「いいお披露目公演だったね」

 花組中日公演『メランコリック・ジゴロ』『ラブ・シンフォニーII』千秋楽。

 幕間に会ったドリーさんは、しみじみと言う。

 うん。
 いいお披露目だった。
 あったかくて、しあわせで。

 まとぶさんは「真ん中」に相応しい人だ。
 そうなるべく育てられ、そうなるべく努力してきた人が、そうあるべき場所で最大限の力を放っている。
 それはとても、しあわせなことだ。

 3週間強の中日公演、4遠征だよ、週1以上の頻度、我ながらがんばった(笑)。名古屋はホテルが安くてありがたい。交通費もがんばれば切りつめられる。……や、過酷な日々だったが。
 そうまでして通って、出待ちとか一度もしてないんで、ナマまっつを見ることはかなわず(笑)。
 千秋楽ぐらい出待ちしてみよーかなー、とも思ったが、どこでギャラリーしていいのかもわかんないし、人がいっぱいいたのでやめた。
 久しぶりに会ったmaさんやユウさんとごはんする方がいいや。……てな優先順位。maさんとはひたすら「壮くんかっこいいよねーっ」と繰り返しつつ(笑)、ごはんのあと、ナース・コスプレしているナナちゃん人形を見に行きました……。なんなのあのシュールな光景。

 
 『メランコリック・ジゴロ』千秋楽、正塚芝居だからアドリブ禁止。ヅカでよくある千秋楽ゆえのお遊びはほぼナシといっていい。

 千秋楽はファンのためにあると思っているイタいヅカヲタなわたしは、千秋楽を免罪符に好き勝手に遊ぶジェンヌを見るのも好きだ。
 なにかやってくれるかな、こう来たか! みたいな、客席と舞台のかけひきみたいのも好きだ。

 そーゆー意味で、正塚作品は楽でもお遊び一切禁止、なにか特別なモノが観られるわけじゃない、とはじめからわかっているのは、つまらなくもある。
 正塚はほんと、自分の脚本に自信持ってんだなぁ。日替わりのアドリブなんかなくても客は何度でも通うと、完璧な作品だからなにひとつ変えてはならないと、そんなふーに思ってんのかなあ。
 他の先生ではそこまで厳しい「アドリブ禁止令」があるとは聞かないので、そう思っていた、ずーーっと。

 や、正塚が自作をどう思っているかはどーでもよくて。
 また、アドリブ禁止の是非を語りたいわけでもなくて。(役者のアドリブに頼らないとどーにもならないような駄作の方が悪い。まともな作品ならば禁止は正統。しかし舞台と客席との相互作用によって成り立つライブにおいて「禁止」を謳うのはどうなのか、とか、タカラヅカ演劇の根幹に迫る命題なので、今はスルー)

 アドリブは禁止、そして今日が千秋楽、という前提において。

 台詞も演出も変わらないのに、ちゃんと千秋楽仕様になっていた。

 すげえなヲイ。

「同じものを何回も見に行くの?」
 と、ふつーの人にはよく驚かれる。
 ふつーの、というのは、ヅカファンではないという意味ではなく、舞台とかコンサートとかに行かない、という意味だ。

 他のアイドルでも劇団でも、ナマのパフォーマンス業にハマっている人たちは大抵「わかる。何度でも行きたいよね」と言うけれど、それ以外の人たちには通じない。

「ああ、MCやアドリブがちがうのね」
 と言われ、まちがいではないのでここで頷いておくが、ほんとのとこはソレだけじゃない。

 MCがなくてもアドリブがなくても、一言一句同じ台詞で同じ演出だったとしても、ナマの舞台は「チガウ」のだ。
 オサ様みたく日替わりな人はめずらしいし、そうそう毎回「今日はここがチガウわ!」と実感しているわけでもないんだが、わたしみたいなアンテナ感度悪い人間にも「チガウ」とわかることがある。
 「チガウ」ものを見た、と感じられるときがある。

 それがたまらないから、何度でも観たいし、また、「チガウ」確率の高い千秋楽を観たいと思うんだ。

 いつ観ても同じ、初日でも楽でも同じ、な舞台を作るトドロキ氏のファンだったわたしは、このことに気づくまでにかなりの時間を要したけどな(笑)。

 『メランコリック・ジゴロ』千秋楽は、いつもにも増して、えーらいこっちゃになってました。

 ハジケっぷりがチガウ。
 台詞も演出も同じなのに、それをどう言うか、どんな声でどんなシチュエーションで言うかで、まったくちがってくる。

 『ガラスの仮面』でマヤが「はい、いいえ」だけで芝居をしなければならなかったときのように(笑)、同じ台詞でもどう言うか、どんな感情や表情で言うかで、別のモノを描くことができる。

 千秋楽だから、という以前に、後半戦、回を重ねるごとにそのキライはあったが、楽は野放しって感じ。
 笑わせていい場面での、まとぶや壮くんの張り切りはすごかったっす。
 てゆーかダニエル@まとぶん、フェリシア@彩音と出会ってからしばらくまともな声で喋ってない(笑)。

 壮くんは「笑わせよう」と思う気持ちが先走って空回りしている感は大いにあるんだが(や、もともと彼演技はあまり得意ではないし)、そんなこともぶっ飛ばす勢いで走り抜けてくれた。

 反面バロット@まっつは、周囲のハイテンション用に演技を変えてはいなかったような? もう少し変えてきてもよかったのでは? ちょっと惜しいなー。
 まっつ単体ではいいんだけど、やっぱ主役に合わせるべきだと思うし。

 フォンダリ@みわさんは、我が道を行く。周囲がどうあろうと、あのままでヨシ(笑)。

 
 芝居はほっこりあたたかくて、何度見てもたのしくて、ヲトメ心がきゅんきゅんいう切なくてかわいいお話で。

 まとぶんがかっこよくて、「こんな男のコと恋愛したいなぁ」と素直に思わせるような、ステキな子で。
 彩音ちゃんが「ソレなんのプレイ? 妹萌えってジャンル?」を体現するかわいらしさで。この子に「おにいちゃん(はぁと)」って言われてとろけない男なんているのか?

 これからこのふたりが、わたしたちに極上の夢を見せてくれるんだ。オサ様が遺したモノを受け継いで、形作っていってくれるんだ。

 そして、ふたりを取り巻く、花組のみんな。

 『ラブ・シンフォニーII』では、「どこが2やねん、バグ取りすらしてへんやろ」てな演出家の怠惰をあからさまにしたアペンド版でしかないけれど、それでもまとぶんと花組メンバーが見事に盛り上げた。

 まとぶんを中心に、結束する力。
 大きな羽根を背負って真ん中に立つ彼に、素直に祝福を贈る。

 客席と、舞台のベクトルがひとつになって、きらきらした空気に満ちていた。

 よいお披露目公演だった。
 終わってしまうのが惜しい。切ない。

 ただただしあわせなキモチになれる、そんな時間だった。

 
 カーテンコールの挨拶で、上がる声援にいちいち礼を返すまとぶんが、かわいくて。
 ああ、いい人だなあ。ほっこり。

 雪担だったmaさんが「客席の反応が、組によってまったくチガウ?!」とカルチャーショックを受けていた(笑)。
 やー、客席騒いでたからねえ。歓声上げてたからねえ。雪組ではありえないねえ。
 わたしも昔雪組しか観てなくて、はじめて他組の楽とか観たら、客席と舞台のやりとりの差、反応の差にカルチャーショック受けたよ。雪組は代々ファンがおとなしいんだ。
 でもってわたしは一時期星担でもあったので、花組ファンのおとなしさにびっくりしているクチなんだが……そ、そーだよな、雪組ファンに比べればにぎやかだよなあ。

 や、どの組ファン気質がいい悪いという話ではなくて。
 そうやって組ファンに特色があるってのが、いいところなんだ。
 雪組がおとなしい、からといって「つまらない、もっと盛り上げなきゃ」とは思わないでしょ? 「おとなしいウチの組が愛しい」って思うでしょ? ……ファンってそーゆーもん(笑)。
 「さっさと帰れアナウンス」が流れてなお拍手をやめず、幕を開けさせる星ファンのアツさもステキだと思うし、それまでさんざん騒いでいるのにアナウンスが流れるとぴたりと手を止めて帰り出す花ファンも愛しい(笑)。
 個性があるから、5組ある意味があるんだ。

 相変わらずアナウンスと共にぴたりと拍手は止んで、みんなわらわら帰り出す。
 ああ、終わってしまった。

 次は本拠地大劇場での、本格お披露目公演が待っているね。
 芝居がこれくらいたのしめるものならいいんだけど。……谷せんせ、がんばってくれ。
 

 新生花組スタートが、しあわせなものでよかった。


 『第94期宝塚音楽学校文化祭』の感想なんだけど、肝心の94期生の話はまーーったくしていません(笑)。
 正塚晴彦オリジナル最新作『A MONOLOGUE Vol.II』の話っす。
 

 ある劇団の若い俳優たちの物語……なので、みんな「元の俳優」と「演じる役」と役がふたつある。「演じる役」に名前はあっても、「俳優」としての名前はない。
 ややこしいので、便宜上名前をつけよう。名前はてきとー(つーか、たんにわたしが観た回の94期生の本名。読み方まちがってたらごめん。つーか本名はいいから芸名プログラムに載せてくれよ)。
 

 ある劇団に所属する青年、シオリくんがいる。
 シオリくんは「ロベール」という役をどう演じるかで悩んでいる。
 そこに現れるシオリくんの「影」。彼はシオリくんにアドバイスをする。
 役を演じるにはその役だけでなく、役を取り巻く他の役のことも考えるべきだ、と。

 それでシオリくんはロベールをどう演じるかだけでなく、ロベールを取り巻く周囲の人々のことも「どんな人か」「ナニを考えているのか」を考えはじめる……。
 シオリくんの意識の広がりに呼応して、舞台にいろんな「役」が現れる。ロベールの父、そして恋人……。
 「恋人とは、どんな風に出会ったんだ?」と、影が聞くと、ふたりの出会いの話になる。

 ……『無印』では、ロベールとフラウの「出会い」は描かれていない。ふたりがすでに愛し合っており、心中するってことだけだった。

 「脚本にない部分も想像してみろ。そうやってロベールがどんな人物か埋めていけ」と言う影。言葉のまま、無印にない話が出てくるのよ。
 ヒロイン・フラウはシオリくんの同級生のイメージ。
 実在する女の子の姿を借りているが、あくまでもシオリくんが今、頭の中で作り出した架空の少女だ。

 「ロベールとはどんな人物か?」というところから発展して、他の関わりある人たちの話になるので、みんなみんな「モノローグ」なの。
 「自分が誰でどんな立場でロベールをどう思っているか・関係があるか」を出てきて真正面を向いて話すのは、そもそもコレがシオリくんの内側にある話だから。

 そうやって物語は進み、シオリくんはロベールとなり、ロベールと区別がつかなくなっていく。
 最初は「シオリくん」の影であり、「シオリくん」に対して茶々を入れていた影も、どんどん「ロベールの影」になっていく。

 「ロベールの物語」自体の本筋は『無印』と同じ、2年前の日記に書いてある通りなんで割愛。(ん? あんまりまともに書いてなかったか?)

 そして最終的にロベールとフラウは心中して果てることになり、「ロベール」の死とともに「影」も消える……。

 ちなみに、『無印』でストーリー上強引つーか、「ロベール身勝手」と思えた部分は修正され、ロベールのいい男度が上がっていた(笑)。
 『無印』のロベールくんは恋人フラウの命も自分の両親の立場もどーでもいい的身勝手さがあった(からこそ、コム姫で見たいと思った・笑)のに、今回のロベールくんは賭けるのは自分の命のみ、両親のこともちゃんと考えている「いい人」だった。

 さて、「ロベール」として死んでしまったシオリくんを起こす者がいる。
 「影」……の姿をしているが、どうやら別人だ。
 フラウ役を「好きな女の子」のイメージで話を作っていたシオリくん、どーやら自分の影も、知り合いの姿を勝手にイメージとして使っていたらしい。
 それは同じ劇団の青年、カナエくんだった。

 えーと。
 「もうひとり自分」で、「愛」と「憎」を担う相手のイメージが、何故カナエくん?!
 それってどーゆーことなの、シオリくん?! キミ、カナエくんのことどー思ってるわけ??

 現実のカナエくんは、どうやらシオリくんのライバルらしい? カナエくんもまた、「ロベール役」の台詞の練習をはじめる。ナニソレ?
 シオリくんにとってのカナエくんって? 競う相手でありながら、自分をいちばんわかってくれている人? または、わかってほしいと思っている相手?
 なんなの、そのエロい関係?!(笑)

 「ロベールの物語」に登場した人々すべてが現れ、ストレッチをしたり発声練習をしたりする。みんな劇団員らしい。
 ロベール……シオリくんを取り巻く人々はみな「ロベール役」の台詞を口にしはじめる。
 やがて舞台は次第に闇に落ち、同じ台詞を唱えていた人々は誰が誰だかわからなくなり……シオリくんもカナエくんも、他のみんなも、同じように闇に消え。
 ラストに流れるメロディ、あれは「ハッピーバースディ」?

 そして、幕。

 
 ……やー、おもしろいから、この芝居。

 演じているのがひよっこたちだから、あちこちキツイし、「登場人物22人全員に台詞と見せ場を」というものすげー制約があるため、壊れ気味なところあるが、ふつーの芝居として作り直し、ふつーに演技できる人たちでやってほしいわ。

 『無印』はロベール@コム、ジャンポール@水、だったけど。
 真面目でいい人になった『2』ではぜひロベール@水、影@キムで見たいっす。

 わたしは花担だから花組でキャスティングしたいところだが、ロベール@まとぶはすげーハマると思うが、如何せん花組には「影」役をできる役者がいない……。
 まっつは王様あたりだなー、番手的に。腹黒(で、やってることはセコい)まっつは見たいかも(笑)。

 真っ当な文化祭感想は、またいずれ。


 文化祭、おもしろかった。

 『第94期宝塚音楽学校文化祭』の感想なんだけど、ハリーファンとしてのハナシなんで、94期生のハナシではないっす。

 まずプログラムを開いて、芝居のタイトルを見るなりウケた。
 あ、今年の芝居も正塚なんだ、へー、『A MONOLOGUE』かあ……。え、『A MONOLOGUE』?
 配役を見ると、「ロベール」の文字が。

 『A MONOLOGUE』でロベールとくれば、「コム水で上演希望」と言っていた、あの話?

 みんなに愛され求められるイケメン好青年のロベールくんが、真実の愛を貫いて心中する話。
 ロベールくんを愛するものたちのなかに、彼の親友くんもいて。
 この親友くんが「お前、ソレは行きすぎだろう(笑)」ってくらい、本気でロベールくんを愛していて。
 当時、ロベール@コム姫、親友ジャンポール@水で見たいと、心から思ったもんだった。
 http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1321.html
 http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1322.html
  ↑過去日記。腐女子注意報付きだ(笑)。

 萌えはともかく(笑)、よくできた話だったので、再演は歓迎だ……あれ?

 「影」ってなんだ?

 配役表を見ると、知らない役がある。
 役名全部おぼえているわけではまったくないが、「影」なんて役がないことだけはたしかだ。
 で、よく見るとタイトルには『Vol.II』とある。

 再演じゃなくて改訂版かよ?!

 「影」というからには、抽象的な役だよね。
 正塚で「影」といえば「ブラックジャックの影」……主役の心を表現しちゃったりする、重要な役。
 んな役が増えてるってことは、多少手を加えました、バグ取りしただけのアペンド版程度ではなく、まったく別物と考えるべき?

 よくまとまったいい短編作品だったのに、それをさらに作者自らの手で改編って……オギーならよくやるけど、他作家ではまれなこと。
 ハリーはどう作ってくる?
 や、ファンとしては注目ですよ!!

 はい。
 本当に、別物でした。

 『マラケシュ』が博多座版『マラケシュ』になったくらいチガウ(笑)。
 博多座版『ドルチェ・ヴィータ』が大劇版になったくらいチガウ(笑)。

 大元のキャラクタと設定、そして台詞のほとんどは同じ。
 しかし、ストーリーの切り口がチガウ。

 てゆーか……。
 主役の相方が変わっている。

 2年前の『A MONOLOGUE 無印』は劇中劇だった。
 ロベール役の青年とヒロイン・フラウ役の女の子がふたりして物語を進めていた。
 どんな風に役を演じるか、ふたりで話し合ったり。

 ところが『A MONOLOGUE 2』は、主役のロベール役の青年ひとり、彼がたったひとりで「どう演じるか」を悩む。
 彼と対話するのは「影」……もうひとりのロベール。

 スカーレット2じゃないけど、ロベールの影くんは、奔放で正直。生真面目なロベールをびしびし追い詰める。

 劇中劇の色は薄れ、他の劇団員の出番はほとんどない。
 ほんとにロベール役の青年の内面に集中されるの。
 ヒロイン・フラウもロベール役の子の「同級生」のイメージを借りているだけだというし。
 より観念的に、メッセージ性を重く、大衆性は薄くなっている?(笑)
 正塚というより、オギー芝居みたい。

 『無印』では、当時の正塚内ブームだったらしい、「舞台中央に八百屋(あるいはそれに近い)舞台を作り、出演者は全員その脇の椅子に坐り、出番以外は舞台を眺めている」という手法だった。
 正塚は当時何故この手法にハマっていたんだろう? 『BourbonStreet Blues』『A MONOLOGUE』『スカウト』と3作連続で同じ手法だと、さすがに観ている方もアキるし、首を傾げる。そうまでして同じことをしなければならないナニが正塚にあったのだろう?

 で、今回の『A MONOLOGUE』改訂版もいちおー似た手法は取っているが、2年前の3作とはチガウ。
 たしかに舞台中央に八百屋(ではないが、段のある)舞台を作り、その両端に椅子を並べ、出演者はみなそこに坐っている。
 だがその中央の舞台つーのがとても大きく、ほぼ舞台全体を使っているんだ。2年前の3作は八百屋舞台が小さくて、両脇の椅子部分も十分作品の一部・演技のうち感がとても大きかったのに。
 今回は出演者が坐る椅子がものすげー隅なので、あまりそこにいることに意味が感じられない……。
 やっぱ2年前は正塚的に「ただのブーム」だったのか??(笑)
 
 劇団員たちの物語、ではなく、主役ひとりの物語になってしまったため、他の出演者=劇団員たちとの距離が遠くなってしまったのかもしれないが……「劇団員」が自分の出番になると「舞台の上で衣装を身につける」ところから観客の目に晒され、「ライトがあたった」瞬間から「役」になり、「演技がはじまる」という手法が薄くなってしまったのは、気になる。

 この、脇の椅子にいるときから「劇団員」ではなく「役」の演技をはじめたのは、他の誰でも主役でもなく、「影」ただひとりだったんだよなあ。
 このあたりも、正塚とゆーより、オギー的印象の演出だ(笑)。

 長くなるので、続く。


 花組WS『蒼いくちづけ』……えーっと、前半のAチームの感想っす。

 ヒロインのきらりちゃんは、納得の美しさ、愛らしさ。

 きれーだー。
 他はともかく、ヒロインが「美貌」でないと成り立たない芝居なので、きらりの美しさが説得力。

 つかやっぱ、華やかだよね、きらりちゃん。
 ヒロインであるということが、よくわかる。
 1幕のルーシーは、「典型的タカラヅカのヒロイン」。小細工ナシで演じるしかないってくらい、正統派でど真ん中。……って、たぶんソレ、いちばん難しいことだし。
 美しいこと、可憐であること、清楚であり、気品があること。一歩下がって男の邪魔にはならず、されど依存しすぎたりなよなよし過ぎてはいけない。……て、ハードル高すぎだっつの。
 でもそのハードル高い、「いねーよ、そんな神バランスの女」を求めるのがタカラヅカ。

 きらりちゃんは真正面からよく取り組んでいたと思う。
 「お姫様」を演じられること……それは大切な資質。もともとの持ち味は姫系ではないと思うけれど……だからこそ、それに取り組むことが大事。

 歌もがんばってた。
 きらりとゆーと、たとえ一小節でも、声を発すると「あ、今のきらりだ」とわかるくらい壊滅的てのが定説だったのに(笑)。
 きらりなのに、ふつーに聴ける。
 すごい。がんばったんだな。すごいすごい。
 声がきれいだから、ふつーレベルに歌ってくれるだけで、あとは美貌の助けを借りて、ヒロインとしてはぜんぜんOKな歌声だ。

 2幕のヴィーナス役は、若さと勢いでやれてしまう役。男役が子役を演じやすいのと同じで、元気な女の子役は基礎技術力が低くてもそれなりに見えるよーにはできる。
 ふつーにかわいい女の子だったよ、ヴィーナス@きらり。
 ただ、この役になると頭の大きさが気になった。
 きらりちゃんって顔は大きくないのに、アタマが……後頭部が大きいんだね。真正面から見ると等身が高いのに、横から見ると低くなってしまう。
 髪型やアクセサリで印象を変えることは出来るはず。今後に期待。

 
 カーミラ@じゅりあは、期待通りの色っぽさ。
 色っぽいとか大人の女だとかいう前提とはべつに、どこか「甘さ」のある……かわいらしさがいい。
 抜き加減っていうかな。浅慮な未亡人役なんだけど、憎めない、チャーミングさがある。
 これはじゅりあの持ち味なのかな。

 2幕ではダークサイドの女役で、や、かっこよかった(笑)。
 胡散臭いの、とにかく。そして、ソコがいいんだ。
 こういう、ドロンジョ系のコケティッシュな美女がハマる、いい女だ〜〜。

 
 美人3姉妹、ルーシーの妹たちは……ええっと、いぶちゃんはいいんだが、かぐらちゃんがこわかった(笑)。
 なんで彼女は無邪気に笑っていても「たくらんでいる」系の顔になってしまうんだろう……。や、その分どこにしても目について、好きなんだけども。

 
 ちあきさんが、いい仕事してました。
 1幕のやり手ママ、2幕のやり手ママ……あれ、考えて見りゃどっちもやり手ママ役なんだ。でも、キャラはぜんぜんチガウ(笑)。

 役としてもだし、公演の長としても、ちゃんと務めていることに感動。
 って、その、『エンカレッジコンサート』のときちあきさんが長をやったんだけど、そりゃあもおボロボロで。
 こんなにテンパっちゃって大丈夫なのか? って具合になっていたから。
 それが時は流れ、こんなにしっかりしたおねーさんぶりを発揮して。

 成長する人を見るのは心地よい。

 
 んで、肝心要のドラキュラ伯爵。
 主演のめおちゃんは……。

 難しい役なんだろうな。
 男役を極め、「立っているだけで男役」な人でないと成立しない役なんだと思う。
 まず男役という技術を完成させて、その余白の部分でたのしんで役を作る感じ?

 ルーシー役が「典型的タカラヅカのヒロイン」であることで、ものすげー難しい役であるように、このドラキュラ役も難しいんだと思う。
 だからこそ、若手が勉強のために演じるのは良いことだと思う。

 主役もヒロインも「タカラヅカ力」を高めるのにうってつけの教材だ。

 ドラキュラ役を演じたことは、めおちゃんの財産のひとつになるんだと思う。……たぶん。

 今のところ、いろいろいろいろアレだが、今後の糧に、血肉になったのだと思うよ。

 背が高いので衣装映えするんだが……なんつーか、アクというかケレンミというか、こんなイロモノ的ヒーローを演じていてなお、引っかかりに欠ける気がした。
 ふつう主役は「白い役」でしどころがないもんなんだけど、形式が難しい分ドラキュラ役は「黒い役」で耽美だったりダークだったりと、濃ゆくオイシク味を付けられるはずなんだが。
 なんでこう、するっとすり抜けていってしまうんだろう。無色透明、無味無臭というか。

 せっかく1幕の恋敵ジョナサン@めぐむが薄くて地味なんだから、対比として黒く派手に存在できるだろうに……ふたりして背景色っつーのは……。
 コントラストが悪いなぁ。
 誰か派手な色を置いてよ、このキャンバス。……と、思いました……。

 でもめおちゃんは地味っていうんでもないんだよね。
 引っかかりが、ない。
 うーむ。

 歌は、「歌いにくそうだな」とゆーのが聴いていても、よくわかった。でも、がんばってた。

 素顔が美しいことを知っているだけに、その美貌が舞台ではいまいち生かされていないのがもったいない。
 つか、真っ白なドラキュラ化粧のせいだと思うが、ときどき彼がマチヲ先輩に見えてとまどったナリよ……なんでだ? ぜんぜん似てないはずなのに。

 
 なんにせよ、Aチームを観て、「後半Bチームもたのしみだな」と思える作品でうれしい。
 月組はAバージョンを観た段階で、「他のバージョン観るの、やめとこうかな……」と肩を落とすくらい、作品が肌に合わなかったのだもの。

 出演者が若手で力不足前提ならば、作品くらいはいいものをチョイスしてくれよ。両方アレだと観るのがつらいよー。


 えーと、あのー。

 ふみか2番手?!

 花組WS『蒼いくちづけ』にて、2幕でふみかが演じるデイヴ役は、小池作品定番の悪役。

 ブライアン@『LUNA』、ミハイル@『薔薇の封印』、リチャード@『MIND TRAVELLER』etc.
 夢は、世界征服。
 とゆー、愉快な人たち。

 だが21年前に書かれたこの『蒼いくちづけ』では、デイヴは世界征服まで考えていない。
 ただの音楽関係会社の社長で、金の力でアイドル志望の女の子をモノにしよーとするだけの、セコいすけべオヤジ。
 や、あと10分上演時間が長かったら、世界征服ソングを歌っていると思うけどね! 「悪=世界征服」というキャラ立てしかできない人の作品だし!(笑)
 そして観客も「お約束」をたのしむ領域にまで来ているから。小池作品に関しては(笑)。

 その小池定番悪役を演じるふみかの、かっこいいこと。
 やーん、色男〜〜。

 1幕ではヘルシング教授@白髪のヒゲじじいだったんで、ふみかは相変わらずじじい専科かあ、と思って観てたのに。
 なによー、色男役なんじゃん。

 ぱーんと出てきて「あ、この人悪役(重要キャラ)だ」とわかる華と存在感。
 1幕のじじいと同じ人には見えなくて、せっかく「同一人物」「何度生まれ変わっても敵」という設定が生かされていないような?
 まあ、バウを観に来るよーなコアなファンは、ヒゲのじじい役でもそれが誰だかわかって観ているんだから、べつにいいのか。

 世界征服ソング歌って欲しかったなあ。
 きっとすげー胡散臭くてかっこいいぞぉ(笑)。

 
 てゆーか、観るまではめぐむが2番手だと思ってたんだよ。
 初演ではマリコさんの演じた役がめぐむの役だって、どこかで聞いたし。
 ……。
 えーとえーと。
 ……めぐむさん……。

 めぐむ氏があまりに地味でびっくりした。
 いやその、華勝負のキラキラタイプでないことはわかっているけれど、ニコラ@『落陽のパレルモ』新公とかDJ@『MIND TRAVELLER』とか、与えられた役目に相応しいだけの華やかさはあったじゃん。
 どんな役でもTPO関係なくキラキラしてしまう、てな人じゃなくても、華や輝度を含め、空気に合わせた「仕事」をする人だと思っていた。

 脇には脇の、主要キャラにはそのキャラに相応しい「華」ってもんがある。脇のときはむやみやたらの輝きを抑え、周囲と同系色になっていいけど、真ん中グループの役なら脇と同系色じゃダメだって。
 どういう立ち位置の役なのかを、その輝きで教えてくれなくちゃ。

 1幕2幕通していちおー、主役の「恋敵」役でしょう? や、2幕はいてもいなくてもいい役だとしても、立場的には主役たちに対立するという、オイシイ立場。
 なのに何故、あんなに地味……?

 それでも1幕はまだよかった。気弱だが誠実な医学生。
 無骨な持ち味が合っていないわけでもなかった。……その、もう少し甘さのあるハンサムでもいいんじゃないかとも、思ったけど。
 男は金でもルックスでもない、って感じで、ハートフルでよかったけれど。

 しかし2幕は。
 実力無し、華とルックスだけのアイドル役。

 出てくるだけで劇場内を釘付けにする華と押し出しの良さが必要。

 ……うわー。
 なんか、えらいことになってるっす。

 めぐむ氏が「自分と対極にあるキャラクタ」を演じようとして、盛大にスベってます。

 い、痛々しい……。

 この役をよりによりってめぐむにやらせるイケコもすげえよな……てゆーか、これまでのキャスティングを見ても小池氏がめぐむびいき(歌手属性キャラ好きだよね)なのは見当がつくけど、それにしても柄違い……。
 た、大変だな、めぐむ。
 強く生きてくれ。

 いやその。
 ぶっちゃけ萌えですが。
 めぐむ氏の自爆っぷり(笑)。

 
 そしてこの役、いっそアーサーで見たかったなと(笑)。

 いまいち表情の乏しい、温度の低いアーサーが、テンションぶっちぎりでアホ男を演じるトコが見たかったなー。

 
 ルナくんとはるくんはうまいしかわいいし。
 てゆーか、ルナは『アデュー・マルセイユ』で少年シモン役をやっていたのでうまい子だってわかってたけど、はるくんってこんな子だっけ?
 ビジュアルも演技も、なんかすげーイメージちがって。その、わたし的に。
 『MIND TRAVELLER』をえんえん観ていた身としては、あの固い演技や無理のある男役ぶりが印象きつくて。
 なんだ、こんなにうまい子だったんだ?
 まあ、男役と子役は別カテゴリ、外部のミュージカルを見ても女性が子どもを演じるのはいくらでもあることだしアイドルだって子役ならふつーにできちゃったりするんだから、子役がうまいからといってどうこう言うのは早計かもしれないが。
 1幕も2幕も子役、どっちもかわいくてうまかったっす。
 んでルナくんは子役と女役かぁ。WSでくらい、大人の男を演じる練習をさせてあげてほしかったなぁ。『アデュー・マルセイユ』で子役がうまいことはわかったんだからさ。

 
 驚異の新人、レンフィールド@真瀬くんは、『花の道より』とかなんとかゆーイベントにて、大階段の上に勢揃いさせられた音校生のなか、ただひとり「夜明けの序曲」のソロを歌った子だよね? や、わたしの記憶ちがいでなければ。
 口跡の良い、よく通る声だな。
 すごいうまいんだけど、ちょっと演技がひとりよがり?
 まだ研2だもんな、これから外見ともども磨かれて、どんどん美しく巧くなっていくんだろう。
 たのしみだー。

 こういう子に、本公演……せめて新公でいいから、活躍の場が増えると良いな。成長にはなんつっても経験だもの。
 若く、吸収のいい時期に、正しく育てて欲しいよ。モブのままとかじゃ、もったいない〜〜。
 

 初演は知りません、花組WS『蒼いくちづけ』
 だって21年前でしょ? わたしまだ歩きはじめたぐらいのころじゃん(大嘘。単に観ていない)。
 や、とりあえずヅカにはまだハマってないころだな。
 もしハマっていたとしても、最初の数年間は贔屓組の大劇場しか観ていないし、バウホールなんてどーやってチケット取るのかもわかんなかったし、シメさん主演バウなんて絶対無理、取れるわけない。
 この作品に出会うことは、ありえなかった。

 そして21世紀の今、WSとして出会い……アゴを落とす。

 小池修一郎は、21年間成長がなかったのか??

 創作者として現役でやってきて、ただずーーっと同じ話の焼きなおしだけをしてきたの??

 すげえなヲイ。
 よくぞこの作品の再演を許可したなー。わたしなら絶対封印するわ。だってお里が知れちゃうじゃない(笑)。映像も残っていないのなら、シメさんの人気や実力のイメージに頼って「幻の」とか「伝説の」とか冠付けて、「名作」ってことにしておけばよかったじゃん。
 実際にバウを観たことのある人なんて少数だし、そのなかで21年間ずっとヅカを観ている人なんてさらに少数だし、作品を封印してしまえば、いくらでも評価を装飾して改竄して、「名作」とゆーことにできたのでは?

 や、再演WSを観る限り、『蒼いくちづけ』はよくできた作品だと思う。
 問題はそのあとの小池作品が全部『蒼いくちづけ』の劣化コピーだということだ。

 『蒼いくちづけ』が「原点」である、という言い方をすれば耳障りはいいけどさ……。
 原点てのはコピー原本のこととはチガウから。

 クリエイターとしての小池氏のアレっぷりに眩暈と笑いの連続だったが、それはさておき、たのしかった。
 月組の「書き取り練習帳」を見せられたあとに、「ライトノベル」を見せられたわけだから、字の下手さは似たりよったりでも、楽しめた度がぜんぜんチガウ。
 やっぱストーリーがあるっていいなあ(笑)。

 初演はまったく知らないし、予備知識もナニもない、主演以外誰が出ているのか、なんの役をやっているのかもわかっていない、しかもうっかり母と一緒に観劇したので、幕間にヅカ友と感想を言いあうこともできず、周囲の観客の声が耳に入ることもなく……これ以上なくなーんもわかっていない状態での観劇。

(母はヅカに対してまったくの無関心、無理解。過去数回観劇したことはあるが、ナニを観ても客席で熟睡する。……そんな人が突然「タカラヅカ観たいわ、連れていって」と言ったのさ……大劇場に連れて行こうかとチラシを見せたら、「戦中戦後モノは嫌。タカラヅカでそんなの観たくない。お姫様が出るやつがいい」とゆーので、消去法でバウになったさ……)

 そーやってあらゆる情報を遮断した状況だったため、いちばんのキモである、「2幕は1幕の『オチ』」であることを知らずに観た。
 そっかぁ、『蒼いくちづけ』って『リンダキューブ』(わたしがめっさ入れこんでいるRPG)みたいな作りになってるんだー。『リンダキューブ』は1話と2話があまりにへヴィな物語だっただけに、お気楽な3話に救われたなあ。……てなふーに、とっても素直に受け止めた。

 1幕は大真面目な「ドラキュラもの」。
 ドラキュラ伯爵@めおくんと、その獲物である「世界一の美女」ルーシー@きらりちゃんをめぐる物語。「ドラキュラもの」のお約束をひとつずつ踏まえてゴシックホラーな雰囲気出して。
 ところが2幕では、ソレを全部自分たちでひっくり返す。「ドラキュラもの」というジャンルが確立した現代、それをネタにしてさまざまな商売が成り立っている。そんな2008年にドラキュラ伯爵がよみがえり、ルーシーの曾々孫ヴィーナス@きらりと出会う。

 1幕は『エリザベート』風味、2幕は小池のいつもの駄……その、オリジナル作品まんま。

 2幕は2008年版にリニューアルしてあるそーだが(音楽変更されてるんだって?)、よーするにただのいつものパターンの定番のお約束の、小池作品。

 「ここからはじまった」とわかるのは、悪役のスケールが小さい。

 小池オリジナル作品といえば、世界征服を歌う悪役。

 2番手が演じる、スーパーロボットアニメ世代のわっかりやすい悪役。
 「悪=世界征服」という図式が単純ですばらしい。まあ、男子のアタマの中なんてそんなもんだわな(「男はみんな王になりたい」てな・笑)。

 それがコピー原本ではまだ、世界征服をたくらんでないの。たかだか目をつけたアイドルをモノにすることだけを考えてるの(笑)。
 やーん、ステキだわ、その小物っぷり。

 ここからスタートして、「もっと悪役をグレードアップしてかっこよくしよう」と考えた結果が「世界征服」なのねっ。わくわくっ。

 『蒼いくちづけ』は小さく無駄なくまとまっているので、アホアホ感も少ない。
 パロディである2幕をやりたいがために、1幕をことさらクラシックにしていることに、ズルさというか小役人根性を感じないでもないが(笑)、許容範囲。
 風呂敷を広げすぎるからいつも失敗するんだね。とゆーか、小池って1時間モノの短編書いてた方がいいんじゃないの? ストーリー作れないんだから「ネタ一発勝負、瞬発力だけでカタがつく短距離走」専門で。
 心理描写の浅さというか無さというかも、「短編だから」で言い訳つくし。

 脚本はともかく、やはり演出はすばらしい。
 バウのコンパクトな空間で、よくもあれだけいろいろやってみせるよなー。

 「シメさん主演で観たかったなあ」と、心から思った。きっとすっごくたのしかったろう。

 シメさんでないのは残念だけど、それでも物語が愉快で目に美しいので、ふつうに観劇してたのしかった。

 バウで大階段も羽根もない芝居1本物で、しかも演じているのが新人たちのWSで、ヅカに無関心無理解な母は大丈夫なのか……と思ったら、寝ることもせず、ふつーにたのしんで観劇したようだ。2幕はよく笑っていた。

「端っこで踊っていた、あのチョッキを着た子がいいわ!」
 ……って、誰だよソレ。
 つか、さすが緑野母、主役ではなく脇役に目をとめますか……血は争えない……?


 客席降りでオイシイ思いはいろいろしたけれど、いちばん興奮したっつーかびっくりしたっつーか、こまったとゆーか……ええっと、その、えーらいこっちゃ、だったのは。

 ゆまちゃんが隣で踊ってくれたときだ。

 公演終わっちゃった今だから書けるが、『ラブ・シンフォニーII』の11列目32番と33番。
 ここは、「ゆまちゃん席」だ。
 32番と33番の間に、ゆまちゃんがやってくる。
 露出の大きいラテン衣装で、ノリノリで腰を振って踊ってくれる。

 10列目の32番に坐ったとき、ゆまちゃんが1段上にいたからその太股がすぐそばでびびったんだが……。
 11列目だと、脚よりもっと上の部分が目に飛び込んでくる。
 すなわち……胸が。

 わーい、ゆまちゃんだー、きれー、きゃー。
 と、無邪気に思ったのも束の間。

 キンバラを歌い踊るゆまちゃんの揺れる巨乳が、目の前に。

 ゆ……揺れてます。
 でかいです。
 容積、とか、体積、とかゆー言葉が浮かんでは消えていきます。

 谷間があります。
 ジェンヌさんがドーランで描く「ナンチャッテ谷間」ではなく、ホンモノの谷間です、クレバスです。
 深い深い切れ込みです。

 ど……どうしよう?!
 なんか、見てはいけないような、目が離せないような?
 さ、触っちゃダメだよな、踊り子さんには手を触れちゃいけませんですよ。

 やー、うろたえた。
 間近で見る、巨乳美少女の破壊力!
 ええ、胸だけでなく、ゆまちゃんの美貌も間近なわけっすから。
 うおおお、どーしよー!
 うろたえて、思わず目を泳がせたわたしに、12列目で踊っているさおたさんが、サワヤカに微笑みかけてくれました。

 さ、さおたさぁん……。

 血圧上げてうろたえていたわたしのエロテンション(てナニ?!)が、しゅわ〜〜って落ち着いていく。
 うおー、副組長癒し系。

 や、さおたさんもエロOKの大人の男だけど、このときはサワヤカ全開だったのよ。やさしー笑顔がきらきらこぼれていて。
 その笑顔に思わず会釈して、しばらくさおたさんロックオン、見つめ合ってみる(笑)。や、だって横にはゆまちゃんのちちがあるわけだし、その。

 はー。さおたさんには癒されました。ほんと。

 んで気を取り直してちち……いやその、ゆまちゃんと向き合ってみたり。
 女のわたしでもこんだけ目のやり場にこまるんだから、男の人は大変なんじゃないかと余計なお世話を考えてみたり。
 目に毒っちゅーか薬っちゅーかね。
 たんにわたしがゆまちゃん好きで、巨乳愛好家なせいで、過剰反応しているだけかもしんないが。

 
 や、ちちの話は置くとして。

 わたしが「どこ見ればいいわけ?」と目線を泳がせている間にも、ゆまちゃんの歌声は届いているわけで。

 ゆまちゃんが、わたしの目の前で歌っている。
 「キンバラキンバラナントカカントカ」と、肉声で歌っている。

 胸にマイク付けてるけど、耳に入るのはスピーカからの音ではなくて、あくまでもゆまちゃん自身の声。

 そうか。
 真横ってのは、生の声が聞こえちゃうんだ。
 ソレは舞台からマイク越しに聞く声や、テレビで聞く声となんらちがいはないんだけど。

 でもたしかにもナマの声だった。

 今実際に、ここで、ゆまちゃんが歌っている。
 その事実を、噛みしめた。

 そして。

 うわあぁぁん、まっつ〜〜。

 今回、いろんな人にかまってもらって、真横で踊ったり歌ったり、握手してもらったりしたけれど。
 まっつの客席降り位置とは、カケラもかすってなくて。
 遠い。
 まっつが、遠いっっ。

 や、あきらめていたとこはあるんだけどね。
 まっつ位置のチケットは取れなかった。もう仕方ない、って。
 まっつをそばで見たかったけど、あのアピール精神乏しい人が近くに来てくれたからって、他の人のときほどかまってもらえるかわかんないわ、って。
 かまってもらえなくても、笑顔だの目線だのなんにもなくても、まっつが「近い」というだけで舞い上がる自信はあるが、それでもそーやって自分を納得させ、あきらめさせていたのよ。

 それらのことは、あきらめがついたのだけど。

 そうか、客席降りで横に来てくれたら、まっつのナマ歌が聴けたんだ、てことは……あきらめきれないっ。
 くやしいっ。残念だっ。かなしい〜〜せつない〜〜。

 ナマ歌だよ?
 これから先まっつがどんだけ舞台で歌の場面をもらったとしても、お茶会とかで歌ってくれたとしても、それらはみんな「マイクを通した声」でしかない。

 マイク関係なし、ナマの、そのままの歌声を聴く機会なんて、最初で最後だったかもしれないのに……っ!!

 たとえ歌ってる内容が「キンバラキンバラナントカカントカ」でもいいんだっ。
 まっつのナマ声、ナマ歌〜〜。

 聴きたかったよぉ。うじうじ。めそめそ。

 やさしいまとぶさんや、エロアピール上等のらいや、相変わらず絨毯爆撃とウインク攻撃のみわさんにグラつきつつも、やっぱりまっつまっつなわたしですから。

 それにしても、まっつまっつ言っていながらまっつとは微妙に縁がないままだわ……。


 まとぶさんはほんとうに、「真ん中」が似合う人だと思う。
 「真ん中」に立つべき宿命を受け、ずーっとそのための道を歩き続けてきた人。

 花組中日劇場公演『メランコリック・ジゴロ』『ラブ・シンフォニーII』を観ながら、しみじみ思うよ。

 何年前だっけ、同じ中日劇場の『王家に捧ぐ歌』フィナーレで、まとぶはたったひとりで場面を任されていた。
 大劇・東宝では5人のスターが歌い踊った場面を、たったひとりで。
 5人分の歌をひとりで歌わなければならず、「いい加減誰か出してやるとか、歌を短くするとかしてやればいいのに……」と同情したくらい、大変そうだった。
 でも、トップ候補である以上、そーゆー不自然なことも乗り越えなければならなかったんだよな。

 あのいたたまれない痛々しさを思い出しつつ、同じ舞台にたったひとりで立ち、空間を埋めている姿に、感動する。

 あの男の子が、ここまで来たんだなあ。
 

 今回わたし、まとぶさんに握手2回、ハイタッチ2回してもらったんだけど(チケ取りがんばったんだよ……あああびんぼー一直線)、その握手のときがもー、まとぶんかわい過ぎて。

 最初の握手のときは、まだ公演がはじまって間がなかったんで、まとぶん単体客席降りのときもまだ、客席がおとなしくて。
 「握手して」「触って」と誰も手を出さない。
 だからまとぶんが自分のペースで指さしたりウインクしたり、自在に釣りをしながら上手通路を歩き、真ん中の通路あたりでよーやく数人と握手、てな感じになっていた。

 わたしは下手通路際だったんで、「握手してもらうぞぉーっ」とわくわく待ちわびていたさ。下手通路際の人たちはわりと手を出していたんで、まとぶんはいちいち握手しながら歩いてきたのね。
 んで、わたしの番。
 まとぶさんはしっかり握手してくれました。すげー冷たい手。

 握手のあと彼は、そのままの位置で舞台に続く通路を振り返った。そこには、通路いっぱいに伸ばされた、無数の手。

 まとぶさん、一瞬遠い目しました。絶対した。

 歌の残り時間と舞台までの距離と伸ばされた手の数。
 絶対、無理。
 握手してたら、間に合わない。

 てなことを、わずかな間に考えたんだと思う。
 だって、わたしに手を握られたまま、彼はしばし自分が進む道を見つめていたもんよ。……横顔、堪能しました。
 そして意を決した彼は、そっから先は握手ではなく、ハイタッチに切り替えました。
 両手を広げて、わーーーーっと、両側から伸びた手を叩いて走り去っていった。一気に舞台まで。

 あの一瞬の遠い目と、「絶対間に合わねぇ」という計算と、そっから先ハイタッチに切り替えて走っていく様と。

 その一連の姿が、かわいくてかわいくて。

 なにもくそ真面目に握手しまくらなくてもよかったんだし、伸びてくる手なんかてきとーにかわしてりゃよかったんだよ。
 それでも誰も文句言わないよ。
 なのに、すっげー真面目で。誠心誠意で。

 目の前で繰り広げられた「…………」「どうしよう」「えーいっ、行ってしまえ〜〜っ」というまとぶさんのキモチの変化が手に取るようで、そのわっかりやすいとこも含めて、あまりの可愛さに悶えました(笑)。
 なんていい人なんだまとぶん。うわーん、どきどきする。

 
 「手を出せば握手してくれる」という認識があっとゆー間に広がったためか、そっから先は通路際でも握手を狙うのは難しくなりました。
 だってもう最初からみんな手を出しまくるから、まとぶんもペース配分して握手よりハイタッチを多くするようになっちゃったんだもん。
 上手側だとタッチしか無理だな〜〜。

 
 んで、千秋楽。
 最後の最後にまた、まとぶさんに握手してもらいました。下手前方通路際だ、周囲はみんなピラニアだよ、幕間とか「ゆうくんの握手」狙いをみんな口々に語ってるんだもんよ(笑)。ゆうくん大変だー。
 客席降りしてすぐの位置だから、まとぶさんは握手と指さしの2本立て。

 んでわたしの席の前に来たとき、彼は左手を出していたんだけど、なんとなくわたしは右手を出してしまった。や、「握手」なら右手じゃん? てな習慣レベルの感覚で。
 するとまとぶさんは、ちゃんと右手を出して握手してくれました。
 うわわわ、いい人だー。
 だって、べつにそのまま左手でもかまわないのにね。勝手に触らせりゃいいだけのことなんだから。
 「手を出してくるファンに、勝手に触らせる」ではなく、ちゃんと「握手」なんだ。
 これって、客席降りのどさくさまぎれじゃなく、ちゃんと握手なんだ……。

 そう思ったら、もー、胸が熱くなって。
 や、実際ただの客席降りのどさくさなんだけどさ、それでもまとぶさんは、ちゃんと誠意を見せてくれているの。

 ううううれしい。
 うれしいよお。

 なんていい人なんだ。やさしい人なんだ。
 美人だしやさしいしサービスいいし、もー惚れそうだ。どきどきどき。

 ちなみに、右手を出し直してくれたくれたために空いていたまとぶさんの左手は、わたしの隣の席の人が手を伸ばしてがっつり握ってました(笑)。

 
 いつ触っても、まとぶんの手は白くて、冷たくて。

 あれほどのライトを浴び、大汗かきながら踊っていてなお、手がこれほど冷たいって……いったいこの人、どんだけ緊張してるんだ?
 どれだけのことを乗り越え、飲み込み、こうしてトップスターとして笑っているんだろう。

 そう思うと、涙がこみ上げますよ。

 彼のトップ人生が華やかな、幸福なモノであるように、心から祈る。そして、エールを送る。

 
 彼の「これから」が、たのしみでならない。


 『メランコリック・ジゴロ』、観劇中の、ある日のこと。

 なんかものすごーく「笑う」人が客席にいて。
 フォンダリ一家登場に反応していたところまではいいんだけど、バロット@まっつに対してすげー激しい反応してて。
 どこの「笑い屋」? ドリフの大爆笑とかの、不自然なまでに笑いつづける仕事の人かっつーくらい、すげー激しい大爆笑で、しかも、「そこまでおかしいか?」「今の笑うとこか?」なとこでも大笑いを続けるもんで、まっつファンとしては気が気ではなかった。
 だってそんな、イタいぢゃないっすか、空気読まずにひとりだけ大笑いしてるまっつファンなんて。おもしろいから笑ってる、というより、まっつだからウケている、って感じで。
 たしかに今回のまっつ、おかしいけど。笑えるけど。笑ってもらってなんぼだけど、実際初日もわたしの隣はたぶんまとぶんファンだったんだけど、まっつバロット見て本気で爆笑して、その声の大きさにわたしの方がびびって笑えなくなったりしてたくらい、どうやらふつーに笑えるらしいんだが。(わたしはまっつがなにしてもかわいいしおかしいんで、客観的にどの程度おもしろいのか、すでにわからない)
 それにしても笑いすぎだから、そこのまっつファン!!
 と、我慢しきれず振り返ったら、そこにそのかがいた。

 ……あー……(遠い目)。

 まあ、ジェンヌならね……一般人より反応激しくて当然だし、同期の舞台なんて「ウチの子が」状態でナニやってもたのしくてうれしくてしょーがないんだろうなあ。

 松園が本命なわたしとしては、まっつに過剰反応するそのか、つーのはオイシイお話ですが、いやはや、笑い声の激しさには素でおどろいた(笑)。
 舞台にも絶対届いてるよね、そのか単体の笑い声……。そのかさん、11列目にいたんですけどね……。

 4列目くらいにいたキムととなみちゃんは、どーだったんだろー。そのかが激しすぎて、他のジェンヌの反応がわからん(笑)。ゆめみちゃんもいたと思うし、84期勢ぞろいだなー。
 そーいやとなみちゃんは、終演後ふつーに人混みのなかでロビーの「キャトルレーヴ出張グッズ売り場」ひやかしてたなー。売り場を見ながらなんか指さしたりして、ゆめみちゃんと喋っていたよーな。

 
 同期といえば。

 まとぶんトップスター人生最初となる初日、ひーさん、ふーちゃん、まーちゃん、末子はんと同期が勢ぞろいしていた。
 開演間際までロビーでドリーさんとおしゃべりしていたら、いきなり華やかなお嬢さんたちが通っていくのでびっくりしたー。

「すご、81期勢ぞろいだ。同期っていいねえ」

 ドリーさんがしみじみ言っていた。日本中から、駆けつけて来たんだよね。まとぶんお披露目のために。

 わたしは他の誰より、右京さんの姿に、興奮していた。

 うきょーさんだ、うきょーさんだよーっ。
 退団以来丸1年、まったく顔を見ることさえなかった人だ。あまりお茶会つーものに行かないわたしが、2回もお茶会参加した好みの顔のジェンヌさんだよぉ。

 右京さんは、わたしの記憶にあるより丸くやわらかくなっていて、でもすっごくスタイルがよくてきれいなおねーさんだった……そ、そうか、もうおにーさんぢゃないんだ……。や、パンツ姿だったけど。

 右京さんも81期、まとぶんと同期だったんだね。そのときまで忘れてたよ。

 同期OGたちは、客席でまとぶんにエールを送っていた。ショーのときとか、歓声すごかったし。
 ジェンヌが客席にたくさんいると、もりあがるよね。

 
 ショー『ラブ・シンフォニーII』には、客席降りがある。

 トップスターまとぶんがひとりで歌いながら、お客さん釣りまくっていくのと、中詰めの主要メンバー総客席降り状態のキンバラと。

 1階席がライトに明々とライトに照らされ、お客さんの顔も浮かび上がる。

 みんなねえ、すっごくたのしそーなの。
 全開の笑顔で、とろけそーに手拍子してたりするの。年齢もナニも関係なく、みんなきゃあきゃあ☆なの。

 や、わたしもきっと、すげーしまらないカオしてんだろうなあ。自分で自分の顔は絶対見たくない(笑)。

 いい公演だなあ、としみじみ思う。
 まとぶんを中心に、まとまり、さらに発光していく感覚。

 しあわせだ。
 すっげーしあわせな公演だ。

 みんな笑いにやってくる。ふわふわ夢を見にやってくる。

 ときおりオサ様の歌声を思い出して切なくなりつつも、今、目の前で夢を描いてくれるまとぶんたちが愛しい。うれしい。

 
 みんな駆けつけてくる。
 名古屋の地で、いろんな人に会った。どりーずの仲間たちも、西組も東組もみんなわらわらやって来ていたし、それ以外の友だちにも客席やらロビーやらで再会した。

 しあわせな、お披露目公演。
 まだプレお披露目だけど、新生花組全員ではないけれど、今こうやってスタートを切ったことがうれしい。
 こうやって、続いていくことがうれしい。

 たのしい。


 らいに捕まると、逃げられなくなる。

 つーことで、花組色男のひとり、夕霧らい氏の話です。

 今回、『メランコリック・ジゴロ』にて、らいの使いっぷりに感動しました。

 らいにこの役をさせますか!! さすがだ正塚!!
 らいの役?
 通行人ですよ!!

 名前があるかどうか知りません。
 最初の駅の場面で、アネット@ゆまちゃんをダニエル@まとぶ、スタン@壮くんで騙しているところに、本筋とはまったく関係なく現れる通行人、

 それぞれコート姿に大きな鞄を持った、大人の男と女。
 男がらい、女がくまちゃん。
 役はただの通行人。「駅」にはいろんな人がやってくる、というだけの、ただの背景。

 しかし。

「家のこと、気になるのか」
「今さら、こわいものはないわ……」

 ただごとではない雰囲気ゆんゆん。

 なんかそこだけ別世界なんですけど?!
 なんなのその濃ゆさ、深刻さ?!
 なんの説明もなく現れ、わずかなやりとりだけで、「なんなの、あの不倫カップル?」と、観客の記憶に残ってしまうものすごさ。

 すげーや、らい。すげーや、くまちゃん。
 そして、すげーや正塚。よくぞこの役をこのふたりにやらせた。
 ふたりともアピール上等!な弱肉強食をデフォルトとする花組っ子だもんよ。
 いつもエンジン全開、戦闘意欲満々、やりすぎ注意、のふたりが不倫カップルって……。

 でもってこのふたり。
 実はここだけのキャラではなくて。
 ラストシーン、同じ「駅」の場面にも出てきてるのよ。
 これまたダニエルがフェリシア@彩音ともつれているときに。
 らいとくまちゃんも駅にやって来てるのよ。
 冒頭場面とちがって、ふたりに台詞はない。ライトも当たらない。
 それでも。

 濃い〜〜ぃい物語が展開されているの。

 なにもかも捨てて、女は男と生きることを選んだ。
 季節は冬。
 ふたりが向かったのは、カーニバルのある街。
 日常を忘れ、熱情に身を任せるにふさわしいはず。
 そこで、どのようなドラマがあったのか。
 カーニバルは終わり、ふたりの時間も終わった。
 言葉もないまま、男と女は強く抱きしめ合う。

 片手だけで。

 もう片手には、それぞれの鞄。それぞれが担うべきもの。
 鞄を投げ出して、両手で抱き合うことはない……できない、ふたり。

 女は、なにかを振り切るように列車へ駆け込む。ふたりで乗ってきたはずの列車へ、ただひとりで。
 男は女を見送り、黙って歩き出す。列車が走り出すのとは、反対の方向に。

 ……てなことを、ダニエルとフェリシアが「もう会えない!」「俺がジゴロだからか?!」とかやってる横で、ライトの外で、やってるわけですよ、らいとくまちゃん!!(笑)

 本筋とは関係ないとか、ライト当たってないとか、そんなことぜんぜん関係なく、めっちゃ濃ゆくメロドラマ演じてますよ。

 あーもー、ステキ過ぎだー。
 少女マンガと同じ画面で、ドロドロ昼メロおっぱじめてるんだもん。
 それがまた、絵になるんだもん。
 ふたりのただごとならぬ雰囲気と、それを裏付ける美形っぷりがたまりません。
 ……にしてもくまちゃん、きれーになったなー。博多座で代役やってたときからは別人だー。

 この不倫カップル役以外では、らいはふつーにカフェの客やってます。さわやかぶって。
 ふつーに二枚目やってます、はい(笑)。←何故か笑う。

 
 ショー『ラブ・シンフォニーII』でも、らいの魅力は全開ってゆーか、いくらでもキザってヨシ、アピってヨシのショーでこそ、本領発揮か。
 やー、もー、らいらいすごいから。
 らいの近くの前方席に坐ったらまず持って行かれるもんな。
 目線固定の「キミを見てるよ」アピール。
 そして要所要所のウインク。
 ばちこーん、とゆー強いモノではなく、すげーソフトに「ふふふっ」てな軽やかな笑い声が聞こえそうなウインクをふつーに投げてくる。
 ふつーなんかい。これが標準装備ですか。

 わたし今回チケ取りがんばってさ、前方か通路際しか取ってないんだけど、らいにはうっかり持って行かれそうに何度もなってるよ。
 だってすげーかまってくれるんだもん。まっつは目線ひとつくれないのに。
 まっつがあんまりそっけないので(笑)、かまってくれるらいや、握手やハイタッチをしてくれるまとぶさんにグラつきますよ……くらくら。

 らいはなー、あのガタイもいいんだよなー。
 デカくて、適度に厚みがあって。
 顔立ちがもともと好みなうえに、色気ダダ漏れのマメな釣り男っすよ。ときめくわぁ。
 ギャンブラーとしてカードから出てくる場面にて、前列の男たちが一斉に反り返る振りがあるんだが、みんなが「振り」として「美しく」反り返っているに、らいは「ポーズ」を取ってるんだよなあ……客席見てるんだもの……(笑)。

 今回、らいに撃ち抜かれそーになったのは、あることに気づいたときがもっとも激しかった。

 「ラブ・ゲーム」でらい氏、上手端でサイコロの上に乗ってるじゃないですか。
 中央にでっかいダーツボードが登場し、まとぶんと彩音ちゃんがその上でゴロゴロする場面。
 真ん中もエロいことやってるけど、周囲のカップルもそれぞれアダルトにエロいポーズを決めるとこ。

 あそこでらいらいは「女の子にキスをする」のがキメポーズ。チューをして、そのまま静止。
 てのはべつにいい。他のカップルもえらいことになってるわけだから、キスなんてまともなキメだ。(他は女のむき出しの太股に男が頬寄せてたり、女の下腹部に男が顔うずめてたりしてるからな・笑)

 たかがキス。
 ……なんだけど。

 らいって、キスするとき、口開けるんだ……。

 や、現実はどうあれ、ドラマでも舞台でも、チューするときは口閉じてるじゃん?
 基本「重ねるだけ」だから。舌からめてみせるわけじゃないから。
 「見て美しいキス」はあくまでも口を閉じて、唇を重ねるだけのもの、でしょ?
 それが当たり前だと思っていたから、らいがエロ全開に口開けてチューにいく様を見たとき、腰抜かしました……。
 らいのキスはベロチュー基本なんすね……。
 触れるだけのバードキスぢゃないんだ……。

 ど、どうしよう。めっさときめいた(笑)。
 なんなのよあのエロ男。
 潔いまでのエロっぷり、R15上等な役作り!

 不倫がハマるとかベロチューとか、このまま大人のエロ男を極めて下さい。
 
 
 注・夕霧らい氏は新公学年です。


 で、ほんとのとこバロットって、強いんですか?

 わからないんですよ。
 『メランコリック・ジゴロ』本来のバロットというキャラクタは、のーみそまで筋肉の、なんでもぶん殴ればそれでカタが付くと思っているバカ男。
 実際、腕っ節は強く、ソレ以外取り柄がないんだろうな、ということは、わかる。初演のマミさん演じるバロットは、素直にそう信じることができる。
 しかしこの再演のバロット@まっつは……わからない。

 ほんとうに強いの? それとも、強い、とカンチガイしているだけ?

「スタンは凄んでるだけだけど、バロットはほんとに強いんでしょ?」

 ノルベール@さおたさんが酒ボトルを取り返そうとするとき、バロットが握っているソレをなかなか取れなくなっていたことを証拠として、友人のドリーさんは言う。
 初日近辺はやっていなかった小芝居をあとからやるよーになっていたのは、そーゆーことか?

「ソレで結局、バロットってどうなのよ?」
 と、多くの人が言うもんだから、新たな演出が加わったとか?(笑)

 バロットが「強い」というか、あーんなに小柄で、あーんなに華奢でも、本当は力持ちであるという小芝居は、たしかに他でもしてるんだよね。

 たとえば、カフェでスタン@壮くんの肩を抱くバロット。
 スタンの方がでかいのに、バロットにたじたじ。バロットの腕を振り払いたいのに、それができない。
 壮くんはとーーっても嫌そうに、まっつの手をつついたり振ったりしているが、振り払うことはできない。
 そればかりか、どんどん膝を折り、小さくなっていっている。

 あれって、バロットの力が強くて、スタンがぺしゃんこになっていってる、って小芝居だよねえ?
 重しを載せられた人が、膝を折って小さくなっていく、あれだよねえ?

 そーゆー演技をされてもなお、「ソレで結局、バロットってどうなのよ?」と思えてしまうあたり、まっつバロットって、どうなのかと(笑)。
 もちろん、そのギャップ、「どうなのよ?」と思わせること自体を笑えってことなんだろうけど。

 やー、あのか細さとアホさが萌えですよ、バロット(笑)。

 ルシルに怒鳴られるたび、「かなしいワンコ」の顔をする。
 眉を下げてなさけなーい、かなしーい顔をする。

 可憐だ。実に可憐だ。

 筋肉バカなのに、可憐。
 それってどうなのよ(笑)。

 
 バロットが愉快なのは、彼が一貫して「頭の回転が遅い」ことにあると思う。
 なにか言われるたび、返答がワンテンポ遅れる。
 恐竜が、痛みが脳に届くまでに時間がかかるように、バロットもいろーんなことが脳に届くまでに時間がかかるんだと思う。

 ふつーの人にはない「タイムラグ」が、すごーくおかしい。

 罵られたり叱られたりするとたしかに怒ったり落ち込んだりするんだけれど、それすらもすぐに忘れる。
 あの小さなアタマの小さなのーみそには、余分なメモリが入ってないから、いつも上書きされていくのね。

 いつもまっさらな感覚。
 まっさらな怒り、まっさらな哀しみ。
 ……まっさらな歓びと、まっさらな感動。

 可憐で凶暴で小柄な肉食獣は、今日もまた、まっさらな幸福を得られるんだね。

 ずーっとコメディでキておきながら、ルシルに離婚を言い渡されたあとのバロットは、油断するとシリアスになるので注意。
 落ち込みワンコが背中丸めてしっぽ垂らして、「きゅいーん……」と鳴いている姿が、笑えるとゆーよりマジで切なく見える。
 つか、ルシルに殴られた頬を撫でながら、マイク無しの肉声で「痛ぇ……」とかつぶやかれると、コメディから別のモノになりそーだから。
 見ていてとまどうから。
 えーとコレ、笑うところ? 切なくなるところ?

 まっつがやたらと可憐で薄幸で可哀想オーラ出すもんだから。や、そーゆー持ち味の人だから。
 小さくて華奢で、怪力自慢の筋肉男、という、わけわかんない設定にとまどうのと同じ。

 最初から最後までつきまとうギャップ。
 「ソレで結局、バロットってどうなのよ?」という、わけわからなさ。

 それが作者の狙いだとは思う。
 まっつがまた、狙い通りのいい仕事しているから。

 まー、とにかく。

「ソレで結局、バロットってどうなのよ?」

 強いってことにしておきましょうよ。
 そのつもりで演技してるんだと思うし。初演バロットがほんとに強いみたいだし。

 可憐で薄幸でヘタレワンコだけどさ。
 ほんとのとこは、恐竜だからね。回転が遅いのは、そのせいだからね。

 バカだからスタン(凄んでみせるほど強くない優男)に殴られたり、ノルベール(枯れ気味のおっさん)に殴り倒されたりしてるけど。なんかすげー「チョロい」って感じだけど(笑)。
 ほんとは、強いんだってば。
 「オレにまかしゃあ一発だ」は、伊達じゃないんだってば。

 細い白い腕がいかつい革ジャンからのぞいていて、カラダに厚みなくてぺらぺらだったりして、ときどきフェリシアより小さく見えちゃったりもするけど。(ヲイヲイ)
 それでも、強いんだってば。

 小さくて華奢な女房に頭ごなしに叱られても罵られても、張り倒されても、それでもなんらゆらぐことなく彼女を愛している……大きな心を持った男なんだってば。

 とゆーことで。

 
 いやあ、殴られてずーっと倒れたままのバロットの、おなかが上下にけっこーハゲシク動いているのを眺めるのが、なんか好きです。
 はい。
 

「なんでこんなオレと結婚したんだろう……」

 時々むしょーに自問自答したくなる。
 不思議なキモチになる。

 バロットの妻、ルシルはあまりに言動に容赦というものがなかった。

 黒か白、無しか有り、イエスかノー。いつだって二者択一、曖昧とか微妙とか、まわりくどくとかやんわりととか歯に衣とか、とにかく言動にクッションを置くことはありえない。ルシルはいつだって「ものごと最短距離」、ややこしいことはせずにまっすぐすっぱり必要なことだけを言う。
 だからバロットにはわかりやすい。悲しいときに笑ったり、嫌っているのにおべっかを言ったり、言いたいことがあるのに別のことを言ったりという、ふつーの人たちはバロットには理解できない。
 ルシルはいつだって直球だ。飾るための言葉を使わない。
 彼女が笑っているときは本当にうれしいのであり、怒っているときは本当に怒っているのだ。バロットはソレを知っている。

 そんな彼女がどーゆーわけかバロットと結婚した。
 嫌なら絶対していないだろうから、まぎれもなく彼女の意志であり、判断である。
 だからそれは正しいことである……はずだが。

 だが。
 時々むしょーに自問自答したくなるのだ。
 不思議なキモチになるのだ。
 何故ルシルは、オレと結婚したんだろう?

「親父が美しいということについてだが……」

 以前この話題を振ったとき、ルシルには「このファザコン!!」と容赦なく罵られた。彼女は「信じられない」とぶつぶつ言いながら、しばらく怒り続けていた。

 「ファザコンって、なんだ?」と、真面目に聞き返したら、さらに怒られた。結局言葉の意味は教えてくれなかった。

 事実を口にしただけなのに、何故彼女は怒るのだろう? バロットにはわけがわからない。

「もういいわよ、わかったわよ。フォンダリは世界一美しい。これでいい?!」

 この話題になると、ルシルは聞く耳を持たない。
 父・フォンダリが美しいことは、ただの事実だ。本当のことを言って、何故怒られるのだろう?

「親父はたしかに美しいが、世界一じゃない」

 こちらを見ようともしないルシルの言葉を、バロットは真面目に訂正する。

「世界でいちばん美しいのは、お前だ」

 だから、ただの事実。本当のこと。……これもまた、ルシルは怒るのだろうか? バロットは言ったあとで、一応身構える。下手なことを言うと張り倒されるのが常だからだ。

 バロットは思ったことしか言わない。本当のことしか言わない。
 それで怒られたり叱られたりしても、どうしようもない。

 
「なんでこんなオレと結婚したんだろう……」

 自分の人生に、結果に、むしょーに、疑問を持つ一瞬。
 不思議なキモチになる一瞬。
 バロットは、盛大に溜息をつく。

「ねぇアンタ、今晩はナニが食べたい? 好きなモノ作ったげるよ」

 何故か、ルシルはご機嫌だ。
 バロットはいつも大真面目に本当のことを言っているだけなのに。
 なのに、ルシルは怒ったり笑ったり。
 バロットは変わらないのに、ルシルはしょっちゅう変わる。

 わからない。
 バロットには、ルシルがなにに怒るのか、笑うのか、どうしてなのか、なにもわからない。

 わかっていることは、ただひとつ。

 ルシルがいると、バロットがしあわせだということだ。

 がんばれバロット。
 負けるなバロット。
 ツンデレ妻にめげるな、激しいツッコミにも負けるな。

 てゆーか。

 やっぱり、がんばれルシル。
 負けるなルシル。

           ☆

 美人でこわいおねーさん、ルシル@いちかのなにがステキかって、それまでずーーっと強面で通してきて、夫バロット@まっつのことを「バカ」呼ばわりで命令口調で叱りつけてて、これ見よがしに溜息ついたりあきれたり無視したり、とにかくひっでー扱いなのに。
 ルシルへの愛ゆえに引き金を引けなかったバロットを問答無用で張り倒し、一方的に三行半叩きつけておきながら。

 いざバロットが倒れているのを見ると、取り乱してすがりつくところ。

 あのキツイ顔が、くしゃりと頼りなげになって。眉なんか八の字になって。

 あー、ほんとに好きなんだなあ。
 いつもの高飛車ぶりが愛情ゆえ、愛されているゆえだとわかると、ルシルの可愛さがどーーんとアップします。
 や、最初からすげーキュートなんだけどね。

 はい、中日公演『メランコリック・ジゴロ』、「がんばれルシル・2」です。

 ルシル@いちかちゃんでまずなにに瞠目するかって、あのスタイル。

 ミニマムなのに、そしてめーっちゃ華奢なのに、曲線がある。
 折れてしまいそうな「女」のカラダなんだよね。セクシーで「高そうな」女。豪奢な長椅子に寝そべっている、しなやかな黒猫のイメージ。
 ダニエル@まとぶんに押さえ込まれているとことか、肩の細さにきゅんきゅんきますわ。
 こんなに細いカラダ、乱暴に扱っちゃダメだよ! バロットがはらはらしてるのもわかる。壊れ物注意!!
 そしてその繊細な器の中身は、めーさ濃くて強い心。半端な男なんぞ撃退します、てな。

 強い心と、小さくて華奢な身体。
 そのアンバランスさが、彼女の魅力。
 刑事@みつるを撃退するくらいの強さは持ち合わせているものの、あれはどっちかっつーと刑事が弱すぎたってのもあるだろうし、ダニエルに押さえ込まれちゃうくらい、力はふつーに弱い女の子なわけで。
 腕力とか体力とかは別に持ち合わせていないのに、それでも強さを感じさせる気位の高い黒猫。
 もっと彼女に似合いの男はいるだろうに、何故か「一発バカ」バロットに惚れている……てのが、彼女の弱み、傷。
 完全体ではなく、そーゆーちょっとアレな部分がある方が、人はより魅力的に見えるわけだから……。

 ルシルがバロットの妻で、うれしい。たのしい。

 警察に捕まるときの「死ぬまでアンタの女房よ!」の台詞は泣かせます。
 ほんとうに、真正面から言ってるんだよ。目を見て、本気で言ってるの。

 ……まあ、永の別れだと勝手に思って盛り上がっているためで、うっかりふたりとも早々に釈放されちゃったりしたら、ルシルの方は気まずくて照れくさくて、盛大にツンツンしそーですけどね(笑)。

 バロットの愛すべきバカさ加減を、さらに「愛らしく」してくれているのが、このかわいいかわいいルシルだと思う。
 もー、ダイスキだー。
 一花かわいい。一花きれい。一花魅力的。一花巧い。

 まっつと一花のコンビを、もっともっと見たい。見ていたいっす。

 
 ところでルシルさん。
 初日近辺はそうでもなかったのに、後半戦、まっつのこと、マジで叩いてません?(笑)

 倒れているバロットに駆け寄ったあと、「アンタ?!」と言いながら頬をぴしゃりとやる、アレ……。
 ふつーに「演技」として「叩く振り」だったら、SEが入るよね。スピーカを通した「叩く音」が響くよね。
 なのにここでのルシルの立てる音はとても微妙にぺしっと小さく鳴るだけで……。
 その微妙な小さな音に、観客も笑ってますけど……アレは、「振り」だけですか? 振り……だけ、だよねえ? マジで叩かないよ、ねえ……?
 いちかちゃんならまっつ叩いてもアリだと思うけどさー(笑)。てかぶっちゃけ、叩く一花と、叩かれるまっつに萌えるけどさー(笑)。
 ヅカでマジに叩くなんてコト、ありえないよねえ??


「なんでこんな男と結婚したんだろう……」

 時々むしょーに、自問自答したくなる。
 やりきれないキモチになる。

 ルシルの夫、バロットはあまりに単細胞バカだった。

 バカとかわいいは表裏一体。
 ウザい反面、かわいいのもたしか。
 だから大抵の場合、バロットがバカなことを言ってもしても、叱りとばしてツッコミ入れてなんとか受け止め、受け入れてきたのだが。

 時々むしょーに、自問自答したくなるのだ。
 やりきれないキモチになるのだ。

「フォンダリの頬の傷って、どうして付いたの? アンタ知ってるんでしょ?」

 ルシルの何気ない問いに、バロットは大真面目に答えた。

「ああ、知っているとも。親父の頬の傷は、美しすぎるせいだ」

「…………え?」

「親父は、美人過ぎる。顔に傷でもなければバランスが取れない。だから、傷があるんだ」

 バロットは真剣そのものに言い切った。ルシルの目を真っ直ぐに見て。

「…………え?」

 もう一度、ルシルが言うと、バロットは聞こえなかったせいだと思ったらしい。
 大きな声で、さらに言った。

「親父があまりに美しいから、傷が必要なんだ。でないと世の中の女たちが可哀想だろう。40男の方が美しいんじゃあ」

「…………念のために聞くけど、ソレ、本気で言ってる?」

 ルシルがにっこり笑って言うと、バロットも笑った。

「もちろん! だって親父自身がそう言ったんだ、オレがガキの頃」

 ええ、得意そうに。満面の笑顔で、胸を張って。
 そして再び真剣な顔になり、この世の真理を告げる賢者のように、重々しく言い切った。

「親父は、美人だ」
 
 
「なんでこんな男と結婚したんだろう……」

 自分の人生に、選択に、むしょーに、疑問を持つ一瞬。
 やりきれないキモチになる一瞬。
 ルシルは、盛大に溜息をつく。

 がんばれルシル。
 負けるなルシル。
 ファザコン夫にめげるな、美人過ぎる舅にも負けるな。


           ☆

 つーことで、フォンダリ萌え。

 ええっ、このタイトルで、この導入で、フォンダリ話なの?! ……うん、まあ、なんか。ルシルの話は「がんばれルシル・2。」で書く予定ですから!(連載前提?!)

 『メランコリック・ジゴロ』、フォンダリ@みわっちが、すげーかっこいいっす。
 や、ただかっこいいだけならべつに、そんなにツボらない(笑)。めっちゃ、胡散臭いのっ!!

 黒尽くめ、アヤしいの一言の黒のロングコート、黒のテンガロンハット、でもって黒メガネ(サングラス、よりこっちの響きが合う・笑)、黒の長髪。頬と手の傷。
 変。変なのに、かっこいい。や、もともとみわさんだからなにやったって美しいんだけど。美形なんだけど。
 それにしても、美しい人が大真面目にやる白髪まじりのおっさん役で、なんでこんなに、オモロでステキなヒトになるんだろう。

 わたしはバロットとフォンダリは血のつながりは、実はないと勝手に思ってますが。や、だってぜんぜん似てないし。親子だからどうこうってエピソードもないし、つか、フォンダリもバロットもキャラきつすぎて、親子とか子育てとか生活とか、ぜんぜんピンと来ないし。
 実は、親子じゃない。
 ……って、バロットはそんなこと知らないし、フォンダリに至っては忘れてると思う(笑)。
 青年フォンダリが、幼児バロットをさらう話とか書きたいなあ(笑)。成り行きでさらって、そのまま親子に。バロットはバカだからおぼえてなくて、フォンダリは細かいことキニシナイから、忘れてる。
 いいなあソレ、偽親子モノ、萌えるわ〜〜。

 とか、勝手にイロイロ(笑)。

 べつにほんとに親子でも、萌えはぁとが衰えるわけではありません。
 とにかくバロットは攻に育ってもらわなきゃね。……や、深い意味はありませんよ、ええ。

 
 まあふつーに萌える(?)なら、ノルベール@さおたさんとの関係を突き詰めて考えたいところです。
 フォンダリがノルベールを「あんた」と呼ぶところが、実はふるえるくらい萌えです。

 フォンダリはノルベールに「裏切られた」と思ってたんだよね……。16年間、探し続けてたんだよね……。
 多くは語らない、男たちの濃ゆい物語がありそーで、さすが正塚! って感じっす。ハァハァ。

 
 カティア@もえりちゃんとのディ〜〜プな大人のカンケイも、大変ツボです。
 いい男には、いい女が似合う。
 突然別物語! てな具合にはじまる、ふたりの会話と世界がイイ。
 ここもまた、説明台詞はないのに、や、ないからこそ、会話の断片だけで彼らの「物語」を想像させてくれてたのしい。

 
 ところでフォンダリさん、人は殺してないの?
 なんか「すぐに出てくる」みたいな雰囲気で捕まるからさー。や、「すぐに」が「何年」であっても、極刑はないこと前提みたいだから。
 てっきりコロシもやってる悪い人だと思ってたんだけど。……だからこそ、16年前の「分け前」を手に人生変えようとしていたわけで。
 ダニエルをカフェで殺さないと言ったのは、ポーズと脅しだろうし、余罪は山ほどありそうな人なんだが。
 ま、ファンタジーだから、「誰も殺さない悪役」はアリだろうけど。
 みわさんがあまりにかっこいいから、とことんダークもいいよなぁ、と。

 そう。
 とことんダークでシリアスでハード。ソレもアリじゃないですか、フォンダリ氏。

 てゆーか。
 フォンダリ一家でスピンオフ希望。

 ハードボイルドがいいです、正塚先生。
 バウホールでみわさん主演で、まっつといちかも一緒に。

 親子の話も、バロットとルシルの出会いの話も、そこでちゃんと描いて下さいよ。
 観たいよ観たいよ、フォンダリ一家物語。(こう書くと、なんか牧歌的な響き……)

 わたし、フォンダリさん主役でならイロイロ書けるわ!!(や、オマエが書いても意味ないって)


 スタン@壮くんって、どんな人?
 
 モーリス@壮くんが、駄々っ子ソング歌っているときのような人。

 いやその、盛大なる猛回転ぶりというか、ぶち切れそうなハイテンションぶりというか。

 や、素敵です。
 や、素晴らしいです。

 『メランコリック・ジゴロ』での話っす。

 壮くんって、どんどん美しくなってね?

 もともと美しい人ではあるけれど。若いころからなによりその美貌で注目を集めてきた人だけど。
 にしても、壮くんがどんどん美しくなっていくので、ついていくのに精一杯です。どんだけ美しいんだ壮一帆。

 スーツ姿がすげーかっこよくてねぇ。貴族出身だっつーのが納得ですよ。見た目だけならほんと抜群。……や、中身はなにしろスタンなので(笑)。お調子モノで気が短く血の気が多い、ろくでなしヤクザのスタンくんですから。

 コメディだってことに振り回されて、コケる演技に気をまわしすぎている気がしないでもないが(公演が進むにつれ、コケる回数、コケ方が加速しているような……)、とにかくトップ・テンションで回りつづけるさまに、観客が勝手に好きなものを見ていい、って感じかな、スタン役(笑)。
 芝居が巧いとはあんまし言えない人だと思うが、とにかく、高速高熱で大回転しまくる彼は、触れるもの全部に手加減なしなので、その姿を愛でることができる。
 てゆーか、もー、イイよな、壮くん。なんでこんなにかわいいんだ、この人。かわいいし、かっこいいし、美しいし、空回りが過ぎて摩擦熱起きてる感じだし、すげーツボだ。

 ティーナ@ののすみとのカップルがかわいいの。
 ティーナがスタンに惚れきってるのがイイ。
 彼女はアタマ空っぽのセクシー&キュートな美少女。バカで人騒がせだけど、すごく素直で善良。儲け話がある、ということで先走って買い物しまくり、スタンに全部返品しろと怒鳴られる。怒るスタンに、「アンタがいてくれればいいの」と言い、「早く帰ってきてね」と言う。一方的に怒鳴られ、身ぐるみはがれて(笑)、ボロボロになって泣きながら、それでも全身で訴えつづけている、「スタンが好き」

 ティーナが愛すべき女の子であるからこそ、この子にここまで想われているスタンという男の株が上がっている。
 また、ティーナがとことんおバカで手間のかかる子だからこそ、このトラブルメーカーをそれでも愛し、手元に置いているスタンという男の株が上がっている。

 怒鳴りちらして泣かせておきながら、「オマエが泣くのキライなんだよ」という身勝手さに、愛がある。
 身ぐるみはがされるティーナが、店員@マメに最後のベルトを要求されたとき、怒りが頂点に達することにも、愛がある。
 そりゃあ腹も立つわな。自分の無力さゆえに、自分の女が泣いてるんだから。身ぐるみはがされて、汚いカオで泣いてるんだから。

 予定通り大金が手に入っていたら、スタンはきっと大判ぶるまい、ティーナにも好きなだけ買い物させて、「素敵よスタン☆」「愛してる〜〜♪」とか、言わせ放題でにっかにっか笑ってるんだろうな。オレ様すごい、って。
 ひとり占めしようとか、複数の女をはべらせようとか考えず、ティーナに好きに使わせるんだろうさ。や、自分も遊びに使うんだろーけど。大金持ちになったから、といってティーナを捨てる気はさらさらない。

 ティーナをぞんざいに扱っているくせに、言動の端ばしに愛が見える。
 それがいいんだ。スタンという男を、とびきり魅力的に見せている。

 調子良く見捨てたり言いなしたりしつつも、ダニエルへの友情も感じられるしね。……ただ、こっちはわたし的には物足りないので、あんまし萌えない(笑)。お笑いを極める方に走るより、ダニエルへの愛情に走ってくれた方がいいのになー。
 でも壮くん、今お笑いやるのがたのしくてたまらない、よーに見える(笑)。本人がやりがいにあふれ、たのしそうだから、ま、いっか。

 てゆーか壮くんには、男役としてノンケでいてほしい。

 男同士のラヴい関係、エロい関係というものは、たしかに需要がある。男役同士の絡みは「ファン・サービス」で、別に腐女子じゃなくても「きゃあ♪」と喜ぶ層が絶対にいる。
 だからといって、ソレを狙ってわざとそーゆー風に持っていかれると、萎えるのだわ。

 本気でアヤしいのではなく、ただの人気取り目当てでやられると興ざめ。無意識であるからこそ価値がある。

 だから壮くんはノンケでいてほしい。
 魂の健康さをキラキラ見せつけて、「耽美」からはもっとも遠く、多少粗雑なくらいでいてくれ。ダンスの雑さ(笑)とか、演技の大仰さ(笑)とか、壮くんらしくて好きだってば。瑣末にこだわらず、自分大好きオーラ全開でいてくれる、それが彼の魅力。

 『メランコリック・ジゴロ』は正塚作品らしく、男同士の友情が濃くアツい。腐女子的にもオイシイはずなんだが、なにしろ壮くんなので萌えにつながらない(笑)。壮くんの萌えは、もっと別なとこにあるからいいんだ。

 にしてもスタンって、ドSでいいよな。

 Mな壮くんばっか見てきたから、Sっぷりがぞくぞくするんですが(笑)。まとぶさんがドMなせいもあるとは思うけど……うおお、いいコンビだ。

 駄々っ子モーリス@『アデュー・マルセイユ』くらいハイテンションなのに、モーリスは「自分を攻だと思い込んでいる総受」だったのに対し、スタンはふつーに「S属性攻」に見える。
 わたしは攻スキーなので、今の攻キャラな壮くんが大変好みです。あれほど無駄に美貌を垂れ流しつつ、色気がまったくないところも、力一杯ノンケなところも、ダイスキです。

 にしても壮くんって、受だとしても攻だとしても、なんであんなにうるさそうなキャラクタなんだろう? 押し倒したらキーキー言いそうだ……(笑)。やーん、ステキ。


 言いたい言葉がある。
 言えない言葉がある。

 男は、少女を騙していた。兄の振りをしていた。
 男は、自分がつまらない生き方をしてきたことを自覚している。ルックスの良さを武器に、楽に生きてきた。中身の伴わない生活をしてきた。
 その結果が、少女を騙した一連の出来事につながった。

「もし恋人ができたら会わせろよ。イイ奴かどうか見極めてやる」

 だから言えない。
 少女に、言うことができない。

「なんでも言ってこいよ」
 
 
 言いたい言葉がある。
 言えない言葉がある。

 少女は、男に騙されていた。兄だと信じ頼りきっていた。
 少女は、男がそのことを悔いていること、罪悪感を持っていることを察している。そして男は、一連の出来事を経て、少女の父に少女のことを頼むと託されていた。
 その結果、男は少女の面倒を見、やさしくする「義務」を背負った。

「そろそろ行こうか」
「時間余らない?」
「ちょうどぐらいだ」

 だから言えない。
 男に、言うことができない。

「駅に長くいるの、嫌」
「ゆっくり歩こう」

 
 男の罪の意識、後悔。
 少女が受け止める、「義務」ゆえのやさしさ。
 

「なにかあったら、俺がついてる」
「もう会えない!」

 やさしくしてくれるのは、「義務」ゆえでしょう? そんなの、苦しすぎる。もう会えない。
 叫びだしたのは、少女の方。兄妹ごっこの均衡を破る。これ以上はもう無理、と。
 少女に呼応して、男も叫ぶ。兄妹ごっこの均衡を壊したくなくて。その絆にすがりたくて。

 でも。

 別れを前に、警笛を鳴らす汽車を前にして、男は手を離せない。少女に渡すはずの鞄。
 男の前から逃げ出したい少女は、渾身の力で鞄を引っ張って。消えてしまいたい思いのままに、夢中で。
 鞄の引き合い、取り合いのようになって。
 滑稽な姿をさらして。

 まとっていたすべてのもの……嘘、罪悪感、格好付け、強がり、臆病さ……そんなもの全部吹き飛ばして、男は叫ぶんだ。

 愚かにも、叫ぶんだ。
 ありのままの、真実を。

 言いたい言葉がある。
 言えない言葉がある。

 今、言わなければならない言葉がある。

「お前が好きだ!」

 で、さらにみっともなく、言葉をつらねて言い訳しようとする男に、少女が抱きつく。両腕を回して、抱きしめる。

 言いたい言葉がある。
 言えない言葉がある。

 今、いちばん聞きたかった言葉を得て。

 愛する男の言葉を遮り、少女は彼を抱きしめる。

 
 言葉なんか、いらない。

 もう、これ以上。


              ☆

 ……いやあ、もー。
 正塚芝居全開ですな、『メランコリック・ジゴロ』
 感情の流れを説明する台詞は一切なし。むしろ、感情とは無関係の日常会話をかわしながら、ふたりの感情がひとつの方向へ高まっていくのを演出する。
 台詞だけ聞いている人には、すっげー唐突に映るはずだ、ダニエル@まとぶんの最後の告白(笑)。
 正塚作品ってほんと、愛を語る言葉が少ないよなー。言葉じゃない部分で表現するから、演技力か温度、最低限どちらかは持ち合わせていないとつまらなくなるもんなんだが……まとぶはいいよなー。あの温度。あまくやさしい、じれったさ(笑)。

 いつの観劇時だったかな。
 ダニエルの「お前が好きだ!」のとき、後ろの席から声が聞こえたの。

「やっと言った」

 お前ら両想いじゃん、愛し合ってんじゃん、なにしてんだよ、言うべき言葉はソレじゃないだろ? なんで反対のこと言うんだよ、バカバカバカ、このまま別れる気?!
 ダニエルとフェリシア@あやねちゃんの、じれったい関係にやきもきし、言え、言うんだ、言わなきゃダメだって! と、心の中で叱咤し、応援し、切なくなって。

 それでよーやく、「お前が好きだ!」……やっと言った、よく言った、よかった。よかったよおお(涙)。

 とゆー心の流れがあってこそでしょう、後ろの人。
 ふたりの恋に感情移入して、手に汗握って見守っていたからこその、思わず出ちゃった一言だよね?

 や、その声は、男性のものでした。
 男の人でも、ふたりのじれったい恋に感情移入して、一緒にじれじれしちゃうんだー(笑)。

 まるで校舎裏の茂みに隠れて、親友が女の子に告白する様を見守る気持ち? なにお天気の話なんかしてんだよ、チガウだろ、ああっなんで「好きな男ができたら俺に紹介しろ」とかわけわかんねーこと言ってんだよ、お前だお前、お前がその好きな人だろーが、つかなんのためにわざわざこんなとこに彼女呼び出したんだ、本当の気持ちを伝えるためだろ、早く言えよ、このバカ、簡単だろ、たった一言だ……ひとこと、なのに……。

 さんざんじらしてじらして、ダニエルの決死の……でも、「清水の舞台から飛び降りちゃった」というよりは、「あ、足すべらした」的、別れという現実を前に感情が理性を無視して暴走した結果、みたいな告白を最後に物語がぴたっと終わる、憎らしさ。
 説明一切なし、蛇足一切なし、登場人物全員でご挨拶ダンス、しあわせデュエットダンスののちダニエルとフェリシアのキスシーンで幕。
 ……うまいよなあ。

 上手前方で見たとき、最後にフェリシアを見つめるダニエルの表情が、もお、デロデロに甘くて。
 いやあ、男友だちがこんな顔してたら、思わずアタマはたいてるね(笑)。や、ムカつくくらい、手放しで幸せそうで。はいはいごちそうさま、でもそのしまりのないカオなんとかしろオマエ。……てなもんで。あ、なんかオレ、男モード入ってる?

 や、わたしはヲトメなんで、もちろんオンナノコモードで観てますことよ、ほほほほほ。
 そのデロデロなまとぶさんにうっとりして、紗幕の向こうで「さあキスだ!」ってときになると突然キリッと男前になるまとぶさんに胸キュンっす。

 ダニエルが好き、そしてダニエルをダニエルたらしめている、まとぶさんが好き。

 ヲトメゴコロがピンクに染まりっぱなしよぉ。


 質問。
 「ジゴロ」って、なんですか?

 Yahoo辞書によると、

>ジゴロ【(フランス)gigolo】 女に養われて生活する男。ひも。男妾。

 ってことらしいですけどね。

 女に養われて生活するだけなら、ふつー「ジゴロ」とは言わないよね。
 恋人同士で男の方が失業して、女に食わせてもらっていたとしても、それはジゴロではなくあくまでも「恋人」。揶揄したり貶めたりする意味で「それじゃヒモじゃん」とか言っても、恋愛関係にあればチガウでしょ。

 やっぱジゴロにしろヒモにしろ、男娼……金目的で女とつきあう男、という意味なんじゃないのか?
 女とつきあう、ことが「仕事」。それがジゴロ。というのがわたしの認識。
 相手の女との間に恋愛感情があればそれは「仕事」ではなくただの「恋人に養われている男」でしかない。
 辞書にあるように、「女に養われていればみなジゴロ」とは、思えないっす。
 つかふつー、「失業中で恋人の世話になって暮らしている男」を、現代日本では「男娼」とは言わないよなー。そんなん、日常にいくらでもあることだよなー。男女が逆の場合「恋人に養われている女」が「娼婦」ではないのと同じで。

 金銭目的の場合のみ成立する、と思う。「ジゴロ」というもの。

 
 こーゆー認識であるわたしは、問う。

 ダニエル@まとぶは、ジゴロか?

 答えは、否。
 彼は、ジゴロにあらず。

 『メランコリック・ジゴロ』の公式のあらすじを見ると、

 ジゴロのダニエルは金持ちの女性をパトロンに持ち、大学で法律を学び、気ままな生活をしていたが、田舎娘との浮気がパトロンの知るところとなり、縁を切られてしまう。途端に生活に困ったダニエルは、ジゴロ仲間のスタンが口にした儲け話に飛びつく。

 てなことになっているが。

 えーと、これって、事実かもしれないけど真実じゃないよね?

 たしかにダニエルは、金持ち女レジーナ@みほちゃんに養ってもらっていた。学費を出してもらって大学に通っていた。
 外側から見えることだけを書いたら「あらすじ」のようなことになるのかもしれない。

 だが、それだけでジゴロとは言わない。
 恋愛関係にある男女間に、金銭的依存があったって、「ジゴロ」ではない。

 ダニエルの場合、職業は「大学生」で、「年上の恋人」がいる、というだけのこと。
 かなり真面目に大学に通っているし、若さゆえに目の前の楽しいことに気を取られたり、年上の恋人から愛されている驕りからつい年下の女の子と「浮気」をしてみたり……ふつーに恋愛ドラマの年上カノジョものじゃん、コレ。ジャニーズとかが主演してそーな。

 ふつーに「恋愛」しているから、「浮気」で、「恋人」から捨てられることになる。

 レジーナに三行半(しかもよりによって自分よりどう見てもアレな男をこれ見よがしに持ち上げて、の露悪ぶり)を突きつけられたあとの、ダニエルの傷心ぶりときたら。
 「金ヅルに逃げられて落胆している・立腹しているジゴロ」には見えませんて。
 出来心の身から出たサビで失恋した、ふつーの大学生じゃん。

 たしかに、本気の大恋愛、というには打算的だったのかもしれないけど。
 それでも恋は恋、失恋は失恋。
 ハート・ブレイク。マジに傷心。

 
 初日に観たとき、この『メランコリック・ジゴロ』はすげーたのしくて、わくわくして笑えて切なくてほっこりして、とてもハッピーなラヴ・ストーリーだと思った。
 主演のまとぶんがすげーかっこいいしステキだし、他のキャラもみんなハマっててすばらしい!! と素直に力一杯拍手した。

 そのうえで、思ったもん。

 再演『メランコリック・ジゴロ』のただひとつの失敗は。

 ダニエルが、ジゴロじゃないこと。

 初演がどうこうとか、そーゆー次元ではなく。
 ただ、タイトルになっている「ジゴロ」がいない。タイトルロールであるはずの「ジゴロの憂鬱」の、ジゴロがいないのよー(笑)。

 
 んでもって、もうひとつ「あらすじ」に偽りがある。

 「ジゴロ仲間のスタン」とやら。
 ダニエルがジゴロではない以上、スタン@壮くんもまた、ジゴロではありえない。
 や、金持ち女のレジーナが「お金次第でカラダを売るきれーな男の子を捜している」とゆーことで、ダニエルを紹介したのがスタンだったとしても、別にソレ、「ジゴロ」の仕事じゃないし。ただの売春斡旋? で、そのあとダニエルとレジーナに愛情が芽生えれば、出会い方はどうあれふつーに恋人同士になっちゃうわけだし。

 スタンが作中でやったことといえば、売春斡旋と美人局。脅迫と詐欺、窃盗。

 えーと。
 これのどこがジゴロ?

 スタンって、ただのヤクザっしょ?(笑顔)

 主な仕事は美人局。
 女に養われてないし。むしろ、彼が必死に金を稼いで恋人ティーナ@ののすみを養っている感じ。彼女と同棲中だし。女口説いてる場面もないし。つか、スタンが他の女とどうこうなったらティーナがパニックになっちゃうよー。

 ……ってソレ、どっから見てもジゴロじゃないし!!

 善良な大学生と、ヤクザ。
 でもふたりは親友(笑)。

 先生! この話、ジゴロが出てきません!!

 タイトルに偽りアリ。
 これじゃ「ジゴロの憂鬱」とちゃうやん(笑)。

 
 しかし。
 2回目の観劇時には、達観した。

 『メランコリック・ジゴロ』っつーのは「ジゴロの憂鬱」という意味ではなくて、「ジゴロだと思うことで、憂鬱をまぎらわしている男」って意味なんだ。

 失恋した? チガウよ、最初から金目当てだったのさ。だってオレはジゴロだぜ。泣いてなんかない。泣いてなんか……っ!!

 ……てゆー話っしょ?
 「ジゴロ」という強がりで、自分のやさしさや甘さを隠そうとする男。
 普段は悪ぶっているのに、陰でこっそりと捨て猫にエサをやる不良少年みたいだねっ。
 てか、ハマり過ぎだよまとぶ。>捨て猫と不良少年

 初演は観ていなかったものの、初日を観てからすぐにビデオを見た。や、たしかホモスキー・フレンズかねすき嬢から「ステキなホモだから見て(はぁと)」と、その昔贈られたビデオテープの中にあったよなー、と記憶を頼りに探したら、ほんとにあった(笑)。
 初演のダニエル@ヤンさんは、ジゴロに見えた。クールだし、大人だし。
 でも、まとぶはジゴロに見えない。や、見えない以前に、最初からジゴロじゃない。
 初演のタイトルは「ジゴロの憂鬱」だったかもしれないが、今回は「ジゴロになりたい憂鬱な男」でヨロシク!!

 や、意味が反対だとしても、『メランコリック・ジゴロ』というタイトルでまちがってない。 問題ナシさ。

 てゆーか、このタイトルの意味の違いこそが、真飛聖の魅力だと思えるから。

 初演がどうこうとか、そーゆー次元ではなく。
 ヤンさんがどうだったから、どうしなければならない、とかいうことではなく。

 今、まとぶんが「主役」として、「トップスター」として、新たに作り上げる上で、『メランコリック・ジゴロ』があると思うんだ。
 それはいわゆる「ジゴロ」というものの魅力ではなく、ジゴロだからと悪ぶるコトで心の傷や闇と折り合いを付けようとする、等身大の青年の魅力で。

 ハードになりきれない、ハートフルなまとぶんの、彼だけの得難い魅力だと思うんだ。

 だから、このタイトルは、この物語は、正しい。
 『メランコリック・ジゴロ』。


 休憩時間、トイレの列に並んでいると、後ろの女の子たちがプログラムを開きながらテンション高く会話しているのが聞くともなしに聞こえてきた。

「ねーねー、タツミさん、やばくね?」
「やばいよねー、やばすぎー」


 タツミって、らんとむじゃん?
 え? らんとむナニやった? そんなにまずいことしてたっけ?

 と、思わず耳ダンボ状態。

 ……うん、聞いてるうちに、わかった。
 「やばい」ってのは、「かっこいい」とか「ステキ」って意味だ。

 や、そんなふーに言う文化があるとか何年か前に聞きかじったよーな気はするが、あたしみたいなおばさんの周りでは使う人いないもんでよ……そーか、そーゆーもんなのか。

 辰美@らんとむって、「やばい」んだー……。そっかー。

 その女の子たちは「何々役の俳優さん」と呼びつつ、プログラムをめくっては興奮した声を上げる。……俳優さん、かぁ。なんて新鮮な響き。
 タニちゃんの舞台化粧姿でも、巻末のトドロキの素顔にも「やばい」を連発していた(笑)。

 やー、宙組みんな素顔も舞台も美しい人ばっかだからねえ。そりゃあ、どっちを向いても「やばい」ってことになるだろう(笑)。

 
 宙組公演『黎明の風』
 実際、辰美@らんとむさんは、やばかったです。

 −−おばさんなんで、女の子たちの表現を真似てみる……が、やっぱわたしが使ってもイタいだけなんで、ふつーに書く(笑)。−−

 辰美@らんとむさんは、かっこよかったです。
 日本軍の軍服か、スーツ姿。
 らんとむってほんと、理想的な「男性」の体型をしてるよなー。
 男装の麗人じゃなくて、「美しい男性」のシルエット。現実にはそうそういない(日本人男性ではありえない)、美しい体格。
 肩幅と胸回り、腰の位置。スマートだけど逞しい、頼もしいライン。
 その嘘くさくない、リアルさや、ある意味生々しさのある体型が、実に魅力的だ。

 でもって、濃い。

 顔立ちがガイジンさんばりに目鼻立ちくっきり濃い、つーこと以前に。
 芸風が、濃い。

 なんか演技が浪花節……。
 なにがどうじゃないけど、なんか独特で、どっか恥ずかしい感じが……ときめく(笑)。

 らんとむって「耐える」キャラ似合うよなー。握りしめた拳がふるふるしている系っていうか、男泣き系っていうか。そそるよなー(笑)。

 
 なんか組子の出番は多いんだか少ないんだか、ちょっと判断に困る感じの舞台だった。
 石田作品のよいところは役が多いこと。下級生までなにかしら役が付き、どさくさにまぎれて台詞言ってたりすること。

 でも今回は前作の『維新回天・竜馬伝!』ほど役が多いとか下級生に出番がある、という印象がなかった。
 日本チームとアメリカチームがいつもぞろりと複数人で出てきて、でも結局喋るのは真ん中の人たちだけで、あとはずっと1列横隊で突っ立っている、という感じ。
 七帆くんですら印象が薄い……よく出てきてたけど、結局立ってるだけかー、てな。前回大活躍だったから、ソレを期待しちゃったせいかもしんないが。

 とゆーなら、みっちゃんも印象薄かった……。
 アメリカチームで、マッカーサー@タニちゃんの会話役、独り言ではマズイから「合いの手」「解説」を入れる人が必要、というだけのよーな役。
 物語中心に見ているだけだったので、大佐@みっちゃんがどんな人なのか意識にのぼることもなかった。
 白洲次郎@トドロキの土下座に対しての「解説」は、ドラマティックだったけれど……その前後が薄すぎて……。

 「役」があるのが、吉田茂@汝鳥さん、次郎、マッカーサー、辰美まで? 女子はいなくてもいい程度だったし(ヒロインの正子@たっちんより、マッカーサーの妻@まちゃみの方が役としては意味があったよーな)、残りの男たちはヨコ1列で一言ずつ喋るだけ?

 まだ「キャラ」があった嫌日の米兵@ともち、東京ローズ@まいらちゃんの方がいいのかなぁ。

 なんか脇キャラがモブ化していたよーな気がした。
 や、あくまで初見、ざーっと見た程度の感想にすぎんが。
 きっとリピートしていけば、各キャラの性格とかはわかってくるんだろう。ヅカはリピートが基本、台詞なくても役がなくても、とにかく板にさえ載ってりゃそれぞれがなにかしら役をふくらませて「見せて」くれるもの。

 きっと宙組メンバーも、これからどんどん舞台を盛り上げていくんだろう。
 
 
 音乃いづみちゃんがすげーパンチの効いた歌声を披露してくれたのがうれしい。
 きれーなソプラノだけでなく、こーゆーのもアリなのかぁ。
 「東京ブギウギ」に「カンカン娘」……某花組ショーの記憶が強いのだが(笑)いづみちゃんはじめキュートな女の子たちに元気いっぱいに歌われると、すごく気持ちいいっす。

 全体通して見て、ヒロインってじつは吉田茂@汝鳥伶? てとこが、いいのか悪いのか……。
 役の比重が、次郎>吉田>>>マッカーサーだもんよ……。
 そんならいっそ、次郎@タニ、吉田@トドでもよかったんじゃあ? とか、思ってしまうのことよ。や、汝鳥さんすばらしかったっすが。

 やー、新公がたのしみですな。
 みーちゃんが吉田役って(笑)。

 
 あちこち泣いたのも本当だけど、作品として苦手感があるのも本当。
 トドは好きだし、タニちゃんが今回マジに芝居がよくてかっこよくて、汝鳥さん、まりえった等彼らの芝居は見応えがあるんだが。
 困ったな、というがいちばんの感想かも。
 あーもー、架空世界の物語なら、純粋にたのしめたのにー。このあたりの話、苦手なのよぉ。

 らんとむ萌えがもっとわたし的に盛り上がってくれたら、さらに楽しめそうではあるが(笑)。
 なにしろらんとむさん、すっげーやばいから。ほんと。


 ウメちゃん休演は、スポーツ新聞以外にも載っていたらしい。ふつーの新聞しか読まない弟が「トップ娘役休演」を知っていた。
「すごいゴタゴタしてるんだろうな」
 と、弟。
「うん、代役立てて公演するの、すごく大変だと思う。でも結局のところ、なにも知らずにやってきた団体さんとか、ヅカファンってわけじゃないお客さんには、トップ娘役が代役だってことわかんないくらい、完璧に仕上げてくるんだと思う」

 そう。
 ファンにしかわからないレベルまで、あの人たちは仕上げてくる。
 純粋に、すごいと思うよ。

 とゆーことで、宙組公演『黎明の風』『Passion 愛の旅』初日に行ってきました。

 芝居の『黎明の風』について、基礎知識はなにもありません。白洲次郎? 誰ソレ?状態。
 タニちゃんがマッカーサー役だというから、「ああ、その辺(時代)の話か」と思うくらいのもので。や、わたしモノ知らずだし。

 ただ、石田昌也作の轟悠主演というので、かなりテンションは低かった。
 わたし、『猛き黄金の国』キライなんよ……かなりの熱意でもって。ちなみに『再会』もキライでな……。石田とトドロキのコンビは鬼門なのよ。

 型破りな主人公@トドロキかっこいい、というだけの話なんだろうなあ。『猛き黄金の国』もほんとソレだけで、ソレを描くためにあと全部都合よくぶっ壊して、壊れているゆえに結局は主役もかっこよく見えないという、魔の悪循環にハマッた最悪な話……になるんじゃないかと、観る前から辟易していた。

 で。
 想像した通り、『黎明の風』も白洲次郎@トドロキがかっこいい、というソレだけを描くことを目的とした物語だった。

 でも、想像していたような最悪の物語でもなかった。
 『猛き…』よりずっとおもしろい。

 有史以来はじめて「敗戦国」となった日本は、なにしろはじめての体験でどーしていいかわからない。おろおろしている人々の中、ただひとり白洲次郎だけが「なにをするべきか」を考え、実行していた。
 立ち位置と目的の自覚がある次郎だけが、戦勝国司令官マッカーサー@タニと対等に「会話」することが可能だった。
 つーことで、激動の時代を背景に「国家」を背負った男たちの「銃を持たない闘い」が繰り広げられる……。

 戦争や国家のあれこれを描くわけだから、たしかに「男の格好良さ」を描くに適した題材だと思う。
 だから「ヒーロー」を描くことを命題としたタカラヅカで上演するのはアリなんだろう。
 エピソードが切り貼りなのは石田作品の常だが、それでもちゃんと盛り上がって「いい話」になっているのだと思う。

 だからこれはわたしの個人的な好みに過ぎないんだが……。

 わたし、この時代のこの物語では、「タカラヅカ」として夢が見られない……。
 
 ほんとに、個人的な、ただの趣味、好みの問題だが。

 現実に近すぎ、また、わたしの生きる場所と陸続きだと、そこを「異世界」だと割り切れなくて。

 現代が舞台でも、ふつーのラヴ・ストーリーならぜんぜんかまわないんだが。
 「戦争」とか「思想」とか、生々しいモノがあり過ぎて、ちとキツいっす。

 まったく同じストーリー、同じテーマでも、「どこかの架空世界」が舞台なら平気なんだけど。
 ドレスに宮廷服の世界で、ありそでなさそなヨコ文字国名の話なら、わたしはもっと素直に楽しめたろうな。
 モンペも防空頭巾も出てこないし、男たちの軍服もキラキラで、政治家たちもフリルに燕尾で巻き髪で、とにかく目に派手な「これぞタカラヅカ」な画面なの。
 だけどやってることはみんな同じ、テーマも同じ。架空の世界だからこそ、思想も自由に綺麗事も自在に展開できる。

 わたし、「スマスマ」その他でタニちゃんの美貌に興味を持ったヅカ初心者をエスコートする約束してるんだが、この芝居を観ながら「どーしたもんか」と考えちゃったよー。
 ヅカ未体験で美少年が好きなジャニーズ・ファンの人に、最初に観てもらう作品が第二次世界大戦で原爆でモンペで東京裁判で……って、どうしよう。
 神風特攻隊で昭和時代のアイドルみたいな格好で踊っちゃってるんだけど、どうしよう……。つかトド様の歌がモロに「ムード歌謡」だし……。
 や、その、泣ける作品なのはわかっているが、それとは別に、初心者エスコートのことがアタマにあったもんだからいろいろ困惑したさ……。
 同じくらいムード歌謡で昭和な世界だとしても、ドレスで軍服で愛だ恋だやっている話の方が、いわゆる「タカラヅカ」として紹介しやすいよな、と。

 なんでコレ、タカラヅカで上演してるんだろうなあ?
 ヒーローものだからアリなのかもしれないが、もっと適したカンパニーが外部にはありそうな気がする。

 
 とまあ、作品へのとまどいは置くとして。

 「トップスターが休演」しているなんて、知らない人にはわからないくらい、宙組のみなさんは完璧に見せてくれました。

 やっぱすごいよな。
 わかっていたけど、そうだと思っていたけど、素晴らしいよ。

 ウメちゃんにいてほしいと思う気持ちとは別に、今の公演をすごいと思う。

 でもって、主人公の白洲次郎@トドロキ。
 やっぱ、美しい人だ。

 「男役」としての美しさに感嘆する。

 「タカラヅカ・スター」としての彼の最盛期は過ぎてしまった感はあるんだが、「役者」としてはまだまだこれから深めていけるのだと思う。
 スター力とか歌唱力とかが衰えていく姿を見るのは正直せつないんだが、それでも彼がどこまで行くのかは見届けたい。(だから芝居だけでいいんだけどなぁ……)

 で、もうひとりの主役……というか、今回は組トップが完璧に「2番手」扱いなんだが、ソレはいいのか? とゆー疑問を持ちつつも、マッカーサー@タニちゃんが、かっこよくてびびる。

 あの、かっこいいんです、タニちゃん。
 かわいいんじゃなくて。

 どうしよう、タニがかっこいいなんて。おろおろ。(うろたえなくても)

 次郎は「おじさん」呼びだし、子どもも出てくる。でもマッカーサーは美しい妻とラヴラヴしているだけ、で、双方の年齢には触れていないのね。
 史実がどうあれ、そうやって年齢的なことは誤魔化してしまっているから問題ない。
 次郎とマッカーサーってどっちが年上だっけ? とか、そもそもこの人たちいくつだっけ? とか、考えずにふつーに目に見えるモノだけを見ていられた。

 かっこよく描かれた次郎と対峙する、それゆえにかっこよく描かれたマッカーサーだ、かっこいいってば。

 でも「格好いい役」を本当にかっこよく演じられるかは、やはり役者の力が必要だ。
 タニちゃんは、「格好いいマッカーサー」を演じていたよ。美貌が映える大人の男だった。

 今までいちばん格好いいタニちゃんを見た。

 白洲正子@たっちんは、代役だと思えない堂々たるヒロインぶり。
 トドロキと並んでいると、タイムスリップしたみたいなキモチになる。や、どこのトドグンかと(笑)。わたしがダイスキだった雪組、あのころを思い出すわ。
 
 いつもの石田歴史物なので女はいなくていい程度の扱いゆえ、正子も影薄いし出番もほとんどない。や、とりあえず舞台にはいるけどなー。
 それでもかわいらしくも骨太に、よくぞヒロインとして立ってくれました。

 
 他の感想はまたぼちぼちと。


 おどろきました、月組退団者。

 マチヲ先輩と、タキさん??

 考えもしなかった人たちの名前を見て、絶句しました。

 PCデータがぶっ飛んだこともあり、なし崩しになっていた『HOLLYWOOD LOVER』感想を下書きテキスト発掘して、一気にUPした数時間後に、こんな。

 マチヲ先輩に関しては、退団とか辞めるとか、そーゆー次元で考えたことのない人だったし、タキさんは「組長に就任したばかり」という印象だったので何年かは絶対に辞めないと思い込んでいた。
 えーっと、就任したばかりの組長(しかも他組組長経験有り、専科経由の超ベテラン)がタッチ・アンド・ゴーってな感じで退団するのって、アリなんすか? わたしの記憶にはないんだけど、そーゆー前例……。

 そして、えりおっとはただただ残念です。『ハリラバ』で感想書いたとこじゃんよー。ほろほろ。

 
 なんか、時は流れて行くのだな、と……変わらないモノはないのだな、と、遠い目をしてしまいます。
 彼らの前途に幸あれと祈ります。
 よい公演になりますように。

 しかしかなみちゃんって、タキさんと対のままどこまでも行くんだなー……。
 

 需要があろうとなかろうと、まっつ中心視界による『ラブ・シンフォニーII』の話。や、若干1名「需要あります」とメールをくれた人がいたんで、それを力に書きます(笑)。

 中詰ラテン、客席降りして狂乱の「キンバラ」。
 まっつの腰振りはいつみてもいたたまれなくて素敵だなあ。
 そーやって大盛り上がりの直後、なんか突然異次元空間が広がり、紫フリフリ衣装のみわさんがドラマチックに登場する!
 いやあ、ここのみわさんがすごいのなんのって。うおお、みわさん素敵〜〜!! これはみわさんにしかできない、みわさんしかしちゃいけない……んだけど、そのすごさはいずれ語るとして、今はまっつまっつ。

 みわさんが異次元空間とともに闇に消えたあと、再びライトがついたときには、舞台にスパニッシュ男が3人いる。
 『ラブ・シンフォニー無印』でオサ様、まとぶん、壮くんだったところが、まさかのまと壮まつになっていて。
 なにがまさかって、ここにまっつが入ってることっすよ。えええ。

 そして壮くんのベストのカラフルさにびびる。
 え、えーと?
 壮くんどうしたの、その衣装。
 まとぶんは『無印』のベージュのオサ様衣装着用、まっつも同じく壮くんの衣装をスライドして着ているよね。どちらも色数自体は少ない。なのに壮くんひとり超派手カラフル。なんかオモロ(笑)。

 『無印』時代、わたしはここのオサ様の歌声がダイスキだった。初日に観たときは微妙に不協和音? と思ったオサまと壮の歌声も、日が経つにつれどんどん響きあうよーになり、それぞれの声の良さを堪能しつつ、オサ様の歌声に酔いしれた。
 そこからオサ様が抜け、パートをひとつずつずらした上で、まっつが入る……。
 うわ。
 ずっとずっとうっとり反芻していた場面だからこそ、微妙な変化がとまどいのもと。や、純粋に、まっつの声が聴けるのはうれしいんだが。
 まと壮みわなら今までにもあった並びだからなんとも思わないのに、この並びにはすげー慣れない……(笑)。
 『II』初日もちょっと、大変だったよーな? ここの歌、ナニ気に合わすの難しいのかな。まっつもそれほど声が出ているとは思えない……まっつ比で。
 
 銀橋がないので本舞台を歌いながら下手から上手へ。中日、大劇に比べせまいからすぐ袖に行き当たっちゃって、また舞台中央の方へ移動して。
 曲が変わるころに、まっつが定位置へ。

 「Bamboleo」キターー!!
 『無印』に引き続き、この歌をまっつで聴けるなんて!!
 この歌と、まっつの歌声が好き。うっとりセクスィ、勝負顔なとこも好き(笑)。

 しかし、曲は同じなのに歌詞は変わっているんだわ。まあ、別れの歌のままいられるはずもないが。
 にしても今「アディオス・バンボレオ」って歌わなかった? いいのソレ? と思っていたら、二度目の歌詞は「アモーレ・バンボレオ」になっていた。あれ? 最初も「アモーレ」って歌ってた?
 仲間内で聞いてみたけど、「1回目は『アディオス』って聞こえたよーな?」とゆーてますが……もともと「アディオス」だと思って聞いているから、そのせいで聞きまちがえたかな?

 でも所詮「替え歌」止まりだから、微妙にメロディと歌詞が合ってない……字足らず感がつきまとう(笑)。中村Bめ。

 歌い終わったまっつは下手で膝を付いてモブにまざり、中央で踊るまとぶん、あやねちゃん、壮くんを見つめるわけなんだが……って、見つめるだけ??
 『無印』ではみんなそれぞれセンターで踊るオサ様に一小節ずつぐらいダンスで絡みに行ってたじゃん。それまでモブに徹していたまっつがおもむろに動き、オサ様の前で絡んで踊る一瞬、ダイスキだったのに。
 まっつはモブのままでした……まとぶんには絡みに行かない……。
 まあ、アレは「別れの演出」っぽかったから、「はじまりの演出」には不要かもしれんが……。

 で、まとぶんが上着を脱いでダンスソロになるんだが、舞台からまっつが消えない……。
 全員はけてオサ様ひとりになるはずの場面で、あやねちゃん、壮くん、みわっち、まっつ……あとみつりせまでだっけ、舞台に残ってますがな。
 そして踊るまとぶの後ろで円を描いて走る……謎……。
 いやその、豪華、になったのかな? まつださんを長く眺められるのでうれしいんだが、振付の微妙さにびびる。新生花組、このメンバーでがんばりまっせ!という意味かしら。みんなでポーズをつけて静止、金テープがばさりと落ちてロケットへ。

 まっつの次の場面は大階段(中階段、くらいの段数だが)黒燕尾。
 階段センターにばーんとまとぶん、舞台をトトト…と小走りで壮くん登場、階段上を悠々と歩いてみわさん登場、つーキャラの差に、ひそかにウケる(笑)。
 スター3人が踊るところへ、黒燕尾の男たちがシリアス全開に階段を降りて登場するわけだが。
 まっつセンターだー。
 なんか新鮮な画面だ。
 まとぶさんの真後ろにまっつがいる〜〜。
 たしかに階段は小さいのだが、それでも全面に黒燕尾男役が並ぶとゴージャスだ。

 踊るスター3人に、本舞台に降りたまっつ他加わってダンス。
 うわ、人数少ない。……そしてその少ない人数にまっつが入っていることにおどろく。
 まっつのダンスの端正さを堪能するナリ。てゆーか、この面子だとまっつがかなりダンスうまく見え……ゲフンゲフン。

 まとぶ氏がささっと下手にはけていったあと(『無印』のオサ様はセリ下がりだった)のめっさ低いキーでの「壮印ラブ」……わ、素敵な変換だ、そのままにしておこう(笑)は、なんと全員ソロで歌い継ぐことに。
 壮くん→まっつ→みつる→りせ→みわっち。
 いやあ、手に汗握ります、なんとなく!
 まっつの歌うパートは『無印』のときと同じなんだけど苦戦気味? まだまだ声が出ていないよーな? てゆーか初日ってこんなもん?

 女の子が加わってデュエットダンスになるけど、ここでも上手下手入れ替わってますがな、まっつ今回は下手だー。てゆーか、相手役ゆまちゃんだー。『MIND TRAVELLER』再び(笑)。

 東宝ラストあたりに観たとき、この場面でまっつは相手役のひーさんにしきりに話し掛けていた。喋っているのではなく、ダンスで、表情で、身体表現で、話し掛けていた。
 彼女の表情の変化、一挙手一投足に反応し、うれしくて仕方がないよーに敬っていた。
 が。
 ゆまちゃん相手だと、別に話し掛けている風じゃない。
 ふつーに踊っている。
 てゆーか、まっつ、スカシてる(笑)。

 なになに、年下のかわいこちゃん相手にかっこつけてる?
 とりあえず今のとこ、ゆまちゃん相手にでろでろにはなってない。むしろ自分のかっこよさの方に気がいっているような……(笑)。
 や、わたしもかっこいいと思ってるけど、まつださん。でも彼女にとろけてくれていてもいいぞー。そーゆー男好きだぞー。

 あとはパレード、みつるの次にひとり降り。そして立ち位置変わってるんだよ、下手なんだよ。右手で羽根扇持つからジャケットの右側が余計気になるってば(笑)。

 とまあこんな感じだ、『ラブ・シンフォニーII』。

 まっつまっつでなんて楽しい公演。名古屋であることが惜しまれる。ムラならふつーに週2ペースで通うのに。
 あと何回観られるのかなあ。ちなみに、持っているチケットは初日前も、幕が開いてからも2枚のみ、増減なし。サバキ頼みです、はい。


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