フィラント@キム萌え。

 ひさしぶりにキました。
 これほど好みド真中の萌えキャラは、そうそういない。

 『君を愛してる−Je t’aime−』の話っす。

 わたしは攻キャラスキーだ。片想いスキーであり、一方通行とか冷たいとか無神経とか報われないとか、せつない話がダイスキだ。
 なんつーの、異種族恋愛萌え属性つーのがあるんだわ。

 わたしが足りないところばかりの弱いうじうじした人間なので、すべてを持ち合わせた完璧な球体、太陽への憧景は半端じゃなく持っている。
 弱い、平凡な人間たちがうつむいてごちゃごちゃもつれていて、がんじがらめになっているとき、ぺかーっと現れてすべての陰をその光で包んで救ってしまう、圧倒的な太陽。天才。空を飛ぶのがとーぜんだから、地を這うものの気持ちなんかカケラもわかんない、でも翼があるものもないものも、すべて等しく愛している。
 ルフィ@『ワンピース』とか、榎木津@『京極堂シリーズ』とか、そーゆー人。
 わたしにとって……たぶん、ふつーの人にとっての「異種族」。

 フィラントはまさしく、太陽だ。

 あたりまえに完全体であるために、欠けた人間の悩みだとか機微だとかはわからない。だからといって傲っているわけではないし、見下しているわけでもない。彼にはそれが「ニュートラル」なだけで、ただ目に映るすべてを愛している。

 一見おちゃらけているだけに見えるがそうではなく、愛情も気遣いも持っている。だが彼個人があまりに強すぎるために、ふつーの人間には理解しづらい面がある。

 「結婚なんて嫌だぁ」と嘆くジョルジュ@水を「結婚した方がモテるぞ」とナイトクラブへ連れていくのは、善意であり友情である。おもしろがっているのもたしかだが、そこに悪意はない。こうした方がよくなる、に加えて、楽しんでいるだけのこと。
 フィラントにとって「結婚」は大した意味はないのだろう。だからその「大した意味のないこと」でジョルジュがなにを悩んでいるのかわかっていない。
 自分にとって「軽い」ことだから、ジョルジュにも「軽い」励ましをしてみせた。
 だがどうやら、自分とジョルジュでは考え方がチガウらしい。
 ジョルジュが本当に傷つき、悩んでいるのだと気づいたとき、フィラントはもう笑っていない。
 重い、苦い顔をしている。

 愉快な場面の続きだから、軽い行動の続きだから、見逃しがちだけど。
 ジョルジュの心の傷に気づいたフィラントは、この物語の彼で唯一?てくらい、マジな顔をしているってば。

 ここでジョルジュを笑い飛ばすことは簡単だと思う。
 ただのコメディなら、みっともないジョルジュを、軽薄友人が酒の肴にし、女の子たちの肴にし、へらへら笑いものにする。
 ……いくらでもありそうなエピソード、場面じゃん? こっちの方がありがちじゃん? フィラントは軽薄お気楽キャラとして描かれているんだから。
 なのに彼はここで「重い」表情をする。親友の心の傷に、自分も傷つく。
 悩みゆえ、心の傷ゆえにみっともなくなっている友人を笑ったりしない。むしろ共に苦しむ。

 だけど過度に心配したり甘やかしたりもしない。酔っ払って走り去ったジョルジュを、真剣に心配しているくせにあわてて追いかけたりはしない。
 ジョルジュが代金として置いていった時計を取り戻し、支払いは自分がすると言う。
 ここねー、もー、めっちゃ好き。
 お気楽フィラントが「大人の男の顔」をしているの。思慮深い男の顔なの。たぶんこの顔こそが、彼の本質なんだろうなって思わせる、すげーいい男の顔なの。

 お金持ちのジョルジュにとって、高価な持ち物を代金がわりに置いていくことなんて痛くもないんだろうけれど、それでもフィラントはそれをさせないのね。彼を守るのね。
 ジョルジュを傷つけることなく、彼がなにひとつ失うことがないように、自分が身代わりになるのね。
 や、支払いひとつの話だけど、性格って出るよ。それなりに愛着のあるだろう身に付けるものを置いていったジョルジュのために、女たちからさりげなくソレを取り返す仕草。
 そっかぁ、「ジョルジュを守る」ことを、ごくあたりまえにやってのけるんだね、フィラント。

 たぶんあの時計を、フィラントは何事もなかったかのよーに、いつもの笑顔でジョルジュに返すんだわ。ジョルジュは自分の醜態のみに気を取られて、「時計がここにある」→「支払いはどうなった?」とは思い至らない。そのへん、お金に不自由したことないから、鈍感だと思う。フィラントもまた、そんなはした金を親友に要求したりしないから、ただ時計を返し、あの夜のことをネタにして笑う、程度で終わるんだと思う。
 あああ、かっこいいなあ、フィラント。
 小さなカラダに、とびきりの度量の大きさ。(と、陽気な迷惑さ・笑)

 
 いつも満ち足りている彼は、自分がふつーの人とちがっていることも理解していない。てゆーか、理解する気もない。
 「愛について」というレオン神父@ハマコの、ストレートつーかシンプルっつーか、わざわざ言わなくてもそんなこと誰だって知ってるっつの、レベルのことを語る歌を聴いて、本気で感動している。
 自分がその歌のいうところの「愛」から、もっとも遠いところにいる……そしてある意味、具現しているのだということを、カケラも理解せずに。

 完全体であることにこだわるのは、欠けている人間だ。
 それを持ち得ないからこそ、そのことに敏感になる。
 フィラントの鈍感さは、彼が生まれつき完全体であるからだろう。これ以上成長しない、する必要もない。
 そのままで彼は、のんきにお気楽に生きていく。

 だからこそ、彼を本気で愛した者は、地獄だと思う。

 「彼のいちばん」には、なれないから。

 たとえフィラントがこの先「恋愛結婚」をしたとしても、その妻も、ショーガールの女の子たちも、男友だちも、きっと彼の中では「同じ比重」だ。区別はしても、本当の意味で差別はない。

 そのくせ、ヤツは「恋愛」しそうでさらにはた迷惑だ。
 自分を「ふつー」だと思っていて、レオン神父の歌で泣いちゃうよーな「ふつーの愛情感覚」を持っているから。

 「恋愛」はしても、恋人を至上の者とはしないんだろうな。表面ではそう思っていても、根っこでは他のすべての人への愛情と変わらない濃度でしかない。

 フィラントの恋人は、きっと一生満たされない。
 満ち足りた男を愛したがゆえに、満たされることがないんだ。

 どんなにやさしくされても、愛を語られても、一生片想いだ。

 ひとは欠けているからこそ、誰かを求める。愛する。
 ひとりで完全体なら、他者なんて必要ない。

 フィラントはその太陽たる光で、不特定多数の人々をしあわせにするだろうけれど、ただひとり、彼のパートナーだけはしあわせにできない。
 そして彼には、彼のパートナーが何故しあわせになれないのか、むしろ彼ゆえに不幸なのだということが、理解できない。

 ……とゆーよーなことまで、だだだーっと想像できちゃうので、すげー萌えなんです。
 
 わたしは攻キャラスキーで、片想いスキーで、一方通行とか冷たいとか無神経とか報われないとか、せつない話がダイスキだから。

 フィラントの太陽っぷりが、とことん萌えっす。
 彼がこれから誰を愛し、それゆえにどれほど鬼畜な結果になるか、考えるだけでハァハァします。

 ……ジョルジュとうっかりデキあがったりしねーかなー。ジョルジュは悲しいほど常識人だから、すっげーつらいぞー。わくわくっ。(M属性な水先輩は萌えですよ、はい)


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