薔薇の似合う男だからこそ。@華やかなりし日々
2012年4月13日 タカラヅカ 大空祐飛が、カッコイイ。
……それに尽きる、というか、それしかない話でした。
ゆーひくんの退団公演、『華やかなりし日々』初日観劇。
ラストのゆーひくんの去り方、その格好良さに息をのんだ。
それまでの疑問を全部吹っ飛ばす勢いで。
あのゆーひさんを見るだけでも、価値がある。
でもやっぱり、ストーリー的にはかなり首を傾げる。
原田せんせの大劇場デビュー作なわけだけど、彼の過去作品と比べて明らかに退化しているのは、どーゆーわけか。
『Je Chante』『ニジンスキー』『ロバート・キャパ 魂の記録』と全部ナマで観てきている。わたしの目には、原田せんせの腕が1作ごとに上がっていると映っていた。
『Je Chante』はひっでーもんだったが、『ニジンスキー』はよくなっていたし、『ロバート・キャパ』はうまくまとまっていた。
なのに、まさかの4作目『華やかなりし日々』で、『Je Chante』レベルに落ちるとは、思わなかった。
大劇場だからかな。大劇場ゆえのいろんな制約で、また初心者に戻っちゃった?
それとも、「偉人の伝記」というあらすじがないと、ナニも出来ない人なのかな?
画面演出は、相変わらずきれい。タカラヅカを観たわー的満足感を得られる。
問題は、ストーリー。このめちゃくちゃさは、いったい……。
主人公ロナウド@ゆーひくんは、天才詐欺師である。
偽物の宝石や偽造為替で儲けているそうですよ。で、億万長者になって、ロシア貴族ってことにして、高級住宅街に屋敷を構え、毎夜パーティなんぞやって盛り上がっている。
なんでロシア貴族ってことにしているかというと、ロシア貴族はオールマイティだからです。
大金を持っていても「ロシア貴族だからです」、宝石を持っていても「ロシア貴族だからです」、生計を立てるための表向きの事業などをしていなくても「ロシア貴族だからです」。
便利だな、ロシア貴族。
さて、この天才詐欺師。
いきなり殺されかける。
パーティに乱入してきた男@りんきらに銃で撃たれる。ロナウドも客も無傷、男は警察に取り押さえられた。
刑事のアーサー@かなめくんに、「知らない男だ。こーゆーのはよくあること。うらやまれる立場は大変だ-」と説明して、終了。これ以上探るなよ、と、市長を買収してあることをチラつかせて。
表面的にそう収めるのはいい。
しかし、明らかにロナウドを狙って殺しに来た男が、警察に捕まっている。
天才詐欺師として、それはまずくないか?
その男がどーゆー事情でロナウドを狙ったかはわからないが、彼は「ロシア貴族が金持ちでねたましい、ムカつくー」という理由で襲ったのではない、あくまでもロナウド自身の関係者だろう。
口を封じるなり、警察を買収して男の自供を無効にするなり、なんとかしなきゃいかんだろう。
しかしこの天才詐欺師は、ナニもしない。
自分の正体を知っている男が警察に捕まっているのに、放置。てゆーか、忘れてる?
で、天才詐欺師が次にすることは、某劇場買収。
少年時代、その劇場前で新聞売りをしていたので、そこを手に入れることが彼の夢だった。
次の興行が失敗したら劇場をもらう、という条件で興行資金を融資。失敗するようにとトップスターをライバル劇場へ引き抜いて。
貧しい少年時代を送った男は、劇場を手に入れる夢を持つモノなのです。タカラヅカのお約束です。
少年時代のロナウドと、その親友ロイのエピソードが、「いい話」的に作中2回も語られる。ああ、このロイって男が重要人物なのね、わざわざ回想シーン2回だからな。
夢に向かって前進する天才詐欺師さんは、地下酒場の歌手ジュディ@ののすみに一目惚れ。……一目惚れなんだよね? 温度低いからよくわかんなかったけど。
歌う姿を見る→悪党から助ける→投資するよと持ちかける、が、一晩……つーか、1時間くらいの出来事?
ジュディを自分が融資した劇場のトップスターにして、最初のデートで天才詐欺師は、自分のことをすべて打ち明ける。
まだ恋人にもなっていない、会って間もない女に、自分からぺらぺらと。
て、天才詐欺師?
ジュディとラヴラヴになった天才詐欺師は、本名のサイン入りカードを添えた花束を持ってジュディに会いに行く。
何故、本名……。誰の目に触れるかわからんのに……。天才詐欺師……。
案の定、そのカードを刑事のアーサーに見られる。
都合のいいことに、ロナウドを殺そうとした男はなにも喋らず、自殺したそうだ。その男が、「我が友ロナウド」と書いた少年時代の写真を持っていた。
え。
ちょっと待て。
この男がロイ? ロナウドのかつての親友?
わざわざ回想シーンまで使って表現したキャラクタの扱い?
「我が友」と書いた写真を持ち歩くくらい深い絆のあった親友が、自分の命を奪いに来たってのに、あの温度だったの?!
しかも、そんなすべてを知っている男が警察に捕まって取り調べを受けていたのに、放置していたの?!
しかも自殺までさせて、その温度なの?!
て、天才詐欺師??
天才詐欺師の詐欺の腕とやらも相当疑問だが、ここで「人としてどうよ」疑惑が強くなる。
そこへ、追い打ち。
ロナウドにはニック@みっちゃんという弟分がいる。ヤスと名前を変えても問題ないタイプの男だ。ロナウド大好きでしっぽを振っていたが、偽宝石のことでアーサーに詰め寄られると、ロナウドを守ることはしなかったらしい。
アーサーがロナウドを詐欺師だと自白を迫りに現れた。ニックが「全部オレひとりでやった、主人は無関係」と通せばあんな展開にはならないはず。
ニックは口を割らなかった、みたいなことをアーサーが言っていたようだが、決定的なことを言わなかっただけで、そうとしか思えないようなことは言っていたんだろう。
なーんだ、一の子分もこの程度の関係なのか。あんなに慕っていたけど、命がけでロナウドを守ろうとはしないんだー、自分や恋人の方が大事なんだー、と思っていたら。
さらに、ロナウドがすごい。
ニックを、見捨てた。
詐欺で捕らえられたニックは、そのまま。自分だけはアーサーを脅迫して身を守った。
裏切り者のニックなんか、どうなってもいいってか?
そ、そーゆー人だったんだ、天才詐欺師……。
親友ロイへの態度がアレでも、そりゃ仕方ないわ……。
それでもさすがに観念したのか、「オレってひどいよな」と悔い改める気があったのか、愛するジュディの初日を見守ったあとでなら捕まっても仕方ないよ的なことを、アーサーに告げていた。
アーサーはそのつもりで劇場を包囲して待っていた。
昔の親友裏切って自殺へ追い込んで、今の親友見捨てて、さすがに自分だけのうのうと生きることはできなかったのか、まだ人の心が残っていたんだなと思ったら。
最後の殊勝さも、詐欺でした。
逃げやがんの。
ええええ。
ニックもジュディも全部放置? その程度の関係?
スポンサーが詐欺師だったとばれたからには、初日の出来がどうあれ興行中止、興行主@ともちんは破産、劇場を失い、その詐欺師の愛人扱いのジュディは舞台人生命を絶たれる?
なんなのこの悲劇エンド?!!
……びっくりした。
原田くん、なんだってこんなひどいストーリーに?
あぜん。開いたまんまの口がふさがらなかった。
が。
それでも、おーぞらゆーひは、カッコイイ。
こんだけすごい話でも、ゆーひくんの美しさ、格好良さで全部持って行ってくれる。
ゆーひくんの男役芸を堪能できる。
これほど薔薇の花束を持って絵になる男がいるだろうか。
ストーリーはあまり考えず、ゆーひくんのみを見ている分にはいい。
とにかく、ゆーひくんがカッコイイ。それだけを優先した作品。
作品のひどさをぶっ飛ばす、おーぞらゆーひの力を見せつけてもらえる!
……それに尽きる、というか、それしかない話でした。
ゆーひくんの退団公演、『華やかなりし日々』初日観劇。
ラストのゆーひくんの去り方、その格好良さに息をのんだ。
それまでの疑問を全部吹っ飛ばす勢いで。
あのゆーひさんを見るだけでも、価値がある。
でもやっぱり、ストーリー的にはかなり首を傾げる。
原田せんせの大劇場デビュー作なわけだけど、彼の過去作品と比べて明らかに退化しているのは、どーゆーわけか。
『Je Chante』『ニジンスキー』『ロバート・キャパ 魂の記録』と全部ナマで観てきている。わたしの目には、原田せんせの腕が1作ごとに上がっていると映っていた。
『Je Chante』はひっでーもんだったが、『ニジンスキー』はよくなっていたし、『ロバート・キャパ』はうまくまとまっていた。
なのに、まさかの4作目『華やかなりし日々』で、『Je Chante』レベルに落ちるとは、思わなかった。
大劇場だからかな。大劇場ゆえのいろんな制約で、また初心者に戻っちゃった?
それとも、「偉人の伝記」というあらすじがないと、ナニも出来ない人なのかな?
画面演出は、相変わらずきれい。タカラヅカを観たわー的満足感を得られる。
問題は、ストーリー。このめちゃくちゃさは、いったい……。
主人公ロナウド@ゆーひくんは、天才詐欺師である。
偽物の宝石や偽造為替で儲けているそうですよ。で、億万長者になって、ロシア貴族ってことにして、高級住宅街に屋敷を構え、毎夜パーティなんぞやって盛り上がっている。
なんでロシア貴族ってことにしているかというと、ロシア貴族はオールマイティだからです。
大金を持っていても「ロシア貴族だからです」、宝石を持っていても「ロシア貴族だからです」、生計を立てるための表向きの事業などをしていなくても「ロシア貴族だからです」。
便利だな、ロシア貴族。
さて、この天才詐欺師。
いきなり殺されかける。
パーティに乱入してきた男@りんきらに銃で撃たれる。ロナウドも客も無傷、男は警察に取り押さえられた。
刑事のアーサー@かなめくんに、「知らない男だ。こーゆーのはよくあること。うらやまれる立場は大変だ-」と説明して、終了。これ以上探るなよ、と、市長を買収してあることをチラつかせて。
表面的にそう収めるのはいい。
しかし、明らかにロナウドを狙って殺しに来た男が、警察に捕まっている。
天才詐欺師として、それはまずくないか?
その男がどーゆー事情でロナウドを狙ったかはわからないが、彼は「ロシア貴族が金持ちでねたましい、ムカつくー」という理由で襲ったのではない、あくまでもロナウド自身の関係者だろう。
口を封じるなり、警察を買収して男の自供を無効にするなり、なんとかしなきゃいかんだろう。
しかしこの天才詐欺師は、ナニもしない。
自分の正体を知っている男が警察に捕まっているのに、放置。てゆーか、忘れてる?
で、天才詐欺師が次にすることは、某劇場買収。
少年時代、その劇場前で新聞売りをしていたので、そこを手に入れることが彼の夢だった。
次の興行が失敗したら劇場をもらう、という条件で興行資金を融資。失敗するようにとトップスターをライバル劇場へ引き抜いて。
貧しい少年時代を送った男は、劇場を手に入れる夢を持つモノなのです。タカラヅカのお約束です。
少年時代のロナウドと、その親友ロイのエピソードが、「いい話」的に作中2回も語られる。ああ、このロイって男が重要人物なのね、わざわざ回想シーン2回だからな。
夢に向かって前進する天才詐欺師さんは、地下酒場の歌手ジュディ@ののすみに一目惚れ。……一目惚れなんだよね? 温度低いからよくわかんなかったけど。
歌う姿を見る→悪党から助ける→投資するよと持ちかける、が、一晩……つーか、1時間くらいの出来事?
ジュディを自分が融資した劇場のトップスターにして、最初のデートで天才詐欺師は、自分のことをすべて打ち明ける。
まだ恋人にもなっていない、会って間もない女に、自分からぺらぺらと。
て、天才詐欺師?
ジュディとラヴラヴになった天才詐欺師は、本名のサイン入りカードを添えた花束を持ってジュディに会いに行く。
何故、本名……。誰の目に触れるかわからんのに……。天才詐欺師……。
案の定、そのカードを刑事のアーサーに見られる。
都合のいいことに、ロナウドを殺そうとした男はなにも喋らず、自殺したそうだ。その男が、「我が友ロナウド」と書いた少年時代の写真を持っていた。
え。
ちょっと待て。
この男がロイ? ロナウドのかつての親友?
わざわざ回想シーンまで使って表現したキャラクタの扱い?
「我が友」と書いた写真を持ち歩くくらい深い絆のあった親友が、自分の命を奪いに来たってのに、あの温度だったの?!
しかも、そんなすべてを知っている男が警察に捕まって取り調べを受けていたのに、放置していたの?!
しかも自殺までさせて、その温度なの?!
て、天才詐欺師??
天才詐欺師の詐欺の腕とやらも相当疑問だが、ここで「人としてどうよ」疑惑が強くなる。
そこへ、追い打ち。
ロナウドにはニック@みっちゃんという弟分がいる。ヤスと名前を変えても問題ないタイプの男だ。ロナウド大好きでしっぽを振っていたが、偽宝石のことでアーサーに詰め寄られると、ロナウドを守ることはしなかったらしい。
アーサーがロナウドを詐欺師だと自白を迫りに現れた。ニックが「全部オレひとりでやった、主人は無関係」と通せばあんな展開にはならないはず。
ニックは口を割らなかった、みたいなことをアーサーが言っていたようだが、決定的なことを言わなかっただけで、そうとしか思えないようなことは言っていたんだろう。
なーんだ、一の子分もこの程度の関係なのか。あんなに慕っていたけど、命がけでロナウドを守ろうとはしないんだー、自分や恋人の方が大事なんだー、と思っていたら。
さらに、ロナウドがすごい。
ニックを、見捨てた。
詐欺で捕らえられたニックは、そのまま。自分だけはアーサーを脅迫して身を守った。
裏切り者のニックなんか、どうなってもいいってか?
そ、そーゆー人だったんだ、天才詐欺師……。
親友ロイへの態度がアレでも、そりゃ仕方ないわ……。
それでもさすがに観念したのか、「オレってひどいよな」と悔い改める気があったのか、愛するジュディの初日を見守ったあとでなら捕まっても仕方ないよ的なことを、アーサーに告げていた。
アーサーはそのつもりで劇場を包囲して待っていた。
昔の親友裏切って自殺へ追い込んで、今の親友見捨てて、さすがに自分だけのうのうと生きることはできなかったのか、まだ人の心が残っていたんだなと思ったら。
最後の殊勝さも、詐欺でした。
逃げやがんの。
ええええ。
ニックもジュディも全部放置? その程度の関係?
スポンサーが詐欺師だったとばれたからには、初日の出来がどうあれ興行中止、興行主@ともちんは破産、劇場を失い、その詐欺師の愛人扱いのジュディは舞台人生命を絶たれる?
なんなのこの悲劇エンド?!!
……びっくりした。
原田くん、なんだってこんなひどいストーリーに?
あぜん。開いたまんまの口がふさがらなかった。
が。
それでも、おーぞらゆーひは、カッコイイ。
こんだけすごい話でも、ゆーひくんの美しさ、格好良さで全部持って行ってくれる。
ゆーひくんの男役芸を堪能できる。
これほど薔薇の花束を持って絵になる男がいるだろうか。
ストーリーはあまり考えず、ゆーひくんのみを見ている分にはいい。
とにかく、ゆーひくんがカッコイイ。それだけを優先した作品。
作品のひどさをぶっ飛ばす、おーぞらゆーひの力を見せつけてもらえる!