『ハウ・トゥー・サクシード』を救う方法は、1幕95分モノに短縮することだと思うんだ(笑)。

 初演を1回観ただけ、肌に合わなかったのでそれきり一度も観ていないわたしは、とても新鮮な気持ちで雪組版の『H2$』初日を観劇した。
 そして、1幕の長さに驚いた(笑)。

 わたしの周囲限定の狭い世界の話で恐縮だが、誰も彼もが「1幕がつらい」「あんまり長いから、休憩無しで3時間上演するのかと思った(=1幕の1時間半が3時間に感じられた)」「1幕は寝た」「もう2幕だけでイイよ」との意見。1幕に見せ場があるまっつメイトですらそう言うほどに、1幕はつらい。

 1幕のテンポの悪さはすごーく前世紀的。
 2幕になると話が動くので、それほど苦痛ではないんだが。

 そんならもう1幕は大幅に削って、ふつーに全部で95分の芝居にしちゃえよ。
 で、2幕はショーを55分やればいいじゃん。ロケットも階段も付けて。

 まず真っ先に、「コーヒーブレイク」の場面をカットだな(笑)。
 『H2$』というと!という名場面らしいが、これこそカット。いらんやろコレ。
 ストーリーとは無関係、もちろん主人公もヒロインも出ない、突然なんの脈絡もなくはじまって、しかも長い。
 ストーリーと関係なくても唐突でも、共感できるとか感動できる場面ならアリだけど、ソレすらない。日本人ぽかーん……。

 「コーヒーブレイク」の場面は、2幕目のショーに入れればいいよ。芝居の中にはイラナイ。

 んであとは、ヒロインの妄想ソロかなあ、カットするの。
 主人公以上にヒロインはひとりでえんえん歌い続けるからなあ。ストーリーとは直接無関係……というか、説明にはなるけどアクションにはならない、彼女の考え方を表すだけの歌が……しかも長い。

 主人公のサクセスに視点を合わせ、それに直接関係する場面のみをチョイス。
 次に、ストーリーと関連し、なおかつ出演人数の多い、派手な場面をチョイス。
 重複やただの説明場面はカット。
 主人公の場面でも、だらだら会話や歌で時間を使わず、テンポアップする。

 それで95分に収めてくれ。
 主人公がどんだけ小狡くて、現代日本人が「それってどうよ?」とか「こんな人やだ」と思う前に・気付く前に、テンポの良さでさくさく進んでエンドマークにまでこぎつけてくれ。

 あ、ただし作中唯一のタカラヅカっぽい場面である、重役洗面室はそのままに。
 主人公がまともに「かっこいい」場面ってあそこくらいじゃん。

 160分も必要な芝居ぢゃないよコレ……。

 
 で、2幕は1960年代ニューヨークを舞台にしたショー。
 1幕に入りきらなかった「コーヒーブレイク」をはじめ、お洒落にパワフルに展開させるの。
 澄夫ちゃんだから、見た目にきれいなショーになるはず。ナマ演奏だし。
 ニューヨーク物の定番、ギャングや裏社会アリですよ、男たちのキザな場面、それに絡む美女たちの艶っぽい場面。
 そこに迷い込んできた純真な少女みみ、彼女を守ろうとするギャングキム、敵対するちぎとか。ありがちでいいんです、ヅカは同じこと繰り返してナンボです。
 ジャズでもロックでもゴスペルでも、なんでもござれ。キムもまっつもかおりもヒメも、がんがん歌いますよ! 汝鳥サマだってキュートに参加しますわよ!
 芝居で二枚目シーンのなかったちぎくんも美貌を発揮し、出番のなかったせしる以下も見せ場をもらって輝くのよ。
 あちこちに『H2$』っぽいモチーフや、「バドの日常」場面とか、「ヘディちゃんの前の職業」とか、関連したことをやりつつ。
 最後はトップコンビのデュエットダンス、そして中階段を使ってのパレード、もちろん大羽根+シャンシャン付き。シャンシャンはやっぱアレか、$マークか(笑)。

 
 観たかったなあ、そんな『H2$』。

日記内を検索