『舞姫』の特徴として、初見より2回目観劇時の方が泣ける、というのがある。
 2回目にはもうなにがどーなっているのかわかっているので、物語冒頭の夢と期待にきらきらした豊太郎@みわっち、エリス@ののすみとのひたすらラヴラヴな日々、芳次郎@みつるの威勢の良さとマリィ@ゆまちゃんとのラヴラヴっぷり、しあわせなものがすべて泣きツボに入る。

 が。
 今回の再演において。

 相沢さん、泣きツボ入りました。

「公の義務のためには個を殺さねばならない」だっけ。
 相沢が2幕で豊太郎相手に言う容赦ない言葉のひとつひとつに泣けて仕方なかった。

 今までわたしは豊太郎に感情移入して観ていたから、投げつけられる言葉は豊太郎として苦しい、痛いものだった。
 そして、「相手を傷つける・追いつめるとわかっていることを、相手のためにあえて悪役になって言うのはつらいだろうな」という意味で、相沢くんとしても苦しい、痛いものを感じていた。

 でも今回、はじめて相沢を見つめて。……や、「見る」だけならバウのときからずっと相沢しか見てないが(笑)、そーゆー意味じゃなく。

 豊太郎への言葉は全部、相沢自身への言葉でもある。
 親友にだけ過酷なことを求めているんじゃない。それを言うことで悪役になってつらいわけでもない。
 相沢が言っていることは全部、自分もそうするだけの覚悟があって言っているんだ。他人事じゃないんだ。

「己を殺し、心に背いても、為さねばならぬことがある」
 相沢もまた、己を殺し、心に背いて義に生きるサムライなんだ。だからこそ、豊太郎にそう言えるんだ。
 刃は同じ。
 なのにひとりは泣きわめき、ひとりは平然としている。
 刃の痛みは同じだろうに。

 豊太郎が追い詰められ、膝を折って苦悩する姿が、そのまま相沢の心の姿に見えて。
 なのに相沢は表面的には冷静そのものに立っていて。

 実際に泣いて発散している豊太郎の方が、ずっと楽に見えた。や、トヨさんを貶める意味ではなくて。あくまでもミクロな視点で語ると。

 相沢の苦悩は外には見えないし、今回のことに限らずすべての痛みを、傷を、彼も内側に押し殺してこれからも生きていくんだろう。戦い続けるんだろう。

 豊太郎を追いつめる天方大臣@星原先輩との野郎ふたりのデュエット(笑)で、相沢はことさら非人間的に描かれる。
 硬く、揺るがなく、表情はなく。
 真上からライト浴びて、「人間」としての表情消されちゃってるの。豊太郎にとって、その瞬間相沢も天方も「人間」ではなく、別の存在として、自己と見つめ合うための記号として存在しているわけだからね。
 そこまで「人間性」を消されてしまう……まごうことなき「人間」である相沢のかなしさに、号泣した。

 そこまで冷徹に……使命を口にするアンドロイドみたいな描かれ方した直後、エリスに対する「懇願」で感情全開にぶっ壊れる様にまた、号泣。

 そして、エリスが狂ったのち。

 病院のエリスと、彼女に面会する豊太郎を見つめる姿。
 目をそらさず、表情も変えず、ただ凝視して……そして、耐えかねたように視線を伏せる。

 再び視線を上げたときは、そこにはなんの表情もなく、豊太郎に静かに声を掛ける。

 泣きもせず、取り乱しもせず、すべてを飲み込んで。

「太田、私を恨んでいるか」
 のひとことが、彼の唯一の感情の吐露。……そして、確認。

 うん、確認。

 この人、後悔してない。

 再び同じ立場、同じことになったら、また同じことをする。
 何度でも、愛を殺す。
 それが、「必要」ならば。

 それがかなしい。
 罪を罪として、すべて背負い、戦い続け蹴る覚悟。

 
 号泣しながら(笑)、相沢くんの奥さんは大変だなあ、と、思った。

 彼がこのとき独身であるか、既婚であるかは描かれていない。
 時代から考えて、おそらく既婚だとは思う。出世のためや家柄の釣り合いで見合い結婚してそうだ。
 彼が妻を愛しているかどうかは知らないが、おそらく義務は果たすことを前提としているだろうから、ふつーレベルの家庭を築いているのではないかと思う。

 でもまちがいなく、「仕事優先」で家族は顧みられない。
 奥さんが熱を出して寝込んでいるからといって定時で帰宅したりは、しないだろう。
 危篤でも、ふつーに出張とかに出掛けそうだ。

 妻と相思相愛ならば、あの無邪気な愛情ダダ漏れな笑顔を見せているかもしれないが、ただの「契約」としての結婚ならば、外向きの仕事人としての顔しかみせていないかもしれない。

 そこに愛があってもなくても、結果は同じ。
 家庭より妻より、仕事優先。

 相沢がそういう人だと……そんな生き方しかできない人だとわかったうえで彼と共に生きて、有事の際見捨てられるか、ただの冷たい人だと思って有事の際見捨てられるか。
 どちらがより幸福で、より不幸なのか。
 愛があれば耐えられるのか、いっそなにもない方が楽なのか。

 奥さん、大変だあ……。
 と、わたしが彼の奥さんになるはずもないのに、真面目に考えて、さらにそのかなしさにスイッチ入って泣きました(笑)。
 松任谷由実の『VOYAGER〜日付のない墓標〜』がアタマの中をぐるぐる回る……(笑)。

 忘れない 自分のためだけに
 生きられなかった淋しいひと 

 願わくば。

 いつか、豊太郎が相沢の敵にならないことを、祈るばかりです。

 こんなに相沢くんは、豊太郎を愛してるのにね。会話にも出てこない奥さんより、絶対豊太郎の方を愛しているだろうにね。
 もしも、豊太郎が相沢の敵になる日が来れば、やはり戦うんだろうなと思えるから。
 愛のために信念を曲げたりは、しないんだろうなと。

 今、ふたりの目標もそこへ向かう道も重なっているから、戦友として信頼し合っていられているけれど。
 これから日本は激動の時代を迎える。
 20年、30年後にふたりが政敵になるかも?という可能性は、ゼロではない。

 豊太郎には、安心感がある。
 彼はきっと、これから先なんだかんだいってもしあわせな家庭を築きそうだなとか、人の道に外れたことはしないだろうなとか。
 冷徹な決断を必要とするときも、とても人間的につまずいたり悩んだりするんだろうなって。

 相沢は一歩まちがうと、えらいとこへ行っちゃいそうな人だなー……。

 ああもお、素直に豊太郎だけ愛しててくれ、ケンちゃん!
 近藤に惚れきってた土方みたいに、豊太郎のために生きて、戦って、死んでくれ(笑)。

 
 まああと、青年館観て軽くショックだったのが、相沢くんの受度が上がっていたことです……。
 相沢は攻、攻でなきゃやだっ。踏み止まってくれ、攻男でいてくれっ。頼む!(そんな、誰にもわかんないよーなことを……)

 
 あー。
 まっつとみわっちで、愛憎うずまく話が観たいなー。ドロドロに濃いぃやつが観たいなー。

 政敵となった相沢と豊太郎(ともに壮年、社会的立場かなり高し)とか、観てみたいなー。(結局観たいのか)


 相沢謙吉という人。

 『舞姫』をバウホールを観ていたとき、わたしは彼をどんな人だと思っていたんだろう。

 原作から受ける、原作を元にいちばんわかりやすく感じるイメージとしては、クールで正しい人。正論を正しく説き、正しい人生を送る人。
 それゆえにSなまっつを期待していたのに、実際の相沢くん@まっつはそーゆー「典型」としてわかりやすい人ではなく、とってもファジィにふつーの人だった。

 正論を説くのも、足元ではなく進む先を見据えてものを考えるのも、ふつーだから。
 正しいことを相手のためにしているのに、その相手が今傷ついていること、今傷つけていることに、傷つくこともまた、彼がふつーだから。
 偉人でもかっこいいSでもクールでもなく、あくまでもわたしたちと同じ、常識の範疇にいる、ふつーにハートフルに生きている青年。

 その彼のふつーぶりが好きだった。
 わたしたちとかけ離れた「強い、正しい人」「Sな人」「ヒーロー」……つまり、それがなんであれ「典型」を作るのは容易い。
 ふつーに学者な人を表現するより、マッド・サイエンティストの方が舞台の上で絵として描きやすいように。
 ふつうという「ファジィ」なものの方が、舞台でソレを「わかりやすく」表現するのは難しい。

 ハートフルでやさしい、ふつーの人、相沢くん。
 親友・豊太郎くん@みわっちがダイスキで、自慢で、素直に崇拝している純粋な男の子。
 や、ふつーつっても、わたしたちよりずっと強く誠実な人ではあるわけだけど。ぶっとんだ世界にいる豊太郎やエリス@ののすみよりは、わたしたち側っつーことで。

 ええっと、バウではこんな感じだったかな。
 そのふつーの青年ゆえに、彼の生き様が哀しくなったわけだ。

 
 それが。
 青年館ではなんか、手応えが違った。

 前半、日本にいるときの相沢くんは変わらない。
 相変わらず小市民的で、かわいくて、豊太郎が大好きで、ちょっとウブ(笑)で。
 かわいいケンちゃんのままだったので、再演という違和感なく、そのままのキモチで観ていた。

 だが後半。
 2幕、ドイツで豊太郎に再会してから。

 あれ?
 なんか……チガウ?

 政治家秘書として渡独して来た相沢くんは、1幕の「無邪気な青年」ではなくなっていた。

 固い。

 豊太郎を好きなことはわかる。
 ベルリンにて豊太郎に宛てた手紙、最初に豊太郎がホテルに現れた瞬間の笑顔、天方大臣@星原先輩に豊太郎とのデート早退(笑)を認めてもらったときのうれしそうな顔……豊太郎に関することには、無条件でうれしそうだ。

 でも。
 そのホテルでの再会時、久しぶりにナマの豊太郎を目の前にした一瞬だけとろけそーに笑うんだが、次の瞬間には「仕事」の顔に戻る。
 あんなことがあったあとの、ようやくの再会だ。日本にいたときに見せていた純な青年ならば、もっと他になにかありそうなものなのに……すぐに仕事の話に切り替わる。
 このことに象徴されている気がする。「相沢」という人。

 ベルリンの街を歩きながら豊太郎に対しエリスと別れるよう話す相沢の印象は、とても固かった。
 豊太郎が「情」という、心のやわらかい部分ですがろうとするのに、取り付く島もない。
 固い。どこにも緩さがない。
 どんなに叩いてもびくともしない鉄の壁のように。

 あ、あれ?
 相沢くん、こんな人だった?
 強く、固い。
 親友・豊太郎ですら掴むことができず、鉄の壁の前でとまどっている。

 「君にはわからない」てなことを豊太郎に言われたとき、バウではあれほど傷ついていたのに、今回は依然ぐらつくことがない。
 傷ついていないわけではなく、それよりもっと別の、強いものが奥にあって、表面的になにを言われても変わらない感じ。

 相沢くんの固さは揺るぐことなく、ロシア遠征後の「帰国宣告」にまでつながる。

 天方大臣とのデュエット(笑)である「為さねばならないことがある」が、容赦なく強い。厳しい。
 豊太郎に対し、正論をたたみかける。
 非人間的な容赦のなさで。

 相沢くん?
 1幕でのかわいらしさとあまりに別人で。
 うろたえているうちに、エリスへの説得場面になる。

 やはりここでも強く固い相沢くんのまま、エリスにお金を差し出す。
 エリスがソレを拒否し……。

 相沢が、崩壊する。

 鉄の壁が、壊れる。
 ダムが決壊するみたいに、激しいものがあふれだす。

 変わってない。
 彼は、変わってないんだ。1幕のやわらかい心を持った純粋な青年。
 それが「使命」のために鉄の固さをまとっていたんだ。
 その固さは、彼自身が口にする「己を殺し心に背いても、為さねばならぬことがある」そのままで。
 言動一致。

 エリスに対し、わかってくれと懇願する相沢。
 まさに、懇願。
 大の男が、泣き出さん勢いで言い募る。
 それまで冷酷なまでに固く、強かった男が、仮面をかなぐり捨て、ナマの感情で訴え続ける。

 どれほどのものを超えて、ここにいるのか。
 あの冷たく固い鉄の壁をまとっているのか。
 使命のため、大儀のために愛を捨てろと、豊太郎に冷酷に言い渡していた。あれは、相沢自身に向けた言葉でもあるんだ。

 相沢は、使命と愛をつきつけられたとき、使命を選ぶんだ。

 それは彼が愛を軽んじているからでも冷酷だからでもなくて。
 1幕で清さん@みほちゃん相手に可愛らしく「思春期」していたり、豊太郎を思うときに見せる愛情ダダ漏れの顔、そしてエリスを説得するための苦悶……それらから、彼が豊太郎に負けず劣らず愛に弱い……愛することを知っている人だとわかる。
 それでも彼は選ぶんだ。
 愛ではなく、使命を。

 泣いて苦悩する親友に「愛を殺せ」と言い渡す彼は、同じことができる、んだ。
 もしも国のため、使命のために愛する人を捨てなければならなくなったら、捨てるんだ。
 それだけの覚悟があるからこそ、豊太郎にも「愛を殺せ」と言えるんだ。

 相沢くんのクールさが上がっていたこと、そして、クライマックスの感情の爆発が大きくなっていたこと。

 コレだけだけど。
 コレだけで、バウのときと別人だよね?

 より「大人」で、「戦士」で、かなしい人になっている……。

 
 相沢謙吉という人。
 なんて強く……かなしいひと。

 なんて、いとしいひと。


 相沢謙吉が好きです。

 
 青年館での『舞姫』がはじまりました。
 数日前に体調ぶっこわして寝込んだり(人生最大の高熱・笑)、未だ原因不明だったり、カラダ中痛いのが治ってくれてなかったり、旅行中に倒れた母がそのまま入院したり、緑野家がどったばったしているなか、それでも東京へ行く。

 『舞姫』はすばらしい作品です。

 それはわかっている。
 ダイスキだし、すごいとも思っている。

 ただ。
 口で絶賛するほど、1まっつファンとしてこの「作品」を好きか、「相沢謙吉」を好きかというと、それほどでもなかったり、したわけですね。

 作品を素晴らしいと思うことと、まっつファンとしてたのしいか、つーのは別問題で。

 初演時にいろいろいろいろ長々と書いていたように、ダイスキなのも感動したのも、全部本当なので、誤解されるのがこわいが。

 あまりにすばらしい作品だとなんつーんですか、「抜き」の部分がなくて、疲れるんです。
 ヘヴィ・リピート基本でご贔屓眺めてうっとりする場合、名作過ぎると疲労が激しくて。
 ここまで名作でなくても……という、おそろしく贅沢なキモチがわきあがっちゃったりするのよ。駄作だったら怒るくせに。

 楽をしたい、というと変だけど、毎回魂すり切れるくらい泣いて泣いて、終わったあとは死にそうになるよーな作品、うれしいけど、つらいですよ!

 あー、『スカウト』は作品アレだったけど、まっつは美しくてステキだったなあ。
 とか。
 海馬の帝王は客席で悶え死ぬかっつーくらい、笑ったなあ。
 とか。

 作品クオリティが低かろうとぶっちゃけ駄作だろうと、「ステキなまっつ」を眺めてどきどきする分には、作品で感動しないですむので楽だった。

 相沢役はいい役だし、ステキだけど、なにしろ作品も役の立場も重すぎて、手放しで「ステキ。どきどき」とやっていられなかった。
 アズの方が無責任にどきどきできた。ときめけた。海馬教授の方が気楽に笑ってきゃーきゃーいじることができた。

 だから『舞姫』再演はうれしいけれど、それほど手放しでよろこんでいたわけじゃない。

 またあの、つらいキモチを味わうのかー。ふー。
 ……みたいな。

 や、贅沢極まりない、ただのわがままですが。

 
 それでも9ヶ月ぶり?に『舞姫』と、相沢くんと再会して。

 
 『舞姫』は、奇跡だ。

 
 よくぞこんな作品が、存在することが出来た。

 よくできた脚本、演出。音楽、美術。そして、出演者。
 なにが欠けてもダメだ。

 奇跡だ。
 これは、奇跡の公演だ。

 バウで観ていたときは、なにしろヘヴィ・リピートで毎日疲労して、へとへとになっていた。
 毎日感動して、その感動がもう「あたりまえ」にまでなっていて、ある意味鈍感になっていた。

 冷却期間をおいて、改めて出会った『舞姫』の、素晴らしいこと。

 今のタカラヅカで、これほどのものを観ることが出来るなんて。

 今わたしは、「奇跡」を観ている。

 その事実にも、くらくらする。

 
 そして。

 「相沢謙吉」という人。
 バウで観ていたときと、微妙にチガウ人じゃないですか、あの人。
 わたしの感じ方が変わっただけ?

 初日を観て、おどろいた。

 相沢くんって、こんなにステキだっけ?

 知らない。
 こんなの、知らないよ?
 あんなに何度も何度も見ていた人なのに。

 冴えわたる歌声。
 満ちる。
 ……満ちるという言葉が、わかる。感覚として。

 
 『舞姫』再演……。
 うれしいから、というだけでなく、心のどこかに義務のようなキモチもたしかにあり、駆けつけた。
 まっつ好きだから、行かなきゃ、って。

 そんなものが、全部吹き飛んだ。

 すごい。
 『舞姫』って、すごい。

 こんなにすごい作品だから、再演されたんだ。

 
 なんてことを、改めて思い知らされた。


 なんとも途方に暮れる作品だった。
 星組DC公演『赤と黒』初日観劇。

 まず、脚本・演出がひどい。
 時代遅れもいいとこ。
 悪い意味での「タカラヅカ」の見本のようだった。
 素材はおもしろいのに、レシピが最悪。これじゃどんな腕利き料理人もおいしい料理は作れまい。
 この脚本と演出って、ヅカのパロディかなぁ。竹の塚みたいなテイストの演出を、かしこまって「シリアス作品」として観なければならない居心地の悪さ。
 センスの悪さと古さゆえに「お笑い作品」と成り果てているけれど、作者がコレをシリアス作品だと思って書いていることを知っているので、「笑ってはいけない」と心に言い聞かせて観ているのに、観客は容赦なく笑う。
 笑っちゃダメだよ、キモチはわかるけど我慢しなきゃダメだってば。演じている人たちに失礼だよ。
 一緒に笑うこともできず、笑いが起こるたびに「この笑い声で舞台に悪影響が出ませんように。トウコちゃんがんばって!!」と拳を握ってはらはらした。

 キャストの無駄な豪華さへの、居心地の悪さ。
 こんなに人、いらないじゃん、この話。
 主役3人以外は、脇を締めることのできる上級生と子役もできる下級生数人でよかったんじゃないの? スタークラスは不要じゃん。
 「出番を作ること」だけを目的とした、無意味な2役。おかげで作品の焦点がボケる。
 「この人たちだけで興行が打てる」スターたちが、ただのモブに甘んじていることへの、苦い思い。
 新生花組が中日と青年館とWSと3興行やったんだから、層の厚い星組なら余裕で3興行できるはずだ。何故、しない? もったいなさすぎる。

 笑われながらも少年の演技を続ける主役、繊細な演技をぶちこわすアホな脚本と演出、いっそコメディにしてくれと絶望する展開……。

 なんかもー、すべてにおいてトホホだった。
 どーしよコレ、と、途方に暮れた。

 
 別の脚本・演出で観たい。

 古典と時代遅れの違いを理解するセンスのある、生きたクリエイターに、一から作り直して欲しい。
 寿命の尽きた作品を、そのまま焼き直したものではなく、「生きた作品」を観たい。

 作品のどーしよーもなさが、くやしくてならない。
 主演のふたりは、すごーく興味深い演技をしているのに。
 作品のアレさを、力尽くでねじ伏せるべく、その才能を発揮しているんだ。
 これだけの役者を無駄遣いするのは、勘弁してくれよほんと。頼むよ……。

 教養ナッシングのため原作は未読ですが、じつに愉快なストーリーだと思いました。
 つか、好みだと思う。
 だからこそ、「なんでこんな料理をするんだ……」と、じれじれしっぱなし。
 いくらでもおもしろくできるだろうに、と。最低限、観客が失笑するよーなことには、ならないように。
 キャリア十分のトウコが少年役だ、つーことで観客が笑うのまでは止められないと思うけど(原作がそうなんだから仕方ないじゃん。つか、そこで笑うのはルール違反)、それ以外の古すぎることや現代との感覚の違いによる笑いは、起こらなく出来るはず。
 あーもー、くやしいなー。
 

 でもって。
 トウコちゃんの美少年プレイは、素晴らしいです。(プレイゆーな)

 ジュリアン・ソレル@トウコ。
 ほんとに、息づく若い魂が見える。
 若さゆえの野心や傲慢さ、浅はかさが愛しい。
 強く攻撃的なときでも、そこになにかしらの「もろさ」を感じさせるのは、彼女の最大の魅力だと思う。
 この若い獣を愛したい、と思わせる力。

 もちろん、その美しい姿も含め。

 相変わらずきれいだ……。
 あの濃さがいいのー。

 
 また、レナール夫人@あすかの大人の女ぶりが、匂い立つようだ。
 控えめに、抑えているのになお、静かな熱がにじんでいく、その魅力。
 このジュリアンだから、このレナール夫人なんだ。そう思わせる、絶妙のバランス。
 このふたりでこの題材で、なんでこんなつまらない脚本と演出をやらせるんだ。もったいない〜〜。うおー。
 

 星組デビューのマチルド@ねねちゃん、出てきた途端場が華やぐ輝きはさすが。
 しかし、難しい役だったね……。盛大に笑われてしまって気の毒。悪いのは脚本で、キミのせいじゃないよ……。

 うん。わたしにはマチルドが妄想少女セシリィ@『Ernest in Love』にしか見えなくて困った。
 「会いたい〜〜悪いヤツ〜〜♪」と歌ってぴょんぴょんしてくれた方がよかったわ……コメディで笑われるのは本望だろうけど、シリアスに同じことやって観客に爆笑されるのは可哀想だよ……。

 
 材木オタクのフーケ@れおんは、この役だけならよかったのにね……。
 2役のコラゾフ公爵もよくやっていたけれど、ひとつの作品で演じ分けが出来るほど器用な人じゃないことを露呈する結果に。
 どっちかひとつだけなら、いいデキだったのになあ。片方だけでは2番手スターには役不足だというなら、そもそも彼をこの芝居に出す必要はなかったんだ。

 モブで踊っているときの、さらさら前髪にうっかりときめいたことは秘密(笑)。
 フーケはあの前髪でやっちゃダメだったのかなあ。若くなりすぎる? やー、そんなことよりまず見栄え重視でいいじゃん。……ダメ?

 
 ジェラード・ペルー@『エル・アルコン−鷹−』で「しい様」だったのに、このレナール氏役ですっかりもとの「しいちゃん」に戻ってしまった、しいちゃん(笑)。
 ほんとにしいちゃんは演技の引き出し少ない人だなあ……。
 なんかすごーく浮いていた気が……。レナール夫人と「夫婦」に見えないのが大変だなー、と。だって会話成立してないじゃん……。
 いやまあ、そういう役作りなんだと思っておこう。しいちゃんには点数甘い……(笑)。

 
 すずみさん以下、もったいなさすぎ。
 コスプレ眺めるだけですか。

 
 なにしろ作品がアレ過ぎるので、いっそアレだからこそ、トウコとあすかがどこまでやってくれるか、それをたのしみにするのはアリだと思う。
 つーか、なんとかしてくれ。
 彼らの実力にわくわくしている者としては、ソレを期待してしまう。

 初日にこれだけ笑われた作品を、笑いの起こらない感動作品に作り替えてしまうことを、心から願う。

 舞台は役者のものだ。
 障害を乗り越え、栄光を掴んでくれ。


 ある人の話をしよう。

 その人は才能のあるクリエイターで、過去に素晴らしい作品をいくつもこの世に送り出した。
 彼の作品は名作と呼ばれ、多くの人々に愛された。

 ……が。
 時は流れ、彼は健康上の理由から、ひとりでは創作できなくなった。
 パートナーを募り、共同で仕事をする。
 そして。
 彼は駄作しか作れなくなった。新作もひどいものだし、過去の名作をリメイクしても、過去の輝きとは程遠いものしか作れない。

 昔の彼の作品を知っている人々は、口を揃えて言う。
 彼はすばらしいが、パートナーが無能だ。彼の才能を、彼の素晴らしい作品を、パートナーが台無しにしているのだ。

 たしかに彼のパートナーは無能だった。誰が見てもわかるほどに。

 しかし。

 その無能な人間をパートナーにしているのは、彼自身なのだ。

 健康上の理由からひとりでは仕事が出来なくなったときに、彼はいろんな人間と組んでいる。
 それぞれ才能のある人たちだった。彼の助手にならずとも、ひとりでやっていける能力のある人たちだった。
 その人たちと組んで作った作品は、ちゃんと名作だと評価されたり、新しさに注目されたりもしていた。

 だが。
 彼はその人たちをすべて切り、今の無能なパートナーを選んだのだ。
 彼の作品をアレンジしたり、独自の解釈をしたり、時代に合わせようとしたりしない、彼の意のままになる人間を。

 過去に称賛を浴びた古い古い作品を引っ張り出し、その無能なパートナーにリメイクさせる。
 もう新しいものを生み出す力はないので、ひたすら既存作品を持ち出しては、体裁だけ整える。

 たしかに彼が若かった頃は世間に喜ばれた作品だったが、現代ではただの時代遅れの駄作だ。
 今の時代にあったアレンジなど、彼が選んだ無能なパートナーは、しない。できない。する気もない。彼の作品をできるだけ手つかずに、古いものを古いまま差し出す。壊れたところは壊れたまま差し出す。

 彼は今も素晴らしい。
 彼の作品も、今も素晴らしい。
 なのにそれが駄作だとしたら、悪いのはすべて、彼のパートナーのせいだ。

 世間ではそーゆーことになっている。

 
 でも、わたしは。

 才能のあるあの人やあの人を切って、かわりにあの無能な人をパートナーにしている段階で、彼は、クリエイターとして終わったと思う。

 ふたりして時代遅れの駄作を作り続けず、美しく引退して、過去の名声を守って欲しいと、心から思う。

 『赤と黒』初日、ドラマシティにて。


 地上波放送の映りが悪くなり、とくにNHKがひどくなった。と、前日欄に書いた。
 つーことで、唯一NHKで見ていたドラマ『ちりとてちん』の映像も、そりゃーひどいことになったさ……。

 とゆー前振りから、妄想配役。
 花組で、『ちりとてちん』。

 何故、花組か。
 わたしが花担だということよりも、草々役が似合うトップスターは誰かとゆーところからスタートしたためだ。

 ヅカでやるなら草々主役でしょ? んで、徒然亭一門の話メインよね?

 木訥で融通が利かなくて、がむしゃらで鈍感で不器用な、今どき時代遅れな、しかし愛すべき男。
 男っぽさとやんちゃさ、天然の愛らしさといい意味での野暮さから、もー、彼がまとぶんだと萌えだなと。
 見たい……草々@まとぶんが見たいー。

 んで、草々の兄弟弟子たちとの確執を話の真ん中に持ってくる。

 クールでドライな色男・四草@ゆーひ。弟弟子だけど、草々より実は年上。
 お調子者の小草若@壮くん。草々とのライバル関係、複雑な愛憎と劣等感……を表現する力は壮くんにはないと思うが(笑)、大丈夫、トニーやモーリス系にスタンのテンションでいけばなんとかなる(笑)。

 草原兄さんはちょい物語から引いた感じでまりんさんあたりに演じてもらい、草若師匠は星原先輩以外の専科さんで(笑)。……立さんがよかったのになー。退団が惜しまれる。

 小次郎にーちゃん@みわっち(アロハ! アロハ!)で、まっつはアホボンこと友春あたり……?(笑)

 ヒロインの喜代美のキャラがいちばん彩音ちゃんに似合っておらず(つか、あのダメダメヒロインを演じられる路線娘役はいないだろう・笑)、正直彩音ちゃんで見たいとも思えないが。

 喜代美@彩音だと、草々@まとぶんのことを「兄さん」と呼ぶので、適役かと。

 え?
 彩音ちゃんがまとぶんを「兄」と呼ぶのは、新生花組のデフォルトでしょう?(笑顔)

 
 『ちりとてちん』はラストの展開以外は、ほんとーにたのしめた。
 わたしは、その人の人生と命はそのひとのものだけではない、社会生活をする以上、ひとがひとりで生きられない以上、義務と責任がある、と思う人間なので、ドラマにありがちな「自分の感情・都合だけで、それでまで積み重ねてきたモノ全部捨てる」主人公、というのに賛成できないのだわー。

 
 年度末になり、ドラマが次々終わっていく。
 ドラマヲタクでもあるので、地上波もそれなりに見ているのだが、なんか最近テレビの映りが悪い。
 とくにNHK。次いでフジテレビ系、日本テレビ系。

 みんなみんな、画面が二重映し。

 リサーチすると、近所一帯同じようなことになっているらしい。
 おそらく川向こうにできた高層マンションの影響だ。
 わたしたちの家からほんの少し離れた一画には、「高層マンション建設のためテレビの映りが悪くなります、ケーブル化をオススメ、費用は高層マンション側がすべて持ちます」てな話になっている。
 あそこの一画の住民だけ守られてウチの近所がダメなのか、理屈はわからないが、「テレビの映りが悪くなっていること」と「高層マンション」の因果関係を実証して交渉するだけの労力と「デジタル化すりゃあいいんじゃん」を秤に掛けると、後者の方が楽だから、近所の人たちも泣き寝入りしてテレビを買い換えるなりするんだと思う。

 しかしわたしには、テレビを買い換えるだけの余裕がない(笑)。
 そんな金があれば、その分チケットを買う(ヲイヲイ)。

 つーことで、今の環境のままで「Let’s デジタル!」。

 
 思い起こせば3年半前。
 ケロちゃん卒業のどたばたの最中、「ケロ映像を得るために、スカステに入ろう!」と決意した。

 自分がモノを溜め込む型のヲタクだとわかっているので、スカステには加入したくなかったんだ。
 入ったが最後、サルのよーに録画を続け、映像データを溜め込み続けるのがわかっていたからだ。
 だが、ケロ卒業関連映像は、自分で得なければならない。やさしい友人たちが「録画してあげるよ」と言ってくれていたけれど、甘えてばかりはいられない。
 加入する。

 えーとたしか、「スカステ加入キャンペーン、アンテナ+チューナ、セットで29800円」とかやってたよね、今年。去年は「19800円」だったけど、たしか値上げされていたはず。
 そう思ってもらったばかりのスカステのチラシを見ると。

 「スカステ加入キャンペーン、アンテナ+チューナセット64800円」とあった。

 ……え。
 ちょっと待って、なんかのまちがい? 今年たしか、29800円だったよ? 実際チラシ持ってるし。そっから半年後で、倍額以上?? とんな物価だそれは。

 通常のアンテナ+チューナの販売から、地上デジタル対応のものに、移行されていたんだ。
 地上デジタル放送なんか見ないのに! 関係ないのに! そりゃいつかはすべてデジタル放送になるんだとしても、そんな5年も6年もあとのことどーでもいいよ、今ケロ祭りでディナーショーコンプして週1以上で東京往復してチケット買いまくってて金がかかりまくってるんだってば、その上何年もあとのほんとーにそんな時代が来るかどうかすらぴんときていないわけわかんないもののために通常の倍以上出せってぇの??

 もちろん、自力でアンテナ等を購入すれば済むだけの話だったが、とにかく時間も体力もギリギリで生きていた頃だったので、ややこしいことに割いている時間はなかった。
 割り切れない思いを胸に、スカステサイトのキャンペーン・ネット通販を利用し、必要なモノをひとそろい購入した。

 キャンペーンには「ソニー製品」と書かれていたのに、届いたのは他社製品だった……が、それすらどーでもよくとにかく取り付け。

 そしてその商品は「メーカー問い合わせ窓口」が存在せず、「なんかあったときは購入店に言って下さい」としか説明書にも書かれていない商品だった。
 で、その「購入店」であった、スカステとタイアップしていたネット通販は、その後すぐに消滅した。
 チューナの調子が悪くなり、修理依頼をしたくて購入時に同封されていた書類の「なにかあったときはここに電話してね」番号は「現在使われておりません」、HPも消滅、メーカーには受付窓口ナシ、という、ずいぶんな目にあったのは、また別の話。

 
 ……という、経緯で機器を購入していたはず。
 たしかそのとき、「地上デジタル対応」チューナを問答無用で買わされていた……よな?
 チューナがあれば、テレビが古いままでもデジタル放送として、地上波放送を見られるはず……だよな?

 このへんのことがよくわかっていないわたしは、弟に丸投げ。
 チューナとテレビとDVDレコーダの説明書を渡して「なんとかして」。

 わたしの部屋はとても難解な構成に後天的になっているため(つまり散らかっているため)、弟が指示を出し、わたしがケーブルを付け替えることに。

「テレビアンテナを、チューナにつないで」
「テレビアンテナ……ブースター使ってるんだけど、どれ?」
「なんでそんなヲタクなものを……出力の方、引っこ抜いて」
「出力ふたつあるんですが……分配してるから」
「そんなもんも持ってるのか、テレビにつないでるのはどっち?」
「テレビのアンテナ入力端子、説明書のとチガウよ? 白い箱がついてて二股に分かれてる」
「そんな古いもん使ってんのか。前時代の端子だそりゃ。……んじゃ通常の端子ないわけ?」
「別のケーブル探す……こっち引っこ抜いて代用してみる」

 試行錯誤。

「映像溜め込むヲタクのくせに、なんでこんなチンケなAV機器使ってんだよ?! ヲタクならこだわりを持って高級品に買い換えろっ」

 うるさいっ。あたしがアニヲタなら買い換えてるかもしんないけど、スカステその他はあくまでも二次的なものよ、メインはあくまでもナマ舞台なのっ。二次的なモノに金かけてられるかぁー!

 わたわた。
 弟の指示通り、なんとかアリモノだけで接続完了。
 チャンネルのスキャニング完了、その他設定完了。

 地上デジタル放送、無事受信。

 しかし。

「画面に、黒枠ついてるよ……?」

 テレビ画面に一回り小さく画像が映る。遺影のように、周囲をぐるりと黒枠が囲んでいる。

「このチューナは出力サイズは固定しかできないみたいだな。D3・D4端子のある機器に出力する場合は変更できても、それ以外は解像度も固定されてる」

 わたしの古いテレビと、安いDVDレコーダには、D端子なぞついておりませんとも。レコーダには出力だけはかろうじてついてるけど、入力はない。

「そもそもこのチューナ、デジタルのはずなのにアナログ出力メインになってるぞ。マニュアルにそれしか書いてない。アンテナ出力端子があるのに、それについての記述はナシ」
 たしかに、赤白黄ケーブルでの出力にしか、書かれていない……。

「アンテナ出力についての説明はナシで、『テレビ側でなんとかしろ』と書かれてる」
「テレビは震災前に買ったもんで、デジタルはおろか、画面比率の概念すらない時代のだよ? どーやって画像入力サイズを変更するのよ?」
「テレビ側での調節は不可能、しかしチューナには『テレビでなんとかしろ』……」
「で、チューナには問い合わせ窓口なし、『不都合があれば販売店へ言え』の一点張り、販売店は消滅済み」

 スカステのキャンペーンなんかで、買うんぢゃなかったっ!!

 もっと考えて購入するべきだったわ……。
 メーカーに問い合わせ不可、販売店消滅、つーのはイタいよな……。スカステもその点については放置だしなー。現在のスカステは受信機器の斡旋販売はやってないんだもの。

 いやその、全部最新の機器に買い直すことが出来れば、スカステで買わされたアレなチューナに頼ることもないんですがね……。

 結論。

 びんぼーが悪い。


 隣の芝生は、いつだって青い。

 つーことで、妄想配役、新生花組!!

 新生花組で、『君を愛してる』。

 
 所詮キムシン好き、『君愛』ダイスキ人間なもので。
 その昔『暁のローマ』の花組妄想配役
http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-304.html)を考えてはよろこんでましたが、そーだ、あのとき書いたのって「トドロキ降臨前提」だったからなー。
 トド抜き書いてなかったっけ?

 トド様出演ナシでオサ様の花組で『暁のローマ』をやるなら、カエサルの比重をもう少し上げることを前提として。 

 天才カエサル@オサ様
 M男ブルータス@まとぶ

 で、見たいです。
 圧倒的なカリスマとして君臨するオサ様、彼を愛しながらも否定するよーになるブルータスの苦悩。
 まとぶさんに盛大に悩んで欲しい。苦しんで欲しい。

 アントニウス@壮くん。

 ……幕前の漫才が、想像するだけで鳥肌モンなんですが。
 バリバリの関西弁でたのみます。

 カシウス@みわっち。

 銀橋で釣りまくって下さい、地引き網漁業、大漁旗万歳。
 みわさんのあのキザりを堪能できる役。

 そして、順番で行くと、オクタビアヌス@まっつになります。
 歌があるのでまっつでもいいっちゃーいいかもしれんが、初代ローマ皇帝ってなんかチガウ気が……。
 とかゆっていると、わたしが妄想配役考えるときの相方nanaタンが言い出すわけですよ。

「壮くんとまっつの、幕前漫才!! ソレ見たい、見た過ぎる〜〜!!」

 そ、想像するだけで、悶絶……。

 なんかもー、どーしよーもなくグタグタなものしか浮かんできません……。まっつも関西弁で話すべき?
 痛々しくも爆笑するしかない、奇妙な空間になるのでは。

 てなことを、『アデュー・マルセイユ』に通いながら妄想しておりましたね、はい。

 
 そして年も変わり、新生花組スタートしたわけだから、新しい花組で、新しいキムシン作品で妄想配役(笑)。

 
 ジョルジュ@まとぶん。

 ……似合う。絶対、似合うよね。かわいいよね。酔っぱらい演技お手のもの。ハートフルで純粋、でもけっこー男っぽい。そして、基本M男。
 マルキーズ@彩音ちゃんにぶん殴られて、その快感が忘れられずにひざまずく……って、あれ、潤ちゃん?

 アルガン@ゆーひ。

 かっこいい……。
 変に善人にせず、とことんクールに美形悪役やっちゃって下さい。大人に、ダークに。
 若いジョルジュが太刀打ちできないよーな魅力とエロを全開に。

 フィラント@壮くん。

 お気楽ソング歌って〜〜っ!!
 壮くんが「悩むことはなっにっも・ない〜〜♪」って歌ってくれたら、とろける。あたし、客席で熔解する!!
 空気読まなくてイイ、いつもの壮くんらしくひとりで爆走してヨシ!
 その輝きが愛しい。

 アルセスト@みわっち。

 やりすぎなくらい、やっちゃってください。
 ええ、慟哭しまくってください。苦悩しまくってください。
 とことん美形に、でもクドくアツくヘタレてみせてください。わくわくわく。

 クレアント@まっつ。

 うわあああん、この役がまっつで見たい〜〜。
 アンジェリック@いちか希望の、おなかに耳あてて微笑んでるのー。
 妻を愛し、兄を愛し、仲間たちを愛し、人生を愛してるのー。だけど「芸術と会社経営は一緒に出来ないよ〜〜」と眉を八の字にして泣き声出すの。
 センターパーツで若ぶるのー。奥さんとラヴラヴなのー。

 と、ひとが大喜びで妄想しているのに。

「まっつがクレアントでもいいけど、まっつだったらあんな大きななにもないカンバスの作品とか、作らないね」
 って、言われちゃうんですけどっ?!
 巨大ななにも描いていないカンバスの中央に切れ込みがあって、そこからなにか見える……という、「予言」というタイトルの作品。
 たしかにアレは、ヲヅキの「大きさ」あってのものだと思う……カラダだけでなく。

 って、どーせまっつはちっこいわよ、まっつの描きそうな絵って、やっぱ点々のスーラ@『コンフィダント・絆』
(妄想配役して遊びました・http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1368.html)?!

 マルキーズ@彩音
 セリメーヌ@ののすみ
 エレーヌとレイチェル、みほちゃん、さあやで迷うなー。

 問題は、レオン神父がいないことだ。
 ハマコ先生のイメージがあるから悩むけれど、包容力とやさしさ、物語のキーマン、と考えればさおたさんはアリだと思う。この人、歌も歌えるしなー。
 はっち組長はドビルバン氏ね。

 
 あー、隣の芝生はどうしてこうも青く美しいのでしょう。
 新生花組お披露目公演の『愛と死のアラビア』って、どんなになっちゃうんでしょうねえ。


 こっそりとトドロキの話、その2。

 トドの舞台は、面白みがない。
 彼の舞台は、あまり変わらないんだ。初日からずっと。

「雪組って初日から出来上がってるのね!! ウチの組なんか初日は公開舞台稽古よ?!」
 とか、
「前半は観に来ないでね、ウチの組を観るときは千秋楽近辺にして。楽近辺でようやく8割出来上がって、東宝が本番だから」
 とか、他組ファンの人に言われ、雪組しかリピートしない(他組は1回観るだけ)のわたしは、ぴんと来なかったもんだ。

 なに言ってんの? 初日から仕上げてくるのが当然じゃん、プロなんだから。
 と、わたしもふつーに思っていた。あのころは(笑)。

 トドのファンをやっていたために、「ナマモノ」としての舞台の愉しみ方のひとつを、長い間知らなかったよーな気がする。や、よくも悪くも。
 もちろんトド様だって機械じゃないから、まったく同じであることはありえないんだけど、レベルっていうかトーンは揃えてくる人だったからさー。

 トップスターお披露目公演では、トップとも思えないひでー作品でひでー扱いを受け、次の作品では主要メンバー総入れ替えでわけわかんなくなっていて。
 トドは毛を逆立てて警戒して緊張して、すごい痛々しいことになっていたんだけど。

 変わっていくんだ。

 いつも同じ舞台を、四角四面に作ってくるトド。
 初日も楽も大した変化ナシ。
 そんな人だったけれど。

 アドリブでなにかするのが好きな人だけど、そーゆーことではなく、「舞台の空気」で「チガウ」こと、「ナマだということ」を感じさせてくれたときは、感動したなー。

 『再会』の1000days劇場公演で、「なんかトドちゃん変?」と首を傾げるほどテンションが高く、ラストシーンで相手役のぐんちゃん抱き上げてくるくる回り出したのを観た日にゃあ……ト、トドちゃんどーしたのっ?! と、目を疑ったさ……。
 

 トップ3作目『浅茅が宿』『ラヴィール』はとんでもない駄作で、ファンのわたしですら初日・新公・楽しか観なかった。
 やはり組の顔ぶれががらりと変わり、馴染みのない人たちが真ん中にずらりといることも、2作連続日本物ということもキツかった。

 『浅茅が宿』の入りが、あまりにものすごいことになっていたせいだろうか。

 千秋楽の日に、入口で急遽チラシが配られた。

「轟悠一人芝居『THE FICTION』」

 ……えーと。
 年間予定表に、こんな公演はありませんでした。
 『浅茅が宿』のあとにタータン主演の『凍てついた明日』の公演は決まっていて、ポスターも貼られていたけれど、トドのバウホール公演なんてものは、なかった。

 突然、決まったんだ。
 しかも日程がすごい。

 『浅茅が宿』大劇場公演千秋楽から、たった9日後。

 未だかつて、こんなタイトな日程の公演を見たことがない。
 告知が間に合わないから、大劇場でチラシ配りですよ、劇団の人。

 ひとり芝居?
 たったひとりでフタ桁もの役をやり、2時間弱演じ続けるのに、お稽古期間いったい何日あるの?

 ……トドロキの痛々しさは、ここで全開になっていた。
 求道者めいた芸風は、ここで極まったなと思う。

 期間は5日間。
 会に入っていないわたしは正攻法でチケ取りするしかなくて、全部は観られなかった。もちろん完売、サバキ待ちもしたけど手に入らなかったりしたし。初日と楽はなにがなんでも観たくて、バウ下のサバキ待ち場所で半泣きになっていたのもいい思い出(笑)。
 客席だけでなく舞台上にも客席が特設されており、ものすごく濃密な空間だった。
 とくに初日の、あの針が落ちてもわかるだろう緊張感。

 追いつめられて、追いつめられて。
 結局自身の実力で、技術で、這い上がってきたんだなと思う。

 この異様な日程のひとり芝居という、前代未聞の公演が意味するモノはなんだったのか。
 憶測・噂はいろいろ飛び交っていた。

 このひとり芝居のあと、中日『浅茅が宿』でケガをして演出変更、ダンス一切ナシ、階段降り羽ナシになったんだっけか。
 日程が合わなかったことと、なにより作品を嫌い過ぎて観には行ってないんだが。

 そのあとだ。
 4作目の『再会』『ノバ・ボサ・ノバ』。

 とにかく毎回顔ぶれが変わっていて。
 またしても主要メンバーに組替えがあり、ナルセ、コムのふたりが加わっていた……上に、ショーは彼らとトウコの役替わり付き。劇団もいろいろ考えるよな。

 まあそれはともかく、トドロキ氏。

 なんかすごく、たのしそうだった。

 ひとり芝居なんかしちゃうくらい、そしてそんなことを劇団がさせちゃうくらい「相手役いらず」に見えたトドロキが、ぐんちゃんのことを見ていた。たのしそうに。

 『再会』は、自分以外興味なさそうなトドロキが、異次元生物ぐんちゃん(笑)に心を開いていく過程、という意味ではすげー興味深かった……。

 えーと、ぐんちゃんと組んで3作目だよね? 今ごろですか、警戒心解くの?
 突然のひとり芝居やらケガやらで、なにかしら心境の変化があったのかなんなのか。
 舞台しか観てない者には、知りようもないが。

 彼女への愛情が高まっていく様が、日を追うごとにわかるのね。
 1000daysまで行くと、そのコワレっぷりに「いいパートナーができて、よかったね」と涙したもんだよ……。トドの浮かれっぷりが恥ずかしいやら微笑ましいやらで。
 孤高の人だったから余計に、「共に歩む相手」ができたことがうれしかった。

 それまでまともに恋愛する役をやったことがなく、「キスシーンをしたことがない」という男役トップスター轟悠。

 そんな硬派な彼が、政略結婚をさせられて。

 最初は警戒心むき出しだったのが、どんどん鎧がはがれていき。やがて。
 嫁にめろめろになってます。

 は、恥ずかしい。
 こんな人だったの、トド様って。

 ぐんちゃんに対する態度が、愛情ダダ漏れ。ソレが妻に対する男の愛情なのか、愉快なイキモノを愛でているだけなのかまではわかんないにしろ、とにかくぐんちゃんのことを好きなのは、よーっくわかった。
 ぐんちゃんのことがおもしろくてならないらしい。
 たのしくて、かまっていたい、見ていたい、と思っているようだ。

 トドって結構、バカップル属性だったんだー……。

 と、嫁にメロメロなのを隠しもしない姿に、長年のファンはあきれるやら恥ずかしいやら。

 なにをやっても同じテンション、同じ舞台を作るトド様ですら、こうやって変化をまんま舞台に上げてくることがあった。
 なつかしいなあ。

 ぐんちゃん抱き上げて(姫抱っこにあらず。トド様非力だからそんなことできっこない・笑)、ぐるぐるいつまでも回られて、ぐんちゃんがきゃーきゃー言って笑って、バカバカしいけどしあわせで。

 ……まあその、そのあとぐんちゃんとナニがあったのか知らないが、関係が冷えていったのは、やはり舞台から感じられたけれど。
 最初はラヴラヴだったのよ。
 蜜月は、たしかにあったのよ。

 トドが変わり、組自体がまとまって、加速していくのを肌で感じた。
 このあとの『バッカスと呼ばれた男』『華麗なる千拍子’99』と。
 客入りのことは置いておいて(笑)、組ファンとしてトップファンとして、組のベクトルが正しくまとまったときの快感は言いようもない。
 

 作品ごとで、トドの演技自体はあまり変化がない(除く『再会』)。
 面白みのない人だと思う。

 でも、彼のヒストリーはやはりおもしろい。
 これからどこへ行くのか、興味深い。

 トド様がどんな人かなんか、わたしみたいな末端ファンにわかるはずもないけれど。

 ファンやって20年。
 新しい轟悠を見たいと思う。

 「専科」として、脇で舞台を締める……それは、主演を務めるとはまた別の重責であり、価値のある舞台人の姿だと思うのだけど。
 トド様は、脇の姿はもう二度とファンに見せてくれないのかなあ。いぶし銀の魅力を見せてほしいんだがなあ。


 こっそりと、トド様の話。

 わたしは長い間トドファンだった。
 トドがいなければ、この世界に足を踏み入れていない。
 雪組に組替えしてきたばかりのころ、彼は不敵でやんちゃな男の子だった。技術が足りていないわりには堂々と舞台で「遊ぶ」ことを知っていたと思う。
 舞台で「遊ぶ」彼を見るのが好きだった。
 次はなにをしでかすんだろう? とわくわく見守っていた。

 「ジャニーズ系美少年」と言われ、「タカラヅカの光(光GENJI)」と言われ、真っ当に路線人生を歩いてきた人だと思う。
 途中組替えでやってきたタータンに抜かされかけ、ソロをもらうタータンの後ろで3人口あたりをふらふらしたりしながらも、また真ん中へ戻ってきた。
 『忠臣蔵』で歌を聴いたときは感動したなあ……1年間、歌わせてもらってなかったんだもん……歌はみんなタータンに持って行かれてて。で、ソロをもらっていなかったのに、ちゃんと1年分成長していることにも感動したさ。

 やんちゃに、イキイキと。やりすぎのアドリブに舞台が止まってしまっても気にしていない風。また、トップスターのいっちゃんが大らかな人で、それを許容してくれていた感じ。

 トド×一路の並びも好きだったし(男同士も、男女も)、高嶺くんとのコンビも好きだった(男同士も、男女も)。
 

 そんなトドだったのに、トップスターになってから、ころりと芸風が変わった。
 堅実一路。
 「遊び」のない、四角四面でおもしろみのない舞台。

 とまどった。
 すっげー、とまどった。

 アンタ誰?

 責任を取る立場になると、いきなり真面目になるの? いっちゃんが上にいたときは、あんなに暴れ回っていたくせに?

 ずるいのか小心なのか、たんに真面目な性格だったのか。

 や、責任ある立場の人間だから、堅実に生きるのはまちがってないんだけど……ううむ。
 

 トップになってからしばらくは、ずいぶん失速したと思う。
 お披露目公演は宙組発足のあおりを食ってめくちゃくちゃ。
 トップスターなのに相手役無し。娘役トップスターは一緒に宙組へ行く2番手とばかり組む。……芝居でも、ショーでも。誰のお披露目公演なんだか。
 ムラだけで東上無しと決まっている作品だったからって、思い切り手を抜かれていた。
 ひでーなー。こんな扱いされる程度の人なんだ、トドって?

 わたしは会にも入っていない、ただ出版物やテレビ、舞台を観ていただけの一般ファンなので、裏の事情など知りようもないが。

 今でも、『真夜中のゴースト』はタカネくん主演を想定されていたんじゃないかと思うよ。トドにはあまりにも似合わなさすぎた。
 もらいもののアンティーク・ペンダントを身につけたヒロインのテレビレポーターが、とある古城に仕事でやって来た。すると何百年前に悲恋の末死んだ男がゴーストとして現れ、「それは恋人に贈るつもりのペンダントだった、恋人の墓前に供えてくれ」とヒロインに頼む。
 ヒロインはゴーストに同情し、仕事仲間たちとゴーストの願いを叶える。そして、その過程でディレクターと愛し合うようになる。ハッピーエンド……って、ナニこの話? これじゃ主役はレポーターのヒロインと相手役のディレクターじゃん?

 主役のゴースト@タカネくん、その引き裂かれた恋人@花ちゃん、そして現代のテレビレポーター@花ちゃん2役、彼女はゴーストの恋人の生まれかわり。
 あくまでも、トップコンビの愛の物語。
 レポーター花ちゃんに片想いのディレクター@トド、以下役がズレていくこと。
 そうすれば辻褄は合う。
 ゴーストがわざわざ数百年ぶりに現れたのは、恋人の生まれかわりが、思い出のペンダントを身につけて城に現れたから。
 だけど過去は過去、ゴーストはゴースト。過去の恋を成就させて消えていき、現代のヒロインは現代の男と結ばれる。もしくは、現代でゴーストの生まれかわり男と出会ってもイイ。

 『真夜中のゴースト』は、主演のトドと娘トップの花ちゃん(宙組売約済)を組ませないためだけに、話がぶっ壊れた。
 ゴーストの恋人を、花ちゃんにさせなかった。なのに、ゴーストと関わるのが花ちゃんなんだ。
 ゴースト@トドは形見のペンダントを手にしただけの赤の他人@花ちゃんと疑似恋愛に落ちる、そしてカンチガイだから早々に身を翻すただの変な人になって終わった。
「あの人(ゴースト)、なにしに出てきたの?」
「俺たちの愛を成就させるためさ」
「いやん☆」
 と、花ちゃんとたかちゃんがいちゃついて終わる話になってしまった。

 こんなアホな話でトップお披露目をした人もめずらしいだろう。
 トップスターとしてまったく認められていないよーな、作りの作品だった。
 ショーもまた、トドが登場する場面、次にたかちゃん花ちゃんのラヴラヴ場面、トドひとりの場面、たか花の場面、と交互に続き、誰のお披露目公演かわからなかった。
 終演後もみんな口々に、「たかちゃん、花ちゃん、トップコンビお披露目おめでとう」と言った……。
 じゃあトドってなんなんだろ? ゲスト?

 そーして次の本公演、『春櫻賦』『LET’S JAZZ』では、雪組は、知らない人ばかりになっていた。

 はじめて見るトップ娘役。前に見た顔ではあるけどしばらくは雪組とは無関係だった2番手。知らない顔の3番手。
 なにこれ。
 どこの組?
 前回の本公演で3番手を堂々演じていた生え抜き男役は、芝居ではただの脇役やってます。
 中心にいるのは専科さんと知らない人たち。そしてたったひとりの、トドロキ。

 や、いちおー他の組もちょろちょろ見ていたので、まったく知らない人たちではないにしろ、気分的には「知らない人」だ。
 それがトップ娘役、男役2番手・3番手と主要ポジを占めてしまうんだよ?
 わけわかんねえ。

 舞台も手探り状態。
 トドはいきり立つ猫のように毛を立てているし、ぐんちゃんは必死になってトドについて行こうとしている。
 タータンはマイペースに見えた。コウちゃんは自分の存在価値を示すのに必死さが伺えた。

 トドの芸風が変わってしまったのは、この怒濤のトップ生活スタート事情にあったのかと思う。
 今まで仲間たちとゆー「ぬるま湯」の中、末っ子的に甘やかされてきて、突然世界が変わった。
 今までの続きにトップになれるはずが、彼が想像していた地続きではなく、別の場所に連れてこられてしまった。

 警戒する猫。
 神経質な猫。
 言質を取られないよう、弱みを見せないよう、武装する猫。

 『LET’S JAZZ』初日、トドロキは信じられないくらいの汗をかいていた。
「トドちゃん、汚い」
 と、「見えるところに汗をかかない矜持を持つ」スターさんファンの友人が、容赦なく切り捨てるほどの汗だ。
 トドはもともと汗かきだが、それにしたって尋常ではない汗の量だった。
 そして、公演が進むにつれやせ細っていった。
 この人、大丈夫か? と、不安になるほどに。

 ……それでも、初日挨拶はいつもの「トドロキ節」で、アホアホなポエムなんだけどね(笑)。

 
 トドロキはもう、舞台で「やんちゃ」をしなくなった。
 優等生になった。
 「遊ぶ」ことで加点を狙うより、油断なく過ごすことで減点されないことを目的とした舞台を作るようになった。

 
 なんか、さぁ。
 「歴史は繰り返す」っていうけどさぁ。

 今の宙組を、タニちゃんを観ていて、当時の雪組を、トドロキを思い出すよ。
 組の2〜3番手、娘トップ総入れ替えで生え抜きは番手の下や外へ押しやられ、組ファンは混乱の一途。トップスターはお披露目からトップ娘役と組ませてもらえなかったり、主演とは名ばかりの扱い受けたり。

 あのときのかなしさを、漠然と思い出す。

 ジェンヌに罪はない。今も、昔も。
 彼らはいつも、精一杯舞台を務めている。

 ただもう劇団に、「あまりひどいことはしないでくれ」と願うばかりだ。

 今回の宙組のトドの扱い、というか、タニちゃんをあまりに軽んじた構成は、やっぱり変だと思う。
 マッカーサーのタニちゃんはとてもステキだったけれど、それとは別に、「トップスター」をそして「組」を、もっと大切にして欲しいと思う。
 それが「宝塚歌劇団」というブランドを大切にすることだと思うから。


 グッズの話つながり。

 いつだったか、ムラのキャトレで女の子たちが話しているのが耳に入った。
「このしい様素敵」
「ほんとだー。しい様いいよねー」

 『エル・アルコン』の舞台スチールを見ながら、別にことさらしいちゃんファンってわけでもない、ふつーにトウコちゃんの写真とかにもきゃーきゃー言ってる女の子たちが、会話の中でかわしていただけの短いやり取り。

 しいちゃんが素敵であることは周知の事実ってやつで(笑)この際どーでもいいんだ。
 わたしがおどろいたのは。

 「しい様」なんだ。ってことにだ。

 
 ジェンヌの呼び方にはいろいろある。
 みんなそれぞれの呼び方で、ジェンヌを呼び、表記し、愛情を示していると思う。

 わたしは水くんを「水くん」とくん付けで呼んでいる。
 ……しかし周囲の人たちはみんな「水さん」なんだよなー。ときどき自分だけこんな呼び方じゃまずいかな、わたしもさん付けにしなきゃいけないかなとも思うんだけど、長年の癖はなかなか抜けず、どーしてもくん付けになってしまう。

 そう、長年。
 わたしが水夏希という人を知ったとき、彼は新人公演で2番手とかやっている若手の少年だった。
 まだ少年だから、あたりまえのように「くん付け」だった。
 今、研5や6以下の子たちを「くん付け」にしているのと同じ感覚で。

 あさこちゃんやトウコちゃんにしてもそうだ。まだ少年で、愛称がまんま女の子の名前だからくん付けが似あわず、そのまま「ちゃん付け」だった。 
 コムちゃんなんか、その美少年ぶりに魔性を感じ「コム姫」と姫呼ばわりだったしな。

 しかし時は流れ、彼らはもう子どもじゃない。大人の男たちだ。くん付け、ちゃん付けする人の方が少なくなってしまった。
 キャラが変われば、呼び方も変わる。

 もしも今、わたしが新たに彼らと出会っていたら、とてもじゃないが「くん付け」はしなかったろう。
 ふつうに大人として、「さん付け」で呼んでいたと思う。

 そして、「様付け」になる人も、違っていたと思う。
 様、とお呼びするのはやっぱ「別格」の人だと思う。
 ヅカの立場としての別格というより、もっとファジィな意味で「特別」な人。
 チャル様、トド様、オサ様、リュウ様など、「そのへんの若造にはない、道を極めた者が持つ魅力と色気」のある人につける。

 チャル様はわたしがヅカにハマった瞬間から「様付け」だけったけれど(北斗ひかる様、箙かおる様と、雪組2大色男として、そう呼んでいた)、他の男たちは「ちゃん付け」からはじまって「様」にまで昇格した人たちだが、呼び方がこう変化することは、ほんとーに稀。

 やはり自分がその人と出会ったとき、その人がどーゆーキャラだったか、学年や技術、持ち味全部含めて呼称が決まる。

 キャトレで「しい様」という呼び方を聞いて、改めて考える。

 今もしわたしが、今のしいちゃんと舞台で出会っていたなら。

 たしかに、しい様と、お呼びするかもしれない。

 長身であたたかな包容力を持つ、大人の男。
 どうやらトップ路線ではなさそうだが、組の重要な位置にいて、舞台を締める年長の色男。

 となると、「様」の対象だよな。

 そうか、しい様なんだ!!
 目からウロコ。

 いつまでたっても『ラヴィール』のロケット・ボーイの男の子のイメージで見てしまうから「しいちゃん」だけど、今のしいちゃんは「しい様」なんだ。
 ほえええ。
 時は流れたんだなあ。
 そうやって、少年は大人になるんだなあ。

 実際ジェラード役は「しい様」とお呼びするに相応しいいい男だった。
 『エル・アルコン』のムラお茶会にも参加したんだけど(サトリちゃんありがとう)、nanaタンとふたりしてきゃーきゃーに盛り上がった。しいちゃんがテーブルの近くに来るたび、ときめいて女子中学生のようになっていた(笑)。
 なんであんなに派手にかっこいいの、あの人。そしてナニ気にS属性なの。
 輝度の高い笑顔とあたたかさ、なのにどっかSな雰囲気、って……ハマったら泥沼な、危険な魅力ですよソレ……(なんで舞台では人畜無害にしか見えないんだろ)。

「『しい様』よねっ」
「今日は『しい様』とお呼びする!」
 って、女子中学生モードのわたしとnanaタンはふたりして言い合ったさ……。

 『赤と黒』では、やっぱり「しいちゃん」に戻っちゃったけどさー、わたし的に(笑)。

 
 「今」いろんな人と出会っていたら。
 しいちゃんが「しい様」であるように、いろんな人が「別の人」に見えるんだろうなあ。

 昔から、少年時代から眺めていたことはうれしいことだけど、純粋に「今」の、大人になった彼らにボーイ・ミーツ・ガールして、ときめきたかったな、なんて、ゼイタクなことも思うわけですよ。

 今、わたしがはじめてヅカにハマったとして。

 いったい誰にオチるんだろうなあ。


 またしても、「2008年ポケットカレンダー」の話。

 たしか最初にポケカレが発売になったときの謡い文句は「いちばん人気があった舞台スチールをミニ・サイズのカレンダーに」だったと思う。
 だから最初の絵柄はどれもすごーくキャッチーだったし、「なるほど、これがいちばん売れたんだ、そりゃそうだな」と納得できる写真ばかりだった。

 でも今年のポケカレにはそんな謡い文句、ないよねえ?
 去年のにもなかったような?

 ポケカレは、ポケカレ・オリジナルの絵柄になっちゃったの?
 だとしたら、いったい誰が選んでいるの?

 なんつーか、ファンのニーズとは微妙にズレているような気がするんだけど。

 ……てなふーに、誰も思ってないのかなあ?
 他の人には、「ド真中!!」な選択なのかな。

 たとえばわたしひとりが全員の写真を選ぶとしたら、ひとりずつのスターの「いちばんかっこいい・素敵な写真」は選ばない。

 ひとりのスターの写真を選ぶなら、「いちばんかっこいい・素敵な写真」を選ぶよ。
 なにしろ1年間眺めるわけだから、本気でいちばん好きなモノを選ぶさ。
 まず、日本物はパス。青天なんかもってのほか。
 髪型はシンプルで、奇をてらわない。もちろん地髪。ショーの1場面用にとんがらせたり、派手なヅラをかぶっていたりしない。
 原色ギラギラ、黄色に紫のツートンカラーとか、ありえない配色の衣装は論外。ラテンのビラビラとかも嫌。ターバンも却下。日本人でターバンが地髪以上に似合う人なんていない。
 ソフト帽もかっこいいけど、顔が隠れてしまったら意味がない。
 基本芝居の写真になるな。スーツ姿で、端正なもの。
 その人がシンプルにいちばん美しい姿を選ぶ。

 てなふーに、「いちばんかっこいい・素敵な写真」を選ぶと絶対、「派手派手、これぞタカラヅカ!」なものにはならない。

 ひとりだけなら、それでいい。
 しかし、その調子で全員の写真を選んだら?

 そうなると、約40人のほとんどの絵面が似かよってしまう。
 男役は芝居の写真がほとんどで、地髪ばっか。娘役はショーの衣装でもかわいいものがあるからそっちを選んでいるかもしれないけど、大半の男役が地味にスーツ。日本モノ、青天なんて絶対1枚もありえない。

 ……商売として、商品ラインナップとして、それはちょっとまずいかなと。

 だからわたしひとりが全員の写真を選ぶとしたら、ひとりずつのスターの「いちばんかっこいい・素敵な写真」は選ばない。
 かっこいいかどうかではなく、別の観点で選ぶ。

 全部を並べたときの視覚効果を第一に考える。

 一覧表を見た人が、「うわ、こんなにいろいろあるのね」と思うように、あえていろいろ混ぜなければ。
 派手派手ショー場面も、悪趣味な姿も、これはどうよ?なものも、適度に混ぜなきゃ。全部が全部シックにおしゃれになってしまっては、全体を俯瞰したときにくすんでしまう。

 ファン目線ではなく、「商品販売」を念頭においた選び方をすれば、そうなる。
 「タカラヅカってこんなにいろいろあるのよ」と言うために、わざといろんなものを混ぜる。もちろん日本モノの青天も。

 その人がいちばん美しい写真ではなく、ヅカファン以外のための選び方。……たとえば、ヅカに興味ない販売企画上層部のおじさん相手のため、とか。
「あのおっさんが一発でOK出すなら、こんなもんだろ。NG出されてもウザいし、おっさんのよろこびそーな絵を選んでおけばいいや」とか。
 ……「お客がよろこぶもの」を一生懸命企画しても、全部上に握りつぶされ、いつのまにか「お客のため」ではなく、「上がうんと言うもの」を企画していることになる、よくある大人の事情を想像してしまいました。ほほほ。

 みんなみんな、この1年間の「ベストショット」がちゃんとポケカレに採用されていたならいいね。

 まっつは……わたし的に「いちばん」の絵ではなかった。
 でも、それはそれでヨシ、程度の絵だったからいいや。

 
 緑野こあらは、またひとつ大人の階段を上ってしまいました。

 はい、グッズの話です、「2008年ポケットカレンダー」です。

 わたしは、グッズ大好きなくせに、贔屓のグッズを買うのは恥ずかしい人。
 去年のブクマ購入時に、うだうだ書いている通り。
 (http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1457.html

 さあ、ポケカレの季節だ、この世に数少ない貴重なまっつの公式グッズだ、ポケカレ買うぞぉ〜〜。

 ポケカレが発売日に購入しに来店しなければ手に入りにくい、売り切れるまでの期間がやたら短いモノだと知っている。
 だが、発売日にあわててキャトレへ行くことはしなかった。せっかくの1日だもん、映画見てたよ。

 のんきにしていたのには、もちろん理由がある。

 まっつポケカレは売り切れっこないから、あわてなくてもいいや。

 人気スターのファンなら大変だけど、わたしはそのへん楽ちんさ〜〜。
 まっつ以外で欲しい人のは、数日で売り切れるような販売枚数ぢゃないことが想像つくし。発売日になにを捨てても駆けつけなければならない、ってもんでもない。

 とはいえ、発売から数日内には行っておくべきだよなー。まっつはともかく、水くんやゆーひくんが売り切れたらこまる。

 つーことで、観劇がてらはるばるムラまで。

 キャトレのポケカレ・コーナーにて、ぼーぜんとしました。

 未涼亜希さん、品切れです。

 ななななんで?
 そんなに発売枚数少なかったの?? いやそのそんな不吉な想像。

 答えは簡単、花組が今、ムラで公演中+お稽古中だからだ。
 公演してるし、本人お稽古してるわけだし、そりゃムラには花組ファンが大挙して来ているわけだよ。
 それならまっつポケカレが売り切れていても、不思議はない。

 不思議はない……ことに、何故早く気づかなかったんだ自分。
 それならムラじゃなくて梅田のキャトレに行ったのに! 梅田なら絶対まっつポケカレは絶賛発売中だろうに。

 あーあ、と自分の読みの浅さに肩を落としながらも「せっかく来たんだし」と、他のポケカレを購入する。
 申込用紙に枚数を記入して、カウンターへ。
 表に出てないだけで在庫ないのかなー、と往生際悪く「品切れしている人の入荷は決まってないんですか?」と聞いてみる。
「はい、まったく未定です」
 キャトレのおねーさんは言い切る。

 そっかあ、ダメかあ。仕方ない、梅田キャトレに寄って帰るか……DVDメディア買うつもりだったし、ヨドバシ寄るついでに。

 グッズを買うのは恥ずかしい。でも、いちばんのご贔屓以外は恥ずかしくない。
 複数スターのポケカレをぞろりと1枚ずつ買って、キャトレのハシゴだ、次は梅田店だ。

 ええ。
 だからわたしは、「贔屓のグッズだけは、恥ずかしくて買えない」人なんだってば。

 失敗に気づいたのは、グラビルのエレベータの中でだ。

 ちょっと待て。
 今までまっつグッズを買うのが恥ずかしくなかった……というか、なんとか乗り越えられていたのは、複数スターのグッズの中に、まっつもこっそり混ぜていたためだってば。
 まっつ単体でなんて買ってないってば。

 ポケカレだって、水くんやゆーひくんのポケカレと一緒にまっつも買うわけだから、自分的に言い訳が出来てぜんぜん大丈夫っていうか……もう他の人みんな買っちゃったじゃん!!
 あとまっつだけじゃん!

 あたし……まっつだけ、買うの? たしか梅田キャトレって、レジカウンターで「だれそれさんのブクマを1枚下さい」ってやらなきゃブクマを売ってくれなかったところよね?
 そんな店であたし、まっつポケカレ買えるの?!!

 うおおうおお。

 悩みました(笑)。

 で、梅田キャトレ。
 案の定まっつは絶賛発売中。ムラで売り切れていた花メンたちも、ここではちゃんと売っている。

 いちお、注文用紙が置いてあり、自分で店のおねーさんに声を掛ける必要はなくなっていた。
 が、ポケカレ・コーナーはあちこちにあるのに、注文用紙があるのは1箇所だけ。……まだるっこしいことしないで、レジで名前を言え、って感じかしら……。

 でもわたしは用紙に飛びついた。たかが300円の商品1個買うために、注文用紙に記入した。

 「未涼」の欄に「1」と書いた。

 どきどきどき。
 や、用紙に記入するまで、これまた往生際悪く店内を2周くらいした。いろんな組のいろんな商品をこれみよがしに見て回った。

 カムフラージュに別の人の商品も一緒に買おうかとか、エロ本1冊ではレジに行けない男子中学生のようなことも考えた。

 でも、そんな自分を叱りつけた。
 ダメよこあら、大人にならなきゃ。これから先、まっつグッズを買うたびにこんなに逃げ腰になる気? 勇気を出して、現実と向き合うのよ……!

 つーことで、決行。
 注文用紙握りしめて、レジへ。

 この用紙があれば、なにも言わなくてもこれでまっつポケカレが買え……る……。

 レジのおねーさんはとても愛想よく、ストックからポケカレを1枚出し、カウンターの上でわたしに見せた。

「未涼亜希さんのポケットカレンダー、1枚でよろしいですね?」

 う・わーーっ。
 そーだった、商品確認、復唱があったんだったーーっ。

 ムラのキャトレでも購入した分全部、名前と枚数言われたじゃんよ。そっちは気にしてないから、すっかりスルーしていたよ。

 なんでだ。
 なんでまっつグッズだけ、こんなに恥ずかしいんだ。

 息も絶え絶えにブツを受け取り、店を出る。
 恥ずかしいよお。なんつーか、「松田くんのことが好き」って友だち内では言ってるけど、クラス全員の前で「緑野って松田のこと好きなんだってさー」と言われたような恥ずかしさ。
 松田くんのこと好きなのは事実で、友だちはみんな知ってるし、生徒手帳に写真とか入れちゃったりしてるけど、だからといってソレをクラス中に知られたいわけではぜんぜんなくてっ。
 クラスのみんなもヒマじゃないから「へー、そーなんだ」ぐらいで別に、わたしのことなんか興味も持たないだろーけどっ、でもでも、あたしは恥ずかしいのよーっ。
 ……みたいな。

 たんに自意識過剰なだけなんだがな。
 わたしが大事に思うほど、ひとさまはわたしのことなんかなんとも思ってないっつーに。

 
 なんにせよわたし、まっつポケカレ買いました。
 自分で買ったわ。まっつ1枚買いという、「まっつファンとして正しい姿」を披露したわ。
 やればできるのね。大人になったじゃない。

 ん?
 ファンならグッズはどーんと大人買いするべきなのか?? いやソレはやっぱ恥ずかしすぎるってば。


「花のWS、両方観たんでしょ? めおちゃんとまぁくん、どっちがよかった?」
 と聞かれても、答えることができない。

「えーと、きらりとだいもんがよかった」
 ……って、質問に答えてませんがな(笑)。

 『蒼いくちづけ』Bチームについては、語ることが難しい。
 重要な役割を担うヒロインがただ日本語を読み上げていただけだったので、必然的に「芝居」にならなかったんだ。
 他の人は芝居をしているのだけど、ヒロインが喋るたびに芝居が中断され、別物になってしまう。
 あまりにすごいので他のこと(物語とか芝居の流れとか空気とか、他のキャラがどうとか)全部真っ白になり、ヒロインの声に聞き入ってしまう。その繰り返しなので、Bチームを「芝居」として受けとめることが、わたしはできなかった。

 ある意味このヒロイン、すごい逸材かもしれない。
 作品も物語もふたつのチーム競演だということも他の出演者も、とにかく全部忘れさせるほどの力を持っている(笑)。

「誰に聞いても『姫花がすごい』としか言わないんだもの。まぁくんが、とか作品が、とかじゃなくて、誰も彼もが姫花の話しかしない。それもみんなものすごい勢いで話す。姫花って本当にすごい逸材なんじゃないの?」

 と、スカステのニュースを部屋のBGMに流していただけだったのに、ヒロインのものすごさに振り返ってしまったというドリーさんが言う通りなのかもしれない。
 鮮烈なデビューというなら、これほどのインパクトのあるデビューもないもんなー。
 わたしも含め、ほんとになにより姫花ちゃんだもんよー。
 友だちとも、たまたまムラで隣り合っただけの人とでも、『蒼いくちづけ』Bチームを観た、という人とはすごいシンパシーを持って語り合えるという……。

 将来、この芝居を生で観、この体験をしたことが財産になるかもしれないなー。
 や、姫花ちゃんがこのあとめきめき成長し、今回の公演が笑い話となることを、心から祈っている。
 

 こんな状態だからまぁくんの芝居がどうだったのか、さーーっぱりわからない。
 歌が大変だったこと、声がひっくり返りまくっていたことぐらいという、「表面的な」ことしかわからない。
 芝居を観たかったのになあ。

 よくわかんないけど、あのヒロイン相手にキモチをつないで演技を続けているまぁくんに、男気を感じたぞ。けっこうやるじゃん、と思った。

 
 だいもんはそれほどヒロインに絡まないし、見せ場が単独なので素直に「そこだけ切り取って観て」よかった。
 1幕のじじいがうまいことはわかっていたけれど、2幕の悪役を本気で作りこんで来ていて、おどろいた。
 キンキンのパツキンをぴったりオールバックに撫でつけ、これでもかと顔を描き込み、非人間的美貌を作っていた。
 そしてひたすらクールに、大仰に「悪役」をやる。

 あー、キモチいいなあ。そーだよ、小池のアホアホ・オリジナルの2番手は、これくらい潔く「アニメ的」であるべきなんだよ。
 収まりがいいの。
 作品がマンガ・アニメ系なんだから、キャラクタもソレ系で統一すべき。

 だいもんのはじけっぷりで、ずいぶん救われた気がした。
 
 あ、彼が「巧い」ことは最初からわかっているので、それについては特になにも。期待の範囲内。
 ……だがほんと、だいもんがいてくれてよかった……。
 

 はるくん、ルナくんの役替わりは、Aチームのときの方が好みだった。キャラの問題かな?
 ジョナサンとジョニーの2役をやった研3の鳳くんは……学年相応? 正しく「新人公演」のイメージ。しかしAチームのめぐむより違和感がなかったのは、何故だろう(笑)。
 パパ役のレネくん、ナニ気にうまい? このメンバーでは上級生グループなんだね、マメたちと同期。

 
 1幕の女の子の寝室と、立ち聞きしている男の子たちの場面が好き。
 すごいかわいいよね。どっちも。
 無表情なアーサーが、テンションあげてがんばっている姿にふるふるする(笑)。でもってアーサー@かずやくんのかっこかわいい二枚目ぶりにもふるふるする(笑)。

 あと個人的趣味で真輝いづみくんを意識的に見てみる。まだ声が高いけど、演技はちゃんとやってるよなー。
 せっかく顔が子どもっぽくないので、かっこいー渋い男に成長してほしーなー。

 
 1幕がクラシカル、2幕が力押しできる若者ごちゃごちゃコメディ、というのはほんとうに勉強になると思う。
 1幕はやっぱり難しいからか大変そうな子も、2幕の等身大の役なら粗が目立たなくなる分、やりやすそうだ(除く、めぐむとアーサー・笑)。

 でもやっぱ、1幕をまずきちんとできるように育って欲しいな。特性だけでなく「技術」を必要とする芝居だから。

 なんにせよたのしかったっす。


 さて。
 『蒼いくちづけ』の話の続き。
 栄えある92期の話をしたので、もうひとりの92期のことも、ここで書いてしまおう。

 真瀬くんと天真くん。92期、わずか研2でも「うまい」と思える芝居をする……できる、子たち。
 その彼らと同じ学年で。
 彼らと同じように本公演では声を出したこともないような扱いの……いや、彼らより多少は場も機会も与えられていた同期。

 ヒロイン、月野姫花ちゃん。

 いやあ、すごかった。

 『アデュー・マルセイユ』新公で演技がアレなことはわかっていたが。
 想像を絶する下手さだった(笑)。

 わたしのヅカファン人生の記録を塗り替えてくれた。

 下手、といえば、「伝説」の『ミケランジェロ』新人公演を、わたしはナマで観ている。花組の新公を観るのはそのときはじめてで、誰が誰だかそれほどわかっていなかったのに(このときまだまっつは目に入っていない)、「今の子、ものすごくなかった?」と堂目した。
 好みでない場合視界に入らないので、その彼女はわたしの記憶に残ることはなかったが、それでも花組を観るたびに「え、今、すごい子がいたぞ?」といちいち驚かせてくれる子がいた。あとになって、それが全部同じ女の子だと判明、花担になってからは「花組名物」として何年経っても破壊的な芝居をする彼女を愛でるよーにもなった。

 いやあ、その伝説の彼女を超える逸材に出会えるとは。

 伝説の彼女は新公2番手まで?だったのかな。その美貌ゆえ『ミケランジェロ』新公で2番手役に抜擢され、あまりのものすごさにそれ以上は芝居で目立つ役はつかなくなった……と思う。
 下手さでは似たようなものなのかもしれないが、伝説の彼女はあくまでも脇役、姫花ちゃんは2幕もの、2時間通してのヒロインだ。
 下手度が同じだとしても、破壊力がチガウ(笑)。

 本公演でその他大勢のひとりとして踊ったり歌ったりしている姫花ちゃんは、めちゃくちゃかわいい。
 目を奪う。
 それはたしか。
 だからこそ、彼女に期待したいと思う。思う……が。

 はー……。
 世の中うまくいかないもんだなー。

 『ニ都物語』のあやねちゃんも「日本語を喋ることができる」というだけのお人形さんだったのに、短期間でここまで成長したんだから、これから伸びるのかもしれない。
 まだ研2なんだから……と思いはしても、同じ研2の真瀬くん、天真くんはあれだけ芝居ができるわけだから、研2だから、はあまりいいわけに適さないよなあ。男役の方が芝居をするというだけでも難しく、娘役は早くから完成可能なのになあ。

 わたしはアニメ声自体はあまり気にならない。所詮アニヲタだしな(笑)。
 姫花ちゃんは声がどうのじゃなく、ただ演技というものができない人なんだろう。表情もずっと一定だし、見事な棒読みだし、歌はアレレだし。
 大劇場の隅にいるときはあんなにきれいだったのに、表情の乏しさ・美しくなさでせっかくの美貌も損なわれている。あああもったいない。

 これから姫花ちゃんはどうなるのかな。どこへ向かって進むのかな。
 美しさは天性のもので、こればっかは後天的にどうこうできるものじゃない。天から与えられたその才能を、タカラヅカは生かすにふさわしい場所だと思う。
 だけど、いくらタカラヅカがビジュアル第一とはいえ……ええっと、最低限のラインはある……あってほしい、と思う。
 だから姫花ちゃんにはがんばって、その最低限のラインをクリアしてほしい。ほんと、もったいないから。

 姫花ちゃんを見ながらひしひしと、宙組の大ちゃんとこの姫花ちゃんでコンビ組んでみてくんないかなー、と、思った。究極の「ビジュアル・コンビ」誕生だぞ?(笑)

 
 音楽学校文化祭、宙組新人公演、そしてこの『蒼いくちづけ』Bチームと立て続けに観て、いろいろいろいろ(笑)思うところがありました。

 タカラヅカってほんとうに特殊なところだね。
 一朝一夕でどうにかなるところじゃないね。

 だからこそ、価値のある花園なんだと思う。
 しみじみと。


 Aチーム、めおちゃん主演バージョンにおいて、レンフィールド役で華やかにデビューした真瀬はるかくん。
 そのたしかな演技力を知らしめた。
 めおちゃん主演を観た人は、口をそろえて「真瀬くんがうまかった」と言う。

 さてそれならBチーム、まぁくん主演バージョンでこのレンフィールド役を演じるのは誰だ? これだけAチームの真瀬くんが評判になったあとではやりづらかろう……と思って確認すると。

 『蒼いくちづけ』
レンフィールド
 2/7〜2/17 真瀬はるか
 3/1〜3/11 天真みちる

 レンフィールド役、天真くんなのか!

 はいはいはい、わたしはちょうど今年の文化祭を観たところです。
 94期文化祭で上演された『MONOLOGUE』という芝居は、2年前、92期文化祭で上演されたのと一応同じ作品です。

 美形でお金持ちのおぼっちゃまで誰からも愛されるロベールくんが王様の陰謀に立ち向かい、恋人の女の子と結果的に心中してしまう物語。
 ロベールくんを愛する人々の中に、彼の親友ジャンポールがいる。
 ジャンポールは「ちょっとキミそれは行き過ぎでは?」ってくらいハゲしくロベールくんを愛しているのだが……。

 2年前、そのジャンポールをWキャストで演じたのが、真瀬はるかと天真みちるだ。

 わたしは片方のキャストしか観ていない。わたしが観たのは、天真くんのジャンポール。それが大変愉快で、ツボにはまったことは、ここでも長々と書き記している。
http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1322.html

 つい先日文化祭を観て「なつかしいなあ」と思っていたところ。
 なのにまた、このふたりで同じ役?
 文化祭とWSと、「芝居」で役がつくたびWキャストって、ナニ、このふたりって、宿命のライバル?(笑)

 文化祭でもそれなりに丸い男の子だった天真くんは、入団してから確実に肉を付け、今ではその体形で目立つ人になってしまっている。……文化祭のころはそれでも、まだふつうだったのになあ……なんで入団してこんなになっちゃったんだろ?
 天真みちる、というと「ああ、あの○○(ジェンヌにふさわしくない単語なので伏せる)」と言われる彼が、その体形以外でアピールできるチャンス。
 文化祭を観る限りは、演技できる子だったし、芝居好きっぽかったけど。

 あれから2年。
 彼はどんなふーに成長しているんだろう?(や、お肉以外で)

 難役、レンフィールド。
 幕開き直後に客席から登場し、一気に客を作品世界へ誘導しなければならない。
 世界説明と状況説明。
 善良なサラリーマンでありながら事件に巻き込まれ、気が狂う。や、狂ったわけではなくドラキュラの僕となったわけだが、客観的にはただの狂人。そして帝王にかしずく、闇の王国の忠臣としての貴族的態度を取るようになる。
 ま、よーするにルキーニだ。(そんな身もふたもない……)

 そんな役を、演じられるのか。

 はい。
 うまかったです。

 2年前より、うまくなってる。
 や、あたりまえなのかもしんないけどさ。でもこの2年、彼べつに役ついてないし、芝居の役としては声すらまともに出してないだろうに。
 それでも、成長してる。

 天真くんの演技に、派手さはないと思う。だがその場の空気に溶け込む演技をしている。真瀬くんに感じた「うまいけど、空気読まずにひとりで芝居をしている?」ところがない。や、路線目指すなら真瀬くんの方が正しい資質だろうし(実際彼、成績からいってもこれから出てくるだろうしねえ)、天真くんは地味だ。
 それでも、その演技は好感が持てた。

 2年前は彼も、空気関係無しの爆弾系演技してたのにね。
 でも今、こんなにまろやかに「世界」に存在するようになって。

 狂ったあとがとくによかった。
 なんだろう、あの「哀しさ」は。
 人間がどうすることもできないところで人間を翻弄する大きな力、そんなものの存在に人間として切なくなる……。

 でもって天真くん、丸いんだよほんと(笑)。
 ジェンヌでアレだとたしかに○○、と言われるだけの体形をしているの。
 なのにね。

 耽美GO!GO!なんだコレが。

 マスカレードでトート……ぢゃねーや、ドラキュラを迎える闇の道化師として、ゆがんだ美しさを持っているの。

 あー、いっそ丸すぎるせいもあるのかもしれないな。どこか不安な、まがまがしさが、ひとりだけチガウ体形に象徴されている、なんてことがあるのかもしれない(笑)。

 なんにせよ、天真くんはうまかった。芝居は好みによって上手い下手が派手に分かれるから、つまりはわたし好みの演技をするってことだろう。

 ……これで、やせてくれればなあ。
 この間の本公演でもほとんど出してもらってないよなあ。研2だけど、ロケット出てたか? 見た記憶がないんだが……。
 これだけ演技できて、芝居が好きなら、がんばってやせてくれぇ。そうすれば、もっといろんな役やチャンスに恵まれるだろうに。

 でもって、同期の実力者真瀬くんと、ライバルとして競ってほしいぞ(笑)。や、真瀬くんは路線系の人だからチガウかもしんないけどさ。

 とゆー真瀬くんもまだまだラインが丸いので、これからがんばってきれーになってほしー。
 持って生まれた長身よりも、小柄でも後天的に磨かれた美しさの価値を評価したいから。

 なんにせよ、わたしは「芝居>歌>ダンス」の人なので、芝居が出来る下級生を見つけられるのが、いちばんうれしい。

 がんばれ同期、がんばれライバル(笑)。


 なんかいろいろ発表になりましたね。

>宙組大劇場&東宝
>『Paradise Prince(パラダイス プリンス)』作・演出/植田景子
>『ダンシング・フォー・ユー』作・演出/中村一徳

>月組大劇場&東宝
>源氏物語千年紀頌『夢の浮橋』(仮題)脚本・演出/大野拓史
>『Apasionado!!(アパショナード)』作・演出/藤井大介

>花組DC&青年館
>『銀ちゃんの恋』−つかこうへい作「蒲田行進曲」より− 潤色・演出/石田昌也

 
 花担なんで、花組演目に反応しときます。

 ゆーひくんで、『銀ちゃんの恋』って……。
 なんでそんなことに……。

 ヘコんでいいですか?
 大空祐飛は、シビアな現代では保護が必要な「耽美種」という貴重なキャラクタですよ。美しさを最大のウリにしている人ですよ。
 それを何故、タカラヅカでもっとも美しくない作風の演出家の作品をあてるんですか……?

 石田とゆうひって、食い合わせ悪いっすよ……。しょぼん。

 や、決まったからには前向きに楽しみにしておきますが。
 それでもきっと、ゆーひくんなら魅力的に見せてくれることを信じて。

 そして、番手とか振り分けとかとは別に、まっつが階段オチする姿がリアルに脳裏に浮かんで、ソレはソレで眩暈がしました。
 あああぅ、そーゆーキャラがふつーにハマる、イメージできる人に惚れてんだなぁ、あたしって……ううう。

  
 月組と宙組の大劇場演目はよさそうっすね。素直にたのしみだ。

 
>月組組長の異動について
>越乃 リュウ・・・月組組長に(2008年7月7日付)
>花瀬 みずか・・・月組副組長に(2008年7月7日付)

 月組はナニが起こってるんだろうなあ。

 
>東京宝塚劇場 宙組公演における主演娘役 陽月 華の休演

 あああ。
 やっぱり休演かぁ……。
 しっかり休んで、元気な姿で帰ってきてほしいっす。

           ☆
 
 2月29日、4年に一度の日。
 ナニがどうってこともないが、朝から『タランテラ!』のDVD見て泣いた。

 そしてPC前にはバロット@まっつの写真。
 膝の上には猫。

 すべて世はこともなし。


 正塚芝居は好きだ。
 しかし。

 正塚芝居だと、満たされないモノがある。

 直接的な、ラヴシーンが少ない。

 愛を語ったり心理戦やったり、言葉と心うらはらでじりじりしたりと、恋愛モードはたのしめるし、ちゃんと演技が出来る人だと台詞以外にも愛を表現してくれてすごーくたのしいことは、わかっているんだけど。

 ただ、直接的な、肉体的な、ラヴシーンはほんとに少ない。

 わかりやすい愛の言葉を並べ立て、ムードたっぷりにキスをするのが反正塚的だとわかってはいる。正塚はわざとそーゆーことを避けているのだとわかっている。
 でもほんとに、ラヴシーンないよなー(笑)。

 『メランコリック・ジゴロ』に至っては、作中でチューしてんの、フォンダリ@みわっちとカティア@もえりちゃんだけじゃん。主役のダニエル@まとぶとフェリシア@彩音はストーリーが終わったあとのラストシーンで幕が閉まる間際のどさくさ(……って)に、「物語の締め」としてやってるだけだし。

 作中唯一のラブシーン、フォンダリとカティアだって、ロマンティックな真面目なシーンというよりは、お笑い場面じゃん。
 や、フォンダリたちは真面目にやってるんだけど、その空気読まない大仰さをコメディにしているっていうか……初演はマヤさんなわけだし。

 まともな、直接的なラヴシーンは、ナシ。
 なんて正塚的。

 
 いや、その。
 正塚云々を語りたいわけでも、主役たちの話をしたいわけでもないっす。

 
 わたしは、まっつのラヴシーンが見たい。

 
 『アデュー・マルセイユ』で、クラウディア@としこさんとアツアツだったじゃない、とかゆーんじゃなくて。
 『MIND TRAVELLER』で、パメラ@きほちゃんに「海馬帝国のファーストレディに」とか言ってプロポーズしてたじゃん、とかゆーんじゃなくて。
 『舞姫』で、恋敵のエリス@ののすみに「俺だって彼を愛してる」と宣戦布告してたじゃん、とかゆーんじゃなくてっ!!

 ふつーに恋愛して、その過程としてラヴシーンになるまっつが見たいの。

 恋愛も告白も見たいけどな。
 けど、こーなるともー、ぶっちゃけキスシーンが見たいのよ。
 女の子とチューしてる未涼亜希さんが見たいのよーっ。

 見たことないですから。

 ほんとタカラヅカってスター以外はラブシーンろくにまわってこないから。
 それでもらいとかみつるとか、ちゃんと舞台でキスしてんのにー。

 まっつにはキスシーンがないっ。
 ふつー、バウで2〜3番手複数回やったら、キスシーンぐらいありそうなもんなのに。
 まつださんたら、そーゆー機会にまったく恵まれない。

 わたしがまっつのキスをナマで見たのは、『La Esperanza』新公までさかのぼります。でもって、たしかにナマで見ていて、そのときもまっつ好きでまっつまっつ言ってるけど、今みたいにご贔屓なわけじゃないのよ。あのころはまだケロちゃんいたし。
 見たけど「見た」うちに入ってないの。

 そして『La Esperanza』も正塚作品なんで、わかりやすいラヴシーンはなく、最後にとってつけたキスシーンがあるのみ。(世間的に不評で「CUTすればいいのに」と言われた場面にのみ、まともにラヴシーンがあるって……正塚……)

 まつださん、もう何年もキスしてないじゃないですか。
 男として、それはどうなの?

 や、ショーの振付?として、女の子にチューを迫ってかわされたりは、しょっちゅーしてますが。
 そんな、かわされるチューの演技ばっかうまくなっても。

 舞台でぜんぜんキスさせてもらえないっつーのは、やっぱキャラクタゆえなんでしょうかね。
 まっつにはキスさせたくないのか、演出家たち。
 まっつには色気を感じないのか、演出家たち。

 ……まっつびいきの演出家の筆頭、だと思えるのがかの正塚氏だから、ますます望み薄なのかなー……。

 わたしは初演の『メランコリック・ジゴロ』を見ていなかったので、「まっつといちかが夫婦」つーんで、ふつーにラヴいものを期待したんですよ(笑)。
 あわよくばいちゃこらシーンが、そしてあわよくば、よくば、軽い挨拶程度でもチューが見られるのでは……と。
 ははは、正塚作品だもんなー。んなわけないよなー。ははは。はは……とほほ。

 まつださん、チューの仕方、おぼえてるのかなぁ。
 技術は日々の鍛錬がものをいう。何年も1回もしてないと、腕も鈍るよなあ。……まつださんに腕があるかどーか知らんが。

 この際相手誰でもいいから、性別も問わないから、本気でムーディなキスシーンが見たいですよ。

 タカラヅカとして、「見せるための、美しいキス」を、まっつにもしてほしーです。
 ショーで一瞬、雰囲気だけ、ではなく、芝居できちんとバックボーンありで見たいです。

 新公がまっつ人生の最後のキスだったりしたら、どうしよう……。


 文化祭の感想は、1回書いたんだけどUP直前に全部消えちゃったの。もう一度同じことを書く気力がなくて、放置していたよ。あー(遠い目)。

 なにをどう書いたんだったかな……。
 思い出しつつ、簡単に遺しておく。記録記録。

 『第94期宝塚音楽学校文化祭』、出演者の話。わたしが観たのは12時の部。

 まず販売プログラムが改訂されていて、おどろいた。
 ページ数が増え、オールカラーになってお値段据え置き。
 そして去年まではたしかふつーにキャトレのすみれ色の袋に入れて売っていたのに、今年は「宝塚音楽学校」と書かれた書類封筒に入れられた。……持ちにくっ。
 A4のプログラムよりさらに一回り大きいサイズなので鞄にも入らない(笑)。しっかりした手応えの紙封筒だから、余白を折ろうと思ったら「折るぞ」と意識して折らなきゃダメ。鞄に入れたら大きい部分が勝手にへちょりと折れました、てなことにはならず。
 なんでこんな不便なものを使うんだ? つか、袋なしでプログラムだけ販売してもいいだろうに。
 でも、封筒自体はめずらしいのでありがたくいただく。記念だと思って(笑)。

 去年までの「学校行事のプログラム」くささが抜け、ふつーに興行プログラムっぽくなっていた。
 座談会はあさこたちゃんたち月組。卒業生からのメッセージは檀ちゃん。
 いやあ、檀ちゃん美しー。そしてまたしても「夢を与える」話をしてます。ほんと檀ちゃんこの話好きだね(笑)。

 すでに初舞台口上順が発表になっているのに、プログラムには生徒の本名だけ記載。本名いらないから芸名載せてくれよう。

 
 んでもって。

 いちばんわたしの目を奪ったのは、筋肉美の娘役さんだった。

 背中丸出しドレスに浮かび上がる、筋肉。筋、くぼみ、肉の隆起。
 うわ、すげー……と、釘付けでした。

 これまたいつも、いいとこで踊ってるんだわ。
 大抵センター。少人数口。
 ジプシーダンスの情熱の赤が似合うこと。タップダンスでかわいこぶっても、迫力は衰えず。

 歌でもクラシックで唯一のソロ歌手を務め、芝居でも芸達者な別格役を余裕で演じていた。

 無駄なモノひとつない鍛え抜かれたカラダに、これまた筋肉質な顔立ち。
 いやあ、たのしみな資質ですよ。

 たとえば白雪姫とかシンデレラとかの可憐な姫君ができるのかどうかは未知数ですが、姫たちを虐めて陥れる美貌の継母なら余裕でハマると思う。
 こーゆー黒い持ち味のいい女は好きだ。
 

 あと、最初の日舞で「清く正しく美しく」を独唱した娘役さんが、声も佇まいも美しかった。 
 そして次のヴォーカル・コンサートで「アマール・アマール」を男役とデュエットした娘役さんも美しかった。顔立ちというより、所作が。早く声が聴きたくて、「デュエットだけ? ソロ・パートはないの?」とじれじれした。
 芝居のヒロインが、余裕でうまかった。

 ……えーと。

 さすがに、このへんで気づいた。

 全部、同じ子じゃん。

 娘役さんは髪型が全員ぴっちりオールバックのひっつめなので、美しくデコレーションしづらい。前髪がある男役はまだ個性が出せるんだが。
 わたしの好みの顔立ちではないのか、記憶には残らないのにいちいち「美しい子がいる」と目を奪っていく。

 ダンス・コンサートでも、前述の筋肉ねーさんと一瞬見間違い、「チガウわ、もっとたおやかに美しい」と思うと、このヒロインちゃんだった。いやその、筋肉ちゃんが美しくないという意味ではなくて。

 こちらは白雪姫やシンデレラも演じられる美形さんなんでしょう。演技力もあるから、継母もOKかな。
 

 娘役で目に付いたのが、芝居で王女役をやった子と、ヴォーカル・コンサートのラストでオブリガートをやっていたお嬢さん。
 ふたりが目に付いたのは、真逆の意味。

 この芝居は2年前、92期文化祭でも上演されたんだけど、王女役というのは「美少女だけど演技がアレ」な人がやる役なんですか、正塚せんせ?
 それともわざと棒読みちっくに演じるよう指導しているのかな?
 実より華・美貌優先の役ってことで。

 反対にオブリガートのお嬢さんは、その美しい歌声と完璧な笑顔、計算された所作を会得していた。だが、彼女が目を引いたのは、その、個性的な顔立ちゆえにだった。
 たしかな実力を持ち、他者と混同されない個性的なビジュアルを持つならば、それは武器だ。
 ビジュアルはこれから変わっていくだろうし、若いウチから高い技術を持っているのはいいことだ。

 
 男役はキャリアが必要なので、娘役に比べてどうしても見劣りしてしまう。去年のりくくんとか彩風くんとか、突出した美貌や華の持ち主でない限り。
 にしても今回の男の子たち、ソフト・スーツの着こなしがアレ過ぎてびっくりしたなー。ダンス・コンサートの最後は毎年タップなんだが、このときのカラフルなスーツ姿のものすごいこと。
 「スーツの着こなし、って、技術なんだ!」と改めて感嘆させてくれるくらい、えーらいこっちゃ、だった。
 ここからスタートして、どんどん美しくなっていくんだろう。スタート地点は低くくても、そのぶん伸びてくれればなんの問題もない。

 
 芝居でもっとも巧かったのが、影役だった彼。
 準主役とはいえ、正塚的に「いちばん役者として気に入っている子」にこの役をさせるんじゃないかな、てな役だった。まあ、正塚氏に芝居を気に入られちゃうと、路線的でない、つーカテゴリに入っちゃうかもしんないのがつらいとこだが(笑)。

 縦にも横にもデカい子だった。そしてコンサートでもなかなか派手なアピールっぷり。
 なんつーか、たのしそうだ。
 あれだけ芝居できたら、男役やるのもたのしいだろうなあ。

 わたしは顔よりアゴのラインで覚えた。りせ系のアゴだー。なんか芸名も個性的みたいだし、独自の道を進んで欲しいぞ。

 
 芝居の主役をやった男の子は正統派なのかな。
 そのうえクラシック・ヴォーカルでソロを務め、ポピュラーではとことんキザらなければならない「丘の上のジョニー」をソロで、となると期待が掛かってる子なのかなと。
 なにもかもふつーにうまかった。しかしなんか地味な気がする……。

 
 親友役の子が甘いハンサムくんだったのと、王様役の子がなんか壮くんに似ていて目に付いた。
 パパ役の彼は、とにかく幕が開いた直後から目立ちまくっていた……その、オブリガートをやっていたお嬢さんと同じ意味で。顔立ちつーかフェイスラインが個性的だと、目に付くよなあ。彼も歌の人のようで、前半は大活躍だし。

 日舞で気になった子がいたんだが、歌では活躍せず芝居には登場せず、よーやくダンスでまたいい位置にいた。でもやっぱ、芝居に出てくれないとちゃんとおぼえられないなあ。
 ダンスでずーっとセンターだった男の子は誰なんだろう。なんか泣きそうな笑顔だったけど(本人的には全開の笑顔、だと思う)。こっちも芝居に出てない子(もしくは出てても区別つかないくらいの脇役か)なんでわからん。

 
 文化祭はバウホールの客席の雰囲気が独特で、それもたのしいっす。
 父兄会の雰囲気つーかね。
 そしてみんな、手に手に「手書きの出番表」を持っている。「どこそこ場面・3列目の右から4人目」とか「どこそこ場面・ソロが終わったあとの何人口、前列真ん中」とか、図形入りで事細かに書いてあるの。しかも、鉛筆書きで。
 鉛筆(シャープペン含む)かぁ。高校までは使ってたなあ。それ以降はノート取るのも試験でも提出書類でも、みんな鉛筆禁止、鉛筆書きは失礼です、つーんでペンしか使わなくなったけど。子どもは鉛筆だよなあ。
 そうやって「何列目何番」とか書かないと、家族でもわかんないんだね(笑)。
 みんなもう必死になって出番表見てるの、休憩時間。

 正装して胸に花まで付けた老夫婦が、必死に出番表見つめて、最後は頭の上で拍手してるのとか見たら、胸が熱くなった。
 自慢のお孫さんですね。ステキですね。や、誰だかわかんないけど。他人様の出番表、のぞき込むわけにもいかないし。

 今この舞台に立っている子たちは、みんなステキ。
 夢のために努力をする、簡単そうですっごく難しいことを投げ出さず続けてきた子たち。
 いいジェンヌ生活になるといいね。

 みんながんばれ。


 ここんとこのわたしのスケジュールは、文化祭観て文化祭観て中日行ってムラ新公観て……と、4日連続タカラヅカな日々。
 でもべつにソレ、変でもなんでもないのよね。だってわたしの周り、そんな人ばっかだし。

 「昨日中日観た」というジュンタンとムラで会って、「新公観る」と言われたら、とーぜんそれは宙組新公だと思うじゃん?
 同じ4日間で中日行って、文化祭観て、ムラ大劇観てバウ観て、そして東宝新公観ている人が横にいたら、「わたしなんてまだまだ」と思うよねえ。ドリーさんはわたしより先に名古屋入りして連泊して中日に通っているはずだし。
 どりーずのおかげで、いつまでもひよっこヅカヲタ気分でいられるわ。

 
 てなわけで、宙組新人公演『黎明の風』
 大ちゃん初主演おめでとー。

 
 いやあ、なんつっても吉田茂@みーちゃん。
 なんなの、あの萌え眼鏡プレイ?!

 眼鏡好きは必見ですよ。
 あの色男みーちゃんが、枯れた風情の眼鏡男を演じています。

 じじい役だなんて、そんな。
 外見からはわかりません。枯れてんなー、とは思うけれど、ビジュアルに遜色なし。だってタカラヅカだもん、美しくなくちゃ。
 高翔さんが眼鏡っこをやっているよーな感じです。もももも萌え〜〜。

 マッカーサー@ちーくんに、もっといじめられてほしかったです。
 吉田VSマッカーサーが、もっとどーんとあればいいのに。

 
 そして、役名わかんない米兵@GOが、なんかあまりにふつーにうまかった(笑)。
 ひとりだけ本公演みたいなんですが。本役ともちまんまの役作り、といってはなんだが、違和感なく存在している。

 
 正子@アリスちゃんを見て、さらに「この役って……」と肩を落とした、しどころのない役。新公ですら感じるわけだから、本公演で、ウメちゃんがやっていたらさらに「もっと描きようなかったの?」と思ったろうなあ。
 堅実さより現代性と華勝負の役かな。しどころはないんだが、それでも登場するだけで「あそこにヒロインがいる!」と思わせないといけないわけだから。
 アリスちゃんの安定した輝きがまぶしい。

 
 マッカーサー@ちーくんは作り込んできたなあ、と。
 戦闘意欲があるのはいいことだ。

 奥さんのジーン役は抜擢の双子ちゃん? えーと……本役さんをさらに薄く地味にした感じになっていたので、大変そうだなあ、と。彼女を受け止め、泳がせてあげるだけの度量は、ちーくんマッカーサーには感じなかったし……。

 ちーくんは単体で「よく戦った」って感じ。仲間たちと一緒にいても、単体な感じ。
 この芸風で突き進むのかな。

 
 東京ローズ@エリちゃんは、よりコケティッシュ。マンガのベティさんが喋っている感じが、真面目な米兵からすれば不快度を上げているのでは。
 その放送がすごすぎるので、後半本名で出てきたときとのギャップが大きい。こんなにまともな人が、あんな放送させられてたんだ?みたいな。

 
 ポーラ@あまちゃきくんは、先日見た音楽学校文化祭の思い出とダブって、ひと知れずウケた。
 や、今年の文化祭のお芝居は、2年前、92期生が演じた芝居と同じ作品(改作済み)でねー。
 あまちゃきくんはその芝居で男役、しかも、総じて色気のない正塚芝居で唯一キスシーンのある男の役だったのよー。
 別れ際に強引にキスをする男、ですよ。そのキスで女はとろけ、腰砕けになるのですよ。
 あの役をやったぷくぷくした男の子(失礼)が、今はこんなに立派な女の子に……。

 や、ふつーにうまかったです。
 時代劇の中にいる、現代物の女の子。日本人たちの中、いかにも今どきなアメリカの若い女の子で、好感度アップ。
 GHQ制服の、セクシーな曲線もいい感じっす。

 
 蒼羽りくくんに役が付いていることに驚いた。
 ふつーにスーツ着て、ふつーに喋ってる。
 わたしが去年の文化祭でりくくんに釘付けだったことはジュンタンにさらりと(?)バラされてますが、ほんとすごいよねこの子。
 本公演でも「え? こんなとこにいるの?」てな使われ方してるし。
 若いウチから機会をどんどん与えて、ぐんぐん育ててくれぃ。出来る子には、相応の出番を。

 
 でもって辰美@カチャとソ連将軍@樹茉くんは、衣装に「着られている」感じなのが惜しいなと。
 演技はいいのになー。外見がなー。
 カチャは細すぎて、体型補正難しいのかなあ。
 樹茉くんはなんであんなことに……軍服の中でカラダが泳いで、衣装がナナメになってなかったか? 恰幅良く作り過ぎ? つか、本役衣装をいじれず、そのまま着たらああなった?
 芝居心のある子たちだから、ビジュアルもこなれていってくれるといいな。

 
 最後に、主役の大くん。
 ……がんばってた。すーーっごく、がんばってた。
 背が高くて顔が綺麗で、スーツの裾には折り目が見えて(あの折り目がトドの足の長さかー、と感慨深い)、スタイルよくて、こんなにこんなにめぐまれた外見を持っている人はめずらしい。
 最後の挨拶も、泣かずに終わらせて、すごーくがんばっているのがわかった。

 ほんとにな……なんでこんなに美しい子が、研6……4月で研7になるっつーにこの実力なんだろうなあ。神様は素直じゃないなあ。
 先日観た雪新公のアルセストくんを彷彿とさせた。美しくて、若くて可愛くて、すごーくがんばっている。
 これから伸びてくれるといいな。この美しさを無駄にしないためにも、どうか。

 遅咲きでも大輪の花を咲かし、「最初の新公主演は大変だったね(笑)」と笑い話に出来るよーになるといいな。


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