正塚晴彦最新作、『マジシャンの憂鬱』

 荒唐無稽でツッコミどころ満載。どーした正塚、どっかで転んでアタマでも打った?
 と、ストーリーから設定から、えらいことになっているんですが。

 
 透視ができるっつーんで一躍大スターとなったマジシャン、シャンドール@あさこの元へ、極秘に皇太子ボルディジャール@きりやんから依頼が入った。3年前に事故死した皇太子妃マレーク@あいあいの事故の真相を透視して欲しい、と。皇太子は暗殺ではないかと疑っているのだ。
 透視とはいっても、シャンドールが本当に超能力者なわけもなく、仲間たちの調査・工作によってあたかも透視をしているかのように見せていただけのこと。こんな大きな事件に巻き込まれるのは計算外。
 てきとーに「事故死です」とでたらめを言って終了させようとしたのに、シャンドールが何者かに狙撃された。シャンドールに真実を透視されると困る人間の仕業らしい。
 つまり皇太子妃の死は事故ではないということだ。そして犯人はシャンドールを本気で超能力者だと思い、命を狙っている。
 シャンドールを狙撃から守ったのは皇太子妃の忠実な侍女(兼ボディガード)ヴェロニカ@かなみだ。彼女は「命がけで守ります」との言葉通りに、シャンドールのそばに付き従う。
 皇太子妃暗殺の真相は? そして徐々に心が近づいていくシャンドールとヴェロニカの関係は……?
 

 とにかく「動」部分の本筋となる皇太子妃暗殺事件がめちゃくちゃ過ぎてびびる(笑)。
 あー、ネタバレなんで、ヤな人は本日の日記は読まず、まるっとトバしてくれ。

 この「動」部分において。
 犯人がいったいナニをしたかったのかが、いちばんのミステリだ。
 マジわからないっす。

 えー、皇太子と妃は、王制廃止論者だった、と。
 そーなると現在の政府で甘い汁を吸っている人たちが危機感を持つ。さすがに皇太子に手は出せないが、よそ者の妃ならいいや、暗殺してしまえ。
 妃にベタ惚れの皇太子は、妃を失えば何もできなくなるだろう。
 んな情の問題ではなくもっとビジネスライクに考えるならば、仕事の相棒を失うことによって、彼らのプロジェクトは痛手を受け、頓挫することだろう、とか?

 まあ、ここまではわかる。
 実際パッショネイト皇太子は妻を失ってから3年も、ただふやけていたらしい。
 亡き妻のために目的に向かってエンジンかけりゃーいいのに、なにもせずにいたっぽい。ダメダメだな皇太子。
 この現実を見れば、犯人の目論見は正しかったことになる。

 問題は、何故皇太子妃を生かしておいたのか、だ。

 3年ですよ、3年。
 地下墓地で老婆が匿っていた、って、そんな馬鹿な。

 シャンドールたちは「人質か」で納得していたけれど、なんのための人質?
 皇太子が王制を廃止しようと動き出したら、脅迫するの? 妻の命が惜しかったら余計なことはするな、とか?
 妃の事故をこれ以上調べるな、とか、とにかくなにか都合の悪いことを皇太子がしようとしたら、脅迫するの?
 で、ソレいつまで効力があるの?
 1回2回は皇太子も言うことを聞くかもしれないが、彼が生きている間中、ずーっと同じ脅迫をするの? なんか、話が遠大すぎて気が遠くなるんですが。
 犯人の身が危うくなったときに、彼女を楯にするの? だが楯にしなきゃならないときって、すでに犯人は身の破滅状態ってことだよね?
 犯人は名もなきテロリストではない。地位も名誉もある人間だ。それを守るための暗殺事件だったんだから、それらを失い、ただ命を守るためだけに人質を使うならば、もうソレ本末転倒だし。

 せっかく事故ってことで片が付いている事件の唯一の証人を、生かしておく意味がわからない。
 もしものときに人質にするメリットより、もしものときをまねくデメリットの方がはるかに高いのに。
 妃の記憶があるないは関係ないよ。
 だって、記憶がたとえ一生戻らなくても、「事故死」したはずの妃を地下に閉じこめている段階で、「暗殺」だった証拠になるもの。「犯罪」の証拠だもの。

 犯人……バカじゃねえの?

 とまあ、3年前の事件の段階で、相当おかしいんだが。

 「事故ではない」とバレそうだ、と思ったから、皇太子の前で透視者シャンドールを狙撃……って。
 ありえないでしょうソレ。
 こっそりと殺さなきゃ。それこそ事故死でないと。

 そのせいで「暗殺だ」とバレる。
 墓地を改めると土しかない。……って、いったいどんな葬儀をしたんだ。
 替え玉の死体を用意することすらなかったのか?
 てゆーか、3年も経っていれば白骨化前提、てきとーな死体を入れておけば、もう絶対バレなかったんじゃないの、時代的に?

 骨がないから、「妃は生きている」とバレる。
 透視をしたシャンドールの前に犯人の部下たち現れ、暴力で彼を拉致する。
 が。
 あのー。
 拉致して、どうするんですか?
 なにか利用価値を考えていた? なにかはわからないけれど、まあ、そう考えたということにしてもいい。
 問題は、何故シャンドールとヴェロニカを、妃を監禁している地下墓地へ無傷で放り込んだのかということ。

 妃に会わせたらまずいじゃん!!
 切り札なんでしょう、彼女。その切り札を、何故簡単に人目にさらす?
 墓守の老婆@シビさんは、シャンドールとヴェロニカが墓地に現れることを知らなかった。大切な人質の世話役にすらなにも知らせず、危険な敵の超能力者を野放しにするなんて。

 生かしておくこと自体が「犯罪の証拠」であって危険な妃を、苦労して生かしていた。
 生かしておくこと自体が「犯罪を透視される」ので危険な超能力者を、苦労して捕らえ、「知られてはいけない切り札」のいる場所へ連れて行き、なにもかも知られてしまう。

 犯人はいったい、なにがしたいんだ?
 多重人格?
 「してはいけないこと」を、いちいちしていくんですが。
 いちばんのミステリ。
 誰かこの謎を解いて下さい。

 もちろん、勝手にいろいろでっちあげて、「犯人は、ここでこう思ったからこうしたんだけど、計算外にこんなコトがあって、それで仕方なくこんな結果になった」とか、埋めていくことはできるよ。
 でもソレ、まちがってるから。
 「動」の部分は、観客が想像して補完するのではなく、「物語」として現実に描かなければ。

 犯人の行動があまりに支離滅裂で。
 ひとことで言うなら、ご都合主義。

 どうして犯人がこんな馬鹿な行動を取るのかというと、そうしないと、話が作者の都合通りに進まないからということに尽きる。

 簡単だよなあ。
 辻褄の合わないところは全部「バカな人がバカなことをしました」。
 どうしてそんなことをしたんだ、おかしいじゃないか。「だってバカだからです。バカな人は、ふつうの人がおかしいと思うことでも平気でします」。
 物語の中での森羅万象を、すべて説明できる最強の理屈だ(笑)。

 まあ、いいんだソレは。
 ご都合主義でもアラだらけでも、全体として魅力があれば。

 ただ、なあ。
 そこまでズルをしまくってストーリー進めて来てさあ。

 バカな犯人がバカなことばかりするので、シャンドールは妃を救出。
 軍人が事件に関わっていることがわかった。

 ということで、最後の大仕掛け。犯人をいぶり出しましょう。

 ……ということになるんだが、最後の仕掛けがなにをやったのか、わからない。

 具体的にどんなことをしたのか、それによってなにがどーなってこの結果に行き着いたのか。
 シャンドールがどれほどすごいか。かっこいいか。

 論理的に、唸らせるべき場面。

 それまでのズルを全部帳消しにするくらい、「コレをやるために、ズルをしてきたのか!」と思わせるくらい、徹底的に盛り上げなければならないのに……。
 説明に欠けてますがな……。
 あるのは「雰囲気」だけ。ヲイヲイヲイ(嘆息)。

 とまあ、「動」部分の本筋は、ボロボロです。

 でも、いいのよ、マジで。そんなことはどーでも。

 とゆーことで、続く〜〜。


 とりあえず、司祭様@そのか萌え。

 いい加減、月組の話。
 最近公演が重なりまくるので、月組は初日を観てもなかなか感想を書けない……。

 月初日はハイディさんのおかげで芝居だけ観ることができました。
 ショーはまた日を改めて、ふつーに観に行ったよー。

 んでもってとりあえず、『マジシャンの憂鬱』の話。

 てゆーか、そのか話。

 相変わらず予備知識ナシ。そのかに役がついているのかどーかすら知らん。
 小耳に挟んでいたのは、あさことゆーひがまたしても仲間役で、嘉月さんもゆーひと同じ仲間カテゴリであると、kineさんが言っていたよーなちがったよーな。月組集合日、ムラの喫茶店でかねすきさんを交えて3人で話したよーな。

 てゆーかマジシャン主役で、どーゆーストーリーなんだろう。現在のわたしにとっての「マジシャン」は山田奈緒子@『トリック』なんだが。

 まあ、そんなこんなで観劇して。

 そのか。
 あああ、そのか〜〜。
 そのか素敵〜〜。

 アルバイトでかっこよく踊っているのももちろんめちゃ男前だが、そうじゃなくて、彼の本役の話。
 公式サイトに載っているシャラモンという役のことだ。
 名前だけじゃなんのことやらわからなかったが、なんと司祭様なのだ。
 そのかが司祭……。
 それだけで、「なんの冗談?」って感じだが。

 ごつい体格に、かわいらしー髪型、漢らしい顔立ち。
 登場してきただけで、その違和感に、客席が湧く。

 変装? 変装だよね、アレ。だってあからさまに怪しい。あの不自然な肩幅はナニ? 不自然なマッシュルームカットはナニ?
 足首まで隠れる司祭服がドレスのよーにも見える。
 体格も顔立ちも男、それもかなりいかつい漢。なのに動作はたおやか。てゆーかほとんどしとやかな貴婦人。
 ショックではらりと倒れ伏してしまうような。

 怪しすぎる(笑)。

 いかつい戦闘員が、任務で司祭に化けている? 甲高い声で女々しい仕草、嘘臭いっつーの。
 とにかく怪しくて、おかしくて。その存在に釘付け。

 いつ変装を脱ぎ捨てて本来の姿になるんだろうと思っていたら。

 アレが、そのままの姿らしい。

 本当に、可憐な司祭様らしい。
 小心で善良。
 間が悪くて鈍くさくて。

 あんなに立派な肩幅なのに。
 あんなに漢らしい顔立ちなのに。

 いかつい体格で、子リスのよーな可憐な小心者。

 断言してもいい。この司祭様は、ティーカップを持つとき、小指を立てる(笑)。
 そーゆーキャラだ。

 なんなのよコレ。なんつーキャラクタなのよ。
 桐生園加への、究極のアテ書き!!

 自分を動物にたとえると「小心なシマリス」だと今年のレビュー本で答えている、そのか。どの面下げて?!と、みんなからの総ツッコミを待っているよーな回答だが、本人はたぶん大真面目。(ちなみに、その隣のページでまっつが、自分は黒ヒョウだと答えている。……こいつら……)
 そんなそのかまんまの役。
 アテ書きだよね? 『カナリア』のときも正塚はそのかを愉快に使っていたけれど、今回もまた見事な使いっぷりですわね?

 司祭様が、かわいすぎる。

 あの体格とそれに反する性格が、かわいくてかわいくて。
 カケラも似合わないパツキンのマッシュルームヘア、ドレスのような真っ赤な司祭服。
 なんなのあのイキモノ、かわいすぎるっ。

 ねえねえ、どっかにステキな攻はいない?
 アレ、受だよね?
 あの不思議ちゃんを愛し、オトコマエに受け止める攻が欲しいわ!!

 ヘタレスキーにはたまりません。
 一生懸命話しかけているのに、マジシャン様の屋敷の人たちは、司祭様なんかまるっと無視、「うるさい」の一言で終わり。
 ゆーひくんとか嘉月さんとか、あのへんのかっこいー人たちが、もっと司祭様を足蹴にしてくれたらいぢめてくれたら、萌えなのになあ。

 アライグマゆーひに、いぢめられるシマリスそのかが見たい……。

 
 とか、本編とは関係ないところで盛大にツボっておりました。


 花組集合日。

 昔のわたしは、集合日に鈍感だった。
 日にちも知らなかったし、興味もなかった。
 トドファンだったので、退団に対しておびえることがなかった。下級生時代は「いずれトップになる人」だと信じて疑っていなかったので(途中タータンに抜かれかけていたこともあったが)、途中でいなくなるなんて思ってなかったし、トップになってからは集合日より前に発表があるわけだから、これまた無頓着でいられた。
 ケロファンになったあとも、星組に組替え=トウコちゃんがトップになるまで辞めない、と勝手に思い込み、力一杯油断していた。

 ケロのことがあってからだ。
 集合日がこわくなったのは。

 『ドルチェ・ヴィータ!』大劇公演のチケット発売日よりあとに、集合日があった。
 発売日の方が先だったんだよ?
 ケロと水くんの出演する公演にチケ運皆無のわたしは、抽選で敗れ、いつものように1枚も購入できていなかった。
 でもま、ムラ公演だし、なんとでもなるさ、と安心していた。だって、いつもの、なにひとつ変わることない、ふつーの公演だもの。

 それが。

 呆然だよ。
 寝耳に水だよ。

 だってケロ、来年のカレンダーの掲載予定者に名前載ってたじゃん!!
 来年もういないなんて、ありえないよ!!

 
 ……以来、集合日はトラウマだ。
 他の人がなーんとも思っていないときに、いつもわたしひとりが悪い方へ考えすぎてガクブルしている。

 まっつにハマってからこっち、集合日のたびにひとりで大騒ぎ、周囲にあきれられてきた。
 寿美礼サマと同時だと、言われて続けた人だから。
 今回も、年末からこっち、ずーーっとおびえていた。あー、『ヘイズ・コード』初日からだから、すげー長い間ガクブルしてたなあ。

 寿美礼サマとまっつ、同時に失ったら精神の均衡を保てないよ、あたしゃ……。
 寿美礼サマだけでも、もーどうしていいかわかんないのに。

 まっつだけでなく、これだけ大好きな花組、誰が欠けたって哀しいんだってば。

 ということで、戦慄の集合日。
 
 や、まっつはチガウって、いろんな人からなだめられ、それで結構落ち着いてはいたんだ。
 いろいろ教えてくれた方々、ありがとうございます。ささやかなエピソードでも「それならまっつは大丈夫かも!」と、そのたびに救われておりました。

 退団者は、寿美礼サマの他4名。
 立さん、としこさん、ひーさん、きよみ。

 うわああ、こうきたか……。
 今日はnanaタン改めえりざべーとちゃんとムラにいたんですが、彼女の携帯のぞかせてもらって、発表を知りました。

 みんな思い出深い、よい舞台人ばかりさ……覚悟している部分はある面子だったが、実際に名前が出ると寂しいさ……。
 立さん、専科さんの中で唯一「可憐」という形容の似合う男性。腐女子視点で申し訳ないが、素敵な受オーラを持つ美形なおじさま。萌えキャラのひとりだったのに。
 としこさん、わたしの愛する『マラケシュ』は、この人ナシではあり得なかった……。
 ひーさん、つい先日、梅芸でお元気な姿を拝見したところっすよ、どーして?

 そして、わたし的にきよみ退団がつらいっす。

 きよみって、まっつの「お嫁さんにしたい人」だよね?

 や、いつぞやのお茶会で本人がそう言ったそーぢゃないですか。
 お嫁さん……まっつが旦那で、女房がきよみ? すげー体格差だなそりゃ。ノミの夫婦は萌えなので、ぜんぜんOKです。

 『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』でもまっつの相手役?ってくらい絡み続けてくれて。
 あっちのブログでも書いたが、最近改めて見た『JURIの“それってどうなの!?”』第1回での、きよみ×まっつで萌えまくっていたところだったのに。

 きよみの旬はこれからだろうになあ。おっさん+悪役がハマる役者は貴重なのに。
 
 残念だ……。

 
 『アデュー・マルセイユ』の配役は、カタカナの名前の羅列だけではナニもわからない……。

 ジオラモ@まっつって、なんの役ですか。職業だけでも教えてほしいっす。

 ジャンヌ@みわっちって、女役ですか。
 ちょっと待ってよ、『舞姫』のあとだよ? かっこいー男役を見せてよ、濃いぃ男前ぶりを見せてよ! みわさんの女役は目新しくないんだってば〜〜!!(あたしゃ、愛音羽麗の最初の認識が『琥珀』新公)
 前回もショーで女役やってて、「また女役」って印象っすよ。みわさんはたしかに小柄な美人さんだけど、持ち味はフェアリーでも女性的なモノでもなく、男っぽい・黒っぽいモノだと思ってるんだけどなあ。
 なんで本公演で、そーゆー役が回ってこないんだろう。

 市議会議員モーリス@壮くんは絶対悪役だよね?

「きっと麻薬中毒なんだよ」
「なんせマフィアと通じているからね」
「……『DAYTIME HUSTLER』のトニーとかぶるんですが……」
「リーマン・ヘアでセカンドバッグ持って?」
「そして、銀橋で世界征服ソングを歌う」
「お稽古場写真はとーぜん白丸首シャツで」

 いついかなるときも、壮くんの話題は和むなあ……。

 
 終わりのはじまりが、近づいてくる。

「オサ様に会えるのは、あと……」

 えりざべーとちゃんと、いつもの店で指折り数える。
 ……しょぼん。
 チケ取り、がんばろうね……。

           ☆
 
 あ。
 昨日の『ハロー!ダンシング』の疑問に、回答がありました。

 だーれも反応してくれなかったんだけどね(泣)。
 こうめさんが千秋楽を観ていたことが判明、えりざべーとちゃんにメールで質問してもらいました。

 しゅん様は、たしかに男に姫抱っこされていたそうです。

 こうめさんは、しゅん様を抱いていた男が誰かはわからなかった模様。
 月央くんで合ってるかな?

 でもま、わたしの妄想でなくてよかったわ……。

 泣き虫しゅん様(でもカラダはごつい、濃い顔立ちのオトコマエ)は、男に姫抱っこされていた、と。
 世の腐女子のみなさま、萌えな話ぢゃございませんこと?


 さあ、今日は花組大劇場の友会抽選結果のわかる日ですよ。
 はりきって朝10時から電話を掛けました。
 ……つながらない。

 10時頃ってつながらないもんなんですか。
 結果照会をスタート時刻からチャレンジしたのがはじめてだったので、わかりません。
 
 や、だってわたし的に一大決戦の日ですから。
 すっげーどきどきして、電話したのに、つながらない……。

 結局10時半過ぎてからかな。つながったの。
 それだけ競争率が高かったってこと? これっていつも通り??

 結果は聞かないで下さい……ふふふ……そうよ……わかっていたわよ……あたしのくじ運なんて……涙目。

 どっか、くじ運の良くなる神社とかないですか? あとはもー神頼みだー。

 明日の集合日がこわいです。
 これ以上ヘコむことになるんだろうか……。

 つーことで、明日の精神状態がわからないので、今夜中に感想書いておかなきゃ!!

            ☆

 しゅん様は、受キャラなんでしょうか。 

 と、いきなり腐った話題ですみません。
 
 今夜中に書いておかなければならない話題がコレか、緑野こあらよ。
 や、だって明日はヘコみきって腐った話なんかできないかもしれないし……。

 今さらな話題ですが、花組『ハロー!ダンシング』、千秋楽に行って来ました。
 どの組も『ハロダン』は1回こっきりだったのに、花組は最初から複数回前提、てゆーか『ハロダン』楽と月初日重なってるじゃん。
 花『ハロダン』と月大劇を天秤に掛けて、花組を選んでしまった花担なわたし……。
 つか劇団も考えればいいのに。『ハロダン』なんて75分しかないんだよ? なんで大劇と丸かぶりにさせるかな。ズラせば両方の客が両方ついでに観るかもしんないじゃん。
 初日好きなわたしとしては、「くーやーしーいー」とハンケチを噛んでおりましたよ、あああゆーひくん、あああそのか。や、結局月初日も芝居だけ観たんですけどね。

 『ハロー!ダンシング』千秋楽。
 客席はもうリピーターばかり?って感じで、拍手のタイミングが見事でした(笑)。自己紹介が手拍子でかき消されるなんてことはまったくなく、登場と共にすげー拍手、本人がなにか言いかけるとぴたりと拍手が止み、聞き耳を立てる。挨拶が終わると拍手、おさまると手拍子、登場と共に拍手……の繰り返し。
 おもしろいなー、もー。

 みんなノリノリで進化していて、安心して観ていられた。
 かりやんも前に観たときよりずっとよくなっていたし!

 で、まあ、千秋楽の感想というか、新たな疑問というか。

 ゆうずみしゅんは、受なのか?

 どうなんでしょう、世の中的に。
 どんな世の中かって、聞かれても困るけど。

 昨年の『Young Bloods!! 』ではオトコマエだったし、ダンスも歌もOK、がっちりした大柄な体格でカオも濃くてハンサム。文句ナシにイイ男だと思っていたしゅん様。
 オサコンで「春野寿美礼より老けている」という烙印を押されていたが、まあそれは仕方ないとして。(ヲイ)
 若いわりに洟垂れ小僧に見えなくて、かっこいーにーちゃんだと思っていたのですが。

 今回の『ハロダン』にてしゅん様は、学年や責務に相応しいだけの存在感と華を有し、ダンサーとして堅実に仕事をしていたと思う。
 しかし。
 他の威勢のいい連中に比べ、なーんかいっぱいいっぱい風というか。
 その力み具合が可憐に見えたんですけど、あの体格なのに。
 ぶっちゃけ、出演者の誰よりもたくましいのに。男役として恵まれた容姿をしているのに。

 ……受?(首傾げ)

 でもって。

 カーテンコールで、男同士で姫抱っこされていたのは、どーゆーことですか?

 一瞬だったんで、気づくの遅れて、我が目を疑ったときには終わっちゃってたんだけど。
 でもって、「まあいいや、あんなオイシイことしてくれたんなら、ネットで噂になっていて、みんながその話をしてくれるだろうから、ちゃんと詳細がわかるわ」とタカをくくっていたんだけど。
 ざーっと眺めたところ、誰もそんな話してないぢゃないですかっ。
 スカステのニュースでもカットされてたし。

 あれは幻? 青春の日の幻影? てか、わたしの妄想?

 えーと。

 確認。
 誰か見た人、答えて下さい。

 『ハロー!ダンシング』千秋楽。
 何度目かのカーテンコールにて。

 しゅん様が、姫抱っこされてたよね? 

 わたし、誰かとまちがえてますか?
 わたしの妄想?

 でもって相手、月央くんに見えたんですが?
 少なくともしゅん様より小柄な男の子に抱き上げられてたよね?(や、しゅん様がいちばんでかいので、どの男でも小柄です)

 カテコはみんな好き勝手動いていて、本来の位置も並びもなくなっているんで、咄嗟にわけわかんなくて。

 しゅん様が月央くんに抱きついて、そのまま成り行きで姫抱っこになった、よーに見えたんだが?

 先日の感想で、リフトの話を書いた。
 コツさえわかれば、女の子同士でも持ち上げることはできるって。技術ってのはすごいもんだなって。

 しかし、姫抱っこの技術って? 練習って?
 そんなもんしてるのか、花男たち?!

 成り行きで、横抱きにしてしまえるもんなの?

 しかもしゅん様、泣いてるし。

 あの色男、カテコで感極まってベソかいてるんですよ。あんな男らしい外見で。
 必死になって涙ぬぐってて。

 そんでもって、同期男に姫抱っこ……。

 どこの受ですか。

 ハートがきゅんきゅんしてたまりません!!(笑)
 どーしてくれるんだ。

 
 あー、えーと、ちっとも千秋楽の話してないなー。
 しゅん様だけでぶっ飛んでしまった。

 カテコではみんなナニをしていいのかわからなかったみたいで、最初はてきとーに動いていたけど、ラストは全員で輪になって踊ったり、ラインダンスもどきやってました。打ち合わせはしていなかったんだろう、手が逆になっている子とか、そろわない子とか続出。ダンス公演とは思えない鈍くささ(笑)。
 や、ほんとに何回も幕が上がるもんでさ。そりゃしゅん様も泣くわな。(あっ、またしゅん様の話に!)

 
 『ハロー!ダンシング』を観てよかった。
 花っ子たちをますます好きになった。

 アピール上等、ダンス揃える気なんかハナからナイよな的、ダンス以外で勝負する気満々だな的、実に花組クオリティな公演だったけれど。

 ソレも含めて花組上等!
 たのしかった。

 
 明日は寿美礼サマの退団公演の集合日。
 これ以上、かなしい別れが増えませんように。


 今ごろだけど花組『ハロー!ダンシング』の感想、続き。

 とってもミュージカルなののすみ主演「花とナナ」。すみ花ちゃん、タイトルロールですよ……彼女のための書き下ろしですよ……なんつー大物だ。

 ナナちゃんの相手役は、ちゃーでした。
 青いシャツとブラックジーンズでひたすら笑顔、若ぶってます。

 何故だろう。黒燕尾とかスーツとかクラシカルなものは似合うと思っているんだが、反対にこう、いかにも「若者」な姿になると、ちゃーってなんかおさまりが悪いというか……いたたまれなくなるのは何故?

 さわやかな青年風なのが、なんかチガウというか、愉快というか。
 ああ、ちゃー好きだなー、かわいいなー。

 「これぞ青春!」って感じで中学生のように頬を染めて踊るののすみとちゃー。
 すみ花ちゃんは本気でかわいいし、可憐だし。ちゃーは……ええっと、わたしは好きだからいいんだけど、役に合ってますか、あの人?

 かといってあのクソさわやかな役を、他の誰でできたというのか……花男たちみんな濃すぎてさわやかメンが演じられない……?!

 つぎはぎドレスで不幸に儚く踊り、次に白いドレスで光の中で踊るナナ@すみ花ちゃんは、ものごっつーかわいいです。
 主演スターとして、十分な働きっぷり。
 髪型がちょっと合っていない気がしたが、その透明感あふれるキャラクタが気持ちいい。
 白いドレスでよみがえったときに、本当に光が射すのね。彼女から。
 ぱあぁっと周囲が明るくなる。

 あ、花總まりだ。

 なんかふつーに、すごくすこんと、そう思った。

 何故だろう。
 顔とかスタイルとか、べつにぜんぜん似てないのに。
 花ちゃんに似てる……。

 終演後、nanaタン改めえりざべーとちゃんも同じことを言っていておどろいた。あ、わたしだけじゃなかったんだ、ののすみが花ちゃんに見えた人って。

 語り部はみほちゃん。イイ声なんだコレが。ドラマを盛り上げるしっかりとした歌声。
 もうひとりの歌手はかりやん。こちらは少年の声でもべつにいいので、女の子まんまなかりやんもここではOK。歌がここだけならよかったのにねえ。

 
 ダンス公演ではなく、ミュージカル・テイスト。

 そう思っていたら、次は「パタパタ」。草野せんせが演出だから、絶対になくてはならないアフリカ場面。

 さきほどのミュージカル場面にて通行人をやっていたふた組のカップルが、ここでも引き続きカップル(笑)。

 らいと萌子がかわいいっ。
 
 なにしろ『エンカレ』組だからな、「パタパタ」のメンバー(ゆまちゃん以外。でも、ゆまちゃんだって博多で歌っていたとき声はよかったぞっと)。
 「パタパタ」のコーラスが、なんかすごくきれいでウケる。
 そしてこのふた組のカップル、らい×萌子、ネコ×ゆまが、すげー本気で芝居していて。客席にもアピっていて。
 いやあの、これってダンス公演だよね?
 なんかもー、よくわかんないや。

 仲良しカップルがモメて、女の子が男をピンタしたりなんだり、そしてカップルが入れ替わって、でも結局元の鞘に戻って。
 かわいいなぁ。濃いなぁ。

 
 そのままボレロに突入、しゅん様の端正さを堪能し、全組共通の映画『フラッシュダンス』の主題歌女性ソロ。

 えええ、ここ、すみ花ちゃんなの?!

 予備知識ナシで見ていたため、知らなかったの。萌子の見せ場だと思い込んでいた。
 萌子は歌手ポジでしょう? 何故ミュージカルでタイトルロール務めた子が、歌える娘役の唯一の見せ場すら独占しているの??

 劇団もなんでこう極端なことをするのかなぁ、それは本人のためにもならないんぢゃ?と老婆心を発揮とつつ。
 ののすみちゃんの声は好き。透明で、きれいな声。彼女は歌も十分歌える人だと思っているが、この歌との相性はいまいちかな。
 ここはやはり、歌手ポジの子に歌ってほしかった。

 
 そーしてフィナーレへ。

 
 マメのセンター場面がひとつもない?! ってことに、驚愕。
 ありえないよー。もったいないよー。
 1回は真ん中に立たせてみればいいのに。

 しかし全編通して目立ちまくっていたひとりは、まちがいなくマメ。

 ちょっと独特の彼のダンスはやわらかさに富み、またなんつーかこー、粘度と温度がある。
 シャープ、とかいう形容詞の対極にあるよーな?
 存在自体が派手なんだよなあ。動きが個性的だからかなあ?

 そして、だいもん。
 バランスを崩すほどの抜擢をされるでなく、学年と立場にあった見せ場をもらい、それを確実に昇華したうえで、それ以外の場面でもじつに生き生きと踊っている。
 下手に目をとめてしまうと、はずせなくなってこまるよ。あの動き続ける表情と、前へ前へと意識を向けてくるスター精神と。

 実力に裏打ちされた輝きが、まぶしくて。
 かわいいなあ、だいもん。
 やりすぎなくらいやりすぎているのが、気持ちいいったら。

 しゅん様は他のやりすぎる面子に比べれば、十分おとなしい部類の人だということがわかった(笑)。
 てゆーか不器用に思えたんだが、あちこち。
 なにか気の利いた挨拶をしようとして、結局ナニも言えなくて客席から爆笑されたり。
 あちこち「今話しかけないで、許容量フルだから!」ってところと「許容量オーバー。真っ白です」ってところとが透けて見えて、すげーかわいい。
 それでも、下手にアピったりせずただ自分の内側に向かいながらダンスしている様が、すげー男っぽくてかっこいいんですが。
 侍だなー。

 ちゃーはいろいろいろいろまっつとかぶるところが多くて、わたしをうろたえさせる(笑)。
 そして見れば見るほど好みでこまる。
 「真ん中」を担うには足りないところも多々あるけれど、それでもそのクラシカルな端正さ、やさしさとやわらかさは武器だと思う。

 みほちゃんはほんとうにいい女役さんだし、萌子が急激にいい女に成長しているのもうれしい。
 ゆまちゃんの胸と美貌も堪能させてもらった。大勢の中にいても「あ、美少女がいる!」ってわかるもの。

 ゆまちゃんはマメと組んでいることが多かったんだけど、このふたりいいよねっ!
 濃いぃの。
 ゆまちゃんは小物な男では御しきれない迫力があるから、マメくらいカラダも中身も寛くないと映りがよくない。
 個性的な男と、小悪魔的な美少女。……わくわくするわ。

 
 わたしが観たとき、宙組さんがたくさん客席に来ていて、正直すっげーうるさかったが(笑)、かわりにものすごーく盛り上がった。
 拍手の温度がいちいちチガウし、初日でも楽でもなんでもない平日なのに、満場一致のスタンディング・オベーション。

 全組平日のなんでもない日に観ていたけれど、客入りはそりゃあもう、ここで書くこともアレなくらいだったし、スタオベはおろかカーテンコールもなかったさ。
 『ハロー!ダンシング』ってのはそういうものだと思っていたし、ソレでいいと思っていただけに。

 客席のテンションと鳴りやまない拍手にびびった。

 真っ先に立ち上がった花組のふたり、まとぶとみわっちが、自分たちが立ち上がったことで見えなくなる後ろの席のお客さんに謝っていたことも印象的。
 いい人たちだ……。その「ふつー」の感覚が愛しい。

 客席の反応が良すぎる・うるさすぎるのもたしかに問題だが、それによってキャストが盛り上がるのも素晴らしいことなので、両刃の剣だな。
 カテコであいさつするみほちゃんは声を詰まらせていたし、他の出演者も感動しているようだった。

 たのしかったのだわ、花組『ハロー!ダンシング』。
 もお、どーしよー、ってくらい。

 あんまし、ちゃんとしたダンス公演になっていなかったよーな気がしないでもないっつーかぶっちゃけなんの公演だったのか、よくわかんない面は、たしかにあるのだけど。

 それでもひたすら、たのしかった。
 きゃーきゃーヒューヒュー騒ぎまくる客席ごと、たのしんだ。

 みんなダイスキ。


 ダンディ・ギャングスターの間をぬって、花組『ハロー!ダンシング』の話、続き(笑)。

 狂言回しその4、女の子たちだけの場面。歌詞のサムさは公演No.1。「タカラヅカが好き♪ タカラヅカが好き♪ タカラヅカのなにが好き?♪」……演出家を憎みたくなる一瞬(笑)。

 歌は萌子、ダンスはゆまちゃん。
 女の子だけごちゃっと現れて自由度高く歌い踊ると、やっぱののすみのかわいさ、華やかさが目に飛び込んでくる。

 かわいーなー。『MIND TRAVELLER』のときのジュディみたい。
 場慣れしていることもあるんだろうな。所作や表情、ひとつひとつかわいらしい。

 スタイルでも顔単体のかわいらしさでも、ひめかちゃんの方が上だろうに、それでもののすみの方があざやかにかわいく見える。
 ののすみはこうやって脇に混ぜながら「やっぱあの子、目立つよね」と思わせる方が賢い売り方なんぢゃないだろうか……。

 なんにせよ、そのののすみとひめかちゃんが組んでデュエットダンス合戦?をしてくれるのでたのしい。ちゃんとリフトするんだ、できるんだー。
 女の子同士でも、あんなに華奢な子同士でも、ちゃんと持ち上がるんだねえ。

 余談だが、HOTEL DOLLYにて、スカステの『ダンス魂』を見ながらリフトに挑戦したことがある。
 サトリちゃんが男役でわたしが娘役。ふたりとも身長でかいんですが、無謀にもチャレンジ。
 ……ほんとに、持ち上がるもんなんだね。
 わたしとサトリちゃんは体格がほぼ同じ、向こうがはるかに若いから体力腕力あるとはいえ、女性が同じ体格の女性を持ち上げられるもんなんだ、タイミングや型さえ守れば。
 わたしを持ち上げたサトリちゃんは「それがぜんぜん重くないんです」と言っていた。番組でさおたさんが言っている通りにしてみただけ。そうか、技術が大切ってのは、こういうことだな。それを習うことで、ふつうならできないこともできるよーになる。
 これでわたしがあと10cm小柄で、20kg痩せてりゃあ、サトリちゃんももっと軽々持ち上げられたことだろう(笑)。

 ただやはり、持ち上げるだけでなくソレで踊って、なおかつ「美しく見せる」というのはさらに特別な技術がいるよなあ。

 女の子たちがリフトをしている姿は「おおっ、できるんだー」という感動はあるが、うっとりするほど美しいよーなものではない。
 ただ、かわいい。
 すごくかわいい。
 若く可愛い女の子たちが、リフトをしてくるくる回っている、という事実だけですごくかわいい(笑)。

「ふたりだけのダンス♪ ふたりだけのダンス♪」
 と歌い踊る女の子たちの次の場面が。

 いきなり、野郎が3人登場して来たので、吹いた。

 や、わたしではなく、わたしの後ろの席の人が。
 わかる。わかるよ。わたしも、あれほど「ふたりだけのダンス」って煽ったあとで、男3人が出てきたら、「なんのギャグ?」って思うけど。
 後ろでウケていることに、ウケた。……ちなみにわたしの後ろの席、全員宙組生だったんですが(笑)。

 デュエットダンスは、だいもんとみほちゃん。
 最初に登場した野郎どもはすぐに退場、男はだいもんひとりになる。

 望海風斗は、男を上げたと思う。

 彼がアピール上等!なうるさい芸風の人であることも、歌がうまいことも知っていた。
 だが、ダンスでセンターもらってどうこうできる人かどうか。
 それは、やってみないとわからない。
 狂言回しでは、見事にセンターを務めた。華と押し出しの良さ。だがあれは、得意の歌があった。センターで客席をずーっと見ながらアピールするのと、声を出さず純粋にダンスで場を埋めるのとはチガウ。

 場面は、『メモアール・ド・パリ』から「モンマルトルのカフェ」。
 カフェで働くムッチムチ(笑)のいい女@みほちゃんにぞっこんな男@だいもんが、彼女を口説く、というダンスシーン。

 ダンス技術の問題ではない。
 ここはタカラヅカだからだ。
 ふつーに踊れればそれで問題ない。それより大切なのは、「スター」であることだ。

 みほちゃんはすげー「いい女」。ムッチムチかどうかは疑わしいし(笑)、だいもんが惚れるにはあまりにおねえさんすぎる気がするんだが(歌詞に「年上のいい女」って入れればいいのに)、佇まいとダンスっぷりから十分「美女」として成立する。
 一方だいもんは。
 ダンスでは、みほちゃんに劣る。そりゃーもー、素人のわたしにもわかる。同じ振りを並んでしちゃったりすると美しさがぜんぜんチガウ。
 でも、そーゆーことじゃない。

 だいもんは、見事に「芝居」してみせた。 

 たしかにダンスなんだけど。
 ただ決められた振りを踊るのではなく、その振りによってナニを表現したいのか。何故踊っているのかを、全身で表現した。

 ミュージカルだ。
 今コレ、「ミュージカル」を観ているんだ。と、思った。

 エネルギーがあふれているのも、観ていて気持ちいい。
 変わり続ける表情。
 最初にカウンターの上に飛び乗るの、ナニ気にすげー跳躍してねえ? スピード感にびっくりしたんだけど。

 ダンスで「魅せる」のは、踊りの技術だけのことではない。ただうまく踊れるだけじゃ、タカラヅカでは「真ん中」に立てない。
 「真ん中」に立つには、まったく別のスキルが必要である。
 だいもんはそのことを体現してくれた。

 
 そーやってミュージカル・ハートになったあと。
 狂言回しその4、しゅん様とかりやんの微妙にサムいスーツ姿でキザるタップを挟んで、次が組別のオリジナル場面。

 花組は「花とナナ」。

 これがもお、見事にナナ@ののすみ主演ミュージカルでした。

 そっかぁ、花組はダンスではなくミュージカルの組かぁ。
 純粋にダンス勝負していない、つーか。ダンス以外のとこでアピりまくってますっていうか。

 貧しい花売り娘ナナ。
 彼女と花の精たちのダンス。
 花を売ろうとする彼女に冷たい一瞥をくれる通行人たちが、本気で芝居しているし。

 てゆーか、通行人@らい素敵。

 スーツにロングコート。
 意味もなくかっこよくて、目を奪われる。
 赤シャツにブラックジーンズという少年っぽいの花の精たちの間で、唯一「大人」という風情のらいが、目立つんだわ。そりゃあもお、無意味に。
 そこでらいを見ていちゃいかんのだが、ただ通り過ぎるだけの彼を目で追ってしまう。
 OL風の萌子と待ち合わせ、コートを彼女に着せかけてあげたりしているのを、ひたすらガン見してしまう。……だから、ただの通行人だから、モブだから、見ていちゃイカンから。

 らいがあんまりかっこいいから、なにかストーリーがあるのかと、本筋に関係ある人なのかと思っちゃったよ……。ただの通行人じゃん、本筋となんの関係もないじゃん……。

 
 と、話はめっちゃ途中だが、文字数の関係でぶった切る。


 花組『ハロー!ダンシング』千秋楽で、月組大劇初日ですね。
 実は両方行ってたんですが、まあその話はいずれするとして。

 ムラには、『アデュー・マルセイユ』のチラシが置いてあるわけですよ。
 わーい、チラシだチラシだ、今回オシャレだなー。壮くんハンサム〜、まとぶ目線変〜、オサ様なんか顔チガウ〜、彩音ちゃん……えーっと……とか、手にとってのんきに眺めていたんですよ。

 そしたら。

 あらすじ、また変わってますがな。

 つい2日前、あらすじが変わったことでネタにしたとこだったのに。
 またネタにしろってことかよー。

【5月24日】
 2人のギャングの友情と1人の令嬢を巡る恋の鞘当を描いたアクション・コメディ。

【8月1日】
 過去を背負った男が、恋人を助け、腐敗した故郷の裏社会に立ち向かう。男たちの友情と女たちとの恋の駆け引きが、粋で洗練されたナンバーによって綴られる。ムード溢れるロマンチック・ミュージカル。

【8月3日】
 禁酒法時代のアメリカに高級ワインを密輸する計画を持つ粋でダンディな男と、マルセイユを浄化するために努力する清純な女の間に恋が生まれ、偽札事件に巻き込まれて行く。ピカレスク・ロマン風味溢れるミュージカル。

 
 印象としては、第1案から第2案への変化がいちばん大きく(なにしろヒロインが富豪令嬢のわがまま天使から、辛い過去を持つ婦人参政権活動家に変更だからな)、暗く重くなりすぎたところが、第3案でちと最初の設定に戻ってきた感じ?

 第2案では「過去を背負った男」とわざわざ書いてあるのが、第3案では「粋でダンディな男」になっているからな。
 主人公もヒロインも過去の凄惨な事件の被害者、という共通項が第2案では上げられていたんだが……第3案ではなくなったのかな?
 第3案は大分軽くなった印象だが……。

 てゆーか、小池のいつもの話、いつものエピソード、いつもの場面、いつもの展開が目に見えるようでイヤン★ですわ。
 救いは時代設定が1930年代だってこと。これならインターネットも携帯電話もメールも、小池がよろこんで使いたがる(そしていつも盛大にハズしてサムい)現代用語辞典が使用されないで済むってこと。

 や、たのしみにしていますよ!
 オサ様の最後の作品。
 たのしみでないはずがない。

 ……それで「終わってしまう」ことへの怯えとは、まったく別に。

 
 オサ様の最後のポスターが、きれいでなによりです。

 彩音ちゃんの背中(蜥蜴に引き続き!)、まとぶんの葉巻(煙草ではなく、葉巻ってのが萌え!)、壮くんの拳銃(悪役? 悪役なの? ワクテカ!)。
 ドラマのある画が好きなので、ただスター様がポーズつけて複数突っ立っているだけの合成写真とか、顔だけ・バストアップだけをトップから順に立場に合わせた大きさで切り張りしました、とかよりずーっと好き。

 まっつに台詞が3つ以上あるといいなあとか、寿美礼サマを(どんなカタチであれ)愛している役だといいなあとか、そんなことも祈りつつ。

 はじまってしまったら、終わるしかないから、はじまることがこわくて仕方ない。
 それでもお、なんかすごーく過敏で、今までこんな、「あらすじ」についてどーこー言ったりポスターについて言ったり、ついぞしたことのなかったことを、うだうだやっているわけですよ。

 あああ。
 オサ様……オサ様……。

 
 ダンディ・ギャングスターの間をぬって、花組『ハロー!ダンシング』の話(笑)。

 なんかつらつらと場面ごとの感想書いてますんで、その続き。

 狂言回しその3、の場面。
 男役3人で派手派手衣装、肩からモールなんかつけちゃって、掛け合いで歌いながら客席にアピるという、実はいちばん難度の高い場面。
 なんの難度かってそりゃ男役スキルと、スター・スキル。
 歌えなきゃスベるし、男役としての着こなし、立ち居振る舞いができてなきゃ格好悪いし、なにより客席に対して「タカラヅカ男役スター」としてオーラを発散しセクシーに語りかけなければならない。
 ただ踊るだけならダンスの勉強している人にはできるかもしれないが、歌って踊って語りかけることで場を吸引し、しかも色気を振りまくとなると通常トップスター・クラスの人か組長等管理職クラスの人でないと難しい。
 大劇場でトップスターや組長やら専科さんやらが歌いながら客席いじりをする、あのノリね。
 ただここはバウホールだから、そこまでのオーラがなくても大丈夫だけど。

 はっきりいって、ひよっこたちにできるわけない。
 男役としての佇まいや声すらできていない学年の子がやるわけだから。
 つまりここは、気合いだけで「スター」を演じる男の子たちのそのサムさを堪能する場面。……や、どの組もそうだったから(笑)。

 ここでのセンターは、何故か月央くん。
 何故か。
 いや、いろんな人がセンター経験をするべきだから、彼がここでセンターを勉強することも、おかしくはない。破綻なく美形な彼、しゅん様がののすみとふたりでその1を務めた狂言回しだ、同期の月央くんにその3が回ってきてもおかしくはない。

 ない、が。

 何故か、と思ってしまうのは、一緒にいるのがだいもんとネコだからだ。

 おかしくはないんだよ。上級生の月央くんがセンターで、サイドが下級生のだいもんとネコだっつーのは。
 学年順ではおかしくない、けど……。

 ザ・弱肉強食。

 だいもんとネコ、手加減無し。
 はじめてのセンターで、たぶんはじめてのソロでいっぱいいっぱい、声震えてませんか? 目線泳いでませんか? レベルのとこでうろうろしている月央くんをよそに、余裕でアピりまくる。

 ヲイヲイヲイ、ちょっとは遠慮してやれよお前ら!(笑)

 だいもんもネコももともとシンガーだ。歌で勝負、のところで、負ける気はハナからない。
 歌える分、周囲を見る余裕もある。

 なんにもできないのに、それでも一生懸命キザる男の子たちのサムさを堪能する場面なのに。
 だいもんもネコも余裕だー。ふつーに歌ってキザってますよー。客席釣ってますよー。
 そしてそんな濃いぃ男たちの間で、キョドっているセンターという、すげー愉快の光景が繰り広げられていました。

 なんでこんな愉快なことになっているんだ花組。
 だいもんとネコをつけるなら、センターは彼らに負けないキャラでなきゃダメだろうに(笑)。
 今回の出演者でなら、マメからい?(ちゃーとしゅん様は勝てないと思うんでやめておいた方がイイし、かりやんは論外)

 いやあ、めちゃおもしろかった。
 弱肉強食ってすごいなあ。なんでもアリだなあ。

 
 続いてみほちゃん司会者でキャスト紹介。
 案の定下級生はなにを言っているのかぜんぜん聴き取れず(笑)。上級生になるとだんだん聞こえてくるし、意外にちゃーの声が耳通りいいことにおどろいてみたり。

 ただなー、わたしが観た回は客席がジェンヌだらけで。
 歓声がすごすぎて、舞台の声が聞こえないという……。はしゃぎすぎですよ、宙組さんたち。や、舞台も客席もノリノリでたのしかったけどなー。

 なにしろアピール上等!な人たちなので、自己紹介+客席降りともなりゃー野放し状態でした。
 にぎやか。てか、うるさい(笑)。投げチュー、ウインク、てんこ盛りだもんよー。

 で、次に問題の「ブエノスアイレス」になるわけなんだが。

 ここもまた、予備知識ナシに観ているので誰がなにをするのかわかっていなくて……かりやんで、肩を落とした。

 この場面が、この役がかりやんかー……。

 わたしほんと、かりやんに対してなんの含みもないんだが。
 この公演では彼、男を下げまくりですよ……。
 今まで歌うことがなかったのだから、歌えないのも仕方ないとはいえ、男役の声すらできていないことにはおどろいた。女の子のまま歌いますか、黒燕尾なのに。

 たとえば雪組のせしるも、この役で男を下げまくったんだが、ソレとはまた意味合いがチガウ。
 せしるは精一杯やって自爆しているというか、現時点ではコレが限界、でもぎりぎりまでやってあがいてます、って感じ。今はダメでもこれから先はなんとかなるかも?的な熱量。

 しかしかりやんは、なんか力をセーブしている感じ。自爆しないようコントロールして、ソツなくやってます、みたいな。

 プロだから、全霊を上げて自爆、フラフラになって目も当てられない、というのはチガウかもしれない。
 体力配分してお客様に失礼のない芸を見せなければならない。というのが本当かもしれない。

 でもなあ。
 セーブして、コントロールして、魅力がないんじゃなあ。

 フラフラよれよれになっても、そこまですることによって発する熱で、とりあえず「ここがセンター! 俺が主役!!」と断言していたなにもできない男の子と、ソツなく規定演技をして背景に埋もれてしまう、結局求心力のなさ、センターがどこかを示す力のなさでつまらない場面になってしまうのと、どっちがマシかって話だなー。

 「ブエノスアイレス」というオイシイ場面が、ここまで灰色に沈むことにおどろいた。

 かりやんと踊るのはちゃー。
 ちゃーはこーゆークラシカルなものは似合う。が、彼もまた決して「強い」人ではないので……かりやんとふたりで踊っても、なんつーかこー、萌えに欠けるというか……ううむ。

 だがしかし。

 他の男役たちが登場すると変わるんだ。

 ザ・弱肉強食。

 センターなんか関係ない。
 脇の男たちがすげーテンションで「俺、主役」の顔でセクシーに踊ってくれます。
 かっこいーかっこいーかっこいー。

 しゅん様の黒燕尾スキ。らい、キザ。マメ濃すぎ。だいもん顔芸し過ぎ。

 真ん中がどこかわからなくなっていたことは、ラストシーンでもよくわかった。
 最後、かりやんを残して男たちはみんな袖にはけていく。
 いちばんあとまで残るのはマメ。彼は去り際に軽く投げキスをする。

 マメの投げキスで、客席が湧いた。

 ……みんな、マメを見ていたんだ。真ん中ではなく。
 主役を見ていたら、袖近くの人がなにかやったって、気づかないのに。

 「ブエノスアイレス」で笑いが起こるなんて、思ってもみなかったよ。主役は去っていったマメなのか?

 かりやんって、チャーリーに似てるなあ、と今回思った。
 きれいなんだけどなー。すごーくきれいで、ちゃんと踊れる人なのになー。

 あああ、かりやんに対してきついことばっか書いているわ。
 今回かりやん株暴落しているんだけど、このままだとは思ってないし。せしるが新公ルキーニで株を上げまくってくれたように、これから先いくらでも変わっていくから。
 それを期待する。


 オサ様退団公演が近づき、ついでに集合日も近づき、落ち着かない緑野です。
 集合日……まっつは大丈夫だよね? ね? あああ心臓に悪いったら。

 博多座星組公演初日おめでとうございます。
 駆けつけたいのはやまやまだけど、今年は無理ですよ。オサ様にいくらかかるかわからないんだもん……TCAチケットが友会で当たったら博多行っちゃおうかなとか、それでもひそかに野望を抱いていたんだけど、ハズレたので無理ですわ。TCAチケを無理にでも購入するなら、博多までの旅費やチケ代は吹っ飛びますもの。

 TCAはもちろんカウントダウン中であるオサ様目当てでございますが。
 まっつファンとしても切実です。まっつはナマでなけりゃ見られないんだもの。中継やテレビのカメラは映してくれないんだもの。
 まっつまっつまっつ。立ち見でいいんだっ、2階席の隅でいいんだっ、なんとかして劇場に潜り込むんだ、がんばれわたし!(と、わたしの周囲はみんな言っている……お目当てはみんな別なんだけど・笑)
 ……オサ様チケット難民はTCAからスタートを切りました。はい。

 でもって本日、友会のお知らせが届いたわけなんですが。
 それにはもう、花組東宝公演の申し込みが載っているのですよ。
 前回のお知らせにはない、前楽の枚数制限も記載されており、近づいてくる「現実」に打ちのめされるわけですよ。あああ、たのむよ友会、当たってくれえ。わたしにオサ様を見送らせてくれえ。
 言霊頼みだ、当たれ当たれ、オサ様オサ様。

 さて、そのお知らせに載っている、『アデュー・マルセイユ』のあらすじ。

 いつもは前もってそんなもん読まないんだけど、前回のお知らせのあらすじを読んで、ここでネタにしちゃったこともあり、なんか気になって目を通してみた。

 あ、あれ?

 ロマンチック・ミュージカル??
 
 ちょっと待て。
 たしか恋と友情のアクション・コメディだったはずじゃん?!

 前回のお知らせも引っぱり出した。
 ふたつを見比べてみる。

 さらに、公式に行ってそこに載っているあらすじをチェックしてみる。

 ぜ、ぜんぜんちがってますがな……。

 来週集合日だって聞いてますけど? 今ごろこんなにストーリー変わって大丈夫なんか小池??

 同じなのは幼なじみ設定のみ?
 港町の悪ガキ、ジェラールはシモンをかばって捕まる。

【旧設定】ジェラールとシモンは、その後も同じ街で過ごす。ジェラールはレ・ボッシュ組の若頭に、シモンはラ・ルージュ組の若頭になる。

【新設定】ジェラールは少年院を出たあと行方不明。密輸商として故郷へ帰ってくる。シモンはオリオン組のボス。オリオン組は港の覇権をめぐってスコルピオン組と対立中。

 ギャング組織の名前は変わっているし、組織のボスと若頭って似ているよーで意味合いから違ってくるよね?
 幼なじみで一緒に成長したのと、大人になって再会、はまたまーったく意味がチガウ。

 なによりも、ヒロインの設定が全部まるっと変わっている。

【旧設定】アメリカのマフィアに誘拐されていた富豪令嬢マリアンヌ。わがままでおてんば、護身術に長けている。

【新設定】婦人参政権運動の活動家マリアンヌ。汚職事件の最中、狙撃された元市長の娘。

 おてんばお嬢様と、つらい過去を持つ自立した大人の女性?
 あの、いくらなんでもありえないくらい変わってますが。

 そして、物語の中核をなすドラマ、ストーリー部分が全部チガウ。

【旧設定】レ・ボッシュの幹部ルイがアメリカ・マフィアと通じる裏切り者で、彼の陰謀によりジェラールとシモンがぬれぎぬを着せられる。マルセイユのギャングすべてがジェラールたちの敵に。悪者ルイをやっつけて、アメリカ・マフィアを撃退し、マルセイユを守れるのか?! そしておてんば天使マリアンヌとの恋は??

【新設定】婦人参政権運動、市長の汚職事件(?)、市長狙撃の銃撃戦。マリアンヌもジェラールも、その政治絡みの悲惨な事件の被害者。

 あのー、すごくダークでヘヴィになってますけど。
 政治とそれゆえの暴力事件が絡んで来ると、重いってばよ。

 ほんとに、同じなのは幼ななじみ設定、だけだよ……。

 てゆーか、導入部分の出来事紹介と雰囲気説明ばっかで、肝心のストーリーはほとんどなにも説明されていないんだ、新あらすじ。
 とりあえず、「過去を背負った男が、恋人を助け、腐敗した故郷の裏社会に立ち向かう」そうですよ。
 んじゃやっぱり政治絡みで、「ギャングスターにあこがれて★」な話ではないな……。
 最初のギャング設定が足枷にならなきゃいいけど……(例・最初の妖精設定が足枷に、すべてをぶちこわした『JAZZYな妖精たち』)。

 や、サムいコメディ(小池のコメディはサムいと決めつけている)より、ロマンチックな方がいいんですが。その方がいいけど、根っこから変わると、不安ばかりが先に立つ。

 てなことをミクの方で取り急ぎ嘆いてみたら、BENさんがすかさず「紫吹淳の退団公演の時は集合日に本が出来てなかったです」と追い打ちをかけてくれるし!!

 頼むよ小池先生。
 『あさきゆめみしII』の駄作ぶりでもー消耗しきってるんだよ。『あさき』に比べれば『NEVER SAY GOODBYE』も『MIND TRAVELLER』も十分許容範囲、小池万歳! つーことで望みをつないでいるので、なんとか踏ん張ってほしいっす。
 どきどきどき。

 あ、壮くんに世界征服企ませてくれたら、ソレだけで全部許します(はぁと)。


 花組は、弱肉強食である。
 本公演でも、若者たちはスキあらば客席アピールに余念がない。
 花組『ハロー!ダンシング』もまた、出演者たちが実にイキイキと自己表現していた。

 幕が上がるなり、戦闘開始。

 予備知識ナシだったので、冒頭のニューヨーク公演再現ダンス場面、まずセンターの弱さにびっくりし、すぐにセンターを喰う勢いの周囲に拍手した。
 まあこの場面はどーしたって真ん中が要で、彼に求心力がないと散漫になってしまうんだけどね。
 ソレはもう仕方ない。月組だってこんなもんだったさ、とあきらめつつ。
 月組よりバラバラに見えるのは、センター以外がうるさいせいだろう(笑)。
 みほちゃんって、こんなに派手な人だったんだ。
 安定感のあるダンサーだと、漠然と思ってはいたけれど。弱いセンターを支える……というか、喰ってますなあ、華やかさで。
 しゅん様が堅実に踊り、ちゃーがたおやかに踊り、マメとだいもんがやたら濃く「演技」している。らいとネコがキザっているし、いやそのキミたち、いちいちキメ顔作るのってどうなの。
 アピール強いよみんな、うるさいよみんな(笑)。

 かりやんがこんなに「真ん中」ができない人だとマジ知らなかった。ダンサーとしての技術と、「センターに立つ」ことはまったく別なんだと、改めて痛感。
 他の場面ならまだ誤魔化しもきいたかもしれないが、この冒頭場面だけは無理だ。華のなさ、度量のなさがまんま剥き出しになり、本人的にも作品的にも気の毒なことになってしまった。
 舞台ってのはこわいところだなー。

 最初にがつんと空気を掌握するためのプログラムだ。そこがバラバラではじまってしまった花組『ハロー!ダンシング』。
 それでもテンションだけはやたら高い(笑)。

 最初の狂言回しコンビは、ののすみちゃんとしゅん様。
 ののすみキュート! しゅん様大変!!
 しゅん様は鈍くさい人なんですか? 手順に追われまくって、すっげーあたふたしているよーに見えたんだが……。バイオリンも音と合ってないし。てゆーか音が終わる頃によーやく弾きだしていたよーな。
 顔だけ落ち着いて、カラダは大騒ぎしている風なのがもお(笑)。

 黒尽くめで踊るパッショネイト・ダンス、センターはちゃー。
 彼も決して「強い」センターではないんだが、これくらいの空間を率いることはできる。かりやんも、センターの横にいてくれると、その美しさが栄える。
 てゆーかここ、ナニ気に女の子たちが強い気がする……。情熱的に発散するモノが、女の子の方が強く打ち出しているよーな。

 青の洞窟では、二枚目のマメを堪能。や、しゅん様とみほちゃんもいいんだけど、本気で耽美しているマメは見物でそ? 悩ましいですよ、彼!

 狂言回しその2、センターはだいもん。ひめかちゃんと初花美咲ちゃんを率いてます。
 だいもんが、すげー自然。
 センターで歌い、踊ることが「ふつー」っぽい。通る声、あでやかな表情。空気を動かす気力のみなぎるエンターティナー。

 初花サンは元気にアピール。大きな表情、かわいい笑顔。これで痩せてくれれば文句ないのになー。でも『TUXEDO JAZZ』のラインダンスのときより細く見えるから、アレは衣装も悪かったんだと思う。
 ひめかちゃんはおとなしめ。というか、表情弱い? でもスタイルよくてすげー美少女だー。

 『Young Bloods!! 』再現場面は、何故か月組から「スチーム・ヒート」。
 おどろきました。や、だからわたし、なにも予備知識なくて。ここで月組のコレが来るとは思ってなくて。

 てゆーか。

 らい、衣装似合わなさすぎ。

 男女関係なく同じ衣装、朱色のパンツと、ジャケットを象ったシャツ、どっちもぴちぴち系。加えて同色の帽子。全員が女の子なんだろう、曲線のあるカラダのラインもあらわに、コケティッシュに踊る。
 最初に登場するのが、らいで。

 オカマ、キターーッ!!

 いやその。
 すべての男役が、同じことをやっているのに、らいだけ何故あんなに特異に見えるんだ?
 永井豪の描く、タカラヅカ・スターみたいだ。

 あ、『デビルマン』等で有名な漫画家の永井豪氏の作品『バイオレンス・ジャック』に、いかにもなタカラヅカの男役がいます。マンガではモロな台詞はなかったけれど、ノベライズの方に「タカラヅカの出身か?」という台詞もあった。バイオレンス・ジャックがヅカを知っているという事実にウケたのでおぼえている。

 最初に出てくるのがらいでなければ、その他大勢でまぎれて出てきてくれればそこまで目を引きもしなかったかもしれないが……。
 最初なんだもん。
 3人で出てくる、最初のひとりなんだもん。一緒にいるのは、みほちゃんとかりやんか? らいに釘付けで、おぼえてない……。

 後ろ姿が凶悪。腰のところに、かわいらしいリボンがついてるのよー。らいがもー、似合わないのよー。

 たとえばマメは着こなしているの。
 あの微妙な衣装を。
 キュートなの。
 腰のリボンがかわいくて仕方ないの。
 しゅん様まで行くとゴツいもんで、別モノとして「アレはアレでアリ」だと思えるの。
 らいのあの微妙さはなんなんだろう。

 今回とくにらいを「ケロに似ている」とは思っていなかったのだけど。
 女装の微妙さ加減が、ケロに似ている。と、とっても肩を落としてしまいましたよ……。
 女装したケロに似てる。胸がもにょもにょする、この受け取る側の感想が似ているっ!!

 そんなとこ、似なくてもいいのに……。

 胸のラインがばっちりわかるこの衣装、ゆまちゃんが、すごいことになってました。

 すげー質量。
 メロンふたつ入ってるよありゃ。

 と、ゆまちゃんの胸を語ったところで、長くなったので別の日欄へ続く。


 花組『ハロー!ダンシング』を考える。

 星組はあかしという「スター」を真ん中に据えた、「ふつーのタカラヅカ」だった。
 雪組はせしるを真ん中にしたかったけれど無理だと判断、座長で職人のゆめみちゃんが消去法でとりあえず、せしるができないことを代わりにやる。
 宙組は座長のすずはるきオンステージ。
 月組は固定スターなし、場面ごとに別の人がセンターで「正しいワークショップ、お勉強の場」。

 組ごとに意味合いがちがい、そのたびにわたしはいろいろいろいろ考えすぎて(笑)混乱してきた。

 それでも。
 『ハロー!ダンシング』はとりあえず「ワークショップ」で、通常のバウ公演や新人公演で主演するよーな人は出演しない、というコンセプトだけは守られていたと思う。
 どの組にも「路線ポジション」の男の子がいるが、彼らもまだこれからの存在で、今現在新公を含め主演はしていない。
 将来は主演するかもしれないけれど、現在まだ経験がないわけだから、彼らには二枚目らしいオイシイ場面はさせるけれど、「公演」を支えるのは彼らとは別の上級生だ。「職人ポジション」の生徒(男役・娘役両方あり)ががっちりとその実力で公演自体を締める。

 このラインだけは、たしかだった。

 星組は路線ポジを「スター・ポジション」に変換、あかしがスター&職人、両方のポジションを圧倒的な熱量で演じきった。
 雪組では路線ポジがせしる、職人ポジがゆめみちゃん。せしるの力不足を、ゆめみちゃんが補うカタチ。
 宙組では路線ポジが大ちゃん、職人ポジがすずはるき。大ちゃんは花として添えられる程度、すずがスターとして大活躍。
 月組では路線ポジが流輝くん、職人ポジがちわわちゃん。ただ月組は場面ごとにセンターが変わるので、路線だから職人だからとそれほど突出した役割はナシ。

 組によって配分は変わったけれど、路線ポジ、職人ポジはあった。それを基本ラインとして、同じ演目をやってきた。

 それが、花組は。

 まったく、ちがった。

 まず、路線ポジが。
 本公演2番手、新公主演、バウ主演と、トップスター街道をひた走っている生徒だった。

 ……ワークショップなのに。主演未経験者のみの舞台だったはずなのに。

 いやあ、見事にこれまでのコンセプトが崩れましたよー。
 劇団、ナニやってんだかねえ。

 花組『ハロー!ダンシング』は、とてもいびつだった。
 全組観てきて、ラストにこんなことになるのかとおどろいた。
 今までの4組の公演全部を、最後に否定しなくてもいいだろうに。

 最後の花組で主演経験スターに主役をやらせるってことはさ、それまで未経験者にやらせてきたことが「よくなかった」ってことにも取れるじゃん。
「やっぱスター以外に主演をさせる意味はないな」
 って判断したのかと思えるじゃん。
 三部会開催を謳いながら、平民議員を閉め出した『ベルサイユのばら』の有名場面みたいねー。

 はい、花組は路線ポジが、野々すみ花でした。

 ワークショップとしての『ハロー!ダンシング』の位置づけが、大きく揺らぎました。
 もちろん、すみ花ちゃんはまだまだこれから経験を積んでいくべき若手なので、そういう意味ではワークショップ出演は正しいのだけど、「主演経験スター」であるという意味では、彼女が今さらワークショップごときで主演をする必要はなかった。

 いやあ、このゆがみによる、構成と公演自体に対する影響が大きくてねえ。

 他4組と比べ、花組の構成があまりにいびつなので、いろいろいろいろ考えちゃったのよー。

 結局のところ劇団は『ハロー!ダンシング』なんて公演、どーでもいいと思っていたんじゃないか。
 だから最後にこんなことになったんじゃないか。

 つまり。
 まず、野々すみ花ありきだった。

 ワークショップだとか『ハロー!ダンシング』だとか、演目はどうでもよかった。
 野々すみ花に、「ショー」で「真ん中」経験をさせたかった。彼女は大切な大器だからだ。男役スターと同じように育てる必要があった。
 だからたまたま『ハロー!ダンシング』だった。他に手頃なモノがあれば、それでもよかったけれど、コレしかなかった。『舞姫』はフィナーレがなかったし。
 手っ取り早く、『ハロー!ダンシング』を利用することにした。

 これくらい、ナニも考えず、『ハロダン』なんかどーでもいーと思ってやったんじゃないかと思う。
 そしてそれゆえに、さらにゆがみが広がる。

 ののすみ主演にすると、『ハロー!ダンシング』的にはおかしい。
 他組とのかねあいがある。
 花組だけトップ路線スターのステージにするわけにはいかない。
 ののすみはあくまでも、「ふつうの下級生娘役」でしかないふりをした。
 表向きは他組と同じ、新公で3番手以下経験しかないだいもんを路線ポジに置く。
 さらに他組と同じように全体を締める職人が必要だ。最上級生で能力のあるみほちゃんがいるが、なにしろだいもんは「言い訳」に路線ポジとして使うだけで、真の主役は娘役のすみ花ちゃんだ、職人ポジまで娘役だと「主役−娘役、2番手−娘役」になってしまう。
 だから職人ポジは、なにがなんでも男役でなければならなかった。

 それで、かりやんになった。
 たとえかりやんにセンターを努めるだけの度量がなくても、やらせるしかなかった。
 
 ……とゆー流れだったのではないか。

 と、想像しました。

 ののすみの「主演」としての出演はワークショップ的におかしいし、だいもんが路線ポジだとすると、職人ポジがかりやんであることがおかしい。ゆめみちゃんやちわわちゃんがやっているんだから、みほちゃんでいいはずだ。

 そーなんだ。
 かりやんが職人としての任を果たしてくれていたら、ここまでは考えないんだが。
 「できない」人に何故やらせるのか? それがすっげー疑問で。

 や、かりやんがここまで「真ん中」ができない人だなんて、知らなかったよ。ふつーにできると思っていた。
 研10にもなる男役で、美形ダンサーとして組ファンに愛されてきた人だ。
 「真ん中」がダンス技術とは別の特殊スキルだとはわかっているが、ゆめみちゃん(同期)とすず(1期上)がやって見せてくれたあとだ、かりやんにもできると思い込んでいた。
 あかしと比べるのは酷としても、本公演では群舞の中のひとりに過ぎない、センター取って踊ることなんかなかった、新公で路線役をやったことだってないか、ほとんどないくらいの、ゆめみちゃんとすずができたことだよ?(月組は場面ごとにセンターがチガウので除外)

 せしるや大ちゃんだってそりゃーもーダメダメっぷりではえらいことになっていたけれど、彼らは路線ポジだ。ダメでもこういう場数を踏んで成長することを期待されている。ダメダメだとしても、それははじめから許されている。
 だが、職人ポジはチガウ。華担当のなにもできない子を助け、公演自体を支えなければならない役目なのに。

 他に誰もいないならともかく、立派に座長を務めるみほちゃんがいる。
 何故わざわざかりやんでなくてはならないのか……ののすみの主演っぷりと合わせて、花『ハロダン』のいびつさ、奇妙さなんだよなー。

 や、ののすみにもかりやんにも、生徒個人にはなんの含みもないよ。
 
 ふつうに、路線ポジだいもん、職人ポジはみほちゃん。かりやんは他の生徒と同じ、場面ごとに1回だけセンター。ののすみちゃんもすごーくオイシイ場面で1回センター、もしくはいい場面センターのオイシイ相手役、にすればよかったのに。

 なんでここまでワークショップとしてのコンセプトをぶっ壊してんだ、花『ハロダン』?

 
 とまあ、興行自体への謎はやーっぱり深まったけれど。

 花『ハロダン』が、すごくたのしかったことは、事実だ。

 たのしーたのしー、きゃー。
 みんな大好き〜〜!!

 という話は、また別欄で。


 いやあ、萌えの宝庫だったりしたんですよね、花組『ハロー!ダンシング』
 腐女子系の萌えではなく、ミーハー萌え。きゃーたのしい、きゃー素敵、てなミーハー萌えです。

 たのしいたのしいたのしいっ。
 なんでこんなにたのしいんだ花組『ハロダン』!!

 でもってちょっくらミーハー話。

 夕霧らいが、かっこよかった。

 つってもさ。
 ふつーの意味でかっこいいのかというと、ちょっと微妙。
 でも、かっこいい。
 らいは、実力や容姿、ポジションも含め、トータルして「夕霧らい」としてかっこいいんだ。

 わたしがらいを個別認識したのって、いつだっけ?
 とりあえず若手で美形なので、早くから目にはついていた。
 ケロに似ている、と思うこともあるわけだから、同じ美形でも好みの顔立ちなんだろう。や、特に絶対好みだとは思っていないし、普段それほどケロに似ているとも思っていないんだけど。

 それまでも個別認識はしていたけど、最初に「あの個性」を認識したのが、『エンカレッジコンサート』のスカステのインタビュー。
 みんなふつーにマイクに向かって意欲を語っているなか、らいはアホみたく、かっこつけていた。サングラスをすちゃっと取って流し目で「夕霧らいです」。
 本気でかっこつけているわけではなく、ネタとしてやっている。悪ノリとか、そーゆー感じ?

 アホやな、こいつ。
 そう思うことは、べつにマイナスの意味でじゃない。
 芸能人である以上、自分のキャラクタを演出していい。それが合っているか、成功するかは別問題として。
 わたしは舞台の上のらいしか知らないので、わざわざサングラスをかけてポーズをとってからインタビューに答える様を、「ふーん」と眺めた。そういうキャラなんだ、と。

 以来、「そーゆーキャラ」だとわたしが気づくくらい、らいはわっかりやすくキャラを演出し、一貫してくれている。

 そーゆーキャラ……。
 「かっこいい」「二枚目」ではなくて。
 「かっこいい、と思わせるポーズを取る」「二枚目気取り」という、キャラクタ。
 わざらしくいちいちカッコつける、ことによって笑いを取るタイプ。

 素で「かっこいい」「二枚目」までならいくらでもいる。元が多少劣っても、路線と呼ばれる人や上級生になればそういったカタチで自己プロデュースすることで、輝く人がいくらでもいる。
 なんでいくらでもいるかというと、ソレが王道だからだ。
 タカラヅカ・スターたるもの、かっこよくて二枚目で当然だから。

 しかしその「かっこいい」「二枚目」を、「演出する」こと自体をウリに……というか、ウケを取るネタにしているジェンヌというのは、けっこうレアだと思う。

 スターだとか上級生には、たしかにそのテのタイプもいる。
 いかにも「タカラヅカ・スターです」というように、わざとらしく大きく足を組んでみたり、帽子のつばを指でなぞってみたり、そーゆー「ザ・男役」ポーズを取ってファンをわかせるのは、ふつーにあることだと思う。
 だがらいは、そーゆーカテゴリともまたチガウんだよなー。

 だってらい、スターぢゃないもの。

 組ファンには愛されていると思うけど。
 組ファン以外、ふつーに「全組1回は観るわ」てな程度の人に、顔と名前知られてるか?
 広大な大劇場で「あ、あそこにいる」って見つけてもらっているか?

 知名度相当低いでしょ? ライトファン、他組ファンには。

 ライトファン、他組ファンにまで認知されるためには、新公主演するとか出版物にちょくちょく載るとか、劇団の意思表示が必要だよね。

 そして今のところらいは、劇団から「スター」としての扱いは受けていない。
 新公でもバウなどの小人数公演でも路線の役はつかないし、今回の『ハロダン』でもいわゆる「センター」はナシだ。

 それでも。
 スター扱いなんかまーったくされていなくても。

 夕霧らいは、「スター」である自分を演出する。

 かっこつける。
 かっこいい、ではなく、「かっこつける」。

 キザなのではなく、わざとらしくキザるところが、彼の個性、彼のウリ。
 「わざとやっている」ことが、彼のステイタス。

 「タカラヅカ・スター」というカタチがまずあり、それを逆手にとってたのしんでいる風なのが、気持ちいい。

 バリバリの路線スターでこーゆー個性で売るのはアリだろう。わざとかっこつけてウケを取って。
 でも、路線でもない脇のその他大勢の下級生が、誰も見ていないかもしれないのに、ひとりでかっこつけてるんだよ?

 だから、夕霧らいはかっこいいんだ。

 彼はね、「タカラヅカ」だと思うの。
 タカラジェンヌのすごいところは、舞台のどんな隅っこ、ライトの当たらないただの人数合わせみたいな扱い受けているモブのひとりひとりまでが、舞台を愛し、タカラヅカを愛し、一生懸命努めていることだと思う。
 スターだから素敵なんじゃなく、ひとりずつが懸命に役割を果たし、熱を放出することによって、真ん中のスターが輝くの。

 脇なのに、名もなき下級生なのに、それでも「タカラヅカ・スター」として自分を演出し、「かっこつける」ことを信条とするらいが、かっこいい。
 バカみたいに見えるけど。いじわるな見方をすれば、なんの結果も出せないのにひとりでかっこつけてキザっている姿は滑稽かもしれないけれど。実際、ネットのどこかで読んだぞ、らいのわざとらしいキザりやスタンドプレイぶりを「カンチガイしてんぢゃないの?」的に書いている人がいるの。や、そう思う人がいてもおかしくないと、わたしも思う。
 それでもなお、キザりつづけ、ポーズを取り続けるらいが、愛しい。

 本来の性格とかの話じゃないよ。「らいくんはお茶会ではほわわんとした、かわいい天然さんなの」とか、「素はとても謙虚な人なの」とか、そーゆーことではなくて。
 舞台とそれに付属する部分の話。

 徹底した、自己プロデュース。
 夕霧らいは、こーゆーキャラクタ。
 キザること。カッコつけること。
 「スター」として在り続けること。

 脇だから路線外だからとか関係なく。

 与えられたわずかなチャンスに全霊でぶつかる。キザる。
 実際にキザかどうか、カッコついているかどうかは置いておいて。
 その心意気ごと、素敵だと思うんだ。

 あー、もー、らい好きだー。

 そしてわかってくるんだが、らいって実力はええっと、あの、けっこうアレだよね? ダンスにしろ歌にしろすごくうまいわけでもないし、芝居はまだまだアレだよね?
 でも、「男役であろう」「スターであろう」という意気込みゆえに、格好だけはなんとかなってるかな、てなあたりで。
 足りない分は熱量でなんとかしちゃうタイプだよね?

 今回の『ハロー!ダンシング』で。
 そのらいの「芸風」ごとたのしんだ。
 どんなわずかな見せ場でも、すかさずキザり、すかさずカッコつける。
 一貫したキャラ演出。

 彼の「本気」ぶりが心地いい。
 「スベったら恥ずかしい」とか思ってないよね。自己保身でまとまったりしないよね。

 「スター」の姿をアグレッシヴに表現してくれるから。
 ときめいちゃったよ。
 ショーの中の1場面なのに、本気で芝居してるよこの人。かっこいいとか思ってやってるよ。
 後半の組オリジナルのストーリー有りダンス、花組はののすみちゃん主演のミュージカルっぽい場面だったんだが。
 通行人を演じるらいの、かっこいいこと!!
 通行人ですよ、ただの。
 それでもかっこいいの。コートの中で手を広げて恋人に「おいで」とやる様がもお。

 あまりに胸キュンで、どーしよーかと思った。

 らいは、かっこいい。
 そのちとアレな実力や男役として美しい容姿、路線外というポジションも含め、それでも徹底して演出された「夕霧らい」としてかっこいいんだ。

 
 実は行ってました、「第3回轟悠個展『心の旅』」
 トークショーに行けるはずもないので、ふつーに絵を見てきただけです。

 コンセプトもなにも知らずに見た。
 今回は南の島なのね。
 どこか知らないけれど、外国。ただもうえんえん、南の島の海と空と自然を描き綴っている。

 轟悠の絵は、美しい。
 端正だ。
 とても美しく、生真面目で、面白味がない。

 とてもきれいなので感心するけれど、お金を出してまで欲しいとは思えないし、とくに「好き」だとも思わない。

 写真とどこがチガウの? それなら写真でいいじゃん。……みたいな。

 わたしの絵の好みとはかけ離れている。

 だからトドの絵の価値は、わたしにとっては「轟悠の絵」ということに尽きる。
 わたしがトドを好きで、トドに興味があるから、その絵にも好意と興味を持つ、という。

 描かれているのは、必ず風景。
 生物はほとんどいない。
 トド様は、「イキモノ」に興味がないのだろう。「描く」対象としては。

 トドの絵はいつも、空が大きい。

 今回は海と自然の絵ばかりだから、今までほどは目立たなかったけれど。やっぱり、空ばかり描いているよこの人。
 構図的にも故意に空の配分が大きくしてある。

 いろんな空を描く人だ。
 青空、夕焼け、さまざまな雲。
 なにもないはずの空間に、丹念に光を描き続ける。

 彼が描く「空」を、美しいと思う。

 
 タイトルがどんどんリリカルになっている気がして、そっちに気を取られた(笑)。
 どーってことない海の絵に、哲学的なタイトルがつけられてるのね。や、タイトルも作品の一部だから、絵自体で表現できない部分を、直接「言葉」に託すのはアリだけど、その割合が以前より多くなった気がした。
 タイトルをメモったりしていないんで例に出せないけど、たとえばふつーの海岸が描かれているだけなのに、「神の静寂」とタイトルされているよーなノリ。
 どんなふつーの絵でも、タイトルが神秘的だと描かれていること以上のナニかがあるように見える……てか?
 わたしにはよくわからなかったけれど。

 もっと絵を「見る」目のある人なら、なにか深いモノを感じられるのかもしれないけれど、わたしには猫に小判ですわ。
 ただこの美しい絵を、あの美しいヒトが描いているのだということ以上の感動はありません。

 真面目で面白みのないところや、融通のきかなさを感じて愛しくなるのみです。

 絵というジャンルは、もっと自己主張できると思っている。
 キムシンぐらい、自分を叫ぶことが出来るジャンルでしょうに。
 なのにトド様は、黙々と「美しいもの」を描き続けている。自己主張はひかえめに、ある意味不器用に。

 あの生真面目さに触れたくて、毎回個展に行くのかもしれないな。


恋文。

2007年7月27日 タカラヅカ
 自分でもバカだなー、と思うけど。

 自分の書いた『マラケシュ』感想を一気読みして、大泣きした。

 や、文章の出来云々ではなく、自分の感想を記したモノを読み返すことで当時の記憶がありありと甦ったのな。

 リュドヴィーク@オサの孤独な微笑みが浮かんできて。
 泣く、ことより、微笑む、ことの方がかなしい姿なのだと教えてくれた。

 リュドヴィークが好きだった。
 匂い立つ美しさと、凄絶な孤独。

 なにも欲していない、そのままの姿で満ち足り、完全体であるようでいて……明らかに飢え、欠け、ゆがんでいる。

 その哀しさ。美しさ。

 「アテ書き」として役者の本質を引きずり出す荻田浩一の容赦のなさ。

 DVD等記録された映像では補完しきれない多彩さ。リュドヴィークはそのたび別人で、作品のカラーは変化した。変化し続けた。

 最後に見たのが博多座だったので、その印象がもっとも強い。
 よりリュドヴィークの孤独が際立っていた「群像劇」版の『マラケシュ』。リュドヴィークを取り巻く4人の女とひとりの少年。リュドヴィークの影と、リュドヴィークを追い続けた者。
 より耽美に、より荒涼と、赤い砂漠が広がる。

 ギュンター@みわっちを殺すときのリュドが、こわかった。
 ナイフを構え、嗤う。
 嗤う。

 ……タカラヅカのヒーローが決してしてはならない表情。殺人を悦楽とする顔。
 なにかがぷつんと切れ、なにかがむきだしなった……そんな嗤い。

 それほどのゆがみ。それほどの孤独。

 オリガ@ふーちゃんが、イヴェット@きほちゃんが、ソフィア@彩音ちゃんが、アマン@ゆまちゃんが、レオン@ゆみこが、指をさす。なにもない、舞台の奧。砂漠の果て。
 蛇@としこさんが踊り、クリフォード@まっつが残る。リュドヴィークの消えた舞台。砂漠の果て。

 リュドヴィークが、好きだった。
 彼の孤独、彼のゆがみごと、好きだった。

 彼の生きる、世界ごと好きだった。

 もう二度と会えない。
 甦る記憶は、新たな喪失の記憶となる。

 思い出し、甦り、また失う。
 失うことがわかっていてなお、思い出す。

 彼を想うことはそのまま、もう会えないという事実の確認だ。

 自分でもバカだなー、と思うけど。

 彼を想って泣くことすら、愛しいんだ。

 いつまでも、彼を想い、泣き続けたい。
 
 
 ……ついでに。
 自分の過去日記読み返すことで。
 わたしがどれだけまっつ好きだったか、改めて思い知らされたりな。
 なにまっつのこと、どさくさにまぎれてイロイロ語ってんだこのヒト?!(まっつファンだと、今のような意味で自覚してないのに!!)


 萌えにはいろいろあるけれど。

 1ヲタクとして腐女子として、「そそる並び」とか「萌えるカップリング」とゆーものは、ふつーにあって。

 薄いカラダをした、「音楽やってます」系のおにーちゃんが歩いているわけだよ。
 きれいなおにーちゃんだけど、ちょい地味め。バンドやってても、絶対ボーカルぢゃねーなー、地味に後ろの方で楽器弾いてそーだーなー、という。

 その地味できれーなおにーちゃんの後ろから。

 派手なホストがぴったり歩いている。

 ふたりは連れ。ふたりは仲良し。
 生きる世界がチガウのに、生活時間も合わないのに、無理して逢瀬を重ねている。

 ホストの方が年下。
 ホストの方が、地味ミュージシャンに惚れている。

 ……という。

 瞬時に萌えストーリーがアタマの中を走っていきました、ある日の梅芸、『あさきゆめみしII』の客席にて。
 ケイ様、チケットありがとーございます。このときの座席が関係者入口のそばでねぇ……水曜日だったから、たくさんのジェンヌに遭遇できました。

 『Ernest in Love』のときだったかな、開演ギリギリに劇場に飛び込んだら、ほっくんたちバウ組の登場と同時になってしまって、ほっくんたち一行の中にわたしがうっかりまざって通路を歩くハメになってしまった……ということがあった。(超羞恥プレイ)
 それでおぼえた。ジェンヌが観劇する場合は、この扉から現れる。

 水曜日だから、誰か来るかな、宙組さん来るかなっ、とワクテカしつつ扉を見つめていたら。

 扉が開き、ゆみこが現れた。

 あっ、ゆみこだー。そっかぁ、水曜日だもんねえ、休演日だもん……え? ゆみこ??

 納得しかけて次の瞬間我に返り、二度見しました。

 ちょっと待て、ゆみこ今雪組だってば。

 雪組は東宝で公演中。ここは大阪。えええ??

 二度見する間にゆみこは目の前を通り過ぎ、彼のあと何人かおいて扉から現れたのは、らんとむだった。

 あ、らんとむだー。そーだよな、水曜日だもんねえ、休演日だもん……て、らんとむは宙組、ムラで公演中。彼が現れるのは不思議じゃない。
 しかし、ゆみこ??
 わたしの目の錯覚?

 混乱しました。

 や、いるはずがないと思っている人が現れたから。
 そののち確認し、たしかにゆみこであることがわかったんですがね。
 つか、わたしの席の前を数回通るわけだから、間違えようがない。

 ゆみこ、ひーさん、らんとむが一緒に観劇。……最初はひーさんに気づかなかった。ゆみこを二度見しているうちに通り過ぎちゃった模様。
 花組担当的には、ふつーの並びなんだが、よく考えるとめずらしい並び。
 だって、雪組、花組、宙組だよ。3人が3人とも組が別じゃん……。

 運命の流転っぷりを思ってほろりとしつつ。

 終演後はゆみことらんとむがツーショットで歩いてました。
 ゆみこの真後ろをらんとむが歩いているの。

 わたしは先に扉を出て、突き当たりの壁あたりで待っていたのね。せっかくだから横顔でないゆみこちゃんを見て帰ろうと思って。
 わたしと同じ考えのファンたち、カメラ小僧などがどんどん集まってくるなか、ベストポジションを確保。

 久々に見るナマのゆみこは、ほんとに薄いカラダをした、きれーなおにーちゃんで。
 女性として美しいかどうかは置くとして、男の子としては十分ハンサムな、好感度の高いルックスをしている。

 あー、ゆみこきれー。かっこいー。

 そう思って眺めていたら。

 後ろから、濃いぃ顔の、ホスト登場。

 らんとむ。
 ああ、らんとむ。

 どーしてあなたはそんなにホスト顔なの?!(笑)

 ゆみこがラフにシャツ姿なのに対し、らんとむは派手めのスーツをびしりと着用、アクセもジャラジャラ。
 北村一輝をホスト顔だと思うのと同じように、蘭寿とむをホスト顔だと思うわ。

 売れないミュージシャンゆみこと、彼に惚れて貢ぐ売れっ子ホストらんとむ。
 ゆみこがぞっこんメロメロな俳優オサ様の舞台観劇にも、こーしてナイトよろしくエスコートしちゃいます。てゆーか、ゆみことデートするために、「オサ様の舞台観に行かない?」って誘ったんだよな?
 カジュアルなゆみこに対し、「デートだ、キメるゼ!」と気合いの入りすぎたらんとむはつい「これから(夜の)仕事?」みたいなスーツ姿。ああ、ふたり意識の差が哀しい……。
 ……てなストーリーが、瞬時に脳裏に走りました。

 や、深い意味はないです。はい。

 
 その昔、宝ホでだったかどこでだったか、とにかくムラ周辺で。
 ゆみことらんとむのツーショットを見た。
 他にもジェンヌがいたのか、会の人がいたのかはおぼえていない。とにかく、わたしとツレがわかったのは、そのふたりだけだったんだ。

「あ、ゆみことらんとむだ」

 わたしとツレはわかったけれど、周囲のヅカファンたちにはわからなかったらしい。

「ねえアレ、生徒さんよね?」
「誰? ぜんぜん知らない」
「名もない人でしょ、すごく地味だし」

 近くにいた知らない人たちが話しているのが聞こえた。
 わたしとツレは、「あれは彩吹真央と蘭寿とむです、名もなきとか言われても、今バウホールでW主演してますっ」と、言い出せなくてぐるぐるしていた。

 言えないけれど、まあわたしたちも、彼らの会話に頷くところもあった。

 だって、すっごく地味だし。

 バウホール、サバキの嵐だし。世間的に無名な人たちで、日本物の芝居なんかやっても、そりゃ客は入らないよなあ……。や、作品はすごくよくて、観劇すれば満足できるはずとはいえ。

 ジェンヌをツーショットで目撃ってオイシイはずなのに、ゆみことらんとむじゃ、オイシくもなんともないなあ。
 わたしとツレは、そう言い合っていた。

 
 ……あれから何年?

 ゆみことらんとむがツーショット、って、激萌えなんですけどっ。

 一般ヅカファン的にも、ふたりが並んで登場して、拍手が(ちょろっとだけど)起こったりしていたし。

「ほら、雪組の彩吹さんよ」
 とか、周りの人が話しているの聞こえたし。

 タカラジェンヌとしての彼らの立ち位置も変わったし、ファンの認知度も変わった。
 わたしの意識も変わった。

 きゃー、ゆみことらんとむだー、うれし〜〜!!

 「好き」な人が増える、「好き」の濃度が上がる。
 長く生きていて、こんなにうれしいことはない。

 
 もっともっと、「好き」を増やしたいよ。

 もちろん、「萌え」もな(笑)。
 

 『あさきゆめみしII』がつらかったのは、もちろん駄作だったからだが、なによりやはり笑えないことが大きかったと思う。

 駄作は駄作でも、とりあえず爆笑することができるものはある。
 植爺作『ベルサイユのばら』とかな。壮一帆主演の方の『さすらいの果てに』とかな(キム主演のはチガウ)。

 複数回観れば、その壊れっぷりが不快で腹が立つだけになるだろうが、最初の1回はそのくだらなさとかバカっぷりに腹を抱えて笑うことが出来る。
 数分に1回の割合でツッコミを入れつつ、茶化して眺めることが出来る。

 ところが『あさきゆめみしII』には、ソレがない。

 ただ、不快なだけだ。

 
 『あさきゆめみしII』がどうダメなのか、もう論理立てて語る気にもならない。
 それ以前の問題だ。
 できるだけ作品そのままで、「ここをこうすればマシになる」とか考えるの大好きだけど、それすら考えたくない。
 1から作り直せ。そのひとことだ。

 
 すべてがダメダメなんだが、それにしてもひとつ、どーにもこーにも見過ごせないほど恥ずかしい欠点がある。

 他のダメな点は「そもそも物語を書けないのに、書いた」ために、構成やキャラクタがめちゃくちゃ、「物語」にすらなっていない、という素人丸出しの欠陥ゆえのものだ。
 だが、それとは別の、たとえ素人が作ったにせよ、どんなにめちゃくちゃであるにせよ、「コレをやると、すごく恥ずかしい」ことをやっているんだ。

 それが、某作品にインスパイアされたのが丸わかりで、安易に設定その他をパクッて、大失敗しているということ。

 某作品というのが『エリザベート』であることは、言うまでもないよな。

 マンガの『あさきゆめみし』とミュージカル『エリザベート』はなんの関係もない。
 なのに、まったく別の作品を勝手にミックスさせて、そして大失敗をしている。
 草野オリジナル・キャラクタ刻の霊は、『エリザベート』のトートのパクリだし、場面や台詞にも『エリザベート』を彷彿とさせるものがちりばめられている。

 パクリ、という言葉を安易に使いたくはない。

 この世の創作物すべて、真の意味でのオリジナルなんつーものは、ほとんど存在しない。
 みななにしから、影響を受けて創り上げられている。
 「似ている」ぐらいでパクリとは言わない。言ってはならない。

 元ネタがなにかわかることはあっても、それが別作品で別の意義で機能しているなら、それはパクリではない。
 想像のきっかけとなっただけだ。
 ……ただ、元ネタが誰にでも容易にわかる程度にしか料理できなかったとしたら、パクリではないが創作者として「格好悪い」と思うだけのこと。

 だが、草野の場合は。

 元ネタがなにか丸わかりなうえに、無意味にコピーしている。
 別の意義で別作品を作るのではなく、安易に「コレいいから、いただき☆」程度の安い感覚で、そのまま使っている。
 元ネタと、今の作品が合っているかいないか、ソレが必要かどうかすら考えず。ただ使いたかったから使った。

 それは、インスパイアではなく、パクリだろう。

 や、草野の本心なんぞ知らないが、そう思える程度の恥ずかしいパクリっぷりなんだわ。

 安易に人気作品をパクッてみました。
 国と時代とキャラ名がチガウから、パクリぢゃないよ、平気だよ。

 泣き虫でなにもできないダメっ子が、日常の中でのささやかな冒険や、仲間たちとの友情によって成長する物語、があったとする。
 ソレをアニメ化するにあたって、オリジナル要素を入れることにした。

 未来から犬型ロボットがタイムマシンでやってきて、ダメっ子に不思議な道具を与えて手助けする。

 だって、現代日本の日常の物語だもん、ドラマ性に欠けるしぃ、長い原作を2時間のアニメスペシャルにまとめるなんてそもそも無理だしぃ、脚色は必要だってば。
 パクリぢゃないよ、だって犬型ロボットだもん。

 ……犬型ロボットを出さなければ、描けない物語なのかソレは? ダメっ子が日常の中で経験する挫折や克服、友情は、ドラマにならないのか?
  
 安易に別の人気作品の主役キャラをパクる恥ずかしさ。
 作品の本質とはまったく無関係に。
 原作すらゆがめて。

 起承転結、時系列に出来事を並べることすらできないことも驚愕だが、他作品の主役キャラをパクってきてミックスさせる厚顔さにアゴが落ちる。

 『ベルサイユのばら』という長大な原作を2時間半にまとめるために、「時間の妖精」というオリジナルキャラを作って、トート閣下と『エリザベート』もどきの場面を作らないだけ、植爺はマシなのかもしれん……。

 モノを作れない、ことも恥ずかしいが、作れないうえにてきとーに他作品からパクる、というのは、もっと恥ずかしいことだ。

 
 「盗作」ではないよ。
 『あさきゆめみしII』と『エリザベート』、この程度の類似点では「盗作」にはならない。だってもともと原作『あさきゆめみし』と『エリザベート』は別の作品だから。

 だけど、恥ずかしい。
 草野が手を加えた部分、彼のオリジナル部分が。
 原作にないものをわざわざパクって付け加えるなんて、ふつーの感性なら思いつかない。原作をただ舞台化すればいいだけなのに。
 ただ舞台化、する能力がないから、よそからパクる。強引な合体で、原作が壊れても関係なし。
 すげえや。

 創作者としての、品性の問題。

  
 悪気はないんだろうな、草野せんせ。
 善良そうなおじさんだもんなー。


 ヘコんだときには、壮一帆。

 さて、『あさきゆめみしII』千秋楽、わたしは友人を待ちがてら出待ちをしてみました。つっても梅芸前の広場のベンチに坐っていただけなんだけど。

 ひとりぢゃ、とても出待ちしよーなんて思えなかった。
 オサメイトでまっつメイトの木ノ実さんと一緒だったから、ふたりで飲み物を片手(わざわざ買いに行った)にのんびりお喋りしていたのな。喫茶店で話すのも、楽屋口近くのベンチで話すのも同じなら、ここらでちょっと出待ちをしてみましょーよ。

 FC文化を知らないわたしには、会の人たちのスタンバイ場所がわからない。てゆーか楽屋口も「あのへん?」というくらいにしか知らないんだけど、とにかくまあ、人の多い方向を眺めつつ木陰のベンチで時間つぶし。
 友人に「MBS前にいるのがオサ会よ」と聞いたので、これまたなんとなーく「あのへんにいる人たちがそう?」ぐらいの認識で、そっち方面がにぎやかになったらベンチから立てばいいや、と、のんきにしておりました。

 実際そんな感じで、遠かったけれど、オサ様もまとぶんも、みんなみんな眺めることが出来ました。

 くす玉を割って、ご機嫌さんなオサ様はチョーかわいい。

 オサ様登場のときの盛り上がりを、MBSの隣にある消防署の職員さんが、ベランダから眺めているのがまた、シュールでついそちらも眺めてしまいました。
 制服姿の職員さん、見物するのはオサ様だけか……実はオサファンだったりして。つか、特等席でいいよなー。

 まとぶさんはやっぱずば抜けて美人。
 退場方向をまちがえて、テレながらわたしたちのいる方向へ歩いてきてくれて、すげーかわいい。なんかもー、ひとのよさがにじみ出ている?
 
 まぁくんとめぐむの同期コンビが目の前まで来てくれて、わたしと木ノ実さん、大喜び。
 まぁくん、かっこいいなあ。ありえねーくらいのスタイル美人。てゆーか、元気な少年に見える。
 めぐむは……いろいろ謎。ファッションもだし、年齢も性別も(笑)。

 次々出てくる人たちを眺め、出てくる人たちの舞台姿の感想なんぞを、木ノ実さんとつれづれに話しながら。

 わたしが待っていたのは、「見たい」と能動的に思っていたのは。

 壮くんだ。

 えー、パクちゃんがたびたびブログに書いていると思うけれど。

 男一匹、壮一帆。
 白丸首シャツが基本です。

 世のおとーさんが着る、アンダーシャツのよーな、白丸首シャツ。
 プリントなんかなにもなくて、「Tシャツ」というよりは、「下着」って感じの。
 うちの弟なんぞは、そのテの下着替わりに着る無地丸首シャツのことを「皮」と呼んでいるよ。第2の皮膚のように、いつも身につけるものだから。

 ふつーの女の子は、まず着ない。
 白無地丸首シャツなんか。
 男子なら、着るかもしれない。
 でも、昔のヨシダエイサクぢゃあるまいし、白無地丸首シャツしか、着ないなんて、ふつーの男子でもありえない。

 だが壮一帆はチガウ。

 男一匹ど根性。
 ふつーの男子が着ない、白丸首を愛用。
 稽古場風景写真を見ても、いつも着ている。
 男は白丸首、下着はグンゼ。てなノリか?
 あまりに男らしく、白丸首しか着用しないことが仲間内で話題になっていた。
 出待ちをした人から「壮くん、今日も白丸首!」と報告が入るよーになったくらい。

 だからわたしの出待ちの本命は、壮くん。

 正確には、壮くんが千秋楽も白丸首シャツを着ているかどうか。

 千秋楽だよ。
 ギャラリーの数も半端ではないし、場所は梅田で陽もまだ高い、不特定多数の人に見られること前提の特別な日。

 それでも壮くんは、男らしい白丸首を着て来るか。

 
 壮一帆は、男でした。

 ええ。
 すっきりさわやかな美貌でわたしたちの前に現れた壮くんは。

 白丸首シャツを着ていました!

「白丸首!」
「白丸首着てる!!」

 ……大ウケですよ、もお。
 前楽も白丸首シャツだったと報告受けてたし。

 毎日必ず白丸首シャツ着てるの?
 いったい何枚持ってるの?
 てゆーか、何故必ず白丸首シャツなの?
 そのこだわりは、いったい?

 なんて素敵なの、壮一帆。

 彼の周りを、さわやかな風が吹く。
 とびきりハンサムで、白丸首シャツで。
 フォークギターと白い歯の似合う男。

 癒されました。
 ダイスキだ、壮くん。

「公演が終わっちゃったね。これでまた、近づいていくんだね……」

 オサ様の挨拶を聞くことが出来るのは、次は退団公演の初日なんだ。
 木ノ実さんとふたり、しょぼんと話していたのに。

 壮くんが、救ってくれる。
 
 罪のない笑いを、あたたかいネタを、届けてくれる。

 ウケて、笑って、終わることができてよかった。
 さみしいまま、泣きたいキモチのままじゃなくてよかった。

 ヘコんだときには、壮一帆。

 大切なわたしの癒し系。どん底からすくい上げてくれる、白馬に乗った王子様。

 あんなにスタイル良くて、あんなに美形なのに。
 なのにいつも、白丸首シャツ。

 いつまでもいつまでも、マイペースな壮くんでいて。


「3階のお客さん、イェ〜〜イ!!」

 『あさきゆめみしII』千秋楽。
 涙が出たのは、この瞬間だ。

 何回目かのカーテンコール。
 総立ちになった客席に向けて、オサ様はほにゃっと笑って「やっちゃおうかなっ」という感じで前に出た。
 あうんの呼吸。
 ファンだけの空間。
 「お馴染みのアレ」です。

 そう。
 あれは2年前。
 同じこの劇場で、同じことをやった。

「3階のお客さん、イェ〜〜イ!!」

 寿美礼サマの声に応え、客席が声と腕を高らかに上げる。「イェ〜〜イ!!」と。

「2階のお客さん、イェ〜〜イ!!」
「1階のお客さん、イェ〜〜イ!!」
 
 春野寿美礼の導くまま、ひとつになる。
 立ち上がり、腕を振る。声を出す。

 狂乱のとき。
 幸福のとき。

 ただただしあわせに満ちていたコンサート、『I got music』。
 その千秋楽でもたしかに、同じことをした。

 ダイスキ。

 その想いを込めて、腕を上げる。声を出す。

 その同じ劇場で。
 別れのときを目の前にしているなんて。

 時の流れを想った。
 刻の霊なんてなくても、「刻」を感じることなんか誰だってできる。それがわからない演出家の無能さに歯がみしつつも、過去と現在を想う。

 二重映しになる世界。
 「これからも続く」ことがわかっていた、幸福な幸福な『I got music』。今現在の舞台がすばらしく、そしてこのすばらしい舞台を作り上げた人を、これからも観ることができるよろこび。
 ゴールの見えない高揚感。
 ついていく。
 この人に、ついていく。
 闇雲に思った。
 ダイスキ。好きであることがうれしい。

 春野寿美礼に出会えてうれしい。

 オサコンはターニングポイント。博多『マラケシュ』とオサコンで、わたしの人生変わったからなー。オサコン追いかけて東京行くくらい、ナニかスイッチ入っちゃったんだよなー。や、その前に『マラケシュ』追いかけて博多まで通っていたけれど。

 オサコン『I got music』は、しあわせの記憶。
 ただただ幸福だった、せつない想い出。

 しあわせな記憶こそが、泣けてくるのは何故だろう。
 かなしいことなんか特に思い出さないけれど、幸福な思い出は何度もよみがえり、胸を締めつける。涙を流させる。

 オサコンのたのしさが、愛が、せつなくてたまらない。

 あの日、たしかにこの場所で。
 同じように、声を出した。

「3階のお客さん、イェ〜〜イ!!」

 あの日は3階席で。
 よりによって1列目だったから、立つと手すりが膝くらいまでしかなくて、こわかった。それでも腕を上げて「イェ〜〜イ!」と応えていた。
 隣にいるのは初見のチェリさんで。たしかチェリさんに取ってもらったチケットぢゃなかったっけか。

 今回は1階席で。
 オペラグラスのいらない、ありがたい席。それでもわたしはオサ様が出てくるとオペラを握りしめていた。
 隣にいるのはやっぱり初見のチェリさんで。チェリさんに取ってもらったチケットで。……チェリさん、オサ様運アリ過ぎ?

 舞台の上のオサ様は同じ、隣に坐っている友人も同じ。
 束の間のタイムトリップ。

 あのとき。
 春野寿美礼をすごいと思った。
 もともと実力は認めていたけれど、そんな認識を吹っ飛ばす勢いで、さらに感服した。
 たしかな技術と空気を動かす力、世界の中心がどこかを示す力、圧倒的な一方的な、ある意味暴力的なまでの大きな力なのに、乱暴にはならない、一種の愛嬌というか、かわいらしさを持つ芸風。キャラクタ。
 それらすべてに、打ち負かされた。ひれ伏した。

 春野寿美礼は、すごい。
 この人をすごいと認め、その前にひれ伏すことが、誇りになる。
 春野寿美礼と出会い、彼を愛することのできたわたしは、その事実に胸を張ることができる。
 彼を知らずに、彼を愛さずに生きることより、はるかに豊かなものを得られたからだ。

 線目をタレさせてくしゃりと笑う、一般的な美形ラインからははずれているよーな笑顔も、軟体動物系くねくねナルシー芸も、愛しくてならない。
 こんなに愛らしい、美しいイキモノがいていいのかと思う。
 好きで、好きで、終わって欲しくなくて、「今」が永遠に続けばいいと思った。

 オサコンは上演時間がどんどん延びていったね。梅芸楽は30分押しだっけ? 東京楽は1時間押しになったんだっけ?
 終わって欲しくなくて、永遠が欲しくて、拍手をし続けた。

 や、あのオサコンでわたし、まっつオチしたんですけどね。だからこそほんとに「終わらないで」と願った。
 まっつオチと、寿美礼サマへの傾倒は表裏一体で。離して語れるものではなくて。

 『あさきゆめみしII』千秋楽。
 ビミョーな黒髪ロング鬘姿のオサ様が、くしゃくしゃに笑っている。

 愛しいキャラクタが、「イェ〜〜ッ!!」と叫んでいる。

 好きで。ダイスキで。
 愛しくて愛しくて。

 このひとが、いなくなってしまうんだ。
 その事実が痛い。

 あの日の幸福さが、痛い。
 

「緑野さん、コレを複数回観てるんですか」

 ……って、そーだよ、複数回観てるよ。
 観てますよ、仕方ないじゃん、うわああぁぁあん!!

 
 観劇した人たちがもれなく「聞きしにまさる駄作」と嘆息する『あさきゆめみしII』

 あまりに全員同じ言葉から感想を語るので、「誰かどっかで『お約束』にしているの?」って思うくらい、友人たちはみんな観劇後に「聞きしにまさる……」って言うのよ。
 人間の語彙を奪うってすごくね?

 1回観ただけで辟易、観劇することが時間と金の無駄に思える、驚異の大駄作。

 そんな最悪作を重ねて観ているんですよ、オサ様への愛ゆえに。
 オサ様じゃなかったら、オサ様が退団じゃなかったら、二度と観るもんかぁああ。号泣。

 
 今年の駄作ランキングNo.1を『パリの空よりも高く』と『バレンシアの熱い花』とこの『あさきゆめみしII』とで争っていると前に書いた。
 それは自分的に冷静になろう、客観的になろうと努力してのことだ。

 わたしは『あさきゆめみしII』がいちばん許せなかった。
 だが待てよ、それは私怨が入ってないか? 贔屓組の花組で、オサ様主演で、しかも退団まで間がないオサ様の貴重な1作がコレだってことで、作品以外の部分での憎しみゆえに、嫌悪感が大きくなっているだけじゃないのか?
 『パリの空よりも高く』だって『バレンシアの熱い花』だって、ひどい話じゃないか! ストーリーガタガタ、ヒロイン不要、起承転結崩壊、キャラクタ人格破壊の『パリ空』、主人公がバカか卑劣の二択か両方、逆ツボの偽善者とそれをマンセーする世界観、散漫で全部が中途半端、古くさい紙芝居の『バレンシア』。このふたつと比べて、『あさきII』はそんなにひどい話か?

 ひどいよ。

 初日を観たときは、わたしの私怨ゆえかもしれないと思ったさ。それくらい、怒りも絶望も深かったからな。
 でも、日が経つにつれ、観劇した友人たちが次々に「聞きしにまさる……」と言うのを聞いて、客観的に観ても、駄作なんじゃん!と、自信を持ちました……。

 自分の判断力を見失うくらい、混乱しましたことよ。

 とくにkineさんに同意を得て、よーやく納得しました。『あさきゆめみしII』を最悪だと思うあたしはまちがってない、私怨だけじゃない、と。

「だって『あさきゆめみしII』は、物語にすらなってないじゃないですか。『パリ空』と『バレンシア』は最低限、物語にはなっていたから、比べる次元からしてチガウ」

 その冷静さと賢さに定評のある友人の言葉に、霧が晴れる思いです。
 そして、冷静な友人は、感情的に「草野許すまじ!!」と叫ぶわたしとちがい、「いちばん悪いのは、この企画を通した人間」と指摘。

 他に比較するものがなく、なんでもありがたがられたモノのない時代に「おいしい料理」を作ることが出来た老料理人が、そのままの感覚でこのモノのあふれかえった現代に作った「まずい、時代遅れの料理」。

 料理をしたことのない、包丁すら握ったことのないふつーのおっさんが、「米って洗うんだっけ? 洗剤はどれ使えばいいんだ?」レベルの知識でてきとーに作った「料理とも言えない、そもそもコレ食べたら腹こわすだろ、な料理」

 どちらも金を出して高いレストランでわざわざ食べたくはないが、最低限、前者の料理はまずくても腹をこわさずにすむから、「料理」と呼んでいい。

 そして、米を洗剤で洗ったよーな料理を、レストランで客相手に出すことは許せないことなんだが、ここでいちばん悪いのは、料理に無知なおっさんではなく、そんなただのおっさんに商売用の料理をさせた店のオーナーだ。

 たしかに、草野は愚鈍だ。
 少しでもセンスがありゃあ、あそこまでひどいものは作らないだろう。

 だが、いちばんの問題は、無能な者に演出をさせたことだろう。

 たとえ草野が「やりたい」「自信がある」と言ったとしても、経営側がソレを止めるべきだったんだ。
「キミには才能がない。商売として成り立たないから、キミに任せることは出来ない」
 と、言い渡すべきだった。

 プロ用の厨房とすばらしい食材があったって、「米って洗うんだっけ? 洗剤はどれ使えばいいんだ?」レベルの人間がなにをしたって、それはそもそも「料理」にはならないのだから。
 レストランで客に喰わせていいものじゃないから。

 真に憎むべきは、演出家の草野ではなく、彼に無能ぶりを遺憾なく発揮させた劇団である。

 
 と、理解してなお、感情はおさまらない。
 「草野、許すまじ!!」握り拳で叫び続けるわー。くっそぉ、あたしのオサ様になんてことするのよ〜〜。

 
 わたしは心が狭い。
 わたしは愛が足りない。

 と、今回しみじみと思い知った。

 オサ様は大好きだし、花組の組子たちも好きだ。
 宝塚歌劇団自体を愛している。

 そして舞台上では、退団まで日がないオサ様が、見事な歌唱力と表現力で、このどーしよーもない駄作を牽引している。

 それだけで、何故わたしは納得できないのだろう。

 客席を埋め尽くした見知らぬオサ様ファンの人たちは、こんな作品なのにオサ様に酔い、オサ様に号泣しているじゃないか。
 それこそが正しいファンの姿であり、正しい人の姿ではないのか。

 オサ様の美しさや歌声に単体で酔うことはできても、次の瞬間作品のひどさに心が冷え、怒りがわく。
 その繰り返しで、ついに一度も作品中に泣くことができなかった。涙腺弱すぎ、なに観ても泣きます!なこのわたしが。

 心はしらじらと冷め、嫌悪感と戦うのに必死だった。

 わたしはこんなに、心が狭かったのか。や、ふつーより狭いだろうとは思っていたけれど、ここまで狭かったのか。
 わたしはこんなに、愛が足りなかったのか。基本多情で移り気、多くの人を「ダイスキ」だと思っている人間なんで、ひとりだけを一途に愛している人よりぜんぜん足りていないだろうと思っていたけれど、ここまで足りなかったのか。

 ちょっとショックだ。

 好きな人が充実した姿を見せてくれている。……それだけで他のすべてを忘れられるほどの、愛や度量を持たない人間なんだ。
 や、これまでもそうだったけど。かしちゃんを好きだと思っても、草野作『ザ・クラシック』を観たくなくてろくな回数劇場に行けなかったしな。わたしはそーゆー人間だけど。

 オサ様へのキモチはまた、他のジェンヌさんとはまったく違っているから、超えられるかと、自分を買いかぶっていた。
 わたしは所詮わたしでしかなかった。愛も寛容さも足りない、小さな人間だ。

 オサ様への想いと、作品への憎しみで心がまっぷたつ、苦しくて苦しくてたまらない。

 退団公演が『あさきゆめみしII』や『皇帝』レベルのものでないことを、祈るばかりだ。


 んでもって、『バレンシアの熱い花』役替わり公演。

 初日に作品のひどさに閉口し、もう役替わりも観るのやめよう、1回でいいや、と思ったりもしたんだけど、時間が経つにつれやっぱり観たいと思い直すよーになった。

 らんとむで、ラヴシーンが見たい。

 や、動機はソレにつきます(笑)。

 女と絡むとエロさオトコマエさが跳ね上がる男、蘭寿とむ。
 義理の叔母と愛し合う、禁断の恋人を演じるらんとむは、見ておかなければならないでしょう!!

 ……とまあ、期待が大きすぎたせいか、実際のところロドリーゴ@らんとむのことは「ふーん」って感じに眺めていたんですが。
 こんなもんかー。古くさ……ゲフンゲフン……時代がかった台詞回しとか、型にはめられた芝居でだと、らんとむの味が活きないなあ。らんとむはもっと自由演技のうえで昭和臭さを醸し出してくれなきゃだわ、とか、勝手なことを考えておったのですが。

 こんなもんかー、と油断していただけに。

 ラヴシーン、キましたっ。

 シルヴィア@まちゃみの呼びかけを遮っての抱きしめ→強引にキス。

 ななななんだなんだっ、その激しさはなんなのよーっ。
 キモチはシルヴィアよ。
 まさかそこでがしっとされちゃうとは思ってなかったのに、抱きしめられてドッキドキ。

 一気にきゅ〜〜ん!と、ヲトメメーター上がりましたっ。

 やーんもー、ロドリーゴ素敵。かっこいいっ。ドキドキするっ。
 あああ、シルヴィアに感情移入よぉ、あの目で責められたらたまりません。あのロドリーゴと同じ屋根の下に他の男の妻として生活していたら、そりゃ気も狂いそうになるわ……ハァハァ。

 恋愛モード全開、嫉妬全開のらんとむさんが実に美味です。
 なんでこういい男なんだ……まちがっていも、小物でも悪人でも、エロかっこいいんだ……。
 ロドリーゴはまちがった男だけど、それでもかっこいいよお。

 
 ラモン@みっちゃんは、思っていた通りのうまさ。
 ラモンの方が歌が多いので、みっちゃんで聴きたかったんだ。
 あああ、なんて耳にやさしい歌声。もっともっと歌ってくれえ。

 三枚目のみっちゃんはいつものみっちゃんなので、発見というほどのこともないだろうなと思っていたんだが。

 みっちゃん、ちゃんとかっこよくなってるじゃないですか。
 昔は三枚目だとかかわいい系キャラとなると北翔海莉というより「みっちゃん」になって、ビジュアルがかなり庶民的というかあか抜けないというか、アレな感じになる人だったのに。
 ユーモラスな場面を演じてなお、ちゃんと二枚目の表情をしている。
 二枚目のまま、いろいろできるようになってきたんだ。

 このまま、きりりとした顔を保ったまま、いろんな芝居が出来るようになってほしいなー。

 
 ロドリーゴ@らんとむ、ラモン@みっちゃんの方が、わたしは好みです。
 ロドリーゴを2番手役に書き直してくんねーかなー(歌は増えなくてもイイ・笑)。シルヴィアとの決着まできちんと描いてほしいのよ。あのラストはあんまりだ。
 恋するらんとむが見たいのですよ。エロらんとむが見たいのですよ。女抱いて腰振るらんとむが見たいのですよ。
 見守ったり身を引いたりする男より、亭主殺して女を奪う計画立てるらんとむが見たいのですよ。

 
 七帆くんが休演していたので、ドン・ファン@ちぎでした。

 七帆くんがめっさいい男だっただけに、彼のドン・ファンを見られないのは残念ですが、ちぎもキラキラしまくってました。
 七帆くんの方が世慣れた大人の男に見える。
 ちぎはなんつーかこー、軽い。
 うさんくささの質がチガウというか。
 だからといって、軽いのがいけないというわけではなく、これもコレでアリだろうと思う。

 玉突きにちぎの役だったマルコスは、カチャになっていた。ふつーに弟キャラで少年キャラ。
 役的にもカチャぐらいの子でちょうどいい感じ。違和感なし。……って、大劇はやっぱ役が少ないんだなあ、と改めて思う。

 kineさんとも話していたんだけど、同じ弟役でも、ちぎは若者に見えても少年ではなく、カチャはモロ少年に見える。
 ちぎはちゃんと大人になってきているんだなー。

 
 七帆くんの休演は、芝居よりもショー『宙 FANTASISTA!』で強く感じました。

 七帆くんの出番全部おぼえているわけじゃないので、どこで誰が代役なのか、芝居と違ってはっきり理解しているわけじゃないんだけど。

 カムバック、七帆!!

 と、心から思った。
 や、代役の人が悪いわけではなくて。
 誰がどこで代役してるのかわかんないもん。それくらいふつーに、みんな完璧にこなしていたんだろう。

 だから、誰がどうではなく、ただ「七帆がいない」ことを惜しんでいるのよ。

 だってさ。

 七帆ひかるってのは、貴重な、耽美キャラなんだもん。

 宙組はたしかに美しい。
 長身美形ばかりで眼福だ。
 しかし。

 みんな、健康的なの。

 体育会系のハンサムボーイなの。
 白い歯がキラリと輝く系なの。さわやかな汗がまぶしかったりするの。シトラスの風が吹くのよ。

 七帆。
 七帆、カムバック。
 君は貴重な耽美キャラだ。すずはるきとふたりして、宙組耽美路線を担ってくれぇ。

 ウサギしっぽつけていてなお、七帆くんは耽美だった……。

 
 すずはるきといえば、火星のともちとのエロダンス、すごいよね。
 もー、しみじみと、すごい。うれしい。
 ともちがあそこまでいい男に見えるのは、すずの功績も大きいでしょう。
 すず女が、エロっちく脚を絡めるだけで、ぞくぞくするわー。
 ありがとーすずはるき!!

 
 そーいやどさくさにまぎれて、GOアカツキが、女装して銀橋渡ってました。

 ともち、いりすと混ざって。脚線美を見せつけるデコラティヴなドレス姿で。

 や、違和感がなくて、イヤンです(笑)。

 GOアカツキなのに、違和感なしってなにソレ?!
 ふつーに声も高いし、たんに体格が迫力なだけで、キモくなくてつまらないです!(失礼)

 
 あと、新公効果なのか、ちーが目につきまくってこまる。芝居でも、ショーでも。
 「俺様美形」オーラゆんゆん放出中。
 愉快ですな、キミ(笑)。

 
 ショーはやっぱし、ダイスキです。
 キラキラキラキラ、すっごい幸せ。
 タニちゃんの歌はぜんぜん大丈夫、よくなってるよー。
 キラキラ幸福感に溢れていて、あちこちじんと泣けてくるよー。

 らんとむ氏の、陶酔入った歌声も好きさ。てゆーかわたし、らんとむの歌い方って好みなんだと思う。独特の臭味と甘さがたまらん。

 みっちゃんとたっちんの歌声のクリアさは、見事なヒーリング・ソング。
 心の澱みが消えていくようだ……。

 
 役替わりがあってよかった。
 ロドリーゴ@らんとむを見られて良かったし、役替わりがなければ2回目の観劇はなかった。

 『あさきゆめみしII』がひどすぎるもんで、『バレンシアの熱い花』への嫌悪感はかなり薄れ、「『あさきゆめみしII』に比べりゃ、ぜんぜんOK!」てな寛大なキモチになっているせいもあり(笑)、ふつうに観劇できたよ。

 ショーはほんとうにいいしさ。

 幕が下りたとき、隣の隣の人たちが、

「すっごいたのしかった」
「来て良かった」
「なんかしあわせ〜〜」

 と、きゃーきゃー盛り上がっていたのに、「うんうん」とうなずいてしまった。


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