男役を極めた人は、宝塚を卒業したからといって、男役を卒業する必要はないんだ。

 ということが、目からウロコでした。
 『月光のカンタータ』観劇。

 タカラヅカの特殊性はわかっている。だからこそタカラヅカを卒業するとき、特に男役との別れは「その人との今生の別れ」だと思って悲しむ。その人の人生も、あるいは芸能生活も続くことはわかっていても、「男役」としてのその人とはもう二度と会えない。それを悲しむ。
 
 もう会えない。
 そう思っていた。

 ……チガウんだ。
 たとえそれがなんであれ、ひとつの道を、型を極めた人は、それを捨てる必要なんかないんだ。

 タカラヅカを卒業したら、もう会えないと思っていたんだよ、立さん。

 男性のいる舞台で、ふつーに男性の役として成り立っている、男役・立ともみに感動した。

 立さんくらい極めた人は、外部でもふつーに男の人なんだ……。すげえ……。
 なにも知らない人が見たら、ふつーに声の個性的な男優さんだと思うんじゃね?

 記憶にあるままの立さんと再会できて、すげーうれしかった。
 そして、「タカラヅカ」を好きな身としては、タカラヅカを極めた人の芸がタカラヅカ以外でも魅力を発揮できるのだと思え、さらにうれしかった。

 
 主演は、椿火呂花ちゃん。あの美貌の男役、ゆうかちゃんですな。
 この人の「タカラヅカ」っぽさもすごい。卒業して何年になるんだ? このブログの最初のヅカ感想がゆうかちゃん主演のバウ『エイジ・オブ・イノセンス』だった気がするんだが。
 ヅカを卒業し、男役でなくなって数年経っているだろうに、現役ジェンヌと遜色ない美貌、スタイル。この人を早々に失ってしまったことが悔やまれる大輪の花っぷり。

 ……でも、ゆうかちゃんはふつーに「タカラヅカ男役」であり、男性と並ぶとふつーに「タカラヅカ男役」で、立さんに感じた「極めた人ってすごい!」という感動はない。
 たぶん、現役ジェンヌが外部出演して、男役として男優と競演してもこんな感じだろうな。
 ゆうかちゃんに対する感動は、「辞めて何年も経っているのに、現役みたい」なことであり、立さんとはチガウ。

 だからこそ、椿火呂花という舞台人は舞台人として成り立っているんだろう。
 ふつーに男優さんみたいになってしまっては、ゆうかちゃんとしては意味がない。今でも「タカラヅカ男役」であることが重要だと思う。
 ……それならなんで、タカラヅカでは駄目だったのか、てことになるけど……まあそのへんを考え出すと話が長くなるので割愛。

 ゆうかちゃんはとことん美しく……そして、椿火呂花の美しさだけで保っている舞台だったと思う。や、立さんはじめ、他の出演している人たちを否定するのではなく。
 ゆうかちゃんありき。ゆうかちゃんの美しさがなければそもそもこの舞台の企画すら存在しないだろう、って勢いで。

 作品はねえ……すごかったよ……予備知識なかったんだけど、その……作者って、かなり年輩の人なんだろうか? 80年代に「耽美小説」っていうジャンルが出来て、その後BLというジャンルに駆逐されるんだけど、その昭和の最後にあった文化を、今この現代にまんま見せられて、かなりびっくりした。コレを現代にやるってのは、作者は栗本薫かそれ以上の年代かな。
 それとも、ものすごーく若い人が、若いからこそ古いジャンルにハマって、闇雲に真似をしてみました、って感じなんだろうか?
 わたしも若くないので、歴史として(笑)JUNEのたどった流れを知っているんだが、そのJUNE初期の世界を21世紀にそのまんま再現されて、正直途方に暮れた。
 古い文化を否定するつもりはないけれど、古いまま持ってくるのではなく、現代の人が見るのだ、という意識でアレンジして欲しかったっす。
 それともあの時代を知らない若い人が見たら、新しいのかなあ。

 なんか「耽美」と謳ってある作品なんだが……その「耽美」ってのがさあ……。わたしの思う耽美とは、どうも趣がチガウようで。

 おフランスのお貴族サマの話なんだけど。
 お衣装きらきら、主役のアルベール様はオスカル様張りのくるくるロン毛だったりするんだけど。

 そのタカラヅカまんまなきらきらな人たちのいる、舞台がね。
 大道具っつーか背景に、薔薇の絵がいちいち描いてあるの。

 バルコニーらしきものとか、板に描いた絵でしかないんだけど、ただ白いバルコニーでいいじゃん、なものにすべて、いちいち薔薇の絵が描いてあるの。
 抽象的な、様式的な意味での花ではなくて。
 おフランスのお美しいお屋敷の壁には薔薇が絡まっているのです。柱には、薔薇が絡まっているのです。どうも、そーゆー意味らしい。
 薔薇薔薇薔薇。

 耽美=薔薇。
 
 しかも、ベニヤ板に描きました、とゆーチープな薔薇の大群……。

 男の人が少女マンガをカンチガイして「主人公の目に星をいっぱい描いて、後ろに花びら飛ばせばいいんだろ」と思っているよーな、昭和時代の少年マンガの美形悪役が薔薇を一輪くわえて登場するような、あーゆー使い方の薔薇です。
 いちいち薔薇の絡まった背景。

 あんなに安っぽい薔薇薔薇なら、いっそない方がどれだけ美しいだろう、と思いました。
 あんな微妙な書き割りセットなしで、照明とホリゾント、長椅子とかの必要最低限のモノだけで演出すればいいのに……。
 いやその、わたしと好みがチガウってだけのことです。薔薇がいっぱいで耽美なんだろう、きっと……。

 それともあれは薔薇ではなく、別の花なのかな。正視してはイケナイ気がして、できるだけ見ないようにしていたんだが。
 まあとにかく、手書きのお花が書き割りセットに無数に描いてありました。

 ストーリーもまた、その舞台センスに相応しいモノでした。こんだけゆうかちゃんが美しいのにな……。
 
 
 友だちが大喜びしていた、ゆうかちゃんの前の出演作品、闘牛士モノを観てみたかったなー。あっちはストーリーがあったみたいだし。

 
 いちばんステキだったのは、フィナーレです。
 オスカル様カツラより、地毛のゆうかちゃんがすげー美しかった。

 女役だった真丘氏にも、黒燕尾で踊ってほしかったなー。もちろんドレス姿も美しかったけれども。

 そして、なんといっても立さんの黒燕尾!!
 黒燕尾で踊る立さんを再び見られるなんて!!
 男優さんと遜色ない芸を持つ人だと思い、さらにこのフィナーレでやっぱタカラヅカ男役ってすごい! と思わせてくれるんだもの、立さんブラボー!
 

 ……や、とにかくみんな美しかった。
 それだけを心に刻んでおこう。
「しいちゃんはいつ、大人になったんだろう?」

 ……わたしがしいちゃんを好きだったのは、彼に「ゆがみ」があったからだ。

 ロケットボーイでただきらきらしていたときは、好意はあってもその若さや光を愛でているだけだった。

 それがアンリ役以降迷走し、真っ白だった光に微妙な光彩ができてからだ。

 永遠の青年であるしいちゃんには、若者が持つ無神経さがあった。
 自分が正しいと思うことを貫いて、他人を傷つけるような。そしてそれを当然とするような、若さゆえの無謀さと傲慢さ。

 太陽であるがゆえに、陰の生物を傷つけるような。

 そーゆーいびつさが、好きだった。

 わたしはショタの気がないので、「子ども」には興味がない。
 だけどわたしもたしかに昔は子どもだった。幼く、無謀で、傲慢だった。や、今も変わらずアホでカンチガイ者だが、ソレとはチガウ意味で。
 いつか失ってしまう「若さゆえの傲慢さ」を、その痛い姿まんまで持ち続けてくれる「永遠の青年」は、ノスタルジーを刺激する。

 痛い……というのは、「美しい」ということなんだな。

 核が剥き出しになった姿。それがどんだけ危険なことか、こわいことか、まったくわかっていない、美しさ。

 まぎれもなく太陽でありながら、現在の人でありながら、舞台の上でのしいちゃんは「なつかしい」人なんだ。

 いつかのわたしがはじめて恋した同い年の男の子のような、そーゆー痛さ、切なさを持っているわけだ。

 えー、そーゆー男の子だった立樹遥さん。

 変わらないと思っていた、しいちゃん。
 今は、チガウ。

 
 いつ、しいちゃんが大人になったのか。

 たぶんそれは、安蘭けい氏の影響が大きいと思う。
 でもって、湖月わたる氏の。
 
 
 人にはやっぱ、役割と立場があると思う。
 そこにいるからには、役割を果たさなくてはならない。
 役割を果たさずに、ただその立場にいたら、いつかそこは自分の居場所ではなくなってしまう。

 ワタさんという未曾有の「大きさ」を持ったトップスターは、その安定した腕の中で、多くの組子たちの立場を守っていたんだと思う。

 ワタさんという大きな男がいるから、トウコちゃんは彼に対峙する役だったりちょっかい掛けたりする役だったり恋人だったり(笑)、持ち味や役割分担して棲み分けていられた。

 それと同じように、しいちゃんもまた、「青年」でいられたんだと思う。

 タカラヅカらしい、きらきらした若者。太陽の男の子。

 たとえ大人の役をやっても、根っこは変わらず。魂の若さは曇らず。

 それが、ワタさん卒業と共にもトウコちゃんの代になって。

 世代交代したトウコちゃんの星組では、しいちゃんに求められる役割がちがっていた。
 トップスターの下にいる若い男の子(その中では年長の兄貴ポジ)ではなく、トップスターを支えられる、対等に対峙できる大人の男、だったんだよ。

 それこそ、トップスターの恋敵と、父親、両方を演じられる大人の男として。

 究極ですよ。
 通常、主要クラスの役をするスターたちのなかで、最上級生がトップスターだからね。
 でもって、そーゆー役は2番手が半分以上担うもんなんだけど、新しい星組はまだ2番手にそーゆー役割は担えなかったからね。

 歴代の、いろんな組の2番手さんたちは、時にはトップスターの父親くらいの年齢の役をする。
 トップってのは特別な人だから、それに対峙できる、それより大人の男の役を演じられるのは次のトップになるべき人ぐらいのもんなんだよ。
 ワタさん時代の2番手トウコちゃんがそうであったように。

 しいちゃんは2番手さんではないけれど、役の比重は2番手ではないけれど、役割的には2番手相応のものを負うことになった。

 ああ、これって。

 『凱旋門』の、アンリだ。

 きらきら真っ白しいちゃんが変わってしまった、あの役。

 どーにもこうにもできなくて、大変なことになっていたあの役。

 しいちゃんは、ワタさん卒業と共に、新しい星組できちんと自分の居場所を見つけていたと思う。役割を、果たしていたと思う。
 ただ代替わりしただけだったら、その役割に落ち着くまで時間が掛かったかもしれないけど、『ヘイズ・コード』があった。
 主役であるトップスター・トウコちゃんの声が出なくなるという、ものすげー非常事態があり、しいちゃんの立場は、求められる役割は一気に確定したと思う。

 それゆえに、あのカールトン監督@『ヘイズ・コード』があり、ジェラード・ペルー@『エル・アルコン』があるのだと思う。

 大人の男。
 トップスター演じる主人公と同じか、あるいはそれ以上に。

 対等か、あるいはそれを超えた人物として。

 
 役割がわかり、立場がわかったからって、すぐにそれが出来るはずもない。
 しいちゃんは長い間かけて、その準備をしていたんだろう。本人の意識のことではなくて、「舞台人」として、いつか「大人」になる経験値を少しずつ貯めていたんだろう。
 そしてトウコちゃん時代到来と共に、クラスチェンジした。

 今までとかけ離れているのではなく、あくまでも延長線上に。
 魂の輝きは、そのままに。

 
 大人になったしいちゃんは、それまで思ってもなかった「ときめき」を持って降臨した(笑)。

 もともと好きだったんだってば。
 ただ、「年下の男の子」「失った青春の記念碑」みたいな意味で萌えていた面があって。
 対等な「恋愛相手」だとは思ってなかったから。

 そのもともと好きだった「若い男の子」が、その好きだったところはそのままに、大人の男として、堂々恋愛対象として現れたりしたら。

 オチますがな。

 しいちゃんの持つまっすぐさや太陽具合、それでいてそれらだけではどーしよーもないゆがみやくすみ……諦観や、限界を知る姿が、世俗にまみれた大人なわたしからすりゃあ、たまらない魅力なのですよ。

 カールトンさん、ダイスキだった。
 ジェラード様、ダイスキだった。
 ときめきだ。
 今、地に足の着いた、リアルなときめきなんだ。

  
 『My dear New Orleans』の、ムッシュ・アンダーソンを見ていて思う。

 これはアンリ@『凱旋門』と同カテゴリのキャラクタだなと。キャラの性格とかがではなく、立ち位置。トップスターの恋敵で、彼からトップ娘役を金で奪う、トップよりも大人の紳士。2番手的役どころだが、2番手ではない。

 10年前演じきることの出来なかった役を、大人になったしいちゃんが今、美しく演じている。

 ワタさん卒業と共に「青年」を卒業したしいちゃん。
 トウコちゃん時代のために「大人」である姿を見せてくれたしいちゃん。

 トウコちゃんが卒業する今、その役割も終わる。

 大人の男、トップスターと対峙できる器を持つ立ち役。
 ヅカの男役としてひとつの到達点であるこの役割を終えたのだから、今彼は卒業の時なんだろう。

 しいちゃんは「永遠」で、「変わらない」と思っていた。

 彼が持つ「青春」の光は、わたしの求める「夢」の具現だった。
 永久に「夢」はそのままだと思っていた。

 だけど、そうじゃないんだね。
 成長して、役割を果たして、堂々と卒業していくんだ。

 最後のお茶会で「タカラヅカへの愛と誇り」を歌って。

 決して平坦ではなかった道を、たしかに歩ききって、その立場の責任を、務めを果たして、胸を張って。

 美しいと思うの、あの人を。

 無垢な光に満ちていた下級生時代とはチガウ、今の光をなお、美しいと思う。
「しいちゃんはいつ、大人になったんだろう?」

 ……『My dear New Orleans』観劇の帰り、nanaタンと話していた。

「しい様が、かっこよすぎる」と。

 「しいちゃん」というお子ちゃまな呼び方ではなく、崇拝を込めて「しい様」と呼んでしまうよーな、そーゆーかっこよさだ。

 いったいいつから、そんなことになったんだろう?
 しいちゃんはいつでもしいちゃん、太陽過ぎて安心過ぎて、危険な情事より「お友だちでいましょう」な健康優良児だったじゃないか。
 

 何度も語っていることだが、わたしとタカラジェンヌ立樹遥との出会いは、『ラヴィール』のロケットボーイからだ。

 しいちゃんはぴかぴかの若い男の子で、きらきらしていた。

 風はまさに彼に向かって吹いていたときで、次の公演『ノバ・ボサ・ノバ』では新公主演、本公演では「この役をやった人はトップになるのよ」と前夜祭でOGに言われるほどの、ドアボーイ役。
 次の『バッカスと呼ばれた男』では新公で美形悪役、本公演は抜擢されはじめた音月桂と共に王子様(領主の息子)役。
 さらに次の『凱旋門』で大役、トップスター・トドロキ様の恋敵、彼からトップ娘役を取る役だ。

 トップ路線の若手として、しいちゃんは快走していた。……最初は。

 わたし的に、しいちゃんのつまずきは、その大役『凱旋門』のアンリ役だと思っている。

 トップスターと渡り合い、彼からトップ娘役を奪う役。
 大人の男。……トド様より大人で、安定していて、ぐんちゃんがトド様を捨てて走る、そーゆー役。描き方によっては2番手が演じてもおかしくないよーな役どころ。(比重は低いので、もちろん2番手の役ではありえないが)

 ぜんっぜん、できてなかった。 

 無理に大人を演じようと背伸びして、お化粧変えて、いっぱいいっぱいになって空回っていた。

 トド様ともぐんちゃんとも演技が噛み合っているよーに見えず、しいちゃんだけすごく代役っぽかった。
 ……実際、ほんとはかしちゃんの役だったわけだから、代役っぽいのも力不足なのも仕方ないんだが……そして、かしちゃんもトド様たちと対等に渡り合えてなかったから、ほんと役が難しすぎただけなんだけど。

 あきらかに「できてない」役を見せられたあと、しいちゃんの歩いていたコースは、変わってしまった気がした。

 アンリ役でついた変な癖……それまでの「きらきらしいちゃん」にはなかったいびつさを持ったまま、『猛き黄金の国』があり、『愛燃える』があった。
 そして、『猛き黄金の国』ではキムが新公主演をし、彼の勢いがよくわかるよーになる。『愛燃える』から壮一帆が雪組に加わり、路線スターとして壮くんを押したい思惑が見えはじめる。

 キムは若すぎるため、今すぐ番手のあるスターに、という意志は感じられなく、「まず新公で地固め」という感じだった。
 だが、新公を卒業しようという学年の壮くんは、「かしげの次の番手」にしたい、バウ主演もさせたい、という風が強く感じられた。

 花組からやってきた壮くんは、「アンリを演じる前」のしいちゃんに、似た輝きと、涼やかさを持っていた。
 もちろんキャラも持ち味もチガウんだが、「雪組」として、番手スターに置きたいのはこーゆー子なんだな、と納得させるだけのカラーを持っていた。

 壮くんに押し出される形で、星組へ組替え。
 ふつー組替えしたら優遇されるもんなんだが、なんと組替え先では下級生の真飛聖の下に配置された。

 もう、路線ではない、と。
 宣告された。

 ……よく、辞めずにいてくれたと思う。
 大抵のジェンヌは「路線」と呼ばれたコースから外されると(外される気配があると)、退団してしまうものだから。

 下級生の壮くんに押し出され、下級生のまとぶんの下に置かれ、さらに下級生の柚希礼音に追い越され。

 立場が、立ち位置が変わっていく中で、しいちゃんの持ち味は、舞台上のキャラクタは、けっこー迷っていたと思う。

 本来のしいちゃんはきらきら太陽キャラだ。ぱーっと輝くお日さまだ。

 本来、いちばんその輝きで成長し、ファンも増やすべき時期に、身の丈に合わない役を全霊を挙げてやりすぎて、停滞してしまった。
 本来はお日さまなのに、月とか陰とかを求められ、本来は若者なのに大人を……おっさんを求められ、咀嚼できなくなってしまった。
 もともと器用な人ではないんだろう。
 できないならさらりとかわして、その役のときだけ身を潜めていればいいのに、本来の自分を見失うくらいがんばりすぎてしまった。

 もう、なにも知らなかった頃のきらきら青年には戻れない。それに、きらきら青年ポジには壮くんが入ってしまったし、さらに若いキラキラ少年ポジにはキムが入ってしまった。
 同じきらきら若者路線では、居場所がない。しいちゃんは、大人になるしかない。だけど。

 大人にならなければならないからって、簡単に大人になれるのか?

 たしかにもう、ロケットボーイやっていたときの無垢な輝きはないものの、本来の持ち味、魂のカタチってのは、あとから簡単にどうこうできるできるもんぢゃない。
 どっちつかずのまま、星組へやって来て。

 れおんくんと組まされることによって、必然的に「兄貴ポジション」を負わされることになる。
 きらきら若者だけど、年長さん。兄貴。

 太陽属性は変わらないから、悪役はできない。いい人役は得意。年長のきらきら笑顔のおにーさん、で落ち着き掛けたときに、汐美真帆退団、彼が担っていた「大人の二枚目系立ち役」という役目が、しいちゃんの肩に掛かる。

 や、だから、大人は苦手なんだって。しいちゃんはフェアリーだからトシ取らないし。彼は永遠の青年なのよ?

 最初のうちは試行錯誤……ってゆーか、ぶっちゃけ足りてなかったでしょう? 「立ち役」として。

 だけど、そのときの星組で、求められているのはこのポジション、この役割。
 雪組から異動になったとき、しいちゃんのいた場所に、しいちゃんが失った持ち味を持った子が入ったように。組に求められている役割を果たすことの出来るモノが、そのポジションを得られることは、周知の通り。

 素は美しい女性が老人の役をやるタカラヅカだから、大人が大人らしいわびしさを持たなくても許される。「大人」じゃないのに、大人の役をやり、「しいちゃんってやっぱ若いなあ」と、それでも愛されてはいた。

 しいちゃんの魅力のひとつは、「大人にならないこと」だった。

 いつまでも青年。いつまでも青春。いつまでも、太陽。

 ロケットボーイで彼に出会ったわたしは、「かわいい年下の男の子」として、しいちゃんはダイスキでずっと特別だけど、ある意味「恋愛対象」ではなかった。
 かっこいい~~、きゃ~~、と思いはしても、それはテレビのアイドルに対するような感覚で、大人のわたしがリアルに恋をする対象ではなかった。

 や、ジェンヌは架空の存在なので、リアルにどうこうっつーのも変だが。そのへんの揚げ足は取らないで。

 しいちゃんは変わらないのだと、わたしは思い込んでいた。
 
 これだけ立ち役を求められてなお、『フェット・アンペリアル』のウィリアムをそのまんま演じられてしまうような、永遠の青年なんだと思っていた。


 それが、どーしたこった。
 永遠の青年が、大人の男スキーなわたしの恋愛対象にはならなかったあのしいちゃんが、立樹遥が、今、大人の男だ。

 ダイスキ、で済んでいた、きらきら太陽の若者が、ときめき焦がれる対象である、大人の男になっている。

 太陽キャラであることは、ショーを見れば明らか。
 それでも、太陽でありながら、それだけではない魅力を得ている。

「しいちゃんはいつ、大人になったんだろう?」

 今、彼の卒業を前に、それを考える。
「で、カップリングは誰と誰なの?」
 久しぶりというか何年ぶりかに会った友人が、開口一番こう言った。

 あー……ほんとに、久しぶりなんだな、こーゆーの。
 ほんの数年前までみんな、わたしに会うたびこーゆーことを聞いてきていた。
 別にわたしの意見に同意する気なんかまったくなく、ただ興味本位で聞くの。そして「そんな風に思うの、こあらさんだけだわー、ありえなーい(笑)」と言うのをたのしんでるのよ。「こあらビジョン」とか勝手に名前を付けて、「ふつうの人とはチガウ、歪んだフィルター」と決めつけて。

「ああ、アレは主人公とそのライバルの、壮大な愛憎劇だったわ」とか。
 わたしはドラマ・ヲタクでもあるので、いろんなドラマをわたしなりにかみ砕いて解説するんだけど、それをみんな「こあらビジョン」と言って、「別物」として楽しんでるの。……別物じゃなーい、同じモノを見て同じモノを語ってるんだってば。

 「こあらさん、どれだけありえない、変なことを言い出すのかしら」と、期待して聞いてくる。
 いやあの、わたしは別にウケを取りたいわけでも、「わたしってこんなにヒトとチガウのよ、ふふふ」と言いたいわけでもなく、ただ、腐った話をしたいだけなんだがな。
 たぶん、ヲタク属性の女子となら、話は通じると思うんだけど。
 ヅカ友に腐った人がほとんどいないせいで、今では語ることもなくなってしまった……。

「カップリングは?」と聞かれて、なつかしさに胸がアツくなったよ。
 そうよ、そうなのよ、緑野こあらといえば、腐女子でしょうが。腐った話をしてナンボでしょうが。
 なのにもう、リアルでそんな話ができなくなっているのよ、友だちいなくて!!(笑)
 ブログでは腐女子注意報話やってるけど、リアルではしてませんから、わたしが大人になったわけではなく、単に話せる人がいなくて。オレ、友だち少ないしさ……。

 友人で唯一腐っているのは、某ゆみこファンなんだけど(本人は「腐ってないもん!」と言い続けているが)、彼女はゆみこ絡みでしか腐った思考をしないので、ふつーの腐った話ができないんだよなー。

 語っていいなら語るわよ?
 カップリング話するわよ?
 
 つーことで、某喫茶店で『My dear New Orleans』カップリング萌え話をしたんだけど、聞いて来た相手も他のツレも、「へー」「そんなこと考えてるんだ」となまあたたかい笑いを浮かべて感心するばかりで、同意せず。

 誰か同意してよ、わたしと一緒に盛り上がってよ?!

 あー、ヲタ友が欲しい……(笑)。タムドクが受か攻かで盛り上がれる花組ファンとか、どっかにいないですかね? べつにチョ・ジュド×ヨン・ガリョで盛り上がれる人でもいいっすけど。

 語りはしたけど、なまぬるく笑われて終わった、『My dear New Orleans』の腐った話。

 アルバート@すずみん×ジョイ@トウコ。

 ねえ、このカップリングは王道よね? 腐女子なら誰だって考えるわよね?
 真の少数派はライアン@みずきりょお×レニー@れおんとかよね?

 王道カプを語るのは、ちょい面はゆいとこがありますが。
 
              ☆

「ニューオリンズ1美しいクレオール? それってジョイさんのことですよね?(素)」

 アルバートはずっと、人知れずジョイを愛していた。てかもー、一目惚れだろ。有色人種差別が横行する中、彼はそんなもんまったくヘとも思わず乗り越え、混血のジョイくんにめろめろだ。ジョイ会いたさに店に通い詰め、常連客として店の人間におぼえられるほど、あからさまな傾倒ぶり。
 しかしシャイな彼は、ジョイ本人にはなにも言えずにいた。そしてまた、高嶺の花であるジョイは、自分目当てで店に来る客なんて星の数ほどいるので、いちいちおぼえてないし(笑)。

 いったんはあきらめて「もっとビッグになって迎えに来るんだ」と人知れず誓うアルバート。ニューヨークで根回しして、あとはお姫様を迎えるだけ、までしてからだよな、プロポーズは。
 ところがどっこい、帰路の途中で知った。ストリートヴィル閉鎖の話。
 それってつまり、高嶺の花だった姫君の家が没落したよーなもん?! 準備ができてないなんて言ってる場合じゃない。他の狼どもにかっさらわれる前にプロポーズしなくては!

 つーことで、大慌てでアルバート登場です、本編です。
 怒濤の口説き文句、怒濤のプロポーズ……もとい、NYデビューの話。
 初対面の男に口説かれて困惑しているジョイに「返事を聞くまでホテル取って待ってますから」と、ボディタッチ。やるときゃやる男だ、アルバート。

 最初は声も掛けられず、遠くから眺めているだけだった、僕のブラックバード。
 それがビジネス・パートナーとなり、ついには親友になる。
 回想シーンでは敬語だったのが、現在場面ではタメ口、しかもジョイの気持ちを代弁したり、いちいち親密ぶりを発揮。

 美しい妻を持った夫の自慢と不安がまんま表れてる気がしたんですが、現在場面のアルバート。
 ジョイの崇拝者エリック@ベニーにいちいち牽制掛けてるよね、アレ(笑)。ジョイを自慢しつつ、「彼のことはオレがいちばんよく知ってるから!」と。「オレたちの間には誰も入れないから!」と。

 アルバートとジョイのNY時代の話が、心から知りたいのですが(笑)。

 ルル@あすかを失い、傷心のまま旅立つわけですよ、ジョイ。
 アルバートに返事をしたときは、ルルも連れていくつもりだったわけだし。それがまさかのひとりぼっち。故郷を離れ、見知らぬ大都会で、戦いの日々。ああ果てしない夢を追い続け、ああいつの日か大空駆けめぐる。
 そんなジョイのそばに、アルバート。彼に惚れきってる王子様めいた美形紳士。

 ルルを想って酔いつぶれたジョイを部屋まで送り届け、その寝顔を見ながら小さく「Sweet Black Bird」を口ずさむアルバート。
 髪を撫で、涙のあとの残る頬をたどる指がせつなく震え、不意に彼は部屋を出る。
 その気配に目を覚ましたジョイが、肩に掛けられたアルバートの上着を抱きしめるように、静かに「Sweet Black Bird」の続きを歌う。
 届きそうで届かない、いちばん近くにいて重なることのないふたつの心。

 ……王道過ぎて気恥ずかしいほどの、ありがちなシチュエーション、ありがちなカップリング。

 敬語がタメ口に変わる瞬間とか知りたいんですが。
 どれほどの出来事を経て、ふたりの心が固く結びついていったのか。

 なにしろ芸能界モノですから、助平な音楽界重鎮じじいとか下心見え見え金持ちパトロン気取りのおっさんやマダム、トゥシューズに画鋲、礼拝に着ていく制服の色をわざと嘘教えたり、ありがち設定詰め込んで、いざサクセス・ストーリー。
 負けるなジョイ、そしてがんばれアルバート。

 ジョイはきっと一生独身だし?
 ルルを愛し続けるその心ごと、アルバートなら愛して包んで支えていくさ。

 ちょっと切ない、でもあまあまなラヴ・ストーリーになりますよ、ジョイとアルバート。
 ねえ?

 腐女子なら、誰だって考えるよねえ?

 ……つーことで、次回はライアン×レニーを語ります。(嘘です)
 今回の雪組公演、ショー『風の錦絵』はたのしかった。
 退屈しているヒマがないまま、テンション高いまま終わる。

 だけどわたし的に芝居『ZORRO 仮面のメサイア』に魅力を感じられなかったため、リピート意欲はあまりわき上がらなかった。

 『ZORRO 仮面のメサイア』は別に、悪くない。罪のない娯楽作品だと思う。が、どうにもつまらなくて、2回目からテンションが落ちた。1回目はいいんだ、1回目は……。コレもアリだろう、と思えるから。
 『愛と死のアラビア』とどっちがマシかというと……うーんうーん、どっちだろ? というレベル。

 つってもこれは、ヅカではありがちなことだ。嘆くほどの駄作だとは思っていない。薄くて軽くて整合性はなくて雰囲気だけで通して見た目だけ派手で、植爺作『ベルサイユのばら』から嫌悪感を取り除いたよーな作品。
 娯楽作品として初見のお客さんを喜ばせるのに適していると思う。 
 雪組は前回の公演が「初心者お断り」なトンデモ作品だったので(笑)、バランスは取れているのかもしれない。

 しかし2公演連続、「ショーは観たいけど芝居は……」な構成で、ショーが30分、つーのはすごいなヲイ(笑)。
 
 『ゾロ』は物語が粗だらけなので、リピートするとキャラに感情移入がしにくい。初見で気はついても流せていた疑問が、繰り返し観ることでどんどん大きくなり、キャラの言動やストーリー展開に納得できず、あちこち足を取られたり水を差されたりするので興醒めして困るんだよな。
 正塚やオギー作品は反対に観れば観るほどキャラに感情移入して、物語にどっぷりハマって行くんだけどなー。
 谷せんせもキライではないので(好き嫌いで言えば好きだ・笑)、作品によってはどんだけ粗があっても入り込めるので、『アラビア』も『ゾロ』もわたしとは相性が悪かったのか。……最近谷作品で好きだと思えるモノがあまりナイ気がするんだが……合わなくなってきちゃったのかなあ。わたしも変わっていってるわけだし。

 リピートしつつ、「感情移入できないなあ」と引いたキモチで眺めていたんだが。

 とりあえず、メンドーサ@ゆみこが光っていた。

 わたしはあまり、ゆみこちゃんから「光」を感じることはないんだ。
 スターにはいろんな持ち味があり、魅力がある。ひとりひとり顔が違うように、個性はみんなチガウ。

 ゆみこちゃんは太陽と月なら月の魅力、陰の魅力を持つ人で、明るすぎないところがイイと思っている。
 闇や狂気を演じることはできるが、毒を持たないという、稀少な持ち味。や、ふつー闇属性の人って毒があるからさ。

 今回のメンドーサ役は、悪役。
 ほんとにもうただ、「悪役」。
 いっそ世界征服でも企んでくれりゃー記号として突き抜けるんだが、それすらなく、「実はいい人なんです★」という安っぽいオチまで用意された、どーしよーもない悪役。

 最初はその記号としての「悪役」の「弱さ」が気になった。
 せっかくわかりやすい、安い悪役なのに、なんでこう「弱い」んだろう。もっとオイシイ役だろうに、埋没気味だ。

 某ゆみこ担の友人はいつものよーに「ディエゴ@水さんを愛しすぎている」と評していたが、わたしにはそんな風にも見えない。
 これは脚本が悪いんだが、ロリータ@となみちゃんを愛しているようにも見えないし、メンドーサっていったいナニがしたいのかなと。

 そんな感じだったんだが。
 3回目に観たときに、メンドーサ氏が発光しているのを見た。

 廃坑の牢獄でいちばんのわるもの@ハマコに撃たれたあとの、メンドーサ大佐。
 ホゲ様@『太王四神記』で言うところの、「もうオレは後戻りできないんだ~~!」の場面ですな。

 撃つ必要がないのにわざわざハマコがメンドーサを撃つのは、ただの「作者の都合による、消去法」であって、それ以上の意味はない。

・ディエゴとメンドーサを幼なじみにした。(これが無理ありまくりのアホ設定)
・メンドーサは悪役なので、死ななければならない。(大前提)
・悪役を懲らしめるのは正義の味方・主人公ディエゴの仕事。(大前提)
・でも、ディエゴに友だち殺しはさせられない。(大前提)

・ゆえに、メンドーサは別の人間に殺されなければならない。(消去法により、消極的に決定)

 という事情により、ハマコが脈絡なくメンドーサを撃ち、「もう助からない、時間の問題」な状態にし、正義のディエゴが「トドメを刺して楽にしてやる」という結果に落ち着いた。

 その、最後の悪あがき、「ディエゴがトドメを刺しても悪く見えない」ように、とにかくあがかなければならない、「演出家の都合が見えて大変」な場面にて。

 あがくメンドーサが、発光して見えた。

 作品のわけわかんなさ全部背負わされて、「それって変じゃない?」な部分をすべて「メンドーサはそーゆー人ってことで」「メンドーサが変だからってことで」と押し付けられて、主役と戦って死ぬならまだしも、物語的にちゃんと描く気もないてきとーな脇役に射殺されて終わる。
 その、彼が背負わされた「大変だな、ゆみこ……」といういろーんなことを全部、打ち消す光を、発していた。

 戦いがすべてだと言っていた男が、最期を悟った戦いで、彼ひとり光っているのが見えた。
 その光が、すべてを肯定していた。
 メンドーサという男を。
 彼の人生を。言動を。

 最期の戦いで発光する、そういう男だからこそ、今までの言動があったんだ。

 そう、すこんと納得させてくれた。
 そして、そんな風にしか生きられない……存在できなかった、メンドーサという男が、哀れだった。

 他の生き方があったのかどうかはわからない。可能性を探すのもおこがましい。
 彼は今、彼の生きていた道の集大成として、彼自身の力で輝いている。

 だからもうそれで、いいんだ。

 
 谷脚本のアレさを、その演技でねじ伏せてしまうなんて、すげえなあ、ゆみこ。
 そして、あの切ない、哀しい……されどまぎれもなく男らしい光を発することができるなんて、すげえなあ、ゆみこ。
 純粋に「真ん中」向きの光り方ではないんだが、いろんな魅力があってしかるべきタカラヅカなんだから、この光もまたたしかに、「スター」の輝きのひとつだと思う。

 メンドーサの演技が「前へ」出てきた分、ベルナルド@キムの最期の演技はおとなしめになっていると思う。初日に狂気全開でえーらいこっちゃだったキムくんは、ちゃんと「3番手」の演技になっていた。
 そして、このふたりの間に立ち、彼らの演技と渡り合うディエゴ@水くんは、下からがっつり支え、ふたりの最期の場面の輝きを前へ放つ役割をしている。
 主役級の男たち3人の、そーゆーバランス感覚もすばらしい。

 
 んで、最後に、つまらんことではあるが、気になること。
 『風の錦絵』のゆみこ&ミエコ先生場面「風の盆」で、ゆみこちゃんが「~風の盆♪」と歌うなり、舞台の盆が回り出すのが、ひそかなツボだ。初見ではツボ直撃して、どーしよーかと思った(笑)。

 『ゾロ』の、くだんのディエゴVSメンドーサの、感動場面にて。
「ゾロ……教えてくれ、オマエの正体を」
「その正体は……オマエが思っている男だ」
「やはりそうか」
 で、絶命するメンドーサ大佐。

 ついここで、

「やはりそうか……バスティアーンだな……(絶命)」

 とかだったら。

 誰っ?!

 って、その場にいるモノ全員凍り付いたのにな、と。
 メンドーサが誰を想定していたかなんて、誰にもわかんないし?

 ……パロディのネタ……てゆーか、ツッコミを考えずにはいられない、ステキ作品ってことで。
 『風の錦絵』『ZORRO 仮面のメサイア』千秋楽は、いろいろとサービス&お遊びがあり、たのしい公演でした。

 退団者にとっても大劇場最後なわけだけど、明日組替えになるかなめくんにとってはまさにこの日この公演が「雪組最後」なわけで。
 退団者にはまだ東宝があるってことで、まずはかなめくんへのお別れ度が高かった気がする。

 ショーでかなめくんにだけ、桜吹雪が舞ったり。芝居で水しぇんと余計に絡んだり。
 桜吹雪が落ちてきたときの、かなめくんのぱぁああっとした笑顔(笑い含む)が印象的だ。アレ、素の顔だよね?
 しれっとした顔でオリバレス総督@かなめとディエゴ@水しぇんが腕絡めて踊ってるのも、すごいたのしかったけど(笑)。

 本編終演後のカーテン前では、かなめくんの組替え挨拶を見たナガさんが「大きくなって……」と涙ぐんでるし。この挨拶で涙ぐむって、どんだけおぼっちゃんだったんだろう、と軽く不安になりつつも、微笑ましい(笑)。
 たしかにとてもしっかりと感謝の言葉やこれからの意欲を述べていて、「おお、テルがちゃんと喋ってる!」と感心もしたが。
 ……そっから先、なにか急に話を振られるたびに、「星組観に来てください」としか言わなくなったのは、やっぱテンパってたんだろうなあ。最初の挨拶で口にしたとき、客席にウケて大きな拍手をもらったのはたしかだが、そのあとそれしか言わないって、前半部分の「組長を感激させた、しっりした挨拶文」は全部吹っ飛んで、最後のフレーズしか彼の中に残ってなかったんだろうか?(笑)
 ナガさん、「やっぱり変わってない……」と内心思ったかも? いや、あのヘタレっぷりがかなめくんの魅力のひとつかと(笑)。
 

 千秋楽だからこそのサービスというかアドリブは、多分ピンク・ディエゴ様の場面に集約されるであろうと油断していたので、オープニングの仮面なしゾロがゾロゾロには、驚愕した。

 結局この公演4回観たのかな。新公入れると5回。1ヶ月公演でこの回数ですから、週1でムラ通いです。……今年の観劇回数が、去年の同時期回数を上回っているんでおとなしくしたいんだが……。

 んで、4回目ともなりゃ、オープニングでオペラは使いません。
 初日はわくわくオペラで観ていたけれど、どーせ覆面で顔見えないんだし、おとなしくダンスを眺めていようと。

 つーことで、オペラを使う気もなく大階段に登場した水くんをぼーっと眺めていて、その周囲にゾロがゾロゾロ現れて、彼らが本舞台へ降りてきた頃、別になにも考えずにオペラをのぞいた。

 ゆみこの顔が、そこにあった。

 はうっ?!
 思わず、オペラを外す。

 なんだ?
 なんか今、チガウもん見えたような?

 オープニングは覆面、という思い込みゆえに、アタマがついてゆかない。

 もともと回転が遅いのにその上加齢もありさらに鈍くなってるアタマが、目で見たモノと先入観との差異に警鐘を鳴らす。

 必要なのは、柔軟な思考。敏速な行動。
 「こうであるはずだ」という思い込みが、実際の情報を正しく咀嚼するまでにコンマ何秒か阻害した。

 いきなりゆみこのアップを見てしまい、びびったのなら、そのままオペラで周囲を確認するべきなのだ。なんでオペラ下げちゃうかな。
 あわてて再度、オペラを上げる。

 顔が見える。
 水しぇんもゆみこちゃんもキムくんも、みんなみんな、覆面なしだ~~!!

 素顔のゾロがゾロゾロ!!

 ぐわーーっとテンション上がった。
 てゆーかなんで客席騒がない? ヅカは静かに観劇がお約束だが、それにしたってここは「思わず歓声」の場面ぢゃないのか??
 星組なら大騒ぎだな……と思いつつも、「そーいや『エリザベート』のときも、水ハマの渾身の千秋楽アドリブだったのに、客席がしーんとしていてしょんぼりしたって水くん語ってたっけ」と思い出す。組ファンにもカラーってあるから。雪組は拍手も少なめ、歓声なんかもってのほか!の組だ、昔から。

 周囲の反応はともかく、遅ればせながら渇望してオペラに食らいつく。
 素顔のゾロがゾロゾロですよ、もーどこ見ていいかわかんないっ。みんなめっさかっこつけて、「オレってセクスィ」って顔して踊ってる!!

 ……やー、最初に爆弾来ちゃったなー(笑)。
 わたし的に、いちばん大きかったっす、千秋楽アドリブの中で。

 芝居の一場面まるまる、出演者全員でこーゆーことができる、やっていい、という自由さにも感動した。
 
 ピンク・ディエゴさんにももちろん、笑わせてもらったけれど……水しぇんのお笑いアドリブは、彼の生真面目さ、一生懸命さが伝わってくるので、腹を抱えて笑うというより、「水しぇんのこーゆーとこ好きだなあ」と思う方が強いっちゅーか……ごめんよ水くん、うがちすぎだよね。

 
 『ゾロ』の最初にどかんと来て、これ以上のびっくりはないだろうと思っていたら。

 となみちゃんサヨナラショーのレイチェル@キムで、さらにびっくりした(笑)。

 なんか祭りな感じの千秋楽だった。

 となみちゃんサヨナラショーは、ワンマンショーというより、組全体のお祭りみたい。
 となみちゃんはきれいで、神々しくもあり、とてつもなくキュートでもあり。

 そしてそこまで完璧に「娘役トップスター」「夢の世界の姫役者」姿を刻みつけておきながら、最後の最後、草履が脱げるあたり、すげえよ白羽ゆり、完璧だ。
 繰り返されるカーテンコールの、幕が下りる最後に奥へ戻ろうとして……草履が片方、舞台に残された。

 あの、「え?」という、出演者たちと、客席の空気。
 とくに水しぇんの顔(笑)。

 うおおお、かわいい~~っ!!

 ありがとうとなみちゃん。恥ずかしがるとなみちゃんもめっちゃかわいいし、水しぇんのかわいい顔も見られた。

 歓声と、拍手と。
 みんな臆せず立ち上がって、心からの拍手を送っていた。

 いい千秋楽だった。
 東宝もがんばってくれ。ちぎくんの総督も見たいよなあ。

「星組観に来てください」と繰り返すのみのかなめくんも、がんばってくれ、観に行くからね。

 
 えーと、あと、個人的に。
 谷みずせの挨拶が、しっかりとした男役声で感心したことと……ナガさんのお話中にあった、『さすらいの果てに』の役が、オーディションで勝ち取ったものだということに、おどろいた。
 そ、そうか……あの役、オーディションで選ばれたんだ……そうだったのか……。
 なにがどう、ぢゃないけど、谷やん好きだったよ。
「舞台でがっつり絡む、ゆみことキムが見たい」

 と、ゆみこファンの友人が、常々言っておりました。
 せっかくゆみこが雪組にやってきたのに、ゆみキムって芝居でまったく絡まない。ふたりともいい芝居する人たちだから、それでいて持ち味正反対だから、この人たちが本気で向き合ったところを見てみたい。

 『風の錦絵』『ZORRO 仮面のメサイア』千秋楽、となみちゃんのサヨナラショー。

「nanaタン、nanaタンの希望が叶ってるよ?!」

 思わず、友人に会うなり言っちゃいましたよ、まさかのゆみキム!

 相変わらずのチケット難民、当日券に並んで無事観劇できました、雪楽。その、雪楽1回限りのとなみちゃんサヨナラショー。
 はじまりは、『ベルサイユのばら』のアントワネット。

 わたしは『ベルばら』キライだし、いつだってもう二度と見たくないと思っているけれど、『ベルばら』曲のイントロが流れると、血が沸き立つのは何故だ。
 何故だ、って、答えはわかってる、ヅカファンだからだ。もうDNAに刻み込まれている感じ。どの曲であろうと『ベルばら』曲を聞くと「うおおお、タカラヅカだ~~っ」と思ってしまう。
 派手なんだよな、『ベルばら』。問答無用の求心力。
 良くも悪くも、「タカラヅカ」。功と罪を詰め込んだ大作。

 その「タカラヅカ」な曲が似合うとなみ姫は、まちがいなくタカラヅカ娘役トップスターだ。

 イントロののち幕が上がるとそこには、アタマに船を飾った、アントワネット@となみちゃんが!

 船。
 アタマに、船。
 史実であろうとなかろうと、ただ純粋にだから。アタマにお船載せてるなんて、人として。
 その「変」であるはずの飾りを付けて、それでなお、変だと思わせない、となみ姫の美貌に感服。

 タカラヅカは、夢の世界である。非日常である。
 わたしたちを問答無用で夢の世界へ、非日常へ連れて行ってくれる人こそが、「タカラヅカ・スター」である。

 となみちゃんはまちがいなく「タカラヅカ・スター」だ。

 サヨナラショーがはじまる前のナガさんのお話だったか、先にとなみちゃんが船をアタマに載せてサヨナラショーに出ることを報されてしまったので、インパクトは幾分そがれたが、それでも実際目にすると、すごい。
 星組『ベルばら』当時も見ていたけど、あれは公演の中で、オープニングのコテコテ祭りの中だったからなあ。
 誰もいないあの広い舞台にひとり立ち、銀橋渡ってOKの大輪の薔薇っぷりは、すげえのひとこと。

 となみちゃんが銀橋渡っているときに、本舞台では3組のデュエット。
 退団者+組替え者+退団同期+2番手。
 ゆり香さんが泣いてるのがよくわかる……てゆーか彼女はフィナーレでも大泣きしてたけど。感無量だなあ。

 ゆみこ、テルと出て、次は水しぇんひとりで銀橋……あああ、『カラマーゾフの兄弟』好きだー。やっぱ音楽は大事だよなあ。
 水となデュエットで、次がたしかとなみちゃんひとりで「私だけに」。

 アントワネットに、エリザベート。このふたつを演じられる姫役者。
 非日常っぷりが半端ナイ。

 その余韻にひたっているときに……さらに、とんでもない非日常が。
 
 銀橋に、アルガン様@ゆみこ登場だ~~!!

 アルガン様だ、アルガン様だ!! ミーチャ@水しぇんよりも、テンション上がった。アルガン様好き~~! まさかもう一度会えるなんて。
 アルガン様、ノリノリです。『君を愛してる』最後の結婚の歌。
 そうしているうちに、下手に……レイチェル@キム登場。

 キム~~!!(笑)
 ゆみこ、テル、水しぇんと出てまたゆみこで、キムなにしてんの? と思ってたら……。

 女装するために、スタンバッてたのか!!

 ワタさんサヨナラショーのとき、トウコちゃんがアイーダを演じるためにその他の場面に一切出なかったように……キム……。

 キムはかわいこちゃんですが、何故か女装が似合いません。演出家のおじさんたちがどう思おうと、わたしには「女装はやめとけ」な人に見えます。
 そのキムくんが、その女装の似合わなさ全開に、どすこいどすこいアルガン様に迫るからさあ大変。
 アルガン様逃げて~~!(笑)

 ああまさかの、ゆみキム。まさかのカップル。

 キム、ソプラノがんばれ。声量ナイけど、笑顔は満点で歌ってます。

 そーやって大笑いさせておいて。
 本舞台のカーテンが開くとそこに、『君を愛してる』のときの面々が。

 アルセスト@かなめ、セリメーヌ@さゆ、その他サーカス団のみんなが、あの衣装、あの姿で歌っている。笑っている。

 とんでもない色彩の、だけどとびきりかわいい衣装。愛と夢を真っ向からウザいくらい歌い上げた、あのかわいいしあわせな作品。
 レオン牧師@ハマコも満面の笑顔。ああ、クレアント@ヲヅキも、わざわざ髪型センターパーツにして若ぶってるよ~~……って、アレ?

 クレアントの嫁が、かおりちゃんぢゃない。

 ヲヅキがエスコートしてラヴラヴしてるのは、ゆめみ姐さん。な、何故?
 かおりちゃんを探すと、下手のもっと端の方にまざっていた。

 ……路線以外は学年順ですか……。
 ゆめみちゃんはとなみちゃん同期だし、真ん中で見送らせてあげたいのもたしかだが、しかし、舞台の再現している場面なんだから、ふつーに役の再現して欲しかったかも……。ゆめみちゃんは単体で舞台中央にいれば済むだけのことだし。なんでかおりちゃんをわざわざあんなところへ……。

 ちょっと鼻白んだが、みんなの満面の笑顔にそれどころじゃなくなる。

 この場面ってコトは、つまり。

 そう。

 ジョルジュ@水とマルキーズ@となみの、ハッピーウェディングだ!!

 みんなに祝福され、登場したふたりの銀橋キス。最後のブーケ投げ、ブーケはサーカスの女の子@みなこの腕に。うわお。

 光。
 なんかもお、めちゃくちゃに、光。
 きらきらしている、輝いている。

 なんてところだろう、ここは。

 愛がなければ死んじゃうよ、と本気で歌っていいところ。直接的に、シンプルに。
 たのしいたのしいたのしい。

 舞台の上の美しい人たちは、みんなきらきらたのしそうに笑っている。カップルたちは肩を寄せ合い、微笑み合っている。
 合同結婚式ではないので、今回はアルセストとセリメーヌはふつーに私服でまざってる。肩を抱いて揺れている。
 愛がある。愛してる。そんなあったりまえでこっぱずかしいことをあったりまえに表現している。

 この日を最後に星組へ組替えになるかなめくんは、幕が下りる寸前、ヲヅキと微笑みをかわしていた。
 同期を見送るために女装して、お笑いに徹したキムはひたすら笑っている。

 水しぇんはとなみちゃんを姫抱っこして、みんなが祝福して。

 なにもかもが美しくてたのしくてしあわせで……泣けて仕方がない。

 ほんと、ダイスキだった、『君を愛してる』。最後にまた、この幸福感を味わえるなんて。
 ……『君愛』でいちばん好きなキャラはフィラント@キムだっのたで、フィラントがいないことは、けっこー残念なんですが……。

 まあ、あのレイチェルは、フィラントが余興で演じただけだと思ってますが。
 ジョルジュとマルキーズの結婚を祝うために、フィラントが悪ノリしてるんだよね? 巻き込まれたアルガン様大変(笑)。

 しんみりしっとり端正に、ではなく、しあわせなお祭りとして幕が下りる。
 全開の笑顔で、幕が下りる。

 しあわせだ。
 さあ、最後の戦いだ、ラスボスの本拠地だ。
 ……というのに、主役@まとぶ以外に誰も見せ場がない、つーのはどうなんだろ? ラスボス@えりたんにすら、見せ場がない……。

 演出的に力尽きた感ありすぎ(なかったのは、時間? 気力?)だが、まあとにかくわけわかんないまま終わる、『太王四神記』ラストシーン。

 神器が4つ揃った、と、守り主が1列に並んで神器を見せるところが好き。チョロ@めおくん、チュムチ@まぁくんと共に、ヒョンゴ@まっつが並んでいるのは、なんか愉快。
 他の人たちは体育会系の肉体派にーさんたちだけど、杖持ってる年長のおにーさんだけはチガウのよ、文化系なの~カラダに自信ナイのよ~、と、並びの違和感がいいの(笑)。

 しかしタムドク、勝手に「神器を渡す」とか言い出して……守り主に断れよ。(前もって断ってあったんだろうが、なんだかな)

 ここでも戦闘シーンになるわけだが、やはりヒョンゴは戦わず。一旦下手奥へ行ったあと、また中央へ戻ってくる。
 そこで彼の最後の台詞、「ファヌン様は弓で黒朱雀を射た。どうなさいます?」になる。

 冒頭の語り部まっつがクールに明瞭に、しかしひそかにシャウトしていた「ファヌン様は天の弓を射た!」と呼応する台詞。
 語り部のときとはちがい、今は愉快なヒョンゴであるわけだから、あわあわとしたヘタレっぽい物言い。
 困るよねえ、実際問題、仲間に弓兵いないし。ここでタムドクに「よし、では弓を持て」とか言われたら、軍師様困っちゃうよねえ。

 ない物を出せと言われるより、ある物をよこせを言われる方がマシ?
 ない弓を使うよりも、大切な神器を差し出すことになって、タムドク様のためならエンヤコラなヒョンゴ的には助かったのかな?

 チュシンの王となって世界を救うより、自分の女ひとり助ける方が大事、とのたまうタムドクに従って、守り主たちはおごそかに神器を差し出す。

 最初から最後までずっと持っていた杖だから、これを取り上げられてしまうのは、見ている方もけっこう残念だったりする。
 杖をセリの上に載せるあたりまでしか、まっつの顔はあまり見えない。
 その後のどっかーんはライト暗いし、みんなキハ@彩音ちゃんの方を向いてるしで。

 そして、まったくもって謎のまま、クレーン起動でハッピーエンド。
 なにもかも中途半端、投げ出したままなのになんで終幕なのかわかんないが、とにかく終わってしまうらしい。
 暗い中、背中しか見えなかったタムドク軍たちは、クレーンを見守って両側に一列に並ぶ。

 上手は女の子率が高く、チュムチとタルビ@すみ花カップルがいることもあって、華やかだ。ラヴラヴぶりが微笑ましい。
 一方、ヒョンゴのいる下手は……むさ苦しいな。
 おっさん率高い……。

 下手はみんなそれぞれ自分ひとりで納得して去っていくので、「最後のお楽しみ」がない。
 脚本にない部分でナニかしてくれたら、「誰と誰が仲良かったんだ」とか思えるかもしんないのに。

 照明の関係で後方からだとほんとシルエットしか見えないんだが、前方席なら表情までかろうじて見えるかな。
 ヒョンゴは、笑っている。
 リラックスした笑顔で、満足そうに笑っている。

 最後まで……下手袖へはけていく最後まで、笑顔のまま。

 こんだけ笑ってるまっつってのも、すごいよなあ。
 なんかすごい数のまっつ笑顔を見た気がする。

 
 本編でとにかく三の線だったもので。 
 フィナーレの黒尽くめ男たち群舞、玄武ファイターズですか、コレの破壊力がすごすぎて。

 ここはみんなみんなかっこいいし、特にゆーひくんのかっこよさはハンパないっちゅーかもー、こんだけかっこいい人が2番手で場を締められる花組のゼイタクさに感激していたんだけども。
 心からゆーひくんをかっこいいと思い、その姿をガン見したいと思っているのに……。

 まっつしか、見ていない。

 階段をぞろぞろ下りてくるところから、まっつロックオンですよ。
 無表情に、クールに、アンニュイに現れる姿を堪能ですよ。

 舞台に降りてきてからも、フォーメーションとか立ち位置とか、さっぱりわかりません。
 オペラでまっつひとり捉えているので、周囲のことがナニもわかりません。

 ただもお、阿呆のよーに、まっつ眺めてます。
 激しい、熱いダンスと、クールなまっつ。小柄で華奢で、「男役」として不利な体格であるにも関わらず、ひたすら鋭利に輝いて。

 かっこいい。

 まっつが格好良すぎて、他を見ている余裕がないっ。
 他のみんなもカッコイイことはわかっている。見たら絶対楽しい、うれしい。それがわかっていても、見られない。

 わたしはまっつから目線をもらったことはほぼナイと言えるけれど(客席釣りしないわけでもないらしいが、わたしはどんな前方席でまっつのみガン見していても、目線もらったことナイ)、それでもまっつの目線が真正面に来る位置に坐る場合はある。
 この玄武ファイターズで、舞台全面で踊るまっつが真正面に来る角度で、ええっとあれは3列目にいたときか、こっち見て踊られた日にゃ、昇天しかかりましたね……はうう、素敵過ぎる。

 場面自体がそうなんだけど、エロいんだもん。クールでドSなエロ気。近寄るものすべて斬り捨てそうな美しさ。

 クール・ビューティ。
 まっつを表す言葉のひとつであるけれど、改めてソレを噛みしめたわ。

 まっつを見て、まっつだけを見て終わる……ことはもう、宿命として、神器が光って宙を舞うくらいどうしようもない運命としてあきらめるとして。
 しかし、他の人も見たいと思うキモチも、本当で。

 なんで、まっつなんだろう。まっつさえいなかったら、ゆーひくんガン見してるのに! 玄武ファイターズゆーひを見ることが出来ないなんて、くやしすぎる!!
 みわっちが見たい、えりたんが見たい、でもって実はすごくマメが見たかったりするんだけど、うおお、なんで全部ひとりひとり見られないの?!

 や、回数は見てるんですが、「今日は誰を見よう」とか「どこを見よう」とか、思いはするのよ。多少はあちこち見るんだけど、結局はまっつ見ちゃうだけで。

 
 フィナーレの出番は1回だけなので、すごく寂しいっす。
 他の若者たちは2場面出てるのにさ。……つっても、あの若々しい青龍ディスコ(ディスコという名が相応しいよな?)に、まっつが混ざれるとも思ってません……み、みたかったきもするけどな……う、うん。

 
 パレードはヒョンゴ姿になって、スジニ@みわっちとふたり降り。
 2幕の軍師様衣装。ズボン+ブーツの上に長衣を合わせた姿。よかった、水戸黄門じゃなくて(笑)。
 歌う歌が何故か「ラッシャイラッシャイ」(笑)。
 みわまつコンビ好きなので、ふたりで登場がウレシイ。……ただ、ふたりの場合、下に降りると二手に分かれちゃって、一緒にはいられないんだよねえ。それは残念だ。

 まっつの両隣はプルキル@壮くんとヨン・ガリョ@組長。……濃い(笑)。
 ギラギラなふたりに挟まれて、可憐で薄いまっつが素敵。

 
 とまあ、今さらながらのこあらった目線のまっつ。
 なにしろポンコツ海馬のため「あれ、ここはこうだったかな?」と確認したくても、もう上演はしていないという……まちがっていても、まちがいっぱなしだな。まぁいいや。

 玄武グッズとか、コムル村制服まっつ人形とか作りたいんだが、素材がないんだよなあ。キューピーでも買ってきて、洋服作ろうかな。
 そんなこと言ってるうちに、すぐに全ツがやって来ますが……。

 いつもいつも、追い立てられて日々が過ぎる。助けてヒョンゴ先生。
 フッケ将軍@まりんが「タムドク様@まとぶんの嫁に、スジニ@みわっちを!」と言い出したときの、ヒョンゴ@まっつのとまどいは、……色気ねーよな。

 ムラで見たときより東宝の方が、さらに「愉快なおっさん」になってました。

 表情、動作がすべてコメディチック。
 フッケ将軍の台詞ひとつひとつにあわあわ。そして、黒朱雀云々を語るときは、眉を八の字にしたヘタレまっつ顔で。

 ここをシリアスに、重く演じる、という選択肢もあると思うが、どんどん軽くかわいくなるのは、そーゆー演出意図なんだろう。
 お笑いキャラ寄りのヒョンゴだから、スジニみたいなかわいい女の子を溺愛していても、色っぽい方向へ話が流れない。もう少し、色気を出してくれてもいいんだけどな(笑)。

 でもなーヒョンゴ。
 スジニの結婚話、アンタがぶち壊したんだよ?

 責任取れよ、男なら。
 
 と、外野的には思っちゃいますわ(笑)。

 フッケ将軍もさー、スジニに花嫁衣装着せるなら、タムタム相手じゃなく、ヒョンゴ相手にしちゃえば、なし崩しに思惑通りにできると思うんだけどなー。おっさん、詰めが甘いわ。ちっ。
 てゆーかフッケ将軍って、ヒョンゴのこと「自分寄り」だと思って、恋愛とかリアルタイムなことは対象外だと思ってるよね?
 失礼なっ、ヒョンゴはまだ現役よ、枯れてないわっ。たぶん。きっと。おそらく。……願わくば。
 だから「近所にひとりはいる世話焼き年配者」であるフッケ将軍、ヒョンゴにも春を(笑)。

 あ、でもここでみなさん、鎧ではなく私服になっているよね。
 ヒョンゴ先生は1幕の水戸黄門でもなく、コムル村の制服でもなく、さっぱりきれいな長衣姿。タムドク軍の軍師様っぽい衣装?
 この衣装は好き。イメージは大切よ、「軍師っぽい」姿はタムドク軍として対外的にも必要だから!(笑)
 
 
 てなことで、『太王四神記』まっつ語り。

 2幕は「タムドクのターン」「ホゲのターン」が決まっていて、ふたつがえんえん交互にやってくるというアレな作り。……イケコ、どーしちゃったんだ?

 次のタムドクのターンは、タムドク様不在のため、どさくさにまぎれて、ヒョンゴ0番。

 別に誰が真ん中でもいい、てゆーかみんなワンコーラスずつ順番に歌っていくよーな場面だから、ここでセンターでも意味ないんだが、それでも「うわ、誰でもいいからって、よりによってまっつだ!」とわかったときはテンション上がった(笑)。ありがとうイケコ。

 ターン制で平板な演出が続く中、ほんとどーでもいい場面なのに、実はけっこう好きだ。
 まっつが真剣な……ちょいヘタレ気味の沈痛な面持ちで美声で歌っている。

 それを眺める、幸福。

 んでホゲ@ゆーひのターン(サリャン@みつる死亡)になり、またすぐにタムドクのターン(タルビ@すみ花妊娠発覚)になる。
 ひとつ前の場面と同じ過ぎてどーってことのない場面だが、こちらは別に好きじゃない(笑)。
 ヒョンゴはただ出ているだけで、現れてすぐに引っ込んでしまう、モブ状態。
 そのモブなだけのヒョンゴさんガン見しているのも、どーかと思うが。

 
 そして、やたらかっこいいホゲ様進軍場面。
 そこへ現れるタムドク軍。

 タムドクと、彼の軍隊がずらりと並ぶこの場面は好き。なかでも実は、コ将軍@めぐむがすげー好きだったりする。彼がいることで、タムドク軍のアニメっぽさが増している気がする。

 はい、ここでもヒョンゴ先生はちっとも戦いません。杖持って走り回ってます。ヒョンミョン@だいもんも似たよーなもんだけどなー。

 なのに、いざというときは、何故か舞台中央にいる。
 チュムチ@まぁくんの白虎の神器発動!ってときに、倒れているチュムチの真横ではべっている。

 ええ、今回のまっつは、なにかと倒れている人の横にはべっているイメージ(笑)。
 カクダン@りせの横にはべっていたヒョンゴ先生は、チョロの横にもはべっているし、チュムチの横にもはべっていますとも。

 そして、さらに。

 火天会の矢に倒れたホゲ様。タムドクの腕の中で心の中のチェックリストに「レ」印打ちながら、言わなければならないことを順番に言って歌まで歌って昇天するホゲ様……の横に、何故かヒョンゴ先生、陣取ってます。

 息も絶え絶えホゲ様の横で、一緒になって苦しそうな顔をしている。眉は八の字、とってもヘタレなまっつらしい表情。てゆーのは、前に書いたテキストのコピペだったりするが、カクダンの最期より、シリアス度が高い。
 ホゲ様の死にも、すげー悲痛にうなだれる。
 別にホゲ様のこと個人的に知らなかっただろうけど、それでもホゲ様親衛隊のみなさんと同じ濃度で悲しんでます。ホゲ様命の親衛隊ナンバー1と2のイルス@マメ、チョク・ファン@しゅん様よりもベスト・ポジション確保して。

 ええ、今回のまっつは、なにかと倒れている人の横にはべっているイメージ(笑)。
 カクダン@りせの横にはべっていたヒョンゴ先生は、チョロの横にもはべっているし、チュムチの横にもはべっているし、ホゲ様の横にもはべっていますとも。

 この「気が付くといつもオイシイ位置にいる」のは、ヒョンゴ先生のキャラなの? なんの意図があってやっている演出なの、イケコ? あまりにいつも同じ位置にいるので、かえって変(笑)。
 単にタムドク軍での重鎮だっつーだけですか? 学年やポジション配慮?(笑)

 ホゲ様最期だから、もちろんホゲ様見たいし、ホゲ様命のふたり、イルスやチョク・ファンも見たいんだけど、それでもどーしてもヒョンゴ先生を見ている事実。

 
 そーいや先日、某ゆみこファンの友人が「ベルナルド@キムくんの最期をまともに見たことがない」って言っていた、『ZORRO 仮面のメサイア』において。
 一足先に死んで、舞台の上で動かないメンドーサ@ゆみこを見ているから。
「おなかが動いてるなー、と思いながら、ゆみこちゃん見てる」
 そう言ったあとで、「緑野さんだって、もしもまっつが舞台上で死んでる役だったら、まっつのおなか見るでしょ?!」と言い募った。主役たちの物語が、芝居自体のクライマックスが今まさに展開されているのに、それを見ないで動かない贔屓のおなかを眺めている歪さについて、決死の言い訳(笑)。

 もしも、なんていらん。
 舞台上で気絶しているバロット@『メランコリック・ジゴロ』のおなかを眺めていたさ!!

 経験済みだ、友よ。
 芝居のクライマックスそっちのけで、まっつのおなか眺めていたさ、オレだって!

 
 てなわけで、ファン心理ってやつぁ、どーしよーもねえな、と思いつつ、舞台にまっつがいればそこから視界は展開しないんだよ、どーしても。

 
 さあ、次で最後だまっつ語り、続く。
 ヒョンゴ@まっつは、タムドク@まとぶに絶対服従。ナニをされても、ただ従う。傷つけられても裏切られても、タムドクがすることはすべて、うれしい。

 と、どんどん視界がまちがった方向へ行っております、こあらった視点のまっつまっつ『太王四神記』
 だってタムドクってどう考えてもおかしいんだもん。おかしな人のまちがった行動に、うれしそーにしっぽ振って従っているまっつを見る以上、自分の中で整理をつける必要がある。
 忠誠を誓った、だからそれ以上の是非は考えない。……ヒョンゴはそーゆー人なんだと割り切るしかない。

 タムドクにか、あるいはヒョンゴにもう少しでも色気があれば、通常の主従萌えにも発展できたんだろうけど、残念ながらそんな楽しい色気は皆無だ、あいつら(笑)。

 さて、仮の王様になったタムドク。
 なにをしでかすかわからないタムタムは、今度は自分で神器探しをすると言い出した。
 ヒョンゴももう驚かない。言い出した瞬間だけびっくりしても、すぐに受け入れる。……だってつい今さっき、やらなくてもいい死刑を受けて、死んでみせたんだもんよ。ナニをされても驚くもんか。

 語り部のクール・ビューティまっつはナリを潜め、もっぱら「愉快なおっさん」ヒョンゴです。
 愉快なおっさんだから、とーぜん色気より、食い気。

「腹が減っては戦が出来ぬ」……格言めいた言い回しでも、結局ただの食い気ですから。ヒョンゴ先生別に、戦闘員じゃないわけだし。
 眉を寄せて、やたらイイ声で食い気を語るヒョンゴ先生がかわいい。
 ちゃっかり色気づいてるチュムチ@まぁくんを、すげー他人事の顔で笑うのも、変なキャラクタだよな、ヒョンゴ先生。
 いや、ここで「いいねえ、若い者は」てな感じで笑っているヒョンゴ先生はいいんだけど、あとで別の反応取るからさー。 
 
 ヒョンゴに「兵法を教えてくれ」とタムドクが言う、のが好きだ。

 よーく考えると、変なんだけど。
 コムル村ってナニ?! につながるんだけど。
 コムル村村長って、手相占いが出来て、兵法を教えることが出来るもんなの?
 タムドクはなんの疑問もなく「教えてくれ」って言ってるけど、ヒョンゴは村長なだけで、学者でもなんでもないんですけど?

 変なんだけど、好きだ。
 ふつーに「兵法を教えてくれ」「心して」になるのが。

 わー、ヒョンゴ先生、博識なんだー。軍師なんだー。かっこいー。きゃー。

 ヒョンゴ先生はなんかもー機嫌良くてねえ。誰かなにか言うたびににこにこ好々爺。
 コ将軍@めぐむ登場あれこれでも、やっぱりにこにこご機嫌さん。

 こんだけ笑ってるまっつ見るのも貴重かもしれないから、役とか作品とか関係なく、がっつり見ておくべきだなと思う(笑)。
 

 でもって、鎧。

 鎧姿のヒョンゴ見て、マジでうれしかったっ。

 ずっと、ずっとね、ヒョンゴの衣装はかなしかったの。わたし的に「かっこいい」と思える、「好き」と思える衣装がなくてね。
 一本モノなんだよ? ショーないんだよ? ずっとアレな衣装ばっかじゃかなしすぎる……と肩を落としているところだったから。

 黒尽くめの鎧姿を見て、一気にテンション上がった。

 まっつかっこいー!! きゃーー!!

 黒髪ロン毛に黒尽くめ。腰に剣。あああ、正統派にかっこいいわああ。……杖持ってるけど。

 で、相変わらずご機嫌さんなヒョンゴ先生は、増えた仲間たちの間でにっこにこしていて、フッケ将軍@まりんが登場してまたにっこにこしている。
 ……せっかくかっこいい鎧姿なのに……(笑)。 
 
 で、口に出して言うことは、「炊事係は来たのか?」……どんだけ食べることばかり考えてるんだ、このおっさん。
 ……せっかくかっこいい鎧姿なのに……(笑)。

 前のターンでチュムチが恋人タルビ@すみ花を語るときは、たのしそーに笑っていたヒョンゴだけど、ここでヒョンミョン@だいもんが初登場したタルビに鼻の下を伸ばしていると、思い切り絡むんだよね。
 その前後、ずーーっとご機嫌好々爺なだけに、一瞬の豹変がコワイ。他人事の顔して笑っていた人が、この一瞬だけ牙を剥くの。
 タルビを「可愛いじゃん」と言ったヒョンミョンに、スジニ@みわっちと共に足蹴りしたりピンタしたり、反応すごいよ。

 若者が恋するのはいいけど、コムル村の者はダメなのか? 単にヒョンミョンだからダメなのか?
 なんにせよ、この「別の反応」ぶりが、ヒョンゴ先生をさらに変な人にしている気がする……。

 タムドクもかっこいい鎧姿で登場、さあみんなでカンミ城だ!!
 ……で、進軍する彼らを乗せて盆が回るんだが、このときの歩き方っつーか、背中が好きだなー。
 なんかかわいいの(笑)。

 新調のお衣装で着飾って、音楽に乗っての堂々の進軍……なのに、この軍隊が、ものごっつ弱そうに見えるのは、どーしたもんかと(笑)。

 で、たどり着いたカンミ城。
 ヒョンゴはちゃっかりチョロ@めおくんにお手紙書いていたらしい。いろいろお仕事してるんだなー。

 でもヒョンゴの手紙は直接的すぎたらしい。
 やっぱ手紙っつーのは、「時候の挨拶にはじまり、チョロ閣下、そしてご家族様への尊敬、そして西百済への忠誠を滲ませながら、やんわりと」用件を告げる、くらいの回りくどさは必要かと。

 あまりにも単刀直入に「青龍の神器くれ」と書いたもんだから、チョロ様が「カンミ城もなめられたものよのう」とコブシ回して立ち上がり、槍を回して大活躍だよ。

 戦闘になったら、杖を持ったヒョンゴ先生はどうやって戦うんだろう、と思っていたら、ヒョンゴは、戦わなかった。
 逃げ回ってるだけ。
 素敵なのは、敵が登場したときに、あったりまえにスジニの背中にかばわれちゃってること。
 ヒョンゴが逃げ込んでいるわけではなく、スジニが自然と腕を広げて、後ろにいるヒョンゴを守ってるのね。
 かっこいいなあ、スジニ。緊迫した空気のとき、自然に他者をかばえる子なんだね。……かばわれてるのが大の男だっつーのが、情けなさ過ぎるだけで(笑)。

 杖持ってただ走り回るヒョンゴに大ウケ。やーん、素敵に役立たず~~。

 なのに、いざというときは、何故か舞台中央にいる。
 チョロの胸から青龍の神器を取り出す、ってときに、チョロの真横にいるし、神器を取り出せたときも、そばにはべっている。

 ええ、今回のまっつは、なにかと倒れている人の横にはべっているイメージ(笑)。
 カクダン@りせの横にはべっていたヒョンゴ先生は、チョロの横にもはべっていますとも。

 続く。
 こあらった目線のまっつまっつ、事実と違おうがどうしようが、とにかく記憶と思い込みによって書く、『太王四神記』まっつ語りその5。

 さて、2幕はじまりも、ヒョンゴ@まっつから。
 「愉快なおっさん」ではなく、ちゃんと「語り部まっつ」になってます。

 1幕ほぼずーっと水戸黄門ルックで通したヒョンゴ先生ですが、ここでまた初心に返ってコムル村制服のずるずるローブ姿。
 ただし、ヘアバンド着用。

 何故ここで、ここでだけヘアバンドしているのかわからないっす。他の場面ではヒョンゴを含め、誰も付けていないわけだから。

 2000年待ち望んだチュシンの王登場に、テンション上がってるせい? 意気込みを表しているの?
 つまりアレはヘアバンドではなく、ハチマキなのか? 「タムドク命」とか書いてある類の?

 最初、他のコムルの人たちも全員ヘアバンドしてるって、気づいてなかった。ヒョンゴしか見ていなかったから。

 クールに厳かに語るヒョンゴは美しく、彼が跪いて「身も心も捧げます」とゆーのがいいっすね。いろんな意味でいいっすね!!
 もっとも、そうまでしてるっつーに、肝心の彼の王タムドク@まとぶんは人の話聞いてねえけどな。王の宿命より義務より、女のことが大事と寝言言ってるけどな。

 どんだけアホ王であっても、彼がチュシンの王ならば仕えるのがコムルの使命。タムドクが勝手にひとりで苦悩モードに入っているのを咎めるでなく、心配するスジニ@みわっちを制したりして、クール全開です。

 忠臣萌えってのは、たしかにある萌えである。ヒョンゴの場合、もともとタムドクを好きだったっぽいので、好きな人が王様で良かったね、つーことで、王様の賢愚は問うまでもないんだろう。

 コムル村が謎なのは終始一貫、見終わってもなにひとつわかんないままだが、王宮だか神殿だかで要人全員集合で「神の裁きを!」とかやってるところに乱入できるくらい、外的な立場が認められていたのか。
「我こそはコムル村の村長」って名乗りを上げたら、地位も身分もある方々全員が畏まっちゃうよーな、そんな高貴な立場なの?
 「玄武の神器の守り主」って言ってるけど、そんなの誰も見たことないだろうに、「コムル村」「神器」って世の中に浸透した常識で、このキーワードを出されたら、水戸のご老公一行に印籠を出された悪代官たちのよーに、固まっちゃうわけ?

 悪代官よろしく「ええい者ども、斬り捨てい!」と叫ぶチョ・ジュド@ふみかの怒鳴り声を制して、ヒョンゴが「待て!!」と前に出るわけだからねー。
 印籠でなければ、悪代官の手下共は誰が出てきても気にせず斬り捨てるだろうに。

 とまあ、コムル村も神器も世間的な立場はさっぱりわからんが、とにかく水戸黄門の印籠的使い方なわけで。
 せっかく水戸黄門なのに、ヒョンゴはローブ姿で水戸黄門衣装ではないし(笑)、主人公の危機を救いに名乗り出るわりに、かっこよくない。
 
 眉は八の字。
 なんかすごーく困った様子で、懇願めいた名乗りを上げているんだな。
 もっとばばーんと上から目線で宣言してもいいんじゃないの、「この方こそチュシンの王」って。
 ……やっぱ王様には人格がアレだっていう弱みがあるから、堂々と宣言できないのかしら?(笑) 責任放棄して女と逃げたあとの登場だし?
  
 ヒョンゴはタムドクを王として認め、敬ってはいるんだけど、彼のことを信じてはいないんだろうなあ。や、タムドクの言動というか、なにをしでかすかを。
 現にタムドクは勝手に「カウリ剣の儀式を受ける」とか言い出すし。
 ヤン王暗殺なんてタムドクまったく無関係なんだから、カウリ剣の儀式なんかやる必要ない。その裁きの場で、殺害現場にいたキハ@彩音が「ヤン王は自害された」と言っているんだから、なおさら。
 それでも無意味に「やる」と言い出すよーな、わけわかんない王様、タムドク。
 振り回されるヒョンゴ大変。

 ここのおろおろぶりは素敵です。忠義を捧げちゃったんだから、王様がどれだけアホで人騒がせでも仕方ない。愛してしまったら、欠点すら受け入れるもの。タムドクがナニをしても、しでかしても、ヒョンゴがタムドクを嫌うことはないし、見捨てることもない。

 目の前であっさり殺されたタムドクにスジニが悲鳴あげてすがりついたように、タムドクの行動は誰かを傷つける。その直後生き返って喜ばせたとしても、死んだ、と思わせた、その心のキズは本物で、タムタムに分別があればつけずに済んだキズなんだ。
 そーゆーどーしよーもない、善良なだけを言い訳にしたアホの子だが、それでもタムドクこそがチュシンの王。2000年待ち続けた、ヒョンゴの王なんだ。

 タムタムの浅はかな行動にうろたえて、動かなくなった姿にうなだれる。
 こんなとこで村民の希望である王に死なれたら、しかも村長の目の前でむざむざ死なれたら、ヒョンゴもそのまま殉死するしかないわけだけど。
 なにをされても、受け入れる。どんなひどいことをされても、裏切られても。
 身も心も、捧げたわけだから。

 うろたえるだけで、タムドクの暴挙を止めることはない、無力な村長。彼の忠誠ぶりは、まちがっている気がしないでもないが(真の忠臣なら、主の愚を諫めろよ)、ヒョンゴはそーゆー人なんだろう。
 絶対忠誠。盲目忠誠。……小池がいろいろまちがっているだけで、まとぶさんもみすずさんもそこまで考えていないと思うが、舞台だけ見ているとそーゆーまちがった世界が花開いていて素敵(笑)。

 だから眉を八の字にしてうろたえるだけのヒョンゴ先生を堪能するの。
 その直後の「生きている!」で大喜びの「愉快なおっさん」化しているヒョンゴ先生も堪能するの。

 でもってこの場面。
 タムドクの危機に「待て!」とヒョンゴ先生が飛び出してきたときに、ホゲ@ゆーひがすげー怪訝な顔をしているのが、ひそかなツボです。

 ホゲ様、はじめて見る・聞く顔してないでよ、アナタこのおじさんに前に会ってるんだってば。
 テジャ城で「あなたこそ、チュシンの王」って言っていたおじさんだってば。アナタ、わざわざぎょっとして振り返ってたじゃん。

 ……ヒョンゴをおぼえていないのは、彼があのとき愉快な水戸黄門ルックだったから?

 おぼえているけれど、ここで飛び出してきて演説カマすとは思ってなかったの?
 それとも、あれはただの愉快なおっさんでしかなく、コムル村の村長(なんかえらいらしい?)とは思ってなかったの?

 ホゲにとってのキハが、タムドクにとってのヒョンゴなのよ?(笑)
 ……そう思えば「オレ側の守り主は美女で良かった」てなもんかしらね、ホゲ様?
 で、でも、ヒョンゴだってほんとは美人だもん! ちょっと顔の締まりのないときが多いだけで!!

 タムドク側の守り主は、タムドクのことがダイスキだよ? ホゲ側の守り主と違ってね……と、タムドクVSホゲで、しかもホゲ目線で「タムドクが持っていて、ホゲが持っていないモノ」をいろいろ考えてたのしいのも事実。ホゲ様好きだ(笑)。

 続く。
 まっつのテンションが高いと、何故にあんなにおもしろいんだろう。

 ヒョンゴ@まっつは基本テンション高め。スジニ@みわっちに振り回されてきーきー言ってたり(声は低いが)、悪のりヒョンミョン@だいもんと一緒になってきゃーきゃーやってたり(声は低いが)、とにかくいつもはしゃぎ回ってうるさいキャラだ。

 高句麗一武道大会を観覧しているときも、大口開けて笑ったり野次っていたり、大忙し。

 テンション高い役だなー、ヒョンゴ先生。
 テンション高い役だなー、まっつ。

 そして、まっつがハイテンションにくるくる騒いでると、みょーにおかしい。肩がふるふる震える系の、くすぐったさがある。

 不思議だなあ。
 まあたんに、わたしがまっつ好きで、まっつに過剰反応してるだけなんだろうなあ。
『太王四神記』まっつ語り。1記事3000文字予定なのに、まっつ語りだと文字数越えしている現実……こまったもんだ。
 

 それまでは野次馬としてはしゃいでいたヒョンゴ先生、スジニが男装して大会に混ざっちゃった以降は、パニクっちゃって大変ですよ。「あぶない、うわー、きゃー」てなもんで、マイク入ってないのをいいことに、騒ぐ騒ぐ。
 スジニが絡むとおっさんネジとんじゃうみたいなー。大変だなー。

 で、そーやって大騒ぎしているときに、玄武の神器発動。
 さすがにスジニのことを忘れ、使命に意識を戻します。

 光るのはいいけど、誰に反応したのかまではわからないんだね、玄武の神器。下手側ではプルキル@壮くんが光る朱雀の神器を見て「ホゲ@ゆーひがチュシンの王」って勘違いしてるし。プルキルはホゲをチュシンの王でないとわかった上で利用してるんだと思ってたけど、どうも買いかぶりだったらしい(笑)。なんもわかってないのか。てな話はどーでもいい、今はヒョンゴ先生の話。

 神器は光って、すぐにまた沈黙。よくわからん仕組みだ。王様の憤りが沈静したとも思えないのに。
 光が消えたらまたヒョンゴ的にはそれどころじゃなくなる。タムタムとスジニが会場で晒し者になってますがな。
 彼らが黒軍のふりをして大会に紛れ込んだのは、ホゲがズルをしていたのを止めるためだったんだが……そしてホゲの不正が白昼に晒されたんだが、そのことはスルーされて話は別の方向へ転がり出す。

 仲間のタムタムがタムドク王子だったとわかったヒョンゴたち。舞台中央でもつれている人を注視したあと、ヒョンゴとヒョンミョンは「おさらい」をしている様子。ふたりで「あれがどーしてこれがどーなったからこうなんだよね」と確認しあっている。
 で、「そっかあ、そーゆーことかー!」とめでたく納得。
 脚本で描いてもらえないもんだから、舞台隅っこで「タムタムが王子様だった!」に対するリアクションを小芝居しているのよ。がんばれ。

 そして、戻ってきたスジニを急かしつつ、ぽかーん展開でかけおちするタムドクを追って?上手へ消える。
 
 えーと、それで。
 タムドクは女の子とかけおちした……よな? 王位を投げ出して。
 なんでコムル村の人々は、タムドクを探していたんだろう?

 コムル村の使命は玄武の神器を守ることと、チュシンの王を探すこと。
 せっかく神器が光り、王の手がかりがあったわけだから、ヒョンゴ先生が今すべきことは駆け落ちしたお友だちの捜索より、チュシンの王探しぢゃないの?
 チュシンの星の夜に生まれたとされているヨン・ホゲが戦っているときに、神器が光ったんだから、まず彼のことを調べるべきでは?
 それともタムドクは、「誰にも言ってはならない」「母親は秘密を守るために山中でお産をして早世した」という、ものすごい秘密を、出会ったばかりのヒョンゴたちにぺらぺら喋っていたんだろうか。

 てゆーか、この時点のヒョンゴは、「コムル村の使命」のことなんか忘れきっているように見える。
 タムドク様の一大事! しか考えていないような。
 2000年も使命大事で過ごしてきた隠れ里の村長として、失格ですよコレ……。

 タムドクがどうこうではなく、コムル村の面子は「玄武の神器が光った理由を確かめるため」に「高句麗一武道会主要メンバーであるホゲやタムドクが向かったテジャ城へ向かう」ことにしなければおかしい。
 唯一スジニだけは、使命そっちのけでタムドクのためって言っていてイイから。ヒョンゴはまず使命のこと考えてくれなくちゃ。
 上手端でわいわいやっているときの台詞を変えるだけでいいのに、イケコってほんとに……溜息。

 まあそれはともかく、「テジャ城へ」のナンバーは盛り上がるカッコイイ場面なので、隅っことはいえ参加してくれていてウレシイ。

 そのどたばた感のまま、銀橋を走るタムタムの仲間たち。

 元気に走っていく若者たちと違い、お疲れモードの年長者……パソン姐さん@いちかと、ヒョンゴ先生。
 一緒にいるわりに、今回まっつ×いちか少ないんだよなあ。
 このせわしない銀橋でのみ、まっつ×いちか。息の上がっているパソンを、ヒョンゴが気遣っている風。や、ヒョンゴも若者たちに置いてかれてるんだけど(笑)。
 カクダン@りせたち近衛隊を見つけたあとヒョンゴ先生はすげー勢いで走り出すから、ほんとのとこそれほどバテてなかったのかもしれない。
 てゆーか今回まっつ、やたら銀橋走ってるイメージ……(笑)。

 そして、倒れている人の横にはべっているイメージ……(笑)。
 息も絶え絶えカクダンの横で、一緒になって苦しそうな顔をしている。眉は八の字、とってもヘタレなまっつらしい表情。
 カクダンの死にも、すげー悲痛にうなだれる。
 別にカクダンのこと個人的に知らなかっただろうけど、それでも近衛隊のみなさんと同じ濃度で悲しんでます。

 そこからあとは、怒濤のクライマックス。
 チュモ神剣発動、みなさん「うわあああ」で、それから立ち直る前に、ヒョンゴの杖が光る。

「チュシンの王の中で、激しい怒りと悲しみがせめぎ合うと、玄武の神器は光り、宙を舞う……」

 ほんとに一瞬杖が浮いたようで、ヒョンゴはひきずられる動作をするんだが。

 「宙を舞う、っていうんだから、ほんとに舞えばいいのに(笑)」……ワイヤーとかでぴゅーんてまっつが飛べば、可愛いだろうに、と言った人がいて、想像して笑ったさ。
 小さなまっつがぴゅーんて飛ぶのは、たしかに愉快な画面だな。ティンカーベルとかそーゆーノリで。(まっつをどんだけ小さいと思って……)
  
 舞う妖精まっつ……うっとり。(だけど衣装は水戸黄門)

 まあ冗談はともかく。

 はじめは呆然としていたヒョンゴの顔が、徐々に変わるんだ。
 力強い、意志のある顔に。

 物語の中で「愉快なおっさん」でしかなかったヒョンゴ先生が、冒頭の「語り部」の顔になる。
 使命と向き合い、宿命と対峙する。

 誇りと歓喜を込めて、宣言する。

「あなたこそ、チュシンの王!」


 響く声。
 声に、光がある。

 その声に反応して、振り向くホゲ。
 彼がもっとも欲していた言葉、欲していた声は、彼以外の者に向けられた。

 ホゲを突き落とす光を発するのが、ヒョンゴだということが、すげー萌えです(笑)。
 まっつに「光」を感じることがあろうとは……良くも悪くも地味……ゲフンゲフン、その、いぶし銀が魅力な人だと思っているだけに、「光」の存在にびびります。まあソレが「声」ってのが、まっつらしいんだけど(笑)。

 ようやくめぐりあった運命の人、チュシンの王タムドク様しか見えません! て勢いで、ヒョンゴはタムドクだけを見つめて歌う。
 その顔に、静かな笑みが広がっていく。深い、魂に根ざした到達した者の表情。……ライト当たらないから、見えなくなっちゃうんだけどね。

 ヒョンゴの語りではじまった物語は、彼の台詞を最後に幕を閉じる。や、歌で終わるわけだが、台詞としてはヒョンゴの「あなたこそ、チュシンの王」が最後なんだよね。

 タムドクがチュシンの王として目覚めるまでが第1幕……それはつまり、ヒョンゴが、チュシンの王と出会うまでという意味でもある。

 重い役目だ。
 どのクジが当たるかなんて、手相でわかるんだろうか?

 お金持ちになる相が出ている、とかならともかく、どのクジが、なんて、宝くじの当たり番号とか万馬券を当てるよーなもんでしょ? 手相でソレは無理があるんぢゃないかと思ってみたり。
 と、『太王四神記』まっつ語りその3。

 聞いた話によると、「どのクジが当たるか」と聞いてくる客に、ヒョンゴ先生は「黒を買えと薦めている」そうだ。そのココロは「赤が勝つに決まってるから、絶対はずれるクジを買わせて、がっぽり儲ける」……ヒョンゴ先生、悪。それを真顔で説明したというまっつ、悪。(お茶会で言ってたって?笑)
 そこまで考えてなくっても、クジを売っている人と、どのクジが当たるかをアドバイスする人が「仲間」だと、それは詐欺でしかないと思うんですが。
 やってることは犯罪だが、それをちっとも悪びていない主人公サイドの仲間たちが、ステキすぎます(笑)。ノリはすでに悪玉トリオ@『ヤッターマン』ぢゃん……。

 なにはともあれ、武道クジ場面は好き。
 大好き。

「武道大会~~♪」とポーズを決めて歌い踊るまっつが、かっこよすぎる。杖を剣に見立てる動作が美しいし、歌声がまた美しい。
 オレ、実力のある男に惚れてんだなあ、と、改めて思ったよ。いやその、姿は水戸黄門なんだけどさ。それでももお、かっこよくてかっこよくて、惚れ惚れしてるんだよ。あうう。

 さて、物語は舞台中央から上手で進んでいるようですが、わたしの視線は下手固定です。
 ヒョンゴ先生の手相占いは、下手端で絶賛開業中。町の人たちがずらずら並んで順番待ちしてます。大繁盛だよ、大丈夫かボヤッキー。ムラ楽は列の人たちが全員野菜を手にしていたんだが、アレはなんだったんだ?

 そしてここでのお楽しみは、なんといっても町の女@じゅりあ。
 やたら押し出しのいい(ついでに体格もイイ・笑)彼女が、すごい勢いでヒョンゴ先生に迫りまくります。
 ヒョンゴ先生大変。
 かわしたり逃げ出したり、威嚇したり。
 クジを両手に追ってきたり、大切な神器を触ろうと手を伸ばしてきたり、とにかく油断がならない(笑)。

 まっつとじゅりあの攻防戦を眺めているだけで、終わってしまう。
 てゆーかまっつ、がんばれ。いつもたじたじになってますがな(笑)。

 わたしとしては、色っぽい系のエピソードを期待したいんだけど、ただのお笑い系みたいなんだよな、じゅりあ×まっつ。(まっつの名前が右?!)
 ヒョンゴラヴな女が突撃している、つーのがイイのに、この突撃ねーさんは手にクジを持っているので、どうやらあくまでも勝負運について突撃しているらしい……?
 実際問題じゅりあちゃんに本気で迫られたら、まっつごときぺろりと喰われて尻に敷かれそーですから。ここでヒョンゴに女が出来ちゃうと話が変わってくるので、色気ナシで通してもらうしかないのか。

 いつ見たんだっけか、そのときのじゅりあちゃんの目的は玄武の神器で、杖の端に触ろうと虎視眈々、まっつはソレをさせじとガードしている。や、このパターンは何度か見ていたんだけど、その日のまっつは、隙多すぎ、鈍すぎ。
 いつもなら触られる前に杖を動かしてガードしていたのに、がんがん触られてるの。杖の端をじゅりあちゃんに握られちゃって、あわてて振り払っている。
 まっつ、鈍い……っ!(笑)
 猫に猫じゃらしを見せるなり前足アタックかけられて、「ちょっと離してよ!」になっている人間のようだ。

 とまあ、まっつVSじゅりあを見ているだけで精一杯、えーと舞台中央では主役様が登場しているんだっけ。
 じゅりあに押されて他の人の背中にぶつかったりしつつ、ヒョンゴ先生が真ん中付近に来てくれたとき、よーやく視界に物語本来の場面が入ってきます。
 パソン姐さん@いちかの華麗な登場は、ヒョンゴも群衆の中で見とれてくれているので、一緒に眺められて良かったっす。

 田舎モノたちの乱闘で、どさくさにまぎれてスジニ@みわっちも活躍しそーになるので、ヒョンゴ先生大忙し。それまで「なんの騒ぎ?」と遅れて加わったのに、スジニに絡む男がいると気づくなり電光石火、引きはがしに行くもんよ。
 「ていっ」て感じに杖で男を威嚇、間に入って「しっしっ」と追いやって。……スジニが感謝するより「ちぇっ」て感じなのがまた、子育ては切ないなあ、お父さん(笑)。

 タムタム@まとぶのことは一目で気に入ったっぽい。自己紹介の「タム……タム……」を真面目に聞き、「タムタムかぁ!」では一緒に大ウケ。
 たしか最初の段階でいちおー杖をかざして反応チェックしていたとは思うが、もちろん杖は反応しないし、あとはふつーに気に入ってるんだよね。(だから、チュシンの王が憤らないとダメなんだってば、村長、言い伝えおぼえてる?)

 でもさここ、ナニ気に運命の分かれ道。
 ヒョンゴが下手端でじゅりあに絡まれていたとき、スジニはタムタムをナンパしてたわけだよ。
 もしもヒョンゴがそれを見ていたら……ヒョンゴはタムタムを大嫌い・危険人物認識だったはず!!

 ウチの可愛いスジニに手を出すなんて!(ナンパしたのはスジニです)いかがわしい店へ酒を飲みに行くなんて!(誘ったのはスジニです)
 あの女ったらしの助平野郎、絶対悪人だっ!!
 ……と、ヒョンゴ先生は思い込んでいたに、違いありません。

 タムタムがかっこよく田舎モノたちを倒してしまう現場しか見てないから、最初から好意を持つことになったけどね。

 いやあ、ヒョンゴがアンチ・タムタムだった場合、物語はどう変わっていったでしょうねええ。武道大会にはクジを売っている立場上、勝敗を確かめに行くだろうけど、そこで神器が発動しても誰が王なのかはわからないわけだし、タムタムと仲良くなってなければテジャ城へは行ってないわけだし。

 ヒョンゴの過保護が原因で、何年かはチュシンの王登場が遅れるのでは?

 イケコがどこまで考えて演出してるのか知らないが、スジニがタムタムをナンパするところに、ヒョンゴがいなくて良かったね、と(笑)。

 まあとにかく、一目でタムタムを気に入ったヒョンゴ。
 すかさずヒョンミョンはクジを山ほど売りつけて、スジニはさらに一緒に売りに行こうと誘う。……客を販売側に巻き込むのは変なんだが……。

 ここで彼らがタムタムと仲良しになった、それから先も一緒に行動している、てのが展開怒濤過ぎてわかりにくいのが残念。

 その直後の武道大会でも上手端で一緒に観覧しているんだが、とにかくホゲ様@ゆーひくんを中心とした武道大会が派手過ぎて、主役のハズのタムタムにあまりスポットが当たらないよーな……。
 タムタムがタムドク王子だとわかったときも、ヒョンゴたちの反応はモブ扱いでちゃんと描いてもらえないため、彼らがなし崩しにテジャ城へ現れ、「身も心も捧げます」でカウリ剣で「タムドク様~~!!(スジニ絶叫)」への流れが観客的にぽかーんになるっちゅーか。いつの間にそんなことにっつーか。
 そのくせ、そのあとはホゲ側とタムドク側がいちいちターン制で井戸端会議やるし。そこで同じことえんえん繰り返すより、出会いに時間と場を割くべきだったと思うよ……。

 とまあ、完全モブ扱いになっていた武道大会のタムタム・チーム。あれって本舞台端ではなく銀橋の上手側とかでやるべきだったよなあ。ふつーに真ん中見てたら、主人公が出ていることにすら気づかない演出って……。
 パソン姐さんの槍の話とか、重要なんだからさ。それでタムタムが義憤に駆られて大会に乱入、「チュシンの王が憤る」わけなんだから。

 続く。
 『太王四神記』のまっつまっつ。
 他人のことは知らん、あくまでもわたしの限られた視線の先のヒョンゴ@まっつ語りその2。

 ポンファ通りの皆様方。小芝居満載で下級生ウォッチングが楽しいに違いない……けれど、ほとんど見られないのがくやしい。
 ヒョンミョン@だいもんのソロが終われば、銀橋にスジニ@みわっちと彼女を追いかけるヒョンゴが登場するので、そっちガン見だもんよ。

 スジニが絡むといつもあわあわ可愛すぎるヒョンゴ先生。
 長いスカートたくし上げて走る姿が、ヘムレンさん@『楽しいムーミン一家』。

 ヒョンゴが着ている服はコムル村の制服?らしく、村人は全員同じ服を着ている。白のローブでスカートっつーわけじゃないんだが、スカートのワンピースっぽくてわたしはあまり好きじゃない(笑)。

 ヒョンミョンはいったいいくつの設定なのか、ヒョンゴとタメ口。やっているのがだいもんだから、ヘタすりゃ少年に見えるんだが、平村民時代のヒョンゴを知っていて、村長になったことを上から目線で語れるキャラクタらしい。
 ヒョンミョンは最後まで謎だ……。

 一旦下手袖に引っ込んだヒョンゴとスジニは、白いローブを脱いで……ふたりともとっても微妙な姿で現れる。
 スジニはちっともかわいくない衣装だし、ヒョンゴに至っては、水戸黄門……。イケコがサイトーならこんな衣装は着せないだろうと哀しくなった一瞬(笑)。せめてスジニには、萌え衣装着せようよ……。

 こっから先はもー、ヒョンゴがかわいすぎるので、他を見ることが出来ない。
 トラジ@さあやたち美女が華やかに歌い踊る様に、一瞬だけ、鼻の下を伸ばす。ほんと、一瞬だけ。
 すぐに、「スジニの教育上よくない!」と思い直すっぽい(笑)。スジニが好奇心丸出しで目を輝かせているので、お師匠様、我に返っちゃうのね。
 スジニがいないときだと、どーなってんですかね、あの人。
 たとえば夜、スジニが寝入ったあととかに、ヒョンミョンに誘われて花街に繰り出したりしてるんでしょーか?

 ヒョンゴさんが女に興味あるのかどうかを示す、貴重な場面なんだよな、この「一瞬だけ、鼻の下を伸ばす」ところ(笑)。どうやらふつーに女は好きみたいだ。使命感の方が強いから、それどころではないと思っているだけで。よかったよかった。

 でもってここでのスジニとのやりとりは、公演が進むにつれて派手になっていく(笑)。
「ここじゃアタシ、男の子になるよ!」のスジニの台詞に、おたつきすぎだから、ヒョンゴ師匠。ヒモを引っ張ると両手両足がしゃかしゃか動く人形みたい。
 そのくせ、「チラシを配ってこい」の台詞は、心配性のお師匠らしくもなく、悪乗りして追いやっているし。ええ、あとになればなるほどコメディちっくに、大仰に「しっしっ」てな風情(笑)。ヒョンミョンも尻馬に乗ってるし。

 てゆーかさー。
 ヒョンゴとスジニのスキンシップが、どんどん増えていくんですが、なんなんですかアレ。
 ムラ初日から楽まで、週2くらいで万遍なく見てきたんだが、それから間とんで東宝楽前と楽見たわけだが、どんどんあの人たち触れあうっつーかお互いに触るよーになっていってんですが。
 肩とか腕とか、ふつーに触れてるのね。初日界隈では別に触ってなかったところで、あたりまえの顔してボディタッチ有りになっていってねえ……別に意識してる風でもないあたりがさらに親密っつーか……いちゃついてるよーにしか見えません。
 ヒョンゴとスジニがっつーか、ぶっちゃけ、まっつとみわっちが仲良しなんだな、つー感じで意味もなくスキンシップしてるのがもー……どうしてくれよう。ハァハァ。

 ところで玄武の神器だけど、コムル村は代々ソレを守ってきたのはいいけど、ほんとのとこ神器が神器らしい働きをしたところを見たモノは、ひとりもいないんだよね?
 なにしろ2000年間、ファヌン様以来「チュシンの王」は現れていないっていう話の流れだよね?
 くそ真面目に神器の守り主やってるけど、ほんとのとこ歴代村長の誰ひとり、神器発動時を知らない。
 「チュシンの王が憤るとき、その神器が目覚める」としたり顔で語ってはいても、信憑性はない。なんせ、誰も見たことないんだから。
 さらに1幕終わりで、チュシンの王発見の手がかりとして「玄武の神器は光り、宙を舞う」とヒョンゴが語っている。
 つまり、真の王が現れたら、放っておいてもわかるわけで。光って飛ぶんですよ? それでわからんわけないじゃん。
 なのにヒョンゴ先生、このポンファ通りで「チュシンの夜に生まれた」ヨン・ホゲ@ゆーひを見かけたとき、ガスの点検でもするかのように杖をかざしているんですが。
 や、かざしてわかるもんでもないでしょう。んなことしなくても、王が現れたら勝手に光るって言い伝えなんだし。それに、平時ではダメなんでしょ、王様が怒ってくれないと。
 ホゲ様今、女の子にちやほやされて、ご機嫌だから。そんなときに調べても意味ないっす。ヒョンゴ先生、言い伝えちゃんとわかってる?

 つーことで、「ヒョンゴ先生の、チュシン王探し大作戦・ホゲ様を怒らせてみよう!!」の巻希望。

 スジニの台詞からして、コムル村の使命なわけでしょ、王様探し。そのためにヒョンゴたちは都会へやって来ているわけでしょ?
 チュシンの夜に生まれたホゲ様が候補No.1なわけだから、真面目に仕事するなら、彼が王かどうかを確かめなきゃ!
 つーことで、インチキ占い師としてホゲ様に絡むヒョンゴ先生とその一味(笑)の物語で、わたしならスピンオフ1本すぐに作れますことよ? ほほほ。

 てな話は置いておいて、スジニにチラシ配りを押し付けたヒョンゴは、下手端でインチキ手相占いスタート。すぐに客がずらずら現れるので、チラシ配りの必要性はないよーな。
 せっかくお客は列を作って待っているのに、ヒョンゴがちゃんと相手をするのはひとりだけ、すぐにスジニを気にして舞台中央へ行ってしまう。
 スジニがキハ@彩音ちゃんにデジャヴを感じている様を、なにかしら不安な様子で眺めている……が、すぐに「噂だ噂だ」の民衆の歌に巻き込まれてしまう。

 とりあえずこの「翻弄されているまっつ」がかわいい。あ、ヒョンゴだヒョンゴ(笑)。
 コーラスの中でひときわ響く低音を聴き分けるのも、またたのしい。

 承前の「語り部ヒョンゴ」とのカラーの差、てゆーかコメディアンぶりが、この役の魅力なんだろう。

 続く。
 んで、今さらですが『太王四神記』です。
 んで、今さらですが、ヒョンゴ@まっつです。

 毎公演必ず書いてる、こあらった目線の見どころまっつ。
 今回も書くつもりで、『太王四神記』箇条書きのときも、まっつのことは割愛してたんだーっ。
 つってももお、あんまり昔のことなんで海馬にあんまし残ってないんだけど、どーせ映像には残らないんだから、せめて文字にして残しておくしかないんだーっ。

 公演中にリアルタイムで書きたかったよ……なんでこう時間がないんだろう……。

 
 『太王四神記』第1幕。
 とにかくしょっぱなからヒョンゴ@まっつが登場する。
 上手花道のセリ。初日はびっくりした。とにかくびっくりした。
 観客って、はじまったら条件反射で拍手するじゃん? 幕が開いて、最初にせり上がってくるから、それが誰かもわからず条件反射で拍手して、その一瞬あとに「まっつ?!」と驚く空気が愉快だった、初日。
 まっつだと思わず拍手はじめちゃった、でもま、まっつでも拍手してもかまわないっちゃーかまわないよね、ととりあえずキリのいいところまで拍手してみました、な雰囲気(笑)。

「私は高句麗の隠れ里、コムル村の村長ヒョンゴ」
 まず自己紹介からはじまる。
 ここから、すべてがはじまる。
 まっつの姿から、声から。

 白いローブ姿に、魔法使いのような杖。
 淡々と朗々と、滑舌良く正確に発せられる言葉の数々。

 ナレーションに徹した姿で、スタンドプレイはしない。表情は変わらず、そこにいるからといって彼を見る必要などなく、本舞台で展開される物語を見ろと、その静かさで示す。
 ……が、まっつガン見基本なので、本舞台はあまり見たことがない(笑)。もちろん見ているけれど、センター芝居のみで、モブの子たちが誰でナニをしているかまでは、残念ながら見られなかった。

 ただの解説である最初は無表情なんだが、語りが盛り上がるにつれ、ヒョンゴ村長も少しずつ変わりはじめる。
 彼はどうも最初から熊族セオ@みわっち寄りで、虎族カジン@彩音ちゃんに対しては終始クール。耳で声だけ聴いているとふつーのナレーションでしかないが、ヒョンゴ自身を見ていると、ファヌン@まとぶとセオに感情移入して語ってるの。彼らが幸せなときはやわらかく、彼らの苦難には苦しげに表情を変えている。
 我が子を殺される母親セオの悲劇には、ヒョンゴ村長もすげー嘆きっぷりです、ほとんど誰も見てくれてないだろーに(笑)。
 赤ん坊の死と黒朱雀誕生の効果音が終了すると、次の解説をしなければならないので、取り乱した村長は一瞬で立ち直る。緊迫した場に相応しい様子で黒朱雀の説明。
 ここでのささやかのツボは、ファヌン様の「白虎、風を起こせ、青龍、雲を集め、玄武、雨を降らせ」の歌に合わせ、ヒョンゴ村長が目線を変えるところ。「白虎」「青龍」「玄武」の呼びかけで、本舞台では四神(-1)のみなさんがそれぞれ自分の名で肯いているんだが、それに合わせてヒョンゴ村長もまた目線……顔の向きを変えているのね。
 「三度目の銅鑼」@『王家に捧ぐ歌』の振付みたいで、ちょっとわくわく(笑)。

 人知れず(笑)盛り上がっているヒョンゴ村長。
 最高峰はもちろん、「ファヌン様は天の弓を射た!!」ですな。アクション付きです。

 この公演で、まっつはなによりその「声」の良さを広く知らしめたと思う。
 耳触りのいい、聴きやすい声。情報量の多さをモノともせず、わかりやすく解説し続ける。

 このナレーションに徹しているところも、実はまっつの演技的には変化があった。
 語る声の明瞭さはそのままに、公演が進むにつれて演技が大きくなり、東宝でまたリセットされていたらしいが、やはり東宝楽には大きくなっていた。地味に「物語」に参加しているんだなー。
 まったくの客観、第三者目線ではなく、セオ寄りに語っていたりと、ちゃんと「ヒョンゴ村長」なんだよね、ただの感情も役もないナレーターではなく。

 
 神話時代の話が終わり、彼の語りはチュシンの日の出来事に移る。
 2000年の時が経ち、チュシンの星が輝く夜がやって来る。舞台上にはナレーションのヒョンゴと、彼の語りの中の少年ヒョンゴ@イブちゃんが同時に存在する。
 ヒョンゴもまた、物語の中のキャラクタなんだな。
 ここではもう、「コムル村のヒョンゴ村長」になっている。声だけの存在ではなく、現実にもう生きている人間として、舞台中央に現れ、感情や意志を表現している。

 物語の主人公タムドクはまだ無く、彼の登場以前を彩るエピソード、キャラクタの数々。
 タムドク登場に向けて力が一点に凝縮していく様を歌に乗せてたたみかける、プルキル@壮くんとヒョンゴの歌が大好きだ。

 少年ヒョンゴが赤ん坊を見つけたときのやりとり、ヒョンゴに台詞はないけれど、いちいち少年ヒョンゴと同調した表情してるんだよね。
 前村長に「オマエが息の根を止めるのだ」と言われたとき、少年ヒョンゴは真剣な面持ちで肯定するけれど、ヒョンゴは真剣を通り越して苦しげな表情をする。
 あくまでこれは回想シーンであり、語っているヒョンゴにとっては「はじめて会った赤ん坊」のことではなく、手塩に掛けて育てた弟子スジニ@みわっちを殺す話、なんだ。
 少年のまっすぐな瞳と、ヒョンゴの苦悩が切ない。

 だけど彼の最大の「仕事」である「声」に揺るぎはなく、あくまでもここは「当時の話」をしているだけで現在のヒョンゴの愛と苦悩を表現する場ではないってことで、冷静な解説は続くんだな。
 スジニと名を付けた、と語るあたりに苦みを残すだけで、やりすぎることなく「仕事」に徹する。

 でもって、この怒濤のオープニングの終結……実は「すげー難しいんぢゃねーの?」と思っているのは、ココなんだが。
 すべての説明すべき出来事が終わり、本編がはじまる、つーところ。
 ヒョンゴ村長の語りから、現在進行形の物語への移行を、どうしたもんか。

 たとえばルキーニ@『エリザベート』は狂言回しとして物語のあちこちに登場するけれど、ヒョンゴはそうじゃない。彼が語り部としてナレーションするのはぶっちゃけ最初のコレだけで、あとはふつーに物語の登場人物なんだもん。
 彼の「解説」部分と「物語」はけっこー乖離してるんだな。

 それを、どうつなぐか。

 ……つながっていないというか、演出あんまし成功していない、気がしている、わたしは。
 すげーブツ切り感。

 だって、「解説」パートの最後が「私はスジニを背負ってコムル村に帰りました」だもん。帰ったんだ、帰ったから終わりなんだ、ほー(笑)。

 どうしようもないっていうか、「帰った」から「終わり」という「えーと、ソレは……」てな投げだし感というか、そしてヒョンゴの語りがすげーしみじみと寂しそうな感じがツボ(笑)。

 ちなみにこの「帰りました」でヒョンゴはスカートの裾を持ち上げて階段を上り(この仕草もツボだ・笑)、コムル村御一行様と合流する。で、合流してしまうと、B席からは見えない。イケコ、2階席のことも考えて演出しようよ……(笑)。

 東宝では地味に演出が変更になっており、ヒョンゴはコムル村御一行様には合流せず、階段途中止まって暗転を迎えるので2階席からも最後まで見えた。スポットももらっているし。ありがとイケコ。

 続く。
 ブラック・ジャックの影@まっつ……って、改めて見るとアレ、相当恥ずかしいね★

 今さらですが、『Brilliant Dreams#45「未涼亜希」~stage~』感想の続き。
 「未涼亜希の舞台で印象に残っている役や台詞は?」で、ブラック・ジャックの影@『TCA2003』の映像も流れました。

 う・わー……。

 考えてみればわたし、映像で見るのはじめてなんだわ。生で2回観てるんだけど、その後映像は見ていなかった。あんときゃ「どうせ映像には全部残るはずがないから」って、BJ先生と影をガン見してたんだ。
 で、そーやって他を一切見ずガン見していたくせに、そのときはわたしべつに、まっつファンぢゃなかったし。ただ無邪気に笑っていられた。

 華麗にまっつ落ちした今、改めてブラック・ジャックの影役を見て。

 なんなの、アレ?! と、うろたえた(笑)。

 ナルシス全開のブラック・ジャック@オサ様の、影。だからもちろん、影もナルシス全開。

 うっとりするまっつ。うふんいやんなまっつ。

 しかも、BJ先生がSなため、影はどっぷりMです。
 先生に攻められ、弄ばれ、儚げな顔であはんあはんしてらっさいまっつ。

 おもしろすぎるだろコレ。

 まっつなのに、ナニやってんの?! まっつのくせに?! てゆーか、この人、変!!(笑)

 トップ様相手にクネりまくる新公学年男役……。
 あのころはまっつのことよく知らなかったから、「花組若手のおもしろい人」認識だったよなあ。
 オサ様のDS行った人が、オサ様の素晴らしさの他に必ず、「まっつがおもしろい」と言っていたこともあり、なんかまっつの印象がまちがった方向へ行っていた気がする。

 あのころは無邪気に大爆笑できたけど、いや、実は今になって改めて見て、さらに大爆笑したけど、それだけぢゃなくて、なんかもうもう、みょーに恥ずかしい。地団駄踏んで転げ回りたい系の恥ずかしさ。きゃーきゃーきゃー。

 あー、まっつ好きだー。(結局ソレか)

 や、「未涼亜希の舞台で印象に残っている役や台詞は?」で最初に来たのは「バロット@『メランコリック・ジゴロ』」で、次が「ジオラモ@『アデュー・マルセイユ』」です。
 正塚、小池とまっつに縁深い演出家作品で、さもありなんっつーか、まっつも肯いている感じ。

 その次が、BJの影。
 当時の想い出を語ったあと、「まさかコレがこんな番組で出てくるとは、思いませんでした」の、最後の「思いませんでした」とカメラ目線でくっと眉を上げるまっつの真意は、なんなんでせう?
 なんか含みあんのか、この役? 身内人気とか?(同期の組織票があったとか、そーゆー裏を思わず想像した・笑)

 あともうひとつ、「リチャード@『MIND TRAVELLER』」もあったので、ええ、危惧していたいろんなトンデモ場面が流れておりました。
 まっつ自身「海馬の帝王、リチャード・モリス(笑)ですね」って、小さく吹き出してるし。あー、自分で笑うあたりがいいっすねー。そのあと切り替えて、すげー真面目に語っていたけど。

 ほんと、ふつーの二枚目役が「印象に残っている役や台詞」にひとつもない人やなー(笑)。

 
★未涼亜希の舞台で印象に残っている歌やダンスは?

 『Red Hot Sea』『エンカレッジコンサート』『I got music』。
 直近の公演は強いよなー。活躍してたしなー。

「で、『太王四神記』は何回観るんですか? 40回?」
 と、友人に真顔で言われ、びびって訂正した。
 どっから40回?! んなに観るわけないでしょ、公演数も減ってるのに。ふつーに週2で観るとして10回くらいだよ。
「だって『愛と死のアラビア』を20回観たんでしょ? アレを20回観られるなら、『太王四神記』なら40回かなって」

 ヲイ。
 わたしは、『愛と死のアラビア』のために20回観たんぢゃない。
 幽霊船の歌手@『Red Hot Sea』のために、20回観たのよっ。『アラビア』だけだったらそんなに観てないわっ。

 と、めいっぱい訂正したくらい、幽霊船まっつはダイスキです。

 『エンカレ』は全3日間5公演コンプしたしなー。短期間とはいえ、ひとつの公演全部観たのははじめてだ(笑)。

 オサコンは、わたしがまっつオチした、記念公演(笑)。
 アレがなかったら、わたしの人生変わってたんだなあ……。そして、わたしがまさにまっつオチした場面は、DVDカットになっているという……(笑)。
 だからもちろん、こーゆー番組でも映像が流れることはナイ、と。
 ああ、運命……。

 
★未涼亜希自身の想い出に残っている舞台

 すべて新人公演。
 ルイ@『琥珀色の雨にぬれて』、柳生宗矩@『野風の笛』、カルロス@『La Esperanza』。

 ファンでもなかったくせに、全部ナマで観てます。正直、観ていた当時に、まっつの良さはよくわかってなかった……(笑)。
 『琥珀…』はらんとむだし、『野風』はそのかだし、『La Esperanza』はあすかちゃんだし。や、わたし的視界の真ん中にいたのが。

 柳生宗矩役を語るまっつが、小首を傾げる様が、むちゃくちゃかわいいです。(話している内容も聞いてやれ)

 やっぱ思い入れという点では、自分が「主演」したものになると思うの、人として。
 なのに、初新公主演作『天使の季節』を上げないところに、まっつらしさを感じてウケます。
 
 
★未涼亜希に今後やってほしい役は?

 沖田総司@『星影の人』、ファントム@『ファントム』。

 えー、下級生はふつー「やってみたい役」に「どんな役でも」系のことを書きます。「自分から意見を言うなんておこがましい、いただく役はなんでもうれしいです」という意味なんだと思うけど。
 しかし、どこぞの未涼亜希さんは、最初から「沖田総司」と書き続けてましたね……(笑)。いつだったか『おとめ』の遍歴を調べたときにウケたぞ。

 まっつで沖田はいい加減、年齢・学年的にアレかなーと思うけど、まあ、水しぇんがあの年齢・学年でやったから大丈夫か。
 にしても、沖田総司はやっていいけど、『星影の人』は観たくない……沖田主役で世の中に物語は五万とあるんだから、あんな作品は誰が主演でも勘弁してほしい。
 沖田主役でなくても、いつかまっつが沖田を演じられるといいね、と思う。

 で、まっつの沖田というと、グラフの同期紹介で土方@そのかとコスプレしてたね。
 そしてそれと前後してそのかも『おとめ』のやりたい役に「土方歳三」と書くよーになったよね。

 でもって、『ファントム』。
 まっつでエリックが見たいかとゆーと、わたしはべつになんとも思わないが(中村B演出はもういい)、エリック@まっつというと、思い出すのは人から聞いたそのかのお茶会。
 「『ファントム』でやってみたい役は?」と聞かれたそのかが、「エリックがまっつで、私がキャリエール」と答えた、という話。
 いや、聞いたのは君がやりたい役であって、まっつのことは聞いてないから! という(笑)。

 思わず園松に想いを馳せる(笑)。

 
 そして最後に。

★未涼亜希が、これからやってみたい役

 「本気の恋愛モノ」だそうです。
 コメディではなく、シリアスな三角関係モノ。

 あああ。
 そうだよなあ。恋愛している役って、脇だとほんと回ってこないからなあ。ラヴシーンなんかしたことないもんなあ。

 恋愛してるまっつが見たいっす。
 ラヴシーンしてるまっつが見たいっす。
 
 まっつが例に挙げたのが、『あかねさす紫の花』。
 いやあ、どんだけ日本物やりたいねん。
 沖田総司に中大兄や大海人だもんよー。

 
 投稿数って、どれくらいあったのかなあ。
 BJの影が入っていたのは、自分的にびっくりだった。いや、わたしはコレで投稿するつもりだったけど。なんだわたし、多数派だったんだ、と喜びました。

 や、実は投稿してないんだけどね★ なにかもっと凝った答えを!とやってるうちに、〆切過ぎちゃって。
 あはは、前言に偽りアリですわ。

 次回ナニかまっつへの投稿があるときは必ず!!(あるのか次回?)
 マヤさんは好きだが、過剰なまでの重用・多用には疑問を持っている。

 今回の作品でも、彼が2役やる意味がわからない。
 彼は体型にも声にも特徴があるので、ヅカ初心者にも判別がつきやすい。スタイル命の若者ばかりの舞台で、ひとり小柄で横幅もそれなりにあり、年配者であるわけだから、それだけで目立つんだ。
 そんな目立つ、初心者でも区別のつくよーな人が、重要な役をふたつやると、混乱が生じる。
 ディープなヅカファンなら「2役で、あれは別の人を演じている」とわかるが、ヅカどころか舞台演劇を見慣れない人には、咄嗟にわからないだろう。
 こんなに初心者向けで大衆向けの作品でありながら、初心者やヅカファン以外を無視した配役をすることに、強い疑問を持っている。

  
 てなわけで、新人公演『ZORRO 仮面のメサイア』では、問題のマヤさんの役を、ちゃんと別の人が演じていたのでウレシイ。
 役が多いわけでもない芝居で、他にいないならともかく役者は何十人もいるのに、作品壊してまで主要人物が2役やる必要ないもの。

 マヤさんの役は、インディアン長老@香音有希くん、マヤさん本領発揮のコメディアンパパ@詩風翠……って、ハウル?!!

 ハウルくんといえば、小柄で儚げな美少年ぢゃないですか。
 押し出しが強いというわけでもない、野に咲くすみれのやうなヒナギクのやうな少年が、いきなりあの超喋りまくり踊りまくりコメディアンを?!

 どーすんだこりゃ、と思っていたら。

 マヤさんの役は、さゆちゃんだった。

 さゆちゃんはそもそも、一原さんの役だ。つまり、コメディアンパパの奥さんで、お笑い一直線のパパに振り回される役。ツッコミですらなく、ただあたふたするだけ。
 このコメディアンパパと、そのなにもしない奥さんの役が、キャラが入れ替わっていた。

 …………やっぱりさあ、『ZORRO 仮面のメサイア』という作品で、主役以外でオイシイ役って、メンドーサでもガルシアでもなく、このコメディアン役なんだよねええ。
 専科さんばかりがオイシイ作品を作るのはどうかと思うよ、演出家の先生方。創作者だから、自分が苦労して生み出したものを、巧い人に演じて欲しいのはわかるけどさー。名前も知らない孫みたいな年の子より、長年つきあってきた気心しれた大人にやってほしいのもわかるけどさー。

 オイシイ役、である専科さんの役を新公で演じても、たしかにオイシイけど、路線としてのスキル上げにはあまりつながらないから、スター育成の意味でも専科さん重用過多はどうかと思う。

 とりあえず、その「オイシイ役」を悠々演じるさゆちゃんは、すごかった。
 新公ヒロ、バウヒロ、DCヒロ、本公演含むいろんな公演での準ヒロインと総ナメしてきたキャリアが光っている。キャリアだけでいえば、もう新公卒業していてもおかしくないもんねえ。
 なんかひとりだけ上級生が出演しているような、安定した貫禄だった。

 そのパワフルで空気読めない人の言うこと聞かない、しかし愛らしい奥様に、振り回されぶっ飛ばされている可憐な婿養子が、ハウルくんだった(笑)。

 わ、わかる。この役なら、わかるよハウルくん(笑)。

 婿養子だという説明はどこにもなかったが、メイドの報告する相手が奥様だったりすることから、この家の主人が奥様の方だとわかる。

 とんでもなくはた迷惑な奥様なんだが、押し出しよくチャーミングだし、気弱な旦那が奥様に惚れていることも、よくわかるんだ(笑)。
 てゆーかこのカップル、イイ。
 突撃奥様@さゆちゃん、儚げ婿養子@ハウル。
 さゆちゃんのパワフルっぷり、周囲見えないぶりが、突撃娘ロリータとDNAの濃さを感じさせる。
 ロリータ、ママ似だったんだ!!
 このママ、若かったら間違いなくコスプレしてゾロの追っかけしてるよ!!(笑)

 ただし、この場合のロリータは知性も理性もありそうな(ついでになにか裏がありそうな・笑)新公のみなこロリータではなく、考え足らずで爆走している本公演のとなみちゃんロリータね。

 さゆちゃんがとなみちゃんのママなんて、ヅカのスターシステム上ありえないが、ちょっと「夢の競演」として見てみたいわ。
 この母にしてこの娘あり!! と思わせてくれるだろう(笑)。

 また、「愛がすべて」のタカラヅカだもん、そんな人騒がせ突撃奥様に、婿養子が振り回されへとへとになりつつ惚れきっている様子は、微笑ましくて絶対素敵。

 そしてこの、婿養子@ハウルくん。

 かわいすぎて、どうしようかと。
 
 あの線の細い美貌で、へろへろへにゃへにゃといかにも儚げに弱々しく、マラカス持って踊ってるの。

 ええ、ここだけちゃんとマヤさんの役割を果たしている。
 マヤさんが踊っているあのみょ~~なダンスを、ハウルくんが婿養子の薄幸さ全開に、しかしたのしそうに踊っているのよ。
 うおおお、かわいいぃ~~。

 思わぬところでときめいた。
 強く活き活きしているさゆちゃんと、彼女の尻に引かれている儚げなハウルくん(笑)。
 お似合いのカップルでした。

 
 あと目に付いたのが、ガルシアの部下その2@煌羽レオ。……て、研1(4月から研2)かよ?!
 文化祭では日舞とダンスで目立っていたけれど、演劇は見ていない(文化祭の演劇は全員がWキャスト)ので知らなかった……芝居、好きなんだ。
 すっげー勢いで演じてた。台詞なんかろくにないんだけど、顔芸ハンパないよ。
 もっとこの子の芝居が見てみたいな。

 美形でウケたのが、神父@透真かずき。役としてはおっさんか老人なんだろうけど(ロリータ父と同年代か、それ以上?)、本役でもそらくんが美貌だけで演じている。
 新公でも美形くんで、年齢設定がどうあれこの役は正義のヒーローに助けられる、美貌の姫君ポジションだと判明。
 僧服を美しくストイックに着こなし、緊縛プレイに萌えさせることが条件てか?(笑)
 透真くんは今回、みっちゃんにもタニちゃんにも似ていた……気がする。

 ブラック・エルク@れのくんは、美貌のインディアン。派手な被り物に負けない美貌が素敵。


 で、最後になったが、ベルナルド@帆風成海くんと、夜の稲妻@ミミちゃん同期カップル。
 えーと。
 ミミちゃんはきれいに演じていました。ひとめでチャーミングなインディアン娘って、目を引くなー。
 
 帆風くんが、うまいのかどうかは、正直よくわかりませんでした。

 台詞なしで演じきる役は、ある意味オイシイ、重要な役なんだが。
 それは、ベテランがやるからオイシクて重要なんであって、抜擢下級生がやっても大変なだけなんじゃないかと。

 男役10年と言われるように、「男役」という型が出来上がるまでには、物理的な経験と時間が必要だ。
 着こなしや立ち居振る舞いもそうだが、スターとして主要キャラを演じるようになるためには「声」も必要。女の子声で女の子の喋り方ではダメなんだ。

 新公という貴重な実践の場で、「声」「台詞」を禁じられた役は、スキル上げという点ではあまり役に立っていないのでは?
 もちろん、台詞なしで表現するスキルはつくかもしれんが、ソレ、新公でなくても役ついてなくても、モブでもできるし。マイク通して声を出す、てのはほんと貴重な経験になるはずなのに。

 せっかく抜擢なのに、この役だとうまいのかどうかもわかんない。縦にも横にも大きいなあ、とか、がんばってるなあ、がんばれ~、とか、ゾロ@がおりくんといろいろ違いすぎで「影」になっていない気がする、とか、それくらいだもんなあ。
 あ、夜の稲妻と仲良さそうなのはわかった。ぺたっとした感じ(わかりにくい表現)。ヅカですから、カップルに愛があるのは、そしてそれが傍目にわかることは、良いことです。

 
 代替わりして最初の、研6までしか出演していない新人公演。
 脇を締める達者な88期が抜けたわりに、しっかりと芝居をやっていたと思う。89期が真ん中経験者・脇を含めしっかりしているのがうれしいっす。
 猫が原因で父がアタマを割って流血、病院送りになりました。これで犠牲者はふたりめ。最初は母がアタマをかじられ流血、家具その他に血を振りまき大騒ぎでした。
 ……なんでこう暴れん坊なんだ、猫。我が家ではすでに「猫」ではなく「ケダモノ」「猛獣」認識です(笑)。
「ウチのケダモノはどうしてる?」
「さっきまでさんざん暴れてたけど、今は疲れて椅子で寝てるよ」
 とか、そんな会話が日々されています。
「あの猛獣、今日はナニを壊したの?」
「今日の被害はねえ……」
 被害報告は毎日、毎回(笑)。
 カラダはちっこくてめっさスリムなんだけどねえ……骨と筋肉のみで構成された、ドーベルマンみたいなカラダ付きしてんだよねえ……軍用犬みたいな体躯の猫って嫌だ……(笑)。
 

 まあそれはさておき、花全ツ集合日だっつーことで、配役出ました。

 いやあ、贔屓の退団がナイとわかっている集合日ってイイねっ!

 路線スターのファンはこーゆー気持ちを味わっているのかぁ。路線ファンになったことない(笑)から、ぴんときてなかったけど。
 先に出演する公演スケジュールが発表されているから、今回の集合日では全ツだから本公演だからにかかわらず、退団は絶対にナイ。ああ、なんて安心感。
 いっつもいっつも、集合日のたびにおびえまくっていたからなー。いやあ、のびのび。らくらく。

 で。
 アルバロって、どんな役ですか?

 『哀しみのコルドバ』は、ヤンさんサヨナラ公演を観ているんだけど、この役記憶にないわー。
 全ツはお試し人事の実践場でもあるから、劇団が意志を持って配役するからなあ。
 前回の全ツで出番が減らされていたこともあり、劇団がまっつをどうしたいのかよくわかるというか露骨というか。
 ふつーは組をふたつに割っての少人数公演だと役付きが上がるもんなんだが、全ツのたび落ちるまっつ……。ショー『Red Hot SeaII』でも、本公演のときより出番が減っている可能性アリですな。
 ショーの配役は初日までわかんないんだっけ。
 初日や楽を観る予定はもともとないので(なんで大阪はじまりぢゃないの?!)、まっつメイトからの報告待ちになるなー。心臓に悪いなヲイ(笑)。

 大阪ともうひとつ、地方の会場で観に行く予定っす。
 単にソコしかチケット当たらなかった、友会その他。ええ、初日市川とか、入力したのにはずれたんだもん。大阪梅芸だって、「当たりすぎたら嫌だな」と思っていたのに(笑)、全滅したんだっけ。
 まっつの出る公演チケットにあぶれ続けるのは、相変わらずです。
 梅芸は宝塚友の会じゃなく、梅芸のネット会員抽選で1公演だけ微妙な席が当たってるんだったかな。チケット自力発券だからいつどこが当たっているのか、すでにおぼえていないという。
 まあ、前回の全ツも梅田はチケ余り気味だったので、今回もソレを期待しているんですが……。
 あとははじめての会場へ、公演追っかけて行くので、それをたのしみにしていよう。

 
 壮くんの『オグリ! ~小栗判官物語より~』も、たのしみだー。
 無知なので原作は知らないが、壮くんでキムシンで、つーだけでわくわく。ポスターの派手さにもわくわく。
 こちらもチケット持ってないんだが、サバキはあるよね? ね?

 
 今、携帯アプリで『ロマンシングサガ』をプレイしてるんですが、もちろん、主役の名前は「まっつ」です。
 ストーリーが決まっていてキャラクタが出来上がっていて声優フルボイスが常識の現代では、「主人公に好きな名前を付ける」系のRPGって少なくなってるのかな? 最近RPGやってないからよく知らんけど。
 一昔前は、ゲームをジェンヌの名前でプレイするのは基本だったんだがなあ。
 『FF7』の主人公は当時雪組若手スターだった某たかこさんだったり(笑)。他のキャラも全部雪組で埋めたわ。
 あと、いろんなゲームの主人公に「ケロ」って付けてプレイしていたなー。『てくてくエンジェル』(万歩計のキャラ育成ゲーム)で、わたしがあまりにも歩かなかったから、「ケロは いなくなった・・・」ってゲームオーバー・メッセージを見たときはショックだったなあ。ごめんよごめんよケロ、心を入れ替えて毎日歩くよ!! と誓ってみたり。

 最近そーゆーのまったくなかったんで。
 なつかしゲームを携帯で、てなときになって、「そうだ、主人公に『まっつ』ってつけられるじゃん!」と思い立った。
 うわー。
 「まっつ」だ。
 主人公まっつだよー。
 いちいち、「やあ、まっつ」とか話しかけられるよー、姫君から「まっつさま ならば きっと てがらを おたてになると しんじていましたわ」とか言われちゃいますよ、きゃー。なんか、きゃー(笑)。

 『ロマサガ』はわたしが生まれてはじめてプレイしたRPGで、「ロープレってすごい、なにもかも自分で決めて自分でその世界を生きるんだ!」と、激しく誤解した(笑)。
 ええ、誤解。
 その後、『FF』『ドラクエ』等、なにもかもあらかじめ決められていて、自分ではナニもできない、ストーリーを追体験するだけのモノが「RPG」であると知り、ショックを受けた。

 『ロマサガ』はフリーシナリオ。誰をどう育て、どんな武器を装備させどんな技を覚えさせ、どんな土地へ行き誰と出会いナニをするか、ナニをしないかすべて自己責任。
 プレイ開始後数分でバカ強い敵にパーティ瞬殺されることなんか、あったりまえ。弱い敵から順番に出てきたりしない。危機回避も自己責任。あたしゃファーストプレイがグレイだったんで、開始数分で恐竜に瞬殺されてぼーぜんだったよ、生まれてはじめてのRPG。

 さて、ウチのまっつは、都会の盗賊でぴっちぴちのハタチです(笑)。
 幼なじみの女の子が奴隷商人にハーレムに売られてしまったので、助けるために女装します。女装したまっつは、そのへんの女の子よりよっぽど美人なので、男たちも鼻の下を伸ばしてデレデレ、簡単に男子禁制のハーレムに潜入できちゃうのです。
 ……が。
 たしかそーゆー流れのイベントのはずが、ウチのまっつはつい、地下水道で「聖杯」をGETするのに燃えてしまって、必死になって戦闘を繰り返しておりました(女装中)。
 無事聖杯も手に入れたし、さあ女の子を助けに行くぞ……と思ったら。
 女の子、もう母親のとこに戻ってるし。
 地下で戦闘にハマってる間に、イベント終了しちゃった?!! 『ロマサガ』フリーシナリオだから、イベントは時間経過(戦闘回数)により勝手に終了しちゃうし!

 まっつが女装していたのは、女の子を助けるためなのよ?
 なのに、女の子も助けない、ハーレムにも潜入しない、で終わってしまうと。
 ただ女装したかっただけの人になってしまう!!

 はい、さくっとリセット、イチからやり直しました。
 今度はちゃんとハーレムに潜入して女の子を助けたわ!(笑)

 まっつは今、順調に経験値を上げながら、冒険中です。
 しかし、サルーイン(ラスボス)を倒すのはいつのことやら。
 タカラヅカである以上、やっぱビジュアルってのは重要である。。
 そして、こと下級生で美しい子というのは、貴重である。

 経験を積めばみな美しくなるものなので、その経験の浅い下級生時代、新人公演で「美しさ」を発揮するのは、芝居や歌の技術と同じように難しいことなのだろう。
 なにしろ下級生は、太い。
 若い娘さんは肌に張りがある分、ぷくぷくしている。
 オフではみんなスマートなスタイル良しさんたちだとわかっているが、舞台の上はスマート程度じゃ太って見えてしまう。ジェンヌは大変。

 すらりと痩せていて、スタイルが良くて、舞台の上で美しい顔立ちの男役、つーのはほんと、稀少なのだなと思ってみたり。
 脇で「あ、あの子きれい」と思ってみても、実際その子に役が付いて、たくさんの台詞や場面を与えられても「きれい」でいられるかは、また別問題だし。動いたらきれいでなくなる場合だってある。

 
 「きれい」は才能。持って生まれただけでなく、磨くことで光るもの。
 「きれい」ってだけですごい。
 「きれい」が技術である以上、新人公演で「きれい」であることは、すばらしい(笑)。

 て、前置きで。

 ホセ@キングが、美形だった。

 ホセ役って、美形悪役だったのか!!
 本役はハマコさんなので、そんなことカケラも考えなかったが(失礼)、キングときたら、笑えるほど「美形」に作ってました(笑)。←笑うのか。

 ストレート・ロン毛に前髪一筋垂らして、アニメかゲームのキャラみたいっす。黒髪が黒い服に栄えて、いかにも美形悪役風っす。

 いやあ、とにかく「美しく」あることで勝負懸けてるのは、見ていて気持ちいいね。だってここタカラヅカだし! なにはどうあれ、なにができようとできなかろうと、とにかくただひたすら「美しく」。
 ハマコと違ってラスボスというより、最後の崩壊っつーかへタレぶりがまた小物感満載なんだけど、美しいからそれだけでいいや(笑)的ステキ・キャラ。
 総督と「美形」としての役割が、本公演と新公では入れ替わっていた感じ。

 
 でもって。
 わたし的に今回の新公で、もっとも美しかったのは、実はガルシア@まなはるです(笑)。

 ほっぺたぷくぷく真ん丸顔の男たちの中、ふつーに小顔できれいなフェイスライン。長い手足、細いカラダ。
 役作りできっついメイクして、反り返った変な立ち方しているけど、顔もスタイルも美しいってばよ。

 てゆーかさ。
 ガルシアが、熊の体格でも、蟻の脳みそでもなかった。

 背は男役として、雪組として、十分な高さがあるけど、なにしろ細いので熊というほどのキャラではない。
 そしてなにより、本役ほど、アホキャラには見えなかった。

「まなはるは蟻の脳みそぢゃなかった! ヲヅキは蟻だったのに!!」
 新公観劇後、ヲヅキファンのチェリさんの嘆きが(笑)。
「ヲヅキがあんなにバカなのは、脚本のせいではなく、ヲヅキのせいなの?」と。
 いや、脚本に「蟻の脳みそ」とあるんだから、本当にバカに見えるヲヅキは正しいんだよ。
 正しいけど、ここはタカラヅカだから「かっこいいヲヅキが見たい……」と肩を落とすファンの言い分ももっともで。

 バカだけど脳みそが足りないのではなく、脳みそまで筋肉の、体育会系バカである新公ガルシアは、「え、アレ誰?!」ってくらいには、かっこよかった。

 かっこいい、けれどそれは別に、まなはるがかっこつけててアホな役をアホに演じていない、というわけじゃない。
 彼はとことんやっている(笑)。
 もとが今風の美形くんなのに、描き過ぎてすごい顔になっているお化粧、行き過ぎた表情、渾身のギャグ芝居と「蟻の脳みそのガルシア」をすげー鼻息で演じている。
 ヅカらしい美しい役ではないが、ガルシアは儲け役だ。そんな役がついたことがうれしいんだろうな。やる気があふれていて、ちょっと恥ずかしいというか、微笑ましい。

 『凍てついた明日』のときも思ったけれど、まなはるは下級生ながら「男役」なんだよなあ。「少年役」「子役」ではなく、タカラヅカの舞台の適齢期である年代の男役を作ろうとしている。
 ぷくぷくした男役未満の少年役ばかり目に付く下級生たちの中で、彼の早熟ぶりは貴重だと思う。
 美形でスタイル良しで、演技もアグレッシヴ。とっとと新公主演させて、もっと鼻息荒くさせてやってくれ、と思うよ。

 ……渾身のバカ男芝居が、「脳みそまで筋肉」止まりで「蟻の脳みそ」にならないのはソレ、持ち味の違いもあるが、演じているまなはるの鼻息の荒さも関係していると思う。
 アスリートのようにいい汗かいてるんですよ、あの人。あまりに本気で体当たりだからしかもそれすら楽しそうだから、そのがんばりが見えてしまっている分、思考力や知性があるように見える。
 経験を積めば、もっとバカに見える、ヌキの演技も出来るだろうけど……「蟻の脳みそ」を完璧に演じるスキルよりは、他のスキル磨く方が今後役立つだろうから、今のキャラでいいんじゃないかな(笑)。

 
 さて、文字数なくなってきたので。
 美形語り、最後はもちろん、キッキング・ベア@あずりんです。

 えー、よーするに「インディアン・チームのその他大勢」です。みんなと一緒に出てきて喋る人たちの後ろに立っていて、みんなと一緒に退場する、そーゆー役。

 …………台詞喋って、演技しているあずりんが見たい…………。
 彼の声とか喋り方とか、歌とか、できるのかどうかすら、よくわかんねーよ、今のままじゃ。

 が、しかし。
 台詞はなくてもライト当たらなくても、胸にマイクすら付いてないときがあっても、とりあえずあずりんは、イケメンです。
 
 あああ、かーっこいぃ。
 見た目がちゃんと「男役」で、クド過ぎる全身演技やってるので、モブ扱いでも見ていて楽しい。
 インディアンとメキシコ人やってるときは、とにかくクドいっす。そして、スペイン人やってるときは澄ましているので、ギャップが素敵。

 ベルナルドが死んだあとのワタン・タンカとかもー、濃いぃ濃いぃ。目がギラギラしてる。
 土臭い汗臭い男だ。感情が激しく、荒い。でも態度はいつも一歩下がったまま、立場をわきまえている感じ。いかにもインディアン。きっと、命の臭いがする男なんだろうな。

 あずりんは学年からいっても「若い男の子」であるんだけど、わたしが彼を好きなのは、最初から「かわいいけど、子どもだから対象外だわ」って思わないこと。
 わたしの年齢はさておき(笑)、「レンアイしてOKな年齢の青年」と思える。
 タカラヅカは夢の世界なので、旬な男たちを愛でたい。旬ってのは、自分にとっての「レンアイ可能な年齢」(笑)。そしてこれはジェンヌ個人の学年でも年齢でもなく、舞台の上での見た目やイメージの年齢ね。
 トウコちゃんやゆーひくんが今研いくつで、実年齢いくつであっても関係なく、舞台で旬な青年であるように。
 わたしはショタの気がまったくないから、子どもにはときめかない。どんなにかわいくても美少年でも、大人になってくれなきゃ、「旬」と思えない。
 そーゆー意味であずりんは、スカフェのぴっちぴちに若い男の子であったころからすでに、「対象外の子ども」ではなく、「旬な男」だった。
 最初から、「子ども」ではなく「男」だったから、ときめいたんだな。

 
 若い子はどうしてもぷくぷくで女の子っぽい。
 男役であること、男役として美しいこと、は才能であり技術であるので、若者ばかりの新公では余計に、「きれい」であること、「きれい」を作れる子に注目してしまう。

 ……まあ、所詮は好みの話でしかないけどな(笑)。
 がおりくん、新公主演おめでとー!

 新人公演『ZORRO 仮面のメサイア』観劇。

 長年ひとりっこ政策だった雪組が、毎回新公主演者がチガウなんて、なんかとっても感慨深いっす。
 新公主演したからといってトップ路線にならなくてはならない、路線からはずれたら即退団しなければならない、という風潮が薄れつつある今、できるだけたくさんの子たちに、とりあえず真ん中経験させるのは大賛成。
 トップの素質のある子は、なにも5回も6回も新公主演して、7回も8回もバウ主演しなくても、ちゃんとトップになれるから。それだけのものを神様から授かって生まれてきているから、ひとりっこ政策は無意味だと思う。

 がおりくんは確実な実力を持ち、ビジュアルの端正さもあり、特に穴はない、あるとすればそりゃーもー、ただ、その、かなという、男の子。
 『君を愛してる』新公でキムの役を演じ、華とかムードで持っていくところを技術で、力尽くで支えきった姿が忘れられない(笑)。
 なまじ技術があるもんだから、下手をすると縁の下の力持ちになってしまいそーなところで、新公主演という華々しい経験ができて、心からよかったと思う。脇を何度演じるより、1回真ん中に立つことで、華スキルを何倍も磨けたはずだもの。

 タカラヅカらしい、と評されるこの『ZORRO 仮面のメサイア』は、新公という観点でも良いのかもしれない。
 「勢い」で突っ走ることが可能だからだ。

 タカラヅカらしい、穴とハッタリに満ちた作品。
 ガチガチに作り込まれたモノではなく、あちこちゆるゆる、されど見た目は派手。
 若者たちが勢いに任せて演じてしまうことが、可能。

 大変なのは、小物使い。マントだの剣だの、立ち回りだの。
 そーゆー部分が大変とはいえ、正塚芝居みたいな役者の根本に関わる部分が大変ってわけじゃないもの。

 がおりくんは小物使いに四苦八苦しながらも、堂々と演じきった。

 踊れる、てのは強いね。
 最初のゾロがゾロゾロ場面でも、真ん中の彼は安心して見ていられた。
 歌える、てのは強いね。
 銀橋その他のソロを、安心して聴いていられた。

 もっともがおりくんは歌ウマ認識のため、「もっと歌えるんぢゃ?」と高いハードルで見ちゃったけどね。

 やることが多すぎて大変!という感じではあった。
 一旦抜いた剣はなかなか鞘に収まらないし、花瓶はひっくり返すし。
 観ている方も彼の「やらなければならないこと」を一緒に指折り数えている感じで、あまり落ち着いて「芝居」まで観られなかった気がする(笑)。

 
 次期トップ娘役であり、2回目の新公ヒロイン、ロリータ@みなこちゃんは……1回目と同じく、となみちゃんのコピー。
 ……器用なのも真面目なのもわかったから、別のモノを、みなこちゃん自身の役作りを見たかったっす……。

 台詞回しや声がとなみちゃんそっくりなのに、賢そうに見えるのが、個性と言えば個性か。

 民衆を扇動するところも、政治的プランがあってやっているように見えた。もっとも彼女が革命のリーダーには思えないから、なにかしら背後に組織があって、組織の思惑でアジテーターを務めている感じ。

 なまじ知性があるよーに見えるから、自殺行為の扇動を浅慮にやっているように見えないんだよね。
 神父処刑に反対するにしろ、あそこで演説カマして、ロリータはナニがしたいのか。
 武装した兵に囲まれた状態で民衆を煽るってことは、暴動を起こすことが目的? 今まさに銃を持った兵隊に、素人の民衆に素手で立ち向かえと。
 ……ものすごい惨劇が待っている気がして、その行為には恐怖しか感じない。
 それとも、軍隊は暴徒と化した民衆にも一切発砲せず、ただ黙って殺されるか、あるいは逃げ出すとでも思っているのか。
 ロリータの行為は、めちゃくちゃすぎる。
 彼女がアホだと一目でわかれば、まあ、「ナニも考えてないんだな」で済むが(済ませちゃいかんが、谷作品だし)、理性も知性もありそうな女性があえてそれをするとなれば、そこに理由を考えてしまうでしょ?
 ここで暴動を起こしても軍隊が味方に付くよう根回し済だとか、あるいは彼女こそがスペイン側の回し者で、簡単にアジに乗って反抗する民衆を皆殺しにするのが目的とか。

 ロリータは浮世離れした善良なお嬢さん、でなくてはならず、とにもかくにもぶっとんでいなくてはならない、真っ当に地に足が着いていてはならないのだと、改めて思った。
 どれだけアホで迷惑で、一歩間違えれば大惨事死者何十人か何百人か、てゆーかベルナルドが殺されたのはぶっちゃけこの子のせいだよね、とかを、全部不問にするアホかわいさがないといけないんだ。

 とゆーことで、となみちゃんの芝居を丸コピするのは正しいのかもしれないが、ただなぞっているだけでは脚本の粗がまんま出てしまう。壊れた部分を力尽くでねじ伏せるのがトップスターの仕事、となみ姫はそのへん天分でクリアしちゃってる人なので、みなこちゃんもがんばって欲しい。

 
 メンドーサ@りんきらは……なによりまず、ビジュアルかなー。
 とくになにができないとかいうんじゃないけど、タカラヅカってやっぱり外見が必要なんだと、しみじみ思った。
 ぶっちゃけ痩せてくれれば、印象もずいぶんチガウだろうに……絶対外見で損してるよ……。

 てゆーか、メンドーサ大佐が、悪役だ。

 すっげー憎々しい。同情ナシで「うわっ、嫌なヤツ!!」と出てくるたびに思えた。
 新公なので主役に圧倒的なヒーロー・オーラがあるというわけでは残念ながらないため、悪役をグレーにせず真っ黒にしたのは、バランスとしていい感じ。
 メンドーサがわかりやすく悪役なので、それだけで主役のヒーロー度が上がる感じ。

 
 オリバレス総督@咲奈くんは……なによりまず、ビジュアルかなー。
 とくになにができないとかいうんじゃないけど、タカラヅカってやっぱり外見が必要なんだと、しみじみ思った。
 
 と、コピペして使ってみる。
 総督役って、かなめくんが美貌だけで持っていってたんだなあ。きれいな衣装を着て美貌を披露する、以外には、なんつーかこう、しどころのない役だなと。だって、キャラ的には専科さんでもいいくらいだもんねえ。専科さんならしどころなくても存在感で見せちゃうし。

 咲奈くんはスタイルが良いので、お顔のまんまるぷくぷくさが残念でならない。若いから仕方ないのかな。もともときれいな子のはずなのに、お化粧の問題かなあ。
 そして、彼の武器である歌はないわ、舞踏会ダンスくらいしかわかりやすく踊る場もないわ、前回のような少年役ではなく大人の男の役で、魅力を出しにくかったのだとは思うが、いろいろ残念だった。

 とはいえ、学年を考えれば、十分及第点。まだ研2……4月からやっと研3だもんな。
 少年役でなく、大人の男に真っ向から挑戦している姿は気持ちいい。

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