犯人の言い訳。@マジシャンの憂鬱
2007年8月19日 タカラヅカ はい、今さらなんですが。『マジシャンの憂鬱』の話です。
犯人がアホ過ぎる、「火事だー、助けて〜〜!」と叫びながら、逃げようとして安全なところに背を向けて、火の中に飛び込んでいく……ようなもんだ、と前に書いた。
いくらなんでもご都合主義過ぎ、物語を展開させるという目的のためだけに、作者と主人公の都合のいいようにだけ、犯人と事件が動いていく。
この「いくらなんでもひでぇよな」という展開を、ストーリーそのままでフォローする方法とは。
犯人側の物語も描く。
コレしかない。
『マジ鬱』では、シャンドール@あさこ視点で物語が展開するため、犯人側の物語は一切ない。そもそも「事件」であったことすら最初は伏せられている。
事故だと思っていた、実は事件だった、皇太子妃は生きていた……など、情報が順番に明らかになっていくことでミステリ的おもしろさを形成している。
それはわかる。
わざと、犯人側の情報を制限し、最後の最後で真犯人がわかる、というカタチにこだわったことは。
わかるけど……。
今のままじゃ、あまりにコワレてるから、こだわりを手放しても仕方ないんぢゃ?
つーことで、「ここだけ変えれば、他は全部今のままでヨシ」話っす。や、個人的意見だけどなっ。
要所要所、コーラスと共に場面転換するところに、「犯人」を出すの。
シルエットだけで、姿を見せちゃダメ。
声は機械処理してもいいし、誰かぜんぜん関係ない人がアテてもヨシ。マチヲ先輩にさせるのだけはやめた方がいいんぢゃないかと……ゲフンゲフン。
その「犯人」が、シャンドールたちの言動にいちいちリアクションするの。
「言い訳」ですよ。
なんで「火事だ、助けて!」と言いながら、火の中へ飛び込んでいったのか、観客へ言い訳するの。
これこれこーゆー事情があって仕方なく、結果的に火の中に飛び込むことになりました、という。
そうやって説明しないことには、おかしすぎるもの。物語が壊れてしまうもの。
ただ、この「言い訳」は、描き方によって2種類できる。
ひとつめ。
犯人を、徹底的にアホにする。
幼年向けギャグアニメの悪役みたいに、ものすごーくバカで、目の前のことしか考えられない。
「天才マジシャンが、皇太子妃の事件を探っている? わーん、大変だー、そんな奴殺しちゃえー!!」
狙撃なんかしたら、事故ではないって宣言しているよーなもんなのに、バカだからしてしまう。
「天才マジシャンを捕まえたぞー。よーし、とりあえずカタコンベに隠しちゃえ〜〜。都合の悪いものはみーんな穴の中だ、はっはっはっ」
そんなことをして危険はあっても得があるのかと小一時間……。
万事その調子。
本物のアホ。
この場合、クールで美形な部下とかを側に置いて、理不尽なアホアホ命令に唇噛ませて色気を振りまけばヨシ。越リュウあたりで見たいもんだ……(しかし、役割的にもりえになりそうな予感)。
ふたつめ。
犯人を、まともであるゆえに、気の毒な人にする。
器ではなかった、それがすべての過ちだった、みたいな。
「天才マジシャンが、皇太子妃の事件を探っている? なんとか事故で済ますよう、工作は出来ないか? そのマジシャンは金で買収できないか?」
あくまでもまともな、ふつーの人が考えるだろうことを考える人。
でも、不幸にも穏便に済ますことが出来ないアクシデントが起き、事態が悪い方へばかり転がってしまう。
「マジシャンを狙撃した?! バカな、そんなことをしたら皇太子妃は暗殺されたのだと自白しているようなものじゃないか!」
本人の意志とは逆の方へばかり。
「天才マジシャンを捕まえたぞ。口封じは簡単だが、皇太子が信頼している男だ、利用価値があるかもしれん。とりあえず閉じこめておけ」
あくまでまとも、あくまでふつー。なのに、彼の意に反するトラブルが。連絡ミスとか勘違いとか、すごく些細な、現実に起こりそうなミスで。
「カタコンベに閉じこめた? バカな、あそこには皇太子妃がいるんだ、マジシャンが皇太子妃を見つけたら、すべて知られてしまう!!」
ありえそうな些細なミスだからこそ、このタイミングで起こることが不幸のコース料理というか……。
「天は我に味方しなかった……」
とゆーことで。
なんでこう、ありえない方向へばかり物語が進むのか。
ご都合主義だとか壊れてるとか、そーゆー風にしたくないなら、犯人側に登場してもらって、ひとつひとつ言い訳してもらうしかない。
バカだったから、まともだけど運が悪かったから、という風に、解説するためだけに出てきてもらうしかないよ。
それでも犯人を一切出したくない、シャンドール視点でしか描きたくないっていうなら、壊れていない物語を、一から書き直すしかない。
犯人はシャンドールを狙撃したりしない。
だから、ヴェロニカ@かなみんが命がけで彼を守るエピソードは、どこか他で使わなきゃ。パッショネイト皇太子@きりやんをボディガード@マギー、みりおたちが守る、あの愉快なシーンもなくなるけど、仕方ないよな。
カタコンベでおびえるかわいいヴェロニカの場面もカットだ。他でなにか、同じような出来事を作るしかないな。
ふたりのキモチが近づいていくエピソードも、みーんなやり直しだ。
そもそも3年前、つー設定はナシだろうし、皇太子妃が生きているのもおかしい。
辻褄の合わないことを正していったら、まったく別物になるよなー。
犯人に人間らしい、のーみそのある行動を取らせつつ、シャンドールとヴェロニカの物語を進展させ、かつ、皇太子妃暗殺事件をミステリとしてまちがっていない組み立てで展開させる。
……やってやれないことはないんじゃない? まあがんばれ。
わたしなら、犯人を出して言い訳させるな。一から作り直すの、めんどーだから。
そして、今のままでキャラクタたちはかわいくてイイから。
ほんの数場面、キャラクタと台詞を作るだけで、今のまま壊れていない話になるのに。
でもって、役も増えて、見せ場をもらう人も増えるのに。
でもまあ、正塚のこだわりなんだろうなあ。
犯人は最後の最後まで、伏線のひとつもなくドラマのひとつもなく、名指しされてエンド、ての。
犯人がアホ過ぎる、「火事だー、助けて〜〜!」と叫びながら、逃げようとして安全なところに背を向けて、火の中に飛び込んでいく……ようなもんだ、と前に書いた。
いくらなんでもご都合主義過ぎ、物語を展開させるという目的のためだけに、作者と主人公の都合のいいようにだけ、犯人と事件が動いていく。
この「いくらなんでもひでぇよな」という展開を、ストーリーそのままでフォローする方法とは。
犯人側の物語も描く。
コレしかない。
『マジ鬱』では、シャンドール@あさこ視点で物語が展開するため、犯人側の物語は一切ない。そもそも「事件」であったことすら最初は伏せられている。
事故だと思っていた、実は事件だった、皇太子妃は生きていた……など、情報が順番に明らかになっていくことでミステリ的おもしろさを形成している。
それはわかる。
わざと、犯人側の情報を制限し、最後の最後で真犯人がわかる、というカタチにこだわったことは。
わかるけど……。
今のままじゃ、あまりにコワレてるから、こだわりを手放しても仕方ないんぢゃ?
つーことで、「ここだけ変えれば、他は全部今のままでヨシ」話っす。や、個人的意見だけどなっ。
要所要所、コーラスと共に場面転換するところに、「犯人」を出すの。
シルエットだけで、姿を見せちゃダメ。
声は機械処理してもいいし、誰かぜんぜん関係ない人がアテてもヨシ。マチヲ先輩にさせるのだけはやめた方がいいんぢゃないかと……ゲフンゲフン。
その「犯人」が、シャンドールたちの言動にいちいちリアクションするの。
「言い訳」ですよ。
なんで「火事だ、助けて!」と言いながら、火の中へ飛び込んでいったのか、観客へ言い訳するの。
これこれこーゆー事情があって仕方なく、結果的に火の中に飛び込むことになりました、という。
そうやって説明しないことには、おかしすぎるもの。物語が壊れてしまうもの。
ただ、この「言い訳」は、描き方によって2種類できる。
ひとつめ。
犯人を、徹底的にアホにする。
幼年向けギャグアニメの悪役みたいに、ものすごーくバカで、目の前のことしか考えられない。
「天才マジシャンが、皇太子妃の事件を探っている? わーん、大変だー、そんな奴殺しちゃえー!!」
狙撃なんかしたら、事故ではないって宣言しているよーなもんなのに、バカだからしてしまう。
「天才マジシャンを捕まえたぞー。よーし、とりあえずカタコンベに隠しちゃえ〜〜。都合の悪いものはみーんな穴の中だ、はっはっはっ」
そんなことをして危険はあっても得があるのかと小一時間……。
万事その調子。
本物のアホ。
この場合、クールで美形な部下とかを側に置いて、理不尽なアホアホ命令に唇噛ませて色気を振りまけばヨシ。越リュウあたりで見たいもんだ……(しかし、役割的にもりえになりそうな予感)。
ふたつめ。
犯人を、まともであるゆえに、気の毒な人にする。
器ではなかった、それがすべての過ちだった、みたいな。
「天才マジシャンが、皇太子妃の事件を探っている? なんとか事故で済ますよう、工作は出来ないか? そのマジシャンは金で買収できないか?」
あくまでもまともな、ふつーの人が考えるだろうことを考える人。
でも、不幸にも穏便に済ますことが出来ないアクシデントが起き、事態が悪い方へばかり転がってしまう。
「マジシャンを狙撃した?! バカな、そんなことをしたら皇太子妃は暗殺されたのだと自白しているようなものじゃないか!」
本人の意志とは逆の方へばかり。
「天才マジシャンを捕まえたぞ。口封じは簡単だが、皇太子が信頼している男だ、利用価値があるかもしれん。とりあえず閉じこめておけ」
あくまでまとも、あくまでふつー。なのに、彼の意に反するトラブルが。連絡ミスとか勘違いとか、すごく些細な、現実に起こりそうなミスで。
「カタコンベに閉じこめた? バカな、あそこには皇太子妃がいるんだ、マジシャンが皇太子妃を見つけたら、すべて知られてしまう!!」
ありえそうな些細なミスだからこそ、このタイミングで起こることが不幸のコース料理というか……。
「天は我に味方しなかった……」
とゆーことで。
なんでこう、ありえない方向へばかり物語が進むのか。
ご都合主義だとか壊れてるとか、そーゆー風にしたくないなら、犯人側に登場してもらって、ひとつひとつ言い訳してもらうしかない。
バカだったから、まともだけど運が悪かったから、という風に、解説するためだけに出てきてもらうしかないよ。
それでも犯人を一切出したくない、シャンドール視点でしか描きたくないっていうなら、壊れていない物語を、一から書き直すしかない。
犯人はシャンドールを狙撃したりしない。
だから、ヴェロニカ@かなみんが命がけで彼を守るエピソードは、どこか他で使わなきゃ。パッショネイト皇太子@きりやんをボディガード@マギー、みりおたちが守る、あの愉快なシーンもなくなるけど、仕方ないよな。
カタコンベでおびえるかわいいヴェロニカの場面もカットだ。他でなにか、同じような出来事を作るしかないな。
ふたりのキモチが近づいていくエピソードも、みーんなやり直しだ。
そもそも3年前、つー設定はナシだろうし、皇太子妃が生きているのもおかしい。
辻褄の合わないことを正していったら、まったく別物になるよなー。
犯人に人間らしい、のーみそのある行動を取らせつつ、シャンドールとヴェロニカの物語を進展させ、かつ、皇太子妃暗殺事件をミステリとしてまちがっていない組み立てで展開させる。
……やってやれないことはないんじゃない? まあがんばれ。
わたしなら、犯人を出して言い訳させるな。一から作り直すの、めんどーだから。
そして、今のままでキャラクタたちはかわいくてイイから。
ほんの数場面、キャラクタと台詞を作るだけで、今のまま壊れていない話になるのに。
でもって、役も増えて、見せ場をもらう人も増えるのに。
でもまあ、正塚のこだわりなんだろうなあ。
犯人は最後の最後まで、伏線のひとつもなくドラマのひとつもなく、名指しされてエンド、ての。