君は消えてしまったのか
 幻を愛してしまったのか


 ……油断すると『スカピン』の歌が1日中脳内を回っていたりするんだけど。

 『JURIのやっぱりGOGO5!? #1「真飛聖・愛音羽麗・未涼亜希」』初回放送をドキドキと眺めて。

 わたしが見たモノとの、あまりものちがいにおどろいた。

 あ、あれ?
 なんか、わたしが見たモノとぜんぜんチガウ??

 あれはみな、幻だったの?
 愛が見せたマヤカシだったの?

 なんでまっつの「ディアンヌ(はぁと)」がCUTされてんのぉおお?!!

 『外伝 ベルサイユのばら-アラン編-』でまっつが演じたい役は? という質問に、クールが売りの未涼氏は、アゴの下に人差し指をあて、上目遣いに恥じらいポーズをし、まばたきしながら「ディアンヌ?」と語尾を上げて答えたのだよ。

 あの、「まっつ、キャラちがってる?!」とファンがびびるよーな、自爆的かわいこちゃんぶりっこが、CUTされてる?! 放送されない?!

 あと、「まっつってクールだと思われてるけど、私も最初はそう思ったけど、じつはボケキャラ」と真飛氏からつっこまれ、「えっ、そーですか? どこが?」とうろたえたまっつが、胸のピンマイクを落とすところも。
 ……オマエ、天然にボケとるがな!! という、仕込みならいざ知らず、マジでココでこう落とすのか!! とゆー神がかりなまでのボケすら映らず。

 細かいところを上げていくとキリがないくらい、まっつのボケてるとこはCUTされていた。
 もちろん、まとぶ、みわっちときて、まっつはいちばんの脇役だから、彼のシーンが短めになるのは仕方がないが。

 にしても、まっつに限らず、つまんないふつーのトークはまるまる放送して、笑える場面はカットって、なんで?
 ここからがおもしろかったのに! という山場の手前でCUT、の繰り返し。
 たしかにいちばん笑える場面、観客も大喜びで爆笑している場面って、話がぐだぐだになってからなんだよね。
 で、話がとっちらかってぐだぐだだから、ってその手前で切っちゃうキモチはわからんでもないが……。出演者ファンとかヅカファンは、そのぐたぐだな爆笑トークが見たいもんなんじゃないの? まとまってるけどおもしろくもなんともないふつーの話、を見たいわけじゃなくて。

 イベント自体は90分強あったわけだから(もともと予定が90分、会場の時計は終了時刻をオーバーしていた)、それを60分番組に縮めるわけだからカットがあるのはわかっていたが。
 カットの仕方が予想外だった。

 楽屋で「縫い縫い」ならぬ「むひむひ」しているまっつ。
 汗取りグッズを手縫いしているまっつは、前を向いてやればいいのに何故か横を向いてやっている、その姿がおかしい、という話で。
 ここまでは放送された。しかし、いちばん愉快だったそのあとがCUTされていた。
 みんなが1列に並んで前を向いて坐っているとき、ひとりだけ横向いて坐って熱心にナニかしている……からこそ、おかしいんであって。それを「むひむひ」と突っ込まれているんであって。
 そこまでみんなから突っ込まれてよーやくまつださんは、すげー素な顔で、「そうか、前向いてやればいいんだ」と、つぶやいた。
 ……今まで気づいてなかったんかいっ。
 素で横向いてむひむひしてたのか。

 てなふーに、オチをCUTされているんだ、ことごとく。

 雪組の『どんだけ』を観に行ったときは、それほどひどいカットはされてなかったんだけどな。水くんが「ここはCUTして下さい」と言った話題がまるっと切られていたり、公演の宣伝的話題が短縮していたり、ガチャガチャを回すまでのロスタイムのカットぐらいで、肝心の話題は途中で切られたりしてなかった。
 雪組は台本通りだったから? 樹里ちゃんが最後に「はじめて台本通りに進んだ」って言ってたもんな(この台詞はたしかカットされてた)。水先輩もヲヅキも見るからに真面目そうだし!(テルはわからん)

 花組は台本関係ないほどぐだぐだだったのか……? それで切られまくった……?

 アゴの下に人差し指当てて「んー……」て小首傾げて小鳩のように考え込んで、考え込んで、あわあわして、なんかすげーダメっ子で、かわいこちゃんで、あまったれでゆるゆるな感じだった未涼亜希氏は、映像に残らないの?

 どっかに映像ないの、映像!!
 このままぢゃわたしのアタマの中だけで、まっつがどんどんかわくなっていくよ?!

 美化されていくよ〜〜!!
 指立てて小首傾げてぺろっと舌出しペコちゃんスマイルな羽が生えてふわふわ浮かんで周囲に花が飛んでるよーなファンシーなイキモノが「まっつ」に脳内変換されちゃうよ?!
 誰か止めて〜〜!! 助けて〜〜!!

 主よ 光を与えて
 心の奥底に生まれた迷路に

 

 他にもテレビには映らなかったこと、を書いておく。

 抽選方法が、改善されてました。

 雪組の『どんだけ』のときのように、会場入った瞬間「あ、ハズレだ」とわかり、「どーせ自分はハズレてるんだし」と、場内ほとんどの人たちがしらけた空気で長々と続く当選発表コーナーを眺める、アレは変更されてた。
 入口で渡される「抽選券」とやらが全員赤なのに、ひとりふたりだけ白とか黄色を持っていたら、「赤はハズレ、別の色の人がアタリ」だって、発表を待つまでもなくわかるよねえ。渡された瞬間、一目瞭然。
 抽選するのは壇上のスターではなく、入口でチケットをもぎってるおねーさんたちなの。彼女たちが配る段階が「抽選」。

 それが今回は、発表されるまで当選者がわからないようになっていた。考えてみれば当たり前のことだが、とりあえず改善されたらしい。
 そのかわりに、まちがい当選者も出てしまったという……。
 ハズレの赤495枚、アタリの白5枚とかにするから、「白がアタリなんだ」と一目でわかるのであって、「アタリの白5枚」がわからないように、「赤5枚」「青5枚」「黄色5枚」と色を細かく変えて500枚の抽選券を作ったみたい。
 たしかに自分と同じ色を持っている人がぱっと見わからない、みんなそれぞれチガウ色を持っているから「どの色がアタリ?」とどきどきするけど……色の種類を多くしたために、「緑っぽい青色の人がアタリです」と発表したら、「青っぽい緑色」を持った人が「当たったわ!」と喜んで壇上に上がりかけてしまった……。かわいそうに。ヘコむわ、アレは。

 比喩として色で書いたけど、実際はサンスター商品の種類でやってんのよ、この抽選。
 種類を多くするために「**スプレー**系**タイプ」とか細かく分けて抽選券作ってるもんだから、「**スプレー**系」まで合っていた人が、自分がアタリだと誤解してしまったの。

 ふつーにスターが壇上で抽選箱(参加者の半券が入っている)から当たりを引く、とかでいいんじゃね? 無理矢理スポンサーに媚び売るからあんなことに……。

 
 細かくカットされ、編集され、まっつのダメダメっぷり、かわいこちゃんっぷりは放送されなかった。

 これはやはり、劇団が「未涼亜希=クール」というイメージを守ろうとしたんだな。
 そうだ、そうにちがいないっっ。

 世間的にはまっつさんはクールでヨロシク。
 そしてわたしの脳内まっつはあんなにかわいこちゃん……あああ、かわいすぎてこまるー、どーしよー。

 主よ この身に与え給え 力を


 あまりに余裕綽々なので。あまりにコメディなので。
 ついつい忘れがちになってしまうけれど。

 パーシー@トウコが、痛々しいということ。

 『スカーレット・ピンパーネル』は穴だらけなところやご都合主義過ぎるところも含めて好きなんだが。

 パーシー役はだなあと思う。
 ショーヴランに比べて、かっこいいところが少ないっていうか。なんせ半分グラパンだし。さらにパーシーのときも半分はおちゃらけてるし。
 ほんとの二枚目部分が少ない。

 なにより、恋愛部分が見えにくいのが不満。

 マルグリット@あすかと「恋愛」している部分が描かれておらず、いきなり彼女の不実を疑うところからはじまるよーなもんだから、彼の傷が見えにくい。

 『スカーレット・ピンパーネル』であり、スカピン団の冒険活劇だからこの展開は仕方ないんだけど……わたしなら、パーシーとマルゴの恋愛場面を最初に入れるなー。
 マルゴやショーヴランの前で話しているときと、デュハーストたちスカピン団の仲間たちの前で話しているときでは、パーシーの口調や声がまったくチガウ。これはいくらなんでも変過ぎる。
 対外的にわざと阿呆ぶっているのはわかるが、マルゴの前でもそうなのはおかしい。あの変なイントネーションで話すお貴族サマと恋愛したんですか、マルグリット? 真実のパーシーは仲間たちと話しているときの、ふつーの発音で話すパーシーでしょ? ならマルゴは真実の彼を知らないの? 知ってるならいつもあの話し方でいるパーシーは、なにかしら嘘をついているとわかるでしょ?
 ……てまあコレは、トウコちゃんがコメディやりすぎてるせいもあるんだけど。

 パーシーとマルグリットとの関係が明確でないために、その後のパーシーの心理的展開が弱いのなー。
 マルグリットの苦悩やショーヴランのかっこよさの方がわかりやすく、パーシーの良さは伝わりにくい。コメディ部分でのみオイシイ人になってしまう。

 パーシーがどれほどマルグリットを愛しているか、事前にわかるといいのに。
 今のままじゃ、足りない。

 
 てなことは置いておいて。

 パーシーがマルゴを愛していることをわかっている身としては。

 マルグリットがサン・シール侯爵の居場所を公安委員に報せたのだとわかったあとのパーシーの嘆きの深さに、酔うことができる(笑)。
 またここの歌がいいしさ。
 今回は限定版に釣られてプログラム買ったので曲名がわかる。や、プログラム自体買うだけで満足して結局1ページもめくってなかったんで、今はじめて開けたんだけど、「祈り」って曲。
 いちばん好きかな、この歌。(次は「栄光の日々」)

 わたしはずっぽり恋愛モノが好きで、色恋絡みの事件が好きなので、ここでパーシーが苦しむのは「マルゴって実は革命政府と通じてる?!」とか「イギリス貴族の俺を利用しようとして近づいた?!」とかゆー意味でショック受けてるとは思ってない。
 政治的なことぢゃなくて。

「昔の男と、まだ別れてなかったのか!!」

 と、あくまで恋愛問題で嘆いていてほしーのですよ。

 その前にパーシーはショーヴランに会っている。ショーヴランは「公安委員」というだけでなく、「マルゴの元カレ」という意味が強いんだ、パーシーにとって。
 マルゴが革命政府のスパイだとして、彼女が情報を流すために会っている相手がメルシェだとかピポー軍曹だとかなら、こんなにショック受けてない。

 元カレと会い、カレに有益な情報を流す。
 ……というと、彼女の心が、まだ彼の元にあると思うじゃん、ふつー。

 パーシーがあまりに悠々とショーヴランを手玉に取っているし、ソレらしい台詞がまったくないから、これはあくまでもわたしの好みだっつーだけだけど。

 パーシーはショーヴランに嫉妬している。

 革命に燃えていた少女だったころの、マルゴを知るショーヴランに。
 そのころの彼女と愛し合っていた、というショーヴランに。

 でもってショーヴランって、パーシーとはまったく逆のタイプじゃん。
 背が高くて逞しくて体育会系で雑草系で、どん底から這い上がりましたワイルドキャラ。
 自分と正反対のタイプの男に対し、反感と羨望(あるいは劣等感)を持つじゃん。

 自分の惚れた女の元カレが自分とは正反対のタイプで、しかもこそこそと会ってる、とわかったら……疑うわな。

 マルグリットは今もショーヴランを愛している。
 愛する男の出世のために、俺を利用するつもりで結婚した?

 ……と、ここまで思ってほしいのです、ええ。

 ほんとのとこは知りません。
 台詞や歌詞には欺かれたとか秘密とか隠し事とか信じてないとかあるだけで、ショーヴランとの恋愛関係を疑うようなものはまったく出ない。観客であるわたしたちは、ふたりが恋愛関係なんぞないことを知っているから余計に色恋ネタから離れて考えることもできるけど。

 タカラヅカですから。恋愛至上主義ですから。
 三角関係ですから。

 ショーヴランがパーシーを恋敵として嫉妬するように、反感を持つように、パーシーもショーヴランを恋敵として敵対してくれないとね!

 敵とかスパイとか大きな話ではなく、男女関係のもつれでいいんです。わたし的に。
 それこそが萌え。

 あのまぬけなショーヴランに、嫉妬してるんですよ、パーシーは。
 からかってなにかと意地悪するのは、ショーヴランが公安委員だからじゃなく恋敵だから。
 だってべつに、あそこまでショーヴランにかまったりいじめたりする必要ないでしょ、パーシー&グラパン。他の公安委員やロベスピエールには一切意地悪しないのに、ショーヴランにだけ。

 ハタから見れば、マルゴがショーヴランをなんとも思ってない、むしろ毛虫みたく嫌ってるのは丸わかりなのに、パーシーにはわからない。
 あの黒尽くめのワイルドな男前が、また会いに来ていた。ふたりだけで話していた。……めらめらめら(嫉妬の炎)。
 つーことで、やりすぎなほどショーヴランをいぢめるパーシーの図、ができあがる。
 革命とか政治とか正義とか、そーゆーお題目もあるにはあるが、根っこはすごく人間くさい、小さな感情。

 それこそが、萌え。

 スカピン団だからとか侯爵が殺されたとか、そーゆーことじゃなくて(や、それもあるにしろ)、まず「愛」だけで傷つき、取り乱す人間臭さをパーシー@トウコには求めたいの。

 つーことで、ボロボロに傷ついて嘆きの歌を歌うパーシーにときめくのですわ。

 ショーヴランにいぢわるしつづけるパーシーにときめくのですわ。

 また、ショーヴランは自分が嫉妬されていることにも、特別にいぢめられていることにも、まーーったく気づいていないんですよね。その鈍感さが彼の魅力ですわね(笑)。

 愛ですよ、愛。
 すべてはソコからはじまる(笑)。


 『スカーレット・ピンパーネル』の話を、ろくに書いていない気がする。

 いやその、よりによって『SIREN:New Translation』『零〜月蝕の仮面〜』が1週間差で発売になったりするから、忙しくて。コントローラの握りすぎで肩や首が痛くて泣きそう(そんな理由)。
 

 『スカーレット・ピンパーネル』は、冒険活劇である。
 細かいことは考えず、ただ素直にたのしむものだと思っている。辻褄が合わなかったり、それってどうよなことがあったとしても、ソレを突っ込むのは野暮ってもんだと思う。

 キャラが立っていて、音楽が良くて、派手な見せ場や感動的な名場面があって、ストーリー展開や設定は穴だらけで風通しがいい、というのが、「おもしろさ」の理由だと思う。
 理詰めでガチガチなものは、爆発力に欠けるんだもん。

 あちこち穴があるからこそ、想像でそれらを埋めるのが楽しい。
 「スカピン団で恋愛シミュレーションゲーム」とか、『スカーレット・ピンパーネル・2』とか考えて遊べるんじゃん(笑)。
 続編もスピンオフもなんでもできるよね、こんだけ設定がゆるいと!!(笑)

 kineさんと話してた『スカーレット・ピンパーネル・2』がマジで観たいですよ、あたしゃ。

 
 あれだけ権勢をふるっていた革命政府が斜陽を迎え、ロベスピエールは断頭台の露と消え、その他のみなさんも粛清の嵐に飲まれ、さあ大変!
 その昔は「それは行き過ぎだろ!なほど、罪なく処刑される貴族」を助けるために結成された「スカーレット・ピンパーネル団」が今度は「それは行き過ぎだろ!なほど、罪なく処刑される元革命政府の人々」を助けるために再結成!!再活動!!
 ショーヴラン@れおんと手を組んでフランス新政府相手に大暴れのパーシー@トウコと愉快な仲間たち!!

 「オマエと手を組むなんて真っ平だ!」と言いながらも、かつての部下たちを助けるために仕方なく協力態勢のショーヴラン、余裕綽々・隙を見せるとからかっちゃうぞなパーシー。
 ショーヴランに付き従う忠実な部下メルシェ@ゆーほ(続編に出演するんだから、辞めちゃダメだゆーほ!)、そして新政府にあっけなく捕まって処刑されそうになっている要領悪いっちゅーか儚げでいいぞなクーポーくん@どいちゃん、ちゃっかり新政府軍に取り入って下っ端やってるピポー軍曹@みきちぐ!!
 やっぱり女装してピポー軍曹たちを煙に巻くスカピン団! 「ああっ、オマエはいつぞやのでかい洗濯女!!」「転職したから今は仕立て屋だよー(てきとー)」アタマ撫で撫で、しい×ちぐの同期プレイはお約束で。

 スカピン団7名は健在(アルマンだけ不在)。キャラクタもそのままに。カノジョたちもそのままに。
 あ、デュハースト様@しいちゃん、今度こそパーシーの汗拭いてあげてねっ。

 で、今度のスカピン団には「演技なら任せて」の美女マルグリット@あすかもいるわけで。
 ショーヴランとマルグリットが革命の理想に燃えていた昔話なんかしちゃってちょっといいムード、パーシーが誤解してなんかすれちがい、お約束の三角関係!
 パーシーとショーヴラン、今度は対等な位置で恋のライバルだ。いや、マルゴは基本相手にしてないんだがな、ショーちゃんはまた勝手に盛り上がるし、ショーちゃんが盛り上がるから、パーシーもピクピク反応してしまう。
 互いの危機を救ったり、救われたり。悪態ついたりからかったりしながらも、パーシーとショーヴランは強大な敵に立ち向かう。背中を合わせて戦う。がっつり男の友情モノだ、お約束でベタな場面、エピソードてんこ盛り。

 さて、こんな雰囲気だけ大河歴史ロマン、もちろん原作者は関係ない、イケコのオリジナルだ。
 つまり、「世界征服を歌う悪役」が登場する。

 ナポレオン@和くんの登場だ(笑)。細かい時代考証は棚上げ基本な。冒険活劇には、そしてイケコ作品にはわかりやすい悪役が必要なの。だからナポレオンなの、野暮なツッコミはナシでな!
 アルマンは結婚引退(笑)してスカピン団にはいないの。だから和くんで悪役ヨロシク。
 銀橋でもカーテン前でもいいから、がっつり「世界征服」歌ってキザりまくって。この辺で殻破ってくれ、頼む。

 『スカーレット・ピンパーネル・2』では1〜2曲日本人好みの盛り上がるヤツをワイルドホーン氏に書き下ろしてもらうだけで、あとは『1』の使い回しで。歌詞だけ変えたり、アレンジしたり。

 罪なくドタバタ盛り上がって、お約束の大団円、ハッピーエンドになだれ込む。
 ショーヴランはあくまでもシリアスぶって去っていき、パーシーとマルグリットはラヴラヴ。スカピン団も敵も誰も死なない、いつでも続編作れます的END。


 あー、ベタなサブ・タイトルがいるよなー。
 『スカーレット・ピンパーネル・2 〜逆襲の紅い紋章〜』とか(笑)。内容と合ってない感じなのがハリウッド映画みたいでイイかと。

 
 『スカピン』ならいくらでも遊べるっていうか、パロディ考えられると思うわ。


 『スカーレット・ピンパーネル』新公の日、わたしはひさしぶりに友人のBe-Puちゃんとクリスティーナさんとお茶をしていた。
 Be-Puちゃんはトウコちゃんファンなので星組公演期間はムラでよく会うが、クリスさんは数年ぶり。

「それで緑野さんは今、ご贔屓とかいるの?」
 と聞くクリスさんに、わたしが答えるより先に、
「いるよ。花組の未涼亜希っていう、変な顔の人」
 と、Be-Puちゃんが答える。

 むきーっ。変な顔って言うなーっ。

 クリスさんはもちろん、「花組の未涼亜希」を知らない。首を傾げる彼女に、わたしは持っている写真を見せる。これが未涼亜希ね、おぼえてね(笑)。

「今そこのスカステの画面で、『なみだのでるうた』とかゆーのやってて、それに出てるから、あとで見ようよ。変な顔だから」
 と、Be-Puちゃん。

 むきーっ。変な顔って言うなーっ。

 わたしががるがる異を唱えるのを、Be-Puちゃんは「まぁまぁ(笑)」と軽くいなす。 

 わたしとBe-Puちゃんは顔の好みが正反対で、わたしの好みの顔はことごとく彼女の好みに合わないの(笑)。
 一緒にヅカビデオ上映会とかしょっちゅーしてたんだけど、いちいち感想が逆でねぇ。
 画面に春野寿美礼が映ると、
「かわいー」
「変な顔ー」

 と、同時に言っていたもんだわ……ふっ。もちろん、わたしが前者、Be-Puちゃんが後者ね。

 Be-Puちゃんはチャーリーとトウコちゃんのファン。目が大きく派手な美人顔でないと、きれいと認めてくれない……(笑)。

 
「ところで緑野さん、今回の新公についてなんかぎゃーぎゃー言ってたけど、あれって紅ゆずるって子が主演だからよね?」
 と、Be-Puちゃん。
 彼女もクリスさんも本公演だけ、新公は観ずに帰る予定。
 わたしそんなにぎゃーぎゃー言ってましたっけ? 言ってたかもしれん。
 うん、ベニーが主演だっつーんで、張り切ってた。
 そしてBe-Puちゃんは無名(だった)下級生のベニーのことは、カケラも知らなかった。初日観劇後、「紅ゆずるってどこに出てる?」と聞かれ、「スカピン団のいちばん背の高い子」と教えてあげなきゃならなかったくらい。

 『ヘイズ・コード』の柚長の秘書役だったとか言ってもおぼえてないBe-Puちゃんは、それでも本公演に通ううちに、ベニーの見分けが付くようになったらしい。

「緑野さんの、好きそうな顔」

 にやりと笑って言う。

 「好きでしょ? 好きよね? なんで新公主演ってひとりで騒いでんのかわかったよ。顔かー」……って、ナニひとりで納得してんのよ、そっちこそ。
 ベニーの顔も名前も知らないクリスさんに、またしても「緑野さんがいかにも好きそうな顔の子で」としたり顔で解説するし。
 もちろんBe-Puちゃんはカケラもベニーの顔を良いとは思わないよーで、新公主演にも興味はなく、「新公、たのしんできてね!」と快く送り出してくれました。

 好きに決まってるだろう、あんな顔(笑)。

 オサ、水、おっちょん、まっつ、うきょーさん……ブログをはじめた当初にどっかに書いたおぼえのある「好き顔」のラインに、もちろん入りますよ、ベニー。

 Be-Puちゃんはヅカ友ではなく、ヅカ以前からの友人。うん、ぴっちぴちに若い頃からの友人。
 今のようにネットがあるわけではなく、会にも入っていないわたしがヅカを語り合える人が欲しい場合、現在進行形の友人にヅカにハマってもらうしかないじゃん?
 思惑通りヅカ落ちしてくれたけれど、Be-Puちゃんとはほんとに好みがかすらなくて。好きな組も贔屓もすれ違いまくりだわ。
 無駄につきあい長いから、言いたい放題だしな、お互い。

「でもさーあたしら、男の好みもかすらないから、安心してつきあえるんだよね〜〜」

 と、いつだったかオトコマエにハンドル握りながらBe-Puちゃんが言っていたことを、思い出す。
 うん。
 リアル生活でも、わたしたちがひとりの男を取り合うことだけはありえないから、安心だよね(笑)。

 そしてBe-Puちゃんは今日も旦那ののろけを真顔でするのだった……。
 しあわせそうでなにより。
 しかし、あんだけつるんでいたはずのあたしたち、どこで人生分けたんだろうね?

 
 ……い、いいのよ。
 あたしは今日もまっつまっつ言って生きるからっ!!


【物語】
 時は18世紀末。
 フランス貴族のアナタは危ないところを「スカーレット・ピンパーネル」に助けられ、無事イギリスに渡ることができました。
 縁があってお世話になることになったブレイクニー家は社交界の中心、お屋敷にはイケメン貴族たちが毎日のように集まっています。この中に謎の義賊「スカーレット・ピンパーネル」がいる?
 恩人である「スカピン」は誰なのか、謎を探りながらもアナタは恋の予感にときめいています。
 さあ、誰と恋をする?

【ゲームの進め方】
 アナタがブレイクニー家にいるのは1年間です。この間を自由に過ごしましょう。毎週末開かれる舞踏会に参加するもよし、美術館や公園で過ごすもよし。知性や魅力を磨くことによって、男の子たちがアナタに興味を示してきます。
 彼らにはそれぞれ固有のパラメータがあり、好みが違います。それをしっかりと見極め、好感度を上げていきましょう。
 「スカーレット・ピンパーネル」の正体探しを縦軸に、自分自身を成長させ、周囲の人々と親交を深めていくことで、やがて真実の愛とめぐり逢うのです。

***お邪魔キャラ・ショーヴランに注意!***
 フランス大使のショーヴランがマップ上をランダムにうろついています。彼に見つかるとパラメータ・ダウン! 体力ゲージの弱っているときに捕まると、フランスに強制帰国させられ、ゲームオーバーになります。
 捕まったときは○ボタン連打で振り切って!
(ごくまれに、「王子様イベント」「『スカーレット・ピンパーネル』イベント」が発生する場合もあります。別項参照)

【攻略可能なダーリン・キャラ紹介】

パーシー・ブレイクニー@安蘭けい
 ブレイクニー家の当主、社交界の花形。瀟洒で底知れない色男。
 妻帯者の彼は、ゲーム中約半分の時間で妻と和解してしまうので、その後の攻略は不可。妻とすれ違い状態の前半のうちにラヴ・エンディングまでこぎ着けなければならないので、激ムズ。ファースト・プレイでの攻略は避けた方が賢明。
 彼を振り向かせるためには、初期状態で魅力、知力、社交力を180以上にすること。月一度の王宮舞踏会には必ず出席し、週末ごとの舞踏会にも全参加が基本。ドレスやアクセサリーもチェックされるので、その週の流行りのアイテムを身につけて。
 会話はトラップ多し。一見弾んでいるように見えても、内心好感度が落ちていることがあるので注意。好感度が低いうちは彼のプライベートに踏み込むような会話は厳禁。

アントニー・デュハースト@立樹遥
 パーシーの親友。闊達な好青年。
 正攻法でトライ。女性らしさをアピールすることを心がけて。ドレスやアクセサリーは奇抜なモノは×。
 最初から好感度が高く、やさしくしてくれるけれど、そこからなかなか上がらないのが彼の特徴。丸1年かけて攻略するつもりで、ゆっくりと仕掛けて。待ち伏せ→デート、が有効。
 必要なパラメータは体力、気配り、魅力。

アンドルー・フォークス@涼紫央
 パーシーの親友。あでやかな貴公子。
 知的好奇心をアピールして、積極的にデートに誘って。演奏会や美術館、劇場などが○。好感度が一定値に達すると、かなり短期間で彼の方からのアプローチに変わります。うまくいけば3回目のデートでプロポーズされることも。必要パラメータは魅力、流行、知力。
 ゲーム終了の1年が過ぎるまで、彼の情熱を維持させる方が大変。意外に嫉妬深いので、他の男の子とのデートは厳禁。「スカーレット・ピンパーネル」の秘密を探るために他キャラと会っていても、彼の傷心度が上がるので注意。

アルマン・サン・ジュスト@和涼華
 パーシーの妻の弟。美貌のヘタレ青年。
 強気に行くこと。会話の選択肢はいつもいちばん辛辣なモノを選ぶ。彼が返答に詰まるような理知的で容赦ない言動を取り、4回に1度の割合で頼ってみせたり甘えたりすること。そのたびに一気に好感度が上がります。必要パラメータは気配り、知力、流行。
 基本的に自分が見えないキャラなので、図に乗るとヘタレな自分を省みずに大言壮語したりするけど、なまあたたかくスルーし、持ち上げる振りをしましょう。一度好意を抱くと生半可のことでは下がらないので、別キャラとの浮気、二股攻略時のキープくんとしても最適。
 ただ彼は、秘密を持つが大の苦手。彼に伝わったことは、次の日には他のキャラに知られていると思っていいでしょう。

オジー@彩海早矢
 パーシーの友人。お笑い担当のムードメーカー。
 積極的にデートに誘うことで簡単に好感度が上がります。でも、ずっとかまい続けてあげないと傷心度もまた簡単に上がってしまうので注意。必要パラメータは流行、体力、気配り。
 デートはアウトドア関係、会話は食べ物や仲間たちの話が無難。「スカピン」の有益な情報は彼が漏らすことが多いので注目して。下ネタ好きでもあるので、彼を攻略するときはそれらを寛大に受け止めつつ、時々注意したり、恥じらって見せたりすると有効。

エルトン@夢乃聖夏
 パーシーの友人。体育会系木訥青年。
 好感度がわかりにくい彼。ときどきキワドイ系の質問をして反応を確かめて。女の子をもてはやす機転は効かないので、アナタに興味がないときは味も素っ気もない反応しか返らない。反対に意識しているときは、普段の「脳みそまで筋肉」系天然会話ではなく、盛大に照れたり焦ったりと激しく愉快な反応が楽しめます。
 一定の好感度まで達したあとは放っておいても大丈夫。アナタがナニをしていても勝手に「俺の彼女」と思いこんで、……結局放置されます。デートは誘わないと、彼からは誘ってきません。亭主元気で留守がイイ、という人にはオススメ。
 必要パラメータは体力、社交力、知力。

ファーレイ@麻尋しゅん
 パーシーの友人。存在感薄い真面目くん。
 たぶんいちばん常識人、堅実にプレイすれば自然と攻略できるので、ファーストプレイ時にオススメ。適度に会話やデートをするだけで好感度が上がるので、アナタが口説いたつもりはなくても、気が付くと彼ひとりが勝手に盛り上がっている可能性もアリ。
 恋愛モードになると毎日会いに来たりデートに誘ってきたり、愛のポエムを捧げてきたりと、かなりマメ。彼が本命のときはいいけど、最初から別キャラを狙っているときにも、同じように恋愛モード全開で寄ってくるので、その場合はやっかいかも。別キャラ狙いのときはきっぱりはねつけて。
 必要パラメータは魅力、気配り、知力。

ベン@紅ゆずる
 パーシーの友人。オシャレ大好き優男。
 自分を含めた美しいモノが好きで、細かいことにこだわりが強いロマンチスト。流行・ファッションに敏感なので、彼に会うときはドレスやアクセサリーに手を抜かないこと。奇抜なモノもOK。
 会話は彼を持ち上げる方向で、アートやファッション、噂話が○。「スカピン」の話題が好きで、妄想・情報取り混ぜて話してくれます。必要パラメータは流行、魅力、社交力。
 実生活では役に立たないヘタレ男だけど、そこを突くような会話は厳禁。気分に波があり、落ち込んでいるときにキツイことを言うと部屋から出てこなくなるので要注意。

ハル@壱城あずさ
 パーシーの友人。はしこくてかわいい少年。
 唯一の年下キャラ。末っ子キャラ特有の頼りなさと、それを凌駕する調子の良さと器用さを持つので、魅力、知力、流行パラメータが高くないとアナタの方が振り回されるかも。
 子どもっぽくかわいらしいところと、計算高いところが複雑に存在しているため、意外に難度は高め。最初からパラメータを上げ、常にイニシアチブを取れる準備をした上で臨むこと。

【隠し攻略キャラ】

ジェサップ@天緒圭花
 パーシーの執事。寡黙なロマンスグレー。
 毎週末の舞踏会に参加せず、その間彼に話しかけ続けることで恋愛フラグが立つ。必要パラメータは特になし。

ショーヴラン@柚希礼音
 2巡目以降、誰かとラヴ・エンディングを迎えた以降のプレイで攻略可。
 出現がランダムなキャラなので攻略難度高し。すぐに○ボタン連打で逃げず、パラメータ・ダウンを覚悟の上で一度会話すること。
 会話は強気に、容赦なく、罵る系で。彼の反感を煽り「絶対俺が捕まえてやる」と言わせれば脈有り。会話が終わったら○ボタン連打で逃げる。この繰り返し。会うたびに全パラメータが下がるので、普段は地道にパラメータ上げに務めること。
 好感度が上がると出現率が目に見えて上がり、マップに出るたびに会うようになります。

【バッド・エンディング】

 1年間が過ぎ、ブレイクニー家をあとにするときまでに、「スカーレット・ピンパーネル」が誰なのか突き止められなかった場合は、どれだけ男の子たちの好感度が高くても、誰もプロポーズに現れません。
 また、1年間で誰とも恋愛モードに入らず、王宮舞踏会に6回以上参加していた場合は、最後の日にプリンス・オブ・ウェールズが花束を持って登場します。

【ベスト・エンディング】

 最愛の彼からのプロポーズ、「あなたこそ我が家」をBGMに結婚式を迎えます。パーシー・エンディングのみ、安蘭けいの歌声入り。
 永遠の愛を得るのは、アナタ次第。

              ☆

 とりあえずわたしは、ファースト・プレイでデュハースト様を落とし、次のプレイでショーヴランにチャレンジします(笑)。


 質問
 洗濯女の扮装で、いちばんかわいいのは言うまでもなくしいちゃん演じるデュハースト様。では、しいちゃんから見て、自分の次にかわいいスカピン団の洗濯女は誰?

「えー? みんなかわいいよねえ? とよこはかわいいし……しみこもかわいいよねえ……」

 上から順に思い浮かべながら、「みんなかわいいから、誰がとか選べないなー」とゆー感じで悩むしいちゃん。

「あかしも……あかし……あかしも……うーん……なんであんなに似あわないんだろうね?」(真顔)

 しいちゃんソレ、さっき言ったこととちがいますがな。
 みんなかわいい、って言ったじゃん(笑)。
 でもどうやら、あかしは「かわいい」とは言えない模様。「男顔なんだねええ」とかなんとか言って、上から順に検証は、あかしで止まってしまった模様。

 で、結局誰?

「あー、はいはい、んじゃえりちゃん。えりちゃんがかわいい」

 ……すごくてきとーぢゃないですか、にーさん?(笑)
 上から考えてあかしで止まり、次の人にしましたね? ……いや、ともみん、とばされてる?!

 結果。
 デュハースト様の次にかわいい女装美女は、まひろくんだそーです。ふーん。

 はい、立樹遥お茶会@『スカーレット・ピンパーネル』へ行って来ましたっ。

 
 役によってわたしの萌え度が上下しますが、今回のデュハースト様は萌えです。大好きです。ときめきです。
 しいちゃんはヘタに変化球ではない、直球ド真ん中の二枚目キャラを演じると、イイ男度がぐーーんと上がる人です。ときめきキャラになる人です。
 反対に、某殺し屋男爵とか、ふつー「オイシイ」とされる「黒い役」をやるとスベる複雑な人ですな。……つくづく、真ん中向きのキャラクタなんだよなあ。

 デュハースト様はイギリス貴族で正義の味方。主人公パーシー@トウコちゃんの片腕で、年長キャラ。年少の男子たちがわいわいやっているのをまとめる役目。
 冷静に、ガキどもとは一線を画し、副長として存在している……そーだが、やるときはやる人ってことで、女装が必要ならば、とことん女装。ええ、すげーたのしそうに洗濯女やってますね。
 オシャレが必要だとわかればアニマル柄も着こなします。たのしそーに羽飾りなんかつけちゃってます。

 デュハースト様は、シリアスなときとるんるんなときのギャップがいいんだよなー。
 マルグリット@あすかが敵かもしれないと疑わざるを得ない、わずかなメンバーのひとり。
 パーシーの苦悩を知り、我がことのように胸を痛めるひとり。
 若くてのーてんきなスカピン団のメンバーたちを見守る、良きおにーさん。でも結局のとこ、若者たちに負けず劣らずのーてんきにぱかーっとした笑顔で大騒ぎしている、ひときわガタイの良いおにーさん(笑)。

 大人っぽくデコ全開、おにーさんキャラ、なのは自覚して演じているそうですが、同期の某ハマコさんから助言があったそうです。
「前髪があった方がイイ。なんか、おとーさんに見える」

 おとーさんて!!
 ハマコ直球!!(笑)

 ……おかげで最近のデュハースト様は、前髪がちょっとあるそうです。ハマコ、GJ(笑)。

 公演の話のほとんどは小池先生のモノマネに終始したよーな気がする。
 小池せんせーがどれだけこだわる人かを、それまで出来上がったものを最後にひっくり返し1からやりなおしていくエピソードを、せんせのぼそぼそぼそぼそ喋りを真似しながら、しいちゃんが実にたのしそーに語ってくれました。
 ひとつのミュージカルが出来上がるまでのリアルな現場の様子が伺えて、たのしかったっす。

 なんかすごく「しいちゃん主体」でハナシが進んでいた。
 いちおー、ファンから事前に回収した質問を司会者が読み上げ、しいちゃんがそれに答える、というお約束のカタチをとりながら、しいちゃがイニシアティヴを取ってるの。
 質問にも答えてるんだけど、「関係ないんだけど、思い出したから話していい?」といちいち前置きをしながら、質問に触発された別のハナシを語りだす。
 受身ではなく、自分から話してくれるから、それが取りとめないことや他愛ないことでも、キラキラオーラに満たされるのね。「伝えたい」と思って発する言葉は、力を持つ。しいちゃん自身がたのしんでいるから、聞いているわたしたちもたのしい。

 感じるのは、包容力。彼の言葉に上がるのは、あたりまえに「上級性である」という自覚。自分が仕事をするのは当然だが、それ以外に下級生の面倒を見るのも前提なの。
 具体的になにがどうと例を挙げられる記憶力はわたしにはないが、印象として、トウコちゃんを支え、下級生たちを受け止め、導いている人だということが感じられた。意識して語ってるんじゃなく、そーゆー立ち位置にあるから、それがあたりまえの状態だからにじみ出ているってゆーか。
 大人として、社会人として、自分のいる場所で「仕事」をきちんと果たしているんだ。そして、そのうえであの大きな笑顔をふりまいているんだ。

 かっこいいなあ、しいちゃん。
 大人である、青臭い小僧っこではない、ということが、こんなに魅力になるなんて、昔は想像もしなかった。

 
 ところで、「夏だから暑い」→「舞台の上もすごく暑い」→「トウコさんなんかほんと大変そう」という話の流れで。

 しいちゃんはあったりまえに言いました。

「トウコさんの、汗を拭いてあげたい」

 なななナニ気に萌え発言?!!

 パーシー@トウコの汗を拭いてやるデュハースト@しいちゃん?!

 ナニその萌え構図。
 ラインハルトとキルヒアイス的?
 見たいですよ、ソレ見たい!! 是非やって下さい!!(鼻息)

 もっともしいちゃんは「できるわけないけど(笑)」「あすかちゃんに任せる」てなことを言って、この話題は終わってしまったけれど。
 深い意味(どんな意味だ)のない、単なる「親切発言」に過ぎないことはわかっているけれど。

 いやいやいや、是非お願いしますってば。
 なにも舞台の真ん中で歌いながら汗を拭いてやって、とは言わない。芝居の中心が別に移ったときとか、暗転の間際とかにどさくさにまぎれてやってくれればいいから!
 ガン見している人しか気づかないタイミングでヨロシク。

 ファン増えると思うなっ(笑)。
 

「か、カンチガイしないでよねっ。別にアンタのためにあげるんじゃないからね。アンタがみすぼらしい格好してたら一緒にいるアタシが恥ずかしいからだからねっ(耳まで真っ赤)」
「おじょーさま……(じーん)」

 とゆー、ツンデレカップルの話、つーことで。

 宙組バウWS『殉情』Aチーム出演者の感想いきます。
 や、作品はキライ過ぎるので考えない考えない(笑)。

 ツンデレなんてもん、かわいくなければ成り立たない。
 言動だけみれば最悪、だけど本心ではないことが観客に伝わり、素直でないことを「かわいい」と思わせないと、共感や好意はわきようがない。
 どれだけ春琴をかわいく演じられるか……に、かかってるよなあ。

 『春琴抄』をツンデレ扱いして申し訳ないが、コレは『春琴抄』ではなくて石田作『殉情』だからさー。そのままではとても正視できない。わたしのアタマが悪いから、こーゆー変換しかできなかったってことにしておいてくれ。

 つーことで。

 春琴@たっちん、かわいいっ。 

 気が強くてひどいことばかり言っているけど、そのわがままっぷりがかわいい。また、佐助@ちぎにだけ心を寄せていることがよーっくわかるので、彼にだけとくに厳しいのも納得できる。佐助もうれしいだろ、あれだけ特別扱いしてもらったら。
 キミだけを愛して、キミだけを傷つけて、ってやつですな。興味ない相手は傷つけさえしない。

 春琴の愛らしさで、かなり救われました。
 彼女の「いの!」は凶悪にかわいいぞ。
 容姿の美しさ(ますますグンちゃんに似てるなあ)もさることながら、性格を含めた「キャラクタ」としてかわいいんだよな。たしかにわがままかつ凶暴(笑)なんだけど、それすらかわいい。

 それでいて、ときおり彼女の持つ孤独や傷がまっすぐに胸に突き刺さってきて……ますます、この子を愛しいと思える。 

 
 対する佐助@ちぎが、美しい。

 もともとちぎくんは美貌の人だけど、どっちかってーと「かわいい」という形容詞の似合う若い男の子だったんだよね。
 それがこの佐助役では、そんな子どもっぽい表現よりも、ずばり「美しい」。

 端正で耽美な大人の男だ。

 衣装もシンプルな日本モノだからこそ、顔立ちだけが重要になる。

 ちぎくんの美貌を眺めるだけでも価値のある公演だ……いやマジで。
 とんでもなく、美しい。

 
 でもって、この時代物カップルに対応する、現代パートのカップル。
 マモル@かちゃ、かっこいいっ。ユリコ@あまちゃきかわいいっ。

 正直、かちゃがここまでかっこいいなんて、知らなかった。
 線が細すぎて、男役として難しいものがあるなあ、なんて思っていたのに。
 撤回します。男役としてきれいだ。男役としてかっこいい。
 驚異のスタイル、誤魔化しの効きにくい現代衣装、ジーンズにシャツとかで、ふつーに男の子に見える。子どもではなく、若い男に見える。

 あまちゃきは、わかっていたけどほんとにかわいい。
 こちらも現代衣装で、底上げの効かない姿で、そのままかわいさに息をのんだ。

 このふたりの、カップルとしてのビジュアルの良いことってば。
 眼福〜〜。見てるだけでたのしい〜〜。

 現代の若者、なんてのはヅカがいちばん不得意とするジャンルなんだけど、等身大の役とはいえ自然に演じてくれて心地よかった。

 
 そして、お蘭@せーこちゃんが、かっこいい。

 彼女の歌からスタートする場があるんだが、その華やかさと実力におどろいた。
 ああ、これだけの力があるんだ、この子。と、素直に胸に落ちてきた。

 日本物得意だし、バウヒロ経験済みだし。
 キャリアからいって、これくらいできて当然なのかもしれないけど、でも着実に階段を上がっている様子を目の当たりに出来てウレシイ。
 でもって宙組だとせーこちゃん、ごつくない(笑)。のびのびとカラダを伸ばしている感じが、またイイよな。

 
 それにしても、この『殉情』Aチームのキャスティングはいったいなんなんだろう?
 他のWS公演と比べて、明らかに異色だ。雪組かなめWSと同じくらい、異色。
 大劇場でヒロイン勤めた女優が、今さらワークショップもないもんだよなあ。
 いや、観客の身としては、正規バウと同じ料金なんだから、正規バウと同じ布陣で固めてくれた公演の方が安心してチケット買えるけど。

 
 この公演で退団する暁郷の扱いが、あんまりなことに驚愕。
 番頭さん役はたしかにかっこよくて、厚みがあって、「そこにいる」ことがわかる……なんだろう、実態を感じさせるのね。
 まだ若いのにおっさん役で、そしてソレが違和感なくて……そーゆーとこがひとつひとつ「ああ、暁郷だ」と思わせて、じーんとうれしい。
 が、1幕はともかく、2幕では、ほとんど出てこないことに、ショックを受ける。
 歌も無しかよ……なんでこんな公演で辞めちゃうんだ、GO。

 暁郷がオトコマエであるがゆえに、男役として美しいがゆえに、かなしくて仕方がない。

 
 石橋@きみつん、うまいなあ。
 ますます老け役を極めてきている?(笑)
 若くしておっさん役ができるのはまぎれもなく希有な才能、このままどんどん活躍の場を広げて欲しい。
 

 利太郎@すっしーや、おてもやんたち、みんな熱演でそれぞれ芸達者なんだと思う。
 ただ、わたしのキャパが小さいゆえに正視できない。
 またどこか、他の作品で出会えると思うので、そのときをたのしみにしている。

 
 現代パートがなければ、それでもなんとかついていけるんだけどなあ……遠い目。
 現代パートのきみつん、かちゃ、あまちゃきはすげーいい仕事していて、きれいで、大好きだけど。でも、それとは別に、現代パートが苦手過ぎる。
 石田め……。(言ってもしょーがないって)


 宙組バウWS『殉情』両チーム、観劇済です。

 ……いやあ、感想が書きづらくてさー。
 なんでかっつーと、作品がキライ過ぎて、考えるのがつらいからっす……。

 これはもう好みの問題で、個人の趣味だから、仕方がない。
 バイト抜け出した現代のカップルが墓場でラヴシーンやってるのも、したり顔の老人が春琴の解説をはじめるのも、おてもやんがたくさん出て吉本喜劇はじめるのも、利太郎がバカ殿全開でお笑いライヴをはじめるのも、現代パートでいちいちいちいちいちいち観客の自由な感情すら踏みにじりたったひとつの「見方」を強要されること、テーマからなにから全部語られ尽くされること、下世話で下品で下劣な表現で美しいモノをひとつずつ壊していくことも、萌えメイドが登場することも、娘役の太股まで全開に逆立ちさせるよーに脚を引っ張ることも、それを「笑い」にしていることも、肝心のオチを先に言ってしまうことも、とにかく、なにもかも、嫌。

 ああ、わたしはほんっとーに、石田昌也が嫌いなんだ、と、実感しました(笑)。

 石田だから全部キライ、というわけではもちろんなく、彼は嫌いな部類の作家だけど、なかには好きなものだってある。
 ただ、この『殉情』という作品は、わたしが石田を嫌いだと思うモノのすべてが、凝縮されているんだ。

 他のナニより拒絶反応が激しいのは、そのせいだなー。

 気になる生徒さんが出演していなかったら、観劇自体あきらめていた。
 ここまでキライな作品を観るのはつらいから。

 初演は観ていない。ポスターしか知らない。当時「あまりにも売れなかった」ということで、客入りの悪い公演の代名詞としてよく耳にはした。観ていないので、事実かどうかは知らない。
 佳作がかえって興行成績がよくないことぐらい、この世界にはいくらでもある。再演が決まったときは、動員が奮わなかったために観た人は少ないが、実はよい作品だったのだろうと思った。場を整えて再演すれば、質に相応しい興行的評価を得られると踏んでのことだろう、と。
 演出家が苦手だったので猜疑心はあったものの、百聞は一見にしかず、予備知識ないまま再演を観に行って……わたしとは、生涯無関係なモノだと判断した。

 関わり合いにならなくていい。
 アンタッチャブル。別の地球に生きる人が書いたんだわ。それくらい、わたしの価値観と無関係。

 不快なモノばかりが詰まっている。
 創作する上で、こんなふうにだけはしたくない、こんなふうには描きたくない、と思うお手本がそこにある。
 
 『春琴抄』を何故ここまで無惨にみっともなくできるのか、不思議でならない。
 原作まんまミュージカル化すれば、美しいものになるのに。
 美しくしてはいかんのか? ドリフの大爆笑でなきゃいかんのか? 深遠なテーマは「20字以内で答えよ」てなテストの解答みたいな、つまらん短文でまとめなきゃならんのか? 感じ方、見方はひとつしかなく、それ以外は存在してはならないのか?

 原作がどうあれ、ソレを下敷きに独自の物語を展開するのはアリだと思っている。
 原作まんまをコピーして再現すること、なんか正直どうでもいい。原作至上主義なら原作だけ大事に抱えていろ、メディアミックスや二次創作を自分で見て読んで「原作とチガウ」ことに文句言うな、と思っているクチだ。
 「創作」というもの、「フィクション」というものに、こだわりと愛情を持つがゆえに、原作と原作を元とした別作品それぞれに価値を見出している。
 たしかにわたしは『殉情』をキライだが、べつに「原作を貶めた」からキライなわけじゃない。すちゃらかちゃんな音楽や効果音を使って、水洟やら赤い丸を顔に描いてお笑い芸人芝居をやりたい、というのも創作・表現の一環と認める。その上で「でも、わたしはそーゆーのキライ」と言って、終わるだけのこと。わたしはそんなものを、「タカラヅカ」に求めていない。わたしの趣味じゃない、というだけのこと。
 そして、趣味じゃない作品なんて、石田作品を含めて、いくらでもある。

 主義主張の押し付け、はかまわないんだ。
 作家はなにかしら言いたいこと、世に問いたいことがあって創作する。それを大上段に叫んでもかまわない。それは「作者の言いたいこと」だからだ。
 それに対しての考え方の違いや好き嫌いはあるだろうけれど、それ自体はイイ。
 「創作」というもの、「フィクション」というものに、こだわりと愛情を持つがゆえに、作家の叫びの見える作品の方が好きだ。
 たしかにわたしは『殉情』をキライだが、べつに「愛とはこういうもの」と主義主張を押し付けられたからキライなわけじゃない。
 彼が愛についてどう思っていてもかまわないさ。

 ここまで嫌悪感を持つのは、「見方・感じ方の強制」をされることだろう。
 現代パートがなければ、ただの「石田作品」としてふつーに「趣味じゃないからキライ」で済んだんだけどな。
 そして、この現代パートこそが「石田作品」の特色だけど、題材が難しすぎるために「ただの解説」ではなく「答え合わせ」になっている。
 何故彼女はこうしたのか、何故彼はそうしたのか、を、いちいち全部解説していく。
 何故彼女はこうしたのか、何故彼はそうしたのか……そこを考えることが、フィクションを愉しむ醍醐味なのに、それを全部奪われる。
 おいしそうなリンゴを差し出しておいて、目の前で皮を剥き、芯を取り、実のおいしいところをゴミ箱に捨て、皮と芯を「はい、どうぞ」と差し出された不快感。食べ物を粗末にすることへの怒り。
 「創作」というもの、「フィクション」というものに、こだわりと愛情を持つがゆえに、読者・観客の感覚を奪う・否定する作品……「創作」「フィクション」自体を貶めているモノには強い反感を持つ。

 好き・キライってほんと、人それぞれだからなあ。
 逆鱗ってのは、人ひとりずつチガウところにあるんだよなー。
 わたしにとって『殉情』はまさに逆鱗ポイントにクリティカルする作品。別の人にとってはチガウだろうし、わたしが大好きなモノが別の人の逆鱗だったり、あったりまえにあるわけだし。
 だから、人はひとりずつちがって、良いとされるものもいろんなものがあって、そーゆーところこそがおもしろいのだけど。

 にしても、キライだわ、コレ。


 ドラマのお約束、「無名の新人がチャンスを掴んで一躍大スター」……お約束ってのは、それだけ愛されているパターンだってこと。

 みんなが大好きな「スター誕生」、「シンデレラ・ストーリー」。

 ……もちろん、わたしが語っているのは、「あまねくすべての人々が大スターだと認め、ひれ伏すほどの圧倒的カリスマ性を持ち、すべての人が美貌と華を認め、非の打ち所のない技術を有し、ヅカ関係以外のマスコミも、ヅカを見たこともない一般人も、嗜好の枠を超えて魅了するほどの才能を持ったタカラジェンヌ」が登場する、という意味じゃない。
 現代にそんなジェンヌは登場しないだろう。価値観が多様化し、趣味娯楽の選択肢が広がった今、たったひとつの価値観なんか、あるわけがない。
 すべての人を唸らせることなんかできない。人間はひとりずつチガウのだから。

 その前提の上で、より多くの人たちに好まれるためには、個人の資質だけでなく「シチュエーション」の後押しが必要、という話。

 一般人が嫌悪と不信を持つシチュエーションでデビューするより、最初から好感を持つシチュエーションでデビューした方が有利だよね? って話。

 わくわくしたい。夢が見たい。
 スター誕生を、みんな待ちわびている。

 重要なのは、知名度。
 みんながわくわくするのは「無名の若者が抜擢されてスターになる」ってことであり、すでによく知っている、今現在路線扱いされている人が路線の役をもらうことでは、ない。それじゃわくわくしない。

 抜擢もシンデレラ・ストーリーも、「無名」でないとダメ。

 つーことで、登場時は「抜擢」で「スター誕生」だった人たちが、その後失速するのもまた、よくあること。

 サクセスもののドラマなら、実力が認められて抜擢されて主演、でゴール、ハッピーエンドでいいけれど、タカラヅカはまだ先があるから大変だ。
 新公主演のあとに、トップスターまでの道のりがあるからだ。

 一般大衆は抜擢が好きでシンデレラ・ストーリーが好き。
 なのにタカラヅカはシステム上それらが存在しない。

 どんなに実力があって納得の抜擢を受けて新公主演をし、華々しく注目を浴びた子でも、そこから先新公主演を独占したり、本公演やバウ公演などで重要な役を独占したりする状態が続くと、人気は下降する。
 人々が好きなシンデレラ・ストーリーでなくなってしまうからだ。
 オイシイ立場の独占はシンデレラでなく、シンデレラの姉、ヒールのやることだからだ。
 独占すること自体がマイナス・イメージになって、人気につながらない。

 抜擢によりスター誕生!と新公主演しても、そのあとトップスターになるまで5年から7年、ヘタすりゃ10年とかかかっちゃう現状では、そりゃー飽きられるって。
 10年間も主要な役をやり続けたら、ちっとも「シンデレラ」じゃないし、「スター誕生」でもない。人々が大好きなパターンじゃない。
 価値観が多様化した現代、「みんなが好きなパターン」という後押し無しに「汎用的人気スター」を作るのは、そりゃ難しいだろう。

 それゆえに「路線」として安泰コースを何年も歩き続けている人たちよりも、「脇」とされていた大空祐飛の人気が際立ってきたりするんだろう。「脇からの抜擢」はみんなが好きなシンデレラ・ストーリーだもの。
 や、ゆーひくんほんと脇の人だったんだってば。新公主演してるけど、ずーっと脇扱いだった。それが長い時間を掛けて、真ん中へやって来たの。
 もちろんゆーひくん自身の魅力あってのことだが、シチュエーションの後押しもあっただろう。なんせ、彼の歩んでいる道のりがすでにドラマめいてる。

 
 また、最初の抜擢をまちがえると、思うように人気にならないんだよなー。

 ベニーと似たケースに、月組の龍真咲がいる。
 彼もまた新公ですらろくに役がつかず、副組長の役とか、路線扱いの子なら与えられない役をやっていた。素顔がきれいだからスカイフェアリーズはやっていたけれど、初期のスカフェならいざ知らず、今のスカフェが路線とは関係ないことは周知の事実。組ファンなら知っていても、他組ファンには無名。
 それがまさかの抜擢でスター路線へ出てきた。……が。
 まったくの無名の下級生の抜擢だったが、新公ではなくWS主演だった。
 先に語った通り、WSは話題にはなっても、誰も、観に行かない。バウ公演つーのは、出演者のもともとの人気で集客するもので、「知らない子だから観に行こう」とは、ディープな人以外考えない。
 実際に観た人は極少ないまま、名前だけがライト層にも認知される。

 そのため、多くの人の目に触れる新公主演が回ってきたときには「無名の下級生の抜擢」でも「シンデレラ・ストーリー」でもなく、ただの「順当」「平凡」「日常」に成り下がっていた。
 ある程度できても「路線だから当然」「今までだって主演してきたんだから当然」で、「抜擢された無名の新人」に対するわくわく感ゆえの寛大な目線ではなくなっている。
 まさきがまったく無名のまま新公主演をしていたら、世間の評価も変わっていたんだろうなと思う。
 

 今回の紅ゆずるの星組新公主演において、意外なほど世間が騒いだ。
 配役発表があったときは、わたしもおどろいた。わくわくした。
 実際に新公を観て、さらにわくわくした。

 でも。
 ……ここまで騒ぐんだ、という驚きもある。

 こーゆーあざやかな抜擢人事って、何年ぶり? 2005年の朝夏まなと抜擢以来か。まぁくんはほんと脇からの抜擢だった。ひとつ前の公演では新公ですら役らしい役が付いてなかった。
 2001年の音月桂抜擢も当時は話題だったな。ただしこちらは今の明日海りお・真風涼帆に近い。組配属されてすぐに、新公で路線役がついていたから、「路線」という意識はすでに組ファンにはあったろう。しかし、研4での初主演は組を超えて注目された。

 本人の勉強のためにはずーっと重要な役を与え続けたり、バウで主演させたりするのは有効だが、人気というと難しいよな、と思う。
 登場時はたしかに「抜擢」で「シンデレラ・ストーリー」で、みんなわくわくしていたけれど。

 舞台は経験が物をいうから、役や場を与えなければならない。
 しかし役や場を与え続けると、シチュエーションの後押しがなくなり、マイナス・イメージになりかねない。
 矛盾してるよなー。どこのカオス・フレームだ(笑)。

 「シンデレラ・ストーリー」というプラス・イメージのシチュエーション無しで、露出が増えるごとに・知名度が増すごとに人気を得られるスターが登場すれば、それでいいのだろうけど。

 現実問題、難しいよなあ。

 まったくの無名から抜擢されて新公主演しても、そっから10年近くかかるんじゃあ、流れの速い現代、人気を持続することは難しいよなあ。
 
 どうすれば本当の「スター誕生!」になるのかは、正直わからない。
 人の好みも価値観も、多種多様すぎて、ヅカファンの数だけすべてをフォローできる魅力、なんてもの、想像もつかない。

 ただ、一人っ子政策が、ファンのニーズとかけ離れていることは、わかる(笑)。
 「無名からの抜擢」「脇や下積みから、光のあたる場所へ」てなシチュエーションが好まれるのだから、「オイシイ立場を独り占め」がマイナスなのは想像に難くない。

 
 見事にみんなの大好きなシチュエーションでデビューした、ベニーの成長をわくわく見守りたい。
 ムラの星組新公、すごかった。あの空気、拍手の音。
 彼、おもしろいよ? 美貌と、タカラヅカ的な力を持っている。
 キムやまぁくん、まさきがそうであるように。

 スター誕生。
 みんなみんな、わくわくしたかったんだね。

 問題は、これからだ。
 
 タカラヅカが好き。
 結局いつだって、わくわくしている。


 わたしたちファンは、やはり人の常として「スター」の登場を心待ちにしている。
 サクセスもののドラマや映画にあるように、無名の新人がチャンスを掴んで一気にスターダムを掛け上がる……てなストーリーラインの話、大好きだよね。
 その無名の若者がずっと下積みを積んできた努力の人だったり、その業界をまったく知らない素人だったりと、ハナシを組み立てる手段はいろいろあるが、よーするに「世間的に知られていない人が、世間を騒がし、評価を得る」とゆー流れが好きなんだ。痛快なんだ。

 スター誕生。
 みんな大好き。

 だからタカラヅカでも、基本的に「抜擢」は好まれている。
 無名の下級生が抜擢され、スターになることは大歓迎。

 だが、タカラヅカで「スター」になるには、研7までに「新人公演で主演しなければならない」というルールがあるために、まったく無名の若者が一気にトップスターになることはない。
 最初の「抜擢」はトップスターではなく、新公主演、ということになる。
 学年が上がるごとに新公3番手、2番手と役付きが上がり、最後の研7でめでたく初主演……ではない。成長を見守ることで組ファンが愛着を持つとしても、一般大衆がわくわくすることはない。
 世間を騒がせる抜擢ならば、新公2〜3番手すらやったことのない、まったくの脇扱いだった子を主演にするか、あるいは入団したばかりの超下級生をいきなり主演させるか、だ。
 これならば組ファンだけでなく、タカラヅカ全体がわくわくする。

 ただし。
 闇雲な抜擢は未来につながらない。

 重要なのは、中身があることだ。

 抜擢に相応しい実力があること、納得させるだけの仕事をすること。
 抜擢が好きな一般大衆は、「実力ゆえに納得の抜擢」をされてキラ星のごとくデビューする新人が好きなのであって、「なにもできないのにスター扱い」される人間が好きなわけではない。
 実力があるのに無名(理不尽。だが、現実によくあること。または自分も世間から正しい評価を得ていないという漠然とした不満)だった若者が、スターになるからカタルシスにつながる(理不尽が正された。現実にそうそうないことだからこそ、痛快。自己投影による達成感)。
 能力もないのにスター扱いをされる人(理不尽。だが、現実によくあること。ドラマの中でまで現実通りの理不尽さは見たくない)は、大抵ヒールだ。
 一般大衆はダークなものは嫌い。正しいものが報われ、ずるいものには天誅が下ることを望む。

 抜擢されてスターになるには、実力が必須。 
 その実力には、技術のほか、容姿の美しさや華なども含む。

 もっとも、外の世界はともかくヅカでは、すべての人を黙らせる天才的技術ではなく、舞台人としてのそこそこの能力があればいいんだけど。
 一般大衆、という言い方をしているが、わたしが対象としているのはヅカを見たこともない一般人ではなく、「ヅカファン」という立場の中でのライトな立ち位置の人たちであり、ヅカ自体に寛大で好意的な視点を持った人々だから。

 容姿を含めた実力を持った、入団したての超下級生の大抜擢人事、もしくはまったくの脇扱いだった子を突然真ん中へと抜擢人事。みんなが大好きなシンデレラ・ストーリー。
 その昔、天海祐希が入団早々新公主演したように。

 今回の星組新公で、紅ゆずるが主演に抜擢されたように。

 いやあ、ベニー主演つーことで、なんかもー、すごい数の検索来てるんですが。
 新公が終ってずいぶん経つのに、まだまだやってくる。(で、みんな2005年3月7日の記事に行きつく)

 みんな、こーゆー抜擢を待ってたんだなあ。
 今まで組長とか脇上級性の役しかもらってこなかった、まったくの脇扱いの子が、最後の新公で大抜擢。真ん中できちんと仕事を果たし、「こんな子がいたの?」「なんで今まで無名だったの?」と一般大衆をわかせた。

 スター誕生。
 みんなみんな、わくわくしたかったんだね。

 今回の世間の動きを見ながら、しみじみ考えたよ。
 超下級生時代から抜擢しても、主演でないと意味がないんだ。研2あたりに4番手をやらせたってダメ。やるなら主演でないと。結局のところ3番手2番手と順番に役付きが上がることになり、主演をやるときにはみんなの好きな「抜擢」ではなく、「順当」「日常」「平凡」になってしまう。

 それくらいなら、まったくの脇から抜擢したほうが、話題になる。組ファンしか知らない、認知されていない子を順番抜かしで抜擢すると、感動につながるんだ。

 そして、若手スターの作り方として重要なのは、「大劇場でないと一般人に認識されない」ということ。

 バウ公演や全国ツアーなどで抜擢して重要な役を与えても、もともとのファンしかその公演自体を観ない。売りだしたい若手の認知や評価につながらない。
 とくに、若手主演のバウワークショップは、本人の勉強にはなるだろうが、人気にはつながらない。だって一部のコアなヅカファンか、出演者のもともとのファン以外、観に行かないもの。
 ファンだけが通い、絶賛するけれど、一般のライトなヅカファンは公演自体スルーする。拙いとわかっている、スターも出ていない、しかし価格だけはスター主演公演と同じものを、観るはずがない。

 もちろんいちばんいいのは本公演で「抜擢」して「オイシイ」役を演じさせることだ。それがいちばん認知と人気を上げる早道だろう。しかし短い上演時間で大人数の出演者に役と見せ場を与えなければならない本公演で、新公ですら無名の下級生にオイシイ役をつけることは、現実問題として不可能なのだろう。

 次善の策として、新公ならば特定の生徒のファン以外も観るし、ライト層も足を運びやすい(ムラ)。
 まったくの無名状態から、一気に主演へ抜擢。……これがいちばんオイシイんだなー……。

 ……そう、「無名」でなくてはならないんだ。あくまでも。すでに知名度があると、ありがたみに欠けるんだわ。

 話途中だが、文字数足りないので続く。


 書き出したら止まらなくなった、『JURIのやっぱりGOGO5!? #1 「真飛聖・愛音羽麗・未涼亜希」』の覚え書き、前日欄からの続き。
 

・ガチャガチャトークに代わって、パネルトーク。4カテゴリ×4のパネルからゲストが好きなものを選び、そこに書かれている質問に答える。
・まとぶ、みわっち、まっつの順。
・パネルの中には、質問の他に「サンスター(VO5)商品プレゼント」と「罰ゲーム」があるらしい。

・「***は見た。×××の秘密」という質問事項を引いた真飛氏。ブランク部分に好きな単語を当てはめて作文せよ。
・「ワタシは見た。未涼さんの秘密」(byまとぶ)……「えええっ?!」まっつうろたえすぎ。
・まっつのイメージは「クール」。だけど実際は……。
・楽屋で衣装に付ける汗取り用途のモノを縫っているときのまっつが、相当おかしいらしい。「縫い縫い」ではなく、なんだっけ、「むひむひ」? ナチュラルに、変。
・クールな未涼さんが、なんかコワれていくよーな?

・「『ベルばら』ごっこやろうよ!!」……突然盛り上がる人々。
・みわっち=アントワネット。
・まっつ……じつは『ベルばら』をよく知らないので自分で決められず。ヲイ。イメージ的にジェローデルだと周囲から言われ、結局黒いから「黒い騎士」。……ええんか、ソレで。
・樹里ちゃん=ル・ルー。自信満々。
・まとぶ……こちらも迷っているウチに、樹里ちゃんに「ジャンヌ!!」と決定される。
・「あの女をギロチンに!」と歌うジャンヌ@まとぶの周りを、ル・ルー@樹里ちゃんが回るそーだ。で、あの女がアントワネット@みわっちだよな。で、黒い騎士@まっつはナニやってんだ、そのとき? ……つか、いったいどんな話になるんだ?

・失敗談を語るみわっち。いや、みわっちではなく、まっつが、みわっちの失敗を語る。つか、言い出す。
・『エリザベート』で早変わりが間に合わず、出遅れるみわっち。
・場面はウィーンのカフェ、ツェップス@ちはる兄貴と、革命家エルマー@らんとむ、シュテファン@みわっち、ジュラ@まっつが出会う。
・いないみわっちの分まで、らんとむとまっつが歌ったらしい。革命家トリオはひとりずつツェップスと握手をしながら自分のパートを自己紹介っぽく歌うので、ふつーにいない人のところを歌うのではなく、ふたりで3人分くるくる回って握手しながら歌ったらしい。……ちはる兄貴も大変だ。
・みわっちは最後の、トート@寿美礼サマを囲んでの握手のシーンにだけ間に合ったそうな。……自己紹介無しで、握手だけ参加。ナニモノ?!

・アタリであるプレゼントを引くのは、まとぶんとみわっち。……まっつは? まっつは一度も当たってなかったような?
・パネルが少なくなると、中にひとつだけ混ざっている「罰ゲーム」への緊張が高まる。
・上級生ふたり、まとみわは、まっつに「罰ゲームを引け」とプレッシャーを。「ここでまっつが引くべき」「引かないとKY」とまで。

・罰ゲームパネルを引いたのは、まっつ。
・ガチャガチャも罰ゲームに関しては出来レース(雪組時にヲヅキが看破)だったけど、このパネルトークも出来レースだよね。パネルの後ろにスタッフがいて、ゲストが指定したパネルを開く仕組みなので、ほどほどのときに、決まった人のパネルに「罰ゲーム」と書いた紙を貼ることが出来る。台本的に、まっつが引くことに決まってたんじゃないかな。
・ただし、出演者である花組トリオはこの仕組みを知らされていないっぽい。3人共が本気で罰ゲームを引くことを恐れながら、パネルを選んでいた。

・今までみんな、トップスターと下級生ふたり、の場合は最下級生が罰ゲームを引くのはお約束だが、大抵引いた本人だけでなく下級生ふたり一組で罰ゲームをするもんだったから。
・出来レースで最初からみわまつで罰ゲームだと思ってた。
・なのにみわさん、なんの気負いもなく樹里まとぶと一緒になって、まっつを置き去りに!!
・まっつひとりでやるのか?!

・ああ、みわさんにデジャヴ。
・オサコンのMCで、出演者全員で「若い順に並べ」をやったとき、あたりまえの顔して「いちばん若い」まぁくんの横にならんでいた、しれっとした無邪気な笑顔。
・そのかとまっつが学年相応の場所に入ろうとするのにさせてもらえず(ふたりとも老けている認定されていた)あがいているのを、「他人事」とゆー涼しい顔で眺めていた、あのときのみわさんだわ!!(笑)

・みわさんに見捨てられたまっつ、ひとりでやります。なにをやりますか。まっつですから、歌います。はい。
・言われるがままに、VO5スプレー缶をマイクにして。
・春野寿美礼サマの「世界の終わりの夜に」モノマネやりまっつ。
・ワンフレーズだけ。1曲歌ってくれても良かったのに、春野寿美礼ヴォイスで!!(笑)
・樹里ちゃんも負けじとリュドヴィーク@『マラケシュ』のモノマネやりまっつ。
・ふたりそろって「春野さん、すみません」……それだけ春野さんを好きで見ていたためだと、どさくさまぎれに告白。よかったね、まっつ。ホロリ。

・歌は花組トリオで。樹里ちゃんは客席へ。
・3人で「羞恥心」……えええ、振付まで完璧なんですけど?!
・ビデオ見ながら自分たちで振りおこししたんだ?! 上級生の前で本通しして(含む星原先輩)、ダメ出しまでしてもらって、仕上げてきたらしい。
・本気だ……。こいつら、本気すぎる……。
・ちゃんとそれぞれ3色のスカーフ付き。まっつが青だった……順番的にそうなるのか。(わたしは黄色の彼が好きっす)

 
 ぜえぜえぜえ。
 ざーっと書いてるだけで、夜が明けてきた……。ああ、スズメが鳴いてるわー……。

 プレゼント抽選は、もちろんかすりもしませんでした……。
 シナモノなんぞいらん、彼ら4人と握手させてくれえ……まとぶん、じゅりぴょん、みわっち、まっつの順だったかな。とにかく最後がまっつだよ。
 彼らと一気に握手で、最後がまっつなわけでしょ、もし当たってたらわたし、その場で倒れてるわ……くらくら。想像しただけで眩暈がするから、はずれてよかったのか。

 みんなかわいかった……。
 たのしすぎた。
 こんなに大笑いしたのって、どれくらいぶりだろう。

 あああ、まっつかわいい〜〜。
 まっつまっつまっつ。(未だ取り乱し中)


 疲れてるのに、眠りたいのに、なんか止まらない〜〜。
 前日欄のまっつ萌えだけ書いて、ぱたんと寝る気だったのよ、あたしは。
 なのに、まっつのこと書いてたら、なんかなんか、いろいろ思い出してきて。なんか今書かなきゃわかんなくなる気がして。ポンコツ海馬をひっくり返して、徹夜で書いてます。
 んなことしなくても、すぐに放送あるし、明日にでもニュースでダイジェストが流れるだろうに。

 『JURIのやっぱりGOGO5!? #1 「真飛聖・愛音羽麗・未涼亜希」』の覚え書き、スタート。
 台詞はまちがいまくってると思う。こんなニュアンスだった、とゆーだけなんで寛大な心でヨロシク!!

 
・まとぶん登場するなり、樹里ちゃんの命令で、ふたりそろってモデルウォーク。
・真飛聖のモデルウォーク!! かっけー、きれーっ!!
・樹里ちゃんはコケティッシュでハリウッド女優みたい。
・樹里ちゃんはノリノリだけど、カッコつけながらも、まとぶさんが内心テレまくっているのが透けて見えて、萌え。

・着席してまずは公演の話。樹里ちゃんが毎回タイトルをまともに言えないのは、ギャグでやってるんでしょうか? 『愛と死のアラビア』ですってば。
・樹里ちゃんはあちこち爆笑したらしい。ラストシーンでも爆笑だったとか。……正直な(笑)。
・捕虜になって3ヶ月たってるのに、トマスのケガがまったく治っていない件をつっこむ樹里ちゃん。「愛音さんの治療が悪い」「トモダチやから、ほんとのこと言われへんかってんやな」
・樹里ちゃんの語る「トマス像」はすばらしい。「あれだけなにもかも持ち合わせた人、近所にいる?」……近所は無理だろう。

・樹里ちゃんの持論は「人は、見た目」。
・まとぶさんが「樹里さん、夢がない(笑)」と進言。樹里ちゃん、一瞬で持論を覆す。「大切なのは、見た目より心」。

・アノウドといつ、どういうふうに恋に落ちたかを、まとぶさん、突然本気でシリアスに語り出す。
・KYなほどに、真剣に説明をはじめるまとぶさんにときめく(笑)。

・最後の牢獄の場面、樹里ちゃんのいちばんのツッコミは「牢獄、広っ」「何人入るねん!」
・ドナルドの枕詞は「あの治療のヘタな……」。話題に出るたび、藪医者認定。

・『Red Hot Sea』の話は、オープニングのポニョたち……お魚の話をしているだけで時間切れ。
・まとぶんは舞台稽古であのウロコチュニックぴっちぴちダンスを見て「度肝を抜かれた」そうな。

・新コーナーは「横文字禁止」で会話をすることに。
・横文字を使えないとなると、クイズ番組になってます、会話が。
まとぶさん「休日は1時間の物語を見ます」→ドラマのこと
樹里さん「『最後のトモダチ』とか、キムタクが総理大臣になる『挑戦』とか?」……樹里ちゃん、CHANGEの和訳は挑戦ぢゃないっす……(笑)。あとで「変身」って言い直してたけど。→『ラスト・フレンズ』に『CHANGE』ですな
まとぶ「休日は他に、按摩とか」→マッサージ
・テレビ画面下には、視聴者にだけわかるように解答が映されるんだろーか……?

樹里「まとぶさん、血液型は何型?」
まとぶ「…………」
樹里「ええやんもー、言っちゃえば〜」
まとぶ「…………B型ですっっ」
・てなノリで、樹里ちゃんがいぢわる質問をし、まとぶんが必死でかわし、それでもついに根負けして半ギレ状態で答える、の繰り返し(笑)。
・半ギレまとぶがかわいいー。声がいいのー。
・あとは旅行の話とか。海外の地名を出させようと画策するじゅりぴょん。あらがうまとぶ(笑)。
・まとぶんが口にしたカタカナ語って、B型とマイペースとハワイと……他はなんだっけ。おもしろかったのに、おぼえてない〜〜。
・てゆーかまとぶ、緊張しすぎ。真剣に答えすぎ。もっと気楽に地雷踏んでも良いだろうに、すげー真面目。
・まとぶんもいろいろやり返すんだけど、樹里ちゃんは力業で逃げる感じ。

・もちろん、ゲームは樹里ちゃんの勝ち。樹里ちゃんが勝ったことにより、賞品は視聴者プレゼントに。……真飛が負けることが前提のゲームだったんだが、真飛さん真面目に闘いすぎ。
・まとぶんかわいいかわいいかわいいっ。

・みわっちとまっつ登場。
・自己紹介の「優秀なイギリス人医師の愛音羽麗です」で、客席に爆笑されるみわっち……。いやその、ここではキミ、藪医者認定なんだってば……。
・まっつは枕詞無しに名前だけ名乗る。

・まと、みわ、まつともに白ジャケットにジーンズ姿。
・まっつの色が黒いっつーことで、「メラニン」という渾名を付けられる。……なつかしいなあ、メラニン……いやその、昔『キャプテン翼』というアニメがあってだね、その中の某タイガーショットな萌えキャラクタを仲間内ではメラニンと……まあいいや。

・本日はみわさんは美顔器、まとぶさんは負けじとパックをして臨んだらしい。……まっつはなにもしてない? まとぶんに「アタシのパック反対側使う?」とか言われたらしい……反対側って?!
・まっつがボケキャラになってます。ボキャブラリ不足してます、メモリ不足っぽいです。
・まとぶさんを表す言葉、みわっち「白」、まっつ「2.5」。……まっつ絶対ボキャブラ変だ。「上級生に向かって、なんてことを(笑)」てなツッコミを入れられ、あわあわしていた。
・2.5、って、「二枚目ではない」って意味らしい。三枚目との間。
・樹里ちゃんが「まとぶさんにはコメディセンスがあるってことやね」と美しくまとめてくれて、まっつセーフ。
・次は『外伝 ベルサイユのばら-アラン編-』をやる。まとぶもみわっちも役が決まっている……決まっていないまっつは、ナニがやりたい?
・「ディアンヌ(はぁと)」

 うわわ、文字数多すぎておさまりきらない。
 翌日欄へ続く。


 もともとわたしの海馬はポンコツですが、それを通り越して、スクラップにまで達してしまったようです。

 記憶がありません。 

 7月22日午後7時30分から9時過ぎくらいまでの間。
 わたしはナニを見、ナニを聞いていたのでしょう?

 ただ、しあわせだったとしか、おぼえていません。
 『JURIのやっぱりGOGO5!? #1 「真飛聖・愛音羽麗・未涼亜希」』に、行ってきました。それだけは、たしか。なのに記憶が……記憶が……。
 わたしの海馬に残っていることといえば。

 まっつがかわいい。
 まっつがかわいい。
 まっつがかわいい。
 まっつがまっつがまっつまっつまっつ。

 ひたすら舞い上がり、のーみそが煮えたぎっている状態でした。その直後に東京駅で会ったkineさんが半笑いだったことはおぼえています……おおお、テンションおかしかったよね、あたし?!

 
 てゆーかさ。まっつってさ。

 自分のこと、かわいいと思ってる? 

 なんなの、アレ。
 アゴの下に、人差し指を立てるの。
「んー……」
 って、考えるときとか、アゴに指をあてるの。『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』の書生さんのとき、ときどきやってたけど。あれは演技で、かわいこぶってるだけだって信じてたけど。

 アレ、演技ぢゃなくて癖? 実生活でもやってんの?!

 かわいいぢゃないかっっ。

 も、萌え死ぬかと思ったぞ。
 かわいいかわいいかわいい。

 ちっちゃい顔して、ナチュラル系なめらか肌して、目の下にはシワ健在で、真っ黒黒な髪で、ハスキーな性別不明の声で、ナニ指立ててんのよお。小首傾げちゃってんのよお。

 ハァハァハァ。

 まっつが、ボケキャラでした。
 なんか、イジられまくってました。
 色が黒いからって、樹里ちゃんに「メラニン」とかゆー渾名を付けられてました。

 かわいかったです。
 もーとにかくかわいかったです。

 罰ゲームで、寿美礼サマへの愛を叫んでました。
 追いつめられて、寿美礼サマしか出てこないあたりがステキです。

 歌はじゅりぴょん抜きの花組トリオで「羞恥心」……どわーっ、かっこいー。歌だけじゃないっすよ、振りまで完璧っすよ!!
 ねえねえ、この人たちアイドルでもイケるんぢゃないっすか? ねえねえねえっ!!(半狂乱)

 
 夜行バスで帰宅して、疲れたんでこのへんで。
 くわしい感想はいずれ。

 海馬よ、頼む、復活してくれえええ。わたしに記憶力を〜〜。



 
 ところで、「革命政府軍決起集会」に行きました。

 『スカーレット・ピンパーネル』の後出しイベント。チケット前売り前に言ってくれよ、わかってたらその日を買っておいたのに。
 と、くやしがったら、ツッコミ担当ドリーさんに「前売り後だから、イベントをやるんじゃない」と返されました。そ、そうか……そうだよね……満員御礼なら、こんなイベントわざわざやらないよね。

 でもさ、そのおかげでたのしいイベントを見ることが出来てラッキーだわー。

 全部で4回あるトーク・イベント。
 「ピンパーネル団の夕べ」「革命政府軍決起集会」「ブレイクニー家の親族会」「恋人たちの井戸端会議」。
 全部に行けるはずもないので、選ぶとすれば、しいちゃんのいる「ピンパーネル団の夕べ」か、ゆーほのいる「革命政府軍決起集会」かだ。
 トウコちゃんはそりゃ見たいけど、競争率いちばん高いだろうし、トウコちゃんのトークショーなら他に機会はいろいろあるだろうし、それよりもっとレアな人々の声が聴きたい。
 つーことで結局、革命家を選んだ。

 ゆーほ、退団しちゃうんだもん。
 彼のトーク・イベントなんて、これが最初で最後ってことじゃん。

 
 当日券で参加したんだが、客席はえっと、「イベントを開催した理由」を納得できる空き具合でした。
 これだけの作品をもってしても、ムラの平日3時を埋めることは難しいんだなぁ。『ME AND MY GIRL』でさえ、平日はそこそこだったもんなあ。

 入口で質問用紙を渡される。
 質問者の都道府県と市まで、プラス氏名。あとは本日のイベント参加者の役名と名前が印刷されており、誰に対してなんという質問をするか、という記入欄になっていた。

 迷いなく、某まっつの出身地と本名(名字のみ)を、質問者欄に記入する(笑)。こーゆー用紙に本名を大真面目に書く人は、どれくらいいるんだろう? 質問が採用されたら、大劇場の舞台で読み上げられちゃうんだよ? 質問はしたいけれど、こんな公の場で住所氏名を読み上げられたくはない。仮ネーム使うでしょう。
 某まっつはありふれた名字だし、近場の大都市出身なので仮ネームとして使いやすい(笑)。

 質問相手はもちろん、ゆーほと、どいちゃん(笑)。
 ……わたしの質問が読まれることはなかったけれど。

  
 で、「革命政府軍決起集会」。司会は組長、出演はロベスピエール@にしきさん、ショーヴラン@れおん、ピポー軍曹@みきちぐ、メルシェ@ゆーほ、クーポー@どいちゃん。

 わたし的いちばんのトピックスは、ウインクするみきちぐ。

「ピポー軍曹役の美稀千種さんへ質問。黒の眼帯が格好いいです、はぁとまーく」
 と、プリンスコスプレ(腹の詰め物ナシ)な組長が質問用紙を読み上げているとき、みきちぐは「格好いい」という言葉に反応して、キメ顔でウインクしてくれましたっ。

 みきちぐオペラピン取りしていたわたしは、モロにウインクがオペラ越しに突き刺さり、「あうっ」とのけぞりました。
 ジュンタンジュンタン、なんでここにいないのっ?! あーたいなきゃダメでしょ、あーたのみきちぐがウインクしてるわよおお。

 いやあ、ごちそーさまです、ちーくん。角度的にウインク直撃来ました。うまうま。

 でもって、次のトピックスは、ガクブルしまくりのどいちゃんです。

 えー、タカラヅカではいわゆる「路線」と呼ばれるごく一部の人しかイベントには出演しません。撮り直しや編集の効くテレビには、それ以外の人たちも出演する機会があるけれど、ナマのイベント、しかも大劇場でたった数人でマイクを持って喋るなんてこと、まずありません。
 上級生になれば場数も踏んでいるし、舞台人としての年輪も、ぶっちゃけ実年齢もチガウので、路線でなくてもある程度は喋られるんだろうけど。
 下級生で、路線でもなんでもない我らがどいちゃんは……盛大に、ブルッてました(笑)。

 どいちゃん、声、震えてる! 震えてる!! うわずってる!

 彼の緊張がこちらにまで伝わってきて、手に汗握りました。
 ジュンタンジュンタン、なんでここにいないのっ?! あーたいなきゃダメでしょ、あーたのどいちゃんが小鳥のように震えてるわよおお。

 みきちぐとどいちゃんだもん。友人のジュンタンが万難を排して……つーか投げ捨てて、ムラに駆けつけて来ると思ってたんだけどなあ。なんでジュンタンいないのかなあ。(平日ですってば)

 ちーくんのウインクと、チキンなどいちゃんにハートを撃ち抜かれました。
 ちーくんかっこいー。どいちゃんかわいー。

 
 愉快だったのは、ショーヴラン絡みの話。

「革命政府がスカーレット・ピンパーネルに敗北した要因はなんだと思いますか。私は人を疑うことを知らない上官と、失敗ばかりを繰り返す無能な部下のせいだと思います」
 とゆー質問において。

 たぶん、客席のすべての人が大きく頷いて聞いていたことでしょう、「ショーヴラン、まぬけすぎなんだよっ」と。

 しかし。

 ショーちゃん@れおんは、自分を「人を疑うことを知らない上官」側だと思ってるんですよっ。

 「人を疑うことを知らない上官」=ロベスピエール、「失敗ばかりを繰り返す無能な部下」=ショーヴラン以下公安委員、という括りだってば!!
 ロベちゃんはグラパン@トウコを信用しすぎているし、ショーちゃんはグラパン&パーシー@トウコの手のひらの上で遊ばれているばかりだし。

 れおんが「上官」側だと思って受け答えしているから、空気微妙(笑)。
 さすがショーちゃん、あれだけまぬけ全開でいながら、自分を抜けているとか失敗しているとか思ってないんだ……。
 素直に、「黒いドシリアスな二枚目キャラ」だと思って演じてるんだ……。

 いいなあ。だからこそ、あのステキなショーヴラン像が形成されているんだわ。
 

「どの台詞を言っているとき『オレってキマってる』と思いますか?」
 とゆー質問において。

 れおんくんはひとりしきり、「キマってる、なんてそんな……」と恐縮して、しどろもどろしてました。そんなおこがましいこと思っていません、ともじもじするショーヴラン姿の柚希礼音。や、なんかあるやろ、とさらに答えを促す組長。さらにもじもじ困惑するれおん。

 が、それでもなんとか考え考え、「あすかさんに……」と話し出した瞬間。

「あるんや(笑)」

 組長、容赦なく突っ込む。

 どこをかっこいいと思っているか、以前に、「かっこいいと思っている」という事実を突っ込む組長GJ!!

 でもさ、ソレでいいんだよ。2番手だもん、悪役だもん、かっこつけててナンボ、自己陶酔してナンボ。
 オレってイケてる!! と鼻息荒くいてくれた方が、観ている方もたのしいんだってば。

 ちなみに、ショーヴランさんが「オレってキマッテル!」と思っている場面は、王宮舞踏会でマルグリット@あすかを脅しているところだそうですよ。

 で、フィナーレ、銀橋で「ひとかけらの勇気」を歌うれおんくん。
 ここは悪役ショーヴランとして歌っているのではない。
「知らない国の王子様が客観的にこの世界を観て、『どうしてだろう?』と歌っている」というコンセプトだそうです。

 どっから王子?!

 きらきら衣装だから?? 一般人とか普遍的な問いだとか考えず、何故かいきなり「知らない国の王子様」設定をするあたり、感性の断絶感が際立っていてステキです、れおんくん!

 
 上級生だけど、こーゆーイベント出演経験はほとんどないだろうにしきさんのはしゃぎっぷりが微笑ましく、みきちぐのキャリアを感じさせる佇まいと、場をわきまえつつも的確な仕事をしているゆーほ、挙動不審などいちゃんもまた、観に行った価値アリまくりでした。

 あー、たのしー。


 末筆ながら、初演に関わって下さったすべてのスタッフ・キャストに感謝を述べたいと思います。スタッフの大半は健在ですが、キャストの多くは宝塚の花園を去りました。彼女らの青春のひと時が作品に結晶して、輝きを与えてくれたのだと信じております。

 『凍てついた明日−ボニー&クライドとの邂逅』プログラムに掲載されていた、オギーの言葉だ。
 演出家のメッセージの、言葉通り、最後の1文。

 初演ファンとして。

 泣いた。

 
 こーゆー人だから、『凍てついた明日』を含め、あれらの作品を生み出し続けているのだろう。
 彼のすべてを肯定するわけではないが、ついていけないところもあるにはあるが、それでも。

 この作家に出会えたことは、大きな幸運だ。
 タカラヅカファンで良かった。

 
  

 ケロに会いたいな。
 あのころの彼に。


 腐った話をしよう。

 腐女子脳による、BL視点の『凍てついた明日−ボニー&クライドとの邂逅』だ。そっち系苦手な人は読まないように。今回本気で男×男話行きます。
 

 クライドを救うことが出来たのは、テッドのみだと思うんだ。

 救う……とりあえず、生命を。

 
 えー、下敷きにするのは主要人物(クライド、テッド、ジェレミー、アニス、ジョーンズ)がみんな8等身美形で、かつヒロインとクライドの間に「愛」があったBチームの方ね。クライドがヒロインのアニスを心から愛し、それゆえにコワレてしまっている物語。
 なにをもって「主要人物」とするか、つーと、「クライドに対して思い入れがあるか」よ。だからボニー、レイモンドなどは脇役認定。彼らはクライドを愛していないし、クライドも彼らに興味がない。

 
 生きる意味を見失っているクライドを、こちら側へつなぎ止めるには、彼の意志とは関係なく、「お前が必要だ」と示すことだと思う。
 クライドの家族だのジェレミーだのがそれを言ったところで、クライドには届かない。
 その程度の声が届くようなら、クライドはこんなところまで堕ちて来ていない。
 言葉でどうこう言ったって、ダメなんだよ。

 クライドのキモチなんか考えるな。力尽くで、拉致ってしまえ。

 閉じこめて、ただ愛だけを注ぎ込め。
 アイシテイル、ヒツヨウダと訴え続けろ。

 言葉だけではなく、直接的な抱擁と、欲望で、彼の存在意義を思い知らせろ。

 
 BLとゆーものは、大人のファンタジーの一種だと思っている。
 SFとか異世界ファンタジーと同じ、テーマをより明確に描くための手段。
 親に隠れて子犬を飼う少年の葛藤より、全人類に背いてエイリアンを匿う少年の方が、よりドラマティックに物語を展開できる。見つかったら引き離される、のは同じでも、子犬とエイリアンでは禁忌の度合いがチガウ。背負うモノ、葛藤の大きさがチガウ。
 現代の高校生のカップルが親に反対されてつきあえないのと、剣と魔法の王国の、敵対する勢力の姫と騎士が引き裂かれるのでは、テーマの描かれ方がチガウだろう。
 描きたいテーマをよりわかりやすく、ドラマティックに描くために、ファンタジーは有効な手段である。

 BLもまた、人と人とのつながり、葛藤や愛憎を「ファンタジー」世界を舞台にすることで純度を高めて抽出する手段だ。現実とは別の、フィクション、ルールをわかった上でたのしむジャンル。
 大人向きだから、エロスや歪みを過分に含む。

 てゆーか、エロあってこそだろ、BLは(笑)。

 テッド×クライドで、やること一通りして下さい。

 下手なやさしさは捨て、ドSに徹するんだ、テッド。

 BLの1ジャンルとして長い伝統を持つ「監禁モノ」(笑)。愛ゆえに相手を監禁し、愛欲の限りを尽くす。大抵は、攻が受を監禁する。
 最初は反発と嫌悪しかなかった受だが、抱かれ続けるウチに、次第に攻を愛するよーになる、というのがお約束。

 常識でいうとこんなのただの犯罪だし、女の立場で考えると「ふざけんな、レイプ魔を愛するわけないだろ」ってなもんだが、多くの人々の支持を受けているジャンルであることはたしか。
 あくまでもファンタジーだから、現実の良識を持ち込んではならないのだ。
 それは「歪むほどの、激しい愛」。ただふつーに愛するだけではなく、狂気の域に達するほど愛す・愛される、ということ。
 BLは女性目線で描かれるから、攻は魅力的でなければならない。こんな狂った愛し方をしなくてもいずれ受は攻を愛したろうに、てな納得のいく相手でなければならない。
 恋人同士が相愛になる過程を間違えたかすっ飛ばしたか、という物語に落ち着かなければいけない。
 罪を犯すほど、狂気に陥るほど、容赦ない愛だけの世界。

 ……コレを、テッド×クライドでヨロシク。

 クライドが自分自身に愛情を持てないのなら、誰かが力尽くで愛してやるしかない。
 クライドを必要としている人がいることを、思い知らせてやるしかない。
 なんの責任も持ちたくないクライドが過剰な愛を拒絶しようとしても、彼の気持ちなんか関係なく、愛を押しつけるしかない。

 彼の母も姉も、弟分も、できなかった。彼らはクライドを愛していると、必要だと言うだけで、手を汚そうとはしなかった。
 唯一ジェレミーはかなりがんばってクライドの側にいたのだけど。結局彼は、クライドの嫌がることはなにもできない。だからクライドが死にたがったら、黙って死なせてやることしかできなかった。

 そうじゃなくて、死にたがるあのバカ美形男を、ぶん殴って「生きろ、このバカ」と言う人間が必要だったんだ。
 彼の側で彼に嫌われないようにしている人間ではなく、彼の敵であり、彼に嫌われても仕方のない人間が、やるべきなんだ。
 生きることにどんな意味があるとか、罪と過ちと傷だけ背負って生きるのはつらいとか、四の五言わせず「ただ、生きろ」と。あとのことは全部、まず生きてから考えろと。

 ……もちろん、友情としてソレをやることは出来る。
 愛にはいろいろあるんだから、なにも全部恋愛だとか性愛に変換することはない。

 しかし、人間にとってもっともプリミティヴな感情と行為に昇華してしまった方が、よりわかりやすいんだ。

 テッドがクライドを死なせないために罪を犯したとする。
 クライドを逃がすためにフランク捜査官を射殺して、クライドを連れて逃げたとして。
 そのテッドの行動の理由を「友情だ」というより、いっそ「愛している」と言った方がクライドも、楽だろう。
 友情、と言われてしまったら、それは無償の行為になってしまう。無償の厚意ゆえにテッドの人生どん底、クライドからすりゃ、そんなもん一方的に背負わされたら重いっつーの。
 でも恋愛だと言えば、相応の欲を持っての行動になる。クライドの心だとか身体だとか、なにかしら見返りを求めての行動だと納得できる。

 人間、無償のモノには、鈍感になる。

 自分がナニも代償を払わないから、与えられてあたりまえ、あってあたりまえ。空気とかきれいな水とか親の愛とか。
 無償の愛では、クライドを救えない。アニスから逃げたように、重荷を背負いたくなくて心を閉ざすだけ。

 そーゆー高尚なモノではなく、もっと下世話に、原始的に。
 愛している。愛を与える代わりに、ナニか返せ。心を。……それが無理なら、カラダを。快楽に溺れ、無防備になる一瞬を。

 テッドに求められ、一方的に愛を与えられることで、反面、カラダを奪われることで、「求められている」「必要とされている」ことを、クライドが思い知るように。

 クライドが、愛を認めるまで。
 愛から逃げることしか知らなかった、あのダメ男が、愛を受け入れることを知るまで。
 彼が、テッドを愛するまで。

 BLのお約束に則って、監禁モノで愛を貫いてくれ。
 エロと歪みで彩った、とびきり切ない愛の物語を、描くことができるさ。

 
 それはたしかに、別のカタチでの「明日」だと思うよ。

 
 ……実際、テッドのヘタレっぷりが、もどかしくてな。

 ナニあの男。1幕では2番手つーか、ヘタしたらW主演? てくらいの勢いなのに、あっとゆー間に逃げ腰になっちゃって。
 自分に自信が持てないゆえにクライドから手を離したんだよ。結局、自分を守っただけじゃん。
 だからクライドは、ひとりで堕ちていくしかなかった。トモダチのふりして、卑怯なヤツ。
 そしてテッドは、自分が卑怯だということも自覚しているんだろうけどな。自覚していじけてりゃーいいってもんでもないさ。あのいじけっぷりが、彼の人間らしさで、愛しさでもあるんだけどさ。

 テッドに、男になって欲しいよ。
 愛した男ひとり、救って見せろ。人生懸けて。

 つーことで、テッド×クライド希望。


 今ごろになって『凍てついた明日−ボニー&クライドとの邂逅』の感想。……だって他に書くモノが溜まっていて、なかなかここにたどりつけなかったんだもん……。

 配役が発表になったとき、たのしみにしていたんだ。

 レイモンド@コマ。

 コマならきっと、愉快に、そしてステキにレイモンドを創り上げてくれると。

 ……えーと。

 すみません、この役でコマ株がかなり落ちました(笑)。
 技術がどうあれ、爆発したり暴走したりするのがコマくんだろ? なんで、ただ足りないままで終わってしまうの?

 レイモンドは初演に比べ歌が増えていたりするのに、すげー地味になってました。
 台詞がはっきり聞こえないのもイタイな。
 コメディ担当でもあるはずなのに、笑えない……。言い回しやアクションに気を取られ、自爆した感じ?
 もっとコマくんならではのレイモンド像はなかったのか??
 脇役として、比重の低い役に成り下がることが、今回の意義だったんだろうか。もっとガチンコ勝負してほしかったな。

 この役でコマ株暴落したけど、また別の役で上がってくれるだろーから、あまり気にしてない(笑)。コマはハズすときはハズすけど、クリティカルもキメてくれるから、ギャップをたのしんでるよー。

 
 ボニー@さゆちゃんもまた、よくやっていたのだとは思う。
 ボニーだと思わなければ、あんな感じでいいのかも。
 新進女優だとか美貌の皇后とかヴァンパイアの耽美少女だとか孤独な強盗だとかは演じられなくても、セリメーヌ@『君を愛してる−Je t’aime−』みたいな役は、とてもキュートに演じられるから、そこを突き詰めていけば、それはソレでいいのかもしれない。
 ふつーの女の子、というのは、ファンタジーでフェアリーになりがちなタカラヅカのなかではかえって新鮮な個性かも?

 ただ、みなこと同じ衣装、つーのは気の毒でしょーがなかった。とくに2幕のボレロ・スタイル。あのボレロはいかんやろ、オギー。
 ジェレミーの衣装がAチームBチームでちがっていたんだから、ボニーの衣装だって変えられたんだろうに。
 さゆちゃんはボレロ無しにしてやるくらいの配慮は、演出家には必要だってば。

 
 ネル@リサちゃんは、後半さらによくなっていた。
 クライドに対する温度と距離がイイ。
 たしかに愛しているけれど、距離があるんだよね。愛しているのに、アナタがこわい……アニスが言うように。
 姉弟とはいっても、確実に「別の人間」である距離感。その絶望。

 テッドとの関係も、だんだん色が付いて来たなー、と。
 あの朴念仁を誘惑してくんないかな、ネル。バツイチの手管で。……そうやって、傷を舐め合ってくれよ。キミたち、悲しすぎるからさ。

 
 ボニー母@五峰姐さんの演技は、よくわかりません。
 初演のシビさんのコピーに見え、コピーできてないあたり、どういう意図があってあんなことになっているのか、わかんねぇ。
 五峰さんいい女なんだけど、芸幅がすげー狭いから、一種類の役しか出来ないんだよなあ……ハマる役だと雰囲気ごとすごーくイイんだけど。
 この役は……??

 
 クライド母@京さんは、納得の巧さ。
 こーゆー役やったら、すげーハマるよなー。「どれだけまちがっていてもいい、生きていて欲しい」……滔々と語る様が、たしかに愚かで……そう、「親」というものの勝手さと愚かさで、泣ける。
 ここまで来てしまう前に、息子と向かい合うべきだったのに、困難な現実から目を背け続けて。取り返しのつかないところまで、来てしまった。
 クライドと血がつながっていることが、よくわかる。

 
 この公演で、いちばん男を上げたのは、ガオリくんじゃないか?

 と、思うほどに、ロイ@ガオリがかっこいい。

 なんなの、あの色気。
 台詞無し、ダンスとマイムだけで、すごい存在感。

 動作がすごくきれいなの。
 彼が動いた瞬間に、目がいくの。無駄に多いオーディエンスの中、あそこに重要人物がいるってわかる。

 2幕だっけか、歌うハマコの後ろに、初演フィナーレ衣装で登場するガオリがかっこいい。顔は帽子で見えないんだけど、その動きで彼だとわかる。
 あのハマコと並んで遜色ない「男役」としての美しさって、どうよ?
 いつの間にそんなことに?

 エロくて黒くて、危険で。
 ロイという男がどんな人間か、あざやかに記憶に刻まれるよ。

 
 れのくんはオーディエンス。
 大した役割はない。……ない、のに、あちこちにいる。
 そう、舞台の真ん中に。
 とても、目立つ位置に。

 彼は、お花担当ですか(笑)。

 部屋が殺風景だと、とりあえず花を飾るでしょ? 野郎しかいなくてむさ苦しかったら、マスコットとして女の子を置くでしょ? 暗い色ばっかで落ち込むと、明るい差し色を入れるでしょ?
 れのくんは、そーゆーポジション?

 なにをするでもなしに、ただ美貌を活用する。

 いいなあ、オギー。わかってる使い方ですよそりゃ(笑)。

 
 アニス@みなこちゃんは、どうも舞台荒し体質だとわかった(笑)。毎回主役を奪う勢いで演技されると大変だ。
 引く演技ができるようになったら鬼に金棒だよな。

 髪型といい、着こなしといい、「アニス」という少女がよくわかった。
 お金持ちのお嬢様ってわけじゃなく、中流家庭の女の子。
 なんつーか、ユーミンの「DOWNTOWN BOY」をすごく思い出すんだよ。
 あんなにナイーブな人にはそれまで会ったことなかったという歌い出しではじまる、恋の歌。
 不良少年と恋をした、ふつうの家の女の子。
 彼についていくことは出来ず、泣きながら恋を終わらせた女の子。

 お嬢様なんかじゃない、等身大の姿が、よりいっそう痛いよね。

 
 でもって、テッド@ヲヅキ。

 いいところでカマしたり噛んだり、忙しいヤツだな(笑)。
 なんか見るたびナニかやらかしていたよーな?

 1幕は2番手なのに、どんどん影が薄くなっていくのがつらい。
 役としての描き方のせいもあるけれど、ヲヅキ自身欲がないとゆーか、自分の立場に甘んじている印象。
 主役を喰うぐらいの気合いで臨んだら、どんなタペストリーが織られただろう?

 それでもあのガタイ、あの美しさは群を抜いている。WSなんかに出てちゃダメだろキミ、と言える出来映えなのがウレシイ。

 
 作品がおもしろいからこそ、足りない人たちにはかなり歯がゆいモノを感じるし、また、それすらも、この作品を彩るひとつだろうとも思う。
 好きにキャスティングしていいなら、AチームBチーム混ぜて、選抜チームを作ってみたいなあ。
 ボニー@みなこでジェレミー@まなはるだと、ジェレミーの比重はどうなるかとか、でかいジョーンズ@彩風くん相手でも、ボニー@みなこは母性を見せることができるのかとか?

 役替わり無しの人たちも、別の役で見てみたいし。
 レイモンド@ヲヅキなら満足できる比重になったのかしら、とか、ジェレミー@あずりんだったらどこまでやれたんだろうとか? ジョーンズ@ハウルだとさぞや美しかろうとか?
 ……たんに好みの人を並べただけか(笑)。

 なんにせよ、作品の厚みゆえにWSとは名ばかりの、重さのある公演だった。
 初演に引き続き、今回も観ることが出来て良かった。


 つーことで、『凍てついた明日−ボニー&クライドとの邂逅』Bチームの感想。

 誰が出るのかさっぱりわからないまま観劇。ボニーとアニスが役替わりしていること、あずりんに役がないことくらいしか、理解してなかった(笑)。

 で。

 ……びっくりした。

 Bチーム、スタイルええんや。

 クライド@かなめ、テッド@ヲヅキが長身8等身なのは周知のこととはいえ、ヒロインのアニス@みなこもまた美しいプロポーションだし、ジェレミー@真那春人くんがまた長身小顔の8等身、ジョーンズ@彩風咲奈くんはさらにでかくてこれまた小顔に長い手足のモデル体型ときたもんだ。
 すげー並びだなヲイ。
 
 みんなきれいでスタイル良くて、素直に感嘆した。眼福。

 真那春人、という名前は知らなかったが、顔を見てわかった。
 『銀薔薇』の下級生じゃん。
 『シルバー・ローズ・クロニクル』初日に「あれは誰だ」と言っていた最下級生。
http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1489.html 『銀薔薇』初日感想)
 「もうひとりの子よりイイ」てなことを書いている、もうひとりっつーのがAチームのジェレミーか……わたしの感想は『銀薔薇』から変わっていないようだな(笑)。

 Bチームのジェレミーくん、まず美貌に注目した。
 おお、ジェレミーが美形だ。背が高くてスタイルいい。てゆーか、ちゃんと、若者だ。

 Aチームのジェレミーは体型も衣装も子どもで、ボニーにコナをかけようとしたり、ビリーと恋愛したりするようには見えなかった。
 クライドとの精神的距離も大きく開いており、主要キャラクタとして格が落ちていた。

 再演のジェレミーはそういう位置づけなのかと肩を落としていたところだったので、まなはるくんのジェレミーの「若い雄」ぶりに心が沸き立った。
 トウコのジェレミーと同じポジションを期待できる? と。

 オープニングの群衆、ボニー&クライドを悪く言う人々の中、「チガウ、チガウ、チガウ!!」と叫んで走り抜けていくところから、明らかに違った。……や、わたしの席からは声だけで、姿は見えなかったんだけど。その叫びの悲痛さに、姿は見えなくても注目したよ。
 で、改めて姿を見たら、きれーな若者だったのでさらによろこんだ。

 子どもではなく少年、大人になる前の若い獣であるということが、彼をあやうく、そして魅力的に見せている。

 「助けてくれたじゃないか」とクライドの背に言い募る姿、「オレを置いていくのか」と怒りと悲しみに取り乱す姿、クライドへの愛情もそうだけど、ビリーとちゃんと恋人同士である、ということがジェレミーという少年をリアルにしている。
 
 クライドとボニーが倒産した銀行を、そうとは知らず襲うところで、わたしはライトの当たっていないジェレミーとビリー@ぎゃびいを見ていた。
 クライドたちに拒絶されたジェレミーは、傷ついた心を抱えてビリーのもとを訪れていた。
「オレは行き場所がなくて……ごめん、結局いつもここへやってくる」……そんなことを言う。
「バカね、それでいいのよ」
 ビリーは微笑んでジェレミーを抱きしめ、ライトは消える。
 ライトが消え、下手でクライドたちが銀行強盗をしているのに、それでもジェレミーたちを見ていた。

 ジェレミーとビリーは、キスをしていた。
 ライトの当たっていないなか、ずっと。

 このふたり、こんなにちゃんと恋愛してたんだ。
 知らなかった。

 ジェレミーという男の物語を、見た。
 たしかに。

 ぶっちゃけ、今までとくに考えたことがなかったんだ。ジェレミーとビリーが、その、どこまでの関係かは。
 ジェレミーがビリーを拠り所にしていることはわかっていたけれど、初演ビリー@まひるはそりゃー色気なくてな(笑)、キスだけのままごと恋愛もアリだろーと思っていたし、再演Aチームはジェレミーとジョーンズの区別があまりないくらいで、ビリーと恋愛しているとは気づいてなかった。
 でも、まなはるくんのジェレミーを見て、はじめて気づいた。
 そっか、ジェレミーとビリーって、ちゃんと結ばれてたんだな。彼女の部屋に泊まるってのは、そーゆーことなんだ。彼女の肌で、彼女の魂で、癒されていたんだ。

 次の場面は、愛し合った翌日、なわけだ。最初かどーかは知らんが、確実に。
「あたしもつれてってよ」「バカ言え。お前まで連れ回してどうする」「それならアンタがそばにいてよ!」……この会話が、泣けるんですが。
 ふたりが愛し合っていることが、わかるだけに。
 ジェレミーが不器用に、だけどたしかにビリーを愛していることが、わかって。

 だからこそ。
 そこへやってくるフランク捜査官@ハマコが、残酷なんだ。恐いんだ。
 容赦なく恫喝し、ビリーに乱暴する。ビリーを救いたかったら、クライドを裏切れと、ジェレミーを脅迫する。

 ジェレミーがビリーを愛していることがわかるから。どれほど大切に思っているか、わかるから。

 引き裂かれるジェレミーの心が、わかる。

 クライドと、ビリー。
 愛する人たちの間で、その愛ゆえに、ジェレミーは罪を犯す。

 そして。

 「死にに行かなくたっていいじゃないか!」という、ジェレミーの名台詞(なにしろ、しいちゃんのお茶会のクイズにも出題されたくらい、印象的な名台詞だ・笑)につながるわけだ。
 
 このジェレミーには泣かされた。
 まなはるくん、まだ研3だろ? うまいなー。

 
 もうひとりの美形くん、ジョーンズ@彩風くん、こちらは研2。
 おお。ジョーンズ、でかい(笑)。

 子役には無理があるでかさです(笑)。ヲヅキに次いで長身てか?
 でもかわいい。あま〜い美少年。
 そして、これまたちゃんと演技するんだ。

 子役ではあるけれど、かなり設定は高め。思春期くらいには達していそうだ。
 モノの善悪の区別はついているからこそ、クライドたちへの裏切りの意味と、保身の狭間が思わぬ痛さを持つ。

 
 役替わりビリー@ぎゃびいは、いつの間にかおねーさんになっていたんだなあ。
 ビリーはぎゃんぎゃんうざい役だけど、彼女が意外と骨太に立ってくれたから、またチガウ味になった、感じ。
 ぎゃびいに色気があるとも思えないが、なんだろ、生々しい存在感があったな。

 
 ブランチ@カレンは、Aチームのぎゃびいより好き(笑)。どっしりした感じと、歌声の安定がイイ。
 メアリーも役替わりなんだが、うーん、あんまりわかんなかった。

 ボブ@朝風れいくんは、Aチームで「ブルース・レクイエム」の歌手だったので、役が付いているBチームでは誰が歌うのかと思っていたら、彼のままで「ボブが歌って良いのか?」と突っ込んだ(笑)。今回の「ブルース・レクイエム」は、どうしても彼の声が必要だったんだな。
 声も演技も、悪くはない。けど、弱いかなあ。癖がないというか、カタチが出来上がる前というか。でも、顔はけっこー好きだー。

 あずりんはオーディエンスなんだけど、見えやすいとこにはいない。
 もともと真ん中で踊らせてもらっていたとこぐらいしか、いい位置はないんじゃないかなー。
 2幕の銀行員は、ヒゲが似合っていてよかった。ああ、ほんとに好みの顔だ〜〜。スカフェが終わってしまったのが残念。もっともっと顔を見ていたかったよ。
 あずりんのジェレミーも、見てみたかったなあ……。


 で、『凍てついた明日−ボニー&クライドとの邂逅』って、なんだったんだろう?

 愛する作品の再演が観られたことはうれしいし、初演への思い入れとは別に、新しいカタチでの『凍てついた明日』をたのしんだ。
 だけどやっぱり、この再演WSでは、『凍てついた明日』として足りていないと思うんだ。
 出演者に力がないことは、はじめからわかっている。今の若者はタカラヅカに限らず成長が遅いため、昔ほどカタチを作ることができない。(そのかわり、いつまでも若々しい)
 実力不足はそりゃー作品ファンとしては不満だけど、それはもう最初からわかっていたことだからあまり気にしていない。
 それよりも、オギーの半端なアレンジが、不満だ。

 アテ書きのオギーだから、実力不足の若者たち用に書き直してくるだろうと思った。
 足りない部分をどう補ってくれるのかを、たのしみにしていたんだ。

 実際、新作と言ってもいいくらいの細かい再構築ぶりで、相変わらずプライドを持って仕事をしているんだと感激はした。
 しかし。

 根本的に、ズレている気がする。

 足りていなくても、できてなくても、とにかく『凍てついた明日』を演じさせる、というのが目的なのか?
 えーっと、月組WSの『ホフマン物語』みたいに? ぜんっぜん歌えないことはわかっているけど、出来映えよりも「挑戦しました」「あの歌を歌いました」という事実だけを優先?
 高いハードルに挑むことで、経験値を上げるのが目的? 結果は問うな、成功よりも努力を尊ぶのがタカラヅカだ。

 それとも、技術が足りない若者たちで、足りないことが欠点にならないよう、彼らの持てるモノだけでなんとかできるよう、『凍てついた明日』を演じさせる、というのが目的なのか?
 歌いこなせないことがわかっている歌は、はじめから歌わせない。できないことはやらせない。興行としてのクオリティ優先、お金を取ってお客様に観ていただくんだから、努力よりも成功を必要とする? や、ジェンヌはいかなるときも努力しているという前提で言うけれど。

 どちらにしても、今回の『凍てついた明日−ボニー&クライドとの邂逅』は、中途半端だ。

 シビさんとトウコという、ヅカを代表する歌い手たちの「持ち歌」ともいえる名曲「ブルース・レクイエム」。
 作品のテーマとなるこの歌を、歌いこなせる生徒は残念ながら、このWSにはいない。(ハマコ除く)

 歌える人間がいないから、歌わせなかった。
 それは正しい判断だ。

 ただでさえ『凍てついた明日』は、難しい物語だ。初演上演時、「わからない」「それでふたりは天国で結ばれたの?」などという感想があちこちで聞こえてきた。
 実力者たちで演じてなお、ついてきてくれるファンが少なかった。
 その物語を、台詞もろくに喋ったことがないような若者たちを多く使って再演するんだ。役者に力無くても観客が理解できるよう、わかりやすく作り直す必要がある。

 膨大な説明台詞の挿入、画面を派手にするためのショー部分の挿入、人物の比重調整、実に細かく加筆修正してある。

 下級生たちでも、演じられるように。彼らの演技でも、観客が理解できるように。ぶっちゃけ、テルの演技力でも、やっていけるように(笑)。

 ハードルを低く設定してあることがわかり、「オギー、やるなあ」と最初は思ったんだ。

 でもさー。

 そこまでするなら、何故、「ブルース・レクイエム」を削除しなかったんだ?

 「ブルース・レクイエム」だけでなく、「クライドのテーマ」もかな。
 つまり、『凍てついた明日』のテーマ部分、全部別物にするべきだった。

 わたしは初演ファンで、『凍てついた明日』といえば「ブルース・レクイエム」だと思っているし、『凍てついた明日』を再演する以上「ブルース・レクイエム」を聴きたかったと思う。たとえ、どれほど足りない歌声でも。
 「ブルース・レクイエム」がないと、『凍てついた明日』だと思えない。
 それくらい思い入れているけれど、それてもなお、思うんだ。

 「ブルース・レクイエム」は、不要だった。

 「ブルース・レクイエム」はジェレミー@トウコの歌だった。クライドとボニーを裏切り、死地へ追いやった……ことになるジェレミーが、泣きながら歌う。
 捨てられたのは、裏切られたのは、彼の方なのだけれど。結果として、彼が裏切り者となった。誰よりも、クライドとボニーを愛しているのに。
 そのジェレミーが歌う。魂の絶唱。

 だが、再演では、この歌を歌える人がいない。
 ジェレミーは歌わない。
 Aチームのジェレミーは歌わなくて当然の比重だったけれど、Bチームの子なら歌ってもいいと思ったけどな。歌の実力は知らないが、役として。

 物語の中では、役としては、誰も歌わない。ジェレミーがワンフレーズ、テッドが1曲の中の1部分だけというように、わずかに口にするだけ。
 「曲」として1曲まんま歌うのはオーディエンス、つまり役以外の子たち。それほど上手くはないが、ニュートラルに素直な音を出せる子たちが歌っていた。

 『凍てついた明日』のテーマだから、たしかにこの歌を1曲まるまる聴かせることは、まちがいじゃない。
 でも。

 プロモーションビデオはいらん。

 物語の中で、登場人物が歌うから、曲に意味があったんだ。
 歌うことで、「芝居」として表現できるという前提で、「ブルース・レクイエム」はあった。「クライドのテーマ」もね。
 台詞を言うより、踊るより、なによりも有効な表現手段。必然だったから、それらの歌だったんだ。

 なのに再演ではまず曲ありきで、安易に1曲まるまる流してしまう。
 役ではなく、ナレーションに過ぎない人が、芝居としてではなく、BGMとして歌う。

 そして主役は、曲のイメージに合わせて、苦悩のパントマイムをする。
 
 イメージ映像なの、「ブルース・レクイエム」という曲の。プロモーションビデオなの。
 この歌詞に合わせて、はい、立ち上がります。顔を歪めます。はい、この歌詞に合わせて閉塞感を出して。
 ……1曲まるまる、曲に合わせて、クライド@かなめくんのパントマイム。

 「ブルース・レクイエム」は、なによりも歌自体がテーマであり、「芝居」なんだよ。
 ただ正しい音程でキレイに歌う声をバックに、曲のイメージ演技をするモノぢゃない。

 この歌て「表現」できる人がいないなら、登場人物に歌わせないなら、「ブルース・レクイエム」自体、なくしていい。なくすべきだ。

 「クライドのテーマ」もまた、この歌を歌うことで「演技」ができないなら、長々と歌わせなくていい。歌うことだけに精一杯、振付をこなすことに精一杯、程度ならクライドがまるまる1曲歌わなくていいから、他のことで同じ場面を表現させてよ。

 半端なんだよなあ。

 とにかく、名曲「ブルース・レクイエム」が長くてこまったよ。かなめくんの「苦悩してます」イメージ演技だけでまるまる1曲は。
 歌だけで聴かせることのできる歌声ではなかったし、癖のない綺麗な声ではあったけど、そこにドラマはなく、冗長で無駄な場面に思えた。
 これで数分取るなら、もっと別のことをしてくれよ、と思った。

 「ブルース・レクイエム」が名曲であるがゆえに、思わぬ落とし穴になった、って感じ。

 主要人物に歌える人がいないなら、「ブルース・レクイエム」は削除。
 かわりに、歌以外で同じテーマを、同じだけ印象的に表現できる方法を探す。
 そうやって、過去にとらわれすぎずに『凍てついた明日』を再構築したものをも観てみたかった。

 WS版も、そりゃ興味深く、おもしろい作品だったけどさ。

 ……や、実力ある人々で初演に近いカタチで再演してくれて、いいんだけど。
 トウコとあすかで観てみたいのが本音っつーか、このふたり用にオギーがどんな『凍てついた明日』を、「ブルース・レクイエム」を演出するのかが、観たいのだけど。



 ラストシーンの変更は、ナニを意味するのか?

 『凍てついた明日−ボニー&クライドとの邂逅』は、AチームとBチームではまったく物語が別物だったし、ラストシーンも違った。

 ふたりが警官隊に蜂の巣にされるラスト、銃撃音が響く中。
 Aチームでは、クライドとボニーは抱き合って静かに微笑していた。「ボニー&クライド」としてのふたりが浮かべている、もっともスタンダードな表情だった。台詞はない。
 ちなみに、初演は白い衣装に着替えたふたりがひしと抱き合い、「愛してる」。再演Aチームはそこまでちゃんと抱き合っていないし、衣装もそのまま。

 Bチームでは、クライドとボニーは、抱き合うことすらなかった。
 見つめ合いはするが、別々に立っているだけ。
 そして、銃撃音が終わったあとは共に正面を向き、視点すら合わせない。クライドが手前に立ち、ボニーは後ろから「愛してる」とつぶやく。

 解釈は観た人の数だけあるのだろう。

 
 ボニーがヒロインに見えなかったわたしには、Bチームのラストシーンは衝撃的でした。やっぱヒロインぢゃなかったのか、と(笑)。

 ただの道連れでしかなく、どーでもいいと思っていた相手だが、警官隊の襲撃を受け、ボニーが撃たれたあとは「逃避行の道連れ」ではなく「黄泉路の道連れ」となったふたり。
 現実から乖離しはじめた彼らは、ひとりで死ねない自殺志願者がサイトで道連れを募るよーに、ふたりだけで走りはじめる。
 でも所詮は「道連れ」でしかないんだよね。そこに、愛はない。
 だから最期のときも抱き合わない。触れあわない。心にあるのは、別の人。
 ボニーの「愛してる」の台詞の浮きっぷりも、それがクライドに対して言ったものじゃないからだろう。クライドも背を向けたままだし。

 Bチームの主人公はクライドだったので(Aチームはボニーだった)、彼中心で見ると、道連れにしたのがこんな女でしかなかった彼の行き詰まり感に、なお悲しくなる。

 クライドもボニーも愛する人と生きていけない悲しみから、道を誤っている。
 クライドはアニスと相愛であるにも関わらず、魂の違いから共に生きていけないために、互いが互いを失った。

 でもボニーはチガウんだよね。彼女は夫のロイを愛していながら離婚するわけだけど、別に、そんなに好きなら彼を選べばよかったんだよ。ロイといれば不幸になる、彼もボニーを愛しているかわからない……つまり、自分を守るために別れたんだ。
 いわばアニスの立場だけど、アニスは別のチンピラと逃げたりしない。クライドを捨ててまで選んだ自分のテリトリーでちゃんと生き続ける。どんなに苦しくても。……そんな女だからこそクライドが愛し、また、別れなければならなかった、とわかる。
 ボニーはろくでなしのロイと別れたのに、結局またろくでなしのクライドと一緒になる。それならはじめから、ロイについていけばよかったんだ。彼と地獄まで行く覚悟がなかったくせに、代用品相手に身を汚すことで自分を哀れんでいる。
 根本的な飢えや狂気や倦怠や、いわゆる「ボニー」を感じさせるキャラクタではない平凡感、小物感ゆえに、彼女が「不幸」だと思っていることが矮小に思えてならない。

 クライドはボニーを道具として見ていないのだから、お互い様ではあるんだけれど、そんな小物な女しか最期に残らなかったんだ。
 たぶん、自分の意志で、残さなかった。

 テッドの愛にクライドが気づいていたかどうかは疑問だが、ジェレミーの愛情には気づいて然るべきだろう。
 しかしクライドは、とことん鈍感だった。
 ジェレミーがクライドを熱愛し、渇望しても、クライドはかわしていた。それは「気づいてはいけないこと」だったんだろう。
 アニスを失い、心の聖域を架空の兄バックにのみ求めた彼は、現実に自分を愛している者の存在は、不要だった。
 ジェレミーの愛に気づいてしまったら、彼はまた世俗の愛憎に、この世界に足をつけて思い悩むことになる。アニスとの別れで疲れ切った彼には、もうこれ以上愛であれ憎であれ、心を費やしたくなかったんだろう。
 だから彼は、ボニーに手を伸ばした。
 傷つけてもいい、どーでもいい相手。
 自分が愛しているわけでも、自分を愛しているわけでもない女。

 そんなどーでもいい相手を、心中の相手に選ぶところまで追いつめられた、クライドの壊れ方が、悲しい。

 
 ボニーが脇役になっているため、Bチームではジェレミーの比重が上がっている。
 Bチームのジェレミーはちゃんと「若い男」だ。少年ではあるが、Aチームのジェレミーのような「子ども」ではなく、大人ではないという意味での「少年」だ。
 最初年上のボニーに憧れているが、次第に同世代の少女ビリーと愛し合うようになる。
 クライドを尊敬し、かなりの熱を持って愛している。尊敬の念とは別に、彼の弟分ではなく片腕に……親友になりたいと思っている。同等になりたいのではなく、愛する人を助けられるだけの力が欲しいと思っている。
 この子の存在があざやかな分、クライドの孤独、別れの悲劇が際立つ。

 初演の泣きポイントはいくらでもあるが、ジェレミーに感情移入したときの爆発的なカタルシスが印象的だったために、再演Aチームを観たときに、ジェレミーのあまりに軽い扱い、感情移入どころじゃない脇役ぶりに拍子抜けしたんだが。
 Bチームではちゃんとジェレミー視点が存在した。
 最後の「死にに行かなくてもいいじゃないか!」の台詞にたどり着くまでの「ジェレミー」というキャラクタが見えた。

 子どもではなく、若い男として、クライドより年下の少年として、クライドを熱愛している存在。や、腐った意味ではなく(笑)。
 アニスはクライドを愛していたけれど、彼と共に堕ちてはくれなかった。
 ボニーは共に堕ちてくれたけれど、彼を愛してはくれない。
 ジェレミーだけが、クライドを愛し、彼と共にどこまでも堕ちてきた。彼の行くところへ、どこまでもついて行こうとした。
 ずっとずっと、そばにあった。

 クライドは、それに気づくだけでよかった。振り返るだけでよかった。
 ジェレミーの愛を受け入れれば、違う明日があっただろう。

 でもクライドは、それをしなかった。
 本能的に。
 無意識に。
 ジェレミーの愛に気づかないよう、防御した。

 もう、行く道は決まっていたから。
 別の明日を探すことはやめ、ボニーの手を取って進んだ。

 ある意味、ジェレミーもアニスと同じだったのかもしれない。
 「ジェレミーはチガウ」から、と共に行くことを拒むのは、アニスと別れたのと同じ理由かもしれない。無意識であったにしろ。

 
 そうしてクライドは、ボニーと抱き合うことすらなく、最期のときを迎える。
 死してなお、ひとりで微笑む。ボニーを振り返りもせず。目線すら与えず。

 その、いびつな魂。
 その、孤独。


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