彼は素敵にアクセント。@メランコリック・ジゴロ
2010年11月21日 タカラヅカ ファンタジー感が薄れ、ふつーのドラマになっていた全ツ版『メランコリック・ジゴロ』。
ふつーの範囲内で地に足付けて芝居する人たちの中、ひとり愉快に浮き上がっていたのは、マチウ@めおくんだ。
めおくんは、独自の世界に入ると強いね!
芝居がうまい人だという認識はないが、うまい下手とは別の魅力を持っている。それがハマったときは他の役者にはない存在感を放つ。
弁護士マチウは三枚目。かっこつけることもなく、わかりやすくお笑いキャラ。
だから素直に笑いを取りに行っていい分、やりやすいっちゃーやりやすいのかもしれない。
にしたってマチウ。ああマチウ。
オープニングから、素敵にマチウ。
なんの説明もなく、役の姿で歌い踊るオープニング。
マチウはなんとも不思議なダンスをしていた。
ヘタレ三枚目としてのダンスで、笑いを取ることを真面目に考えていそうなんだけれど……なんだろう、あの期待感のある三枚目ぶりは。
ただ滑稽というのではなく、長い手足をもてあましている感じが……隠された可能性を洞察したくなるってーか。
あ、あの人おもしろい……けど、背も高いし手足長いし、あれ、なんかかっこよくない? ほんとはあの人かっこいいよね? 髪型と眼鏡でわかんないけど、ほんとはかなり美形だよね???
と、初心者(主役以外に惹かれがちタイプ)が目をとめるナニかを持っているんですよ!!(笑)
マチウは三枚目のなさけないキャラクタ。結局のところ最初から最後まで三枚目のまま。
だからもちろん、中日版のまりんのように、芝居巧者のおじさんでがちっとまとめることもできる。
でもめおくんぐらい、アニメ的な美形が演じてしまうのもイイ! 最後まで滑稽なままだからこそ、興味がその後も持続する。「あの弁護士役の人、ショーではどんな風なのかしら」と。
三枚目の役だからあんなだったけど、あの人絶対美形! という、確信を持ってショーで捜すことが出来る……そんなマチウ。
初演は美貌のタモさんが演じていたんだから、こっちが正しい使い方なんだろうな。ショーと2本立てのタカラヅカだからこそやっていい、美形の贅沢な使い方。
なんにせよ、この全ツ版の『メランコリック・ジゴロ』。
ダニエル@まとぶんとフェリシア@蘭ちゃんの恋愛のリアルさが増し、ヲトメハートでどきどき恋愛に集中できるのはすごーくたのしいんだが、その分「タカラヅカ」的なファンタジックさが減ってしまった。
それぞれの役を、現実的な持ち味で演じることによって、作品自体がファンタジーからドラマへ移行した。
舞台はみんなで創りあげるものなんだなと思う。
たとえばフォンダリ@みわっちは、かなりファンタジックなキャラクタだ。中日版では特に、その仰々しさが活きていた。
だけど全ツ版ではそれほどでもない。一緒にいるバロット@みつるとルシル@さあやが現実的なキャラクタである分、フォンダリひとりが異次元でいいわけがない。
芝居センスのイイみわさんは、変わらずに「フォンダリ」でありながらも、悪目立ちすることなく世界観に調和している。
また、ティーナ@ゆまちゃんがすごーくふつーの女性になってしまっているため、その相方のスタン@壮くんもファンタジー度が下がっている。
壮くんはタカラヅカ的なファンタジーに満ちあふれた人で、本人のキャラだけで突き進んでヨシなタイプ。
詐欺師のスタンは壮くんに合った役だけど、今回はちょっと半端な印象。
ティーナがエイリアンでない分、彼女に冷たくするとスタンの男ぶりが下がるのよー。生身の女の子にあーゆー態度取る男はいかんですよ。もともと正塚脚本がリアルであるため、男女間のモメ方がうれしくない方向に生々しくなる。
こんな男も、こんなも女もいそうだけど、こんなケンカをしそうだけど、それでも離れられずに共依存していそうだけど、ソレをタカラヅカで、よりによって壮くんで見たいわけじゃない、と。
フォンダリとティーナという、2大ファンタジーキャラが「現実の範囲内」に収まっている全ツ版は、ほんとに地に足のついた恋愛ドラマになっていた。舞台よりも、映画で見たい感じに。
それはいい。ソレはソレでイイ。
でもやっぱりわたしはタカラヅカファンで、タカラヅカでしかありえない「ファンタジー」が好きで、ソレの下がった全ツ版はちょっと寂しかったりもする。
そんな中で。
マチウ@めおくんの「タカラヅカ」っぷりは、イイ。
ほっとする。うれしくなる。
ああ、「タカラヅカ」だ。コレがアリなのが、いかにも「タカラヅカ」だ。
めおくんはほんっとに、「タカラヅカ」な人だなああ。
タカラヅカ度をあえて下げた芝居だからこそ、あえてマチウがめおくんなんだと思う。
タカラヅカらしいサーモンピンクやグレイッシュピンクな中日版(それでもマサツカだから、鈍いピンク・笑)から、落ち着いたセピア一色になったよーな全ツ版。そこに、アクセントとしてひとりだけ輝度の高い色を置く。
昔、よく絵を描いていたころ。
セピア一色で描いて、最後の仕上げにホワイトを入れていたことを思い出した。
ハイライト効果以外にも、ちょっとした輪郭とか、強調したいところとか。
そうすることによって、下手の横好きの素人ポンチ絵も、なんかまとまって見えたもんだった。
アクセント・カラーは大切です。どこにどう入れるか。入れすぎてもうざくなるし。
めおくんは素敵にタカラヅカ。
ふつーの範囲内で地に足付けて芝居する人たちの中、ひとり愉快に浮き上がっていたのは、マチウ@めおくんだ。
めおくんは、独自の世界に入ると強いね!
芝居がうまい人だという認識はないが、うまい下手とは別の魅力を持っている。それがハマったときは他の役者にはない存在感を放つ。
弁護士マチウは三枚目。かっこつけることもなく、わかりやすくお笑いキャラ。
だから素直に笑いを取りに行っていい分、やりやすいっちゃーやりやすいのかもしれない。
にしたってマチウ。ああマチウ。
オープニングから、素敵にマチウ。
なんの説明もなく、役の姿で歌い踊るオープニング。
マチウはなんとも不思議なダンスをしていた。
ヘタレ三枚目としてのダンスで、笑いを取ることを真面目に考えていそうなんだけれど……なんだろう、あの期待感のある三枚目ぶりは。
ただ滑稽というのではなく、長い手足をもてあましている感じが……隠された可能性を洞察したくなるってーか。
あ、あの人おもしろい……けど、背も高いし手足長いし、あれ、なんかかっこよくない? ほんとはあの人かっこいいよね? 髪型と眼鏡でわかんないけど、ほんとはかなり美形だよね???
と、初心者(主役以外に惹かれがちタイプ)が目をとめるナニかを持っているんですよ!!(笑)
マチウは三枚目のなさけないキャラクタ。結局のところ最初から最後まで三枚目のまま。
だからもちろん、中日版のまりんのように、芝居巧者のおじさんでがちっとまとめることもできる。
でもめおくんぐらい、アニメ的な美形が演じてしまうのもイイ! 最後まで滑稽なままだからこそ、興味がその後も持続する。「あの弁護士役の人、ショーではどんな風なのかしら」と。
三枚目の役だからあんなだったけど、あの人絶対美形! という、確信を持ってショーで捜すことが出来る……そんなマチウ。
初演は美貌のタモさんが演じていたんだから、こっちが正しい使い方なんだろうな。ショーと2本立てのタカラヅカだからこそやっていい、美形の贅沢な使い方。
なんにせよ、この全ツ版の『メランコリック・ジゴロ』。
ダニエル@まとぶんとフェリシア@蘭ちゃんの恋愛のリアルさが増し、ヲトメハートでどきどき恋愛に集中できるのはすごーくたのしいんだが、その分「タカラヅカ」的なファンタジックさが減ってしまった。
それぞれの役を、現実的な持ち味で演じることによって、作品自体がファンタジーからドラマへ移行した。
舞台はみんなで創りあげるものなんだなと思う。
たとえばフォンダリ@みわっちは、かなりファンタジックなキャラクタだ。中日版では特に、その仰々しさが活きていた。
だけど全ツ版ではそれほどでもない。一緒にいるバロット@みつるとルシル@さあやが現実的なキャラクタである分、フォンダリひとりが異次元でいいわけがない。
芝居センスのイイみわさんは、変わらずに「フォンダリ」でありながらも、悪目立ちすることなく世界観に調和している。
また、ティーナ@ゆまちゃんがすごーくふつーの女性になってしまっているため、その相方のスタン@壮くんもファンタジー度が下がっている。
壮くんはタカラヅカ的なファンタジーに満ちあふれた人で、本人のキャラだけで突き進んでヨシなタイプ。
詐欺師のスタンは壮くんに合った役だけど、今回はちょっと半端な印象。
ティーナがエイリアンでない分、彼女に冷たくするとスタンの男ぶりが下がるのよー。生身の女の子にあーゆー態度取る男はいかんですよ。もともと正塚脚本がリアルであるため、男女間のモメ方がうれしくない方向に生々しくなる。
こんな男も、こんなも女もいそうだけど、こんなケンカをしそうだけど、それでも離れられずに共依存していそうだけど、ソレをタカラヅカで、よりによって壮くんで見たいわけじゃない、と。
フォンダリとティーナという、2大ファンタジーキャラが「現実の範囲内」に収まっている全ツ版は、ほんとに地に足のついた恋愛ドラマになっていた。舞台よりも、映画で見たい感じに。
それはいい。ソレはソレでイイ。
でもやっぱりわたしはタカラヅカファンで、タカラヅカでしかありえない「ファンタジー」が好きで、ソレの下がった全ツ版はちょっと寂しかったりもする。
そんな中で。
マチウ@めおくんの「タカラヅカ」っぷりは、イイ。
ほっとする。うれしくなる。
ああ、「タカラヅカ」だ。コレがアリなのが、いかにも「タカラヅカ」だ。
めおくんはほんっとに、「タカラヅカ」な人だなああ。
タカラヅカ度をあえて下げた芝居だからこそ、あえてマチウがめおくんなんだと思う。
タカラヅカらしいサーモンピンクやグレイッシュピンクな中日版(それでもマサツカだから、鈍いピンク・笑)から、落ち着いたセピア一色になったよーな全ツ版。そこに、アクセントとしてひとりだけ輝度の高い色を置く。
昔、よく絵を描いていたころ。
セピア一色で描いて、最後の仕上げにホワイトを入れていたことを思い出した。
ハイライト効果以外にも、ちょっとした輪郭とか、強調したいところとか。
そうすることによって、下手の横好きの素人ポンチ絵も、なんかまとまって見えたもんだった。
アクセント・カラーは大切です。どこにどう入れるか。入れすぎてもうざくなるし。
めおくんは素敵にタカラヅカ。