あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

 スカステで、まっつの「新春メッセージ」を見ました。
 つかやっぱり、今年最初にヅカ関連を見るならまっつでしょ! ってことで、あえてまっつから。

 まつださんが、女装している……!!

 びっくりした。

 いやその、まっつは着物姿でした。バストアップしか映らなかったけど、たぶん振袖。ウチのテレビでは、渋い柿色に見えた。着物はシックなのに、帯がすげーきんきらきん。
 髪の毛はいつも通り。なんの飾りも付けずアレンジもせず、いつものまっつ。

 首から上はふつーにまっつなのに、首から下は女の人が着る、着物。

 いやその。
 まっつが振袖を着ていることに、おどろいたわけではない。着物のセンスにおどろいたわけでもない。

 振袖を着たまっつが、女装に見えたことに、おどろいたんだ。

 今までそんな風に見えたことないもの、一度も。
 素顔のまっつはふつーに美人な女性だ。ジェンヌはフェアリー、二次元キャラクタと同じカテゴリなので、男役のことは「彼」と表記するが、別に本気で男だと思っているわけじゃない。嘘を嘘とわかった上で、バーチャルに楽しんでいるだけのこと。
 スカステのトーク番組に出ているまっつを見る機会は今までいくらでもあったけれど、「ああ、まっつだわ」と思う以外になにも思わなかった。

 ああ、なのに。

 今年の新春メッセージのまっつったら、なんであんなに女装ちっくに見えるの?

 美人なはずなのに……この違和感はナニ。

 まっつって、こんなにも「男役」の顔になっていたのか。
 振袖が違和感になるくらいに。

 他の男役さんで、女性の服を着ると「女装」に見える人は何人もいたし、男役らしいファッションでイケメンにーちゃんにしか見えない人はいくらでもいた。
 でもまっつは、そこまで行ってなかったのに。他の人がどう感じているかはわからないが、わたし的には。

 あー、まつださん、どんどん男らしくなってるんだなあ。研13になるんだっけ?
 いいことだよな。

 ……たんに、髪型のせいで着物が借り物っぽく見えて、ちぐはぐに感じられるだけかもしれないが……ゲフンゲフン。
 「歌劇」のポートはどんな風に写ってるんだろう?(スカステの「新春メッセージ」と同じ撮りだよね?)

 まっつの今年の抱負は「自分の歩幅で歩いていく」だそうです。

 今年も、素敵なまっつでいてください。

 
 去年は元旦からムラに駆けつけていましたが、今年は家族行動です。伊勢神宮はものすごい人でした……。
 イベントごとはダイスキなので、初詣は欠かせない。
 毎年必ず出かける近所の神社と、京都の伏見稲荷。そして毎年じゃないが高確率で足を運ぶ伊勢神宮。あ、あと今年は京都の八坂神社と清水寺にも行ったなー。

 たくさんの人の中で手を合わせ、祈願するもろもろのなかに、まっつのことがある。

 毎年必ず、まっつのことを祈っている。

 あたりまえのことなので、いつもナニも思わなかったんだけど。

 ふと、思ったんだ。
 きっときっと、たくさんの人がジェンヌのために祈ってるんだろうなと。

 わたしは神仏への祈願っつーのを正式にどうやるもんなのか、無教養ゆえによくわかってなくて、ただなんとなく周りの人がしているよーにしているだけで、さらに目に見えない祈願内容はもっとナニが正しいのかわからないんだが。

 でもたぶん、想像だがみんな、「希望」を祈っているんじゃないかな。

 新しい年のはじめ、神様に手を合わせるそのときに。

 「良いこと」「プラスなこと」を祈っているんじゃないかな。
 新年早々の祈りが「**が破壊されますように」とか「**が不幸になりますように」とかは祈らないんじゃないかと、なんとなく思う。根拠はナイが。つか、わたし個人でいうなら、いつであっても、神社などで手を合わせてマイナスなことは思ったことないし。
 絵馬や護摩木を見ても、「家内安全」とか「良縁祈願」とか、書かれているのはプラスなこと、「こうあったら良いな」ということだし。

 祈るのは、希望。
 自分のことでも他人のことでも、景気だとか国だとか世界や地球のことでも。

 有名神社で人混みにおしくらまんじゅうされながら、思うんだ。

 今ここに、どんだけの「希望」が満ちているのか。
 みんなみんな、今、なにかしらプラスなことを強く思い浮かべて、ここにいる。

 しあわせになりたい。
 あのひとが、しあわせでありますように。

 そーゆー「希望」のなかに、ジェンヌへの祈りもある。

 きっときっと、たくさんの祈りがあるんだろう。
 まっつのことを祈る人たちも、きっといっぱいいるんだろう。
 そして、スターさんになればなるほど、たくさんの人が、その人のために祈っているよね。

 不特定多数のひとに、そのしあわせを祈願されるってすごいなあ。
 それだけのプラスの気を受け止めて、あの華やかな迷宮に立ち続けるフェアリーたちはすごいなあ。

 
 いつもの神社でおみくじを引いた。
 物心ついたころから、記憶にある限りずーっと引き続けてきた某宮のおみくじ。

 今年は「壱番 大吉」。
 願望は「思ふまゝなりされど油断すれば叶はず」だそーだ。
 矛盾した文章だと思うんですがね、たかが油断ごときで叶わないんだったら思うままちゃうやん!とゆーか。
 まあ神様の言葉なんて矛盾だらけだろうけど。

 日付が変わって十数分くらいで引いて「大吉」で、「今年はツイてるのかな」と思ったわりに。

 元旦の伊勢神宮参拝で、コンタクト落とすし。

 わたしは極度の乱視ゆえ、使い捨てタイプのソフトレンズではなく、大仰なハードレンズ使用なのよ。
 値段もそれなりだし、なにより、代えがない。

 元旦からソレを紛失するっつーことはだ、観劇に行けないってことだな。

 ショップが仕事はじめをしてくれるまではコンタクトなし、ショップに駆け込めても、どーせ取り寄せだからまたしばらくはナシなまま。

 お正月期間の観劇はあきらめましたとも。

 や、最前列で観られるならコンタクトなしでもいいけど、メガネだとオペラグラス使えないしコンタクトより視界悪いからストレス溜まるばっかで楽しくないんだもん。

 正月早々ツイてない、としょんぼりしていたのに。
 さらに。

 PSPを、落とした。

 こっちは紛失ではなく、破損。

 ……ちなみに、借り物でね……「あ、弁償してくれればいいから。緑色を買って返すように」と、弟にはさくっと言われる。
「僕の分を緑色のを買って返して、でもねーちゃん自身の分もいるから、合計2台買うわけだな。ま、ヨロシク」
 ちょっと待て。

 PSP2台って、じょーだんぢゃないわっ、そんな金がどこにっ。大劇場S席で4回観劇するのと同じよーな価格(笑)だけど、ゲーム機に出す金があるなら、チケットを買う人生なんだからっ。

 春に限定の桜色が出るから、自分用にソレを買うつもりではあるんだが……あうう。

 
 今年は「落とす」年なんだろうか……さめざめ。

 三が日で1年分の不運を使い切ったと信じたい。

 しかし、コンタクトを使ったことがない人には、「コンタクトを落とした」ってのがあまり伝わらないものなんだなと今さら実感。
 落とした瞬間からあわあわと探していたんだが、「今まで歩いてきた道を引き返してみたら?」とか、「本当に今落としたの? 家に帰ったらあるんじゃないの?」と言われ、認識の差にびっくりした。
 や、落としたのは「目玉」ですから。カラダの一部を「どこで落としたかわからない」から来た道を戻って探すとか、「持ってきたつもりだったけど、家に置き忘れてたよ、あはは」なんてことはあり得ないから~~!
 カラダの一部が欠けるわけだから、落ちた瞬間わかるって(笑)。

 
 新年早々びんぼー一直線。
 かなしみの年明け。

 ところで、前述のおみくじ。

 恋愛運……というか、「縁談」の項。
 「思ふに任すべし 高ぶりて破るる恐あり」ですって。

 本能のままに萌え~~萌え~~ってやってヨシ、でも萌えすぎると引かれるよってこと?
 そうなの、まっつ?!(まっつなのか)
 テルのヒロインっぷりに、ウケた。

 星組公演『ハプスブルクの宝剣』、原作未読、予備知識無し。

 急場しのぎのコンタクトレンズを入手して(笑)、いそいそ観劇。

 ストーリーは置くとして。
 と、に、か、く、かなめ姫の美しさと、ナニもしなさぶりに、ときめきまくる(笑)。

 なにもしないんですよ、あの人。波瀾万丈人生深刻激動まあ大変、な主人公エドゥアルト@れおんの横にいつの間にかいて、それが当たり前のように婉然と微笑んでいるだけの人。
 ほんとに、いつの間にか。いつ出会って、いつ親友になったんだか描かれていないので、エドゥアルト、ピ~ンチ!(そして定番、川に落ちる)のあと何事もなかったかのよーに平穏無事、主人公は死なないよね、そして美貌の王子様が横にいる、状態。
 皇帝崩御でテレーゼ@ねねちゃんが女帝となったあとはさらにもお、ただ、そこにいて美貌を添えるだけの存在。働くのは妻のねねちゃん! 戦うのも妻のねねちゃん! 婿なかなめくんはきれーなお衣装着て画面を彩るだけ!!

 ナニあのヒロインっぷり。
 あるのは美貌だけで、周囲のモノたちががんばって戦って、その存在を癒やしだの支えだのにしている、って。

 ふつー、「なにもしないけど、きれいな衣装を着て舞台にいる」のは、歴史物ヒロインのお約束。
 舞台だけじゃない、テレビドラマでも映画でも、むさ苦しい重い画面のそこここに、「花」として登場するだけの役割、「きれいどころもいますよ」と言い訳する存在。

 いやあ、おもしろいですねえ、そんな準トップな役。他の組ではちょっと考えられないので(笑)、今の星組で、かなめくんでこの役、この役割ってのは、正しいよな。

 ……正直もう少しなんとかならなかったのかと、演出家に物申したい気はしますが、まあかなめくんだからいいのかな。

 
 とゆー『ハプスブルクの宝剣』。
 どんな話なのか、いまいちよくわかっていません。
 や、ストーリーはわかる。

 ユダヤ教の教典をみんなが読めるドイツ語訳にし、「いいことした!」と意気揚々故郷へ凱旋したエリヤーフー@れおんは、「神の言葉を改竄した犯罪者」と仲間たちからフルボッコ。フランツ@かなめくんだのオイゲンさん@ヒロさんだのに拾われ、ユダヤ人であることを隠し、エドゥアルトと名前を変えてオーストリア宮廷デビュー。女帝テレーゼといい感じ(笑)になったりしつつも、ユダヤ人である彼はほんとのとこ居場所がない。いつまで続く魂の旅路、エドゥアルトの明日はどっちだ?!
 
 って、エドくんひとり黒尽くめ、深刻一直線。いつも彼ひとり主役、彼ひとり大変。
 彼とは無関係だけど、テレーゼちゃんも即位後は大変。
 フランツくんはその一歩外側で大変な人たちにエールを送っている……フランツくんはナニもしてないけど、言うだけはタダだ! 彼は人生応援団、どっちかっつーとチアリーダー、ポンポン振る方が似合ってる。がんばれ、ありがとう! エドくんになんか「キミこそがハプスブルクの宝剣だ!」って、だからナニ?!な、あさってな言葉を送ったりして、客席をぽかーんとさせてますよ!(笑)

 あまりにものすごい役なので、ツボを直撃しました。
 彼がやってることって、子ども作ってるだけかよ?! ……いやいや、お世継ぎは大事ですとも!
 いじって楽しむ系の二次創作ができる……というか、ほんと萌えキャラだな、凰稀かなめ。

 景子タン、『堕天使の涙』の引き続き、かなめくんの美貌を正しく使ってますなあ……。できれば美貌以外も使って欲しいんだけどなあ。

 フランツくんのことをトロ@『トロ・ステーション』の偉人伝風にひとことでまとめるならば、「言うだけはタダ、の美貌の人」ですかね!(親指)

 
 いやその。
 かなめくんをはじめとして、みんな美しい公演でございました。星組、ビジュアル最高だ。コスプレまかせろだ。
 ちえねねテルの3人の並びが大好きです。なんつーかこー、わくわくする人たちだわ。
 『ハプスブルクの宝剣』って、ちょっとめずらしいくらい、主役至上主義だね。

 その潔い作りにおどろきました。
 どれくらい主役至上主義かっつーと、ひとり芝居OKなくらい、主役しか描かれていない。

 短い時間で物語を起承転結させるには、主要人物は少ない方が書きやすい。だからよくあるのは、主人公と相手役のみ比重が高く、あとはモブにしてしまう方法。相手役ってのは、作品のテーマにより、恋愛モノなら恋人役になるし、復讐モノなら仇役、サクセス物ならライバル役とか親友役になるわけだが。
 主人公ひとりではなく、誰かもうひとりぐらい、対比させたり対話させたりする相手を必要とする。

 大劇場で80人からの出演者を使わなくてはならないのに、主人公ともうひとりしか描いてないなんつーのは、なつかしの宙組タカハナ時代とか、キムシンとか正塚の『マリポサ』とか、そんなこんなでいろいろ目にしたけれど。

 主人公ひとり、ってのは、なかなかナイよな。

 いやあ、オープニングから、感心した。

 れおんひとりで、オープニング・ショーやるんだ?!

 通常、出演者総出で歌い踊るべきところを、たったひとりで踊ってマスヨ?!
 いつまでたってもひとり、とことんひとり。

 ……すみません、演出のすごさにちょっと笑いツボ入りました。
 いつになったらみんな出てきて、どばーっと派手に「タカラヅカですっ」と総踊りのオープニングになるんだろうと、慣習からぼーっと待っていたら、誰も出てこないし。ナニもはじまらないし。
 すげー(笑)。

 や、いいんだよ、そーゆーのもアリだと思う。文句があるわけじゃない、ただ「派手なコスチュームもの」の幕が大々的に上がって、れおんひとりがひろーい舞台でえんえんくるくる踊ってることにウケただけ。……サイトーくん演出の『エル・アルコン』なんかものすげー人口密度、セリ・盆稼働率だったのにさー……個性が出てますなー。

 このオープニングがすべてを物語ってるんだね。
 主人公はれおんひとり。これは、エリヤーフー@れおんの一代記。あとはみんな脇役。

 はっきりしていてイイよ。
 ヒロインすら、最初と最後しか出ない。
 2番手だろーと、トップ娘役だろーと、役割的には主人公の人生の旅路をそのときどきに彩るだけ。エリヤーフー以外は潔く全員同じ扱い。

 さすがにトップ娘役だけは、出番がなさすぎるから仕方なく2役。ああ、タカハナお披露目公演もそんなだったっけ。(故郷で待ち続ける可憐な恋人→彷徨する主人公が異国で出会う女帝様→女帝様は女帝様なので、最後はやっぱり故郷の恋人のもとへ……って、役柄まで同じだわ)
 他の人たちは基本、役ひとつだけだから、出番少ないわキャラ薄いわ……大変だな。

 でも、物語的にはよくまとまってる。

 だから短編を書くときは、キャラクタが少なければ少ない方が書きやすいんだってば。
 大劇場公演のネックは、主役とヒロインの他、路線や上級生や専科さんたちに重要な役をつけて、さらに総勢80人超えの出演者に出番と見せ場を与えて1時間半で起承転結しなければならないこと。
 物語に必要な役が3~5人くらい(あと75人以上が台詞も出番自体もほとんどないモブ)で済むなら、ふつーの作家なら辻褄のあった感動的な話を作れるんじゃないかなと思う。純粋にストーリーラインだけを追った作劇が出来るから。
 
 3~5人でも物語をまとめる上では十分な削ぎ落とし方なのに、ソレをひとりだけにしてあるんだから、そりゃまとまるわな(笑)。
 描くのはひとりだけ、あとは場面を盛り上げるためだけに必要に応じてその場限りのキャラを出す。
 ナニかやってるのはひとりだけ、あとはみんなナニもしない。ちょっと絡むところだけ、ナニかしている。
 起承転結するのはひとりだけ、あとはその場限り、投げっぱなし。

 潔くて、良いです(笑)。

 エリヤーフーの一代記。世界の中心は彼。彼の視界に映るものしか存在しない。
 そして悲しいかな、彼の興味は彼のルーツにのみ向けられ、物語の中核を為すオーストリー時代にはナイ。もっともアクティヴに、トップ娘役、男役2番手以下スター勢揃いの絢爛たる舞台上に、主人公が興味を持つ人物が皆無なのだわ。
 フランツ@かなめくんとは親友らしいし、グレゴール@ともみん他ハンガリーのみなさんとも仲良しらしいが、クチで「親友だ」と言うだけで、心が通い合っているよーには見えない。そこにいるのはエドゥアルトであって、エリヤーフーではないのだ。
 もちろん、物語的にはソレでいい。エリヤーフーの一代記、彼の魂の彷徨物語だ。偽りの名にすがり居場所を探す彼が、真実の自分にたどりつくまでの物語だから、エドゥアルトと呼ぶ人々とは口先だけの関係でもいい。

 ただ、「大変だなー」と思うのは、キャスティング。
 エリヤーフーの根っこ、本名の彼を取り巻く役者たちは、路線未満の人たち。物語の中核ではなく、プロローグ的な部分という位置づけだからだ。春夏秋冬でいうなら、青春時代、青い春。
 エドゥアルトと名乗ってからが本来のストーリー開始、なんだろう。野心を持って人生をひた走るわけだから。本編開始だから、ここで登場する人たちは路線スター揃い踏み。人生の夏、アクティヴに、激しくドラマティックに。
 ……しかしこの「本編」に出てくる人たちのことを、主人公は結局のところ、誰ひとり愛してない。彼はなにかっちゃー、人生プロローグの記憶に逃げ込む。
 これがバランス悪いっていうか、大変だなと。
 ここまで人生プロローグを引きずり、本編に心を開かないなら、プロローグな部分のキャストも力のある人を入れられたらよかったのにね。
 「心」の重要部分はプロローグのカーテン前位置だからモブで、「行動」の重要部分は本舞台使っての本編だから著名キャストぶち込みました……つーのは、バランス悪いよー。
 いくらさらっと流すプロローグに過ぎなくても、これだけ主人公の行動の根っこなら、キャストをモブにするのはもったいない。

 が、そうはいかないのが、ヅカのスター制度の難しいところだよな。

 総モブ状態のプロローグで、唯一スポットを当てて描かれているのがヒロイン・アーデルハイト@ねねちゃん。
 彼女はテレーゼと「そっくりさん」ってことで、2役可能だったから、プロローグに出演できたんだよなー。
 やっぱスタークラスの人の出番が最初と最後だけでは、ヅカでは物議を醸し出すもんな。(ソレをやったのがオギー@『マラケシュ』だな)

 ストーリーの最重要ポイントに路線スターはねねちゃん以外になく、外側を派手に流すところがやたら豪華スター揃い。
 れおん以外を描く気はなく、とってもまとまった物語なんだけど、「タカラヅカ」的にはどうなんだろう?
 豪華スターたちは、たしかに豪華にアクティヴな場面に登場しているけれど、主人公の心の外にしかいないから、結局はただのモブというか、豪華お衣装は与えられてるけどただのお飾りキャラというか。
 主人公以外、路線スターで誰がオイシイ役なんだろう? みんな等しくオイシクない気がする……。

 エリヤーフーの学友たちの下級生具合というかキャリアの差というか、「キミたち、同級生には見えないって」という苦笑感、あそこにともみんとかベニーとか、「親友」として肩を並べられるだけのキャラを入れられないのはスター制度の縛りか、はたまた景子タンのセンスの問題か。

 や、主役至上主義、上等ですとも(笑)。 
 アーデルハイト@ねねちゃんが好きだ。

 『ハプスブルクの宝剣』、あくまでも舞台上の話。原作がどーなってんのかは知らない。

 予備知識がポスター程度だったもんで、2役だと知らなくて「ねねちゃん、マリア・テレジアだって聞いたよなあ、この娘が将来女帝陛下になるのかしら?? そんな歴史あったっけ??」と混乱しましたわよ(笑)。
 藤本ひとみが歴史通りの小説を書いているとは思ってないが、『和宮様御留』みたいな話だとも聞いてなかったし。
 さすがに途中から「ああ、きっと2役で、マリア・テレジアはマリア・テレジアであとから出てくるんだな」と思ったけども。

 最初に「いかにもタカラヅカ」な、アタマ空っぽな「可憐」という記号のヒロイン風に登場したので、そのクラシカルなヒロインぶりに苦笑しつつ、現代的なねねちゃんもこーゆーキャラ演じなきゃいけないんだよなあ、トップ娘役は大変だなあと俯瞰して観ていた。
 そしたらなんだ、アーデルハイトってアタマ空っぽちゃうやん。ものすげー古いタイプのヒロイン風なくせに、筋が通ってるじゃん。

 なんの力もないか弱いお嬢様育ちなんだろーに、性根が据わっている。
 監禁されていた家を飛び出し、約束の橋の上でエリヤーフー@れおんを待つ、そのまっすぐさ。
 会話の受け答えに、強い意志と知性が感じられる。
 きっとこの子、家族相手にかなり舌戦かわしたんだろうなと。ナニも出来ずに縁談押し付けられたり閉じ込められたわけじゃなく、出来る限りの戦いは吹っ掛けたんだろうなと。
 可憐に見えて、相当気は強いし、しっかりしているんだろう。……ある意味、夢見るユメコちゃんなエリーよりも(笑)。

 そして、エリヤーフーとモーリッツ@しーらんの決闘のあと。
 責められるエリヤーフーのために、「これは正式な決闘です」と懸命に叫んでいる姿にぐっときた。大勢の中でたったひとり声を張り上げるなんて、お育ちからして前代未聞の行動だろうに。

 あ、この子好きだなと思った。

 現代のわたしたちなら、自由恋愛が当たり前だし、好きなときに好きなところへいって、好きなことが出来る。
 でも、昔の女性はそうじゃないよねえ。いろんな縛りがあり、それを破るという発想自体がナイ。
 アーデルハイトがエリーに語っていたように、彼女は「18世紀前半のヨーロッパ資産階級のお嬢様」という常識の枠を超えていたんだろう。その魂が。
 お嬢様が考えないこと、しないこと、ばかりを自然と考えたりしたりしてしまったとしても、当時のせまい世界の中でソレを叩き壊す行動を取ることは、現代のわたしたちとは比べモノにならないオオゴトなはず。

 ユダヤ人と恋愛することも、親の決めた婚約を拒絶することも、家出することも。
 「ありえない」ことをやってのけてたんだよなー。

 そのことが、あの短い出番とやりとりの中で見えて。
 わたしにとっては、ソレがいちばん強く感じられたのが、「彼に罪はないわ!」と叫ぶ姿だったのですよ。

 あ、この子好きだな。
 お嬢様育ちだけど、きっと芯はとても強い。どんな立場になっても、きっと前を向いている子だろうと思った。

 それっきり出てこないんだろうな、とも思った。
 見るからに「2役の力を入れていない方」な扱いに見えたし(笑)、エリヤーフーの一代記っちゅーか心の旅路モノだから、「彼の人生を通り過ぎた人その1」みたいなもんかなと。

 可哀想にアーデルハイト、きっと修道院送りだろうな。
 こんな不始末をしでかした「汚れた娘」は、存在を抹殺される。親からも家からも、「死んだもの」「はじめからいなかったもの」にされる。
 生きてはいるだろうけれど、人生は終了だろう。
 ……当時の女の子なら、そういう扱いだ。モノでしかないさ。現代の感覚ではないのだから。
 
 
 そのあと、「そっくりさん」としてマリア・テレジア@ねねちゃんが出てきて。
 「顔が同じ」ってだけで主人公の恋人になるとしたら、嫌な展開だなと思った。「母に似ている」とか「初恋の人に似ている」とかで恋に落ちる男は嫌いだ(笑)。

 でもエリヤーフー改めエドゥアルトくん、テレーゼだけでなく、誰のことも愛してないので、ほっとした。

 ここまでどーでもいい扱いなら、なんで「顔が同じ」という設定が必要なのかと首を傾げるくらい、エドゥアルトひとりのことしか描かない物語展開。
 まあ、あくまでもヒロインはアーデルハイトで、幻影が現れるのもアーデルハイトの幻影なわけだし、顔が同じでもアーデルハイトはユダヤ人のエリーを愛し、テレーゼはどんだけ優秀でも魅力的でもユダヤ人だからとエドをスルーするんだから、対比としてアリか。
 でも落ち着きの悪いことに、ポスターに載っている通り、この『ハプスブルクの宝剣』という作品の主要キャラはテレーゼであって、アーデルハイトではない。
 ヒロインはアーデルハイトなのにねー。

 ただの脇役、モブに毛が生えただけのテレーゼとフランツ@かなめくんがポスターに載っちゃうのが、タカラヅカの歪みだよねー(笑)。
 その昔、『エピファニー』という作品があって、ポスターにはなんと、主役が載っていないということがあった。この作品はシェイクスピアの『十二夜』が原作、すなわち双子の兄のフリをして男装する女の子が主役。でも、ポスターにはなんにもしない双子の兄が載っていた……だってタカラヅカだから。双子の兄も妹も主演者の2役だから、載るのは同じ人だけど、意味がチガウ。双子の兄は主役ぢゃない~~。
 それと同じだよな。テレーゼはヒロインじゃないけど、同じ人の2役だからとポスター入り。

 最後までちゃんとエリヤーフーがアーデルハイトを愛してくれて、想いを残したままいてくれて、良かった。
 テレーゼのことはほんと、「顔が同じ」ってだけだったんだな、と思っていたところへ。

 最後の最後、故郷の約束の橋の上で。

 アーデルハイトと、再会する。

 や、これはびっくりした。予想外。
 だってアーデルハイトはアレだけの出番だと思い込んでたんだもん。エリーの学友たちがアレだけでおしまいなのと同じように。

 約束通り、待っていた。

 あれから何年経つ? けっこー経ってるよね?
 エリーが波瀾万丈だったのと同じくらい、アーデルハイトも大変だったと思う。そりゃ軍を率いて戦争したりはしてないだろうけど、その時代の女性としては、それに匹敵する苦難を乗り越えて、エリーを待っていたんだと思うよ。

 最後の登場に、舌を巻いた。

 いちばん強いのは、彼女だ。

 「ハプスブルクの宝剣」エリヤーフーでもなく、女帝マリア・テレジアでもなく。
 すべてを飲み込み、すべてを許し、約束の場所を護り続けたアーデルハイトだ。

 あ、この子好きだと思った、思わせた、その清冽なまっすぐさが、ラストシーンに帰着した。

 この子にたどり着くための旅だったんだ。物語だったんだ。
 若者が夢や存在意義を否定されるところからはじまったこの物語は、彼自身の行動を肯定されることでカタルシスを迎える。ドイツ語訳の教典がそのクライマックス部分だけど。
 エンディングは、それすらも内包して、彼の人生全部肯定して終わるんだ。

 それが、アーデルハイトというヒロインなんだ。

 
 いやあ、キモチイイよ。主人公が最後までヒロインを愛し、ヒロインが最後まで主人公を愛し、苦難の果てにふたりが結ばれる物語。

 ヒロインを好きだから、感情移入できるから、この物語が心地良い。
 『相棒』も観てます。ええ、いちおー。
 …………観る予定は、ぶっちゃけあまりなかったんですが、まっつメイトがはるぱる遠征して来ていたんで、彼女の顔見に梅田へ行き、水曜日だから映画でも見て帰ろうかと思ってたんですが、結局DC楽観ちゃった。

 DC楽は映像に残らない千秋楽なので、なにかアドリブあるかしら、と思ったけれど、そんなこともなく、まとぶさんが最後の挨拶で星原さんに「萌え~~」ポーズを振ったのがいちばん大きかったくらい、特にどうということもなく。
 星原先輩、マジ恥ずかしそうで、ちょっと可哀想だった(笑)。そして、そのマジに困った様子で、それでもみんなの期待に応えてやってくれるところがステキでした。

 で、まっつの様子とかお茶会の話とか、いろいろネタを仕入れていたわけですが、ロンドンのカップルがいちゃいちゃしているのは、レアであるらしいですよ。

 日替わり回替わりで自由に演技している、2幕冒頭のカップル。
 そのときにネタを決めて、全部アドリブでやっているという、まっつ×いちかの相棒っぷりのすばらしさを堪能する場面。
 ラヴラヴ・バージョンはレアなんですって。友人は見たことナイって。ケンカしていたり、倦怠期っぽかったり、危険を押し付け合っていたり、そんな「松一萌え」なカップルばかりじゃないって。
 いちゃついてたのは、クリスマス限定なんだって。

 わたしが観たのはそのクリスマスだけですがな。

 あのいちゃいちゃはデフォじゃないんだ。まっつといちかなのにラヴラヴ?!って我が目を疑った、アレは特別サービスなんだ。

 って、どんだけお高いの、まっつ×いちか!(笑)

 お似合いカップルでありながら、たぶんいろんなところでコンビ認定されているふたりでありながら、ラヴい役回りはほとんどなかったふたり。
 よーやく本気でいちゃついてるのが見られたと思ったら、ソレはクリスマス限定、特別な日の特別サービスって……。

 あなどれないわ、松一コンビ。どこまでじらすの(笑)。

 と、思っていたら、DC楽はまたしても、「ラヴラヴ・バージョン」でした。
 なるほど、「レア」で「特別」なかわいいふたりは、特別なときのとっておきなのよね、だから千秋楽でここぞとばかりに披露したのね。

 ……って、あたし、ラヴラヴ・バージョンしか見てませんがなっ。
 特別なものしか見てない~~、普段の「ただのお笑い」なふたりも見たかったよ~~。

 や、このわずかなアドリブだけ目当てにリピートかけられるほどお金持ちぢゃなくて……イシダ芝居とは相性が悪いので、今回は大阪1回東京1回の計2回の予定でした。つか、東京のチケットが先に手に入っているんじゃなれば、絶対遠征してない(笑)。
 花組のみんなはとってもステキなんだけど、イシダがなあ……ほんっと苦手なのだわ、わたし。

 
 さて、DC楽ではセンター通路に近かったし、客席登場その他に知識があるので、最初から、まっつガン見スタンバイ。

 出前持ち@まっつが登場するとわかっている下手扉を注目、ライトもないまま扉が開き、ヘタレまっつキター、ラーメン屋コスプレかわいいっ。
 ちゃんと角田課長とは話し方変えて喋ってる、つか、そのわざとらしい声の震え方がステキ。

 センターブロック前で演技して、16列目の手すりにすがりついてヘタレまくって(笑)、神戸くん@壮さんと前後して上手扉へと消えていく。

 かわいいなあかわいいなあ。

 そして舞台での、ナマ着替え(笑)。

 出前持ち刑事と角田さんは別人っぽい(出前持ちは若い演技してるよね?)のに、何故か舞台に現れる角田さんはお着替えING。
 おちゃめな黄色いチョッキが、セーターではなくちゃんとチョッキですよとわかるように?舞台上で上着を着ているの。

 わざわざまっつのお着替えを練り込んだ謎の演出GJ!

 ナっマ着替え! ナっマ着替え!(笑)
 上着を着る動作も「角田」である、格好良すぎないおっさん風情が素晴らしい。

 そして、無表情にしれっと踊るおっさんダンス……もとい、不思議な振付のオープニング。
 タカラヅカにて拳銃持ったダンスというと、『アデュー・マルセイユ』の地下水道とかの、現実離れした格好良さのダンスになるわけだが、『相棒』のダンスはちょっとチガウんだなー。微妙にオッサン臭いというか、現代日本っぽい。
 されどソレが、この作品には相応しい。
 原作のタイトルバックに、右京さん@まとぶん他、主要キャラがずらりと並ぶオープニング・スタートは文句なしにカッコイイ、わくわくする。

 まっつって手の動きが独特だなあと、ダンスのたびに思う……(笑)。

 そして、神戸くんと角田さんの、「右京さん紹介ソング」。
 何故このふたりが? という顔ぶれなんだが、とにかくかわいい。

 体型の差というか、身長差がイイんだなー。
 ヅカをよく知らない人でも、神戸くん役の人が長身のすげー美形であり、それに絡んでる角田役の小柄なおっさんとのキャラの差はよーっくわかったろう。
 「ヅカの人ってみんな同じに見える。区別つかない」と、よく耳にする初心者意見。ソレを覆すに相応しい人選。
 や、みんなチガウからいいんですよ。

 長身の壮くん相手に、まっつが絡んで迫ってノリノリで歌っているのが、かわいすぎる。
 あー、この身長差いいなあ。

 最近わたしは、めっきり壮松コンビ萌えです(笑)。

 歳末警戒の忙しさを嘆きに特命部屋に息抜きに来るパンダ課長の、椅子に坐るときの、潔い脚の開き方が萌えです。

 かっこつけて大股開いてんじゃなく、たんにだらしないから、という、おっさん特有の坐り方。
 なのに手にはパンダちゃんマグカップ。

 かわいいなーもー。

 歳末警戒中の街角で、「私の三人娘論」を語る姿もそりゃかわいいですが、アレってナニしに出てきてんですか?(素)
 角田さんだけじゃなく、他のみなさんも。
 12月の屋外に、コートもなく。

 ただの「サービス」だとわかってるけど、無意味な演出だよなー。

 や、まっつに出番があってうれしいです。よくわかんない三人娘の名前挙げてますけども(わたしがわかるのは、伊丹@めおくんまでです・笑)。

 ジャケットひとつで外に出てきている角田さんが、微妙に寒そうにしているのもツボ。

 婦警トリオに逆ナンされている角田課長のかわいさは言うまでもないが、実はひそかにそのあとが好きだ。

 暴漢@めぐむを捕まえたあと。
 「こいつ、墨入れてやがる」のあたりね。
 けっこー言葉悪いし、Sな上から目線だよね。
 身内に見せているぽやぽやしたおっさん顔と、犯罪者に見せる顔はチガウんだなと思わせる、かっこいーおじさんっぷりがイイ。

 
 とまあ、なんやかんやでまっつには楽しませていただきました。
 所詮わたしは「贔屓が出ていればソレだけでイイ」ゆるいヅカファンですから!
 役名ではなく、役者名で走り書きします。
 まともな感想はまたいずれ。

 『BUND/NEON 上海』初日観劇。

 姫花の呪いは最強ってことですか?←作品の核に触れる発言(笑)。

 すべては姫花の呪いからはじまる。
 まぁくんを虜にし、れみちゃんを狂わせた。そしてだいもんはガイ@『白夜伝説』のようなことに……!!(笑)

 姫花の正しい使い方、白いドレスとたったひとことの台詞、それですべてを掌握する。その美貌、その非現実さ。なんせすべてまぁくんの夢の中。
 極力喋らせないで美貌だけを見せる姫花の美しいこと。白いドレス凶悪、白いベレー帽凶悪(笑)。つか、それすらもまぁくんの夢の中。まぁくん作ってないか? 夢見過ぎてないか?

 だいもん、アクセル全開。
 苦悩、愛憎、受(笑)、狂気。この子に入り込み系の役やらせたら、えらいことに……!の、見本。
 1幕の苦悩系ヒーローっぷりと、2幕の狂気。つか、だいもんでホゲ@『太王四神記』が見たかった。絶対どえらいことになっていたよ!と、思わせる。
 壊れていく、この男壊れていってるよ……!! 狂気の炎、ゆらめく慟哭。

 負けるな、まぁくん!
 だいもんを迎え撃て。いろいろと分が悪いが、負けるな負けるな。てゆーかこの作品、W主演作だっけ? だいもんが全開でぶっとばしてるから、主役に負けてもらったら困る。
 主題を入り込んで歌ってるのがだいもんで、まぁくんはそれに並び立つ役……濃い影に屈せず白い光を放たなければならない。難しいのはわかるけど、真ん中に立つモノの宿命だ。
 ドリーミングな主人公。特技は回想。自分探しに行き当たりばったりな行動、物語の終わりにはお約束の成長が待っている。

 まぁくんを見ていて、ときどきオサ様を思い出した。登場シーンなんか、きゅーんと。顔も体型もまったく似てないのに、スーツ+帽子姿に面影を見る。
 オサ様の背中を見て育った子なんだね。なんか泣きたくなった。

「で、れみちゃんはなんで姫花を憎んでたの?」
「あんな妹がいたら、ムカつくからじゃね?」
「……やっぱり、ソレが理由?」
 れみちゃん、ヒロインぢゃないけど、がんばれ。
 ヒロインは姫花。れみちゃんは……なんだろ、あの役? 主役と恋愛しない、でもいちばん多く絡む女?
 誰からも愛されていない、「美女」というだけで男たちにトロフィーにされている女。……チガウ、よっちがいた! よっちだけはれみを愛している。……れみちゃん、カケラも相手にしてナイけど。よっち可哀想!!(笑)

 てことで、よっちが、「愛されキャラ」ポジションを獲得した!
 よっち、かわいいよ、よっち。
 出てくるだけで漂う小物感、飲んだくれている様がさいこーにプリチー。阿片の虜なところは、……ええっと、なんかみょーな気恥ずかしさが。あー、かわいすぎる~~。

 ふみか、ノリノリ。
 楽しそうだな、ふみか。楽しいんだろうな、ふみか。もーノリノリだ、「オレが主役!」な勢いだ。
 役者が楽しんで演じている様は、見ていてたのしい。
 てゆーか、ふみかとだいもんって、すごく恥ずかしい。なんなのこのふたり。演技の質は違っても、温度とベクトルが似ているもんで、ひとりずつでもえらいこっちゃなのに、ふたりになると赤面度がウナギ上り。
 ……ふみかさんのお茶会に行ってみたいと思いました。

 じゅりあに、鞭。
 男装して、鞭をばちこーん! じゅりあじゅりあ、どこへ行くの、どこまで行くの、てゆーか演出家、じゅりあにナニを求めているの(笑)。
 あちこちで出てくるチャイナドレスのかわいこちゃんじゅりあに、「街の女の役でアルバイトしてるんだな」と思っていたよ。まさか、同一人物だったのか……!(白目)

 ヒロインゆまちゃん!!
 これって「物語の核」的にはだいもん主人公だよね……? な展開であるだけに、ゆまちゃんのヒロインっぷりが素晴らしい。闇に生きる男の心の支え、聖域たる少女。その美貌がうれしい、説得力。
 フィナーレのドレスは、胸の谷間がえらいことに……。

 いまっちは、どこへ行く。……え、やっぱそっちなんですか?
 清涼飲料剤。唯一の救いとなるキャラクタ。めちゃくちゃうまい。うまいのはわかるが、やはりお笑い系なんですか、彼。せっかくのかわいこちゃんだから、そっちで花開き切っちゃうことに危惧。今度は是非本気の二枚目役が見てみたい。
 ……にしても、うまいわー、かわいいわー。彼のタンゴは必見ですよ、下手端、ライト暗めだけど是非チェックを!!

 萌子×だいもんって……!!(白目)
 しかも、「息子のように思っている」年の差で……!! 唇噛んで萌子に抱かれに行くだいもんって(しかもゆまに見送られて)、どんだけ……!!(白目)

 まゆくん、うまくなったねー。新公ホゲがアレだったしフェルゼンもまたアレレだったのでアレなままかと思ったけど、健闘してました。三日天下上等!ってか。

 みちるタソはとってもみちるタソでした。帽子落としすぎ。明日からはピンで留めるなりするのかな?
 小池オリジナルの「マッド・サイエンティスト」枠が彼かしら……? 姿はマンガ的なのに、やたらイイ声で歌うあたり……とってもみちるタソ(笑)。

 しゅん様、わりとよく画面にはいるんだけど、ただいるだけっつーか……。
 まりんさんは裏切らない出来だ。
 さおたさん出番少なっ。……そして彼、ナニ気に出オチっぽく役柄がわかってしまうのはいったい……(笑)。

 圭子ねーさまの無駄遣い。まぁくんのドリームのBGMやるために連れてきたのか? いや、諦観と慈悲の素敵なマドンナっぷりでしたが。

 瀬戸くん、無駄に濃い(笑)。輝良まさともなにかと目に付く。
 男のドラマだから、女の子たちの扱いが十把一絡げ。そこは残念。

 
 なにしろタイトルが『BUND/NEON 上海』-深緋(こきあけ)の嘆きの河(コキュートス)-でしょ? 中2病全開!! って感じで、懐疑心しかなかったので。

 なんだよ、ふつーに、おもしろいじゃん。

 ポスターに載っている3人が、まったく互いに恋愛感情を持っていないのは、ヅカ的にどうかと思いますが(笑)。や、歯車が違っていればあったかもしれないし、これから先あるかもしれないにしろ。
 つか、どんだけ姫花の呪いはすげえんだ、つーか。3人とも姫花に運命狂わされて(笑)。

 で。
 その、姫花の事件のことが、まーーったくわかんないまま終わっちゃったんだけど、それってどうなの?(笑)
 1幕が2幕のおよそ1.5倍の長さがあり、かつ、1幕の半分までは承前、状況説明、本編がはじまるのは1幕の最後の方から。そのくせ、風呂敷の広げっぷりは半端なく、休憩時間に花担友人のドリーさんと「相当話広げてるけど、たためるのか、この話?」と首を傾げていたんだが。

 やっぱり、たためなかったね(笑)。

 登場キャラクタののほとんどが、それで、どーなったのよ??状態。

 ストーリーの中核であるはずの1年前のロンドンの話はまともに説明されていないし。キーパーソンであるシンシア@姫花の死と彼女の家族についての説明もないし。おかげでヒロイン@れみちゃんがいちばんワリくって、無意味な人になっちゃってるし。
 雰囲気優先で、作者は自分の頭の中だけで納得してしまって、観客のことまで考えが至っていない。穴だらけの脚本、構成。

 しかし。
 『BUND/NEON 上海』は、たのしかった。

 それはたぶん、とてもオーソドックスな「タカラヅカ」だったからだろう。

 主人公の男ふたりが、それぞれ愛する少女のために一途に生きる物語だ。彼らの行動の根幹には恋人への愛があり、それゆえに苦悩する。
 マフィアがどーの時代背景がどーのってのは、ただの小道具であって、殺伐とした小難しい話だと分類する必要はない。
 あるのはただ、オーソドックスでとってもありがちな、ふつーの「タカラヅカ」。

 まあ、主人公とヒロインが恋愛していなかったりするのはヅカ的ではないし、ぶっちゃけヒロインの立て方を間違えているのは、痛すぎる失敗だが、それでもまあ、この話はアリでしょう。
 全体を通して、笑えるくらい「タカラヅカ」なんだもん(笑)。

 ところで。
 今になって公式の作品解説読んだんだけど。
 
[解 説]
 1930年代、イギリス・ロンドン。スコットランドヤード特殊部門に属する青年捜査官、クリストファー・ブレナンには誰もが羨む輝かしい未来が待っているように思われた。しかしある日、恋人が失踪。彼自身が捜査に当たるが、事件は迷宮入りの様相を呈し彼自身も深い傷を負ってしまう……一年後、突然降りかかった過酷な運命に心の晴れない彼は休暇を得る。選んだ旅先は、上海――劉衛強ら青幇の頂点に立つ杜月笙の治める街。そこで彼は恋人の姉、ミシェル・トラヴァースとの再会を果たすが……。列強各国の租界地として爛熟期を迎えていた魔都・上海を舞台に、一人の青年捜査官が失われた過去を取り戻し、再生してゆく姿を描いた、サスペンス仕立てのミュージカル作品。この作品は生田大和のバウホール公演デビュー作となります。

 間違ってはいないけれど、正しくもないぞ?

 捜査官クリストファー@まぁくんは殺された恋人シンシア@姫花の事件を追って、上海へやって来た。シンシアとその両親が殺された事件に、中国人が関わっていたためだ。「劉衛強」という男を追ってやってきた……ことになるのかな。
 マフィア関連を追うなら、そこのマフィアのボスに会うのが正しいよな、と上海を牛耳るマフィア・青幇のボス杜月笙@ふみかに近づくために、彼と商売をしている大金持ちのぼんぼん社長エドガー@よっちのパーティへ行った。そこでエドガーの妻ミシェル@れみに再会。ミシェルは自分の両親や妹が殺されたっつってもロンドンへやって来ず、スルーした冷たい女。自分は金持ち夫人に収まって幸福そうでいいよな、とクリストファーの私感。
 さて、クリスが追っている男・劉衛強@だいもん。彼は1年前、わざわざロンドンくんだりまで行ってシンシアを殺したときから、マフィアとしては重い病にかかっていた。人を殺せないんだ。シンシア殺しが重度のトラウマになった模様。……シンシア最強。
 人を殺せないマフィアなんか、どれだけ優秀でも使い道に困る。とくに青幇さんたちは「面倒だから殺せ」でなんでもかんでも皆殺しにして完了するカラー。組カラーに合わない路線スターはフルボッコ。どれだけ結果を出しても責められる。それでもここでしか生きられない彼は、幼なじみの恋人・孫香雪@ゆまと一緒になる日を夢見てがんばっていた。
 そんなところへやって来て、あちこち嗅ぎ回るクリスは間がいいのか悪いのか。共産党地下組織@じゅりあとかしゅん様は「敵の敵は仲間、協力し合おうぜ」とコナ掛けしてくるし、お高いクリスくんはそんなの歯牙にも掛けなかったのに、「クリスは共産党とつるんでるぞ」ってことで、青幇さんたちが共産党な人たちを虐殺してみたり、上海大変。
 まあなにはともあれ、結局のとこクリスは私怨で動いているだけで。シンシアの仇が取れればそれでいいんだよね。杜月笙の屋敷に突撃カマすのも、「シンシアの姉」ミシェルが拉致されたから。ミシェル自身はどーでもいいが、シンシアの死がトラウマになった彼は「もう誰も失いたくない」病にかかっている。……シンシア最強。
 突撃カマしたら、そこになんとシンシア殺害実行犯、劉がいたので一騎打ち。でもほら劉くん、トラウマで人が殺せないから……。
 いろいろあったけど、ミシェルは助け出したし、シンシア殺しの犯人も死んだし、一件落着、なんて清々しい旅立ちの朝。……幕。

 
 だから、なんでシンシアが殺されなければならなかったのか、わからないとストーリー自体成り立たないんですが、ソコは全力でスルー。

 マフィアだのスコットランドヤードだのが絡んで、壮大な陰謀が企てられていたらしいが、作者の脳内にしか存在しない。

 ただクリスくんが恋人の仇を討つだけで終了。背後にある陰謀に、主人公であるクリス自身が興味を持っていないので、とても薄いキャラクタになってしまっている。
 最初から最後まで、彼の「自分探し」だからなー。で、当座の目的であった「シンシアの仇を討つ」と「シンシアの姉を助ける」が達成できたので「俺、乗り越えたよ、ひとつ大人になったよ!」と晴れ晴れ。
 なんかチガウと思うの……だって君の上司はあんなことになってるわけだし、スコットランドヤードの膿出しだけでも大変よ? わかってる?

 なにも解決してないんだけど、なんか、終わったことになっている不思議な話。

 まともに考えると「生田くん、ソコ坐りなさい」ってくらい、めちゃくちゃな話なんだけど(笑)。

 それでも、たのしい。

 サイトーくん作品がどんだけ整合性皆無でもたのしいのと、同じ次元の楽しさだわ。
 チャイナドレスのぶりっこじゅりあが、いざ共産党活動するってときは、わざわざ制服に着替えてたり、だいもんがわざわざがんばってテーブル乗り越えて銃構えたり、マッドサイエンティストなみちるタソが注射器持って笑っていたり、一騎打ちが殴り合いって……!! とか、ツッコミどころ満載、いや、つっこむことは野暮!な勢いで「萌え」を表現しているところが、素敵です(笑)。

 あー、とりあえず、ひとりで悶えまくってるだいもん見に、もう一度行きたいな。
 花組バウホール公演『BUND/NEON 上海』
 初日に駆けつけたのは、まぁくん単独バウ主演おめでとー! ではなくて。いやもちろん、わたしは花担なわけだし、花組っこたちの公演は楽しみにしているし、できれば初日から観てみたいのだけれど。

 ほんとのところ、いちばん興味があったのは、新人演出家の、デビュー作ってことだ。

 デビュー作には、その作家の個性っつーか、持っている根っこの部分が出ちゃうじゃん?
 『BUND/NEON 上海』-深緋(こきあけ)の嘆きの河(コキュートス)なんてタイトルを恥ずかしげもなく付ける新人作家だよ? このタイトルだけで、いいトシしたわたしは「うわっ、恥ずっ!!」と赤面してしまうよーなクオリティだよ?
 いったいどんなモノを出してくるのか、興味津々じゃん?

 中2病ゆんゆんの、わけわかんないものを出してくるかと、心配したんだ、ほんと(笑)。
 オギーの劣化コピーとか、『エヴァ』シンドローム的な痛々しいモノとか。

 サイトーくん系だとは、思わなかった(笑)。

 サイトーくんよりは、オーソドックスに「タカラヅカ」の枠の中で作ってあるし、らしい雰囲気も出てる。

 韓流だの華流だのの流行る前、きれいで明るいシネコン映画館になる前、単館上映の古い小さなビルの地下とかで見たよなあ、中国黒社会モノの映画。当時あたしゃ年間50本以上見ます、な映画スキーでもあったんで、毎週映画館へ通っていたよ。
 『BUND/NEON 上海』を観て、「あー、知ってるコレ……」と思ったのは、あのころ見た映画の感じを思い出したから。
 中国マフィアもの映画もさあ、ドシリアスなんだけどツッコミどころも満載でなあ。や、わたしがあのへんよく見ていたのは、腐女子だったので男男した世界の映画は大抵チェックしていたのよ。(なんてアホな理由・笑)

 男子向け黒社会映画を見て思うのは、「男ってロマンチストだなあ」ってこと。
 バコバコ暴力シーンがあって、バコバコ人が死ぬんだけど、結局のところ、主人公の生き方はとてもストイックなの。誰を殺そうが裏切ろうが、全体通してみると、意固地に硬質。そーゆーのが男の萌えなんだろうなあ。と、外側から想像する。

 『BUND/NEON 上海』にも、同じ手触りを感じた。
 作者は、ロマンチストなんだな、と。
 ……ロマンチストでないと、ヅカで演出家やろうなんて思わないかもしれないけどな(笑)。

 同じマフィアものでも欧米にせず、中国にしたあたりに、サイトー系のクセモノ臭を感じる。
 中国の方が、より、ファンタジー(異世界)じゃん?

 スーツものの欧米マフィアより、チャイナ服に阿片に煙管ですよ。より異世界感が強く、夢を描きやすい。つか、めちゃくちゃをやりやすい(笑)。
 軍服の男装の麗人が鞭で男を拷問したり、白いドレスの少女がふわふわ踊っていたり、悪党が自分の王国建立を夢見て哄笑したり、なんでもアリですよ。

 同じよーに「マフィアもの」でも、大野せんせなんか、江戸時代で青天でやっちゃったわけだしね。作家の性格出ますよ(笑)。

 なんでもありーののファンタジー色の強い1930年代上海で、「破滅する男の美学」を描きたかったんだろうなと。
 や、ストイックさのあるマフィアものでは大抵、主人公は栄光の手前で泥にまみれて死にますから(笑)。生きてしあわせになったら、美学に反するんだろうな。

 だから、作者が描きたかったのはクリストファー@まぁくんではなく、劉衛強@だいもんなんだろうなと。

 でもここはタカラヅカだから、劉のよーな男を主役には出来ない。つーことで、クリストファーを設置。しかし、クリス単体より、ヒロイン・シンシア@姫花を通して思い入れているような。

 劉を中心にして、ふたりのヒロインがいる。
 男子モノ定番の「幼なじみ」孫香雪@ゆまと、これまた定番の「聖域・マドンナ」シンシア。
 どちらも劉にとっては「守りたいモノ」であったのに、シンシアを殺したことでトラウマを抱え、香雪を守れなかったことで血に狂う。

 シンシア殺害の因縁によって、香雪の腕の中で息絶える、つーのが「ヒーロー」劉を描く上での美学、譲れないこだわりだろうさ。

 劉に思い入れまくってるのはいいけど、いちおー対外的にはクリスが主人公でまぁくんが主演なんだから、もう少しリビドーを抑えて描いてくれよ、と思う(笑)。

 たとえばこだまっちの『天の鼓』は、描いているウチに悪役(帝)に思い入れ過ぎちゃって途中で視点やら主役やらが混同してわけがわかんなくなった例だと思うけど、生田くんの『BUND/NEON 上海』は、最初から悪役(劉)こそを中心に考えて、あとから別の主役(クリス)を付け加えたんだと思ったよ。
 おかげで、クリスの薄いこと。劉は生い立ちからなにから全部描かれているのに、クリスは「捜査官です」というだけ。

 劉はヅカの主役には向かないので、彼を助演キャラにしたことは正しい。シャアは敵役だからオイシイのであって、視聴者のためにはアムロが必要だ。

 いちばんの失敗は、ヒロインを間違えたこと。

 ヒロインはシンシアであって、ミシェル@れみじゃない。
 物語が壊れているのは、そこを間違っているから。
 最初からシンシアをヒロインとしていれば、ミシェルはいなくてイイので、彼女に費やす時間を「物語の中枢」に回せた。

 クリスと恋に落ちるならともかく、どーしてミシェルを出す必要があったんだろう?

 男と女の関係が恋愛だけだとは思っていない。平行線のまま、それでも共に荒野を行く『銀の狼』は名作だったさ。
 しかし、クリスとミシェルには、「追いつめられた、この世で最後の男と女」という関係もない。
 たまたま同じ船に乗り合わせただけで、それで人生共にしちゃうのはハリウッド映画以下の説得力だってば。ハリウッド映画でもいちおー、主人公とヒロインは窮地を共に切り抜けることで、吊り橋恋愛するんだから。
 クリスとミシェルはそれすらなく、とくに心が通い合うこともないままミシェルがさらわれ、それをクリスが命懸けで助けに行くという……ほんとに「シンシアの姉」というだけの扱い。

 『銀の狼』を目指してスベっただけなのかしら。1時間半の大劇作品でも描けた男と女の関係を、バウで2時間掛けてかすりもしなかったと?

 ストーリーに無関係なミシェルをヒロインとして成立させるのは難しいから、最初からストーリーの鍵であるシンシアをヒロインにすれば、簡単だったのに。
 劉に比べてクリスが薄いのも、劉を主役に出来なかったのもよくわかるけれど、ヒロインの立て間違いは、よくわからない失敗だわ。

 生田せんせ、ナニがしたかったんだろう?
 『BUND/NEON 上海』感想で、ヒロインの立て方が間違ってるとか、シンシア@姫花ちゃんこそがヒロインだとか書いてますが、ミシェル@れみちゃんに含みはありません。

 れみちゃんの「娘役スキルの高さ」には心からの拍手を。

 あんなやりようのない役で、よくぞ「美しさ」を刻んでくれる。
 囚われの身になっているときの、長椅子に坐っている姿の美しさときたら……!

 今回れみちゃんの、曲線の美しさに開眼した。
 れみちゃんの手足が長いとは今まで特に思ったことがないわけだが、今回のマーメイドドレス姿でわかった、そうかこの子、胴が短いんだ。ミニマムにボンキュッボンなエックス体型。なんかリアルに肉感的、ええ女やわー。

 しっとりとした大人の女、感情的になってなお小娘にはならない。
 ミシェルはれみちゃんアテ書きなのかな。なんつーかこう、れみちゃんって、不幸な女が似合うよね。喪服を着せたい美女というか、疲れてたり儚げだったりすると萌えるというか。

 娘役は大人になるのが早い。さおたさんとふたりでメルヘンなコンビ@『熱帯夜話』をやっていたのはええっと、たかだか5年ちょい前。いかにも現代っ子な気の強いヒロインを演じていた@『Young Bloods!! 』のは4年前か。
 いったいいつの間に、ここまで芸風が変わったんだ……。わたしが最初にれみちゃんを「薄幸そう」と思ったのは、2007年の『TCA』だった……まっつと組んで踊ってるのを見て「うわ、薄幸そうなカップル!!」と思ったんだよなー。あれ以来、なんかれみちゃんは寂しげな女性が似合うっちゅーか……。
 あっという間に、大人になっちゃったんだね。
 研3で初ヒロイン(WS)抜擢以降、月組ではねねちゃんに次ぐポジションの路線娘役スターとしてキャリアを重ね、花組に組替えになって現在に至る、わけだもんなあ。

 あまりに大人びていて、正直おどろいた。
 実際の学年より、ずっと上に見える……つか、ねねちゃんと同学年なんですけど。ねねちゃん、マリア・テレジア女帝陛下演じてすら少女なんですけど(笑)、あのねねちゃんとWSで同じ役をやっていたりするんですけど、しかも当時はねねちゃんの方が大人っぽかったような気がするんですけど、この分岐点はいったいどこに……(笑)。
 わかんないもんだよなあ。だからタカラヅカはおもしろいんだけど。

 大人び過ぎちゃってることに、これからのれみちゃんのヒロイン人生を勝手に危惧してしまいました。
 や、もっと上級生の相手役だったら、ここまで姐さんには見えないだろうからいいのか。

 
 相手がれみちゃんだとヒロインの方がずっと年上に見えてしまったけれど、主人公クリストファー@まぁくんも、一時期からは想像できないくらい大人になっている。
 少年には見えないもの。ふつーに大人に見える。声がいいというわけじゃないものの、ちゃんと大人の喋り方をしていてブレがない。

 この作品はやたら2番手の劉@だいもんがいい役で、主人公は書き込み不足で分が悪い。
 黒い役の方がかっこいいのは世の常、いい人な白い主役は割を食う。
 それでも、その分の悪い状況で、まぁくんが「主役」としての光を放っているのは、すごい。
 「真ん中」という才能を持った人だなと思う。
 華がある、というよりは、光がある、と思う。なにができるできないよりも、彼をまず「真ん中」に立たせてみたいと思う、そのキモチはよーっくわかる。

 でもさー、このクリストファー役見てて思ったんだけどさー。
 このクリスっちゅー役がなんか消化不良の困った役になっている要因のひとつに、まぁくん自身もあるんじゃね?
 脚本・演出が悪いのが、いちばんの理由だけど。それに加えて。

 まぁくんってさ、「真っ白」な持ち味の人じゃないじゃん?

 たしかに「真ん中」の光に満ちているんだけどさー。
 まぁくんの光ってさ、どこかにこう、歪みがあるんだよなー。

 クリスって、ナニ気に狂ってね?

 真っ白な主人公というには、オカシイですよあの人。
 過去のクビキがどーので暗鬱としている設定だけど、本当に真っ白属性の陽性の人が演じたら、もっとストレートに苦悩するしつまずくと思うの。でもまぁくんだから、ちょっと違ったことになってる。
 たしかに彼は陽性キャラだけど、明るいだけの太陽ではないから。すべてを包み恵みを与えるのも太陽だけど、命を枯らせ死の大地を作るのも太陽だから。

 劉の陰に隠れてるけど、クリスくんも十分コワレてて変です、ダークです(笑)。

 まぁくんがあのでかい目をくわッと剥いて苦悩しているのを見ると、手に汗握ります。
 ここここえー。
 誰もこの男変だと思わないの? 誰か止めてやってよ、「意外と無謀なんですね」次元ぢゃないから!! すでに暴走してるから! 外面イイから保っているだけで、中身かなり病んでるから。
 ……まあなあ、あの電波っぽいシンシアと恋愛していたあたりから、こちら側の階段踏み外していたのかもしんないけど。

 てことで、クリスもけっこー好きですよ、という話(笑)。

 クリスをもっと、「白しかできない」タイプの役者が演じたらどうなるのか見てみたかった気がします。
 きっとその方が物語的に落ち着きはよかったんだろうなと。

 
 でも、主役も敵役も病んでいて、形式上ヒロインがほんとに形式でしかなくて、真のヒロインが電波で最強キャラ、つーのが、魔都上海に相応しいのだと思います。
 わかんないことがありすぎるんですが、『BUND/NEON 上海』
 誰か教えて下さい。

 
 2年前から、エドガー・トラヴァース@よっちは、阿片をはじめる。が、妻のミシェル@れみは気づいていない。すでに夫婦仲は冷めていた模様。

 エドガーが阿片中毒になったのは、パパから譲り受けた会社をうまく経営できないから。こわい重役たちがいっぱいいて、ぼんぼん社長なんか大事にしてくれない。そのプレッシャーから阿片に手を出す。

 そのさらに前、エドガーのパパが生きていたころにトラヴァース家へ嫁いできたミシェルは、どうやら政略結婚っぽい。冷たい扱いを受けるなか、優しくしてくれたのはエドガーだけ……なのに彼を愛することはなかったのか、エドガーどんだけ魅力ナイ設定なん。

 トラヴァースとフレミング(ミシェルの実家)は仕事上のつきあい。そこでミシェルがここまで頑強に心を閉ざすほどの政略結婚ってのは、どういうことか。

 人質?

 フレミングがトラヴァースを裏切らないために差し出された人身御供か、財政破綻した家を建て直すために金で買われていったか。
 そのあたりしか思いつかない。
 ふたつの家が対等ならば、ミシェルだけがこんなにつらい結婚をする必要はないもの。なにしろ現在の彼女は両親も妹も憎んでいるんだ、彼女の意志に反して人生を決められたんだろう。

 人身御供なら誰にも愛されない存在で、冷たく扱われていたのもわかる。
 が、もしも金で買われたなら、誰かトラヴァースの家の者が熱烈に彼女を欲したことになる。借金の肩代わりをしてもイイと思うほど、彼女を欲しがる者……そしてソレは、無力なエドガーではない。

 エドガーのパパがミシェルを欲したのかもしれない、と、妄想する。
 体面的に息子の嫁として迎えたけれど、実質は当主の愛人扱いだったのかも、と。
 それなら、エドガーひとりが優しかった、といっても、ミシェルが生涯エドガーに心を開かず、妻に愛されないまま、父の影を超えることが出来ずにもがくエドガーが阿片に溺れるのもわかるんだが。
 

 で、このあたりの時系列で疑問がある。

 ミシェルとクリストファーは、いつどこで知り合ったのか?

 『BUND/NEON 上海』の時点で、ふたりは知り合い状態である。エドガーが「昔話でもすれば」と言うくらいに、旧知の仲らしい。
 クリストファー@まぁくんは、ミシェルの上海での暮らしぶりを知らなかったようだし、彼自身上海に来るのは久しぶりのようだ。
 つまり、彼らが出会っていたのはミシェルが結婚する前、家族と共にロンドンにいた頃、ということになる。

 でもミシェルの妹、シンシア@姫花とクリストファーの出会いを、ミシェルは知らない。クリスがわざわざ「こーやって俺たちは出会った」と語って聞かせるくらい、ミシェルには未知の世界。

 ミシェル独身時代にクリスと出会い、クリスはシンシアの存在を知らず、ミシェルが上海へ嫁入りしたあとに、彼女の妹とは知らずシンシアと出会って婚約した。……てこと?
 政略結婚で悲しい日々のミシェルのもとへ、「ボクたち婚約しましたー♪」って報告が来たの? えええ、あたしの友だちだったクリスと、妹が婚約?! なんで? どーして? あたし紹介してないのに、どっからそんな話に?!(白目)……てこと?

 これでミシェルが実はクリスを好きだった……とか、実は昔ふたりはつきあっていた……てな設定があれば、いろいろ辻褄が合う(シンシアを憎む理由、結婚生活がうまくいかない・エドガーに心を開かない理由)んだけど、そんな設定、なさそうだし。
 もしもふたりの過去に色恋ネタがあったなら、絶対会話に出るでしょ。

 ただの顔見知り程度に思えるんだけど、パーティで再会したふたりの会話。
 「妹の婚約者」「婚約者の姉」というだけの関係にしか見えなかった……。
 
 
 そして、1年前。
 ロンドンにてフレミング一家が殺害される。

 スコットランドヤードの捜査官でシンシアの婚約者であるクリストファーは、上海にいるミシェルに「ロンドンに来てくれ」と言う。
 呼んだのは、殺害に至る前かな。一家は誘拐された上、殺されたらしい。誘拐の時点で呼んだのかもな。
 捜査上の協力が欲しかったのかもしれないし、友人だから呼びやすかったのかもしれないし。

 だけどミシェルは来なかった。

 彼女は行こうとした。が、夫のエドガーが行かせなかったらしい。
 ふつーなら妻の家族が死んだんだから、葬式他に顔を出させて当然なのに、それを許さなかった。あのヘタレよっちが。チガウ、エドガーが(笑)。

 多分このことが、夫婦の仲を完全に裂いたんだろう。もともとうまくいってないのに(2年前から寝室は別だったと推察・笑)、家族の葬式にも出席させてくれないんじゃ、家庭内離婚も当然だわ。

 エドガーは言う。「行かせなかったのは、君を愛していたからだ」。

 エドガーは知っていた。フレミング一家が殺害されること、そして、その犯人が誰なのか。
 だからミシェルを行かせなかった。もし彼女がロンドンへ行けば、一緒に殺されていただろうから。
 あのよっちが、頑としてゆずらなかったんだ、どんだけの覚悟!!(よっちじゃないです、エドガーです)

 とゆーことで。

 結局どうなのよ、あのロンドンの事件って。

 フレミング一家を誘拐の上殺害したのは、上海マフィア・青幇。ボス杜月笙@ふみかの命を受けた、劉@だいもんたち。

 わざわざ誘拐したってことは、なにか目的があったはず。
 無事に返して欲しくば~~しろ、と、なにかしら要求を突きつけられたはず。

 誰に?

 エドガーの会社は青幇と組んで阿片密輸をやっていたっぽい。上海窓口がトラヴァース、ロンドン窓口がフレミング。
 そしてロンドンのスコットランドヤードもまた、密輸に荷担している。

 それってどこの『アデュー・マルセイユ』……!

 ところどころ小池作品っぽい筋立てなのは置いておいて(笑)、この流れで行くとシンシアを殺したのは、実はエドガーなんじゃないの?ってことになりますが。

 青幇が脅した相手がエドガーならば、間接的とはいえ、フレミング一家殺害に関与したことになりますよ。
 トラヴァースがなにかしたことによって青幇が怒り、要求が叶えられなかったからとフレミングを殺した場合は。

 だとしたら、エドガーが阿片に救いを求めた理由も、より強く納得できますね!!(笑)
 やーん、よっちなのに、すべての元凶だなんて!!
 じつは、影の主役?!(笑)

 エドガー素敵。すげーツボなキャラだ。よっちかわいー。(関係ありません)

 
 いやその、ほんとにそこまで大きな役なら、あんな簡単な最期だとは思ってません(笑)。
 真相は別にあると思いますが。

 それがなんなのかわかんねーし。
 わかんないことがありすぎる『BUND/NEON 上海』
 わかんないことを、自分なりに考えてみる、PART.2。


 作品を通していちばんの謎。
 1年前の、ロンドンでの事件。
 フレミング一家が誘拐の上、殺害された。

 犯人は上海マフィア・青幇。
 ここでのポイントは、誘拐の上、ってこと。
 殺すだけなら襲撃時にやってしまえばいいだけなのに、わざわざ苦労して連れ去ったわけでしょう? その場で殺すより、生かしたまま3人もの大人を拉致する方が大変なのに、それをしたってことは、生かして連れ去らなければならない理由があったはず。

 フレミング一家の命を盾に、なにかしら取引要求があった。

 誰に?

 阿片密輸をしている共犯会社、トラヴァースとフレミング。ただの仕事上のつきあいだけでなく、フレミング家の長女ミシェル@れみがトラヴァースの一人息子エドガー@よっちのところに嫁いでいる、姻戚関係。運命共同体。
 そして、エドガーは知っていた、フレミング一家が殺されること。もしもミシェルがロンドンに駆けつければ、彼女も巻き添えを食うかもしれないことを、知っていた。だから妻に恨まれても憎まれても、絶対に行かせなかった。

 マフィアと警察を後ろ盾にして、いくらでも儲け放題だったはずなのに、そのマフィアがフレミング一家を殺害、トラヴァースは見て見ぬフリ、ってのはおかしい。

 ふたつの家に、会社に、ナニがあったのか。

 阿片貿易、なんてのはもちろん悪。だけどひょっとしたらフレミングはいい人たちで「そんなことしたくない!」と言ったのに、ミシェルを人質に取られているから仕方なかったのかもしれない。

 想像に過ぎないが、フレミングはそうとは知らずに密輸に荷担していて、知ってしまったからミシェルを人質に取られたのかも? 口をつぐみ、協力することを半永久的に誓うために。
 だけど正義の捜査官クリストファー@まぁくんとシンシア@姫花が結婚することがきっかけになり、反旗をひるがえしたとか。「やっぱり悪いことをするのは嫌だ、もう手を切る!」とか?
 
 誘拐されたのは、「真実を公表する」と言ったフレミングを諫めるためとか?
 妻や娘の命が惜しかったら、今まで通り密輸に勤しみなさいと。
 だけどフレミングがうんと言わなかったから、一家三人皆殺しにされたと。

 エドガーに対してのみせしめもあったかもしれない。気の弱い彼はあちこちで怖じ気づいて、優柔不断な態度を取っているんじゃないか。
 フレミング一家を見殺しにしたエドガーも、もう後には引けない。彼が決断しなければいけない、ぐずくずしていると被害が広がる。そーやってずぶすぶと泥沼、青幇の餌食。
 
 ……いやまったく、真実はわかりませんけどね。ひでー話だ、生田くん、もっとちゃんと作劇してよ(笑)。

 
 さて、阿片密輸のロンドン窓口を失ってしまっても、青幇的には問題なくなっていた、ということでしょうね。
 それはトラヴァースの社長が代替わりしたからかな、と想像。
 先代社長、エドガーのパパはやり手だったんじゃないか? もしも誰か演じるなら、はっちさんあたりのイメージで(笑)。星原先輩も可。(だからどこの『アデュー・マルセイユ』……)
 優秀だけど油断ならないパパの時代は青幇もトラヴァースに手を出せなかったが、エドガーなら問題なし、さっさと手なずけちゃった。それならもうフレミングはなくてもいいや、と。
 どんだけ派手に事件を起こしても、中国人が団体で覆面して街を走り回っても(笑)、ロンドン警視庁が味方だ、みんな揉み消してくれる。

 一件落着、あとは追々エドガーも殺して、名実ともにトラヴァースを乗っ取る予定。(by青幇ボス・杜月笙@ふみか)

 ……と、思っていたのに。

 はい、よーやく現在、クリストファーが上海にやってきた。嗅ぎ回られると迷惑。てゆーか、どこまで知ってるんだ? と、杜月笙じきじきに見聞に現れる。

 いやあ、フットワークいいよね、杜月笙。
 エドガーんちのパーティに、いそいそ出かけちゃうし。注目されること、演壇で演説したり拍手されたり好きっぽいし。
 そのへんのかわいさも含め、中国人っぽいなー(笑)。

 や、わたしはボスがクリスに興味持ってるのは劉@だいもん絡みだと思ってるけどねー。
 クリスって「劉が殺せなかった男」だからさー。そこにナニかある、と勝手に思っていても、おかしくない(笑)。

 だってクリスってば別に、優秀でもなんでもないじゃん? 上海へやって来たのも、ただの山勘らしいし。行き当たりばったりだし。
 なんか勝手にみんなしてクリスのこと過大評価し過ぎてないか?

 好色な杜月笙さんは、美女のミシェルに興味大。そのうちエドガー殺してミシェルを手に入れようと思っていた模様。

 エドガー可哀想だなあ、誰も彼もに軽んじられて。クリスと正反対(笑)。

 
 クリスが「上海生まれ」という設定があるのは、「中国語がわかる」必要があるためかなと思う。
 ロンドンでクリスが中国人グループに襲われたとき、彼らの使う言葉がわかる必要があった。
 青幇のみなさんが仲間同士で話すときに、いちいち英語を使ったとは思えない。上海訛りとか、土着民しかわからない言葉で会話していたんじゃないか。イギリス人の捜査官にわかるわけがないと思っているから、あそこで劉の名前を出したんでしょ? わたしだったら中国語で「劉衛強ともあろう者が!」と言われても、ナニが名前でナニが助詞でとか、さっぱりわからない自信あるもん。

 おかげで、上海に降り立ったクリスが、まるきしジェラール@『アデュー・マルセイユ』とかぶるんですけどね(笑)。
 昼間の観光案内からはじまって、夜のマルセイユ……ぢゃない、上海マフィアの話になるあたり、かぶり過ぎててびびるんですけどね(笑)。

 そんなことより、実はわたしとしては、人を襲うときに、わざわざ覆面を取ったりしない青幇さんたちは正しいな、なんて基本事項に感心しちゃってるんですけど、なんとかしてよ(笑)。
 黒尽くめの男たちが主人公を囲んでわらわら襲いかかる、その図にデジャヴありすぎて。つい先日見た図を思い出して。

 かっこつけて、わざわざ覆面を取る男がいたな、と肩を落としてしまうのですよ……(笑)。
 困ったもんだ。
 なんかねえ、『BUND/NEON 上海』を語り出すと止まらなくなるのよ。
 いや、止まらないのははっきり言って妄想が、ですわ。

 こんだけおもしろいと思える作品に出会えるのは久しぶりだ。贔屓も出てないのに(笑)。

 「おもしろい」にもいろいろあって、『BUND/NEON 上海』のおもしろさは、同人誌を作りたい系のおもしろさです。
 その昔、サイトーヨシマサ作のトンデモ物語、『血と砂』で狂ったよーにパロ小説書いた、あのころの血のざわめきを感じますわ……(笑)。

 
 えー、今回はもちろん、劉衛強@だいもん萌えです。

 わたしが受キャラに萌えるのはめずらしい。大抵攻キャラにめろめろになってますから(笑)。
 しかし劉くんてば、エロ垂れ流しの総受キャラだから、わたしの完敗です。彼の虜です。

 腐女子的な話は置いておいて、とにかく劉くん周辺に萌えまくっているので、今回はその話。

 
 テーマは、「シンシアと、劉」。

 闇の汚泥の仲で生きる狼、劉衛強。
 彼は本能的に「光」を欲している。

 本来の彼は、闇より光を正とする人間なんじゃないか。

 演じているだいもんのまっすぐさや強さが、そう思わせるのかもしれないけれど。

 本来の生きる場所とは違うところで、生きるしかなかった悲劇。
 殺し屋なんか向いてないのに、そうすることでしか生きてこられなかった。
 真実の自分を押し殺し、分厚い殻で覆って闘い続ける。ただ、生きるために。

 でも本能は消えない。消せるはずがない。
 彼は光を求めている。

 そして。
 遠い異国、ロンドンで。
 彼は出会ってしまった。

 「光」に。

 シンシア・フレミング@姫花。
 白いドレスの少女。無垢な光、無垢な魂。相愛の婚約者がおり、結婚式を控えている、幸福絶頂の少女を誘拐し、監禁する。

 そう、上海マフィア青幇は、阿片貿易絡みでフレミング一家を誘拐した。

 殺すだけならすぐにできたのに、わざわざ誘拐したのだから、しばらくは生かしてあったのだと思う。

 囚われのシンシアと、犯人一味のリーダー劉。

 ……このふたりに、ナニがあったのか。

 考えるだけで、萌えまくります。

 イメージとしては、ニコラ@らんとむとマチルダ@彩音(by『落陽のパレルモ』)ですな(笑)。

 心を閉ざしている劉に、シンシアはやさしい光を放つ。
 はじめは反射的に反発・拒絶し、だけど抗いがたい力で惹きつけられ、劉の心はシンシアに傾く……。

 別に男と女の感情ではなくて。
 シンシアの持つ光が、劉が焦がれてならない、「彼の本来の場所」を示すんだ。開けてはならない扉、自ら鍵を掛けた真実の劉衛強が、シンシアの光によって現れてしまう。

 人を殺せなくなったのは、シンシアのせいじゃないよ。
 
 劉のカラダを縛るのは、劉自身の心。
 シンシアがナニかしたからではなく、その最期の表情がどうとかでもなく。そんなことは表面的なことでしかなく。

 劉は、気づいてしまったんだ。
 本来の自分は、人なんか殺せないってことに。

 真っ当で、やさしい青年。
 汗を流して労働し、ささやかな日々の糧を得、愛する少女と寄り添い合い、平凡に生きることによろこびと充足を感じることのできる、ふつーの感性を持つふつーの青年。
 光の中で笑って生きる、本来の姿。

 真実の自分を押し殺し、分厚い殻で覆って闘い続けてきた。ただ、生きるために。
 それが、壊れた。
 分厚い殻が破れ、剥き出しの魂が、心が、あえいでいる。
 闇でなんか生きられない、光が欲しいと。

 どちらも、「生きる」ための本能。
 光を求めるのは、生まれ持った本能であり、闇に沈もうとするのは、生きるためにそうするしかないのだという、生存本能。

 そのふたつの本能に引き裂かれ、混乱し、あえぎながら、手を下した。
 劉衛強、最後の殺人。

 彼は自身の手で、「光」を殺した。

 それは同時に。

 自身の手で、「光」を得てしまったんだ。

 シンシアは死に、劉は人を殺せなくなった。
 それは、彼自身が闇オンリーではなくなってしまったということ。本来の彼、光を必要とする彼が表面に出てしまったんだ。

 でも、これでは生きていけない。
 「光」を否定しなければ。元の「闇」に戻らなければ。
 あがき続ける1年間。

 そして。

 ふたたび、彼の前に「光」が現れる。

 クリストファー・ブレナン@まぁくん。

 死の間際に告白していけれど、ほんとのところ劉は気づいていたんじゃないか。

 自分が、クリストファーを待っていたことに。

 最初から、無意識に。

 シンシアを殺したあと、次に殺人の必要があったのは、捜査官クリストファーと対峙したときだ。
 いつものように劉はクリスを殺そうとした。
 が、出来なかった。

 はじめての、失敗。
 自分が変わってしまったことに、そのときはじめて気づいた。

 もう戻れない。
 闇の中には。

 なのに、闇の中にしか、居場所はない。

 滅びるしか、ない。

 自分の翼が蝋だと気づいたイカロスのように。
 墜落しはじめて、ようやく知る。空は、彼の生きられる場所じゃなかった。大地の上こそが、彼の故郷だったのに。

 彼が大地に着くとき、それは彼が死ぬとき。偽物の翼を背に、大地に叩きつけられて、彼は死ぬ。

 わかっていた。
 シンシアに出会い、禁断の扉が開いてしまったときに。

 シンシアを殺し、クリストファーを殺せなかった。
 だから。

 劉は待つんだ。
 クリストファーが、自分を殺すのを。

 光が、彼を溶かすのを。

 
 という。

 劉にとって、「シンシア=クリストファー」であり、『BUND/NEON 上海』は、劉が救われるための物語。

 ぶっちゃけ、劉とクリスの愛の物語でイイと思ってますが(笑)。
 や、愛っつっても腐った意味ではなく。もちろん腐っていてもぜんぜんかまわないが(笑)。

 2幕オープニングの歌で交わるふたり、クリストファーと劉がドラマティックでいいですな。
 ライトが、クリスは赤、劉は青でね。
 ふたりが左右入れ替わったとき、ライトはどうなるのかと思ったら、ご丁寧にライトも切り替わって、やっぱりクリスは赤、劉は青なの(笑)。はいはいはい、こだわりなのね、生田くん、となまぬるく笑った(笑)。

 萌えは止まりません、いろいろと。
 (演目未定)ってナニ?!
2010/01/14

雪組トップスター・水 夏希 退団会見のお知らせ

雪組トップスター・水 夏希が、2010年9月12日の雪組東京宝塚劇場公演(演目未定)の千秋楽をもって退団することとなり、2010年1月15日に記者会見を行います。

なお、会見の模様は当ホームページでもお知らせ致します。


 水しぇん退団の覚悟はあった。
 ナニを知っているわけじゃないが、漠然と今年……2010年だろうなとは思っていた。
 『ソルフェリーノの夜明け』という演目が発表になったときに、2010年退団は仕方ないのかもしれないが、植爺作品退団だけは避けてくれ、つか植爺での退団は誰であってもやめてくれと祈った。
 トップの退団発表があってしかるべき時期を過ぎて、人知れずホッとしたさ。
 そして、じゃあきっとその次だなと思った。2010年の2作目、そこを区切りとしてゆみこちゃんにバトンタッチするんだなと。
 誰に言うこともないが、そうなんだろうとひとり勝手に思って、覚悟していた。や、覚悟決められるほど強くないので、予防線を張って自分を守っていた。きっとあと2作、と。

 それが、まさかのゆみこちゃん退団で。
 そこでアタマがストップしていたので、それよりあとのことは考えていなかった。
 あと2作で水しぇんがいなくなるというのは、考えていたし心の予防線も張っていたけれど、でもどこかで意識からなくなっていた。

 だって、水しぇんが今年辞めるなら、なんでゆみこちゃんが今辞めるのよ?!

 ゆみこちゃんが先に辞めるから、水くんはしばらく辞めないとか、特に考えていたわけじゃない。ほんとに目の前のことしかわかんないので、そこまで考えてなかった。
 アタマの中はゆみこちゃん退団発表と、次いでハマコ退団発表で止まっている。
 ただ、長年のヅカヲタ人生から、人事発表のタイミングを肌で計っている。計算ではなく慣習、癖とか本能の域で。

 だからトップ退団にたどり着くまでの流れ……今までの流れから、「たとえ今年2作目が退団公演であっても、発表はまだ先」だと思っていた。

 まず演目が発表になって、タイトルに別れを象徴するものが入っていて、なにかしらイベントになりそうなスケジュールが組まれて……そういう、一連の流れ。

 根拠があるわけじゃないが、慣習はある、なにごとも。
 そして迷信や慣習には大抵、根っこにはそれらが起こるための理由や原因がある。なんの因果関係もなく発生しない。

 だからこそ。

 (演目未定)って、なんだよ?

 演目未定で退団発表したトップスターなんて、知らない。

 通常ではないことが起こっている。慣習や流れに逆らう事態が起こっている。今の、宝塚歌劇団で。
 ここ20年なかった、2番手退団が起こったように。

 水しぇんがいなくなる、男役の彼に会えなくなる衝撃は大きい。覚悟していても、大きい。
 だけど。

 何故、今発表なの? という衝撃こそが、大きい。(演目未定)なんてイレギュラーなときに。
 
 
 なんつーか。

 わたし、『ソルフェリーノの夜明け』『Carnevale睡夢』は、ゆみこちゃんの退団公演であって欲しかったのよ。
 準トップスターである彩吹真央が退団する公演、であって欲しかった。
 たとえ大劇場だけでも、ゆみこちゃん単体のサヨナラ公演であると思って、観劇したかった。
 や、ハマコ他の退団者もいるけれど、去年の『ラスト プレイ』だってスタークラスの退団者が他にいてもまず「瀬奈じゅんサヨナラ公演」だったわけで。
 ゆみこちゃんを、そういう風に送り出して欲しかったんだ。わたしの勝手な思いだとわかっているけれど。

 ゆみこちゃんのサヨナラ公演であると同時に、水しぇんのプレ・サヨナラ公演になってしまったことが、なんだか寂しい。
 
 てゆーか、同時に組替えでやって来たふたりの卒業がわかったあとで観るわけだから、「水くん時代の雪組のサヨナラ公演」?! 見納めだから目に焼き付けろって?
 

 なんか、もお。
 PC画面に向かってえんえんひとりで吠えちゃったよ。なんで?と。
 罪なく萌えバウ作品に萌えて、アホな感想書いていたのに。モバタカメールで吹っ飛んだよ。で、あとはお決まりの貧血起こして。

 整理がつかないなあ。
 水しぇん、いなくなっちゃうの?
 演目もわからない作品で、別れだけ突きつけられて、覚悟をしろと。
 まっつMS出演キターっ!!
2010/01/15

桜乃彩音 ミュージック・サロン
<タイトル>『Ever green』-春風のように-


<構成・演出>稲葉太地

<出演者>(花組)桜乃彩音
            未涼亜希、望海風斗

<料金>25,000円(税サ込)

 水くん退団発表の陰でひっそり?と、彩音ちゃんミュージックサロン情報も更新されました。

 まっつとだいもんって、当代歌ウマ競演?! と、実にテンションの上がるキャストです。
 水くんとの別れを突きつけられたあとに、いろいろフクザツだったり不安だったりな心境になりつつも、キモチを切り替えていきます。
 観劇に疾走するのがヅカヲタ人生。
 

 わたしは周知のイタいまっつファンであり、今まさに前代未聞のだいもん萌え真っ直中だったりします。

 まっつとだいもんって! ナニそのわたし的垂涎キャスト。
 行く気満々です、がんばってチケ取りします!

 ……といっても、1回が限度ですが。
 だって、お金ナイし。

 3年連続ディナーショー出演って、うれしいけど金かかりすぎです、まつださん。

 2008年がトド様DSで、2009年が本人中心の巴里祭で、2010年が彩音ちゃんMS。……ふつーディナーショー出演って、何年かおき、あるいはジェンヌ人生に1~2回程度のもんぢゃないの? や、主演ぢゃない、脇のキャストだとしても。
 毎年毎年DSって、単価が25000円以上のステージって、びんぼー人にはキツイ……。金の掛かる男に惚れちまったもんだぜ。ふっ。(ナマ舞台を売る以上、ジェンヌはみんな金の掛かる存在ですってば・笑)

 彩音ちゃんはお歌はともかく(笑)、華やかに美しいトップスターさん。その最初で最後の主演ステージを楽しみたいと思います。

 タカラヅカは男役至上主義世界。
 だからこそ、娘役が主役を張れるほぼ唯一のステージが、退団イベント。
 芝居がいちばん好きなわたしとしては、グンちゃんのようにバウ公演をやってほしいと思う。
 彩音ちゃん主演でバウでお芝居書いていいって言われたら、わたしならすごくいろいろ楽しんで企画するけどなあ。
 彼女の持つ包容力とピュアさ、そして、魔性……。正反対のうつくしさを持つスターだもの。
 お芝居が観られないのは残念。
 けれど、昔と違って今のスケジュールでは絶対無理。MSがやっと……MSだってかなりタイトな日程。

 ヅカの「娘役」っていうのは、性別女なだけでは務まらない、特別な技術。その集大成として、主演のステージがあるのは救い。お稽古とか大変だろうけど、健康に気を付けて満喫して欲しいよ、彩音ちゃん。

 や、他のトップ娘役さんのMSだって行ってみたかったけれど。娘役さんの場合、チケット事情もアレだからお金さえあれば参加することは可能なはずなんだが、なにしろびんぼー過ぎて。清水の舞台から飛び降りるきっかけがないと、実際にホテルの宴会場までは駆けつけられません。みんなびんぼーが悪いんや。
 ご贔屓出演をきっかけに、ぺちゃんこの財布からなんとか25000円捻出したいと思います。

 それにしても、演出がイシダせんせじゃなくてよかった……(笑)。今やってる公演がイシダせんせだから、そのまま引き継いじゃったらどうしようかと思った。公演やりながらMSの企画も平行して煮詰めて……とかの作業ができるから、と。

 稲葉せんせといえば、『Appartement Cinema』。彩音ちゃんのトップ娘役プレお披露目公演の演出家だね。でもっていなばっちもコレでデビューじゃなかった?

 思い入れのあるモノ同士で作るステージを、心から楽しみにしているよ。
 で、ただ今前代未聞史上最大のだいもん萌えしているわけですが。

 『BUND/NEON 上海』の謎は解けないばかりか、放置されている気もします。なにしろバウ公演、基本キャストのファン以外観ないわけで、リピート客>新規客だから、新たに疑問を発する人が日を経るにつれて減るという図。

 わかんないまま、勝手に妄想。記憶の断片つなげあわせて、勝手に読み解き。

 青幇の方々の人間関係についてです。

 ボスの杜月笙@ふみか。で、劉衛強@だいもんはその片腕、であるらしい。1年前のロンドン工作以前は、ふつーにばんばん人を殺す、イケてるマフィアだったらしい。

 で、他の青幇さんたち。幹部の張嘯林さん@まりんは別として、実戦部隊である劉に近いところの男たちです、気になるのは。

 陸桂才@瀬戸くん、万墨林@輝良まさと、高懐礼@真輝くん。
 輝良まさとのみフルネーム呼び捨てなのは当ブログの仕様です。輝良まさとは輝良まさとなのっ(笑)。

 この中で、劉と仲良しは、陸くんと高くんでヨシ?

 高くんは最初いきなり出てきて殺される頬に傷のある男の子……ゲフンゲフン、男、よね?
 台詞からして、高くんと劉くんは、かなり親密な関係だったと思えるのですが、違いますか?

 ちっさい裏切り者ひとり粛清する程度なら、なにも片腕の劉を差し向ける必要はない。が、ドSの杜月笙はわざわざ劉に高を追わせた……それはもともとふたりが親友だから。
 高くんが自嘲気味にそのような台詞を言いますよね。

 1年前のロンドンでも、この高くんがどーやらヘタ打ってクリストファー@まぁくんに捕まってもつれているところを、劉が助けに行ってるわけだし。

 高くんって、ダメっこ?
 顔に傷があるのも、武闘派だからじゃなくて、ヘタレだから?

 マフィアとしては役に立たないダメっこの上、故郷の父親が病気、とかゆーステキにありがちな理由で金になびき、組織を裏切った、という。
 どんだけ心弱いんや。

 こんなダメダメ過ぎる男と、何故かエリート・マフィア街道ぶっちぎりの劉が仲良し。
 不思議だなー。

 やっぱナニか、ハードボイルドな劉からすれば、アホの子の方が、心安らげたのかな。

 裏切り者の高くんを殺せなかった、ことで、「劉は1年前のロンドン以降、人を殺せなくなった」と表現しているわけだが、それなら高くんと親友設定は不要だと思うのよ。
 シンシア@姫花の呪いで人を殺せない、というより、親友だから殺せなかった、てなふーに見える。

 高くんに、劉と親密だったみたいな台詞言わせなきゃいいのに。や、男子の好きな定番展開だとは思うけど、「よりによってお前が追っ手か。……ふっ、味な計らいだな」つーのは。
 生田くんが男子的な萌えハートゆえにハァハァ言いながら書いた脚本だとは思うけど、その男子的萌えがあちこち笑いツボにハマるんだなこれが(笑)。

 で、男が男に萌えて書いた話ってのは、腐女子的に実に美味なので、素直にがっつりいただきます(笑)。

 劉にとっての聖域は幼なじみの恋人・孫香雪@ゆまちゃん。チャイナドレスがまぶしい美少女。劉がどんだけ汚れても、変わることなく臆することなく、彼だけを愛する少女。
 表社会での癒しは彼女で、裏社会……野郎ばっかで殺すの戦うのとゆーてる社会においての癒しは、高くんだった、と。
 高くんはよわっちいし、おつむもちょっと花畑風味だけど、劉になついていてかわいい相棒だったと。

 高くんを殺さなかったことで、劉は杜月笙に責められるわけだが、「自分はどうなってもいい」と膝を付いて身を投げ出すところが、その後香雪の命乞いをするときとほぼ同じなんだよね。

 劉にとって、香雪と高は同じ扱いなのか?! と思って、びびりました(笑)。

 愛されてるなあ、高くん。
 劉みたいないい男に命懸けで愛され、守られてるっつーのに、よりによって森下@まゆくんごときにたぶらかされるつーのがもお……どんだけアホアホなん、つーか(笑)。

 まあ、そーゆーヘタレワンコなところが、劉の保護欲を誘ったのかもな。香雪にしろ高にしろ、「オレが守ってあげなきゃ!」なタイプが劉の好みみたいだし。

  
 で。

 そのどーしよーもない高くんに対し。
 もうひとりの仲良し、陸くんは、どーやら優秀なマフィアみたいです。

 1年前は劉たちと一緒にロンドン、そして現在も劉と一緒にGOGOマフィア生活エンジョイ。
 「めんどーなときは殺せ」という青幇の組カラーに忠実な、良いマフィアさん。彼の欠点は、帽子を深く被りすぎて、顔がほとんど見えないところ(笑)。
 体格がいいんで、顔見えなくても十分かっこいいんだけど、表情すらほとんど見えないっつーのは、やりすぎじゃないのか瀬戸くん。それとも演出家指示?

 陸くんがまた、ステキに劉ダイスキで。

 高くんを殺せない!と苦渋の決断をする劉に対し、「お前がそう言うなら」と身を引き、ロンドンにてクリスを殺せない!と苦悩する劉に対し「どーしたんだ、劉衛強ともあろう者が!」とファントーク、香雪人質に取られてぶち切れた劉が戦闘モードに入ると「お前がやるなら!」と一緒に虐殺暴走。

 ナニこの愉快な人(笑)。

 ことさら仲良し場面がないだけに、いちいち劉に夢中な言動を取られるとツボります(笑)。

 ハードにクールに情け無用に生きてるっぽいのに、よく聞くと劉のことすごく尊敬してるってゆーか一目置いてるのね。
 でも劉の部下ってわけじゃなく、対等っぽいというかえらそーにしているというか。
 こじろーとわかしまづ的といいますか、対等な友人関係で普段はぞんざいだけど、実は片方が片方を内心崇めている感じってゆーか。

 ぶっちゃけ、萌えです。

 萌えだけで構成されたこの『BUND/NEON 上海』で、いちばん萌えな関係が、ココだ。なにかと派手派手なこの『BUND/NEON 上海』で、よりによって、こんな地味なところ(笑)。

 で、エドガー@よっちの屋敷でパーティのとき、芳玉蘭@じゅりあに袖にされてなんかモメてるのも陸くんだと思って、どんな人間関係が?!とわくわくしてたんですが、あそこって別人なの?

 
 陸くんがクールぶりながら実は劉萌え(萌え言うな)な人だというのは、もうひとりのクールなマフィア・万くんの存在ゆえでもある。
 同じよーな立場の男に思える、陸と万。
 でも、万はすっきりはっきり杜月笙寄りで、劉に同情的だったりしないんだよなー。
 万が揺るがない分、余計に陸が「そうか、そんなに劉が好きか(笑)」と思えてステキ。

 
 とまあ、勝手に盛り上がっています。

 上海黒社会のアイドル・劉をめぐる男たちの物語。
 劉衛強@だいもん萌えゆえ、彼の周辺を妄想語りし続けておりますが。

 ついに大本命(笑)、杜月笙サマ語り行きます。

 つーことで、今回は腐女子モード全開です。解禁です。だもんでそっちダメな人はトバしてくださいませ。

 『BUND/NEON 上海』の最強(笑)キャラ、杜月笙@ふみか。
 森下@まゆくんごときに緊縛プレイされちゃってそれっきり出てこないけど、森下はアレ、三日天下でしょ、本人も言ってる通り。上海事変と絡んでいるにしろ、森下自身はあっけなくあぼーんしてそうだ。
 杜月笙サマはその後も揺るがずゴーマン俺様ドS様で、中国社会に君臨し続けたわけだし。

 杜月笙サマが最強キャラなのは間違いない。

 そのヅカ史上稀な究極悪役キャラ杜月笙の、片腕と称される男・劉。
 そう言われてはいるけど、立場の弱さからして、ただのボディガードにしか過ぎないと思うんだけど(笑)。

 劉は幼い頃から青幇にいて、組織の中で育ったらしい。それゆえにボス杜月笙やその妻・沈素娥@もえりが「親代わり」にあたる。
 劉を育てたのは組織であって、杜月笙や沈素娥とかがほんとになにかしら世話を焼いて劉を養育したとは思えない。
 組織に放り込まれたガキが勝手に育ったんでしょう。ふつーのガキなら駆逐されて残ってないけれど、劉は努力と才能で自ら成長した、と。
 
 ある程度育ち、組織に有益な存在であるとわかってからじゃないのか、杜月笙に目を掛けられたのは。

 ナニが言いたいかというと、杜月笙は、劉に手を出していないとゆーことですわ(笑)。

 彼はディノ・ゴルツィネ@『BANANA FISH』とはチガウ、とゆーことです。
 お稚児趣味なんぞナイっ。(断言)

 杜月笙サマにあるのは、ドSな変態ハァトだけだっ。(断言)

 彼が好きなのは、陵辱、征服。
 なにもわかっていない無力な子どもなんぞ犯しても愉しめない。
 確固たる自我と立場を持った、誇り高い大人の男を踏みにじってこそでしょう。

 ふつーに女好きなので、ミシェル@れみちゃんに舌なめずりしたり、香雪@ゆまちゃんをアレしたりしている杜月笙サマ。
 劉のことも、別にそっち方面で見たことはなかった。

 が。
 自分の妻が、「息子同然」にかわいがっている劉を、そっち方面でかわいがっているとわかったときから、豹変。

 「自分のモノが損なわれるのは我慢できない」杜月笙サマですから。
 お気に入りの劉が自分の妻に手を出し(つーか出され)ていたことが許せない。

 杜月笙サマの中の人、ふみか様が自身のお茶会で「いちばん愛しているのはだいもん」と言い切ったそうですな。複数のタレコミいただいてます(笑)。
 浮気している妻は言い訳もさせず即切り捨てたのに、劉には挽回のチャンスを与えているのは、そのためだと。

 劉はふつーの男で、どんだけ彼が色男で総受オーラゆんゆんで男たちのアイドルだったにしろ、誰にも手は出されてなかったと思うのよ。
 いちばん強かったから単純に誰も押し倒せなかっただけっつーのもあるし(笑)、また高嶺の花として遠巻きに憧れられていたのもあると思う。
 だから彼は一途に香雪を愛していられた。
 彼は殺し屋だし、マダムのツバメ強要されてたりで汚れきってるんだけど、でもそれは「オス」としての矜持は保っていられるヨゴレ方だから。

 その最後の一線を、杜月笙サマが軽々奪っていく、と。

 香雪を人質に取り、クリストファー@まぁくん抹殺を命令して。
 跪いて慈悲を請う劉の指を踏んづけて。

 そして。

 そっからだと思う。
 「オス」としての本能や誇りすら、全部奪う。

 劉にはナニもなく、すべてが杜月笙の「モノ」であると。

 沈素娥だとか香雪だとかが「汚した」劉のカラダを、杜月笙サマが自分の色に塗り替えていくのだと。

 香雪の目の前だとか、他の青幇部下たちに手伝わせたりとか、とにかく「ここまでやるか!」な最悪残酷な振る舞いをして。

 劉の心を、壊したんだと思う。

 自分のモノのはずが、自由意志を持っていた。
 まったくの人形に興味はないくせに、意志を持つと逆鱗に触れる。矛盾が暴君を作り上げる。

 自由な心を持っていた? 誰かを愛したり、抱いたりしていた?
 それを許せないと思うから、それを壊す。もう二度と、誰も愛せないように。誰も抱けないように。

 タノシイのは、陵辱、征服。
 肉体的な欲望よりは、精神の欲望。

 肉体を陵辱することで、魂を貪り尽くす。

 ビバ、ドS様、ビバ、杜月笙サマ。

 その直後の劉くんは、香雪のことすらどーでもよさげな、まさに狂気の眼をしていて。
 荒みきっていて。

 内側から壊れている姿が、凄惨で。

 あのコワレまくった劉こそが、杜月笙の劉。彼が望んだ姿。

 ……とゆー、マフィア物BL的見解です(笑)。
 ヤクザ系っつーのは、BLの中では1ジャンルを為す萌えファクタですからなあ。

 劉は死ぬしかなかったんだよ。彼はもう、香雪を抱くことはできなかったから。
 たったひとつの愛すら、失ったから。

 しかし、リチャード@さおたさんごときを相手に死なないで欲しかったわ。
 マフィアBLの王道で行くなら、劉は杜月笙に殺されなきゃ!!

 森下の出番は間違ってると思うの。
 劉VS杜月笙で、劉が杜月笙の手で殺されてから、森下が出てくるべきだと思うなー。
 それゆえにクリスたちは無事に大世界から脱出できる、と。

 で、わたし的にはこの物語の裏側……つーか、横で、劉を愛している陸@瀬戸くんの葛藤を入れる、と(笑)。
 攻キャラスキーなので、杜月笙サマと陸くんにめいっぱい思い入れて書きますよ、同人誌なら(笑)。
 陸くんはプラトニックでヨロシク。いちばん近くにいて、いつでも手を出せたのに、出せていないところが彼の萌えです。
 そしてシンシア=クリスってことで、このへんは劉の思い込みでどんどん神聖化されていき、最期はクリスの周囲に天使が見える勢いで。……ほんとに、二次創作で1本長編書けますな。

 あああ、ほんっとに、楽しすぎるわ、『BUND/NEON 上海』。
 いろいろとヘトヘトなんだが、老体にムチ打って、バウホールへ行った。

 朝、大阪に着き、しかも仕事があったりしたんだが、それでも時間を捻出して駆けつけた。

 『BUND/NEON 上海』千秋楽。

 ヅカファンなら、行くしかない。

 そう思ったんだ。

 『BUND/NEON 上海』は出来の良い作品じゃない。ツッコミどころは満載……とゆーか、グダグダにぶっ壊れた脚本(笑)。別に、感動作品ってわけでもない。
 涙腺の弱さには自信のあるわたしが、まったく泣けないし。

 でもコレ、おもしろいんだわ。

 ツッコミも含めて、おもしろくてしょーがない。
 観ていて、わくわくする。

 ……前日欄に腐った感想を書いているが、それはわたしの中のごく一部、大部分のわたしは純粋に観劇しているのよ、と言ってみる(笑)。

 腐女子萌えはともかくとして、わたしがタカラヅカに求めるモノはナニかって考えたの。

 タカラヅカにはいろんな魅力がある。そして、人の好みは千差万別、ヅカに求めるモノも、人の数だけあるだろう。

 他の人はわかんないが、わたしがヅカに求めるモノは、異世界に連れて行ってくれる、おもしろさなんだと思う。

 観ている間だけ、別の世界に夢中になれる。
 アニメとかゲームとかに通じる……というか、わたし的には同一線上にある、たのしさ。
 問答無用でわくわく出来て、そしてさらに、キャラ萌えして二次創作できる系のたのしさ。
 触発されて、「わたしもなにか書きたい、創作したい!」と思わせてくれるよーな。

 なんかのためになるとか賢くなるとか、生き方が変わるとか、世のため人のためになるとか、そんなことぜんっぜんないけど、とにかくたのしい。
 2時間現実を忘れ、理屈を忘れ、ファンタジーに酔える。

 ソレが、わたしが「タカラヅカ」に求めているモノだ。

 『BUND/NEON 上海』には、ソレがある。

 けっこーいろいろとギリギリで、それでも行くかどうか迷ったときに、思ったんだ。
 わたしにとって「タカラヅカ」ってなに。
 なんでそもそもわたし、ヅカファンやってんだろう。

 萌えるからじゃん。

 萌え、なんて言葉や概念がなかったころから。
 それゆえにわたしは劇場へ通った。

 それなら、近年いちばんの萌え作品、『BUND/NEON 上海』を見納めないでどうする!
 ナマで観て、感じて、五感で味わって、細胞に叩き込まなきゃダメだろ、こあら。
 名作ぢゃないから(笑)、絶対再演されないし!

 ああそうか、わたし、タカラヅカが好きなんだよなあ。
 ただもおたんに、舞台の上がたのしいから、好きなんだ。

 ご贔屓が出来て、他にも大好きなジェンヌさんがたくさんいて、人事とか人事とか人事とか(笑)、納得できないことや悲しいことがいろいろあっても。

 よーするに、「舞台」が好きなんだ。

 ご贔屓が出てなくても、好きなんだ。

 だって、たのしいから。
 わくわくするから。
 子どものころ、アニメを見てわくわくしていた、たのしんでいた、あのころのままに。
 もう大人だから、色恋その他、ねっとり濃い系が好きだけど(笑)。

 タカラヅカを好きなら、『BUND/NEON 上海』は見なきゃダメだろ、と思った。
 こんなタノシイ作品、また数年はめぐり会えない可能性が高いんだから。

 だから、無理をしてでも行ったんだ、千秋楽。

 チケットはサバキでGET。ムラはいいとこだ、行けばなんとかなるんだから(笑)。

 そーやって、観劇して。

 思った通り、たのしかった。

 男役が格好良くて、娘役がきれいで可愛くて。
 なんでそーなんのかさっぱりわかんないけど(笑)、最後はハッピーエンドで主人公とヒロインが清々しく笑顔で旅立っていくし。
 フィナーレのミニ・ショー付いてるし。
 明るく楽しいパレードで、発散して終わるし。

 コワレていたって、おもしろい。わけわかんなくっても、キャラクタが魅力的。

 だいもんすげー、まぁくんぴかーっ、れみちゃんきれー。
 ふみかノリノリ、スミレコード、スミレコード!(笑)
 ゆまちゃんかわいい、姫花天使、いまっちかわい~~、圭子ねーさまステキ、さおたさん変態でカッコイイ(笑)。
 じゅりあこわいよこわいよかっこいいよ、まりんうまいし実は彼が「月笙」って呼ぶのも萌えだ(笑)、しゅん様二枚目、よっちかわいいよよっち、萌子エロかっこいー、瀬戸くんの肩のライン好きだー、まゆくんの芸風って後ろから膝かっくんしてぇ(笑)、力仕事まかせろ銀華くん力持ち! みちるタンGOGO!

 ああ、タカラヅカって、コレだよな。

 小難しいことも説教も啓蒙もなく、ただ単純にシンプルに、わくわくさせる。

 キレイで萌えがあって、キャストをさらに好きになる。

 観終わったあとに、もう1回観たいと思わせる。

 タカラヅカにはいろいろあれど。

 コレも、タカラヅカだ。

 名作だから好きになるわけじゃない。大作だから感動するわけじゃない。
 ただ「楽しい」ってだけで、ぜんぜんOKだ。

 そして、『BUND/NEON 上海』は、たのしかった。
 何十回リピートして楽しいかどうかは知らないが(笑)、時間見つけて気軽に通うには、十分だ。

 千秋楽、カーテンコールのあと、フィナーレの最後の歌とダンスがもう一度あった。
 役を引きずらないこのフィナーレが好きだ。
 だいもんがにかーっぱかーっといつものだいもんに戻り、劉の面影皆無になっているところがイイ。だいもん、いつもながら顔芸やりすぎだから!!(笑)
 ふみかのかっこつけた笑顔、れみちゃんの全面の笑顔。
 黒かったり悲しかったりするキャラを演じていた人たちが、すべて一気にリセットして、きらきらきらきら笑って終わるのがイイ。

 キモチイイ。

 最後、作者の生田くんまで登場して(モヤシ系ヲタク青年に見えました……・笑)、すげーお祭りムード。
 ジェンヌたちと同世代の若い男の子なんだもんなー、そりゃ同志として舞台に引っ張り出したくもなるか。

 や、たのしかったよ、ありがとう。
 行って良かったよ。出会えて良かったよ。

 タカラヅカってやっぱ、おもしろいよ。
 (仮題)ってナニ?!

2010/01/19

2010年 公演ラインアップ【宝塚大劇場、東京宝塚劇場】
<5~8月・宙組『TRAFALGAR』『ファンキー・サンシャイン』/6~9月・雪組『ロジェ』(仮題)『ロック・オン!』>


雪組

ミュージカル
『ロジェ』(仮題)
作・演出/正塚晴彦

国際的な捜査機関に所属するロジェとヒロインは、事件に巻き込まれて大切な人を失った心の痛みを持つ。寡黙で冷徹なまでに捜査を進めるロジェ。偶然に出会った二人は、同じような境遇に親しみを覚え束の間の安らぎの時間を持つようになる。心を通わせながらも運命の糸に操られ予期せぬ事件に巻き込まれ翻弄されていく男と女……。この公演で宝塚歌劇団を退団する雪組トップスター・水夏希の男役生活18年間の集大成を飾るに相応しい、正塚晴彦による哀愁漂うオリジナル作品。

ショー
『ロック・オン!』

作・演出/三木章雄

“Rock on!”―気持ちを込めて観客の心を揺さぶり続けたいというメッセージを込めたショー作品。これまで舞台から観客の心を揺さぶり続けてきた水夏希が、最後のステージでも全力を尽くして取り組む姿そのものが、作品のテーマでもある。水夏希が“Lock on”(絶えず追い続ける)していた夢、宝塚歌劇でしか実現しない夢の世界を、シャープにまたゴージャスにお届けします。

 ……演目未定で退団会見やった数日後に演目が出るとは思ってませんでした。
 そして、出た演目が、「演目発表」にもなっていない、企画段階の状態で、さらに驚きました。

 でも、ほっとした。

 演目未定だから、どんなことになるのかさっぱりわからなくて、それこそ『ベルばら』だったらどうしようとか、持ち味無視の大作再演とか、わたしの苦手な版権だけ高そうな鳴り物入り海外ミュージカルだったらどうしようとか、キモチの持って行きようがなかったのだけど、水しぇんのためのオリジナルを、座付き作家が書き下ろすのだとわかって、胸をなで下ろしました。

 キモチの着地点が出来たというか。
 あとは作品の出来についてのみ、やきもきしていればイイというか。

 どんな作品になるのかさっぱりわかんないけれど、マサツカせんせお願いします、シリアスと見せかけて、実はコメディは、もう勘弁してくださいね。頼みます。
 『愛短』『薔薇雨』『ラスプレ』と、正塚せんせ同じテイストでサヨナラ公演書いてるよね? 『マリポサ』は失敗作(DCなら佳作、でも大劇場作品としては……笑)だと思うけど、好きだったのでそっち系でお願いします……。

 てゆーか、正塚せんせがもっと早く原稿上げてくれていたら、「演目未定の退団発表」なんてせずにすんだのかな。
 劇団のすることはよくわからない。
 

 三木せんせはわたし的に特に問題ないヒトなので、「宝塚歌劇でしか実現しない夢の世界」を見せてくれることを、素直に期待します。

 
 でも、改めて「演目解説」として文字にすると、クるものがあるな。
 「最後のステージ」かぁ。「男役生活18年間の集大成」かぁ。

 別れのときが近づいている……。
 て、考えるとすごくドキドキする。なんか、焦燥感にかられる。ナニも出来ないのに。

 水くんには全面の信頼を置いているので、絶対にすばらしい姿を見せてくれると、なんの心配もなく思っている。
 構成・演出面でも、良い作品になりますように。

 
宙組

グラン・ステージ
『TRAFALGAR(トラファルガー)』
-ネルソン、その愛と奇跡-

作・演出/齋藤吉正

イギリスの国民的英雄ホレイショ・ネルソン海軍提督の半生を描いたミュージカル。18世紀半ば、「海を制するものは世界を制す」の言葉通り、フランス、スペインといった大国が制海権を掌握していた頃。ホレイショ・ネルソンは軍人である伯父の影響を受けイギリス海軍に入隊し、頭角を現していく。愛国心と野望に溢れ、数々の武勲をあげ艦長にまで昇格したネルソンは、彼の支援者の娘フランシス・ニズベッドと結婚する。そんな時、ネルソンは、在ナポリ英国大使ウィリアム・ハミルトン卿のパーティで、彼の妻エミリィ・ハミルトン(通称エマ)と出会う。妻子との関係に亀裂が生じ始めていたネルソンと、金で買われた結婚に嫌気がさしていた美貌のエマ。二人は逢瀬を重ね、共に惹かれあうようになる。そのスキャンダルが周知のものとなっていくのに時間はかからなかった。ウィリアムのネルソンへの信頼と友情は、怒りと嫉妬心へと変わり、ネルソンは次々と危険な戦地への派遣を命じられることになる。やがて、小国イギリスの命運を担い出撃するネルソンの行く手には、宿敵フランスの軍神、ナポレオン・ボナパルトが立ち塞がる……。

グランド・ショー
『ファンキー・サンシャイン』

作・演出/石田昌也

生命、エネルギーの根源である「太陽」をテーマにしたショー。サンビーム、夜明け、プリズム、コロナ、日食、黒点、太陽神、虹、白日夢……など、太陽からイメージされる言葉、生活、文化、ファッションを多角的な視点から捉えた作品。

 ゆーひ×サイトー、キターーっ!!

 サイトーくん、長い片思いだったね、よーやくゆーひくんだね! と、仲間内で喜びの声が挙がる(笑)。
 サイトーくんというとトウコちゃん、のイメージ強いけど、ゆーひくんへのコールが強かったことも、よく耳にしていただけに……ああ、ようやく! ついに! というキモチ。

 たのしみだなー、サイトーくんの大劇場新作。
 しかもまた派手派手なコスプレ物。セリ・盆・銀橋、大劇場全部使ってめちゃくちゃ派手に盛り上げてほしー。

 ……イシダせんせはわたしの鬼門なので、そっちはまぁ、逆ツボがナイことだけを祈ってます(笑)。
 本公演を観たとき、オープニングで笑いツボ入った部分がある。

 舞台にいつまでたっても誰も出てこなくて、えんえんえんえん、主役ひとりが歌い踊っていたこと。

 なんだコレ。すげーオープニングだなー。
 ダンサーで、かつ歌えるトップスター、柚希礼音だからこそなんとかなってるっつーか。
 や、オープニングくらいみんなに出番あげようよ、景子タン。

 と、思って観ていた。

 で、さらに思ったさ。

 コレ、新公大変ぢゃないか?

 うん。
 すごーく、大変だった(笑)。

 星組新人公演『ハプスブルクの宝剣』観劇。

 たとえば、新公独り占めで4回も5回も主演したれおんくんが、その4回目や5回目でやるんなら、どーってことなかったと思うよ?
 そこまでいかなくても、ずっと路線扱いされて新公や別ハコ公演で1場面芯をもらっていたり、本公演でも抜擢されてオイシイ扱い受けて育った人なら。

 でもなあ、みやるり、そうじゃないし。

 本公演ではもちろんぜんぜん役付かないし、新公その他でも路線扱いなかなかしてもらえてなかったし。
 最近よーやく、役付き上がってきたけど。
 前回の公演なんか、本公演・新公共に女役だし。

 路線寄り、というポジショニングで下級生時代を過ごし、最後の最後に新公主演をGETした苦労人に、いきなりこのオープニングはナイだろ(笑)。

 いやあ、大変でした。
 なんにもナイ舞台で、たったひとりで歌い踊って、舞台を埋めるの。

 歌も佇まいも、そりゃーもー大変!!なことになってました(笑)。

 手に汗握った、そして笑った。
 や、ごめん、バカにするとかじゃなくて、孤軍奮闘している様が愛しくてな。

 すげーがんばってる、空回りまくって、つついただけで倒れちゃいそうだけど、みやるり、すげーがんばってるよー!

 見えてくるのは、闘志。

 出来ていようといまいと、空回りだろうとなんだろうと。
 みやるりは、負けていない。
 いや、負けるという選択肢が彼には最初からナイ。

 立つ。
 進む。
 勝つ。

 それしか、彼のアタマにはないんだ。

 それが、すごーくよくわかる、超アグレッシヴな姿。

 ……うん、逃げ道なんか、どこにもないもの。
 それが、大劇場の真ん中に立つということ。

 選ばれたる者の壮絶な覚悟を漂わせて、みやるりが戦っていた。
 あの広大な舞台で。

 ああだから、新人公演ってのはたのしいんだ。
 愛しいんだ。

 芸だけ観るなら、出来上がった舞台をたのしみたいのなら、本公演がいいに決まっている。
 だけどソレだけじゃない、「与えられる」だけの楽しさではない、こちらから「働きかける」ことで得られる感動が、新公にはある。
 タカラジェンヌと宝塚歌劇団という、特殊なカンパニーを理解し、予備知識を得た上で楽しむということ。
 成長過程である若者が、そのすべてを懸けて「より高みに」挑戦する姿をたのしむこと。
 感動、すること。

 ライトにも楽しめるし、ディープなヲタも楽しめる、懐の広さがあるんだ、タカラヅカには。

 だからこそ、1世紀近く続いてきたんだろう。

 
 とゆーことで、みやるり主演の新公『ハプスブルクの宝剣』、すげー楽しかったっす(笑)。

 まず、開幕アナウンスから、力入りまくってて、ウケた(笑)。

 ナニあの低音っ。
 や、もともとみやるりは少女マンガな甘い顔立ちに「詐欺だ!」ってくらい、ドスコイ低音の持ち主ですが。
 その深みのある男役声で、めっさ入り込んだ、陶酔した調子でアナウンスしてるのよ。
 録音からコレって、どんだけ本気なんだ、美弥るりか!! と、人知れずウケる。

 幕が上がったら上がったで、オープニングはアレだし。
 この作品でもっとも難しい部分が最初に来ちゃってるし。ありゃビギナーには酷だわ~~。

 お化粧もすげーがんばっていて、オンナノコっぽい素顔をダークにキメようと試行錯誤したのか、なんかエライコトになってるし。
 ちょっとちょっと、どーしちゃったの? なんか描きすぎてないか、その顔? せっかくの美人が行き過ぎてファニーテイストよ?
 ただでさえパーツがでかいのに、そんなに力入れて描き込んじゃうと……。

 最初どーなることかとびびった研7、最後にして初主演のエリヤーフー@みやるり。
 オープニングの空回りを経て、どんどん、エンジン掛かっていった。

 変わりはじめる。
 舞台の上で。

 ああ、舞台ってほんと、イキモノなんだ。
 ナニか目に見えない精霊がいて、それを捉えた役者は別の呼吸をはじめるんだ……。

 決闘あたりから、みやるりはどーんと大きくなった。

 あ、主役だ。
 この子が、主役だ。
 この舞台、この物語。
 この子が空気を動かし、物語を動かしていくんだ。

 それを、すとんと納得した。

 あとはもお、怒濤の如く。

 エリヤーフー@みやるりは、とてもあざやかだ。

 その心の変化。悩み、つまずき、闇の葛藤とそれを突き抜けた光。

 王者れおんが最初から最後まで骨太で挫折感が薄いことと対照的に。ひとりの男の人生が、やたらめったらメリハリついて語られる。

 クライマックス、泣いちゃったんですが。
 自分でもびびった。

 思いもかけないカタルシス。
 ドイツ語版聖典抱きしめて歌う姿に、涙腺決壊。

 その後、約束の橋の上でアーデルハイト@わかばちゃんと再会するところでもボロボロ泣けた。

 や、わたしだけでなく友人も泣いたと言っていたし、なにより、わたしの隣の人! ぜんぜん知らない人だが、しゃくりあげる勢いで泣いていて、ちとびびった。や、わたしも泣いてるから人のことは言えないが、それにしても泣きすぎだろうと(笑)。
 そんだけ大泣きしていたのに、気が付いたらいなくなっていて、さらにびびった。……劇場の妖精さん? ほんとにいたよね、隣で泣いてたよね?(所詮立見ですから!)

 あー、よかったわ、新公。
 堪能した。

 でもってわたし、みやるりのあのでかい目とでかい鼻が好きだなー、と、しみじみ思った。
 そして、あの低い声が大好物だ。

 新公初主演、オメデトウ。

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