「また女をはべらして」
 と、ヒゲがステキなひろみちゃんが言うんだけど、プガ様って言うほど女をはべらしてないと思うの。

 『黒い瞳』、反乱軍の宴場面。

 ライトが点く前から、舞台奥で女の子をはべらしているプガチョフ@まっつをガン見していてます。女の子の顎をさわってニヤニヤしているおっさん顔の人しかオペラで捉えてませんがナニか?

 しかし、女の子相手にやに下がっているのは一瞬で、そのあとえんえん男たちにしか絡まないんですけど、プガ様?

「まあ飲め飲めー!」
 とか言って、後ろに並んでいる男たち全員に酌をして回るの。「俺の酒が飲めないのか」状態というか。
 しかも、自分の口を付けた酒を、飲ませる。

 男たち全員と、間接キッス!(笑)

 プガ様は片手に酒瓶(デキャンタ系のモノ)、片手に杯を持ってるんだけど、この人何故か、酒瓶から口飲みするのよ。杯使わず。
 で、自分が口を付けた酒瓶から、男たちに注いで回る。

 そっか、自分が口を付けたモノを、全員に配って回るのか……飲ませるのか……ソレって……。

 なんかエロいです、まっつさん。(役名ぢゃないの?!)

 女相手より、男相手にエロいと思うの、プガ様って。
 女は人生の一部、男たちは人生のすべてって感じ? 仕事に生きる男としては。
 妻よりも同僚や部下が大事なお父さんってゆーか。

 男たちに間接キス強要して回るプガ様(男たちも大喜び)を眺めていると、その前で踊っている女の子たちを見られないという……。
 や、踊り子さんたちのダンスはきっと、映像でいっぱい見られるから! その奥で男たちのアイドル!なプガ様はナマでないと見られないから!

 パルミラ@ひーことの関係は、梅芸あたりがいちばん萌えだった。なんつっても「おでこ、こつん」があったからなあ。
 その後はべつに、そんなことしなくなった……後ろから抱きしめたときの手の動きはエロいとしてもだ。

 
 プガチョフの衣装はどれがいちばん好きか、とよくまっつメイトと話すけれど、わたしはラストの茶色い長衣が好きだなー。
 戦闘シーンでロングコートをはためかすのがかっこいー。

 次に好きなのは、この宴会場面で着ている黒い衣装。
 まっつは黒が似合うよなー。
 色とデザインはこのときの衣装がいいんだけど、丈が短いので足元がまるっと出ているのが……まっつの小柄さの逃げ場がない感じ(笑)で、そこが惜しい。

 この黒い衣装の上に毛皮のコートと帽子を付けるもんで、ソリの場面とベロゴールスクの場面は大変そう。
 単純に、めーっちゃ暑そう。
 ソリの場面なんか、汗が目の下のシワに溜まっちゃって、泣いてるみたいに見える……。
 プガチョフ的にあの場面、あのやりとりで泣くのはチガウから、汗だと思って見ているけど、マジ暑そうだ。
 ただでさえシワが目立つ顔なのに、汗が溜まるとかソレってなんのいじめ……(笑)。
 ベロゴールスクでは、ニコライ@キムはコート脱ぐのに、プガチョフは帽子すらそのままだもん、暑そうだよ、見ていても違和感だよ。
 脱いだら着なきゃならないわけで、ニコライを残して舞台を去る都合上、プガ様は脱ぐわけにいかないんだろうけど、下っ端兵士@翼くんに脱いだモノを持っていかせるとかすりゃいいのに、と毎回思った。
 

 つくづく、プガチョフという役は、いろんな風に妄想できて楽しい役だなと。
 彼がナニを思い、どう行動しているのか。
 史実や初演とは無関係に、この舞台の上のプガチョフ像のみから想像するのが楽しい。

 まっつの芝居はいつも同じ、変化ナシというイメージが長い間あったのだけど、ベンヴォーリオ@『ロミオとジュリエット』で毎公演チガウ!てのを見たあとなわけだし、プガ様も微妙に違っていて、そのときどきでキャラクタというか、思想や思念を考えられる。
 彼の思いを、わたしがどう受け取ったかはここで文章にするより二次創作した方がより多面的に表現できるだろうなと思うヲタなので、考察はやめておく(笑)。
 

 柄違いではあるのだろうし、最初からまっつにアテ書きされるとしたらプガチョフはこんなに荒くれな男ではなく、もっと知将系に描かれたことだろう。
 はじまる前は、初演と同じ役作りでやっても仕方ないし、勝負しても勝てないことはわかりきっているから、まっつらしい知的でクールなプガチョフになるのかと思った。
 でも幕が上がってみれば、あくまでも初演を大切にしたプガチョフだった。だから余計にまっつだと小物感が出るというか、柄違いで勝負になってねえというかが全面に出ていたと思う。
 初演と比べても無意味なので、わたしは気にせずに楽しんでいたけど。これは贔屓云々ではなく、すべての公演がそう。その昔、大切な大切な公演だった『エリザベート』が同じ年の内に星組で再演されたときに、「再演」の葛藤は堪能したし、乗り越えた(笑)。
 どの組、どの作品でも、再演は再演として、初演とは別物として美味しく頂くことにしている。その方がヅカヲタ生活が楽しいから。

 で、そのまっつプガチョフ。
 初日あたりは最初から用意されていた「型」をなぞるのに苦労していた様子だったけれど、どんどん変わっていった。
 「プガチョフ」になっていった。
 柄じゃないこと、はわかった上で同じ役作りをして公演を重ね、自分の得意分野に当てはめるのではなく、自分の方を変えていったまっつを、役者なんだと思った。
 今までまっつがやったことのない役。体格のハンデゆえ、まず割り振られることなかったタイプ。
 それを克服していく様を、順を追って見られたのは幸福だった。

 いやあ、戦闘シーンのある役なんて、いつぶりよ?(笑)

 戦争物に出演しても、ひとりだけ戦わない役とか当たり前だったもんねえ。
 『ロミジュリ』はただひとりナイフを持たない、誰も刺さない刺されない役だったし、『虞美人』では戦闘シーンには一切出てなかったし、『ベルばら』は革命シーンはあくまでも革命のダンスで、斬り合う戦闘シーンじゃないし、黒い騎士はあとから出てきて、すぐ終了だったし。『太王四神記』は戦場には出るんだけど、お師匠様逃げ回るだけでろくに戦ってなかったし。
 とにかく、殺陣には縁のない人だったなああ……線が細すぎるせいか。

 戦うまっつを見られただけでもうれしい。
 ダンスが巧くて所作がきれいな人だから、殺陣もきれいだもんよー。
 ニコライとの一騎打ちで、剣を握り直すところとか、かっこよすぎだー。

 そして、彼の最大の武器である、声と歌。

 最初の神様ヒゲ姿(サヴェーリィチ@ヒロさんが「神様ー!」と叫んだときに、プガチョフ@まっつが登場する)で、センターで短くソロを歌う。
 その歌声の、ドラマチックさ。
 今ここからドラマがはじまる……!と思わせるような。

 ソリの歌の良さは語り尽くされたことだろうから置くとして。

 ラストの「雪の上に歌を書こう」の歌声の、すばらしさ。
 小さな身体が大きく見える。
 「聴かせる」歌を歌えるようになってきたんだなあ。今までも「うまい」歌は歌ってきたと思うけど、さらに面白い舞台人になってきてるんだなと。
 戦闘シーンってどこまで映像に収録されているんだろう?

 イヴァン中尉@央雅くんが足を斬られるところは、きちんと映してもらえるんだろうか?(斬るのはザッキーだっけ?)

 しつこく『黒い瞳』の話です。

 ベロゴールスクのみなさんが好きだ。
 イヴァン中尉もセルゲイエフ少尉@ハウルも、演技は微妙なんだが(笑)、それでも好きだ。
 短い出番ながら、人格者であることが感じられるミロノフ大尉@ナガさんのあたたかさなんかさすがだし、その妻ヴァシリーサ@ヒメもまたいい女だー。
 マーシャ@みみちゃんの友だちのお嬢様たち、アンナ@ひなちゃん、ナターリア@のあちゃんもかわいー。

 ベロゴールスク場面でのひそかなツボは、決闘後のニコライ@キムがマーシャとベッドでいちゃくらしている(語弊アリ)ときに、すぐ横の衝立の後ろで男たちがずーっと待っているんだろうな、ってこと(笑)。
「結婚しよう! ぼくは君と結婚したい」
「祝福されて結婚したいの」
 とかやってる横で、軍服の野郎ども……シヴァーブリンとセルゲイエフとイヴァン中尉が黙して出番を待っているかと思うと……。とくにシヴァ(笑)。
 けっこう長いよね、ニコライのプロポーズ。歌ったり打ち明け話したり。サヴェーリィチ@ヒロさんが飛び込んできたり。

 で、その長い場面のあと、彼らのいた隣の衝立が動き、司令官室になる。

 反乱軍襲撃予告を前に色めき立つ人々、ひとり冷め切っているシヴァーブリン。
 このとき、シヴァにキレるハウルのマイクがいつも不調なのが気になった。毎回台詞の最初の方が聞こえず、「ハウル、マイク忘れた?」と思う。
 叫んでいるウチにボリュームが大きくなり、最後の方はふつーに聞こえる。これってハウルのせいというより、音声さんの問題? 毎回ハウルが喋りだしてはじめて「おっといけねえ」とスイッチ入れて、ボリューム調節してる?
 ハウルのうまいとは言えない芝居、滑舌が良いとはいえない台詞が、マイクのせいでさらに大変な感じなのが、気になったなー。

 そんなシヴァーブリンをなじるヴァシリーサ、千秋楽だけ芝居が違っていた。
 それまではふつーに「アナタを見損なったわ!」と強く言い捨てていたのに、千秋楽は冷ややかに淡々と語っていて、それはソレでこわかった。

 とにかくこの公演で央雅くん株が上がっているもので(芝居うまくないとかさんざん書いておいてなんですが)、彼の役、出番があるとうれしいのですよ。
 イヴァン中尉が大砲を使える人だとか、副官らしくていいよなー。かっこいいよなー。
 彼のキリッとした顔と、笑顔のギャップが好きなの。
 ショーの客席降りが真横で、えんえん微笑みかけながら踊ってくれて、とろけたわー(笑)。ロケットでも見ちゃうわー。

 戦闘シーンでも、イヴァン中尉は目で追っちゃうしね。うわっ、足斬られた、痛そう!とかね。
 
 その後のプガチョフ@まっつによる裁きの場でも、イヴァン中尉が太股に包帯巻いてるのに萌えるしね。ああ、あのときの傷だわーと。
 足長いよね、包帯巻くから余計長さわかるよね、と。
 へんなとこで堪能(笑)。

 ぎゃんぎゃん吠えるセルゲイエフと、余計なことは強いて言わないイヴァン中尉のキャラクタの差がイイですな。

 ……みんな殺されちゃうんだねえ。
 もったいないなあ。みんなみんな、いいキャラなのに。個性的なのに。

 
 ところで、シヴァーブリンの暗黒がコワイです。

 いくら気にくわない同僚や上司だとしても、殺すまでいくだろーか、ふつー。

 ニコライのことをプガチョフに進言して、処刑させようとするのはいいのよ。
 シヴァーブリンはニコライに恨みがあるんだから。殺意があるんだから。
 行動の是非はともかく、ひととして心の流れはわかる。常々憎んでいた相手を、ときを得て殺そうとするのは。

 問題は、憎むまでいっていない「気にくわない」レベルの人たち。
 何年も寝食を共にしてきた仲間たちを裏切り、保身や出世欲を優先させる、ここまではわかる。ありえること。
 しかし、そんな元仲間たちを殺すようにプガチョフに進言し、処刑される様を笑いながら眺めるっちゅーのは、ひととしてコワイ。
 憎んでないのよ、気にくわないとかウザいとかのレベルなのよ? その程度の上司や同僚を笑いながら殺すのよ?
 会社とかクラスメイトとかに、ウザいなーと思う人は誰だっていると思うけど、だからといって殺さないよねええ? そこまで思わないよねええ? いくらしてもいいよと言われても、皆殺しにしないよねええ?
 シヴァ、こわい……。

 シヴァーブリンの転機は、ニコライがベロゴールスクにやってきたあと、決闘騒ぎまでの間。
 おそらく、マクシームィチ@がおりがコサックたちと連絡を取り、あーだこーだやっていたあたりかなと思う。

 ニコライがベロゴールスクに到着したときは、シヴァーブリンはまだ政府軍の軍人として話している。
 砦の兵士たちのふがいなさ、牛さんの相手で大騒ぎしているような日常に腹を立てている。「コサックと戦になるかもしれないのに」と。
 この怒りは、正規軍人としてのもの。

 それが、反乱軍襲撃が決まったときにはもう、「こんな軍隊では勝てない」と見放している。
 このときすでに、反乱軍と通じていたんだろう。

 んで、ニコライとの決闘騒ぎだけど。
 そのときに彼は自分で言ってるんだよね。
「俺はヤイーク・コサックの頭目に知り合いがいる」
 それって、プガチョフのこと……? プガチョフその人でなくても、あの辺の関係者のことよね。
 ロシア貴族のシヴァーブリンが、コサックの頭目と知り合うはずないじゃん、ふつーなら。
 このときすでにコサックと……反乱軍と通じているってことだ。

 プガチョフが刃向かう軍人は皆殺しでも、忠誠を誓う者には寛大だとわかっているから、村人や女子どもは安全だとわかってるんだよね、シヴァーブリン。
 邪魔なニコライたちは殺しても、マーシャは無事助けられるってわかってるんだよね。

 シヴァーブリンは嫌なヤツだけど、マーシャへの愛情を見ても、狂人ではないのよね。
 だからこそ、「気にくわない」レベルで砦の将校たちを皆殺し、それを笑って見物、てのはおかしいと思う。
 ほんとなら、マーシャのためにも父親のミロノフ大尉とかは助けそうなものだ。

 それをしないのだから、ニコライとの決闘騒ぎのあと、よほどナニかあったんだろうなと。
 シヴァーブリンにとっては正規の決闘、しかも先に剣を抜いたのはニコライの方、そして決闘中によそ見をして自滅ってとんでもなく不名誉、勝ったシヴァーブリンこそが英雄、正義のはずなのに。
 ミロノフ大尉他、砦の人たちはシヴァを責めたのかもな。ニコライの肩を持って。
 それでシヴァは彼らを憎んだのかもしれない。気にくわない同僚レベルではなく、殺意を持つほどの憎しみの対象に変化したのかも。

 そのへんの人間ドラマも、想像すると楽しい。
 しつこく『黒い瞳』、しつこくパラーシカ@あゆみちゃんとマクシームィチ@がおりんの話。

 えー、わたしがカップルを語るときにたびたび出てくる話題というか、観点です。
 いつヤッたか。
 ……すみません、下世話なんです、すけべなんです、てゆーか愛し合う恋人同士には必然のことではございますが、夢の世界タカラヅカで語ることではない!ということも承知しておりますがなにしろソレ込みの恋愛話が大好物なもので。

 同じ村で暮らしていたパラーシカとマクシームィチ。
 駐屯部隊の司令官であるミロノフ大尉@ナガさんの家の使用人であるパラーシカは、ミロノフ大尉付きの下士官であるマクシームィチとはなにかと接点があった。
 コサック出身のマクシームィチは、農村の暮らしに詳しい。兵隊さんとしてより、農夫として頼りがいがある。
 パラーシカは気が強く物怖じしない娘なので、シャイな若い兵隊さんのマクシームィチを顎で使う(笑)。

 パラーシカは設定上はマーシャと同世代の若い娘(18歳くらい)なんだと思う。初演は新進娘役のみえちゃんだったし、新公はカノチカちゃんだ。どんだけ本気で若い女の子の売り出し役だったか、という証のようなキャスティング。
 コドモのくせに年上の兵隊さんにずけずけと話す、生意気な女の子だ。若い女の子だからこそ恋にも一途で容赦がない、裏切ったマクシームィチに「あたしをどうするの?!」と言いつのれる。

 今回の再演で、難しいのはパラーシカの年齢(笑)。
 初演と同じでいいのか、再演ならではのオリジナル設定なのか、よくわからない。
 まあさすがに18歳はナイだろーから、マクシームィチよりいくつか年上、20代半ばくらいだと思っていればいいのかなあ。

 あの時代ののどかな農村で25歳とか26歳とかだったら、すでに行き遅れかもしんねーけど、なにしろ肝っ玉かーさん系なので誰も気にしない、ってことで(笑)。

 んで、パラーシカとマクシームィチは両想いであることは、お互いなんとなくわかってるけど、はっきりとは言い出せずにいる。
 パラーシカは年上だし行き遅れな年齢だし、自分から若い男の子に言い寄るのはいけないことかなと思っているし、マクシームィチは年下の頼りない自分がヘタに口に出せることじゃないと思っている。
 マクシームィチは年齢的に恋愛即結婚!てほどでもないけど、パラーシカの年齢を考えたら、告白=プロポーズだもんよ、ハタチそこそこの男の子としては踏ん切りつかないでしょう。
 それにマクシームィチは、自分がコサックであることも重く考えているし。途中からは、反乱軍のこともあるし。
 ふたりで一緒に牛を追いながら、告白は出来ずにいる。

 ちゃんとつきあっていたなら、マクシームィチがパラーシカになにも言わずに村を出ることはないと思うの。
 なんの約束もしていない身だから、「コサックはひとつなんだ」と軍服を捨てることが出来る。
 パラーシカも、マクシームィチの捨てていった軍服を抱きしめることしか出来ない。

 まだ、想いを伝え合っていないから。

 そんな微妙な関係だったのに、一気に互いの気持ちを確認し合うことができたのは、なんといっても戦争のせい。
 平和だったベロゴールスクが戦場になった。
 生と死の狭間で、再会するパラーシカとマクシームィチ。
「お前は敵になったんだ!」
「うん」
 てな、どうしようもない会話。
 愛の告白もなにもなく、直接「あたしをどうするの!」。
 そのすっ飛ばし感がイイ。
 順番無視で核心のみ。
 それぐらい、切羽詰まってる、追いつめられてる。ここは戦場で、ふたりは敵同士だから。

 もしもパラーシカがマクシームィチの妻ならば、彼は「ついてこい」とも「待っていてくれ」とも言ったかもしれない。でもまだ、そんな関係じゃない。
 相思相愛なのはわかるけど、今たしかにわかったけれど、彼女に対してなんの責任も負えない男は「生きているんだ」としか言えない。

 「死ぬな」じゃなくて「生きているんだ」なのがイイよなあ。

 そうして、戦場の混乱は一旦終結。
 政府軍側の敗北というカタチで。
 ミロノフ大尉以下、将校たちは処刑。大尉の妻であり、パラーシカの直接の主人であっただろうヴァシリーサ@ヒメも自殺した。
 家族同然の人々を目の前で殺されたパラーシカの前に、マクシームィチが戻る。

 裏切り者の、人殺しの、自分からナニもかも奪った……憎い許せない、愛する人が、戻る。

 ふたりが結ばれたのは、このときだと思うんだ。

 あの気の強い、激しいパラーシカが、どれだけマクシームィチを罵ったか。
 剣を抜いて、殺そうとすらしたかもしれない。
 あの優しくヘタレなマクシームィチが、どれだけ心を痛めたか。
 剣を抜いて、自傷しようとしたかもしれない。

 罪と信念と愛と。
 絶対に許せない、だけど愛してる。
 絶対に許されない、だけど愛してる。

 家族のように思っていたベロゴールスクの人々を裏切り、殺しても、信念を曲げられないマクシームィチ。愛する女を泣かせても、戦うことをやめられないマクシームィチ。
 そんな男を罵り、責め、泣きわめきながらも、愛し続けずにはいられないパラーシカ。

 哀しく激しい恋人たち。

 ベロゴールスク出身のシヴァーブリン@コマが引き続きその地を託されたように、マクシームィチもベロゴールスクに残ったんだと思う。その後彼は、プガチョフ@まっつの本隊とは行動を共にしていない。……からこそ、パラーシカの頼みで単身オレンブルグへ向かうことが出来た。
 ほんのわずかな間でも、ふたりの蜜月はあったんだと思う。

 で、オレンブルグに忍んでいったマクシームィチは、パラーシカを「おっかないけど、気のいい女なんで」と言う。この台詞って、すでに「俺の女」でないと言わない艶があるよね。ああ、ふたりは結ばれたんだなと。
 ニコライ@キムも、ああそういうことなのか、と破顔する。

 で、マクシームィチとパラーシカの別れは、ニコライがマーシャを助けに来たときかなと。
 パラーシカは反乱軍兵士マクシームィチの妻として生きるのではなく、マーシャの侍女として、ミロノフ家の使用人として生きることを選んだんだなと。本来の彼女として。

 マクシームィチも、止めなかったろう。パラーシカがパラーシカとして生きることを。
 そういう女で、そういう男だった。

 完全な別れではなく、再会を祈っての別れだろうけど。
 生きていれば、また会える。きっと会う。そう信じて。

 だけどそのあと、勢力は変化し、反乱軍が敗走することになる。ベロゴールスクにいたシヴァーブリンもマクシームィチも、プガチョフ本隊と共に前線へ出る。
 そして。
 マクシームィチは戦死する。
 ただ戦って生きて帰ることより、情を重んじた彼はニコライに殺された。パラーシカはナニも知らない。彼女は彼女の主のもとで、一緒になってきゃーきゃー右へ左へ走り回っている。

 すべてが終わったあと、パラーシカも多分、ベロゴールスクへ帰っていると思う。マーシャと一緒に。
 ひとり雪の中で死者を悼み失った愛を追憶するマーシャの横で、パラーシカがその身に新しい命を宿していてくれたらいいなと思う。
 彼女はきっと、ひとりでも強く生きていくだろうから。

 いつかまた愛した男が帰ってくることを待ちながらも、子どもを育て牛を追い、強く強く北の大地で生きるだろう。
「生きているんだ」
 マクシームィチが、そう望んだから。
 彼女の男が、そう望んだから。
 彼女自身が、そう望んだから。
 まだ『黒い瞳』の話だったりする。

 パラーシカ@あゆみちゃん。
 わたしがもっとも愛着を持っている期の娘役さん。ってことで、なんとなく眺めていたが、ここまでしっかりお芝居をしているのを見るのははじめてだ。
 ふつーにうまいよね。
 しかし。

 年齢不詳なのは、どうしたもんかと(笑)。

 初演を知っているのでパラーシカが若い女の子の役だと知っているけれど、初見の人にはわかるんだろうか。
 サヴェーリィチ@ヒロさんに「小娘」と呼ばれているので、わかるかな。でも聞きのがしちゃうかもしれないしな。
 そーすると、お嬢様と同世代の侍女の女の子(リゼット@『めぐり会いは再び』みたいな)だと、わかるだろうか……マーシャ@みみちゃんの乳母だと思われたらどうしよう、とか、関係ないところで心配してしまった(笑)。

 あゆみ姉さんは安定したうまさで演じていたけれど、これはやっぱり多少つたなくても見た目からして若い女の子がやるべき役なんだなあと思った。
 や、あゆみ姉さんでいいんですよ、別に不足はないっす! 年齢不詳だけど(笑)、それはソレでアリだと思ってるっす!

 夢華さんが休演していなかったら、多分この役だったんだろうな。劇団が売り出したいと考える下級生娘役にやらせるのに相応しい役だ。
 ショーでもあゆみちゃんのところがまるっと夢華さんだった気がする。かおりちゃんは別格歌姫、華やかな娘2ポジションを何故かあゆみちゃんがやっていたので、そういうことかなと。

 
 マクシームィチ@がおちゃんは、最初ずいぶん目立たないというか印象薄い役になってるなあと思ったし、やっぱり最後までなんか目立ちにくい演出だなあと思ったんだけど、それはソレとして、やっぱイイよなあ。

 最初に登場した場面でパラーシカに名前を連呼されるところ、「またクロが!」「またか!」みたいなやりとり、ナニが起こっているかわかりやすくしてくれればいいのに、とずーっと思っていた。
 なんでそのものズバリ、「牛が暴れてるの、マクシームィチ手伝って」「また牛が?! よーしっ」てなやりとりにしないんだろう。
 兵隊さんが村の女の子に呼ばれて牛の世話に走るなんて、シヴァーブリン@コマが「コサックと戦になるかもしれないのにっ」とキレるのも仕方ないわ、と思わせて欲しいっすよ。
 ナニが大変なのか、そしてなんでシヴァーブリンがキレてるのか、わかりにくいと思うんだ……。

 兵隊だけど牛さんをなだめるのが得意、ってのは、マクシームィチのキャラ説明のひとつになると思うんだがなあ。

 ……あれ? 暴れてるの、牛さんであってる? 説明ナイから、ほんとにわかんないよ……。

 ところでわたし、がおりくんの「仕方がないんだ!」が好きです(笑)。

 ここだけあざやかに樹里ちゃんを思い出す。樹里ちゃん好きだったなああ。
 や、好きだった人を思い出させてくれる、がおりくんの「仕方がないんだ!」が、なんかときめく(笑)。

 反乱軍襲撃!の混戦の中、再会したパラーシカがマクシームィチに言う「あたしをどうするの!」が好きだなあ。
 他になんの説明もなく、いきなり「あたしをどうするの!」。
 なんて直接話法。直球一直線、装飾ナシ。

 ほんとに、どうするのだよ。
 恋人がナニも言わずにいなくなって、敵になって帰ってくるんだもん。
 パラーシカにすべてを捨てて反乱軍に入れとか、マクシームィチが言えるはずないし、パラーシカもそんなことできるはずがないってわかってるし。

 真面目だけが取り柄でがっつり日々働いていた公務員の夫が、突然「退職した。明日から俺、ギター1本担いでアメリカ行ってくるよ。音楽が俺の夢だったんだ」とか言い出したら、そりゃもお目が点、「あたしをどうするの!」と罵るだろうなあ。
 絶対許容できない、ついても行けないところへ行くと、勝手に決められたら、キレるわ。

 そして、マクシームィチがパラーシカに言う「生きてるんだ! 生きてるんだぞ!」が、究極って感じで好き。
 同じ台詞をニコライ@キムもマーシャに言ってるよね。

 戦争がフィクションではなくリアルに存在する世界で、男たちは戦いをやめない。やめられない。
 そんな男たちは愛する女に、そう言うしかないんだ。
 女のために、愛のために、戦いをやめたり人殺しをやめたりはできない。信念を持って、進むことしかできない。
 守ることも助けることも出来ないけれど、愛している。
 だからもう、言うしかないんだよね。「生きていろ」と。
 待っていろとか信じろとかじゃなくて、生きろと。自分が関与できなくても、生きていてくれさえすればいいと。

 マリポーサの花を送り続けるよーな男ぢゃないのさ(笑)。そうやって女を縛ったりしない。
 でも女の立場からしたら、「待っていろ」とか「信じてくれ」とかゆー、ずるい男の方が救いだったりするんだけどね(笑)。

 ベロゴールスクは反乱軍の手に落ち、プガチョフ@まっつは従順を誓うならば農民たちには手を出さないわけで、パラーシカもそれで助かったわけよね。
 んで、マクシームィチとパラーシカは、味方同士として再会できたわけだ。腹の中はともかく、パラーシカもプガチョフと反乱軍を受け入れたから殺されずにすんだんだもの、だから暫定だけど味方同士。
 とはいえ、パラーシカがマクシームィチをがんがん責め立てたのは、想像に難くない。
 ぎゃーすか文句言って、お嬢さんの手紙を突きつけ、ニコライに渡してこい、たとえ敵の本隊オレンブルグに忍び込むことになっても、命がけでも渡してこいと。
 ……おっかなかったろうなあ(笑)。
 そりゃニコライにパラーシカとの関係を聞かれ、「おっかないけど」と言うわけだ。
 
 このふたりが、いいんだよなあ。
 ほんとに好きなカップルだ。
 パラーシカが見事に強くて姐さん女房で。
 マクシームィチがヘタレで尻に敷かれてて。パシリさせられてて。

 でも好きだわー。
 月組東宝千秋楽、そのかが卒業しちゃうんだ、と朝からの雨を眺めてぼんやり思った。

 タカラヅカを好きでいると、日々が流れていくのが早い。
 劇団はファンを飽きさせないようにと、次から次へとスケジュールを用意していく。
 広く浅く泳いでいたときは、次々起こるイベントを無邪気に楽しんでいられた。
 劇団が作る流れに乗るだけで、楽しく泳げた。

 でも自分がディープにファンをするようになると、用意された流れに違和感を持つ。
 自分のスピードで泳ぎたいと思う。

 劇団を無視して、自分のペースに戻せば済むことだけど、それをするにはわたしはあまりに長く深くこの流れの中にいて。今さら、この河を出て対岸を眺めるように遠くなることはできそうにない。

 すべてわたしが意志薄弱であり、またトシを取って順応力や反射神経が落ちたためなんだろう。

 
 まあとにかく。

 ここ最近のニュースに対しての感想羅列。

 花組集合日に日記を書く余地がなかったことは、地味にショックだった。
 もうずっと、花組のニュースには当日か遅くても翌日にはなにかしら触れていたのに。
 日々更新される全組のニュースに対して等しくコメントを述べたり、タカラジェンヌ全員ひとりひとりの去就についてなにかしら言えるほど全知の目と博愛の心を持っているわけじゃないにしろ、花組集合日にはずーーっと言及していたのに。
 組替えするってのはこういうことなんだなあ、と、こんなところでも寂しく思ってみたり。

 2011/05/10、花組『ファントム』集合日、ゆまちゃんの退団が発表されました。
 5組イチの美女揃いだと信じて疑わなかった、その花組美女メンバーのひとり。大輪の美貌と眼福なスタイル。
 どこにいても目立ったし、「あのきれいな子は誰」と人の口に上る、自慢の花娘。
 『La Esperanza』新公のダンサー役でその美貌に着目して(何故かあのときはゆーひくんに似てると思った……)、抜擢された博多座『マラケシュ』での台詞棒読みっぷりに震撼し(笑)、芝居はアレな子なのかと思ったけれど、『MIND TRAVELLER』他べつにそんなことはなくて、『舞姫』なんかすごく良かったし、芝居も歌も十分OKだ! なんでもかかってこい!な最強娘役のひとりだったゆまちゃん。
 好きな役がいっぱいあるよ。
 ヅカのオギー信者だったため、わたしがいちばん好きな役は『TUXEDO JAZZ』の「マフィアのボスの娘」役だけどさ。(そんな役名ぢゃなかったと思う・笑)

 再演一本モノでの退団はもったいないなああ。

 らんかくんもひそかに愛でていたので、退団は寂しいっす。顔が好きだったんだよー。

 『ファントム』は作品を好きではないため、配役にも萌えがない。
 ショレが二枚目系であることを祈るばかり。初演の宙組風だったら哀しい。
 いちかとみわっち、いちかとみつるカップルは楽しみだー。

 再演『ファントム』をアホみたいにリピートした身としては、再再演『ファントム』でも三兄弟はビスコを取り合っていちゃいちゃするのかが気になります(笑)。
 役替わりがあるからずっと同じ面子ぢゃないのは残念。3個イチでいちゃいちゃしてほしかったんだよなー。
 まぁくん、だいもん、あきらの3人と、みつる、だいもん、あきらの3人か。
 まぁだいのカップリングは好きだし、みつるとあきらの野郎コンビとかにも期待。(カップリング言うな)

 そして文化大臣はリシャールといちゃつくのでしょうか?
 そーすると、ふみか×だいもんで、『BUND/NEON 上海』再びになりますよ?! 期待していいんですか、ふみかさん?!(笑)

 んで、新公のキャスティングが現時点で全部確定したんで、新公がすげーたのしみっす。
 なんつっても仙名さんのカルロッタ!! いまっちのキャリエールも楽しみだが、はじめて大役がついた仙名さんの方にわくわくする。

 
 2011/05/24 星組東宝『ノバ・ボサ・ノバ』集合日。せあらちゃんが退団発表。
 トップになってもおかしくない子だっただけに、娘役のめぐりあわせというか運というものの大きさに溜息。
 あの怒濤のウメちゃんひとりっこ政策時(2003年から2006年まで6公演中5公演新公ヒロイン)にたったひとり、新公主演してるんだもんよ。どんだけ勢いがあったか。
 星組があそこまで極端な布陣でなければなあ。2005年のWSと2008年のWSのヒロインがふたりとも同じというくらい、娘役人事は停滞していたんだよね、極端なひとりっこ政策のために。
 とびきり美人で穴のない実力の子だっただけに、残念だ。アンナ役も好きだったし、なんつっても『フェット・アンペリアル』は大切な思い出だ……。
 てゆーかムラでも階段降りしてほしかったよ……。

 
 2011/05/27 スカイフェアリーズ終了、ナビゲーターズへ。
(花組) 瀬戸 かずや/芽吹 幸奈
(月組) 宇月 颯/彩星 りおん
(雪組) 蓮城 まこと/沙月 愛奈
(星組) 壱城 あずさ/白華 れみ
(宙組) 蓮水 ゆうや/愛花 ちさき
 って、すごい面々だなー。
 近年スカフェの選出基準に疑問だったこともあり、下級生から中堅への変更はうれしい。
 やっぱテレビで見るには美人がいいよー。ジェンヌは経験を積んできれいになる。下級生たちはきれいになる前の段階の子が多いから、ある程度出来上がった子が見たい。
 ナビゲーターズの面々は、個性も顔立ちもちゃんとタレントとして確立している子たちだ。安心だし、質の高いモノを見せてくれそうでわくわく。

 ただ、いまっちのブレイク(笑)っぷりはやはり、スカフェあってこそだったろうし、あずりんに出会えたのもスカフェあってのことだったし、と、舞台ではまだ活躍できない学年の魅力ある子たちとの出会いの場が減ってしまったことは残念ではある。
 両立はできないから、仕方ないよね。

 個人的にあきらの台頭がうれしい……。彼は遅れてきた路線キャラなので、下級生時代にはスカフェはもちろん、ビジュアル面で目立つ扱いを受けていないんだもの。
 あんだけかっこいいんだから、若いウチからもっとメディアに出していれば、それに比例して人気も出ただろうに……。遅い抜擢を取り返すためにも、イケメンぶりをテレビで発揮して欲しい。

 
 2011/05/28 雪組『ハウ・トゥー・サクシード』集合日、みうと退団発表。
 みうと……。雪組新公で彼を眺めるのがお約束だったのに。彼が新公を卒業したあともつい探してしまうくらい、それが日常だったのに。
 オサ様に似ているっつーことで注目を集めていた彼だけど、『ロミオとジュリエット』ではやたらかっこよくなっていて、あちこちから「あの金髪の子誰」って言われてたのに。OGに似ているから、ではなくみうと自身がステキだから、注目されはじめていたのに。
 卒業は本公演がよかったなあ。もったいないなあ。

 同日集合日だった雪組バウ『灼熱の彼方』への、ヒロインの片方がまったくノーマークゆえ、興味大です。
 ……朝風くんが長の挨拶をするだろーことにも、わくわくしていますが(笑)。 
 佳境です、『黒い瞳』ニコライ@キム語り。

 だからわたしは、音月桂が好きなんだと思った。

 キムくんが好きだという話は数え切れないほど書いてきたと思うので、今さらだけど。
 『黒い瞳』にて、キムくんが演じる「ニコライ」という青年……というか、少年というか、に魅せられるに従って、「あの場面の顔を見たい」と思うようになった。
 すべてを失い、死体の山の間を歩くニコライ。
 客席に背を向け、下手側に顔を向けているため、そのときの彼の顔をみるためには、下手側に坐るしかなかった。
 また、すぐに暗転することもあり、後方席では光源が足りなくて見えないのだと思う。

 千秋楽、最後の最後になって下手前方席に坐ることができたわたしは、念願だった、その場面のニコライの表情をオペラグラスでガン見することができた。

 そして。

 震撼した。

 
 それまでも、十分ニコライが好きだった。
 梅芸楽でマジ泣きしている少年ニコライを見て、ものすごいカタルシスを得た。
 プガチョフ@まっつファンで、プガチョフに肩入れして見ている以上、けっこうつらいキモチがあったりしたのだけど、それらが全部吹っ飛んだ。
 処刑台へ向かうプガチョフを前に、ボロボロ泣いているニコライを見て、プガチョフがごく自然に破顔する。
 救われたと思った。
 自分のために泣いてくれるこの少年の存在に。
 肯定されたと思った。
 高らかに歌うことができる、この少年のために。

 それが彦根で観たとき、ニコライはなんか大人になっていて、あまりカタルシスを得られなかった。
 梅芸が少年過ぎたんだよなあ、タカラヅカ・スター的にこれくらい大人でも仕方ないか。初演のマミさんはちゃんと大人だったしなあ。(てゆーかマミさん、18歳にはカケラも見えなかった・笑)
 残念だけど、それはわたしの好みの問題でしかない、これはこれでいいんだ、と思っていた。

 それが、千秋楽の日進では。
 ニコライが、少年寄りになっていた。
 てゆーか、プガチョフLOVEっぷりすげえ。梅芸に近いテンション! 梅芸より大人だけど、愛情や温度が近い!
 なまじコドモぢゃない分、さらに萌えるっちゅーか、切ない!!

 と、うれしい驚きにびびっていた。

 こんなにプガチョフのこと好きでいいの? ソリの場面の痛ましさすげえし、マーシャ@みみちゃんを説き伏せるところだって、なんかやばいよ?
 と、ドキドキ(笑)。

 そんな風に、今までよりさらに感情過多に愛すべき人間くささを持ったニコライくんで。

 誰よりも戦いの虚しさを、人殺しの惨さを知りながら、それでも武器を握ったニコライ。
 プガチョフを愛しながら、プガチョフ討伐に命を懸けたニコライ。

 誰も殺したくないと泣いた少年が、自ら作った死体の山の中を呆然と歩く。
 愛したプガチョフも捕らえられ、もうニコライにはなにも残っていない。
 あるのは、罪だけ。血塗られた両手だけ。

 そんな状態で、客席に背を向けて歩く。

 その、顔が。

 狂。

 念願の下手席で、オペラでガン見しながら、震撼した。
 
 くるって、る。
 ニコライが、狂っている。

 こころが、こわれてしまった。

 なにも映さない瞳。
 からっぽの目、からっぽの心。

 勝利したのに。
 正義の政府軍は悪の反乱軍を破り、ニコライは大活躍、無傷で戦い抜いたのに。
 ふつうなら、大団円、大喜びしている場面なのに。

 ニコライは、泣くよりも叫ぶよりも哀れな姿で、闇に向かって歩く。

 そこにある、狂気。
 狂ってしまった、壊れてしまった、おそろしさ。かなしさ。

 その表情を見るなり、号泣しました。
 マンガみたいにぶわっと泣けた。
 声ころすの必死、喉が鳴らないようにするの必死。オペラが揺れるわ曇るわ、もう大変。

 そうだ、どうしてわたしがキムを好きなのか。
 彼には、毒がある、狂気がある。
 とびきりのかわいこちゃんで笑顔が素敵で強くて健康的なのに、彼には歪みや澱みがある。
 だからわたしは、彼が好きなんだ。

 だから、音月桂が好きなんだ。

 ニコライの狂ってしまった瞳を見て、地団駄踏んで暴れたいくらい、思った。
 ニコライが好きだ。
 こんなに強くて痛ましい男の子、他にいない。
 大好きだ。
 そして、こんなに大好きだと思えるキャラクタを演じてくれる、音月桂をすごいと思い、好きだと思った。

 
 ここまでからっぽの瞳をしていながら、ここまで傷ついていながら、彼はまた立ち上がるんだ。
 愛する者のために。

 マーシャを守るために、査問会で戦う。
 どれだけ打ちのめされ、狂気を宿しても、その強さで彼は立ち上がるんだ。まっすぐに。

 千秋楽はシヴァーブリン@コマもすごかったんで、査問会も泣き通しました(笑)。

 で、プガチョフの処刑ですよ。
 ニコライが心を壊してしまうくらい愛した男の、最期ですよ。

 ニコライは泣いてました。
 プガチョフを見つめて。言葉もなく。

 ソリの中で必死に訴えていた姿、戦闘のあとのからっぽの瞳……そして今の、涙。

 ニコライが、愛しくてならない。

 こんなに傷だらけで、やさしい分ひとの何倍も傷ついて、愛が深い分人の何倍も引き裂かれて。
 それでもなお、愛することをやめない。
 傷つくことをやめない。

 こんな少年だからこそ、プガチョフは愛したんだろうし、また最期の瞬間に会うことが出来て、うれしかったんだろう。
 プガチョフは、救われたと思う。彼の人生を全うできたと思う。

 よかった。
 ただもお、「よかった」と思った。

 愛したことは、間違いではなかった。

 人生とか存在とか、全部全部肯定された気がした。
 わたしはプガチョフじゃないし、ニコライじゃない。『黒い瞳』の登場人物じゃない。
 だけどニコライを見て、思った。

 わたし、という人間すら、肯定された気がする、と。

 
 傷つくことをおそれない。愛することをおそれない。
 だからニコライは最後、雪のベロゴールスクでマーシャに言うんだ。
 コサックだから貴族だから、そんなもののために多くの血が流された。自分たちがそれを超えていくのだと。

 武力によって革命するのではない。
 愛することによって、変えていくんだ。

 実際に血を流した、血に汚れたニコライの言葉だからこそ。
 それはきれいごとや絵空事ではなく、血肉を持った言葉として響くんだ。

 
 そして。
 傷つくことをおそれない、愛することをおそれないニコライは、きっとこれからもまた、武器を取る。
 なにもかもわかっていて、間違いは間違いだとわかっていても、絶望しながらでも泣きながらでも、それでもまた、戦うのだろう。

 またあんな、狂気に汚れた瞳をしたとしても。

 彼は、戦うことから逃げ出さない。

 それがわかるから、わたしはニコライが好きだ。
 ちょっとうろたえるくらい(笑)、彼が好きだ。
 だらだら長いです、『黒い瞳』のニコライ@キム語り。

 下手からの眺めにこだわった。
 今回わたしは全部で12回観劇したのかな。全国ツアーを5都市追いかけて。
 だけどずーっと上手席ばかりだった。
 センターブロックでも、上手寄りだった。

 上手は上手なりの楽しさがあったけれど、センターのときとかまっつの目線とウインク直撃席(わたし個人がどうこうではもちろんなく、まつださんがいつも決まったところに目線をやり、ウインクをする、つーだけのこと)だったり、障害物無しの上手いちばん端席で舞台まるっと全部、袖まで見えちゃいますよとか、いろいろ愉快ではあった。

 だけどわたしは、下手に坐りたかった。
 処刑されるプガチョフ@まっつの最後の笑顔を見られるのが下手席だからってのはもちろんあったし、最後のパレードから幕が閉まる前のお手振りまで、下手でないとキムくんに隠されてまっつがカケラも見えないってのも、もちろんあった。
 それも下手がいい理由ではあったけれど、もうひとつ。
 下手からでないと絶対に見えない、そして、見たくてたまらなかったものが、あった。

 軍人でありながら、人を殺すこと、戦うことに痛みを感じる心優しい青年、ニコライ。
 ロシア政府軍将校でありながら、反乱軍の将プガチョフを愛した青年、ニコライ。

 こんな彼が自分の矛盾や罪を自覚しながら、それでも戦場を選んだ。
 再び戦いに……プガチョフを殺すために、戦場へ出た。

 誰も殺したくない、死ぬところを見たくないと泣いた少年が、その手で人を殺す。
 友だちを殺す。

 愛する少女マーシャ@みみちゃんと別れてまで、戦いを、プガチョフを選んだ。
 「やさしさ」よりも、「軍人」であることを選んだ。

 とてつもない決意であり、決断であったと思う。

 ニコライはほんとうに、プガチョフを愛していたんだなと。
 最初わたし、プガチョフの一方通行だと思っていたから。
 プガチョフはニコライの命を救うのに、ニコライは自分の立場をなにひとつ損なわずにいるから、と。

 でも、そうじゃない。
 マーシャと別れ、戦場を選んだ。
 プガチョフとマーシャ、ふたりを天秤に掛けて、プガチョフを選んだんだ。
 もしニコライが戦死することがあれば、マーシャには二度と会えない。マーシャを捨てても、プガチョフに会うことを選んだんだ……ニコライも、十分犠牲を払っている。
 自分のいちばん大切なものを捨てても、プガチョフへの愛を全うした。

 ニコライのプガチョフへの愛は、プガチョフの命を助けることではなく、プガチョフの生き様を見届けることだった。
 恋愛ではないから。男と男の愛だから。
 プガチョフを助けるとか、ニコライがプガチョフ側につくとかは、彼らの生き方や意志を曲げることになる。
 ニコライが、たとえ処刑されても偽皇帝に忠誠を誓わなかったように。
 男たちは、命よりも大切なモノを抱えて生きている。

 その「男」である部分はいい。
 ニコライは男だから、軍人だから、戦場へ行った。
 しかしニコライ個人は戦いや人殺しを良しとしない、やさしい青年だ。
 プガチョフを殺すために来たとしても、彼に死んで欲しくないと思っている。
 矛盾しているけれど、それが真実。
 どちらの思いも、ニコライの中にある。

 そんな葛藤の中で、戦い続けて。
 仲間だったマクシームィチ@がおりんをも、その手で殺し。

「叫ぶ声 流す血も ぼくはもう見たくはない」……そう泣いていた若者が、死体の山の中に立ち尽くし。

 プガチョフが捕まり、連行されていくのを見る。

 ニコライにとって、プガチョフは英雄だったのだと思う。
 尊敬する、年上の友人。
 大好きで、憧れていて、肩を並べられることがうれしくて。

 その敬愛する友人が、みっともなくあがき、騒ぎながら引きずられていく。
 英雄の化けの皮がはがれ、ただの下衆になりはてた。

 見たくなかったろう。
 プガチョフの最期を見届けると言った。それは、少年らしい潔癖さで、美しいモノを想像していたと思う。
 英雄に相応しい最期が繰り広げられるだろうと思ったろう。

 なのに現実のプガチョフは、みっとない小悪党めいていて。ちっとも潔くなく、ぎゃあぎゃあ騒いでいて。

 それは若者の心を打ち砕くに十分な衝撃だったと思う。

 愛する少女の名誉のために決闘した、夢見がちな少年。
 戦争の意味、軍人の意味なんてわからず、ペテルブルクで近衛隊としてきらびやかな生活を夢見ていた。

 それが、実際の戦争を知り、手を汚し。
 戦争の意味、軍人であることを知り。
 きれいごとじゃない、血塗られた現実を知り。

 今また、大切な英雄すら、失った。

 英雄を殺したのは、ニコライ自身だ。

 なにも知らないままでいることだって、できたのに。
 プガチョフと触れあうことで「敵」がただの記号でないことを知り、そのプガチョフの最期を見届けたいと従軍することで彼が高潔な英雄でないことを知り。
 全部自分で選んだことじゃないか。

 痛みを持ってなお、軍人であり続けるように、ニコライはプガチョフのみっともない姿を見ても彼を嫌いになりはしないと思う。そりゃ、捕らえられてなお高潔で「さすが英雄!」な姿であってほしかったろうけど。そうでなかったからといって、恨みに思ったりはしない。

 ただ、哀しかったろう。
 自分が正義の味方ではなく、ただの人殺しだと気付いたときのように。

 連行されていくプガチョフを見つめるニコライ。
 そのやるせない悲しみに満ちた顔を見るには、下手席でなきゃダメだったんだ。

 いや、正確には、センター席でもここまではなんとか、見ることが出来た。
 問題は、そのあと。

 すべてが終わり、死体の中を歩くニコライ。
 客席へ背中を向けて。
 舞台奥の方へ、階段を上がっていく。

 このときのニコライの顔が、見たかったの。
 センターでも見えなかったの。

 あれほどの痛みを持って戦った、悲しみを抱いて殺した、あの少年が、どうしているのか。すべてを終えたあと、すべてを失ったあと。
 どんな顔をしているのか。

 どうしても、知りたかった。

 それでわたしは、下手に坐りたいいぃぃ!!と、騒いでいた(笑)。

 こんなときに限って何故か、上手しか持ってなくて。
 サバキで手に入れた席も上手ばっかだったしさー。
 まっつとタッチ!を目的にセンター下手通路際だったりして、タッチできたのはうれしいけど、やっぱここじゃキムくんのあのときの顔が見えねーよ!!と、じれじれしてみたり。

 ほんと、渇望したなあ。

 それが最後の最後、千秋楽で手に入ったのが、まさかの下手前方席で。

 見たかったモノが、見えた。

 
 続く。 
 『黒い瞳』ニコライ@キム語りの続き。

 ニコライは、戦いをおそれない。
 ヒーローならば当たり前のことだけれど、彼は絵に描いたヒーローとはずいぶん違っている。
 シヴァーブリン@コマとの決闘で「うわっ」とか「やばっ」とか切っ先がかすめるたびに大騒ぎしていたように、戦い慣れているわけでもないし、強いわけでもないんだろう。

 強くないくせに、いざ戦争となるとなんの疑問も恐怖もなく、戦いに身を投じる。

 とことん軍人なんだなと思う。
 女帝陛下に忠誠を誓った、と台詞に出てくるけれど、ほんとにそうなんだろうなと。
 女帝陛下に会ったことがなかったとしても、「陛下に忠誠」なんだろうなあ。そーゆー時代、そーゆー育ちなんだろうなあ。

 マーシャ@みみちゃんが、「私の宝物」として故郷の美しい自然を挙げているように、ロシア貴族として、軍人として育った少年は、愛国心と忠誠心を持っているんだろう。

 わたしがニコライを好きなのは、この「軍人」である部分と、彼個人の「やさしい」部分だ。

 軍人は、戦争をする。
 人間を殺すのが仕事。
 それは、「やさしさ」とは相容れない部分。

 物語の中のヒーローはいつだって平気で戦うし、敵を殺す。
 これは物語だからついそうやって見てしまうけれど、この『黒い瞳』をリピートしているうちに気付くんだ。

 ニコライの、痛ましさに。

 プガチョフ@まっつとふたりで仲良くソリに乗ってベロゴールスクへ向かう道中、ニコライは歌う。

「叫ぶ声 流す血も ぼくはもう見たくはない」

 プガチョフの暴挙を責めている会話での歌詞なので、わたしは最初聞き流していた。
 その前の歌詞が「どこまでも下り坂 地獄へとただまっしぐら」だし、そのあとの歌詞は「行く手には 不幸せの神が ほら 待ち受けている」だし。
 プガチョフたち反乱軍の悲惨な末路を訴え、思いとどまるように言っているのかと。

 たしかにそうなんだろう。
 初演でもそう思って聴いていたし。

 でも。
 気付いたんだ。

 ニコライの、血を吐くような悲しみに。

「叫ぶ声 流す血も ぼくはもう見たくはない」……負けがわかっている反乱軍を、勝利する政府軍側の人間として言っているんじゃなくて、ほんとうに、ニコライが苦しんでいるんだということ。
 反乱軍とか政府軍とか関係なく、ただ人間が戦い、傷つくのが嫌なんだと。

 決闘のときに、あんなに人間くさくヒヤヒヤした顔をしていた男の子。
 ベロゴールスク戦のときは無我夢中で走り回っていたようだけど、目の前でミロノフ大尉@ナガさんたちが処刑されて、はじめてわかったんだと思う。

 自分たちの仕事が、人殺しをすることだって。

 殺し、殺されるかもしれないのが、軍人だってこと。

 戦争がはじまる前は、反乱軍やコサックたちは、ただの「的」でしかなかったと思う。
 訓練しか知らず、生身の人間と戦ったことも殺したこともなかった。そして実際に戦争がはじまってみても、ほんとのところぴんときていなかった。

 彼が気付いたのはやはり、プガチョフと再会したからだろう。

 従わないモノは皆殺し、という反乱軍のやり方に、ニコライは反感しか持っていなかった。憎しみしかなかった。
 仲間たちが処刑され、自分もまた死刑になる。あの段階では、ニコライはコサックたちを「敵」とは思っていても「人間」だとは思っていない。
 あそこで武器を渡せば、なんのためらいもなくコサック兵たちを殺したろう。

 それが、プガチョフと再会し、彼と話し。

 プガチョフが魅力的な男であること。
 プガチョフに好意を持ったこと。

 それで、気付いてしまった。
 ベロゴールスク戦で当たり前に戦っていた相手、なんの疑問もなく斬り捨てていたコサック兵たちが「敵」と書いた的ではなく、「生身の人間」であることに。

 もちろん、マクシームィチ@がおりんのこともあると思う。
 「敵」もまた人間で、生きていて、誰かを愛し、愛されているんだってことに、気付いてしまった。

 暴挙だ、とプガチョフを責める……それは大国ロシア軍将校の驕りではなく、ひとりの心優しい若者としての声なんだ。

「叫ぶ声 流す血も ぼくはもう見たくはない」……本当に、泣いてるの。
 梅芸楽、ニコライがソリの中で目に涙溜めて歌うのを見て、胸を掴まれたような気がした。

 この子は軍人で、戦う人で、敵を殺すことを仕事としていながら……泣くんだ。
 誰も殺したくないって。

 ヒーローなら、なんの傷みもなく戦うだろう。
 敵を殺し、愛する者を守り、正義を貫く。

 誰も殺したくないと泣くなら、最初から軍人なんかやらなければいい。
 おとなしく農民でもやってればいい。故郷の領地で、小作人たちの管理だけして暮らせばいいよ。

 だけどニコライは軍人で。
 戦うことの意味を、軍人という職業の意味を知ったあとでも、軍人であり続けて。

 泣くくせに。
 敵だとか味方だとか関係なく、人間の血が流れることに、悲しみが満ちることに、痛みを感じて泣くくせに。

 それでも彼は、軍人なんだ。
 それでも彼は、戦うんだ。

 
 ニコライが軍人であり、男であるということが、この物語の根幹なんだなと思う。

 彼はプガチョフの反乱を暴挙だと言い、実際にロシア軍がプガチョフ討伐をするとなると、「彼の破滅を見守りたい」と言う。

 誰も殺したくないと泣く。だけど、戦争をする。
 プガチョフを愛している。だけど、彼を助けるのではなく、その死を見届けようとする。

 誰も殺したくないなら軍人をやめればいいのに、やめない。
 プガチョフを愛しているなら彼を助けるなり、彼の陣営につくなりすればいいのに、敵であることをやめない。

 ニコライは、哀しいくらい、男の子だ。
 どれだけ苦しんでも、傷ついても、為すべきことをする。

 自分の矛盾や罪を自覚してなお。
 前へ進むことを、やめない。

 「軍人」でありながら、「やさしい」。
 相反する特質。

 それがあまりに、痛ましい。

 だからわたしは、ずっと知りたかった。
 プガチョフ軍との最後の戦いを終えたあとの、ニコライを。

 あれほどプガチョフを愛し、戦いを悲しんでいた少年は、その手でプガチョフを追いつめ、人を殺したあと、どんな顔をしているのか。
 ずっとずっと、知りたかったんだ。見たかったんだ。

 
 続く。
 『黒い瞳』、ニコライ@キムくんにハマりまくりました記録、その3。

 ねえねえソレで、ニコライって強いんですか?
 決闘だ!ってことで、シヴァーブリン@コマと斬り合うニコライが、可愛すぎるんですがっ。

 動作だけというか、流れだけだとふつーの殺陣だと思うんですよコレ。
 でもニコライがいちいち「うわっ」とか「あぶねっ」とかゆー顔をするもんだから。

 ニコライの反応は、すごく「まとも」で「リアル」だと思うの。
 刃物で斬り合うわけだから、それがかすりそうになったりしたら、うわっと思うじゃん。
 おっとっと、とか、ムカッ、とか、心は動くじゃん。

 ヅカは夢の王子様たちの出演する舞台だから、ヒーローたちは顔色も変えずにチャンバラするけどさ。
 等身大の18歳少年がはじめて剣を抜いて決闘したら、あんな感じになると思うよ。

 ニコライの無駄にリアルな顔芸がツボ直撃です。ちょうかわいい。ときめく。

 ちなみに、ニコライを切っ先でかすめてびびらせたあと、指を舐めてニヤリとするシヴァも大好物です。このときのシヴァーブリンの笑顔が年相応の若者の顔で、すごく可愛いの。シヴァも好きだー!

 あ、決闘の最中によそ見して、後ろからばっさりやられるニコライは、アホだと思います。……素直に(笑)。

 
 こんなアホな理由で死にかけて、5日も意識が戻らなかったとか、さすがに「ヅカの主役、ヒーローなんだからさー、もう少し格好良く描いてあげてもいいんじゃないの」と同情します。
 
 アホな理由だとわたしは思いましたが、『黒い瞳』世界ではアホ扱いではなさそーですね。
 愛想を尽かされることもなく、マーシャ@みみちゃんが「私のために戦って、私のために傷ついたなんて、うれしい」とかゆーてます。
 わたしのために戦ってくれるのはいいけど、よそ見して大ケガしないでよ、最後までわたしのために集中してよ。
 マーシャはここで疑うべきだったのよ。愛してる、君だけだ、まいすいーとはーとな彼だけど、肝心なときによそ見する男なんだってこと。おかげでこの男、肝心なときにプガチョフ@まっつを選んで回り道しちゃうのよ……。

 5日意識がなくて、そして今はそれよりさらに何日か経ってるのよね。
 三途の川から舞い戻ってきたニコライが、最初に見たのは大泣きしているサヴェーリィチ@ヒロさんだった、に100リーブル。
 んでさらに、意識戻ったばっかで混乱しているわ痛いわ苦しいわなニコライの枕元で、サヴェーリィチがキィキィ声で騒ぎまくって、ニコライぼっちゃまはまた一度意識を失った、とかそんな顛末だと思うわ。
 それがトラウマになっているから、目覚めたときにマーシャがいると「ちょ、おまそんな大袈裟な」ってくらい喜ぶのよ。

 薬を飲んで「苦い」って言うんだけど、この言い方が見事に変わったねー。
 最初のうちはたしか、薬を飲んで「うう……」とわざと苦しそうにして、マーシャが心配そうにのぞき込んで、「苦いっ(笑)」とふざけて言って、「苦しんでたのは演技なの?! もおっ♪」「ごめーん♪」「うふふ」「あはは」な、いちゃつきプレイだった。
 それが「うう……」と苦しそうにしてみせて、「にがーい」と、子どもっぽく芝居がかってみせ「もおっ、ニコライったらコドモなんだからん♪」「ごめーん♪」な甘えっこプレイになって。
 あとになるほどふつーに飲んで、ふつーに「苦い」と言うようになった。公演後半日程は、ニコライが大人びてきてたからなー。

 最初のお遊びや甘えっこの「苦い」を知っているだけに、やけに大人びた「苦い」にどきっとする……。
 『ロミオとジュリエット』のバルコニーの「おやすみ」みたいなもんですな。

 マーシャへのプロポーズも好きです。
 男は白衣の天使に弱い、弱っているときに優しく看病してくれる女の子に弱い。
 ニコライはもうすっかりめろめろで、起きあがれるようになるなりひざまずいてプロポーズっすよ……。
 白い王子様ブラウスで、ひざまずいて「君と結婚したい!」は、由緒正しいタカラヅカ過ぎてびびる。そんなプロポーズがハマるキムくんにもびびる。初演で同じことをあの黒エロかっこいーマミさんがやっていたかと思うと、さらにびびる(笑)。

 コサックであることを告げるマーシャが拳をぎゅっと握って、勇気を振り絞っているところや、そんなマーシャを黙って見つめているニコライが好きだ。
 このふたりがかわいくて、いじらしくて、泣けてくる。
 

 決闘場面があまりにヘタレっつーか、リアルで強く見えなかったニコライ。
 剣を抜いて戦って、それで死にかかったんだから、恐怖心とかあると思うの。
 だけど彼は戦うことに躊躇しない。
 反乱軍が攻めてくる、ってときに、なんのとまどいもなく戦いはじめる。

 彼は、武器を握る。
 はじめての戦い、はじめての戦争。

 ……まあ、この初戦ではベロゴールスクが陥落するだけあって、ニコライも走り回るばっかであんまし戦ってないというか、役に立っていない気はするが……。
 いちお、村の女性たちを守り、逃がす、という仕事をしていたんだよね? でも結局マーシャも逃げ遅れてるし、村のみんなも捕まってるしで、なんの役にも立っていない気はするんだけどさ……。

 ニコライは見た目と心に差があるんだと思う。
 見た目はかわいいおぼっちゃまで、剣の腕もいまいち、軍人としてはあまり有能ではない……。
 だけど、心が強い。
 まっすぐで澱みがない。そして、折れないし、曲がらない。汚れない。

 弱っちいからすぐ反乱軍に捕まっちゃうけど、それによって命乞いしたり志を曲げたりはしないんだ。

 再会したプガチョフに忠誠を誓えば命が助かるとわかってなお、うなずけないように。
 口先だけで切り抜けようとすら、しないように。

 プガチョフは何度も試している。ニコライを。
 ニコライは泣いて命乞いするチャンスが何度もあった。てきとーな嘘を並べて誤魔化すチャンスだって何度もあった。
 なのにいちいちくそ真面目に正直に、真実だけを口にした。

 プガチョフがニコライに惚れるわけだよなああ。
 シヴァーブリンにしろ、元帥たちにしろ、みんな外面だけでプガチョフに忠誠を誓っているに過ぎない。自分の立場や命の方が大事。
 なのにニコライだけが、チガウんだもの。
 そりゃこの少年にめろめろになるわ、プガ様……。

 えーと、プガ様は30代よね。で、ニコライくんは18歳くらい。
 いいなあ、この年齢差……(笑)。

 
 続く。
 『黒い瞳』、ニコライ@キムくんにハマりまくりました記録、その2。

 ベロゴールスクに到着したニコライ。
 ド田舎ぶりに肩を落とし、ぶーたれる様が可愛い。
 あの甘えっ子なガキンチョぶりがツボ。
 文句言ってるけど、嫌味がないというか、そりゃそーだよね、少年なら都会に憧れるよね、とひたすら微笑ましい。

 それにここでもニコライの性質の良さが見えるの。

 不本意にやってきた地なのに、彼は決して土地の人にそれを見せようとはしないの。攻撃しようとか八つ当たりしようとかしないの。

 村の女の子たちにも笑顔で挨拶するし(若干引きつってるけど・笑)、砦の人たちにも礼儀正しく、また意欲あふれる様子で挨拶している。
 田舎暮らしにがっかりしていることと、その田舎に住んでいる人たちをバカにしたり攻撃したりすることは、チガウ。
 空元気とか誤魔化しではなく、ただ素直に、土地の人に対しては前向きに振る舞っている。

 当たり前のことなんだけど、その当たり前のことをするニコライが好き。
 ほんのちょっとしたことで、その人の人間性って出る。
 吹雪の中で迷い、死にそうなときに従僕を責めなかったように、ニコライってほんと、ふつーにいい子だ。

 そしてニコライは、ミロノフ大尉@ナガさんの娘、マーシャ@みみちゃんに一目惚れする。
 もちろんそれは、彼女の愛らしい容姿ゆえのことだろうさ。
 でもさ。

 ニコライがマーシャを本格的に好きになるのは、彼女の宝物の歌を聴いたときからだと思う。

 ベロゴールスクのあまりの田舎っぷりに、「内心ドン引きしているでしょ」とヴァシリーサ@ヒメに突っ込まれ、言葉を濁すニコライ。
 この地の良さを歌う女たち、そして。

 マーシャが歌う。
「私の宝物。果てしない草原、渡る風と青いブローチ、生きるものすべて」

 実はわたし、ここのマーシャが大好きで。
 彼女がこう歌い出す、それだけで泣ける。
 ナニかを「愛し、感謝している」人って、素敵だと思う。
 マーシャはこの地を愛している。
 自分の故郷を愛し、誇りに思っている。それを清々しい表情と歌声で表す彼女に、胸がきゅんとする。
 「こんなド田舎」とバカにされることもあるだろう(たとえばシヴァーブリンとか)、そんな一定の価値観からは鼻で笑われる場所、だけど胸を張って愛していると歌う人々、歌う少女。

 故郷を愛していると歌う少女はきっと、場所だけのことじゃなく自然だけのことじゃなく、両親や友だちなど、そこに生きる人々、自分を育んでくれたすべてを愛し、感謝しているんだ。
 そんな少女だから、ニコライは恋をする。
 てゆーか、そんな少女に恋をするニコライが、好きだ。
 見かけの可愛らしさではなくて、心の美しさに惚れ込む様が。

 ニコライとマーシャのカップルが好き。
 このふたりの恋が好き。

 ニコライがベロゴールスクへやって来て数ヶ月。
 季節は春になり、薄手のドレスに着替え、花を手にうふふあははと踊るマーシャが可愛すぎる。
 何故か女の子から、男に花束を贈る。てゆーかニコライ、花が似合うなヲイ(笑)。この少女マンガっぷりにときめく。

 ちなみに、ニコライぼっちゃまの居場所を探すサヴェーリィチ@ヒロさんに、パラーシカ@あゆみちゃんが「お仕事でしょ、お嬢さんは家にいたし」と言うのがツボだ(笑)。
 マーシャが家にいる=マーシャと会っていない=仕事中、って。
 そんなに毎日デートばっかしてるのか。マーシャと一緒にいるのがデフォルトで、仕事中かどうかはマーシャの居場所でわかるのか(笑)。

 ちなみに、ここの時点で数ヶ月経って季節も変わっているのに、ニコライの姿が見えない理由が「シヴァーブリンが新任のニコライに東の砦を案内している」から、ってのが……。
 数ヶ月経っても、新任。
 新入社員が入るまで、たとえ10年経っても新人扱い、みたいなもんですか。氷河期だから人員削減で新人採らないんだよねー、トイレ掃除も雑用お茶汲みも宴会の幹事も全部新人の仕事だから、あと何年新人のままか、あるいは永遠に新人扱いかもしんないけど、ま、がんばってよ!なノリですか。
 なにしろド田舎だからなー。補充はされそーにないし、がんばれニコライ。
 でも、さすがのんきな田舎要塞は違いますよ、砦の見回りは日常業務だろうに、「東の砦」とやらの見回りは就任して何ヶ月経ってからようやく教えてもらえるらしいよ。数ヶ月間、ニコライはナニやってたんだろう。やっぱ掃除やパシリからスタートなの? 新入部員は数ヶ月ボール拾い、野球はさせてもらえないとか、そーゆー運動部系の扱い?

 ふたりきりで「東の砦」とやらに行っていた、ニコライとシヴァーブリン@コマ。
 ベロゴールスクに到着した際、誰にも愛想良く素敵な笑顔で接していたニコライに、ヤな態度を取りまくったシヴァーブリン。さすがのニコライもカチン!と来ていた、あの反応のひとつひとつが可愛かったなあ。意地悪されてもすぐ反感!とかこいつ嫌い!になるのではなく、シヴァーブリンの悪意にとまどっている様子がイイの。
 バカじゃないから、悪意はわかる。ヤなことされたらムカっとする。それは人の生理であり、ニコライの反応はとても素直。ひねくれたり過剰な被虐意識や攻撃意欲を持たないの。
 そんな彼だけど、さすがに数ヶ月経ったらわかるよな。シヴァーブリンが問題児だっつーことは。

 でもさー。
 コレだけは、シヴァーブリンを責められない、と思うのは。

「ぼくの愛の詩(うた)を笑ったばかりか、マーシャの悪口を言うなんて!」

 ぼくの愛の詩。

 仕事中に、ナニやってんだ。

 軍人さんですよ、少尉さんですよ。任務中ですよ。
 愛の詩をバカにされたと怒る前に、愛の詩を口ずさむなと。

 やだよ、働いてる横で同僚が愛のポエムってたら。うざいよ、キモいよ、ムカつくよ。
 そりゃ笑うわ、バカにするわ。
 そんなポエム捧げられて喜んでる女のことも、一緒に鼻で笑っちゃうでしょうよ。

 こればっかりはニコライを擁護できない……(笑)。
 でも、そんなとこも、可愛い。
 好きだなー、ニコライ。

 激しているニコライがほんっとかわいくて。
 マーシャの秘密を知っているというシヴァーブリンに、「悪口は聞きたくない」と言い切るところがイイ。
 本当のことであろうがなかろうが、聞くならばマーシャの口から。マーシャが言わないことなら、知らなくていい。
 そう毛を逆立てて言い切る誠実さが好きだ。

 
 続く。
 『黒い瞳』の主人公、ニコライ@キム。

 この物語は、彼の成長物語でもある。
 ひとりの少年が、揺れる歴史の中で恋をし、友情を貫き、大人の男となる。

 ラストシーン、愛する少女マーシャ@みみちゃんと踊るニコライを見ると、涙が止まらない。

「叫ぶ声、流す血も、ぼくはもう見たくはない」……血を吐くようにそう訴える青年。
 勝ち戦、敵の死体が累々と続く戦場で、絶望に顔をゆがめる青年。

 戦うこと、傷つけることをこれほどおそれ、嫌悪するこの若者は。

 それでも、また、武器を取るだろう。
 もしもまた、愛する者が危険にさらされたならば。
 マーシャや、ふたりの子どもたちを害する者があるならば、彼らが生きるロシア帝国を害する者があるならば。
 愛する妻に、家族に「行かないで」と泣かれても、剣を取り、戦列に加わるだろう。

 彼自身がどれほど傷ついても。

 ニコライは、そういう子だ。
 そういう、男だ。

 
 それまでは、ハッピーエンドまでしか感じていなかったんだ。
 梅芸楽のニコライがすごく好きで。
 ピュアな少年ぶりがすごくて、愛情過多で。
 マジ泣きしながら「マーシャ~~っ!!」と上手袖へ駆け込んでいく姿に、一緒になって泣いた。

 ラスト、雪のベロゴールスクで「あなたは貴族、私はコサック……」と、結ばれてはいけないのだとうなだれるマーシャをたしなめるニコライ。「そんなことのために、どれほど多くの命が」と。

 貴族の彼がコサックの少女を愛するように、他のみんな、ひとりひとりが身分とか国とか民族とか、そんな壁を越えて誰かを愛すれば、いつかそんな壁はなくなる。
 ただ、目の前の人を愛する。偏見とか差別とかを捨てて。大切な人を、大切だと言う。
 それがいつか、世界を革命する。

 そこまでで、びーびー泣いてハッピーエンド感に酔っていた。
 だけど『黒い瞳』千秋楽。
 念願の下手からの視界と、キムくんの芝居の到達っぷりに、さらにその向こうまで考えた。

 戦いの虚しさを説くこの青年は、それでもまた、剣を取るだろう、と。
 なにもかもわかっていて、間違いは間違いだとわかっていても、絶望しながらでも泣きながらでも、それでもまた、戦うのだろう。

「戦いは虚しい。人殺しはよくない」と、軍を辞めて農民になったりしない。
 女帝陛下の士官として、変わらずに従軍するだろう。務めを果たすだろう。

 それがいいとか悪いとかではなくて。
 ああ、そうなんだ、と思った。

 
 そして。
 そんなニコライを、心から愛しいと思った。

 
 てことで、『黒い瞳』のニコライくんの愛と涙、光と闇をつらつら考える。
 まあぶっちゃけ、どんだけニコライが好きか、語りたいだけなんですけどね(笑)。

 地方貴族のおぼっちゃまで、大都会での生活に憧れる、ごくふつーの男の子。
 両親から、使用人たちから、愛情をいっぱい注がれて育ったんだろう。お金も愛も最初から「ある」のが当たり前のもの、それを求めて殺し合う人々がいるなんて想像したこともないだろう、精神的にも物質的にも裕福に育った青年。

 だから彼はいつもまっすぐで。
 澱みのない、きれいな瞳をしていて。
 真っ白な笑顔で相手を見つめる。

 最初の吹雪での立ち往生場面にしろ、ニコライは決して他人を責めなかった。
 従僕のサヴェーリィチ@ヒロさんを責めたって不思議じゃない、「お前がしっかり道案内しないから」とか、彼が主なんだから、主の身の安全を守れなかった従僕を叱っても責めてもいいはず。
 不運に対して悪態はつくけれど、責任転嫁はしない。甘ったれのぼうやだけど、ほんとうに育ちの良い子なんだ。
 ぎゃーぎゃーうるさいサヴェーリィチに文句を言いつつ、「お前の方が先に死ぬぞ」とか、応戦しつつも結局じいやを心配しているニコライを好きだなーと思う。

 とびきり子どもっぽい話し方なのに、そこに誠実さや純粋さを表現する、キムくんに舌を巻く場面でもある(笑)。

 雪の中で出会った不審な男プガチョフ@まっつに対しても、なんの警戒心も持たない。
 信用できない、と最初から敵愾心剥き出しのサヴェーリィチの横で、なんときれいな笑顔をプガチョフに向けることか。

 プガチョフはたぶん、それまでさんざん疑われ、迫害されてきていると思う。
 サヴェーリィチが特別なわけじゃない、「薄汚いコサック」であるところの彼は、どこへ行ってもサヴェーリィチのような人に理由もなく罵られ、虐げられてきた。
 親切にしてやっているだけなのに、一方的に暴言を浴びせられ、攻撃される。それでもプガチョフはそれをなんとも思っていない……それが当たり前、ふつうなんだ。

 通りすがりの貴族様の為に平伏し身を削って仕えて当然、見返りなどあるはずがない、気晴らしに斬り殺されなかっただけ感謝しろ、って感じだよね、サヴェーリィチの言動からすると。
 それくらい、一方的な立場なのに。
 ニコライはプガチョフにきれいな笑顔を見せる。

 もらった毛皮の外套を抱きしめて、プガチョフが「その気持ちがうれしい」と言うのは、本心だろう。
 物質だけの話じゃない。ニコライの誠実さや思いやりに感動したんだと思う。

 吹雪の中、最初に目線を合わせたその瞬間から、プガチョフはニコライを愛していたと思う(笑)。
「俺を信じるか信じないかは、お前さんたちの勝手だ」と悪ぶって言ったときに、まっすぐに目を見て微笑まれ、「頼むぞ」と言われて。
 あの瞬間、絶対きゅんっとしてる、プガ様。

 プガチョフが知らない瞳。
 知らない……得られなかった、与えられなかった、そんな瞳。そんな笑顔。

 それを惜しげもなく、与えられて。

 「ここまで案内してもらってうれしかった」……素直な言葉で礼を言われて。

 信頼と、感謝。
 人間が他人に対して見せる、尊いモノ、美しいモノ。
 それを相手の身分に関係なく、素直に純粋に表現できる、ニコライという青年の美しさ。

 そういった目に見えないモノだけでも十分、プガチョフはニコライにめろめろだったろうし、彼に感謝しただろう。
 でも、その上ニコライは、物質的なことでも礼をする。
 一杯の酒と毛皮の外套。
 酒はプガチョフから求められたからだけど、外套は、プガチョフの格好を見て、なんの気負いもなく思いやった結果だろう。
 報酬をお金で払うのではない。
 寒そうだ、だから暖かくしてやりたい。そんな、人として当たり前のやさしい気持ち。

 そこで高価な毛皮をぽんっと見知らぬ男へやってしまうのはニコライのおぼっちゃまさ、世間知らずさを表しているわけだけど、なんとも微笑ましい。
 ああ、いい子だ……そう思う。

 しかも外套は、今自分が着ているモノを脱いで渡すんだから、ニコライすげえ。
 外套を抱きしめるプガチョフは、ニコライの体温を抱きしめているわけですよ。脱いだほやほやですから、彼のぬくもりが残ってますってば。
 完璧なまでの、人タラシぶり。
 ニコライくん、今までもさんざんこーやって、男女問わずオトしてきてんぢゃないの……あの甘い美貌で「ニコッ」とやってさー。

 現にプガ様、絶対オトされてるしっ(笑)。

 
 続く。
 そしてついに、雪組全国ツアー『黒い瞳』『ロック・オン!』千秋楽。

 昼公演はチケットがなく、指をくわえてホールの外にいました。
 音が漏れまくっていて、どの場面でナニをやっているか、丸わかりだったんですが。
 ソリの場面のラストの歌い上げ、すごかった……! 音だけだとさらに。

 この日はサバキ待ちの人ばかりがずらりと玄関前に並んでいたんだが、係のおじさんに「中に入らないんですか、もう時間ですよ」と言われ、ならチケット売ってくれよと思ったのはわたしだけではないだろー。
 立ち見でもなんでも、急遽売ってくれたらいいのに、チケットなくて入れない人たちにいちいち「時間だから入ってください」と言って回るあたり、とっても地方公演ですね……チケットもないのにあきらめきれず、財布握ってこんな辺鄙な場所までやってくる人種、というものは想像の範囲にないらしい。(当然です・笑)

 まあ、その観られなかった昼公演も、新たなまっつメイトとお喋りして過ごしたので、有意義な時間ではありましたが。

 千秋楽は、念願の下手側前方席。
 最後の最後に、いちばんイイ席キターっ。
 『黒い瞳』で、今まで見られなかった、見たいと切望していたいろんなモノが見えて、スイッチ入りまくり、泣きまくりでした。

 芝居が終わってロビーに集合、まっつメイトはみんな「泣いたー」と口々に言うけど。
 「泣いた」のあとに続ける言葉が。
 ひとりは「エカテリーナとマーシャ!!」だし、ひとりは「ニコライ大好き」だし。
 ちょ、まっつプガ様はどうよ?!

 いやその、「ニコライ大好き」はわたしですが。
 『黒い瞳』千秋楽。
 わたしのハートを直撃したのは、ニコライ@キムです。

 どうしよう、この子好きだ。
 好き過ぎるっ。
 もともとキムくん好きだし、彼の芝居が好きなわけだが。
 なんかすごいツボにはまった。

 前日の四日市でもそうだったんだけど、ニコライは彦根で見たときより「プガチョフ大好き」寄りになっていて。
 梅芸ではまさに少年!って感じにプガ様にめろめろだったんですが、彦根では大人びていて、プガ様への傾倒も少なめ。なーんだ、と思っていたところ、四日市では青年+プガ様のこと好きになっていて、そしてこの千秋楽では。
 ちゃんと大人、だけどプガ様LOVE!
 ちょ、桂ちゃんあーた、最後にこんなことになるんですかっ。

 わたしはまっつファンで、まっつが演じている以上、プガチョフが好きです。
 わたしは、この雪組版のプガチョフを愛しています。

 そのプガチョフを心から愛しているニコライに、感情移入しまくり。

 ニコライは男の人なので、女性目線でプガチョフを愛しているわけじゃない。恋愛というなら、それは間違いなくマーシャ@みみちゃんに対してだ。
 恋愛ではない、だけど確かに「愛」としか呼べない感情で、彼がプガチョフを想っている。
 その感情にシンクロして、「ニコライとプガチョフの物語」に大カタルシスを得られた。

 健康的な真っ白な少年役を得意としながら、毒や歪みを持つキムくんの芸風は大好きだ。
 そんなキムくんが、魂をまっつに向けて、「愛」を表現している。

 『ロック・オン!』のホモの館で絡まれても、結局最後まで萌えには至らないくらい、異質すぎて収まりのよくない同期コンビだと思っている、キムとまっつ。
 や、「面白い」とは思って見てるんだよ(笑)、ホモの館。
 本人同士のキャラで「さあホモですよ」とやられると異質過ぎて萌えないけれど、こうしてその異質な特性を活かした役で、活かした芝居をされると、こんなに切なく盛り上がるのか。

 
 で、その『ロック・オン!』の紳士たちの倶楽部、ホモ館ですが。
 ニコライ×プガチョフに萌えまくったあとだったので(えっ、プガ様右っ?!)、最後くらいキムまつに萌えられるかと思ったんですが。

 昼間、新たなまっつメイトが言っていたことを思い出してしまって。

 市川で観劇したときに、彼女はアレを「ホモの館」だとは思わず、吸血鬼対決だと思ったそうです。

 発酵したまっつメイトぞふぃさん(腐ったまっつメイトと書いたら、苦情が来たので改める・笑)も、同じこと言ってた。
 まっつとキム、アレはキスしてるんじゃなく、首筋に噛みついてるんだと。
 ぞふぃさんはいろんな人から「チガウよ! アレはちゅーしてるんだよ!」と言われ、それでも「チガウよ、吸血鬼だよ、ちゅーのわけないじゃん、あんなに顔ズレてるのに」と言っていたなあ。
 梅芸の終わりくらいに、「ちゅーかもしれない」と認めるよーになっていたか。

 キスシーンがキスに見えない、研14の男役たちってどうよ?!

 吸血鬼だと客に誤解させるくらい、ちゅーがヘタだったわけです、キムとまっつ。……情けない……(笑)。

 わたしはそのかバウ観劇済みだから、同じ場面がはじまったことで、登場している男たちがホモだとわかったけれど、先入観のない人にはわからないのだと、ぞふぃさんに力説された。
 そして今また、ぞふぃさんと同じことを思った人に出会った……わけだが。

 この新たなまっつメイトちゃんは、さらに解説してくれた。

「噛みつかれてるから、まっつはあんなに痛そうな顔してるんだなって。そりゃ痛いよね、って思いながら見てました」

 初日のホモ館まっつというと、アレです。
 「オレ、受だから、受なカオしなきゃ」と、すげーがんばってアハン顔していた、アレです。

 まつださん渾身の受エロ顔を、「噛まれて痛がってる顔」だと思った!!(笑)

 まっつ……(笑)。
 似合わないこと、がんばってやってたのに……ぶっちゃけキモかったのに……彼の努力は報われず伝わらず……「そりゃ痛いよね」……聞いてて爆笑しました。

 いやはや。
 そんな会話をしたあとの『ロック・オン!』観劇だったから。
 いざホモ館がはじまると、つい脳裏にその記憶が。

 キムまつキスシーンで、思わず吹き出しそうになるという……。うわわ。

 まっつはそれほど受顔をがんばらなくなったけど、役割的に攻というわけでもない、どう受け取ってイイかわかんない感じで最後まで過ごしているよーに見えた。
 やっぱ得意なドS攻をやらせてあげたいです、まつださんには。その場合、相手はキムくんでない方がいいです、彼も攻だから食い合わせが悪い(笑)。

 
 ほんとに、隅から隅まで楽しかったっす、全ツ。
 てことで、追いかけて四日市、2回目。
 水しぇん追いかけて「四日市ってどこ?」と、わけもわからないままたどり着いた地。あれから6年。
 全国ツアー『銀の狼』で3番手やってたキムくんが、トップスターになってはじめての全国ツアーなんだ。
 『銀の狼』がダイスキだったこと、レイ@水くんが好きすぎて、ジャンルイ@キムくんと、大統領(偽)@ハマコが好きだったこと、それらを一気に思い出し、なつかしく切なくなった。
 コム姫時代の雪組も、やっぱり大好きだったんだ。

 そんな四日市。
 場所はなんとなーくおぼえてるから、地図も持たずてきとーにふらふら行き、チケットないからサバキ待ちして。

 チケットを持っていない今回の遠征のテーマはずばり、下手で観る。

 初日からいろんな会場でいろんな席で観ているのに、下手に坐ったのはたった1回。梅芸3階席観劇1回をのぞけば残りすべて1階10列目より後ろでは観ていない、偏ったチケ事情、しかもソレがセンターから上手側ばっかだったの。
 おかげでキムくんやみみちゃんはじめ上手通路を降りる人たちのタッチを得られたり、花道で踊る下級生の目線もらったりいろいろ楽しかったけれど、下手通路のまっつのことは指をくわえて眺めるばかり。
 そしてラストの挨拶時は、一歩前に出るキムくんのおかげでまっつは全滅、カケラも見えないし。センターブロックでも下手側でないと見えないんだ。トップの大羽根おそるべし。

 後ろでもなんでもいいから、下手で観る。
 プガチョフの最後の表情だって下手でないと見えないし、幕が閉まる瞬間の羽根を背負ったまっつのお手振りだって下手でないと見えないんだから。
 なにがなんでも下手!!

 とゆー、祈りが神様に届いたのでしょうか。

 無事、後方センターブロック下手通路際ゲット。
 客席降りまっつの定地点。

 まつださんが真横だ……。

 ぽかんと彼を見上げ、固まってました。
 笑うまっつははにわのよーでした……。(もっとマシな表現はないのか)
 いやその、目が黒い空洞に見えて、口も黒い空洞で。どっちも横長の線になっていて。

 タッチもしてもらえました。はい。
 ありがとうございます。てゆーか、そっから先、しばらく記憶がナイ……。ホモの館のキムくん客席登場あたりでよーやく、正気に返った(笑)。

 しばらく手を洗わない! と、少女のようなことを思った……ことを、終演後の化粧室で、手を洗っているときに思い出した。←

 下手から眺める『黒い瞳』『ロック・オン!』は新鮮でした。

 プガ様の後ろアタマしか見えなかったところが、ちゃんと顔が見える!
 キムくんの羽根に負けず、笑ってるまっつが見える!

 プガ様はさらに落ち着いたというか、こなれてきたというか、彦根ほどおっさんに行き過ぎず、うまいあたりに着地している印象。
 お化粧変えるの面倒なのかな、プガチョフ化粧のままやってる『ロック・オン!』は、まっつにしてはとにかく濃い顔、濃い化粧。そのぶっといモミアゲはナニ、ぶっとい眉はナニ。……公演を重ねるにつれ、さらに濃くなってる気がするんですが(笑)。
 「涼しい、クールな男役」だった未涼さんが、なんか暑苦しくカッコつけてて、困る。……格好良くて。

 市川以来のまっつメイト、梅芸以来のまっつメイトとも合流し、「まっつカッコイイ」しか言わない時間を過ごし、「まっつって、絶対自分をカッコイイと思ってるよね、そーゆー顔して踊ってるよね、ムカつくー!(笑) でもカッコイイ~~」とか、支離滅裂なことをゆーて過ごしました。

 昼公演、夜公演とも客席には雪組『ニジンスキー』組がいて、きゃーきゃー盛り上がってました。
 はじめてナマを近くで見た翔くんがマジきれいでびびったり、あすくんのかわいかっこよさにきゅんとなったりしたのはいいんだが、ええっと、その。
 ひそかに、しゅうくんのかわいい女の子な笑顔にずきんとキテいたり。……大公様……いろいろとごめんなさい……(笑)。

 そしてなにより。

 昼公演客席に、水しぇんがいた。
 登場と共に、拍手起こってたし。

 水みなで並んで観劇。
 うれしいなあ。

 彼らの席はセンターブロック4列目下手通路際、だったかな。
 水くんが中寄りで、みなこちゃんが通路際。
 水くんが通路際ぢゃない! ということに、わたしとその周囲の知らない人たちは勝手に残念がってました。
 『ロック・オン!』の客席いじりで、水くんの手にキスするキムくんが見たかったんだ。みんな心はひとつだなあ、ヅカファンってば(笑)。水くんが通路際じゃなければ、やってくんないよなあ。反対に、通路際だったら絶対やってたと思う! キムはそーゆーとこはずさない人だ!(笑)

 んで、キスはないにしろ、「ワンモアタイム」の掛け声をキムくんが水しぇんに振っていた……んだけど。
 すごいね全ツ、客席の水くんに、スポットライトあてた(笑)。
 客席照らすんだ、グッジョブ、照明さん!!

 ライトを浴びて、水くんが記憶にある通りの声で、記憶にある通りの、ちょいとオネエなあの喋り方で、「ワンモアタイム」(笑)。

 なんか得した公演だ。
 そして、唯一水くんの『ロック・オン!』に出ていなかったまっつが、水くんの前で『ロック・オン!』をやるのはプレッシャーだろうなあ、とか勝手に考えて感慨深くなってみたり。

 そして。
 最後の黒燕尾で、ひとりだけ花組まんまの手をしているまっつに、水くんからのダメ出しが入らないことを、願いました。
 燕尾の端を押さえる手のカタチ、角度、位置。それがまっつひとりチガウ。
 ザ・花男の誇りを込めて、まっつにはそのままでいて欲しい。
 雪組に馴染み、雪組で生きることと、花組時代に積み重ねたモノを捨てることはチガウから。
 ……いつか変わってしまうにしろ、今はまだ、花組の香りを放っていて欲しい。胸を張って。

 水くん観劇後の夜公演、まっつの手が変わっていないことに胸をなで下ろした。
 よかったー。

 
 6年前、水くんを追いかけた四日市で、また水くんに出会えるなんて。
 年寄りだからすぐ、昔話をしたくなる。
 『銀の狼』良かったなああ。

 そして。
 今また、キムくんを好き過ぎるため、昔の自分の記事を引っ張り出して読み返す。
 http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1214.html
 ↑ 6年前の、『銀の狼』冷酷キム萌え語り(笑)。
 だからどうしてこんなに、計画性がないのか。

 もともとぐだぐだでのろまで怠惰な腰の重い人間ゆえ、きびきび生きることができないのだが。
 雪組全ツ千秋楽に行こう、とは、なんとなく思っていた。……なんとなく。
 現実的にどうこう考えていた訳じゃない。
 どこで公演しているのかも知らない。5/22が千秋楽であり、日本地図の真ん中あたりでやっているらしい、とか、そんな意識。(大雑把過ぎ)

 いつもなら「千秋楽はとりあえず行くから、用意しておかなきゃ」と思うもんなんだが、今回のわたしはそうじゃなかった。
 『外伝ベルばら』ですら千秋楽追いかけたのに、『黒い瞳』でまっつプガチョフで2番手で羽根付きだっちゅーに、「千秋楽? 行くかどうかわかんない。初日観てから決める」とか言っていた。
 『ロミジュリ』を好き過ぎて、アタマが切り替わらなかったため。
 『ロミジュリ』だけを考えていたくて、浸っていたくて、他の公演のことを考えられなかった。
 さすがに公演がはじまり、プガチョフ@まっつを目にすれば、アタマも切り替わるかなーと思っていたけど、しつこく公演二次書きをして楽しんでいたりしたこともあり、なかなか切り替わらない。
 千秋楽? どーしよーかなー。どこでやってるのかも知らないしぃ、チケットないしぃ、お金もないしぃ。

 しっかり考えてしっかり決めていなくても、行くときは行く。なにがあっても行く。自分の性格というか行動パターンはわかっているので、まあきっと、行くんだろう、と思っていた。なんとなく。

 まっつメイトから「四日市はどうするんですか?」と聞かれていたけれど、そっちはさらにイメージがわいてなかった。
 四日市というと、「追いかけて四日市」のあそこだよね、日帰り圏内とはいえコストパフォーマンス悪すぎて、あまり行きたい場所じゃない。
 http://koalatta.blog48.fc2.com/blog-entry-1243.html ←2005/12/06の「追いかけて四日市」話。
 名古屋へ行くのとほぼ同じ交通費がかかるのに、1日2公演観られないの。お金と時間を掛けて遠征して1公演しか観られないのはコスパ悪いよなあ。いっそ宿泊しか手がない場所ならあきらめもつくけど、日帰り範囲、しかし1公演だけ、ってのは、心理的にも後ろ向きになる。

 てことで、四日市をどうするか、まともに思考せず。
 ただ、日々の生活に追われる。

 てゆーか。

 今週1週間、ひどくね?

 星楽と雪全ツ彦根と四日市と千秋楽(場所知らない)と『MITSUKO』と宙初日が全部あるのよ? 雪全ツは実は平日もう1日どっかであったはずだし(よくわかってない)。
 自分の自由になる時間とお金と相談して、時間でもお金でも目眩がした。
 …………無理。こんな生活無理(笑)。

 どれかあきらめなきゃならないっつーんで、取捨選択。
 星楽、彦根、『MITSUKO』、四日市、全ツ楽を選択。……それでも週5日ですよ、1週間は7日ですよ、そのうち5日は観劇、兵庫と滋賀と大阪と三重と愛知、全部場所違いますよ。
 なんかもお、わけわかんない……。

 この怒濤の1週間、特に週末をどう過ごすか、まともに決めたのは木曜日でした。
 金曜日に梅芸行って、土曜日に四日市へ行って、日曜日に日進とやらへ行こう。

 なんでこういつも泥縄なの。計画性がないの。
 動くのがぎりぎりだから、あちこちてんてこ舞い。

 全部、まっつのせい。(ソコ?!)

 まっつがカッコイイから悪いのっ!(笑)
 まっつ写真入り公演グッズ。

 全国ツアー『黒い瞳』『ロック・オン!』初日、市川市文化会館ロビーの特設グッズ売り場にて、ぽかーんとした。

 『黒い瞳』のクリアファイルに、まっつが載っている。
 ニコライ@キム、マーシャ@みみ、プガチョフ@まっつの3人掲載。ポスターとは微妙に別デザイン。

 えええ。
 夢にも思わなかった。まっつ写真入りのクリアファイルが発売されるなんて。
 ポスター掲載されたからといって、グッズに入れてもらえるとは限らない。いや、むしろナイ。グッズ作成時は、まっつプガチョフの画像はわざわざ削除して、キムひとりか、キムみみで作ると思っていた。
 被害妄想ではなく、過去の例から。
 直近でいうなら、『ロミオとジュリエット』のクリアファイルはポスターと同じ柄と、キムロミオひとり映りのものだった。別画像だとジュリエットは載っていない。
 ポスターと同じ柄ではなく、マイナーチェンジして作る画像では、掲載人数を減らす場合が多分にある。
 大勢ごちゃごちゃと載っているより、トップやトップコンビがすっきり載っている方がよく売れる、という判断だろう。または、先行画像で先にグッズを作成していたとか。
 ヅカファンのパーセンテージ的に、ほとんどがトップファンである以上、その多数派が喜ぶグッズを作るのは当たり前。
 それでも2番手ならトップの次に多数のファンを持つから載せるだろうし、劇団がこれから売り出したいと思っているスターや、いろんな事情で載せなければならない人(新専科とか)はどんだけ画面がごちゃごちゃしても載せるけど、番手がついているのかどうかあやしい、劇団推しでもまったくない人を載せるとは、マジで思ってなかった。現に公演ポストカードはキムくんひとり画像だし。

 ありがたい。
 マジで、ありがたい。

 しかもこのプガチョフ@まっつ、すごいカッコイイし!
 プガ様マジで美しいし、涼しげだし。実際の舞台より二枚目っぽい(笑)。

 ご贔屓の写真入り公演グッズが発売される日が来るなんて、ファンになってからただの一度も想像したことがなかったので、心底おどろいたし、また、うれしかった。
 そりゃブックマークとか組ごとに10名近く出してもらえるものにはまぜてもらってたけどさ、ポストカードは出てもいいじゃん出してくんないなんて劇団のイケズ!とか思ってたけどさー、公演グッズはマジで夢にも思ったことなかった。さすがに贔屓の立ち位置はわかっていたので、脳みそが働かなかった。

 『ハウ・トゥー・サクシード』でもポスター入りしているけれど、「ポスター画像そのまま」でグッズを作成しない限りは、クリアファイルをはじめグッズにまっつが載ることはないと思う。
 わざわざ別画像でバランス取ってデザインし直すには、たくさん載りすぎてるもん、『H2$』ポスター(笑)。さくっとトップコンビのみか、ちぎまでだと思うなあ、別デザイン作るなら。
 や、是非ポスター画像まんまでグッズ作って欲しいけど。そしたらまた買いますよ、まっつが載っている物は全部(笑)。

 うれしいなあ、とニヤニヤしてましたが、さらにもうひとつ、地味にうれしいことが。

 キャトルレーヴのちらしに、まっつが!!(笑)

 「キャトルレーヴ通信」てのが毎月発行されてるじゃないですか。店頭のチラシラックに置いてあったり、商品を購入すると問答無用で袋に入れられるヤツ。
 その「キャトルレーヴ通信 2011年5月号」に、このクリアファイルが載っているのですよ。
 おかげで、初のチラシ掲載(笑)。

 すごーいすごーい、まっつがキャトルのチラシに載ってるー。
 素直によろこんでます。うれしいうれしい。

 それがなんであれ、まっつが載っているとうれしい。

 
 で、全ツの公演写真が発売されました。
 プガチョフ写真がカッコイイとか、2番手羽根写真がうれしいとか、それはある意味予想の範囲内。
 わたし的に想像外っちゅーか、おどろいたのは、ホモ館のキムくんのとの絡み写真があったこと。

 2番手って、こーゆーことなんだ。

 今までも、トップさんとエロく絡むシーンはいくらでもあった。ちゅーかソレこそ花組のお家芸、オサ様にしろまとぶんにしろ、毎回男たちはエロ絡みにいっていた。
 でもそれが写真として抜かれること、残ることは、なかった。
 トップとエロ絡みしてグッズ化されるのは、スターのみだ。今回のホモ館だって、その場にいる全員がキムくんと絡んでいるけど、写真になったのはまっつだけ。そーゆーことなんだ。

 まっつはエロOKな人で、こーゆー男同士の絡みも得意だけど、ソレは知る人ぞ知るってもんで、カメラに残らないからスカステでもDVDでも映らないから知りようがない。ナマで舞台を観ていて、しかも真ん中や贔屓だけオペラグラスで追っていたらわからないエロさだ。
 まっつだけじゃなく、脇の人はすべからくそうなんだけど。

 舞台の端の方で、写真にも残らない、テレビにも映らない、だけどエロエロやっていたなあ、ってのが今、はじめて写真というカタチで陽の目を見たんだなと。
 ナマを見ていない人にも「こんなことやってたんですよ」と残してもらえる立場になったんだ、この公演では。
 ……キムくんとの絡みがエロいかどうかは、置くとして(笑)。

 とまあ、2番手なら驚くまでもないことに、いちいち驚いてました。

 キャトルレーヴで写真を見つけたときは、ほんっと驚いたなああ。びっくりだなああ。
 あの、まっつが……。
 
 今までDCやバウで2番手格の役をさせてもらってはいたけれど、2番手格ではあっても、公演2番手ではなかったので、主役さんとの絡みの写真は残してもらってないもんなあ。
 プログラムの写真も学年順で小さいままだったし、主演スターさんとダンスでエロく絡んでも写真は出なかったし、親友役でもツーショすら出なかったなああ。
 主役が出ていないフィナーレ群舞でセンターですらなかったり、最後の挨拶がふたりひと組だったりと、2番手扱いされてなかったもんな。

 ソレが身に染み付いていたので、2番手役といっても2番手格なだけだろうと無意識に思い込んでいた。
 最後に白い羽根を背負って出てくるまで、羽根の有無も半信半疑だったし。

 プログラムにヒロインと同じ大きさで写真が載っていたり、一回り小さくても1ページでトップコンビの次にショー扮装の写真が載っていたり、プロフィールが載っていたりすると、すごくうれしい。
 特別なキモチがして、そわそわニヤニヤする(笑)。

 今回はポスター掲載からはじまって、ほんっとーに、2番手扱いだったんだ、グッズ的にも。

 なんて大盤振る舞い。
 ありがたく味あわせていただきます。購入させていただきます。
 ありがとうありがとう。
 全国ツアー『黒い瞳』の感想あれこれ、続き。

 パルミラ@ひーこは、女戦士なのか。

 プガチョフ軍にひとり、男装の麗人か、はたまた女性と見まごう美貌の少年か、がいる。
 飛び抜けて華奢で小顔、されどダンスのキレはピカイチ。ハイキックのスピードなんて、他の男たちよりよっぽどすげえ。

 パルミラというのは、プガチョフ@まっつに色っぽく絡んで「ご用が済んだら呼んでくださいね(はぁと)」と言う踊り子のおねーちゃんのことだ。プガチョフがヤニ下がって「あとでな(はぁと)」と応える踊り子のことだ。

 戦闘場面でがしがし踊っている戦士と、ハーレムの女みたいなベリーダンスの美女は、同一人物なのか?

 プログラムには、戦闘場面もうふんあはんな宴会場面も、同じ役名でひーこの名が載っている。
 役名が同じだからふつーは同一人物と判断するんだろーけど、それだとキャラクタがあまりにわけわかんない。

 同一人物なら、それらしい役作りをしないか?
 男装して戦列に加わっているときもプガチョフLOVEな視線をしていたり、女性だとわかる色っぽい仕草をしたり、踊り子のときのように表情豊かだったり。
 踊り子のときと戦闘場面とでは、人格が違いすぎる。
 戦うためにクールにしている、という域を超えている。というか、そういう設定なら、説明が必要だろう。踊り子さんに手を触れまくりのプガ様に、「戦っているときとは別人だな」とか一言言わせるだけで済む。パルミラにも、「今の私が本当の私よ」とか、一言返させるだけで済む。
 初見の観客にはなにがなんだかわからんだろーが、そんなの他にいくらでもある。ジェンヌの顔の見分けつかない人には、マクシームィチ@がおりが最初ベロゴールスク守備隊にいたことだってわかるかどうか難しいんだから。いちいち気にしてられないでしょ。

 戦闘場面のひーこはあまりに「キャラクタ」がない。
 モブの下級生たちと同じように「戦士」というだけの姿で踊っている。
 通し役ならおかしいだろー。
 
 出番が多いのは戦士役の方だ。踊り子は一瞬。
 それで考えるなら、感情のない戦士の顔がスタンダードで、お色気媚び媚びの踊り子は別人格か仮面?
 通し役なら踊り子のときも戦士と同じくらいクールに、感情なさげにするべきでしょー。「ご用が済んだら」の台詞も冷ややかに無感動に言う。それはソレで、キャラ立つと思うぞ。

 てことで、戦闘場面のパルミラは、踊り子パルミラとは別人認識。
 戦闘場面の戦士が男装の女の子でも、美少年でもどっちでもいい。とにかく、踊り子とは別人。
 荒くれ男たちの中に、涼やかな戦士がいる。……それでいい。

 
 そして反乱軍にはナニ気にズーリン少佐@にわにわとセルゲイエフ少尉@ハウルがいる……(笑)。
 にわさんの「こんな人ロシアにいそう」なおじさんぶりは素敵だし、ハウルの少年っぽい戦士ぶりはかわいい。
 

 反乱軍のメインどころに「アルバイト」として混ざっているのはこの3名か。
 役の付いてる、べロボロードフ@ひろみ、マクシームィチ@がおり、フロプーシャ@朝風、ザルービン@ザッキー、トマーノフ@月城にプラスして、センターグループで踊るから目立つ、ひーこ、にわにわ、ハウル。
 あとは「政府軍でも反乱軍でもなんでもやります」な下級生たちと、狂言回しトリオ。

 反乱軍の棒を使ったダンス、かっこいーよーねー。
 シンボルの赤いタスキ?を使ったダンスもかっこいーよねー。

 
 もうひとり、央雅くんはどうしているのかとゆーと、ロシア宮廷でナントカ将軍をやっている。

 このナントカ将軍の使い方も、おかしーんだよね。
 オレンブルグに本体を置くロシア軍司令官なのに、何故か宮廷場面になるとそっちにいる。当時の司令官が任地と宮廷をそんなに頻繁に行き来するはずがないので、やっぱ人数が足りなくて、別人にすることができないんだろう。
 初演では将軍は宮廷場面にはいないはず。越リュウがアルバイトとして出てはいても。

 央雅くんはきよみやふみかのポジションの子なんだなあ、と花組脳ですまん。
 新公学年から悪役やえらいさん役を総なめする宿命の、立役体型。今はまだ見た目に実力が追いついていないから、少しも早く充実した男になってほしい。
 新公で観る分には十分うまいんだけど、上級生たちにまざるとやっぱ、未熟さが目立つ。

 
 宮廷にいてはいけない人、といえば、レーヴィン夫人@杏奈ちゃん。
 初演では宿屋のおかみがレーヴィン夫人で、以前宮廷勤めをしていたという設定。同じ人がアルバイトで貴婦人役もやっていたから、女帝陛下の取り巻きのひとりとレーヴィン夫人が同じ顔なのは初演と同じ。
 ド田舎守備隊の貴族でもない大尉の娘と、地方貴族の従僕が女帝陛下の側近に会えるのは変だから、間を取り持つ宿屋のおかみが存在したわけだが、今回はチガウ。
 レーヴィン夫人自身が女帝の取り巻きの貴婦人で、さらにサヴェーリィチ@ヒロさんたちにも直接会って話してしまう。
 女帝の腹心なら大貴族だろーに、そんな人が何故サヴェーリィチたちに会ったのかは謎だが、杏奈ちゃんに役と出番を付け、かつ時間短縮になるのはいいよね。
 そしてなんつっても、レーヴィン夫人が余裕の微笑みで「王宮中に私の配下がいますからね」なんて言ってくれると、「さすが杏奈ちゃん!!」とひれ伏したくなる。(役名で言いましょう)

 女帝様の取り巻きのひとりでブイブイ言わせていたあの貴婦人が、実はいい人だった!てのは、好みの設定だ。
 女帝陛下も最初悪役っぽいのに最後はいい人になるので、彼女の腹心が話のわかる人であってもおかしくないし。
 (女帝も悪とかそういう一元論とは別にあるんだけど、手っ取り早く表現すると)

 少ない人数を、がんばって効果的に使っている。
 いろいろ加筆訂正してあるんだなあと。

 しかし、戦士と踊り子が同じパルミラという役名なのはどうかと思う。そのあたりの修正はしてくんないの?? 同一人物だからなの??(笑)
 彦根駅に着くと、大きなひこにゃんの看板が出迎えてくれました。
 おおお。ひこにゃんかぁ。ひこにゃんの国なんだなああ。

 ひこにゃんに関しては、「新公で役がつかない頃からこっそり応援していたのに、あれよあれよとトップスターになってしまい、うれしいけれどちょっと寂しいような」という気持ちを勝手に持っています。
 彦根築城何百年祭だかの初日、つまりひこにゃん初舞台の初日から、そのかわいらしさと彦根市のプロデュースのヘタさに頭を抱えてました、ええ勝手に(笑)。
 それがつい昨日ことのようなのに。「地方の誰も知らない祭のマスコットキャラクタ」でしかなかったひこにゃんが、ここまで人気になるなんてなあ。

 地元まっつメイトの木ノ実さんのエスコートで、いざひこね市文化プラザへ!
 彦根はゆーひくん追いかけた『ジャワの踊り子』以来だぞっと。

 2週間ぶりの『黒い瞳』『ロック・オン!』だー!!

 えーと。
 『黒い瞳』は、梅田で見たモノと違いすぎて、とまどいました。

 なんじゃこりゃー。
 ニコライ@キムくんも、プガチョフ@まっつも別人っ?!

 ニコライは大人びたというか、あまり少年少年しなくなったというか。もちろん最初のおぼっちゃまぶりは健在なんだけど、恋と争乱の最中の成長ぶりが顕著というか。
 少年らしい熱血度が下がり、分別っぽい落ち着きが増したというか。
 バカっぽさが減ったというか。

 梅田のときより、プガチョフLOVEぢゃなくなってる!!

 てのが、ショックです(笑)。
 梅田がやり過ぎだったのか? あの「大将」と呼ぶ声の甘さとかテレとか、「お前プガチョフ好き過ぎるやろ!」とツッコミたくなった、恋するヲトメみたいなニコライはどこに。

 ニコライのアホかわいさを最大級に表していると思う、「マーシャ~~っ!!」と叫びながら全速力で袖に駆け込んでいく姿も、声が泣いていないので、なんかトーンダウンしたような。
 あ、泣かないんだ、と思った。
 ニコライってマンガみたいに涙ぶわっと吹き出させながら「マーシャ~~っ!!」と走っていくイメージがあったので、ふつうになっていてびっくり。

 設定年齢上げたんだ。
 青年ならば、プガチョフ相手にあんなに目をハートにしないだろうし、マーシャを泣きながら探したりしないだろう。
 大人の男はそんなことしないもんなー。

 ニコライの少年っぽさが大好きだったので、ちょっとしょぼん。

 
 対するプガチョフときたら、まあ。
 おっさん度が上がってる。

 そ、そうか、ニコライの年齢が上がると、プガチョフも上がるのか。
 少年になつかれるおにーさんではなく、青年になつかれるおっさんになってる(笑)。

 年齢設定自体は変わっていないんだろうけど、芝居が骨太になった。
 柄違いの武将役を、軍師タイプのまっつががんばって演じている、という感じだったのが取れ、ふつーに武将を演じている。
 無理してる感がなくなったなー。つまんない。←

 あの、無理に大きさを出そうと、あがいている感じが良かったのにー(笑)。
 なんだよ、演じているうちに進化しちゃうんだ。てゆーか、こんなこともできたんだ、まっつって。

 キムくんにしろ、まっつにしろ、梅田あたりがわたしの好みどんぴしゃだった、というだけで、進化した今の姿が悪いわけではまったくありません。
 梅田は、初日よりもこなれて感情も乗り、されどまだ手探り中、って感じだったのかなあ。過渡期というか、ゴールが見えていないがむしゃら感、とまどい感が魅力だったんだと思う。
 今は最終形態が見えたのかな。キムくんのことはわかんないけど、まっつはそんな感じだ。

 物語として楽しむことと、ジェンヌの一ファンとして楽しむことは別。目線がチガウから。
 物語的には梅田の、がむしゃら少年ニコライと、どこかいびつな英雄プガチョフが好みだった。
 しかし、まっつファンとしては。

 英雄まっつ、かっけー!!

 知らないまっつだ。
 骨太キャラって!
 おっさん役は今までもやってきたけど、やっぱ線細い系っていうか、神経質系だったもんな。
 粗野で骨太、ワイルドなまっつ。
 知らないまっつにドキドキ。

 キムくんファンも、びーびー泣いてるお子ちゃまキムくんより、押さえた大人のキムくんにときめいているのかな。

 
 『ロック・オン!』は、市川~梅田で感じた「テンション高っ。アンタ誰?!」なまっつではなく、また別のまっつでした。
 なんつーんだ、オレ様で肉食なまっつ。

 なんだこの、堅実に押せ押せでがっつりいただいてる感じはっ。
 はじけてテンションおかしくて盛り上がっているんじゃなくて、確信犯。自分をカッコイイと思ってるスターが、当たり前のよーに客席を釣る、あの感じ。
 まままままつださん? どーしちゃったんですかっ?!

 彦根のホールに入るなり、階段を確認してしまったのは、客席降りでここを走るまっつを思って(笑)。
 ひこね市文化プラザの客席通路階段はけっこう段差がはっきりとあり、これを走り上るのはしんどいな、まっつコケないでね、と勝手に心配したんだけど。

 まっつ、走りませんでした(笑)。
 
 歩いてた。上手のみみちゃんがさーっと走っていくのに、まっつがゆっくりなもんで、下手通路ときたら渋滞気味。通路際のお客さんを丁寧に拾ってタッチしながら歩いている。
 そして、音楽関係なくいちばん後ろまでいってハイタッチ。ええ、通路際だけじゃなく、その隣とかもみんな、手を出している人全員にタッチ。
 そんなことやってるから、踊る暇ナシ。
 梅芸でやっていた、帰る間際に腕を上げて飛び跳ねる、アレもナシ。
 そんなことやってるヒマがあったら、できるだけたくさんのお客さんと触れあおうとしている様子。
 いちばんゆっくり会場奥まで行って、戻るのも遅い、みみちゃんはもうずっと先を歩いているのに、まっつまだ客席にいる(笑)。

 テンション高い、つーんでもないよアレ……なんか着実にファンサービスしてるよおおお? あの、あの、まっつが……。

 舞台からのアピールも強く、骨太。

「あんなまっつ、はじめて見た」
 と、梅田でも言っていたのに、彦根でも言うばめになるとわっ。
「プガチョフ入ってる? それであんなキャラなの?」
「オレ様だよアレ、ナニあれ、まっつぢゃない!」
 と、木ノ実さんとひそひそ。

 いやはや、格好良すぎてぽかーんですわ。
 タカラジェンヌってすげえな。ナマモノってすごい、そして、こわい。
 どんどん変わる。
 
 面白いなあ。
 星楽、たのしかったー!!

 もう何度目かわからないけど、叫んでおきます。

 ちえねねが好きだーっ。

 かわいいかわいいかわいい。
 このふたりを見ているとドキドキする、幸せになれる。
 かわいくてかわいくてたまらん。

 そして、れおんくんを見ていると、こんな男の子と恋愛したかった。と思う。
 ハタチくらいのときにさー、れおんくんみたいな男の子と出会って、恋したかったなあ。や、わたしはきっとフラれるっちゅーか、近寄ることも出来ないだろうけど、ひとりでドキドキしたり切なくなったり、泣いたりポエム書いたり(笑)、したかったよ。

 
 えー、とりあえず『ノバ・ボサ・ノバ』、役替わり3パターン目。

 いちばん、昭和度が高かった。

 びっくりだ。
 ナニこのレトロっちゅーか時代錯誤なまでの古き良き昭和。

 オーロ@真風がもお、古式ゆかしき昭和スターだった。
 タカラヅカの昭和スターぢゃなく、テレビとか映画とか、モノクロ時代の二枚目俳優。や、わたしもよく知るわけじゃないが、親が喜んで見る古いモノクロ映画のスターっぽい。
 えーと、唯一わたしが知るモノとしては、『仮面の忍者 赤影』の赤影さんみたいな感じ。びっちり撫でつけた髪と面長、主張のある鼻、涼しい目元。そして、ちょい嘘くさい芝居。音声と映像がズレてるような、古い映像っぽい。

 なんつーか、由緒正しい二枚目。
 で、イイもん。
 悪役とか色悪とかライバルキャラじゃなく、直球ど真ん中の主役キャラ。
 真っ白で誠実でクソ真面目。

 すごーく真面目にブリーザ@れみちゃんと恋をして、すごーく真面目に悲しんで、すごーく真面目に引きずりながら立ち直ろうとしていた。

 で。
 もうひとりの昭和。
 マール@ともみん。

 今すぐこの人に、赤いスカーフを。

 首にスカーフ巻いて、たなびかせてください。唇には茎の長い葉っぱくわえてください。で、頭の上に丸いサングラスを載せて、ギターを背中に担いでください。

 そーゆー人でした。

 ギターかき鳴らして黄昏れて、海辺を夕陽に向かって走って「海のばかやろーっ」て叫んでください。

 そーゆー人でした。

 主要人物ふたりが昭和なもんで、なんかものすごく『ノバ・ボサ・ノバ』って感じでした……。
 初演とか知らないから勝手なイメージだけど、昭和中期のかほりってこんなかなあ、と。

 面白かったです。

 オーロが真面目だからブリーザも真面目に恋してるし、マールが火の玉野郎だからブリーザの「ごめんなさい」感も強いし。
 いいバランスと温度でした。

 メール夫人@ベニーは、変な人でした。
 や、ベニーはどの役やっても変な人なんだけど(笑)。それにしてもメール夫人のぶっとび具合はなんなんだろう。
 千秋楽のお遊びだったのかもしれないけど、笑わせまくってくれたけど、うーん……ちょっとやりすぎていたような。
 メール夫人のキャラクタがわかんない……。

 というか、メール夫人って台詞あったっけ?
 「ベサメムーチョ」の場面とか、ふつーにいろいろ喋りまくっていて、びびった。「ひっく」とかだけで演じるものだと思ってたから、台詞によって笑いを取るのにびっくりした。

 ベニーは『めぐり会いは再び』でも遊びまくりだったからなあ。
 ブルギニョン@ベニーはたしかにお笑い担当キャラだけど、最初から最後までギャグなのはどうかと……。
 タカラヅカの男役スターなんだから、かっこいいところはかっこよくしてほしいなあ。
 ブルギニョンは公演日程があとになるほど笑いに走って、戻ってこなくなったような。

 それでもやっぱり見ちゃうんだけどね。目についちゃう、気になっちゃうんだけどね。

 
 卒業する真吹くんのお花のものすごさ。なんのキャラクタだろう、ファンシーなクマ?の顔になった花楯。
 や、それを持つ真吹くんはかわいらしいんだが、問題は彼に渡すまでの間、それをみきちぐが持っていた、ってことだな……。
 あまりにシュールな姿に目を疑った……(笑)。

 挨拶する真吹くんのまっすぐな声がよく通った、響いた。
 素直で健やか、気持ちの良い姿だった。

 ギリーは組長が読む手紙からすでに泣けた。
 音楽学校に合格したとき、神様にいっぱいいっぱい「ありがとう」を言ったんだって。
 ほんとにタカラヅカが好きなんだね。
 挨拶も、すごーくシンプルに「大好きです」って。
 大好き。大好きか。
 すごい破壊力だ。そのシンプルさがすぱんと胸に刺さったよ。

 
 楽しかった、星組公演。
 ショーも芝居も大好きだ。

 てゆーか「明日は星楽行くんだ」と思ったら眠れなかったってナニ? 遠足前の子ども??
 つーことで今死ぬほど眠いです……昨日からほとんど寝てない……。
 全ツ『黒い瞳』の感想続き。

 ベロゴールスク場面、センターで踊るハウル! に、ちょっとワクテカ(笑)。
 国境警備隊の歌を歌いながら踊る兵士さんたち、センターがめがねっこのセルゲイエフ少尉@ハウル。
 『ロミオとジュリエット』の子役、ピーターくんから一気に若くない役へ(笑)。

 兵士の朝風くんがかわいこぶりっこしてるー。声色使ってるけど、ちっとも声色になってないー(笑)。

 鶏を追いかける男の子@ららちゃんで、どの回も必ず笑いが起こったのがすごいなー。そんなに笑えることなのか。

 ところでイヴァン中尉@央雅くんが、好みすぎるんですが。

 隻眼の長身美丈夫が、両手に毛糸巻き付けて登場したら、そりゃ萌えますわ。
 かっこいいなああ。
 黙って立っていたらすごくかっこいいのに、笑うと一気にやさしくなる。
 のどかな田舎部隊の副官って感じがいいわあ。

 ただ彼、台詞声に問題アリ?
 セルゲイエフと話しているところとか、声質のこもり方と抑揚のなさが気になる。
 セルゲイエフも、芝居うまくないし。
 このふたりの会話部分はほっこりシーンなのに、ふたりとも微妙で素直にほっこりできない。
 でも、ふたりとも好き(笑)。

 ヴァシリーサ@ヒメは見た目に反した肝っ玉母さん的に登場。
 見た目はきれーなおねーさんだもんよ。でも年配役だから、喋り方とか脚本が田舎のおばさん風。
 毛糸の飛ばし方と豪快な笑顔……されど、マーシャ@みみちゃんがヤイーク川に行って来たと言ったときに不安気な顔になって夫のミロノフ大尉@ナガさんのところへすがっていくのがイイ。
 強さと弱さが両方ある感じで、こーゆー女性、モテるだろうなと思う(笑)。

 ヒメはこのヴァシリーサ役だけじゃなく、モブのダンサーとしてあちこちでも活躍してるけど、オープニングの民衆のコワさが半端ナイ(笑)。
 よろけて登場、地に転がる、その目つき。
 入り込み過ぎ、見るなり「こわっ」と思う(笑)。

 ところで、ここで登場する神父さん@真地くん。
 でかっ。
 ただでさえ長身なのに、嵩高い帽子かぶってるもんで、さらに上に長い。全長2mぐらいあるんじゃないの?
 2mな神父様って……誰得……(笑)。

 ニコライ@キムとマーシャが出会い、双方一目惚れで一気にラヴラヴになる、それを後ろでひとり見つめるシヴァーブリン@コマの目つきがイイ。

 シヴァーブリンは最初からひどい態度で、わかりやすくイヤナヤツ!なんだけど、実はマーシャに対する眼差しは優しいの。
 「私の宝物」と歌うマーシャを見つめる瞳が、このひねくれ者にはそぐわない、ピュアな愛情に満ちていて……切なくなる。
 ほんとにマーシャのこと好きなんだよ。
 ツンデレだから、素直になれないだけで。

 去年マーシャにプロポーズして断られたらしいけど、きっとアプローチ間違いまくったんだろうなあ。
 貴族を鼻にかけて「この俺様がお前なんかに声を掛けてやってるんだぜ」的態度で接して、背中向けられたんだろーなー。
 ペテルブルクで、そんな女たちとしかつきあってなかったんだろう。馬鹿だなあ。
 マーシャが振り向いてくれたらきっと、彼女だけにはデレて見せたろうに。

 
 反乱軍陣営の人々。

 ザルービン@ザッキー、トマーノフ@月城くん。
 実はわたし、初演のザルービンがかなり好きで。プガチョフが別物になるのは覚悟していたけれど、ザルービンの別物ぶりに、地味にショックを受けた(笑)。

 ザルービンってあんな役だっけ?

 プガチョフの部下で、シンパ、熱愛者。
 プガチョフが正しいとかどんな人でどんな行いをとか、そーゆー客観的な目は持たず、ただもう盲目的にプガチョフを崇拝し、付き従っているイメージ。
 プガチョフが死ねと命令したら、なんの躊躇もなく死にそうな男。
 演じていたナルセくんの持ち味もあったんだろうけど、パッションはあったけれどやっぱどこか冷ややかさがあったというか。
 こーゆー腹心キャラって好きなのなー。『龍星』の飛雪とかさー。

 それがザッキーザルービンってば。
 ナニあの暑苦しい男(笑)。
 シンパはシンパなんだけど、間違ってないんだけど、いつもガオガオ吠えまくってるというか。顔の情報量が多いっていうか。
 プガチョフを妄信しているというより、ただの頭の悪い暴力的な男に見えて。プガチョフへの愛情が足りていない気がしたなー。

 チガウ……こんなのザルービンぢゃないっ!てくらい、違和感だった(笑)。 

 初演と比べても意味ないので、そう思ったことは事実だけど、それで悪いと言っているわけじゃない。
 ザッキーザルービンはザッキーザルービンで良いのです、アリなんです。
 このウザいところが、今回の『黒い瞳』のザルービンなんだろう。

 むしろザルービンより、トマーノフが、初演のザルービンっぽかった気がする。
 初演のトマーノフは、記憶にありません(笑)。プガ様の腹心はザルービンだけかと思ってたよ。
 だもんでこちらは初演と比べてどうこうもない。

 月城くんはどんどん男前になってきてるなあ。好きな顔立ちなので、どこにいても目につくし。
 顔の情報量はザッキーの方がはるかに多いんだけどね(笑)。

 実直にプガ様を愛している感じが良かった、トマーノフ。

 そして、ふたりの元帥。ベロボロードフ@ひろみちゃんと、フロプーシャ@朝風くん。
 ひろみちゃんがこんな身も蓋もないヒゲ男役をやっているとは思ってなかった。最初気付かなかったよ。
 ワイルドでかっこいい。声が良いの、姿に似合っているの。新境地開拓?
 ベロボロードフ役を演じる彼を見て、芝居の好きな子だったんだよなと思い出した。技術は足りてなくても、ルキーニとか体当たりでやってたもんなあ。雪に来てアイドル系になっちゃったから、しばらく忘れてた。脇で芝居に没入していた、昔のひろみちゃん。
 ベロボロードフは脇の役というイメージだっだけど、ひろみが演じることで、わたしが思っていたよりずっといい役だったんだと気付いた。

 ベロボロードフの相棒、フロプーシャは美青年ポジだよね? 初演が卯城くんだったし。ベロボロードフがいかついヒゲオヤジな分、相方は美形優男系という、コンビ物のお約束において。
 朝風くんはすらりとした美青年じゃない。いやハンサムだけど、もっと土臭いというか。ベロボロードフの方が絶対美青年だ、ヒゲで誤魔化されてるけど!な感じが、かえって愉快。

 朝風くんも顔芸激しい人なんだけど、ザッキーのような情報量云々ぢゃないんだよなあ。不思議だなあザッキー。(そっち?)
 あまりにも怒り顔と悪い顔ばかりしているので、おなかいっぱいになりがちです、朝風くん。もうちょい引くところは引いてくれた方が好みです。
 今さらですが、『黒い瞳』の感想。

 つくづく、良い作品だなーと思う。
 『激情』のときも書いたけど、柴田&謝コンビ作品は、は柴田作品というより、謝作品認識。柴田せんせ単独だったら、わたしは好きになっていなかったと思うし。
 謝演出ならではの狂言回しトリオも、初見時は説明しすぎでウザいと思ったんだが(笑)、繰り返し観ると気にならなくなるし、ソレはそれの味と思えるし。
 正塚せんせみたく、解説を全部録音テープのモノローグでやられちゃうより、狂言回しの解説とはいえ、ナマで喋ってくれるのはいいよね。正塚作品なら絶対、「その男とは、運命の出会いだった」とか「そのときのぼくは、知るよしもなかった」とか、「シヴァーブリンがマーシャの名を出さなくて、ぼくはほっとした」とか録音テープが流れるぞっと。

 柴田せんせの台詞は美しいけれど、言葉以外の部分がすでにつらい。
 なんつっても、テンポと視覚。
 テンポは時代感覚。柴田せんせの活躍した時代と現代ではあきらかに別物なんだが、せんせにはソレが理解できない……てゆーか、気付いていないのかもしれない。
 そして、舞台全体の美しさ。画面。絵づら。舞台転換も含めた、「動」の動き。柴田せんせも植爺も、平面の紙芝居しか作れないのは、彼らの時代の限界だろう。

 それらの大きすぎる欠点をカバーするのが、謝せんせの演出だ。
 脚本自体の古さは仕方ないとして、ダイナミックなダンスとスピーディな舞台転換で立体的に物語が進むのは、観ていて気持ちいい。
 謝作品って、盆回りまくり! という印象。大劇場の舞台機構を存分に使って、上に下に奥行きのある演出が特徴的だった。
 加えて、ドラマティックなダンス。「謝作品は必ず稽古段階でケガ人が出る」って言われていたなあ、ダンスがハード過ぎて。女子の筋力でソレは無理です、て振付もされちゃうから。

 それまでもショーの1場面で謝せんせが振付していることがあったけど、ダンスのさっぱりわからないわたしでも、初見予備知識ナシで「あ、コレ謝珠栄だ」とわかる、独特の振付。
 振付が面白いのはわかっていたけど、舞台演出自体は見たことがなくて、この『黒い瞳』がはじめてだった。
 謝せんせらしさがふんだんに盛り込まれ、すげーわくわく観たのを覚えている。

 第一わたし、マミリカ好きだったしね(笑)。
 マミさんの美貌に釘付けだったもんよ。
 ……ちなみに、月組初演大劇場公演『黒い瞳』時点で、わたしは大空祐飛さんを認識していません。
 どこに出ていたかも知らない。
 わたしがゆーひくんオチするのはこの公演直後、『黒い瞳』ムラと東宝(1000days劇場)の間に上演された風花ちゃんのサヨナラバウでだ。
 おかげで新公プガチョフ見てないのよー。代役だったのも東宝だし。

 盆を回せない、舞台機構を使用できない全国ツアーで再演するのはもったいないと思う。
 全ツはそれぞれの箱の機能を使うことは一切なく、持ち込んだ絵を描いた板とカーテンだけを使う、紙芝居演出にするしかないもの。

 去年、同じ柴田&謝コンビの『激情』が全ツ落ちして各地を回ったけれど、演出面でやっぱ物足りなさと寂しさがあった。
 大劇場で上演したときは美しかったのになあ。舞台の大胆な使い方、その視覚効果に息をのむ部分があったのに。全ツではそれらを禁じられ、不自由な乏しいセットでがんばってたなあ。

 それでも、『激情』はまだマシだったんだ、と今回の『黒い瞳』を見て思った。
 『激情』は登場人物が少ないんだもの。全ツでも十分回せる。
 しかし。

 『黒い瞳』は、戦争モノである。

 何千人が戦う場面があるっちゅーのに、それぞれの陣営がひと桁しかいないのは、つらい。

 大劇場で、盆を回しセリを使い、80人の組子総動員で演じたら、どんだけ興奮しただろう。
 ダイナミックな謝ダンスでさー。がしがし戦ってさー。

 戦闘シーンがしょぼくて、哀しかったっす。
 全ツだから仕方ないと、最初からわかっていることとはいえ。
 人数は少ないし、下級生も娘役も総動員で兵士を演じているから、男役スキルが低くてなんかものすごく、「女子校の文化祭」ちっくになる……。

 男として走る、とかって、実はナニ気に難しいよね。
 戦闘だからとにかく「うおー」とか「わー」とか言って走り回っているのがさらに、つらい。強く見せよう、大きく見せようと無理をしている感がありありで。声も姿もオンナノコで。
 タカラヅカを観たことのない、地方のお客さんに「女の子たちががんばってるなあ」と思われちゃうよーな姿だわ……。
 総力戦の大劇場なら、目立つところにはうまい子、男役が出来ている子を配置するから、こんな見た目にはならないのよお客さん、これがタカラヅカ全体の実力だと思わないで~~、と、老婆心。
 これはどこの組だから、ということじゃなく、全ツの宿命よね。

 『黒い瞳』が全ツ落ちして、おそらくはもう大劇場本公演には戻らないことを惜しみつつ。

 それでも、良い作品だと思った。

 冒頭の雪の精たちのダンスから、引き込まれる。
 衣装も含め、なんて美しいんだろう。
 くるくる回る彼女たちが、舞う雪を自然に想像させる。

 倒れるニコライ@キムのもとに現れる雪の少女@みみちゃんのダンスも素晴らしいし。
 衣装も動きも、なにもかも「かわいい!」と思わせる。
 なんて印象的な登場。

 雪の精たちが最初にまいた雪が、ずっと効果的に使われるよね。
 わたしはプガチョフ@まっつ登場時に、彼の身体の周りに雪が舞うのが好き。
 下手奥の壇上から登場した彼は、階段を降りてから舞台に倒れるよーにころんと一回転する。
 そのときに、床に落ちている雪が舞い上がるんだよね。
 雪をまとって現れるプガチョフが、ただ者ではない!って感じを高めていて。
 わくわくする。

 馬車の車輪を動かしたり、サヴェーリィチ@ヒロさんの自己紹介がなかったりと、微妙にカットされているのは時間調整か。
 あと短縮されているっぽいのは、マクシームィチ@がおり関係? マクシームィチはえらくあっさりと描かれていた気がする。
 それと、オレンブルグのナントカ将軍登場のくだりがまるまるカットか。これは時間というより、人数の問題の気が……だっておっさん役できる人いないじゃん。宮廷場面やラストの戦闘のどさくさならいざ知らず、カーテン前少人数の目立つ場面を、央雅くんにこれ以上やらせるわけにもいかんだろーし。

 宿屋の主人がひろみちゃんだと気付いたのは2回目から。
 プガチョフがナニ気にスキンシップ高いのがツボ。
 肩抱かなくてもいいじゃん、そんなに顔くっつけなくても喋れるじゃん。

 主人がひろみちゃんだとわかった途端……つまり、美形だとわかった途端、プガチョフとの関係を邪推したことは秘密です(笑)。

 ズーリン大佐@にわにわが連れている士官@真地くんが長身美形で目を引きます。
 この士官くん、ベロゴールスクのことを笑ったりして性格悪いのかなと思いきや、ビリヤードをしようと大佐がニコライを誘ったあとは、フレンドリーにニコライの肩抱いてるし。実はイイ奴なのか(笑)。
 若い者同士、ニコライとは友情が芽生えているかもしれない、とか思うと楽しい。

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