ダンディ・ギャングスターの間をぬって、花組『ハロー!ダンシング』の話、続き(笑)。

 狂言回しその4、女の子たちだけの場面。歌詞のサムさは公演No.1。「タカラヅカが好き♪ タカラヅカが好き♪ タカラヅカのなにが好き?♪」……演出家を憎みたくなる一瞬(笑)。

 歌は萌子、ダンスはゆまちゃん。
 女の子だけごちゃっと現れて自由度高く歌い踊ると、やっぱののすみのかわいさ、華やかさが目に飛び込んでくる。

 かわいーなー。『MIND TRAVELLER』のときのジュディみたい。
 場慣れしていることもあるんだろうな。所作や表情、ひとつひとつかわいらしい。

 スタイルでも顔単体のかわいらしさでも、ひめかちゃんの方が上だろうに、それでもののすみの方があざやかにかわいく見える。
 ののすみはこうやって脇に混ぜながら「やっぱあの子、目立つよね」と思わせる方が賢い売り方なんぢゃないだろうか……。

 なんにせよ、そのののすみとひめかちゃんが組んでデュエットダンス合戦?をしてくれるのでたのしい。ちゃんとリフトするんだ、できるんだー。
 女の子同士でも、あんなに華奢な子同士でも、ちゃんと持ち上がるんだねえ。

 余談だが、HOTEL DOLLYにて、スカステの『ダンス魂』を見ながらリフトに挑戦したことがある。
 サトリちゃんが男役でわたしが娘役。ふたりとも身長でかいんですが、無謀にもチャレンジ。
 ……ほんとに、持ち上がるもんなんだね。
 わたしとサトリちゃんは体格がほぼ同じ、向こうがはるかに若いから体力腕力あるとはいえ、女性が同じ体格の女性を持ち上げられるもんなんだ、タイミングや型さえ守れば。
 わたしを持ち上げたサトリちゃんは「それがぜんぜん重くないんです」と言っていた。番組でさおたさんが言っている通りにしてみただけ。そうか、技術が大切ってのは、こういうことだな。それを習うことで、ふつうならできないこともできるよーになる。
 これでわたしがあと10cm小柄で、20kg痩せてりゃあ、サトリちゃんももっと軽々持ち上げられたことだろう(笑)。

 ただやはり、持ち上げるだけでなくソレで踊って、なおかつ「美しく見せる」というのはさらに特別な技術がいるよなあ。

 女の子たちがリフトをしている姿は「おおっ、できるんだー」という感動はあるが、うっとりするほど美しいよーなものではない。
 ただ、かわいい。
 すごくかわいい。
 若く可愛い女の子たちが、リフトをしてくるくる回っている、という事実だけですごくかわいい(笑)。

「ふたりだけのダンス♪ ふたりだけのダンス♪」
 と歌い踊る女の子たちの次の場面が。

 いきなり、野郎が3人登場して来たので、吹いた。

 や、わたしではなく、わたしの後ろの席の人が。
 わかる。わかるよ。わたしも、あれほど「ふたりだけのダンス」って煽ったあとで、男3人が出てきたら、「なんのギャグ?」って思うけど。
 後ろでウケていることに、ウケた。……ちなみにわたしの後ろの席、全員宙組生だったんですが(笑)。

 デュエットダンスは、だいもんとみほちゃん。
 最初に登場した野郎どもはすぐに退場、男はだいもんひとりになる。

 望海風斗は、男を上げたと思う。

 彼がアピール上等!なうるさい芸風の人であることも、歌がうまいことも知っていた。
 だが、ダンスでセンターもらってどうこうできる人かどうか。
 それは、やってみないとわからない。
 狂言回しでは、見事にセンターを務めた。華と押し出しの良さ。だがあれは、得意の歌があった。センターで客席をずーっと見ながらアピールするのと、声を出さず純粋にダンスで場を埋めるのとはチガウ。

 場面は、『メモアール・ド・パリ』から「モンマルトルのカフェ」。
 カフェで働くムッチムチ(笑)のいい女@みほちゃんにぞっこんな男@だいもんが、彼女を口説く、というダンスシーン。

 ダンス技術の問題ではない。
 ここはタカラヅカだからだ。
 ふつーに踊れればそれで問題ない。それより大切なのは、「スター」であることだ。

 みほちゃんはすげー「いい女」。ムッチムチかどうかは疑わしいし(笑)、だいもんが惚れるにはあまりにおねえさんすぎる気がするんだが(歌詞に「年上のいい女」って入れればいいのに)、佇まいとダンスっぷりから十分「美女」として成立する。
 一方だいもんは。
 ダンスでは、みほちゃんに劣る。そりゃーもー、素人のわたしにもわかる。同じ振りを並んでしちゃったりすると美しさがぜんぜんチガウ。
 でも、そーゆーことじゃない。

 だいもんは、見事に「芝居」してみせた。 

 たしかにダンスなんだけど。
 ただ決められた振りを踊るのではなく、その振りによってナニを表現したいのか。何故踊っているのかを、全身で表現した。

 ミュージカルだ。
 今コレ、「ミュージカル」を観ているんだ。と、思った。

 エネルギーがあふれているのも、観ていて気持ちいい。
 変わり続ける表情。
 最初にカウンターの上に飛び乗るの、ナニ気にすげー跳躍してねえ? スピード感にびっくりしたんだけど。

 ダンスで「魅せる」のは、踊りの技術だけのことではない。ただうまく踊れるだけじゃ、タカラヅカでは「真ん中」に立てない。
 「真ん中」に立つには、まったく別のスキルが必要である。
 だいもんはそのことを体現してくれた。

 
 そーやってミュージカル・ハートになったあと。
 狂言回しその4、しゅん様とかりやんの微妙にサムいスーツ姿でキザるタップを挟んで、次が組別のオリジナル場面。

 花組は「花とナナ」。

 これがもお、見事にナナ@ののすみ主演ミュージカルでした。

 そっかぁ、花組はダンスではなくミュージカルの組かぁ。
 純粋にダンス勝負していない、つーか。ダンス以外のとこでアピりまくってますっていうか。

 貧しい花売り娘ナナ。
 彼女と花の精たちのダンス。
 花を売ろうとする彼女に冷たい一瞥をくれる通行人たちが、本気で芝居しているし。

 てゆーか、通行人@らい素敵。

 スーツにロングコート。
 意味もなくかっこよくて、目を奪われる。
 赤シャツにブラックジーンズという少年っぽいの花の精たちの間で、唯一「大人」という風情のらいが、目立つんだわ。そりゃあもお、無意味に。
 そこでらいを見ていちゃいかんのだが、ただ通り過ぎるだけの彼を目で追ってしまう。
 OL風の萌子と待ち合わせ、コートを彼女に着せかけてあげたりしているのを、ひたすらガン見してしまう。……だから、ただの通行人だから、モブだから、見ていちゃイカンから。

 らいがあんまりかっこいいから、なにかストーリーがあるのかと、本筋に関係ある人なのかと思っちゃったよ……。ただの通行人じゃん、本筋となんの関係もないじゃん……。

 
 と、話はめっちゃ途中だが、文字数の関係でぶった切る。


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