宝塚音楽学校第100期生文化祭のプログラムは、生徒たち自身の手で書かれた「好きな言葉」が載っている。

 その昔、パッションくん@留依蒔世に心躍らせたように、この「好きな言葉」ってがなかなか興味深い。
 *注 「好きな言葉」が掲載されたのは97期から。そのいちばん最初の1回目に、「PASSION」とだけ書いた男の子がいた。しかも、彼の舞台姿はうるさいくらいに高温だった(笑)。この芸風で「好きな言葉」がPASSIONか!!と、大ウケした。

 さて、100期生たちの「好きな言葉」で気になるモノはあるかしら、と眺めてみる。

 パッションくんみたいに舞台上から「あの子の『好きな言葉』はナニかしら」とページを繰りたくなるような強烈なものはなかったので、休憩時間になんとなく眺めただけ。
 おかげで、「好きな言葉」で興味を持った子も、舞台ではまーったく見分けが付かなかった。

 「勇猛果敢」の彼は、名前と顔とその言葉とで、ちょっと興味持ったんだけど、お約束ですねえ、わたしの観た方の芝居には出てなかったし。
 個人的に好きだなと思うのは、「明日は晴れる」かなー。

 「好きな言葉」という名称だけど、本当に「好きな言葉」という意味で書いている子と、「座右の銘」として書いている子とで、差異があるんだろうなと。
 もちろん、両者がイコールの場合だってあるだろうけど。

 目を引いたのは、「ご縁」のひとこと。
 これは「座右の銘」ではないよねー。「好きな言葉」だよねー(笑)。
 「座右の銘」的な言葉が並んでいる中、「ご縁」は目立つわー。

 15歳のときのわたしの「好きな言葉」が、「寄り道なら大好きよ」だったことを思えば、音校生たちの「好きな言葉」はとってもまともで「清く正しく美しい」です(笑)。
 いやその、言い訳すると、「寄り道」ってのは学校帰りの寄り道ではなく、人生の寄り道、最短コースを急ぐのではなく、いろんなことに興味を持って余裕ある生き方をしたい、他人から助けを請われたときなどにいつでも立ち止まれる心の広さを持ちたい、「手間を掛けてごめん」と言う友だちに「いいのよ、寄り道大好きだから!」とさらりと言えるような人になりたいという意味で言っていたんだけど、「意味を説明するのはかっこ悪い! この言い方で真意を感じ取ってくれる人しか認めない!!」みたいな中二病ずっぽりなガキだったのでいやそのあの。……公の場でも堂々とそう書いてたので、きっと良識ある人々に眉をひそめられていただろうなとか。うおー、なんて香ばしい(笑)。

 文化祭プログラムをめくりながら、この「好きな言葉」ひとつにしても、若者たちがいろいろ考えて書いたんだろうなと思うと、微笑ましいっす。
 好きな言葉にしろ座右の銘にしろ、ふだん生きてる分には意識することないものね。
 こういう場だからこそ、己と向き合うことになる。
 わたしの「好きな言葉」はなんだろう? って。
 好き……「わたし」を構成する根幹にあるモノ。

 たくさんある「美しい言葉」の中から、これらの言葉を選んだ彼女たちの人生に、幸あれと願う。
 そこにネガティヴなものはまったくない。みんな、前を向いて「清く正しく美しい」言葉を選んでいる。
 いつか大人になって、10代の頃のこの「言葉」を振り返るんだろう。

 15の頃が「寄り道なら大好きよ」で、その後20歳過ぎまでが「五里霧中」だったわたしが、今いい年になってアタマを抱えている……「五里霧中」と書いて「わかんない」と読むんだこれが、わざわざふりがな振ってるんだ……いたたた、そんなこんなすら、愛しく思えるときが来る、のだから。

 真っ正面から「好きな言葉」を書いている若者たちが、まぶしい。
 「諦めない」「挑む」「正々堂々」「感謝」「思いやり」……ちくしょー、おばちゃん、じんときちゃうよ、年だからさー、一生懸命な若者たちには弱いのよ。それだけで目頭が熱くなるのよ。

 今はまだ、ほとんど区別もつかない「100期生」というくくりだけど、何年かあと、彼女たちが「芸名」と確かな「個性」を持ってわたしを振り向かせたとき、またこのプログラムを開きたいと思う。
 そして、「**ちゃんってば、こんなこと書いてる(笑)」とか、わくわく振り返るんだわ。
 楽しみだ。

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