わたしに力があれば。

 力……お金でも、権力でも、人脈でも、なんでもイイ。
 魔法でも超能力でもイイ。

 とにかく、なにかしら力があれば。

 荻田浩一作、安蘭けい主演で、興行するのに!!

 今でなければダメなの。
 タカラヅカという、特殊な舞台でなければダメなの。
 男役という、ファンタジーでなければダメなの。

 荻田浩一は優れたクリエイターであり、カンパニーを問わず素晴らしい作品を生み出し続けるだろうけど。
 安蘭けいは優れた役者であり、表現者であり、カンパニーを問わず素晴らしい演技をし続けるだろうけど。

 タカラヅカという特殊な世界で、男役という特殊な形態でないと作れないモノが、ある。
 他では代え難い、他では届かないモノが、ある。

 だからこそ、宝塚歌劇団は90年以上続いてきたんだ。
 個人レベルで代えがきくよーなものなら、時代の変化と共にとっくに消滅してるって。

 タカラヅカでなくてはダメ。
 タカラヅカのオギー、タカラヅカのトウコでないと、作れない舞台がある。彼らの実力、才能、未来とは別に、今、ここでないとできないことがある。

 だから。

 わたしに力があれば。
 今すぐ、オギー作トウコ主演で公演させるのに。企画するのに。

 集客できること、カネになることだってわかっているのに。
 なのに何故か劇団は、やろうとしない。

 わたしが億万長者なら、お金の力で劇団の横面はたいて、公演させるのに。
 わたしが権力者なら、圧力かけて公演させるのに。
 魔法や超能力でエライヒト操ってでも、公演させるのに。

 なんでわたし、なんの力もないんだろう。

 
 来年のカレンダー掲載順が発表になり、静かに答えが近づいてくる。
 今でなきゃダメなんだよ。
 役者としての安蘭けいを愛し続けるのとは別の意味で、今のトウコで見たいモノがあるんだよ。

 ああもお、わたしに力があれば。

 
 ……力があれば、こっそりまっつにも助力していると思うけど……なにしろこの通り、はした金すらないただの凡人に過ぎないので。

 切ないなあ。


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