その昔、SMAPに「森くん」という人がいた頃。

 友人がこの「森くん」の大ファンでなあ。話をいろいろ聞かされたよ。

「森くんは、タカラヅカの大ファンなの。ひとりで東京にある劇場に観に行ったりしてるんだって!」
 わたしがヅカファンだと知ると、話題はそちらにシフトした。

 友人の関心は、タカラヅカというよりも、「轟悠」だった。
 何故ならば。

「森くんは、轟悠って人の大ファンなの。この人、どんな人?」

 あー、トドですか。
 トドはねえ、「宝塚の『光』」って言われてるコンビの片割れ。光GENJIの某に似てるっつーんで。ヅカでは「ジャニーズ系」で通ってるよ。
 ビジュアル優先で実力はまあ問うな、て感じの人でね。ヅカファン同士でも、トドを好きだというと「ジャニーズ好きなのね」って決めつけられたりするわ。

 写真が見たいというのでてきとーに「グラフ」(当時はカナ表記)とか「歌劇」とか見せた。当時のプログラムは今みたい写真がろくに載っていなかったので。
 ついでに、相棒のユキちゃんの写真も見せる。

 内海に似ている女性がいることまでは予想できても、大沢の顔をした「女性」がいることは考えなかった模様。

「ほんとうに似てる……」

 友人は、絶句していた。
 うん、あのカオで女だなんて、ありえないよねええ。

 友人は大沢のことは好きではなかったらしいが、それでもトドロキのことは「森くんの好きな人」ということで愛着を感じたようだ。
 ヅカを見ようとはしなかったが、わたしになにかとトド絡みの森くんネタを教えてくれた。

「この間森くん、トドロキさんの舞台観に行ったんだってー。感動したってラジオで言ってたよー」

 トド、脇役なんだけどなあ……まだよーやく新公卒業か、てな学年だし……。真ん中以外を見るなんて、森くんホンモノだな(笑)。

「森くん、トドロキさんの髪型真似してみたんだって。本人はすごく似合ってるつもりだったけど、他のメンバーに反対されたって。『トドロキさんはそりゃ似合うかもしれないけど、お前はチガウ、似合わないからやめろ』って」

 どんな髪型を真似たんだ?! 当時のトドはキンキンのパツキンに、刈り上げだぞ?

 他にも森くんは、トドの服装とかポーズとか真似ては、メンバーから止められていたらしい。……当時のトドって、ピンハかカールヘルムだったような……。まだシャネル様の洗礼を受ける前。
 森くん、トドと実際に話したりもしていたんだっけかな。友人がいろいろさえずる話題の中に、そーゆーのもあったかも。
 当時の森くんはハタチ前後。とにかく森くんが無邪気にトドにあこがれている様子が、微笑ましかった。

 森くんがSMAPを脱退したのち、この友人は重い腰を上げてヅカを初観劇した。「宝塚の『光』の内海くんの方が退団しちゃうから、観るなら今しかないよ」とかなんとか言って、連れ出したんだっけか。

 わたしはトドファンだったし、彼女も「森くんの好きなトドロキさん」を見たがっていたから、わたしは必死に「今出たのがトドロキよ」とショーの出番を教えたりした。
 が。

「トドロキさんはどーでもいい。和央ようかさんがステキ」

 華麗にたかこオチして帰っていったな……。

 そのころにはトドは独特の臭味のある男役になっていて、誰も彼を「ジャニーズ系」とは呼ばなくなっていた……。遠い目。

 
 本日放送の『SMAP×SMAPスペシャル』を見ながら、そんなことを思い出していた。

 「トドロキさんはそりゃ似合うかもしれないけど、お前はチガウ、似合わないからやめろ」って言ったの、メンバーのうちの誰なんだろうなあ。その人は当時、トドのカオぐらい知ってたのかなあ。森くんに無理矢理写真とか見せられたりしてたのかなあ。

 トドを好きだというと、「ジャニーズ好きでしょ?」と言って、ジャニの話題を振られて困惑したあのころ。
 今も昔も、ジャニーズはとんとわかりません。
 ヲタクだったので、ヲタク仲間には「え○くり」の光本とか渡されて、たしかに「えみ○り」もトドユキで萌えていたよーだが、同じヲタクでもわたしとは別世界ジャンルの人たちだったし、で、とまどいしきりな日々。
 ……若かったなぁ(笑)。

 
 なんかいろんな人に「今日ヅカの人がスマスマに出るね」と言われ、忘却などしていられない雰囲気でした。わたしがヅカファンだと、周囲の人みんな知ってるからなー(笑)。

 や、らんとむさんがとってもらんとむさんだったので、すばらしいと思いました。

 あさかなタニウメがステキなのは言うまでもなく。


 ジェラールは「バカ」に弱い。好みのタイプは「バカ」。
 「バカ」というと言葉が悪いので、「純粋」と言い換えればいいのか。

 ジェラールが愛する相手として、マリアンヌとシモンがいる。ふたりは性格はチガウものの、どちらもまっすぐにおバカキャラ。

 さて、じつはもうひとりいるんだ。性格はチガウが、まっすぐにおバカな奴が。

 それが、市会議員モーリスだ。

 ちょっと中断してましたが、『アデュー・マルセイユ』本編の穴を、わけわかんないところを、自分の想像で自分の都合よく補完していく話、の続き、誰が読んでるんだろうなコレ(笑)、連載4回目です。
 

 とにかくモーリスは、最初から胡散臭い。

 なにしろ市会議員のくせに「アルテミス婦人同盟」の協力者だ。そりゃ無理だろ、善良になんか見えるわけない。

 えー、確認事項ですが、「アルテミス婦人同盟」って、女子中学生サークルレベルだよね? 理想主義の女の子たちが「ごっこ」遊びをしているだけだよね? や、本人たちは真剣だけど、客観的に見て。
 中学生レベルの活動を「至上のモノ」と思い込んでいるからマリアンヌのバカっぷりが潔いわけで。
 ごっこ遊びは微笑ましいけど、大人は本気で相手はしないよね?
 なのに、「理解者」の振りをして女の子たちの間でいい顔をしている。
 うさんくさいだろ。

 彼女たちの活動を本心ではバカにしているくせに、下心ゆえに持ち上げているのが見え見えで、じつに不誠実。
 こんな男に騙されているのが、マリアンヌのバカさをより上げているし、こんなに見え見えな態度でいることがまたモーリスのバカさを上げている。バカの相乗効果。

 シモンとマリアンヌのことは大好きなジェラールだけど、「勘弁してくれ、バカならなんでもいいわけじゃない、俺にだって選ぶ権利はある」ってなもんで、モーリスのことはキライ。
 わかりやすく悪党をやっているのではなく、善人の顔をして実は悪党というのもまた不快だし、マリアンヌを騙しているのもムカつくし、ただ騙しているだけでなく「あわよくばヤッちゃえ」と思っていることも許せない。
 そして、悪党なりに懐が深いとか頭がいいとかならともかく。
 女の子の歓心を買うために、悪党を雇って襲わせ、それを八百長で成敗する作戦、って……どこのコントですか。
 正気とは思えない大作戦を大真面目に、嬉々としてやるモーリス。マリアンヌたちに絡むスコルピオの男たち相手に大仰に見得を切って、上着を脱ぎ、構える様が……いっそ愛しい。あまりにバカで……って、や、ジェラールはここでモーリスを心から見下してますが。

 オサちゃんの演技は日替わりだからそのときによっていろいろある。「作戦だったんだ!」と訴えかけるモーリスに「もっとマシな作戦を考えろ」と言うとき……(内緒話の範疇だが)怒鳴りつけるときもあるし、かまっちゃいらんねーと面倒くさそうにろくに顔も見ないで言い捨てるときもある。が、いちばんキツいのは淡々と、軽蔑+憐憫の目で見下ろすとき。

 う・わー……。
 キツイ。
 これは、キツイ。
 ジェラール、いくらなんでもその目はよせ。君がモーリスを嫌いなことも心底バカにしていることもわかったから、実際モーリスはバカなんだけど、とりあえずそこまで他人を貶めちゃいかんって。

 モーリスがジェラールに対してキレるのも、仕方ない。
 あそこまで全身全霊をあげて全存在を否定されたら、キレるしかない。

 そーしてモーリスの駄々っ子ソング「あいつキライだ、仲間になんかしたくないっ」になり、やはりおバカなモーリスは他の悪党ズに簡単に説得されてしまうのだが。

 問題は、ここまでジェラールが「軽蔑」している相手が。

 ジェラールの罪によって、出た結果なのだ。

 ジェラールはモーリスを嫌っている。バカにしている。
 だがそのバカな悪党の父親が誰かを、知ってしまった。

 シモンから渡された14年前の事件のときの封筒には、ご丁寧にも差出人の名前が載っていたそうな。シモンってどこまでバカだったのかなあ。封筒の名前が自分の住んでいる市の助役であること、しかも他殺体で発見されたこと、に、気づかなかったのかねえ……バカだから、という理由なのかねえ……。

 シモンのバカさはともかく、思いがけずジェラールは、彼を「天使」と呼んだ男の名を知った。

 ピエール・ド・ブロカ……モーリスの父親だ。
 すべてのはじまりとなった事件。

 14年前の地下水道、少年だったジェラールの前でピエールは射殺された。
 撃ったのはスコルピオのリシャール。指示していたのは刑事のペラン。
 ジェラールが口をつぐんだために、犯人も動機もわからないままになっていた事件。

 もしもあのとき、ジェラールに勇気と知恵があれば。
 ピエールの殺人事件をきちんと解決できていれば。

 モーリスは、別の人生を歩んでいた。

 市長目前で死んだ父の無念を晴らすために、モーリスは市長になると言っているのだ。そのためには手段を選ばないと。

 ……ってつまり、モーリスがバカなのって、俺のせいかよ?!

 マルセイユはジェラールの「心の闇」。彼が犯し、葬った罪。
 14年前、自分の命かわいさに逃げた。
 そのことで、ピエールという男の人生を踏みにじった。
 ずっと見て見ぬ振り、忘れた振りをして生きてきたジェラールの前に、はじめて突きつけられた、罪の結果だった。

 ジェラールが「心正しい勇敢な少年」のままだったら。
 弱い者いじめする者を許せない、たとえ年上でも臆せず向かっていき、勝利する。
 そんな「ジョジョ」と呼ばれる少年のままだったなら。

 少年院に入れられたあともシモンと連絡を取り、殺された男のことを調べる。ピエールの死体はどこか別の場所で発見されただろうが、どこの誰かはいずれわかるはずだ。なんせ、14年後のモーリスが「父は射殺された」と言ってるんだから、死体も見つかったし、他殺されたことがわかる状態だったんだろう。
 てゆーか、封筒を見れば一発だってば。

 シモン少年はジェラールの指示に従い、ピエールのことを調べる。そのうちに、彼の息子モーリス少年と出会い、父の死に納得のいかないモーリスも事件の真相解明のために協力するようになる。

 ジェラール、シモン、モーリスの3人の少年で、マルセイユの巨悪に立ち向かう物語が展開したかもしれない。

 だが現実は。
 ジェラールは自分だけが助かることを考え、沈黙し、父を失ったモーリスは人生をゆがめた。

 や、どんなカタチで父の人生が無惨に潰えたからといって、その意志を継ぎ、夢を叶えるために犯罪に手を染めるのは、モーリス個人がまちがっているのであって、ジェラールの責任ばかりではない。
 それは、わかっているけれど。

 でも14年前の事件が発端になっていることだけは、たしかなんだ。

 シモンとマリアンヌ、そしてモーリス。
 バカに弱いジェラールが、マルセイユで出会った三者三様のバカ。

 シモンは「もうひとつの未来」。
 マリアンヌは「失った自分自身」。

 そして、モーリスは、「罪の結果」。

 だから痛い。無視できないほど、彼の愚かさが、ジェラールを追いつめる。

 
 ……つーことで、また翌日欄へ続く。


 大変です、ジャンヌ@雪だるまが壊れました……。
 いつもの「これがあたし?!」の場面で、ジャンヌ@みわっちが雪だるまのアタマを叩くと、そのアタマの一部分がぽろっと落ちた。
 声を上げる観客、そしてオリオンの男たち。

 沈黙。
 その瞬間、主役は雪だるま@破片。

 全員が固まり、床に落ちた雪だるまのアタマの一部分を見つめた。

 が、ジャンヌ@みわっちは負けていなかった。ぼーぜんと立ちつくす男たちを残し、いつものよーにぷんすかしながら退場。
 途中出会うジェラール@オサにも、いつものよーに「あたしが雪だるまに見えるっ?!」と噛みついて。

 無言で雪だるまのアタマを拾うシモン@まとぶ。愛しそうに壊れた雪だるまを撫でる手の哀しさよ。そこに満ちる哀愁よ。

 そして、その背中にかけられるジェラールの、重い重いひとこと。

「大変だな」

 場内爆笑。

 ジェラール氏は、笑いませんでした。
 あとからその場にやってきて、壊れた雪だるまを見ても。吹き出してもおかしくないと思うし、また、彼は笑ってもかまわないのに。実際、「大変だな」を笑って言うときもあったのに。
 今日のジェラール氏は、そーゆー日だったようです。オサちゃんの演技が日替わりなのはいつものこと。今回はあまり笑わないジェラール。

「話があるんだ」
 と、シモンが人払いをしてシリアスモード突入。
 今回のジェラールはあまり笑わない人。微笑みを浮かべる程度の穏やかな男。
 そんな彼が、親友から絶交を言い渡される。
 きびしく沈む表情。
 対するシモンの苦悶、発する熱と真摯さ。

 でも。

 ふたりの間には、アタマの欠けた雪だるま。

「信じてくれ。お前を裏切るようなことはしていない」
 沈鬱に訴えるジェラール。その横にある、アタマの欠けた雪だるま。

「あのときの封筒だ。中に小切手が入っている」
 親友から視線をはずしたまま、封筒を差し出すシモン。深い苦悩にゆがむ表情。その横にある、アタマの欠けた雪だるま。

 ……どうしろと。

 ドシリアスな画面の中央が、まさに会話する男たちの中心点が、雪だるまなんだってば。
 
 なにをやっていても、雪だるまが視界に入る……。

 わ、笑えばいいのか? ねえ?

 
 あの雪だるまはどーゆー素材でできてるんでしょうね。
 斜めにすぱっと削げるよーに、一部分が落ちたんですけど。
 そして、中も同じ色でした。外だけを石鹸色に塗ってあるのではなく、中まで同じ……ということは、もともとあの色の素材で作られているってこと?

 いやあ、あまりのことに演出変わったのかと思ったよ。
 ジャンヌが手刀で雪だるまのアタマを落とし、シモンが哀しみに満ちてそれを拾う。欠けた雪だるまの前で、超深刻芝居。
 コントとして完璧じゃん?
 そーゆー演出になったのかと。

 演出変更でないならば、アクシデントなんでしょう。
 明日から雪だるまはどうなってるんだろう? 無事補修されてるのかな?
 そして、アタマがもげる演出は、今後も使われるのかしら?


 オサ様CD買ってきました。今BGMはオサ様です。うっとり。
 でもブックレット超ショボイです。カラー写真が表紙だけって……。白い紙にベビーピンクのインクで印刷された歌詞が読みにくいです……。

 しかし梅田キャトレ、5000円近く買ったのに、ゆみこの抽選券くれなかったわ。nanaタンに進呈しようと思ったのに。はっ、オサ様グッズだけぢゃダメなのか……!

 ……てな話ではなく、雪組ドラマシティ公演『シルバー・ローズ・クロニクル』初日観劇してきました。

 予備知識イラナイ派なんだけど、nanaタンが横でいろいろいろいろ言うのでちょろちょろ内容が耳に入ってました(笑)。
 ゆみこの役がめがねっこだとかヲタクだとか、『電車男』みたいな話だとか、かなめくんがさゆちゃんのおにーちゃんでヴァンパイアだとか、ヲヅキがヴァン・ヘルシングだとか、キングがアイドルだとか。

 
 えー。
 話の内容は、小池修一郎オリジナル作だと言っても、誰も疑わないでしょう。

 主人公を助ける若者グループ。
 無理矢理連れさらわれるヒロイン。
 どたばたステージ(祭り)の中での救出劇。
 白衣のマッドサイエンティスト。
 悪役が世界征服を歌う。

 小柳先生がイケコの弟子だということは存じてますが、ここまで同じだと「原案・小池、演出・小柳?!」と思っちゃいますよ……。

 つーことで、小池の「世界征服モノ」オリジナルが好きな人にはオススメ。
 悪役が「野望は世界征服、私は神を超える」系の歌を歌ってくれるとゾクゾクしちゃうの♪ てな性癖の人は是非。

 
 エリオット・ジョーンズ@ゆみこは、ヴァンパイアをはじめとする怪奇モノ・ヲタク。勤め先でもバカにされて、友だちひとりいやしない。カノジョいない歴=年齢、というわかりやすいダメ男。
 そんなエリオットのアパートの隣の部屋に、銀髪の美少女が引っ越してきた。その少女・アナベル@さゆは、エリオットの愛するヴァンパイア映画のヒロインと瓜二つだった。
 そのヴァンパイア映画はエリオットの祖父が原作者で、ヒロインの少女は祖父の恋人だったらしい……。
 はじめてのデートのため、仲間たちの助けを借りイケメンに変身するエリオット。でも、アナベルからのリアクションはナシ。
 それもそのはず、アナベルはハーフ・ヴァンパイアでエリオット祖父の恋人だった、あの少女だ。彼女ははじめからエリオットに会いに来たのだ。エリオットの外見がどうであろうと眼中にナシ。
 ふたりがたのしく仲良くやっている、そのべつのところでは。
 50年前アナベルを追っていたヴァンパイア・ハンター、ヴァン・ヘルシングの孫ブライアン@ヲヅキとその仲間たちが、ヴァンパイアを捕獲して実験材料にし、不老不死でひと儲けしようと画策していた……。

 つーことで、ブライアン@ヲヅキが、「世界征服」を歌います。

 マッド・サイエンティスト・ポジション(やなポジションだ……)は、我らが圭子おねーたまです、端正なスーツに白衣、武器は注射器。無敵です。

 
 この公演を宣伝するとしたら、言うべきコトはひとつ。

「彩吹真央を好きなら、観て損ナシ」

 いろんなゆみこちゃんを見られます。
 ヲタクめがねっこ、おどおどヘタレ、青島@『踊る大捜査線』コスプレ、テル×ゆみタンゴ(腕の中でくるくる)、ヲヅキ×ゆみタンゴ(腕の中でくるくる)、愛輝とか香綾とかにまで腕の中でくるくる、はっきりいっていちばん二枚目じじい姿、なんちゃってヴァンパイア・コスプレ@マント付きと、クールなヴァンパイア姿など、きりがないほど魅力的な姿を見せてくれます。

 いやあ、ゆみこちゃん、髪型失敗してないじゃん!!

 かっこいいっす。かわいいっす。
 ゆみこってハンサムなときとアレなときの差の激しい人だと思っているけど、今回マジきれい、ハンサムです。青島コートのときのカオ、好きだ〜〜。

 ゆみこファンならきっとたのしい。
 ゆみこを見ているだけで、しあわせだろうと思う。

 あと、「雪組ファンなら、観る価値アリ」。

 かなめくんが、めっさ美しいです。
 美貌のヴァンパイアです。クール・ビューティです。

 ヲヅキ、かっこいいです。黒いです。

 組子たちもすげーがんばってます。
 新公学年のひよっこたちがほとんどなんだけど、みんなちゃんと役をもらい、真正面から取り組んでキラキラしてます。

 悪の「手下」コンビ(手下、って社長……せめて「部下」と……)@愛輝・香綾オイシイ。黙って踊ってるときはかっこいいぞ。目立つぞ。でもいつものイケコ定番まぬけ下っ端……。
 そしてオレは、愛輝くんが好きなのかもしれないと、今回も思った……。(何故かオレ女化)『Young Bloods!! 』以来、なんか特別扱い……。
 あーたん、体型を活かしたキャラ作り。いい感じ。
 キング、がんばってます。アイドルです、歌ってます、踊ってます、エリオットの「練習番カノジョ」も演じます。やる気満々、アピってます。目線来ます。でも声が女の子のままです、がんばれー。
 しゅうくんはラストがいい役、新公のときより歌がアレになってる? 初日だからかな。
 みなこちゃん、かっこいー。悪が似合うね。酔っぱらいぶりがすごい(笑)。
 れのくんが喋ってるー。歌ってるー。きれー、かわいー、きゃー。
 れのくんと一緒の男の子ふたりのうち、最後上手端にいた子は誰だ〜〜、もうひとりより確実に「男役」であろうとつたないながらもがんばっていたぞ。
 梓くんのアタマが膨張していた。や、プロローグはエロカッコよかったので、その差が……(笑)。
 あゆちゃん、かわいい……スタイルいいよなー。

 雪組は下級生があんまりわかんないんで、残念だ。てゆーかプログラム買ってないし誰が誰かマジでわからん。組ファンならもっとたのしめるはず。

 
 でも、まあ……その、つまり。
 裏を返せば、「彩吹真央と雪組若手に興味がないなら、観ても仕方ないかも」という、そーゆー作品です……。
 なにしろいつもの小池オリジナルだからなー。

 あと、ゆみこ総受ですが、あまりに狙いすぎていて、萌えません。

 アニメでも、萌え声優ばっかでホモ・カップリング推奨して作られた女子向けに萎えまくるタチなもんで。
 あまりにも「さあどうぞ、こーゆーのが好きなんでしょ?」とお手軽に差し出されると、どーでもよくなります。
 萌えとゆーのはだね、作者に押しつけられるものではないのだよ。ふっ。

 最後、笑われるためだけに出てくるヲヅキにも、かなしいものがあるし。

 あと。
 ヒロインは、そのう、うつくしいひとでないと、この物語は成り立たないと思います。
 ヅカで五等身のヒロインはきついっす……。や、衣装もカツラも悪いから、気の毒なんだけどなー。素顔はキュートなのに、舞台はどーしてあんなにも……あうう。

 わたし的に、いちばんの見どころは、圭子おねーたまVS五峰姐さんです。
 比喩じゃなく、マジでふたり一騎打ち、正面切って武器握って闘いますから。
 お見逃しなく!!


 『アデュー・マルセイユ』が、恋愛アドベンチャーゲームなら。
 主人公ジェラールの、公式ダーリンキャラはとりあえず3人だよね?

 公式ダーリン……つまり、説明書に「ラヴ・エンディングあり」と明記されているキャラクタ。

 ギャングのシモン、婦人参政運動活動家マリアンヌ、市会議員モーリス。
 この3人の中からはいどーぞ、お好きなキャラとエンディングを迎えてください。

 1回はエンディングを迎えたあと、2週目のプレイからはジオラモ・エンド、フィリップ・エンドもあり。隠しキャラつーか、オトせるけれど最難関キャラはもちろんジャンヌで。
 全部のエンディングをコンプしたあとなら、禁断の少年院裏バージョンがプレイできるとか、その場合のラヴ・エンディングはペラン刑事のみだ覚悟しとけ、とか。

 まあいろいろ考えられますが(誰か実写取り込みでゲーム作ってくれ……)、王道は、シモンでしょう。

 幼なじみ設定。ベタだけどコレは恋愛ゲームの王道中の王道。
 ねえ?

 つーことで、『アデュー・マルセイユ』本編の穴を、わけわかんないところを、自分の想像で自分の都合よく補完していく話、その3です。

 もーすっかりグレているジェラール。すさんでいるジェラール。「心の傷」そのもののマルセイユへ、過去すべてを壊す覚悟でやってきたジェラール。
 シモンに近づいたのも、任務ゆえ。偽札事件に関わっていれば、逮捕するため。

 だけど。

 シモンと一緒に過ごすうち、ジェラールは変わりはじめた。

 マルセイユに巣くう密輸組織にスカウトされる頃には、ジェラールはシモンへの疑いは捨てていたと思う。たとえ彼のカジノで偽札が発見されたとしても。
 むしろ、スコルピオ組の狡猾さの前に、愚直なオリオン組の未来に暗澹たるものを感じていたのでは。
 ホテル・ネプチューンで悪党会議@ジオラモの歌によるキャラ紹介、ののち道で酔っぱらいシモンに会ったときのジェラールは、すでにかなりほだされてる。シモンに。

 ジェラールには、シモンくらい明るいバカが必要だ。

 「孤独と秘密」でがんじがらめ、じめじめしているジェラールを、シモンの晴れ渡った青空のようなバカさで、救って欲しい。

 酔っぱらいシモンのアタマを撫でるジェラール。
 あるときは笑いながら、あるときは真顔で。

 真顔の方が、好みです。

 すっげー真面目な顔で、まとぶのアタマ撫でてるの、オサ様。
 や、あくまでも役の話ですが。

 それまで意識してなかったのに、シモンのアタマをつい、撫でてしまったとき、ジェラールは気づく。
 シモンを、愛していることに。

 ……えー、この場合の「愛」は、友愛でいいですよ、めんどーなので。そーゆー名前で呼んでくれていいです。

 傷つけるために、なにもかも壊すために、来たのに。
 シモンを利用して、うち捨てるつもりでいたのに。
 気が付いたら、彼のことを心配している。彼に笑っていてほしい、信じていて欲しいと思っている……。

 幼なじみだから、というのではなく。
 シモンというひとりの男を、好ましく思っている。

 
 思うんだけど、ジェラールは、バカに弱いんだと思う。
 「純粋」と言葉を換えてもいい。

 マリアンヌにしろ、シモンにしろ、性格は違うがどっちも潔いまでにバカだ。

 「アルテミス婦人同盟」のバザーで、世間知らずお嬢様マリアンヌとうっかり盛り上がってしまうジェラール。
 純粋ゆえに、ひたむきさゆえに全力疾走、あちこち尖っている女の子が、ぽろりと弱音を吐く。

 マリアンヌは、ジェラールのイタい過去の姿。
 純粋すぎて曲がることが出来ず、ぶつかって砕け散ることになった、幼い正義感。
 彼女に対し、苛立ちを感じるのも、またどうしようもなく惹かれるのも、そのため。

 もしも同じシチュエーションで、シモンが弱音を吐いたら、ジェラールは同じようになぐさめ、盛り上がって最後はキスするね(笑)。

 営業停止になった無人のカジノ・オリオンあたりでさ。
 いつもアホ全開のシモンが不意に真顔になって、
「俺だって不安なんだ……」
 とか、言い出して。
 ギリシア神話ダイスキなジェラールが、てきとーなうんちくこねて。や、悲劇で終わるアルテミスとオリオンの神話で女の子を口説くよーな男だから、スコルピオとオリオンの神話でシモンを慰めるぐらいするぞ、きっと(笑)。

 うっかり盛り上がって手なんか握っちゃったふたりが、はっとして離れて。
 んで、最後は、
「忘れ物だ」
 つってジェラールがシモンにキスする、と。ピンスポから暗転へ。

 ……いかん、どう考えてもコントだ……。

 冗談はともかく。
 マリアンヌが「昔の自分」スキルを持った「バカ」ならば。

 シモンは、「もうひとつの未来の自分」スキルを持った「バカ」なんだ。

 もしも14年前、あんな事件がなかったら。
 シモンと一緒にこの街でのどかに育ったならば。
 ジェラールも、シモンのようになっていたかもしれない。

 故郷を愛し、仲間を愛し、この地で商売をして、仁義を守って。

 ジェラールのことをなんの疑いもなく信じ、懐を開き、受け入れる。
 そのまっすぐさ、バカ正直さが、まぶしい。

 バカだと思う。騙されていることも知らないで、と。だがその一方で。

 こんなバカになりたかったと、心が悲鳴を上げる。

 マリアンヌと、シモン。
 ふたりのバカ。

 ジェラールの胸を熱くさせる、「過去」と「もうひとつの未来」。

 マリアンヌにキスをするくらい、心がやわらく、傷つきやすく、弱りはじめているジェラール。
 冷たい石だと思っていた。もう心は動かないと思っていた。なのに今、捨てたはずの故郷でココロが動いている。
 愛したい、愛されたい。

 生きたい。

 14年前、失ってしまったはずのもの。
 自ら、封印してしまったもの。

 そう、揺れ動きはじめたときに。

 シモンが、ジェラールに別れを突きつける。

 はい、なんと見られていたんですね。ジェラールがジオラモの部屋に出入りしているところを。
 ジェラールがスコルピオ組とつるんでいることが、バレてしまった。オリオン組組長のシモンとしては、筋を通さなければならない。

 シモンはなにも知らない。
 スコルピオ以前に、ジェラールはICPOの刑事であり、偽札組織を調べるためにやって来たんだ。シモンを逮捕するつもりで近づいたんだ。
 そのことがバレなかっただけでも、よかった。まだ最悪の状況ではない。
 でも。

「俺を信じてくれ。お前を裏切るようなことはしていない」
 ……口にする言葉の、熱はどこから?
 全部嘘。最初から嘘。なのにこの熱はなに? この痛みはなに?

 傷つけるつもりで近づいたのに。

 今、傷ついているシモンを前にして。
 シモンから別れを告げられて。

 信じて欲しい、失いたくない、と、切望する自分を知る。

 シモンが突きつけるのは、14年前の封筒。ジェラールの運命を変えたもの。
 考え無しの少年だったシモンが、この封筒をずっと持っていた……彼はずっと、ほんとうにずっと、ジェラールのことを想っていたんだ。
 その真心を傷に代えて、流れる血をかつての親友に捧げる。

 ジェラールは、こんなに曲がってしまったのに。
 シモンは見せつける。「もうひとつの未来」を。こんなときにさえ。

 まっすぐに。

 
 ……てなところで、以下翌日以降欄へ続く。


 何故、ジェラールは故郷マルセイユに帰れなかったのか。

 仕事でなら帰れた、ということは、べつに物理的に帰れない理由はなかったのよ。地下水道での事件はもう「終わった」こと、誰も気にしていない。少年院を出たあといくらでも帰ることができた。仕事でアメリカに行っていたとはいえ、何年間もフリータイムが1日たりともなかったとは思えない。

 ……てな、『アデュー・マルセイユ』本編の穴を、わけわかんないところを、自分の想像で自分の都合よく補完していく話、その2です。
 はい、スタート。
 

 「孤独と秘密」ゆえに少年院に長逗留していたジェラール。成人した彼の元へ、ICPOのフィリップがやってくる。
 自らの罪と裏切りゆえに故郷に帰ることのできないジェラールは、フィリップのスカウトにふたつ返事。
 ジェラールにとっての魅力は、「別人になれる」ことだったんじゃないのか。

 正しいこと、に誇りを持っていた潔癖な少年が、自分かわいさに他人を踏みつけにした。
 安全な少年院に逃げ込んで何年も過ごし、その間に無条件に味方になってくれていた母も死んだ。
 過去は苦いだけでしかない。
 ジェラールは過去の自分を捨てた。本名を明かさない訓練所の生活や、最初から「嘘」だとわかっているルイ・マレーという名の男として生きる方が楽だ。

 ジェラールが故郷に帰れなかったのは、そこが彼の「罪の記憶」と結びついた場所だからだ。

 物理的なことならいくらでも解決できる。だが、心の問題はそうはいかない。

 嘘をつき、裏切り、葬った。

 シモンはなにも知らず無事に暮らしているらしい。それくらいは、調べればすぐにわかる。
 だが、地下水道で殺されたあの男は?
 彼の人生を踏みにじった事実は、消えない。
 スコルピオや悪徳刑事に殺されることが怖くて沈黙した。

 マルセイユは、ジェラールの「心の闇」そのものだ。

 いつも、明け方には夢に見る。愛しい故郷、マルセイユ。
 二度と戻れない故郷。二度と戻れない、公明正大だった自分。「まちがったこと、卑怯なことは許せない」と胸を張っていられた少年の自分。
 まちがい、卑怯になってしまった今は、決して帰ることができない……美しい場所。

 14年の時を経て、仕事という名目を得てよーやく故郷の地を踏むことができたジェラール。
 何故、今帰ることができたのか。

 純粋だった少年時代を、粉々に打ち壊すために。

 ジェラールの任務は、偽札組織の摘発。
 そして、マルセイユに渡った目的は、1ヶ月前に偽札騒動があった、ギャング経営カジノの調査。
 つまり。シモンを、調べることが目的。

 シモンが犯人ならば逮捕する。
 美しい故郷マルセイユ。愛していた親友と、誰にでも胸を張れた心の正しい自分自身。

 すべてを、壊すために。

 故郷を葬るために、ジェラールはマルセイユに降り立った。

 訪問することは、あらかじめ手紙で知らせてあった。シモンは無邪気に旧友との再会を喜ぶ。ジェラールもそれに応えてはしゃいでみせる。……それ以降のジェラールのテンションから考えると、不自然なほどに。再会の銀橋だけ大はしゃぎ。

 少年時代のジェラールが、どれほど心正しく頼りがいがあったかを、シモンは誇らしそうにたのしそうに、自分の恋人ジャンヌへ話す。
 それを聞きながらジェラールは、あのころの自分が「まちがったことは許せなかった」のだと、遠い目でつぶやく。シモンにおだてられても、相好を崩すことなく。

 長い時を超えて幼なじみを信用させるために、ジェラールはわざと14年前の事件の話を蒸し返した。

 シモンはなにも知らなかったのに。自分がきっかけでジェラールが少年院送りになったなんて知り、この単純な男はどれほど心を痛めたろう。
 傷つけることが、目的だった。
 罪悪感で目がくらみ、しっぽを出せばいい。偽札組織に関わっているならば。

 恩を着せ、騙すつもりで近づいたジェラール。
 なにも知らず、心からの信頼を寄せるシモン。

 幼なじみの親友同士の愛と裏切りの物語っつったら、これくらいやるもんだろお?
 なんでシモンは「いてもいなくてもいい」「だだのバカ」に成り下がってるんだイケコ。

 調べていくうちに、シモンは無関係……てゆーか、このバカにンな大それたことができるわけないとわかるのだけど。
 そして、少年のまま、純粋なままのシモンの姿に、ジェラールの心は揺れるのだけど。
 シモンを騙していること、利用するつもりでやって来たことは、覆しようもない。

 「孤独と秘密」……歌うジェラールの絶望は深い。いつかこの孤独は報われるのだろうか。

 さて。
 表面上は仲良く幼なじみをやり、シモンのオリオン組を調べる傍ら、ジェラールは昔懐かしの石鹸工場へ足を踏み入れる。
 そこで、マルセイユ帰郷初日に駅前で出会った「アルテミス婦人同盟」のマリアンヌと再会する。
 「マルセイユを愛しているのね」……なにも知らない、見るからに世間知らずの潔癖娘は簡単に言う。肯定するジェラールの、心の闇に気づくはずもなく。

 シモンに対しての疑いは薄れていたにしろ、オリオン組を張っていたのは正しい。カジノ・オリオンでの2度目の偽札騒ぎが起こった。やはり鍵はここにある。
 密輸業者ルイ・マレーを名乗るジェラールに、カジノ・オリオンの常客イタリア・マフィアのジオラモが接触を図ってきた。
 ジオラモの誘いに乗ることで、マルセイユに巣くう密輸組織の中枢に入り込むことに、ジェラールは成功した。

 ソレは奇しくも、14年前の地下水道事件の悪党たちとの再会でもあった。

 14年前の市長汚職と助役ピエール殺害については本編でなにも語られていないので、詳しいことはわからない。イケコのアタマの中ではどーなっていたのかねえ。きっと辻褄なんか存在しないんだろーけど、まあいいや。

 動揺を押し隠すジェラール。「目的は復讐ではない」と自分に言い聞かせる。
 復讐もなにも。過去を葬ったのは自分自身だ。できれば一生、見なかったこと、聞かなかったことにしていたいと思っていた。
 だから自分に言い聞かせる。14年前の事件を調べないのは、今は別の任務中だからだ。過去の自身の罪と向き合うのがこわいわけじゃない。

 いくら今は他の任務中、ったって、14年前の事件と同じ顔ぶれが揃って現れりゃ、なにかしら調べるべきだろ。偽札事件はスコルピオが怪しいと踏んでいるのだから。
 だがジェラールは頑なに14年前の事件を調べない。考えない。

 屈折しきり、闇の中で喘いでいるジェラールの前で、理想家のマリアンヌは「バカだろ、オマエ」と言われても気づかないほどの純粋さでキラキラしている。
 色も匂いもない石鹸みたいと言われて、皮肉だとわからない、誉め言葉だと受け取ってしまうようなバカ娘。
 「正しいことは、正しい」と意気をあげている、「まちがったこと、卑怯なことは許せない」と声に出して宣誓してしまえるよーな、幼さゆえのイタさを持った少女。

 マリアンヌのイタさは、まるであの日のジェラール自身のようで。

 彼女を無視できないのは、彼女がなんとなく、どーしても引っかかってしまうのは、仕方ないことなのかもしれない……。

 
 ……てな感じで、恋愛も同時進行してます、いちおー。
 まだ続きます、以下翌日欄。


 ただの自業自得なのに、被害者だと思い込んで「孤独と秘密」に酔う……そこが盛大に引っかかった『アデュー・マルセイユ』
 初日にソレでアタマ抱えたけれど、翌日には「穴を勝手に補完することでなんとかする」ことにした。

 ジェラールが抱えている「孤独と秘密」を、わたしの理解できるものにすれば、あとはそのままでヨシ。

 ……ので、わたしの中ではジェラールとモーリスの物語ができあがっているんですが、どうしましょう?(笑)

 「14年前の事件」と「現在の偽札事件」がごっちゃになっているから壊れてるんだなー。
 現在の事件を主とするには、回想シーンが無駄に長い。回想シーンを半分にして、マリアンヌとの恋愛場面を入れろ、と思う。わかりやすい恋愛場面がないと、彩音ちゃんの現在の演技力では表現できないってばよ。
 でも現実は、恋愛は忘れられていて、途中から取って付けられて、サヨナラ台詞ありきの使い方しかされていない。

 それなら、別のところに焦点を当ててたのしみましょう。
 どんな作品でもたのしむのがヲタクですから。

 わたしが主と見るのは、「14年前の事件」。
 少年ジェラールの決断と行動。

 親友シモンにネコババさせ、自分が主犯であるにも関わらず「ナニも知らない」と言い張って少年院生活。
 この謎の行動を、「わたし」が気持ちいいように理由付けすることから、すべてはじまる。イケコの意図なんぞ知らん。役者がナニを思って演じているかも知らん。わたしはわたしが納得できるよーに、登場人物の言動を考える。

 ジェラールは心正しい少年。まちがったこと、卑怯なことは許せない。
 ……とゆーことになっていたよね? 石鹸工場の社長が、幼い娘に「見どころのある少年」のことを話して聞かせ、幼い娘が憧れを抱くくらい。

 その「まちがったことは許せない」心正しき少年が、罪を犯した。

 その罪とは?

 地下水道で見知らぬ男からもらった金を、警察に届けず、横領した。
 親友シモンが金に困っていた。なんとかしてやりたいと思っていた。だが、たとえ拾った金であったとしても着服するのはいけないことだ。
 シモンもまともな少年だから、降って湧いた金を前に「警察に行く?」ととまどった声を上げる。
 本来ならここでジェラールは「もちろん、警察に届けるんだ」と力強く言うべきだった。
 母の薬代に困っているシモンが、「このお金、ネコババしてもわかんないよね?」と言い出す可能性はあったにしろ、正義のジェラールならば「盗んだお金で薬を買って、お母さんが喜ぶと思うのか?」てな正論で説き伏せるべきだろう。
 だが、横領を提案したのはジェラールの方だ。
「好きにしていいって言ってたから、いいんだ」
 とまどうシモンの尻を叩き、罪を犯させた。横領の共犯に。

 たしかに、これは罪だ。
 普段のジェラールならまずしない。

 だがこれはまだ、「親友シモンのため」という理由がある。
 実際シモンのためだけにやったことだ。
 ここまでなら、あとで取り返しがつくんだ。
 心正しいジェラールならば、シモンの母の病状が落ち着いてから自首するなりして、決着をつけるだろう。あくまでも、犯人は自分で、シモンは自分に従っただけ。
 「主犯はジェラール」であるために、シモンより先にネコババを言い出した。大金を手にしたままいれば、シモンがそう言い出さない保証はない。そのあとでネコババしたなら、実際に金を使うのもシモンなのだから、主犯はシモンになっしまう。

 金を盗み、その罪をジェラールが着て、自首する。少年院に収容される。
 ……ここまでは流れとしてまちがっていないし、十分アリだろう。

「金に困っている親友を助けたくて、盗みました。反省しています」
 横領は罪だが、少なくともジェラールは正直だ。嘘はついていない。まちがったこと、卑怯なことを許せない正義感の強い少年、というキャラ設定に澱みはない。

 だが。

 ジェラールの罪は、他人の金を横領したことではないんだ。
 そこまでなら、ジェラール的になにもまちがっていない。そのあとに、彼は過ちを犯す。罪を、犯す。

 シモンに金を持たせて逃がしたあと。
 ジェラールは鞄を追っている男たちに捕まってしまう。

 鞄の中身を探している男たちは、ジェラールに詰め寄る。「中身はどこだ」と。

 ジェラールは、嘘をついた。

「鞄は拾った。中身は知らない」
 嘘をつく。つき続ける。

 なんのために?

 金を取ったのは親友のためだった。だが、嘘をついたのは?

 もちろん、自分の命惜しさだ。

 目の前で、鞄の持ち主は殺されている。ジェラールが生かされているのは、鞄と関わった、だがどこまで知っているのかわからない、鞄の中身の在処を知っている、と思われているためだ。

「なにも知らない」
 そう言い続けるしか選択肢はない。
 「中には封筒に入った金が入っていただけだ。それは親友が持って逃げた。金はすぐに使ってしまったはず」……そう真実を口にすれば、そこでジェラールは消される。鞄の男と同じように。そのあとシモンがどうなるかはそのとき次第、また別の問題。
 ジェラールが沈黙を守るのは、自分のためだ。親友のためじゃない。

 まちがったこと、卑怯なことを許せない、正義感の強い少年……そのジェラールが、自分のために、嘘をついた。

 自分のために、他人を犠牲にした。

 誰を?

 ジェラールのことを「天使」と呼んだ男の人生。

 ジェラールが沈黙することで、鞄の男の真実もまた闇の中。彼が命を懸けてまでナニをしようとしていたか、誰にも調べてもらえないまま。
 ジェラールはひとりの男の「命を懸けた行動」をも握りつぶした。

 ただ「秘密」を守るだけなら、それほど追いつめられはしない。若いジェラールの救いになるものはいくらだってあるだろう。
 ジェラールがシモンのために罪を犯したと思い込んでいる母親は、少年院へやってきて励ましてくれる。
 シモンの命を守るために沈黙しているのだと思えば、もっと他に動きようもあった。
 面会に来た人間に頼んで、鞄の男のことを調べてもらうとか、問題の金や封筒について調べてもらうとか。
 シモンにだけはあのあとなにがあり、何故自分が少年院に入れられたか、打ち明けるべきだ。あの日シモンも地下水道にいたことが悪者たちに知れれば、シモンの身も危なくなる。
 少年院の内と外で連携して、事件を解決しなければ、いくらジェラールが「秘密」を守っていたってなんの解決にもならない。シモンは危険なままだ。

 だがジェラールはなにもしなかった。
 頑なに、沈黙を守る。
 なにもかも「なかった」かのように。

 彼が守りたかったのはシモンではない。自分自身だ。
 だから、自分だけが安全であるように、「秘密」を守り通した。沈黙していれば、とりあえず命だけは保証されるから。

 ただ「秘密」を持つだけで、あれほど「孤独」にはならない。秘密を持ったところで、信頼できる人々がいれば問題ないからだ。

 だがジェラールは「孤独」だった。
 鞄の男の人生も、シモンの安全も無視し、自分の命だけを守って「秘密」を持ったときから、心を預けられる者など存在しなくなった。

 母にも嘘をついた。
 親友のことは見捨てた。
 故郷にも、もう帰れない。

 どこにも、居場所はない。

 ジェラールにあるものは、「孤独と秘密」だけだった……。

 
 てなもんなんですがね。わたしが納得できる流れとしては。
 だからポイントは「嘘」であり、その嘘ゆえに葬られた「鞄の男の人生」であり……。

 舞台は14年後に移る。
 以下別欄で。


 そもそもの発端がまちがってしまっているために、その後のジェラールの行動すべてがおかしくなっている『アデュー・マルセイユ』

 シモンに金(と、封筒)をネコババさせたのはジェラール。
 大体、一緒に逃げればいいのにその場にとどまったのもジェラール。
 ヘタを打って見つかったのもジェラール。

 すべて自分が蒔いた種。
 なのにジェラールの脳内では「悪いのはシモン。俺は親友シモンをかばった英雄」ってことになっているのが、どーにも引っかかる。

 ここで引っかかってしまうと、せっかくの「孤独と秘密」が全部ジェラールの独りよがりになってしまう。

 悪いのは自分、他人の罪をかばっているわけではない。つまり自分の意志と判断でいくらでも「秘密」を捨てることができたし、「孤独」でなくなることもできたんだ。
 それをしなかったのは怠惰と無能のせいだろう? 「親友をかばう俺カッコイー」とかの自己陶酔ゆえか?

 少年院に送られても、最初の何年かが過ぎたあとは、どうやら、忘れられていたらしいしな。
 ジェラールをインターポールの刑事がスカウトに来ても、悪者たちは誰も気づかない。そもそも彼を少年院へ入れた悪徳刑事も、14年後に「少年院を出てから行方知れずになっていた」とのんきに思い出すくらい、ジェラール少年はどーでもいい存在だったんだ。
 孤独と秘密もないもんだ。ちょっとした才知がありゃあ、別の道で幸福になることもぜんぜんできたろうに。

 フィリップはどこまで理解してジェラールをスカウトしたのか。
 「友をかばって冤罪で投獄された少年」と思っているんだと思う。「ケンカで逮捕された」だけの少年に「鉄の意志」もなにもあったもんぢゃないからな。友でなくても、なにか大切なモノを守るために、秘密を守り続けているのだと思ったんだろ。
 つまり、フィリップが登場した段階で、ジェラールのマルセイユでの事件は「表向きとはチガウ、裏のある事件」だとICPOは認めているっつーわけだ。
 だからといってICPOが冤罪事件の真相を調べることはしなかったとしても、ジェラールが頼めば、もしくはジェラールの意志があれば、調査することができただろう?
 ジェラールは目の前で殺された「鞄の男」が何者なのか、悪者たちが追っていたモノはなんなのか、そもそも何故自分が少年院に何年も閉じこめられなければならなかったのか、まったく興味がなかったらしい。
 せっかく刑事になったあとも、調べることはせず。
 鞄の男も浮かばれないよな……。

 自分の意志で調査ができたのに、しなかった。マルセイユへも、帰りたくても帰れなかった、のではなく、ただ帰らなかっただけ。
 ジェラールが悪者の目の届かないところへ消えても平気なくらい、彼はもう忘れられていたんだから、故郷へ帰ることはたやすかったのに。
 自分の意志で帰らなかったんだ。

 地下水道事件の真相も調べないし、故郷にも帰らない。ネコババ品を押しつけた友人の様子も伺わない。
 で、本人は「孤独と秘密」と酔う。

 仕事でたまたまマルセイユへ行くことになり、善良なシモンを騙して彼のホテルへ逗留(浮いた経費は着服?)。
 仕事で追っていた事件がこれまたたまたま14年前の地下水道事件と関係があった。
 てゆーか。
 地下水道で殺された鞄の男は、当時の市長の汚職を告発しようとした助役だった。……てことがわかっただけで、「14年前の謎がすべて解けた」になるのは無理だろ。
 だって事件のこと、なにも調べてなかったじゃん? 関係なかったじゃん?

 当時の市長の汚職はどうなった? 14年前と現在のつながりは? 14年間ずーーっとすべての市長はスコルピオや悪徳刑事とつるんでいたのか?
 鞄の男の正体がわかって、わかったことって、モーリスが騙されていたってことだけじゃん。

 市長の汚職まで話を広げると、偽札事件とは別物語になっちゃうんだけどなあ。

 もちろんこれも、二転三転したプロットのなかに、

ジェラールは婦人参政権運動の活動家マリアンヌに出会う。彼女は汚職事件の最中、狙撃された元市長の娘だった。実はジェラールの母もその銃撃戦の流れ弾に当たり亡くなったのだった。

 てなものがあった名残だと思う。

 とにかく、プロットが二転三転……十転するうちに、わけがわかんなくなっちゃったんだね、イケコ自身が。
 これはプロットAのエピソード、これはプロットB、でもこの部分だけプロットAで、そこにプロットCのエピソードの一部分を付け足して、でもAとCは別の物語だったから辻褄は合わなくて……の、繰り返し。

 最初から、事件をひとつにし、主要キャラクタを決めて変更しなければよかったのに。

 プロットAの名残でジェラールとシモンは幼なじみで共に悪事を働いていて、でもプロットBではジェラールは正義の人で窃盗なんかしないから別の事件に巻き込まれて、そのことで14年も経ってからシモンに恩を着せて、プロットCの刑事ジェラールが追っているのは偽札事件なのに、プロットBの市長暗殺事件の一部が尾を引きずっていて……。
 別の話と、別のキャラクタを、ひとつの物語に混ぜるから失敗するんだ。
 ジェラールもシモンもマリアンヌも、プロットごとに別人でしょ? プロットを混ぜて人格めちゃくちゃにして、なにやってんだ?

 ストーリーの「動」部分でもこうやってわけわかんねーことになってるんだけど、そのうえさらに、ジェラールとマリアンヌは、いつからそんな関係に? てな「心」部分での薄っぺらさも露呈してるしなー。
 プロットが二転三転……十転しているうちに、ラヴストーリー書くの、忘れちゃったんだよね? プロットが二転三転……十転しているうちに、友情物語書くの、忘れちゃったのと同じで。

 あまりに書き込み不足で唐突すぎる、ふたりの恋愛。
 べつに恋しなくてもいいんじゃ? みたいな。
 そして、男ができるなり「婦人参政運動」はどーでもヨシ! という、「こんな女がいるから、女の社会的地位が上がらないんじゃん」という見本のよーな言動を、マリアンヌに取らせるしなー。
 なんでそうなるか、というと、オサに「サヨナラ公演らしい台詞を言わせるため」……ジェラールに、ではなく、オサに。

 物語的にもちっとも「故郷」に「永いサヨナラ」と言うような話ではないんだが、オサに「アデュー」と言わせたいがためだけに、内容と関係なく言わせて終わるしな。

 まあ、そこは座付き作者ゆえの愛情なんだろう……。
 作品を壊しても、サヨナラっぽくする、てのは。作品を壊している、ことに作者が気づいていなかったらどうしようという不安は残るけど(笑)。

 ほんとにイケコ、作劇の才能ないよな……。

 世界征服もマッドサイエンティストも変な機械も出てこないから、コワレ度は低い。プロットのつぎはぎだけど、とりあえず同じカラーのエピソードをつないでいるので、見た目もそれほど破綻していない。
 結果、小池修一郎のオリジナル作品としては、驚異的に「壊れていない」という評価になる。
 タカラヅカはステキなところだ(笑)。


 当初の設定と異なり、シモンは何故ジェラールが少年院に入ったのかを知らない、ということになっている。

 そこで。

 14年後に再会した折に、なんとジェラールさんは言うわけですよ。

「シモンのせいで、少年院送りになった。俺が辛い目にあったのはみーんなオマエのせいだけど、もう時効だ、俺は気にしてない」

 いや、あの。

 本当にシモンの責任であったとして。

 何故、ソレを本人に言う?

 言ってしまったら、かばってきた意味がないだろう? 母親には「ケンカに巻き込まれて逮捕された」という理由が嘘であることを告げている様子なのに、当の親友に少年院送りの原因を告げずにいたのは、彼を傷つけないためではなかったのか?

 「時効だ」と「罪の所在」を押しつけるのは、なんのため?
 かばい通して少年院で長い時を過ごした、ほどの「大切な親友」ならば、墓の中まで真実を持っていくべきだろう。
 ここで明かしてしまったら、ジェラールはただの「恩着せがましい奴」でしかない。

 何故ここで、打ち明け話をするのか。
 ソレは「地下水道での事件」を説明するため……てゆーか、ジェラールが少年院送りになる事件は、そもそも最初のプロットでは、

ある日ジェラールとシモンは菓子屋の屋台でかっぱらいを働き、逃げる途中でシモンが捕まってしまう。ジェラールは逃げ切れたが、つかまったシモンを救うため、自らおとりとなって警官に捕まり、学校を退学させられる。シモンはいつかこの借りはきっと返す、二人の友情は永遠だと誓う。

 てことで、双方知っているはずだったんだよね。

 ふたり共通の想い出ってことで、回想するはずだった。

 それがイケコの中でプロットが二転三転……十転くらいしたもんだから、わけがわかんなくなった。
 ジェラールは正義感の強い子どもで、悪いことをしたシモンを人知れずかばって院送りになった、ということになった。
 人知れず、だからシモンも知らない。ふたりで思い出話が出来ない。
 つーことで、ジェラールが「俺が院に送られたのは、オマエのせいだったんだ」と話すことになった……って、ヲイ。

 ここで確実に、ジェラールの人格にヒビが入っている。

 一生秘密にしておくべきことを、わざわざシモンに打ち明けるのなら、理由が必要だ。
 たとえば、あのときの鞄の男について調べたい、とか、自分を陥れたスコルピオの入れ墨の男と悪徳警官に復讐したい、とか。
 シモンの協力が必要だから、当時の真実を話す……てならアリだ。

 しかし、そんなつもりもない。
 ジェラールはなーんの意識も理由もなく、シモンを傷つけることがわかっている打ち明け話をする。

 
 ええ。
 現在の『アデュー・マルセイユ』の、どーにも引っかかる部分の話、その2です。

 ただでさえ、無意味に秘密を打ち明けるジェラールは人としておかしい。
 本当にシモンのせいだったとしても、よ?

 でもさ、前の欄で書いた通り、そもそも真犯人はジェラールであり、シモンはほぼ無関係、そそのかされて協力しただけなのよ?

 ジェラールが院送りになったのも、「秘密と孤独」を胸に生きてこなければならなかったのも、全部、自業自得なの。

 悪いのは自分なのに、シモンのせいにしている。
 しかも、わざわざ昔話を蒸し返し、シモンに罪の意識を植え付けている。

 故意にやっているなら、まだいいのよ。
 スルーできないくらい引っかかるのは、ジェラールが、本心からシモンのせいだと思っているらしいことなのよ。

 悪いのは自分なのに、脳内で勝手に別ストーリーを展開、俺は悪くない、悪いのは他人と都合良く変換したみたいで。
 自分の罪を他人に押しつけ、その上自分は被害者面してるみたいで。

 うわーん。ここ、すごい引っかかるんですけどー。

 無意識だとしたら、嫌すぎる。
 せめてわざとだと思いたい。

 そう。
 ジェラールは、悪の人。

 自業自得で苦労して故郷に戻ってきてみれば、昔の友人がえらく出世して、羽振りが良くなっている。
 夜の帝王だあ? シモンのくせに生意気な。

 よし、こいつを利用しちゃえ。

 バカだから、てきとーなことを言って恩を着せちゃえ。

 14年前の地下水道の一件、どう考えたってシモンは悪くないのに、さもシモンのせいだ、とアンニュイに影なんか背負って打ち明ける。

 おバカなシモンは「俺のせいで、オマエの人生が台無しに……!!」。
 や、台無しとか言うな、失礼な。まだ俺の人生終わってないっつーの。ふん。

 まったくもって唐突に、恩だけ着せてジェラールはポーズを決める。
 チョロいチョロい。

 
 ……って。

 逃げて。
 シモン、逃げて〜〜!!

 その男、アナタを利用するつもりよ、アナタがバカなのにつけ込んで!!

 
 えーと。
 そーゆー話になってしまいますが、『アデュー・マルセイユ』。

 頼むよイケコ。
 最初のプロットから、別の話になってしまったんだから、ちゃんとフォローしてよ。

 初日、最初にここでつまづいたわたしは、ジェラールって、ひどくね?!と愕然としていたために、いろいろと乗り遅れましたよ。
 彼の言動や人格にヒビが入っていても、寿美礼サマが歌声で異次元へ連れて行ってくれるから、そこで酔えるんだけどね。

 初日の幕間、ジオラモ@まっつのことでさんざんウケまくり、話題になったあと。
 なんか仲間たちみんなそろって口にしたよね。

「で、まとぶの役はアレでいいの?」
 
 ジェラールが少年院送りになった事件と無関係で、現在のジェラールの捜査にも無関係って……あのー、それじゃ彼、いなくてもいい役なんぢゃあ……?

 最初のプロットでは、関係していたのよね。重要な役だったのよね。
 ただ、二転三転……十転しているうちに、どーでもいい役になってしまっただけで。
 シモンとその愉快な仲間たちがほのぼのしている分、ジェラールの孤独が際立つ、という作用はあるが、別にソレ、シモンでなくてもいいし。
 物語に絡んでいない2番手の役ってのは、構成上「失敗したな、イケコ」と取られて仕方ないよ。

 最初のプロットでは、あくまでも、ジェラールとシモンの友情がメインの物語だったはずなのに。

 シモンが「いなくてもいい役」にまで落ちたんじゃあなあ。
 おーい、イケコぉ。


 はい、9月29日恒例の、『宝塚デスクトップカレンダー』の話です。

 半年ぶりかなあ? 日々存在をすーっかり忘れている『宝塚デスクトップカレンダー』をいそいそと起動しました。
 流れる音楽、ピンクのお花の画面が表れる。

「お誕生日おめでとうございます。バースデームービーが届いております」と、メッセージ。

 毎年毎年購入し、パソコンが古すぎてうまく動画再生できず、ムービーが見られなかったカレンダー。
 それでもしつこく毎年誕生日にはチャレンジ。
 今年はハードディスク増設したし、再セットアップもしたんだから、ちょっとはマシに動いているのよMyパソ。
 今年こそは、バースデームービーとやらが見られるかしら。

 「小さいムービーを見る」「大きいムービーを見る」と二択。
 大きいつづらを選ぶのは人間の基本でしょう! 「大きいムービーを見る」をクリック!

「お誕生日おめでとうございます。これからも、素敵なアナタでいて下さい」

 どひゃー!! 素顔化粧の水しぇんが、ワイングラス片手に喋ってるー!!

 画面でかっ。テレビとちがってパソコンの画面だから、目のすぐ前に画面。
 台詞の終わりにはニッと笑って、グラスを掲げる。

 うひゃー。
 くわぁー。

 恥ずかし〜〜!!

 毎年購入していても、バースデームービーを見られたのって、数年前のたかちゃんのときだけだもん。しかもアレ、音声だけぢゃなかった?
 動いて喋っているメッセージを受け取れたのって、はぢめてじゃないのか?

 そ、そっかあ。こーゆーもんなのかあ。
 しかしやっぱ水しぇん、素顔は微妙だなあ……悪役顔っていうか……悪魔顔っていうか……あああ、素敵……。(なによりも水くんのカオが好きです、好みです)

 わざわざワイングラス片手、つーのがもう。恥ずかしさ倍増。

 次に「小さいムービーを見る」をクリック。
 同じムービーが、今度は画面の中央にちんまりと現れる。
 あー、これはふつーだ。照れることなくふつーに見られる。この大きさなら水くんのお化粧っぷり(微妙な表現)とか気にならないし。

 すべてのスターが1枚のカレンダーだったころとはちがい、スター1人が1枚になってしまった今、誰を購入するかは迷うところ。
 「寿美礼サマは来年もカレンダーが発売される、今年が最後じゃない」と、自分に願掛けのよーな気持ちで、寿美礼サマのデスクトップカレンダーはスルーした。
 オサちゃんにも、「誕生日おめでとう」って言ってほしかったなあ……。もう二度とないんだなあ……。

 しかし、せっく買ったデスクトップカレンダー、結局まーったく使っていない。
 使用しているのは唯一、まっつ@卓上カレンダーの壁紙だけだ。

 かれこれ9ヶ月、壁紙はまっつ@卓上カレンダーのままっす……。他にまっつ画像持ってないし。
 寿美礼サマの『アデュー・マルセイユ』の壁紙に変更すっかな。(デスクトップカレンダーには、公演ポスター壁紙ダウンロード機能が毎年付いてます)

 さあ、今日は星組公演発売日だ。並びに行くぞぉ。当たりますように!!

 でもってnanaタン、お誕生日おめでとう!!(同じ誕生日だもんなー・笑)


 良い作品、だとは思うよ。
 思ってはいるけれど、どーにも引っかかる。
 そして、その引っかかりゆえに「物語」に入り込むことが出来ない。

 『アデュー・マルセイユ』について。

ある日ジェラールとシモンは菓子屋の屋台でかっぱらいを働き、逃げる途中でシモンが捕まってしまう。ジェラールは逃げ切れたが、つかまったシモンを救うため、自らおとりとなって警官に捕まり、学校を退学させられる。シモンはいつかこの借りはきっと返す、二人の友情は永遠だと誓う。

 そもそも、いちばん最初の「漁師の息子と魚屋の息子」だったときは、こーゆー設定だった。
 イケコはここからスタートして話を作り、あちこちいじってプロットが二転三転し、はっきり言って別物になってしまったあとも、この「幼なじみ設定」にだけこだわった。

 でもさ。
 スタート地点はわかるけど、競技が別物になっていたら、意味ナイと思うんだけど?
 短距離走用のスタートだったのが、途中で水泳になってたんだよ。クラウチングスタートしても、プールに落ちるだけで泳げないよ?

 えーとね。

 病気の母のために、シモンが盗みをはたらいた。警官に追われるシモンにジェラールが「オレが盗んだことにするから、お前は逃げろ。お前が捕まったら、病気の母さんはどうなるんだ!(瞳キラキラ)」「……すまない!(男泣き)」てなやりとりがあったなら、よかったんだよ。
 罪を犯したのはシモン、だが彼は母の命のため、泣く泣く親友を犠牲にする。
 病気の母の看病をしなくてはならないから、シモンは自首することができない。ジェラールはなにもかも承知の上で少年院へ入る。
 そーして時が流れ、ジェラールの行方はわからなくなり……。

 てゆーことなら、問題はない。
 14年後マルセイユに戻ってきたジェラールは、間違いなくシモンの恩人。
 シモンはずっとジェラールのことを思っていたし、ジェラールもシモンを思っていた。
 ふたりの友情は続いている。
 

 ところが実際の『アデュー・マルセイユ』は。

 ジェラールとシモンは、親友でもなんでもない。

 ただ、親の職場が同じで同じ寮に住んでいたため、親しくしていた、程度。
 クラスが同じときは仲がいいけど、翌年別のクラスになったら口も聞かないレベルか?

 
 ジェラールとシモンは、地下水道で見知らぬ男に鞄を渡された。
 鞄には、現金の入った封筒が。

 たしかに男は鞄をジェラールたちに託すときに「好きにしていい」と言っていたが、いきなりいわくありげな現金を渡されて、好きにできるものでもないだろう。
 シモンはごく真っ当に「警察に届けなきゃ」と言う。ところがジェラールは、「ネコババしよう!好きにしていいって言ってたから大丈夫!」てな意味のことを言うんだ。

 ネコババ……横領したのは、ジェラール。
 たとえそれがシモンの母の薬代のためだとしても、犯人はジェラールで、シモンは悪くない。むしろジェラールにそそのかされて悪事に手を貸してしまった。

 もしこれでジェラールが、鞄の中身を追っている一味にシモンのことを言えば、シモンを売ったことになる。
 黙っていてあたりまえ、言えば裏切り、罪の押しつけだ。

 秘密を守り通したジェラールは、えらくもなんともない。
 もともと悪いのは自分で、友人のシモンを巻き込んだんだ。
 しかも、真実を言えば消されることがわかっている。鞄の男は目の前で殺されているんだから。

 主犯のジェラールが、自分の生命惜しさに沈黙を守った。
 それだけのことだ。
 美談でもなんでもない。
 そのくせ、友人の罪をかぶったと思い込んでいる感じが見えて、「ちょっと待て」と言いたくなる。

 自業自得のくせに、なに善人ぶってんのよー。なんなのその偽善っぷりー。

 シモンもまた、ジェラールが何故突然少年院送りになったのか、知らなかったらしい。知らなくても平気だったらしい。あ、その程度なんだ。
 と、思うよな?

 
 ジェラールの母親が、少年院へ面会に行っている場面があるので、隔離されていたわけではなく、手続きを踏めば外部の人間と会って話すこともできたらしい。

 「ケンカに巻き込まれて少年院送り」という表向きの理由とは、どう考えても無関係なことを、ジェラールとその母親はもったいつけて話している。
 ジェラールは母親に、「シモンをかばって逮捕された。真犯人はシモンだが、シモンのためにあえて罪をかぶる」てなことを言ったとしか思えない。

 ネコババしたモノを返さないために投獄された、なんて絶対に言ってないだろ、オマエ。

 それとも、「盗んだモノの在処を白状したら殺される。だからどんなことがあっても言わない。貫き通す」とでも言ったんだろうか。それで母は、「殺されちゃ堪らないから、強い心で嘘を突き通すのよ!」と励ましているのか?

 なんにせよ、母親と突っ込んだ話をすることは可能だった。
 ……てことは、シモンと話すことも可能だったろうに。
 14年後のシモンがナニも知らないってことは、ふたりはちゃんと話していないってことだ。
 あまりに不自然なジェラールの少年院入りに対し、シモンはナニも感じることなく平和に暮らしたらしい。
 「ケンカに巻き込まれて少年院送りになったんだってさ」「ふーん」で終わり、つまりもともと、大して仲良くなんてなかったんだ。
 ネコババしたお金を山分けしようとしてたのに、ジェラールはケンカで捕まっちゃったのか。ま、いいや、それならオレひとりで使っちゃお、母さんの薬代高いし。
 ……そんなもん?

 ぜんぜん美しくないんですけど。どーゆーことなの、イケコ?


「ありがとうエリザベート。フランツを愛してくれて」

 そう書いたのは、3年前。
 ケロのディナーショーのときだ。

 オギー演出のディナーショー。ケロの歴史をちりばめたミニマムだけど濃いぃ作品。
 そこで『エリザベート』の、「夜のボート」があった。

 汐美真帆の代表的な役の中に、新公のフランツ・ヨーゼフがある。たしかに歌は大変だった、でも、その誠実であたたかな人柄が、高貴さと包容力が高く評価された役だった。
 それを踏まえた上での、「夜のボート」。
 
 黒いベールで顔を隠したエリザベートが、フランツの後ろで歌った。
 エリザベートを演じたのは、南海まり。
 素晴らしいスタイルと歌声。
 そして。

 このエリザベートは、フランツを愛していた。
 別々の港へ向かうしかないことを承知した上で、フランツを愛し、彼との別れを悼んでいた。

 エリザベートに愛されながら、フランツは清々しく旅立っていった。

 彼女に愛されたことが、どれほどの救いだったろう。

 汐美真帆の、最後の相手役。
 それが、南海まりだ。

 卒業公演の『ドルチェ・ヴィータ!』で、デュエット・ダンスの相手役だった。黒燕尾ケロをさらに美しく見せてくれた、たおやかな美女。

 そのみなみちゃんが、退団する。

 『ヴィンターガルテン』でかよこちゃんの相手役を務め、一躍脚光を浴びたよね。その可憐な持ち味、確かな実力に、彼女の未来が豊かなことを願った。てゆーか、「大型ヒロインキターーっ!」って感じだったじゃん、あのときみんな。『スカウト』のあとのののすみみたいに。
 彼女が新公でヒロインを演じるのを、わたしもわたしの仲間たちも、見る人聞く人みーんな願っていたよ。するべきだ、しなきゃおかしい、って。
 新公ヒロインはしなくても、『龍星』では文句無しのヒロインぶりを見せてくれた。少ない出番とアレな描かれ方、それでも匂い立つ気品と美しさ、行間を埋める演技力。

 彼女が輝くことが、よろこびだった。

 わたしの愛した彼の、相手役が素晴らしい女性であることが。
 ただのかわいこちゃんなだけでなく、実力もあり、一癖もフタ癖もある大人の女をさらりと演じてしまうその充実ぶりに、拍手を送っていたよ。

 大人の女役として、魅力を発揮できる人だと思っていたので、退団発表は寝耳に水だ。
 みなみ姫の本領発揮はこれからじゃん!!
 もったいなさすぎるよ。

 月組では『血と砂』メンバーがどんどんいなくなっているし。
 グァルディオラ@嘉月さんに続き、エンカーネーション姉さん@宝生さんまで退団発表したし。
 ケロとの思い出を共有する人たちが、どんどん遠くなっていく。
 

 加えて、ゆかりくん。
 星組名物・綺華れい。そのとんでもねー美貌を愛でるのが星組のたのしみ方のひとつであり、醍醐味であったのに。
 84期がまたひとりいなくなるのか……。

 
 と、退団者の件をのぞけば、『エル・アルコン』配役は、すげーたのしみだ。

 さすがヲタクのサイトー、細部までこだわってキャスティングしてるよヲイ。

 シグリット・シェンナ@みなみって……!!
 ティリアン@トウコの義理の父の愛人で、はぢめての女で、悪人でずるがしこくて最後は殺されるギトギトネトネトの熟女ぢゃないですか!!
 トウコ×みなみでラヴシーン希望。正視できないくらい濃いやつ。
 『ヴィンターガルテン』でみなみちゃんを抜擢したサイトーくんの作品だ。とびきり魅力的な悪女に描いてくれぇ。

 そして、個人的にいちばんツボったのが、

 ニコラス・ジェイド@ゆかり!!

 さすがだサイトー! 『ヴィンターガルテン』でゆかりくんに美貌のお稚児さん(だよね、あの役)を演じさせただけのことはある!!

 ニコラスは和くんあたりになると思ってたよ。ゆかりキタか! すげえ。

 『エル・アルコン』はニコラスが鷹の化身ティリアンと出会い、彼と共に生きる物語。純朴な少年が、悪をモノともしない強い信念に目覚めていく物語。
 影のヒロインともいえるキャラクタだぞ、ニコラス。

 ティリアンはシグリットとの情事の間、ニコラスをドアの前に立たせておくのよね……ハァハァ。

 ゆかりくん、清十郎様以来の当たり役になるかしら……。

 ジェラード@しいちゃんもすげー萌えだし。少年ティリアンのあこがれの人、父の面影を重ねる人、ほんとの父かもしれない人、でも、のちに軽蔑され、殺されてしまう人。
 ティリアンの成長……「父殺し」というパーツを担う人。

 キャプテン・ブラック@和って正気かサイトー。和×れおんを公式にやる気かよ?!(笑)
 ブラックはマジでレッドに惚れてるんだってばー。

 あげていくときりがないくらい愉快な配役になってるんだけど、とくにエリザベス女王@エレナとか、パトリック@ドイちゃんとか、ツボを突きすぎてるわ……。

 
 ショーも含め、よい作品になることを祈る。
 みなみちゃん、ゆかりくんだけでなく、ひかちゃん、ぎんがみくん、遥奈ちゃん、みんなみんな、充実した時を過ごして欲しい。

 そうしてまた、わたしの宝物がひとつ増えるんだ。

 
 ということで、まだまっつの話。

 ショー『ラブ・シンフォニー』にて。

 そもそもわたしは、まっつはいつも群衆の中にいる、と信じ込んでいた。
 中村Bといえば群舞。
 群舞のまっつはまず埋もれる。
 スターさんの後ろでその他大勢として踊るのだから、2階席からでないとまっつを発見できない。
 マジにそう思っていた。
 ショー作品としてはたった2作前にあたる『ASIAN WINDS!』がそうだったから。「山寺の和尚さん」の6人口しか、見せ場がなかった。
 あとは全部大勢の中。
 1列目にいるわけじゃないから、前に誰かいると小さなまっつは隠れてしまって見えない。
 初日はまず2階から、まっつを探そう。

 芝居『アデュー・マルセイユ』で大盤振る舞いだったのは、演出家が小池せんせだったためだろう、と思っていた。演出家の好みなのかなんなのか、小池、正塚、荻田作品では、まっつは何故か概ね役付がいい。
 演出家が変われば、またいつものその他大勢扱いだろう。前回のショー『TUXEDO JAZZ』はオギーだったからまっつがソロで歌わせてもらったりやたら出番があったりしたけど、今回はなにも期待できない。少人数口でスターさんの後ろで踊らせてもらえば感謝、てとこかなー。

 中村Bは好きじゃないので……というかそもそも興味がないので、今までちゃんと考えたことなかったけど。
 オーソドックスなことしか長所がない演出家は、生徒の役付けも、超オーソドックスだった。

 上から順に、役が付いてます。出番があります。
 ナニも考えてナイ。生徒の持ち味とか得意分野とかカラーとか、組み合わせとか相乗効果、またその反対とか。なんっにも考えず、ただ「オーソドックスなショー」を作っている。

 オギーと正反対……。口が開いてしまって、こまったわ。
 おかげで寿美礼サマはどこのダンサートップ?! って感じに踊りまくってるしね……。1曲もまるっと歌い切らせてもらってないけどね……サヨナラ公演なんだけどね……。
 一方あやねちゃんは、歌いまくってるけどね……彼女の歌だけで1場面とかすごいことになってるけどね……。

 その中村Bのナニも考えていないおかけで。

 まっつがなんか、スターっぽいです。

 まっつ、上から数えると5番目の人だもんなー。寿美礼サマ、まとぶん、壮くん、みわっち、そしてまっつ。
 中村Bはふつーに上から数えて役を振るので、まっつはちゃんと5番目の扱いを受けています。
 びっくりだ。

 オープニングの白燕尾、みわまつまで衣装がちがいます。襟に黒があり、ベストが黒。白一色の人々の中、黒が寿美礼サマの色であり、効かせ色になっている。めおくん以下若手カルテットはベストが白。
 スターがひとりずつ階段を下りて登場、場面にて、壮くんをセンターにしてみわまつ3人で登場。

 どどどどーしたんだまっつ?
 その他大勢ぢゃなかったの? なんでスターさんみたいなことになってるの?
 

 続いて壮くん中心のスーツ場面。トランプのカードからひとりずつ大仰に登場するんだが、壮、みわ、まつ、と、これまたちゃんとひとりずつ登場してくれる。それ以降は数人ずつで登場。
 まっつはずっとみわっちとペアでセンターか、センター横。
 寿美礼サマが登場して群舞群舞人口密度高すぎになっても中寄りにいる。

 
 あやねちゃんせり上がりのラテン場面、やはりみわまつで彼女の両サイド。……まっつ、前の場面に引き続いて衣装が緑。今回は緑が彼のカラーなのか? や、結局緑は2場面だけだったんだけど。
 派手な蝶の絵がついた白ジャケットに、テカテカフリフリ蛍光カラーブラウスはたしかにアレなセンスだが、いわゆる浅草サンバカーニバルな格好でなくてよかったよ……全身フリルはまっつがかなしい。

 スーツだからよかった……とは思うものの、ここの振付が恥ずかしくて、なんかツボる。

 浅学なのでラテンダンスとしてこの振付が正しいのかなんなのか、わたしにはまーったくわかっておりませんが。

 まっつの腰振りは、いたたまれない恥ずかしさがあります。

 振られるだけでも恥ずかしいのに、腰を落としぎみに回されちゃったりすると、なおいっそうイヤンです。

 まとぶさんとか、濃くてエロくてかっこいいのになー。壮くんさわやかキラキラなのになー。
 まっつだとなんであんなに恥ずかしいんだ……。

 
 で、驚愕のスパニッシュに続き、大階段黒燕尾、パレードになるわけで。

 『ASIAN WINDS!』が1階席だとまっつが見えなかったから、2階席だったのに。
 ぶっちゃけ、2階席である意味がなかった。
 1階からでも、まっつを探せるよコレ……。1階の方がいいよ絶対。
 てゆーか、スパニッシュの花道からの登場! わーん、なんであたしこんなときに1列目1番のチケット持ってないの〜〜?! いつも1回はあの場所で観てるのに〜〜、そしたら今回、まっつのソロダンスが触れる距離なのに〜〜(お触り禁止ですってば)。
 発売日、白紙引いたんだもんな、オレ……しょぼん。

 
 なんにも考えていない人が演出家のおかげで、寿美礼サマを歌で送るまっつ、が見られる幸福。
 ありがとう中村B。
 それだけはうれしい。
 うれしいよお。
 

 初日は芝居もショーも歌は「こんなもん?」だったまっつ、翌日からマジに歌声響き出してるし。

「まっつやっぱ歌うまいわ」
 と、ツッコミ担当ドリーさんがしみじみ口にしたのは、2日目のこと。初日はナニも言わなかった。
「うん、まっつ今日は声出るよーになってる。昨日よりぜんぜんうまくなってる」
 とわたしが言うと、「やっぱり?」と表情が変わった。初日とでは、ファン以外にもデキがまったくちがって聞こえたんだなー。

「やっぱ初日は公開舞台稽古だよね」
 まっつに限らず、多くの人が。
 だからこそ、なにがなんでも初日を観たいのだが(笑)。
 そーいや壮くん、初日は芝居で台詞をぶっ飛ばしてたっけ。ぐだぐだだったなー。
 そーゆーとこも含めて、わたしは初日スキー。
 
 
 ただいま入院中の母に嫌味を言われつつ、ムラ通いがんばりまっつ。
 ママの病院にもできるだけカオ出すから、大目に見てよぅ、寿美礼サマの退団公演なんだよぅ。


 ムラからの帰り道。すでに終電の何本か前、の時間なのは謎。変だよなあ、今日は1時開演なのに、どーして終電近くになるのかなあ。(nanaタンといつもの店で5時間以上くっちゃべっているからです)

 周囲をキョロキョロして、誰も見ていないのを確認、がしっと『TOKK』を複数部握りしめました。

 阪急電鉄の無料情報紙『TOKK』。たしか隔刊でジェンヌのインタビューが掲載されている。
 ムラへ向かうときの駅で、新しい号が出ていることには気づいていたけど、「どーせまっつには関係ないし」とニヒルにスルーしていました。
 『TOKK』に載るのは、スターさんだけだもん。トップさんだとか、いわゆる「番手」のあるスターまで、あとはバウや新公などの主演者、組替えなどの話題があった人、退団が決まった人……まっつは関係ないわ、ふっ。

 ところがどっこい。
 今回の掲載者は、花組の未涼亜希さんですよ!!
 びっくりだ。
 どーしたんだまっつ、まるでスターみたいぢゃないか。

 いつもの店でnanaタンと「『MIND TRAVELLER』の新公があったら、キャスティングは……」とか、くだらないことをえんえん喋っているときに、チェリさんから情報メール。
 えええ、まっつが『TOKK』にいぃ?!

 自宅最寄り駅にて、どきどきしながら複数部をラックから抜き取った。や、時間が遅いからもう、わたしが利用する改札口は駅員さんも誰もいないんだもん(笑)。
 なんで複数部かって? 保存用にするのよ。もう二度と載らないかもしれないんだから、たくさんストックしておくのっ。
 その場では開くことができず、折らないよう、汚さないよう気を付けて持って帰る。
 ……涙ぐましいですね。

 そーやって心臓はくはくさせながら、自室で開いた『TOKK』の未涼亜希さん。

 えーと。
 写真、微妙ぢゃないっすか?
 
 ちなみに、コレ。
 http://www.hankyu-com.co.jp/tokk/takarazuka/071001/index.html

 なんか、やつれてるなあ、まっつ……。
 今回の公演は、ちょっとありえないくらいの役目をもらってるもんなあ、まっつ。

 あの歌う悪役ジオラモさんだけどさぁ。演じている未涼亜希って人、前回の公演で台詞4つしかもらってなかった人だよ? ちなみに、その前の公演では、1本モノだっつーに台詞2つしかもらってなかった人だよ? さらに、その前の公演でも……いくつだ? 3つくらいは台詞あったっけ? 『ル・サンク』に写真載ってなかったんだよ? 背景にすら。
 (台詞数、訂正入ってます・笑)

 そんな人が、いきなりセンターで歌って踊って、トップスターやら専科さんやら組長やら相手に演技してんだもんなあ。
 今回だけかもしんないけど、次回はまた台詞3つに逆戻りかもしんないけど、それにしてもすげえよなあ。
 よくやるよなあ。

               ☆

 ということで、まっつの話。

 ショー『ラブ・シンフォニー』にて。

 わたしがもっとも驚愕したのは、中詰めあとのスパニッシュ場面。

 寿美礼サマ、まとぶん、壮くんという微妙に不協和音なトリオが歌いながら銀橋を渡り(オサ様とまとぶならきれいにハモるのに、3人になるとなんであんなに……ああ、これぢゃ誰が問題か指摘してしまっているわ……や、ソレが味ですとも!)、本舞台に戻ったあと。

 下手と上手に帽子をかぶった男たちが出てきた。
 下手はひとり、上手は3人。初日、2階のてっぺんにいたわたしに、顔は見えない。
 たぶんまっつは上手の3人のうちのひとりだろう。順番からいって、ひとりで登場はみわさんだろうし。

 と、思いつつわたしは下手の男から目が離れない。
 顔は見えない。……けど、なんかアレ、まっつに見える……。

 わたしのなかの「常識」とか「理性」が、「ありえない」と告げる。
 まっつがひとりで登場して踊るわけないじゃん、と。

 でもアレ、まっつじゃん!!

 顔見えないけどっ。今回のショー帽子率高すぎで2階から観てもぜんぜんたのしめないんだけど。
 でもあのアゴのライン、あの身体のコンパクトなライン、あの動き、まっつだもん!!

 ……おどろきました。
 ひとりで登場して花道で踊って、本舞台で他の同衣装の男たちと合流し……歌い出した。ひとりで。

 えええええ。
 ソロ?!
 ソロ有りなの、まっつ?!

 まっつの歌に載せて、スパニッシュの男女が踊る。

 てゆーか、この歌。

 旅立つ者を、送る歌。

 寿美礼サマを、送る歌だ。

 まっつがソロ歌で寿美礼サマを送る?!

 ……想像もしていなかった事態に、うろたえました。
 心臓ばくばく、体温上昇。

 歌詞の意味がわかった途端、涙腺崩壊。

 しかも、わざわざセンターで踊る寿美礼サマに絡むよーに近づく振りまでありますよ、まっつ!

 ありえない。こんなことありえない。
 まっつがちゃんと、寿美礼サマを送る場面を与えられているなんて。

 信じられなくて、幸福で、取り乱し続けた。

 どーしてこんなことになってるの?
 今までのまっつの扱いから、ありえなくないか?
 や、なんかの間違いでもうれしいからいいんだけど!

 でもってその幸福な惑乱は、大階段黒燕尾の下りてくる位置だとか、そのあとのみわさんとのワンフレーズだけの歌とかまで続き、最後に。

 パレードの大階段歌付きひとりセンター降りで、頂点に達する。

 あああありえねーっ!!

 みわっちがひとり降りでも、まっつは誰かと一緒だと信じ切っていたよ。
 なんなのコレ、盆と正月とクリスマスと誕生日が全部一度に来た?(すでにナニを言っているのかわかりません)

 初日は消耗しきりました。ええ。

 寿美礼サマの最後の作品として『ラブ・シンフォニー』に不満はありまくるんだけど、まっつファンとしては、スパニッシュの歌だけでも感涙です。

 まっつが歌うんだよ……寿美礼サマへの歌だよ……。

 届けまっつのバーニングハート!!

 エンカレッジコンサートで、寿美礼サマのDSの歌を、寿美礼サマと同じ演出で歌いきったまっつ。
 どんだけオサ様ファンやねん!!と突っ込んださ。
 新公の舞台上アドリブで、CSのオサ様番組のゲストで、『宝塚GRAPH』のコラムで、オサ様への愛を絶叫してはまるっとスルーされている、まっつの報われなさ具合がとことん美味。

 最後の最後に、公式に愛を叫ぶことが許されるなんて……。

 感激です。よよよ。


 まっつの話。

 『アデュー・マルセイユ』初日、わたしはえんえん、まっつを探した。

 ジオラモという役がイタリアの大金持ちで、悪役だということは聞いていた。
 とゆーことは、ずばりマフィア役だろう。年輩の役で、ヒゲ有りだということも、事前に小耳に挟んでいた。
 それならオープニングのギャングたちの中にも、ジオラモとして出るかしら?
 小池作品なら、オープニングがそのまま物語になっている可能性もあるが、たとえばウルフシェイム@『華麗なるギャツビー』みたいに、群舞の隅っこで小芝居してるかも?(注・ウルフシェイムはヒゲのエロオヤジ・ギャング。当時3番手のタカネくんが演じていた)

 しかし、それらしき人はいない。
 ジオラモはプロローグには出ないのか。しょぼん。
 
 にしても、アルバイトはしているはずだ。ヒゲ無しでスーツの男たちにまざっている?

 巨大な大劇場のてっぺん、B席から必死に探す。
 ……いない。

 まっつは、どこにいるんだろう。
 どこに出るんだろう。

 予習しなくても、まっつならわかると自信を持って予備知識ナシで臨んだことが裏目に出た? わたし、まっつを見逃した?

 ミュージック・ホールの客、インターポール訓練生……どこかにいるはずと必死に探す。
 でも、いない。
 開演30分を過ぎると、いい加減不安にもなる。まっつは? プロローグから、一度も出てないのよ? ルドルフ@『エリザベート』だって、クリフォード@『マラケシュ』だって、ヴィットリオF@『落陽のパレルモ』だって、プロローグには出てるわよ?(出演時間の短いことで有名な役を上げてみました。あ、全部ゆみこの役だ)

 あ、まっつ? と思ってオペラを合わせるたびにちゃーなんですけど、どうよソレ?(ちょっと逆ギレ)

 ここまで焦らされて、よーやく登場したのを見たときにゃあ。

 おっさん役だとは聞いてたけど。ヒゲっつーのも、相手役がとしこさん(!)、つーのも小耳に挟んでたけど。

 実物があんなだとは、夢にも思ってませんでした。

 え、えーと。
 黒塗り。
 成金系艶々タキシード。
 オールバック。
 ゴールド指輪ギラギラ。
 葉巻。
 札ビラ切りまくり。
 愛人とエロエロ絡みまくり。

 ご、ごめんまっつ。見るなり、爆笑した。

 わたしだけぢゃないから! 並んで見ていたチェリさんも同時に吹き出してたから! 幕間に集まった仲間たち、ドリーさん、木ノ実さん、こうめさん、みんなもれなく「笑った」って言ってたから!(フォローになってません)

 な……なんなの、あの、カユさは。

 まっつに釘付け。
 オペラでガン見。

 エロいです。
 エロいですよ、ジオラモ@まっつ。
 ルーレットに興じているのですが、ずーっと愛人のクラウディア@としこさんの腰を抱き、肩を抱き、あちこち撫でくりながら、札ビラ切ってんの。
 仕草のひとつひとつが、大仰で、エロ。
 キザ男、成金男、勘違い男の見本のような、仕草。
 ポーズのひとつひとつ、角度のひとつひとつにこだわりありまくり、「見られている俺」を意識したいやったらしさ。

 す、すげえ。
 まっつ、本気だ。
 本気で演技してる。本気で、作り込んでる。フィルム1コマずつ計算して描き込んだアニメーションみたいだ。

 本気なのはわかった。
 すごいのもわかった。
 ここまで、計算し尽くして、見せ方にこだわってカタチにこだわって、「演技」しているなんて、マジすげえ。

 でも。
 ごめん、笑えたんだわ。

 必死でオヤヂぶっているまっつ。
 大物ぶっているまっつ。
 セクシーぶっているまっつ。

 ど、どうしよう。
 笑える。

 しかもこのジオラモさん、何故かひとりだけ台詞のほとんどが、歌。
 何故ひとりだけ?!(白目)

 これだけ濃い役だと、アルバイトできないのも納得。幕開きから40分出番がないのも仕方ないとあきらめよう。

 天下の春野寿美礼相手に、オヤヂぶるまっつ。
 ジェラール@寿美礼サマの肩を抱いて歌うまっつ。口説くまっつ。

 どうしよう! 愛人(女)以外が相手でも、基本がエロなんだ、このオヤヂ! 男相手でも基本お触りアリで口説くタイプなんだ!
 まっつなのに!!

 まっつが対峙する相手がすごい。
 ヘタレ男モーリス@壮くんは置くとして、存在だけで文句なく悪役@星原先輩&はっちさんだよ?! 彼らと並ぶのよ?
 悪徳警部@星原先輩、ギャング団ボス@はっちさんと「仲間」「同等」というだけでも、まっつ的には笑える事態なのに。

 物語が進むと、わかる。
 この悪役チームのリーダーって、まっつ?!!

 先輩や組長の、上に立たなきゃならんのか、まっつ!

 星原美沙緒より、夏美ようより、格上悪役の、まっつ?!

 なんの冗談だ、ソレは。

 まっつは、がんばっていた。
 「冗談」としか思えないキャスティングでも、力関係でも、がんばっていた。
 本気で演技して、本気で作り込んで、計算し尽くして、見せ方にこだわってカタチにこだわって、「演技」しているってば。

 実際、うまいと思うよ?
 努力もわかるし、うまいとも思うのに……何故か、笑えて仕方がない。

 最高に笑えたのは、前にも書いたが壮くんの頬をつつくまっつ。

 エロオヤヂだから。男相手でも触りまくるから。
 きゃんきゃんうるさい阿呆な若造@壮くんを黙らせるために、エロスキンシップしちゃうわけだから。

 まっつ×壮って。
 なんなの、その微妙なエサは。飛びつけばいいのか、ドン引きすればいいのか、腐女子的にも混乱するわ(笑)。

 相手役のとしこさんだって、本来なら土下座して「お願い」しても鼻であしらわれるよーな、格上のおねーさまだ。その本物のエロ姐御を「愛人」として腕の中で転がさねばならんという難題付き。

 まっつの前に立ちふさがったハードルは、どれほどのものか。

 終演直後にチェリさんがまっつを称した名言。

「精神的上げ底」

 まさに、上げ底。もー、大変。

 ちょい悪オヤジまっつ。
 笑ったけどね。
 ものごっつー笑って、声殺して笑い堪えて、腹筋使いながらも。

 うわああぁぁあん、まっつ好きだーーっ!!

 テリトリー外の役に正面から取り組んでいるまっつが好き。
 笑えるかもしれないけど、無理目かもしれないけど、本気で立ち向かっている姿が好き。作り込んだ演技が好き。

 ビジュアルは美しいじゃん。黒塗りもヒゲもオールバックも似合い過ぎ。
 なんかもー久しぶりにまっつを「美形」だと素直に思ったわ。(久しぶりなのか!)

 終始としこさんとエロエロしているんだけど、そこに愛があるのも素敵。
 ほんとうに愛しそうに、大切そうに触っているの。
 シシリアン・マフィアの大物なら、どんな美女でも思いのまま、「女は若い方が価値がある」と思い込んでいるバカ男だっていくらでもいるだろうに、大して若くないだろうクラウディア@としこさんを、本気で大切にしている。
 永久の愛ではなく、今このときだけの関係かもしれないが、それでも、恋人と呼べる間をあそこまできちんと愛してくれる男なら、上等じゃないのか?
 ドラブルが起こったとき、ジオラモは必ずクラウディアを守るんだ。身を挺してかばうんだよ、いつも、自然に。

 精神的上げ底しまくっているから笑えるけれど、あの誠実な温度感は、まっつならでは。
 今は上げ底でも、経験値を稼いでスキルを身につけ、大人の男にクラスチェンジするんだ。

 まっつを好きで良かった。

 笑いながら、どきどきしながら、今、心からそう思う。

 
 いやその。
 ラストの「弁護士を呼べ!」には、爆笑させてもらったけど。あああ、小池的定番〜〜。
 そしてまっつ。「弁護士を呼べ!」のゼスチャーは、まっつのいつもの決めポーズじゃん……。


 春野寿美礼をすごいと思う。

 わたしはオサ様の崇拝者なので、この人の天才ぶりについては手放しなんだけど。
 それにしても、すごい。

 『アデュー・マルセイユ』は小池のオリジナル作品にしては驚異的に壊れていないのだが、ツッコミどころの多さは相変わらずだし、わたしの好みからはずれていることをのぞいたとしても「ソレってどうよ」的部分も多分にある。
 ……んだが、そーゆーもんを寿美礼サマがまるっと超えていく。

 脚本の粗や凸凹を、寿美礼サマが力尽くでなめらかにしてしまうんだ。
 その異次元感覚に酔う。

 作品のアラを力尽くで持っていくといえばトウコちゃんがそうだが、彼女の場合は演技力で、熱と緻密な技術によって地ならしするの。(技術だけでなく熱が加わるところがトウコの素晴らしいところ・笑)
 トウコの持っていきぶりは、地続きなの。
 地に足がついている。凸凹や亀裂を、トウコが埋めることで平らにする。
 でもオサ様は。
 平らにしようなんて、ハナから考えていない。別次元へワープする。
 RPGゲームで、戦闘になると別フィールドになる感じ。
 そこは別世界だから、ナニも気にしなくていいの。いびつなものも凸凹も亀裂もない、てゆーか大地自体ない、四次元空間。そこでオサ様は好きなだけ歌い、大暴れし、「主役」になる。
 で、役目が終わると、ひょいってまた元の世界に戻る。
 わたしたちはそのたび異次元へ連れて行かれ、元の世界に投げ戻される。
 この繰り返し。

 すげえ。すげえよ、春野寿美礼。

 地球にいたはずのわたしは、突然宇宙空間にいて、寿美礼サマの歌を聴いており、魅了されて思考ストップしているところをいきなりまた地球へ投げ出される。
 この落差。
 精神的なアップダウン。
 役者としてすごいのも正しいのもトウコちゃんだと思うけれど、寿美礼サマのディメンション・マスターというスキルも素晴らしいぞ。

 これほどの能力を持った人が、今後現れるのだろうか……。

 寿美礼ちゃん、辞めるのやめないかなぁ……。
 退団撤回してくれて、ぜんぜんいいのになぁ……。
 ぼそぼそ。


 オサ様の退団公演の演出家として、芝居・小池修一郎、ショー・中村一徳という名を見たとき、小池オリジナル作品のぶっ壊れぶりを危惧したが、それでも最低限の安心はあった。

 わたしにとって小池にしろ中村Bにしろ、つまらないものは作っても、ムカつくものは作らない評価を持つ作家たちだからだ。
 つまらない、くだらない。でも、腹も立たない。
 ……ヘヴィリピート前提なら、それくらいの作家がちょうどいいのかもしれない。

 空前絶後の名作だとかツボ作品で退団されたりしたら、そりゃ観客としてしあわせだけど、カラダが保たないよ。
 わたし的オサ様花組の最高峰は『不滅の棘』と『マラケシュ』(博多座)なんだけど、そんなもんが退団公演だったら大変だ。『不滅の棘』は1本モノだからあきらめるとして、『マラケシュ』と『エンター・ザ・レビュー』が退団公演だったりしたら、たまらない。精神的に、追いつめられてしまう。
 『マラケシュ』は、すごい話だったからなあ。リュドヴィークの孤独と絶望に打ちのめされたさ……。あんなもんが最後だったら、うれしいけど、おかしくなっちゃうよ……。
 あと、『TUXEDO JAZZ』もオサ様の「天才」を発揮できるおそろしい作りのショーだったけど、タカラヅカ的ではないから、サヨナラには向かないしな。

 つーことで、小池と中村Bでいいんだと思う。
 タカラヅカ的で、名作は作れなくても嫌悪作は作らない作家だから。

 ただ、小池は前作『NEVER SAY GOODBYE』が嫌悪作に近かったため、ちょっとだけそっちの心配もしていた。
 できることだけやってればいいのに、できないこと、はじめから持ち合わせていないことに欲を出した結果の失敗だったと思う。
 願わくば、小池が変な欲を出さず、自分のテリトリー内で勝負してくれますように。テーマを叫んだり、高尚なものを作ろうとしたりは、しなくていい。テレビアニメの『ルパン三世』2時間スペシャル程度のノリでいいんだよ。制作費何億の映画ぢゃなく、あくまでもテレビの2時間スペシャルね。小池のオリジナルなんて、そのあたりのテイストでしょ。

 初日、初回はドキドキだ。
 ナニが飛び出すかわからないから。

 結果、考えすぎていたいろんなことは杞憂に終わった。

 小池せんせは、オサのこと好きなんだなあ。
 ……それが伝わってくる作品でしたよ、『アデュー・マルセイユ』

 ストーリーは、小池のオリジナルにしては拍子抜けするほど壊れていない。そして、構成のバランスはあれれなとこがちらほらあっても、相変わらず演出はうまい。
 「サヨナラ公演」であることをこれでもかと盛り込みながら、たくさんの人たちに出番がある。物語、というか作品の意識がひとつの方角を向き、まとまっている。
 ほんとに余計な欲を出さず、オサ様と今の花組のためだけに作ってくれたんだね。

 いい作品だと思うよ。

 ただ、わたし的にはあちこちツボをはずされているので、かゆいというか、つらい作りなんだけど。
 たぶん小池せんせの「正しさ」や「健康さ」がわたしの好みからはずれているんだと思う。
 ここをもう少し、こっちへずらしてくれたら好みなのに……が、てんこ盛り。ツボが微妙にずれてるの。近いだけに、苦しいの。

 構成上のツッコミの多さも気になる。
 ソレは変だ〜〜、ソレは無視できない〜〜、が、いちいち気になる(笑)。
 でもま、それくらい穴がある方がいろいろいろいろ妄想できて、たのしいのかもしれないと、2日続けて観劇して思い直した。

 たぶん、この調子で週2ペースぐらいで観劇してりゃあ、いろんなとこで萌えが発見できるだろう。
 今のところモーリス@壮くんが萌え過ぎて、どーしよーかと思う……なんなのよあの男、かわいすぎ。
 ジェラール@オサとモーリスで萌えはぁとがめらめらしてるんだけど、どうしよう……。

 今のところは作品よりストーリーより、春野寿美礼のものすごさのみで、感動している状態。
 作品のあれやこれやで引っかかって水を差されていても、寿美礼サマがあの歌声で全部持っていくんだもん……。すげえや。

 
 『ラブ・シンフォニー』は、1階で観たら、きれいだった。

 初日はわたし、B席だったのよね。でもって今日は立ち見。
 2階で観たときは気づかなかった。きれいなのね、電飾とか照明とか背景とか。真正面から観ないとわかんないんだ……。前回のオギーショーが2階からでもたのしかったもんだから、それを基準にしてた。
 ただ、昨日も今日もセンターだったからなあ。1階でも端から見たら、どうなのかしら……きれいに見えるといいのだけど。

 中村Bらしいショーでした。
 想定内の作品なので、とくになにも思わず。
 いや、不満を言い出すときりがないし。

 良かった探し。

 ウワサのラテン場面が、ラテン衣装ぢゃなかった。

 オサコンの「きぶみーらぶ」系衣装だったら、どうしようかと。
 原色ギラギラ、あり得ない配色に水玉模様、ターバンにチョウチョがぷらぷら、とか、最悪の事態は一通り考えたからな(笑)。

「あたし、ラテン衣装キライじゃないよ」
 と、ドリーさん。うん、あのいかにもタカラヅカな衣装も、醍醐味だとは思うよ。
 でもさ。

「まっつが、似合わない」

「……納得」

 オサコンのときの「ぎぶみーらぶ」、まっつはえらいことになってましたともさ……衣装が似合わなくて。てゆーか、衣装に埋もれていて。
 まっつファンとしては、ラテンフリフリ衣装があるかどうかは、大きすぎるデンジャラス・ポイントなのよ。

 
 前半のカジノ場面は素晴らしい。
 エロ。
 えろえろ。

 オサと彩音で、重なり合いエロ。しかも、彩音攻。

 ……も、素晴らしいが、その背景で若手花男たちもそれぞれ必死にエロいことやってるのが実に微笑ましい(笑)。

 エロがんばってるりせとか、体温上げて努力中のめおちゃんとか、ひざまずくときのガニ股が気になるまぁくんとか。
 ノリノリのらいも注目。

 でもって、誰も見てないと思うけど、下手袖でまっつとさおたさんがラヴラヴ。
 スキンシップ過多。

 どうやらまっつが攻らしい。(えええっ?!)

 
 スペイン系場面も途中まではたのしい。
 舞台はいつも人口密度高すぎなんだが、それでも盛り上がってる。

 
 サヨナラ仕様のラストのオサ様、そして彩音ちゃんとのデュエットダンスも美しい。

 中村Bだから。
 凡庸でも、オーソドックスで、最低限ムカつくものは作らない。それだけが救い。

 ただ。
 天才「春野寿美礼」の最後のショー作品を、どーしてこんな愚鈍な作家に作らせるのか、というじれったさはあるな。
 寿美礼サマの能力を、解放させる作りになっていないんだもの。そのうち寿美礼サマが勝手に暴走するかな……それに期待しよう。

 これくらいの温度、濃度の作品こそが、サヨナラには相応しいのだと思う。
 『タランテラ!』みたいな超絶作で卒業したコム姫は、大変だったなあ……ファンは魂すり減らし、寿命縮めたんぢゃないかと思うよ。


 世界征服を歌う壮一帆を期待していました。
 小池オリジナル作品には、必須キャラ。悪役は世界征服を本気で企まなくてはならない。ちょいキ印、高笑いはお約束。

 我らがオサ様最後の公演、『アデュー・マルセイユ』の配役を見る限り、モーリス市会議員@壮くんは、悪役。善人ぶりしてヒロイン・マリアンヌ@彩音ちゃんに近づいているが、実は事件の黒幕にちがいない。
 悪者マフィアグループ「スコルピオ」を陰で牛耳っているのはモーリスで、彼は世界征服を企んでいるのだ。銀橋で「世界は俺のモノ」と歌っちゃうのだ。リーマンヘアは伊達ぢゃないぜ、おばさま有権者の好感度はバッチリだ!

 ……なんてこった。
 小池はアテ書きする人だったんだね。
 今までナニ書いても同じで、2番手が悪役(2番手が主人公の親友の場合は、3番手)で世界征服だから、アテ書きなんかしないっつーかできないのかと思っていたよ。ほんと、ストーリーもキャラ配置もナントカのひとつおぼえだったから。

 モーリスは、壮くんアテ書きでした。

 悪役なのも、スコルピオと通じているのも予想通りだったけど。

 トニー@『DAYTIME HUSTLER』まんまでした。

 ヘタレっぷりまで、そのまま。
 そのうえ。
 マヌケっぷりは、トニーを上回ってました。

 世界征服できない……できないよママン……。

 アテ書きというか、イメージ固定型だったのかな、小池。
 壮くんはヘタレ悪役。組が変わろうと作品が変わろうと、なさけない小悪党、リーマン系。てか、市会議員という職業まで限定?

 モーリスがヘタレ小悪党だとすると、世界征服を企むのは誰だ?

 
 小池は、イメージ固定型なんでしょうか……。
 今回、具体的に「世界征服」を歌う人はいなかったのだけど、スコルピオのボス@はっちさん、悪徳刑事@星原先輩もそりゃーたしかに悪人だったのだけど、彼らより金があるせいか規模の大きな組織の人間なのか、やたらエラそーで、余裕ぶっこいてる男がいたんですが。
 きゃんきゃん吠えるモーリスを手のひらで転がし、ワケ有りの旅行者ルイ@オサ様をやらしく口説き、年増美女@としこさんといちゃついている、ちょい悪オヤジが。

 まっつって、小池的に悪役キャラなの?

 それも、役や作品、立ち位置はちがっても、世界征服系?

 アテ書き? イメージ固定?
 でもって正義が勝ち、逮捕されるところまで固定?

 大風呂敷な歌う悪役、が、まっつの固定イメージなのでせうか……。

 ジオラモ@まっつは、シシリアン・マフィア。
 大人の男です。
 黒塗りです。口髭です。

 どうしよう。すごい、笑える。

 笑うような役じゃない。シリアスです。本気です。
 なのに、おかしい。ツボる。

 薄幸キャラまっつが、セクスィ大物マフィア中年男を、必死で演じています。

 すげーがんばってる。
 努力です。工夫です。作り込んでます。演技してます。
 そこまでやってなお、「がんばってる」のがわかって、「必死」さがびんびんに伝わってきて、なんかこーお尻がこそばゆいです。

 シリアスキャラなのに。エロオヤジのはずなのに。
 なんでこんなにナマあたたかい笑いに包まれているんだ、ジオラモ!!

 初日だから? 客席の大半が組ファンだから? みんなあれが「まっつ」だとわかっているから、笑えるの?

 余裕ぶっこいてオサ様の肩を抱いて口説いたり、としこさんの胸に顔をうずめてみたり、頬を撫でたりカラダ撫で回したり、んなことしてるのがまっつだと思うと、笑うしかない。

 わたしが最高峰にツボったのは、壮くんを抱き寄せ、その頬を指でつつくまっつ@もちろんドSな攻男です。

 まっつ×壮!!

 わ、笑い死ぬかと思った……。
 声殺すのに腹筋酷使したわ。
 や、隣の席のチェリさんと同時に吹き出してたんだけどさ……。

 あとは、ジオラモの最後の台詞もツボ直撃で呼吸困難になったし。

 壮くんの頬をつつくまっつ、だけでしばらく生きていけそうです。
 ドSぶるまっつなんて、素敵すぎます(笑)。

 今日は死ぬほど笑ったけれど、考えてみりゃわたし、海馬の帝王@『MIND TRAVELLER』も、初日は死ぬほど笑ったのに、何回目からは本気で「かっこいい……」とうっとりしていたので、ジオラモのこともそのうち本気でかっこいいと思うよーになることでしょう。

 前回の芝居で、台詞が3つしかなかったよーな人が、いきなりこんな大役与えられて、しかもひとりだけ台詞のほとんどが歌で、ゼロ番でとしこさんとタンゴ踊っちゃったりして、心の整理が出来ません、ファンとして。
 キャパ・オーバー、どかん!!って感じだ。

 なんでジオラモさんだけ台詞が歌なの……? 他の人がふつーに喋ってるのに、ひとりだけ歌で話を進めて、変な人じゃん……。
 や、もちろん他の人も歌うけど、台詞と歌の割合が、ジオラモさんだけあきらかにおかしい……。
 歌が得意なまっつだから、小池からのなんだろーけど、すげーうれしいけど、ありがたくて感涙ものなんだけど、バランス悪くてウケる(笑)。

 まっつだと思うから笑えるだけで、客観的に見たら、ジオラモって、かっこいい? ちゃんとセクスィ中年男に見えてる?

 わたしには、わからない……。
 まっつだから、おかしくて、かわいくて、くすぐったくて、あー、ケツがむずむずするっ。

「まっつかっこいいもん。ジオラモはせくすぃな、おとなのおとこだもん」
 と言い張るわたしに、ツッコミ担当ドリーさんは、「ファンってのは偉大だよね」と冷たく笑って言い捨ててくれたしっ。

 
 ショーの方も、ソロ1曲歌っちゃうし、歌いながら大階段ひとり降りするしで、心臓止まるかと思ったしな……。

 どーしたんだまっつ〜〜。まっつなのに。まっつのくせに。

 
 ……寿美礼サマについては、寿美礼サマの最後の作品だということについては、まだ考えたくないぞ。

 開演前のキャトレで、名場面写真尽くしクリアファイル見た段階で、すでに涙腺崩壊、ここで泣いてたらただのバカだろー、落ち着けオレ!!状態だったので(開演前から座席でハンカチに顔を埋めていたイタイ奴)、今はとにかくまっつにウケておきますとも。

 まっつまっつまっつ。


 『星影の人』ってさあ、宙組で再演もアリだよねとか、無邪気に考える。
 「少年」スキルをぜひ取り戻して欲しいタニちゃんが沖田、渋い色男らんとむの土方、うめちゃんの玉勇。そしてナニより、桂小五郎@みっちゃん再び!!
 是非女装してください、みっちゃん桂! 衣装同じでいいです、そのくせシリアスに願います。同じ役で同じ衣装、だけどうってかわってドシリアスとなると、腕の見せどころだと思うなぁ。

 なーんて妄想は置いておいて、雪組全国ツアー公演初日、『Joyful!!II』

 幕開け、水しぇんにマイクがなかったのは、気のせいですか?

 びびりました。水くんだけナマ声で。
 あわててオペラで確認したところ、キムもハマコもネクタイにマイク付けてるのに、水くんは付いてない。
 ムラならスタンドマイクが出てくるんだろうけど、梅芸ではフォロー無し。水くんはそのまま歌う。
 キムが自分のソロで声を出すとき、「どこまでやっていいのかな?」と水くんをチラ見していた。マイクのあるキムが全開で歌うと、水先輩の声がかき消されてしまうかもしれないものね。
 その直後、ハマコ先生が容赦なく美声を披露。朗々と。いやあ、ハマコ先生、同期トップに容赦ないなー。ま、たとえ水くんにマイクがあったとして、ハマコ先生の声量に勝てるとは思えないから、いっそ清々しくていいのかな。

 でもってオープニングの水くん、一度出たら、出っぱなしなんだね。一旦袖に引っ込むことがあれば、マイクを付けて出てこられるんだろうけど……その機会ぜんぜんなし。

 水くんの声は、たしかにボリュームは小さかったけれど、2階席にもちゃーんと届いてました。
 めーっちゃ力の入った笑顔が輝いてました。

 そして、よーやく一旦引っ込んだあと、再度登場したときはちゃんと胸にマイク有り、余裕の歌声を聴かせてくれました。よかったよかった。
 ……いやその。水くんのマイクに気を取られて、オープニングよくおぼえてないんだわ……。

 水くんをチラ見するキムと、顧みもせずマイペースに歌うハマコ、に大ウケできたので、それでヨシ。

 
 中日に引き続き、プログラム買ってないし、ムラとちがって場面解説のあるチラシも置いてないし、で、ショーになるとなにがなんやら、どこがどうやら。
 印象だけで感想を残しておく。

 キムが、すごかった。

 ひょっとして、初の2番手?
 はじめて?
 ほんとうに?
 ちなみに今日、初日だよね?

 めーーっちゃ、余裕でした。

 えーと、少なくとも1年以上は単独2番手経験ありだよね? 慣れてるよね? 知ってるよね?
 あたりまえの顔でスターやってました。

 真ん中に立ち、たったひとりで舞台を、客席を含めた広大な劇場空間すべてを埋めなくてはならなくなっても、揺るがない。
 当然である、ように、光を発する。

 トップ娘役をエスコートし、トップスター様に対峙する。
 動き続ける表情、前へ前へ、客席へ、世界へと己の存在を解放する強い力。
 安定した歌唱力、実力に裏打ちされた、自分の武器を自覚した上でのアピール。

 すげえ。
 この子ほんとに、「トップスター」になるために在る子だ。

 途中、水くんと男同士の絡みがあるんだが。
 水しぇん、自分を攻だと思ってちゃダメだってば。
 おさまりが悪く感じられたのは、水くんが「下級生相手だ、ワタシがちゃんと攻をやらなきゃ。リードしてあげなきゃ」と肩に力が入っていたせいだと思う。
 水くん、キミ、受だから。がんばって攻やらなくていいから。傲慢な若い攻に、身も心も任しちゃいなよ(笑)。

 キムが、水くん相手にもまーったく引く気がなく、ガンガンに攻めている様を見て、そう思いましたのことよ。
 ちなみにキムは、小柄でかわいらしい顔立ちのわりに受とかかわいこちゃんとかが似合わない。中性的な美少年とか背徳的な小悪魔とか、コム姫が得意としたものはことごとく似合わない。
 彼の持ち味は骨太な野郎系であり、帝王系だ。王子様でも姫君でもない。
 劇団が誤解してかわいこちゃんだの美少年だのをやらせるから失敗するんじゃん。
 水くんを誘惑するなら、蠱惑的な美少年だとか女のような中性的な小悪魔とか(いつぞやの金歩の「キリエ」みたく)ではなく、強引傲慢S系で攻めたててこそ、だわ。
 それでこそ、水くんのM的魅力が花開くのよ。(水夏希は受攻に関わらず、基本Mだと思っていますがナニか?)

 
 でもって、あちこちで嘆息したこと。

 水、キム、ひろみと来て、さらにその周囲を、らぎ、そら、谷みずせ(必ずフルネーム・笑)と固めるのよ?

 なんなの、この絶対無敵の美しさ。

 美形揃いかよ?! なんつー完璧な布陣だ。
 あまりの美しさに、感動してしまった。
 美形揃いなんだ、雪組……。雪組1の美形・かなめが抜けてさえ、この顔面偏差値の高さ。

 じつはわたし、せしるがいることにほとんど最後近くまで気づいてなくて。
 中詰めが終わって後半戦になってから、「いやー、美しいわー、つくづく、しみじみ美しいわ雪組」と感心しきりだったときに、よーやく気づいたの。
 あれ? あそこにいるのせしるぢゃね? ……えええ、せしるいたの?!

 今まで、せしるはどんなときでも目に飛び込んでくる子だったので、気づかなかったことにびっくり。
 見間違いかな。せしるは出てないのかも。出てたら芝居からわかるはずだし。
 終演後、チェリさんに「せしる出てた?」と聞いても「わかりません」としか返らなかったし……帰宅してから確認したよ、やっぱアレはせしるだったって。

 漠然と「美しい雪組」に感動していたとき、たぶんきっと、せしるも視界に入っていたんだと思うよ。なにしろ顔立ちの美しさでいけば組内五指に入る美少年だからなっ。

 これだけ美形揃いなんだと思うと、これからの雪組観劇がますますたのしみだ。
 彼らの真ん中で君臨するとなみ姫はゴージャスな美女だしさー。
 眼福眼福。

 そーいや中日でいちばん好きだった、赤い花の椅子がないぢゃないですか、全ツ!
 そこに坐るとなみ姫の壮絶な美しさ。
 となみガン見してたら終わっちゃった場面があったはず……(周囲で何が起こっていたかわからない)。

 全ツだもんなあ。セットはショボくて当たり前だよなあ。寿美礼サマの箱だってなくなったもんなあ@『エンレビ』。

 セットのショボさを吹き飛ばしてくれるのは、なんといってもハマコの歌声。

 あああ、帰ってきたなあ。どこへ、とは聞かないでくれ。ハマコのハマコ全開っぷりを見ると、すごく安心するんだ。癒されるんだ。
 まるで、長い旅路の果てに故郷へ帰り着いた旅人のように。

 『Joyful!!II』は「目がいくつあっても足りない」「もっと観たい」という強烈な欲求を残して終了した。

 水くんととなみちゃんはほんとーに、美しいカップルだ。
 芝居であんなにリリカルで初々しいのに、ショーではアダルトかつスタイリッシュな美男美女カップルとして、豊かな輝きを放ってくれる。
 や、リフトはちょっとチガウ意味で息をのむけど、そ、それでもお似合いのカップルだ。

 フィナーレのパレードで、キムが「1年以上前からですが、ナニか?」てなカオで、巨大な2番手羽根を背負っていて、感動した。

 えーと君、はぢめて……だよね? んな大きな羽根背負うの。
 でもって今日初日……だよね?

 めーーっちゃ、余裕でした。

 当然というか、慣れた風情というか。
 すげえなヲイ、と思いつつも。

 あ。
 「銀橋」に並んだつもりで客席に挨拶するとき、キムの羽根が、水くんの羽根より前にずっと出たまま。

 ダメだよキム、それは反則。トップスター様の羽根を隠しちゃダメ。君は一歩後ろに下がらなきゃ。

 ホントに、はじめてなんだ。
 お稽古じゃわからない、本当に羽根を付けて挨拶しなきゃわからない位置関係、身体の角度。

 その昔、博多座ではじめて2番手羽根を背負い、隣に立つまっつのカオを羽根で隠しかけた初日のゆみこを思い出す……みんな、最初は位置や角度がわかんないもんなんだね……。

 余裕で微笑むキムの、そんなささやかな失敗に、ちょっと胸を撫で下ろしました。
 なんだ、やっぱキムも初心者らしいとこあんじゃん。


 体調は、決して良くなかった。
 でもってこれは、体調のせいだろうか。

 雪組全国ツアー『星影の人』初日、泣けて泣けて、しょうがなかった。

 『星影の人』といえば、水くんが沖田総司。あの大人の色男・水夏希が、純情可憐な少年役。中日で観たときもその異様なまでの若作りに心を痛めたものだった。どー見ても沖田より年下の少年たちの間で、少年ぶらなくてはならない痛々しさ。
 これはいったいなんの罰ゲーム? 水くんの魅力は若作りプレイにあるわけぢゃないわ! と、アタマを抱えていた、あの作品。

 名作とかいう噂だけど、そりゃー大昔はコレで良かったのかもしれないが、21世紀にコレは無理だろ、今コレを「新作です、若手が書きました」と言ったらボコボコに叩かれるだろうクオリティ。
 柴田ブランドでめくらましされてるだけぢゃねーの? 柴田作品=名作というすり込みがあるのがタカラヅカ、でもあたしゃ中日初日に観て、「もう観なくていいや」と判断したくらい、どーでもいい作品。

 土方役がゆみこだった中日ですら、水くんの若作りやミスキャスティング感、「ゆみこと水はどう考えても逆だろ、配役」という違和感がぬぐえなかったのに、全ツでは土方役が少年役者のキムだという。
 それって、若作りを超えて水くんに幼児プレイをしろってこと?
 ひでーよ劇団、ナニ考えてんだ。土方はハマコでいいじゃん、その昔ケロが芝居では2番手役で、ショーではタニちゃんが2番手役をやったように、キムを無理矢理土方にしなくていいじゃん。

 と、思っていた、あの『星影の人』で。

 泣いた。
 もー、最初から泣けまくった。

 沖田の、もどかしい「少年の恋」に。

 ……水しぇんなのに。
 大人の色男・水夏希なのに、その「少年ぶり」に、きゅんきゅんきました。

 玉勇@となみと出会ったときの瑞々しい緊張感。中学生の恋のような、純粋さと不器用さ。
 再会と、デートの約束。そして、はじめてのデート。

 沖田と玉勇の心が近づき、おどおどとふれあい、やがて深く結び合わされていくさまに、ヲトメゴコロつつかれまくり!!
 なんなのこのリリカルさ!

 リリカルですよ、リリカル。
 みずいろにとーめいな、れぇすであまれたぽえむのせかいですよ。

 ふたりの恋がかわいらしければかわいらしいほど、結末を知っているだけに切ないのだ。

 おそろしいな、水夏希。ちゃんと少年に見えるよ。若者たちの間で誰より年少キャラを演じているのに、変じゃないよ。
 2階席だったせいかなあ?
 中日はわたし、張り切って前方席Getしてたからなあ。近くで観るとどうあがいても水先輩が若くないことが……ゲフンゲフン。

 いや、水先輩の演技力の賜物だ。そうとも。中日1ヶ月、ムラ・東宝と難役トートをこなした経験が、水くんをさらに成長させたのだ。もともと心のある演技をする人だったのが、なおいっそう役者として高見に到達したのだ。そーだそーだ。

 
 でもって、今回の公演で、ある意味いちばん危惧していたことは、少年役者のキムが土方役だってこと。

 ええ、危惧してたんですよ。前述の通り。
 それが。

 違和感ナシ。

 ど、どういうこと? 土方@キム、沖田@水でおかしくない。ふつーに観られる……って、ナニそれ?
 キムはふつーに「土方」をやっている。
 水しぇんより学年も実年令もはるかに下なのに、違和感ない。
 きっとものすげえことになる、と身構えてたのに……。
 2階席だったせいかなあ?

 わたしだけの目の錯覚かと思っていたら、芝居が終わった直後、一緒に観ていたチェリさんが、「キム、うまいねえぇ。土方で違和感ナシ!!」 とこれまた力強く感動していたので、わたしだけではなかったようだ。

 うん、キムやばい。本気でうまいわこの子。
 むしろゆみこの方が「土方」としては無理があった。見ていていたたまれなかった。

 もちろんソレは、最初に見たのがゆみこ土方であったこと、今回のキム土方は若作り水しぇんに対し、わたしの免疫ができたあとだった、てのも、あると思う。
 でも中日未見のチェリさんも「キムで違和感なかった」って言ってるしなー。免疫は関係ないのかな。
 んじゃ水先輩の「少年らしさ」が上がったことが大きいのかな。

 キムの学年や実年令、「少年役者」だという先入観を持たない、役者の顔なんかわかっていない地方のお客様相手なら、このキャスティングで無問題だ。先入観ゆえにいろいろ言うのはヅカファンだろうから、ファンをメインターゲットとした本公演ではないのなら、キム2番手で大人の男としての扱いも、まちがってはいない。

 
 作品の古さも、粗も、ムカつくところ、許容できずにどーしても引っかかったところも、全部もう「仕方ない」とわかっているから、素直に「沖田の恋」に集中した。
 だからもう、泣けて泣けてしょーがなかったよ。

 
 オープニング、沖田の他の新撰組幹部たちが登場するところ、かっこいいねえ。
 山南@ひろみ、近藤@汝鳥さん、土方@キム、山崎@ハマコが、新撰組のダンダラを着てずらりと並んで登場したとき、あまりの格好良さに息をのんだ。
 てゆーか、ハマコ、かっこいい。なんでこー色男なんだっ。
 中日に引き続いて、「今すぐ外部の舞台に出られる……つか、出て、さらに外部の男性俳優に勝てる」と思える色男ぶり。

 ハマコの巧さ、かっこよさに心酔していたわたしは、幕間に隣の席のチェリさんに「この間まで、ゾフィーやってたのにね」と言われるまで、忘れていたよ。
 そーだった、ゾフィーだったんだ、あの人。
 あの美しい壮年の女性だったんじゃん。

 …………。
 …………。
 …………。

 ハマコ、恐るべしっ。

 
 キャスティングも、誰が出るのかもわかっていないままの観劇だったので、桂@らぎ、におどろいた。
 らぎくんがやってんのかー。
 すげー、美しい〜〜。
 てゆーか、ふつーにうまいし? 『睡れる月』のころからすりゃ、ほんと成長したなあ。

 主要キャラクタはそのまんまなんだなあ。ルーシー@『ホップスコッチ』に芝居が必要な役を与えるのはやめてほしいっす……。や、きれいだから、いてくれるぶんにはいいんだけど、芝居されるとなー……。
 疑問はそれくらいで、あとはたのしく観ました。

 基本、「沖田と玉勇」しか見てませんから!!
 熱のせいかなんか知らんが、泣けて泣けてしょーがなかったから!

 水しぇん、となみちゃん!!
 もーダイスキ〜〜。


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