいに。

 時よ、止まれ。
 いや、止まり続けろ。

 今、止まっているのだから、できるのだから。
 止まり続けろ。

 時間は止まり、あのひとの頬を流れる涙だけが、唯一の時間となるんだ。
 体育祭の組対抗戦は、学年問わず組ごととなる。つーことで、2年1組のまっつくんとみつるくんは、1年1組の子たちと応援合戦でペアを組むことになった。
 体育祭かったるいなー、とか言ってたの、最初の練習で集まったときに吹っ飛んだ。
 なんせ、「よろしくお願いします」と現れたのが、れみちゃんとねねちゃん。

「かわいいじゃん」「ちょお、マジかわいいって!」
 肘でつつき合う男たち。いきなりテンション上がってます。

 まっつくんの相手役が、れみちゃん。みつるくんの相手役が、ねねちゃん。どっちもぴかぴかの美少女だ。

 一方、そうやって応援合戦限定でペアを組むことになったかわいこちゃんたちの方は。

 れみちゃんは相手役となるまっつくんのことを「図書館で偶然出会う系のクールかっこいい人」と、一方的に想像していたそうな。
 で、実際まっつさんってどんな人かしら、と思っていたら、応援合戦以来れみちゃんを「僕のかわいこちゃん」だと認識しているまっつくんが、デートに誘ってきた。
「最近手相占いにハマってるから、よかったら見てあげるよ」と。

 手相って……ヲイ、女の子を誘うにはイイ手だよな、堂々と手も握れるし?
 ふつーならここから恋が芽生えたりするんだが。

 いそいそ出かけたれみちゃんを迎えたのは、クールなまっつくんと……そのカノジョ、いちかちゃん。

 カノジョつきかよ?!(白目)

 3人模様の絶体絶命?
 いやその、まっつくんはなにしろクール・キャラなので。
 才色兼備のカノジョ・いちかちゃんの前でふつーに「応援合戦のとき、お互いの相手役があんまりかわいいんでみつると盛り上がってさー」てなことを言うし。
 れみちゃんがまっつくんへ質問すると、当たり前の顔でまっつくんではなくいちかちゃんが答えるし。

 ナニこの愉快な空間?(白目)

 学園ドラマに恋と友情と三角関係はお約束だ、さあどうなるまっつくん? ちなみにそのころみつるくんがどーなってるのかも知りたいぞ?!


               ☆
 
 えー、イタイ喩え話からスタートして恐縮ですが、『Brilliant Dreams#46「未涼亜希」~personal~』の感想です。はい。ひっそりと、更新しているのがわかりにくところで(笑)。

 ゲストはいちかちゃんとれみちゃん。
 美女ふたりをはべらして、まっつ両手に花ね! と思えないのがすごい。
 れみちゃんの、まつださんち訪問、みたい。新婚さんですらない、ふつーに既婚何年の先輩夫婦宅へ、職場の新人が遊びに行きました、って感じ。

 まっつの番組で、答えるのはまっつであるべきところを、いちかちゃんがまっつ寄りで相槌打っていたり、代わりに答えていたりするのが、もお(笑)。そしてそれを誰も不思議に思っていないところが、そーゆー力関係なんだなと。

 しかしれみちゃんには、頭が下がります。
 彼女のイメージする「まっつさん」があまりにも、ファンが想像する「まっつさん」まんまで。
 なにしろ、「クールで知的」「本が似合う人」ですよ? 「休日はひとりドライブして海の見えるカフェで本を読む」「夕暮れの図書館で本を選んでいるときに(あっ、と本を落とす仕草)出会うような」ですよ? ナニそのファン寄りな妄想(笑) 
 男役を男性として語るそのスタンスもステキです。

 そして、それに対するまっつも、ファンが期待するまんまのまっつで。
 なにしろ、「愛車は赤のアルファロメオ」「趣味はドライブ」だとか「最近買ったモノは、イタリアでわざわざ飲み比べて選んだエスプレッソマシン」「モノにはこだわる」「イタリアが好き」「良く聴く音楽はジャズ」……。

 クールで知的で派手なイタリア車を乗り回し、こだわり抜いたモノしか認めず手元に置かず、ジャズを聴く男……って。

 どこのトレンディドラマの当て馬男?!

 いやその、昔あったドラマでは大抵、ヒロインに横恋慕してくるのがこのテの「完璧なイケメン」で。
 すべてを持ち合わせているんだが、恋を手に入れることは出来ず、ヒロインはこの「都合の良すぎる男」を振って問題山積みの主人公を選ぶのよ。オスカルがジェローデルを振ってアンドレを選ぶように。

 人間の魅力にはギャップが必要で、「図書館行かないし(笑)、行くならマンガ喫茶」とまっつさんは「くだけたオレ」アピールして見せるけど、そんな些細な主張は大意を翻すに至らず。
 彼の言うことはいちいち「期待を裏切らない」(れみちゃん発言)わけで。

 「クールかっこいいまっつさん」は、どうもそのまんまっぽいですな。で、本人も「イケてるオレ」を自覚しているっぽい(笑)。

 
 30分番組の中で、いちばんツボったのは、TCAでれみちゃんと組むときの、まっつとみつるの会話。
「かわいいよね、かわいいよね」
 と、お互いの相手役に大喜びしていた、つー話。

 どこの男子学生の会話?!

 まっつとみつるが、ふつーに男子目線の会話をしていることにツボ直撃(笑)。男役って、やっぱ男になるんだー。
 みつるが男子なのはイメージ的に違和感ないんだが、まっつも同レベルで女の子を「ボクのかわいこちゃん」呼びして会話しているのかと思うと、萌えますな。
 かわいこちゃんっすよ? 「MY GIRL」呼びっすよ?

 まっつの「かわいこちゃん」のれみちゃんは花組にフリーの状態でやってきたけど、みつるのねねちゃんは星組にお嫁入りだもんなあ。いやあ、みつるくんのはかない恋に、ちょっとときめいています(笑)。

 にしても、いちかは品のある美女だし、れみちゃんはかわいい美少女だし。いちかちゃんはまっつ寄りだし、れみちゃんはファン寄りだし。
 バランスの取れている構図でございました。

 
 『スカステ・トークDream Time』とこの『ブリドリ』と、3ヶ月連続まっつ番組があり、しあわせだった。
 次にまっつ番組があるのはいつになるやら……さみしいなあ。『スカステ・トーク』は5ヶ月に1度で花組が最後だもんなあ。なかなか回ってこない……しょぼん。
 いやまあその、まっつのトークがおもしろいとは、ぶっちゃけぜんぜん思ってないんだが……この人がMCやっても意味ナイんぢゃ……とか思ってるけど、けどっ、いいのよまっつが見られればソレで!!
 まっつまっつまっつ。
 ヴィクトール・オーランジュ男爵@らんとむが、かわいいです。

 この男好き。

 最初は主人公ジャスティン@タニちゃんに目が行くの。あ、この人好き、かっこいい、って。
 で、次にジャスティンの横にいる変な人に、どんどん惹かれていくの。気になっていくの。

 や、変だよ、らんとむさん、なんか。

 お貴族サマってことで、オーランジュさんはなにかしらツンとしている。
 佇まいが、他の人とチガウ。

 マンガに出てくるカンチガイ貴族みたい?
 イヤミとかドロンパとか、そっち系の気取り具合?(例が古すぎる)

 ナチュラルに変で、ついでに年齢不詳。

 オーランジュさん、いくつなの?
 その変に落ち着ききった気取り具合が、すげーおっさん臭いんですが。

 演じているのがらんとむだから、見た目的にもわからない……(笑)。若いのか、おっさんなのか。

 多分脚本だけ読めばジャスティンと同世代かなと思うんだと、思う。
 でも演じている姿を見ると、さっぱりわからない。

 佇まいが変だから、彼がどんな人なのか、つまり、いい人なのかそうでないのかが、わかりにくい。
 年齢はわからないわ、主人公に対してどういう立ち位置なのかわからないわ、とにかくいちいち見ている側がつまずくキャラクタだ。

 しかし。
 その「つまずく」感じが、どんどん癖になるのだわ。

 てゆーか。
 男爵×ジャスティン萌え。

 オーランジュさん、ジャスティンのこと好きだよね。
 もー、笑っちゃうくらい、好きだよね?(笑)

 らんとむがこんなにストレートにタニちゃんを好きな役って、はじめて見る。
 それがもお、くすぐったくてかわいくて、たまらない。

 オーランジュさん的には、好青年ジャスティンに「人生のパートナーに」と申し込まれ、「え、これってプロポーズ?」とときめいて、いろいろ逡巡しながら(笑)も「末永くお願いします(ポッ)」と応えたら、「ボク、アメリカ行くから、あとヨロシク!!」と笑顔で言われ、「えええっ、そんなバカな?!」になったんだよねえ。
 それでも「キミだから任せられるんだ」的なこと言われて「そーなんだ」と男の都合のいい愛の言葉を鵜呑みにして、「アナタが帰るまで、家はワタシが立派に守って見せます!」てな貞淑な妻ぶりを見せる、と。

 ジャスティン、悪い男!!(笑)

 オーランジュ、簡単な男!!(笑)

 ……て、多少語弊はあるかもしれないけど、いつもいつもジャスティンに振り回され、彼に影響され、変わっていくオーランジュさんがツボ過ぎます。

 気がついたらなんかすごくアクティヴで、なんかすごく熱血しちゃってるし?

 ジャスティンの恋人ヘレン@まちゃみはすっぱり別れられたから新しい人生スタートだけど、男爵はいわば「待っていてくれ。毎月愛の証にこの花を送るよ」と言われたよーもんで、下手すりゃ一生しばられるなと。
 ジャスティンの方はそんなこと、すぐ忘れちゃいそうなのに(笑)。

 
 ジャスティンに体よくいろーなことを押し付けられ、背負わされてハイ終了。
 これから大変だな、オーランジュ男爵。
 貴族だけど、興信所社長。

 あの変に気取った姿と、あの愉快な社員たちと、これからもいろんな事件を解決していってほしい。
 スピンオフ希望です、正塚先生。
 そこには是非、あのかわいそーなフェイドアウト男、グザヴィエ@ともちんも出してあげてください。
「ともちって、アレだけなの?」

 『薔薇に降る雨』を見終わってのわたしの第一声は、コレでした。

 いやその、いちおーこれでも悠未ひろさんダイスキなわけで。宙組観劇時は彼をぼーっと見ていることも多いわけで。
 悪役(笑)として彼が登場したときは、わくわくしておりました。

 悪役、悪役、ともちが悪役(笑)。←いちいち笑う。
 イヴェット@ウメに惚れきっていることがわかる、ウザい大男。やーん、たのしー。

 と、思っていただけに。

 まさか、出番がアレだけとは思わなかった。

 再度登場するはずだと、わくわく待ち構えていたのに。
 アレだけ? アレだけなの、正塚?!!

 たしかにね、ともちの出番最後となった場面で、彼の表情にライトが残って暗転するときに、いやな予感はしたのよ。
 もしもこの先も彼の出番や物語があるなら、もっとしゃきしゃき場面が変わったんじゃないかって。
 なにかもの言いたげに終わるもんだから、「ひょっとして」とは思ったよ。思ったけど……ほんとーにアレで終わりかいっ。

 かわいそうなともち……てゆーかええっと役名なんだっけ、グザヴィエ氏。

 イヴェットが社交界デビューしたときから目をつけ……もとい、恋をして、彼女を手に入れようと虎視眈々していた人。
 おま、7年も掛けてこんな手段しかなかったんかい、というツッコミが頭をよぎる、ステキな人。
 好きなら好きで、ふつーにアタックするなりできんかったんかい、どんだけモテない男認定なんだ? とか。
 独身で青年実業家なんでしょ? ルックスだって良い設定なんでしょ? チガウの? 相手が貴族でも正攻法で申し込める立場なんじゃないの? 7年もあるなら。

 グザヴィエ氏にはもお、ツッコミどころだらけで。
 いやあ、好きだなあ(笑)。

 イヴェットを前に浮かれているところとか、かわいーじゃないですか。かっこつけて優位に立って、でも澄ました顔の後ろでしっぽがものすげー勢いで振られていて、わかったわかったうれしいのね、わかったからちっとは落ち着け、みたいな。

 ウメちゃんに横恋慕ともち、は大好物です。『A/L』はきゃーきゃーだったなあ(笑)。

 最初、さわやかに若ぶってあちこちで踊っていたから、「ともち、役と出番はあるのか」と危惧しましたよ。なにしろ正塚だし、前回見たのが悪名高き(笑)『マリポーサの花』だし。
 だからわかりやすく「悪役」として登場したときは、「こう来たか!」と膝を打って大喜び。
 ……そして、「アレだけ?!」な出番でフェイドアウトして、しょぼん(笑)。

 いや、あのなさけないフェイドアウトがまた、萌えっちゃー萌えですけどね。

 グザヴィエ氏にはぜひこれからも、「イヤなヤツ」として登場して欲しいですわ、オーランジュ男爵@らんとむのライバルとして!(笑)

 
 正塚は役者の好みがはっきりしているよね。

 彼がバカキャラ十を好きなのは、よーっくわかった。

 でかい図体のバカ男@十。
 ジャスティン@タニちゃんに「バカ!」と怒鳴られる役。

 なんでいきなりジャスティンがキレて「バカ」を連発するのか、唐突すぎてぽかーんなんだが、なにしろ十はバカキャラだから「バカ」と言われなくてはならないんだろう、正塚的に。てゆーか、そうとしか思えない。演出の意味がわからなくて。

 路線なのは七だし、七はこの公演で退団だし、十よりは七にいい役が来るのは当然だと思っていたんだが、そーだった正塚だった、十の方を重用して当然なのか。

 べつにタニちゃんに「バカ!」と罵られるなさけない七帆くんを見たかったわけではないが、いりすくんの方がちゃんとした「役」を与えられていることにちょっとおどろきました。

 七帆くんはほんとに「役としての出番アレだけ? この公演で退団なんだよ、正塚ソレわかってる?!」とびびるよーな役で。
 いや、正塚だから、それでも気を遣って最大限に出番と役を与えてアレなのかもしれないが。

 にしても、出てきた瞬間、「うわ、美しい男が出てきた、きっと主要人物なんだわ」と思わせるからすごいよな、七帆くん。
 ……大して主要人物でなかったりして、かなしいけど。でも、その美貌が端正なスーツ姿に栄えていたわ。

 伯爵家の会計士@七帆くんのわたし的ツボは、そろえた膝です。
 お屋敷のソファーに坐る彼は、両膝をちょこんと揃えて坐っているの。それがめっさプリティ~~。

 ちらりとだけ、七十並びもあるしね。

 
 正塚のお気に入りといえば、イヴェット父@すっしーだけど。
 コレって、マヤさんの役ぢゃないのかなあ……。
 役柄といい、表現といい、ものすごくマヤさんっぽい。

 同じコメディキャラでも『ステラマリス』のときのマクファーソン先生は別にマヤさんの影を感じなかったが(マヤさん別の役で出てたし)、今回のパパは「1作に1役未沙のえる」的役に思えた。
 マヤさんが雪組に出ていなければ、この役はマヤさんだったんじゃないの?

 すっしーが演じているんだから、マヤさんみたいな表現じゃなく、べつのことをして欲しかった……てゆーかコメディにする必要性を感じないんだが、そもそも。

 正塚いちばんのお気に入り役者の芸風を真似られるから、すっしーのことも気に入ってるのかと勘ぐってしまう……。
 や、わたしのうがちすぎだと思うが。

 
 全体的に『ホテル ステラマリス』に似ていると思った。
 カラーが薄く、派手な場面もなく、淡々と進み、ストーリーの軸とは無関係に「たのしげなミュージカル」風に仕上げているあたり。衣装も出てくるしさー。
 『ステラマリス』は正塚的には実験的な作品だったと思うけど、今となっては見慣れてしまった感があり、「今さらコレやる?」という肩すかしな面はある。

 そしてまた、『愛するには短すぎる』にも似ている。
 『愛短』のアナザーエンディング・バージョンみたい。
 最後に船が出てきたときに、「船キターーッ!」と思ったよ(笑)。

 相変わらず役が少なすぎてコロスばっかりで、「正塚、大劇場向かない……」な作品だと思う。(でも、『マリポーサの花』より100倍マシ。や、『マリポサ』好きだけど・笑)

 「ともち、アレだけ?!」も含め、粗はいろいろあるんだが、それでも好きよ、この作品。
 『薔薇に降る雨』、ジャスティン@タニは、イヴェット@ウメとあれこれさんざんもつれて絡んでいるのに、ヘレン@まちゃみにプロポーズする。

 たしかに行為だけ見りゃひどい男なんだが……わたしはソレこそが萌えだ。
 三角関係萌えとか、そーゆーことではなくて。

 ジャスティンの中では、それがふつーのことだと納得できるからだ。

 これは、大人になったジャスティンの一人称の物語である。
 彼には現在の彼の生活があり、そのうえで初恋のイヴェットにとらわれている。

 もしもイヴに再会しなければ、ジャスティンはなんの疑問もなくヘレンと結婚し、幸せな家庭を築いただろう。
 タカラヅカは「宿命の恋」命の世界観だから、ドラマティックなヒロインとの恋を中途半端にしたまま、平凡な女と結婚して平凡に暮らすなんて「幸せ」じゃない、そんなの「偽り」だ、ってなもんだけど。
 べつに偽りでも半端でもない、ふつーに「幸せ」だと思う。

 このスタンスだからこそ、イヴと再会しても「恋人はヘレン」なんだよ。
 イヴと一夜だけ燃え上がり、彼女のために奔走しても、彼女との未来は考えていない。

 ジャスティンにとってイヴは「青春の象徴」だった。
 絶頂で摘み取られた恋は傷となり、ジャスティンを歪めた。
 イヴを失った7年前、彼は夢まで失っている。それまでの彼が持っていたものを、自分で否定し、手放してしまった。
 今、イヴと再会し、彼女の窮状を救うことで、ジャスティンは「止まっていた時計の針」を動かすようになった。

 魂の再生。

 7年前、少年の日に受けた傷を今修復し、やり直そうとしているんだ。
 それは別に、イヴとやり直すということではなくて。

 歪んでしまった人生を正し、新たに歩み出そうとしたとき、ジャスティンが伴侶として思い浮かべるのはあたりまえにヘレンだった。

 イヴと再会し、半端なままだった恋を精算して。
 少年の日に止まったままだった「ジャスティン」を、ジャスティン自身が赦し、未来へ解き放ったんだ。
 そーして現在の彼が歩き出すには、現在の彼の恋人が横にいてしかるべきでしょう。

 少年時代の夢の地図を、わくわくと語る姿が愛しい。
 安定した暮らしを捨てて、もう一度夢を追うってさ。

 ジャスティンの行動には、筋が通っているの。
 イヴと再会したからって、イコール、ヘレンにさよならする男じゃない、今現在の大人のジャスティンが好き。

 初恋にココロ取られ足を取られ、ちょっと傾倒しすぎではあったけど(ついでにえっちまで一発やっちゃってるけど)、彼のスタンスは変わっていない。

 いや、変わっていないところが、彼が変わってしまった……大人になってしまった、ということなんだ。

 少年時代のジャスティンなら、「初恋の人と再会した」だけで全部捨てて走り出す。
 ここで走り出せない段階で、イヴェットとの未来はない。
 彼はもう、変わってしまった。

 イヴェットを失ったときが、ジャスティンの最初の変化。そして、イヴェットと再会し、過去を清算したときが、2度目の変化。
 どちらも、人生が変わっている。
 
 
 さて、わたしがジャスティンを好きなのは、ヘレンを好きだということも大きい。

 いつもしつこく書いているけど、そのキャラクタの格を決めるのは、「どんな相手を愛しているか」が大きいんだよね。
 つまんねーヤツを愛していたとしたら、その程度の人間だってこと。つまんねー、にはいろんな意味があるけどね。

 ジャスティンがつきあっている女が、つまらない女だったとしたら、ジャスティンはその程度の男。
 わずかな出番で「ナニこの女。こんな女、捨てられてとーぜん、ジャスティン早くイヴとくっついて!」と思わせるような嫌な女だったら、そもそも「なんでこんな女とつきあってるの?」になる。
 一方的に惚れられ、つきまとわれているとしたって、そんな状態を許す男だってことになる。

 でも、ヘレンはふつうにいい娘だった。
 自立していて、母親思いで。
 そして、聡明な女性だった。

 突然アメリカへ行くと言い出したジャスティンに、ヘレンが異を唱えるのは当然のことだし、また、別れを切り出すのも当然だと思える。

 ふたりの場面が好きだわ。
 タニちゃんがすごくかっこいい。

 悪いのはまちがいなく、ジャスティンなの。ヘレンはなにも悪くない。
 ジャスティンは浮気をしたのでもなく、心変わりしたのでもなく、本人が変わったの。
 傷つき歪んでいた人生を、修正したの。

 わくわくと将来のビジョンを語り、そのテンションにヘレンがついてこないとわかったときの、とまどった顔。
 アクセル踏んだ途端、横からブレーキ引かれてびっくり。
 言われるまで気づかなかった現実に、水を差され、とまどい、なんとか咀嚼しようとする……一連の感情の流れがイイ。

 ……ジャスティンとヘレンのくだりで、ものすげー好きなのは、ジャスティンが妥協しようとするところ。

 ふつう、主人公である大人の男が、あきらめていた少年時代の夢を再び追うことに決めた! てなったら、そのままGO!GO!じゃん? 物語的に。
 事件があって、それが一件落着して、それゆえに主人公は昔の夢を取り戻した。さああとは旅立ちというエンディングを迎えるだけ!! ……な展開なのに、ジャスティンはその夢を妥協しようとする。

 アメリカについていくことは出来ない、とヘレンに言われたから、外国へ行かないで、この場所で夢を追う方法もあるんじゃないかな、と現実的な妥協をする。
 あ、すごい。あのテンションで盛り上がっていながら、ヘレンを失いたくないために、夢の方を部分的にあきらめるんだ。

 リアルにはあることだけど、物語内では例を見ない展開(笑)。
 このみょーなリアリティに、ぞくぞくする(笑)。

 そして賢いヘレンは、ジャスティンが変わってしまったことに、気づいた。
 だから彼女は別れを切り出す。
 せっかくジャスティンがアメリカ行きは考え直すと言っても、それにすがりつかない。

 アメリカ行きはただの記号でしかない。
 ジャスティン自身が変わってしまったから、場所がどこであれもう、ふたりはきっとうまくいかない。

 7年前イヴをジャスティンは、それまでの自分を否定して魂の彷徨中。ヘレンが出会ったのはそんなジャスティンで、彼女が愛したのはそんなジャスティンだった。
 イヴを失う前の自信満々に夢を語るきらきら少年ジャスティンにだったら、恋していなかったんじゃないかな。
 
 こーゆー場合、男の方が鈍感なのも世の常で。
 自分自身が「変わってしまった」……少年時代のジャスティンではないけれど、くすぶっていた7年間を経て、「ジャスティンVer.3」になったことの重大さを、ジャスティンはわかっていない。

 OSが勝手に新バージョンになっちゃって、今まで使っていたソフトや周辺機器はどうなるのよ? たしかにこのまま使えるとは書いてあるけど、なんか細かいとこで不具合出るんですけど? ソフトも新OS対応版に買い換えるべき?
 ……そんな感じ?

 Ver.2を愛していたヘレンは3なジャスティンと別れる。
 誰が悪いわけでもない。「変わってしまった」んだもの。そして、それに合わせて「変われない」んだもの。

 こういう、誠実で聡明な「ふつう」の女の子とふつうに建設的なつきあいをしていたジャスティンだからこそ、いい男だと思える。
 生涯懸けた夢ですら、恋人のために妥協を考える(そしてあとできっと後悔する・笑)、そーゆー男だからときめく(笑)。

 
 心の動きがいちいちリアルだから、人生が見えるから、ジャスティンの物語を楽しむことが出来る。
 萌えることができる。

 ヘレンにプロポーズするジャスティン、そしてヘレンに振られるジャスティンが、すごく好き。
 回想シーンだから許される「甘さ」があると思う。

 大人になってしまうと、若いころ……イタさ爆発のハタチ前後の頃が愛しくてならない。
 当時がどうであれ、現在から振り返って見るにあたり、想い出は美化され、イタかったこともみんなみんな微笑ましく思えたりする。

 『薔薇に降る雨』の、ジャスティン@タニちゃんとイヴェット@ウメちゃんの出会いとその急激な恋が、「回想シーン」であるということ。

 現在から振り返っているわけだから、それは「真実」ではない。真実に近いかもしれないけれど、絶対脚色入ってる(笑)。ジャスティンのモノローグが入っているように。

 かわいくて、ダイスキですよ、ふたりの恋。

 避暑地の10代の恋。
 昨日の続きが今日で、今日の続きは明日だと無意識に信じている若者と少女。

 ジャスティンの見た目のかっこよさと「遊んでいない」感じがイイの。
 ふつーこれだけイケメンなら、女の子が放っておかないじゃん? ちやほやされて軟派になっていそうなもの。
 それが、「車ヲタク」という設定で硬派なんだってことがわかる。ヲタクというと言葉は悪いが、好きなことがあって明確な夢を持っていて、それに一途な若者なんだよね。
 だからきっと、モテはしても女の子を食いまくるよーなヤツではないんだ。イヴェットへの態度で、女の子の扱いを知っていることはわかるよね。純情可憐なボウヤくんではなく、ふつーに女の子とつきあったことはあるけど、今は車(夢)の方が大事、みたいな。

 不自由はしていない、大して興味がないから自分から積極的に行くことがなかっただけ。
 ……そんな男の子が、砂が水を吸い込むようにイヴェットに惹かれて。

 このまま今日が明日へつながり、ふつーにずーっと続いていくなら、ありきたりなカップルで終わったのかもしれない。
 ふつーに1年つきあって年間イベント全部こなして、プロポーズして、って。ジャスティンはふつうの感覚を持った男の子だと思うから。

 だけど、そうはいかなかった。
 はじまったばかりで恋がいちばん盛り上がっているときに、他者の横槍で断ち切られてしまったんだ、ふたりの関係が。

 ふつーの感覚を持った、ぬるいラヴカップルでしかなかったジャスティンが、情熱的な暴走野郎に変わることに、ときめく。

 どっかのパーティに潜入し、見つけたイヴェットにキスの雨を降らせ、かけおちを持ちかけるような、やたらエンジン掛かった男に。

 いやあ、この強引な、キスの雨がすげー好きでね~~。正塚キャラでこれはめずらしくないか? がっつかないのがポリシー、やせ我慢してナンボ、でしょ、ふつーは。

 わたしは小心なので(笑)、急に恋人が会ってくれなくなったら「嫌われたのかも」って思う。
 だからこの場合も、イヴがジャスティンを嫌になった可能性だってあるじゃん? と、つい思ってしまうのね。嫌ってのは、個人的なことだけではなく、家柄とかいろんなことを考えて「会わない方がお互いのため」と思っているんじゃ、と。
 だとしたらいきなり消えたことが思いやりかもしんないのに、それをぶち壊してストーカーみたいなことして、しかも強引にチューって……下手したら、通報されるよ?! と、心配しておりました。

 だからイヴが「会えてうれしいっ!」と全身で表現してくれたことに、すげーよろこんだ。ほっとした。
 よかったっ、ジャスティン、ストーカーぢゃないっ!(笑)
 囚われのお姫様を救いに来た王子様だ。ストーカーとは天地の差。

 そして、思うんだ。
 恋人が目の前から消えて、「嫌われたんだ」とか「このまま終わった方がいいんだ」とか一切思わずに、「彼女もボクを待っている、助けに行かなきゃ!」となんの躊躇もなく思えること、それが、若さなんだ。イタさとも言う(笑)。
 自分に対してマイナスな出来事が起こり、「自分にナニか落ち度が」とはかけらも思わず、「誰かが妨害してるんだっ」と思い込む精神構造。
 トシ取ってから振り返ると恥ずかしくてアタマ抱えるけれど、そのときはそれがデフォ。自分中心、自分しか見えない。

 世界は自分中心に回っているから、平気で無謀なかけおちを持ちかける。

 武器は、自分の夢でもある自作した車。自分自身にも将来にも自信しかないから、いくらでも傲慢になれる。
 愛する少女を悪漢から助け出し、自分の作った車で世界に認められ、永遠に幸せになる。
 そんな未来を考えるまでもなく信じている。

 イヴェットがかけおちに同意しないなんて夢にも思わないから、言いたいことだけ言って「怪しまれるから、もう行って」と突き放す。

 ジャスティンの視界の狭さ、自己中心的なところが、ダイスキ。

 それが、「若さ」だから。
 今現在の自分勝手さではなく、あくまでも、「大人のジャスティンが、回想している」少年時代のジャスティンだから。

 ……イヴェットは現れず、かけおちはジャスティンの独りよがりに終わる。

 彼は生まれてはじめて、挫折を知る。

 自分で車を作っちゃうくらい、なんでもできる男だったのにね。
 求めれば叶う、それが人生だと信じ切っていた……そんな黄金時代の終幕。

 なんでもできる自分、の象徴だった、自作した車も手放して。
 それまでのレーゾンデートル叩き壊されて、はじめて自己を模索することになるんだろう。

 そーやって、断ち切られた恋、断ち切られた夢を抱えて。
 社会に出てそれなりに泳ぎ方をおぼえて。

 それでもまだ、「自分」がなんであるのか、なにがしたいのかはわからないまま、とりあえず生きていて。

 もともと優秀な人だから、若くして会社興して切り盛りして、見た目は順風満帆なんだけど。
 それは少年時代の、確固たるものを持っていたときは、ちがっていて。

 「今」の位置から、「愚かで、愛しい青春時代」を回想する。
 だからこそ、それはとびきり甘いし、また、とびきり痛い。

 痛さすら、愛しさになる。

 ……まあ、ジャスティンは若いころの自分も全肯定してそーだけどね(笑)。自分のイタさより、「哀しい過去」に酔っていそうというか。その辺が正塚の「男視点のロマンチシズム」(女性から見ると「けっ」てなことがままある・笑)と、タニちゃんの「大和悠河」的持ち味がステキにマッチしている気がする(笑)。

 正直意外なほど、ハリーとタニちゃんって、融合するのかも?
 今ちょうど、スカステで『Practical Joke』がリピート放映されているね。
 作品的に「正塚せんせ、どーしたの?」的投げやりな作りで、クオリティが高くないことは承知しているが、好きなんだ。
 マミさん主演ドラマシティ公演、幕が開くまで2番手はタニちゃんだと疑いもしなかった。が、実際観ればわかる、2番手はきりやん。正塚せんせのフリーダムさに驚いた1作。今でいうなら、トウコちゃん主演DCでれおんが出演しているのに、すずみんが2番手している感じ? 番手逆転させての配役にびっくり。

 番手のことはともかく、この作品のキャラクタが好きだった。マミさんのかっこよさは言うまでもなく、きりやんのことが身震いするほど好きで(笑)。ちなみにわたしのご贔屓も出演していたんだが、彼は正塚好みの役者ではないらしく、またしても扱いはよくない。

 今改めてスカステで見て。
 やっぱり、好きだと思う。

 番手逆転されていたタニちゃんは、2番手役ではなかったが、いい役だった。
 難しい字は読めない、顔だけのおバカタレント。
 アタマが悪いだけでなく、やってることもなかなかにバカなんだけど……でも、いい役なんだ。
 わたしは大好きだ。
 相手役のかのちかちゃんとのやりとりの、リアルさ。
 バカだから相手を傷つけてしまう、すれ違ってしまう、その痛さ。傷つけたとわかったときの、バカ男の反応。
 ひとつひとつに嘘がなくて、愛しくて、かわいくて、大好きだ。

 正塚せんせの描く、大和悠河。
 『ホテル ステラマリス』でもそうだったけれど、バカでかわいくて、魅力的な青年だった。

 とゆーことで、タニちゃんの最後の公演となる、『薔薇に降る雨』を観てきた。
 正塚晴彦作。彼がタニちゃんのために書き下ろす物語は、そして男の姿は、どんなカタチになるのだろうかと期待を込めて。

 えーと。
 最初に、ひとこと。

 ジャスティン@タニちゃん、好きだ。

 ええ。
 彼が登場して、最初のひとことを話した段階で、ぞくぞくキました(笑)。
 うわ、この男の人、好き。

 てゆーか最初の一声で、「正塚芝居だ(笑)」と、ウケましたがね(笑)。
 タニちゃんなのに、正塚芝居なの。すげー大真面目に正塚台詞喋ってんのよ。

 『ワルフザケ』でも『ステラマリス』でもない。お笑いキャラ扱いだったそれらの役とはちがい、今回は主役。二枚目。あのタニちゃんが真っ向から正塚芝居してる。……そのことに、ウケる。
 そして、好きだと思う。
 正塚喋りをしているタニちゃんが、すげーかっこいい。

 時代かがった変な大仰さがなく、現代物だからって若ぶった少年の喋り方ではなく。
 抑えた、ナチュラルな大人の男の物言い。仕草。

 …………もっと早く、正塚芝居で主役をするタニちゃんを観てみたかったよ。こんなにステキなんだ。

 物語は、興信所社長のジャスティン@タニちゃんが、政略結婚させられるっつーんで荒れている貴族令嬢イヴェット@ウメちゃんと偶然再会する。ふたりは以前ラヴラヴの恋人同士でかけおちの約束をしていたのに、身分違いだっつーんで引き裂かれたんだ。
 さらに偶然、ジャスティンの興信所に「イヴェットの家が破産したのは、ナニか裏がある。調べてくれ」と依頼が入ったこともあり、ジャスティンは真実を求めて力を尽くす。
 で、その間に焼けぼっくいに火が点くわけだ……。

 えーと。

 どのへんが、『薔薇に降る雨』?

 正塚らしくもなく、美しい詩的なタイトルで感心していたのに。
 正塚っつーと大抵てきとーな英語タイトルだもん。
 景子せんせもそうだけど、芝居に英語タイトル付けるのは、わたしは好きじゃない。
 「逃げ」に思えるから。日本語のタイトルよりも、イメージが曖昧な表音文字の方が楽だもの、付ける側にとって。日本語だともっと研ぎ澄まし、計算しつくさなくてはならないところを、英語だとてきとーなとこで手を打てる。そーゆーズルさを感じるから、好きじゃないんだな。
 んで、英語でなければ、ハードボイルド系のどうとでも取れる単語ならべましたタイトル。タイトルだけ決めて、内容はあとからいくらでも変えられる……こちらもすごく、逃げを感じる。いかにもあとから辻褄を合わせる、やっつけ仕事めいていて。
 正塚タイトルで好きなのは、文章になったヤツ。描きたいテーマがあって、それゆえに作ったように思えるから。

 この『薔薇に降る雨』は、文章系でしかもとてもロマンティックな美しさがある。
 タイトルだけで、情景が想像できるって、コピー的にも強いよね。

 そして、しっとりとした大人のラヴロマンスを想像させる、美しいポスター。額に納められたタニちゃんの写真。
 ああ、悲恋ものなんだな。タニちゃん演じる主人公は、きっと死んでしまうんだ。今は亡き恋人を、美しいヒロインはずっとずっと愛し続けるんだ……。

 とまあ、そんなこんな。
 予備知識ナシなので、勝手に思い込んでいただけなんだが。

 コメディだとは、思わなかった。

 ……つか、コメディだよな……なんでコメディなんだ……?

 主人公ジャスティン@タニちゃんとその恋人イヴェット@ウメちゃんの物語自体は、べつにコメディじゃない。ふつーにまともな、ラヴストーリーだ。
 大人になったジャスティンの仕事絡みの話や展開は、まったくもってのいつもの正塚。
 ……コメディにする必要、ないじゃん。
 ふつーにいつもの正塚で、いつもよりラヴ多めで、それでいいじゃん。
 なんでわざわざコメディなの? 笑わせる必要のないところで、わざと滑稽なことをさせて、わざと笑わせるの?

 タイトルだけ先に決めてあって、中身は別物なのかな、正塚せんせ? また?

 とまあ、疑問はあるにせよ。

 そして、ジャスティンくんの言動に対し、ツッコミはいろいろあるにしろ。

 ええ、いちばんのツッコミは。

 えっちのあとに「よかった?」と聞く男は最低だと思っているが、「大丈夫?」と聞く男は、その次にキライだ(笑)。

 や、自分的に「大丈夫?」は笑いツボなんだな。「こんな男ヤだ」って友だちと笑い話にする典型として。
 だからジャスティンくんがイヴェットちゃんとの一夜のあと、「大丈夫?」と言ったときは、吹き出しかけました。
 ……そりゃイヴェットは、「なにが?」と返すしかないよな。

 頼むよハリー。ここでウケさせないでくれ(笑)。

 とまあ、ツッコミはあるんだけど、それでも好きよ、ジャスティンくん。

 大和担のジュンタンに「ジャスティンのどこが好きなの」と聞かれ、胸を張って答えましたとも。

「ヘレン@まちゃみに、プロポーズするところ」

 イヴェットとアレしたりコレしたりして盛大にこんがらがっていながら、ふつーに恋人のヘレンにプロポーズするところです、わたしの萌えは!
 『Practical Joke』のデイビッドを好きなのと同じ。描かれているのは今ここの部分だけだけど、それだけで彼のキャラクタ、人生が見えるから。

 
 それぞれのキャラクタが、なんかみんな愛しいです、『薔薇雨』。

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