そして世界は、光に満ちる。@君を愛してる−Je t’aime−
2008年1月2日 タカラヅカ 「世界」が、やさしい。
やさしい人たちが、やさしい世界に生きている……『君を愛してる−Je t’aime−』感想の続き。
マルキーズ@となみの誕生日プレゼントをどうしよう、と彼女の妹分のリュシール@シナがジョルジュ@水に相談を持ちかける。
サーカス団のために日夜尽くしているマルキーズ。経営から雑用まで、なにもかも一手に引き受けている彼女のために。
毎日みんなのためにおいしいごはんを作ってくれるあのひとに、感謝の気持ちを伝えたい、お祝いをしてあげたい。
……てことで、ジョルジュを含めたサーカス団みんながしたことは。
マルキーズのために、特製ポトフを。
食事の支度は、「日常」だけど。「あたりまえ」になって、なにも感じなくなってしまいがちなことだけど。
そのことに、感謝を。
どれだけわたしたちが、あなたに救われているか、癒されているか。それが「日常」で「あたりまえ」であるか。
それを今、与えられてきたものと同じカタチを取ることで、ほんの少しでも返したい。
特製ポトフを前に、顔を覆ってわっと泣き出すマルキーズ。
やさしい。
みんなが、やさしい。
やさしすぎて、泣ける。
さて、やさしいだけで、ジョルジュにもマルキーズにも、なんの力もない。
サーカスは経営難。
昔ながらのやり方じゃ、せちがらい現代ではお客が入らない。
マルキーズはすばらしいスターだけど、スターひとりがどんなに技術や美貌や人望があったって、どーにもならない。トップスターひとりで都心から離れた田舎の2500人劇場がいっぱいになるわけないじゃん、この現代。
「若手の育成なんかやめてしまえ。成長を見守るなんて無駄だ。できあがったスターだけを集めてすばらしい舞台を作る。代わりはいくらでもいる。チケット代は跳ね上がるが、ま、とーぜんだな」
大手サーカス団のプロデューサー、アルガン@ゆみこは断言する。
入団人数を減らす、新公学年引き下げ、タレント契約学年引き下げ……ま、とーぜんだな。
必要なときに必要なスターを集めればいい、組カラー撲滅、組替え特出ワン切りなんでも来い……ま、とーぜんだな。
びんぼー人は切り捨てて良し。選民のみが愉しむ文化であればいい……ま、とーぜんだな。
マルキーズは反発。
サーカスを好きでがんばっている若手、家族のように彼らの成長を見守ること、チームワークと信頼、低料金で大衆が愉しめる文化……それを否定するサーカスは、サーカスじゃない。
だけど、現実は夢だけではどーしよーもない。
サーカス団は立ち退きを迫られ、解散の危機。
アルガンはマルキーズの元カレ。マルキーズに未練タラタラ。サーカス団解散は必至だが、その後路頭に迷うだろう団員たちを我が大手サーカス団で引き受けよう。
仲間たちを守りたかったら、僕と結婚しなさい……うおー、悪役キターッ!!
だけどアルガンは、真摯に訴える。
彼は本当に、マルキーズの未来を考えている。沈む船と心中するような彼女の生き方を惜しんでいる。
「若手育成? 家族? フッ」てな考え方だったのに、「キミを失うくらいなら、信念も破ろう♪」てなもんで、使い物にならない若手くんたちまで全部自分の会社で引き受け、面倒見るってよ。
彼はただの金の亡者ではない。夢だけ追って破滅する、人生を棒に振る、そんな若者たちを否定する……つまり、心配し、惜しんでいる。
マルキーズは、彼女の愛するサーカス団を救いたい。でもそのためには、政略結婚を受けるしかない。
親の遺産を継いでいないジョルジュには、なんの力もない。ただの世間知らずの若造でしかない。
マルキーズと彼女の愛するサーカス団を救いたい。でもそのためには、遺産を継ぐために政略結婚を受けるしかない。
ジョルジュとマルキーズ。
自分のためだけに生きられない彼ら。
やさしい世界で、やさしい人たちが、そのやさしさゆえにぶつかり、すれ違い、傷ついている。
誰かを救うために、自分の心を偽り、そのゆえに誰かを偽ることになる……それってやっぱり、まちがってるよね?
サーカス団を救うために政略結婚、てのは、やっぱりチガウよ、ジョルジュ、マルキーズ。
登場人物全員そろった、サーカス団の貸切公演にて。
サーカス団のメンバーは、アルガンに絶縁を叩きつける。
マルキーズを犠牲にしてまで守りたいモノなんかなにもない。立派な小屋なんていらない、たったひとりでもたのしんでくれる人がいるならそれでいい、どさ回り上等、それがサーカス魂。
そこへ飛び込んでくるジョルジュは、マルキーズに告げる。
いちばん大切な言葉。
すべてのはじまりとなる言葉。
「君を愛してる」
この物語は、ジョルジュの結婚相手を捜すところからはじまった。政略結婚することで遺産を受け継ぐ、それがすべてのはじまりだった。
サーカス団の女の子に愛を告白するってことは、相続権の放棄。ジョルジュはすべてを失う。
それでも。
「どさ回りについていく!」
サーカス団を守るために偽りの結婚をするのではなく、彼女がなにも失わずに済むようにするのではなく。
傷つかぬように偽りで守るのではなく、真実ゆえに傷ついたとしても、そのあとの彼女を守り、支える。
その覚悟を決めての告白だ。
やさしい世界、やさしい人たち。
やさしいだけでは済まないのが現実だけど、せめてこの「世界」だけでは、やさしさが力となる、奇跡を起こす、そんな「夢物語」を信じたい。
「君を愛してる」……誰もが使うことの出来る、最小の、そして最大のマジックスペル。
予備知識なく観て、最初にいやぁな予感がしたの。某下品作家の下品なラブコメが、これと同じよーな設定だったから。
富豪のぼんぼんが、「親の富を継ぐための条件は、とある女に恋を仕掛け、ピー(警告音)したあと捨てること」というありえない条件をのんで女を騙す。だがぼんぼんは、その相手の女に本気で恋してしまう。騙してピー(警告音)したあとに捨ててもかまわない程度の女、だと思っていたのに、彼女は実は大金持ちのお嬢様だった。ぼんぼんと家柄も釣り合う相手だ、ハッピーエンド!
……という、最低話。
上流階級の娘としか結婚できない。でも、主人公が恋したのは貧民の娘。ふたりの障害は、身分の差だけ。……いやいや、彼女は貴族のお姫様だったのです! なーんだ、それならハッピーエンドだ、よかったね!!
……という話だったら、どうしよう。
身分の差、なんて、障害じゃない。
男がなにもかも捨てれば済むだけのこと。それをしないなら、それだけの思いだったってこと。
ポイントは、「この恋を選べば、すべてを失う」ということ。
それでも恋を選ぶかどうか。
男がなにも失わず、「彼女は貴族のお姫様だったのです!」でハッピーエンドだったらどうしよう。これはものすごーくありがちで、そして、ものすごーくまちがった結末。
そんなまちがった結末に、某下品作家のようなことをされたらどうしよう?
いや、キムシンはそーゆーまちがい方はしない人だと思っていたので、そのへんは半信半疑だったんだが。
やっぱり、まちがわなかったね。
ジョルジュは愛を選んだ。
なにもかも失って、サーカス団でどさ回りするってさ。
それによって弟はじめ迷惑はかけるけれど、できるだけのことはするってさ。
そのあと怒濤のハッピーエンドになだれ込むのはそれこそお約束だが、肝心なのはジョルジュが一度、本気で愛を選んだこと。相続権を放棄し、マルキーズが貴族じゃないことを承知の上で愛したこと。
どんでん返しがなければ、ほんとーにふたりでどさ回りしていたんだってこと。
ハッピーエンドになったふたりは、ちょっとオマエらマジかよ?ってくらい、ラヴラヴ全開。
あれよあれよと結婚式!
となぽんウェディングドレス!! かわいー!!
てゆーか。
姫抱っこキターッ!!
でろでろにあまあま、とろとろの水しぇんが、とにゃみ姫抱っこしてドナルドダックみたいな口で笑ってますよ!!
もー、どーしてくれよう(笑)。
これは、「ファンタジー」だから。「夢物語」だから。
やさしい人たちが、やさしい世界に生きている……やさしい人たちがやさしいまま、みんなみんなしあわせになる物語。
……スカステで花組『エリザベート』放送後に流れた「後日談」らしき『君を愛してる』CMでも、泣かされた。つか、萌えた。
フィラント×アルガン、公式認定でいいっすか?(笑)
やさしい人たちが、やさしい世界に生きている……『君を愛してる−Je t’aime−』感想の続き。
マルキーズ@となみの誕生日プレゼントをどうしよう、と彼女の妹分のリュシール@シナがジョルジュ@水に相談を持ちかける。
サーカス団のために日夜尽くしているマルキーズ。経営から雑用まで、なにもかも一手に引き受けている彼女のために。
毎日みんなのためにおいしいごはんを作ってくれるあのひとに、感謝の気持ちを伝えたい、お祝いをしてあげたい。
……てことで、ジョルジュを含めたサーカス団みんながしたことは。
マルキーズのために、特製ポトフを。
食事の支度は、「日常」だけど。「あたりまえ」になって、なにも感じなくなってしまいがちなことだけど。
そのことに、感謝を。
どれだけわたしたちが、あなたに救われているか、癒されているか。それが「日常」で「あたりまえ」であるか。
それを今、与えられてきたものと同じカタチを取ることで、ほんの少しでも返したい。
特製ポトフを前に、顔を覆ってわっと泣き出すマルキーズ。
やさしい。
みんなが、やさしい。
やさしすぎて、泣ける。
さて、やさしいだけで、ジョルジュにもマルキーズにも、なんの力もない。
サーカスは経営難。
昔ながらのやり方じゃ、せちがらい現代ではお客が入らない。
マルキーズはすばらしいスターだけど、スターひとりがどんなに技術や美貌や人望があったって、どーにもならない。トップスターひとりで都心から離れた田舎の2500人劇場がいっぱいになるわけないじゃん、この現代。
「若手の育成なんかやめてしまえ。成長を見守るなんて無駄だ。できあがったスターだけを集めてすばらしい舞台を作る。代わりはいくらでもいる。チケット代は跳ね上がるが、ま、とーぜんだな」
大手サーカス団のプロデューサー、アルガン@ゆみこは断言する。
入団人数を減らす、新公学年引き下げ、タレント契約学年引き下げ……ま、とーぜんだな。
必要なときに必要なスターを集めればいい、組カラー撲滅、組替え特出ワン切りなんでも来い……ま、とーぜんだな。
びんぼー人は切り捨てて良し。選民のみが愉しむ文化であればいい……ま、とーぜんだな。
マルキーズは反発。
サーカスを好きでがんばっている若手、家族のように彼らの成長を見守ること、チームワークと信頼、低料金で大衆が愉しめる文化……それを否定するサーカスは、サーカスじゃない。
だけど、現実は夢だけではどーしよーもない。
サーカス団は立ち退きを迫られ、解散の危機。
アルガンはマルキーズの元カレ。マルキーズに未練タラタラ。サーカス団解散は必至だが、その後路頭に迷うだろう団員たちを我が大手サーカス団で引き受けよう。
仲間たちを守りたかったら、僕と結婚しなさい……うおー、悪役キターッ!!
だけどアルガンは、真摯に訴える。
彼は本当に、マルキーズの未来を考えている。沈む船と心中するような彼女の生き方を惜しんでいる。
「若手育成? 家族? フッ」てな考え方だったのに、「キミを失うくらいなら、信念も破ろう♪」てなもんで、使い物にならない若手くんたちまで全部自分の会社で引き受け、面倒見るってよ。
彼はただの金の亡者ではない。夢だけ追って破滅する、人生を棒に振る、そんな若者たちを否定する……つまり、心配し、惜しんでいる。
マルキーズは、彼女の愛するサーカス団を救いたい。でもそのためには、政略結婚を受けるしかない。
親の遺産を継いでいないジョルジュには、なんの力もない。ただの世間知らずの若造でしかない。
マルキーズと彼女の愛するサーカス団を救いたい。でもそのためには、遺産を継ぐために政略結婚を受けるしかない。
ジョルジュとマルキーズ。
自分のためだけに生きられない彼ら。
やさしい世界で、やさしい人たちが、そのやさしさゆえにぶつかり、すれ違い、傷ついている。
誰かを救うために、自分の心を偽り、そのゆえに誰かを偽ることになる……それってやっぱり、まちがってるよね?
サーカス団を救うために政略結婚、てのは、やっぱりチガウよ、ジョルジュ、マルキーズ。
登場人物全員そろった、サーカス団の貸切公演にて。
サーカス団のメンバーは、アルガンに絶縁を叩きつける。
マルキーズを犠牲にしてまで守りたいモノなんかなにもない。立派な小屋なんていらない、たったひとりでもたのしんでくれる人がいるならそれでいい、どさ回り上等、それがサーカス魂。
そこへ飛び込んでくるジョルジュは、マルキーズに告げる。
いちばん大切な言葉。
すべてのはじまりとなる言葉。
「君を愛してる」
この物語は、ジョルジュの結婚相手を捜すところからはじまった。政略結婚することで遺産を受け継ぐ、それがすべてのはじまりだった。
サーカス団の女の子に愛を告白するってことは、相続権の放棄。ジョルジュはすべてを失う。
それでも。
「どさ回りについていく!」
サーカス団を守るために偽りの結婚をするのではなく、彼女がなにも失わずに済むようにするのではなく。
傷つかぬように偽りで守るのではなく、真実ゆえに傷ついたとしても、そのあとの彼女を守り、支える。
その覚悟を決めての告白だ。
やさしい世界、やさしい人たち。
やさしいだけでは済まないのが現実だけど、せめてこの「世界」だけでは、やさしさが力となる、奇跡を起こす、そんな「夢物語」を信じたい。
「君を愛してる」……誰もが使うことの出来る、最小の、そして最大のマジックスペル。
予備知識なく観て、最初にいやぁな予感がしたの。某下品作家の下品なラブコメが、これと同じよーな設定だったから。
富豪のぼんぼんが、「親の富を継ぐための条件は、とある女に恋を仕掛け、ピー(警告音)したあと捨てること」というありえない条件をのんで女を騙す。だがぼんぼんは、その相手の女に本気で恋してしまう。騙してピー(警告音)したあとに捨ててもかまわない程度の女、だと思っていたのに、彼女は実は大金持ちのお嬢様だった。ぼんぼんと家柄も釣り合う相手だ、ハッピーエンド!
……という、最低話。
上流階級の娘としか結婚できない。でも、主人公が恋したのは貧民の娘。ふたりの障害は、身分の差だけ。……いやいや、彼女は貴族のお姫様だったのです! なーんだ、それならハッピーエンドだ、よかったね!!
……という話だったら、どうしよう。
身分の差、なんて、障害じゃない。
男がなにもかも捨てれば済むだけのこと。それをしないなら、それだけの思いだったってこと。
ポイントは、「この恋を選べば、すべてを失う」ということ。
それでも恋を選ぶかどうか。
男がなにも失わず、「彼女は貴族のお姫様だったのです!」でハッピーエンドだったらどうしよう。これはものすごーくありがちで、そして、ものすごーくまちがった結末。
そんなまちがった結末に、某下品作家のようなことをされたらどうしよう?
いや、キムシンはそーゆーまちがい方はしない人だと思っていたので、そのへんは半信半疑だったんだが。
やっぱり、まちがわなかったね。
ジョルジュは愛を選んだ。
なにもかも失って、サーカス団でどさ回りするってさ。
それによって弟はじめ迷惑はかけるけれど、できるだけのことはするってさ。
そのあと怒濤のハッピーエンドになだれ込むのはそれこそお約束だが、肝心なのはジョルジュが一度、本気で愛を選んだこと。相続権を放棄し、マルキーズが貴族じゃないことを承知の上で愛したこと。
どんでん返しがなければ、ほんとーにふたりでどさ回りしていたんだってこと。
ハッピーエンドになったふたりは、ちょっとオマエらマジかよ?ってくらい、ラヴラヴ全開。
あれよあれよと結婚式!
となぽんウェディングドレス!! かわいー!!
てゆーか。
姫抱っこキターッ!!
でろでろにあまあま、とろとろの水しぇんが、とにゃみ姫抱っこしてドナルドダックみたいな口で笑ってますよ!!
もー、どーしてくれよう(笑)。
これは、「ファンタジー」だから。「夢物語」だから。
やさしい人たちが、やさしい世界に生きている……やさしい人たちがやさしいまま、みんなみんなしあわせになる物語。
……スカステで花組『エリザベート』放送後に流れた「後日談」らしき『君を愛してる』CMでも、泣かされた。つか、萌えた。
フィラント×アルガン、公式認定でいいっすか?(笑)