あー、織田くんいたんだ、そうだった。世界陸上といえば織田くんだったね。
 とゆーことで、『IAAF世界陸上2007大阪 開会式』に行ってきました〜〜話、その6。
 

 その昔わたしは『踊る』者だったので……織田くんのCDもけっこうな勢いで持っているし、そもそもコンサートに複数回行ったことがある。
「織田裕二って歌、歌うんだー」「ほら、ドラマの主題歌とか歌ってるじゃん」「えー。でも歌手は本職じゃなくね?」
 とか言うのがふつーの人の感覚だとわかっちゃいるが……それでもコンサ行ってたんだよ、『踊る』者だったから!(笑) 織田くんだけぢゃなく、ギバちゃんのトークショー(歌アリ)とかも行ってたんだよ!(笑)
 某刑事ドラマで同人活動していたヲタクですから、世界陸上だって織田くん目当てで真夜中に見ていたりしたんだよ、ほんの10年前だけどな(笑)。

 なのに今は、すっかり忘れてた……織田くんだー。なつかしー。

 今でもドラマは見てるけど、織田くん駄作にしか主演してくんないから、最後まで見られなくってなー。(なんなんだよ前クールの無神経コメディドラマとか。仕事選べよ……主演と主題歌にこだわりすぎるから駄作しかオファーが来ないんぢゃ……ゲフンゲフン)
 歌手としての織田くんは、ひさしぶり。
 実際にコンサートに行くとびっくりなんだが、織田くんには男性ファンがけっこう多い。野太い声で「ユウジーー!!」とか叫んじゃうんだよ。
 今回もまた、男たちが「オダーーっ!」とか叫んでいて、こうめさんがびびっていた。

 織田くんはなにも変わらずいつもの織田くんで、なつかしさと安心感に満ちていた。俳優でありながらアイドル志向なところも変わらず。……変わらないものっていいなー。よくも悪くも、ほっとするよ。
 遠く北スタンド前にはオーケストラが。すげえな、あんなとこで演奏しても時差が生じるだけでナマで音を合わせて歌うのは無理なんぢゃ……ゲフンゲフン。いやはや、豪華です。

 どうやら開会式のトリが織田裕二だった模様。……さすがTBSだ。
 人間国宝の歌舞伎役者・坂田藤十郎さんが登場したけれど、彼はただ「締め」をするだけらしい。舞台衣装に化粧も完璧、朗々たる口上。

 そのときには開会式に出演したすべての人がフィールドに登場……つーことで、寿美礼サマ+AQUA5も再登場。

 すっごい遠いんだけど、彼らの姿を眺められるだけでうれしい。
 はい、ここでジレンマ。

「大阪締め、どうする?」
「今ここで、あの人たちと一緒にひとつのことに参加したい」
「でも、そのみんなでひとつのことをしている、あの人たちも見たい」

 オペラグラスを使えば、ある程度彼らの表情というかニュアンスがわかる。
 だが、オペラグラスを使っていたら、その最後の「締め」に参加できない。
 
 ああっ、ジレンマ!

 しかも最後にやる「締め」は大阪締めとかいう謎のパフォーマンスで、大阪で生まれ育って数十年、のわたしもはじめて耳にするものだった。
 開会式前に練習させられたんだけど、やっぱり初耳、見たことも聞いたこともないパフォーマンスでわたしの生きてきた範囲の「大阪」には存在しない文化。周囲の座席の人たちも、「知ってる?」「知らない」とざわざわざわ。
 おまけにこの文化、ふつうによくやる三本締めとかとちがい、合わせるのが難しそうだった。
 てゆーか、合わなかった。練習では、カケラも。
 ただでさえ競技場は広い。これだけ広い屋外で、ふつーに三本締めをするのでも時差が生じるだろうに、独特のリズムと聞いたことない掛け声で、数万人の音を合わせようなんて、そりゃ無茶だ。

 いざ本番。
 坂田藤十郎さんの掛け声のもと、みんなでチャレンジ「大阪締め」。

 揃うわけないって。

 見事にバラバラ。無惨というか悲惨というか。
 もっとちゃんと練習させるべきだったよ、TBSの人。練習とは名ばかりの、進行説明だったよね。
 というわたしは本能のまま、オペラグラスをのぞいていた。

 見つめるのは、寿美礼サマの背中。

 大阪締めやってる〜〜。きゃ〜〜。←寿美礼サマならナニをしても大喜びらしい。

 でもそんなわたしの横で、こうめさんもゆみこガン見しつつひとり悶えていたから、きっとみんな同じだろう。オサ会の人たちも、うちわ持参の雪組FCの人たちも。
 ご贔屓の姿を見つめるだけで、ご贔屓がなにかしら動くだけで、きゃあきゃあハートで盛り上がってしまうものだろう。

 でもやっぱ、「寿美礼サマと一緒に、大阪締めとやらに参加したいっ」というキモチも捨てきれなかったので、3回ある最後の拍子、「チャ・チャ」だけ手拍子参加。ええもちろん、揃いませんでしたとも。あたしゃリズム感ないしなっ。

 いいのよ、寿美礼サマや水くんと一緒に「締め」ができたんだもん。参加したんだもん。それだけでいいのよ。自己満足上等。

 進行が押しているようだったので、テレビ中継の時間が気になっていた。
 番組予告欄をチェックして、開会式は午後6時半まで、午後6時45分からニュースって書いてあったけど念のために7時まで録画予約してきた。わたしの録画予約時間より長くなっちゃったらこまるなあ、そうでなくてもニュースの時間だからって途中で中継をやめられても嫌だなあ、と思っていたんだけど。
 藤十郎さんが締めの前に「ご来場の皆様、そしてテレビを通じてご覧になっている世界の皆様方」と言っていたのを聞いて一安心、大丈夫だ、今はまだわたしの録画予約時間内だし、絶対中継も続いているはず。そうでないと出演者が台詞で「テレビを通じてご覧になっている皆様」とか言うわけないし。
 全国中継されているつもりで「テレビを通じて」って言ったのに中継されていなかったら、藤十郎さんが面目丸つぶれ、赤っ恥かくことになるじゃん。人間国宝サマにソレはないだろうから、大丈夫、きっと最後の締めまで中継されている。
 (と、現場では信じ切っていたので、帰宅後録画を確認してぶったまげた。TBSって……)

 と、ここで中継について確信したので、「テレビには映らないはずだから、しっかり見なきゃ!」と気合いを入れ直したのが開会式終了後、自由解散(って……)となったあとの、寿美礼サマたちご一行。

 西側スタンド前にいた彼らが、何故かわたしたちのいる方向へ、フィールドを横断してくる。

 うわー、まさかの続く〜〜。


 いい加減長いぞ、『IAAF世界陸上2007大阪 開会式』に行ってきました〜〜話、その5。

 なにしろプログラムがわかっていないから、いつどんな演出ではじまるのかわかっていない。
 しかし、鳴り響く音楽に、「あ、コレかな?」という雰囲気が満ちる。

 コレ……つまり、我らがAQUA5。

 はい、たしかにコレでした。
 登場しました、スタンドの東側、わたしたちの目の前、つーか目の下(?)にある白いステージにAQUA5が!!
 ここか!!
 寿美礼サマが反対の西側スタンド前だったわけじゃん?
 近い。近いよAQUA5!!

「きゃ〜〜っ!!」

 はい。突然、わたしの隣のこうめさん、コワレる。

 ほんとに叫び出したの。
 わたしたち、C席の最前列で、つまり前に座席がなく手すり+通路になっていて自由度の高い場所だったんだけど、ここでこうめさんがすげー勢いで叫び狂う。

「かわいいっかわいいっかわいいっ、四角いっ」

 えー。
 こうめさんは、ゆみこファンです。

「かわいいっ、四角いっ、あああかわいい〜〜、四角い〜〜」

 「かわいい」と、「四角い」を交互に叫び続ける……。

 ここはわたし、水しぇんファンとして、「かっこいい」と「長い」を交互に叫んでおくべきかと、真剣に考えました(笑)。

 こうめさんがあまりに全開っ!なので、わたしは必死になって彼女の腕にしがみつき、重石になっておりました。や、つくづく前が通路でよかったっ。あばれてもなんとかセーフ。

 しかし。
 こうめさんがコワレるのも、わかる。

 AQUA5、かっこよすぎっ。

 目の前っつーか下の白ステージに彼らが現れたときの、ときめきったら。
 すらりとした、あの姿。
 基本後ろ姿なんだけど、歌い踊る彼らはもちろんこっちにもカオを向けてくれるわけで。
 どぉぅっわ〜〜、オトコマエ〜〜。かっこいー。
 脚が、みんなすげー脚長さんじゃないかちょっと。衣装マジック?! かなめくんはもとより、キムや水しぇんだって脚長さんに見えてるよ!(微妙に失礼)

 なに歌ってんのか、ぜんっぜんわかりませんっ。

 聴いてませんから。
 神経全部、視覚に行っちゃって、歌なんか聴いてないよあたしはっ。こうめさんはちゃんとゆみこのソロにとろけていたそーなんで聴いていたみたいだけど、わたしは耳に入ってはいても脳に届いていない状態。てか水くんが歌ってるよヲイ、これ水くんの声ぢゃん、すげーすげー。て、そんなレベルでクラクラ。

 水くん、すげーかっこいいっ。
 前髪がっ、金髪がっ、なんなのあのビジュアル系。最近彼化粧濃すぎる気がして、ちとアレだと思ってはいるんだが、そんなこたぁーどーでもいい、水夏希万歳! でかい口万歳! 水先輩の人類を超えたよーな大口が好き〜〜、ツボ直撃〜〜!!(緑野こあらは、口の大きな人がめっさ好きです。例・大空祐飛)

 水くんはステージにせり上がったらしいが、なにしろわたしたちがいたのはゼロ番。ドセンターってやつっす。つまり、真正面すぎて、見えません!!
 スタンド中段にあるカメラ丸かぶりなんだもんよー。登場時は声はするけど姿は見えない状態だった(笑)。

 けっこう長く東側にいてくれたので、近くで5人組堪能。
 基本水くんを見ているんだが、テルの美しさは勝手に目の中に入ってくるし、キムはもーかわいくてかわいくて。跳ねてるよー、元気だよー。ゆみこはサワヤカ、素顔の方がかっこいいよなー。(あとになって、ひろみちゃんをほとんど見ていないことに気づく。他意はない、単に水くん中心キム寄りの視界だと、反対の端になってしまったせい)

 こうめさんがあまりにきゃーきゃーになっているので負けた感はあるんだけど(笑)、十分わたしも大騒ぎして、騒いでいるうちに終わってしまいました、水5。

 オサ様のときと正反対。
 うおー、発散したー。

 あ、言い訳しておくと、騒いでもぜんぜん大丈夫な場面だったのよ。音楽ガンガンで歓声どんと来い状態だったんで。
 自分たちだけで精一杯、周囲を見る余裕なんてまったくなかったけど(どんだけ・笑)、きっと金モール付きうちわ持参の雪組FCのみなさんも、さぞやハッピーに発散できたことでしょう。
 なるほど、わたしたちの席の近くに雪組FCが陣取っていたわけだ、AQUA5は東側から登場、しばらくステージの上だもんなー。オサ会が北側スタンドにいたように、会はちゃんとご贔屓がよく見える場所を陣取っていたわけね。

 えーと、AQUA5はAQUA5だけでなく、たくさんの白い衣装の人たちと一緒だったような?
 彼らの周囲が男性ダンサーだったことぐらいしかおぼえてない……なにしろ彼らしか目に入ってないもんで。
 日本人男性は背が低くて頭が大きくて脚が短く等身が低いのがデフォルトなんで、周囲にそういう人たちをちりばめることで、AQUA5のスタイルの良さがさらに際立っていた。計算なんだろうか?

 AQUA5が終わったあとは、「やり遂げた感」に満ち……。
 しばらくは余韻でこうめさんときゃーきゃー言いつづけ、そのあとは放心していたような?
 いやその、次がサラ・ブライトマンだったし、彼女もまたわたしたちの目の前から登場、しばらくその場で歌ってくれたので聴き惚れてもいたのですが。
 消耗したココロとカラダに、「木星」の壮大なメロディは染みわたりますなあ。

 白いドレスをたくしあげてフィールドを爆走するサラ・ブライトマンには心底おどろきました。すげえ演出だなヲイ。けっこう距離あるぞ、センターまで?

 サラの周囲はたしかチビッコダンサーたちだったと思う。わたしたちの席の近くに、出演者の家族がいたのか、すげえ勢いで立ち上がって騒いでいたのが印象的。家族総出、って感じだった……。カメラ必死になって回してて。

 そのあと、じつはすっかり忘れていたので、織田裕二が派手な演出で登場しておどろいた。スモークたいて、そこからどんっ、だもんなあ。
 あー、織田くんいたんだ、そうだった。世界陸上といえば織田くんだったね。

 とゆーことで、あと1回だけ続く。


 さんざん苦労してたどりつき、警備担当スタッフの目つきの悪さに閉口しつつ(ずーっとフィールドやステージに背を向けて、客席だけを見渡し続けるんだよ、客席の真ん中で。視界は遮られるわ、目が合って不快だわ)、運営側の不手際には目眩がするが、それでも『IAAF世界陸上2007大阪 開会式』に行ってきました〜〜話、その4。

 待って、待って、待ち続けて。
 ついに。
 
 寿美礼サマの出番だ。

 なにしろプログラムがわからないので。
 え? って感じだ。心の準備も何もないときに、寿美礼サマの名前が放送される。英語放送では「ミス・スミレ・ハルノ」で「タカラヅカ・レビュー・カンパニー」なんだ、ということに、なにがどうじゃないけど「へえぇ」と思う。
 起立するよーに言われたので、みんなわらわらとその場で立ち上がる。
 寿美礼サマの歌を、立って聴くことができるんだ。そのことにわけもなく昂揚する。

 寿美礼サマは、緑の袴に黄色い着物姿だった。
 「タカラヅカの正装」で国歌独唱だと聞いていたので黒紋付きだと思い込んでいたから、華やかな姿にびっくり。

 でも、すぐに納得。
 とゆーのもだ、その前にこうめさんと話していたの。
 美智子皇后様が黄色いスーツ姿だったことについて、「何故黄色? めずらしくない?」「大会のシンボルカラーだからか」、「ハンガリー国旗カラーのドレスをまとって現れたエリザベートのように!」「エーヤン」「エーヤァァァン(スローモーション)」……なんつー会話をしておりましたのよー。
 皇后様と同じ色。
 大会のシンボルカラーをまとう寿美礼サマ。きゃーきゃー。

 なんて、ミーハーするヒマもあらばこそ。

 そういう段取りだったのか、誰かがタイミングの指示を出したのかわからないが。
 紹介→場内拍手……の、拍手がまったくおさまっていないうちから、寿美礼サマは、歌い出した。

 うわ、このタイミングで歌うんだ。
 それは、不自然に思えた。
 誰も今この瞬間から歌い出すと思っていなかったから、とまどいを表すように拍手があわてて消えた。

 会場を見渡し、観客の呼吸を感じ、その上で歌う……いつものハルノスミレならそうするはずだ。

 だが、ソレがない。
 まだ観客の用意ができていないのに、拍手がおさまっていないのに、いきなり歌い出した。

 わたしたちの拍手の音も、あの人には届いていないんじゃないだろうか。

 世界大会、おそらくは世界に中継、配信される映像、天皇皇后両陛下臨席、百を超える各国からの参加者、数万人の観客、ファンでもなんでもない人々の視線、アカペラでの国歌独唱。

 宝塚歌劇団、春野寿美礼という名前を背負って歌う。

 どれほどのプレッシャーだろう。
 緊張している、という言葉では表しきれないものを感じた。

 わたしの席は貴賓席の真向かい、オサ様の背中を真正面から見ることが出来た。
 会場の広さは覚悟していたので、とくに遠いとか思ってなかった。むしろ「思っていたより米粒でもないし、ちゃんと見えるもんじゃん」とこうめさんと言っていた。
 肉眼でも「アレがオサ様」だとわかる、だから十分。
 それが、人間の目の不思議なんだと思う。
 オサ様は小さくない。そこにいる。
 だけど。
 わたしは携帯のカメラ越しに、オサ様を見た。
 愕然とする。
 小さい。遠い。
 会場の広さ。大きさ。カメラは正直だ、私感を取り除いたところで、あるがままを示す。

 こんなに広く大きく孤独な場所にいるのか。
 あのひとは。

 あんなに小さく、画面では確認できないくらいの姿なんだ。

 その認識とは逆に。

 歌声は、冴えわたる。

 ぞくぞくと、肌があわだった。
 あの小さな姿、広大な世界。そこに満ちる歌声。
 ことほぐ歌。
 端正に、淀みなく、真っ直ぐに響く歌。

 立っていて、良かった。
 最初から起立して国歌独唱を聴く、そーゆーもので良かったよ。でないとふつーにひとりで、立ち上がっていたかもしれん。

 緊張とか、そーゆー次元を超えて。
 なんかもー、わたしが舞い上がっちゃって。
 寿美礼サマの神々しさ(!)を咄嗟になんと言い表していいかわからず「神妙な顔」とか言って、こうめさんに笑われたり。
 や、もー、どーしよーかと。

 国歌独唱自体は、ほんとに一瞬だ。あっという間だ。
 わたしがふぬけている間に、終わってしまった。心をざわざわさせて、なんか抜け落ちているうちに、終わってしまった。

 歌い終わり、去っていき際オサ様はふと振り返って、ある方向へ手を振った。

 するとその方向から歓声が上がった。

 あ、オサ会めっけ。

 5万人収容の広大な競技場で、それでもオサ会がどこにいるか絶対わかると断言していたが、その通りだった(笑)。

 あー、あそこだー。
 雪組FCとはまったくチガウ場所、北側のスタンド。
 競技場は南北に細長いカタチなので、西側スタンド前で西側に向かって歌うオサ様を、北側からならすごーく遠いとはいえ、なんとか横顔が見られたんじゃないかな。それでオサ会はあそこの席なんだな、きっと。

 いいなあ、会の人。オサ様に手を振ってもらって。
 あの歌を、この場で歌った、そんな超特別な人に今、手を振ってもらえるんだよー、うらやましー。

 オサファンで良かった。タカラヅカファンで良かった。
 今ここで、こんなに誇らしい想いで寿美礼サマを見つめられて良かった。

 
 えーっと。
 そのあとちょっと、記憶が飛んでいる。
 たしか両陛下、選手たちが退場し、広くなったフィールドでいろいろダンスが披露されていたような?
 石川さん登場していた?
 チアリーダーはおぼえてるんだが。すげー数の女の子たちが「きゃ〜〜!」って黄色い声を上げながらわらわらわらわらピクミンみたいにフィールドを埋め尽くしたのが圧巻で。
 若いっていいなー、つながりあうってすばらしいなー、とぼーっと思いつつも、自分のためのリアルタイム記念としてmixi日記をケータイから更新するのに忙しかったり(笑)。
 こうめさんも横で同じコトしてるし(笑)。

 とにかく、ケータイ操作したり喋ったり、大忙しの中。
 はいはいはい、ついに我らがAQUA5の出番ですよー。

 ……というところで、また引く。続く。


 会場もスタッフもグダグダだ、手際悪すぎ、ありえねー。なんでも会場側の不手際で、到着しているのに入場できず、開会式開始に間に合わなかった人たちが大勢いるんだって? さもありなん、あの手際の悪さじゃありえるよなー、と力強く頷いてしまう、『IAAF世界陸上2007大阪 開会式』に行ってきました〜〜話、その3。

 時刻は午後4時50分ほどだったか。
 真夏の太陽がスタンドの客たちをじりじりと焦がし、「いいなー、日陰になってるのは関係者席かぁ」「一般人は直射日光でもあびてろってことよねー」「てゆーか陸上競技を真夏の大阪でやるって正気? 気温もすげえが湿度もすげえぞ」とか、いろいろ基本的疑問を胸に宿しながらも。

 フィールドに、くいだおれ人形の姿をしたパフォーマーが現れた。

 先に言っておくと、「大阪=くいだおれ人形」という発想自体を、大阪人は快く思っていない。「大阪=阪神ファン」くらい、まちがった認識だ。
 宣伝にはわかりやすい「ウリ」が必要。ドラマの中の大阪人がありえない時代錯誤な大阪弁を話すように、「大阪=くいだおれ人形」というわかりやすい「ウリ」を、マスコミが作り上げているにすぎない。
 くいだおれ人形を喜ぶのは大阪原住民以外、地方人だけだ。観光客だけだ。地元民には関係ない。

 マスコミによってイメージ操作されている現実に、萎えまくっているのが現状なんだが……。
 「くいだおれ人形ダンサーズが踊るらしいよ」とかゆー前評判は、わたしの周囲の大阪人たちを失笑させた。その発想の悪趣味さに閉口していたさ。

 それでも。
 「道化師」という記号としてのくいだおれ人形は、いい仕事をしていた。

 ひとりで登場したくいだおれ人形は、フィールドの中央でまず観客の注目を集め、次に同じ衣装のくいだおれ人形パフォーマーたち数十人と共に客席を盛り上げてくれた。

 いろんなカタチ、整ったフォーメーションでフィールド上を移動し、あちこちで陸上競技にちなんだパフォーマンスを披露。
 短距離走だったり、幅跳びだったり。
 バク転してみせたり、転んで見せたり。
 拍子を取って手拍子を先導、これからはじまる祭りへの導入を立派に果たしたと思う。

 たしか5時スタートってことになっていたと思うんだが、くいだおれ人形パフォーマーは10分前から登場していたし、5時ジャストはそのパフォーマンス真っ直中だったと思う。

 結局、何時はじまりだったんだ? まあ、くいだおれパフォーマンスはどっから見てもOKなものだったけど。

 本格スタートは、くいだおれさんたちが会場をあたためたあと。
 わたしたちが坐っている南側スタンド中央に作られた白いステージ上に、太鼓がぞろりと設置され、オサコンでおなじみの石川直氏と黒い衣装に身を包んだ奏者たちが情熱的な演奏をはじめる。
 そしてフィールドには、赤いポンチョ姿のダンサーたちが登場。

 この赤ダンサーたちがすごい。
 長居陸上競技場って、広さどんだけあるんだ? その広大なフィールドを走り回りながら人文字を作るんだ。
 「走」「投」とかの漢字や、「BEAT」「RUN」などの英語。
 この動きが本当にきれいで。

 また、力強い太鼓のビート感が心地よくて。

 アニメーション映画を見ているみたいだ。
 たとえ言葉の意味はわからなくても、人間が作る「カタチ」を眺めているだけでも感動できるよ。意志を持って統一された動きはキレイ。
 打つ、という、もっとも原始的な、だからこそ細胞に響くような音楽のもと、これまた原始的ともいえる人文字によるパフォーマンス。

 赤い衣装は途中で純白に変わる。

 赤ポンチョをひっくり返すと中は白衣装なのね。
 走りながら衣装を着替えるんだけど、中にはどーしても遅い人がいて。
 「がんばれ、急げ!」と手に汗握る(笑)。
 わたしが心配してなくても、ちゃんと次の文字を作るには全員間に合った模様。

 事前に購入した「テレビナビ」によれば第1部がくいだおれ人形パフォーマンスや石川さんの演奏、そして我らが寿美礼サマの国歌独唱、第2部が選手入場、第3部が我らがAQUA5やダンサーたちの音楽イベント、とゆーふーに載っていたのだけど。

 寿美礼サマが登場しないままに、選手入場がはじまった。

 あ、あれ? まさか寿美礼サマを見逃したわけぢゃないのよね? 見逃すはずないよね?

 でも考えてみれば、誰もフィールドにいないときに国歌独唱するわきゃないわな。選手たちが勢揃いした上でするもんだ。

 オリンピックもそうだが、選手入場は長い長い。

 しかし、プラカードと国旗を日本人のボーイスカウト、ガールスカウトが持って行進するだけの国が多くてびっくり。選手、開会式不参加なんだ……。意気込みや価値観、国民性のちがいかな。日本人なら開催地がどこであろうと、スケジュールがどうであろうと、セレモニーにはきちんと出席するだろうから。
 そんなふーに不参加の国もあれば、コスプレして盛り上がっている国もあるし、「暖かい歓迎をありがとうございます」と日本語の横断幕を掲げて行進する国もあり。さまざまだー。いちばん観客によろこばれていたのは、その「日本語」の横断幕を持った国。スイスだっけか。その国の言葉で語りかけてくれること(たとえ選手がその文章を読めない・発音できない・ただプロデューサーなりにやらされているだけだったとしても)は、うれしいことだ。
 「心」が感じられる、ほんのちょっとしたことで、こんなにキモチは動く。

 役者が全部そろったうえで開会宣言だのなんだのとあって。

 ついに。

 寿美礼サマの出番だ。

 
 つーことで、ここで引く。続く。


 遠大な旅をしてたどり着いた北ゲート。
 しかしそこでは、さらなる試練が待ち受けていた……! ってことで、『IAAF世界陸上2007大阪 開会式』に行ってきました〜〜話、その2。
 

 ゲート入口でセキュリティーチェックがあるんだが、なにをどうすればいいのか説明が不足しているため、来場者がいちいちスタッフに「なにをすればいいの?」と質問しているんだわ。
 わたしも質問した。
「ビニール袋を問答無用で渡されたんですけど、コレ、なにするもんなんですか?」
「携帯電話と腕時計、カメラ、財布を入れて下さい」
「パソコンとゲーム機はどうすればいいですか?」
「え?」
 スタッフ、固まる。パソコン持ってくる客だっていくらでもいるだろうに、何故返答に窮するんだ。
 携帯やカメラだけなら電化製品、精密機械をよける意味でだと判断するけど、財布もとなると、単なる貴重品だけ別にしろって意味? 目的と判断基準を教えてくれずに名称だけ言うから、「じゃあこれはどうなの?」って質問されちゃうんじゃん。

 セキュリティーチェックを済ませ、中へ入ると設置されたテントにてなにかやっている。
 飲み物をプラスチックのカップに淹れているコーナーだった。
 ああ、ドリンク販売コーナーか。
 と思ってスルーしようとしたが。
 なんとなーく引っかかって、足を止めた。販売にしては料金表とかなにもないからだ。

 わからないから、聞いてみる。
「ここはなにをしているところですか?」
「ペットボトルは持ち込み禁止なので、ここで中身をカップに移しています」
 はあ?
 それならそれで、なんで案内しないんだ?
 誰もナニも言ってないんですよ。看板もないし。

 どうやら、わかりやすくペットボトルを手に持っているなりしている人には、個別で声を掛けている模様。何故そんな手間なことをしているんだ。
 わかりやすく持っている人だけではないだろうに。現にわたしは、鞄の中に水筒替わりに愛用しているペットボトルを入れていた。
 ソレを言うと、
「大丈夫、ここを通っても、入口で止められますよ、ペットボトルを持っていたら」
 ソレ、2度手間じゃん。なんの意味があってそんなまだるこしいことをしているんだ?
 最初にきちんと案内を徹底すれば1回で済むことじゃん。そのたびに人の流れを止めて渋滞を巻き起こすのか?

「どうしてペットボトル禁止なんですか?」
「安全上の問題からです」
「安全上、どういう危険があるんですか?」
「安全上の問題からです(以下、なにを聞いてもリピート)」
 スタッフ教育ぐらい、しておこうよ……。他の係ならともかく、ペットボトルを取り上げる係がコレだよ、ありえねえ低レベル。

 とゆーことで、わたしの愛用のペットボトル(大きさがわりと特殊であまり売っていないサイズ、ミネラルウォーター専用として何度も機嫌良く使っていた)は問答無用で捨てられた。……もう一度探して買わなきゃ……あのボトルでなきゃヤだなんよー。知ってたら持ってこなかったのにー。(や、これはわたしが事前に調べなかったのが悪いんだが)

 『愛・地球博』が飲み物持ち込み禁止だったので、ソレはそーゆーもんかと納得していたんだが。
 外から持ち込むものは、ナニが入っているかわからないから危険だけれど、中で販売しているものなら安全。飲み物は中で買え。中で金を落とせ。
 という意味かと思ったんだけど。

 不思議なのは、会場内でも「ペットボトル禁止」だったことだ。
 たとえ会場内で購入したモノでも、ペットボトルはとにかくダメ。ペットボトル悪。ベットボトル敵。
 なんで禁止なのかスタッフも知らないうえに、会場内で販売している飲み物は、みんなペットボトルという謎っぷり(笑)。

 なんなんだよー。捨て身のギャグかコレ?

 ペットボトル全面禁止なら何故、ペットボトルを売る? 会場内で。
 売店ではいちいち販売員がペットボトルの封を切り、カップを添えて客に渡すので時間かかりまくり、長蛇の列。
 そして客は、自力でペットボトルからカップに移し、その場でペットボトルを捨てなければならないので、これまた時間がかかる。

 なにより、ゴミが倍出る。
 ペットボトルとプラスチックカップとフタ。

 ペットボトル禁止までは、理由の説明がないにしろ「そーゆーもんか」と納得もするが。
 じゃーなんでペットボトル販売してんだよー。最初からカップで販売すればいいだろー? いちいち販売員がキャップを開けて回収+カップを添える手間と、サーバーから注ぐ手間にどれほどの差が? テーマパークのドリンクスタンドではそうやって売ってんじゃん。

 なんて反エコロジーなイベントなんだ、世界陸上。

 とまあ、すっげーぐだぐだぶり。
 たぶんスタッフの大半がプロではなく、善意のボランティアで成り立っているためだろう。
 かわした会話もここではふつーに書いているが、実際は丁寧語すら使わず大阪弁まんまでけっこー口汚く喋るスタッフもいたさ。ふつーの大阪のおっちゃんなんやろうな。相手を客だとかは思ってないんやろうな。

 まあ仕方ないか……と、半あきらめ。腹を立てる気にもならん。
 にしても1時間の旅はつらかった。
 距離より気温より、スタッフの手際の悪さ、会場の不親切さとか精神面で疲労。

 なにしろS席当日17000円だからなー。A席13000円、B席10500円、C席(自由席)7000円。
 大阪人が、こんな値段のチケットを買うはずがない。 
 実際スタンドはガラガラっす。いちばん安いC席のみほぼ埋まっていた。
 せめてプロ野球チケット+αくらいの値段設定でないと、陸上ファン以外の新規客は動かないだろう。「地元でイベントか、ちょっとのぞいてみるか」程度の人間には高すぎる。

 わたしはもちろん、C席です、はい。びんぼーですから。

 わたしがくたくたになってたどりつくと、先に場所取りしてくれていたこうめさんが、あたたかく迎えてくれた。
 なにしろこうめさん、午前中から並んでくれていたんすよ。まだ入場列が出来る前から会場入りしていたという、気合いの入れっぷり。
 自由席の最前列、しかもドセンター。
「ゼロ番です」
 というあたりナイスだ、こうめさん。
 天皇皇后両陛下の貴賓席の真正面。大階段を模した(笑)白いステージの真後ろ。
 すげー位置だよ、ありがとう。

 しかもこの席、お菓子付きなの。

「わたしが焼いたんですけど」
 と、こうめさん手作りケーキ&クッキー付きなんですよ。

 えー、なになにちょっと、うれしいんですけどっ。
 わたし焼き菓子ダイスキですよ。

 最良の席と、おいしいお菓子。
 苦労してたどりついたあとだけに、身に心にしみる。
 ありがとーありがとー、すげーうれしい。
 
 で、開会式がはじまるまでにわたしたちがしたことは。

「オサ会、水会その他はどこにいるんだろう?」

 でした。
 や、気になるじゃないですか(笑)。できれば共に盛り上がりたいし。

 雪組FCはすぐに見つけられた。
 金モール付きうちわ持参だから。

 「AQUA5」「水」とか書いた、派手派手うちわを手にした軍団がいた。
 雪組みんなで固まっていた模様。「桂」「彩那」「KANAME」等、みんな気合い入ったうちわを手にしている。

「ゆみこがいないっ」
 と、ゆみこファンのこうめさんはウケていた。
 ふたりで必死に探したけど、ゆみこうちわを持った人は見つけられず。
 ゆみこ会だけ別の場所だったのか、うちわを持ってくる人がいなかっただけなのかはわからず。

 祭りだから、あーゆー「昭和アイドル追っかけ隊」のノリはたのしくて好きです。
 横断幕とかあるかと思ったのに、なかったなー(笑)。

 オサ様会は見つけられず。

「でも、はじまったらわかるよ」
「オサ様登場すれば、反応でわかりますよね」

 5万人収容の広大なスタンドでも、その反応で所在地がわかる。
 断言するわたしたち。

 そして実際。

 その通りだった(笑)。

 6000字をはるかに超え、よーやく開会式開始だ〜〜。つーことで、続く。


 あれは毎年恒例、淀川花火大会の日。
 夜空に青いラインでなにかしら意図のあるカタチが花開いた。
 なんらかのキャラクタ花火らしい。
 しかし河川敷を埋め尽くした観客からの反応はナシ。みんなふつーに眺めている。

 インフォメであらかじめパンフレットを入手していたわたしは知っていた。あの謎のキャラクタ花火が、世界陸上2007のマスコットキャラクタ「トラッフィー」だということを。

 大阪は、なんとか盛り上げようとしていたわけだ。世界陸上というイベントを。
 しかし、実際の大阪人の反応は。

「…………」
 全スルー。

 てゆーかそもそも誰も知らないのだ、そんなキャラクタ。
 世界陸上が開催されることも、そのキャラクタも。大阪人、興味なし。

 トラッフィーくん花火が上がっていたときはしーんとしていた観客が、そのあとドラえもん花火やキティちゃん花火には歓声を上げていた。キャラクタ花火が上がれば、みんなきゃーきゃー言うもんなんだって。
 トラッフィー花火には、反応する人ナシ……アレ作るの、技術もお金もいったろうになあ。

 とゆーわたしの家には、何ヶ月も前からトラッフィー人形が置いてある。
 土着大阪人で、家が自営業だったりするもんで、仕方ないのだ。大阪の地元関連企業、組合、商店街、その他いろいろな組織にて、「我々の手で世界陸上を成功させよう!」なんてことになっている、らしい。
 それで父もキャラクタ人形や大会ポスターを押しつけられたそうな。募金箱まであるぞヲイ。父は「んな誰も喜ばないイベントのために」募金を集めるのが嫌で、自分で募金のかわりにカンパし、なんとかやりすごしたらしい。
 誰もよろこばないかどうかは知らんが……わたしの住んでいるあたりでの知名度はゼロに等しい。
 本日(日にちズレているが、書いているのは25日だ)の世界陸上スタートにあたり、近所の人たち(若者から年寄りまで)にウチの親たちが世間話ついでに話題を振ったらしいが、「なにそれ?」「興味なし」のどちらかの返答しかなかったそうな。会話にもなりゃしねえ。
 チケットも売れなかったらしいしなー……(父の友人たちはみんな義理買いしていたっぽい。大変だな、大阪某組合)。

「大阪でやったのがまちがいだ。大阪人は陸上に興味がない」
 というのが父の見解だが。
 それでもとりあえず、大きな祭りがあることは、いいことなんだろう……たぶん。

 せめて、大会のマスコットキャラクタがかわいければなー。
 某古城博覧会のマスコットキャラみたく、博覧会コンテンツよりキャラが人気で騒がれる、とか、グッズがバカ売れして騒ぎになる、とか、そーゆーのがあればまだ、地元も潤うし活気づくのになー。
 トラッフィーのかわいくなさ、センスの悪さはなんなんだ……。ゆるキャラ全盛期になんでこんな、昭和時代のテーマパーク(バブル崩壊と共に閉園)みたいなノリのキャラクタなんだ?

 とまあ、はじまる前から問題いっぱい♪って感じの『IAAF世界陸上2007大阪 開会式』に行ってきました。

 が。

 いやあ、大変だった。
 なにがってそりゃ、会場の、手際の悪さ。

 会場前の午後3時に長居競技場前に到着したんですが、入場ゲートをくぐれたのは4時でした。
 1時間、周囲を彷徨った……。

 炎天下を1時間、何キロ歩いたかなー。ははは。

 とゆーのも、だ。
 先にこうめさんが北ゲートで並んでくれているので、合流しよーとしたんだ。
 んで、御堂筋線長居駅下車で、北ゲートを目指す。しかし。
 指示板が、ほとんどない。どっちへ行けばいいのかわからないんだな。
 総合案内所でとりあえず地図だけもらったんだが、これがまた見にくい地図で。……てゆーかちゃんとした「会場マップ」というものではなく、「OSAKA2007NEWS Vol.6」という機関紙で代用なの!!
 ちょー待て! 「世界」レベルのイベントで、会場マップ作ってないの?! どこまでお金ないんだ大阪?!

 情報量の少ない小さなマップを片手に、北ゲートを目指す。競技場が見えているから、あっちだよなー、と見当を付けて。

 しかし。
 行き止まりだらけなのだ。
 道はあるけど、通してくれない。
「北ゲートに行きたいんですけど、どう行けばいいですか?」
 指示板がほとんどないので、スタッフに聞く。
「ええっと、あっちの道へ回って下さい」
 言われた通りに行く。
 行き止まり。関係者以外はお断り。道路封鎖。
 また戻って、今度は別のスタッフに聞く。
「北ゲートに行きたいんですけど、どう行けばいいですか?」
「あっちの道へ回って下さい」
「道路が封鎖されていたんですけど、どうすればいいですか?」
「敷地外まで出て下さい」
「この場所からは、どのコースを通って出ればいいですか? あの筋が封鎖されているんですよね?」
「…………」
 スタッフ、答えなくなっちゃったよー。スタッフもわかんないんだよー。

 やー、この繰り返しでねー。
 地図はあるけど汎用的な注意書き地図があちこちに設置されているだけで、「現在地」が載っていない(笑)。
 仕方なくスタッフを見つけて質問するんだけど。
「北ゲートに行きたいんですけど、どう行けばいいですか?」
「この道をまっすぐ行って左です」
 言われた通りに行くと、行き止まり。
 行き止まりは大抵、道路封鎖されているの。で、そこのスタッフに聞く。
「北ゲートに行きたいんですけど、どう行けばいいですか?」
「ここの道を戻って、左へ行って下さい」
 戻るんかい。

 何回繰り返しただろう……。
 わたしだけでなく、多くの人たちが回遊魚のように彷徨っている。
「入口、どこなの……」
 と口々に言いながら。

 指示板の少なさが、致命的。
 たぶん、駅からゲートへの最短距離にのみ設置されているんだと思う。長居駅から南ゲートまではまっすぐたどりつくことが可能。(ただし南ゲートはありえないくらい混んでいた。いつ入場できるかわからんくらい)
 しかし、一歩「モデルコース」をはずれると、なんの案内もない。
 長居駅から北ゲートを目指すとなると、どう行けばいいのか案内もなければスタッフも道順がわからないときた。
 北ゲートにはJR鶴ヶ丘駅からしか行けない、鶴ヶ丘駅から北ゲートに行く、それ以外は存在しない、と考えていた模様。
 また、競技場をとりまく広大な長居公園内にはなんの案内も祭りの飾り付けもなく、ふつーののどかな休日の公園で、世界的イベントがやっている様子はどこにもない。ふつーはもっと盛り上げていそうなもんだが……。
 公園を歩いてゲートを目指そうとしたら、迷うことは必至だな。

 よーやくたどりついた北ゲートは、南ゲートの混みようが嘘のように空いていた。
 しかし。

 ここでも、案内が致命的に少なかった。

 3000字書いてなお、会場に入れておりません(笑)。続く〜〜。


 「2008年宝塚歌劇公演ラインアップ」が出て。

 なんだよ2008年とか言いながら、3ヶ月分だけかよ! とか文句言いつつも、なにかとわくわくしておりますが。

 それとはべつに、ヘコむことがある。

 来年には、オサ様がいない。

 
 ケロのときにも思ったんだけれど。
 退団するというのは、「未来を断ち切られる」ことなんだよなあ。

 もう妄想して楽しむことも出来ない。
 オサ様でこんな役、こんな作品。
 ゲームをやってもアニメやマンガを見ても、なにか気に入ったものがあるとつい、ヅカ・キャスティングをしてしまう。
 他組の上演作品でも、「花組でやったら……」と想像してしまう。

 そのときに、ほんとに他愛ない想像でしかないときに。

 オサ様の花組では、考えられなくなるのだという事実が、痛い。

 『暁のローマ』をオサ様花組で観たかったなー。
 カエサル@オサ様で、ちゃんと彼の出番も物語も描いて。月組はブルータスが主役だったから、カエサルの出番も比重も下げられていたけれど、カエサル主役バージョンで。
 ブルータス@まとぶ。オサ様を愛し、しかし裏切ることになる悲劇の人。ドMな芸風炸裂!!(笑)
 アントニウス@壮くん。またしてもオサ様の友人、つーか、オサ様側の人。波越くんといい頭中将といい、彼の定位置。
 カシウス@みわっち。れっつ、びじゅある系!! 耽美まかせろ! 黒い役まかせろ! みわさんの魅力炸裂ヨロシク!
 オクタビアヌス@まっつ……ははは……はははは。壮くんと、まっつのカーテン前漫才!!想像するだけでサムくて笑える。

 とかな……いくらでも、オサ様花組で妄想できるのよ。

 そういう他愛ない時間を、もう持てなくなるんだ。
 その事実が、痛い。かなしい。

 未来が楽しみでないわけではなく、まとぶの新しい花組も祝福し、実際よろこんでいる。これからも花組を愛していく。

 それとはまったく別に、オサ様がいない未来がつらい。

 もう「春野寿美礼」の新作予定はありえないんだろうか……。


 出遅れておりますが。

 『舞姫』再演おめでとー!!

 
 今さらですが、「2008年宝塚歌劇公演ラインアップ」について。

 えー、なにより意外というか、がっかりしたのは、「2008年宝塚歌劇公演ラインアップ」と言いながら、2008年の4分の1期間しか発表しないこと。

 大劇場は3月公演の月組まで。
 バウは最初から「1〜3月」と明記。
 中日・青年館・DCもまた、3月まで。

 3月スタートで、千秋楽は5月のはじめです、だから3月までぢゃないです、なんて言い訳ナシね。4月・5月スタートする公演についてなんの発表もされていないのだから。

 昔はもっと、まとめて発表してたよね? たしか大劇なら半年分、バウのようにシリーズとして統一コンセプトで公演するモノは、主演者とタイトルは1年分近く一気に出ていたと思う。

 それが、なにを思ったか、4分の1だけ。4分の1だよ? 少なっ。
 雑誌の「次号予告」じゃないんだから、直前の情報のみじゃなく、例年くらいには出して欲しいんだけど。

 これから3ヶ月ごとに「2008年宝塚歌劇公演ラインアップ」発表があるってことか……。やれやれ。
 雑誌とちがってナマの舞台は、実際に観客が足を運ばなければならないんだから、予定は早く出してくれるにこしたことはないっつーに。

 その昔、「スパークヒップス」とゆー会社?があってだなー、すごくいい作品を上演していたのに、オギー信者にとっては「神!」なカンパニーだったのに、とにかく上演予定を前もって宣伝してくれなくてなー。
 前もって教えてくれたら、絶対観に行ったのに! そんな公演やってるなんてぜんぜん知らなかった! てゆーか公演1週間前に教えられても遠征計画立てられないよ! ……という悲鳴を複数聞いたぞ。
 そーやってスパークヒップスは、いつの間にか消えていった……。

 スパークヒップスは極端すぎる例だからアレとしても、ナマモノをリアルタイムで追いかける人種には、情報はできるだけ早いトコ必要ってことさ。

 
 どうして3ヶ月分しか発表しなくなったんだろう。
 バウなんてシリーズ公演だから、全組発表してこその宣伝効果もあるだろうに。

 劇団のすることは、ほんとよくわからんなー。

 
 とまあ、それは置いておいて。

 花担まっつ担としては、『舞姫』再演にくるくる踊ってます。

 相沢@まっつに会える〜〜!!

 あのねあのね、相沢くん、ほんとステキだったのよ。みんなに観て欲しいのよ。
 こあら、盛大にのろけちゃいますわよ。
 あの男、本気でステキだったんですってば。
 きゃ〜〜!!

 ……いやその、『舞姫』はバウホールならではの濃密な物語だったので、青年館という大きさもさることながら、あらゆる意味で環境の悪いハコで上演してどーゆーことになるのか、不安でもあるんですが。
 まっつの芝居も正直バウサイズだしな……大丈夫なのかな……うおー、のろけのはずが弱音になっちったよー。なんでこー後ろ向きなんだあたしは〜〜。

 あ、キャストは変更無し、と信じて語ってます。変更なんてとんでもない! 下級生まで全員変更無しでお願いします。みとさんも出演よろしく!!

 
 中日は『メランコリック・ジゴロ』ですか。
 すみません、わたし初演観てません。わたしが花組を意識的に観はじめたのは、『ベイ・シティ・ブルース』からです。当時わたしは雪担で、基本雪組しか観なかった。
 『ベイ・シティ・ブルース』以降花組を欠かさず観るようになったのは、雪組から花組へ、ミユさんが組替えになったため。ミユさん組替え以降は本公演全部観てる。
 ミユさん以前もまったく観ていないわけではないが(『夜明けの序曲』初演も『名探偵はひとりぼっち』もナツメさんの『ベルサイユのばら』も『スパルタカス』も、その他いろいろ観てるけどな)、機会があれば観る、程度だった。全部観る、じゃない。
 そしてたまたま、『メランコリック・ジゴロ』は観ていなかった。当時は正塚晴彦も知らないし。(正塚認識は、翌年の『二人だけの戦場』から。あくまでも雪担)

 だからとくに感慨ナシ。
 オイシイ話(や、イロイロと・笑)だと聞いているので、ソレはたのしみかなっと。
 もらいもののビデオがどっかにあったはずだが、はたして発掘できるだろうか。
 予備知識イラナイ派なので、ナニも知らないまま行くかも。
 まとぶんのプレお披露目、まとあや、プラス我らが壮くん!と、楽しみな布陣。よいスタートを切ってくれることを祈る。

 そして、もしもまっつが出演するなら、初日から遠征することになるなー。

 
 バウの『蒼いくちづけ』もまた、初演を観ていません……。
 20年前はまだわたし、ヅカファンぢゃなかったもの……。や、大阪人のたしなみとして、子どものころから観劇していたけど、ファンじゃないから通常の大劇場以外の公演なんて、存在することもわかってなかったよ……。

 耽美なんだよね? なにしろシメさんだし。
 耽美か……。
 ……めおちゃん、まぁくん、がんばれー。

 
 雪組の大劇場演目は、素直にたのしみです。
 だってわたし、キムシンダイスキだし! 初のオリジナルかー、どんなことになるのかなー。わくわくっ。
 不安なのはショーの中村A。雪組で中村Aショーつーと、『サジタリウス』じゃん……。センスなかったよな……。頼むから、水くんに着ぐるみ着せたりしないでよー。

 
 星組DCの『赤と黒』も、演出家の名前で肩を落としています。
 柴田+中村Aっすよ……鬼門だ……。
 このコンビでおもしろかったものなんて、1本もないじゃんよー。駄作率100%じゃんよー。
 初演、再演ともに観ていません。32年前の作品だもんよー。18年前の再演当時わたしは雪担だったんで、月組は観ていません。大劇場も機会があれば観る、程度の初心者ファンに、バウホール公演のことなんか知りようもありませんって。
 柴田+中村Aの古い古い再演モノ、つーだけで震えてきます。うわー。
 救いは、トウコとあすか、このふたりなら駄作も名作に力業で変えるかもしれん……役者の力に期待。

 
 月組大劇場公演『ME AND MY GIRL』に、盛大に溜息をつく。
 わたし『ME AND MY GIRL』、好きぢゃないのだわ……。
 天海主演公演を観る限り、好みの作品ではなかった。
「悪いのはユリちゃんで、作品じゃないわよ! ウタコさんのを見れば、すばらしさがわかるはず!」
 と、ざらざらの画面のビデオを見せられもしたし、実際天海のよりおもしろいと思ったけれど、やっぱり好みかと聞かれると「べつに……」と答えるにとどまった。
 それはたぶん、『雨に唄えば』をおもしろいと思うけれど好きだと思えないとか、そーゆー類いの話だ。
 いい作品だし、名作なのもわかるけれど、わたしの好みではない。
 つーことで、わくわくできない演目に肩を落とす。や、ゆーひとそのかのために観るけどさー……複数回は観られないだろうなあ……。
 なんかツボでも見つけられるといいなあ。

 
 宙組は、誰だよ、大野&オギーだって言ったの〜〜。期待したぢゃないかぁ。
 開けてびっくり、石田&酒井でこれまた肩を落としています。
 酒井はいいんだ、ショーを作る分には。
 問題は石田だ……。

 トドロキ+石田って、ろくなもんぢゃないよ……。
 トドファンだからこそ、勘弁して欲しいのよ……。

 石田せんせの描く、男尊女卑、自己中、強さと無神経さの混同、とゆーすごーく厭な価値観を、トドロキはこれまたすごーく厭なテイストで拡大させるのよ。
 トドロキは骨太の持ち味の男だからこそ、男ゆえの無神経さがふつーより響くのよ。

 トドロキがタニちゃん率いる宙組と共演、つーのは、ある意味異種格闘技というか、異世界すぎて興味津々です。
 萌えがあるといいなー。

 
 未来はいつも、今よりすばらしいと根拠くなく信じることにしているので、文句は言ってもたのしみにしています。
 来年のタカラヅカもまた、生徒にもファンにも幸福なものでありますように。


 出遅れましたが。

 まとぶん、次期花組トップスター内定、おめでとうございます。

 いい加減携帯電話、パケホにするべきだよなあ……。今月絶対すごいことになってるわ……。
 いやあわたし、旅行中だったのだわ。それで月組新公も観られなかったし。CANちゃんに良席譲ってもらってたのに〜〜、くやしいよう。(わたしの代わりにnanaタンが堪能してきてくれたことが救い)

 旅先で、えんえんネットチェックしてました。リロード掛けまくり。噂ではここ数日がキモだったから。なにか発表あるかなって。
 携帯、何度電源が死んだことだろう……ネットだの長電話だのし過ぎだっつーの。(れちあさん、お世話になりました)

 
 花組を次いでくれるのはまとぶだと信じていたけれど、正式に発表になってすげーうれしいっす。

 まとぶんは、トップスターになることを前提として、大切に育てられてきた子だなあ、という印象。
 早くからの新公連続主役、しかも1回は『ベルサイユのばら−オスカルとアンドレ編−』のオスカル。
 上級生新公主演経験者を追い越し、学年逆転して路線を駆け上る。(番手逆転後、その上級生は退団)
 日生劇場で『雨に唄えば』で準ヒロイン。男役が演じる女役で、話題になるようお膳立て完璧。
 外部出演『シンデレラ』の王子様。あの鳳蘭の舞台で、OG層の好印象もゲットだぜ!
 新体制になったワタさんトップお披露目公演『王家に捧ぐ歌』以降、組替えしてきた新公主演経験上級生より上のポジションを与えられ、ここでも学年逆転して路線を駆け上る。
 ANAのイメージ・ガール。順調なバウ主演。増え続ける露出。

 最も「トップスターになることは決まっているんだな」と思えたのは、花組への組替えが決まったあとに行われた月・雪・星合同の『ゴールデン・ステップス』。
 当時まとぶんは星組の3番手。なのにただひとり、トップスターと同じように銀橋を1曲歌いながら渡った。
 他組の3番手には、そんな場面はなかった。
 キムとかおいしい扱いは受けていたけれど、「銀橋ひとり渡り」は絶対にさせてもらえない。タカラヅカのルールからして、『TCA』などの複数組出演公演、劇団全体に関わる特別イベントで「銀橋ひとり渡り」をしていいのは、ごく限られたスターのみだ。

 真飛聖は花組に、トップスターになるために行くんだ。

 それがわかり過ぎて、いろいろ微妙だったりもした。
 劇団、意思表示はっきりし過ぎ。ゆみこはどーなっちゃうんだよ?!と、やきもきもしたさ。

 トップスターになることを前提として、大切に育てられてきた子。
 同期のタニちゃんのありえないくらいの激しい抜擢ぶりの陰になって目立たなかったかもしれないが、昔から特別コースを歩んできた子だ。

 準備万端整えて、来年研13の終わりにトップスター就任。大劇お披露目時は研14か。

 ずっと抜擢されてきた彼。エリートにはエリートゆえの苦労があったと思う。
 まとぶに追い越されたりなんだりした人たちのファンだったりもしたので、複雑なキモチを抱いていたことも正直あったが、そんなモヤモヤも払拭してくれるくらい、まとぶはまっとーに成長してくれた。

 高校球児ぢゃないけどさ、トーナメントで負けたあとは、自分たちと戦ったライバル校を応援したいじゃん。
 オレたちを負かして上へ行ったんだから、絶対優勝しろよな。でもって、お前らが、どんだけすごいか日本中に教えてやれ。
 オレたちに勝ったお前らが、弱いなんて許さない。日本一にならなきゃ、許さないからな。
 ……わたしは高校球児でもジェンヌでもないが。そーゆー気分。

 わたしの好きな人を追い越して路線として歩いていくんだから、それだけのものを見せてよ。
 納得させてよ。
 あなたにスターとしての技量や魅力がなければ、つらいだけじゃないか。

 まとぶがトップスター候補として特別扱いを受けることは、納得している。
 それだけの美貌と華を持った人だと、わかっている。
 でもまだ、足りない。まだソレ、持って生まれた素質だけじゃん。ソレだけじゃ足りないよ。
 もっと輝いて。責任を果たして。

 ……なんて、明確に考えていたわけではないが。
 どこかに、しこりはあったと思う。ノルさん退団公演の『ベルばら』の頃からな。

 それが、だ。

 まとぶはエリートコースに相応しいだけの男として、着実に進歩し続けた。
 声高にセールスしない、どっちかっつーとなんかじれったい、不器用ささえ見せながら。

 責任を、果たしてくれた。
 や、わたしの勝手な言い分であり、思い込みに過ぎないことはわかっているが。

 歌も演技も華も、「真ん中」に相応しいだけのものを見せてくれるようになった。
 いい男だ。と、心から思えるようになった。

 だからうれしい。
 まとぶが、花組を継ぐ。
 わたしの大好きな寿美礼ちゃんのあとを継いで、大好きな花組を盛り立てていってくれるんだ。

 オギーショーでアレな使われ方をしたり、刻の霊であんまりなことになっていたりと、受難続きだが、それでもまとぶ個人の力は増していると思う。

 内定おめでとう、まとぶん。
 最後の公演、寿美礼サマをしっかり支えてあげてね。……や、あの人のもとで2番手やるの、すげー大変だったと思うけど。思いっきり割喰ってたと思うけど。最後まで絶対大変だと思うけど(笑)、それでも、オサ様との並びが好きだよ。『Appartement Cinema』は萌え萌えだ〜〜。

 オサまとが観たいよ。
 ふたりががっつり組んだ作品が観たい。
 頼むよ『アデュー・マルセイユ』。なむなむ。

          ☆

 まとぶん次期花トップ内定は朗報だし、さおたさん・越リュウ副組長内定もめでたい。
 みとさん組替えはさみしいが……いろんな組で活躍してくれることを願う。てゆーかぜひ雪組でゆみこと共演してくれ。あと、オギー作品には出演してくれ。

 
 まことにめでたいのだが。

 この人事発表の直後、チェリさんから来たメールがすばらしい。

Title「まちお先輩が」
Text「飛ばされた(AA省略)」

 よりによってソコをつっこむか!

 まとぶオメ!とか、さおたさんとか越リュウとか、話題には事欠かないのに、この2行だけっすか!(笑)
 ウケたので速攻返信したんだが……霧に包まれていきなり圏外になっちまったので、送信できたかどうか謎。(どこにいたんだ)

 旅行中に祭りがあるとつらいっす……(笑)。携帯、いい加減買い直さないとなぁ。


 月組新人公演『マジシャンの憂鬱』を、観られなかった……。

 自分的に、すごーくくやしいっす。
 ここ数年、新公はほとんどコンプリートしてきていたから。星組の『ベルばら』くらいかな、観てなかったのって。まあアレは『ベルばら』だったし、主演がれおんとウメのコンビで「何回目だよヲイ」ってもんだったからまぁ、あきらめもついた。

 『マジ鬱』新公は、観たかったっす。
 でも予定が合わなくて、チケットも手放すしかなかった……。しくしく。
 東宝を観ればいいんだ!と思って日程調べたら、花組新公と丸かぶりだった。
 劇団のバカー! ずらしてくれれば、新公好きは両方行くに決まってるのにー、なんで重ねるんだよー!
 ということで、もう観られないことが確定したわけだ。

 今回観ていないのだから、語るのもおかしいが。

 ここ数回の月組新公を観て、思ったこと。

 順番を守ることには、意義がある。

 龍真咲のことだ。
 なんか最近露出が上がったせいで混乱が生じているが、そもそも彼は抜擢組ではない。
 下級生のときからスター候補生として、特別扱いをされてきた子ではないってことだ。

 彼は新公でもずっと、ろくに役が付かなかった。
 目立った役をもらえたのは、2005年の『エリザベート』のルドルフぐらいだ。
 それ以外は、脇の役ばかり。主要人物は演じていないし、新人ならでは、若手ならではのオイシイ役もやっていない。
 研5でルドルフやって、でも次の公演では副組長の役。

 ふつーの抜擢組の若手スターは、こんな扱い受けてない。
 2学年下のみりおの方が、よっぽど正統に抜擢されて王道を歩いている。

 まさきの場合、ワークショップでいきなり主演するまで、舞台の真ん中に立つ経験をほとんどしていないんだ。
 それでも『Young Bloods!! 』をやり遂げたのはスゴイと思うし、実際すごかった。
 新公で3番手すらしたことない、1回だけ出番15分の4番役をやったことがあるだけ、のあきらかにキャリア不足の少年が、バウホールで主役をやってしまったのだから。

 磨けば光る、場所さえ与えればできる子だった。
 だが、何故か月組では、彼に新人らしい活躍の場はなかった。

 『Young Bloods!! 』以降、まさきはいきなり路線に乗った。前回副組長の役だったなんて、みんなおぼえてないだろーってくらいあたりまえに、トップスターあさこの役を演じた。
 トドロキ出演作品だったので、名目上の主演はマギーだったが、トップスターの役はまさきだった。
 マギーもまた、前回本専科さんの役だったなんて、みんなおぼえてないだろーってくらいあたりまえに、貫禄たっぷりにトドロキ様の役を演じていたしな(笑)。

 そのあとはあたりまえのように、まさきの新公主演が続いた。

 だが。
 思うんだ。

 順番は、大切なんだなって。

 スター候補の新人が、抜擢されて新公でオイシイ役をやり、3番手の役、2番手役、と順番にこなしていくことには、意味があるんだ。

 まさきには、ソレがなかった。
 彼は順当に抜擢人生を、路線人生を歩んでいなかった。
 ちょっと目立つオイシイ役をやり、「アレ誰?」と組ファン以外にも注目されたり、3番手をやって真ん中を支える役を勉強し、2番手を重ねて演じることで真ん中に立つ訓練をし、色悪を演じる。
 そーゆーステップが、路線スターには必要なんだ。

 いきなり主役をやらせても、主役なんてのはキャラクタが大抵決まっているから、芸幅を広げることにならないんだ。

 まさきの場合、ただの脇役ばかりをやって、いきなり「白い二枚目」を続け様にやることになった。あさこの役ばかりをやることになった。
 2番手も3番手も、黒い役も個性的な役も経験していない。そもそも、「少しずつ真ん中に近づいていく」経験をしていない。一場面だけセンター、とかの経験をしていない。
 いきなり、ど真ん中だ。

 これは……おもしろくないよなぁ。

 幅が増えないもの。
 同じになってしまうもの。
 少しずつ場面を与えられてきたわけじゃないから、真ん中に立つために、空間を埋めるために、闇雲に本役をなぞってしまう。

 新人公演主演の龍真咲は、魅力が乏しい。

 あさこちゃんを好きで、尊敬しているのは、よーっくわかる。
 でも、闇雲にコピーするのはどうかと思う。持ち味がチガウのに、そもそもあさこちゃんの芝居を真似るのは、ええっと、まあいろんな意味でタメにならないと思う。

 きりやんの役とか、してくるべきだったよなあ。
 ゆーひの役でも、経験しておくべきだったよなあ。

 順番ってのは、大切だ。
 ステップってのは、上へあがるために必要なものなんだなあ。エレベータに乗ってしまえば上につく、てなもんぢゃないんだなあ。

 と、過去2作の新公であさこちゃんの役をやるまさきを見て、思ったことだ。

 
 でもって。

 新公以外の方が、龍真咲って魅力的だよね?

 『大坂侍』にしても、『マジ鬱』にしても。
 あさこという見本のない、まさきオリジナルの役なら、十分魅力的なんですけど。
 キラキラしてるんですけど。

 レオー@まさき、キョーアクにかわいいよね?(笑)

 極楽の政@『大坂侍』もかわいこちゃんキラキラキャラだったけれど、こちらは毒があった。
 本人の性格ゆえか(笑)、なにをやっても毒が入る人かと思っていたら、レオーを見てびっくり、なんだよ、毒のないかわいこちゃんもできんじゃん!!

 子どもっぽくて純粋な若者。シャンドールの愉快な仲間たちの最年少、弟キャラ。
 あんまりかわいいので、誰とくっつけるか、くっつくのか妄想クラウチングスタート!って感じっすよ。
 やっぱ王道でシャンドールっすか? 彼に片想い、相手にされないところで誰か他の男、あたりがいいなあ。

 腐女子仲間のかねすきさんが自分のブログでラースロ@嘉月さんとレオーの関係に言及しているよーだが、ほら、このふたりって『SLAPSTICK』のときわたしが萌えてたコンビぢゃん!
 マック・セネット@きりやんのチームの大人の色男ヘンリー@嘉月さんが、何故かチームの下っ端少年ルー・コディ@まさきの肩を抱いて退場したりするの。あたしあのとき、「ルー・コディ、その男にはカラダは許しても、ココロは許しちゃダメよ!!」とハラハラ萌え萌えしていたわ!!
 『SLAPSTICK』は2002年だから、5年前か……。
 5年前からすでに、まさきはかわいくて、うまかったんだけどなー……新公でもぜんぜん役はつかなかったなー。

 まさきが新公を卒業することは、いいことだと思う。
 このまま彼があさこちゃんの役をやり続けても、いいことはない気がする。
 むしろ、主演は誰かに譲って、2番手役とかをして勉強するべきだと思うよ。

 だから実は、今回の『マジ鬱』で、新公主演がまさきだとわかってがっかりしたクチ。
 またか、と。

 みりおはどうか、大切に育てて下さいよ、劇団様。
 この子はホント、王道ど真ん中の路線人生歩んでるんだから。
 順番をきちんと踏んで、次はワークショップ主演。まさきとちがい、新公3番手経験、2番手経験を積んだ上での、満を持してのバウ主演。たのしみだー。

 そして、マギーが気になる。
 すごーく才能も実力もある人だが、芸風が暴走系。彼が引くことを覚えれば鬼に金棒なんだが……どうなるんだろう?
 マギーこそ、新公主演をもっと観たかったし、路線の役をやっているところを観たかったよ。彼もまさきと同じ、横からいきなり真ん中へ躍り出たクチだからなー。

 いろいろ好き放題、オマエナニサマ?!なことばかり書いているけど(あ、いつもか)。
 それでも観たかったんだよ、新公。文句も愚痴も、実際観てなきゃ言えませんて。

 まさきにはこれから、誰かの真似でない、自分の役で勝負し続けて欲しいっす。
 

 はい、今さらなんですが。『マジシャンの憂鬱』の話です。

 犯人がアホ過ぎる、「火事だー、助けて〜〜!」と叫びながら、逃げようとして安全なところに背を向けて、火の中に飛び込んでいく……ようなもんだ、と前に書いた。
 いくらなんでもご都合主義過ぎ、物語を展開させるという目的のためだけに、作者と主人公の都合のいいようにだけ、犯人と事件が動いていく。

 この「いくらなんでもひでぇよな」という展開を、ストーリーそのままでフォローする方法とは。

 犯人側の物語も描く。

 コレしかない。

 『マジ鬱』では、シャンドール@あさこ視点で物語が展開するため、犯人側の物語は一切ない。そもそも「事件」であったことすら最初は伏せられている。
 事故だと思っていた、実は事件だった、皇太子妃は生きていた……など、情報が順番に明らかになっていくことでミステリ的おもしろさを形成している。
 それはわかる。
 わざと、犯人側の情報を制限し、最後の最後で真犯人がわかる、というカタチにこだわったことは。
 わかるけど……。
 今のままじゃ、あまりにコワレてるから、こだわりを手放しても仕方ないんぢゃ?

 つーことで、「ここだけ変えれば、他は全部今のままでヨシ」話っす。や、個人的意見だけどなっ。

 要所要所、コーラスと共に場面転換するところに、「犯人」を出すの。
 シルエットだけで、姿を見せちゃダメ。
 声は機械処理してもいいし、誰かぜんぜん関係ない人がアテてもヨシ。マチヲ先輩にさせるのだけはやめた方がいいんぢゃないかと……ゲフンゲフン。

 その「犯人」が、シャンドールたちの言動にいちいちリアクションするの。
 「言い訳」ですよ。
 なんで「火事だ、助けて!」と言いながら、火の中へ飛び込んでいったのか、観客へ言い訳するの。
 これこれこーゆー事情があって仕方なく、結果的に火の中に飛び込むことになりました、という。
 そうやって説明しないことには、おかしすぎるもの。物語が壊れてしまうもの。

 ただ、この「言い訳」は、描き方によって2種類できる。

 ひとつめ。
 犯人を、徹底的にアホにする。

 幼年向けギャグアニメの悪役みたいに、ものすごーくバカで、目の前のことしか考えられない。
「天才マジシャンが、皇太子妃の事件を探っている? わーん、大変だー、そんな奴殺しちゃえー!!」
 狙撃なんかしたら、事故ではないって宣言しているよーなもんなのに、バカだからしてしまう。
「天才マジシャンを捕まえたぞー。よーし、とりあえずカタコンベに隠しちゃえ〜〜。都合の悪いものはみーんな穴の中だ、はっはっはっ」
 そんなことをして危険はあっても得があるのかと小一時間……。
 万事その調子。
 本物のアホ。
 この場合、クールで美形な部下とかを側に置いて、理不尽なアホアホ命令に唇噛ませて色気を振りまけばヨシ。越リュウあたりで見たいもんだ……(しかし、役割的にもりえになりそうな予感)。

 ふたつめ。
 犯人を、まともであるゆえに、気の毒な人にする。

 器ではなかった、それがすべての過ちだった、みたいな。
「天才マジシャンが、皇太子妃の事件を探っている? なんとか事故で済ますよう、工作は出来ないか? そのマジシャンは金で買収できないか?」
 あくまでもまともな、ふつーの人が考えるだろうことを考える人。
 でも、不幸にも穏便に済ますことが出来ないアクシデントが起き、事態が悪い方へばかり転がってしまう。
「マジシャンを狙撃した?! バカな、そんなことをしたら皇太子妃は暗殺されたのだと自白しているようなものじゃないか!」
 本人の意志とは逆の方へばかり。
「天才マジシャンを捕まえたぞ。口封じは簡単だが、皇太子が信頼している男だ、利用価値があるかもしれん。とりあえず閉じこめておけ」
 あくまでまとも、あくまでふつー。なのに、彼の意に反するトラブルが。連絡ミスとか勘違いとか、すごく些細な、現実に起こりそうなミスで。
「カタコンベに閉じこめた? バカな、あそこには皇太子妃がいるんだ、マジシャンが皇太子妃を見つけたら、すべて知られてしまう!!」
 ありえそうな些細なミスだからこそ、このタイミングで起こることが不幸のコース料理というか……。
「天は我に味方しなかった……」
 とゆーことで。

 なんでこう、ありえない方向へばかり物語が進むのか。
 ご都合主義だとか壊れてるとか、そーゆー風にしたくないなら、犯人側に登場してもらって、ひとつひとつ言い訳してもらうしかない。
 バカだったから、まともだけど運が悪かったから、という風に、解説するためだけに出てきてもらうしかないよ。

 それでも犯人を一切出したくない、シャンドール視点でしか描きたくないっていうなら、壊れていない物語を、一から書き直すしかない。

 犯人はシャンドールを狙撃したりしない。
 だから、ヴェロニカ@かなみんが命がけで彼を守るエピソードは、どこか他で使わなきゃ。パッショネイト皇太子@きりやんをボディガード@マギー、みりおたちが守る、あの愉快なシーンもなくなるけど、仕方ないよな。

 カタコンベでおびえるかわいいヴェロニカの場面もカットだ。他でなにか、同じような出来事を作るしかないな。
 ふたりのキモチが近づいていくエピソードも、みーんなやり直しだ。

 そもそも3年前、つー設定はナシだろうし、皇太子妃が生きているのもおかしい。
 辻褄の合わないことを正していったら、まったく別物になるよなー。

 犯人に人間らしい、のーみそのある行動を取らせつつ、シャンドールとヴェロニカの物語を進展させ、かつ、皇太子妃暗殺事件をミステリとしてまちがっていない組み立てで展開させる。
 ……やってやれないことはないんじゃない? まあがんばれ。

 わたしなら、犯人を出して言い訳させるな。一から作り直すの、めんどーだから。
 そして、今のままでキャラクタたちはかわいくてイイから。

 ほんの数場面、キャラクタと台詞を作るだけで、今のまま壊れていない話になるのに。
 でもって、役も増えて、見せ場をもらう人も増えるのに。

 でもまあ、正塚のこだわりなんだろうなあ。
 犯人は最後の最後まで、伏線のひとつもなくドラマのひとつもなく、名指しされてエンド、ての。


 なんだか今とても、なつかしい。

 自分の中で時代が一巡りして、初心に返ったかのよう(笑)。

 昔、タカラヅカにハマりたてだったころ。
 贔屓の雪組しか観なかったし、他の組は大して観ていないから興味もなく、いつも贔屓組の次の演目やら贔屓の出番、役柄についてのみの話題で、きゃあきゃあ盛り上がっていられた。
 あの感じですよ。

 今はもちろん、全組観るし、他の組にも好きな人がたくさんいて、いらん知恵も付いて、西に東にかけずり回っているけど。全組に渡ってたのしみだし、話題にしているけど。

 でもなんか、気分は初心なの。

 はぢめて恋した、あのころのやう……。ぽっ。

 昔のわたしは劇場にたどり着くなりまずプログラムを買って、もしくは観劇の前日までに阪急梅田百貨店の「歌劇コーナー」へ行ってプログラムを購入して、蛍光ペンで、贔屓の名前にラインを引いていた。
 当時のプログラムは、定価数百円でカラーはほんの少し、大半がモノクロのちゃちいものでございましたよ。それでも脚本が全部載っていたので、芝居もショーも、贔屓の出番、台詞だとわかるものにはラインを引いていた。

 や、だって、群舞のひとりとしてわぁーっと出てこられたり、ライトもろくにあたらないところで台詞もなく去って行かれたりしたら、初見ではわかんないじゃん。どんなときにどんな格好で、どんなアルバイトで出てくるかわかんないじゃん。
 一瞬たりとも見逃さないために、出番にラインを引いて予習する。

 はい、天下のトドロキ御大も、昔はそんなんでございましたから。
 新米トドファンとしては、必死でございました。……それでもまだトドはねー、スター街道歩いてきた人だから、他の微妙路線の人より見つけやすかったんだけどねー。

 今のわたしは、プログラムのまっつの名前に、蛍光ラインを引きそうな勢いですよ。
 あのころのやうに。
 や、今のプログラムはでかくて堅くて無駄にきれいなので、昔の「ボロボロにした方が、『使い込んだわ!』という満足感が得られる」てな安いプログラムとちがって、書き込みをしにくい雰囲気だけどな。

 特に今回、寿美礼サマばかりに夢中になって、背景をどの程度観られるのかわかんないしなー……ああでも、どんな場合にしろまっつガン見は前提だろーしなー。うまいこと同じフレームにおさまる位置に、寿美礼サマとまっつがいてくれればいいんだけどなー。

 今までのわたしなら、どの組も万遍なく通っていたのに、「花組に通うから、我慢できるところは、我慢する」という、理性のある大人みたいなことをしているし。
 くそぉ、博多座行きたかったよ、トウコちゃん!!
 月組だって、ゆーひくんの出番がもう少しアレなら、もう少しは通っていたんだ。
 『エリザベート』もムラだけで我慢我慢、チケ難公演で無理してまで観なくてヨシ、その分ムラでがんばって観たでしょう? ……って、そのはずがつい、水くんに会いに、突発的に東宝へ駆けつけたりはしちゃったけどな……(ダメじゃん)。
 いや、でも、わたしとしてはかなりがんばって、「贔屓組」とその他との差別化をしているんだ。全部観たいけど、みんなそれぞれ好きだけど、全部追いかけるにはお金がない。寿美礼サマ退団がわかったときから、全部花組中心に予定を組み直すしかなかった。

 と、「単に甲斐性がないために、全組同じよーな濃度で追いかけられない」という大人としてどうよ?な理由であったにしろ、結果的に花組中心のヅカファンライフを送るしかなく。
 それって必然的に、出会った頃のわたしたちのやうな生活なのよ。
 贔屓組だけ特化したファンライフ。他組が1で、贔屓組が7、みたいな比率。(微妙な数字ですね)

 公式に出ているあらすじを読み込み、ストーリーや役割の想像をしたりしてなー。
 予備知識ナシで観劇、がここ数年の基本だったのに、花組だけは予備知識入れまくりっすよ。
 まっつのジオラモってイタリアの大金持ちなんだー。なんでそれっぽっちの情報で笑えるんだろう……まっつがイタリアの大金持ち……なんか笑える……何故……(笑)。

 そんなこんなでわくわくと、指折り数えて待っています、花組初日。

               ☆

 つーことで 花組公演『アデュー・マルセイユ』『ラブ・シンフォニー』チケット発売日。
 もー今さらだが、トップスター退団公演チケット発売日自分的レポとして書き残しておく。

 
 わたし的に、決戦の日。
 友会でハズれ、自分の誕生日の公演チケット1枚きりしか持っていない(当たっただけでもすげぇよな、友会、誕生日だから当ててくれたの?)わたしには、オサ様千秋楽最前列観劇を狙うことが出来る、最後のチャンスだったわけだ。

 ずいぶん前から「決戦の日」と言い続け、前日から興奮してほとんど眠れず、いきり立って梅田へ並びに出かけた。

 案の定、いつもよりたくさんの人が並んでいた。
 通常の並びでは、600人くらいだ。タニちゃん宙組で400台という記録を出したくらい、年々減ってきている。
 それが、1400人並んでいた。
 通常の倍以上だ。

 フタ桁半ばまでの抽選番号を引ければ、千秋楽が買える、かもしれない。
 たかちゃんの『NEVER SAY GOODBYE』のときが、そんな感じだった。70番くらいまでなら、千秋楽が買えたと思う。
 前楽は無理。最初からあきらめている。何故なら、千秋楽は1枚しか買えないけれど、前楽は3枚まで買えるからだ。
 枚数制限のおかげで、最初に売り切れるのは前楽だよ。ひとり3枚買えるから、楽1枚、前楽2枚買っていくもんね、みんな。
 梅田に関してのみ、楽より前楽の方が入手しにくいんだ。
 なんでたかちゃんのときと比べるかというと、ワタさんのときは白紙を引いたし、コム姫のときもダメダメだったんで、何番でどれくらい、つー経験をしていないのよ。たかちゃんのときは、友人がフタ桁後半だったかを引き、「買えるなら千秋楽を買っていいよ、そのかわりオサちゃんのDCチケット協力してね」てな話になっていたんだ。
 で、どきどきしながら売れ行きを見守っていた。前楽が売り切れ、楽もSから順番に売れていき……。わたしたちの3人くらい前で、完売しちゃったんだよな、たしか。(楽チケは買えなかったけど、その友人のためにオサ様DCチケットは前方席を見つけて、彼女に進呈しましたとも、「買っていいよ」と言ってくれたお礼として)

 最前列は100番台までの番号を引ければ、手に入る。200番前半でも、日を選ばなければなんとかなるかな?
 土日の最前列狙いならフタ桁推奨。
 過去の経験から。

 オサ様千秋楽、それが無理でも最前列、と念じながら抽選に臨み……。

 白紙を引きました。

 1400人中、500人が引くという、ハズレ券。購入資格なし。アンタはなにも買えないからとっとお帰り券。

 や、すげーわたしらしい結末ですが。
 本気で凹んだ。

 なんでこー、わたしの人生はオチがつきまくるんだろう……。笑いオチなんか、欲しくないやいっ。がるがる。

 たしか、たかちゃんのときもすげー張り切って並んで、白紙引いたんだよな……。ワタさんのときは埼玉から駆けつけたのに、白紙引いたんだよな……。
 気合い入れすぎるとはずれるから、できるだけ気合い入れないようにしたつもりだったんだけど……ははは。

 まぁ、並び当日はこんな感じ。記録記録。

 
 自分で呼んでいてナンだけど、どうして「水しぇん」っていうんだろう?
 と、思ってはいたのよ。
 どっかで水くんのこの呼び方を耳にして、真似して使っていたのだが。
 どこで?

 答えは思いがけず、『アンコール!スターの小部屋』でありました。

 WOWOWを解約して早数年経つっちゅーに、『スターの小部屋』再放送につられて舞い戻りました。
 デジタルでなきゃ対応してないとか言われて、当時購入したWOWOW専用アナログチューナは無用の長物のまま。デジタル放送にはわたしんち、テレビが対応していないのでいろいろつらいんですが……それでもいいんだ、『スターの小部屋』だけ見られればいいや。

 そうやって再開したWOWOW視聴、肝心の『アンコール!スターの小部屋』はカットだらけの再編集しまくりのひでーもので、結局昔録画した画像ボロボロのビデオテープは捨てられない、という結果を確認したのみ、つー感じだが。

 それでも、改めて10年以上も前の番組を見るにあたって、いろいろいろいろ発見があった。

 その発見のウチのひとつが、「水しぇん」の由来。や、わたし的に。

 それは1996年3月放送の『ME AND MY GIRL』新人公演座談会。
 第1部、2部と別の人が新公主役をやったこの公演において、主演者と主要人物が新公の感想等を語っている。
 出演は水月静、彩輝直、成瀬こうき、水夏希。

 うわー、水くん若いなー。上級生に囲まれて緊張してるなー。研3の終わりくらいですか、これ?
 さえちゃんが研6、おっちょんが研5かぁ。

 ここで、さえちゃんが水くんのことを、「水しぇん」って呼んでいる。

 他の人は「チカちゃん」って呼んでるのに、さえちゃんだけ「水しぇん」!!

 生徒同士での呼び方だったのか、「水しぇん」って。
 それをどっかから聞いて、真似して使ってたんだな、わたし。

 緊張しまくりの水しぇん、ぽやぽやしたさえちゃん、傍若無人系喋りのナルセ……。水月くんはニュートラル。
 ナルセがやんちゃな感じ、こわいもの知らずな感じなのが、隣でカチコチになっている水くんとの対比でオイシイですなぁ。ビバ77期(笑)。

 先日スカステニュースで放送された、『Kean』稽古場レポートの、ドイちゃん、あかしと一緒に喋らされている真風くんを彷彿とするわ……(笑)。

 しかしなんで、さえちゃんだけ「水しぇん」なんだろう……。

 95年の『ME AND MY GIRL』は本公演をかろうじて2回観たのかな。すげーチケ難でなぁ、素人には手に入らなかったのよ。
 発売日、朝7時半集合で抽選、購入時間を決めたあとは指定時間ごとに並び直し、という梅田に出来た行列が、夕方6時を過ぎても続いていたことは忘れられない……。夕方通りかかったら、友だちが並んでいて、「まだ買えないのよ! 信じられない!!」と叫んでいたよ。
 新人公演なんてとんでもない、手に入るわけないって。
 天海祐希時代の月組は、チケット取るの大変だったよなあ……しみじみ。
 天海は現役から『いいとも』に出たり、フライデーだかフォーカスだかの暴露系写真週刊誌に男関係でスクープされたり、とにかくにぎやかな人ぢゃった……。

 なーんて昔話をいろいろ思い出せるのもまた、『アンコール!スターの小部屋』の価値ですわな。
 天海のさばさばした喋り方とか、今の「女優・天海祐希」とぜんぜん変わってないし。

 必死に「ぷちぷち」をつぶすケロとか、トウコちゃんダイスキでカメラを見ないでトウコだけ見つめて話すケロとか、幻の中村B作トンデモ駄作『大上海』稽古場映像、江上さん@ケロの笑顔とか……いかん、ケロばっか探して見てるよー、これだからファン心理っつーやつはよぅ。

 スカイステージと『スターの小部屋』のいちばん大きなちがいは、お稽古映像だと思う。

 スカステも稽古場の映像は見せてくれるけれど、文字通り「稽古中」のものだ。たしかにソレも見たいし、貴重だと思う。
 しかし。
 『スタ小部』のすごいところは、稽古場の休憩時間を撮っていること。
 生徒たちが思い思いに集まって、休憩していたり喋っていたり、お菓子を分け合っていたり、それこそお菓子の箱に入っていたぷちぷちをつぶしていたり、するわけだ。

 おかげで、『風と共に去りぬ』特出稽古中の休憩時間、雪組トップスターと各組2番手スターが集まって、次の『TMP音楽祭』の台本を読みながら「これアヴないよーっ(笑)」とか言い合っている姿がばっちり残ってくれてるんじゃん。
 ナニがアヴないかって?
 彼らが読んでいる台本は、『94年TMP音楽祭−夢まつり宝塚’94−』ですよ。
 ええ、全組が『風と共に去りぬ』パロディをした、あの幻の1作。
 ホモネタを敢行した、星組バージョンを読みながら、「えー、アヴないよコレぇ〜〜(笑)」と、黄色い声上げてるんですよ。
 どこの腐女子ですか、アンタら。

 そっか……ジェンヌもホモネタにはふつーに「きゃあ、アヴなぁい♪」って反応するんだ……そのころにはなかった言葉だが、今なら「萌え〜〜♪」って言ってるんぢゃないですか、そこのトップスターさんたち。
 「これってアヴないよね」とか思いながら、「萌えだよね」とか思いながら、男同士で絡んでたりするんだ……。
 と、放送当時も思いました。

 スカステも、稽古中だけでなく、日常の姿を映してくれたらいいのになぁ。稽古中より休憩中の方が絶対おもしろいのに……。
 
 
 当時のわたしは雪組担当で、他の組にそれほど詳しいワケじゃなかったので、時を経て見直すといちいち新鮮です。

 初舞台生のインタビューとか見るともお、えらいことになってるしなー(笑)。
 きりやんはそれほど印象変わってないんだが、らんとむさんったら、えらいことに(笑)。

 この調子で、早くまっつの期が来ないかなっ、と、ワクテカしております。


 雪組再演『エリザベート』東宝千秋楽。
 泣いても笑っても、最後の『エリザベート』。このメンバーで演じる、最後の1回。

 トート閣下は、ゾフィーを迎えに来ませんでした。

 残念〜〜。期待してたのにー(笑)。

 ムラ楽にやったとき、思ったよりウケなかったからと、チカちゃん傷ついちゃったのかなぁ?
 あまりに一瞬で、みんな反応しきれていなかっただけだよ。東宝でもやってくれたら、拍手喝采だったと思うよ。

 水×ハマコ(逆?)なんて、すばらしい世界なのになあ。どっしり腰を落ち着けてやってほしいくらいだ。

 
 楽のお遊びは重臣ズが「女の子の宅配実績」を押しつけ合い、収拾がつかなくなる、というものだった。
 ムラでは司祭様が伯爵に押しつけておしまい、だったのが、重臣ズ全員に押しつけ回ししていた。

 なによりわたしは、「名前を早口で呼ぶのが大変そうだな」てことにハラハラしていた。
 だってさー、密告者たちとか名前あってもまず呼ばれることないじゃん? なのにわざわざ「ヒューブナーが」「ケンペンが」ってやるわけっしょ。
 なにより「シュヴァルツェンベルク」って、長すぎ。
 アドリブでさらっと言うには、大変すぎるやろ、この名前(笑)。

 名前噛まないで発音するんだ、誰がどの名前だって観客に対して示すのははじめてだろーし、みんながんばれー。
 と、まったく関係ないところでエールを送りつつ、眺めてました。

 
 2幕冒頭のルキーニ@キムは、ムラからずーっとアドリブを通してきたことになる。
 最後のアドリブは、「美女写真コレクションがた〜くさん」と、ジャケットの前を開くとそこにはキャストの写真がベッタベタ。
 と、そこまではいい。
 問題は……あのー、特徴あるシマシマシャツの男の写真も、入ってますが?
 アレは誰の写真ですか? 美女?
 新公ルキーニ@せしるだと、いいんだけど。
 まさかルキーニ、自分自身を美女カウントしてないでしょうね?(笑)

 何回目かのカーテンコールで、水しぇんがキムをねぎらってました。毎日アドリブすげぇよ、ごくろーさま、てな意味のことを。
 水しぇん、いい人だー。

 
 予想外に、ムラ初日、楽、東宝楽と観ることが出来たわけだけど。

 いちばん拍手の音が大きかったのは、ムラ初日だ。

 あの空気、あの音は、特別だった。
 ナガさんが挨拶で拍手のことに触れたほど、すごい熱気だった。

 みんなが、待っていたんだね。
 水くんのトップスターとしての第一歩を。
 トップお披露目初日ってのはほんと、他のナニにも代え難いものなんだなと、改めて思った。

 楽の拍手が少なかったというわけではないよ。十分熱い拍手に満ちていたさ。
 そうではなく、その場にいた感触として、ムラ初日は別次元だったな、と。

 大作『エリザベート』上演初日、つーのも、そりゃあったろうけど。

 
 よい門出だったのだと思う。
 上級生の少ない雪組が、一丸となって作り上げた舞台。
 らぎくんやら谷みずせやら、ついこの間のバウ公演でごくふつーに高校生役をやっていたような子たちが、ヒゲ付けておっさん役をやって。
 まるまるした下級生たちが、カフェで歌って。

 ずっとずっと、成長したのだと思う。
 この公演を通して。

 その成果をこれから見守れるのだと思うと、うれしい。

 新生雪組。
 過去を否定するのでなく、重ねた歴史の上に、築き上げた土台の上に、より大きく深くあざやかに美しく、花開いていってほしいと、心から願う。

 初演『エリザベート』が、ほんとに好きだったんだよ。
 大切だったんだよ。
 雪組はずーっと、わたしのホームポジションなんだもの。最初の組なんだもの。
 贔屓の変化と共に、担当する組も変わっていくけれど、雪組への愛着だけは変わらない。

 東宝楽、わたしの斜め前の席に、カリンチョさんがいた。
 わたしがヅカに、そして雪組にハマったときに、トップスターだった人だ。
 はじめてのトップスターさんだ。
 雪担として、見送った人だ。
 カリさんは記憶と差異のない、美しい姿でそこにいた。や、昔から年齢不詳だったしな(若い頃から芸風がオッサンだったっちゅーか……ゲフンゲフン)。
 カリさんを見送り、いっちゃんを見送り、ゆきちゃんを見送り、トド……は見送ってないけど(笑)、ブンちゃんを見送り、コム姫を見送り、ここまでやってきた。

 時の流れを感じた。
 あのころあこがれた、ダイスキだったラテンラヴァー・杜けあきが、客席にいる。この人はもうきれいな女の人であり、「男役」ではない。
 時代は変わり、決して戻ることはない。

 ムラ初日、割れんばかりの拍手の音を聴きながら、噛みしめた。

 わたしの大切な雪組に、またひとつ新しい時代がやってきた。
 どんな時代も、愛を込めて見守りたい。


 フランツ単体で観ていると、チガウ意味でおもしろいんだろうなあ、と思う。
 雪組再演『エリザベート』

 これほど、主役がフランツを顧みない『エリザベート』は、はじめてだ。

 もともとフランツは辛抱役というか、たぶん作品の本質的には2番手役ではないので地味になりがちだけど……でもいちおー、主要人物として、ヒロインの人生に深く関わる人として描かれていたと思う。
 それが、今回の『エリザベート』では。

 主人公エリザベートがフランツにまったく興味を持っていないので、主要人物になっていない。

 とーぜんのことだが、物語は主人公を中心に展開する。
 主人公の人生に関係ある人や出来事がクローズアップされ、それがどんなに大事だろうと主人公と無関係なら物語上は出てこない。シシィがヨーロッパを放浪しているとき日本がどんなだったとか、関係ないから出てこないように。
 歴史上エリザベートの夫はフランツだっちゅーことになっているが、史実がどうであれエリザベートが彼をなんとも思わずスルーしていたら、物語的に絡みようがない。

 いやあ、見事ですね、今回。シシィ、フランツに興味なし。
 おかげでフランツの役の比重がどーんと下がり、脇役のひとりになっている。

 ムラ初日に観たときは、真ん中が大変そうでまだ主役としてのオーラを発するどころではなかったので、フランツ@ゆみこの確実な実力、「ミュージカル」を構築する技術に喝采を送ったんだが。この作品にゆみこがいてくれてよかった!てなもんだったんだが。
 回数を重ねるにつれ真ん中が主役としての仕事をしはじめると、どんどんフランツは地味になっていき……。

 東宝楽では、ここまで脇に回ってますか!

 夫としてそこにいるのに、妻を愛し、「生涯の伴侶はこの私」と必死でアピールしているのに。
 まるっと無視ですか! ヒロイン、興味ナシですか!
 ヒロインの心の視界にいないせいで、すっかり脇役ですか!

 はっきり言って、好みです(笑)。

 物語の中心ライト、というのがあるとして、それはエリザベートやトート、ルキーニといったキャラクタを照らしている。必要に応じてルドルフだったりエルマーだったりを照らしているときもある。
 ところが。
 フランツはそのライトからはずれまくり。シシィだけがぽっかり照らし出され、フランツはその外にいる。彼にライトがあたっていたのは、登場時だとかプロポーズ時だとかの、限られた場面のみ。物語が進むと、彼にライトがあたることはなくなった。

 なのに。
 フランツ@ゆみこはもー、細かい演技をしているのよ!
 ライトからはずれているのに。物語の中心、主人公の視線は彼からはずれているのに。
 主役を中心に観客の目線がある、と仮定するならば、誰も見ていないのに、すっごくきっちり演技しているのよ。心があるのよ。

 それがもー、すげーツボだ(笑)。

 中心ライトのはずれっぷりと、そのライト外の暗いところで、それでも心のある演技を続けている様がステキです。堅実で、がっしり屋台骨を支えている感じ。

 傷ついた表情が絶品。

 てゆーか、よく傷ついてますよこの人。シシィは気にもしてないけど。

 いいなあ、好きだなあ、この人。
 これだけ嫁に無視されまくっているのに、最終答弁でオトコマエにトート閣下にくってかかれるのは、彼に、自信があるからだ。
 たとえどんだけライトの外であったとしても、誰にも見てもらっていなくても、彼はやるべきことをやりつづけたのだから。
 そのことに、胸を張っていい。
 自分の人生を決めるのは、自分自身だ。
 誰が評価しなくったって、自分自身が評価すればいいだけのこと。

 フランツは、自分を認めていたんだね。
 だからシシィを愛し続けられたし、また、最終答弁で「エリザベートは私の妻だ」と断言できた。

 その強さがも気持ちいい。

 ……今までライトの外にいたから、忘れた頃に出てきて胸を張られても、真ん中ライトしか見ていないふつーの「物語目線」の人にとっては、「はぁ? 今さらナニ、この人?」てなもんかもしれないが(笑)。

 
 このハブとマングースが戦い続ける『エリザベート』には、ゆみこフランツでいいんだと思う。
 シシィの夫役ですらない、一歩も二歩も下がった役割が似合っている。
 や、見たことないけどな、ここまで脇役なフランツって。でも、この作品中では、この力加減がいい。

 
 ただ。

 ゆみこだから、こうやって作品カラーに合わせて引いてくれたけれど。

 もしもフランツ役が、絶対に脇役にならない、ヒロインの夫役なんだからその位置を下がる気はないぞ、無視されたままでなんかいないぞ、さあ振り返って俺を愛するんだ、脚本通りの比重はもらうぞ、てな持ち味というか芸風の人が演じていたら、どうなってたかなあ。
 ジェンヌ本人も、そしてファンも、そーゆーものを望むタイプの人が、フランツを演じていたら……。

 これほどトートとシシィの物語なのに、それでも恋敵として名乗りを上げ、パッショネイトに男と女の三角関係を打ち出しただろうか。

 ヒロインがふたりの男の間で迷う図、になったのだろうか。

 せっかくトートとフランツが直接対決する「最終答弁」があるんだから、そういう強いフランツも見てみたかった気もする……(笑)。ただの辛抱役ではない、色男なフランツ。
 トップコンビと、拮抗した2番手男役による、正トライアングル。って、ソレはソレでヅカの醍醐味ってもんだと思うが。

 『エリザベート』という作品には、いろんな可能性がある。

 今回のフランツの無視されっぷりは、実にわたし好みでした。なにしろわたし、樹@『天の鼓』がダイスキだった人ですから!(婚約者を寝取られたうえに、冤罪で死刑判決。命乞いに現れた婚約者は、彼ではなく鼓の命乞いをしたという……トンデモ史に残るだろう悲惨な男)
 や、樹よりずっとずっとオトコマエですけどね、陛下。ヒロインと物語の中枢からまるっと無視されているにもかかわらず、地道にステキ、という共通点が……。

 フランツ単体で見たとしても、めっさ好みの造形なので、きっとチガウ意味でたのしかったのだろうと思う。

 いろんな角度から、目線から、たのしめる作品だもの。


 再演雪組『エリザベート』が、正しいのかどうか、成功なのかどうか、わからない。
 過去の『エリザベート』と比べ、なんともいびつであり、どーも別方向へ行ってしまっている気がするからだ。
 これは演出家の意図なのか。それとも、意図したのは別なところにあったのに、結果的にこうなってしまったのか。
 トート@水の異生物感などは、演出家の意図だろうなと思うんだけど。ムラ初日のやりすぎぶりと、一旦おとなしくなってまたそっち方向へ戻りだしたことを見ても。
 ただ、意図だとしても、小池の脳内イメージが正しく表現されているのかどうかはわからん、って感じだ。
 よくも悪くも、収まりが悪すぎて。

 さて、今回の『エリザベート』でわからなかった第一人者は、なんといってもエリザベート@となみだ。
 これほど感情移入できないシシィははじめて。
 ビジュアルは申し分ないし、わたしはとなみちゃん自身ダイスキだし、もっともっと彼女に入れ込んで感動しそうなもんなのに……あれえ?
 役者への好意とかはまったく関係なく、ただ、彼女の演じる「エリザベート」が、わたしにはどうもダメだった模様。

 なにがどう、じゃないんだなこれが。
 どこがダメなの? どこがチガウの?
 べつにとなみシシィ、ふつーにやるべきこと全部やってるじゃん?
 明確に上げられるわけではなく。
 ただ彼女は「チガウ」。彼女は「届かない」。
 わたし的に。

 てな感じだったんだが。

 東宝千秋楽。
 ありえねーくらいの良席で、わたしが思わずオペラグラスを使ったのは、となみシシィの「私だけに」だ。
 さすがにこの席だと、オペラを使うのがかえってもったいなくて。視界を切り取ることなく作品全体を味わっていたのに。
 はじめて、「私だけに」でオペラ使った。
 そうせざるを得なかった。
 なにかに、突き動かされた。

「嫌よ、おとなしいお后なんて」
 ムラで見たときも、否定を歌うときのシシィがもっとも輝いて見えた。
 ムラのときから、「ナニか」があった場面だった。

 しかし。

 1ヶ月ぶりに再会したシシィは、わたしの理解なんか関係ないところへ力尽くで羽ばたいていた。

 ナニか出てるよ、この人!

 「嫌よ、おとなしいお后なんて」と歌うとなみシシィから、なにか出ていた。目を奪うナニか。広いはずの舞台が、狭く感じられる。テレビや映画で、ヒロインの顔がぐーんとアップになる、あの感じ。

 最初に言った通り、結局のところわたしは今回の『エリザベート』がわからないし、そのわからない筆頭がとなみシシィであることは変わらないのだけれど。

 それでも、納得するしかなかった。

 彼女が、主役であること。

 これが彼女の物語であり、理屈とか批評とか先入観とか、そんなものは全部、「まず彼女が在ること」のあとに付いてくるもの、ただの付属物でしかないのだということ。

 彼女が、正しい。
 これがもう、前提であり、絶対条件なんだ。

 それだけのオーラをまとっていた。
 そしてわたしは、彼女にひれ伏した。皇帝フランツがそうであるように、ハンガリー市民がそうであるように。ただ、皇后エリザベートのもとに、膝を折った。
 彼女がどう考え、なにを感じ、なにをしたいのか欲しいのか、わからなくても、ただひざまずいた。
 それが、相応しいことだからだ。

 「私だけに」の熱唱を皮切りに、となみシシィは「ナニか」を放出しつづけた。
 場面によって濃度は変わるけれど、トートと対峙するときに、閃光が増した。

 居室で、「私が踊る時」で、運動の間で。
 彼女がより強く輝くとき、それはかならずトートと向き合っていた。戦っていた。

 彼女の生命が煌めくのは、「もうひとりの彼女」である、トートと対峙するとき。

 誰だって、いちばんキツイのは「自分」を客観的に見せられるときではないだろうか。
 フィルターをとっぱらったうえで、ありのままの「自分」を突きつけられる……それは絶望であり、そこで心を折らないためには、戦うしかない。

 意志の力で運命と、世界と、ありとあらゆるものと戦おうとする生命が、もっとも輝くのはアリだろう。
 彼女が彼女であるために高速で回転し、それゆえに彼女と接触している「世界」との間に、摩擦による熱と光が発せられる。

 となみシシィの「輝き」は、必然であるのだろう。

 シシィとトートが「運命の相手」であることに、納得する。
 似ているとか同種だからとか、理由は挙げられるにしろ。
 ここまで、対峙することで熱と光を発する相手を、「運命の相手」とせずに、なんとする。

 シシィの見せ場である「鏡の間」は、たしかに美しいし威厳に満ちているのだけど、「ナニか出てる」とうろたえることはなかった。
 何故なら「鏡の間」のエリザベートは、トートと対峙していない。トートがいることに気づいていない。あるいは必要としていない。
 だから発光する必要がないんだな。

 いつもいつも、真正面から向き合い、威嚇し合うハブとマングースみたいだった、ふたり。
 全身全霊を上げて、戦う。存在意義を懸けて、戦う。
 「運命の相手」、いや、「天敵」と呼んでもまちがいではないのかもしれない。
 愛し合う恋人同士を表現する言葉ではないが、「天敵」がいなければ、生態系が狂い、地球は傾くのだ。
 だから、「運命の相手」。

 戦闘態勢後(冥界での出会いと「最後のダンス」では、シシィはまだトートを敵と認識していない)、トートと対峙していながら唯一牙を向き合わないのが、ルドルフの葬儀場面。
 丸顔マングースは戦う意志を失い、緑色のハブにその身を投げ出した。

 そこから、ふたりの関係は変わる。

 
 このエリザベート@となみという「現象」には、トート@水という「現象」しかないと思った。

 世界最後の恋人同士であり、共に旅立っていくのが必然であると思えた。

 や、ふつーの恋愛からは、ほど遠い男と女だけどな。
 だけど、彼らは「運命の相手」。
 誰も割り込むことは出来ない。

 
 これほどまでに、トートとエリザベートが戦い続けている『エリザベート』を観たのははじめてだ。
 甘さはないわ、ある意味夢もないわで、とまどったり置いてけぼりになったりと、とてもにぎやかだったけれど、最後の最後に力業で持って行かれた。

 納得するしかなかった。

 彼女が、主役であること。

 彼女が、正しい。
 これがもう、前提であり、絶対条件なんだ。

 
 いやあ、おもしろいものを観た。
 「ナニか」出てる!! という、あの感覚。そうそう味わえるもんじゃない(笑)。

 
 そしてわたしは、のだめマングースと緑のヘビが戦うイメージにアタマを抱え、さらに。

「♪私とアナタは裏オモテ♪」
 と、ハモりながら歌うとなみシシィと水トート(双方ドレス姿)のイメージがぐるぐる回って、途方に暮れております。

 水とな万歳。
 

 『エリザベート』という作品の「魅力」について、つらつら考える。

 なんだってこの作品は、こうも多くの人々を魅了する「力」を持っているのだろう。

 そりゃ、いろんな要因はあるだろうさ。
 その要因のひとつに、さまざまな解釈を容認する、懐の深さがあると思う。

 答えが、ひとつではない。
 それゆえに、多くの人が自由に物語を、作品を受け止める。
 観客が観たいように観、好きもキライも含め、意志を持って論じることが出来る。
 理詰めでがんじがらめになっていない、ゆるさがある。隙間がある。
 たったひとつの解釈、ひとつだけの答えしかない作品なら、こうまで人の心を動かさないだろう。

 だから「さまざまな要因」をひとつずつ上げていくことも無粋ってもんだ。
 答えがひとつではないという魅力を持つ作品なんだから。
 観客ひとりずつが数え上げるべきことであり、ひとりずつチガウところを要因として上げるだろうさ。

 
 とゆーことで。
 『エリザベート』を観てなにを感じ、なにに萌えるかは、本人次第。
 正しいもまちがいもないのだ。

 
 トート@水萌え。

 
 今回のトートは、ヘンナヤツだ。
 シシィを愛しているんだかどーだか、よくわかんない。

 愛しているのだと思うよ。たしかに。
 だがその愛の表現方法が、人間の感覚を超えていて、よくわかんない。

 その「異生物」感が、萌えだ。

 トートはシシィを愛し、彼女の愛を手に入れたいと思っている。
 なのに彼のやることはめちゃくちゃ。
 とても「愛して欲しい」相手にしていいことじゃない。

 好きな相手が嫌がること、彼女に嫌われるよーなことばかりを嬉々として繰り返している。

 ここまでなら「愛情表現のチガウ異世界の存在だから、仕方ないな。人間がナニをよろこび、ナニを嫌うかわかってないんだな」で済む。
 ところが。
 このトートって男の愉快なところは、シシィ以外にはやさしいってこと。

 革命家たちにお愛想してみせたり、ルドルフをいい子いい子してみたり。

 人間の喜ばせ方、知ってんじゃん!!
 彼らにカケラも愛情持っていないくせに、彼らにやさしくし、彼らがのぞむ言動を与え、彼らから愛や信頼を得ているんじゃん。

 その美しい姿でやさしくすれば、人間なんてイチコロ☆てなもんなんでしょう?

 人間のたらし込み方なら、知っている。
 実際に、やっている。
 なのに。

 彼が愛するただひとりの女には、ソレをしない。

 その矛盾が、萌え。

 バカだねえ、トート。
 革命家たちや、ルドルフにしたみたいに、シシィにも接すればよかったんだよ。
 相手が望んでいる言葉をかけてやって、やさしくするの。嘘くさい慈愛の笑みなんか浮かべてね。

 エリザベートだけが知らない。
 やさしいトートを。

 なんて不自由な人たち。
 なんてもどかしく、愚かで、愛しい人たち。

 トートは人間の操り方を知っているのに、シシィにはソレをしない。
 彼はナマの感情でシシィと対峙する。
 野生の魂を持つ少女シシィは、本能のままにトートを否定し、敵として威嚇する。

 孤独なシシィこそが、誰よりもやさしさを求めていたはずなのに。
 ひたすらな肯定と寛容、それを与えたら、簡単に彼女の心を手に入れられただろうに。

 トートが彼女に与えるのは、さらなる試練。
 否定し、追いつめ、戦い続ける。
 切っ先を向け合う剣豪同士のような、緊迫した関係。

 やさしくできたのに、しない。
 知っていたのに、しない。

 そのわけわかんなさが、たまらない。

 「愛するエリザベートに対してだけは、欺瞞のない真実の姿で接したい」から、革命家たちやルドルフにしたようにお手軽な、相手の心を得ることを目的としただけのやさしさを与えなかったのだ。
 ……なーんて理屈は、存在しない、と思う。
 トート、モノ考えてなさそーなんだもん。
 本能的な部分で行動しているように見える。

 無意識にやってるんだろう。
 道具とする人間たちへはやさしく計算尽くで近づき、愛している相手には本音で。

 えーと。
 ふつーソレ、逆だから。
 どーでもいい相手にはどう思われてもいいから本音で好き勝手して、愛する相手にはよく思われたいから計算してやさしくして。

 ふつーのことができない。
 トートの異生物感。
 あまりにも、わたしたちとは別の次元で生きる存在。

 彼の感覚のちがいが、愛しい。

 人間の感覚を持っていたら、もっとふつーだったら、あんなに傷つけ合うことはなかったのに。

 トートとエリザベート。

 鏡のように似たふたりは、似ているからこそ傷つけ合った。

 エリザベートは人間だから、彼女の意志も感情の流れも、わたしたちは理解できるしついていけるけれど、トートは困る、わけわかんない(笑)。
 シシィを傷つけ追いつめ、そのたび拒否されて、そのたび、傷ついて。

 シシィに拒否されると水トートは威嚇したり激怒したりと、過去のトートとはチガウ言動を取るんだけどね。過去のトートのように、人間らしく傷ついたりはしないんだけどね。
 
 それでも、傷ついている。
 感情の発露が人間とはチガウだけで、彼は傷ついている。

 傷ついているのに、彼女の拒絶が彼の胸を引き裂いているのに、血が流れているのに、彼は「痛い」とか「苦しい」を表現できない。
 人間なら「痛い」と泣くところを、攻撃したり激怒したり。
 なんつーか、生理と行動が一致していないみたいだ。「おなかがすいた」と風呂へ入り、「ねむい」と言って買い物をしたり。
 へんだなあ、おなかがすいたからお風呂に入ったのに、ぜんぜんおなかがいっぱいにならないや。ねむいから買い物に出ていろいろ目につくモノを好きなだけ買ってみたのに、ねむいのがなおらないや。
 腹が減ったならメシを食え、眠いなら寝ろ! 他のことをしたって、満たされないっつーの。
 それがわかっていなくて、まちがった行動を繰り返す。重ねていく。

 その、せつなさ。

 トートがトートである限り、こーゆー異生物である限り、誰も彼を救えない。
 彼は飢え、彼は欠けたままだ。

 おなかがすいた……でも、空腹を満たすすべを知らない。
 そんな、不自由さ。もどかしさ。

 一瞬見せるかなしい瞳。
 何故叱られるかわからない子どものような。

 次の瞬間、緑色の蛇は鎌首をもたげ、長い舌を出して威嚇する。

 たしかに、傷ついていたのに。
 傷つけられたときの反応が、人間とは明らかにチガウ。

 バカだね、トート。
 かなしいね、トート。

 そのままじゃ、永久に人間には愛されないよ。
 それでもそのまま、あがき続けるんだね。

 
 トートは結局、変わるけれど。
 「死なせて」と言ってきたシシィを突き放し、「死は逃げ場ではない」と言ったときから。

 わたしたちのいる側まで、翼を失って堕ちてくるけれど。

 それまでのアホさ加減、異生物感が、萌えなの。
 あそこまでバカで、別の次元で傷つき続けていることが、萌えなの。

 そして、それほど確立した異生物が、わたしたち側に堕ちてくることが、萌えなの。

 水トートが好き。

 愚かでもどかしくて、愛しくてならない。

 かわいいよ、あのイキモノ。
 ヘンナヤツ。
 かわいくて、かわいくて。

 泣けてくるくらいせつない、愚かさが愛しい。


 あれは2月の雪の日じゃった。
 前日まで快晴だった記憶があるのに、まさかの吹雪。
 車窓から、真っ白な風景と舞飛ぶ雪を見ながら震撼したものじゃった。

 水夏希のトップお披露目初日だ、吹雪でも仕方ない。

 天候すら支配する、水先輩の雨男ぶりに乾杯。
 大阪から名古屋まで、水しぇん会いたさに鈍行に乗った。なんばから4時間ちょい。家からなら、駅までの徒歩だの乗り換えだのを入れて片道5時間ってとこだろうか。

 お金持ちが新幹線でひょいっと行ってしまう距離を、びんぼーなわたしは、チケットショップで購入した近鉄株主優待券握りしめて、片道1400円で名古屋へ行った。

 あれから、半年。
 時は流れ、夏となった。

 どーしたこったい、晴天、つーか真夏日。行き過ぎの暑さ。

 雨男水先輩のハレの日なのに、『エリザベート』東宝千秋楽なのに、晴天ってどーゆーこと? 台風が来てもおかしくないと、覚悟していたのに。

 でもってわたしは。

 青春18きっぷ握りしめて、大阪から旅立った。
 朝5時大阪駅発の始発列車に乗り、京都、名古屋、静岡……と、東海道をひた走り、午後2時半に東京駅着。
 実に、9時間半。片道2300円。

 水くんに会うために、長時間鈍行列車に乗る、つーの、わたしにはデフォルトですか?

 なんでいつも、よりによって水しぇんのときばっか、こんな苦労してんだ……?
 (答え。びんぼーだからです)

 青く広がる空を車窓から眺めつつ、中日お披露目の日の車窓の荒れっぷりを思い出していました。
 あれからもう、半年経つんだね。

  
 はい、水くん運のないこのわたし、雪東宝楽なんてチケットあるわけないですよ。
 それがなんと、maさんがまさかのプラチナチケットを譲ってくれまして。
 行くはずだったお友だちが行けなくなったから、と。
 飛びつくでしょう、そんな。
 公演の数日前のお声掛けだったんだけど、他に予定入ってたんだけど、ついでにお盆真っ直中で交通機関全滅、予約なんて取れるわけないっつーの、という状態であったとしても!
 這ってでも行く。

 結果、往復18きっぷ、19時間電車の中だったりしたんだけど、ぜんぜん平気!

 待ってて水しぇん!!
 あなたのこあらが駆けつけるわ! 鈍行列車を乗り継いで!!( 2007-02-01の日記まんま)

 
 水となと、新生雪組。
 お披露目公演『エリザベート』千秋楽おめでとう。

 新しいスタートで、そしてあまりにも大きなタイトルで、プレッシャーもすごかったのだと思う。
 無事に終わって良かった。

 そして、すばらしい舞台で良かった。

 おめでとう、そしてありがとう。

 
 いやそのちょっと、すごいお席だったんですよ。
 1階SSドセンターで。まさに0番で。
 わたしの『エリザベート』観劇人生で、最良の席っす。ありえねえっす。
 もー、どこ見ていいかわかんねえ。
 終始舞い上がりっぱなし。

 で。
 たぶん、いちばん緑野こあら的に価値があったのが。

 トート@水くんの、尻が目の前だ。

 尻です。
 はい。

 1幕最後、トート閣下は銀橋に寝そべっているぢゃないですか。
 登場したときは真っ暗闇、一見いつ出てきたのかわからないよーになっている。
 が、至近距離ならわかるわけですよ。あ、出てきた。あ、寝そべっている。

 そして。

 あ、尻をこっちへ向けている。

 トート閣下の、尻。
 寝そべって、しどけなく、無防備に、尻をさらしている。

 おお……。(嘆息)

 来た甲斐あったっ。すぐそばに、トート閣下の尻!!

 ふつーなら見えない尻がっ。尻が見えるっ。
 あ、もちろん服着てますよ。閣下ですから、いつもの大仰な扮装なさってます。
 それとは別に、カラダの一部としての尻が、リアルに動いてこう、寝そべっていてだね……!
 銀橋に寝そべって、つーことはだ、客席の目の高さだったりするわけでだね……!

 ……すみません、こんなヤツで。
 こんなヤツがこんな席坐って、猫に小判もいいとこなんだが。

 水とな万歳、雪組万歳!! と、心底盛り上がってきました。

 行ってよかった、観られてよかった。
 今回の雪組再演『エリザベート』が、成功なのかどうなのか、正直よくわかんないんだけど、それでも、感動した。

 水くんを、となみちゃんを、他のみんなを、ますます好きになったよー。
 トートを、エリザベートを、他のキャラクタたちを、ますます好きになったよー。

 あんまりたのしかったので、パクちゃん画伯の描いた「水とな」イラストに対抗して、「ハブとマングース対決」図をマウスで描いてみたりしました……あんまりな出来だったんで、ここには貼れないけどな(笑)。

 maさん、ほんとにありがとうございました。

 突然の宿泊予約だったにも関わらず快く泊めてくれた……とゆーか、予約を入れた翌日には「イベント」として仲間たちを招集してくれたドリーさん、突然のイベント招集だったのに、東組全員まるっと集まってくれた我が愛しのどりーずのみんな、たのしかったよ、ありがとう。

 今年の夏は博多にも行けず、コミケにも行けず、寿美礼サマの退団だけを考えて暗くしょぼんとヘコんだまま過ごすのかと思っていただけに、思いがけなく集まることが出来てうれしかったっす。

 
 まともな観劇感想は翌日欄へ。
 

 まず、キャトレで4つ切りスチールを見て。

 大空祐飛って、どんだけビジュアル系なんだ。

 と、感心しました。

 カシウス様@『暁のローマ』でもその美貌っぷりに絶句したもんですが(ゆーひさんのパソカレ、今がちょうどそのカシウス様ですよ、すげー美しさですよ)、今回もまたすごいね!
 『MAHOROBA−遥か彼方YAMATO−』のサダル役ですか、とんでもないですね!

 相も変わらず、なんの予備知識もなく劇場にいて。
 月組の今回の初日は花組『ハロー!ダンシング』千秋楽を取ってしまったので、『MAHOROBA』は観られず、キャトレをうろうろしていた。
 そこで上記のスチールを見て、嘆息したわけですよ。
 ネタバレ・先入観は不要な人なんで、プログラムは一切見てない。ただ、「あさこちゃん新グッズ出てるー、なんかこの色とデザイン好き〜〜」とか思いつつのんきにしていたところに、飛び込んできたゆーひくんの美貌っぷりときたら。

 アニメ的な扮装、似合い過ぎだね、彼。
 現実にはありえない髪型とかファッションが似合い過ぎだね。
 ありゃー、二次元生命体ですよ。現実に生息しているとは思えん……。

 という、ソレだけの知識で、日を改めて『MAHOROBA』観劇。

 ヤマトタケル物語だとすら、知らずにいました(笑)。

 イザナギ・イザナミの国造りとかはじまって、口ぽかーんでした。や、アジアショーだって聞いていた気はしたけど、日本神話やるとは思っていなくて。
 眺めながら、大昔、若い頃に読んだ「古事記」の内容をとりとめなく思い出していた。……あまりに大昔の記憶なので、綻びまくっていて大変(笑)。

 んで、次から次へと怒濤の登場人物紹介が続き、そりゃーもー、あっけにとられるほど長々と続き、うろたえる。
 いつまで続くんだコレ。どこまでやるんだコレ。

 ここまで冒頭で多人数の登場人物紹介をやってのけた作品は、例を見ないのではなかろうか。
 すげー力業。

 いや、主要人物の区別がつくわけだから、たのしいっちゃたのしいんだけど。
 むしろなにもわかんない方がよかったかもしれない。神話だとか役者にとらわれず、ただ「ショー」としてたのしむには不要と思えるほどの情報量。

 で、ヤマトタケルがあさこなのかー。んで、オトタチバナヒメがかなみちゃんかー。
 つーことで、これまた大昔に読んだ「ヤマトタケル」の物語が脳裏を走っていく。こまった、絵柄がゆうきまさみだよ、若い頃の記憶ってのはおそろしいな。(またそんな、誰にも通じないような話を)

 まあ大まかなキャラとエピソード、展開やら結末は、たぶんふつーの日本人程度にはわかっているので、「クマソ討伐キターッ!」とか、「女装するよね、ワクテカ」とか、「オトタチバナヒメ身投げ〜〜」とか、「ラストは白い鳥」とか、わっかりやすくていいっちゃいいんだが。
 ……ふつー以下かも、あたしの神話理解度。なにしろこんな、ミーハー丸出しのアッタマ悪い知識しかないっす。
 だって国文の学生やってたのって何十年ま……ゲフンゲフン。

 や、アタマ悪いのはもー仕方ないんで、神話はのーみその片隅に留めるだけとして。

 ビジュアルを楽しもう。

 ゆーひさん。
 どんだけ美しいんですか、あーた。

 ヤマトタケルのお付きやって、クマソ討伐で女装してますが、その必要ないから! アンタ、男のままで誘惑できるから!!

 ここの女装シーンは、あさこちゃんがめっさ色っぽいです。禁断の美女のかほり。

 ゆーひさんは、女装するより、男のままの方がエロい(笑)。女装すると、ふつーにきれい、になってしまう。
 難儀な人やな。

 そしてゆーひくん、今回なんかずーっときりやんと一緒にいて。

 大変です。
 きりやさんと、同じ振りで踊らすのはやめてください。並べて踊らせるのはやめてください。

 やー、もー、ほんっとに、ゆーひって、踊れないよね。

 歌よりやばいのは、まちがいなくダンスですか。そうですか。

 なんか今回、きりやんの横で痛感させてくれました。
 ゆひくん、ダンスやばすぎ。

 しかし。

 不思議なもんですなあ。
 そんなあからさまな欠点ごと、ゆーひくんが、愛しいです。

 あのビジュアルで魅了してくれたら、もーソレでいいよぅ。
 きれいできれいで、ドキドキさせてくれるから、もーいいよぅ。

 や、もちろんもっと踊れるようになってくれれば、言うことナシだが。ぶっちゃけ無理だろ……。

 彼が得意する分野で、雰囲気で見せることはできても、本気で踊りまくるショーでは、ゆーひくん大変そう。

 外見の冷たい美しさと、「大変」なダンスのギャップに、改めてキャトレで美しい四つ切りスチールを眺めてウケる。

 いやあ、ほんとにすごいよな。

 大空祐飛って、どんだけビジュアル系なんだ。

 彼が得意とするのは、やはり1がルックス、2がいちおー芝居、3が歌で最後がダンスかな。
 ルックスは個々の好みがいちばん大きく評価に出るところだし、芝居も好みの問題だしゆーひくんもべつにそれほど芝居うまいわけぢゃないし……ハマり役だとすげー飛躍する人だけど、できないこと多すぎだし……ああでも、やっぱり美しい人だ〜〜。

 
 美しいショー作品で、美しい人をたのしみました。はい。
 でも、作品自体はわたし的に微妙かも(笑)。


 物語を転がしていく上で、大きく分けてふたつの軸がある。
 ひとつは、物理的な出来事、アクション。
 目に見えること、物語の「動」部分。
 『マジシャンの憂鬱』でいうところの、皇太子妃暗殺事件。
 そしてもうひとつが、精神的な出来事。
 目に見えないこと、物語の「心」部分。
 『マジ鬱』でいうところの、主人公の恋愛。

 皇太子妃暗殺事件は、ぶっちゃけえらいことになっていた。
 ガタガタ。ダメダメ。
 犯人がバカだった、「火事だー、助けてー!」と叫びながら火の中に飛び込んでいくとか、「あぶない!」と言われたら逃げずに「なにが危ないの? ねえねえ、なにがなにが?」とその場で大騒ぎして道路の真ん中でトラックにはねられるとか、そーゆー類いの「ありえないバカ」だった、という以外に行動の理由がわからない。
 そんな、見事にぶっこわれたアホアホ系物語。

 それでも。
 この作品がただのアホアホになっていないのは、「心」部分の物語が壊れていないからだ。

 マジシャン・シャンドール@あさこと、ボディーガード・ヴェロニカ@かなみが出会って、恋に落ちる。これだけのシンプルな道に、ごろごろといろーんな障害が転がっている。皇太子妃が暗殺されただとか、シャンドールが狙撃されただとか、ヴェロニカがダンスが苦手だとか。
 それらの障害・出来事に対して、それぞれのリアクションを取りながらも、正しい道を行く。
 ふたりの恋が、成就するラストシーン向かって。

 出来事自体はホレ、かなりアホアホなんだけどね。犯人バカだから。
 でも、どんなにありえないよーな話であっても、「心」さえ正しくつながっていれば、関係ないんだよ。

 たとえ異世界が舞台で、登場するキャラクタが人間でないとしても(妖精とか犬とか虫とか、なんでもヨシ)、その世界で生きるキャラクタたちの「心」が壊れていなければ、感情移入できる。
 出来事がどんなにありえなくても、それに対するキャラクタの「心」が、人間として違和感のないものであるなら、リアルなものとして受け止められる。
 古代エジプトが舞台で、神のお告げで将軍が決まったり、戦争したりってあまりに異世界でわたしたちからすりゃーありえないことばかりだけど、それでもアイーダとラダメスの恋に涙したよーに。
 舞台や出来事、「動」部分がどれだけわたしたちの生きる世界とかけ離れていたって、「心」部分がまちがっていなければ、「物語」として成立するんだよ。
 そーゆーことだ。

 逆に、どんなに理路整然とした物理的展開の物語でも、そこに生きる人々が人間とは思えない感情形態をしていたら、気持ち悪いだけだ。

 ほらたとえば、それまでふたりで仲良くダメダメ詐欺師をやって、何年も懸けてエッフェル塔を造ったのに、ラストでいきなりなんの脈絡もなく兄貴分が弟分を疑い、罵り、銃を振り回したりするの。
 人の心としてありえない展開過ぎて、ぽかーんとしちゃうでしょ。

 さんざん男たちに言い寄られ、ちやほやされ、一緒に愛の歌をデュエットしたりして、「すべての男はわたしを愛して当然、愛され過ぎて大変だわ」と天使の微笑みを浮かべる女が、同じ口で「誰にも愛されたことがないから」と本気で言ったりするの。
 人の心としてありえない展開過ぎて、ぽかーんとしちゃうでしょ。
 や、このふたつの例は、心だけでなくアクション部分もぶっ壊れまくっていけどな。溜息。

 そんなふーには「心」が壊れていないから、大丈夫。
 事件自体がどんなにアレなことになっていても、無問題。

 シャンドールとヴェロニカ、ボルディジャール@きりやんとマレーク@あいあい、ふた組のカップルの心のなめらかな動き、正しさが気持ちいい。

 もどかしく、カメの歩みで近づいていくシャンドールとヴェロニカ。
 最短コースを脇目もふらず最速でぶっちぎるボル殿下と、ソレを受け止めるマレーク。

 不器用なキャリアウーマン・ヴェロニカの恋に感情移入してじれじれしたりせつなくなったり、ぶっちぎりに愛一直線パッショネイト殿下にときめいてみたり。
 対照的なカップルが描かれているから、二度美味しくいただきましょう、ヲトメとして!

 「心」部分が正しく、シック(地味とも言う)で品のいい画面に、説明の少ないリアル系の台詞、会話のテンポで笑わせる、オシャレなラヴコメ。
 贔屓組で観てみたいよねー、こーゆーの。
 ……と、ついついいつものよーに妄想配役を考えてしまうくらいには、よい作品だと思うよ。

 ただ、シャンドールはオサ様では絶対チガウから、現花組では妄想配役できぬ(笑)。まとぶの時代ならアリだなー。

 
 とにかくもー、ヴェロニカ@かなみちゃんが、かわいくてかわいくて。
 ああいう不器用な女の子いいよねー。
 真面目が過ぎて逃げ場をなくしているところが、愛しい。

 惜しいのはシャンドールがなにを考えているか、わからないこと。
 かっこいいんだけど、すごーくすごーくかっこいいんだけど、ソレだけになってしまっているのが惜しい。

 正塚脚本は説明が極力省かれているから、行間を演技で見せてくれる人こそがハマるんだよなー。
 せっかくのオイシイ役、ラストの愛の告白が唐突に見えないよーになればいいのに……。
 や、演出的には唐突じゃないよ。「心」はつながっている。あ、ここで彼の心が彼女に向かって動くエピソードだな、って、いちいちセオリー通りに段階踏んで描いてあるんだもの。
 エピソードを観て「計算式」がわかるだけで、シャンドールその人からは、脚本が計算している分量のキモチが伝わってこないという……。
 あー、たぶんきっと、これから演技が深まっていくんだと思う。わたしは初日とその翌週に観ただけだから。未来に期待。

 今のままだと、シャンドールが「なにをしたい」のかよくわからなくて、視点が見事にヴェロニカ固定、彼女が主役になってしまった……。

 恋愛意外でも。
 詐欺をして金儲けがしたいのか、仲間たちにいい顔がしたいだけなのか、マジシャンとして人をあやつるエクササイズを極めているのか、わたしにはシャンドールさんという人が見えてこなくてつらい。
 「騙し続ける孤独」だとかなんだとか、歌っていたけれど、歌詞として歌っているだけにしか見えないっす……。

 はっきり描かない正塚も悪いんだけどな。
 はっきり描かないのが彼の芸風であり、長所でもあるので、役者にばしっと応えてほしいなあ。

 や、演技は好みの問題なので、わたし以外の人に伝わっているのなら、それで無問題なんだがなー。
 嘉月さんとか、削ぎ落とされた台詞でもちゃーんと「仕事」している人を見ると、シャンドールって、もっとなんとかできる役なんぢゃないの?とか思ってしまうのことよ。

 今の段階では、主役のハズの人が、いちばんのミステリだな(笑)。

           ☆

 愛用のミニパソが、パソコンと接続できなくなってしまって、思いっきりうろたえました。
 ミニパソに書きためたテキスト全部無駄に?! てゆーか、母艦に着艦できない搭載機なんて、持ってても意味ないじゃん! 全部ネット経由かよ?!

 いやあ、再インストールしたり、リセットしたりで半日潰しましたよ……。
 復活できて良かった。


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